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JP2004137457A - ポリカーボネート用表面保護フィルム - Google Patents

ポリカーボネート用表面保護フィルム Download PDF

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JP2004137457A JP2003180674A JP2003180674A JP2004137457A JP 2004137457 A JP2004137457 A JP 2004137457A JP 2003180674 A JP2003180674 A JP 2003180674A JP 2003180674 A JP2003180674 A JP 2003180674A JP 2004137457 A JP2004137457 A JP 2004137457A
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Abstract

【課題】ポリカーボネートに対して容易に貼り付けおよび再剥離ができる一方、ポリカーボネートに対する剥離力の経時変化が小さく、長尺物からなるロール状物において長期間保存した場合や高温下に置いた場合であっても、粘着剤層がフィルム基材の背面に転写することが少ないポリカーボネート用表面保護フィルムを提供する。
【解決手段】引張弾性率が1GPa以上であるフィルム基材と、粘着剤層と、を含むポリカーボネート用表面保護フィルムであって、粘着剤層を構成する粘着剤のガラス転移温度を40〜90℃の範囲内の値とするとともに、ポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値を10〜300mN/25mmの範囲内の値とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリカーボネート用表面保護フィルムに関する。特に、ポリカーボネートに対する剥離力の経時変化が小さく、長尺物からなるロール状物において長期間保存した場合や高温下に置いた場合であっても、巻締りによる皺等が発生しないポリカーボネート用表面保護フィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光学的特性や機械的特性が優れていることから、様々な用途にフィルム状やプレート状のポリカーボネート樹脂(以下、単にポリカーボネートと称する場合がある。)が用いられている。かかるポリカーボネートは、最終的に単独で用いられることは極めて少なく、多くの場合、何らかの表面加工がなされることになる。例えば、DVD(デジタル多用途ディスク)の場合には、ポリカーボネートからなる2枚の基板における一方の基板表面に記録層を設けた後、2枚の基板同士を、紫外線硬化性樹脂を用いて貼り合せている。また、短波長の青色レーザーを用いて情報の記録再生を行う次世代光ディスク(例えば、Blu−ray Disc(商標))も考案されている。図4に示すように、かかる次世代光ディスク50の場合には、高解像度の対物レンズを用いることから焦点距離が短くなるため、記録層54が形成されたポリカーボネートからなる1枚の基板52(厚さ1.1mm)と、薄膜(厚さ0.1mm)のポリカーボネートフィルムからなる光透過性保護フィルム58と、の間に接着剤層56を積層して貼り合せることが試みられている。
【0003】
そこで、このようなポリカーボネートのフィルムやプレートに所望の加工を施す場合、各工程での傷つき防止や易滑性付与を目的として、ポリカーボネートの表面に保護フィルムを貼り合せたり、他のフィルムを共巻きしたりしている。
例えば、特開2001−303005号公報には、ポリカーボネートとともに熱成形工程に置かれて高温度に加熱されても粘着力の増加が僅かであって、常温での初期接着力も十分なポリカーボネート樹脂板用表面保護フィルムを提供することを目的として、特定の粘着剤層を形成したポリエチレンフィルムが開示されている。
より具体的には、初期粘着力を発現させるためのシングルサイト触媒を用いて重合された特定のエチレン−α−オレフィン共重合体と、経時粘着力を安定化させるためのチーグラー触媒を用いて重合された特定の低密度ポリエチレンと、を所定割合で混合してなる粘着剤を、ポリエチレンフィルム上に、共押し出し法により積層したポリカーボネート樹脂板用表面保護フィルムが開示されている。
なお、開示されたポリカーボネート樹脂板用表面保護フィルムにおいて、当該表面保護フィルムがひとりでに剥がれない一方、ポリカーボネート樹脂板から剥がそうとしたときに、容易に剥がれるように、初期粘着力を約100〜500mN/25mmの範囲内の値にすることが良いと記載している。
【0004】
また、特開平1−242679号公報には、プラスチックや金属等の薄膜基材と、紫外線硬化性粘着剤と、からなる表面保護シートを、被保護体に対して再剥離容易に貼着することを特徴とした表面保護体の製造方法が開示されている。
より具体的には、被保護体の材質や表面粗さ等の表面特性に応じて、表面保護シートにおける紫外線硬化性粘着剤に対して紫外線硬化処理を実施し、紫外線硬化性粘着剤の接着力を調整した後に、表面保護シートを、被保護体に対して貼着することを特徴とした表面保護体の製造方法が開示されている。
また、特開2001−243659号公報には、光ディスクの透明保護フィルムとしてのポリカーボネートフィルムと、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、をその間に接着剤を用いずに積層し、巻き上げることを特徴としたプラスチックフィルム巻層体が開示されている。
より具体的には、ポリカーボネートからなる光ディスク基板と貼り合せるための特定の厚さと表面粗さ等を有するポリカーボネートフィルムと、ポリエチレンテレフタレートフィルムと、をその間に接着剤を用いずに積層し、例えば、ワインダーで巻き上げたプラスチックフィルム巻層体が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開2001−303005号公報に開示されたポリエチレンフィルムを基材としたポリカーボネート樹脂板用表面保護フィルムは、機械的特性に乏しく、皺などが入りやすいことから、貼り合せ時に少なからずテンションをかける必要があった。
そのため、このような表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートフィルムを長期間保管した場合、表面保護フィルムの基材における残存応力が原因となって、ポリカーボネートフィルムに強いカールを発生し、様々な加工適性が低下するという問題が見られた。また、表面保護フィルムを貼り合わせた状態のポリカーボネートフィルムを巻き取ったロール状物は、それを長期間保管した場合に、巻締りを起こし、皺などの変形が発生して、実質的に使用できなくなるという問題が見られた。
【0006】
また、特開平1−242679号公報に開示された、被保護体の表面特性に応じて粘着力を調整した紫外線硬化性粘着剤を使用するという表面保護体の製造方法は、金属板用の表面保護フィルムの製造を中心に考慮している一方、紫外線硬化性粘着剤のガラス転移温度や粘着力を規定しておらず、ポリカーボネートに対する表面保護フィルムとしては、実質的に使用することができなかった。
また、基材フィルムの特性に関しては何ら考慮しておらず、具体的にあげられているのはポリエチレンフィルムのみであり、かかるポリエチレンフィルムを用いても、前述したカールの発生や巻締りを防止することができないという問題が見られた。
【0007】
一方、特開平1−242679号公報等に開示された表面保護フィルムのポリカーボネートに対する剥離力は、粘着加工されたポリカーボネートにおける剥離フィルムに対する剥離力よりも一般に大きいという特性を有していた。すなわち、図9(a)において、フィルム基材12および粘着剤層14とからなる表面保護フィルム10と、ポリカーボネートフィルム58との界面Aの剥離力は、接着剤層56を備えたポリカーボネートフィルム58と、剥離フィルム60との界面Bの剥離力よりも一般に大きいという特性を有していた。
これによって、表面保護フィルム10を、ポリカーボネートフィルム58から剥離させる場合、すなわち、界面Aにおいて剥離しようとする場合に、粘着加工されたポリカーボネートフィルム58と、剥離フィルム60とが、界面Bにおいて剥離してしまう場合がみられた。そのため、図9(b)に示すように、ポリカーボネートフィルム58に貼り合せたポリカーボネート用の表面保護フィルム10は、粘着加工されたポリカーボネートフィルム58を、他の被着体、例えば記録層54が形成されたポリカーボネート基板52に対して貼り合せた後でなければ、剥離することができなかった。したがって、従来のポリカーボネート用表面保護フィルムにおいては、剥離タイミングの自由度が低いという問題が見られた。
【0008】
さらに、特開2001−243659号公報に開示されたプラスチックフィルム巻層体は、ポリカーボネートフィルムを加工する際、巻層体から繰り出した時点で、ポリカーボネートフィルムと、共巻きされていたポリエチレンテレフタレートフィルムとが剥離してしまうため、その後の加工工程においてポリカーボネートフィルムに傷がつきやすいという問題が見られた。
また、開示されたプラスチックフィルム巻層体は、ポリカーボネートフィルムの加工工程においては、ポリエチレンテレフタレートフィルムを取り除かなければならないため、加工工程を経た後には、何らかのフィルムを再び共巻きするか、あるいは表面保護フィルムを貼り合せる必要があった。
【0009】
すなわち、本発明は、従来のポリカーボネート用表面保護フィルムの問題を解決すべく、以下のような目的を有している。
(1)ポリカーボネートとの貼り合せが容易であるとともに、自然剥離については有効に防止することができる一方、再剥離については容易に実施することができるポリカーボネート用表面保護フィルムを提供する。
(2)ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートをロール状態で長期間保管した場合であっても、また高温下に置いた場合であっても、それぞれポリカーボネートに対する表面保護フィルムの粘着力(180°剥離力と称する場合がある。)の上昇を低く抑えるとともに、巻締りを抑制することができるポリカーボネート用表面保護フィルムを提供する。
(3)ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートを、粘着剤層を介して他の被着体に対して貼り合せる前であっても、ポリカーボネート用表面保護フィルムを剥がすことができるポリカーボネート用表面保護フィルムを提供する。
(4)ポリカーボネートに貼り合せた場合であっても、粘着剤の移行がないポリカーボネート用表面保護フィルムを提供する。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、引張弾性率が1GPa以上であるフィルム基材と、粘着剤層と、を含むポリカーボネート用表面保護フィルムであって、粘着剤層を構成する粘着剤のガラス転移温度を40〜90℃の範囲内の値とするとともに、ポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値(F(CO))を10〜300mN/25mmの範囲内の値としたポリカーボネート用表面保護フィルムが提供され、上述した問題点を解決することができる。
すなわち、粘着剤のガラス転移温度をこのような範囲内の値とすることにより、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートを、ロール状態で長期間保管した場合や、高温下に置いた場合であっても、それぞれポリカーボネートに対する表面保護フィルムの180°剥離力の上昇を低く抑えることができるとともに、ポリカーボネートに貼り合せた場合であっても、粘着剤の移行がないポリカーボネート用表面保護フィルムを提供する。
また、180°剥離力の初期値(F(CO))をこのような範囲内の値とすることにより、ポリカーボネートからの自然剥離を有効に防止することができる一方、ポリカーボネートから任意時期に、容易に剥離することができる。
また、180°剥離力の初期値(F(CO))をこのような範囲内の値とすることにより、粘着加工されたポリカーボネートにおける剥離フィルムに対する剥離力よりも低い値に容易に制御することができるため、粘着加工されたポリカーボネートを他の被着体に対して貼り合せる前であっても剥離することができる。
さらに、フィルム基材の引張弾性を特定の値とすることにより、機械的特性を向上させることができ、ポリカーボネートとの貼り合せ時のポリカーボネート用表面保護フィルムのテンションを低下させることができる。これにより、ロール状態で長期間保管した場合や、高温下に置いた場合であっても、巻締りによる皺などの変形が生じることを防ぐことができる。
なお、180°剥離力の初期値(F(CO))は、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた後、25℃の温度条件に7日間放置した後に、測定される180°剥離力の値である。
【0011】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、ポリカーボネートに対する加熱圧促進後、すなわちポリカーボネート用表面保護フィルムとポリカーボネートとを貼り合わせた後、これを70℃、20g/cmの加圧下に7日間放置した後の180°剥離力をF(hp)とした場合に、当該F(hp)およびF(CO)が下記関係式(1)を満足することが好ましい。
(F(hp)−F(CO))/F(CO)≦3.0      (1)
このように構成することにより、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートを、ロール状態で長期間保管した場合や、高温下に置いた場合であっても、180°剥離力の増加を有効に防止することができる。
【0012】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、粘着剤の20〜40℃におけるいずれかの温度の貯蔵弾性率を5×10dyn/cm〜5×1010dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとの貼り合せが容易になるとともに、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートを、ロール状態で長期間保管した場合や、高温下に置いた場合であっても、それぞれの巻締りをさらに有効に防止することができる。
【0013】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、粘着剤が、下記(A)成分および(B)成分を含む硬化性組成物の三次元架橋物であることが好ましい。
(A)(メタ)アクリル酸エステル共重合体
(B)光硬化成分および熱硬化成分から選ばれる少なくとも一つの硬化成分(以下、単に、硬化成分と称する場合がある。)
このように構成することにより、エネルギー線硬化あるいは熱硬化によって迅速かつ簡易的に粘着剤が得られるとともに、粘着剤における180°剥離力やガラス転移温度、あるいは貯蔵弾性率の値を容易に調整することができる。
なお、(A)成分に、(メタ)アクリロイル基等を導入して、(B)成分とともに、エネルギー線硬化あるいは熱硬化可能とすることも好ましい。その場合には、(B)成分は、(A)成分とは異なる、それ以外の光硬化成分または熱硬化成分を意味している。
【0014】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、(B)成分が、光硬化性ポリウレタンアクリレートであることが好ましい。
このように構成することにより、(A)成分である(メタ)アクリル酸エステル共重合体との相溶性が良好になるとともに、得られた粘着剤の180°剥離力やガラス転移温度、あるいは貯蔵弾性率の値を容易に調整することができる。
【0015】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、粘着剤が、官能基を有するモノマーを15重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の三次元架橋物であることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤における180°剥離力やガラス転移温度、あるいは貯蔵弾性率の値を容易に調整することができる。
【0016】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、フィルム基材と、粘着剤層との間に、粘着力改善層を設けることが好ましい。
このように構成することにより、粘着剤層において、ポリカーボネートに対しては、所望の比較的低い180°剥離力を得ることができるとともに、フィルム基材に対しては、優れた180°剥離力を得ることができる。
【0017】
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを構成するにあたり、剥離フィルム上に積層された粘着剤層と、ポリカーボネートとからなるポリカーボネート積層体のポリカーボネート表面に対して貼り合せられた場合であって、当該剥離フィルムと、ポリカーボネート積層体との間の180°剥離力をF(RL)としたときに、下記関係式(2)を満足することが好ましい。
(RL)>F(CO) (2)
このように各フィルム間の180°剥離力を調整して構成することにより、粘着加工されたポリカーボネート積層体の表面からポリカーボネート用表面保護フィルムを剥離するタイミングを、粘着加工されたポリカーボネート積層体を被着体に貼り付ける前後の任意時期に選択することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムに関する実施の形態を、図面を適宜参照しながら、具体的に説明する。
【0019】
すなわち、本発明の実施形態は、図1に例示するように、引張弾性率が1GPa以上であるフィルム基材22と、粘着剤層24と、を含むポリカーボネート用表面保護フィルム20であって、粘着剤層24を構成する粘着剤のガラス転移温度を40〜90℃の範囲内の値とするとともに、ポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値(F(CO))を10〜300mN/25mmの範囲内の値としたポリカーボネート用表面保護フィルム20である。
また、ポリカーボネート用表面保護フィルム20は、使用する前には、粘着剤層24を剥離フィルム16で被覆しておくこともできる。
以下、フィルム基材および粘着剤層等の構成要件ごとに、具体的に説明する。
【0020】
1.フィルム基材
(1)引張弾性率
使用するフィルム基材の引張弾性率(ヤング率)を1GPa以上の値とすることを特徴とする。この理由は、かかるフィルム基材の引張弾性率を1GPa以上の値とすることにより、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとの貼り合せ時に、ポリカーボネート用表面保護フィルムのテンションを低下させることができ、かつ、ポリカーボネートとポリカーボネート用表面保護フィルムのテンションの差を少なくすることができるためである。逆に、かかるフィルム基材の引張弾性率が1GPa未満の値であると、貼り合せ時のテンションを上げなければ、皺等が入りやすくなるため、結果として、残留応力が大きくなり、巻締りが生じやすくなるためである。
したがって、このような引張弾性率を有するフィルム基材を使用することにより、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートを、ロール状態で長期間保管した場合や高温下に置いた場合であっても、ロールの巻締りを有効に防止することができる。
ただし、フィルム基材の引張弾性率の値が過度に大きくなると、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた状態で、ロール状に巻くことが困難となったり、あるいは、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた後に、ポリカーボネート用表面保護フィルムが自然剥離したりする場合がある。
したがって、フィルム基材の引張弾性率を1〜15GPaの範囲内の値とすることがより好ましく、2〜10GPaの範囲内の値とすることがさらに好ましい。なお、フィルム素材の引張弾性率はJIS K 7127に準拠して測定される値である。
【0021】
(2)種類
フィルム基材の種類としては特に制限されるものではないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース(TAC)、ポリサルフォン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリイミド、ポリフェニレンスルファイド、ポリアリレート、ポリアクリロニトリル、ポリ塩化ビニル、ポリ乳酸等が挙げられる。
また、フィルム基材の種類に関して、図2に示すように、表面に接着力改善層18を設けた易接着性のフィルム基材22であることが好ましい。この理由は、このような接着力改善層を設けることにより、粘着剤層24がポリカーボネートに対しては所望の比較的低い180°剥離力を示す場合であっても、フィルム基材22に対しては、優れた接着力を有するポリカーボネート用表面保護フィルム30を得ることができるためである。
なお、このような接着力改善層18としては、プライマー層であっても良いし、あるいは、コロナ処理やフレーム処理(火炎処理)によって生成したフィルム基材表面の改質部からなる層であっても良い。
【0022】
(3)厚さ
また、フィルム基材の厚さを10〜100μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかるフィルム基材の厚さが10μm未満の値になると、機械的強度が低下し、取り扱いが困難になる場合があるためであり、一方、かかるフィルム基材の厚さが100μmを超えると、ポリカーボネートフィルムとを貼り合せた状態で、ロール状に巻くことが困難となったり、あるいは、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた後に、ポリカーボネート用表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
したがって、フィルム基材の厚さを15〜50μmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜40μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0023】
(4)透明性
また、フィルム基材を透明とすることが好ましい。この理由は、粘着剤が光硬化性組成物(エネルギー線硬化性組成物と称する場合もある。)から構成されている場合であっても、フィルム基材が透明であれば、当該フィルム基材を介して、効率的に硬化することができるためである。
したがって、フィルム基材における紫外線領域の透過率を70%以上の値にすることが好ましく、80%以上の値にすることがより好ましく、90%以上の値にすることがさらに好ましい。
【0024】
2.粘着剤層
(1)ガラス転移温度
粘着剤層を構成する粘着剤のガラス転移温度(粘弾性測定装置で得られるtanδ(損失正接)のピーク温度)を40〜90℃の範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる粘着剤のガラス転移温度が40℃未満となると、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートを、ロール状態で長期間保管した場合や高温下に置いた場合に、ポリカーボネートに対する表面保護フィルムの180°剥離力が過度に上昇し、容易に剥がすことが困難となるためである。一方、かかる粘着剤のガラス転移温度が90℃を超えると、ポリカーボネートに対する貼付けが困難になったり、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた後に、ポリカーボネート用表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
したがって、かかる粘着剤のガラス転移温度を45〜80℃の範囲内の値とすることがより好ましい。
【0025】
なお、図6中のラインAは、粘着剤のガラス転移温度が76℃であって、経時で180°剥離力がほとんど変化しない例を示しており、また、ラインBは、粘着剤のガラス転移温度が40℃未満であって、経時で180°剥離力が顕著に変化する例を示す。
【0026】
(2)180°剥離力
(2)−1 初期値
また、ポリカーボネート用表面保護フィルムのポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値(F(CO))を10〜300mN/25mmの範囲内の値とすることを特徴とする。
この理由は、かかる180°剥離力(F(CO))が10mN/25mm未満の値になると、ポリカーボネートに対する貼付けが困難になったり、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた後に、ポリカーボネート用表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
一方、かかる180°剥離力(F(CO))が300mN/25mmを超えると、ポリカーボネートからポリカーボネート用表面保護フィルムを容易に剥がすことが困難となるからである。
したがって、ポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値(F(CO))を15〜100mN/25mmの範囲内の値とすることがより好ましく、20〜60mN/25mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0027】
(2)−2 関係式(1)
また、ポリカーボネート用表面保護フィルムにおけるポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値をF(CO)とし、加熱圧促進後(70℃、20g/cm、7日間)の180°剥離力をF(hp)とした場合に、当該F(CO)およびF(hp)が下記関係式(1)を満足することが好ましい。
(F(hp)−F(CO))/F(CO)≦3.0  (1)
この理由は、かかる関係式(1)を満足することにより、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートをロール状態で長期間保管した場合や高温下に置いた場合であっても、ポリカーボネート用表面保護フィルムを容易に剥がすことができるためである。したがって、保管状態にかかわらず180°剥離力の変化が小さくなり、ポリカーボネート用表面保護フィルムの保管条件の管理が容易になるとともに、剥離工程の自動化が容易になる。
なお、(F(hp)−F(CO))/F(CO)で表される数値を2.0以下の範囲内の値とすることがより好ましく、0〜1.0の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0028】
(2)−3 関係式(2)
また、ポリカーボネート用表面保護フィルムにおける剥離力に関して、剥離フィルム上に積層された粘着剤層と、ポリカーボネートとからなるポリカーボネート積層体のポリカーボネート表面に対して貼り合せられた場合であって、当該ポリカーボネート積層体と、剥離フィルムとの間の180°剥離力の初期値をF(RL)としたときに、下記関係式(2)を満足することが好ましい。
(RL)>F(CO) (2)
このように各フィルム間の180°剥離力を調整して、剥離フィルムと、ポリカーボネート積層体との間の180°剥離力を、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネート積層体との間の180°剥離力よりも大きな値とすることが好ましい。すなわち、図5に示す界面Bにおける剥離フィルム60と、ポリカーボネート積層体40との間の180°剥離力(F(RL))を、界面Aにおけるポリカーボネート用表面保護フィルム30と、ポリカーボネート積層体40との間の180°剥離力(F(CO))よりも大きな値とすることが好ましい。この理由は、このように構成することにより、ポリカーボネート用表面保護フィルム30を剥がそうとしたときに、剥離フィルム60と、ポリカーボネート積層体40との間で剥離することを防止できるためである。
したがって、ポリカーボネート積層体40の表面からポリカーボネート用表面保護フィルム30を剥離するタイミングを、ポリカーボネート積層体40を被着体に貼り付ける前後の任意時期に選択することができるようになる。
なお、剥離フィルムと、ポリカーボネート積層体との間の180°剥離力(F(RL))の値を、具体的に、3〜200mN/25mmの範囲内の値とすることが好ましく、5〜100mN/25mmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0029】
(2)−4 関係式(3)
また、ポリカーボネート用表面保護フィルムにおける剥離力に関して、ポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値(F(CO))と、ポリカーボネート積層体のポリカーボネート表面に対する180°剥離力の初期値(F(RL))とが、下記関係式(3)を満足することがより好ましい。
(RL)>1.2×F(CO) (3)
この理由は、このように各フィルム間の180°剥離力を調整することにより、周囲の環境温度にかかわらず、ポリカーボネート用表面保護フィルムを剥がす際に、剥離フィルムと、ポリカーボネート積層体との間で剥離することがさらに少なくなるためである。
【0030】
(3)貯蔵弾性率
また、20〜40℃のいずれかの温度における粘着剤の貯蔵弾性率(粘弾性測定装置による測定)を1×10dyn/cm〜5×1010dyn/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる粘着剤の貯蔵弾性率が1×10dyn/cm未満の値になると、ポリカーボネート用表面保護フィルムを貼り合せたポリカーボネートをロール状態で長期間保管した場合や高温下に置いた場合に、ポリカーボネートからポリカーボネート用表面保護フィルムを容易に剥がすことが困難となる場合があるためである。
一方、かかる粘着剤の貯蔵弾性率が5×1010dyn/cmを超えると、ポリカーボネートに対する貼付けが困難になったり、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートとを貼り合せた後に、ポリカーボネート用表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
したがって、粘着剤の20〜40℃のいずれかの温度、あるいは20〜40℃のいずれの温度における貯蔵弾性率を1×10dyn/cm〜1×1010dyn/cmの範囲内の値とすることがより好ましく、5×10dyn/cm〜1×1010dyn/cmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0031】
なお、図6のラインAは、粘着剤の20℃における貯蔵弾性率が1.2×1010dyn/cmであって、経時で180°剥離力がほとんど変化しない例を示しており、ラインBは、市販の表面保護フィルム、サニ−テクトPAC−3(株式会社サンエー化研製)において、経時で180°剥離力が顕著に変化する例を示している。
【0032】
(4)種類
粘着剤の種類としては特に制限されるものではないが、例えば、(A)(メタ)アクリル酸エステル共重合体と(B)光硬化成分および熱硬化成分から選ばれる少なくとも一つの硬化成分と、を含む硬化性組成物の三次元架橋物(タイプ1)や、官能基を有するモノマーを15重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の三次元架橋物(タイプ2)であることが好ましい。以下、タイプ1およびタイプ2の粘着剤を、それぞれ具体的に説明する。
【0033】
(4)−1 タイプ1
まず、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル共重合体と、(B)成分としての硬化成分と、を含む硬化性組成物の三次元架橋物からなるタイプ1の粘着剤について説明する。この粘着剤は、硬化性組成物に紫外線や電子線等のエネルギー線を照射したり、あるいは、硬化性組成物を加熱したりすることにより得られる三次元架橋物である。
まず、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、(メタ)アクリル酸エステルあるいはその誘導体を主成分とした共重合体であり、所望により他のモノマーを共重合してもよい。また、好ましい(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸n―オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル等が挙げられ、これらの一種単独または二種以上を組み合わせて用いられる。
また、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステルと共重合される他のモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリルアミド、N―メチロ−ルアクリルアミド等の官能基を有するモノマー、(メタ)アクリロニトリル、酢酸ビニル、スチレン等が挙げられる。
【0034】
また、(A)成分の(メタ)アクリル酸エステル共重合体として、側鎖に不飽和基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いることも好ましい。
この理由は、(A)成分に含まれる低分子量を高分子量化したり、あるいは、(B)成分を硬化させる際に、(A)成分についても反応させて、(A)成分と、(B)成分とを結合させることができるためである。したがって、硬化性組成物から得られる粘着剤の剥離力の調整が容易となる。
なお、かかる共重合体は、例えば、官能基を有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体に、不飽和基と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる官能基に対する反応性基と、を有する化合物を付加することによって、容易に得ることができる。
【0035】
ここで、不飽和基の例としては、(メタ)アクリロイル基が挙げられ、反応性基の例としては、イソシアネート基やグリシジル基が挙げられる。したがって、このような不飽和基と、反応性基と、を有する化合物としては、メタクリロイルオキシエチルイソシアナート、メタクリロイルイソシアナート、アリルイソシアナート、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。よって、イソシアナート基やグリシジル基のような反応性基と、(メタ)アクリル酸エステル共重合体中のカルボキシル基や水酸基などの官能基と、が有効に反応することにより、側鎖に不飽和基を導入した(メタ)アクリル酸エステル共重合体を容易に得ることができる。
【0036】
また、側鎖に不飽和基を導入する前の(メタ)アクリル酸エステル共重合体は、それを構成する官能基を有するモノマーの使用割合を3〜50重量%の範囲内の値とすることが好ましい。さらに、不飽和基を導入する際に、(メタ)アクリル酸エステル共重合体に含まれる官能基の量を100モル%としたときに、反応性基の付加率を10〜80モル%の範囲内の値とすることが好ましい。
【0037】
また、これらの(メタ)アクリル酸エステル共重合体の数平均分子量(Mn)を20万〜200万の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる共重合体の数平均分子量が20万未満の値になると、粘着剤の凝集力が不足したり、フィルム基材やポリカーボネートに対する180°剥離力が増大したりする場合があるためである。一方、かかる共重合体の数平均分子量が200万を超えると、フィルム基材に粘着剤層を形成することが困難になる場合があるためである。
したがって、これらの共重合体の数平均分子量
を30万〜120万の範囲内の値とすることがより好ましく、40万〜80万の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
なお、これらの共重合体の数平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ(GPC)を用いて、スチレン粒子換算の分子量として測定された値である。
【0038】
一方、(B)成分である硬化成分としては、分子内に不飽和基を有し、エネルギー線照射や加熱により硬化する数平均分子量が1万以下のオリゴマーやモノマー化合物を用いることができる。具体的には、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、1,4−ブチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、ポリウレタンアクリレート、ポリエステルアクリレート、ポリエーテルアクリレート、エポキシアクリレート等が好適例として挙げられる。
【0039】
また、(A)成分としての(メタ)アクリル酸エステル共重合体の含有量を、(A)成分と(B)成分とからなる全体量に対して、30重量%以上の値とすることが好ましく、逆に、(B)成分としての硬化成分の含有量を70重量%以下の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる(A)成分の含有量が30重量%未満の値となると、フィルム基材やポリカーボネートに対する初期180°剥離力が著しく低下する場合があるためである。
【0040】
ただし、(A)成分として、側鎖に不飽和基を有しない(メタ)アクリル酸エステル共重合体を用いる場合には、かかる(A)成分の含有量が85重量%を超えると、ポリカーボネート用表面保護フィルムのポリカーボネートに対する剥離力の初期値が過剰に大きくなったり、加熱圧促進後の剥離力が大きく上昇したりして、ポリカーボネート用表面保護フィルムを容易に剥離することが困難になる場合がある。
したがって、(A)成分の含有量を全体量に対して、30〜90重量%の範囲内とすることがより好ましく、50〜80重量%の範囲内とすることがさらに好ましい。
【0041】
次に、図3を参照して、貯蔵弾性率の温度変化に及ぼす(B)成分の量の影響を説明する。図3は、横軸に測定温度(℃)を採って示してあり、縦軸に貯蔵弾性率(dyn/cm)の対数を採って示してある。そして、ラインAが、かかる(B)成分が20重量%の粘着剤における貯蔵弾性率の変化曲線を示しており、同様に、ラインBが、重量比が30重量%の粘着剤における貯蔵弾性率の変化曲線を示しており、ラインCが、重量比が40重量%の粘着剤における貯蔵弾性率の変化曲線を示しており、およびラインDが、重量比が50重量%の粘着剤における貯蔵弾性率の変化曲線をそれぞれ示している。
これらの貯蔵弾性率の変化曲線から容易に理解されるように、(B)成分の量が少ない程、貯蔵弾性率の温度変化が大きく、高温になると、著しく値が低下している。一方、(B)成分の添加量が多い程、貯蔵弾性率の温度変化は小さくなり、高温になっても比較的高い値を示している。
したがって、貯蔵弾性率の値を調整するには、(B)成分の添加量を変えることが有効であると言える。
【0042】
また、硬化性組成物には所望により、重合開始剤を添加してもよい。このような重合開始剤としては、ラジカル開始剤が挙げられ、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2,2−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンなどのアセトフェノン系開始剤;ベンジルジメチルケタールなどのケタール系開始剤;ハロゲン化ケトン、アシルホスフィノキシド、アシルホスフォナート、ベンゾイン、過酸化ベンゾイル、ジクミルパーオキサイド等の一種単独または二種以上の組み合わせを挙げることができる。
【0043】
また、重合開始剤を添加する場合、その添加量を、硬化成分100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、かかる添加量が0.1重量部未満の値になると、硬化速度が著しく低下する場合があるためである。一方、かかる添加量が10重量部を超えると、硬化性組成物の保存安定性が低下したり、得られる硬化物の機械的特性が低下したりする場合があるためである。
したがって、重合開始剤の添加量を、硬化成分100重量部に対して、1〜8重量部の範囲内の値とすることがより好ましく、2〜6重量部の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0044】
(4)−2 タイプ2
また、粘着剤として、官能基を有するモノマーを15重量%以上使用して得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体の三次元架橋物を使用することも好ましい。
すなわち、官能基を有するモノマーを15重量%以上使用して得られた(メタ)アクリル酸エステル共重合体の三次元架橋物は、前述の(メタ)アクリル酸エステル共重合体において、共重合体中を構成するモノマー(100重量%)のうち、官能基を有するモノマーの使用量を15重量%以上とし、これに架橋剤を添加することにより三次元架橋させたものである。
【0045】
ここで、官能基を有するモノマー量を15重量%以上の値とする理由は、かかる含有量が15重量%未満の値になると、剥離力の初期値が大きくなったり、加熱圧促進後の剥離力が大きく上昇したりして、ポリカーボネート用表面保護フィルムを容易に剥離することが困難になる場合があるためである。
ただし、官能基を有するモノマーが30重量%を超えるとポリカーボネートに対する接着力の初期値が著しく低下する場合がある。
したがって、官能基を有するモノマーを20〜30重量%含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の三次元架橋物がより好ましい粘着剤である。
【0046】
なお、架橋剤としては、ポリイソアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレートなど公知の架橋剤を用いることができる。また、このような架橋剤の添加量を、(メタ)アクリル酸エステル共重合体中の官能基に対して、化学当量の0.1倍量以上の値とすることが好ましく、0.5倍量〜1.5倍量の範囲内の値とすることがより好ましい。この理由は、かかる架橋剤の添加量が1.5倍量を超えると、架橋に関与しない架橋剤の量が多くなるため、ポリカーボネートを汚染することがあるためである。
【0047】
(5)厚さ
粘着剤層の厚さを1〜20μmの範囲内の値とすることが好ましい。この理由は、かかる粘着剤層の厚さが1μm未満の値になると、ポリカーボネート用表面保護フィルムと、ポリカーボネートフィルムとの貼り合せが困難になったり、あるいは貼り合せた後に、ポリカーボネート用表面保護フィルムが自然剥離したりする場合があるためである。
一方、かかる粘着剤層の厚さが20μmを超えると、剥離力はほとんど変わらなくなり、実用上の問題は無いが経済的に効率が悪くなるためである。
したがって、粘着剤層の厚さを3〜15μmの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜10μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0048】
(6)透明性
また、粘着剤が透明であることが好ましい。この理由は、図4に示すような次世代DVDにおいて、ポリカーボネート基板と、ポリカーボネートフィルムとを、結合する接着剤が、光硬化性組成物から構成されている場合であっても、フィルム基材および粘着剤が透明であれば、当該フィルム基材および粘着剤を介して、効率的に硬化することができるためである。
【0049】
(7)製造方法
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムは、例えば、次に示す(7)−1および(7)−2の工程により製造することができる。
【0050】
(7)−1:フィルム基材の準備工程
上述したように引張弾性率が1GPa以上であれば、フィルム基材の種類は特に制限されるものでなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートを準備することが好ましい。
また、ロール状のポリカーボネート用表面保護フィルムを製造する場合には、長さが5m以上、より好ましくは100〜2000mの範囲の長尺のフィルム基材を準備することが好ましい。
【0051】
(7)−2:粘着剤層の形成工程
粘着剤層の形成方法についても、特に制限されるものではないが、例えば、ナイフコーター、ロールコーター、グラビアコーター、アプリケーターコーター、回転塗布装置等を採用することが好ましい。
【0052】
また、粘着剤が硬化性組成物から構成されている場合には、紫外線や電子線等を照射し、硬化させて粘着剤とすることが好ましい。例えば、紫外線を照射する場合には、その照射量を30〜500mJ/cmの範囲内の値とすることが好ましい。
【0053】
【実施例】
以下、実施例に基づいて本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムを詳細に説明するが、言うまでもなく、本発明はこれらの実施例の記載によって限定されるものでは無い。
【0054】
[実施例1]
1.ポリカーボネート用表面保護フィルムの作成
(1)粘着剤の調整
アクリル酸エステル共重合体(モノマー組成比(重量比):アクリル酸n−ブチル:アクリル酸=80:20、スチレン換算の数平均分子量(Mn):約50万)に、片末端がイソシアネート基であって、もう一方の末端がアクリロイル基である2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、アクリル酸のカルボキシル基1molに対して0.3molの割合で付加(付加率30%)させた側鎖に不飽和基を有するアクリル酸エステル共重合体のトルエン溶液と、ポリウレタンアクリレート(大日精化工業株式会社製、セイカビームPU−4)とからなる硬化成分と、を固形分重量比で3:1の割合で混合し、混合物を得た。
次いで、混合物の固形分100重量部に対し、ヒドロキシフェニケルトン系光重合開始剤であるイルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製)を5重量部の割合で添加した後、充分に攪拌して光硬化性組成物を得た。
【0055】
(2)粘着剤層の作成
得られた光硬化性組成物を、フィルム基材としての、易接着性処理が施された厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(東洋紡績株式会社製エステルフィルムA4100−25♯、引張弾性率 4GPa)の易接着性処理面上に、ナイフコーターを用いて塗布した後、オーブンにて100℃で1分間乾燥し、乾燥後の光硬化性組成物層の厚さが5μmのシートを得た。
得られたシートの光硬化性組成物面に、剥離フィルムとして、シリコーン樹脂を塗布して剥離処理を施した厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの剥離処理面を対向させて貼り合せた。次いで、紫外線照射装置(FUSION UV SYSTEMS社製CV−110Q−G)を用いて、光量150mJ/cmの条件で、剥離フィルムを介して、紫外線を照射し光硬化性組成物を三次元架橋させて粘着剤層とし、ポリカーボネートフィルム用表面保護フィルムを得た。
【0056】
2.ポリカーボネート用表面保護フィルムの評価
(1)粘弾性測定
粘弾性測定装置であるRHEOVIBRON DDV−II―EP(株式会社東洋ボールドウィン製)を用いて、昇温速度3℃/分、周波数11Hzの測定条件においてダイナミックスキャンを行い、得られたポリカーボネート用表面保護フィルムにおける粘着剤層のtanδ、貯蔵弾性率(E´)、および複素弾性率(E´´)をそれぞれ測定した。得られたガラス転移温度、20℃及び40℃での貯蔵弾性率を表1に示す。
【0057】
(2)180°剥離力
得られたポリカーボネート用表面保護フィルムにおける剥離フィルムを除去した後、別の剥離フィルム上に積層された粘着剤層と、ポリカーボネート積層体のポリカーボネート面に対して貼り合せ、試験用サンプルとした。
次いで、25℃の環境下(以下、常態という)に7日間放置した試験用サンプルと、70℃、20g/cmの加熱圧促進を7日間行った試験用サンプルのポリカーボネートに対する表面保護フィルムの180°剥離力を、JIS Z 0237に準拠してそれぞれ測定した。
その結果、常態放置後の180°剥離力(F(CO))は、20mN/25mmであり、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、25mN/25mmであった。また、常態放置後における、ポリカーボネート積層体の剥離フィルムからの剥離力(F(RL))は、50mN/25mmであった。これらの結果から、実施例1のポリカーボネート用表面保護フィルムは、関係式(1)および(2)を同時に満足することが確認された。
【0058】
(3)巻締性評価
上述した試験用サンプル(長さ500m、幅300mm)を巻き取ったロール状物を2本作製し、それぞれを2つの温度条件(常態、3ヶ月間、40℃、3ヶ月間)で放置した後、以下の評価基準に準じて、巻締性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
◎:ロール状物に皺の発生は全くみられなかった。
○:ロール状物にわずかな皺が発生した。
△:ロール状物に少々皺が発生した。
×:ロール状物に顕著な皺が発生した。
【0059】
(4)移行性評価
上述した70℃、20g/cmの加熱圧促進を7日間行った試験用サンプルをA4サイズに切断した後、ポリカーボネート用表面保護フィルムを剥離した。次いで、ポリカーボネート積層体のポリカーボネート面(面積:約900μm)を、走査型レーザー顕微鏡1LM21(レーザーテック(株)製)を用いて観察し、以下の基準に準じて、粘着剤の移行性を評価した。
なお、図7(a)に、レーザーによる検知シグナルが全くみられなかった例(実施例1相当)を示すとともに、図8に、その場合における、レーザー顕微鏡を用いて得られるポリカーボネート表面の三次元画像を示す。一方、図7(b)には、図7(a)との対比で、顕著な検知シグナルがみられた例(比較例1相当)を示す。
◎:レーザーによる検知シグナルは全くみられなかった。
○:レーザーによるわずかな検知シグナルがみられた。
△:レーザーによる若干の検知シグナルがみられた。
×:レーザーによる顕著な検知シグナルがみられた。
【0060】
[実施例2]
1.ポリカーボネート用表面保護フィルムの作成
(1)粘着剤の調整
トルエンに溶解した状態のアクリル酸エステル共重合体(モノマー組成比(重量比):アクリル酸2−エチルヘキシル:アクリル酸2−ヒドロキシエチル=72:28、スチレン換算の数平均分子量(Mn):約80万)の固形分100重量部に対して、架橋剤として、ポリイソシアネート化合物であるコロネートL(日本ポリウレタン株式会社製)12.5重量部を加え、充分に攪拌して粘着剤組成物を得た。
次いで、得られた粘着剤組成物を、易接着性処理が施された厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に、グラビアコーターを用いて塗布した。次いで、オーブンを用いて、120℃、3分の条件で、塗布した粘着剤組成物を乾燥すると共に三次元架橋させ、厚さ3μmの粘着剤積層物を得た。次いで、粘着剤積層物の粘着剤側に、30μm厚のポリプロピレン製のフィルムを貼り合せて、ポリカーボネートフィルム用表面保護フィルムとした。また、このポリカーボネートフィルム用表面保護フィルムを用いて、実施例1と同様にして、実施例2としての試験用サンプルを作成した。
【0061】
2.ポリカーボネート用表面保護フィルムの評価
(1)粘弾性測定
実施例1と同様に、ポリカーボネート用表面保護フィルムにおける粘着層のtanδ、貯蔵弾性率(E´)、および複素弾性率(E´´)をそれぞれ測定した。
【0062】
(2)180°剥離力
実施例1と同様に、常態と加熱圧促進を行った試験用サンプルのポリカーボネート積層体に対する180°剥離力を測定した。その結果、常態放置後の180°剥離力(FCO))は、30mN/25mmであり、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、65mN/25mmであった。
また、ポリカーボネート積層体における剥離フィルムの180°剥離力(F(RL))が、常態放置後には50mN/25mmであり、実施例2のポリカーボネート用表面保護フィルムは、関係式(1)及び(2)を同時に満足することが確認された。なお、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、80mN/25mmであった。
【0063】
(3)巻締性評価
実施例1と同様にして、巻締性評価を行った。
【0064】
(4)移行性評価
実施例1と同様にして、移行性評価を行った。
【0065】
[実施例3および4]
1.ポリカーボネート用表面保護フィルムの作成
実施例3では、実施例1における易接着性処理が施された厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルムの代わりに、片面にコロナ処理が施された厚さ25μmの無延伸ポリプロピレンフィルム(二村化学工業株式会社製:太閤FC−FP 25♯、引張弾性率1.1GPa)を用いたほかは、実施例1と同様にして、実施例3としての試験用サンプルを作成した。
また、実施例4では、実施例1における粘着剤に、硬化成分としてのポリウレタンアクリレートを混合しなかったほかは、実施例1と同様にして、実施例4としての試験用サンプルを作成した。
【0066】
2.ポリカーボネート用表面保護フィルムの評価
(1)粘弾性測定
実施例1と同様に、ポリカーボネート用表面保護フィルムにおける粘着層のtanδ、貯蔵弾性率(E´)、および複素弾性率(E´´)をそれぞれ測定した。
【0067】
(2)180°剥離力
実施例1と同様に、常態と加熱圧促進を行った試験用サンプルのポリカーボネート積層体に対する180°剥離力を測定した。その結果、実施例3のサンプルでは、常態放置後の180°剥離力(F(CO))は、20mN/25mmであり、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、25mN/25mmであった。また、実施例4のサンプルでは、常態放置後の180°剥離力(F(CO))は、22mN/25mmであり、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、80mN/25mmであった。
また、ポリカーボネート積層体における剥離フィルムの180°剥離力(F(RL))が、実施例3のサンプルでは、常態放置後には50mN/25mmであり、実施例4のサンプルでは、常態放置後には50mN/25mmであった。
これらのことから、実施例3および4のポリカーボネート用表面保護フィルムは、それぞれ、関係式(1)及び(2)を同時に満足することが確認された。
【0068】
(3)巻締性評価
実施例1と同様にして、巻締性評価を行った。
【0069】
(4)移行性評価
実施例1と同様にして、移行性評価を行った。
【0070】
[実施例5]
1.ポリカーボネート用表面保護フィルムの作成
(1)粘着剤の調整
アクリル酸エステル共重合体(モノマー組成比(重量比):2−エチルヘキシルアクリレート:ヒドロキシエチルアクリレート=80:20、スチレン換算の数平均分子量(Mn):約70万)に、片末端がイソシアネート基であって、もう一方の末端がアクリロイル基である2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネートを、ヒドロキシエチルアクリレートの水酸基1molに対して0.8molの割合で付加(付加率80%)させた側鎖に不飽和基を有するアクリル酸エステル共重合体の酢酸エチル溶液を得た。
次いで、この溶液の固形分100重量部に対し、ヒドロキシフェニルケトン系光重合開始剤であるイルガキュア184(チバスペシャリティケミカル社製)を5重量部の割合で添加した後、十分に攪拌して光硬化性組成物を得た。
【0071】
(2)粘着剤層の作成
得られた光硬化性組成物を、剥離フィルムとして、厚さ38μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(リンテック社製SP−PET38C)を用いたほかは、実施例1と同様にして、ポリカーボネートフィルム用表面保護フィルムを得た。また、このポリカーボネート用表面保護フィルムを用いて、実施例1と同様にして、実施例5としての試験用サンプルを作成した。
【0072】
2.ポリカーボネート用表面保護フィルムの評価
(1)粘弾性測定
実施例1と同様に、ポリカーボネート用表面保護フィルムにおける粘着層のtanδ、貯蔵弾性率(E´)、および複素弾性率(E´´)をそれぞれ測定した。
【0073】
(2)180°剥離力
実施例1と同様に、常態と加熱圧促進を行った試験用サンプルのポリカーボネート積層体に対する180°剥離力を測定した。その結果、常態放置後の180°剥離力(F(CO))は、105mN/25mmであり、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、360mN/25mmであった。
また、ポリカーボネート積層体における剥離フィルムの180°剥離力(F(RL))が、常態放置後には280mN/25mmであったことから、実施例5のポリカーボネート用表面保護フィルムは、関係式(1)及び(2)を同時に満足することが確認された。
【0074】
(3)巻締性評価
実施例1と同様にして、巻締性評価を行った。
【0075】
(4)移行性評価
実施例1と同様にして、移行性評価を行った。
【0076】
[比較例1]
ポリオレフィン系基材(引張弾性率0.3GPa)に対して、エチレン−酢酸ビニル系粘着剤を塗布した厚さ約70μmの表面保護フィルム(株式会社サンエー化研製サニーテクトPAC−3)をポリカーボネート積層体に貼り合せ、試験用サンプルとした。次いで、実施例1と同様にして、試験用サンプルの180°剥離力、巻締性、および移行性評価を行った。得られた結果を表1に示す。
その結果、試験用サンプルにおける常態放置後の180°剥離力(F(CO))は、70mN/25mmであり、加熱圧促進後の180°剥離力(F(hp))は、1300mN/25mmであった。したがって、比較例1のポリカーボネート用表面保護フィルムは、関係式(1)および(2)のいずれも満足しないことが確認された。
【0077】
【表1】
Figure 2004137457
【0078】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムは、特定の引張弾性率を有するフィルム基材と、特定のガラス転移温度および180°剥離力を有する粘着剤層と、を含むことにより、ポリカーボネートフィルム(ポリカーボネート積層体)に対して容易に貼り付けおよび再剥離ができる一方、長尺物からなるロール状物において長期間保存した場合や、高温下に置いた場合であっても、剥離力の経時変化が小さいポリカーボネート用表面保護フィルムを提供することができるようになった。
また、本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムによれば、ポリカーボネート積層体に対する180°剥離力を低く抑えることにより、粘着加工されたポリカーボネート積層体における剥離フィルムに対する剥離力よりも低い値とすることができるため、粘着加工されたポリカーボネート積層体を他の被着体に対して貼り合せる前であっても、容易に剥離することができるようになった。
【0079】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のポリカーボネート用表面保護フィルムの断面図である。
【図2】本発明の別のポリカーボネート用表面保護フィルムにおける断面図である。
【図3】貯蔵弾性率の温度変化に対する(B)成分の添加量の影響を説明するために供する図である。
【図4】次世代光ディスクを説明するために供する図である。
【図5】ポリカーボネートに対する接着力と、剥離フィルムの剥離状態との関係を説明するために供する図である。
【図6】180°剥離力の経時変化を説明するために供する図である。
【図7】(a)および(b)は、レーザー顕微鏡を用いて得られる高さ情報に関する検知シグナルを説明するために供する図である。
【図8】レーザー顕微鏡を用いて得られるポリカーボネート表面の三次元画像である。
【図9】(a)および(b)は、従来の表面保護フィルムを用いた場合の剥離状態を説明するために供する図である。
【0080】
【符号の説明】
10、20、30 ポリカーボネート用表面保護フィルム
12、22 フィルム基材
14、24 粘着剤層
16 剥離フィルム
18 接着力改善層
40 ポリカーボネート積層体
50 次世代光ディスク
52 ポリカーボネート基板
54 記録層
56 接着剤層
58 光透過性保護フィルム

Claims (8)

  1. 引張弾性率が1GPa以上であるフィルム基材と、粘着剤層と、を含むポリカーボネート用表面保護フィルムであって、前記粘着剤層を構成する粘着剤のガラス転移温度を40〜90℃の範囲内の値とするとともに、ポリカーボネートに対する180°剥離力の初期値(F(CO))を10〜300mN/25mmの範囲内の値とすることを特徴とするポリカーボネート用表面保護フィルム。
  2. 前記ポリカーボネートに対する加熱圧促進後(70℃、20g/cm、7日間)の180°剥離力をF(hp)とした場合に、当該F(hp)およびF(CO)が下記関係式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載のポリカーボネート用表面保護フィルム。
    (F(hp)−F(CO))/F(CO)≦3.0     (1)
  3. 前記粘着剤の20〜40℃のいずれかの温度における貯蔵弾性率を5×10dyn/cm〜5×1010dyn/cmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1または2に記載のポリカーボネート用表面保護フィルム。
  4. 前記粘着剤が、(A)成分および(B)成分を含む硬化性組成物の三次元架橋物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネート用表面保護フィルム。
    (A)(メタ)アクリル酸エステル共重合体
    (B)光硬化成分および熱硬化成分から選ばれる少なくとも一つの硬化分
  5. 前記(B)成分が、光硬化性ポリウレタンアクリレートであることを特徴とする請求項4に記載のポリカーボネート用表面保護フィルム。
  6. 前記粘着剤が、官能基を有するモノマーを15重量%以上含有する(メタ)アクリル酸エステル共重合体の三次元架橋物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のポリカーボネード用表面保護フィルム。
  7. 前記フィルム基材と、前記粘着剤層との間に、接着力改善層を設けてあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のポリカーボネート用表面保護フィルム。
  8. 剥離フィルム上に積層された粘着剤層と、ポリカーボネートとからなるポリカーボネート積層体のポリカーボネート表面に対して貼り合せられた場合であって、当該剥離フィルムと、ポリカーボネート積層体との間の180°剥離力をF(RL)としたときに、下記関係式(2)を満足することを特徴とする請求項1〜7のいずれか一項に記載のポリカーボネート用表面保護フィルム。
    (RL)>F(CO) (2)
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