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JP2005079006A - 燃料電池システム - Google Patents

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JP2005079006A
JP2005079006A JP2003309976A JP2003309976A JP2005079006A JP 2005079006 A JP2005079006 A JP 2005079006A JP 2003309976 A JP2003309976 A JP 2003309976A JP 2003309976 A JP2003309976 A JP 2003309976A JP 2005079006 A JP2005079006 A JP 2005079006A
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雅俊 飯尾
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

【課題】 パージ時の水素ガスの放出量を低下し、燃料電池の燃費性能を向上させる。
【解決手段】 水素循環配管14は、水素極出口から排出された未反応水素ガスを水素供給量流路へ循環させる。水素極水詰まり又は不純物ガスが水素循環経路内に蓄積した場合、第1開閉弁35を開いて、水素極排ガスを水素排出配管31を介してタンク30へ排出する。タンク30の内部には、排ガスから水素を分離する水素分離膜60が設けられている。圧力センサ40は、水素極出口圧力P0を検出し、圧力センサ41はタンク30の内圧P1を検出する。第1開閉弁35を開く時に、図示しないコントローラは、第1流量制御手段であるポンプ34を駆動して、水素極出口圧力P0と、タンク30の内圧P1との差圧を一定に保ちながらタンク30から水素を水素循環経路へ戻す。水ポンプ52は、タンク30から加湿用の水を水配管51を介して加湿器50へ供給する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、燃料電池システムに係り、特にパージ機能を改善して燃費性能を向上させた燃料電池システムに関する。
燃料電池は、水素ガスなどの燃料ガスと酸素を有する酸化ガスとを電解質を介して電気化学的に反応させ、電解質両面に設けた電極間から電気エネルギを直接取り出すものである。特に固体高分子電解質を用いた固体高分子型燃料電池は、動作温度が低く、取り扱いが容易なことから電動車両用の電源として注目されている。
固体高分子型燃料電池に用いられる固体高分子膜は、通常、加湿された状態でないと充分に水素イオン導電性を発揮しないため、燃料電池に供給する水素ガスまたは酸化剤ガスまたは双方を加湿している。しかしながら運転状態によっては加湿水や生成水が燃料電池スタック内で凝縮し、反応ガス通路に水詰まりが発生することがある。
また、酸化剤ガスとして空気を用いる燃料電池では、空気中に含まれる窒素が固体高分子膜を透過して、水素循環経路内に蓄積し、水素極における水素ガス分圧を下げるので運転効率が低下する。上記のような水詰まりや窒素ガスの蓄積が生じた場合には、一般にパージと呼ばれる操作を行って、水詰まりや窒素ガス蓄積の解消を行っている。
従来の燃料電池におけるパージ動作の例としては、例えば特許文献1記載の燃料電池システムが知られている。この燃料電池システムにおいては、燃料電池内のフラッティング防止のため、水素循環通路に設けたパージ弁を開放することにより、水素極排ガスを系外に放出している。
特開2002−246045号公報(第6頁、図1)
しかしながら、上記従来の燃料電池システムにおいては、水素循環系よりパージ弁を開放することにより、余剰水素を系外に放出するため、未反応水素の放出量が増加し、システム効率が悪化するという問題点があった。
上記問題点を解決するため、本発明は、燃料電池の水素極出口から排出される排ガスを水素供給流路に循環させる水素循環流路を備えた燃料電池システムにおいて、水素排出配管を介して前記水素循環流路に接続されたタンクと、前記水素排出配管を開閉する第1開閉弁と、前記タンクと前記水素供給流路とを連結する水素戻り配管と、前記水素戻り配管の流量を調整する第1流量制御手段と、を備えたことを要旨とする。
本発明によれば、燃料電池の水素極出口から排出される排ガスを水素供給流路に循環させる水素循環流路を備えた燃料電池システムにおいて、水素排出配管を介して前記水素循環流路に接続されたタンクと、前記水素排出配管を開閉する第1開閉弁と、前記タンクと前記水素供給流路とを連結する水素戻り配管と、前記水素戻り配管の流量を調整する第1流量制御手段とを備えたので、第1開閉弁の開弁により、燃料電池内部の水詰まり解消もしくは、水素循環流路に蓄積する窒素を循環流路外に放出するパージを行い、排出した水素をタンクに貯め、流量制御手段で調整しながら水素流路内に戻すことができるため、無駄に水素を外部に排出することが無いので、燃料電池システムの効率を高めることができる。
また、流量制御手段と第1開閉弁によりタンク内の圧力を制御できるので、タンク内の圧力を水素循環流路より低くすることで大気解放時と同様、水除去性能や窒素放出性能等のパージ性能も悪化させることは無い。
次に、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。以下の各実施例は、燃料電池車両に適用した場合、燃料電池システムの効率を高め車両の燃費性能を向上させることができる。
図1は、本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を説明する構成図である。図1において、燃料電池システムは、水素と空気を用いて発電する燃料電池(スタック)1と、コンプレッサ等の空気供給装置2と、空気を加湿する加湿器7と、水素を高圧で貯蔵する高圧水素タンク3と、水素循環装置としてのエゼクタ4と、エゼクタ4から送られる水素を加湿して燃料電池1へ供給する加湿器50と、水素極出口から排出された排ガスを水素極入口側へ戻す水素循環配管14と、水素循環配管14に水素排出配管31を介して接続されたタンク30と、水素排出配管31を開閉する第1開閉弁35と、タンク30から水素を水素極入口側へ戻す経路である水素戻り配管33と、水素戻り配管33を介してタンク30から水素極入口側へガスを圧送する水素ポンプ34とを備えている。
タンク30の内部には、水素分離膜60を備えている。水素分離膜60は、水素排出配管31からタンク30へ送られた排ガスから水素を分離し、水素濃度が高められたガスを水素戻り配管33を介して水素極入口側へ戻すことができる。
また、タンク30と加湿器50とを接続する水配管51と、水配管51を介してタンク30の水を加湿器50へ送る水ポンプ52とを備えている。
また図示しないが、燃料電池1の各セルまたは一定数のセルが直列接続されたセル群毎の電圧を検出するセル電圧検出器が設けられており、その検出信号は図示しないコントローラに伝送され、パージが必要か否かの判定に利用されるようになっている。
さらに、燃料電池1の水素極出口には、圧力センサ40,タンク30には、圧力センサ41をそれぞれ備えている。上記コントローラは、これら圧力センサ40,41の検出値を用いて、タンク30から水素分離膜60で分離された水素ガスを燃料電池1へ再循環させるポンプ34の制御を行うとともに、第1開閉弁35の開閉タイミングを制御する。
図1の燃料電池システムの作用は、以下の通りである。
図示しないエアフィルタ等で塵埃が除去された空気は、空気供給装置2で圧縮され、空気配管22を介して加湿器7へ送られる。加湿器7で加湿された空気は、燃料電池1の空気極入口に供給される。燃料電池1の空気極出口には、空気調圧弁11が設けられ、空気調圧弁11の開度と空気供給装置2の駆動力とにより燃料電池1の空気極圧力が調整される。空気調圧弁11は、空気排出配管12を介して系外へ排空気を排出する。
高圧水素タンク3の水素ガスは、開閉弁6,高圧水素ガスを一定の中圧まで圧力調整する第1調圧弁16、及び第2調圧弁17を介して運転圧力に調整されて、エゼクタ4のノズルに供給される。エゼクタ4は、ノズルに供給される新規水素ガスを駆動流として、吸込口に接続された水素循環配管14からの排ガスを吸い込み、新規水素ガスと排ガスの混合ガスをディフューザから吐出する。この混合ガスは、加湿器50で加湿されて、燃料電池1の水素極へ供給される。
燃料電池1の水素極で使用されなかった水素は、水素極出口から排ガスとして排出され、水素循環配管14を介してエゼクタ4の吸込口に戻る。そして、エゼクタ4で新規水素と混合され、再度加湿器50を経て燃料電池1の水素極に供給される。
燃料電池1の内部の水素流路、または燃料電池1に水素を供給する水素流路に水が溜まると、反応が阻害されるため、一時的に燃料電池を通過する水素流量を増加させることにより、燃料電池内の水を除去するパージ(水パージ)を行う必要がある。
本実施例では、前回のパージからの一定時間経過時、または燃料電池1の総電圧または一部のセル電圧が低下した際にタンク30に対してパージする。このとき、第1開閉弁35を開放し、水素排出配管31よりタンク30に水素を流出させることで、パージ動作を行うことができる。
タンク30の内部には、水素分離膜60が設けられているので、第1開閉弁35を介して排出された水素極排ガスから水素濃度の高いガスが分離され、ポンプ34を介して加湿器50の入口側へ戻され、再使用される。
この際、タンク30内の圧力を圧力センサ41で測定し、この圧力が水素循環流路に設けた圧力センサ40により測定される圧力に対して、常に一定圧力低くなるようにポンプ34を稼動させる。この圧力差は、燃料電池の水パージに必要な水素流量が得られるように、実験的に設定される。
こうして、タンク30に排出された水素は、ポンプ34により、再度燃料電池に供給され発電に用いることができる。これにより無駄に排気する水素が無くなりシステム効率が向上する。
尚、本実施例では水パージによりタンク30に回収した水を加湿器50へ供給することとしたが、これに限らず空気用の加湿器7へ回収水を供給してもよい。
次に、図4のフローチャートを参照して、本実施例におけるパージ制御動作を説明する。図4のフローチャートは、例えば、1秒毎にコントローラのメインルーチンから呼び出されて実行されるサブルーチンとして構成されている。尚、コントローラは、例えばソフトウェアタイマとして、前回のパージからの経過時間を測定するパージタイマTpを備えているものとする。
まず、ステップ(以下、ステップをSと略す)10において、コントローラはパージタイマTpを読み出し、S12でパージタイマTpの値が所定値T1を超えているか否かを判定する。S12の判定で、TpがT1を超えていれば、前回のパージから所定時間経過したとして、パージ動作を行うために、S18へ進む。
S12の判定で、TpがT1以下ならば、S14へ移り、コントローラは、セル電圧検出器が検出したセル電圧を読み込む。次いで、S16でコントローラは、セル電圧が低下したか否かを判定する。セル電圧の低下が無ければ、何もせずにメインルーチンへリターンする。
S16の判定で、セル電圧が燃料電池1全体でほぼ一様に規定値より低下した場合、窒素ガスの蓄積等が考えられ、パージが必要となる。燃料電池1の内部に水詰まりが生じた場合には、セル電圧の低下は一様ではなく、水詰まりが生じたセルまたはそのセルを含むセル群の電圧が低下するのでパージを行うことになる。
S16の判定で、セル電圧の低下が認められた場合、S18へ移り、コントローラはポンプ34の駆動を開始する。次いで、S20で、コントローラは、圧力センサ40,41から圧力検出値を読み込む。次いでS22で、コントローラは、圧力センサ40が検出した水素極出口の圧力P0から、圧力センサ41が検出したタンク30の内圧P1を減じた値が所定圧力Paを超えているか否かを判定する。所定圧力を超えていなければS20へ戻る。
S22で、P0−P1がPaを超えれば、S24へ移り、第1開閉弁35を開いて、水素極出口(或いは水素循環経路)から水素排出配管31を介して排ガスをタンク30へ導入する。
次いで、S26でコントローラは、圧力センサ40,41から圧力検出値を読み込む。次いでS28で、コントローラは、圧力センサ40が検出した水素極出口の圧力P0から、圧力センサ41が検出したタンク30の内圧P1を減じた値が所定圧力Paを超えているか否かを判定する。この圧力差の所定値Paは、燃料電池の水パージに必要な水素流量が得られるように、予め実験的に求めて、コントローラに定数として設定されている。
S28の判定で、所定圧力Paを超えていれば、S30へ進み、所定圧力Paを超えていなければS32へ進む。S30では、コントローラは、ポンプ34の駆動力を一定値だけ低下させてS34へ移る。S32では、コントローラは、ポンプ34の駆動力を一定値だけ増加させてS34へ移る。
S34では、コントローラは、S24で第1開閉弁35を開いてから所定時間経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、S26へ戻る。S26からS34までのループにより、P0−P1が所定圧力差Paに維持されパージが行われる。
S34の判定で所定時間経過していれば、S36へ進む。この所定時間は、燃料電池の水パージに必要な時間を予め実験的に求めて、コントローラに定数として設定されている。
S36ではポンプ34を停止し、S38では、第1開閉弁35を閉じて、S40でパージタイマTpをリセットして、パージ処理を終了し、メインルーチンへ戻る。
以上のように本実施例によれば、第1開閉弁35の開弁によりパージを行い、排出した水素をタンク30に貯め、ポンプ34により水素流路内に戻すことができるため、パージの際に無駄に水素を外部に排出することが無いので、効率の高いシステムにできる。
また、ポンプ34と第1開閉弁35によりタンク内の圧力を制御できるので、タンク30内の圧力を水素循環流路より低くしてから第1開閉弁35を開放することで大気解放時と同様の水除去性能を得ることができる。
また、水素循環流路とタンク内圧の差圧を常に一定にしておくので、運転圧を変更しても、パージに必要な圧力差を確保し、急なパージ要求にも応答よく制御できる。
また、運転圧が高い時には、その分タンク圧を高くすることで無駄にポンプ揚程を上げる必要が無く、効率を高くできる。
なお、本実施例では、ポンプ34がダイヤフラムポンプのように運転停止時には、水素ガスが逆流しないものとしてパージ時のみポンプ34を駆動していたが、運転停止時に逆流するようなポンプを用いる場合、燃料電池運転中はポンプの運転を継続するか、或いは別途ポンプと直列に開閉弁を設けてもよい。
また、水素タンク内に水素分離膜60を備えるので窒素パージで排出された水素の純度を上げて水素循環流路に戻すことで、水素循環流路内の水素濃度を高めることができることで発電効率が高まる共に、エゼクタ等の水素循環装置の負荷を軽減し、水素循環率を高めることができる。
また、燃料電池の水素極は、燃料消費率が高いと燃料電池下流で凝縮水が発生する。この水分はパージ時にタンクに排出されるため、この水分を加湿に利用することで、パージと共に排気に捨てる水分が無くなり、水収支が改善する。
次に実施例2について説明する。図2は、本発明に係る燃料電池システムの実施例2の構成を説明する構成図である。
図2において、燃料電池システムは、水素と空気を用いて発電する燃料電池(スタック)1と、コンプレッサ等の空気供給装置2と、空気を加湿する加湿器7と、水素を高圧で貯蔵する高圧水素タンク3と、水素循環装置としてのエゼクタ4と、水素極出口から排出された排ガスを水素極入口側へ戻す水素循環配管14と、水素循環配管14に水素排出配管31を介して接続されたタンク30と、水素排出配管31を開閉する第1開閉弁35と、タンク30から水素を水素極入口側へ戻す経路である水素戻り配管33と、水素戻り配管33を介してタンク30から水素極入口側へガスを圧送する水素ポンプ34とを備えている。
また図示しないが、燃料電池1の各セルまたは一定数のセルが直列接続されたセル群毎の電圧を検出するセル電圧検出器が設けられており、その検出信号は図示しないコントローラに伝送され、パージが必要か否かの判定に利用されるようになっている。
さらに、燃料電池1の水素極出口には、圧力センサ40,タンク30には、圧力センサ41、燃料電池1の水素極入口には、圧力センサ42をそれぞれ備えている。上記コントローラは、これら圧力センサ40,41、42の検出値を用いて、タンク30から水素ガスを燃料電池1へ再循環させる第2開閉弁37の制御を行うとともに、第1開閉弁35の開閉タイミングを制御する。
その他の構成要素は、実施例1の図1と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付与して、重複する説明を省略する。
実施例2では、圧力センサ40で検知した燃料電池下流の圧力が、タンク30の内圧より高い場合に、第1開閉弁35を開放することでパージを行うことを可能とし、圧力センサ41で検知するタンク30の内圧力が圧力センサ42で検知する燃料電池入口圧力より高くなる場合に、第2開閉弁37を開放して、タンク30内の水素を燃料電池上流に戻す。
次に、第2実施例の作用について説明する。
パージの必要が生じた場合には、第2調圧弁17、空気供給装置2及び空気調圧弁11を制御して、燃料電池1の運転圧を上昇させるよう制御し、燃料電池下流の圧力をタンク30の内圧より上昇させることでパージを行い、その後、運転圧を下げて、第2開閉弁37でタンク内圧を低下させるよう制御する。
次に、図5のフローチャートを参照して、本実施例におけるパージ制御動作を説明する。図5のフローチャートは、例えば、1秒毎にコントローラのメインルーチンから呼び出されて実行されるサブルーチンとして構成されている。尚、コントローラは、例えばソフトウェアタイマとして、前回のパージからの経過時間を測定するパージタイマTpを備えているものとする。
まず、S10からS16の処理は、図4に示した実施例1と同様であるので、説明を省略する。
S16の判定で、セル電圧が低下したと判定された場合、S50へ移り、コントローラは、第2調圧弁17、空気供給装置2及び空気調圧弁11を制御して、燃料電池1の運転圧力を上昇させる。次いで、S52で、コントローラは、圧力センサ40,41から圧力検出値を読み込む。次いでS54で、コントローラは、圧力センサ40が検出した水素極出口の圧力P0が圧力センサ41が検出したタンク30の内圧P1を超えているか否かを判定する。超えていなければS50へ戻る。
S54の判定で、P0がP1を超えていれば、S56へ移り、第1開閉弁35を開いて、水素極出口(或いは水素循環経路)から水素排出配管31を介して排ガスをタンク30へ導入する。
次いで、S58でコントローラは、S56で第1開閉弁35を開いてから所定時間経過したか否かを判定する。所定時間経過していなければ、S58へ戻る。S58のセルフループにより、水素循環経路からタンク30へパージが行われる。
S58の判定で所定時間経過していれば、S60へ進む。この所定時間は、燃料電池の水パージに必要な時間を予め実験的に求めて、コントローラに定数として設定されている。
S60では、コントローラは第1開閉弁35を閉じ、S62では、コントローラは、第2調圧弁17、空気供給装置2及び空気調圧弁11を制御して、燃料電池1の運転圧力を低下させる。次いで、S64で、コントローラは、圧力センサ41,42から圧力検出値を読み込む。次いでS66で、コントローラは、圧力センサ41が検出したタンク30の内圧P1が圧力センサ42が検出した燃料電池水素極入口の圧力P2を超えているか否かを判定する。S66の判定で、P1がP2を超えていれば、S68へ進み、第2開閉弁37を開き、S64へ戻る。
S66の判定でP1がP2を超えていなければ、S70へ進み、第2開閉弁37を閉じる。次いで、パージタイマTpをリセットしてパージ処理を終了し、メインルーチンへ戻る。
以上のように本実施例では、第1実施例で用いた水素ポンプを用いることなく、運転圧変化を利用して、パージを行い、またタンク内に排出されたパージ水素を水素循環流路に戻すことができる。
次に実施例3について説明する。図3は、本発明に係る燃料電池システムの実施例3の構成を説明する構成図である。
図3において、燃料電池システムは、水素と空気を用いて発電する燃料電池(スタック)1と、コンプレッサ等の空気供給装置2と、空気を加湿する加湿器7と、水素を高圧で貯蔵する高圧水素タンク3と、水素循環装置としてのエゼクタ4と、水素極出口から排出された排ガスを水素極入口側へ戻す水素循環配管14と、水素循環配管14に水素排出配管31を介して接続されたタンク30と、水素排出配管31を開閉する第1開閉弁35と、タンク30から水素を水素極入口側へ戻す経路である水素戻り配管33と、水素戻り配管33を介してタンク30から水素極入口側へガスを圧送する水素ポンプ34とを備えている。
また、タンク30と空気排出配管12とを第2流量制御手段である第3開閉弁38及びオリフィス39で接続し、第1開閉弁35の開放後に第3開放弁38を制御してタンク30に排出した気体を空気は移出配管12へ排出できるようになっている。
また図示しないが、燃料電池1の各セルまたは一定数のセルが直列接続されたセル群毎の電圧を検出するセル電圧検出器が設けられており、その検出信号は図示しないコントローラに伝送され、パージが必要か否かの判定に利用されるようになっている。
さらに、燃料電池1の水素極出口には、圧力センサ40,タンク30には、圧力センサ41をそれぞれ備えている。上記コントローラは、これら圧力センサ40,41の検出値を用いて、タンク30から水素ガスを燃料電池1へ再循環させるポンプ34の制御を行うとともに、第1開閉弁35及び第3開閉弁38の開閉タイミングを制御する。
その他の構成要素は、実施例1の図1と同様であるので、同じ構成要素には同じ符号を付与して、重複する説明を省略する。
次に、実施例3の作用について説明する。
タンク30は、空気排出配管12と連通する配管70と、第2流量制御手段として開閉弁38及びオリフィス(絞り)39を備え、水素循環流路14からタンク30に放出された水素・窒素・水分をオリフィス39を介して、空気排出配管12に流出する。
オリフィス39は、空気排出配管12に流れる燃料電池1の空気極排空気で、タンク30から排出される水素を安全上設定される所定濃度以下に希釈できる流量以下になるようにサイズが設定される。
燃料電池の水素極には、燃料電池の空気極より電解質膜を通じて窒素が透過してくるため、水素循環流路には窒素が蓄積して、水素の濃度が低くなり発電効率が低下するばかりか、エゼクタ4で得られる水素循環流量も低下し、さらに燃料電池の発電効率が低下する。
このため、窒素濃度が発電効率を大きく下げないうちに、窒素を水素循環流路外に排出する必要がある。このため、窒素濃度が燃料電池性能に影響を与えるほど高くなった際には、水素循環流路から窒素を排出する必要があるが、窒素排出と同時に水素も排出するため、水素循環流路から排空気流路に直接排出すると、低負荷では燃料電池の排空気流量が小さくなるため、水素が可燃範囲の濃度になってしまう。
本実施例では、水素循環流路から一旦タンク30に、燃料電池1の水素・窒素・水分を含む水素極排気を排出し、その後タンク30に放出された水素をオリフィス39で流量を制限して、序々に空気排出配管に流出することで、排空気で希釈しながら可燃範囲以下の濃度で捨てることができる。
なお、窒素の蓄積は燃料電池の運転時間にほぼ比例すること、及び窒素蓄積時には燃料電池のセル電圧が全体的に低下することを利用して、所定時間毎又は電圧低下時に上記制御を行う。
また、図示しない燃料電池のセル電圧検出器により、一部のセル電圧が低下したことを検出した場合、すなわち燃料電池の水素極流路に水詰まりを生じた場合には、第1開閉弁35を開放して、燃料電池内流路の水抜きを行った後、タンク30に流入した水素リッチなガスは、ポンプ34を用いて水素循環流路に再流入させる。
これにより、短時間に水素リッチガスをタンクに排出するので、燃料電池内の水飛ばしを行うことができる。また、この場合にタンク30に流入したガスは、N2濃度が未だ許容濃度以下であるため、ポンプ34で水素循環流路に戻すことで、水素を無駄に系外に排出することがなく、システムのエネルギ効率を高めることができる。
また、タンクに設置した圧力センサ41で検知するタンク内圧が、所定の圧力より低い時は、配管圧損のため空気排出配管内が、タンク30の内圧より高くなる可能性があるため、空気が空気排出配管12からタンク30に流入しないように第3開閉弁38を閉じる。上記所定圧力は、事前に推定もしくは、実験により明らかにした運転条件での空気排出配管内圧力とする。
次に、図6のフローチャートを参照して、本実施例におけるパージ制御動作を説明する。図6のフローチャートは、例えば、1秒毎にコントローラのメインルーチンから呼び出されて実行されるサブルーチンとして構成されている。尚、コントローラは、例えばソフトウェアタイマとして、前回のパージからの経過時間を測定するパージタイマTpを備えているものとする。
まず、S10からS16までは、図1に示した実施例1と同様である。S16の判定で、セル電圧が低下したと判断された場合、S80へ移り、コントローラは第1開閉弁35を開く。これにより水素極または水素循環経路から排水素ガスがタンク30へ流出を始める。
次いで、S82で、コントローラは、一部セルのみの電圧低下か否かを判定する。一部セルのみの電圧低下であれば、S100へ移る。全セルの電圧低下であれば、窒素等の蓄積のため水素分圧が下がったのでガスパージが必要としてS84へ移る。
S84では、コントローラは、第3開閉弁38を開く。これによりタンク30から、第3開閉弁38,オリフィス39を介して、窒素を含んだ水素が空気排出配管に放出される。次いで、S86でコントローラは、圧力センサ41から圧力検出値を読み込む。次いでS88で、コントローラは、圧力センサ41が検出したタンク30の内圧P1が所定圧力Pbを超えているか否かを判定する。所定圧力Pbを超えていれば、S92へ進む。所定圧力Pbを超えていなければS90へ進む。この所定圧力Pbは、事前に推定もしくは、実験により明らかにした運転条件での空気排出配管内圧力とし、予めコントローラに記憶させておく。
S90で、は、S84からの経過時間が所定時間経過したか否かを判断する。所定時間経過していなければ、S86へ戻る。所定時間経過していれば、S92へ進み、コントローラは、第3開閉弁38を閉じて、S106へ進む。
一方、S100では、一部セルのみの電圧低下であるので、水詰まりを解消する水パージを行うため、ポンプ34の駆動を開始する。次いで、S102で所定時間経過したか否かを判定し、所定時間経過していなければ、S102でセルフループする。S102で所定時間経過していれば、S104へ進み、ポンプ34を停止し、S106で第1開閉弁35を閉じて、S108でパージタイマTpをリセットして、パージ動作を終了し、メインルーチンへ戻る。
以上説明した本実施例によれば、短時間に水素循環経路から排水素ガスをタンク30に排出するので、燃料電池内の水飛ばしを効率的に行うことができる。また、セル電圧低下が全セルなのか一部セルなのかを判定して、タンク内のガスを系外へ排出するか水素循環経路へ戻すかを制御しているので、水素を無駄に系外に排出することがなく、システムのエネルギ効率を高めることができる。
本発明に係る燃料電池システムの実施例1の構成を説明するシステム構成図である。 本発明に係る燃料電池システムの実施例2の構成を説明するシステム構成図である。 本発明に係る燃料電池システムの実施例3の構成を説明するシステム構成図である。 実施例1の動作を説明するフローチャートである。 実施例2の動作を説明するフローチャートである。 実施例3の動作を説明するフローチャートである。
符号の説明
1:燃料電池
2:空気供給装置
3:高圧水素タンク
4:エゼクタ
7:加湿装置
11:空気調圧弁
12:空気排出配管
14:水素循環流路
16:第1調圧弁
17:第2調圧弁
22:空気配管
30:タンク
31:水素排出配管
33:水素戻り配管
34:ポンプ
35:第1開閉弁
37:第2開閉弁
38:第3開閉弁
39:オリフィス
40:圧力センサ
41:圧力センサ
42:圧力センサ
50:加湿器
51:水配管
52:水ポンプ
60:水素分離膜
70:排水素配管

Claims (9)

  1. 燃料電池の水素極出口から排出される排ガスを水素供給流路に循環させる水素循環流路を備えた燃料電池システムにおいて、
    水素排出配管を介して前記水素循環流路に接続されたタンクと、
    前記水素排出配管を開閉する第1開閉弁と、
    前記タンクと前記水素供給流路とを連結する水素戻り配管と、
    前記水素戻り配管の流量を調整する第1流量制御手段と、
    を備えたことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 前記第1流量制御手段はポンプであり、
    前記タンク内の気体を前記水素供給通路に戻す際に、前記ポンプは前記タンク内の圧力を前記水素供給流路の圧力より低い圧力になるように前記タンク内の気体を吸い込み前記水素循環流路に吐出することを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  3. 水素循環流路の圧力と前記タンク内の圧力との差圧が一定になるように、前記ポンプを運転制御することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  4. 所定時間毎または、燃料電池の全体電圧または一部の電圧が低下した場合に、前記ポンプを駆動させて前記水素循環流路の圧力と前記タンク内の圧力との間に所定の差圧を発生させ、その後第1開閉弁を開放することを特徴とする請求項2記載の燃料電池システム。
  5. 前記流量制御手段は、前記水素戻り配管に設けられた第2開閉弁であり、
    運転圧の高い運転時に第1開閉弁を開いて前記水素循環流路から前記タンクへ排ガスを排出し、
    運転圧の低い運転時に第2開閉弁を開いてタンク内圧により前記タンクから前記水素供給流路に気体を流入させることを特徴とする請求項1記載の燃料電池システム。
  6. 前記タンクと燃料電池の空気排出配管とを接続する配管と、
    前記配管の流量を制御する第2流量制御手段とを備え、
    第1開閉弁の開放後に第2流量制御手段を制御して前記タンク内の気体を空気排出配管へ排出することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  7. 燃料電池の一部のセル電圧の低下を検出した場合には、
    第1開閉弁の開放後に第1流量制御手段を制御してタンク内の気体を水素供給流路へ戻すことを特徴とする請求項6記載の燃料電池システム。
  8. 前記タンクは水素分離膜を備え、
    前記水素循環流路から前記タンク内に排出されたガス成分を分離して、水素濃度の高まったガスを水素供給流路に吐出することを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の燃料電池システム。
  9. 前記タンクに接続する水配管と水ポンプとを備え、前記タンクから前記水配管を通して供給される水を、燃料電池に供給する水素及び空気の少なくとも何れか一方の加湿に用いることを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れか1項に記載の燃料電池システム。
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