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JP2004251310A - 変速機のクラッチ締結力制御装置 - Google Patents

変速機のクラッチ締結力制御装置 Download PDF

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JP2004251310A
JP2004251310A JP2003039474A JP2003039474A JP2004251310A JP 2004251310 A JP2004251310 A JP 2004251310A JP 2003039474 A JP2003039474 A JP 2003039474A JP 2003039474 A JP2003039474 A JP 2003039474A JP 2004251310 A JP2004251310 A JP 2004251310A
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oil
oil chamber
outer peripheral
piston
pressure
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Application number
JP2003039474A
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English (en)
Inventor
Tatsuya Uesugi
達也 上杉
Hidetoshi Nobemoto
秀寿 延本
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Mazda Motor Corp
Original Assignee
Mazda Motor Corp
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Publication date
Application filed by Mazda Motor Corp filed Critical Mazda Motor Corp
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16DCOUPLINGS FOR TRANSMITTING ROTATION; CLUTCHES; BRAKES
    • F16D25/00Fluid-actuated clutches
    • F16D25/06Fluid-actuated clutches in which the fluid actuates a piston incorporated in, i.e. rotating with the clutch
    • F16D25/062Fluid-actuated clutches in which the fluid actuates a piston incorporated in, i.e. rotating with the clutch the clutch having friction surfaces
    • F16D25/063Fluid-actuated clutches in which the fluid actuates a piston incorporated in, i.e. rotating with the clutch the clutch having friction surfaces with clutch members exclusively moving axially
    • F16D25/0635Fluid-actuated clutches in which the fluid actuates a piston incorporated in, i.e. rotating with the clutch the clutch having friction surfaces with clutch members exclusively moving axially with flat friction surfaces, e.g. discs
    • F16D25/0638Fluid-actuated clutches in which the fluid actuates a piston incorporated in, i.e. rotating with the clutch the clutch having friction surfaces with clutch members exclusively moving axially with flat friction surfaces, e.g. discs with more than two discs, e.g. multiple lamellae

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  • Mechanical Engineering (AREA)
  • Hydraulic Clutches, Magnetic Clutches, Fluid Clutches, And Fluid Joints (AREA)

Abstract

【課題】ピストン及びドラムにより半径方向内周側及び外周側に2つの油室が形成された多板クラッチを有する変速機において、クラッチの締結制御の制御性を向上させることが可能なクラッチ締結力制御装置を提供する。
【解決手段】多板クラッチを構成するドラム内にピストンが軸方向に摺動可能に嵌合されていると共に、該ピストンと上記ドラムとで半径方向内周側と外周側とに2つの油室が形成されており、両油室に供給する作動油の圧力P1,P2をそれぞれ制御することによりクラッチの締結力F0を制御する変速機のクラッチ締結力制御装置において、要求される締結力F0が小さいときは、外周側の油室にのみ油圧P1を供給しまたは外周側の油室に供給する油圧P1を内周側の油室に供給する油圧P2よりも大きくする。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、変速機に用いられるクラッチの締結力制御装置に関し、変速機の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、車両に搭載される自動変速機は、変速歯車機構の動力伝達経路を多板クラッチ等の複数の摩擦締結装置の選択的作動により切換えて、所定の変速段に変速するように構成されたものであるが、上記多板クラッチは通常次のように構成される。
【0003】
すなわち、この多板クラッチは、一例として図15に示すように、入力側または出力側の動力伝達要素に固着されたドラム101と、上記動力伝達要素のうち他方の動力伝達要素に連結されたハブ102と、上記ドラム101及びハブ102に1枚ずつ交互にスプライン嵌合された複数枚の摩擦プレート103…103とを有する。ドラム101は、中空円板状の側壁101aと、その外周縁及び内周縁から軸方向に延びる円筒状の外周壁101b及び内周壁101cとを有する。
【0004】
そして、ドラム101の外周壁101bと内周壁101cとの間には、軸方向に摺動可能に環状のピストン104が嵌合されており、該ドラム101とピストン104とによって油室105が形成されていると共に、該ドラム101の外周壁101bの内周面とピストン104の外周縁との間、及びドラム101の内周壁101cの外周面とピストン104の内周縁との間にそれぞれシール部材106,107が設けられている。
【0005】
そして、上記油室105に作動油圧が供給されると、ピストン104がリターンスプリング108に抗して移動して上記ドラム101側のプレート103…103とハブ102側のプレート103…103とが互いに圧着され、ドラム101とハブ102との間で動力の伝達が行われる。
【0006】
ところで、近年、例えばDレンジのアイドル停車時に、フォワードクラッチを所定のスリップ状態にして、燃費の改善及びアイドル振動の低減を図ることがあり、その場合、クラッチ締結力を微妙に変更するために、油室に供給する油圧を緻密に調整することが行われるが、より緻密な制御を行うために、油室を分割して、いずれか一方あるいは両方に油圧を供給することにより締結力を変更することが考えられ、その例として、受圧面積が異なる2つのピストンと各ピストン用の油室を軸方向に直列に設け、要求される締結力が小さいときは受圧面積の小さい方のピストンに油圧を加え、要求される締結力が大きいときは受圧面積の大きい方のピストンに油圧を加えるものがある(例えば、特許文献1,2参照)。
【0007】
しかしながら、上記特許文献1,2に記載のクラッチにおいては複数のピストン及び油室が軸方向に直列に設けられているから、変速機が軸方向に長くなってしまう。
【0008】
これに対処するものとして、図16に示すように、ドラム201と単一のピストン202とで形成される空間をシール部材203,204,205によって半径方向の内周側と外周側とに分割して2つの油室206a,206bを設け、要求される締結力が小さいときは、内周側の油室206bにのみ油圧を供給し、要求される締結力が大きいときは、内周側油室206bだけでなく、外周側の油室206aにも油圧を供給するようにしたものがある。(特許文献3参照)。
【0009】
【特許文献1】
特開平5−340430号公報(図6)
【特許文献2】
特開平11−201187号公報(図1)
【特許文献3】
特開平4−151059号公報(第6図)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、実際に製造されたピストン202の外周縁及び内周縁の各中心や、ドラム201の外周壁201bの内周面及び内周壁201cの外周面等の中心は、製造公差等により不一致、すなわち芯ずれが生じることがある。そして、ドラム201及びピストン202を組合せると、それらの芯ずれにより、シール部材203,204,205の圧縮応力の和が最小となる状態でピストン202が初期位置に落ち着く。
【0011】
ここで、いずれか一方の油室に油圧を供給した場合、例えば、内周側油室206bに油圧を供給した場合、該油圧によりシール部材204,205が圧縮されて、その圧縮応力がそれぞれの円周上においてほぼ均一化(フローティング)されると共に(芯ずれにより、シール部材204,205の圧縮応力は完全には均一にならない)、この均一化される位置にピストン202が移動する(半径方向の移動)。一方、油圧が供給されていない側の外周側油室206aには、上記フローティング(シール部材204,205の圧縮応力が円周上でほぼ均一になること)に伴うピストン202の移動により、芯ずれの偏りが集中し、該外周側油室206aに係る残りのシール部材203が円周上で初期の落ち着き位置よりもさらに不均一に圧縮され、その圧縮応力にさらに大きな偏りが生じるが、その場合、この圧縮応力に比例する、ピストン202とドラム201との間の摺動抵抗に円周上で偏りが生じ、摺動抵抗の大きな箇所と小さな箇所とが(中心軸を中心としてほぼ対称な位置に)生じることとなる。
【0012】
ところで、この摺動抵抗の偏りによる円周上での摺動抵抗差は、ピストン202の移動時においてピストン202を傾かせる力(以下、「傾きモーメント」という)を生じさせる。すなわち、ピストン202の移動時にピストン202に傾きが生じやすくなる。また、この結果、プレート207とピストン202とが部分的に先当りして締結タイミングにずれが生じ、ショックやスティック−スリップの問題が生じやすくなる。
【0013】
さらに、クラッチが全締結状態となるまでに時間を要することとなって締結タイミングがずれ、例えばエンジンのアクセル踏込み状態等においてはエンジンの空吹きが生じ、また、この空吹きを解消しようとして変速機側でクラッチの油圧を増大させるような補正が行われた場合、締結力が大きくなりすぎてショックが発生する。
【0014】
ところで、前述の傾きモーメントは、回転中心からの距離La,Lb(図16参照)と上記円周上の摺動抵抗差との積に比例するが、外周側の径Laの方が内周側の径Lbよりも大きくなるから、外周側または内周側に生じた摺動抵抗差が同じだとしても、傾きモーメントは、外周側に摺動抵抗差が生じた場合の方が大きくなる。ここで、前述したように、特許文献3のように内周側の油室にのみ油圧を供給した場合、外周側に摺動抵抗差が生じる。つまり、内周側油室にのみ油圧を供給した場合、摺動抵抗の偏りによる前述した問題が大きくあらわれることとなる。
【0015】
また、ピストンは、締結力が加えられることにより摺動抵抗に抗して移動するから、前述した摺動抵抗による問題は、要求される締結力が小さいときほどあらわれやすくなる。
【0016】
そこで、本発明は、ピストン及びドラムにより半径方向内周側及び外周側に2つの油室が形成された多板クラッチを有する変速機において、ドラムやピストンの芯ずれによる摺動抵抗の問題を抑制し、もってクラッチの締結制御の制御性を向上させることが可能なクラッチ締結力制御装置を提供することを課題とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本願の請求項1に記載の発明は、多板クラッチを構成するドラム内にピストンが軸方向に摺動可能に嵌合されていると共に、該ピストンと上記ドラムとで半径方向内周側と外周側とに2つの油室が形成されており、両油室に供給する作動油の圧力をそれぞれ制御することによりクラッチの締結力を制御する変速機のクラッチ締結力制御装置であって、要求される締結力が小さいときは、外周側の油室にのみ油圧を供給しまたは外周側の油室に供給する油圧を内周側の油室に供給する油圧よりも大きくすることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、要求される締結力が小さいときは、外周側の油室にのみ油圧が供給され、または外周側の油室に供給する油圧が内周側の油室に供給する油圧よりも大きくされるから、フローティングが内周側の油室においてよりも外周側の油室において大きく生じることとなる。その場合、外周側の油室における摺動抵抗の偏りが、内周側の油室にのみまたは内周側油室に外周側油室よりも大きな油圧を供給する場合よりも小さくなるから、ピストンに作用する傾きモーメントが小さくなり、ピストンの移動時における傾きが生じにくくなる。したがって、締結タイミングのずれ等が生じにくくなり、ショックやスティックスリップ等が抑制され、ピストンが油圧の変化に応じてスムーズに移動できるようになる。つまり、要求される締結力が小さいときにおけるクラッチの締結力制御の精度及び応答性等が向上して、該制御を緻密に行うことができるようになり、特にクラッチのスリップ制御等の信頼性・商品性が増す。
【0019】
ところで、前述した特許文献3に記載のクラッチは、図16に示すように、油室206a,206bに回転時に生じる遠心油圧の影響を軽減する遠心油圧キャンセル室208の外径が内周側の油室206bの外径と同じであるから、外周側油室206aの遠心油圧をキャンセルすることができない。すなわち、外周側の油室206aに制御油圧を供給しても、応答性のよい、緻密な制御を行うことは困難である。
【0020】
そこで、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、油室内に回転により生じる遠心油圧を相殺する遠心油圧キャンセル室がピストンを挟んで油室の軸方向反対側に設けられており、該遠心油圧キャンセル室の外径と外周側油室の外径とがほぼ同一とされていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、遠心油圧キャンセル室の外径と外周側油室(要求される締結力が小さいときに必ず用いられるほうの油室)の外径とがほぼ同一とされているから、外周側油室内の遠心油圧が遠心油圧キャンセル室内の油圧により良好に相殺される。しかも、これは、回転数が変化している場合にでもいえるから、回転変化如何によらず、制御油圧による力がピストンに正確に働き、この結果、要求される締結力が小さいときにおいてもピストンの制御性がさらに向上して、ピストンの微妙な動きが実現される。
【0022】
ところで、例えば、図17(a)に示すように、ドラム301の側壁の外径が外周壁の外径より小さいと、外周側の油室には内周側から作動油を供給するのが困難である。そこで、その外周側の変速機ケース400に油路401を設けて作動油を供給することが考えられるが、その場合、変速機ケース400とドラム301の外周壁との間にシール部材402を設けなければならないから、シール部材402の外径が大きくなって摺動抵抗が大きくなり、また、作動油の漏れが多くなってしまう。
【0023】
また、図17(a)に示すように、例えば一方のシール部材303をドラム302側に設け、他方のシール部材304をドラム301側に設けると、シール部材303,304を焼き付け形成するような場合、ドラム301用及びピストン302用の両方の型が必要となる。そこで、図17(b)に示すように、例えば両方のシール部材303′,304′をピストン302′側に設けることが考えられるが、例えばリップ状のシール部材を用いた場合、油室内の油圧により作動油が漏れるのを防止するためには、外周側シール部材303′と内周側のシール部材304′とのリップの伸びる方向を図示のように油室側に延びるようにするしかないが、その場合、ピストン302′に焼き付け形成した後の型の取り外しが困難となる。
【0024】
また、前述したシール部材402の径が大きくなるという問題を解決しようとして、図17(c)に示すように、シャフト403に内周側油室用油路403a及び外周側油室用油路403bを設けると、シャフト403の径が大きくなる。また、ピストン302″内に半径方向に延びる油路302a″を設けなければならず、ピストン302″の肉厚が大きくなって重量の増加等を招く。
【0025】
そこで、請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の発明において、外周側の油室は、ドラム側壁の外周側に設けられて反ピストン側に凹んだ環状の凹部と、ピストンの外周側に設けられてドラムの側壁方向に突出し、上記ドラムの環状凹部に嵌合された環状の凸部とで形成され、該凸部の外周縁及び内周縁にそれぞれ環状のシール部材が設けられていることを特徴とする。
【0026】
また、請求項4に記載の発明は、請求項3に記載の発明において、環状凸部の外周縁及び内周縁にそれぞれ設けられたシール部材は、ピストンの環状凸部からドラム側壁方向にドラムの環状凹部内面に沿って延びるリップ状とされていることを特徴とする。
【0027】
そして、請求項5に記載の発明は、請求項3または請求項4に記載の発明において、環状凸部の外周縁及び内周縁にそれぞれ設けられたシール部材は、ピストンに焼き付け形成されていることを特徴とする。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、外周側油室にドラムの環状凹部の内周側から作動油を供給することができるようになる。例えば、図1に示すように、ドラム701の側壁701aに設けられた環状凹部701bとピストン702の環状凸部702aとで形成される外周側油室710に、変速機ケース800に設けられた油路701及び上記環状凹部701bの内周側に設けられた油路701cを介して、内周側から作動油を供給することができるようになる。また、この結果、外周側油室710にその外周側から作動油を供給する場合よりも、外周側ドラム701と変速機ケース800との間のシール部材810,811の外径を小さくすることができる。
【0029】
また、ドラム701の側壁701a及びピストン702の剛性が、凹部701b及び凸部702aによりそれぞれ向上する。そして、この結果、ピストン702から摩擦プレートに力が確実に伝達されることとなる。
【0030】
また、ピストン702の凸部702aの外周縁及び内周縁にそれぞれ環状のシール部材703,704を設けたから、換言すればシール部材703,704を並列に配置したから、シール部材を軸方向に直列に設けた場合よりも変速機の軸方向寸法を短縮することができる。
【0031】
加えて、シャフトを介さずに油室内に作動油を供給することができるから、シャフトの径が大きくなることがなく、また、ピストン内に油路を設ける必要もないから、ピストンの肉厚が大きくならず、その重量が増加することがない。
【0032】
また、請求項4に記載の発明によれば、外周側油室710に油圧が供給された場合、その油圧によりリップ状のシール部材703,704がドラム701の環状凹部701b内面にその油圧に応じた力で押付けられることとなる。すなわち、油圧が大きいときにおけるドラムとピストンとの間のシール性を良好に確保することができると共に、油圧が小さいときにおける摺動抵抗を減少させることができる。
【0033】
そして、請求項5に記載の発明によれば、ピストンやドラムにシール部材を取り付ける作業が不要となり製造工程が簡略化される。
【0034】
また、シール部材703,704の両方がピストン702に設けられるから、焼付け成形型がピストン702用のものだけでよい。
【0035】
そして、シール部材703,704がリップ状に同一方向に延びている請求項4に記載のものにおいて、焼付け成形後の型の取り外しが容易となる。
【0036】
次に、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、外周側油室及び内周側油室の油圧を制御する油圧制御回路は、ライン圧源と外周側油室との間の油圧回路に設けられて外周側油室の油圧を制御する単一の電気式駆動弁と、ライン圧源と内周側油室の間の油圧回路に設けられて上記駆動弁で制御された油圧によって内周側油室に供給する油圧を制御する単一の制御弁とを有することを特徴とする。
【0037】
この発明によれば、外周側油室及び内周側油室の油圧を単一の電気式駆動弁と単一の制御弁とで制御でき、部品点数の低減、及び油圧回路の簡素化を実現することができる。
【0038】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の発明において、単一の制御弁は、該制御弁の出力油圧がフィードバックされることにより、電気式駆動弁で制御された油圧に応じて上記出力油圧が調圧されるように構成されていることを特徴とする。
【0039】
この発明によれば、単一の制御弁の出力油圧がフィードバックされることにより、電気式駆動弁で制御された油圧に応じて上記出力油圧が調圧されることとなる。
【0040】
【発明の実施の形態】
図2に示すように、第1の実施の形態に係る車両の自動変速機10は、主たる構成要素として、トルクコンバータ20と、該コンバータ20の出力により駆動される変速歯車機構として前後(以下、エンジン側を前方、反エンジン側を後方とする)に隣接して配置された第1、第2遊星歯車機構30,40と、これらの遊星歯車機構30,40でなる動力伝達経路を切り換えるクラッチやブレーキ等の複数の摩擦締結装置51〜55及びワンウェイクラッチ56とを有し、これらによりDレンジにおける1〜4速、Sレンジにおける1〜3速及びLレンジにおける1〜2速と、Rレンジにおける後退速とが得られるようになっている。
【0041】
上記トルクコンバータ20は、エンジン出力軸1に連結されたケース21内に固設されたポンプ22と、該ポンプ22に対向状に配置されて該ポンプ22により作動油を介して駆動されるタービン23と、該ポンプ22とタービン23との間に介設され、かつ、変速機ケース11にワンウェイクラッチ24を介して支持されてトルク増大作用を行うステータ25と、上記ケース21とタービン23との間に設けられ、該ケース21を介してエンジン出力軸1とタービン23とを直結するロックアップクラッチ26とで構成されている。そして、上記タービン23の回転がタービンシャフト27を介して遊星歯車機構30,40側に出力されるようになっている。
【0042】
ここで、このトルクコンバータ20の後方には、該トルクコンバータ20のケース21を介してエンジン出力軸1により駆動されるオイルポンプ12が配置されている。
【0043】
一方、上記第1、第2遊星歯車機構30,40は、いずれも、サンギヤ31,41と、このサンギヤ31,41に噛み合った複数のピニオン32…32,42…42と、これらのピニオン32…32,42…42を支持するピニオンキャリヤ33,43と、ピニオン32…32,42…42に噛み合ったリングギヤ34,44とで構成されている。
【0044】
そして、上記タービンシャフト27と第1遊星歯車機構30のサンギヤ31との間にフォワードクラッチ51が、同じくタービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のサンギヤ41との間にリバースクラッチ52が、また、タービンシャフト27と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43との間に3−4クラッチ53がそれぞれ介設されていると共に、第2遊星歯車機構40のサンギヤ41を固定する2−4ブレーキ54が備えられている。
【0045】
さらに、第1遊星歯車機構30のリングギヤ34と第2遊星歯車機構40のピニオンキャリヤ43とが連結されて、これらと変速機ケース11との間にローリバースブレーキ55とワンウエイクラッチ56とが並列に配置されていると共に、第1遊星歯車機構30のピニオンキャリヤ33と第2遊星歯車機構40のリングギヤ44とが連結されて、これらに出力ギヤ13が接続されている。
【0046】
そして、この出力ギヤ13が、中間伝動機構60を構成するアイドルシャフト61上の第1中間ギヤ62に噛み合わされていると共に、該アイドルシャフト61上の第2中間ギヤ63と差動装置70の入力ギヤ71とが噛み合わされて、上記出力ギヤ13の回転が差動装置70のデフケース72に入力され、該差動装置70を介して左右の車軸73,74が駆動されるようになっている。
【0047】
ここで、上記各クラッチやブレーキ等の摩擦締結装置51〜55及びワンウェイクラッチ56の作動状態と変速段との関係をまとめると、次の表1に示すようになる。
【0048】
【表1】
Figure 2004251310
【0049】
ところで、上記摩擦締結装置51〜55のうち、少なくとも前進段達成に用いられるクラッチ、すなわちフォワードクラッチ51と3−4クラッチ53には多板クラッチが用いられており、以下、その構造について説明する。なお、フォワードクラッチ51と3−4クラッチ53とは類似した構成とされているので、ここではフォワードクラッチ51の構造についてのみ説明し、3−4クラッチ53の構造についての説明は省略する。
【0050】
図3に示すように、このフォワードクラッチ51は、変速機ケース11に回動自在に支持されたタービンシャフト27に固着されたクラッチドラム511と、第1遊星歯車機構30のサンギア31(図2参照)の前方への延長部31aにスプライン結合されたクラッチハブ512と、ドラム511とハブ512とに交互にスプライン結合された複数枚の摩擦板513…513と、上記ドラム511内に軸方向に摺動可能に収納され、該ドラム511との間に後述する油室514a,514bを形成するピストン515とを有する。
【0051】
ドラム511は、環状の側壁511aと、円筒状の外周壁511b及び内周壁511cとを有し、軸心で分割される上下半分の部分の断面が略コ字状とされている。上記側壁511aの外周側には、ピストン515とは反対側(前方側)に凹んだ環状の凹部511dが設けられている。
【0052】
また、ピストン515の外周側には、ドラム511の側壁511a側(前方側)に突出する環状の凸部515aが設けられており、上記ドラム511の環状凹部511dに嵌合されている。そして、ドラム511の環状凹部511dとピストン515の環状凸部515aとで形成された空間が、外周側油室514aとされ、その内周側の空間は、内周側油室514bとされている。
【0053】
上記ピストン515の環状凸部515aの外周縁及び内周縁における受圧面側(前方側)には、環状のシール部材520a,520bが設けられている。これらのシール部材520a,520bは、上記環状凸部515aからドラム511の側壁511a方向(前方向)にその環状凹部511dの内面に沿って延びるリップ状とされている。ここで、シール部材520bは外周側油室514aと内周側油室514bとをシールする役割を有する。
【0054】
また、ピストン515の内周縁にも、環状のシール部材520cが設けられている。該シール部材520cは、ドラム511の側壁511a方向(前方向)にその内周壁511cの外周面に沿って延びるリップ状とされている。
【0055】
ここで、これらのシール部材520a,520b,520cは、ピストン515の受圧面に膜状に焼付け形成された単一のシール部材520のそれぞれ一部分であり、ゴム材を用いて一体で形成される。
【0056】
ピストン515の環状凸部515aの外周側がドラム511の側壁511aとは反対側(後方側)に延び、さらに端部がドラム511の外周壁511b側に折曲している。この折曲によれば、ピストン515の剛性が向上し、摩擦板513…513を押圧したときにピストン515が変形しにくくなるだけでなく、ピストン515から摩擦板513…513に確実に力が伝達されることとなる。
【0057】
また、変速機ケース11におけるドラム511の側壁511aに対向する面には、ドラム511側に突出する環状凸部11dが設けられている。該環状凸部11dは、上記ドラム511の環状凹部511dの内周壁とドラム511の側壁511aとで形成される凹部に嵌合し、変速機ケース11とドラム511との間に環状の空間Xを形成する。また、この空間Xの内周側においても、変速機ケース11とドラム511との間に環状の空間Yが形成される。これらの空間X,Yは、後述するが、油路として利用されるため、変速機ケース11とドラム511との間をシールする環状シール531,532,533が設けられている。なお、変速機ケース11とドラム511との間には相対回転が生じるため、環状シール531,532,533としては樹脂材が用いられる。なお、最外側の環状シール531と最内側の環状シール533は変速機ケース11側に、中間の環状シール532はドラム511側に取り付けられている。
【0058】
外周側の油室514aには、オイルポンプハウジング12aに設けられた油路12b、変速機ケース11に設けられた油路11a、上記環状の空間X、及びドラム511の環状凹部511dの内周側に設けられた油路511eを介して作動圧が供給される。
【0059】
一方、内周側の油室514bには、タービンシャフト27に設けられた油路27aから連通路27b及び変速機ケース11に設けられた油路11b、上記環状の空間Y、ドラム511の側壁511aに設けられた連通路511fを介して作動圧が供給される。
【0060】
そして、油室514(外内2つの油室514a,514bを総称するとき符号514を用いる)に油圧が供給されたときに、ピストン515がリターンスプリング521に抗して後方に移動して上記各摩擦板513…513同士を圧着することにより上記ドラム511とハブ512とを結合する。
【0061】
ここで、上記シール部材520には、ドラム511の側壁511aとシール部材520の平らな部位との間に隙間を確保するための複数の突起部520d…520d(図2には1つのみ図示)が同一円周上に設けられている。これは、内周側油室514bへの油圧供給開始時に内周側油室514b内に作動油が迅速にまんべんなく広がるようにするためのものである。ちなみに、この突起部520d…520dが設けられていないと、両油室514a,514bへの油圧非供給時にリターンスプリング521の付勢力によりドラム511の側壁511aとシール部材520の平らな部位とが密着することとなるが、その後の油圧の供給開始時、特に油圧が小さいときにおいて、この部位に作動油が入りこみにくくなって、実質的に内周側油室514bの受圧面積が減少し、この結果、十分な締結力が得られず、また、応答性が悪化することとなる。
【0062】
また、上記ピストン515の反油室514側(後方側)の空間は、タービンシャフト27上に固定された遠心油圧キャンセルプレート517により仕切られて遠心油圧キャンセル室518とされている。該遠心油圧キャンセル室518内には、タービンシャフト27に設けられた油路27cから連通路27dを介して作動油が供給される。また、上記プレート517により、上記リターンスプリング521の反力を受けるようになっている。
【0063】
上記キャンセル室518は、フォワードクラッチ51がタービンシャフト27を中心軸として回転することにより、該クラッチ51の非締結時において、油室514内に残留する作動油に働く遠心油圧により、ピストン515がクラッチ締結方向(後方向)に押圧されることを阻止するための油室とされ、該キャンセル室518内に供給された作動油に働く遠心油圧により、上記油室514内の作動油に働く遠心油圧を打ち消すように作用する。これによれば、上記複数の摩擦板513…513の解放が不完全となってクラッチの引きずりが生じるのが防止される。
【0064】
また、この遠心油圧キャンセル室518の外径と外周側油室514a(要求される締結力が小さいときに必ず用いられるほうの油室)の外径とがほぼ同一とされている。これによれば、外周側油室514a内の遠心油圧が遠心油圧キャンセル室518内の油圧により良好に相殺される。しかも、これは、回転数が変化している場合にでもいえるから、回転変化如何によらず、制御油圧による力がピストン515に正確に働き、この結果、要求される締結力が小さいときにおいてもピストン515の制御性が向上して、ピストン515の微妙な動きが実現されることとなる。
【0065】
遠心油圧キャンセルプレート517の外周縁には、ピストン515の内周面に摺接し、遠心油圧キャンセル室518をシールするシール部材521が設けられている。
【0066】
また、この自動変速機10の油圧制御回路80には、上記外周側油室514aに供給する油圧を制御するリニアソレノイドバルブ81と、内周側油室514bに供給する油圧を制御するコントロールバルブ82とが備えられている。
【0067】
このリニアソレノイドバルブ81は、通電時にソレノイドコイル81aに発生する磁力によりスプール81bが軸方向(図面右方向)に移動することにより出力ポートと入力ポート及びドレンポートとの開口率を変化させて出力圧P1を変化させる公知のものであり、図4に示すように制御電流がI1以上I2以下の範囲では制御電流の増加(スプールの図面上右方向への移動)にほぼ比例して出力圧P1が減少する特性を有する。なお、制御電流がI1以下の領域は、出力ポートが入力ポートと連通し、入力された油圧Po(本実施の形態においてはライン圧Pline)がそのまま出力されている状態であり、制御電流がI2以上の領域は、出力ポートがドレンポートと連通し、出力ポートから油圧が全く出力されていない状態である。なお、本実施の形態においては入力圧としてライン圧を用いるが、所定圧以上確保できれば、他の圧でもよい。
【0068】
この油圧回路80においては、ライン圧が供給される第1入力ライン83がリニアソレノイドバルブ81の入力ポートに、外周側油室514aに通じる第1出力ライン84が同バルブ81の出力ポートに接続されている。また、上記第1出力ライン84から分岐した制御圧ライン85がコントロールバルブ82の制御ポートに、上記ライン圧が供給される第2入力ライン86が同バルブ82の入力ポートに、内周側油室514bに通じる第2出力ライン87が同バルブ82の出力ポートに接続されている。
【0069】
次に、リニアソレノイドバルブ81に通電する制御電流を変化させたときに、外周側油室514a、内周側油室514bに供給される油圧P1,P2、及びこの油圧P1,P2により発生する締結力について図5を用いて説明する。
【0070】
まず、外周側油室514aについてであるが、リニアソレノイドバルブ81と第1出力ライン84とが直結されているから、リニアソレノイドバルブ81で生成された制御油圧がそのまま供給される。つまり、図5(a)に示すように、制御電流が小さいときほど、油圧は高くなり、制御電流がId(図4のI1に対応)以下のときはライン圧がそのまま第1出力ライン84に供給され、制御電流がIa(図4のI2に対応)以上のときは油圧が供給されない。
【0071】
また、この外周側油室514aに油圧P1が加えられたことにより生じる締結力F1は、図5(b)に鎖線で示すように、この油圧P1の増加に比例して(制御電流の減少に比例して)増加する。
【0072】
ここで、外周側油室514aに油圧が供給されることにより発生する締結力F1は、外周側油室514aの受圧面積S1に該油室514aに供給される油圧P1を乗じた値となり、内周側油室514bに油圧が供給されることにより発生する締結力F2は、内周側油室514bの受圧面積S2に該油室514bに供給される油圧P2を乗じた値となり、両油室514a,514bに油圧P1,P2を供給したときに発生する締結力F0は、数1に示すように、F1とF2とを加算した値となる。
【0073】
【数1】
Figure 2004251310
【0074】
一方、内周側油室514bについては以下の通りとなる。ここで、図6(a)、(b)、(c)、(d)は、上記内周側油室514bに供給する油圧P2を制御するコントロールバルブ82のスプール82aの移動状態、及び第2入力ライン86と第2締結用ライン87との連通状態を、上記油圧P1が小さい方(制御電流が大きい方)から順に示したものである。この図6(a)、(b)、(c)、(d)のタイミングを、図5(a)、(b)にそれぞれ符号A,B,C,Dで示す。
【0075】
すなわち、リニアソレノイドバルブ81に供給する制御電流が小さいほど、前述のように油圧P1が大きくなり、その場合、該油圧P1によって制御されるコントロールバルブ82のスプール82aは、上記油圧P1が大きいほど、図6(a)に示す位置からスプリング82bの付勢力に抗して図面上右側に移動し、この付勢力と油圧P1による力とがつり合う位置で停止する。図7(a)に示すように、油圧P1とスプール82aの移動量とは比例する。また、油圧P2とスプール82aの移動量との関係は、図7(b)に示す通り、図5(a)に示す制御電流に対しての変化と一致する。
【0076】
その場合、スプール82aが図6(b)に示す位置(図5(a)、(b)、図7(b)にBで示すとき)に移動するまでは、第2入力ライン86と第2出力ライン87とは連通しないから、図7(b)に示すように、内周側油室514bに供給される油圧P2はゼロとなる。
【0077】
そして、制御電流がさらに小さくなると、油圧P1がさらに大きくなって、コントロールバルブ82のスプ−ル82aが図6(b)で示す位置より右側に移動し、この結果、第2入力ライン86と第2出力ライン87とが連通して、内周側油室514bに油圧P2が供給されることとなる。
【0078】
その場合、スプール82aが、図6(b)で示す位置と図6(c)で示す位置との間にある場合は、油圧P2はポートの開口率に応じて変化し、油圧P2の調圧作用が生じることとなる。
【0079】
また、スプール82aが図6(c)で示す位置(図5にCで示すとき)よりも右側にある場合は、第2入力ライン86と第2出力ライン87とが完全に連通し、油圧P2はライン圧Plineに等しくなる。
【0080】
そして、このように制御電流を変化させたときに、内周側油室514bに供給される油圧P2により発生する締結力F2は、図5(b)に点線で示すように、制御電流がIb以下となったとき(油圧P1がPb以上となったとき)に立ち上がり、制御電流がIc以下となったとき(油圧P1がPc以上となったとき)に最大値となる。
【0081】
その場合、外周側油室514aと内周側油室514bとの両方によって発生する締結力F0は、上記力F1とF2との和であるから、制御電流の変化に対して、図5(b)に実線で示すように変化する。すなわち、制御電流がIbより大きいときは、内周側油室514aにのみ油圧が供給されるから、制御電流の変化に対して締結力F0は緩やかに変化する。また、制御電流がIc以上Ib未満のときは、外周側油室514aに加え内周側油室514bにも油圧が供給されるから、締結力F0は急激に変化する。そして、制御電流がIcより小さいときは、上記両室514a,514bに油圧P1,P2が供給され、しかも、P1のみが変化するから、締結力F0は緩やかに変化することとなる。
【0082】
すなわち、必要な締結力が小さく制御電流がIbより大きいとき(油圧P1がPb未満のとき)は、制御電流の変化に対する締結力の変化が緩やかになり、締結力の緻密な調整が可能となる。換言すれば、必要とする締結力F0が小さいときは外周側油室514aにのみ油圧P1を供給するから、制御電流の変化に対する締結力F0の変化が小さくなり、緻密な締結力制御が可能となるのである。
【0083】
なお、制御電流がIb未満Ic以上のときには、油圧P2についてもゼロとライン圧Plineとの間での調圧が可能である。また、制御電流がIc未満のときには、締結に要する締結力を確実に得ることができる。
【0084】
つまり、本実施の形態によれば、要求される締結力が小さいときは、外周側油室514aにのみ油圧が供給されるから、フローティングが内周側油室514bにおいてよりも外周側油室514aにおいて大きく生じることとなる。その場合、外周側油室514aにおける摺動抵抗の偏りが、内周側油室514bにのみまたは内周側油室514bに外周側油室514aよりも大きな油圧を供給する場合よりも小さくなって、ピストン515に作用する傾きモーメントが小さくなり、ピストン515の移動時における傾きが生じにくくなる。したがって、締結タイミングのずれ等が生じにくくなり、ショックやスティック−スリップ等が抑制され、ピストン515が油圧の変化に応じてスムーズに移動できるようになる。つまり、要求される締結力が小さいときにおけるクラッチの締結力制御の精度及び応答性等が向上して、該制御を緻密に行うことができるようになり、特にクラッチのスリップ制御等の信頼性・商品性が増す。
【0085】
以下、外周側油室514aにのみ油圧を供給した場合の効果について、内周側に油圧を供給した場合と対比しながらさらに説明する。
【0086】
図8(a)は、従来技術のように内周側油室514bにのみ油圧を加えた場合を示す。ピストン515の内周側にのみ締結力Fp2(ピストン515の内周側受圧面全体に加えられるが、図8(b)にはその中心を表示)が作用すると、ピストン515が移動してその外周端の押圧部515cが摩擦板513…513を圧着させることとなる。その場合、押圧部515cと締結力Fp2が加えられる位置とが半径方向に大きく離れている(内周側に油圧を加える)から、圧着状態で力が加えられている間、鎖線で示すようにピストン515が変形し、これにより、摺動抵抗が変化しやすくなって、上記制御が不安定になる虞がある。
【0087】
しかしながら、本実施の形態によれば、締結力が小さいときは、外周側油室514aにのみ油圧を加えるから、図8(b)に示すように、ピストン515の外周側に締結力Fp1(Fp2同様、力の中心を表示)が作用し、この結果、ピストン515が移動して、その押圧部515cが摩擦板513…513を圧着させることとなる。その場合、押圧部515cがほぼ締結力Fp1方向にあるから、ピストン515が変形しにくく、前述した締結力制御が不安定になるという問題が抑制される。
【0088】
次に、図9(a)、(b)を用いて、遠心油圧キャンセル室518に残存する作動油による残圧、及び、油圧の非供給時における外周側油室514a、内周側油室514bに残存する作動油による残圧が、ピストン515の押圧部515cから摩擦板513…513に加えられる力Fclに与える影響について考えてみる。なお、図9(a)は、従来技術のように内周側油室514bにのみ油圧を供給した場合を示し、図9(b)は、本発明の外周側油室514aにのみ油圧を供給した場合を示す。
【0089】
ここで、上記有効締結力Fclは、以下の数2であらわされ、Fcpは一方の油室に供給される油圧により生じる力であり、Fipは他方の油室に遠心力により生じる力であり、Fbpは遠心バランス室に遠心力により生じる力であり、Fspgはリターンスプリング521によりピストン515を油室側に押し戻そうとする力である。
【0090】
【数2】
Figure 2004251310
【0091】
ここで、Fbp、Fspgの値は、内周側制御のときでも外周側制御のときでも同じ値となる。一方、外周側制御のときの内周側Fipと内周側制御のときの外周側Fipとを比較した場合、内周側制御のときの外周側Fipの方が径が大きい分大きくなる。すなわち、(Fip−Fbp−Fspg)の値は、外周側制御の方が小さくなる。つまり、外周側制御と内周側制御のときのFcpとを同じ値にした場合、Fclは外周側制御の方が小さくなるから、外周側制御の場合の方が緻密な制御が行いやすくなり、制御性が向上するのである。
【0092】
ところで、従来技術(図16参照)のように遠心油圧キャンセル室の外径が内周側油室の外径と同じであると、遠心油圧キャンセル室の外径が外周側油室の外径とほぼ同一である場合よりも、遠心油圧キャンセル室に発生する遠心油圧が小さくなり、油室から油圧を開放したときのピストンの戻りが悪くなる。これを回避するためには、例えばスプリングストロークを大きくして大きな荷重が生じるようにすればよいが、図10に示すように、ストロークの増加と共に荷重誤差が大きくなり、例えばストローク範囲s1での最大誤差は±δ1であるのに、ストローク範囲s2での最大誤差は±δ2に増大し、締結力制御の精度が低下する。また、荷重の大きなスプリングを利用しても同様に荷重誤差は増大する。しかしながら、本実施の形態においては、遠心油圧キャンセル室の外径を、遠心側油室の外径とほぼ同一としたため、遠心油圧キャンセル室の外形が内周側油室の外径と同じ従来技術のものよりも、大きな遠心油圧を確保することができ、この結果、リターンスプリング荷重が小さなものを利用することができる。すなわち、スプリング荷重の誤差が減少するから、締結力制御の精度が向上するのである。
【0093】
さらに、本実施の形態によれば、外周側の油室514aは、ドラム511の側壁511aの外周側に設けられて反ピストン515側に凹んだ環状の凹部511dと、ピストン515の外周側に設けられてドラム511の側壁511a方向に突出し、上記ドラム511の環状凹部511dに嵌合された環状の凸部515aとで形成されているから、外周側油室514aにドラムの環状凹部511dの内周側から作動油を供給することができるようになる。すなわち、ドラム511の側壁511aに設けられた環状凹部511dとピストン515の環状凸部515aとで形成される外周側油室514aに、変速機ケース11に設けられた油路11a及び上記環状凹部511dの内周側に設けられた油路511eを介して、内周側から作動油を供給することができるようになる。また、この結果、外周側油室514aにその外周側から作動油を供給する場合よりも、外周側ドラム511と変速機ケース11との間のシール部材531,532の外径を小さくすることができる。
【0094】
また、環状凹部511d及び環状凸部515aが設けられたことにより、ドラム511の側壁511a及びピストン515の剛性がそれぞれ向上することとなる。また、この結果、ピストン515から摩擦プレート513…513に力が確実に伝達されることとなる。
【0095】
また、ピストン515の凸部515aの外周縁及び内周縁にそれぞれ環状のシール部材520a,520bを設けたから、換言すればシール部材520a,520bを並列に配置したから、シール部材を軸方向に直列に設けた場合よりも変速機の軸方向寸法を短縮することができる。
【0096】
加えて、シャフト27を介さずに外周側油室514aに作動油を供給することができるから、シャフト27の径が大きくなることがなく、また、ピストン515内に油路を設ける必要もないから、ピストン515の肉厚が大きくならず、その重量が増加することがない。
【0097】
また、環状凸部515aの外周縁及び内周縁にそれぞれ設けられたシール部材520a,520bは、ピストン515の環状凸部515aからドラム511の側壁511a方向にドラム511の環状凹部511d内面に沿って延びるリップ状とされているから、外周側油室514aに油圧が供給された場合、その油圧によりリップ状のシール部材520a,520bがドラム511の環状凹部511d内面にその油圧に応じた力で押付けられることとなる。すなわち、油圧が大きいときにおけるドラム511とピストン515との間のシール性を良好に確保することができると共に、油圧が小さいときにおける摺動抵抗を減少させることができる。
【0098】
加えて、シール部材520a,520bは、ピストン515に焼き付け形成されているから、ピストン515やドラム511にシール部材を例えば手作業で取り付ける作業が不要となり製造工程が簡略化される。
【0099】
また、シール部材520a,520bの両方がピストン515に設けられるから、焼付け成形型がピストン515用のものだけでよい。その場合に、シール部材520a,520bがリップ状に同一方向に延びているから、焼付け成形後の型の取り外しが容易となる。
【0100】
次に、第2の実施の形態として、第1の実施の形態の油圧制御回路80の構成を変更したものについて説明する。この第2の実施の形態に係る油圧制御回路90は、図11に示すように、第1の実施の形態におけるコントロールバルブ82を、油圧フィードバック可能なコントロールバルブ92に変更したものである。以後の説明においては、この変更点を中心に説明する。なお、第1の実施の形態と同一構成のものについては、同一符号を用いる。
【0101】
この油圧回路90においては、ライン圧が供給される第1入力ライン83がリニアソレノイドバルブ81の入力ポートに、外周側油室514aに通じる第1出力ライン84が同バルブ81の出力ポートに接続されている。また、上記第1出力ライン84から分岐した制御圧ライン85がコントロールバルブ92の制御ポートに、上記ライン圧が供給される第2入力ライン86が同バルブ92の入力ポートに、内周側油室514bに通じる第2出力ライン87が同バルブ92の出力ポートに接続されていると共に、第2出力ライン87が分岐して、同バルブ92のフィードバック用ポート92cに接続されている。また、同バルブ82のラウンド92dの受圧面積はラウンド92eの受圧面積より大きくされており、フィードバック用ポート92cに油圧が加えられた場合、反スプリング92b側にスプール92aを移動させようとする力が生じる。
【0102】
次に、リニアソレノイドバルブ81に通電する制御電流を変化させたときに、外周側油室514a、内周側油室514bに供給される油圧P1,P2、及びこ油圧P1,P2により発生する締結力について図12を用いて説明する。
ここで、この締結力は、前述の数1に基づいて算出される。
【0103】
まず、外周側油室514aについては、第1の実施の形態と同様となる。すなわち、リニアソレノイドバルブ81と第1出力ライン84とが直結されているから、リニアソレノイドバルブ81で生成された制御油圧がそのまま供給される。つまり、図12(a)に示すように、制御電流が小さいときほど、油圧は高くなり、制御電流がId(図4のI1に対応)以下のときはライン圧がそのまま第1出力ライン84に供給され、制御電流がIa(図4のI2に対応)以上のときは油圧が供給されない。
【0104】
また、この外周側油室514aに油圧P1が加えられたことにより生じる締結力F1′は、図12(b)に鎖線で示すように、この油圧P1の増加に比例して(制御電流の減少に比例して)増加する。
【0105】
一方、内周側油室514bについては以下の通りとなる。ここで、図13(a)、(b)、(c)、(d)は、上記内周側油室514bに供給する油圧P2を制御するコントロールバルブ92のスプール92aの移動状態、及び第2入力ライン86と第2締結用ライン87との連通状態を、上記油圧P1が小さい方(制御電流が大きい方)から順に示したものである。この図13(a)、(b)、(c)、(d)のタイミングを、図12(a)、(b)にそれぞれ符号A′,B′,C′,D′で示す。なお、図13(c)及び符号C′は、特定の位置を示すものではなく、図13(b)と(d)との間、及びB′とD′との間にあることを意味する。
【0106】
すなわち、リニアソレノイドバルブ81に供給する制御電流が小さいほど、前述のように油圧P1が大きくなり、その場合、該油圧P1及びフィードバック油圧P2によって制御されるコントロールバルブ92のスプール92aは、上記油圧P1が大きいほど、図13(a)に示す位置からスプリング92bの付勢力に抗して図面右側に大きく移動し、この付勢力と油圧P1による力及びフィードバック油圧P2による力(油圧P1による力とは反対方向の力)とが釣り合う位置で停止する。油圧P1とスプール92aの移動量との関係は、図14(a)に示す通りであり、油圧P1がPb′以上のときには、フィードバック油圧P2が加わることにより、油圧P1の変化に対するスプール92aの移動量の変化が減少することとなる。油圧P2とスプール92aの移動量との関係は、図14(b)に示す通りである。油圧P2との対比のため、図14(a)に示した油圧P1とスプール92aの移動量との関係も軸を入れ替えて併記した。
【0107】
その場合、スプール92aが図13(b)に示す位置(図12(a)、(b)、図14(a)、(b)にB′で示すとき)に移動するまでは、第1入力ライン86と第2出力ライン87とは連通しないから、図14(b)に示すように、内周側油室514bに供給される油圧P2はゼロとなる。
【0108】
そして、制御電流がさらに小さくなると、制御圧P1がさらに大きくなって、コントロールバルブ92のスプ−ル92aが図13(b)で示す位置より右側に移動し、この結果、第2入力ライン86と第2出力ライン87とが連通して、内周側油室514bに油圧P2が供給されることとなる。
【0109】
その場合、スプール92aが、図13(b)で示す位置と図13(d)で示す位置との間にある場合は、油圧P2はポートの開口率に応じて変化し、図12(b)、図14(b)に示すように、油圧P2の調圧作用が生じることとなる。
【0110】
そして、このように制御電流を変化させたときに、内周側油室514bに供給される油圧P2により発生する締結力F2′は、図12(b)に点線で示すように、制御電流がIb′以下となったとき(油圧P1がPb′以上となったとき)に、立ち上がり、その後、制御電流が小さくなるほど大きくなる。
【0111】
その場合、外周側油室514aと内周側油室514bとの両方により発生する締結力F0′は、上記力F1′とF2′との和であるから、制御電流の変化に対して、図12(b)に実線で示すように変化する。すなわち、制御電流がIb′より大きいときは、内周側油室514aにのみ油圧が供給されるから、制御電流の変化に対して締結力F0′は緩やかに変化する。また、制御電流がIb未満のときは、外周側油室514aに加え内周側油室514bにも油圧が供給されることにより、締結力F0′の変化は制御電流がIb′未満のときよりも大きくなる。
【0112】
すなわち、必要な締結力が小さく制御電流がIb′より大きいとき(油圧P1がPb′未満のとき)には、第1の実施の形態同様、制御電流の変化に対する締結力F0′の変化が緩やかになり、該締結力F0′の緻密な調整が可能となる。換言すれば、必要とする締結力F0′が小さいときは外周側油室514aにのみ油圧P1を供給するから、制御電流の変化に対する締結力F0′の変化が小さくなり、緻密な締結力制御が可能となるのである。
【0113】
また、第2の実施の形態によれば、制御電流がIb′未満のときにおいても、締結力F0′を制御電流に応じた値に制御することができるようになる。換言すれば、必要とする締結力F0′が大きな領域においても、締結力F0′を緻密に制御することが可能となる。
【0114】
このように、第1、第2の実施の形態によれば、締結力を連続的にしかも緻密に制御することができるから、摩擦板同士のすべり量を制御するようなものにおいて、その制御精度を大きく向上させることができる。
【0115】
なお、第1,第2の実施の形態においては、フォワードクラッチ51及び3−4クラッチ53に対して請求項に記載の構成を適用したが、例えば、遊星歯車機構の動力伝達経路を切り換えて複数の変速段を達成するのに用いられるフォワードクラッチ等の変速段達成用のクラッチの他、エンジンと流体伝動装置との間の動力伝達又は流体伝動装置と変速機との間の動力伝達を接続又は遮断してエンジンの回転負荷を軽減するのに用いられる始動クラッチや発進クラッチ、あるいは主として無段変速機と併用されて変速機の出力回転を正逆反転させるのに用いられる前後進切換クラッチ、さらにはギヤードニュートラルが達成可能な無段変速機と併用されて動力伝達経路をギヤ比の大きいローモードとギヤ比の小さいハイモードとに切り換えるのに用いられるローモードクラッチやハイモードクラッチ等にも適用可能である。また、トルクコンバータが設けられた自動変速機について説明したが、トルクコンバータが設けられていない変速機にも適用可能である。
【0116】
そして、電気式駆動弁として電磁式のリニアソレノイドバルブを用いたが、モータ駆動式の弁を用いてもよい。
【0117】
また、第1、第2の実施の形態においては、内周側油室514bには、図5や図12に示す制御電流がそれぞれIb,Ib′以下となったときに油圧が供給される構成としたが、別途制御弁等を設け、符号Aで示す位置からBで示す位置に至る間に締結力制御に影響を与えない程度の油圧を供給する(プリチャージ)ようにしてもよい。これによれば、内周側油室514bに油圧を供給し始めたときの締結力の制御性を一層向上させることができる。
【0118】
また、両実施の形態においては、要求される締結力が小さいときは、外周側油にのみ油圧を供給するように構成したが、外周側の油室に供給する油圧を内周側の油室に供給する油圧よりも大きくするような構成においても、外周側油室の方の摺動抵抗が小さくなり、クラッチの締結力の制御性を向上させることができる。
【0119】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば 要求される締結力が小さいときは、外周側の油室にのみ油圧が供給され、または外周側の油室に供給する油圧が内周側の油室に供給する油圧よりも大きくされるから、フローティングが内周側の油室においてよりも外周側の油室において大きく生じることとなる。その場合、外周側の油室における摺動抵抗の偏りが、内周側の油室にのみまたは内周側油室に外周側油室よりも大きな油圧を供給する場合よりも小さくなって、ピストンに作用する傾きモーメントが小さくなり、ピストンの移動時における傾きが生じにくくなる。したがって、締結タイミングのずれ等が生じにくくなり、ショックやスティック−スリップ等が抑制され、ピストンが油圧の変化に応じてスムーズに移動できるようになる。つまり、要求される締結力が小さいときにおけるクラッチの締結力制御の精度及び応答性等が向上して、該制御を緻密に行うことができるようになり、特にクラッチのスリップ制御等の信頼性・商品性が増す。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るクラッチの構造の概略説明図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る変速機の骨子図である。
【図3】同変速機の多板クラッチの詳細構成を示す断面図及び油圧回路図である。
【図4】油圧回路に用いられるリニアソレノイドバルブの特性図である。
【図5】リニアソレノイドバルブの制御電流を変更したときにクラッチの各油室に供給される油圧、及びそのときに発生する締結力を説明する図である。
【図6】コントロールバルブに油圧が供給されたときのスプールの移動状態を説明する図である。
【図7】コントロールバルブのスプール移動状態と油圧との関係の説明図である。
【図8】外周側にのみ油圧を供給した場合のピストンの移動状態と、内周側にのみ油圧を供給した場合のピストンの移動状態とを比較説明するための図である。
【図9】外周側にのみ油圧を供給した場合の遠心油圧の影響と、内周側にのみ油圧を供給した場合の遠心油圧の影響とを比較説明するための図である。
【図10】外周側にのみ油圧を供給した場合に必要とされるリターンスプリング荷重及びそのばらつきと、内周側にのみ油圧を供給した場合に必要とされるリータンスプリング荷重及びそのばらつきとを比較説明するための図である。
【図11】第2の実施の形態に係る変速機のクラッチに適用される油圧回路の図である。
【図12】第2の実施の形態において、リニアソレノイドバルブの制御電流を変更したときにクラッチの各油室に供給される油圧、及びそのときに発生する締結力を説明する図である。
【図13】第2の実施の形態において、コントロールバルブに油圧が供給されたときのスプールの移動状態を説明する図である。
【図14】コントロールバルブのスプール移動状態と油圧との関係の説明図である。
【図15】一般的な多板クラッチの構造を説明する図である。
【図16】ピストン及びドラムにより半径方向内周側及び外周側に2つの油室が形成された特許文献3に係るクラッチの概略構造図である。
【図17】ピストン及びドラムにより半径方向内周側及び外周側に2つの油室が形成されたクラッチにおけるシール部材形成及び油路形成等の問題を説明する図である。
【符号の説明】
10 変速機
51 フォワードクラッチ(多板クラッチ)
80,90 油圧制御回路
81 リニアソレノイドバルブ(電気式駆動弁)
82,92 コントロールバルブ(制御弁)
511 ドラム
511d 環状凹部
514a 外周側油室
514b 内周側油室
515 ピストン
515a 環状凸部
518 遠心油圧キャンセル室
520a,520b シール部材

Claims (7)

  1. 多板クラッチを構成するドラム内にピストンが軸方向に摺動可能に嵌合されていると共に、該ピストンと上記ドラムとで半径方向内周側と外周側とに2つの油室が形成されており、両油室に供給する作動油の油圧をそれぞれ制御することによりクラッチの締結力を制御する変速機のクラッチ締結力制御装置であって、要求される締結力が小さいときは、外周側の油室にのみ油圧を供給しまたは外周側の油室に供給する油圧を内周側の油室に供給する油圧よりも大きくすることを特徴とする変速機のクラッチ締結力制御装置。
  2. 油室内に回転により生じる遠心油圧を相殺する遠心油圧キャンセル室がピストンを挟んで油室の軸方向反対側に設けられており、該遠心油圧キャンセル室の外径と外周側油室の外径とがほぼ同一とされていることを特徴とする請求項1に記載の変速機のクラッチ締結力制御装置。
  3. 外周側の油室は、ドラム側壁の外周側に設けられて反ピストン側に凹んだ環状の凹部と、ピストンの外周側に設けられてドラムの側壁方向に突出し、上記ドラムの環状凹部に嵌合された環状の凸部とで形成され、該凸部の外周縁及び内周縁にそれぞれ環状のシール部材が設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の変速機のクラッチ締結力制御装置。
  4. 環状凸部の外周縁及び内周縁にそれぞれ設けられたシール部材は、ピストンの環状凸部からドラム側壁方向にドラムの環状凹部内面に沿って延びるリップ状とされていることを特徴とする請求項3に記載の変速機のクラッチ締結力制御装置。
  5. 環状凸部の外周縁及び内周縁にそれぞれ設けられたシール部材は、ピストンに焼き付け形成されていることを特徴とする請求項3または請求項4に記載の変速機のクラッチ締結力制御装置。
  6. 外周側油室及び内周側油室の油圧を制御する油圧制御回路は、ライン圧源と外周側油室との間の油圧回路に設けられて外周側油室の油圧を制御する単一の電気式駆動弁と、ライン圧源と内周側油室の間の油圧回路に設けられて上記駆動弁で制御された油圧によって内周側油室に供給する油圧を制御する単一の制御弁とを有することを特徴とする請求項1に記載の変速機のクラッチ締結力制御装置。
  7. 単一の制御弁は、該制御弁の出力油圧がフィードバックされることにより、電気式駆動弁で制御された油圧に応じて上記出力油圧が調圧されるように構成されていることを特徴とする請求項6に記載の変速機のクラッチ締結力制御装置。
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