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JP2005060810A - 被覆材及びその製造方法 - Google Patents

被覆材及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
自動車等エンジンの排ガス規制強化により、ピストンリング、バルブリフタ、ディーゼル噴射ポンプ等の摺動部において、面圧負荷増大、摺動速度増大等、その摺動環境は過酷化してきており耐摩耗性、耐スカッフ性、相手材攻撃特性向上のニーズが高まっている。その対応策として、採用されているイオンプレーティング皮膜が。エンジンの過酷環境においては摩耗さらには摩滅してしまう。

【解決手段】
窒素濃度の高い層と窒素濃度の低い層からなる多層状組織を有する皮膜に成膜する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、トライボロジー特性に優れ摺動面等に被覆されている被覆材、例えば内燃機関用ピストンリング、バルブリフタ、ディーゼル噴射ポンプ等の摺動部に使用される被覆材に関する。より詳細には、本発明は、硬質皮膜を形成するPVD条件を制御することにより形成された新規な組織を有する皮膜に関する。
自動車等エンジンの排ガス規制強化や高出力低燃費化により、ピストンリング、バルブリフタ、ディーゼル噴射ポンプ等の部品の摺動部は、燃焼温度の上昇による熱負荷が増大しており、面圧負荷が増大しており、摺動速度が増大しており、更に低粘度潤滑油の採用等により、その環境は過酷化している。したがって上記部品には、硬度を高めると同時に破壊靭性を向上し、耐摩耗性及び耐スカッフ性を向上し、相手材攻撃性を低下する等のニーズが高まっている。
例えばピストンリングに関しては、従来は硬質クロムめっき処理や窒化処理などによる皮膜が使用されていたが、上記のニーズに対応する改良皮膜が提案されてきた。すなわち、特許文献1において提案された窒化クロム皮膜はトライボロジー特性に優れるイオンプレーティングによる金属クロム結晶と窒化クロム結晶との混合物であり、特許文献2において提案された窒化クロム皮膜は酸素を固溶した窒化クロム結晶である。しかしながら、前記の特許文献による皮膜を被覆した摺動部材は、摺動条件の特に過酷なエンジンにおいては、摩耗やスカッフ、摺動に伴うクラックや剥離等が発生し、トライボロジー性能が充分ではなく不足するに至っている。
このため、更なる対応として、コーティング中の雰囲気圧力又はバイアス電圧を定められた二種類の設定条件で所定時間毎に繰返し制御することにより、摺動面に柱状形態を有する柱状組織の層もしくは所定の空孔率を有する層と、柱状でない緻密組織の層もしくは真密度に近い低空孔率の層とを交互に積層した皮膜破断面結晶を有する窒化クロム系皮膜層が特許文献3に開示されている。特許文献3では各層の長所及び短所として、柱状組織は耐欠け剥離性は良好であるが耐スカッフ性及び耐摩耗性が低く、一方、緻密組織は耐スカッフ性及び耐摩耗性は優れているが耐欠け剥離性が低いことを示し、柱状組織と緻密組織を積層し層状皮膜にすることで、それぞれの層の短所を他の層が補うことにより、皮膜の密着性、耐摩擦摩耗性、耐腐食摩耗性及び耐剥離性を改善するとしている。
特許文献3の窒化クロム皮膜においては、一部を耐スカッフ性及び耐摩耗性の低い柱状組織とし、各層の厚さを0.1〜10.0μmとしている。耐スカッフ性の低い柱状組織が最大10μmと比較的厚く形成されているため、過酷な摺動環境下におけるスカッフ摩耗が支配的な摺動条件のときに柱状組織の層が摺動面になると、皮膜が大幅に摩耗することが予想されるため、特許文献3の窒化クロムの摺動特性は充分とは言えない。これに対して、各層の厚さを薄くすると各層の特徴も薄れ、また積層数も多くなりプロセス上成膜が煩雑になると示されている。
また、特許文献4にはTiAlNの層状組織を得るために、特許文献3と同様にバイアス電圧を変化させることによりTi(1-x)AlN,0.1≦x≦0.4からなる低硬度層とTi(1−x)AlN,0.4≦x≦0.75からなる高硬度層を積層した耐摩耗性硬質皮膜を開示している。しかし、この皮膜においてはバイアス電圧を変化させることによりTiとAlの比を変化させて積層構造を得ているため、皮膜にはかなり大きい残留応力が発生し、皮膜厚さを厚くすると皮膜内や母材との界面で剥離が発生し易い欠点がある。このため、皮膜厚さは3μm以下であり厚膜化された皮膜の実施例は開示されていない。
特公平6−010454号公報 特開平6−265023号公報 特開平8−312779号公報 特開平11−61380号公報 特開平6−147318号公報
本発明は、以上の点に鑑みてなされたもので、摺動条件の特に過酷なエンジンにおける摺動環境下でも耐スカッフ性、耐摩耗性、耐欠け剥離性などの摺動特性に優れ、更に高硬度であり高破壊靭性の被覆材を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者等は鋭意研究を行った結果、層状組織を緻密組織のみから構成し、同一化合物である金属窒化物(例えばCrN結晶単一相あるいはCrN+CrN混晶)を窒素濃度が異なった多層として積層することによって各層間の結合性が高くなり、層間歪みを少なくすることができ、更に破壊靭性を向上できることを見いだし、発明を完成した。これにより、皮膜の硬度、破壊靭性、密着性、耐スカッフ性、耐摩擦摩耗性及び耐欠け剥離性に優れたPVDによる高硬度高破壊靭性層状組織の皮膜を提供することができる。
本発明の第1は、結晶質金属窒化物からなる皮膜を基材に被着してなる被覆材において、前記皮膜の断面組織が窒素濃度の異なる層状組織であることを特徴とする被覆材である。
金属窒化物は、結晶性を有するものであれば特に限定されない。代表的な金属窒化物としてCrNやTiNが挙げられるが、TiAlN等の3元系の金属窒化物でも良い。本発明において、「層状組織」とは図4に示すように走査型電子顕微鏡組織観察下で濃淡が検出される層であり、例えば10μm成膜する場合、10を超える層数、好ましくは20〜100層の濃淡が形成される。従来より摺動部に形成された皮膜中の組成を基板側では皮膜の密着性を良好にし、皮膜表面側では摺動特性が良好になるように原料ガス濃度を非連続的に変更する成膜法は知られていたが(特許文献5)、このような公知の皮膜を、数μmから10数μmの厚さに成膜する過程では濃度の変更は5回程度が限度である。また、原料ガス濃度を変更しても必ずしも本発明でいう「層状組織」が形成されない。
本発明において層状組成の各層の厚さがライン分析可能限度より薄くなる場合は、当該層状組織と同一の濃淡が現れるような拡大組織(各層の厚さが厚い組織)を形成し、各層のN濃度を分析、もしくはTEM装置で分析するものとする。
基材としてはステンレス鋼や窒化鋼等の鋼材、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム合金、チタンおよびチタン合金などの線材又は板材、鋳物を好ましく使用することができる。
本発明の第2は、結晶質窒化物よりなる皮膜の破断面が緻密組織のみであることを特徴とするものである。緻密組織は特許文献3において本出願人が提案したものである。この特許文献の段落番号0032に組織観察法が述べられており、またその組織形成方法は段落番号0031,第1,2文に述べられている。本発明が特徴とする層状組織は特許文献3で述べられている柱状組織でも緻密組織でも形成可能であるが、耐スカッフ性が優れた緻密組織の方が好ましい。皮膜の緻密組織は、皮膜空孔率が0.5体積%以下のほぼ真密度を有する皮膜である。
本発明の第3は皮膜の窒素濃度が隣接層において増減している被覆材である。被覆部表面には、窒素濃度の高い金属窒化物と低い金属窒化物のどちらを配しても良い。
本発明の層状組織は金属窒化物の中の窒素と当該金属の濃度が上下層で異なる組織である。TiやCr等の窒化物のように窒素が固溶限内でN(窒素)を固溶した窒化物を形成する場合はこの固溶範囲内で窒素濃度を変化させることができる。例えば、Tiの窒化物は図1に示す様にδ相(TiN)に約28原子%から55原子%の固溶限を有しており、固溶限外の窒素濃度の低い側では窒素濃度が約25原子%までのε相が生成する。本発明の皮膜はこのε相を含んでも良い。Tiの窒化物において窒素濃度が25原子%以下では、窒素の固溶している金属Tiが発生するので耐スカッフ性や耐摩耗性が低下する。また、窒素濃度が55.0原子%以上では固相として生成しない。以上のように、層状組織における各層は窒素濃度が異なる窒化物結晶のみから構成されるため、各層間の結合性は非常に良く層間剥離が発生しないと同時に破壊靭性が向上する。
本発明の第4は、層状組織の各層の厚さがサブミクロン以上1μm以下の厚さであることを特徴とする被覆材である。各層の厚さが1μm以上では各層間に発生する層間歪みが大きくなり層間における耐剥離性が低下する。本発明の皮膜が同一窒化物からなる場合は、各層間の違いは窒素濃度だけであるが、層間歪みは各層の厚さに大きく依存するので、各層の厚さが大きいと各層の物性の差に起因する界面歪みは大きくなる。本発明において、非常に優れた耐剥離性や耐摩耗性、耐スカッフ性を得るためには層の厚さを1μm以下という非常に薄い膜厚に限定することが好ましい。
本発明の第5は、結晶質金属窒化物からなる皮膜と基材間に、下地層として、金属皮膜、セラミック系イオンプレーティング皮膜が介挿されているか、あるいは基材を窒化した窒化層が下地層として形成されていることを特徴とする被覆材である。通常、PVD皮膜の下地層として種々のものが採用されているが、本発明の層状組織による皮膜においても従来の下地層を適用することが可能である。下地層の金属としてはTi,Cr,Alなどを、下地層のセラミックとしてはTiN、CrN、Ti-Al-Nなどを好ましく使用することができる。窒化層は窒化用鋼をガス窒化若しくはガス軟窒化等により形成することができる。下地層の厚さは5〜90μmが好ましい。図1には本発明の実施態様に係るピストンリングを示し、1はピストンリング素材、2は下地層、4は窒化層、3は本発明の皮膜である。
本発明の第6は、結晶質金属窒化物からなる皮膜の硬度範囲がビッカース硬度で1500から2500までの被覆材である。本発明の皮膜は、ビッカース硬度で少なくとも1500以上有するような物質を選択して形成されることが好ましい。このような物質としてはCr-N、Ti-N、Ti-Al-Nなどの多くの窒化物が列挙される。また、皮膜の硬度を高くするために皮膜破断面組織は緻密質であることが好ましい。このような皮膜を膜厚1μm以下で層状に積層することで、硬度は上昇しビッカース硬度で2500以上となりうるが、ビッカース硬度2500以上では硬度が高すぎるため、層間亀裂などの欠陥が発生し易くなる恐れがあるので、硬度の上限はビッカース硬度で2500とする。特に好ましくは、ビッカース硬度で1600から2000である。
本発明の第7は、結晶質金属窒化物からなる皮膜全体の厚さが1μmから80μmであることを特徴とする被覆材である。皮膜厚さが1μm以下では摺動部材としての機能を発揮することができない。一方、80μm以上では経済的にも無駄であり、皮膜の密着性や皮膜内の欠陥が発生し易くなる。通常の多層皮膜は特許文献4の実施例のように、10μm以下の皮膜厚さで使用されるのに対して、本皮膜は層間の窒素濃度が異なるのみであることと層の膜厚が非常に小さいため層界面での歪みが小さく抑えることができ厚膜化が可能である。最適膜厚は20から50μm程度である。
本発明の第8は、結晶質金属窒化物からなる皮膜をPVD法により金属蒸気、反応ガスと基材を接触させることにより形成することを特徴とする摺動部材の製造方法である。先に述べた金属窒化物からなる層の窒素濃度変化は、コーティング処理中に金属蒸気の蒸発量を一定に保ち窒素濃度を変化させる方法あるいは窒素濃度を一定に保ち金属蒸気の蒸発量を変化させる方法のどちらの方法も可能である。この窒素及び/又は金属濃度の変化を請求項4で限定した1μm以下という非常に薄い層厚さについて行うためには、カソード周りに設置したコイルに電流を流すことで交流磁場を発生させ、コイル磁場を制御することでカソード表面のアークの飛び方、つまり、金属蒸発量を制御し、多数積層した層状組織を形成した。
以上説明したように、本発明の摺動部材は特開平8−312779号で開示されている層状破面組織よりも緻密であり、かつ窒素濃度の異なった層を薄膜化しさらに多層状に積層することにより、従来の皮膜に比べ高硬度でかつ破壊靭性の高い皮膜を得ることができる。すなわち、耐摩耗特性に優れると共に皮膜内クラックを抑制することができる。このため、ピストンリング,バルブリフタ、ディーゼル噴射ポンプ等の過酷な摺動条件使用される摺動部品に要求される厚膜イオンプレーティング皮膜を生成させることができ、耐久性を向上させることが可能となる。なお、本発明の皮膜はカムフォロアなどのエンジン部品、更にはシューディスクなどのコンプレッサー部品をはじめとする摺動部品や切削工具などにも適用することが可能である。
以下に本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例においては、まず、3.2×2.3mmのピストンリング用線材(17Crステンレス鋼)をφ95mmのリング状に曲げ成形した後、歪取りの焼鈍処理を行った。次に、粗合口隙取り、側面平行出しの粗研磨、ピストンリング外周面のバレルフェース研磨を行った。その後、ピストンリング外周面に窒化処理を施し、仕上げ合口隙取りを行った。これを超音波洗浄により脱脂した。ピストンリング母材と下地層との密着性を向上させるため、母材表面にショットブラスト処理を施し表面粗さを3.2〜4.5μmRzに仕上げ、エアーブローで表面のゴミを除去し、洗浄した。上述のように処理したピストンリング21を図3に示すイオンプレーティング用押さえ治具22にセットしかつ合口ピース24により合口間隔を保持した。さらに全体を締付けナット23により固定した。
図3で説明したように組み立てたピストンリングを図9に示すように、ワーク4として回転テーブル5にセットした後、図9に示す成膜装置の真空チャンバー11内部を排気口6から真空度0.03Pa程度まで真空引きを行い、ワーク4を回転させ、ヒーター(図示せず)設定温度を873Kにて加熱を行った。次に、一旦トリガ電極1で電界を発生させた後に純度99.9%のクロムターゲット2を使用して、表1の設定条件でイオンボンバードクリーニング処理を施した。この後、アーク電源8で設定されるアーク電流160A、バイアス電源10で設定されるバイアス電圧−25V、真空度0.8Pa、ガス入口7から導入されるN2ガス流量120sccm、回転テーブル5回転数4rpm、ヒーター温度873Kで、窒化クロム層状皮膜を15〜25μm程度成膜した。窒素濃度の異なる層状を有する窒化クロム系皮膜は、窒素ガス流量を一定にし成膜装置内のカソード周りに設置したコイルに電源9から電流を流すことで磁場を発生させ、コイル磁場を制御することでカソード表面のアークの飛び方、つまり、金属蒸発量を制御し、図5に示す多数積層した層状組織をもつ皮膜形成した。成膜後は、真空中で2時間程度徐冷し、炉から出した。
Figure 2005060810
一方、比較例は成膜装置内のカソード回りに設置した磁場発生用のコイルを使用していない以外はすべて実施例と同一条件にて成膜した。比較例は、磁場の影響がないのでアークの飛び方が均一で金属蒸発量は常に一定であり、実施例で生じたような層状組織は生じない。
上記の実施例及び比較例の皮膜を成膜したピストンリングについて、合口から180°の部分を切断し、樹脂に埋め込み、鏡面に研磨した後、電子顕微鏡で1500倍にて研磨面からの反射電子像を観察したSEM写真をそれぞれ図4、図5に示す。また、図6に実施例の皮膜のライン分析による測定結果を示す。図中横軸は層表面からの深さ(単位mm)、縦軸はCrとNの濃度を相対%で示したものである。
従来技術による比較例(図5)においては、断面組織は単一な層のみ認められ層状組織は認められない。一方、本発明による実施例(図4)の皮膜においては、窒素濃度の異なる層が多数、すなわち約50層積層された層状組織が認められる。図6におけるN濃度ピーク数も約50である。
なお、比較例による層状組織を生じない皮膜でもN濃度のピーク増減が認められたが、この増減は皮膜の電子濃度のゆらぎなどから発生する雑音であり、図6のものよりは明らかに小さく、有意差が認められた。
図7、8には、上記した合口から180°の断面部分を走査型電子顕微鏡で反射電子像を観察した写真(図7:実施例,倍率1500倍、図8:比較例,倍率1500倍)を示す。本発明実施例の破断面は緻密組織である。
また、実施例及び比較例によるピストンリングを側面方向に合口から180°を回転中心としてねじることにより皮膜の耐剥離性を評価するねじり試験を行った。その結果、実施例及び比較例共に180°ねじれ部まで皮膜剥離及び欠けは認められず、母材との密着性は良好であった。更に、インデンテーション法による皮膜の破壊靭性の評価および皮膜の残留応力を測定した。本発明による実施例の皮膜は、従来の皮膜よりも高硬度であり、一般に硬度が高くなると破壊靭性値が低下、残留応力が大きくなるにも拘わらず、本発明の皮膜は破壊靭性値が向上し、残留応力は比較例と同等あるいは小さいレベルであった。このことは、耐摩耗特性に優れ、脆性材料である金属窒化物の層に微小亀裂を発生させることなく、厚膜化が可能であることを意味する。上記の結果をまとめたものを表2に示す。
Figure 2005060810
本発明の被覆材の構成を示す略図である。 Ti−Nの状態図である。 実施例に用いられたセット治具の略図である。 本発明の実施例による皮膜断面のSEM写真(倍率×1500)である。 従来技術による比較例の皮膜断面のSEM写真(倍率×1500)である。 実施例による皮膜断面のライン分析結果を示す図である。 本発明の実施例による緻密組織皮膜破面のSEM写真(倍率×1500)である。 従来技術による柱状組織皮膜破面のSEM写真(倍率×1500)である。 本発明の実施例に使用した装置の概略図である。
符号の説明
1.被覆材
2.下地層
3.皮膜
4.窒化層
5.締め付けナット
6.合口ピース
7.ピストンリング(ワーク)
8.押さえ治具
9.ドロップレット

Claims (8)

  1. 結晶質金属窒化物からなる皮膜を基材に被着してなる被覆材において、前記結晶質金属窒化物よりなる皮膜の断面組織が窒素濃度の異なる層状組織であることを特徴とする被覆材。
  2. 前記結晶質金属窒化物からなる皮膜の破断面が緻密組織であることを特徴とする請求項1記載の被覆材。
  3. 前記窒素濃度は隣接層において増減していることを特徴とする請求項1又は2記載の被覆材。
  4. 前記皮膜の層状組織を形成する各層の厚さが1.00μm以下であることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項記載の被覆材。
  5. 前記結晶質金属窒化物からなる皮膜と前記基材の間に、下地層として金属皮膜もしくはセラミック系イオンプレーティング皮膜が介挿されているか、あるいは前記基材を窒化した窒化層が下地層として形成されていることを特徴とする請求項1から4までの何れか1項記載の被覆材。
  6. 前記結晶質金属窒化物からなる皮膜のビッカース硬度が1500から2500までの範囲であることを特徴とする請求項1から5までの何れか1項記載の被覆材。
  7. 前記結晶質金属窒化物からなる皮膜の厚さが1から80μmの範囲であることを特徴とする請求項1から6までの何れか1項記載の被覆材。
  8. 請求項1から7までの何れか1項記載の前記結晶質金属窒化物からなる皮膜をPVD法により形成する被覆材の製造方法。
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