JP2004336836A - モータ駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、複数のバッテリ間の電力の交換が可能なモータ駆動装置を提供する。
【解決手段】モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、スイッチ7を切り換えて、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とによりDC−DCコンバータを構成する。そして、スイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dのスイッチングキャリアに対して、十分速くスイッチング素子4c、4dをスイッチングし、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ9を充電する。
【選択図】 図1
【解決手段】モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、スイッチ7を切り換えて、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とによりDC−DCコンバータを構成する。そして、スイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dのスイッチングキャリアに対して、十分速くスイッチング素子4c、4dをスイッチングし、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ9を充電する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された電源を充電するためのモータ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の独立結線のコイルを備えるモータを駆動する場合、スイッチング素子をHブリッジ構成に接続したインバータ回路、及び該インバータ回路を制御する制御装置によって、N個のコイルの中から2個選択したコイルに独立して電流を流す。そして、対象となるコイルを一定順序で切り換えながら、N個のコイルのそれぞれに電流を流すことで、モータの回転子を回転させる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−242596号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する自動車では、走行用モータを駆動するための高電位のバッテリと、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリを備えている。
このような自動車では、モータの回生電力により充電される高電位バッテリを用いて低電位バッテリを充電したり、その逆に低電位バッテリを用いて高電位バッテリを充電したりすることで、例えば走行中等に外部から電力を供給されなくても、車両内の各バッテリに蓄えられた電力を利用して、車両用補機を動作させながら車両を走行させることができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているような従来のモータ及び制御装置を利用している場合、高電位バッテリと低電位バッテリとの間で電力を供給しあうためには、各バッテリ間の電圧を変換するためのDC−DCコンバータを別に設ける必要があり、自動車のシステム重量の増加や、容積の増加を招き、自動車の燃費の悪化を招くと共に自動車自体のコストを上昇させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、複数のバッテリ間の電力の交換が可能なモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル1u、1v、1w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ1)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ9)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記第2の直流電源の正極側端子に直列に接続されたチョークコイル(例えば実施の形態のチョークコイル8)、及び前記第2の直流電源と並列に接続された平滑コンデンサ(例えば実施の形態の低電位側平滑化コンデンサ10)から構成される電力整流変換回路と、前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ7)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を電力整流変換回路に含まれるチョークコイル側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0009】
請求項2の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル1u、1v、1w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ1)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、1次巻き線と中間タップを備えた2次巻き線を有するトランス(例えば実施の形態のトランス14)の前記2次巻き線の両端へ、2個の整流用ダイオード(例えば実施の形態の整流用ダイオード15a、15b)のアノード端子をそれぞれ接続し、更に前記2個の整流用ダイオードのカソード端子へ、共通に設けられたチョークコイル(例えば実施の形態のチョークコイル8)を直列に接続すると共に、該チョークコイルと前記2次巻き線の中間タップとの間に平滑コンデンサ(例えば実施の形態の低電位側平滑化コンデンサ10)を直列に接続した電力整流変換回路と、前記平滑コンデンサと並列に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ9)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ12、13)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を電力整流変換回路に含まれるトランスの1次巻き線側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、第1の直流電源の電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0011】
請求項3の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル1u、1v、1w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ1)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、前記第1の直流電源を構成するセルの負極側端子に近いセルを利用して構成されると共に、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ19)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記第2の直流電源の正極側端子に直列に接続されたチョークコイル(例えば実施の形態のチョークコイル8)、及び前記第2の直流電源と並列に接続された平滑コンデンサ(例えば実施の形態の低電位側平滑化コンデンサ10)から構成される電力整流変換回路と、前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ7)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を電力整流変換回路に含まれるチョークコイル側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、第1の直流電源と、第1の直流電源の一部により構成される第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0013】
請求項4の発明に係るモータ駆動装置は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ駆動装置において、前記変換制御手段が、前記切換回路を前記固定子コイル側へ切り換えて、前記N組のスイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行する全相通電モードと、前記切換回路を前記電力整流変換回路側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行すると共に、前記電力整流変換回路に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源のいずれか一方の電力を、もう一方へ降圧または昇圧して供給する部分通電モードとを選択可能であることを特徴とする。
【0014】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、変換制御手段が、全相通電モードを選択してモータを制御することにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、部分通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0015】
請求項5の発明に係るモータ駆動装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動装置において、前記変換制御手段が、前記切換回路を前記電力整流変換回路側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路を停止させると共に、前記電力整流変換回路に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源のいずれか一方の電力を、もう一方へ降圧または昇圧して供給する停止時通電モードを選択可能であることを特徴とする。
【0016】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、変換制御手段が、停止時通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを全く駆動させずに、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0017】
請求項6の発明に係るモータ駆動装置は、請求項4、または請求項5に記載のモータ駆動装置において、前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、前記変換制御手段が、前記車両の始動時または加速時には、前記全相通電モードを選択し、安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時には、前記部分通電モードを選択することを特徴とする。
【0018】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、車両の始動時または加速時であって、モータに最大限トルクを発生させたい場合には、全相通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することにより、車両に搭載された第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動し、車両を円滑に走行させることができ、一方、車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータに発生させれば良い場合には、部分通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、車両を円滑に走行させながら、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0019】
請求項7の発明に係るモータ駆動装置は、請求項5に記載のモータ駆動装置において、前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、前記変換制御手段が、前記車両の減速回生時には、前記全相通電モードを選択し、アイドリング時には、前記部分通電モードを選択し、アイドルストップ時には、前記停止時通電モードを選択することを特徴とする。
【0020】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、車両の減速回生時であって、モータに最大限発電させたい場合には、全相通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することにより、車両に搭載された第1の直流電源を、モータの発電電力により最大限効率的に充電し、一方、車両のアイドリング時であって、モータを適当なトルクで駆動すれば良い場合には、部分通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、車両の走行に備えつつ、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。更に、車両のアイドリングストップ時であって、モータを駆動する必要がない場合には、停止時通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを停止して第1の直流電源の電力消費を削減すると共に、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0021】
請求項8の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル17u、17v、17w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ17)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ9)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記N組のスイッチング回路と前記第1の直流電源との間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該スイッチング回路を前記第1の直流電源へ接続するか、または該スイッチング回路を前記第2の直流電源へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ16)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0022】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、該インバータ回路に接続されたコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0023】
請求項9の発明に係るモータ駆動装置は、請求項8に記載のモータ駆動装置において、前記切換回路の接続された前記スイッチング回路に対応する前記固定子コイルに中間タップを設け(例えば実施の形態のコイル17w)、前記固定子コイルと前記スイッチング回路との間に接続されると共に、該固定子コイルの両端の端子を前記スイッチング回路へ接続するか、該固定子コイルの一方の端子と前記中間タップとを前記スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能なコイル切換回路(例えば実施の形態のスイッチ18)を具備することを特徴とする。
【0024】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、固定子コイルの一方の端子とコイルの中間タップとをスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルと、コイル切換回路に接続された固定子コイルの中間タップまでの部分とにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、コイル切換回路に接続されている固定子コイルの両端の端子をスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルにより、第1の直流電源から電力を得ながらモータを駆動させつつ、コイル切換回路に接続された固定子コイルの全体に誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0025】
請求項10の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル17u、17v、17w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ17)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、前記第1の直流電源を構成するセルの負極側端子に近いセルを利用して構成されると共に、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ19)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記N組のスイッチング回路と前記第1の直流電源との間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該スイッチング回路を前記第1の直流電源へ接続するか、または該スイッチング回路を前記第2の直流電源へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ16)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備するモータ駆動装置であって、前記切換回路の接続された前記スイッチング回路に対応する前記固定子コイルに中間タップを設け(例えば実施の形態のコイル17w)、前記固定子コイルと前記スイッチング回路との間に接続されると共に、該固定子コイルの両端の端子を前記スイッチング回路へ接続するか、該固定子コイルの一方の端子と前記中間タップとを前記スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能なコイル切換回路(例えば実施の形態のスイッチ18)を具備することを特徴とする。
【0026】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を第1の直流電源の一部により構成される第2の直流電源側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、該インバータ回路に接続されたコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0027】
また、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、固定子コイルの一方の端子とコイルの中間タップとをスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルと、コイル切換回路に接続された固定子コイルの中間タップまでの部分とにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、コイル切換回路に接続されている固定子コイルの両端の端子をスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルにより、第1の直流電源から電力を得ながらモータを駆動させつつ、コイル切換回路に接続された固定子コイルの全体に誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0028】
請求項11の発明に係るモータ駆動装置は、請求項8から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動装置において、前記変換制御手段が、前記切換回路を前記第1の直流電源側へ切り換えて、前記N組のスイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行する全相通電モードと、前記切換回路を前記第2の直流電源側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行すると共に、前記第2の直流電源に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源の電力により駆動された前記モータが発電する電力を、前記第2の直流電源へ供給する発電駆動通電モードとを選択可能であることを特徴とする。
【0029】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、変換制御手段が、全相通電モードを選択してモータを制御することにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、発電駆動通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、モータのコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0030】
請求項12の発明に係るモータ駆動装置は、請求項11に記載のモータ駆動装置において、前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、前記変換制御手段が、前記車両の始動時または加速時には、前記全相通電モードを選択し、安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時には、前記発電駆動通電モードを選択することを特徴とする。
【0031】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、車両の始動時または加速時であって、モータに最大限トルクを発生させたい場合には、全相通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することにより、車両に搭載された第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動し、車両を円滑に走行させることができ、一方、車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータに発生させれば良い場合には、発電駆動通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、モータのコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
図1において、モータ1は、車両に搭載され、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、その回転子が車両の駆動系に連結されると共に、互いに分離独立した例えば3個のコイル(巻き線)1u、1v、1wを備えたモータであって、モータ1には、コイル1uに電流を流すために、スイッチング素子2a、2b、2c、2dをHブリッジ構成に接続したインバータ2と、コイル1vに電流を流すために、スイッチング素子3a、3b、3c、3dをHブリッジ構成に接続したインバータ3とが接続されている。
【0033】
また、モータ1には、コイル1wに電流を流すために、スイッチング素子4a、4b、4c、4dをHブリッジ構成に接続したインバータ4が、後述するスイッチ7を介して接続されている。なお、スイッチング素子4a、4bの接点とコイル1wは直接接続され、スイッチング素子4c、4dの接点とコイル1wはスイッチ7を介して接続される。
また、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ2、3、4の両端(インバータの入力)には、モータ1を駆動するための高電位バッテリ5と、高電位バッテリ5の電圧を平滑化する高電位側平滑化コンデンサ6とが接続されている。
【0034】
なお、Hブリッジ構成のインバータとは、接続されたコイルに流す電流の向きを、4個のスイッチング素子により制御する構造のインバータのことで、コイル1uとインバータ2とを例に挙げて説明すると、スイッチング素子2aとスイッチング素子2dをON、スイッチング素子2bとスイッチング素子2cをOFFした状態では、高電位バッテリ5の正極側端子により供給される電流は、スイッチング素子2aを通り、図1におけるコイル1uのa点からb点(上から下)へ流れ、スイッチング素子2dを通って高電位バッテリ5の負極側端子へ戻る。同様に、スイッチング素子2aとスイッチング素子2dをOFF、スイッチング素子2bとスイッチング素子2cをONした状態では、電流は、図1におけるコイル1uのb点からa点(下から上)へ流れる。
【0035】
インバータ3も、コイル1vに対して、インバータ2と同様に両方向の電流を流すことができる。また、後述するスイッチ7によって、コイル1wにインバータ4が接続されていれば、インバータ4も、コイル1wに対して、インバータ2と同様に両方向の電流を流すことができる。
従って、インバータ2、3、4によりコイル1u、1v、1wに流れる電流の向きを制御することにより、正負両方向の磁界を発生させて、モータ1の回転子に回転力を与えることができる。
【0036】
一方、スイッチ7は、1個の共通端子7aと2個の切り換え端子7b、7cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子7aがスイッチング素子4c、4dの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子7bは、スイッチング素子4a、4bの接点と接続された端子とは反対側のコイル1wの一方の端子に接続されている。また、切り換え端子7cは、チョークコイル8の一方の端子に接続されており、更にチョークコイル8の反対側のもう一方の端子は、低電位バッテリ9の正極側端子に接続されている。
【0037】
これにより、スイッチ7を切り換えて、コイル1wをスイッチング素子4c、4dの接点に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4bを、同様にインバータ4を構成するスイッチング素子4c、4dと共に、コイル1wに電流を流してモータ1を駆動するためのインバータとして利用することもできるし、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4c、4dの接点を、チョークコイル8を介して低電位バッテリ9の正極側端子に接続することもできる。
【0038】
また、低電位バッテリ9の負極側端子は、高電位バッテリ5の負極側端子と共通に接続されており、低電位バッテリ9の正極側端子と負極側端子との間には、低電位バッテリ9に印加される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10が接続されている。更に、低電位バッテリ9は、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリであって、低電位バッテリ9の正極側端子、及び負極側端子は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0039】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ1の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル1u、1vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ1の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0040】
従って、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続し、インバータ4を構成するスイッチング素子4c、4dを、チョークコイル8を介して低電位バッテリ9の正極側端子に接続することにより、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより非絶縁型のDC−DCコンバータ(電力整流変換回路)を構成し、高電位バッテリ5から供給された電力によって、チョークコイル8を充放電することができる。そして、チョークコイル8に蓄えられた電力を、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すと、高電位バッテリ5の電力を降圧した、低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0041】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4cを所定の通電率Duty_Aでスイッチングしてオンオフ動作させることにより、下記(1)式に基づく電圧がチョークコイル8に発生し、スイッチング素子4dに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4dに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)に流れる電流により、低電位バッテリ9が充電される。なお、(1)式では、Voutをチョークコイル8に発生する電圧、Vinを高電位バッテリ5の電圧とする。
【0042】
Vout/Vin=Duty_A ・・・(1)
【0043】
一方、このスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、低電位側平滑化コンデンサ10とにより構成されたDC−DCコンバータは双方向性を有しており、低電位バッテリ9の電力を昇圧して、高電位バッテリ5を充電したり、インバータ2、3へ電力を供給して、モータ1の駆動力を得ることもできる。また、インバータの高電位側平滑化コンデンサ6への充電(プリチャージ)も行うことができる。
【0044】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4dを所定の通電率Duty_Bでスイッチングしてオンオフ動作させることにより、下記(2)式に基づく電圧がチョークコイル8に発生し、スイッチング素子4cに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4cに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)に流れる電流により、高電位バッテリ5が充電される。なお、この時、インバータ2、3を利用してモータ1を駆動しても良い。また、(2)式では、Voutをチョークコイル8に発生する電圧、Vinを低電位バッテリ9の電圧とする。
【0045】
Vout/Vin=1/(1−Duty_B) ・・・(2)
【0046】
なお、上述のように、スイッチング素子4cまたはスイッチング素子4dをスイッチングするスイッチングキャリアは、2相給電により駆動及び回生しているモータ1にトルク変動が発生しないように、インバータ2、3を構成するスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dのスイッチングキャリアに対して十分速くする。
【0047】
また、表1に本実施の形態のモータ駆動装置を搭載した車両の車両状態と、スイッチ7、及び各インバータ回路2、3、4の状態との対応についての一例を示す。表1に示すように、車両の始動時または加速時であって、モータ1に最大限トルクを発生させたい場合、あるいは車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータ1に発生させれば良い場合、あるいは車両の減速回生時であって、モータ1に最大限発電させたい場合、あるいは車両のアイドリング時であって、モータ1を適当なトルクで駆動すれば良い場合、あるいは車両のアイドリングストップ時であって、モータ1を駆動する必要がない場合の各場合には、スイッチ7をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表1に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5と低電位バッテリ9のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、高電位バッテリ5を低電位バッテリ9の電力により充電するか、または低電位バッテリ9を高電位バッテリ5の電力により充電することができる。
【0048】
【表1】
【0049】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより非絶縁型のDC−DCコンバータを構成することで、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ9を充電することができる。
【0050】
一方、高電位バッテリ5の電力が放電され、インバータ2、3を利用してモータ1を駆動することができない場合は、スイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、低電位側平滑化コンデンサ10とにより構成されたDC−DCコンバータを上述の場合とは逆に用いて、低電位バッテリ9の電力を昇圧して高電位バッテリ5を充電することも、更には低電位バッテリ9の電力を昇圧すると共にインバータ2、3を利用してモータ1を駆動することもできる。また、インバータの高電位側平滑化コンデンサ6への充電(プリチャージ)も行うことができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図2において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第1の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第1の実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとがスイッチ7を介して接続されると共に、スイッチ7の切り換えにより、インバータ4が直接チョークコイル8へ接続され、非絶縁型のDC−DCコンバータを構成するのに対して、本実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとが、後述するスイッチ12、13を介して接続されると共に、スイッチ12、13の切り換えにより、インバータ4をコイル1wから完全に切り離し、更にインバータ4をトランスを介してチョークコイル8へ接続することにより、絶縁型のDC−DCコンバータ(電力整流変換回路)を構成することである。
【0052】
具体的には、図2において、スイッチ12は、1個の共通端子12aと2個の切り換え端子12b、12cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子12aがスイッチング素子4a、4bの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子12bがコイル1wの一方の端子に接続されている。また、切り換え端子12cは、トランス14の1次巻き線の一方の端子に接続されている。
【0053】
同様に、スイッチ13は、1個の共通端子13aと2個の切り換え端子13b、13cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子13aがスイッチング素子4c、4dの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子13bは、切り換え端子12bが接続された端子とは反対側のコイル1wのもう一方の端子に接続されている。また、切り換え端子13cは、切り換え端子12cが接続された端子とは反対側のトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続されている。
【0054】
これにより、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、コイル1wをスイッチング素子4a、4bの接点、及びスイッチング素子4c、4dの接点に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4b、及びスイッチング素子4c、4dを、コイル1wに電流を流してモータ1を駆動するためのインバータとして利用することもできるし、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、インバータ4をコイル1wから完全に切り離し、スイッチング素子4a、4bの接点をトランス14の1次巻き線の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4c、4dの接点をトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続することもできる。
【0055】
また、トランス14の2次巻き線の両端端子には、トランス14の2次巻き線にアノード端子がそれぞれ接続された整流用ダイオード15a、15bが接続されている。また、整流用ダイオード15a、15bのカソード端子には、共通に設けられたチョークコイル8の一方の端子が接続されており、チョークコイル8のもう一方の端子は低電位バッテリ9の正極側端子に接続されている。
【0056】
また、低電位バッテリ9の負極側端子は、トランス14の2次巻き線の中間タップに接続されており、低電位バッテリ9の正極側端子と負極側端子との間には、低電位バッテリ9に印加される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10が接続されている。更に、低電位バッテリ9は、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリであって、低電位バッテリ9の正極側端子、及び負極側端子は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0057】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ1の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル1u、1vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ1の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0058】
従って、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点をトランス14の1次巻き線の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4c、4dの接点をトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続することにより、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、トランス14と、整流用ダイオード15a、15bと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより、フルブリッジ方式の絶縁型DC−DCコンバータを構成する。これにより、トランス14の1次巻き線に高電位バッテリ5からの電力を供給し、トランス14を介して高電位バッテリ5から供給された電力によって、チョークコイル8を充放電することができる。
【0059】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点をトランス14の1次巻き線の一方の端子に、またスイッチング素子4c、4dの接点をトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続すると共に、例えばスイッチング素子4a及びスイッチング素子4dをONしてトランス14の1次巻き線に電流を流した場合にトランス14の2次巻き線に誘起される電流を、整流用ダイオード15aにより整流して取り出すと共に、スイッチング素子4b及びスイッチング素子4cをONしてトランス14の1次巻き線に電流を流した場合にトランス14の2次巻き線に誘起される電流を、整流用ダイオード15bにより整流して取り出す。
【0060】
そして、2相給電により駆動及び回生しているモータ1にトルク変動が発生しないように、インバータ2、3を構成するスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dのスイッチングキャリアに対して十分速く、スイッチング素子4a、4b、4c、4dのスイッチングを繰り返すことで、チョークコイル8へ一方向の電流を流し、チョークコイル8に電力を蓄えると共に、チョークコイル8に蓄えられた電力を、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すと、高電位バッテリ5の電力を降圧した、低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0061】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表1に示すように、スイッチ12、13をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表1に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5の電力を低電位バッテリ9へ供給し、低電位バッテリ9を高電位バッテリ5の電力により充電することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、スイッチング素子4a、4b、4c、4dを備えたインバータ4と、トランス14と、整流用ダイオード15a、15bと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより、フルブリッジ方式の絶縁型DC−DCコンバータを構成することで、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ9を充電することができる。
【0063】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1、第2の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1、第2の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図3において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第1の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第1の実施の形態のモータ駆動装置では、モータ1を駆動するための電力を供給する高電位バッテリ5と、負荷11に対して電力を供給する低電位バッテリ9とを個別に備えていたのに対し、本実施の形態のモータ駆動装置では、高電位バッテリ5の一部を低電位バッテリ19として利用し、専用に用意される単体の低電位バッテリ9を省略することである。
【0064】
具体的には、図3に示すように、例えば高電位バッテリ5が直列に接続された3個のセルからなるバッテリであった場合、高電位バッテリ5に対し、その負極側端子に最も近い1個のセルの正極へ接続された接続端子Aを設け、負極側端子に最も近い1個のセルを低電位バッテリ19として利用する。なお、図3に示す例は一例であって、高電位バッテリ5を構成するセルの数、及び低電位バッテリ19を構成するセルの数は、必要な電圧に基づいて決定されるものとする。
また、低電位バッテリ19の正極側端子と負極側端子に相当する、高電位バッテリ5の接続端子Aと負極側端子は、第1、第2の実施の形態と同様に、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0065】
従って、本実施の形態のモータ駆動装置は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11のために専用に用意される単体の低電位バッテリ9を省略することで、更なる小型化とコストダウンを図ると共に、第1の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とによりDC−DCコンバータを構成することで、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ19を充電することができる。
【0066】
一方、高電位バッテリ5の電力が放電され、インバータ2、3を利用してモータ1を駆動することができない場合は、スイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、低電位側平滑化コンデンサ10とにより構成されたDC−DCコンバータを上述の場合とは逆に用いて、低電位バッテリ19の電力を昇圧して高電位バッテリ5を充電することも、更には低電位バッテリ19の電力を昇圧すると共にインバータ2、3を利用してモータ1を駆動することもできる。また、インバータの高電位側平滑化コンデンサ6への充電(プリチャージ)も行うことができる。
【0067】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表1に示すように、スイッチ7をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表1に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5と低電位バッテリ19のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、高電位バッテリ5を低電位バッテリ19の電力により充電するか、または低電位バッテリ19を高電位バッテリ5の電力により充電することができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1から第3の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1から第3の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図4において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第1の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第1の実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとがスイッチ7を介して接続されると共に、スイッチ7の切り換えにより、インバータ4が直接チョークコイル8へ接続され、非絶縁型のDC−DCコンバータを構成するのに対して、本実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとを直接接続すると共に、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ4の両端を、高電位バッテリ5の両端に接続するか、低電位バッテリ9の両端に接続するかを切り換えるスイッチ16を備え、低電位バッテリ9の充電をモータ1の発電する電力により行うことである。
【0069】
具体的には、図4において、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ2、3の両端には、モータ1を駆動するための高電位バッテリ5と、高電位バッテリ5の電圧を平滑化する高電位側平滑化コンデンサ6とが接続されている。
また、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ4の両端には、インバータ4の両端に印可される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10が接続されている。
【0070】
また、スイッチ16は、1個の共通端子16aと2個の切り換え端子16b、16cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子16aは、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ4の端子(インバータ4の入力)に接続されると共に、切り換え端子16bは、高電位バッテリ5の正極側端子に接続されている。また、切り換え端子16cは、低電位バッテリ9の正極側端子に接続されている。
【0071】
なお、低電位バッテリ9の負極側端子は、高電位バッテリ5の負極側端子と共通に接続されており、更に低電位バッテリ9の正極側端子、及び負極側端子は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0072】
これにより、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を高電位バッテリ5の正極側端子に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4b、及びスイッチング素子4c、4dを、コイル1wに電流を流してモータ1を駆動するためのインバータとして利用することもできるし、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続することにより、低電位バッテリ9を、インバータ4を介してモータ1のコイル1wに接続することもできる。
【0073】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ1の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル1u、1vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ1の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0074】
従って、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続することにより、低電位バッテリ9を、インバータ4を介してモータ1のコイル1wに接続し、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、コイル1wと、低電位側平滑化コンデンサ10と、低電位バッテリ9とにより構成される閉回路において、コイル1wに発生する起電力をインバータ4を介して直流電力に変換すると共に、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すことで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0075】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続すると共に、コイル1wに発生する起電力を、インバータ4を構成するスイッチング素子4aに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4aに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)と、スイッチング素子4dに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4dに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)とに流れる電流として、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すことで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0076】
同様に、コイル1wに発生する起電力を、インバータ4を構成するスイッチング素子4bに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4bに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)と、スイッチング素子4cに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4cに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)とに流れる電流として、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すことで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0077】
すなわち、モータ1の駆動において大トルクが必要な始動時や車両の加速時、あるいは低電位バッテリ9の充電が不要な場合、インバータ2、3、4を用いてモータ1を駆動し駆動出力を向上させたり、モータ1の回生電力をインバータ2、3、4を用いて直流電力へ変換することで、高電位バッテリ5への回生量を増加させ、一方、大トルクが不要な車両のクルーズ時(定速走行時)、あるいは低電位バッテリ9の充電が不要な場合、インバータ2、3を用いてモータ1を駆動し、インバータ4は低電位バッテリ9の充電に利用することができる。
【0078】
具体的に、表2に本実施の形態のモータ駆動装置を搭載した車両の車両状態と、スイッチ16、及び各インバータ回路2、3、4の状態との対応についての一例を示す。表2に示すように、車両の始動時または加速時であって、モータ1に最大限トルクを発生させたい場合、あるいは車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータ1に発生させれば良い場合、あるいは車両の減速回生時であって、モータ1に最大限発電させたい場合、あるいは車両のアイドリング時であって、モータ1を適当なトルクで駆動すれば良い場合、あるいは車両のアイドリングストップ時であって、モータ1を駆動する必要がない場合の各場合には、スイッチ16をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表2に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5から電力を得ながらモータ1を駆動させつつ、モータ1のコイルに誘起する電力を低電位バッテリ9へ供給し、低電位バッテリ9をモータ1の発電電力により充電することができる。
【0079】
【表2】
【0080】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、コイル1wと、低電位側平滑化コンデンサ10と、低電位バッテリ9とにより閉回路を構成することで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0081】
(第5の実施の形態)
図5は、本発明の第5の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1から第4の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1から第4の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図5において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第4の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、本実施の形態のモータ駆動装置では、第4の実施の形態のモータ駆動装置におけるモータ1を、モータを構成する一部のコイルに中間タップを備えたモータ17へ変更すると共に、インバータ4と該中間タップを備えたコイルとの接続を切り換えるスイッチ18を備えたことである。
【0082】
具体的には、図5において、モータ17は互いに分離独立した例えば3個のコイル(巻き線)17u、17v、17wを備えたモータであって、モータ17には、コイル17uに電流を流すために、スイッチング素子2a、2b、2c、2dをHブリッジ構成に接続したインバータ2と、コイル17vに電流を流すために、スイッチング素子3a、3b、3c、3dをHブリッジ構成に接続したインバータ3とが接続されている。また、モータ17には、コイル17wに電流を流すために、スイッチング素子4a、4b、4c、4dをHブリッジ構成に接続したインバータ4が、後述するスイッチ18を介して接続されている。なお、コイル17wは中間タップを備えている。
【0083】
一方、スイッチ18は、1個の共通端子18aと2個の切り換え端子18b、18cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子18aがスイッチング素子4a、4bの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子18bは、スイッチング素子4c、4dの接点と接続された端子とは反対側のコイル17wの一方の端子に接続されている。また、切り換え端子18cは、コイル17wの中間タップに接続されている。これにより、スイッチ18を切り換えて、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4bの接点を、スイッチング素子4c、4dの接点と接続された端子とは反対側のコイル17wの一方の端子に接続するか、コイル17wの中間タップに接続するかを選択することで、インバータ4の出力端子を、コイル17wの両端に接続するか、コイル17wの一方の端子と中間タップとの間に接続するかを選択することができる。
【0084】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ17の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル17u、17vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ17の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0085】
更に、例えばスイッチング素子4c、4dの接点に接続されたコイル17wの一方の端子と中間タップとの間の巻き数を、コイル17u、17vの巻き数と同一にすると共に、コイル17w全体の巻き数を、コイル17u、17vの巻き数より多くすることで、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得る場合に、モータ17の低回転時の効率低下を防止し、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出すことができる。
【0086】
すなわち、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を高電位バッテリ5の正極側端子に接続し、インバータ2、3、4を用いてモータ17を駆動したり、モータ17の回生電力をインバータ2、3、4を用いて直流電力へ変換し、高電位バッテリ5を充電するような場合、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ18を切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点をコイル17wの中間タップに接続することにより、巻き数の同じコイル17u、17v、及びコイル17wの一部(スイッチング素子4c、4dの接点に接続されたコイル17wの一方の端子と中間タップとの間)に、インバータ2、3、4を用いて高電位バッテリ5の電力を供給することでモータ17を駆動し、また、巻き数の同じコイル17u、17v、及びコイル17wの一部に発生する起電力を、回生電力としてインバータ2、3、4を用いて直流電力へ変換することで高電位バッテリ5を充電する。
【0087】
一方、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続し、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、コイル1wと、低電位側平滑化コンデンサ10と、低電位バッテリ9とにより構成される閉回路において、コイル1wに発生する起電力をインバータ4を介して直流電力に変換すると共に、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得る場合、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ18を切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点を、スイッチング素子4c、4dの接点と接続された端子とは反対側のコイル17wの一方の端子に接続することにより、低電位バッテリ9を充電するための電力を誘起させるコイルの巻き数を増やし、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出す。
【0088】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表2に示すように、スイッチ16をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表2に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5から電力を得ながらモータ17を駆動させつつ、モータ17のコイルに誘起する電力を低電位バッテリ9へ供給し、低電位バッテリ9をモータ17の発電電力により充電することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、第4の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、モータ17をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができると共に、低電位バッテリ9を充電するための電力を得る場合、スイッチ18を切り換えてコイルの巻き数を増やし、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出すことで、モータ17の低回転時の効率低下を防止することができる。
【0090】
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1から第5の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1から第5の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図6において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第5の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第5の実施の形態のモータ駆動装置では、モータ17を駆動するための電力を供給する高電位バッテリ5と、負荷11に対して電力を供給する低電位バッテリ9とを個別に備えていたのに対し、本実施の形態のモータ駆動装置では、第3の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、高電位バッテリ5の一部を低電位バッテリ19として利用し、専用に用意される単体の低電位バッテリ9を省略することである。
【0091】
具体的には、第3の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、図6に示すように、例えば高電位バッテリ5が直列に接続された3個のセルからなるバッテリであった場合、高電位バッテリ5に対し、その負極側端子に最も近い1個のセルの正極へ接続された接続端子Aを設け、負極側端子に最も近い1個のセルを低電位バッテリ19として用いる。なお、図6に示す例は一例であって、第3の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、高電位バッテリ5を構成するセルの数、及び低電位バッテリ19を構成するセルの数は、必要な電圧に基づいて決定されるものとする。
また、低電位バッテリ19の正極側端子と負極側端子に相当する、高電位バッテリ5の接続端子Aと負極側端子は、第3の実施の形態と同様に、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0092】
従って、本実施の形態のモータ駆動装置は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11のために専用に用意される単体の低電位バッテリ9が省略されることで、更なる小型化とコストダウンが図られると共に、第5の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、モータ17をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ19を充電するための電力を得ることができると共に、低電位バッテリ19を充電するための電力を得る場合、スイッチ18を切り換えてコイルの巻き数を増やし、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出すことで、モータ17の低回転時の効率低下を防止することができる。
【0093】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表2に示すように、スイッチ16をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表2に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5から電力を得ながらモータ17を駆動させつつ、モータ17のコイルに誘起する電力を低電位バッテリ19へ供給し、低電位バッテリ19をモータ17の発電電力により充電することができる。
【0094】
また、上述の第1から第6の実施の形態におけるスイッチング素子2a、2b、2c、2d、3a、3b、3c、3d、4a、4b、4c、4dには、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)やMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子を用いれば良い。
【0095】
また、第1、または第3の実施の形態において、スイッチ7とチョークコイル8を介して低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へ接続するスイッチング素子は、スイッチング素子2a、2bの組合せ、スイッチング素子2c、2dの組合せ、スイッチング素子3a、3bの組合せ、スイッチング素子3c、3dの組合せ、スイッチング素子4a、4bの組合せ、スイッチング素子4c、4dの組合せのいずれでも良い。このような場合、高電位バッテリ5による低電位バッテリ9または低電位バッテリ19の充電、あるいは低電位バッテリ9または低電位バッテリ19による高電位バッテリ5の充電には、スイッチ7とチョークコイル8を介して低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へ接続されたスイッチング素子の組合せをスイッチングする。
【0096】
また、第2の実施の形態において、トランス14の1次巻き線に接続するインバータは、インバータ2、インバータ3、インバータ4のいずれでも良い。このような場合、高電位バッテリ5による低電位バッテリ9の充電には、トランス14の1次巻き線に接続されたインバータをスイッチングする。
【0097】
また、第4の実施の形態において、スイッチ16を介して低電位バッテリ9に接続するインバータは、インバータ2、インバータ3、インバータ4のいずれでも良い。このような場合、インバータの入力端子に印可される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10は、スイッチ16を介して低電位バッテリ9に接続されたインバータの入力端子に接続し、モータ1のコイルの起電力による低電位バッテリ9の充電には、スイッチ16を介して低電位バッテリ9に接続されたインバータをスイッチングする。
【0098】
また、第5、または第6の実施の形態において、スイッチ16を介して低電位バッテリ9または低電位バッテリ19に接続するインバータは、インバータ2、インバータ3、インバータ4のいずれでも良い。このような場合、インバータの入力端子に印可される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10は、低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へスイッチ16を介して接続されたインバータの入力端子に接続すると共に、モータ17において、該インバータに対応するコイル17u、コイル17v、コイル17wのいずれかに中間タップを設け、更に該インバータと中間タップとをスイッチ18を介して接続する。そして、モータ17のコイルに誘起された電力による低電位バッテリ9または低電位バッテリ19の充電には、低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へスイッチ16を介して接続されたインバータをスイッチングする。
【0099】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1から請求項5に記載のモータ駆動装置によれば、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、全相通電モードとしてN組のスイッチング回路をスイッチング動作させてモータの制御を実行することで、モータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を電力整流変換回路側へ切り換えることにより、部分通電モードとして第1の直流電源から電力を得ながらモータを駆動させつつ、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0100】
また、切換回路を電力整流変換回路側へ切り換えて、停止時通電モードとしてモータを全く駆動させずに、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することもできる。なお、電力整流変換回路は、スイッチング素子にチョークコイルを直接接続する非絶縁型か、スイッチング素子にトランスを介してチョークコイルを接続する絶縁型のいずれかにすることができる。更に、第2の直流電源は、第1の直流電源の一部により構成することができる。
【0101】
従って、モータを駆動または回生制御するためのインバータ回路と、充電を行うために第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給する電力整流変換回路との部品の共用化を行うこと、あるいは不要な部品を削減することにより、小型軽量化とコストダウンとを可能にしたモータ駆動装置を実現することができるという効果が得られる。
【0102】
また、請求項6、請求項7に記載のモータ駆動装置によれば、特にモータ駆動装置を車両に搭載すると共に、車両の始動時、加速時、更には減速回生時には全相通電モードを選択し、車両のクルーズ走行時、または車両のアイドリング時には部分通電モードを選択し、車両のアイドリングストップ時には停止時通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0103】
従って、本発明のモータ駆動装置を利用して、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する車両を構成した場合、車両内の各直流電源に蓄えられた電力を利用して車両用補機を動作させながら車両を走行させるだけでなく、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電したり、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電するためのモータ駆動装置を、各直流電源間の電圧を変換するためのDC−DCコンバータを別に設けることなく実現し、車両のシステム重量の増加や、容積の増加による燃費の悪化やコストの上昇を抑えることができるという効果が得られる。
【0104】
また、請求項8に記載のモータ駆動装置によれば、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えることにより、全相通電モードとしてN組のスイッチング回路をスイッチング動作させてモータの制御を実行することで、モータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えることにより、発電駆動通電モードとしてモータを適当な状態で駆動しつつ、モータの固定子コイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0105】
また、請求項9から請求項11に記載のモータ駆動装置によれば、中間タップを備えた固定子コイルとスイッチング回路との接続を切り換えるコイル切換回路を設け、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えてモータの制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、固定子コイルの一方の端子とコイルの中間タップとをスイッチング回路へ接続することで、モータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えてモータの制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、コイル切換回路に接続されている固定子コイルの両端の端子をスイッチング回路へ接続することで、モータを駆動させつつ、該固定子コイルの全体に誘起する電力を利用して第2の直流電源を充電することができる。なお、第2の直流電源は、第1の直流電源の一部により構成することができる。
【0106】
従って、モータを駆動または回生制御するためのインバータ回路と、モータに誘起した電力を利用した第2の直流電源を充電するための電力整流変換回路との部品の共用化を行うこと、あるいは不要な部品を削減することにより、小型軽量化とコストダウンとを可能にしたモータ駆動装置を実現することができるという効果が得られる。
【0107】
また、請求項12に記載のモータ駆動装置によれば、特にモータ駆動装置を車両に搭載すると共に、車両の始動時、加速時、更には減速回生時には全相通電モードを選択し、車両のクルーズ走行時、または車両のアイドリング時には、発電駆動通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、モータのコイルに誘起する電力を利用して第2の直流電源を充電することができる。
【0108】
従って、本発明のモータ駆動装置を利用して、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する車両を構成した場合、車両内の各直流電源に蓄えられた電力を利用して車両用補機を動作させながら車両を走行させるだけでなく、モータのコイルに誘起する電力により第2の直流電源を充電するためのモータ駆動装置を、切換回路の追加のみで実現し、車両のシステム重量の増加や、容積の増加による燃費の悪化やコストの上昇を抑えることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1、17・・・モータ
1u、1v、1w、17u、17v、17w・・・コイル(固定子コイル)
2、3、4・・・インバータ(インバータ回路)
2a、2b、2c、2d、3a、3b、3c、3d、4a、4b、4c、4d・・・スイッチング素子
5・・・高電位バッテリ(第1の直流電源)
6・・・高電位側平滑化コンデンサ
7、12、13、16・・・スイッチ(切換回路)
18・・・スイッチ(コイル切換回路)
8・・・チョークコイル
9、19・・・低電位バッテリ(第2の直流電源)
10・・・低電位側平滑化コンデンサ(平滑コンデンサ)
11・・・負荷
14・・・トランス
15a、15b・・・整流用ダイオード
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に搭載された電源を充電するためのモータ駆動装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の独立結線のコイルを備えるモータを駆動する場合、スイッチング素子をHブリッジ構成に接続したインバータ回路、及び該インバータ回路を制御する制御装置によって、N個のコイルの中から2個選択したコイルに独立して電流を流す。そして、対象となるコイルを一定順序で切り換えながら、N個のコイルのそれぞれに電流を流すことで、モータの回転子を回転させる(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
【特許文献1】
特開平08−242596号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する自動車では、走行用モータを駆動するための高電位のバッテリと、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリを備えている。
このような自動車では、モータの回生電力により充電される高電位バッテリを用いて低電位バッテリを充電したり、その逆に低電位バッテリを用いて高電位バッテリを充電したりすることで、例えば走行中等に外部から電力を供給されなくても、車両内の各バッテリに蓄えられた電力を利用して、車両用補機を動作させながら車両を走行させることができる。
【0005】
しかし、特許文献1に記載されているような従来のモータ及び制御装置を利用している場合、高電位バッテリと低電位バッテリとの間で電力を供給しあうためには、各バッテリ間の電圧を変換するためのDC−DCコンバータを別に設ける必要があり、自動車のシステム重量の増加や、容積の増加を招き、自動車の燃費の悪化を招くと共に自動車自体のコストを上昇させてしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、システム重量の増加や、容積の増加を最小限に抑えつつ、複数のバッテリ間の電力の交換が可能なモータ駆動装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル1u、1v、1w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ1)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ9)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記第2の直流電源の正極側端子に直列に接続されたチョークコイル(例えば実施の形態のチョークコイル8)、及び前記第2の直流電源と並列に接続された平滑コンデンサ(例えば実施の形態の低電位側平滑化コンデンサ10)から構成される電力整流変換回路と、前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ7)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を電力整流変換回路に含まれるチョークコイル側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0009】
請求項2の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル1u、1v、1w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ1)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、1次巻き線と中間タップを備えた2次巻き線を有するトランス(例えば実施の形態のトランス14)の前記2次巻き線の両端へ、2個の整流用ダイオード(例えば実施の形態の整流用ダイオード15a、15b)のアノード端子をそれぞれ接続し、更に前記2個の整流用ダイオードのカソード端子へ、共通に設けられたチョークコイル(例えば実施の形態のチョークコイル8)を直列に接続すると共に、該チョークコイルと前記2次巻き線の中間タップとの間に平滑コンデンサ(例えば実施の形態の低電位側平滑化コンデンサ10)を直列に接続した電力整流変換回路と、前記平滑コンデンサと並列に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ9)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ12、13)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0010】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を電力整流変換回路に含まれるトランスの1次巻き線側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、第1の直流電源の電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0011】
請求項3の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル1u、1v、1w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ1)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、前記第1の直流電源を構成するセルの負極側端子に近いセルを利用して構成されると共に、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ19)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記第2の直流電源の正極側端子に直列に接続されたチョークコイル(例えば実施の形態のチョークコイル8)、及び前記第2の直流電源と並列に接続された平滑コンデンサ(例えば実施の形態の低電位側平滑化コンデンサ10)から構成される電力整流変換回路と、前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ7)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0012】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を電力整流変換回路に含まれるチョークコイル側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、第1の直流電源と、第1の直流電源の一部により構成される第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0013】
請求項4の発明に係るモータ駆動装置は、請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ駆動装置において、前記変換制御手段が、前記切換回路を前記固定子コイル側へ切り換えて、前記N組のスイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行する全相通電モードと、前記切換回路を前記電力整流変換回路側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行すると共に、前記電力整流変換回路に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源のいずれか一方の電力を、もう一方へ降圧または昇圧して供給する部分通電モードとを選択可能であることを特徴とする。
【0014】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、変換制御手段が、全相通電モードを選択してモータを制御することにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、部分通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0015】
請求項5の発明に係るモータ駆動装置は、請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動装置において、前記変換制御手段が、前記切換回路を前記電力整流変換回路側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路を停止させると共に、前記電力整流変換回路に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源のいずれか一方の電力を、もう一方へ降圧または昇圧して供給する停止時通電モードを選択可能であることを特徴とする。
【0016】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、変換制御手段が、停止時通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを全く駆動させずに、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0017】
請求項6の発明に係るモータ駆動装置は、請求項4、または請求項5に記載のモータ駆動装置において、前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、前記変換制御手段が、前記車両の始動時または加速時には、前記全相通電モードを選択し、安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時には、前記部分通電モードを選択することを特徴とする。
【0018】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、車両の始動時または加速時であって、モータに最大限トルクを発生させたい場合には、全相通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することにより、車両に搭載された第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動し、車両を円滑に走行させることができ、一方、車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータに発生させれば良い場合には、部分通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、車両を円滑に走行させながら、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0019】
請求項7の発明に係るモータ駆動装置は、請求項5に記載のモータ駆動装置において、前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、前記変換制御手段が、前記車両の減速回生時には、前記全相通電モードを選択し、アイドリング時には、前記部分通電モードを選択し、アイドルストップ時には、前記停止時通電モードを選択することを特徴とする。
【0020】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、車両の減速回生時であって、モータに最大限発電させたい場合には、全相通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することにより、車両に搭載された第1の直流電源を、モータの発電電力により最大限効率的に充電し、一方、車両のアイドリング時であって、モータを適当なトルクで駆動すれば良い場合には、部分通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、車両の走行に備えつつ、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。更に、車両のアイドリングストップ時であって、モータを駆動する必要がない場合には、停止時通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを停止して第1の直流電源の電力消費を削減すると共に、第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0021】
請求項8の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル17u、17v、17w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ17)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ9)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記N組のスイッチング回路と前記第1の直流電源との間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該スイッチング回路を前記第1の直流電源へ接続するか、または該スイッチング回路を前記第2の直流電源へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ16)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備することを特徴とする。
【0022】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、該インバータ回路に接続されたコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0023】
請求項9の発明に係るモータ駆動装置は、請求項8に記載のモータ駆動装置において、前記切換回路の接続された前記スイッチング回路に対応する前記固定子コイルに中間タップを設け(例えば実施の形態のコイル17w)、前記固定子コイルと前記スイッチング回路との間に接続されると共に、該固定子コイルの両端の端子を前記スイッチング回路へ接続するか、該固定子コイルの一方の端子と前記中間タップとを前記スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能なコイル切換回路(例えば実施の形態のスイッチ18)を具備することを特徴とする。
【0024】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、固定子コイルの一方の端子とコイルの中間タップとをスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルと、コイル切換回路に接続された固定子コイルの中間タップまでの部分とにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、コイル切換回路に接続されている固定子コイルの両端の端子をスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルにより、第1の直流電源から電力を得ながらモータを駆動させつつ、コイル切換回路に接続された固定子コイルの全体に誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0025】
請求項10の発明に係るモータ駆動装置は、互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイル(例えば実施の形態のコイル17u、17v、17w)を備えたモータ(例えば実施の形態のモータ17)と、前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源(例えば実施の形態の高電位バッテリ5)と、前記第1の直流電源を構成するセルの負極側端子に近いセルを利用して構成されると共に、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源(例えば実施の形態の低電位バッテリ19)と、正極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2a、2c、3a、3c、4a、4c)と負極側スイッチング素子(例えば実施の形態のスイッチング素子2b、2d、3b、3d、4b、4d)との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路(例えば実施の形態のインバータ2、3、4)と、前記N組のスイッチング回路と前記第1の直流電源との間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該スイッチング回路を前記第1の直流電源へ接続するか、または該スイッチング回路を前記第2の直流電源へ接続するかの切り換えが可能な切換回路(例えば実施の形態のスイッチ16)と、前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備するモータ駆動装置であって、前記切換回路の接続された前記スイッチング回路に対応する前記固定子コイルに中間タップを設け(例えば実施の形態のコイル17w)、前記固定子コイルと前記スイッチング回路との間に接続されると共に、該固定子コイルの両端の端子を前記スイッチング回路へ接続するか、該固定子コイルの一方の端子と前記中間タップとを前記スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能なコイル切換回路(例えば実施の形態のスイッチ18)を具備することを特徴とする。
【0026】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えることにより、N組のスイッチング回路をスイッチング動作させて、モータの駆動制御または回生制御を実行することができると共に、切換回路を第1の直流電源の一部により構成される第2の直流電源側へ切り換えることにより、第1の直流電源から電力を得ながら、モータに備えられたN個のコイルのいずれか(N−1)個に接続された(N−1)組のインバータ回路のスイッチング動作によってモータを駆動させつつ、残る1組のインバータ回路をスイッチング動作させて、該インバータ回路に接続されたコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0027】
また、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、固定子コイルの一方の端子とコイルの中間タップとをスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルと、コイル切換回路に接続された固定子コイルの中間タップまでの部分とにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えてモータの駆動制御または回生制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、コイル切換回路に接続されている固定子コイルの両端の端子をスイッチング回路へ接続することで、コイル切換回路に接続されていない(N−1)個の固定子コイルにより、第1の直流電源から電力を得ながらモータを駆動させつつ、コイル切換回路に接続された固定子コイルの全体に誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0028】
請求項11の発明に係るモータ駆動装置は、請求項8から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動装置において、前記変換制御手段が、前記切換回路を前記第1の直流電源側へ切り換えて、前記N組のスイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行する全相通電モードと、前記切換回路を前記第2の直流電源側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行すると共に、前記第2の直流電源に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源の電力により駆動された前記モータが発電する電力を、前記第2の直流電源へ供給する発電駆動通電モードとを選択可能であることを特徴とする。
【0029】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、変換制御手段が、全相通電モードを選択してモータを制御することにより、第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動することができ、一方、発電駆動通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、モータのコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0030】
請求項12の発明に係るモータ駆動装置は、請求項11に記載のモータ駆動装置において、前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、前記変換制御手段が、前記車両の始動時または加速時には、前記全相通電モードを選択し、安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時には、前記発電駆動通電モードを選択することを特徴とする。
【0031】
以上の構成を備えたモータ駆動装置は、車両の始動時または加速時であって、モータに最大限トルクを発生させたい場合には、全相通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することにより、車両に搭載された第1の直流電源を用いてモータを最大限効率的に駆動し、車両を円滑に走行させることができ、一方、車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータに発生させれば良い場合には、発電駆動通電モードを選択してモータを制御することにより、モータを適当な状態で駆動しつつ、モータのコイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
図1において、モータ1は、車両に搭載され、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、その回転子が車両の駆動系に連結されると共に、互いに分離独立した例えば3個のコイル(巻き線)1u、1v、1wを備えたモータであって、モータ1には、コイル1uに電流を流すために、スイッチング素子2a、2b、2c、2dをHブリッジ構成に接続したインバータ2と、コイル1vに電流を流すために、スイッチング素子3a、3b、3c、3dをHブリッジ構成に接続したインバータ3とが接続されている。
【0033】
また、モータ1には、コイル1wに電流を流すために、スイッチング素子4a、4b、4c、4dをHブリッジ構成に接続したインバータ4が、後述するスイッチ7を介して接続されている。なお、スイッチング素子4a、4bの接点とコイル1wは直接接続され、スイッチング素子4c、4dの接点とコイル1wはスイッチ7を介して接続される。
また、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ2、3、4の両端(インバータの入力)には、モータ1を駆動するための高電位バッテリ5と、高電位バッテリ5の電圧を平滑化する高電位側平滑化コンデンサ6とが接続されている。
【0034】
なお、Hブリッジ構成のインバータとは、接続されたコイルに流す電流の向きを、4個のスイッチング素子により制御する構造のインバータのことで、コイル1uとインバータ2とを例に挙げて説明すると、スイッチング素子2aとスイッチング素子2dをON、スイッチング素子2bとスイッチング素子2cをOFFした状態では、高電位バッテリ5の正極側端子により供給される電流は、スイッチング素子2aを通り、図1におけるコイル1uのa点からb点(上から下)へ流れ、スイッチング素子2dを通って高電位バッテリ5の負極側端子へ戻る。同様に、スイッチング素子2aとスイッチング素子2dをOFF、スイッチング素子2bとスイッチング素子2cをONした状態では、電流は、図1におけるコイル1uのb点からa点(下から上)へ流れる。
【0035】
インバータ3も、コイル1vに対して、インバータ2と同様に両方向の電流を流すことができる。また、後述するスイッチ7によって、コイル1wにインバータ4が接続されていれば、インバータ4も、コイル1wに対して、インバータ2と同様に両方向の電流を流すことができる。
従って、インバータ2、3、4によりコイル1u、1v、1wに流れる電流の向きを制御することにより、正負両方向の磁界を発生させて、モータ1の回転子に回転力を与えることができる。
【0036】
一方、スイッチ7は、1個の共通端子7aと2個の切り換え端子7b、7cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子7aがスイッチング素子4c、4dの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子7bは、スイッチング素子4a、4bの接点と接続された端子とは反対側のコイル1wの一方の端子に接続されている。また、切り換え端子7cは、チョークコイル8の一方の端子に接続されており、更にチョークコイル8の反対側のもう一方の端子は、低電位バッテリ9の正極側端子に接続されている。
【0037】
これにより、スイッチ7を切り換えて、コイル1wをスイッチング素子4c、4dの接点に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4bを、同様にインバータ4を構成するスイッチング素子4c、4dと共に、コイル1wに電流を流してモータ1を駆動するためのインバータとして利用することもできるし、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4c、4dの接点を、チョークコイル8を介して低電位バッテリ9の正極側端子に接続することもできる。
【0038】
また、低電位バッテリ9の負極側端子は、高電位バッテリ5の負極側端子と共通に接続されており、低電位バッテリ9の正極側端子と負極側端子との間には、低電位バッテリ9に印加される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10が接続されている。更に、低電位バッテリ9は、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリであって、低電位バッテリ9の正極側端子、及び負極側端子は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0039】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ1の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル1u、1vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ1の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0040】
従って、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続し、インバータ4を構成するスイッチング素子4c、4dを、チョークコイル8を介して低電位バッテリ9の正極側端子に接続することにより、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより非絶縁型のDC−DCコンバータ(電力整流変換回路)を構成し、高電位バッテリ5から供給された電力によって、チョークコイル8を充放電することができる。そして、チョークコイル8に蓄えられた電力を、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すと、高電位バッテリ5の電力を降圧した、低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0041】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4cを所定の通電率Duty_Aでスイッチングしてオンオフ動作させることにより、下記(1)式に基づく電圧がチョークコイル8に発生し、スイッチング素子4dに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4dに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)に流れる電流により、低電位バッテリ9が充電される。なお、(1)式では、Voutをチョークコイル8に発生する電圧、Vinを高電位バッテリ5の電圧とする。
【0042】
Vout/Vin=Duty_A ・・・(1)
【0043】
一方、このスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、低電位側平滑化コンデンサ10とにより構成されたDC−DCコンバータは双方向性を有しており、低電位バッテリ9の電力を昇圧して、高電位バッテリ5を充電したり、インバータ2、3へ電力を供給して、モータ1の駆動力を得ることもできる。また、インバータの高電位側平滑化コンデンサ6への充電(プリチャージ)も行うことができる。
【0044】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ7を切り換えて、スイッチング素子4c、4dの接点をチョークコイル8の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4dを所定の通電率Duty_Bでスイッチングしてオンオフ動作させることにより、下記(2)式に基づく電圧がチョークコイル8に発生し、スイッチング素子4cに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4cに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)に流れる電流により、高電位バッテリ5が充電される。なお、この時、インバータ2、3を利用してモータ1を駆動しても良い。また、(2)式では、Voutをチョークコイル8に発生する電圧、Vinを低電位バッテリ9の電圧とする。
【0045】
Vout/Vin=1/(1−Duty_B) ・・・(2)
【0046】
なお、上述のように、スイッチング素子4cまたはスイッチング素子4dをスイッチングするスイッチングキャリアは、2相給電により駆動及び回生しているモータ1にトルク変動が発生しないように、インバータ2、3を構成するスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dのスイッチングキャリアに対して十分速くする。
【0047】
また、表1に本実施の形態のモータ駆動装置を搭載した車両の車両状態と、スイッチ7、及び各インバータ回路2、3、4の状態との対応についての一例を示す。表1に示すように、車両の始動時または加速時であって、モータ1に最大限トルクを発生させたい場合、あるいは車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータ1に発生させれば良い場合、あるいは車両の減速回生時であって、モータ1に最大限発電させたい場合、あるいは車両のアイドリング時であって、モータ1を適当なトルクで駆動すれば良い場合、あるいは車両のアイドリングストップ時であって、モータ1を駆動する必要がない場合の各場合には、スイッチ7をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表1に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5と低電位バッテリ9のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、高電位バッテリ5を低電位バッテリ9の電力により充電するか、または低電位バッテリ9を高電位バッテリ5の電力により充電することができる。
【0048】
【表1】
【0049】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより非絶縁型のDC−DCコンバータを構成することで、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ9を充電することができる。
【0050】
一方、高電位バッテリ5の電力が放電され、インバータ2、3を利用してモータ1を駆動することができない場合は、スイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、低電位側平滑化コンデンサ10とにより構成されたDC−DCコンバータを上述の場合とは逆に用いて、低電位バッテリ9の電力を昇圧して高電位バッテリ5を充電することも、更には低電位バッテリ9の電力を昇圧すると共にインバータ2、3を利用してモータ1を駆動することもできる。また、インバータの高電位側平滑化コンデンサ6への充電(プリチャージ)も行うことができる。
【0051】
(第2の実施の形態)
図2は、本発明の第2の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図2において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第1の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第1の実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとがスイッチ7を介して接続されると共に、スイッチ7の切り換えにより、インバータ4が直接チョークコイル8へ接続され、非絶縁型のDC−DCコンバータを構成するのに対して、本実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとが、後述するスイッチ12、13を介して接続されると共に、スイッチ12、13の切り換えにより、インバータ4をコイル1wから完全に切り離し、更にインバータ4をトランスを介してチョークコイル8へ接続することにより、絶縁型のDC−DCコンバータ(電力整流変換回路)を構成することである。
【0052】
具体的には、図2において、スイッチ12は、1個の共通端子12aと2個の切り換え端子12b、12cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子12aがスイッチング素子4a、4bの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子12bがコイル1wの一方の端子に接続されている。また、切り換え端子12cは、トランス14の1次巻き線の一方の端子に接続されている。
【0053】
同様に、スイッチ13は、1個の共通端子13aと2個の切り換え端子13b、13cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子13aがスイッチング素子4c、4dの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子13bは、切り換え端子12bが接続された端子とは反対側のコイル1wのもう一方の端子に接続されている。また、切り換え端子13cは、切り換え端子12cが接続された端子とは反対側のトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続されている。
【0054】
これにより、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、コイル1wをスイッチング素子4a、4bの接点、及びスイッチング素子4c、4dの接点に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4b、及びスイッチング素子4c、4dを、コイル1wに電流を流してモータ1を駆動するためのインバータとして利用することもできるし、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、インバータ4をコイル1wから完全に切り離し、スイッチング素子4a、4bの接点をトランス14の1次巻き線の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4c、4dの接点をトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続することもできる。
【0055】
また、トランス14の2次巻き線の両端端子には、トランス14の2次巻き線にアノード端子がそれぞれ接続された整流用ダイオード15a、15bが接続されている。また、整流用ダイオード15a、15bのカソード端子には、共通に設けられたチョークコイル8の一方の端子が接続されており、チョークコイル8のもう一方の端子は低電位バッテリ9の正極側端子に接続されている。
【0056】
また、低電位バッテリ9の負極側端子は、トランス14の2次巻き線の中間タップに接続されており、低電位バッテリ9の正極側端子と負極側端子との間には、低電位バッテリ9に印加される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10が接続されている。更に、低電位バッテリ9は、ヘッドライトやワイパー等その他の車両用補機を駆動するための低電位バッテリであって、低電位バッテリ9の正極側端子、及び負極側端子は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0057】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ1の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル1u、1vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ1の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0058】
従って、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点をトランス14の1次巻き線の一方の端子に接続すると共に、スイッチング素子4c、4dの接点をトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続することにより、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、トランス14と、整流用ダイオード15a、15bと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより、フルブリッジ方式の絶縁型DC−DCコンバータを構成する。これにより、トランス14の1次巻き線に高電位バッテリ5からの電力を供給し、トランス14を介して高電位バッテリ5から供給された電力によって、チョークコイル8を充放電することができる。
【0059】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ12、13を2個1組で切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点をトランス14の1次巻き線の一方の端子に、またスイッチング素子4c、4dの接点をトランス14の1次巻き線のもう一方の端子に接続すると共に、例えばスイッチング素子4a及びスイッチング素子4dをONしてトランス14の1次巻き線に電流を流した場合にトランス14の2次巻き線に誘起される電流を、整流用ダイオード15aにより整流して取り出すと共に、スイッチング素子4b及びスイッチング素子4cをONしてトランス14の1次巻き線に電流を流した場合にトランス14の2次巻き線に誘起される電流を、整流用ダイオード15bにより整流して取り出す。
【0060】
そして、2相給電により駆動及び回生しているモータ1にトルク変動が発生しないように、インバータ2、3を構成するスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dのスイッチングキャリアに対して十分速く、スイッチング素子4a、4b、4c、4dのスイッチングを繰り返すことで、チョークコイル8へ一方向の電流を流し、チョークコイル8に電力を蓄えると共に、チョークコイル8に蓄えられた電力を、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すと、高電位バッテリ5の電力を降圧した、低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0061】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表1に示すように、スイッチ12、13をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表1に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5の電力を低電位バッテリ9へ供給し、低電位バッテリ9を高電位バッテリ5の電力により充電することができる。
【0062】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、スイッチング素子4a、4b、4c、4dを備えたインバータ4と、トランス14と、整流用ダイオード15a、15bと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とにより、フルブリッジ方式の絶縁型DC−DCコンバータを構成することで、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ9を充電することができる。
【0063】
(第3の実施の形態)
図3は、本発明の第3の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1、第2の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1、第2の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図3において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第1の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第1の実施の形態のモータ駆動装置では、モータ1を駆動するための電力を供給する高電位バッテリ5と、負荷11に対して電力を供給する低電位バッテリ9とを個別に備えていたのに対し、本実施の形態のモータ駆動装置では、高電位バッテリ5の一部を低電位バッテリ19として利用し、専用に用意される単体の低電位バッテリ9を省略することである。
【0064】
具体的には、図3に示すように、例えば高電位バッテリ5が直列に接続された3個のセルからなるバッテリであった場合、高電位バッテリ5に対し、その負極側端子に最も近い1個のセルの正極へ接続された接続端子Aを設け、負極側端子に最も近い1個のセルを低電位バッテリ19として利用する。なお、図3に示す例は一例であって、高電位バッテリ5を構成するセルの数、及び低電位バッテリ19を構成するセルの数は、必要な電圧に基づいて決定されるものとする。
また、低電位バッテリ19の正極側端子と負極側端子に相当する、高電位バッテリ5の接続端子Aと負極側端子は、第1、第2の実施の形態と同様に、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0065】
従って、本実施の形態のモータ駆動装置は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11のために専用に用意される単体の低電位バッテリ9を省略することで、更なる小型化とコストダウンを図ると共に、第1の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、インバータ4に含まれるスイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、更には低電位側平滑化コンデンサ10とによりDC−DCコンバータを構成することで、高電位バッテリ5の電力を降圧して低電位バッテリ19を充電することができる。
【0066】
一方、高電位バッテリ5の電力が放電され、インバータ2、3を利用してモータ1を駆動することができない場合は、スイッチング素子4c、4dと、チョークコイル8と、低電位側平滑化コンデンサ10とにより構成されたDC−DCコンバータを上述の場合とは逆に用いて、低電位バッテリ19の電力を昇圧して高電位バッテリ5を充電することも、更には低電位バッテリ19の電力を昇圧すると共にインバータ2、3を利用してモータ1を駆動することもできる。また、インバータの高電位側平滑化コンデンサ6への充電(プリチャージ)も行うことができる。
【0067】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表1に示すように、スイッチ7をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表1に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5と低電位バッテリ19のいずれか一方の電力をもう一方へ供給し、高電位バッテリ5を低電位バッテリ19の電力により充電するか、または低電位バッテリ19を高電位バッテリ5の電力により充電することができる。
【0068】
(第4の実施の形態)
図4は、本発明の第4の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1から第3の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1から第3の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図4において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第1の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第1の実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとがスイッチ7を介して接続されると共に、スイッチ7の切り換えにより、インバータ4が直接チョークコイル8へ接続され、非絶縁型のDC−DCコンバータを構成するのに対して、本実施の形態のモータ駆動装置では、インバータ4とコイル1wとを直接接続すると共に、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ4の両端を、高電位バッテリ5の両端に接続するか、低電位バッテリ9の両端に接続するかを切り換えるスイッチ16を備え、低電位バッテリ9の充電をモータ1の発電する電力により行うことである。
【0069】
具体的には、図4において、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ2、3の両端には、モータ1を駆動するための高電位バッテリ5と、高電位バッテリ5の電圧を平滑化する高電位側平滑化コンデンサ6とが接続されている。
また、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ4の両端には、インバータ4の両端に印可される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10が接続されている。
【0070】
また、スイッチ16は、1個の共通端子16aと2個の切り換え端子16b、16cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子16aは、モータ1が接続された端子の反対側のインバータ4の端子(インバータ4の入力)に接続されると共に、切り換え端子16bは、高電位バッテリ5の正極側端子に接続されている。また、切り換え端子16cは、低電位バッテリ9の正極側端子に接続されている。
【0071】
なお、低電位バッテリ9の負極側端子は、高電位バッテリ5の負極側端子と共通に接続されており、更に低電位バッテリ9の正極側端子、及び負極側端子は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0072】
これにより、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を高電位バッテリ5の正極側端子に接続することにより、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4b、及びスイッチング素子4c、4dを、コイル1wに電流を流してモータ1を駆動するためのインバータとして利用することもできるし、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続することにより、低電位バッテリ9を、インバータ4を介してモータ1のコイル1wに接続することもできる。
【0073】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ1の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル1u、1vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ1の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0074】
従って、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続することにより、低電位バッテリ9を、インバータ4を介してモータ1のコイル1wに接続し、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、コイル1wと、低電位側平滑化コンデンサ10と、低電位バッテリ9とにより構成される閉回路において、コイル1wに発生する起電力をインバータ4を介して直流電力に変換すると共に、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すことで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0075】
具体的には、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続すると共に、コイル1wに発生する起電力を、インバータ4を構成するスイッチング素子4aに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4aに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)と、スイッチング素子4dに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4dに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)とに流れる電流として、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すことで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0076】
同様に、コイル1wに発生する起電力を、インバータ4を構成するスイッチング素子4bに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4bに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)と、スイッチング素子4cに備えられた転流ダイオード(図示せず)、またはスイッチング素子4cに寄生する寄生ダイオード(図示せず:転流ダイオードとして機能する)とに流れる電流として、低電位側平滑化コンデンサ10により平滑化して取り出すことで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0077】
すなわち、モータ1の駆動において大トルクが必要な始動時や車両の加速時、あるいは低電位バッテリ9の充電が不要な場合、インバータ2、3、4を用いてモータ1を駆動し駆動出力を向上させたり、モータ1の回生電力をインバータ2、3、4を用いて直流電力へ変換することで、高電位バッテリ5への回生量を増加させ、一方、大トルクが不要な車両のクルーズ時(定速走行時)、あるいは低電位バッテリ9の充電が不要な場合、インバータ2、3を用いてモータ1を駆動し、インバータ4は低電位バッテリ9の充電に利用することができる。
【0078】
具体的に、表2に本実施の形態のモータ駆動装置を搭載した車両の車両状態と、スイッチ16、及び各インバータ回路2、3、4の状態との対応についての一例を示す。表2に示すように、車両の始動時または加速時であって、モータ1に最大限トルクを発生させたい場合、あるいは車両が安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時であって、クルーズ走行に適当なトルクをモータ1に発生させれば良い場合、あるいは車両の減速回生時であって、モータ1に最大限発電させたい場合、あるいは車両のアイドリング時であって、モータ1を適当なトルクで駆動すれば良い場合、あるいは車両のアイドリングストップ時であって、モータ1を駆動する必要がない場合の各場合には、スイッチ16をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表2に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5から電力を得ながらモータ1を駆動させつつ、モータ1のコイルに誘起する電力を低電位バッテリ9へ供給し、低電位バッテリ9をモータ1の発電電力により充電することができる。
【0079】
【表2】
【0080】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、モータ1をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、コイル1wと、低電位側平滑化コンデンサ10と、低電位バッテリ9とにより閉回路を構成することで、モータ1のコイル1wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができる。
【0081】
(第5の実施の形態)
図5は、本発明の第5の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1から第4の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1から第4の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図5において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第4の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、本実施の形態のモータ駆動装置では、第4の実施の形態のモータ駆動装置におけるモータ1を、モータを構成する一部のコイルに中間タップを備えたモータ17へ変更すると共に、インバータ4と該中間タップを備えたコイルとの接続を切り換えるスイッチ18を備えたことである。
【0082】
具体的には、図5において、モータ17は互いに分離独立した例えば3個のコイル(巻き線)17u、17v、17wを備えたモータであって、モータ17には、コイル17uに電流を流すために、スイッチング素子2a、2b、2c、2dをHブリッジ構成に接続したインバータ2と、コイル17vに電流を流すために、スイッチング素子3a、3b、3c、3dをHブリッジ構成に接続したインバータ3とが接続されている。また、モータ17には、コイル17wに電流を流すために、スイッチング素子4a、4b、4c、4dをHブリッジ構成に接続したインバータ4が、後述するスイッチ18を介して接続されている。なお、コイル17wは中間タップを備えている。
【0083】
一方、スイッチ18は、1個の共通端子18aと2個の切り換え端子18b、18cを持つ1回路2接点のスイッチであって、共通端子18aがスイッチング素子4a、4bの接点(インバータ4の出力)に接続されると共に、切り換え端子18bは、スイッチング素子4c、4dの接点と接続された端子とは反対側のコイル17wの一方の端子に接続されている。また、切り換え端子18cは、コイル17wの中間タップに接続されている。これにより、スイッチ18を切り換えて、インバータ4を構成するスイッチング素子4a、4bの接点を、スイッチング素子4c、4dの接点と接続された端子とは反対側のコイル17wの一方の端子に接続するか、コイル17wの中間タップに接続するかを選択することで、インバータ4の出力端子を、コイル17wの両端に接続するか、コイル17wの一方の端子と中間タップとの間に接続するかを選択することができる。
【0084】
また、このように接続された本実施の形態のモータ駆動装置は、インバータ2、3、4を完全に独立して動作させることが可能であって、例えばモータ17の回転子の駆動は、インバータ2、3から電流が供給されたコイル17u、17vにより駆動する2相給電とし、インバータ4は休止、またはモータ17の回転子の駆動には関係のない動作を行わせることができる。
【0085】
更に、例えばスイッチング素子4c、4dの接点に接続されたコイル17wの一方の端子と中間タップとの間の巻き数を、コイル17u、17vの巻き数と同一にすると共に、コイル17w全体の巻き数を、コイル17u、17vの巻き数より多くすることで、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得る場合に、モータ17の低回転時の効率低下を防止し、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出すことができる。
【0086】
すなわち、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を高電位バッテリ5の正極側端子に接続し、インバータ2、3、4を用いてモータ17を駆動したり、モータ17の回生電力をインバータ2、3、4を用いて直流電力へ変換し、高電位バッテリ5を充電するような場合、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ18を切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点をコイル17wの中間タップに接続することにより、巻き数の同じコイル17u、17v、及びコイル17wの一部(スイッチング素子4c、4dの接点に接続されたコイル17wの一方の端子と中間タップとの間)に、インバータ2、3、4を用いて高電位バッテリ5の電力を供給することでモータ17を駆動し、また、巻き数の同じコイル17u、17v、及びコイル17wの一部に発生する起電力を、回生電力としてインバータ2、3、4を用いて直流電力へ変換することで高電位バッテリ5を充電する。
【0087】
一方、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ16を切り換えて、インバータ4の端子を低電位バッテリ9の正極側端子に接続し、インバータ4に含まれるスイッチング素子4a、4b、4c、4dと、コイル1wと、低電位側平滑化コンデンサ10と、低電位バッテリ9とにより構成される閉回路において、コイル1wに発生する起電力をインバータ4を介して直流電力に変換すると共に、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得る場合、変換制御回路(図示せず)が、スイッチ18を切り換えて、スイッチング素子4a、4bの接点を、スイッチング素子4c、4dの接点と接続された端子とは反対側のコイル17wの一方の端子に接続することにより、低電位バッテリ9を充電するための電力を誘起させるコイルの巻き数を増やし、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出す。
【0088】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表2に示すように、スイッチ16をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表2に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5から電力を得ながらモータ17を駆動させつつ、モータ17のコイルに誘起する電力を低電位バッテリ9へ供給し、低電位バッテリ9をモータ17の発電電力により充電することができる。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態のモータ駆動装置は、第4の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、モータ17をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ9を充電するための電力を得ることができると共に、低電位バッテリ9を充電するための電力を得る場合、スイッチ18を切り換えてコイルの巻き数を増やし、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出すことで、モータ17の低回転時の効率低下を防止することができる。
【0090】
(第6の実施の形態)
図6は、本発明の第6の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。なお、第1から第5の実施の形態と同一の符号を付与した構成要素は、第1から第5の実施の形態で説明した構成要素と同一のものとして説明は省略する。
図6において、本実施の形態のモータ駆動装置が、第5の実施の形態のモータ駆動装置と異なる部分は、第5の実施の形態のモータ駆動装置では、モータ17を駆動するための電力を供給する高電位バッテリ5と、負荷11に対して電力を供給する低電位バッテリ9とを個別に備えていたのに対し、本実施の形態のモータ駆動装置では、第3の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、高電位バッテリ5の一部を低電位バッテリ19として利用し、専用に用意される単体の低電位バッテリ9を省略することである。
【0091】
具体的には、第3の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、図6に示すように、例えば高電位バッテリ5が直列に接続された3個のセルからなるバッテリであった場合、高電位バッテリ5に対し、その負極側端子に最も近い1個のセルの正極へ接続された接続端子Aを設け、負極側端子に最も近い1個のセルを低電位バッテリ19として用いる。なお、図6に示す例は一例であって、第3の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、高電位バッテリ5を構成するセルの数、及び低電位バッテリ19を構成するセルの数は、必要な電圧に基づいて決定されるものとする。
また、低電位バッテリ19の正極側端子と負極側端子に相当する、高電位バッテリ5の接続端子Aと負極側端子は、第3の実施の形態と同様に、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11に接続されている。
【0092】
従って、本実施の形態のモータ駆動装置は、車両に搭載された各車両用補機類である負荷11のために専用に用意される単体の低電位バッテリ9が省略されることで、更なる小型化とコストダウンが図られると共に、第5の実施の形態のモータ駆動装置と同様に、モータ17をスイッチング素子2a、2b、2c、2dやスイッチング素子3a、3b、3c、3dを備えたインバータ2、3による高電位バッテリ5からの2相給電により駆動しながら、モータ17のコイル17wにおいて発電された電力から低電位バッテリ19を充電するための電力を得ることができると共に、低電位バッテリ19を充電するための電力を得る場合、スイッチ18を切り換えてコイルの巻き数を増やし、コイル17wにおける誘起電圧を可能な限り高電圧で取り出すことで、モータ17の低回転時の効率低下を防止することができる。
【0093】
なお、本実施の形態のモータ駆動装置も、表2に示すように、スイッチ16をそれぞれ対応する方向へ切り換えると共に、各インバータ回路2、3、4を表2に示す通りに制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、高電位バッテリ5から電力を得ながらモータ17を駆動させつつ、モータ17のコイルに誘起する電力を低電位バッテリ19へ供給し、低電位バッテリ19をモータ17の発電電力により充電することができる。
【0094】
また、上述の第1から第6の実施の形態におけるスイッチング素子2a、2b、2c、2d、3a、3b、3c、3d、4a、4b、4c、4dには、IGBT(絶縁ゲート型バイポーラ・トランジスタ)やMOSFET(MOS電界効果トランジスタ)等のスイッチング素子を用いれば良い。
【0095】
また、第1、または第3の実施の形態において、スイッチ7とチョークコイル8を介して低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へ接続するスイッチング素子は、スイッチング素子2a、2bの組合せ、スイッチング素子2c、2dの組合せ、スイッチング素子3a、3bの組合せ、スイッチング素子3c、3dの組合せ、スイッチング素子4a、4bの組合せ、スイッチング素子4c、4dの組合せのいずれでも良い。このような場合、高電位バッテリ5による低電位バッテリ9または低電位バッテリ19の充電、あるいは低電位バッテリ9または低電位バッテリ19による高電位バッテリ5の充電には、スイッチ7とチョークコイル8を介して低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へ接続されたスイッチング素子の組合せをスイッチングする。
【0096】
また、第2の実施の形態において、トランス14の1次巻き線に接続するインバータは、インバータ2、インバータ3、インバータ4のいずれでも良い。このような場合、高電位バッテリ5による低電位バッテリ9の充電には、トランス14の1次巻き線に接続されたインバータをスイッチングする。
【0097】
また、第4の実施の形態において、スイッチ16を介して低電位バッテリ9に接続するインバータは、インバータ2、インバータ3、インバータ4のいずれでも良い。このような場合、インバータの入力端子に印可される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10は、スイッチ16を介して低電位バッテリ9に接続されたインバータの入力端子に接続し、モータ1のコイルの起電力による低電位バッテリ9の充電には、スイッチ16を介して低電位バッテリ9に接続されたインバータをスイッチングする。
【0098】
また、第5、または第6の実施の形態において、スイッチ16を介して低電位バッテリ9または低電位バッテリ19に接続するインバータは、インバータ2、インバータ3、インバータ4のいずれでも良い。このような場合、インバータの入力端子に印可される電圧を平滑化する低電位側平滑化コンデンサ10は、低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へスイッチ16を介して接続されたインバータの入力端子に接続すると共に、モータ17において、該インバータに対応するコイル17u、コイル17v、コイル17wのいずれかに中間タップを設け、更に該インバータと中間タップとをスイッチ18を介して接続する。そして、モータ17のコイルに誘起された電力による低電位バッテリ9または低電位バッテリ19の充電には、低電位バッテリ9または低電位バッテリ19へスイッチ16を介して接続されたインバータをスイッチングする。
【0099】
【発明の効果】
以上の如く、請求項1から請求項5に記載のモータ駆動装置によれば、切換回路を固定子コイル側へ切り換えることにより、全相通電モードとしてN組のスイッチング回路をスイッチング動作させてモータの制御を実行することで、モータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を電力整流変換回路側へ切り換えることにより、部分通電モードとして第1の直流電源から電力を得ながらモータを駆動させつつ、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0100】
また、切換回路を電力整流変換回路側へ切り換えて、停止時通電モードとしてモータを全く駆動させずに、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することもできる。なお、電力整流変換回路は、スイッチング素子にチョークコイルを直接接続する非絶縁型か、スイッチング素子にトランスを介してチョークコイルを接続する絶縁型のいずれかにすることができる。更に、第2の直流電源は、第1の直流電源の一部により構成することができる。
【0101】
従って、モータを駆動または回生制御するためのインバータ回路と、充電を行うために第1の直流電源と第2の直流電源のいずれか一方の電力をもう一方へ供給する電力整流変換回路との部品の共用化を行うこと、あるいは不要な部品を削減することにより、小型軽量化とコストダウンとを可能にしたモータ駆動装置を実現することができるという効果が得られる。
【0102】
また、請求項6、請求項7に記載のモータ駆動装置によれば、特にモータ駆動装置を車両に搭載すると共に、車両の始動時、加速時、更には減速回生時には全相通電モードを選択し、車両のクルーズ走行時、または車両のアイドリング時には部分通電モードを選択し、車両のアイドリングストップ時には停止時通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電するか、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電することができる。
【0103】
従って、本発明のモータ駆動装置を利用して、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する車両を構成した場合、車両内の各直流電源に蓄えられた電力を利用して車両用補機を動作させながら車両を走行させるだけでなく、第1の直流電源を第2の直流電源の電力により充電したり、または第2の直流電源を第1の直流電源の電力により充電するためのモータ駆動装置を、各直流電源間の電圧を変換するためのDC−DCコンバータを別に設けることなく実現し、車両のシステム重量の増加や、容積の増加による燃費の悪化やコストの上昇を抑えることができるという効果が得られる。
【0104】
また、請求項8に記載のモータ駆動装置によれば、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えることにより、全相通電モードとしてN組のスイッチング回路をスイッチング動作させてモータの制御を実行することで、モータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えることにより、発電駆動通電モードとしてモータを適当な状態で駆動しつつ、モータの固定子コイルに誘起する電力を第2の直流電源へ供給し、第2の直流電源をモータの発電電力により充電することができる。
【0105】
また、請求項9から請求項11に記載のモータ駆動装置によれば、中間タップを備えた固定子コイルとスイッチング回路との接続を切り換えるコイル切換回路を設け、切換回路を第1の直流電源側へ切り換えてモータの制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、固定子コイルの一方の端子とコイルの中間タップとをスイッチング回路へ接続することで、モータを最大限効率的に駆動することができ、一方、切換回路を第2の直流電源側へ切り換えてモータの制御を実行する際は、更にコイル切換回路を切り換えて、コイル切換回路に接続されている固定子コイルの両端の端子をスイッチング回路へ接続することで、モータを駆動させつつ、該固定子コイルの全体に誘起する電力を利用して第2の直流電源を充電することができる。なお、第2の直流電源は、第1の直流電源の一部により構成することができる。
【0106】
従って、モータを駆動または回生制御するためのインバータ回路と、モータに誘起した電力を利用した第2の直流電源を充電するための電力整流変換回路との部品の共用化を行うこと、あるいは不要な部品を削減することにより、小型軽量化とコストダウンとを可能にしたモータ駆動装置を実現することができるという効果が得られる。
【0107】
また、請求項12に記載のモータ駆動装置によれば、特にモータ駆動装置を車両に搭載すると共に、車両の始動時、加速時、更には減速回生時には全相通電モードを選択し、車両のクルーズ走行時、または車両のアイドリング時には、発電駆動通電モードを選択して走行用または走行を補助するモータを制御することで、車両を円滑に走行させると共に、最も効率的かつ効果的に、モータのコイルに誘起する電力を利用して第2の直流電源を充電することができる。
【0108】
従って、本発明のモータ駆動装置を利用して、EV(Electric Vehicles )やHEV(Hybrid Electric Vehicles)等、モータを利用して走行する車両を構成した場合、車両内の各直流電源に蓄えられた電力を利用して車両用補機を動作させながら車両を走行させるだけでなく、モータのコイルに誘起する電力により第2の直流電源を充電するためのモータ駆動装置を、切換回路の追加のみで実現し、車両のシステム重量の増加や、容積の増加による燃費の悪化やコストの上昇を抑えることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図2】本発明の第2の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図3】本発明の第3の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図4】本発明の第4の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図5】本発明の第5の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【図6】本発明の第6の実施の形態のモータ駆動装置を示す回路図である。
【符号の説明】
1、17・・・モータ
1u、1v、1w、17u、17v、17w・・・コイル(固定子コイル)
2、3、4・・・インバータ(インバータ回路)
2a、2b、2c、2d、3a、3b、3c、3d、4a、4b、4c、4d・・・スイッチング素子
5・・・高電位バッテリ(第1の直流電源)
6・・・高電位側平滑化コンデンサ
7、12、13、16・・・スイッチ(切換回路)
18・・・スイッチ(コイル切換回路)
8・・・チョークコイル
9、19・・・低電位バッテリ(第2の直流電源)
10・・・低電位側平滑化コンデンサ(平滑コンデンサ)
11・・・負荷
14・・・トランス
15a、15b・・・整流用ダイオード
Claims (12)
- 互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイルを備えたモータと、
前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源と、
負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源と、
正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路と、
前記第2の直流電源の正極側端子に直列に接続されたチョークコイル、及び前記第2の直流電源と並列に接続された平滑コンデンサから構成される電力整流変換回路と、
前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路と、
前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段と
を具備することを特徴とするモータ駆動装置。 - 互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイルを備えたモータと、
前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源と、
1次巻き線と中間タップを備えた2次巻き線を有するトランスの前記2次巻き線の両端へ、2個の整流用ダイオードのアノード端子をそれぞれ接続し、更に前記2個の整流用ダイオードのカソード端子へ、共通に設けられたチョークコイルを直列に接続すると共に、該チョークコイルと前記2次巻き線の中間タップとの間に平滑コンデンサを直列に接続した電力整流変換回路と、
前記平滑コンデンサと並列に接続された第2の直流電源と、
正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路と、
前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路と、
前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段と
を具備することを特徴とするモータ駆動装置。 - 互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイルを備えたモータと、
前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源と、
前記第1の直流電源を構成するセルの負極側端子に近いセルを利用して構成されると共に、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源と、
正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路と、
前記第2の直流電源の正極側端子に直列に接続されたチョークコイル、及び前記第2の直流電源と並列に接続された平滑コンデンサから構成される電力整流変換回路と、
前記N組のスイッチング回路と前記N個の固定子コイルとの間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該固定子コイルを該スイッチング回路へ接続するか、または前記電力整流変換回路を該スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能な切換回路と、
前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段と
を具備することを特徴とするモータ駆動装置。 - 前記変換制御手段が、
前記切換回路を前記固定子コイル側へ切り換えて、前記N組のスイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行する全相通電モードと、
前記切換回路を前記電力整流変換回路側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行すると共に、前記電力整流変換回路に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源のいずれか一方の電力を、もう一方へ降圧または昇圧して供給する部分通電モードとを選択可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のモータ駆動装置。 - 前記変換制御手段が、
前記切換回路を前記電力整流変換回路側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路を停止させると共に、前記電力整流変換回路に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源と前記第2の直流電源のいずれか一方の電力を、もう一方へ降圧または昇圧して供給する停止時通電モードを選択可能である
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のモータ駆動装置。 - 前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、
前記変換制御手段が、前記車両の始動時または加速時には、前記全相通電モードを選択し、安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時には、前記部分通電モードを選択する
ことを特徴とする請求項4、または請求項5に記載のモータ駆動装置。 - 前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、
前記変換制御手段が、前記車両の減速回生時には、前記全相通電モードを選択し、アイドリング時には、前記部分通電モードを選択し、アイドルストップ時には、前記停止時通電モードを選択する
ことを特徴とする請求項5に記載のモータ駆動装置。 - 互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイルを備えたモータと、
前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源と、
負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源と、
正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路と、
前記N組のスイッチング回路と前記第1の直流電源との間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該スイッチング回路を前記第1の直流電源へ接続するか、または該スイッチング回路を前記第2の直流電源へ接続するかの切り換えが可能な切換回路と、
前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段と
を具備することを特徴とするモータ駆動装置。 - 前記切換回路の接続された前記スイッチング回路に対応する前記固定子コイルに中間タップを設け、
前記固定子コイルと前記スイッチング回路との間に接続されると共に、該固定子コイルの両端の端子を前記スイッチング回路へ接続するか、該固定子コイルの一方の端子と前記中間タップとを前記スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能なコイル切換回路
を具備することを特徴とする請求項8に記載のモータ駆動装置。 - 互いに分離独立したN個(Nは3以上の整数)の固定子コイルを備えたモータと、
前記モータを駆動するための電力を保持する第1の直流電源と、
前記第1の直流電源を構成するセルの負極側端子に近いセルを利用して構成されると共に、負極側端子が前記第1の直流電源と共通に接続された第2の直流電源と、
正極側スイッチング素子と負極側スイッチング素子との直列回路を2個並列接続したスイッチング回路を1組とするN組のスイッチング回路から構成されると共に、前記第1の直流電源に接続され、前記N個の固定子コイルに対して前記第1の直流電源から独立に電流を供給可能なインバータ回路と、
前記N組のスイッチング回路と前記第1の直流電源との間をそれぞれ接続する接続経路のいずれかに挿入されると共に、該スイッチング回路を前記第1の直流電源へ接続するか、または該スイッチング回路を前記第2の直流電源へ接続するかの切り換えが可能な切換回路と、
前記インバータ回路のスイッチング動作を制御する変換制御手段とを具備するモータ駆動装置であって、
前記切換回路の接続された前記スイッチング回路に対応する前記固定子コイルに中間タップを設け、
前記固定子コイルと前記スイッチング回路との間に接続されると共に、該固定子コイルの両端の端子を前記スイッチング回路へ接続するか、該固定子コイルの一方の端子と前記中間タップとを前記スイッチング回路へ接続するかの切り換えが可能なコイル切換回路
を具備することを特徴とするモータ駆動装置。 - 前記変換制御手段が、
前記切換回路を前記第1の直流電源側へ切り換えて、前記N組のスイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行する全相通電モードと、
前記切換回路を前記第2の直流電源側へ切り換えて、(N−1)組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記モータの駆動制御または回生制御を実行すると共に、前記第2の直流電源に接続された残る1組の前記スイッチング回路をスイッチング動作させることにより、前記第1の直流電源の電力により駆動された前記モータが発電する電力を、前記第2の直流電源へ供給する発電駆動通電モードとを選択可能である
ことを特徴とする請求項8から請求項10のいずれかに記載のモータ駆動装置。 - 前記モータが、車両を走行駆動するエンジンを補助するか、または車両を走行駆動するように、前記車両の駆動系に連結されてなり、
前記変換制御手段が、前記車両の始動時または加速時には、前記全相通電モードを選択し、安定走行状態で定速走行を行うクルーズ走行時には、前記発電駆動通電モードを選択する
ことを特徴とする請求項11に記載のモータ駆動装置。
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