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JP2005073403A - 突入電流抑制回路 - Google Patents

突入電流抑制回路 Download PDF

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JP2005073403A JP2003300368A JP2003300368A JP2005073403A JP 2005073403 A JP2005073403 A JP 2005073403A JP 2003300368 A JP2003300368 A JP 2003300368A JP 2003300368 A JP2003300368 A JP 2003300368A JP 2005073403 A JP2005073403 A JP 2005073403A
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Masayuki Yasumura
昌之 安村
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Sony Corp
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Abstract

【課題】突入電流抑制抵抗をパスして整流電流を流す経路を形成するのにあたり、電磁リレーを採用する場合よりも低電力損失で、電源回路基板の小型軽量化が可能となるなどの効果が得られる構成とする。
【解決手段】 コンデンサインプット型の整流回路の整流電流経路に挿入した突入電流抑制抵抗Riに対してMOS−FETQ3を並列に接続する。MOS−FETQ3は、トレンチ構造を有しており低オン抵抗である。そして、交流入力電圧の投入に応じて生じる突入電流が定常レベルになったときに応じて、このMOS−FETQ3をオンさせ、突入電流抑制抵抗RiをパスしてMOS−FETQ3に整流電流を流すようにする。
【選択図】図1

Description

本発明は、いわゆるコンデンサインプット型の整流回路に備えられる突入電流抑制回路に関するものである。
高周波の比較的大きい電流及び電圧に耐えることができるスイッチング素子が広く開発されてきていることで、商用電源を整流して所望の直流電圧を得る電源回路としても、このようなスイッチング素子を用いたスイッチング方式の電源回路が広く普及している状況にある。
スイッチング電源回路はスイッチング周波数を高くすることによりトランスその他のデバイスを小型にすると共に、大電力のDC−DCコンバータとして各種の電子機器の電源として使用される。
ところで、一般に商用電源を整流すると平滑回路に流れる電流は歪み波形になるため、電源の利用効率を示す力率が損なわれるという問題が生じる。
また、歪み電流波形となることによって発生する高調波を抑圧するための対策が必要とされている。
そこで、スイッチング電源回路において力率を改善する力率改善手段として、整流回路系においてPWM制御方式の昇圧型コンバータを設けて力率を1に近付ける、いわゆるアクティブフィルタを設ける方法が知られている。
直流(DC)−直流(DC)変換を行うDC−DCコンバータは、入力電圧として直流を入力してスイッチングを行い、所要のレベルの直流電圧に変換して出力する。このような直流の入力電圧(直流入力電圧)は、例えば商用交流電源などの交流を電力源とする場合には、コンデンサインプット型の整流回路により生成することが一般的である。
コンデンサインプット型の整流回路では、商用交流電源を整流ダイオードにより整流し、この整流して得られる整流電流を平滑コンデンサに充電するようにして流す。これにより平滑コンデンサの両端電圧として、上記した直流入力電圧が得られることになる。
このようなコンデンサインプット型の整流回路で問題となるのが、商用交流電源の投入時において平滑コンデンサに流入する過大な突入電流(ラッシュカレントともいわれる)である。商用交流電源が投入されるまでは、平滑コンデンサには、電荷が全く蓄積されていない、低インピーダンスの状態にある。この状態で商用交流電源が投入されると、そのキャパシタンスに応じた電荷を蓄積させるようにして、整流電流を流し込む動作が生じる。これが突入電流となるのであるが、直流入力電圧生成用の平滑コンデンサのキャパシタンスは比較的大きいことから、この突入電流は非常に大きなピークレベルを有することになる。
このようにして、平滑コンデンサに流入する突入電流が過大であると、商用交流電源ラインに挿入される電源スイッチ、ヒューズ、及び商用交流電源ラインと平滑コンデンサ間の整流電流経路に備えられる整流ダイオードなどに負担がかかり、破壊される場合もある。また、平滑コンデンサに過大な突入電流が流れるということは、商用交流電源ラインから流入する交流入力電流も過大になるということである。このため、同じ商用交流電源ラインに接続される他の電子機器にも悪影響を及ぼす可能性がある。
上記した問題を回避するために、従来から、商用交流電源ラインに対して突入電流抑制のための抵抗(突入電流抑制抵抗)を挿入することが行われている。また、このような突入電流抑制抵抗を挿入した整流回路系を備える電源回路は、アクティブフィルタを備える電源回路にも採用される。そこで、上記突入電流抑制抵抗による突入電流抑制のための構成が採用された電源回路として、アクティブフィルタを備えるスイッチング電源回路の構成例を、図3に示す。
図3に示す電源回路においては、先ず、商用交流電源ACの正極ラインに対して、電源スイッチSWが挿入される。また、商用交流電源ACの負極ラインに対してはヒューズFが直列に挿入される。
また、商用交流電源ACに対しては、2本のアクロスコンデンサCL,CLと、コモンモードチョークコイルCMCにより形成されるコモンモードノイズフィルタを接続している。このコモンモードノイズフィルタは、主として、アクティブフィルタのスイッチング動作により商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードノイズを除去する。
また、このコモンモードノイズフィルタの後段となる商用交流電源ACの負極ラインと、ブリッジ整流回路Diの負極入力端子との間に対しては、突入電流抑制抵抗Riが挿入される。
この突入電流抑制抵抗Riの挿入位置としては、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る全波整流回路において、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)が正極性のときに対応して得られる整流電流と、負極正のときに対応して得られる整流電流(交流入力電流IAC)とが、相互に逆方向となるようにして流れる整流電流経路となる。このような位置に挿入されることで、突入電流抑制抵抗Riは、商用交流電源ACが投入された直後において発生する突入電流として、正極/負極の両極性の整流電流(交流入力電流IAC)についてのピークレベルを抑制することになる。
商用交流電源ACを整流して直流入力電圧(整流平滑電圧)Eiを生成するための整流回路として、この場合には、ブリッジ整流回路Diと平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。
アクティブフィルタは、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードの整流出力をスイッチングして平滑コンデンサCiに供給するようにして、上記全波整流回路(Di,Co)に組み合わされる。
この図において、アクティブフィルタとしては、フィルタインダクタLN,フィルタコンデンサCN,CN、チョークコイルCH、ダイオードD20,スイッチング素子Q20、力率改善制御回路11、検出抵抗R3−R4,R5−R6を備えて形成される。
先ず、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCiの正極出力端子との間のラインに対しては、フィルタインダクタLN−チョークコイルCH−ダイオードD20(アノード→カソード)の直列接続回路が挿入される。
また、フィルタインダクタLNの両端部に対しては、フィルタコンデンサCN,CNの一端が接続される。フィルタコンデンサCN,CNの各他端は一次側アースに接続される。このようにして接続されるフィルタインダクタLN,フィルタコンデンサCN,CNによって、主としてはアクティブフィルタのスイッチング動作によって生じるノーマルモードノイズを除去するためのノーマルモードノイズフィルタが形成される。
スイッチング素子Q20は、この場合にはMOS−FETとされる。このスイッチング素子Q20は、チョークコイルCHとダイオードD20との接続点に対してドレインを接続し、ソースを一次側アースに接続している。このスイッチング素子Q20及びチョークコイルCHのインダクタンスL10により、アクティブフィルタにおける昇圧型コンバータとしてのスイッチング回路が形成される。このスイッチング回路により、ブリッジ整流回路Diから平滑コンデンサCiに供給されるべき整流出力がスイッチングされることになる。
力率改善制御回路11は、スイッチング素子Q20のスイッチング動作をPWM制御するためのスイッチング制御回路部であり、この場合には、検出抵抗R3−R4から成るフィードバック回路と、検出抵抗R4−R5から成るフィードフォワード回路とが接続される。
フィードバック回路(R3−R4)としては、直流入力電圧Eiのレベルを分圧して力率改善制御回路11に入力する。
また、フィードフォワード回路(R5−R6)は、フィルタインダクタLNを介して得られるブリッジ整流回路Diの整流出力電圧を検出抵抗R5−R6により分圧し、この分圧レベルを、フィードフォワード出力として力率改善制御回路11に入力している。
力率改善制御回路11は、上記フィードフォワード回路(R5−R6)から入力されたブリッジ整流回路Diの整流出力電圧の分圧レベルに基づいて、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形(つまり交流入力電圧VACの波形に相当する)、及び整流電流レベルを検出する。また、フィードバック回路(R3−R4)から入力される直流入力電圧Eiの分圧レベルと所定の基準レベルとを比較することで、直流入力電圧Eiのレベルについての変動差分を検出する。
力率改善制御回路11では、例えば、上記のようにして検出した整流電流レベルと、直流入力電圧Eiの変動差分と乗算する。そして、この乗算結果と、フィードフォワード回路側の入力から検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の力率改善制御回路11では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベルを比較し、この差に応じてPWM制御を行う。このPWM制御により生成されたPWM信号に基づいてドライブ信号が生成される。スイッチング素子Q20は、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流IACは交流入力電圧VACと同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、力率改善制御回路11によって生成される電流指令値は、直流入力電圧Eiの変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、直流入力電圧Eiの変動も抑制されることになる。
また、図3において、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子間に対しては、先に説明したアクティブフィルタのフィルタインダクタLN−チョークコイルCH−ダイオードD20のラインに対して並列に、バイパスダイオードD21が接続される。
このバイパスダイオードD21は、例えば商用交流電源ACが投入された直後において、アクティブフィルタが起動を完了してスイッチング動作を開始するまでに対応する期間において、ブリッジ整流回路Diの整流出力を、アクティブフィルタのスイッチング回路を経由させずにバイパスして平滑コンデンサCiに供給する経路を形成するために設けられる。
DC−DCコンバータ10は、所定方式によるスイッチングコンバータを備えており、上記直流入力電圧Eiを入力してスイッチングを行い交番電圧化する。そして、この交番電圧を例えば絶縁コンバータトランスを用いて二次側に伝達する。DC−DCコンバータ10では、絶縁コンバータトランスの二次側に励起された交番電圧を整流平滑化することで、直流出力電圧Eoを生成して出力するようにされる。
また、DC−DCコンバータ10においても、電源投入のときには、例えば二次側直流電圧を生成するための平滑コンデンサにおいて突入電流が生じ、このためにスイッチング回路にも過大な電流が流れて負担がかかる。そこで、DC−DCコンバータ10においても、電源投入のときに回路内に流れる過大電流を抑制するための、いわゆるソフトスタート機能を持たせることが一般に行われている。
このような構成による電源回路についての電源が投入されたときの動作は次のようになる。
この図3に示す回路において、例えば電源スイッチSWがオフからオンに切り換えられたとする。このようにして電源スイッチSWがオンとなって商用交流電源ACが投入された時点からアクティブフィルタ定常動作を開始するまでには或る程度の時間差が生じるが、この時間差が生じている期間においては、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードによる整流出力として得られる整流電流(交流入力電流IAC)は、バイパスダイオードD21を経由して平滑コンデンサCiに流入するようにされる。このときにバイパスダイオードD21を経由して平滑コンデンサCiに流入する電流は、突入電流となるのであるが、この突入電流は、整流電流経路内に挿入される突入電流抑制抵抗Riによりピークレベルが抑制されることになる。
ここで、平滑コンデンサCiが充電を完了するまでに必要な時間τは、Ri×Ciの時定数により決定される。そして、この時間τは、例えば商用交流電源ACの2〜3周期分の時間であることとしている。
そして、電源起動後から時間τを経過するまでの期間内においては、DC−DCコンバータ10側でソフトスタート機能が動作するようになっており、これにより、負荷電力は徐々に増加していくようにされる。これに伴い、時間τに対応する期間内においては、平滑コンデンサCiの両端電圧である直流入力電圧Eiは定常レベルに向かって徐々に上昇していくことになる。また、逆に交流入力電流IACは、上記のようにして、突入電流抑制抵抗Riによりピークレベルは抑制されているものの定常時よりは高いレベルにあり、定常レベルに向かって徐々に低下していくことになる。そして、時間τに対応の期間が経過すると、DC−DCコンバータ10のソフトスタート動作は終了して定常動作となる。また、直流入力電圧Eiは定常レベルに到達し、交流入力電流IACのレベルも定常レベルとなる。
また、突入電流が最大値となるのは、正弦波状の交流入力電圧VACの位相が90°となって、そのレベルが最大値となるときである。そして、突入電流レベルとしては、この最大値を例えば30Ap〜20Apに抑制することが必要とされている。
突入電流抑制抵抗Riの抵抗値は、上記したようなことを前提として決定されるべきものとなるので、交流入力電圧ACの定格レベルによって異なって設定される。
例えば図3に示した回路の場合を例にとると、我が国(日本)のような交流入力電圧AC=100V系に対応しては、Ri=1.0Ωが選定される。また、同じ交流入力電圧AC=100V系であっても、我が国よりも高い定格レベルである北米地域などでの交流入力電圧に対応しては、1.2Ωが選定される。また、欧州地域などのような交流入力電圧AC=200V系に対応しては、3.9Ωが選定される。また、図3に示す電源回路として、150W以下の負荷電力に対応させることとした場合においては、平滑コンデンサCiには、1000μFのものを選定できる。
また、これまでの説明から理解されるように、突入電流抑制抵抗Riを挿入することによる突入電流対策は、この突入電流抑制抵抗Riを正極性/負極性の交流入力電流IACが流れるラインに挿入しさえすれば、各種のコンデンサインプット型の整流電流回路系に適用することが可能である。
しかしながら、上記突入電流抑制抵抗Riは、交流力電流IACが突入電流として流れる期間が終了して、以降において定常レベルで流れているときにも、交流入力電流IACの電流経路(整流電流経路)に挿入されていることになる。
このために、突入電流が流れた後においては、定常レベルではあっても、この交流入力電流IACの実効値により、突入電流抑制抵抗Riにおける電力損失が生じることになり、その分、AC→DC電力変換効率が低下してしまうことになる。また、突入電流抑制抵抗Riは、定格負荷時においては、この負荷条件に対応して流れる交流入力電流IACの損失分により発熱も生じることになり、例えば放熱対策が必要である。
そこで、図4に示すようにして、突入電流抑制抵抗Riに代えて、パワーサーミスタRithを挿入することも行われている。なお、図4の構成は、突入電流抑制抵抗RiがパワーサーミスタRithに変更されている以外は、図3と同様であることから、ここでの回路構成等についての説明は省略する。
パワーサーミスタRithは、周知のようにして、突入電流抑制抵抗Riと同様に、突入電流を抑制することを目的として、電源回路の商用交流電源ライン(整流電流経路)に挿入するもので、温度により抵抗値が変化する素子である。また、パワーサーミスタRithとしては、温度が高くなるのに応じて抵抗値が低下する特性の、いわゆる負特性のものが用いられる。
図4に示す回路において、電源スイッチSWがオフからオンに切り換えられて商用交流電源ACが投入されたとする。商用交流電源ACが投入される以前においては、パワーサーミスタRithには電流が流れていないので発熱を生じていないため、低温の状態にある。このため、パワーサーミスタRithは、商用交流電源ACの投入直後における初期抵抗値が大きくなっており、突入電流抑制抵抗Riと同様にして、自身の抵抗値により突入電流を抑制することになる。そして、交流入力電流IACが突入電流としての期間を終えて定常レベルになると、この定常レベルで流れる交流入力電流IAC(整流電流)により、パワーサーミスタRithは自己発熱し、これに応じて自身の抵抗値も下げていく。
これにより、定常動作のときにパワーサーミスタRithに流れる交流入力電流IAC(整流電流)による電力損失としては、突入電流抑制抵抗Riを用いる場合よりも、はるかに小さいものとすることができる。
定常動作における交流入力電流IACによる電力損失を有効に低減しようとすると、パワーサーミスタRithの抵抗値としては、0.1Ω以下とすることが好ましい。しかしながら、0.1Ω以下の抵抗値を得るためには、パワーサーミスタRithの温度を100°C以上とする必要がある。これだけの高温を、電源回路内にもたせることは好ましいことではない。
そこでさらに、図5に示すようにして、突入電流抑制抵抗Riに対して、電力用半導体である、サイリスタQ10を並列に接続する手法も知られている。なお、図5は、図3に示した回路構成において、サイリスタQ10を追加接続した構成として示しているので、図3と同一部分には同一符号を付して説明を省略する。
また、サイリスタQ10は、図示していないが、DC−DCコンバータ10側に備えられる駆動回路によってオン/オフコントロールされる。
商用交流電源ACが投入された直後から或る一定期間は、直流入力電圧Eiが定常レベルに到達するまでの過渡期となるのであるが、この過渡期の期間においては、DC−DCコンバータ10も定常動作を行っていない状態にある。このため、DC−DCコンバータ10側に備えられるサイリスタQ10の駆動回路としてもサイリスタQ10をオンとするための駆動信号を出力しない状態となっている。
このようにして、商用交流電源ACが投入された直後においては、サイリスタQ10はオフ状態にあるので、このときの交流入力電流IAC(整流電流)は、突入電流抑制抵抗Riを流れることになる。これにより、突入電流抑制抵抗Riによって突入電流としての整流電流レベルが抑制されることになる。
そして、商用交流電源ACの投入時から一定期間が経過してスイッチングコンバータが定常動作に移行したとすると、これに応じて、駆動回路からはサイリスタQ10をオンとするための駆動信号(所定レベルの直流電圧)を定常的に出力する。これに応じて、商用交流電源ACの投入から一定期間の経過後は、サイリスタQ10が定常的にオンとなって、交流入力電流IACは、突入電流抑制抵抗Riをパスして、サイリスタQ10を流れるようにされる。
また、図5に示したのと同様の技術として、図示による説明は省略するが、突入電流抑制抵抗Riに対して、電力用半導体素子としてトライアックを並列に接続した構成も知られている。
トライアックを接続した場合においても、上記図5による説明と同様にして、トライアックを駆動するための駆動回路が動作する。従って、この場合においても、商用交流電源ACの投入直後においてはトライアックがオフ状態となっていることで、突入電流抑制抵抗Riによって突入電流が抑制されることになる。そして、商用交流電源ACが投入されて一定期間が経過した後においては、駆動回路によってが定常的にオンとなるようにされ、交流入力電流IAC(整流電流)は、突入電流抑制抵抗Riをパスしてトライアックを介して流れるようにされる。
このように、上記図5に示す構成、又は、図5を基にしてトライアックを備えた構成では、突入電流抑制抵抗Riに対して、電力用半導体素子を並列に接続して、定常動作のときには、この電力用半導体素子により突入電流抑制抵抗Riを短絡するようにしている。このような構成とすれば、例えばパワーサーミスタRiを用いている場合のような素子を高温度に保つことの問題は解消されることになる。
しかしながら、これらの電力用半導体には、周知のようにして、例えば1.2V程度の順方向降下電圧が存在するために、これに対応する電力損失が残留することにはなる。このために、例えば放熱対策として、放熱板などを備える必要があり、回路基板を低背化することも困難となる。
そこで、突入電流抑制のための構成として、定常動作のときにおける電力損失をさらに低減させた技術として、突入電流抑制抵抗Riをパスさせる経路を、リレースイッチにより形成する手法が知られている。このような構成を備える整流電流回路系の構成を、図6に示す。
図6には、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiを備える全波整流回路の構成に対して、リレースイッチを備えた構成が示されている。なお、この図における整流回路系及びアクティブフィルタなどの構成は、図3、図4、及び図5などと同様であることから、ここでの説明は省略する。
この場合のDC−DCコンバータ10からは、例えば直流出力電圧Eoと共に、低圧(12V)の直流電圧ELWを出力するようにしている。この直流電圧ELWは、リレー駆動回路11に対して入力される。
リレー駆動回路11は、図示するようにして、分圧抵抗R11,R12、ツェナーダイオードZD10、抵抗R10、コンデンサC10、トランジスタQ12、及びダイオードD11を図示するようにして接続して形成される。
また、リレー駆動回路11によって駆動される電磁リレーRLは、ダイオードD11と並列接続されて、12Vの直流電圧ラインと、トランジスタQ12のコレクタ間に挿入される。
そして、電磁リレーRLによってオン/オフコントロールされるリレースイッチSWRLが、突入電流抑制抵抗Riに対して並列に接続される。
先ず、商用交流電源ACが投入された直後の期間は、前述もしたように、直流入力電圧Eiが定常レベルに到達するまでの過渡期であり、DC−DCコンバータ10も定常動作を行っていない状態にある。このため、DC−DCコンバータ10から出力される直流電圧ELWとしても12Vに到達するようにして上昇している過渡期にある。つまり、直流電圧ELWは12V未満の状態にある。
直流電圧ELWが12V未満では、分圧抵抗R11−R12により12Vの直流電圧ELWを分圧した電圧レベルは、ツェナーダイオードZD10の逆方向電圧以下となるようにされており、このためにトランジスタQ12はオフ状態となる。トランジスタQ12がオフであれば、電磁リレーRLには、トランジスタQ12のコレクタ電流が流れないので、スイッチSWRLもオフ状態となるようにされる。
これにより、商用交流電源ACの投入直後における突入電流としての交流入力電流IACは(整流電流)、突入電流抑制抵抗Riを流れることとなって、突入電流レベルは抑制されることになる。
そして、上記した過渡期としての期間を経過して、DC−DCコンバータ10が定常動作になると、ほぼこれに応じたタイミングで、12Vの直流電圧ELWが得られる。これにより、分圧抵抗R11−R12により12Vの直流電圧を分圧した電圧レベルは、ツェナーダイオードZD10の逆方向電圧を越えることになり、トランジスタQ12をオン状態とする。これにより、電磁リレーRLには、トランジスタQ12のコレクタ電流が流れることになる。
つまり、電磁リレーRLに電流が導通し、これに応じてリレースイッチSWRLは、オフ状態からオン状態に切り換わる。12Vの直流電圧ELWは、DC−DCコンバータ10が定常動作を行っている限り維持される。従って、リレースイッチSWRLも、DC−DCコンバータ10が定常動作を行っているのに応じて、オン状態を維持する。これにより、定常動作のときには、交流入力電流IAC(整流電流)は、突入電流抑制抵抗Riをパスして、リレースイッチSWRLを介して流れることになる。オン状態のリレースイッチSWRLは単なる導線とみることができるから、例えば抵抗素子や半導体素子と比較すれば、リレースイッチSWRLによる電力損失はほとんどないということになり、また、問題となるような発熱も生じない。
また、電磁リレーRLを駆動するためのリレー駆動回路11の電力消費は0.5W程度で、非常に低損失であり、また、負荷電力の増加に応じて発熱する部品も備えていないために、放熱対策の必要も特になくなるという点でも、例えば電力用半導体素子よりも有利であるといえる。
特開平10−243638号公報
しかしながら、図6に示したリレースイッチを備える構成においても、次のような問題を抱えている。
先ず1つには、電磁リレーRLを駆動するには例えば図示する構成のリレー駆動回路11が必要となる。このリレー駆動回路11が消費する電力は例えば0.5W程度とされて、例えば突入電流抑制抵抗Riやサーミスタをそのまま挿入した構成や、電力用半導体により突入電流抑制抵抗Riを短絡する構成と比較すれば、電力損失は少なくなってはいるものの、或る一定以上の電力損失が存在しているということがいえる。
また、電磁リレーRL及びリレースイッチSWRLからなるリレースイッチ用の部品は、他の部品、素子などと比較して、相当の重量を有し、また、大型であって基板実装に必要な面積も大きい。つまり、リレースイッチを備えることによっては、電源回路の小型軽量化にとって不利となる。また、その形状から、部品を実装した基板の低背化に関しても不利となる。
また、電磁リレーRLの接点の寿命は、いわゆる開閉サージが発生してしまうことで、その寿命は、例えば1万サイクルと限度があることが。この点で、電源回路としての長期使用の信頼性が充分でなくなるという問題も有している。
さらには、電磁リレーRLの接点が切り換わるときには、その物理的な接触音が発生する。このために、例えば電源回路を備える電子機器の品位を高めるのにあたって、不利となる場合があるなどの問題も存在する。
そこで本発明は上記した課題を考慮して、突入電流抑制回路として次のように構成する。
つまり、交流入力電圧を整流する所要数の整流素子と、この整流素子の整流出力が充電される所要数の平滑コンデンサとを、後段のDC−DCコンバータのための直流入力電圧が生成されるようにして接続して形成される整流回路と、整流素子の整流出力を入力してスイッチングを行う昇圧型コンバータにより得たスイッチング出力を平滑コンデンサに対して充電するものとされ、整流素子に流れる整流電流に対応する交流入力電流が、交流入力電圧と同じとされる波形となるようにして昇圧型コンバータのスイッチング動作をパルス幅変調制御するように構成されるアクティブフィルタ手段と、交流入力電圧が投入されるのに応じて発生する突入電流としての整流電流を抑制するためのものであり、整流回路の整流電流経路における所定のラインに対して挿入される突入電流抑制抵抗と、この突入電流抑制抵抗に対して並列に接続される電界効果トランジスタと、DC−DCコンバータのスイッチング動作に基づいて交流入力電圧が投入されてから後の所要のタイミングで、電界効果トランジスタをオンとするためのオン駆動電圧を出力する駆動回路とを備えて構成することとした。
上記構成では、DC−DCコンバータのための直流入力電圧を生成する整流回路としては、平滑コンデンサを備えるいわゆるコンデンサインプット型として形成される。また、この整流回路に対しては、力率をほぼ1に近づけることが可能なアクティブフィルタが組み合わされる。そして、上記コンデンサインプット型の整流回路の整流電流経路に対して、突入電流を抑制するために突入電流抑制抵抗を挿入し、さらにこの突入電流抑制抵抗に対しては電界効果トランジスタを並列に接続することとしている。この電界効果トランジスタは、交流入力電圧が投入されてから或る時間を経過するとオンとなるように、駆動回路によって駆動される。
このような構成では、交流入力電圧が投入された直後においては、電界効果トランジスタはオフとされており、これにより、交流入力電圧が投入された直後に生じる突入電流としての整流電流は、突入電流抑制抵抗によってそのレベルが抑制されることになる。そして、この後において、電界効果トランジスタがオンとなるように駆動される。つまり、整流電流が突入電流として流れる期間を終了した後においては、整流電流は、突入電流抑制抵抗をパス(短絡)して電界効果トランジスタのドレイン−ソース間を流れることになる。
電界効果トランジスタは非常に低オン抵抗のものがあることから、このようなものを選定すれば、電界効果トランジスタにおいて整流電流が流れることに依る導通損は非常に少ないものとすることができる。そのうえで、例えば突入電流抑制抵抗をパス(短絡)して整流電流を流すために電磁リレーを使用した場合のリレー駆動に要する電力と比較すれば、電界効果トランジスタを駆動するのに必要な電力はより少ないものとなる。
また、電界効果トランジスタは、電磁リレーと比較すればはるかに小型軽量である。さらに、電磁リレーは接点に生じるサージ電圧により寿命に限度があるが、電界効果トランジスタは半導体のオン/オフ動作であり、そのオン/オフ機能に関する寿命は半永久的であるといえる。また、電磁リレーにあるような接点の接触音も生じない。
以上のことから理解されるように、本発明の突入電流回路としては、突入電流抑制抵抗をパスして整流電流を流す経路を形成するのにあたり、電界効果トランジスタを用いることで、例えば、電磁リレーを用いる場合と比較して電力損失を大幅に低減することが可能になる。また、部品を実装した電源回路基板の小型軽量化も可能となり、さらには、回路基板の低背化も容易に実現可能となる。さらに、電磁リレーにあるような接点の寿命限度、及び接点の接触音など、物理的な接点に関する問題も無くなることから、この点で、より高い信頼性と品質向上も図られることになる。
図1は、本実施の形態の突入電流抑制回路が備えられる電源回路の構成を示している。
本実施の形態としての突入電流抑制回路は、アクティブフィルタと、その後段に備えられるDC−DCコンバータとから成る電源回路において、DC−DCコンバータのための直流入力電圧を生成する整流回路に対して備えられることになる。
DC−DCコンバータの基本構成としては、電流共振形コンバータに対して部分電圧共振回路を組み合わせることで、電流共振動作と部分電圧共振動作とが複合的に得られる、複合共振形コンバータであることとしている。
この場合においては、先ず商用交流電源ACの正極ラインに対して、電源スイッチSWが挿入される。電源スイッチSWはオン(閉)状態とオフ(開)状態とで切り換わるスイッチとされる。
また、商用交流電源ACの負極ラインに対してはヒューズFが直列に挿入される。なお、確認のために述べておくと、電源スイッチSW及びヒューズFは、商用交流電源ACのラインに対して挿入されればよいものであり、特に、これらの部品を挿入すべき商用交流電源ACのラインの極性については区別する必要はない。
また、商用交流電源ACに対しては、電源スイッチSW、ヒューズFを介したラインに対して、例えば図示するようにして、2本のアクロスコンデンサCL,CLと、コモンモードチョークコイルCMCにより形成されるコモンモードノイズフィルタを接続している。このコモンモードノイズフィルタは、主として、アクティブフィルタのスイッチング動作により商用交流電源ACのラインに重畳するコモンモードノイズを除去するために設けられる。
商用交流電源ACを整流して直流入力電圧(整流平滑電圧)Eiを生成するための整流回路として、この場合には、ブリッジ整流回路Diと平滑コンデンサCiとから成る全波整流回路が備えられる。
この場合、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子は、突入電流抑制抵抗Riの直列接続を介して、平滑コンデンサCiの負極端子(一次側アース)と接続される。
突入電流抑制抵抗Riは、商用交流電源ACが投入された直後において発生する突入電流としての整流電流(交流入力電流IAC)のピークレベルを抑制する。なお、突入電流抑制抵抗Riには、例えば、瞬時過電力耐量が大きい巻線型セメント抵抗を用いるようにされる。
本実施の形態のアクティブフィルタは、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードの整流出力をスイッチングして平滑コンデンサCiに供給するようにして、上記全波整流回路(Di,Co)に組み合わされる。
この図において、アクティブフィルタとしては、フィルタインダクタLN,フィルタコンデンサCN,CN、チョークコイルCH、ダイオードD20,スイッチング素子Q20、力率改善制御回路11、検出抵抗R3−R4,R5−R6を備えて形成される。
先ず、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と、平滑コンデンサCiの正極出力端子との間のラインに対しては、フィルタインダクタLN−チョークコイルCH−ダイオードD20(アノード→カソード)の直列接続回路が挿入される。
また、フィルタインダクタLNの両端部に対しては、フィルタコンデンサCN,CNの一端が接続される。フィルタコンデンサCN,CNの各他端は一次側アースに接続される。このようにして接続されるフィルタインダクタLN,フィルタコンデンサCN,CNによって、主としてはアクティブフィルタのスイッチング動作によって生じるノーマルモードノイズを除去するためのノーマルモードノイズフィルタが形成される。
スイッチング素子Q20は、この場合にはMOS−FETが用いられる。このスイッチング素子Q20は、チョークコイルCHとダイオードD20との接続点に対してドレインを接続し、ソースを一次側アースに接続している。このスイッチング素子Q20及びチョークコイルCHのインダクタンスL10により、アクティブフィルタにおける昇圧型コンバータとしてのスイッチング回路が形成される。このスイッチング回路により、ブリッジ整流回路Diから平滑コンデンサCiに供給されるべき整流出力がスイッチングされることになる。
力率改善制御回路11は、スイッチング素子Q20のスイッチング動作をPWM制御するためのスイッチング制御回路部であり、この場合には、検出抵抗R3−R4から成るフィードバック回路と、検出抵抗R4−R5から成るフィードフォワード回路とが接続される。
フィードバック回路としては、検出抵抗R3−R4の直列接続回路を平滑コンデンサCoに対して並列に接続し、検出抵抗R3−R4の接続点(分圧点)を、力率改善制御回路11のフィードバック入力端子に対して接続して形成される。つまり、フィードバック回路としては、フィードバック出力として、直流入力電圧Eiのレベルを分圧して力率改善制御回路11に入力していることになる。
また、フィードフォワード回路としては、検出抵抗R5−R6の直列接続回路の検出抵抗R5側の端部をフィルタインダクタLNを介してブリッジ整流回路Diの正極出力端子と接続し、検出抵抗R6側の端部を一次側アースに接続している。そして、検出抵抗R5−R6の接続点(分圧点)を力率改善制御回路11のフィードフォワード入力端子と接続することで形成される。このフィードフォワード回路としては、フィルタインダクタLNを介して得られるブリッジ整流回路Diの整流出力電圧を検出抵抗R5−R6により分圧し、この分圧レベルを、フィードフォワード出力として力率改善制御回路11に入力させていることになる。
力率改善制御回路11は、この上記フィードフォワード回路(R5−R6)から入力されたブリッジ整流回路Diの整流出力電圧の分圧レベルに基づいて、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子の整流電圧波形(つまり交流入力電圧VACの波形に相当する)、及び整流電流レベルを検出するようにされる。また、フィードバック回路(R3−R6)から入力される直流入力電圧Eiの分圧レベルと所定の基準レベルとを比較することで、直流入力電圧Eiのレベルについての変動差分を検出する。
力率改善制御回路11では、例えば、上記のようにして検出した整流電流レベルと、直流入力電圧Eiの変動差分と乗算する。そして、この乗算結果と、フィードフォワード回路側の入力から検出した交流入力電圧の波形とによって、交流入力電圧VACと同一波形の電流指令値を生成する。
さらに、この場合の力率改善制御回路11では、上記電流指令値と実際の交流入力電流レベルを比較し、この差に応じてPWM制御を行う。このPWM制御により生成されたPWM信号に基づいてドライブ信号が生成される。スイッチング素子Q20は、このドライブ信号によってスイッチング駆動される。この結果、交流入力電流IACは交流入力電圧VACと同一波形となるように制御されて、力率がほぼ1に近付くようにして力率改善が図られることになる。また、この場合には、力率改善制御回路11によって生成される電流指令値は、直流入力電圧Eiの変動差分に応じて振幅が変化するように制御されるため、直流入力電圧Eiの変動も抑制されることになる。
ここで、先に説明した突入電流抑制抵抗Riの挿入位置としては、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子と平滑コンデンサの負極端子(一次側アース)との間となっている。この挿入位置は、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiから成る全波整流回路において、商用交流電源AC(交流入力電圧VAC)が正極性のときに対応して得られる整流電流と、負極正のときに対応して得られる整流電流とが共通に、平滑コンデンサの負極端子→ブリッジ整流回路Diの負極出力端子の方向により流れる整流電流経路となる。
そして、上記突入電流抑制抵抗Riに対しては、MOS−FETQ3が並列に接続される。この場合には、MOS−FETQ3のドレインを平滑コンデンサCiの負極端子(一次側アース)に接続し、ソースをブリッジ整流回路Diの負極出力端子に接続する方向により接続している。この接続態様は、整流電流が流れる方向に対応している。つまり、後述するようにしてオンとなるMOS−FETQ3に整流電流が流れるときに、ドレイン→ソースの方向により流れるようにして接続されているものである。
この場合のMOS−FETQ3には、例えばNチャンネル型で、トレンチ構造のものを用いるようにされる。このような構造のMOS−FETは、非常に低オン抵抗であり、例えばここではオン抵抗Ron=5mΩのものを選定している。また、MOS−FETQ3には、ドレイン−ソース間に並列接続されるボディダイオードDD3が寄生するようにして存在する。また、この場合には、MOS−FETQ3の耐圧及び電流容量は、20V/20Aを選定できる。
なお、MOS−FETQ3をオン/オフ駆動するための駆動回路系の構成については後述する。
また、図1において、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子と平滑コンデンサCiの正極端子間に対しては、先に説明したアクティブフィルタのフィルタインダクタLN−チョークコイルCH−ダイオードD20のラインに対して並列に、バイパスダイオードD21が接続される。
このバイパスダイオードD21は、例えば商用交流電源ACが投入された直後において、アクティブフィルタが起動を完了してスイッチング動作を開始するまでに対応する期間において、ブリッジ整流回路Diの整流出力を、アクティブフィルタのスイッチング回路を経由させずにバイパスして平滑コンデンサCiに供給する経路を形成するために設けられる。
直流入力電圧Eiを入力してスイッチング(断続)するDC−DCコンバータとして、この場合には、電流共振形コンバータの一次側に部分電圧共振回路を備えた、複合共振形としてのコンバータが備えられる。
この場合、電流共振形コンバータとしては、図示するようにして、MOS−FETによる2本のスイッチング素子Q1,Q2をハーフブリッジ結合により接続したスイッチング回路を備える。スイッチング素子Q1,Q2の各ドレイン−ソース間に対しては、ダンパーダイオードDD1,DD2が並列に接続される。ダンパーダイオードDD1のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q1のソース、ドレインと接続される。同様にして、ダンパーダイオードDD2のアノード、カソードは、それぞれスイッチング素子Q2のソース、ドレインと接続される。ダンパーダイオードDD1,DD2は、それぞれスイッチング素子Q1,Q2が備えるボディダイオードとされる。
また、スイッチング素子Q2のドレイン−ソース間に対しては、部分共振コンデンサCpが並列に接続される。この部分共振コンデンサCpのキャパシタンスと一次巻線N1のリーケージインダクタンスL1によっては並列共振回路(部分電圧共振回路)を形成する。そして、スイッチング素子Q1,Q2のターンオフ時にのみ電圧共振する、部分電圧共振動作が得られるようになっている。
この電源回路においては、スイッチング素子Q1,Q2をスイッチング駆動するために、発振・ドライブ回路2が設けられる。この発振・ドライブ回路2は、発振回路、駆動回路を有しており、例えば汎用のICを用いることができる。そして、この発振・ドライブ回路2内の発振回路及び駆動回路によって、所要の周波数によるドライブ信号(ゲート電圧)をスイッチング素子Q1,Q2の各ゲートに対して印加する。これにより、スイッチング素子Q1,Q2は、所要のスイッチング周波数により交互にオン/オフするようにしてスイッチング動作を行う。
絶縁コンバータトランスPITはスイッチング素子Q1 、Q2のスイッチング出力を二次側に伝送する。この絶縁トランスPITの一次巻線N1の一方の端部は、一次側並列共振コンデンサC1の直列接続を介して、スイッチング素子Q1のソースとスイッチング素子Q2のドレインとの接続点(スイッチング出力点)に接続されることで、スイッチング出力が伝達されるようになっている。また、一次巻線N1の巻終わり端部は、一次側アースに接続される。
ここで、上記直列共振コンデンサC1のキャパシタンスと、一次巻線N1を含む絶縁コンバータトランスPITのリーケージインダクタンスL1によっては、一次側スイッチングコンバータの動作を電流共振形とするための一次側直列共振回路を形成する。
上記説明によると、この図に示す一次側スイッチングコンバータとしては、一次側直列共振回路(L1−C1)による電流共振形としての動作と、前述した部分電圧共振回路(Cp//L1)とによる部分電圧共振動作とが得られることになる。
つまり、この図に示す電源回路は、一次側スイッチングコンバータを共振形とするための共振回路に対して、他の共振回路とが組み合わされた、複合共振形コンバータとしての構成を採っている。
ここでの図示による説明は省略するが、絶縁コンバータトランスPITの構造としては、例えばフェライト材によるE型コアを組み合わせたEE型コアを備える。そして、一次側と二次側とで巻装部位を分割したうえで、一次巻線N1(三次巻線N3,N4)と、二次巻線N2をEE型コアの中央磁脚に対して、巻装している。
また、この場合の絶縁コンバータトランスPITにおいては、一次側に対して2つの三次巻線N3,N4が巻装される。これらの巻線においても、一次巻線N1に得られるスイッチング出力に応じて交番電圧が励起される。
三次巻線N3に対しては、図示するようにして、ダイオードDn3及びコンデンサC3から成る半波整流回路が接続される。この半波整流回路は、三次巻線N3に得られる交番電圧を入力して整流平滑動作を行うことで、コンデンサC3の両端電圧として、低圧の直流電圧V3が得られるようになっている。この直流電圧V3は、起動抵抗RSを介してスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング動作を起動させるための電力として用いられる。また、発振・ドライブ回路2の動作電源として入力されるようになっている。
また、三次巻線N4は、ダイオードD4、コンデンサC4、及び分圧抵抗R1,R2と共に、前述したMOS−FETQ3をオン/オフ駆動するための駆動回路を形成する。
三次巻線N4の一端は、整流ダイオードDn4のアノードと接続される。整流ダイオードDn4のカソードは平滑コンデンサC4の正極端子と接続される。平滑コンデンサC4の負極端子は、三次巻線N4の端部と接続される。
また、平滑コンデンサC4の正極端子と負極端子間には、直列接続された分圧抵抗R1−R2が並列に接続される。そして、分圧抵抗R1−R2の接続点は、MOS−FETQ4のゲートに対して接続される。また、抵抗R2と平滑コンデンサC4の負極端子との接続点は、ブリッジ整流回路Diの負極出力端子と突入電流抑制抵抗Riとの接続点に対して接続される。
このようなMOS−FETQ3の駆動回路系の構成としては、先ず、三次巻線N4に対して、整流ダイオードDn4及び平滑コンデンサC4から成る半波整流回路が形成されていることになる。この半波整流回路が三次巻線N4に励起される交番電圧を入力して整流平滑動作を行うことで、平滑コンデンサC4の両端電圧として所定レベルの直流電圧V4を生成する。
この直流電圧V4は、分圧抵抗R1−R2(分圧抵抗回路)により分圧されることで、所定レベルに設定されたゲート電圧として、MOS−FETQ3のゲートに印加される。定常レベルの直流電圧V4を分圧抵抗R1−R2により分圧して得られるゲート電圧は、MOS−FETQ3をオン状態に駆動することのできるオン電圧レベルである。つまり、MOS−FETQ3をオンとするための所定のゲート閾値電圧VGS(th)以上の電圧レベルとなる。
従って、分圧抵抗R1,R2の各抵抗値は、上記のようにして、直流電圧V4が定常レベルとなったときにMOS−FETQ3をオン駆動し、定常レベル未満ではMOS−FETQ3がオフとなるようなゲート電圧レベルが得られるように設定されているものである。また、本実施の形態において、直流電圧V4が定常レベルであるということは、例えば商用交流電源ACの投入された後のタイミングにおいては、後述するソフトスタート動作が終了してDC−DCコンバータは、スイッチング周波数制御による定電圧制御を行っている定常動作に移行していることも意味する。これらの点については、以降説明する各実施の形態についても同様である。
この場合の絶縁コンバータトランスPITの二次側には、二次巻線N2が巻装されている。二次巻線N2には、一次巻線N1に伝達されたスイッチング出力に応じた交番電圧が励起される。
二次巻線N2は、図示するようにしてセンタータップを設けて二次側アースに接続した上で、図示するようにして整流ダイオードDo1,Do2、及び平滑コンデンサCoから成る両波整流回路を接続している。これにより、平滑コンデンサCoの両端電圧として二次側直流出力電圧Eoが得られる。この二次側直流出力電圧Eoは、図示しない負荷側に供給されるとともに、次に説明する制御回路1のための検出電圧としても分岐して入力される。
制御回路1は、二次側直流出力電圧Eoのレベル変化に応じた検出出力を発振・ドライブ回路2に供給する。発振・ドライブ回路2では、入力された制御回路1の検出出力に応じてスイッチング周波数が可変されるようにして、スイッチング素子Q1,Q2を駆動する。このようにしてスイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が可変されることで、二次側直流出力電圧Eoのレベルが安定化されることになる。
上記制御回路1及び発振・ドライブ回路2から成る定電圧制御系は、例えば軽負荷の条件となって二次側直流出力電圧が上昇すると、スイッチング周波数を高くするようにして二次側直流出力電圧Eoを低下させる。また、重負荷の条件となって二次側直流出力電圧Eoが低下すると、スイッチング周波数を低くするようにして二次側直流出力電圧Eoを上昇させる。このようにして、二次側直流出力電圧Eoが安定化されることになる。
以降において、上記構成による電源回路における、突入電流の抑制に関する動作について説明する。前述もしたように、図1に示す電源回路においては、ブリッジ整流回路Diと平滑コンデンサCiから成る全波整流回路により直流入力電圧Eiを生成するが、この全波整流回路は、いわゆるコンデンサインプット型である。
コンデンサインプット型の整流回路では、商用交流電源ACが投入された直後において平滑コンデンサに対して定常よりも大きなレベルの整流電流(交流入力電流)が充電電流として流れるが、これが突入電流といわれる。
なお、図1に示す回路では、電源スイッチSWがオフからオンに切り換わって商用交流電源ACが投入された時点から、アクティブフィルタ定常動作を開始するまでには、或る程度の時間差が生じる。そして、この時間差が生じている期間においては、ブリッジ整流回路Diの整流ダイオードによる整流出力として得られる整流電流(交流入力電流IAC)は、バイパスダイオードD21を経由して平滑コンデンサCiに流入するようになっている。このため、上記した突入電流は、ブリッジ整流回路Diの正極出力端子からバイパスダイオードD21を介して平滑コンデンサCiに流入する経路により流れる。
先ず、発振・ドライブ回路2は、商用交流電源ACが投入されて起動したときに対応して、ソフトスタート動作を実行するように構成されている。
商用交流電源ACが投入され以降の一定期間においては、直流入力電圧Eiの後段にあるDC−DCコンバータの二次側整流回路においても突入電流が流れ、これに応じて、DC−DCコンバータを形成するスイッチング回路にも過大な電流が流れ、スイッチング回路に負担をかける。そこで、本実施の形態のようにして、スイッチング周波数制御により安定化を図る電源回路では、電源が投入されたときに、強制的にスイッチング周波数を引き上げて二次側直流出力電圧を低下させる傾向による制御を行う。これにより、一次側から二次側に伝達される電力が少なくなって、二次側の平滑コンデンサに流れる充電電流が抑制され、これに伴って、DC−DCコンバータの一次側のスイッチング回路に流れる電流レベルも抑制される。このような動作を、ここではソフトスタートという。
つまり、発振・ドライブ回路2においては、商用交流電源ACが投入されることで得られた電力を用い、発振回路部において発生させる発振信号の周波数(スイッチング周波数fsに相当)を、可変範囲のほぼ上限にまで強制的に高くするように制御する。そして、予め設定した一定期間により、この強制的に高くさした発振信号周波数を徐々に低下させていく。これが上記しているようにソフトスタート動作となる。この一定期間を経過した時点では、二次側直流出力電圧Eoは定常レベルにまで上昇した状態となっているようにされる。そこで、発振・ドライブ回路2は、上記一定期間を経過した時点で、ソフトスタート動作を終了させて、制御回路1から出力される検出出力(二次側直流出力電圧レベル)に基づいた、通常のスイッチング周波数制御による安定化動作に移行する。
なお、ここでの発振・ドライブ回路2における、上記ソフトスタート動作を実現するための構成は、これまでに周知とされている技術を利用すればよい。例えば、ソフトスタート動作を実行させる一定期間としての時間長は、時定数回路によって決定するようにして、また、この一定期間内においてスイッチング周波数fsをほぼ最大から徐々に低下させる動作も、上記した時定数回路を形成するコンデンサの両端電圧の変化など利用して、発振信号周波数を可変するような構成が採られればよい。
また、絶縁コンバータトランスPITの三次巻線N3,N4に励起される交番電圧を基として生成される直流電圧V3,V4は、上記したソフトスタート動作の終了にほぼ対応したタイミングで、立ち上がることになる。つまり、商用交流電源ACの投入時点から徐々に定常レベルに向かって上昇していき、上記のようにしてソフトスタート動作が終了して電源回路が定常動作となる時間t=100ms以降において、所定の定常レベルが得られるる状態となる。
図2のタイミングチャートは、図1に示す電源回路における、商用交流電源ACが投入されたときに対応した突入電流の抑制動作を示している。
ここで、例えば図2における時点t1において、電源スイッチSWがオフからオンに切り換えられて、商用交流電源ACが投入されたとする。なお、この場合の時点t1における商用交流電源ACにて得られる交流入力電圧VACは、90°の位相で正極性のピークが得られている状態にある。
ここで、商用交流電源ACの投入開始時点である時点t1においては、直流入力電圧Eiが0レベルから定常レベルに上昇する開始時点となるものであり、これに伴って、ここでは図示していない直流電圧V4についても、この時点t1は、0レベルから定常レベルに上昇する開始時点となる。従って、直流電圧V4を分圧抵抗R1−R2により分圧して得られるMOS−FETQ3のゲート−ソース間電圧VGS3としては、0レベルであり、MOS−FETQ3はオフであることになる。この時点t1において、MOS−FETQ3がオフであることは、MOS−FETQ3のドレイン−ソース間電圧VDS3が、交流入力電流IACが流れるのに応じて正極性で発生していることによっても示される。
また、この場合においては、上記時点t1において商用交流電源ACが投入されて以降から、商用交流電源ACの3周期を経過した時点t9において、先に説明した発振・ドライブ回路2によるソフトスタート動作が開始されることとしている。そして、この時点t9から、商用交流電源ACのほぼ1周期半を経過した時点t13において、ソフトスタート動作は終了するようにされている。
また、直流電圧V4は、先に説明したようにして、ソフトスタート動作の終了にほぼ対応したタイミングで、定常レベルに到達するものとなっている。直流電圧V4が定常レベルに到達すると、前述もしたように、直流電圧V4を抵抗R1−R2により分圧して得られるゲート−ソース間電圧VGS3としては、ゲート閾値電圧VGS(th)を以上となってMOS−FETQ3をオフからオンに切り換えることができる。ここでは、直流電圧V4は、ソフトスタート動作の終了とちょうど同じタイミングである時点t13において、定常レベルに到達することとしている。
このため、ゲート−ソース間電圧VGS3としては、時点t13以前においては直流電圧V4が定常レベル未満であることに対応して0レベルであることになる。そして、時点t13に至って直流電圧V4が定常レベルにまで上昇すると、ゲート閾値電圧VGS(th)以上である5Vのゲート−ソース間電圧VGS3が生じ、MOS−FETQ3をオンとする。
この場合、MOS−FETQ3は、商用交流電源ACが投入される時点t1から時点t13までの期間においてオフ状態となるように制御されることになる。そして、この期間t1〜t13においては、MOS−FETQ3がオフとされていることで、全波整流回路(Di,Ci)において、平滑コンデンサCiの負極端子(一次側アース)とブリッジ整流回路Diの負極出力端子間の整流電流経路においては、突入電流抑制抵抗Riを介して整流電流が流れるようにされる。前述もしたように、この平滑コンデンサCiの負極端子(一次側アース)とブリッジ整流回路Diの負極出力端子間のラインは、正/負の交流入力電圧VACに対応する正/負の整流電流が共通に流れる経路である。従って、このラインに挿入された突入電流抑制抵抗Riによっては、突入電流として平滑コンデンサCiに流入する、正/負の整流電流のピークレベルが共に抑制されることになる。この整流電流が抑制されている様子は、例えば時点t1に対応して流れる交流入力電流IACのピークレベルが30Apにまで低減されていることからも分かる。
そして、時点t1より後においては、全波整流回路(Di,Ci)に流れる整流電流(つまり、交流入力電流IAC)が平滑コンデンサCiに充電されていくことで電荷が蓄積されていくことになる。これに応じて、平滑コンデンサCiの両端電圧である直流入力電圧Eiは、図示するようにして、時点t1から定常レベルに向かって上昇していくようにされる。
また、時点t1より以降において、上記のようにして平滑コンデンサCiの蓄積電荷が増加していくことで、平滑コンデンサCiを充電するようにして流れる整流電流(交流入力電流IAC)は、低下していくことになる。
なお、蓄積電荷が0の状態から平滑コンデンサCiに対して充電が開始されてから、充電を完了するまでの時間(τ)は、突入電流抑制抵抗Riとの時定数により決定される。つまり、Ri×Ciとして表すことができる。
この場合には、時点t13において、発振・ドライブ回路2のソフトスタート動作が終了するものとして、以降、DC−DCコンバータとしての定常動作に移行することになるのであるが、この時点t13においてDC−DCコンバータの定常動作が開始されるのに応じては、アクティブフィルタの動作としても定常動作が得られるようになっている。
時点t13以降における交流入力電流IACは、交流入力電圧VACとほぼ同じ導通角となっているが、これは、アクティブフィルタが定常動作となって力率をほぼ1とするようにして制御する動作を時点t13から開始しているからである。
ここで、先に述べたようにして、直流電圧V4は時点t13より以前においては定常レベルに到達していないために、MOS−FETQ3としては、オフ状態であることになる。
このようにして、商用交流電源ACが投入された時点t1以降から時点t13以前までの期間においては、MOS−FETQ3をオフ状態として、整流電流を突入電流抑制抵抗Riに流すようにしている。これにより、商用交流電源ACが投入された直後における過大な突入電流は、突入電流抑制抵抗Riによって有効に抑制され、回路保護等が図られることになる。
そして、例えば時点t13に至ると、先にも説明したように直流電圧V4が定常レベルに立ち上がることとなり、MOS−FETQ3はオフからオンに切り換わる。直流電圧V4は、電源回路が定常動作を実行している限りは、定常レベルが継続して得られるから、時点t13以降においてMOS−FETQ3はオン状態を維持する。
このようにして、MOS−FETQ3が、時点t13以降においてオフからオンに切り換わるということは、時点t13以降においては、整流電流経路として、突入電流抑制抵抗Riをパスして、正極性の交流入力電流IACに対応する整流電流と、負極性の交流入力電流IACに対応する整流電流とで、共にMOS−FETQ3のドレイン→ソースを流れる経路が形成されるということである。これは、図2に示すMOS−FETQ3のドレイン−ソース間電流IDSが、時点t13以前では0レベルであるのに対して、時点t13以降においては、商用交流電源周期に応じて、正極性の半波の正弦波形が連続して流れるようにして変化していることからも分かる。
前述もしたようにMOS−FETQ3は、NチャンネルのMOS型として、トレンチ構造を有するものであり、オン状態では、非常に低オン抵抗であるという性質を有し、具体的には前述もしたように、オン抵抗RON=5mΩ程度である。
ここで交流入力電圧VAC=100Vで、交流入力電流IACの実効値を3Armとすると、MOS−FETQ3におけるドレイン−ソース間の導通損失は、0.045Wであるということになる。また、直流電圧V4からMOS−FETQ3のゲート−ソース間電圧VGS3を得るための分圧抵抗R1−R2による損失(ドライブ損失)は、0.005Wとなる。つまり、図4の時点t11以降に対応する電源回路の定常動作時において、突入電流抑制抵抗Riをパスする経路を生成するためにMOS−FETQ3をオン駆動することで生じる電力損失は、0.05Wであるということになる。
例えば従来の技術として示した、電磁リレー(及びリレースイッチ)を用いた場合の構成では、電磁リレーを駆動するための損失が0.5W程度とされていたから、電力損失は1/10にまで低減されていることになる。また、これに伴って、例えば電力用半導体を用いた場合の発熱などの問題も解消されることになる。
また、電磁リレーの外形サイズは、例えば22.5×12.5×18mmである。このサイズからも分かるように、電磁リレーは比較的大型であり、さらには、相応の高さもあることから、部品を実装した基板の低背化にも不利である。
これに対して、MOS−FETQ3として用いられるNチャンネル型でトレンチ構造のMOS−FETは、例えば表面実装用のパッケージ部品としてのサイズ形状を有しており、電磁リレーと比較すれば相当に小型で軽量となる。また、実装基板の低背化も容易となる。
さらに、電磁リレーは、電流の導通/非導通に応じてリレースイッチ(接点)をオン/オフする際にいわゆる開閉サージが生じる。このため、接点の開閉寿命は、例えば10万サイクル程度とされている。これに対して、本実施の形態では、半導体素子によるオン/オフ動作となるので、上記した開閉サージの問題は無いものであり、この点では半永久的なオン/オフ回数の寿命を有しているということがいえる。また、半導体素子によるオン/オフ動作であることで、電磁リレーにおけるような接点が開閉するときの物理的な接触音も生じない。
このようにして、本実施の形態では、電源回路が定常動作であるときに突入電流抑制抵抗Riをパスさせるための構成として、電磁リレーを用いる場合と比較して低電力損失化、小型軽量化が図られる他、接点の寿命や接触音の問題を解消したことによる、より高い信頼性、品質向上も得られるものである。
なお、突入電流抑制抵抗Riの挿入位置は、図1に示す位置には限定されない。突入電流抑制抵抗Riが挿入されるラインは、ブリッジ整流回路Di及び平滑コンデンサCiにより形成されるとされる全波整流回路において、正極性/負極性の交流入力電圧VACに対応して流れる両極性の整流電流(交流入力電流IAC)が共に流れるラインであればよい。従って、例えば、商用交流電源ACの正極ライン(例えば電源スイッチSWと、ブリッジ整流回路Diの正極入力端子との間)であったり、商用交流電源ACの負極ライン(例えばヒューズFと、ブリッジ整流回路Diの負極入力端子との間)に挿入することができる。
また、上記実施の形態としては、DC−DCコンバータとして、電流共振形コンバータに部分電圧共振形コンバータを備えた複合共振形コンバータとしての構成を採っているものであるが、本発明としては、突入電流抑制抵抗を挿入した整流電流回路系の構成に特徴を有するものである。従って、商用交流電源ACが投入されてから電源回路が定常動作に移行しているとされる所要の期間経過後において、突入電流抑制抵抗RiをパスさせるためのMOS−FETQ3をオンとするための駆動回路系の構成が備えられさえすれば、DC−DCコンバータとしての構成は特に限定されるものではない。
さらには、商用交流電源ACから直流入力電圧Eiを生成するための整流回路の構成としても、図1に示した全波整流回路以外に、例えば倍電圧整流回路などの他の回路構成による整流回路が備えられて構わないものである。
また、アクティブフィルタとしての具体的な構成例としても、図1に示した以外の構成が採られて構わない。
本発明の実施の形態としての構成を示す回路図である。 図1に示す電源回路の突入電流抑制動作を示すタイミングチャートである 従来の突入電流抑制回路の例として、全波整流回路に突入電流抑制抵抗を挿入した電源回路の構成を示す回路図である。 従来の突入電流抑制回路の例として、全波整流回路にパワーサーミスタを挿入した電源回路の構成を示す回路図である。 従来の突入電流抑制回路の例として、全波整流回路に突入電流抑制抵抗とサイリスタの並列接続回路を挿入した電源回路の構成を示す回路図である。 従来の突入電流抑制回路の例として、全波整流回路に突入電流抑制抵抗とリレースイッチの並列接続回路を挿入した電源回路の構成を示す回路図である。
符号の説明
1 制御回路、2 発振・ドライブ回路、11 力率改善制御回路、F ヒューズ、SW 電源スイッチ、Di ブリッジ整流回路、Ci 平滑コンデンサ、Ri 突入電流抑制抵抗、Q1,Q2 スイッチング素子、Cp 部分電圧共振コンデンサ、Q3,Q4 MOS−FET(突入電流抑制抵抗短絡用)、DD3,DD4 ボディダイオード、R1,R2 抵抗、Dn4 ダイオード、C4 平滑コンデンサ、Q1,Q2 スイッチング素子、PIT 絶縁コンバータトランス、N1 一次巻線、N2 二次巻線、N3,N4 三次巻線、Do1,Do2 二次側整流ダイオード、D21 バイパスダイオード、CL アクロスコンデンサ、CMC コモンモードチョークコイル、CN フィルタコンデンサ、LN フィルタインダクタ、CH チョークコイル、D20 ダイオード、Q20 スイッチング素子、R3,R4,R5,R6 検出抵抗

Claims (2)

  1. 交流入力電圧を整流する所要数の整流素子と、この整流素子の整流出力が充電される所要数の平滑コンデンサとを、後段のDC−DCコンバータのための直流入力電圧が生成されるようにして接続して形成される整流回路と、
    上記整流素子の整流出力を入力してスイッチングを行う昇圧型コンバータにより得たスイッチング出力を上記平滑コンデンサに対して充電するものとされ、上記整流素子に流れる整流電流に対応する交流入力電流が、上記交流入力電圧と同じとされる波形となるようにして上記昇圧型コンバータのスイッチング動作をパルス幅変調制御するように構成されるアクティブフィルタ手段と、
    上記交流入力電圧が投入されるのに応じて発生する突入電流としての整流電流を抑制するためのものであり、上記整流回路の整流電流経路における所定のラインに対して挿入される突入電流抑制抵抗と、
    上記突入電流抑制抵抗に対して並列に接続される電界効果トランジスタと、
    上記DC−DCコンバータのスイッチング動作に基づいて、上記交流入力電圧が投入されてから後の所要のタイミングで、上記電界効果トランジスタをオンとするためのオン駆動電圧を出力する駆動回路と、
    を備えることを特徴とする突入電流抑制回路。
  2. 上記駆動回路は、
    上記DC−DCコンバータのスイッチング動作に応じて得られる交番電圧から直流電圧を生成する直流電圧生成回路と、
    上記直流電圧生成回路により生成された直流電圧を分圧して得られる分圧電圧を、上記電界効果トランジスタのゲートに印加するようにされた分圧抵抗回路、
    とを備えて形成されることを特徴とする請求項1に記載の突入電流抑制回路。
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