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JP2008300881A - 回路基板用部材およびそれを用いた電子部品実装回路基板の製造方法 - Google Patents

回路基板用部材およびそれを用いた電子部品実装回路基板の製造方法 Download PDF

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JP2008300881A JP2008227823A JP2008227823A JP2008300881A JP 2008300881 A JP2008300881 A JP 2008300881A JP 2008227823 A JP2008227823 A JP 2008227823A JP 2008227823 A JP2008227823 A JP 2008227823A JP 2008300881 A JP2008300881 A JP 2008300881A
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孝義 赤松
Futoshi Okuyama
太 奥山
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Abstract

【課題】熱、湿度、外力の影響で寸法変化を起こしやすい可撓性フィルムにおいても、高精度な回路パターンを形成するとともに電子部品との高精度な接合をすることができる。
【解決手段】少なくとも補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルムを有することを特徴とする回路基板用部材であり、該回路基板用部材を用いた電子部品実装回路基板の製造方法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、高精度な回路パターンを有するとともに生産性に優れた可撓性フィルムを用いた回路基板の製造方法に関する。
エレクトロニクス製品の軽量化、小型化に伴い、プリント回路基板のパターニングの高精度化が求められている。可撓性フィルム基板は、曲げることができるために三次元配線ができ、エレクトロニクス製品の小型化に適していることから需要が拡大している。液晶ディスプレイパネルへのIC接続に用いられるTAB(Tape Automated Bonding)技術は、比較的細幅の長尺ポリイミドフィルム基板を加工することで樹脂基板としては最高の微細パターンを得ることができるが、微細化の進展に関しては限界に近づきつつある。微細化にはライン幅やライン間のスペース幅で表される指標と基板上のパターンの位置で表される指標がある。ライン幅やスペース幅に関しては、さらに微細化する方策があるが、後者の指標、位置精度は、回路基板とICなどの電子部品とを接続する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせに係わり、ICの多ピン化の進展に従い要求される精度に対応することが厳しくなってきている。
上記位置精度の点において、特に可撓性フィルム基板加工は改良が難しい状況になりつつある。回路基板加工プロセスでは、乾燥やキュアなどの熱処理プロセス、エッチングや現像などの湿式プロセスがあり、可撓性フィルムは、膨張と収縮を繰り返す。このときのヒステリシスは、基板上の回路パターンの位置ずれを引き起こす。また、アライメントが必要なプロセスが複数ある場合、これらのプロセスの間に膨張、収縮があると形成されるパターン間で位置ずれが発生する。可撓性フィルムの膨張と収縮による変形は、比較的大面積の基板寸法で加工を進めるFPC(Flexible Printing Circuit)の場合には更に大きな影響を及ぼす。また、位置ずれは引っ張りや捻れなどの外力でも引き起こされ、柔軟性を上げるために薄い基板を使う場合は特に注意を必要とする。
これに対して、回路パターンを形成しようとする可撓性フィルムに剥離可能な有機物層を介して可撓性フィルムを貼り合わせ、全体の厚みを増すことで外力による変形を抑えようとするものがある(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、この方法では、可撓性フィルムの膨張、収縮ヒステリシスによる回路パターンの位置ずれはあまり軽減されない。また、回路パターンを形成しようとする可撓性フィルムと有機あるいは無機の硬質板とを剥離可能な有機物層を介して貼り合わせる提案がある(例えば、特許文献2参照)。有機硬質板を用いる場合は、特許文献1と同様に、膨張、収縮ヒステリシスによる回路パターンの位置ずれの問題が残る。
回路パターンの微細化に伴い位置精度は、回路パターン加工プロセス加工中の基板の安定性だけでなく、回路基板作製後から、電子部品接続までの温度、湿度による寸法変化抑制も同等に重要になってきている。すなわち、可撓性フィルムの基板は、回路形成後も湿度、温度の影響を受けて膨張、収縮するため、電子部品接続に先だって、回路基板の調温調湿操作が不可欠である。また、防湿包装が施される場合があるが、コストアップになる他、完全防湿は難しく、保証期間が限られる。しかしながら、特許文献1や2の例では、回路基板作製後に補強板を剥離してしまうため、回路基板作製から電子部品接続までの間の位置精度維持について保証されないのである。
特開平5−218616号公報(第1−3頁) 特開昭60−57697号公報(第1−3頁)
本発明は、上記のような問題点を解決し、高精細な可撓性フィルム回路基板と該回路基板への電子部品の高精度実装方法を提供することにある。
上記本発明の目的を達成するために、本発明は以下の構成および製造方法からなる。
(1)少なくとも補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルムを有することを特徴とする回路基板用部材。
(2)補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルムの順に積層されたことを特徴とする回路基板用部材。
(3)補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層されたことを特徴とする上記(2)記載の回路基板用部材。
(4)補強板、剥離可能な有機物層、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層され、さらに金属からなる回路パターン上に電子部品が接続されたことを特徴とする上記(1)または(2)記載の回路基板用部材。
(5)剥離可能な有機物層の厚みが5μm以下であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の回路基板用部材。
(6)可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して補強板と貼り合わせ、次いで、可撓性フィルム上に回路パターンを形成した後、電子部品を該回路パターン上に実装し、さらに可撓性フィルムを補強板から剥離することを特徴とする電子部品実装回路基板の製造方法。
(7)可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して補強板に貼り合わせ、次いで、可撓性フィルム上に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する際に、剥離可能な有機物層を40℃以上に加熱することを特徴とする電子部品実装回路基板の製造方法。
(8)可撓性フィルム上に回路パターンを形成した後、電子部品を該回路パターン上に実装してから、可撓性フィルムを補強板から剥離することを特徴とする上記(7)記載の電子部品実装回路基板の製造方法。
(9)剥離可能な有機物層が紫外線硬化型粘着剤であることを特徴とする上記(7)記載の電子部品実装回路基板の製造方法。
(10)剥離可能な有機物層の厚みが5μm以下であることを特徴とする上記(6)または(7)記載の電子部品実装回路基板の製造方法。
本発明は、可撓性フィルム基板を特に枚葉補強板と貼り合わせて、回路パターンを加工し、電子部品を該回路パターン上に実装した後、可撓性フィルムを剥離するので、加工工程での熱処理プロセス、湿式プロセスによる膨張と収縮、あるいは引っ張りや捻れなどの外力による変形を抑制し、また、加工後の保管による温度、湿度による膨張、収縮を抑制して、より設計値に近い微細加工と微細な接続を可能とするものである。更にフリップチップ接続時の加熱による回路基板の膨張が抑制され、高精度の接続が可能になる。
本発明における回路基板用部材は少なくとも補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルムを有しており、好ましくは補強板、剥離可能な有機物層、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層、あるいは補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層されたものである。
本発明において、可撓性フィルムは、プラスチックフィルムであって、回路パターン製造工程および電子部品実装での熱プロセスに耐えるだけの耐熱性を備えていることが重要であり、ポリカーボネート、ポリエーテルサルファイド、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミド、ポリアミド、液晶ポリマーなどのフィルムを採用することができる。中でもポリイミドフィルムは、耐熱性に優れるとともに耐薬品性にも優れているので好適に採用される。また、低誘電損失など電気的特性が優れている点で、液晶ポリマーが好適に採用される。可撓性のガラス繊維補強樹脂板を採用することも可能である。
上記ガラス繊維補強樹脂板の樹脂としては、エポキシ、ポリフェニレンサルファイド、ポリフェニレンエーテル、マレイミド(共)重合樹脂、ポリアミド、ポリイミドなどが挙げられる。可撓性フィルムの厚さは、電子機器の軽量化、小型化、あるいは微細なビアホール形成のためには薄い方が好ましく、一方、機械的強度を確保するためや平坦性を維持するためには厚い方が好ましい点から、4μmから125μmの範囲が好ましい。
これらの可撓性フィルムには、補強板との貼り付けに先立って、片面もしくは両面に金属層が形成されていても良い。金属層は、銅箔などの金属箔を接着剤層で貼り付けて形成することができる他、スパッタやメッキ、あるいはこれらの組合せで形成することができる。また、銅などの金属箔の上に可撓性フィルムの原料樹脂あるいはその前駆体を塗布、乾燥、キュアすることで、金属層付き可撓性フィルムを作り、これを利用することもできる。金属層としては、導電性が高いものであれば良く、金、銀、アルミニウムなども用いることができる。
本発明において補強板として用いられる基板は、ソーダライムガラス、ホウケイ酸系ガラス、石英ガラスなどの無機ガラス類、アルミナ、窒化シリコン、ジルコニアなどのセラミックス、ステンレススチール、インバー合金、チタンなどの金属やガラス繊維補強樹脂板などが採用できる。いずれも線膨張係数や吸湿膨張係数が小さい点で好ましいが、回路パターン製造工程の耐熱性、耐薬品性に優れている点や大面積で表面平滑性が高い基板が安価に入手しやすい点や塑性変形しにくい点、あるいは運搬時等における接触の際、パーティクルを発生しにくい点で無機ガラス類が好ましい。中でもアルミノホウケイ酸塩ガラスに代表されるホウケイ酸系ガラスは、高弾性率でかつ熱膨張係数が小さいため特に好ましい。
金属やガラス繊維補強樹脂を補強板に採用する場合は、長尺連続体での製造もできるが、位置精度を確保しやすい点で、本発明の回路基板の製造方法は枚葉式で行うことが好ましい。また、電子部品実装においても、位置合わせの方が光学的位置検知と可動ステージ等により位置精度を確保しやすい点で枚葉式の方が好ましい。枚葉とは、長尺連続体でなく、個別のシート状でハンドリングされる状態を言う。
補強板にガラス基板を用いる場合、ガラス基板のヤング率が小さかったり、厚みが小さいと可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着したときにガラス基板が割れることがある。また、真空吸着・脱着で可撓性フィルムが変形することになり位置精度の確保が難しくなる傾向がある。一方、ガラス基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる傾向がある。また、ロボット等によるハンドリングに負荷が大きくなり素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する傾向がある。これらの点から、枚葉補強板(枚葉式で用いる場合)として用いるガラス基板は、ヤング率(kg/mm)と厚さ(mm)の3乗の積が、850kg・mm以上860000kg・mm以下の範囲を満たすことが好ましく、1500kg・mm以上190000kg・mm以下が更に好ましく、2400kg・mm以上110000kg・mm以下の範囲が最も好ましい。
補強板に金属基板を用いる場合、金属基板のヤング率が小さかったり、厚みが小さいと可撓性フィルムの膨張・収縮力で反りやねじれが大きくなり、平坦なステージ上に真空吸着できなくなったり、金属基板の反りやねじれ分、可撓性フィルムが変形することにより、位置精度の確保が難しくなる。また、折れがあるとその時点で不良品になる。一方、金属基板が厚いと、肉厚ムラにより平坦性が悪くなることがあり、露光精度が悪くなる。また、ロボット等によるハンドリングに負荷が大きくなり素早い取り回しが難しくなって生産性が低下する要因になる他、運搬コストも増大する。したがって、枚葉補強板として用いる金属基板は、ヤング率(kg/mm)と厚さ(mm)の3乗の積が、2kg・mm以上162560kg・mm以下の範囲を満たすことが好ましく、10kg・mm以上30000kg・mm以下であることが更に好ましく、15kg・mm以上20500kg・mm以下の範囲であることが最も好ましい。
本発明に用いられる剥離可能な有機物層は接着剤または粘着剤からなり、可撓性フィルムを有機物層を介して補強板に貼り付けて加工後、可撓性フィルムを剥離しうるものであれば特に限定されない。このような接着剤または粘着剤としては、アクリル系またはウレタン系の再剥離粘着剤と呼ばれる粘着剤を挙げることができる。可撓性フィルム加工中は十分な接着力があり、剥離時は容易に剥離でき、可撓性フィルム基板に歪みを生じさせないために、弱粘着から中粘着と呼ばれる領域の粘着力のものが好ましい。
シリコーン樹脂膜は本発明では離型剤として用いられることがあるが、タック性があるものは本発明において、剥離可能な有機物層として使用することができる。また、タック性があるエポキシ系樹脂膜を剥離可能な有機物層として使用することも可能である。
本発明において、剥離可能な有機物層が有する好ましい粘着力は、基材をポリエステルフィルムとし、25μm厚みに粘着剤を積層した粘着テープをステンレス板に貼り付けて剥離する際の180°方向ピール強度で、1g/25mmから500g/25mmの範囲が好ましい。中でも弱粘着と呼ばれる2g/25mmから200g/25mmの範囲が特に好ましい。
その他、低温領域で接着力、粘着力が減少するもの、紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものや加熱処理で接着力、粘着力が減少するものも好適に用いられる。これらの中でも紫外線照射によるものは、接着力、粘着力の変化が大きく、さらに電子部品を高温高圧で接合することに先だって紫外線照射して架橋させておくことで、温度による軟化や圧力による変形を抑えることが可能であるので好ましい。紫外線照射で接着力、粘着力が減少するものの例としては、2液架橋型のアクリル系粘着剤が挙げられる。また、低温領域で接着力、粘着力が減少するものの例としては、結晶状態と非結晶状態間を可逆的に変化するアクリル系粘着剤が挙げられる。
剥離可能な有機物層やフォトレジストを塗布するにはウエットコーティング法が用いられる。ウエットコーティング装置としては、スピンコーター、リバースコーター、バーコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷、ディップコーター、スプレイコーターなどの種々のものが採用できるが、枚葉の補強板に剥離可能な有機物層を直接塗布したり、枚葉の可撓性フィルム基板上に回路基板形成用のフォトレジストを直接塗布する場合、ダイコーターの採用が好ましい。すなわち、枚葉基板へのウエットコーティング法としては、スピンコーターが一般的であるが、基板の高速回転による遠心力と基板への吸着力とのバランスで厚みをコントロールするため、塗液の使用効率が10%以下と非効率である。また、回転中心は遠心力が加わらないため、用いる塗液の種類において、例えばチクソ性がある塗液や粘度の高い塗液では均一に塗布できないことがある。また、リバースコーター、バーコーター、ブレードコーターは、安定した塗布厚みを得るためには、通常、塗液吐出開始後に数十cmから数m以上の塗布長さが必要であり、枚葉基板へのコーティングへの適用には注意を要する。ロールコーター、スクリーン印刷、ディップコーター、スプレイコーターは、コーティング厚み精度がでにくい点や塗液流動特性に対する許容幅が狭い点、また、ロールコーター、ディップコーター、スプレイコーターは、厚膜が塗布しにくい点でも適用が難しいことがある。ダイコーターは、間欠動作できる定量ポンプ、基板と塗布ヘッドとを相対的に移動させる機構および定量ポンプ、基板、塗布ヘッドを総合的に制御するシステムとを組合せることにより、塗布開始部分と塗布終了部分の膜厚ムラを数mmから数十mmに抑えて枚葉基板に塗布することができる。間欠動作できる定量ポンプの例としては、ギアポンプ、ピストンポンプなどが挙げられる。剥離可能な有機物層は、フォトレジストに比べて一般に粘度が高いため、特にダイコーターの採用が好ましい。
剥離可能な有機物層は、補強板に直接塗布しても良いし、長尺フィルムなどの別の基体に塗布してから補強板に転写しても良い。転写を用いる場合は、塗布膜厚が均一な部分だけを採用することができる長所があるが、工程が増えたり、転写用の別の基体が必要になる短所がある。
また、剥離可能な有機物層を回路基板とする可撓性フィルム側に塗布してから、補強板に貼り合わせることもできる。この場合は、可撓性フィルム剥離時に、有機物層が補強板側に残るように有機物層と補強板表面の粘着力を大きくするための工程、あるいは、剥離後に可撓性フィルム側に残った有機物層を除去する工程が付加され生産性が低下することがある。
本発明の好ましい一態様では、回路基板用部材を形成し、さらに電子部品を該回路基板用部材上に実装した後、可撓性フィルムを補強板から分離させる。ICなどの電子部品と回路基板との接続方法は、特に多数の接続部を一括で接合する接続方法において、位置精度確保が重要である。このような接続方法としては、回路基板の接続部に形成された錫、金、はんだなどの金属層と電子部品の接続部に形成された金やはんだなどの金属層とを加熱圧着し金属接合させる方法、回路基板の接続部の錫、金、はんだなどの金属層と電子部品の接続部に形成された金やはんだなどの金属層とを圧着しつつ回路基板と電子部品間に配置した異方導電性接着剤または非導電性接着剤を硬化させ、機械的に接合させる方法などが挙げられる。いずれの方法でも接続部分は局所的に140℃から400℃で、1秒から数分間、加熱される。また、接続部分に加えられる圧力はバンプ当たり5gから50gと大きい。高温での加圧で剥離可能な有機物層が変形すると、位置精度が確保できないばかりでなく、配線回路パターンを形成する金属層の変形により、電気接続信頼性が低下することがある。多数の接続部を逐次接続するワイヤーボンド法においても金属接合するために高温での加圧がなされるため、一括接続の場合と同様に、剥離可能な有機物層の変形の可能性がある。これらの高温加圧による接合において、回路基板の厚さ方向の変形を沈み込みと言い、該沈み込みは、電気接続信頼性を確保するために6μm以下であることが好ましく、3μm以下であることがさらに好ましい。
本発明の剥離可能な有機物層は、接着性、粘着性を実現するために柔軟性があり、その厚みは特に限定されない。さらに本発明は、有機物層の厚みを薄くすることで、高温加圧による接続時に回路基板の変形を抑制することも可能にする。電子部品接続用の高温加圧ヘッドは、接続部分の加熱を容易にするため、電子部品を保持する機構と兼用になっていることが好ましく、この場合、加熱と加圧は配線回路パターンが形成された可撓性フィルム側から実施される。したがって、高温加圧ヘッド側にある可撓性フィルムの厚みや配線回路パターンの厚みが厚い程、該有機物層への影響が小さくなるが、該有機物層の厚みは5μm以下であることが好ましく、4μm以下がさらに好ましく、3μm以下であることが最も好ましい。一方、接着力、粘着力は有機物層の厚みが大きいほど大きくなり加工プロセス中の可撓性フィルムの保持力を確保しやすい他、可撓性フィルムやその上に形成された配線回路パターンの凹凸を吸収して、平坦な表面を実現しやすい。このため、剥離可能な有機物層の厚みは、0.05μm以上であることが好ましく、0.1μm以上であることがさらに好ましく、0.2μm以上であることが最も好ましい。
剥離可能な有機物層の剥離力を低下させるために剥離中の剥離可能な有機物層を加熱することが好ましい。充分に剥離力を低減するためには加熱温度は、40℃以上であることが好ましく、80℃以上であることがさらに好ましい。一方、加熱温度が高すぎると剥離可能な有機物層が変質して剥離後の可撓性フィルム上に残存する有機物層を除去しにくくなったり、可撓性フィルムの熱収縮の原因になり、寸法安定性を維持する上で障害となるため、加熱温度は250℃以下であることが好ましく、200℃以下であることがさらに好ましい。
剥離可能な有機物層を加熱する手段としては、剥離中の該有機物層の温度が所定の温度に維持できるものであれば特に限定されないが、ホットプレートに補強板を接する方法、熱風や赤外線を補強板や可撓性フィルムに当てる方法などが好適に採用される。
本発明で用いる可撓性フィルムには、補強板との貼り付けに先立って、貼り付け面である一方の面に回路パターンおよび位置合わせ用マークが形成されていてもよい。位置合わせマークは、補強板が透明である場合は、補強板を通して読みとっても良いし、可撓性フィルムを通して読みとっても良いが、可撓性フィルムの貼り合わせ面とは反対側に金属層が形成されている場合は、金属層のパターンによらず読み取りができることから補強板側からの読み取りが好ましい。この位置合わせマークは、可撓性フィルムを補強板と貼り合わせる際の位置合わせにも利用することができる。位置合わせマークの形状は特に限定されず、露光機などで一般に使用される形状が好適に採用できる。
補強板に貼り付けた後に貼り付け面とは反対面に形成される回路パターンは、60μmピッチ以下の特に高精度なパターンを形成することができるが、補強板との貼り付け面に形成されるパターンは、主にプリント配線板などへの入出力端子およびその周辺の配線や電源と接地電位配線の役割を持たせるものであり、補強板への貼り付け面とは反対面に形成されるパターンほどの高精細を要求されない場合がある。本発明によれば、このような片面に特に高精細なパターンを形成した両面配線を提供することも容易である。両面配線であることのメリットとしては、スルーホールを介しての配線交差ができ、配線設計の自由度が増すこと、太い配線で接地電位を必要な場所の近傍まで伝搬することで高速動作するLSIのノイズ低減ができること、同様に太い配線で電源電位を必要な場所の近傍まで伝搬することにより、高速スイッチングでも電位の低下を防ぎ、LSIの動作を安定化させること、電磁波シールドとして外部ノイズを遮断することなどがあり、LSIが高速化し、また、多機能化による多ピン化が進むと非常に重要になる。
本発明の回路基板の製造方法の一例を以下に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
厚さ0.7mmのアルミノホウケイ酸塩ガラスにスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などで、弱粘着性再剥離剤を塗布する。間欠的に送られてくる枚葉基板に均一に塗布するためには、ダイコーターの使用が好ましい。再剥離剤塗布後、加熱乾燥や真空乾燥などにより乾燥し、厚みが1μmの再剥離剤層を得る。塗布した再剥離剤層に、ポリエステルフィルム上にシリコーン樹脂層を設けた離型フィルムからなる空気遮断用フィルムを貼り付けて1週間室温で放置する。この期間は、熟成と呼ばれ、再剥離剤層の架橋が進行して、徐々に粘着力が低下する。放置期間や保管温度は、所望の粘着力が得られるように選択される。空気遮断用フィルムを貼り合わせる代わりに、窒素雰囲気中や真空中で保管することもできる。弱粘着性再剥離剤を長尺フィルム基体に塗布、乾燥後、補強板に転写することも可能である。
次に厚さ25μmのポリイミドフィルムを準備する。ガラス基板上の空気遮断用フィルムを剥がして、ポリイミドフィルムをガラス基板に貼り付ける。前述のように、ポリイミドフィルムの片面または両面に金属層があらかじめ形成されていても良い。ポリイミドフィルムの貼り付け面側に金属層を設けておいた場合は、電磁波遮蔽のためのグラウンド層などとして利用することができ、好ましい。ポリイミドフィルムはあらかじめ所定の大きさのカットシートにしておいて貼り付けても良いし、長尺ロールから巻きだしながら、貼り付けと切断をしてもよい。このような貼り付け作業には、ロール式ラミネーターや真空ラミネーターを使用することができる。
ポリイミドフィルムの貼り合わせ面とは反対側の面に金属層が設けられていない場合は、フルアディティブ法やセミアディティブ法で金属層を形成する。
フルアディティブ法は、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面にパラジウム、ニッケルやクロムなどの触媒付与処理をし、乾燥する。ここで言う触媒とは、そのままではメッキ成長の核としては働かないが、活性化処理をすることでメッキ成長の核となるものである。触媒付与処理は補強板に可撓性フィルムを貼り合わせてから実施しても良いし、貼り合わせ前に、例えば長尺の可撓性フィルム上で実施しても良い。次いでフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、バーコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などで塗布して乾燥する。フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、メッキ膜が不要な部分にレジスト層を形成する。この後、触媒の活性化処理をしてから、硫酸銅とホルムアルデヒドの組合せからなる無電解メッキ液に、ポリイミドフィルムを浸漬し、厚さ2μmから20μmの銅メッキ膜を形成して、回路パターンを得る。
セミアディティブ法は、以下のようなプロセスである。金属層を形成する面に、クロム、ニッケル、銅またはこれらの合金をスパッタし、下地層を形成する。下地層の厚みは1nmから1000nmの範囲である。下地層の上に銅スパッタ膜をさらに50nmから3000nm積層することは、後に続く電解メッキのための十分な導通を確保したり、金属層の接着力向上やピンホール欠陥防止に効果がある。下地層形成に先立ち、ポリイミドフィルム表面に接着力向上のために、プラズマ処理、逆スパッタ処理、プライマー層塗布、接着剤層塗布が行われることは適宜許される。中でもエポキシ樹脂系、アクリル樹脂系、ポリアミド樹脂系、ポリイミド樹脂系、NBR系などの接着剤層塗布は接着力改善効果が大きく好ましい。該接着剤は、高温高圧による電子部品接続時の沈み込みを抑制するために硬度が高いことが好ましく、また、厚みは2μm以下であることが好ましい。これらの処理や塗布は、補強板貼り付け前に実施されても良いし、補強板貼り付け後に実施されても良い。補強板貼り付け前に長尺のポリイミドフィルムに対してロールツーロールで連続処理されることは生産性向上が図れ好ましい。また、下地層は補強板に可撓性フィルムを貼り合わせてから形成しても良いし、貼り合わせ前に、例えば長尺の可撓性フィルム上に形成しても良い。このようにして形成した下地層上にフォトレジストをスピンコーター、ブレードコーター、ロールコーター、ダイコーター、スクリーン印刷などで塗布して乾燥する。フォトレジストを所定パターンのフォトマスクを介して露光、現像して、メッキ膜が不要な部分にレジスト層を形成する。次いで下地層を電極として電解メッキをおこなう。電解メッキ液としては、硫酸銅メッキ液、シアン化銅メッキ液、ピロ燐酸銅メッキ液などが用いられる。厚さ2μmから20μmの銅メッキ膜を形成後、フォトレジストを剥離し、続いてスライトエッチングにて下地層を除去して、さらに必要に応じて金、ニッケル、錫などのメッキを施し、回路パターンを得る。
また、これら金属配線回路形成において、ポリイミドフィルムに接続孔を設けることができる。すなわち、枚葉基板との貼り合わせ面側に設けた金属層との電気的接続を取るビアホールを設けたり、ボールグリッドアレイのボール設置用の孔を設けたりすることができる。接続孔の設け方としては、炭酸ガスレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザーなどのレーザー孔開けやケミカルエッチングを採用することができる。レーザーエッチングを採用する場合は、エッチングストッパ層として、ポリイミドフィルムの貼り付け面側に金属層があることが好ましい。ポリイミドフィルムのケミカルエッチング液としては、ヒドラジン、水酸化カリウム水溶液などを採用することができる。また、ケミカルエッチング用マスクとしては、パターニングされたフォトレジストや金属層が採用できる。電気的接続を取る場合は、接続孔形成後、前述の金属層パターン形成と同時にメッキ法で孔内面を導体化することが好ましい。電気的接続をとるための接続孔は、直径が15μmから200μmが好ましい。ボール設置用の孔は、直径が50μmから800μmが好ましく、80μmから800μmがより好ましい。
次いで形成した回路パターン上にICチップ、抵抗やコンデンサなどの電子部品を実装する。本発明で使用できる電子部品搭載装置は、光学的位置検出機能と可動ステージなどの位置合わせ機能を有し、搭載精度を確保できるものであれば、特に限定されない。本発明は、特に接続ピッチが小さく、かつピン数が大きい大規模LSIの実装精度確保に効果が大きい。LSIのパッケージ形態は特に限定されず、ベアチップ、リードフレームタイプ、ボールグリッドアレイタイプのいずれにも適用することができるが、ピン数が多くできるベアチップやボールグリッドアレイタイプへの適用が好ましい。
また、本発明で使用できる電子部品と回路基板との接続方法は特に限定されないが、多数の接続部を一括で接合する接続方法において、位置精度確保が重要であり、本発明の適用が好ましい。多数の接続部を一括で接合する接続方法としては、回路基板の接続部に形成された錫、金、はんだなどの金属層と電子部品の接続部に形成された金やはんだなどの金属層とを加熱圧着し金属接合させる方法、回路基板の接続部の錫、金、はんだなどの金属層と電子部品の接続部に形成された金やはんだなどの金属層とを圧着しつつ回路基板と電子部品間に配置した異方導電性接着剤または非導電性接着剤を硬化させ、機械的に接合させる方法、あるいは、接続部分へパターン印刷されたはんだペースト上に電子部品を仮固定した後、一括リフローで接続する方法などが挙げられるが、本発明は加熱圧着による接続方法に効果が大きい。
ガラス基板に回路基板を貼り付けた状態で、電子部品を実装することで、回路基板製造後、電子デバイス実装までの調温調湿操作や防湿包装は不要にできる。特に可撓性フィルムは、吸湿で不可逆な寸法変化をすることが多く、本発明は、回路基板と電子デバイス接続の精度を確保する上で効果が大きい。さらに、回路基板をガラス基板から剥離する際の応力により回路基板が変形して、電子デバイス接続の精度が確保できなくなることを回避することができる。
回路基板と電子部品とを接続した後、回路基板をガラス基板から剥離する。剥離に先立ち、レーザー、高圧水ジェットやカッターなどを用いて、個片または個片の集合体に該回路パターン付きポリイミドフィルムを切り分けてから、電子部品が実装された回路基板をガラス基板から剥離することが、剥離後の取り扱いが容易になる点で好ましい。また、剥離時だけでなく、回路パターン作製時にも個片または個片の集合体のように小さくしておくとポリイミドフィルムに応力が残りにくく好ましい。
剥離可能な有機物層の剥離力を低下させて、剥離時の応力による回路基板の変形を防ぐために剥離中の剥離可能な有機物層を40℃以上に加熱することが好ましい。剥離可能な有機物層を加熱する手段としては、剥離中の該有機物層の温度が所定の温度に維持できるものであれば特に限定されないが、ホットプレートに補強板を接する方法、熱風や赤外線を補強板や可撓性フィルムに当てる方法などが好適に採用される。また、剥離部分に有機溶剤などを供給して剥離力を低下させることも好ましく採用される。
本発明の回路基板は、電子機器の配線板、ICパッケージ用インターポーザーウエハレベルバーンインソケット用配線板などに使用される。特に、ICなどの電子部品を接続する際の電極パッドと回路基板パターンとの位置合わせ精度に係わる位置精度の改善に効果が大きい。回路パターンに抵抗素子や容量素子を入れ込むことは適宜許される。また、可撓性フィルム基板の少なくとも一方の面に絶縁層と配線層を積層し、多層化することも可能である。
以下実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、本発明においてガラスのヤング率は、JIS R1602によって求められる値とする。
実施例1
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスにダイコーターで、弱粘着性再剥離剤”オリバイン”EXK01−257(東洋インキ製造(株)製)と硬化剤BXX5134(東洋インキ製造(株)製)を7:1で混合したものを塗布し、100℃で30秒乾燥した。乾燥後の再剥離剤厚みを15μmとした。次いで再剥離剤層に、ポリエステルフィルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフィルムからなる空気遮断用フィルムを貼り付けて1週間おいた。ガラス基板のヤング率は、7140kg/mmであり、ヤング率(kg/mm)と厚さ(mm)の3乗の積は、2449kg・mmであった。
金属層接着力向上のための接着剤を以下のようにして用意した。フラスコ内を窒素雰囲気に置換し、N,N−ジメチルアセトアミド228重量部を入れ、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン19.88重量部を溶解した。次いで、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物25.76重量部を加え、窒素雰囲気下で10℃、1時間攪拌した。続いて50℃で3時間攪拌しながら反応させ、ポリイミド前駆体ワニスからなる接着剤を得た。
リバースコーターを用いて、厚さ25μm、幅300mmの長尺のポリイミドフィルム(”ユーピレックス”宇部興産(株)製)の片面に接着剤を連続的に塗布した。次いで、80℃で10分間、130℃で10分間、150℃で15分間乾燥し、250℃で5分間キュアした。キュア後の接着剤層の膜厚は1μmであった。
上記ポリエステルフィルムとシリコーン樹脂層からなる空気遮断用フィルムを剥がしつつ、再剥離剤層が形成されているガラスにロール式ラミネーターで、接着剤を塗布したポリイミドフィルムを、ポリイミドフィルム側がガラス面になるように貼り付けた。ガラスにラミネートされたポリイミドフィルムは、ガラス終端に合わせてカットした。
次いでスパッタにて厚さ50nmのクロム:ニッケル=20:80の合金層と厚さ100nmの銅層をこの順に接着剤層上に積層した。該銅層上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。フォトレジストをフォトマスクを介して露光、現像して、メッキ層が不要な部分に厚さ10μmのフォトレジスト層を形成した。テスト用フォトマスクパターンは、50μmピッチで400個の接続パッド(幅20μm、長さ200μm)を1.5mmの間隔で2列平行に設けたものを1ユニットとして、これを300mm角の基板上に40mmピッチで7行×7列に均等配置したものとした。合わせて、測長用に基板の中心から対角方向に約141mm離して配置した4点(辺に平行方向には互いに200mmずつ離して配置)のマーカーをフォトマスクパターンに設けた。
フォトレジストを現像後、120℃で10分間ポストベークした。次いで銅層を電極として厚さ5μmの銅層を電解メッキで形成した。電解メッキ液は、硫酸銅メッキ液とした。引き続き、銅メッキ膜上に、電解メッキで厚さ1μmのニッケル層と厚さ0.2μmの金層をこの順に積層した。ニッケル電解メッキ液は硫酸ニッケルメッキ液、金電解メッキ液はシアン化第一酸カリウムメッキとした。その後、フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて塩化鉄水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅層およびクロム−ニッケル合金層を除去して、金属層パターンを得、本発明の回路基板用部材を得た。
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
さらに得られた回路基板用部材を30℃、80%RHの雰囲気に1週間放置した後、50μmピッチで一列400個の金メッキバンプを1.5mm間隔を置いて2列配置した幅2.5mmのモデルICチップをチップ側から200℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路基板上の接続パッドと金属拡散結合した。モデルICチップのバンプと回路基板上の接続パッドの位置合わせは良好であった。炭酸ガスレーザー切断機を用いて、モデルICチップごとにポリイミドフィルムを切り分けた。次いで、モデルICチップを真空吸着し、ガラス基板から剥離した。
実施例2
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスにダイコーターで、弱粘着性再剥離剤”オリバイン”EXK01−257(東洋インキ製造(株)製)と硬化剤BXX5134(東洋インキ製造(株)製)を7:1で混合したものを塗布し、100℃で30秒乾燥した。乾燥後の再剥離剤厚みを15μmとした。次いで再剥離剤層に、ポリエステルフィルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフィルムからなる空気遮断用フィルムを貼り付けて1週間おいた。ガラス基板のヤング率は、7140kg/mmであり、ヤング率(kg/mm)と厚さ(mm)の3乗の積は、2449kg・mmであった。
金属層接着力向上のための接着剤を以下のようにして用意した。フラスコ内を窒素雰囲気に置換し、N,N−ジメチルアセトアミド228重量部を入れ、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ビス(3−アミノプロピル)ジシロキサン19.88重量部を溶解した。次いで、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物25.76重量部を加え、窒素雰囲気下で10℃、1時間攪拌した。続いて50℃で3時間攪拌しながら反応させ、ポリイミド前駆体ワニスからなる接着剤を得た。
リバースコーターを用いて、厚さ25μm、幅300mmの長尺のポリイミドフィルム(”ユーピレックス”宇部興産(株)製)の片面に接着剤を連続的に塗布した。次いで、80℃で10分間、130℃で10分間、150℃で15分間乾燥し、250℃で5分間キュアした。キュア後の接着剤層の膜厚は0.5μmであった。
上記ポリエステルフィルムとシリコーン樹脂層からなる空気遮断用フィルムを剥がしつつ、再剥離剤層が形成されているガラスにロール式ラミネーターで、接着剤を塗布したポリイミドフィルムを、ポリイミドフィルム側がガラス面になるように貼り付けた。ガラスにラミネートされたポリイミドフィルムは、ガラス終端に合わせてカットした。
次いでスパッタにて厚さ5nmのクロム:ニッケル=20:80の合金層と厚さ200nmの銅層をこの順に接着剤層上に積層した。該銅層上にポジ型フォトレジストをスピンコーターで塗布して80℃で10分間乾燥した。フォトレジストをフォトマスクを介して露光、現像して、メッキ層が不要な部分に厚さ10μmのフォトレジスト層を形成した。テスト用フォトマスクパターンは、50μmピッチで400個の接続パッド(幅20μm、長さ200μm)を1.5mmの間隔で2列平行に設けたものを1ユニットとして、これを300mm角の基板上に40mmピッチで7行×7列に均等配置したものとした。合わせて、測長用に基板の中心から対角方向に約141mm離して配置した4点(辺に平行方向には互いに200mmずつ離して配置)のマーカーをフォトマスクパターンに設けた。
フォトレジストを現像後、120℃で10分間ポストベークした。次いで銅層を電極として厚さ5μmの銅層を電解メッキで形成した。電解メッキ液は、硫酸銅メッキ液とした。引き続き、銅メッキ膜上に、電解メッキで厚さ1μmのニッケル層と厚さ0.2μmの金層をこの順に積層した。ニッケル電解メッキ液は硫酸ニッケルメッキ液、金電解メッキ液はシアン化第一酸カリウムメッキとした。その後、フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて塩化鉄水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅層およびクロム−ニッケル合金層を除去して、金属層パターンを得、本発明の回路基板用部材を得た。
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
さらに得られた回路基板用部材を30℃、80%RHの雰囲気に1週間放置した後、50μmピッチで一列400個の金メッキバンプを1.5mm間隔を置いて2列配置した幅2.5mmのモデルICチップをチップ側から200℃に加熱しつつ超音波ボンダーを用いて、回路基板上の接続パッドと金属拡散結合した。1バンプあたりの圧力を30gとした。モデルICチップのバンプと回路基板上の接続パッドの位置合わせは良好であった。接続部の断面を切り出し、電子顕微鏡で観察したところ、バンプの沈み込みは13μmと大きく、信頼性の点で注意が必要であった。炭酸ガスレーザー切断機を用いて、モデルICチップごとにポリイミドフィルムを切り分けた。次いで、モデルICチップを真空吸着し、ガラス基板から剥離した。
実施例3
厚さ0.7mm、300mm角のアルミノホウケイ酸塩ガラスにダイコーターで、再剥離性の粘着剤として、紫外線照射で粘着力が低下する粘着剤”SKダイン”SW−11A(綜研化学(株)製)と硬化剤L−45(綜研化学(株)製)を50:1で混合したものを塗布し、80℃で2分乾燥した。乾燥後の粘着剤厚みを0.5μmとした。粘着剤層に、ポリエステルフィルム上に離型容易なシリコーン樹脂層を設けたフィルムからなる空気遮断用フィルムを貼り付けて1週間おいた。
実施例2と同様にして、金属層接着力向上のための接着剤を準備し、厚さ25μm、幅300mmの長尺のポリイミドフィルムの片面に該接着剤を連続的に塗布、乾燥、キュアした。
上記ポリエステルフィルムとシリコーン樹脂層からなる空気遮断用フィルムを剥がしつつ、粘着層が形成されているガラスにロール式ラミネーターで、接着剤を塗布したポリイミドフィルムを、ポリイミドフィルム側がガラス面になるように貼り付けた。ガラスにラミネートされたポリイミドフィルムは、ガラス終端に合わせてカットした。ラミネート後、ガラス面側から紫外線を1J/cmの強度で照射して粘着剤を硬化させた。
次いで実施例2と同様にして、セミアディティブ法にてテスト用銅層パターンを形成した。引き続き、銅層上に、無電解めっきで厚さ0.1μmのスズ層を積層した。その後、フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離し、続いて塩化鉄水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅層およびクロム−ニッケル合金層を除去して、金属層パターンを得た。
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
さらに得られた回路基板用部材を30℃、80%RHの雰囲気に1週間放置した後、50μmピッチで一列400個の金メッキバンプを1.5mm間隔を置いて2列に配置した幅2.5mmのモデルICチップをボンダーにてICチップ側から300℃に加熱しつつ、回路基板上の接続パッドと金属接合した。1バンプあたりの圧力を15gとした。モデルICチップのバンプと回路基板上の接続パッドの位置合わせは良好であった。接続部の断面を切り出し、電子顕微鏡で観察したところ、バンプの沈み込みは0.8μmであり、配線回路の信頼性に全く問題ない範囲であった。次いで、ポリイミドフィルムの一端を真空吸着し、端部から徐々にガラス基板から剥離した。
実施例4
乾燥後の粘着剤厚みを4.5μmとしたこと以外は、実施例3と同様にして回路基板を作製した。測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
次に、実施例3と同様にしてボンダーにて、モデルICチップを回路基板上の接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路基板上の接続パッドの位置合わせは良好であった。また、バンプの沈み込みは5.8μmであり、配線回路の信頼性に問題ない範囲であった。次いで、ポリイミドフィルムの一端を真空吸着し、端部から徐々にガラス基板から剥離した。
実施例5
乾燥後の粘着剤厚みを6μmとしたこと以外は、実施例3と同様にして回路基板を作製した。測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
次に、実施例3と同様にしてモデルICチップをボンダーにて、回路基板上の接続パッドと金属接合した。モデルICチップのバンプと回路基板上の接続パッドの位置合わせは良好であった。また、バンプの沈み込みは7.5μmであり、配線回路の信頼性に注意が必要であった。次いで、ポリイミドフィルムの一端を真空吸着し、端部から徐々にガラス基板から剥離した。
実施例6
実施例3と同様にして、セミアディティブ法にてテスト用銅層パターンを形成した。ただし、テスト用フォトマスクパターンは、50μmピッチで400個の接続パッド(幅20μm、長さ200μm)を2.5mmの間隔で2列平行に設けたものを1ユニットとして、これを300mm角の基板上に40mmピッチで7行×7列に均等配置したものとした。また、該接続パッドから、長さ方向外側に向かって、幅15μm、長さ5mmの配線を設置した。合わせて、測長用に基板の中心から対角方向に約141mm離して配置した4点(辺に平行方向には互いに200mmずつ離して配置)のマーカーをフォトマスクパターンに設けた。
フォトレジストをフォトレジスト剥離液で剥離した後、過酸化水素−硫酸系水溶液によるソフトエッチングにてレジスト層の下にあった銅層およびクロム−ニッケル合金層を除去した。引き続き、無電解めっきにて、銅膜上に厚さ0.4μmの錫層を形成し、回路パターンを得た。
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、上述した測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点(x方向に200mm、y方向に200mm離れた点)の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して±2μm以内にあり、位置精度は非常に良好に保持されていた。
50μmピッチで一列400個の金メッキバンプを2.5mm間隔を置いて2列配置した幅3.5mmのモデルICチップをチップ側から200℃に加熱しつつ、回路基板上の接続パッドと金属結合した。1バンプあたりの圧力を15gとした。モデルICチップのバンプと回路基板上の接続パッドの位置合わせは良好であった。接続部の断面を切り出し、電子顕微鏡で観察したところ、バンプの沈み込みは0.9μmであり、配線回路の信頼性に全く問題ない範囲であった。次いで、ポリイミドフィルム剥離時に、ガラス基板側をホットプレートに接して、粘着剤層が50℃になるように制御してから、ポリイミドフィルムの一端を真空吸着し、端部から徐々にガラス基板から剥離した。モデルICチップの剥離方向に直角方向のエッジ下で、配線表面に緩やかな折れが見られた。顕微鏡観察したところ、断線には至っていなかったが、電子機器使用中に断線に至る可能性があった。
実施例7
ポリイミドフィルム剥離時に、ガラス基板側をホットプレートに接して、粘着剤層が100℃になるように制御したこと以外は、実施例6と同様にして電子部品実装回路基板を得た。モデルICチップ部分の剥離に要する力はさらに低下し、配線に傷や折れは見られず良好であった。
比較例1
実施例1と同様にして厚さ25μm、幅300mmのポリイミドフィルムに接着剤を塗布、乾燥、キュアした。ガラス基板にポリイミドフィルムを貼り付けず、300mm角のポリイミドフィルム単体に対して、実施例1と同じ、スパッタ膜形成、フォトレジストパターン形成、メッキ膜形成、フォトレジスト剥離、ソフトエッチングを施した。
測長機SMIC−800(ソキア(株)製)にて、実施例1と同様に測長用に設けた対角方向に本来約283mm離れた2点の距離を測定したところ、フォトマスクパターンに対して基板外側に向かって最大65μm歪んでいた。
30℃、80%RHの雰囲気に1週間放置した後、実施例1と同様のモデルICチップを回路基板上の接続パッドと位置合わせを試みたが、回路基板の歪みのために、回路基板上の49個のユニットの内15個で回路基板上の接続パッドとモデルICチップのバンプの位置合わせが完了できなかった。
比較例2
実施例1と同様にして厚さ25μm、幅300mmのポリイミドフィルムに接着剤を塗布、乾燥、キュアした。ガラス基板にポリイミドフィルムを貼り付け、実施例1と同じ、スパッタ膜形成、フォトレジストパターン形成、メッキ膜形成、フォトレジスト剥離、ソフトエッチングを施した。更にガラス基板からポリイミドフィルムを剥離した。
30℃、80%RHの雰囲気に1週間放置した後、実施例1と同様のモデルICチップを回路基板上の接続パッドと位置合わせを試みたが、回路基板の歪みのために、回路基板上の49個のユニットの内4個で回路基板上の接続パッドとモデルICチップのバンプの位置合わせが完了できなかった。
比較例3
実施例6と同様にして、回路パターンを得た。次に、ポリイミドフィルムの一端を真空吸着し、室温にて、端部から徐々にガラス基板から剥離した。配線の一部にカールや折れが見られた。
30℃、80%RHの雰囲気に1週間放置した後、実施例6と同様のモデルICチップを回路基板上の接続パッドと位置合わせを試みたが、回路基板の歪みのために、回路基板上の49個のユニットの内10個で回路基板上の接続パッドとモデルICチップのバンプの位置合わせが完了できなかった。

Claims (10)

  1. 少なくとも補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルムを有することを特徴とする回路基板用部材。
  2. 補強板、剥離可能な有機物層、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層されたことを特徴とする回路基板用部材。
  3. 補強板、剥離可能な有機物層、金属からなる回路パターン、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層されたことを特徴とする請求項2記載の回路基板用部材。
  4. 補強板、剥離可能な有機物層、可撓性フィルム、金属からなる回路パターンの順に積層され、さらに金属からなる回路パターン上に電子部品が接続されたことを特徴とする請求項1または2記載の回路基板用部材。
  5. 剥離可能な有機物層の厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1または2記載の回路基板用部材。
  6. 可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して補強板と貼り合わせ、次いで、可撓性フィルム上に回路パターンを形成した後、電子部品を該回路パターン上に実装し、さらに可撓性フィルムを補強板から剥離することを特徴とする電子部品実装回路基板の製造方法。
  7. 可撓性フィルムを剥離可能な有機物層を介して補強板に貼り合わせ、次いで、可撓性フィルム上に回路パターンを形成した後、可撓性フィルムを補強板から剥離する際に、剥離可能な有機物層を40℃以上に加熱することを特徴とする電子部品実装回路基板の製造方法。
  8. 可撓性フィルム上に回路パターンを形成した後、電子部品を該回路パターン上に実装してから、可撓性フィルムを補強板から剥離することを特徴とする請求項7記載の電子部品実装回路基板の製造方法。
  9. 剥離可能な有機物層が紫外線硬化型粘着剤であることを特徴とする請求項7記載の電子部品実装回路基板の製造方法。
  10. 剥離可能な有機物層の厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項6または7記載の電子部品実装回路基板の製造方法。
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