JP2004277034A - シート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理が可能なシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置を得る。
【解決手段】カセット内に積層されたシート体を吸着盤によって吸着して持ち上げ、次いで、このシート体を下層の他のシート体と分離して枚葉するに際して、吸着盤の吸着負圧が吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤の吸着持上げ動作(▲1▼)を開始し、その後に、吸着盤の吸着負圧が分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤の分離枚葉動作(▲2▼)を開始する。すなわち、吸着盤の「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、シート体の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】カセット内に積層されたシート体を吸着盤によって吸着して持ち上げ、次いで、このシート体を下層の他のシート体と分離して枚葉するに際して、吸着盤の吸着負圧が吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤の吸着持上げ動作(▲1▼)を開始し、その後に、吸着盤の吸着負圧が分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤の分離枚葉動作(▲2▼)を開始する。すなわち、吸着盤の「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、シート体の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に記録層(感光層)が設けられた印刷版(例えば、サーマル版、フォトポリマー版などのPS版)を用い、この印刷版の感光層に直接レーザビーム等で画像を記録する技術が開発されてきている(印刷版露光装置)。このような技術では、印刷版への迅速な画像記録が可能となっている。
【0003】
ここで、印刷版への画像記録の技術を用いる印刷版自動露光装置では、多数枚の印刷版が積層してカセット内に収容されているが、印刷版の画像形成面は傷つき易くこの画像形成面の保護のために、印刷版の画像形成面には保護シート(合紙)が重ね合わされ、これらが順次層状に積層されてカセット内に収容されている。印刷版を枚葉する際には、カセット内に積層された複数枚の印刷版のうち最上層の印刷版の一端部を吸盤によって吸着して他と分離し、1枚ずつ取り出して反転させながら次工程(例えば、露光工程)へ枚葉(搬送供給)するようになっている。
【0004】
ところで、前述の如く印刷版を吸盤によって吸着して1枚ずつ取り出し反転させながら枚葉する際に、吸盤が吸着した最上層の印刷版と次の(下層の)印刷版との間の真空密着や静電気によって、前記次の(下層の)印刷版までもがそのまま持ち上げられてしまう場合がある。このため、従来では、吸盤により吸着して持ち上げて上昇する移動軌跡の途中に(例えば、カセットの上端角部に)所謂「さばき板」を設け、印刷版をこの「さばき板」に接触させながら通過させたり、一定時間停止させることで、前記次の(下層の)印刷版を分離させていた(特許文献1、あるいは特許文献2参照)。
【0005】
またここで、このような吸盤によって印刷版を真空吸着して搬送する際には、一般的には、圧力センサを用いて吸着圧力が「吸着持上げ」・「さばき板による分離枚葉」・「反転させて搬送」、の全ての過程において必要吸着圧力になるしきい値に到達したことを検知して、一連の吸着枚葉動作が開始されるようになっている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、ポンプを用いて真空圧力(吸盤の吸着力)を発生させる場合においては、圧力が下がるのには(吸盤の吸着力が所定に達するのには)ある程度の時間が必要である。この場合、必要吸着圧力が「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」・「さばき板による分離枚葉」・「反転させて搬送」の一連の吸着枚葉動作の中で、「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」の過程が最も大きい場合には何ら差し支えないのであるが、それ以外の場合には、例えば「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなる場合には、「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」の動作が「さばき板による分離枚葉」に必要な圧力に到達するまで行うことができなくなり、無駄な待ち時間が発生することになる。しかもこの場合、前記「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなることが一般的である。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−128297号公報
【特許文献2】
特開2001−151360号公報
【特許文献3】
特開2000−247489号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理が可能なシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のシート体の吸着枚葉方法は、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着盤によって吸着して持ち上げ、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体を下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉方法であって、前記吸着盤の吸着負圧が、前記最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに前記吸着盤の前記吸着持上げ動作を開始し、その後に、前記吸着盤の吸着負圧が、前記下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で前記吸着盤の前記分離枚葉動作を開始する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載のシート体の吸着枚葉方法では、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体が、吸着盤によって吸着して持ち上げられ(吸着持上げ動作)、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体が下層の他のシート体と分離されて(所謂、捌かれて)枚葉される(分離枚葉動作)。したがって、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができる。
【0011】
ここで、このシート体の吸着枚葉方法では、吸着盤の吸着負圧が、最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤の吸着持上げ動作が開始され、その後に、吸着盤の吸着負圧が、下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤の分離枚葉動作が開始される。
【0012】
すなわち、例えば、吸着盤の必要吸着圧力が、吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作の一連の吸着枚葉動作の中で、「分離枚葉動作(さばき)」の際に当該必要吸着圧力(第2の負圧)が最も大きくなる場合であっても、「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作(さばき)」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、シート体の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0013】
このように、請求項1記載のシート体の吸着枚葉方法では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理を行うことが可能になる。
【0014】
請求項2に係る発明のシート体の吸着枚葉装置は、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉装置であって、前記シート体の幅方向に沿って所定の間隔で複数設けられ、前記シート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作すると共に、前記吸着持上げ動作の後に下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作する吸着盤と、前記各吸着盤に接続され、前記各吸着盤が前記シート体を吸着するための負圧を発生する負圧発生源と、前記各吸着盤が前記吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧と、前記各吸着盤が前記分離枚葉動作するに可能な第2の負圧とを検出可能な負圧検出手段と、を備え、前記各吸着盤の吸着負圧が、前記負圧検出手段によって前記第1の負圧に達したことが検出された時点で前記各吸着盤の前記吸着持上げ動作を開始し、かつ、前記負圧検出手段によって前記第2の負圧に達したことが検出された時点で前記各吸着盤の前記分離枚葉動作を開始する、ことを特徴としている。
【0015】
請求項2記載のシート体の吸着枚葉装置では、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体が、吸着盤によって吸着して持ち上げられ(吸着持上げ動作)、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体が下層の他のシート体と分離されて(所謂、捌かれて)枚葉される(分離枚葉動作)。したがって、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができる。
【0016】
ここで、このシート体の吸着枚葉装置では、吸着盤の吸着負圧が、最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤の吸着持上げ動作が開始され、その後に、吸着盤の吸着負圧が、下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤の分離枚葉動作が開始される。
【0017】
すなわち、例えば、吸着盤の必要吸着圧力が、吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作の一連の吸着枚葉動作の中で、「分離枚葉動作(さばき)」の際に当該必要吸着圧力(第2の負圧)が最も大きくなる場合であっても、「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作(さばき)」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、シート体の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0018】
このように、請求項2記載のシート体の吸着枚葉装置では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理を行うことが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図3には、本発明の実施の形態に係るシート体の吸着枚葉装置50が適用された印刷版自動露光装置10の概略的な全体構成が示されている。
【0020】
この印刷版自動露光装置10は、印刷版12の画像形成層に光ビームを照射して画像を露光する露光部14と、印刷版12を枚葉して前記露光部14へ搬送する枚葉搬送部15と、の2つのブロックに分かれている。また、この印刷版自動露光装置10によって、露光処理された印刷版12は、印刷版自動露光装置10に隣接した設置された図示しない現像装置へ送り出されるようになっている。
[露光部14の構成]
露光部14は、印刷版12を周面に巻付けて保持する回転ドラム16を主要部として構成されており、印刷版12は、搬送ガイドユニット18に案内されて、この回転ドラム16の接線方向から送り込まれるようになっている。搬送ガイドユニット18は、給版ガイド20と排版ガイド22とで構成されており、この搬送ガイドユニット18における、枚葉搬送部15との境界側には、搬送ローラ108とガイド板109とが配設されている。
【0021】
搬送ガイドユニット18の給版ガイド20と排版ガイド22とは、互いの相対位置関係が横V字型とされ、図3の右端部側の中心として、所定角度回動する構造となっている。この回動によって、給版ガイド20を選択的に前記回転ドラム16に対応させる位置(回転ドラム16の接線方向に配置させる位置)と、回転ドラム16の上方に設けられたパンチャー24への挿入方向位置とに配置することができる。前記枚葉搬送部15から送り込まれた印刷版12は、まず、給版ガイド20に案内されてパンチャー24へ送り込まれ、この印刷版12の先端に位置決め用の切欠きを形成する。また、印刷版12は、必要に応じてパンチャー24による処理後、一旦給版ガイド20に戻されることで、回転ドラム16に対応する位置に移動される構成である。
【0022】
回転ドラム16は、図示しない駆動手段によって、印刷版12の装着露光方向(図3の矢印A方向)及び装着露光方向と反対方向となる印刷版12の取外し方向(図3の矢印B方向)へ回転される。
【0023】
また、回転ドラム16には、外周面の所定の位置に、先端チャック26が取付けられている。露光部14では、この回転ドラム16に印刷版12を装着するときに、先ず、先端チャック26が、搬送ガイドユニット18の給版ガイド20によって送り込まれる印刷版12の先端に対向する位置(印刷版装着位置)で回転ドラム16を停止させる。
【0024】
さらに、露光部14には、印刷版装着位置で先端チャック26に対向して装着ユニット28が設けられている。先端チャック26は、この装着ユニット28の伸縮ロッド28Aが伸長して一端側が押圧されることにより、回転ドラム16の周面との間に印刷版12の挿入が可能となる。印刷版12の先端が先端チャック26と回転ドラム16の間に挿入された状態で、装着ユニット28の伸縮ロッド28Aを引き戻して先端チャック26への押圧を解除することにより、印刷版12の先端を先端チャック26と回転ドラム16の周面との間で挟持して保持する構成である。なお、このときには、印刷版12は、先端が回転ドラム16に設けられた位置決めピン(図示省略)に突き当てられて位置決めされる。回転ドラム16に印刷版12の先端が固定されると、回転ドラム16を装着露光方向へ回転する。これにより、搬送ガイドユニット18の給版ガイド20から送り込まれる印刷版12は、回転ドラム16の周面に巻き付けられる構成である。
【0025】
回転ドラム16の周面近傍には、印刷版装着位置よりも装着露光方向(図3の矢印A方向)の下流側にスクイズローラ30が配置されている。このスクイズローラ30は、回転ドラム16に向けて移動することにより回転ドラム16に巻き付けられる印刷版12を回転ドラム16へ向けて押圧し、印刷版12を回転ドラム16の周面に密着させることができる。
【0026】
また、露光部14には、先端チャック26よりも回転ドラム16の装着露光方向上流側近傍に後端チャック着脱ユニット32が配置されている。後端チャック着脱ユニット32には、回転ドラム16へ向けて突出されたガイドに沿って後端チャック36が移動するようになっている。回転ドラム16に巻き付けた印刷版12の後端が、後端チャック着脱ユニット32に対向すると、後端チャック36を回転ドラム16方向へ移動させて、後端チャック36を回転ドラム16の所定の位置に装着する。これにより、後端チャック36が、回転ドラム16との間で印刷版12の後端を挟持して保持する構成である。
【0027】
印刷版12の先端及び後端を回転ドラム16に保持させると、スクイズローラ30を離間させる(図3の鎖線参照)。この後、露光部14では、回転ドラム16を所定の回転速度で高速回転させながら、この回転ドラム16の回転に同期させて、記録ヘッド部37から画像データに基づいて変調した光ビームを照射する。これにより、印刷版12が画像データに基づいて走査露光されるようになっている。
【0028】
印刷版12への走査露光が終了すると、印刷版12の後端を保持している後端チャック36が後端チャック着脱ユニット32に対向する位置で回転ドラム16を一時停止させ、回転ドラム16から後端チャック36を取り外す。これにより、印刷版12の後端が開放される。その後、回転ドラム16を印刷版12の取出し方向へ回転させることで、印刷版12は後端側から回転ドラム16の接線方向に沿って、搬送ガイドユニット18の排版ガイド22へ排出され、その後、次工程の現像装置へ搬送される構成である。
[枚葉搬送部15の構成]
図3に示す如く、枚葉搬送部15には、所定のスペースのカセットストッカ部11が設けられ、装置設置面に対して平行とされたカセット38が設けられている。カセット38は、複数段積み重ねられている。このカセット38には、印刷版12が複数枚収容されている。図4に示す如く、印刷版12は、支持体12Aに乳剤面12B(画像記録面)が形成された構成であり、カセット38内には、印刷版12の乳剤面12B保護用の保護シートとしての合紙13と、乳剤面12Bが下向きとされた印刷版12とが交互に積層されて収容されている。
【0029】
ここで、本実施の形態のカセット38は、互いに水平方向にオフセットされた状態で積み重ねられている。このオフセット量は、後述する吸着枚葉装置50の吸着盤40による各カセット38からの印刷版12(及び保護シートとしての合紙13)の持出時の移動軌跡に基づいて設定されている。
【0030】
また、枚葉搬送部15には、後に詳述する吸着枚葉装置50が設けられている。この吸着枚葉装置50は、印刷版12の幅方向に沿って複数(本実施の形態においては、9個))の吸着盤40が所定のピッチ間隔で配設されている。
【0031】
カセット38の上部には、吸着盤40を吊り下げ支持すると共に当該吊り下げ支持する基点70をカセット38の図3の左右方向へ略水平移動可能な移動機構72が設けられている。移動機構72は、吸着枚葉装置50を反転させながら水平方向へ移動させるためのものであり、複数の吸着盤40を支持する基点70は、回動可能とされている。
【0032】
吸着枚葉装置50によって各カセット38から印刷版12を持ち出す際には、カセット38内には合紙13と乳剤面12Bが下向きとされた印刷版12とが交互に積層されているため、吸着盤40は、カセット38内の上層側の合紙13に接触することになる。接触した時点で吸着盤40に吸着力を持たせると、上層の合紙13はもちろん、その下層の印刷版12にも吸着力が伝えられ、合紙13と印刷版12とが対(1組)となって(共に同時に)吸着されて、持ち上げられる(吸着持上げ動作)。さらに、図3では、吸着盤40の昇降については省略しているが、各カセットの高さ位置まで下降し、各カセット38に設けられたさばき板39によって、吸着した合紙13及び印刷版12以外の下層の合紙13及び印刷版12から「捌き(分離)」し、この状態で上端位置まで上昇する(分離枚葉動作)ようになっている。
【0033】
このとき、印刷版12の長さ(図3の左右方向長さ)により、各段のカセット38からの垂直方向の持ち出しにおいて、異なる移動軌跡となる。すなわち、本実施の形態にように3段の場合、最上段のカセット38からの持出時は印刷版12の先端部のみが持ち上げられ、中段のカセット38からの持出時は、印刷版12の2/3程度が持ち上げられ、下段のカセット38からの持出時は、印刷版12が全て吊り下げられた状態となる。
【0034】
このような状態で吸着盤40を支持するプレートは、基点70を中心に図3の反時計方向へ回転し始め、かつカセット38の図3の左方向へ移動を開始する。これにより、吸着盤40の吸着点は所謂サイクロイド曲線ないし近似サイクロイド曲線を描きながら移動することになる。この移動軌跡に基づいて、各カセット38のオフセット量を設定することで、何れのカセット38から合紙13及び印刷版12を持ち出しても、上層側のカセット38と干渉することなく持ち出すことが可能となっている。
【0035】
なお、印刷版12と上層側のカセット38とは全く干渉しないのが最も好ましいが、カセット38に当接する面が合紙13(印刷版12の裏面側)であるため、カセットストッカ部11の平面視上のスペースを小さくすることを前提とすれば、吸着盤40の昇降方向(垂直方向)移動時並びに回転移動時での接触を回避しさえすれば、吸着盤40の移動左右方向(水平方向)移動時には多少の接触があってもよい。
【0036】
前記吸着盤40が180°回転すると、図3の状態では下側が合紙13、上側が印刷版12となって、搬送ローラ108へ受け渡されるようになっている。
【0037】
搬送ローラ108の下側のローラ108Aに隣接するローラ107にはベルト56が巻き掛けられている。このベルト56は露光部14の搬送ガイドユニット18近傍に配設された一対のローラ74の右側のローラ74Aにも巻き掛けられている。一対のローラ74の下方には、さらに一対のローラ76が設けられ、ベルト56は、この下方のローラ76の右側のローラ76A、並びに一対の小ローラ78のそれぞれに巻き掛けられ、全体として略L字型のループを形成して図3の矢印D方向へ駆動する。
【0038】
なお、上方の一対のローラ74の左側のローラ74B及び下方の一対のローラ76の左側のローラ76Bとの間にはベルト80が渡してある。
【0039】
ローラ74Bは搬送方向に対して逆方向に回転するローラであり、合紙13との摩擦力が大きくなる構造となっている。通常搬送時には、ローラ74Bは搬送面より下側に待避している。印刷版12及び合紙13がローラ74B上を通過した後に上昇し摩擦力により合紙13をローラ74間に引き込み、ローラ74Bは待避する。合紙13は、下方の一対のローラ76へと送られて廃棄される構成である(図3の鎖線矢印E参照)。
【0040】
一方、印刷版12は、上方の一対のローラ74の上方を通過し、給版ガイド20へと送り込まれるようになっている(図3の実線矢印F参照)。
[吸着枚葉装置50の構成]
図2には、本実施の形態に係る吸着枚葉装置50の全体構成が概略的に示されている。
【0041】
この吸着枚葉装置50は、印刷版12の幅方向に沿って、複数(本実施の形態においては、9個))の吸着盤40A〜吸着盤40Iが所定の間隔で配設されている。これらの吸着盤40A〜吸着盤40Iは、全体として4チャンネルの吸引システムを構成しており、各吸着盤40A〜吸着盤40Iのうち、最も内側に位置する3個の吸着盤40A〜吸着盤40Cは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Aにフィルタ58を介在させて接続されている。さらにこれと同様に、前記吸着盤40A〜吸着盤40Cの両外側に位置する一対の吸着盤40D及び吸着盤40Eは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Bにフィルタ58を介在させて接続されている。
【0042】
さらに、順次同様に、一対の吸着盤40F及び吸着盤40Gは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Cにフィルタ58を介在させて接続されており、一対の吸着盤40H及び吸着盤40Iは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Dにフィルタ58を介在させて接続されている。
【0043】
また、各切替弁54A乃至切替弁54Dは、負圧発生源としての真空ポンプ52に接続されている。真空ポンプ52は、例えば、ピストンやダイヤフラムを用いた往復動タイプのものとされており、各吸着盤40が印刷版12を吸着するための負圧を発生する。
【0044】
これにより、各吸着盤40A〜吸着盤40Iは、前述した如く合紙13及び印刷版12を対(1組)として共に同時に吸着して持ち上げる吸着持上げ動作すると共に、この吸着持上げ動作の後に、下層の他の合紙13及び印刷版12から「捌き(分離)」して上昇する(分離枚葉動作)ことができる構成である。しかも、各吸着盤40A〜吸着盤40Iは全体として4チャンネルに構成されているため、幅方向寸法が異なるサイズの印刷版12にも好適に対応することが可能となっている。
【0045】
また、第1チャンネル目の吸着盤40A〜吸着盤40Cには、負圧検出手段としての圧力センサ60が接続されており、吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着圧力を検出することができる。この場合、この圧力センサ60は、図1(A)に示す如く、吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、前述した最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧と、吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、下層の他の合紙13及び印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧とを、少なくとも検出できるように構成されている。
【0046】
なお、この圧力センサ60としてアナログ出力するタイプのものを適用し、前記第1の負圧と第2の負圧とを吸着枚葉装置50の制御装置(制御回路)によって設定するように構成することもできる。
【0047】
さらにここで、図1(B)または図1(C)に示す如く、圧力センサ60によって検出された吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着持上げ動作(図1(B)または図1(C)における▲1▼)を開始し、その後に、この吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、下層の他の合紙13及び印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤40A〜吸着盤40Iの分離枚葉動作(図1(B)または図1(C)における▲2▼)を開始するように設定されている。
【0048】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0049】
上記構成の印刷版自動露光装置10では、カセット38から印刷版12(及び合紙13)を取り出すとき、複数段に重ねられたカセット38の1つを特定する。カセット38が特定されると、吸着盤40を当該特定されたカセット38の図3の右端部近傍へ位置決めする。位置決め後は、吸着枚葉装置50(吸着盤40A〜吸着盤40I)をカセット38の高さ位置まで下降させるが、このとき、それぞれのカセット38の高さ位置が異なるが、それぞれ単純な直線的な移動となる。
【0050】
吸着枚葉装置50が下降すると、当該特定されたカセット38での最上層に位置する合紙13に吸着盤40A〜吸着盤40Iが接触する。この状態で、吸着盤40A〜吸着盤40Iによる吸着を開始し、吸着盤40A〜吸着盤40Iは上昇を開始する。この上昇時、吸着盤40A〜吸着盤40Iは、最上層の合紙13と共に印刷版12を吸着して持ち上げる(吸着持上げ動作)。
【0051】
さらに、吸着した合紙13と共に印刷版12がカセット38から離脱するとき、吸着された印刷版12に静電気及び版自体の真空密着により次層の合紙13や印刷版12が密着することがある。このとき、カセット38に設けられたさばき板39によりさばかれることで、吸着力を受けている最上層の合紙13と次層の印刷版12のみが、下層の他の合紙13や印刷版12と分離されて枚葉される(分離枚葉動作)。
【0052】
ここで、吸着盤40A〜吸着盤40Iによって合紙13と共に印刷版12を吸着し枚葉するに際しては、各吸着盤40A〜吸着盤40Iに接続された真空ポンプ52が所定の負圧を発生するが、従来の吸着装置では、「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなることが一般的である。この場合には、「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」の動作が「さばき板による分離枚葉」に必要な圧力に到達するまで行うことができなくなり、無駄な待ち時間が発生することになる。
【0053】
すなわち、図1(D)に示す如く、吸着盤の吸着負圧が、最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達してもなお吸着盤の吸着持上げ動作は開始されず、その後に、この吸着盤の吸着負圧が、下層の他の合紙13及び印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で初めて吸着盤の分離枚葉動作が開始される。このため、無駄な待ち時間が発生して、合紙13及び印刷版12の吸着枚葉動作のサイクルタイムが増加する原因であった。
【0054】
この点、本実施の形態に係るシート体の吸着枚葉装置50では、図1(B)または図1(C)に示す如く、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が、最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で、直ちに吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着持上げ動作(図1(B)または図1(C)における▲1▼)が開始され、その後に、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が、さばき板39により下層の他の合紙13や印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で、吸着盤40A〜吸着盤40Iの分離枚葉動作(図1(B)または図1(C)における▲2▼)が開始される。
【0055】
すなわち、吸着盤40A〜吸着盤40Iの必要吸着圧力が、吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作の一連の吸着枚葉動作の中で、「分離枚葉動作(さばき)」の際に当該必要吸着圧力(第2の負圧)が最も大きくなる場合であっても、「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作(さばき)」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、合紙13及び印刷版12の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0056】
吸着枚葉装置50の吸着盤40A〜吸着盤40Iが印刷版12(及び合紙13)をカセット38から持ち出し、最上点となると、基点70を中心に180°回転しながら、露光部14方向へ水平移動する。このとき、印刷版12のピックアップ位置(吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着点)は、所謂サイクロイド曲線を描いて移動する。このため、下層側のカセット38から持ち出された印刷版12(及び合紙13)は、自身の腰の強さと共に上層側のカセット38に対して回り込みながら搬送されるため、ほとんど接触することがない。なお、上層側のカセット38と接触するのは、印刷版12の裏面側であるため、多少の接触は許容できる。
【0057】
180°回転した印刷版12(及び合紙13)は、搬送ローラ108へ受け渡される。さらに、搬送方向に対して逆方向に回転するローラ74Bによって合紙13が印刷版12から剥離される。剥離された合紙13は、ローラ74間に引き込まれ、下方のローラ76へと送られ、図示しない廃棄ボックスへ廃棄される。
【0058】
一方、印刷版12は、ガイド板109を略水平に搬送し続け、給版ガイド20へと送り込まれる。給版ガイド20上の印刷版12は、回転ドラム16へ送り込まれ、先端チャック26によって印刷版12の先端部が保持され、この状態で回転ドラム12が回転することで回転ドラム16の周面に緊密に巻き付けられ、その後、後端チャック36によって印刷版12の後端が保持されることで、露光のための準備が完了する。
【0059】
この状態で、画像データを読み込み、記録ヘッド部37からの光ビームによって露光処理が開始される。露光処理は、回転ドラム16を高速で回転させながら(主走査)、記録ヘッド部37を回転ドラム16の軸線方向へ移動する、所謂走査露光である。
【0060】
露光処理が終了すると、搬送ガイドユニット18を切り換え(排版ガイド22を回転ドラム16へ対応させ)、次いで、回転ドラム16に巻きつけた印刷版12を接線方向から排出していく。このとき、印刷版12は、排版ガイド22に送られる。印刷版12が排版ガイド22に送られると、搬送ガイドユニット18を切り換え、排版ガイド22を排出口へ対応させ、印刷版12を排出させる。この排出方向には、現像部が設けられており、印刷版12は続けて現像処理される。
【0061】
このように、本実施の形態に係るシート体の吸着枚葉装置50では、吸着盤40A〜吸着盤40Iによって合紙13と共に印刷版12を吸着し枚葉するに際しては、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着持上げ動作を開始し、その後に、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が第2の負圧に達した時点で吸着盤40A〜吸着盤40Iの分離枚葉動作を開始するため、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理を行うことができ、合紙13及び印刷版12の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係るシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理が可能になるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置の吸着枚葉時における吸着圧力の変化を示す線図であり、(B)及び(C)は本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置の吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作を示す線図であり、(D)は従来の吸着枚葉装置の吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作を示す線図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置の全体構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置が適用された印刷版自動露光装置の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置が吸着するカセット内の合紙と印刷版との集積状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 印刷版自動露光装置
12 印刷版(シート体)
12A 支持体
12B 乳剤面
13 合紙(シート体)
38 カセット
40A〜40I 吸着盤
50 吸着枚葉装置
52 真空ポンプ(負圧発生源)
54A〜54D マニホールド付き3ポート2位置切替弁
58 フィルタ
60 圧力センサ(負圧検出手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
支持体上に記録層(感光層)が設けられた印刷版(例えば、サーマル版、フォトポリマー版などのPS版)を用い、この印刷版の感光層に直接レーザビーム等で画像を記録する技術が開発されてきている(印刷版露光装置)。このような技術では、印刷版への迅速な画像記録が可能となっている。
【0003】
ここで、印刷版への画像記録の技術を用いる印刷版自動露光装置では、多数枚の印刷版が積層してカセット内に収容されているが、印刷版の画像形成面は傷つき易くこの画像形成面の保護のために、印刷版の画像形成面には保護シート(合紙)が重ね合わされ、これらが順次層状に積層されてカセット内に収容されている。印刷版を枚葉する際には、カセット内に積層された複数枚の印刷版のうち最上層の印刷版の一端部を吸盤によって吸着して他と分離し、1枚ずつ取り出して反転させながら次工程(例えば、露光工程)へ枚葉(搬送供給)するようになっている。
【0004】
ところで、前述の如く印刷版を吸盤によって吸着して1枚ずつ取り出し反転させながら枚葉する際に、吸盤が吸着した最上層の印刷版と次の(下層の)印刷版との間の真空密着や静電気によって、前記次の(下層の)印刷版までもがそのまま持ち上げられてしまう場合がある。このため、従来では、吸盤により吸着して持ち上げて上昇する移動軌跡の途中に(例えば、カセットの上端角部に)所謂「さばき板」を設け、印刷版をこの「さばき板」に接触させながら通過させたり、一定時間停止させることで、前記次の(下層の)印刷版を分離させていた(特許文献1、あるいは特許文献2参照)。
【0005】
またここで、このような吸盤によって印刷版を真空吸着して搬送する際には、一般的には、圧力センサを用いて吸着圧力が「吸着持上げ」・「さばき板による分離枚葉」・「反転させて搬送」、の全ての過程において必要吸着圧力になるしきい値に到達したことを検知して、一連の吸着枚葉動作が開始されるようになっている(特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、ポンプを用いて真空圧力(吸盤の吸着力)を発生させる場合においては、圧力が下がるのには(吸盤の吸着力が所定に達するのには)ある程度の時間が必要である。この場合、必要吸着圧力が「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」・「さばき板による分離枚葉」・「反転させて搬送」の一連の吸着枚葉動作の中で、「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」の過程が最も大きい場合には何ら差し支えないのであるが、それ以外の場合には、例えば「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなる場合には、「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」の動作が「さばき板による分離枚葉」に必要な圧力に到達するまで行うことができなくなり、無駄な待ち時間が発生することになる。しかもこの場合、前記「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなることが一般的である。
【0007】
【特許文献1】
特開2002−128297号公報
【特許文献2】
特開2001−151360号公報
【特許文献3】
特開2000−247489号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理が可能なシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置を得ることが目的である。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1に係る発明のシート体の吸着枚葉方法は、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着盤によって吸着して持ち上げ、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体を下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉方法であって、前記吸着盤の吸着負圧が、前記最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに前記吸着盤の前記吸着持上げ動作を開始し、その後に、前記吸着盤の吸着負圧が、前記下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で前記吸着盤の前記分離枚葉動作を開始する、ことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載のシート体の吸着枚葉方法では、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体が、吸着盤によって吸着して持ち上げられ(吸着持上げ動作)、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体が下層の他のシート体と分離されて(所謂、捌かれて)枚葉される(分離枚葉動作)。したがって、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができる。
【0011】
ここで、このシート体の吸着枚葉方法では、吸着盤の吸着負圧が、最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤の吸着持上げ動作が開始され、その後に、吸着盤の吸着負圧が、下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤の分離枚葉動作が開始される。
【0012】
すなわち、例えば、吸着盤の必要吸着圧力が、吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作の一連の吸着枚葉動作の中で、「分離枚葉動作(さばき)」の際に当該必要吸着圧力(第2の負圧)が最も大きくなる場合であっても、「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作(さばき)」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、シート体の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0013】
このように、請求項1記載のシート体の吸着枚葉方法では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理を行うことが可能になる。
【0014】
請求項2に係る発明のシート体の吸着枚葉装置は、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉装置であって、前記シート体の幅方向に沿って所定の間隔で複数設けられ、前記シート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作すると共に、前記吸着持上げ動作の後に下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作する吸着盤と、前記各吸着盤に接続され、前記各吸着盤が前記シート体を吸着するための負圧を発生する負圧発生源と、前記各吸着盤が前記吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧と、前記各吸着盤が前記分離枚葉動作するに可能な第2の負圧とを検出可能な負圧検出手段と、を備え、前記各吸着盤の吸着負圧が、前記負圧検出手段によって前記第1の負圧に達したことが検出された時点で前記各吸着盤の前記吸着持上げ動作を開始し、かつ、前記負圧検出手段によって前記第2の負圧に達したことが検出された時点で前記各吸着盤の前記分離枚葉動作を開始する、ことを特徴としている。
【0015】
請求項2記載のシート体の吸着枚葉装置では、カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体が、吸着盤によって吸着して持ち上げられ(吸着持上げ動作)、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体が下層の他のシート体と分離されて(所謂、捌かれて)枚葉される(分離枚葉動作)。したがって、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができる。
【0016】
ここで、このシート体の吸着枚葉装置では、吸着盤の吸着負圧が、最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤の吸着持上げ動作が開始され、その後に、吸着盤の吸着負圧が、下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤の分離枚葉動作が開始される。
【0017】
すなわち、例えば、吸着盤の必要吸着圧力が、吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作の一連の吸着枚葉動作の中で、「分離枚葉動作(さばき)」の際に当該必要吸着圧力(第2の負圧)が最も大きくなる場合であっても、「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作(さばき)」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、シート体の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0018】
このように、請求項2記載のシート体の吸着枚葉装置では、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理を行うことが可能になる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図3には、本発明の実施の形態に係るシート体の吸着枚葉装置50が適用された印刷版自動露光装置10の概略的な全体構成が示されている。
【0020】
この印刷版自動露光装置10は、印刷版12の画像形成層に光ビームを照射して画像を露光する露光部14と、印刷版12を枚葉して前記露光部14へ搬送する枚葉搬送部15と、の2つのブロックに分かれている。また、この印刷版自動露光装置10によって、露光処理された印刷版12は、印刷版自動露光装置10に隣接した設置された図示しない現像装置へ送り出されるようになっている。
[露光部14の構成]
露光部14は、印刷版12を周面に巻付けて保持する回転ドラム16を主要部として構成されており、印刷版12は、搬送ガイドユニット18に案内されて、この回転ドラム16の接線方向から送り込まれるようになっている。搬送ガイドユニット18は、給版ガイド20と排版ガイド22とで構成されており、この搬送ガイドユニット18における、枚葉搬送部15との境界側には、搬送ローラ108とガイド板109とが配設されている。
【0021】
搬送ガイドユニット18の給版ガイド20と排版ガイド22とは、互いの相対位置関係が横V字型とされ、図3の右端部側の中心として、所定角度回動する構造となっている。この回動によって、給版ガイド20を選択的に前記回転ドラム16に対応させる位置(回転ドラム16の接線方向に配置させる位置)と、回転ドラム16の上方に設けられたパンチャー24への挿入方向位置とに配置することができる。前記枚葉搬送部15から送り込まれた印刷版12は、まず、給版ガイド20に案内されてパンチャー24へ送り込まれ、この印刷版12の先端に位置決め用の切欠きを形成する。また、印刷版12は、必要に応じてパンチャー24による処理後、一旦給版ガイド20に戻されることで、回転ドラム16に対応する位置に移動される構成である。
【0022】
回転ドラム16は、図示しない駆動手段によって、印刷版12の装着露光方向(図3の矢印A方向)及び装着露光方向と反対方向となる印刷版12の取外し方向(図3の矢印B方向)へ回転される。
【0023】
また、回転ドラム16には、外周面の所定の位置に、先端チャック26が取付けられている。露光部14では、この回転ドラム16に印刷版12を装着するときに、先ず、先端チャック26が、搬送ガイドユニット18の給版ガイド20によって送り込まれる印刷版12の先端に対向する位置(印刷版装着位置)で回転ドラム16を停止させる。
【0024】
さらに、露光部14には、印刷版装着位置で先端チャック26に対向して装着ユニット28が設けられている。先端チャック26は、この装着ユニット28の伸縮ロッド28Aが伸長して一端側が押圧されることにより、回転ドラム16の周面との間に印刷版12の挿入が可能となる。印刷版12の先端が先端チャック26と回転ドラム16の間に挿入された状態で、装着ユニット28の伸縮ロッド28Aを引き戻して先端チャック26への押圧を解除することにより、印刷版12の先端を先端チャック26と回転ドラム16の周面との間で挟持して保持する構成である。なお、このときには、印刷版12は、先端が回転ドラム16に設けられた位置決めピン(図示省略)に突き当てられて位置決めされる。回転ドラム16に印刷版12の先端が固定されると、回転ドラム16を装着露光方向へ回転する。これにより、搬送ガイドユニット18の給版ガイド20から送り込まれる印刷版12は、回転ドラム16の周面に巻き付けられる構成である。
【0025】
回転ドラム16の周面近傍には、印刷版装着位置よりも装着露光方向(図3の矢印A方向)の下流側にスクイズローラ30が配置されている。このスクイズローラ30は、回転ドラム16に向けて移動することにより回転ドラム16に巻き付けられる印刷版12を回転ドラム16へ向けて押圧し、印刷版12を回転ドラム16の周面に密着させることができる。
【0026】
また、露光部14には、先端チャック26よりも回転ドラム16の装着露光方向上流側近傍に後端チャック着脱ユニット32が配置されている。後端チャック着脱ユニット32には、回転ドラム16へ向けて突出されたガイドに沿って後端チャック36が移動するようになっている。回転ドラム16に巻き付けた印刷版12の後端が、後端チャック着脱ユニット32に対向すると、後端チャック36を回転ドラム16方向へ移動させて、後端チャック36を回転ドラム16の所定の位置に装着する。これにより、後端チャック36が、回転ドラム16との間で印刷版12の後端を挟持して保持する構成である。
【0027】
印刷版12の先端及び後端を回転ドラム16に保持させると、スクイズローラ30を離間させる(図3の鎖線参照)。この後、露光部14では、回転ドラム16を所定の回転速度で高速回転させながら、この回転ドラム16の回転に同期させて、記録ヘッド部37から画像データに基づいて変調した光ビームを照射する。これにより、印刷版12が画像データに基づいて走査露光されるようになっている。
【0028】
印刷版12への走査露光が終了すると、印刷版12の後端を保持している後端チャック36が後端チャック着脱ユニット32に対向する位置で回転ドラム16を一時停止させ、回転ドラム16から後端チャック36を取り外す。これにより、印刷版12の後端が開放される。その後、回転ドラム16を印刷版12の取出し方向へ回転させることで、印刷版12は後端側から回転ドラム16の接線方向に沿って、搬送ガイドユニット18の排版ガイド22へ排出され、その後、次工程の現像装置へ搬送される構成である。
[枚葉搬送部15の構成]
図3に示す如く、枚葉搬送部15には、所定のスペースのカセットストッカ部11が設けられ、装置設置面に対して平行とされたカセット38が設けられている。カセット38は、複数段積み重ねられている。このカセット38には、印刷版12が複数枚収容されている。図4に示す如く、印刷版12は、支持体12Aに乳剤面12B(画像記録面)が形成された構成であり、カセット38内には、印刷版12の乳剤面12B保護用の保護シートとしての合紙13と、乳剤面12Bが下向きとされた印刷版12とが交互に積層されて収容されている。
【0029】
ここで、本実施の形態のカセット38は、互いに水平方向にオフセットされた状態で積み重ねられている。このオフセット量は、後述する吸着枚葉装置50の吸着盤40による各カセット38からの印刷版12(及び保護シートとしての合紙13)の持出時の移動軌跡に基づいて設定されている。
【0030】
また、枚葉搬送部15には、後に詳述する吸着枚葉装置50が設けられている。この吸着枚葉装置50は、印刷版12の幅方向に沿って複数(本実施の形態においては、9個))の吸着盤40が所定のピッチ間隔で配設されている。
【0031】
カセット38の上部には、吸着盤40を吊り下げ支持すると共に当該吊り下げ支持する基点70をカセット38の図3の左右方向へ略水平移動可能な移動機構72が設けられている。移動機構72は、吸着枚葉装置50を反転させながら水平方向へ移動させるためのものであり、複数の吸着盤40を支持する基点70は、回動可能とされている。
【0032】
吸着枚葉装置50によって各カセット38から印刷版12を持ち出す際には、カセット38内には合紙13と乳剤面12Bが下向きとされた印刷版12とが交互に積層されているため、吸着盤40は、カセット38内の上層側の合紙13に接触することになる。接触した時点で吸着盤40に吸着力を持たせると、上層の合紙13はもちろん、その下層の印刷版12にも吸着力が伝えられ、合紙13と印刷版12とが対(1組)となって(共に同時に)吸着されて、持ち上げられる(吸着持上げ動作)。さらに、図3では、吸着盤40の昇降については省略しているが、各カセットの高さ位置まで下降し、各カセット38に設けられたさばき板39によって、吸着した合紙13及び印刷版12以外の下層の合紙13及び印刷版12から「捌き(分離)」し、この状態で上端位置まで上昇する(分離枚葉動作)ようになっている。
【0033】
このとき、印刷版12の長さ(図3の左右方向長さ)により、各段のカセット38からの垂直方向の持ち出しにおいて、異なる移動軌跡となる。すなわち、本実施の形態にように3段の場合、最上段のカセット38からの持出時は印刷版12の先端部のみが持ち上げられ、中段のカセット38からの持出時は、印刷版12の2/3程度が持ち上げられ、下段のカセット38からの持出時は、印刷版12が全て吊り下げられた状態となる。
【0034】
このような状態で吸着盤40を支持するプレートは、基点70を中心に図3の反時計方向へ回転し始め、かつカセット38の図3の左方向へ移動を開始する。これにより、吸着盤40の吸着点は所謂サイクロイド曲線ないし近似サイクロイド曲線を描きながら移動することになる。この移動軌跡に基づいて、各カセット38のオフセット量を設定することで、何れのカセット38から合紙13及び印刷版12を持ち出しても、上層側のカセット38と干渉することなく持ち出すことが可能となっている。
【0035】
なお、印刷版12と上層側のカセット38とは全く干渉しないのが最も好ましいが、カセット38に当接する面が合紙13(印刷版12の裏面側)であるため、カセットストッカ部11の平面視上のスペースを小さくすることを前提とすれば、吸着盤40の昇降方向(垂直方向)移動時並びに回転移動時での接触を回避しさえすれば、吸着盤40の移動左右方向(水平方向)移動時には多少の接触があってもよい。
【0036】
前記吸着盤40が180°回転すると、図3の状態では下側が合紙13、上側が印刷版12となって、搬送ローラ108へ受け渡されるようになっている。
【0037】
搬送ローラ108の下側のローラ108Aに隣接するローラ107にはベルト56が巻き掛けられている。このベルト56は露光部14の搬送ガイドユニット18近傍に配設された一対のローラ74の右側のローラ74Aにも巻き掛けられている。一対のローラ74の下方には、さらに一対のローラ76が設けられ、ベルト56は、この下方のローラ76の右側のローラ76A、並びに一対の小ローラ78のそれぞれに巻き掛けられ、全体として略L字型のループを形成して図3の矢印D方向へ駆動する。
【0038】
なお、上方の一対のローラ74の左側のローラ74B及び下方の一対のローラ76の左側のローラ76Bとの間にはベルト80が渡してある。
【0039】
ローラ74Bは搬送方向に対して逆方向に回転するローラであり、合紙13との摩擦力が大きくなる構造となっている。通常搬送時には、ローラ74Bは搬送面より下側に待避している。印刷版12及び合紙13がローラ74B上を通過した後に上昇し摩擦力により合紙13をローラ74間に引き込み、ローラ74Bは待避する。合紙13は、下方の一対のローラ76へと送られて廃棄される構成である(図3の鎖線矢印E参照)。
【0040】
一方、印刷版12は、上方の一対のローラ74の上方を通過し、給版ガイド20へと送り込まれるようになっている(図3の実線矢印F参照)。
[吸着枚葉装置50の構成]
図2には、本実施の形態に係る吸着枚葉装置50の全体構成が概略的に示されている。
【0041】
この吸着枚葉装置50は、印刷版12の幅方向に沿って、複数(本実施の形態においては、9個))の吸着盤40A〜吸着盤40Iが所定の間隔で配設されている。これらの吸着盤40A〜吸着盤40Iは、全体として4チャンネルの吸引システムを構成しており、各吸着盤40A〜吸着盤40Iのうち、最も内側に位置する3個の吸着盤40A〜吸着盤40Cは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Aにフィルタ58を介在させて接続されている。さらにこれと同様に、前記吸着盤40A〜吸着盤40Cの両外側に位置する一対の吸着盤40D及び吸着盤40Eは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Bにフィルタ58を介在させて接続されている。
【0042】
さらに、順次同様に、一対の吸着盤40F及び吸着盤40Gは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Cにフィルタ58を介在させて接続されており、一対の吸着盤40H及び吸着盤40Iは、マニホールド付きの3ポート2位置切替弁54Dにフィルタ58を介在させて接続されている。
【0043】
また、各切替弁54A乃至切替弁54Dは、負圧発生源としての真空ポンプ52に接続されている。真空ポンプ52は、例えば、ピストンやダイヤフラムを用いた往復動タイプのものとされており、各吸着盤40が印刷版12を吸着するための負圧を発生する。
【0044】
これにより、各吸着盤40A〜吸着盤40Iは、前述した如く合紙13及び印刷版12を対(1組)として共に同時に吸着して持ち上げる吸着持上げ動作すると共に、この吸着持上げ動作の後に、下層の他の合紙13及び印刷版12から「捌き(分離)」して上昇する(分離枚葉動作)ことができる構成である。しかも、各吸着盤40A〜吸着盤40Iは全体として4チャンネルに構成されているため、幅方向寸法が異なるサイズの印刷版12にも好適に対応することが可能となっている。
【0045】
また、第1チャンネル目の吸着盤40A〜吸着盤40Cには、負圧検出手段としての圧力センサ60が接続されており、吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着圧力を検出することができる。この場合、この圧力センサ60は、図1(A)に示す如く、吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、前述した最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧と、吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、下層の他の合紙13及び印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧とを、少なくとも検出できるように構成されている。
【0046】
なお、この圧力センサ60としてアナログ出力するタイプのものを適用し、前記第1の負圧と第2の負圧とを吸着枚葉装置50の制御装置(制御回路)によって設定するように構成することもできる。
【0047】
さらにここで、図1(B)または図1(C)に示す如く、圧力センサ60によって検出された吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着持上げ動作(図1(B)または図1(C)における▲1▼)を開始し、その後に、この吸着盤40A〜吸着盤40Cの吸着負圧が、下層の他の合紙13及び印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で吸着盤40A〜吸着盤40Iの分離枚葉動作(図1(B)または図1(C)における▲2▼)を開始するように設定されている。
【0048】
次に、本実施の形態の作用を説明する。
【0049】
上記構成の印刷版自動露光装置10では、カセット38から印刷版12(及び合紙13)を取り出すとき、複数段に重ねられたカセット38の1つを特定する。カセット38が特定されると、吸着盤40を当該特定されたカセット38の図3の右端部近傍へ位置決めする。位置決め後は、吸着枚葉装置50(吸着盤40A〜吸着盤40I)をカセット38の高さ位置まで下降させるが、このとき、それぞれのカセット38の高さ位置が異なるが、それぞれ単純な直線的な移動となる。
【0050】
吸着枚葉装置50が下降すると、当該特定されたカセット38での最上層に位置する合紙13に吸着盤40A〜吸着盤40Iが接触する。この状態で、吸着盤40A〜吸着盤40Iによる吸着を開始し、吸着盤40A〜吸着盤40Iは上昇を開始する。この上昇時、吸着盤40A〜吸着盤40Iは、最上層の合紙13と共に印刷版12を吸着して持ち上げる(吸着持上げ動作)。
【0051】
さらに、吸着した合紙13と共に印刷版12がカセット38から離脱するとき、吸着された印刷版12に静電気及び版自体の真空密着により次層の合紙13や印刷版12が密着することがある。このとき、カセット38に設けられたさばき板39によりさばかれることで、吸着力を受けている最上層の合紙13と次層の印刷版12のみが、下層の他の合紙13や印刷版12と分離されて枚葉される(分離枚葉動作)。
【0052】
ここで、吸着盤40A〜吸着盤40Iによって合紙13と共に印刷版12を吸着し枚葉するに際しては、各吸着盤40A〜吸着盤40Iに接続された真空ポンプ52が所定の負圧を発生するが、従来の吸着装置では、「さばき板による分離枚葉」の際に当該必要吸着圧力が最も大きくなることが一般的である。この場合には、「吸着持上げ」・「その後の持ち上げ搬送」の動作が「さばき板による分離枚葉」に必要な圧力に到達するまで行うことができなくなり、無駄な待ち時間が発生することになる。
【0053】
すなわち、図1(D)に示す如く、吸着盤の吸着負圧が、最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達してもなお吸着盤の吸着持上げ動作は開始されず、その後に、この吸着盤の吸着負圧が、下層の他の合紙13及び印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で初めて吸着盤の分離枚葉動作が開始される。このため、無駄な待ち時間が発生して、合紙13及び印刷版12の吸着枚葉動作のサイクルタイムが増加する原因であった。
【0054】
この点、本実施の形態に係るシート体の吸着枚葉装置50では、図1(B)または図1(C)に示す如く、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が、最上層の合紙13及び印刷版12を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で、直ちに吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着持上げ動作(図1(B)または図1(C)における▲1▼)が開始され、その後に、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が、さばき板39により下層の他の合紙13や印刷版12と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で、吸着盤40A〜吸着盤40Iの分離枚葉動作(図1(B)または図1(C)における▲2▼)が開始される。
【0055】
すなわち、吸着盤40A〜吸着盤40Iの必要吸着圧力が、吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作の一連の吸着枚葉動作の中で、「分離枚葉動作(さばき)」の際に当該必要吸着圧力(第2の負圧)が最も大きくなる場合であっても、「吸着持上げ動作」が「分離枚葉動作(さばき)」に必要な圧力(第2の負圧)に到達するまで遅滞することなく直ちに実行され、無駄な待ち時間が発生することがない。したがって、合紙13及び印刷版12の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0056】
吸着枚葉装置50の吸着盤40A〜吸着盤40Iが印刷版12(及び合紙13)をカセット38から持ち出し、最上点となると、基点70を中心に180°回転しながら、露光部14方向へ水平移動する。このとき、印刷版12のピックアップ位置(吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着点)は、所謂サイクロイド曲線を描いて移動する。このため、下層側のカセット38から持ち出された印刷版12(及び合紙13)は、自身の腰の強さと共に上層側のカセット38に対して回り込みながら搬送されるため、ほとんど接触することがない。なお、上層側のカセット38と接触するのは、印刷版12の裏面側であるため、多少の接触は許容できる。
【0057】
180°回転した印刷版12(及び合紙13)は、搬送ローラ108へ受け渡される。さらに、搬送方向に対して逆方向に回転するローラ74Bによって合紙13が印刷版12から剥離される。剥離された合紙13は、ローラ74間に引き込まれ、下方のローラ76へと送られ、図示しない廃棄ボックスへ廃棄される。
【0058】
一方、印刷版12は、ガイド板109を略水平に搬送し続け、給版ガイド20へと送り込まれる。給版ガイド20上の印刷版12は、回転ドラム16へ送り込まれ、先端チャック26によって印刷版12の先端部が保持され、この状態で回転ドラム12が回転することで回転ドラム16の周面に緊密に巻き付けられ、その後、後端チャック36によって印刷版12の後端が保持されることで、露光のための準備が完了する。
【0059】
この状態で、画像データを読み込み、記録ヘッド部37からの光ビームによって露光処理が開始される。露光処理は、回転ドラム16を高速で回転させながら(主走査)、記録ヘッド部37を回転ドラム16の軸線方向へ移動する、所謂走査露光である。
【0060】
露光処理が終了すると、搬送ガイドユニット18を切り換え(排版ガイド22を回転ドラム16へ対応させ)、次いで、回転ドラム16に巻きつけた印刷版12を接線方向から排出していく。このとき、印刷版12は、排版ガイド22に送られる。印刷版12が排版ガイド22に送られると、搬送ガイドユニット18を切り換え、排版ガイド22を排出口へ対応させ、印刷版12を排出させる。この排出方向には、現像部が設けられており、印刷版12は続けて現像処理される。
【0061】
このように、本実施の形態に係るシート体の吸着枚葉装置50では、吸着盤40A〜吸着盤40Iによって合紙13と共に印刷版12を吸着し枚葉するに際しては、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が第1の負圧に達した時点で直ちに吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着持上げ動作を開始し、その後に、吸着盤40A〜吸着盤40Iの吸着負圧が第2の負圧に達した時点で吸着盤40A〜吸着盤40Iの分離枚葉動作を開始するため、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理を行うことができ、合紙13及び印刷版12の吸着枚葉動作のサイクルタイムを大幅に短縮することができる。
【0062】
【発明の効果】
以上説明した如く本発明に係るシート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置は、積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着して枚葉する際に、最上層のシート体を次の(下層の)他のシート体と確実に分離して安定して枚葉することができるのみならず、無駄な待ち時間が生じることがなく最短の時間で処理が可能になるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置の吸着枚葉時における吸着圧力の変化を示す線図であり、(B)及び(C)は本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置の吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作を示す線図であり、(D)は従来の吸着枚葉装置の吸着持上げ動作及びその後の分離枚葉動作を示す線図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置の全体構成図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置が適用された印刷版自動露光装置の概略図である。
【図4】本発明の実施の形態に係る吸着枚葉装置が吸着するカセット内の合紙と印刷版との集積状態を示す断面図である。
【符号の説明】
10 印刷版自動露光装置
12 印刷版(シート体)
12A 支持体
12B 乳剤面
13 合紙(シート体)
38 カセット
40A〜40I 吸着盤
50 吸着枚葉装置
52 真空ポンプ(負圧発生源)
54A〜54D マニホールド付き3ポート2位置切替弁
58 フィルタ
60 圧力センサ(負圧検出手段)
Claims (2)
- カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着盤によって吸着して持ち上げ、次いで、持ち上げた前記最上層のシート体を下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉方法であって、
前記吸着盤の吸着負圧が、前記最上層のシート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧に達した時点で直ちに前記吸着盤の前記吸着持上げ動作を開始し、その後に、前記吸着盤の吸着負圧が、前記下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作するに可能な第2の負圧に達した時点で前記吸着盤の前記分離枚葉動作を開始する、
ことを特徴とするシート体の吸着枚葉方法。 - カセット内に積層された複数枚のシート体のうち最上層のシート体を吸着し下層の他のシート体と分離して枚葉するシート体の吸着枚葉装置であって、
前記シート体の幅方向に沿って所定の間隔で複数設けられ、前記シート体を吸着して持ち上げる吸着持上げ動作すると共に、前記吸着持上げ動作の後に下層の他のシート体と分離して枚葉する分離枚葉動作する吸着盤と、
前記各吸着盤に接続され、前記各吸着盤が前記シート体を吸着するための負圧を発生する負圧発生源と、
前記各吸着盤が前記吸着持上げ動作するに可能な第1の負圧と、前記各吸着盤が前記分離枚葉動作するに可能な第2の負圧とを検出可能な負圧検出手段と、
を備え、前記各吸着盤の吸着負圧が、前記負圧検出手段によって前記第1の負圧に達したことが検出された時点で前記各吸着盤の前記吸着持上げ動作を開始し、かつ、前記負圧検出手段によって前記第2の負圧に達したことが検出された時点で前記各吸着盤の前記分離枚葉動作を開始する、
ことを特徴とするシート体の吸着枚葉装置。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2003067688A JP2004277034A (ja) | 2003-03-13 | 2003-03-13 | シート体の吸着枚葉方法及び吸着枚葉装置 |
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JP (1) | JP2004277034A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007204265A (ja) * | 2006-02-06 | 2007-08-16 | Seiko Epson Corp | 付箋紙プリンタ |
JP7519938B2 (ja) | 2021-03-09 | 2024-07-22 | リョービMhiグラフィックテクノロジー株式会社 | 印刷機 |
-
2003
- 2003-03-13 JP JP2003067688A patent/JP2004277034A/ja active Pending
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