JP2004283645A - 塗布液吐出用ダイヘッド - Google Patents
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Abstract
【課題】ダイヘッドを用いて塗布を行う際,基板上に異物があっても,基板上に斑のない均一な塗布膜を形成する。
【解決手段】ダイヘッド3の下面3aに吐出口21が設けられる。ダイヘッド3の下面3aを水平面にすることによって,吐出口21よりもダイヘッド3の進行方向側に,吐出口21と同じ高さのバンパ部34が形成される。塗布液を吐出したダイヘッド3が基板Gの表面上を移動する際,基板G上にある突起物などの異物Pは,総てバンパ部34に衝突する。このようにバンパ部34によって,吐出口21に異物Pが衝突することが防止されるので,吐出口21から吐出される塗布液の状態が安定し,基板G上に斑のない塗布膜が形成される。
【選択図】 図8
【解決手段】ダイヘッド3の下面3aに吐出口21が設けられる。ダイヘッド3の下面3aを水平面にすることによって,吐出口21よりもダイヘッド3の進行方向側に,吐出口21と同じ高さのバンパ部34が形成される。塗布液を吐出したダイヘッド3が基板Gの表面上を移動する際,基板G上にある突起物などの異物Pは,総てバンパ部34に衝突する。このようにバンパ部34によって,吐出口21に異物Pが衝突することが防止されるので,吐出口21から吐出される塗布液の状態が安定し,基板G上に斑のない塗布膜が形成される。
【選択図】 図8
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板に塗布液を吐出する塗布液吐出用ダイヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造工程において,矩形のガラス基板(以下,「基板」という。)の表面上にブラックマトリクスやR,G,Bの着色パターンなどを形成する際に,基板上に所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布処理が行われている。
【0003】
上述の塗布処理には,塗布液吐出用ダイヘッドを用いる,いわゆるダイコーティング法が広く採用されている。塗布液吐出用ダイヘッドは,本体が基板の一辺程度の細長形状を有し,その下面に下方に突出し尖ったダイリップ(吐出部)を備えている。そのダイリップには,スリット状の吐出口が形成されており,塗布液吐出用ダイヘッドからは,本体の長手方向に沿ったカーテン状の塗布液を吐出できる(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
そして,上述のダイコーティング法では,塗布液を吐出した塗布液吐出用ダイヘッドを,基板の表面に近接させた状態で,基板の一端部から他端部まで基板の表面に沿って移動させることによって,基板の表面の全面に塗布液を塗布している。このダイコーティング法は,基板表面に均一な塗布膜を形成するために,塗布液吐出用ダイヘッドから吐出された塗布液が外乱を受けずに基板の表面に落下するように,塗布液吐出用ダイヘッドを基板に数十μmまで近づけた状態で行われる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−153795号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,基板の表面上には,例えばガラス基板自体の製造時にできた,ガラスの突起物が残存している場合がある。また,基板の表面に微小な塵埃が付着している場合もある。このような場合,当該突起物や不純物などの異物が,基板の表面に沿って移動する塗布液吐出用ヘッドのダイリップに衝突することがあった。
【0007】
このように前記突起物や不純物が塗布液吐出用ダイヘッドに衝突すると,その衝突部分のダイリップに傷が付いたり,或いはダイリップが歪んでしまうことがあった。ダイリップに傷が付いたり,ダイリップが歪むと,その部分から吐出される塗布液の流れの状態が変わり,塗布液吐出用ダイヘッドから吐出されるカーテン状の塗布液の流れがその長手方向に渡って不均一になる。また,塗布液吐出用ダイヘッドの進行方向においても,衝突前後で塗布液の流れが変化する。この結果,基板の短辺方向及び長辺方向に渡って塗布液が均一に塗布されず,これによって塗布斑が生じて,基板上に均一な塗布膜が形成されていなかった。
【0008】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,塗布液吐出用ダイヘッドを用いて塗布を行う際,基板上に微小な突起物や塵埃などの異物があってもダイリップなどの吐出部が損傷を受けず,基板上に斑のない均一な塗布膜を形成できる塗布液吐出用ダイヘッドを提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,基板の表面に近接し,当該基板の表面に対し塗布液を吐出した状態で当該表面上を所定方向に移動することによって,基板の表面に塗布液を塗布する塗布液吐出用ダイヘッドであって,塗布液吐出用ダイヘッドの本体の下面には,塗布液を吐出するスリット状の吐出口を有する吐出部が形成されており,前記本体の前記吐出部よりも塗布液吐出用ダイヘッドの進行方向側には,基板の表面上にある異物の衝突が前記吐出部に衝突するのを防止する防護部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば,前記吐出部の進行方向側に防護部が形成されているので,塗布液吐出用ダイヘッドが塗布液を吐出しながら,基板の表面上を移動した時に,基板上に例えばガラスの突起物などの異物があっても,当該異物には防護部が衝突し,吐出部が異物に衝突することはない。したがって,スリット状の吐出口を有する吐出部が,その長手方向に渡って部分的に傷つけられたり,歪められたりすることがない。つまり,吐出部からは長手方向に渡って常に均一な塗布液が吐出される。この結果,基板に近接された塗布液吐出用ダイヘッドを基板の表面に沿って移動させながら,スリット状の吐出口から基板上に塗布液を吐出した場合でも,基板上に斑のない均一な塗布膜が形成される。
【0011】
前記防護部は,前記吐出部と同じかそれより低い位置に設けられていてもよい。
また,前記防護部は,前記進行方向に沿って前記吐出部の前後に形成されていてもよい。かかる場合,塗布液吐出用ダイヘッドが往復移動する場合であっても,吐出部に基板上の異物が衝突することを防止できる。
【0012】
前記本体は,前記進行方向の前後方向に沿って一部が接合された2つの本体構成部材を有し,前記2つの本体構成部材のうち,前記進行方向側の本体構成部材は,その下面が前記吐出部と同じ高さで水平に形成されており,当該本体構成部材の下面によって,前記防護部が形成されていてもよい。
【0013】
また,前記本体は,前記進行方向の前後方向に沿って一部が接合された2つの本体構成部材を有し,前記2つの本体構成部材のうち,前記進行方向側の本体構成部材は,その下面が前記吐出部と同じ高さに形成されており,前記防護部は,当該本体構成部材の下面から下方に突出する凸状に形成されていてもよい。かかる場合,防護部が吐出部よりも下方に位置するので,吐出部に対する基板上の異物の衝突をより確実に防止できる。
【0014】
前記本体の下面であって,前記吐出部よりも前記進行方向後方側には,前記吐出口と平行な溝が形成されていてもよい。吐出部から吐出される塗布液は表面張力により本体の下面に伝って流れようとする。本発明のように吐出部の後方側に溝を形成することによって,この溝が本体の下面を伝う塗布液の流れを規制し,塗布液は溝のある位置から本体の下面を離れて落下する。この結果,塗布液は常に同じ位置から落下することになり,基板上に塗布される塗布液が安定するので,基板上に斑のない塗布膜が形成できる。なお,前記溝は,前記進行方向に沿って前記吐出部の前後に形成されていてもよい。かかる場合,塗布液吐出用ダイヘッドが往復移動可能な時に,塗布液吐出用ダイヘッドをいずれの方向に移動させても,本体の下面を伝う塗布液の流れを規制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる塗布液吐出用ダイヘッドが用いられる塗布装置1の構成の概略を示す斜視図であり,図2は,塗布装置1の構成の概略を示す縦断面の説明図であり,図3は,塗布装置1の構成の概略を示す平面図である。
【0016】
塗布装置1は,例えば図1に示すように基板Gが載置される載置台2と,基板Gに塗布液を塗布するための塗布液吐出部材であるダイヘッド3と,ダイヘッド3からの塗布液の吐出状態を安定,調整するためのディスペンスロール4,5を備えている。
【0017】
載置台2は,例えば基板Gと同じかそれよりも大きい方形の盤である。載置台2の上面は,平坦化処理が施されており,載置台2には,基板Gを水平かつ平坦に載置できる。図2に示すように載置台2には,複数の貫通孔10が垂直方向に形成されており,この貫通孔10内には,昇降ピン11が配置されている。昇降ピン11は,例えばシリンダなどの昇降駆動部12によって昇降できる。したがって,昇降ピン11上に基板Gを支持して当該昇降ピン11を昇降させることによって,例えば図示しない搬送機構から受け取った基板Gを載置台2に載置したり,載置台2の基板Gを持ち上げて当該搬送機構に受け渡したりすることができる。
【0018】
ダイヘッド3は,例えば図3に示すように本体20が基板Gの短辺よりも長い細長形状を有している。ダイヘッド3は,載置台2上であって,本体20の長手方向を基板Gの短辺方向(図3中のY方向)に向けて配置されている。ダイヘッド3の本体20は,例えば図4に示すように各々が一体成型された2つの本体構成部材20a,20bの一部を接合させることによって構成されている。例えば第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,ダイヘッド3の移動方向であるX方向(図4の左右方向)に並べて配置されている。本実施の形態においては,例えば第1の本体構成部材20aはX方向正方向(図4の左方向)側に配置され,第2の本体構成部材20bはX方向負方向(図4の右方向)側に配置されている。
【0019】
第1及び第2の本体構成部材20a,20bは,各々が細長の略直方体形状に形成され,縦断面が長方形を有している。第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,縦方向の長さが等しく形成されている。そして,第1及び第2の本体構成部材20a,20bは,本体20の縦断面が略長方形になるように揃えて接合されている。つまり,本体20の下面(ダイヘッド3の下面)3aは,略水平面である。なお,この接合は,ねじなどの固定部材によって行ってもよい。
【0020】
第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bとの間には,隙間が設けられており,この隙間が,塗布液の吐出口21と,本体20の内部を通過する塗布液の供給流路22を形成している。例えば吐出口21は,当該本体20の下面3aに開口している。図5に示すように吐出口21は,本体20の長手方向に沿って基板Gの短辺よりやや短く塗布領域より長いスリット状に形成されている。なお,図4に示すように本実施の形態において,吐出部Kは,ダイヘッド3の下面3aにおける吐出口21の周辺部をいう。
【0021】
本体20内の供給流路22は,例えば図4及び図6に示すように一端部が本体20の側面に開口した導入路23と,導入路23の他端部が接続された第1のマニホルド24と,第1のマニホルド24の下面に上端部が開口した複数の通路25と,各通路25の下端部が接続された第2のマニホルド26と,第2のマニホルド26の下面に開口し,吐出口21に通じるスリット27を備えている。
【0022】
導入路23には,例えば図4に示すようにダイヘッド3の外部に設置された塗布液供給装置30に通じる供給管31が接続されている。塗布液供給装置30から供給された塗布液は,供給管31を通じて導入路23からダイヘッド3内に導入される。第1のマニホルド24は,長手方向に沿った細長い空間を形成し,導入路23から導入された塗布液を一旦貯留し,その貯留された塗布液の液圧を均一にすることができる。複数の通路25は,第1のマニホルド24の下面に長手方向に沿って均等に配置されている。これらの通路25によって,第1のマニホルド24内の塗布液を第2のマニホルド26に偏り無く導入できる。第2のマニホルド26は,第1のマニホルド24よりも容量が小さく,長手方向に長い空間になっている。第2のマニホルド26は,複数の通路25から導入された塗布液を貯留し,当該塗布液の液圧を均一にすることができる。
【0023】
スリット27は,第2のマニホルド26の下面に本体20の長手方向に沿って開口し,吐出口21まで連通している。スリット27は,平面から見て吐出口21と同形同大に形成されている。したがって,第2のマニホルド26で圧力の一様になった塗布液をそのまま吐出口21から吐出させることができる。
【0024】
図5に示すように,本体20の長手方向の両側端部には,当て板Aが取り付けられている。図6に示すようにこの当て板50によって,第1のマニホルド24,第2のマニホルド26及びスリット27などの両端部の開口部が塞がれている。
【0025】
以上のようなダイヘッド3の本体20の構成により,塗布液供給装置30から供給管31を通じてダイヘッド3内に導入された塗布液は,導入路23を通じて第1のマニホルド24に貯留され,その後,複数の通路25を通じて第2のマニホルド26に導入され貯留される。そして,第2のマニホルド26の塗布液は,スリット27を通じて吐出口21の全面から同圧力で吐出される。
【0026】
図4及び図5に示すようにダイヘッド3の下面3aの吐出口21の近傍,例えば下面3aの吐出口21を挟んだX方向に沿った両側には,それぞれ溝32,33が形成されている。溝32,33は,吐出口21と同程度の長さに吐出口21に並列するように形成されている。この溝32,33によって,吐出口21から吐出される塗布液がダイヘッド3の下面3aを伝って流れることが規制され,塗布液は,溝32,33の位置から一様に下面3aから離れ,基板Gに向けて落下する。なお,溝32は,第1の本体構成部材20a側に設けられ,溝33は,第2の本体構成部材20b側に設けられている。
【0027】
上述したように第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,それぞれ断面が略長方形の形状を有し,下面が水平になっている。つまり,第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,それぞれ吐出口21と同じ高さの水平面を有する下端部を備えている。したがって,ダイヘッド3をX方向に沿って往復移動させた場合,例えば前方の基板G上にある塵埃などの異物は,第1及び第2の本体構成部材20a,20bの下端部に衝突し,吐出部K(吐出口21)に直接衝突することは無い。このように,第1及び第2の本体構成部材20a,20bの各下端部は,吐出部Kの防護部としてのバンパ部34,35になっている。なお,本実施の形態において,第1の本体構成部材20aの下端部をバンパ部34,第2の本体構成部材20bの下端部をバンパ部35とする。
【0028】
ダイヘッド3は,図1及び図3に示すように両端部が駆動部40,41によって支持されている。各駆動部40,41は,それぞれがX方向に沿って敷設されたレール42,43上に置かれている。各駆動部40,41には,当該各駆動部40,41をレール42,43に沿って移動させる,例えば水平駆動部としてのリニアモータやダイヘッド3を上下動させる昇降駆動部としてのシリンダが備えられている。したがって,駆動部40,41によってダイヘッド3を基板Gの表面に近づけて,基板Gの表面に沿ってX方向に移動させることができる。
【0029】
ディスペンスロール4,5は,載置台2を挟んだX方向の両側にそれぞれ配置されている。ディスペンスロール4,5は,例えば基板Gの横幅よりも長い円柱状に形成されており,図示しない回転駆動部により回転する。ディスペンスロール4,5,は,例えば最上部の高さが載置台2上に載置される基板Gと同じ高さになるように配置されている。図7に示すようにディスペンスロール4,5の最上部の上にダイヘッド3の吐出口21を位置させて,ディスペンスロール4,5を回転させながら吐出口21から塗布液を吐出することによって,塗布液の吐出状態を安定させたり,調整することができる。
【0030】
ディスペンスロール4,5の下方には,例えば図2,図7に示すように塗布液の回収容器50,51がそれぞれ設けられており,ディスペンスロール4,5から流れ落ちる塗布液を受け止めて回収することができる。各ディスペンスロール4,5には,ディスペンスロール4,5の表面に接触するブレード52,53がそれぞれ設けられている。ブレード52,53は,例えば一辺がダイヘッド3と同程度の長さを有する長方形の板形状に形成されており,この長手方向の一辺がディスペンスロール4,5の表面に接触している。回転するディスペンスロール4,5に吐出され,当該回転方向にディスペンスロール4,5の表面を伝って流れる塗布液は,ブレード52,53により掻き取られ,ディスペンスロール4,5から離されて,回収容器50,51に回収される。
【0031】
塗布装置1は,以上のように構成されており,次に塗布装置1で実施される塗布処理のプロセスについて説明する。
【0032】
先ず,ダイヘッド3が例えばX方向負方向側のディスペンスロール4上に移動する。次に,ダイヘッド3は,高さ調整され,例えばダイヘッド3がディスペンスロール4の最上部に対し100μm程度まで近づけられる。つまり,ダイヘッド3とディスペンスロール4との距離が塗布時のダイヘッド3と基板Gとの距離に等しくなるように,ダイヘッド3は高さ調整される。続いてディスペンスロール4が回転され,その回転されたディスペンスロール4にダイヘッド3から塗布液が吐出される。そして,所定時間塗布液の吐出が行われ,吐出状態が所望の状態に調整され安定した後に,塗布液の吐出が一旦停止される。その後,塗布前の基板Gが,図示しない搬送機構により塗布装置1に搬送され,昇降ピン11に受け渡された後,載置台2上に載置される。
【0033】
載置台2上に基板Gが載置されると,ダイヘッド3が基板GのX方向負方向側の端部上に移動する。そして,ダイヘッド3から再び塗布液が吐出され,ダイヘッド3が,塗布液を吐出しながらX方向正方向側に移動する。上述したようにディスペンスロール4の最上部の高さは,載置台2上の基板Gと同じ高さになっているので,ダイヘッド3が基板Gの表面上まで移動すると,ダイヘッド3の吐出口21と基板Gとの距離は,100μm程度に維持されている。このようにダイヘッド3が基板Gに接近した状態で,図1に示したようにダイヘッド3が基板Gの表面に沿って基板GのX方向負方向側からX方向正方向側に移動し,基板Gの表面の全面に塗布液が塗布される。
【0034】
この際,ダイヘッド3と基板Gが極めて接近しているので,図8に示すように基板G上に,例えばガラスの突起物や塵埃などの異物Pがあった場合,異物Pがダイヘッド3の下端部のバンパ部34に衝突する。衝突した異物Pは,例えば図9に示すようにバンパ部34によって取り除かれる。
【0035】
また,吐出口21から吐出される塗布液は,表面張力により後方側のダイヘッド3の下面3aを伝って流れようとするが,当該塗布液は,溝33によってダイヘッド3の下面から離される。つまり,下面3aを伝う塗布液の流れは,溝33によって規制され,塗布液は,その溝33の位置から基板Gに向けて落下する。
【0036】
ダイヘッド3が例えば基板GのX方向正方向側の端部上まで移動すると,塗布液の吐出が停止され,ダイヘッド3は,ディスペンスロール5上まで移動してそこで待機する。基板Gの表面の全面に塗布液が塗布され塗布膜が形成された基板Gは,搬送機構に受け渡されて塗布装置1から搬出される。こうして,基板Gの塗布処理が終了する。
【0037】
引き続き,塗布装置1では,ディスペンスロール5上においてダイヘッド3から塗布液が吐出され,ダイヘッド3の吐出状態が調整,安定される。そして,次の基板Gが塗布装置1に搬送され,載置台2に載置されると,ダイヘッド3が次の基板GのX方向正方向側の端部上まで移動し,そこから塗布液を吐出しながら,X方向負方向側に移動して,次の基板Gの表面上に塗布液が塗布される。この際,ダイヘッド3の第2の本体構成部材20b側のバンパ部35によって,基板G上の異物Pが吐出部Kに衝突することが防止される。また,進行方向の後方側の溝32によって,ダイヘッド3の下面3aを伝う塗布液の滴下位置が規制される。こうしてダイヘッド3は,X方向正方向側に移動する往路とX方向負方向側に移動する復路との両方で,それぞれの基板Gに塗布液が塗布される。そして,ダイヘッド3が複数回往復移動することによって,複数の基板が連続的に処理される。
【0038】
以上の実施の形態によれば,ダイヘッド3に吐出口21と同じ高さのバンパ部34,35を設けたので,ダイヘッド3を基板Gに近づけた状態で移動させても,基板G上の異物Pが吐出口21を有する吐出部Kに衝突して当該吐出部Kを傷つけることはない。この結果,吐出口21から基板Gに滴下される塗布液の流れが安定し,基板G上に斑のない均一な塗布膜が形成される。
【0039】
また,ダイヘッド3の下面3aの吐出口21の両側に溝32,33を設けたので,吐出口21から吐出されダイヘッド3の下面を伝う塗布液が,進行方向に対して後ろ側の溝32,33を越えて流れることがない。つまり,塗布液の流れは,溝32,33によって規制され,塗布液は,そこから基板Gに向けて落下する。したがって,塗布液は,常にダイヘッド3の下面3aの同じ位置から落下し,塗布液の滴下が安定して行われるので,基板G上に斑のない塗布膜が形成される。
【0040】
ディスペンスロール4,5を載置台2のX方向の両側に設けたので,ダイヘッド3が載置台2の一端部側から他端部側に移動し,一枚の基板Gに対し塗布処理をし終えた後に,ダイヘッド3は,元の位置に戻ることなく,その他端部側で塗布液の吐出状態を調整することができる。そして,次の基板Gに対し載置台2の前記他端部側から一端部側に移動して塗布液を塗布できる。つまり,ダイヘッド3は一枚の基板Gに塗布液を塗布する度に元の位置に戻る必要がなく,その分基板の処理を迅速に行うことができる。
【0041】
以上の実施の形態におけるダイヘッド3のバンパ部34,35は,吐出口21と同じ高さになっていたが,吐出口21よりも低い位置に形成してもよい。例えば図10に示すようにダイヘッド3の下面3a,つまり第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bの下面にそれぞれ下方に突出する凸部を形成してバンパ部60,61としてもよい。かかる場合,基板G上の異物Pが吐出口21に衝突することをより確実に防止できる。また,そのパンパ部60,61によって,より小さい塵埃などの異物Pを取り除くことができるので,その後の処理が塵埃などに影響されずに好適に行われる。
【0042】
なお,バンパ部60,61の形状は,上記実施の形態のものに限られず適宜変更できる。また,ダイヘッド3が往路と復路の両方で塗布液の塗布を行わずに,一方向に移動するときにのみ塗布液を塗布するような場合には,パンパ部34,35,60,61は,吐出口21の進行方向前方側のみに設けられていてもよい。さらに,バンパ部34,35,60,61の材質には,例えば吐出口21の周辺の吐出部Kの材質よりも硬いものを用いてもよい。
【0043】
以上の実施の形態で記載した発明は,基板G上に着色パターン,ブラックマトリックス,透明導電膜,スペーサなどを形成するために所定の塗布液を塗布する場合に適用できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば,塗布液吐出用ダイヘッドの吐出部が保護され,当該吐出部からの塗布液の吐出が安定するので,基板に斑のない均一な塗布膜が形成できる。したがって,歩留まりの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる塗布装置の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】塗布装置の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図3】塗布装置の構成の概略を示す平面図である。
【図4】ダイヘッドを側面から見たときの縦断面の説明図である。
【図5】ダイヘッドの斜視図である。
【図6】ダイヘッドを正面から見たときの縦断面の説明図である。
【図7】ディスペンスロールの周辺の構成を示す縦断面の説明図である。
【図8】ダイヘッドが塗布液を吐出しながら,基板上を移動する様子を示す説明図である。
【図9】ダイヘッドが異物に衝突し,異物を除去する様子を示す説明図である。
【図10】下方に突出したバンパ部を有するダイヘッドの縦断面の説明図である。
【符号の説明】
1 塗布装置
2 載置台
3 ダイヘッド
3a 下面
4,5 ディスペンスロール
20 本体
21 吐出口
34,35 バンパ部
G 基板
【発明の属する技術分野】
本発明は,基板に塗布液を吐出する塗布液吐出用ダイヘッドに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば液晶ディスプレイのカラーフィルタの製造工程において,矩形のガラス基板(以下,「基板」という。)の表面上にブラックマトリクスやR,G,Bの着色パターンなどを形成する際に,基板上に所定の塗布液を塗布して塗布膜を形成する塗布処理が行われている。
【0003】
上述の塗布処理には,塗布液吐出用ダイヘッドを用いる,いわゆるダイコーティング法が広く採用されている。塗布液吐出用ダイヘッドは,本体が基板の一辺程度の細長形状を有し,その下面に下方に突出し尖ったダイリップ(吐出部)を備えている。そのダイリップには,スリット状の吐出口が形成されており,塗布液吐出用ダイヘッドからは,本体の長手方向に沿ったカーテン状の塗布液を吐出できる(例えば,特許文献1参照。)。
【0004】
そして,上述のダイコーティング法では,塗布液を吐出した塗布液吐出用ダイヘッドを,基板の表面に近接させた状態で,基板の一端部から他端部まで基板の表面に沿って移動させることによって,基板の表面の全面に塗布液を塗布している。このダイコーティング法は,基板表面に均一な塗布膜を形成するために,塗布液吐出用ダイヘッドから吐出された塗布液が外乱を受けずに基板の表面に落下するように,塗布液吐出用ダイヘッドを基板に数十μmまで近づけた状態で行われる。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−153795号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで,基板の表面上には,例えばガラス基板自体の製造時にできた,ガラスの突起物が残存している場合がある。また,基板の表面に微小な塵埃が付着している場合もある。このような場合,当該突起物や不純物などの異物が,基板の表面に沿って移動する塗布液吐出用ヘッドのダイリップに衝突することがあった。
【0007】
このように前記突起物や不純物が塗布液吐出用ダイヘッドに衝突すると,その衝突部分のダイリップに傷が付いたり,或いはダイリップが歪んでしまうことがあった。ダイリップに傷が付いたり,ダイリップが歪むと,その部分から吐出される塗布液の流れの状態が変わり,塗布液吐出用ダイヘッドから吐出されるカーテン状の塗布液の流れがその長手方向に渡って不均一になる。また,塗布液吐出用ダイヘッドの進行方向においても,衝突前後で塗布液の流れが変化する。この結果,基板の短辺方向及び長辺方向に渡って塗布液が均一に塗布されず,これによって塗布斑が生じて,基板上に均一な塗布膜が形成されていなかった。
【0008】
本発明は,かかる点に鑑みてなされたものであり,塗布液吐出用ダイヘッドを用いて塗布を行う際,基板上に微小な突起物や塵埃などの異物があってもダイリップなどの吐出部が損傷を受けず,基板上に斑のない均一な塗布膜を形成できる塗布液吐出用ダイヘッドを提供することをその目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために,本発明は,基板の表面に近接し,当該基板の表面に対し塗布液を吐出した状態で当該表面上を所定方向に移動することによって,基板の表面に塗布液を塗布する塗布液吐出用ダイヘッドであって,塗布液吐出用ダイヘッドの本体の下面には,塗布液を吐出するスリット状の吐出口を有する吐出部が形成されており,前記本体の前記吐出部よりも塗布液吐出用ダイヘッドの進行方向側には,基板の表面上にある異物の衝突が前記吐出部に衝突するのを防止する防護部が形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明によれば,前記吐出部の進行方向側に防護部が形成されているので,塗布液吐出用ダイヘッドが塗布液を吐出しながら,基板の表面上を移動した時に,基板上に例えばガラスの突起物などの異物があっても,当該異物には防護部が衝突し,吐出部が異物に衝突することはない。したがって,スリット状の吐出口を有する吐出部が,その長手方向に渡って部分的に傷つけられたり,歪められたりすることがない。つまり,吐出部からは長手方向に渡って常に均一な塗布液が吐出される。この結果,基板に近接された塗布液吐出用ダイヘッドを基板の表面に沿って移動させながら,スリット状の吐出口から基板上に塗布液を吐出した場合でも,基板上に斑のない均一な塗布膜が形成される。
【0011】
前記防護部は,前記吐出部と同じかそれより低い位置に設けられていてもよい。
また,前記防護部は,前記進行方向に沿って前記吐出部の前後に形成されていてもよい。かかる場合,塗布液吐出用ダイヘッドが往復移動する場合であっても,吐出部に基板上の異物が衝突することを防止できる。
【0012】
前記本体は,前記進行方向の前後方向に沿って一部が接合された2つの本体構成部材を有し,前記2つの本体構成部材のうち,前記進行方向側の本体構成部材は,その下面が前記吐出部と同じ高さで水平に形成されており,当該本体構成部材の下面によって,前記防護部が形成されていてもよい。
【0013】
また,前記本体は,前記進行方向の前後方向に沿って一部が接合された2つの本体構成部材を有し,前記2つの本体構成部材のうち,前記進行方向側の本体構成部材は,その下面が前記吐出部と同じ高さに形成されており,前記防護部は,当該本体構成部材の下面から下方に突出する凸状に形成されていてもよい。かかる場合,防護部が吐出部よりも下方に位置するので,吐出部に対する基板上の異物の衝突をより確実に防止できる。
【0014】
前記本体の下面であって,前記吐出部よりも前記進行方向後方側には,前記吐出口と平行な溝が形成されていてもよい。吐出部から吐出される塗布液は表面張力により本体の下面に伝って流れようとする。本発明のように吐出部の後方側に溝を形成することによって,この溝が本体の下面を伝う塗布液の流れを規制し,塗布液は溝のある位置から本体の下面を離れて落下する。この結果,塗布液は常に同じ位置から落下することになり,基板上に塗布される塗布液が安定するので,基板上に斑のない塗布膜が形成できる。なお,前記溝は,前記進行方向に沿って前記吐出部の前後に形成されていてもよい。かかる場合,塗布液吐出用ダイヘッドが往復移動可能な時に,塗布液吐出用ダイヘッドをいずれの方向に移動させても,本体の下面を伝う塗布液の流れを規制できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下,本発明の好ましい実施の形態について説明する。図1は,本実施の形態にかかる塗布液吐出用ダイヘッドが用いられる塗布装置1の構成の概略を示す斜視図であり,図2は,塗布装置1の構成の概略を示す縦断面の説明図であり,図3は,塗布装置1の構成の概略を示す平面図である。
【0016】
塗布装置1は,例えば図1に示すように基板Gが載置される載置台2と,基板Gに塗布液を塗布するための塗布液吐出部材であるダイヘッド3と,ダイヘッド3からの塗布液の吐出状態を安定,調整するためのディスペンスロール4,5を備えている。
【0017】
載置台2は,例えば基板Gと同じかそれよりも大きい方形の盤である。載置台2の上面は,平坦化処理が施されており,載置台2には,基板Gを水平かつ平坦に載置できる。図2に示すように載置台2には,複数の貫通孔10が垂直方向に形成されており,この貫通孔10内には,昇降ピン11が配置されている。昇降ピン11は,例えばシリンダなどの昇降駆動部12によって昇降できる。したがって,昇降ピン11上に基板Gを支持して当該昇降ピン11を昇降させることによって,例えば図示しない搬送機構から受け取った基板Gを載置台2に載置したり,載置台2の基板Gを持ち上げて当該搬送機構に受け渡したりすることができる。
【0018】
ダイヘッド3は,例えば図3に示すように本体20が基板Gの短辺よりも長い細長形状を有している。ダイヘッド3は,載置台2上であって,本体20の長手方向を基板Gの短辺方向(図3中のY方向)に向けて配置されている。ダイヘッド3の本体20は,例えば図4に示すように各々が一体成型された2つの本体構成部材20a,20bの一部を接合させることによって構成されている。例えば第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,ダイヘッド3の移動方向であるX方向(図4の左右方向)に並べて配置されている。本実施の形態においては,例えば第1の本体構成部材20aはX方向正方向(図4の左方向)側に配置され,第2の本体構成部材20bはX方向負方向(図4の右方向)側に配置されている。
【0019】
第1及び第2の本体構成部材20a,20bは,各々が細長の略直方体形状に形成され,縦断面が長方形を有している。第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,縦方向の長さが等しく形成されている。そして,第1及び第2の本体構成部材20a,20bは,本体20の縦断面が略長方形になるように揃えて接合されている。つまり,本体20の下面(ダイヘッド3の下面)3aは,略水平面である。なお,この接合は,ねじなどの固定部材によって行ってもよい。
【0020】
第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bとの間には,隙間が設けられており,この隙間が,塗布液の吐出口21と,本体20の内部を通過する塗布液の供給流路22を形成している。例えば吐出口21は,当該本体20の下面3aに開口している。図5に示すように吐出口21は,本体20の長手方向に沿って基板Gの短辺よりやや短く塗布領域より長いスリット状に形成されている。なお,図4に示すように本実施の形態において,吐出部Kは,ダイヘッド3の下面3aにおける吐出口21の周辺部をいう。
【0021】
本体20内の供給流路22は,例えば図4及び図6に示すように一端部が本体20の側面に開口した導入路23と,導入路23の他端部が接続された第1のマニホルド24と,第1のマニホルド24の下面に上端部が開口した複数の通路25と,各通路25の下端部が接続された第2のマニホルド26と,第2のマニホルド26の下面に開口し,吐出口21に通じるスリット27を備えている。
【0022】
導入路23には,例えば図4に示すようにダイヘッド3の外部に設置された塗布液供給装置30に通じる供給管31が接続されている。塗布液供給装置30から供給された塗布液は,供給管31を通じて導入路23からダイヘッド3内に導入される。第1のマニホルド24は,長手方向に沿った細長い空間を形成し,導入路23から導入された塗布液を一旦貯留し,その貯留された塗布液の液圧を均一にすることができる。複数の通路25は,第1のマニホルド24の下面に長手方向に沿って均等に配置されている。これらの通路25によって,第1のマニホルド24内の塗布液を第2のマニホルド26に偏り無く導入できる。第2のマニホルド26は,第1のマニホルド24よりも容量が小さく,長手方向に長い空間になっている。第2のマニホルド26は,複数の通路25から導入された塗布液を貯留し,当該塗布液の液圧を均一にすることができる。
【0023】
スリット27は,第2のマニホルド26の下面に本体20の長手方向に沿って開口し,吐出口21まで連通している。スリット27は,平面から見て吐出口21と同形同大に形成されている。したがって,第2のマニホルド26で圧力の一様になった塗布液をそのまま吐出口21から吐出させることができる。
【0024】
図5に示すように,本体20の長手方向の両側端部には,当て板Aが取り付けられている。図6に示すようにこの当て板50によって,第1のマニホルド24,第2のマニホルド26及びスリット27などの両端部の開口部が塞がれている。
【0025】
以上のようなダイヘッド3の本体20の構成により,塗布液供給装置30から供給管31を通じてダイヘッド3内に導入された塗布液は,導入路23を通じて第1のマニホルド24に貯留され,その後,複数の通路25を通じて第2のマニホルド26に導入され貯留される。そして,第2のマニホルド26の塗布液は,スリット27を通じて吐出口21の全面から同圧力で吐出される。
【0026】
図4及び図5に示すようにダイヘッド3の下面3aの吐出口21の近傍,例えば下面3aの吐出口21を挟んだX方向に沿った両側には,それぞれ溝32,33が形成されている。溝32,33は,吐出口21と同程度の長さに吐出口21に並列するように形成されている。この溝32,33によって,吐出口21から吐出される塗布液がダイヘッド3の下面3aを伝って流れることが規制され,塗布液は,溝32,33の位置から一様に下面3aから離れ,基板Gに向けて落下する。なお,溝32は,第1の本体構成部材20a側に設けられ,溝33は,第2の本体構成部材20b側に設けられている。
【0027】
上述したように第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,それぞれ断面が略長方形の形状を有し,下面が水平になっている。つまり,第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bは,それぞれ吐出口21と同じ高さの水平面を有する下端部を備えている。したがって,ダイヘッド3をX方向に沿って往復移動させた場合,例えば前方の基板G上にある塵埃などの異物は,第1及び第2の本体構成部材20a,20bの下端部に衝突し,吐出部K(吐出口21)に直接衝突することは無い。このように,第1及び第2の本体構成部材20a,20bの各下端部は,吐出部Kの防護部としてのバンパ部34,35になっている。なお,本実施の形態において,第1の本体構成部材20aの下端部をバンパ部34,第2の本体構成部材20bの下端部をバンパ部35とする。
【0028】
ダイヘッド3は,図1及び図3に示すように両端部が駆動部40,41によって支持されている。各駆動部40,41は,それぞれがX方向に沿って敷設されたレール42,43上に置かれている。各駆動部40,41には,当該各駆動部40,41をレール42,43に沿って移動させる,例えば水平駆動部としてのリニアモータやダイヘッド3を上下動させる昇降駆動部としてのシリンダが備えられている。したがって,駆動部40,41によってダイヘッド3を基板Gの表面に近づけて,基板Gの表面に沿ってX方向に移動させることができる。
【0029】
ディスペンスロール4,5は,載置台2を挟んだX方向の両側にそれぞれ配置されている。ディスペンスロール4,5は,例えば基板Gの横幅よりも長い円柱状に形成されており,図示しない回転駆動部により回転する。ディスペンスロール4,5,は,例えば最上部の高さが載置台2上に載置される基板Gと同じ高さになるように配置されている。図7に示すようにディスペンスロール4,5の最上部の上にダイヘッド3の吐出口21を位置させて,ディスペンスロール4,5を回転させながら吐出口21から塗布液を吐出することによって,塗布液の吐出状態を安定させたり,調整することができる。
【0030】
ディスペンスロール4,5の下方には,例えば図2,図7に示すように塗布液の回収容器50,51がそれぞれ設けられており,ディスペンスロール4,5から流れ落ちる塗布液を受け止めて回収することができる。各ディスペンスロール4,5には,ディスペンスロール4,5の表面に接触するブレード52,53がそれぞれ設けられている。ブレード52,53は,例えば一辺がダイヘッド3と同程度の長さを有する長方形の板形状に形成されており,この長手方向の一辺がディスペンスロール4,5の表面に接触している。回転するディスペンスロール4,5に吐出され,当該回転方向にディスペンスロール4,5の表面を伝って流れる塗布液は,ブレード52,53により掻き取られ,ディスペンスロール4,5から離されて,回収容器50,51に回収される。
【0031】
塗布装置1は,以上のように構成されており,次に塗布装置1で実施される塗布処理のプロセスについて説明する。
【0032】
先ず,ダイヘッド3が例えばX方向負方向側のディスペンスロール4上に移動する。次に,ダイヘッド3は,高さ調整され,例えばダイヘッド3がディスペンスロール4の最上部に対し100μm程度まで近づけられる。つまり,ダイヘッド3とディスペンスロール4との距離が塗布時のダイヘッド3と基板Gとの距離に等しくなるように,ダイヘッド3は高さ調整される。続いてディスペンスロール4が回転され,その回転されたディスペンスロール4にダイヘッド3から塗布液が吐出される。そして,所定時間塗布液の吐出が行われ,吐出状態が所望の状態に調整され安定した後に,塗布液の吐出が一旦停止される。その後,塗布前の基板Gが,図示しない搬送機構により塗布装置1に搬送され,昇降ピン11に受け渡された後,載置台2上に載置される。
【0033】
載置台2上に基板Gが載置されると,ダイヘッド3が基板GのX方向負方向側の端部上に移動する。そして,ダイヘッド3から再び塗布液が吐出され,ダイヘッド3が,塗布液を吐出しながらX方向正方向側に移動する。上述したようにディスペンスロール4の最上部の高さは,載置台2上の基板Gと同じ高さになっているので,ダイヘッド3が基板Gの表面上まで移動すると,ダイヘッド3の吐出口21と基板Gとの距離は,100μm程度に維持されている。このようにダイヘッド3が基板Gに接近した状態で,図1に示したようにダイヘッド3が基板Gの表面に沿って基板GのX方向負方向側からX方向正方向側に移動し,基板Gの表面の全面に塗布液が塗布される。
【0034】
この際,ダイヘッド3と基板Gが極めて接近しているので,図8に示すように基板G上に,例えばガラスの突起物や塵埃などの異物Pがあった場合,異物Pがダイヘッド3の下端部のバンパ部34に衝突する。衝突した異物Pは,例えば図9に示すようにバンパ部34によって取り除かれる。
【0035】
また,吐出口21から吐出される塗布液は,表面張力により後方側のダイヘッド3の下面3aを伝って流れようとするが,当該塗布液は,溝33によってダイヘッド3の下面から離される。つまり,下面3aを伝う塗布液の流れは,溝33によって規制され,塗布液は,その溝33の位置から基板Gに向けて落下する。
【0036】
ダイヘッド3が例えば基板GのX方向正方向側の端部上まで移動すると,塗布液の吐出が停止され,ダイヘッド3は,ディスペンスロール5上まで移動してそこで待機する。基板Gの表面の全面に塗布液が塗布され塗布膜が形成された基板Gは,搬送機構に受け渡されて塗布装置1から搬出される。こうして,基板Gの塗布処理が終了する。
【0037】
引き続き,塗布装置1では,ディスペンスロール5上においてダイヘッド3から塗布液が吐出され,ダイヘッド3の吐出状態が調整,安定される。そして,次の基板Gが塗布装置1に搬送され,載置台2に載置されると,ダイヘッド3が次の基板GのX方向正方向側の端部上まで移動し,そこから塗布液を吐出しながら,X方向負方向側に移動して,次の基板Gの表面上に塗布液が塗布される。この際,ダイヘッド3の第2の本体構成部材20b側のバンパ部35によって,基板G上の異物Pが吐出部Kに衝突することが防止される。また,進行方向の後方側の溝32によって,ダイヘッド3の下面3aを伝う塗布液の滴下位置が規制される。こうしてダイヘッド3は,X方向正方向側に移動する往路とX方向負方向側に移動する復路との両方で,それぞれの基板Gに塗布液が塗布される。そして,ダイヘッド3が複数回往復移動することによって,複数の基板が連続的に処理される。
【0038】
以上の実施の形態によれば,ダイヘッド3に吐出口21と同じ高さのバンパ部34,35を設けたので,ダイヘッド3を基板Gに近づけた状態で移動させても,基板G上の異物Pが吐出口21を有する吐出部Kに衝突して当該吐出部Kを傷つけることはない。この結果,吐出口21から基板Gに滴下される塗布液の流れが安定し,基板G上に斑のない均一な塗布膜が形成される。
【0039】
また,ダイヘッド3の下面3aの吐出口21の両側に溝32,33を設けたので,吐出口21から吐出されダイヘッド3の下面を伝う塗布液が,進行方向に対して後ろ側の溝32,33を越えて流れることがない。つまり,塗布液の流れは,溝32,33によって規制され,塗布液は,そこから基板Gに向けて落下する。したがって,塗布液は,常にダイヘッド3の下面3aの同じ位置から落下し,塗布液の滴下が安定して行われるので,基板G上に斑のない塗布膜が形成される。
【0040】
ディスペンスロール4,5を載置台2のX方向の両側に設けたので,ダイヘッド3が載置台2の一端部側から他端部側に移動し,一枚の基板Gに対し塗布処理をし終えた後に,ダイヘッド3は,元の位置に戻ることなく,その他端部側で塗布液の吐出状態を調整することができる。そして,次の基板Gに対し載置台2の前記他端部側から一端部側に移動して塗布液を塗布できる。つまり,ダイヘッド3は一枚の基板Gに塗布液を塗布する度に元の位置に戻る必要がなく,その分基板の処理を迅速に行うことができる。
【0041】
以上の実施の形態におけるダイヘッド3のバンパ部34,35は,吐出口21と同じ高さになっていたが,吐出口21よりも低い位置に形成してもよい。例えば図10に示すようにダイヘッド3の下面3a,つまり第1の本体構成部材20aと第2の本体構成部材20bの下面にそれぞれ下方に突出する凸部を形成してバンパ部60,61としてもよい。かかる場合,基板G上の異物Pが吐出口21に衝突することをより確実に防止できる。また,そのパンパ部60,61によって,より小さい塵埃などの異物Pを取り除くことができるので,その後の処理が塵埃などに影響されずに好適に行われる。
【0042】
なお,バンパ部60,61の形状は,上記実施の形態のものに限られず適宜変更できる。また,ダイヘッド3が往路と復路の両方で塗布液の塗布を行わずに,一方向に移動するときにのみ塗布液を塗布するような場合には,パンパ部34,35,60,61は,吐出口21の進行方向前方側のみに設けられていてもよい。さらに,バンパ部34,35,60,61の材質には,例えば吐出口21の周辺の吐出部Kの材質よりも硬いものを用いてもよい。
【0043】
以上の実施の形態で記載した発明は,基板G上に着色パターン,ブラックマトリックス,透明導電膜,スペーサなどを形成するために所定の塗布液を塗布する場合に適用できる。
【0044】
【発明の効果】
本発明によれば,塗布液吐出用ダイヘッドの吐出部が保護され,当該吐出部からの塗布液の吐出が安定するので,基板に斑のない均一な塗布膜が形成できる。したがって,歩留まりの向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態にかかる塗布装置の構成の概略を示す斜視図である。
【図2】塗布装置の構成の概略を示す縦断面の説明図である。
【図3】塗布装置の構成の概略を示す平面図である。
【図4】ダイヘッドを側面から見たときの縦断面の説明図である。
【図5】ダイヘッドの斜視図である。
【図6】ダイヘッドを正面から見たときの縦断面の説明図である。
【図7】ディスペンスロールの周辺の構成を示す縦断面の説明図である。
【図8】ダイヘッドが塗布液を吐出しながら,基板上を移動する様子を示す説明図である。
【図9】ダイヘッドが異物に衝突し,異物を除去する様子を示す説明図である。
【図10】下方に突出したバンパ部を有するダイヘッドの縦断面の説明図である。
【符号の説明】
1 塗布装置
2 載置台
3 ダイヘッド
3a 下面
4,5 ディスペンスロール
20 本体
21 吐出口
34,35 バンパ部
G 基板
Claims (7)
- 基板の表面に近接し,当該基板の表面に対し塗布液を吐出した状態で当該表面上を所定方向に移動することによって,基板の表面に塗布液を塗布する塗布液吐出用ダイヘッドであって,
塗布液吐出用ダイヘッドの本体の下面には,塗布液を吐出するスリット状の吐出口を有する吐出部が形成されており,
前記本体の前記吐出部よりも塗布液吐出用ダイヘッドの進行方向側には,基板の表面上にある異物の衝突が前記吐出部に衝突するのを防止する防護部が形成されていることを特徴とする,塗布液吐出用ダイヘッド。 - 前記防護部は,前記吐出部と同じかそれより低い位置に設けられていることを特徴とする,請求項1に記載の塗布液吐出用ダイヘッド。
- 前記防護部は,前記進行方向に沿って前記吐出部の前後に形成されていることを特徴とする,請求項1又は2のいずれかに記載の塗布液吐出用ダイヘッド。
- 前記本体は,前記進行方向の前後方向に沿って一部が接合された2つの本体構成部材を有し,
前記2つの本体構成部材のうち,前記進行方向側の本体構成部材は,その下面が前記吐出部と同じ高さで水平に形成されており,
当該本体構成部材の下面によって,前記防護部が形成されていることを特徴とする,請求項1,2又は3のいずれかに記載の塗布液吐出用ダイヘッド。 - 前記本体は,前記進行方向の前後方向に沿って一部が接合された2つの本体構成部材を有し,
前記2つの本体構成部材のうち,前記進行方向側の本体構成部材は,その下面が前記吐出部と同じ高さに形成されており,
前記防護部は,当該本体構成部材の下面から下方に突出する凸状に形成されていることを特徴とする,請求項1,2又は3のいずれかに記載の塗布液吐出用ダイヘッド。 - 前記本体の下面であって,前記吐出部よりも前記進行方向後方側には,前記吐出口と平行な溝が形成されていることを特徴とする,請求項1,2,3,4又は5のいずれかに記載の塗布液吐出用ダイヘッド。
- 前記溝は,前記進行方向に沿って前記吐出部の前後に形成されていることを特徴とする,請求項6に記載の塗布液吐出用ダイヘッド。
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