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JP2004128932A - アンテナ装置 - Google Patents

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JP2004128932A
JP2004128932A JP2002290906A JP2002290906A JP2004128932A JP 2004128932 A JP2004128932 A JP 2004128932A JP 2002290906 A JP2002290906 A JP 2002290906A JP 2002290906 A JP2002290906 A JP 2002290906A JP 2004128932 A JP2004128932 A JP 2004128932A
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Abstract

【課題】移動体通信等の無線機に使用されるダイバーシティ方式のアンテナ装置に関して、アイソレーションの取れた2つ以上の給電ポートを1つのアンテナに設けることにより、2本以上のアンテナを1本のアンテナにて実現し、小型で低コストなアンテナ装置を実現することを目的とする。
【解決手段】グランド板2に対向して設けられた電気長が概ね1/2波長の直径を有する円状の放射板1が、その周辺部に第1の給電ポート3と第2の給電ポート4を有しており、それらの給電ポート3,4は各給電ポートと放射板1の中点が直交する位置に設けられ、放射板1の各給電ポートと放射板1の中点を結ぶ直線に対して線対称となる4つのスリット6を放射板1に設け、前記各スリット6の周辺の2辺が概ね接する構造とする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として移動体通信等に使用されるアンテナ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
複数の情報通信システムが使用可能な通信モジュールを図15に示す。図15の通信モジュール100は、アンテナ101を備えたBluetoothシステム103とアンテナ102を備えたW−LANシステム104の両方のシステムが使用可能である。このような通信モジュール100で注意しなければならないのは、両システム103,104ともに同一の2.4GHz帯を使用し、両システム103,104を同時に使用する場合である。このとき、一方のシステムが送信中に他方のシステムが受信状態である場合、一方のシステムの信号が他方のシステムにおいて妨害ノイズとなりBER(Bit Error Rate:ビット誤り率)の著しい劣化を生じていた。
【0003】
なお、この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1、特許文献2が知られている。
【0004】
【特許文献1】
特許第3114582号公報
【特許文献2】
特開平2001−177330号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の構成では、2つのアンテナ101,102を物理的に離して配置する必要があるため、通信モジュール100が搭載される筐体のサイズは必然的に大きくなってしまう。また、アンテナ101,102を2本使用することにより、アンテナ搭載位置を2箇所確保する必要があるとともに、アンテナ101,102の製造コストも2倍必要となる。
【0006】
これらの課題を克服するために、本発明はこれまで2本必要であったアンテナを1つのアンテナにて実現するものであり、1つのアンテナに2つ以上の給電ポートを設け、各給電ポート間のアイソレーションが取れる構成の具現化を図ったアンテナ装置を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明のアンテナ装置は、グランド板に対向して配置した放射板と、放射板の電位零の領域に複数の給電ポートを設け、この各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線Aに対して線対称となる4つのスリットを放射板に設け、放射板の端部から放射板の中点までの任意点で直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接するように配置されたことを特徴としている。このように各スリットを配置することにより、各給電ポートにおける放射板の共振周波数が異なり各給電ポート間のアイソレーションが確保できる。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、グランド板と、このグランド板に対向して配置した放射板と、放射板上の電位零の領域に複数の給電ポートを設け、この各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線Aに対して線対称となる4つのスリットを放射板に設け、放射板の端部から放射板の中点までの任意点で直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接するアンテナ装置であり、各給電ポートにおける放射板の共振周波数を異ならせることができ、給電ポート間のアイソレーションが確保できるとともに、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ各直線に沿った線路幅がスリットにより変化でき、線路幅が広い領域ではグランド板と放射板の間の容量値を大きくすることができることより特性インピーダンスを低く設定でき、一方、線路幅が狭い領域では、グランド板と放射板の間の容量値は小さくなり、またインダクタンス値が大きくなるため、特性インピーダンスを大きく設定できる。つまり、直線A上で特性インピーダンスを変化させることができるため、SIR構造(Stepped Impedance Resonator)の共振器の原理に基づき放射板を小型化することが可能となる。
【0009】
本発明の請求項2に記載の発明は、グランド板と、このグランド板に対向して配置した放射板と、放射板上の電位零の領域に複数の給電ポートを設け、この各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線Aに対して線対称となる4つのスリットを放射板に設け、放射板の端部から放射板の中点までの任意点で直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接するとともに、放射板の中点に対して放射板の形状が点対称となるアンテナ装置であり、給電ポート間のアイソレーションが確保でき、また、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ各直線に沿った線路幅がスリットにより変化することよりSIR構造を構成することができ、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0010】
本発明の請求項3に記載の発明は、長軸および短軸のそれぞれの電気長が概ね所望の周波数の1/2波長となる楕円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね1/2波長の正多角形以外の方形状の放射板により構成された請求項1に記載のアンテナ装置であり、1つのアンテナ装置においてアイソレーションが確保された共振周波数の異なる2つの給電ポート間を具現化することができる。
【0011】
本発明の請求項4に記載の発明は、直径が電気長で概ね1/2波長の円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね1/2波長の正多角形状の放射板により構成された請求項2に記載のアンテナ装置であり、小型形状であるとともに1つのアンテナ装置において給電ポート間のアイソレーションが確保された2つの給電ポートが具現化できる。
【0012】
本発明の請求項5に記載の発明は、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の周辺部より電気長で概ね1/8波長の点でこの直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接する請求項3または請求項4に記載のアンテナ装置であり、1/4波長共振器を最も短く設計したい場合の共振器形状である共振器の中点(周辺部より1/8波長の点)において特性インピーダンスを大きく変化させた形状をアンテナ装置に適用することにより、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明の請求項6に記載の発明は、長軸および短軸のそれぞれの電気長が概ね所望周波数の{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長となる楕円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長の正多角形以外の方形状の放射板により構成された請求項1に記載のアンテナ装置であり、放射板形状を大きくすることにより、放射利得の向上を図ることができる。
【0014】
本発明の請求項7に記載の発明は、直径が電気長で概ね{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長の円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長の正多角形状の放射板により構成された請求項2に記載のアンテナ装置であり、1つのアンテナ装置において給電ポート間のアイソレーションが確保された3つの給電ポートを具現化することができる。
【0015】
本発明の請求項8に記載の発明は、請求項6または請求項7に記載の発明において、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の周辺部から電気長で概ね−1/8+2×n/4(nは0以上の整数)波長の点において直線Aと直交する直線Bと、放射板の周辺部から1/8+2×n/4(nは0以上の整数)の点において直線Aと直交する直線Cの間の領域にスリットが存在するアンテナ装置であり、1/4波長共振器を最も短く設計したい場合の共振器形状である共振器の中点(周辺部より1/8波長の点)において特性インピーダンスを大きく変化させた形状を連続的につなぎ合わせた形状をアンテナ装置に適用することにより、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0016】
本発明の請求項9に記載の発明は、放射板に第1の給電ポートおよび第2の給電ポートが設けられ、それぞれの給電ポート位置と放射板の中点とを結ぶ直線Aが相互に直交した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、第1の給電ポートに給電した場合、第1の給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線に対し、放射板の中点において直交する直線上において電位が零となり、第2の給電ポートに給電した場合も同様の現象が発生する事から、それぞれの給電ポート位置と放射板の中点とを結ぶ直線が相互に直交するように各給電ポートを設置することにより、給電ポート間のアイソレーションを確保することが可能となる。
【0017】
本発明の請求項10に記載の発明は、放射板に第1の給電ポートおよび第2の給電ポートおよび第3の給電ポートが設けられ、それぞれの給電ポート位置と放射板の中点とを結ぶ直線Aが相互に60度の角度をもって交差する請求項7に記載のアンテナ装置であり、このような給電ポートの位置関係においてのみ、放射板の周辺部に相互にアイソレーションの確保できた給電ポートを3つ設けることが可能となる。
【0018】
本発明の請求項11に記載の発明は、給電ポートを放射板の端部に設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、アンテナ装置の製造上、また基板への実装を考慮した場合においても、放射板の外周部へ給電ポートを設けた方が容易となる。
【0019】
本発明の請求項12に記載の発明は、放射板の端部の任意点と放射板の中点を結ぶ直線A上に給電ポートを設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、給電部を放射板の周辺部より内側へ設けることにより、各給電ポートの整合を取ることが可能となる。
【0020】
本発明の請求項13に記載の発明は、給電ポートがギャップを介して放射板と接続された請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、ギャップの間隔を調整することにより整合回路を使用せずにアンテナ装置の整合を取ることができ、整合回路に要するコスト、実装スペースの削減が可能となる。
【0021】
本発明の請求項14に記載の発明は、ギャップに面した部分の給電ポートと放射板の形状をインターディジタル構造とした請求項13に記載のアンテナ装置であり、ギャップに発生する容量値を大きくすることが可能となることから、インピーダンス整合の調整範囲を広げることが可能となる。
【0022】
本発明の請求項15に記載の発明は、放射板の中点に給電ポートを設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、各給電ポートを給電した場合でも放射板の中点においては常に電位が零となることより、放射板の中点に任意のインピーダンス素子を付加しても各給電ポートへの影響が無いことから、放射板の中点に新たな給電ポートを設けることが可能となる。
【0023】
本発明の請求項16に記載の発明は、放射板の中点に設けられた給電ポートにおける放射板の共振周波数がその他の給電ポートにおける共振周波数と異なるように構成した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、放射板中央部の給電ポートとその他の給電ポートの間のアイソレーション値を大きくすることができる。
【0024】
本発明の請求項17に記載の発明は、給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の端部から放射板の中点までの間で放射板とグランド板の間隔が変化し、放射板の周辺部に比べ放射板の中点の放射板とグランド板の間隔が広い請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、放射板とグランド板を共振器として考えた時に、放射板とグランド板の間隔をその途中において変更することにより共振器構造をSIR構造(Stepped Impedance Resonator)とすることができ、共振器長を短くすることが可能となるため、結果として、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0025】
本発明の請求項18に記載の発明は、給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の周辺部から電気長で概ね1/8波長の点において放射板とグランド板の間隔を広くした請求項17に記載のアンテナ装置であり、1/4波長共振器を最も短く設計したい場合の共振器形状である共振器の中点(周辺部より1/8波長の点)において特性インピーダンスを大きく変化させた形状をアンテナ装置に適用することにより、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0026】
本発明の請求項19に記載の発明は、給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の断面が凸部形状のつながりで構成され、放射板の周辺部を凸部形状の谷部とした請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね1/2波長以上の放射板を用いることにより、高い放射利得と広帯域特性を実現することができる。
【0027】
本発明の請求項20に記載の発明は、放射板の断面形状が電気長で概ね1/2波長の凸部形状のつながりで構成された請求項18に記載のアンテナ装置であり、最も小型化することが可能な短絡端から1/8波長の点で特性インピーダンスが変化するSIR構造の1/4波長の共振器を短絡端において相互につなげた1/2波長の共振器をアンテナ装置に適用したものであり、小型化を図ることができる。
【0028】
本発明の請求項21に記載の発明は、給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、グランド板の断面が凹部形状のつながりで構成され、放射板の周辺部に対向するグランド板部分が凹部形状の山部となる請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、放射板とグランド板を共振器として考えた時に、放射板とグランド板の間隔をその途中において変更することにより共振器構造をSIR構造とすることができ、共振器長を短くすることが可能となるため、結果として、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0029】
本発明の請求項22に記載の発明は、放射板の断面形状が電気長で概ね1/2波長の凹部形状のつながりで構成された請求項21に記載のアンテナ装置であり、1/4波長共振器を最も短く設計したい場合の共振器形状である共振器の中点(周辺部より1/8波長の点)において特性インピーダンスを大きく変化させた形状をアンテナ装置に適用することにより、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0030】
本発明の請求項23に記載の発明は、放射板とグランド板の間に誘電体または磁性体または誘電体と磁性体の混合体から構成される基体が充填され、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において放射板の端部と放射板の中点の間の任意点において前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値が変化し、前記直線A上における放射板の端部に近い領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値に比べて放射板の中点に近い領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値が大きい請求項3、請求項4、請求項17、請求項19、請求項21のいずれか1つに記載のアンテナ装置であり、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線上において基体の材料特性が異なるため、特性インピーダンスを変化させることができ、SIR構造の共振器の原理に基づきアンテナ装置を小型化することができる。
【0031】
本発明の請求項24に記載の発明は、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の端部より電気長で概ね1/8波長の位置でグランド板と放射板の間の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値を大きくした請求項3、請求項4、請求項17、請求項19、請求項21のいずれか1つに記載のアンテナ装置であり、最も小型化することが可能な短絡端から1/8波長の点で特性インピーダンスが変化するSIR構造の1/4波長の共振器を短絡端において相互につなげた1/2波長の共振器をアンテナ装置に適用したものであり、小型化を図ることができる。
【0032】
本発明の請求項25に記載の発明は、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の端部から電気長で概ね−1/8+2×n/4(nは0以上の整数)波長の位置から1/8+2×n/4(nは0以上の整数)までの領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値がそれ以外の領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値よりも小さくした請求項6、請求項7、請求項17、請求項19、請求項21のいずれか1つに記載のアンテナ装置であり、1/4波長共振器を最も短く設計したい場合の共振器形状である共振器の中点(端部より1/8波長の点)において特性インピーダンスを大きく変化させた形状を連続的につなぎ合わせた形状をアンテナ装置に適用することにより、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0033】
本発明の請求項26に記載の発明は、給電ポートと放射板の中点を結んだ直線Aに対して線対称となる放射板の周辺部の任意位置に任意の数のスリットを設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、スリットにより放射板の電気長を等価的に長く設計することが可能となり、結果として、アンテナ装置の小型化を実現することが可能となる。
【0034】
本発明の請求項27に記載の発明は、給電ポートを導電線路にて構成するとともに、導電線路をグランド板に対して任意の角度をもって形成した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、すべての給電ポートをグランド板に対して垂直に立ち上がった導電線路にて構成した場合に、給電ポート間において結合が発生する可能性があるため、これを防止するために各給電ポートを平行に設置せず、各給電ポート間のアイソレーションを高く設計することが可能なアンテナ装置を具現化できる。
【0035】
本発明の請求項28に記載の発明は、略円状の放射板の中点または略正多角形の放射板の対角線の交点を基準としたときの給電ポートの位置に対して対称となる位置に先端が開放状態のリアクタンス素子を付加した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、導電性エレメントによりアンテナ装置の電気長が等価的に長く設計できるため、結果として、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0036】
本発明の請求項29に記載の発明は、先端が開放状態のリアクタンス素子の先端の周辺部を切断することにより、ポート間のアイソレーションを調整した請求項28に記載のアンテナ装置であり、実装する筐体により変化するアンテナ装置の特性を先端が開放状態の導電性エレメントの長さを調節することにより調整できるため、さまざまな筐体に迅速に対応可能となる。
【0037】
本発明の請求項30に記載の発明は、リアクタンス素子の開放端をグランド板へ接続した請求項28に記載のアンテナ装置であり、先端が開放の導電性エレメントでは実現できなかったリアクタンス値をリアクタンス素子により実現できるため、アンテナ装置における各給電ポートのインピーダンス特性の調整範囲を広げることが可能となる。
【0038】
本発明の請求項31に記載の発明は、各給電ポートをダイバーシティ方式の通信に使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、ダイバーシティ方式の通信に使用されるアンテナの本数を2本から1本へ減らすことができるため、低コストで小型なダイバーシティ方式のアンテナ装置を実現することが可能となる。
【0039】
本発明の請求項32に記載の発明は、各給電ポートを異なるシステムの通信に使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、各ポート間のアイソレーションが確保されていることからアンテナ直下にシステムごとの信号を分波する共用器を用意する必要がなく、共用器に必要となるコスト、実装スペースの削減が可能となるとともに、W−LANとBluetoothを同時に使用する携帯端末に対しては、両システムが同一周波数を使用していることよりフィルタ共用器では両システム信号を分けることが不可能であるため、アンテナ自体を2つ用意し、両アンテナ間のアイソレーションを確保するために両アンテナを一定間隔離して使用する必要が出てくるが、本発明のアンテナ装置を使用すれば、1つのアンテナ装置により具現化可能となるため、アンテナに必要となるコストが低減でき、また端末の小型化を実現することもできる。
【0040】
本発明の請求項33に記載の発明は、第1の給電ポートを第1のシステムの通信に使用し、第2の給電ポートと第3の給電ポートを第2のシステムのダイバーシティ方式の通信に使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、ダイバーシティアンテナと共用器を一体化することが可能であり、携帯端末の小型化を実現することができる。
【0041】
本発明の請求項34に記載の発明は、第1の給電ポートを第1のシステムの通信に使用し、第2の給電ポートと第3の給電ポートを第2のシステムの送信用、受信用として使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置であり、システムごとの信号を分波する共用器と送信、受信信号を分波する共用器を一体化することが可能であり、マルチファンクション対応の携帯端末の小型化を実現することが可能である。
【0042】
(実施の形態1)
図1(a)および図1(b)は本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置であり、図1(a)のアンテナ装置は、グランド板2に対向して配設された放射板1の周辺部に第1の給電ポート3と第2の給電ポート4を設けた複数給電ポートを有するアンテナ装置であり、放射板1とグランド板2の間には第1の基体5を有している。そして各給電ポートの位置と放射板1の中点を結ぶ第1の直線A9および第2の直線A10上における放射板1の周辺部から1/8波長(電気長)の点で第1の直線A9および第2の直線A10に直交する第3の直線B11、第4の直線B12、第5の直線B13、第6の直線B14と2辺が概ね接するスリット6が放射板1上に設けられるとともに、スリット6の位置、形状が放射板1の中点に対して点対称な構成となっている。
【0043】
図1(a)に示した2つの給電ポート3,4を有したアンテナ装置の放射板1のサイズと各給電ポート3,4の配設位置を図1(b)に示す。放射板1の形状は直径が所望の周波数の1/2波長(電気長)となる円状であり、第1の給電ポート3および第2の給電ポート4が放射板1の周辺部に設けられる構成となっている。
【0044】
第1の給電ポート3のみに所望の周波数の信号を入力した場合、放射板1とグランド板2が第1の給電ポート3と放射板1の中点を結んだ直線A10上における周辺部の開放1/2波長の共振器として動作し、第1の共振電流7が放射板1上に流れることとなる。ここで、周辺部の開放1/2波長の共振器においては、その中点(端部より1/4波長の点)において電位が零となる。つまり、放射板1上の第1の直線A9上において常に電位が零となる。この電位零となる第1の直線A9上に第2の給電ポート4が位置するために、第1の給電ポート3より入力された所望周波数の高周波信号は第2の給電ポート4に漏れることは無い。
【0045】
これと同様の原理で、第2の給電ポート4のみに所望の周波数の信号を入力した場合、第2の共振電流8が放射板1上に流れ放射板1上の第2の直線A10上において常に電位が零となるため、この第2の直線A10上に位置する第1の給電ポート3へは第2の給電ポート4から入力された所望周波数の信号は漏れることは無いと言える。上記のような特性を実現するため、第1の給電ポート3と放射板1の中点を結ぶ第2の直線A10と第2の給電ポート4と放射板1の中点を結ぶ第1の直線A9は、放射板1の中点において直交するように各給電ポート位置は決められている。
【0046】
また、スリット6が設けられることにより、第1の直線A9の線路幅が第1の線幅15から第2の線幅16のように変更されるため、放射板1とグランド板2を共振器として考えた時に、線路幅の広い第1の線幅15が存在する領域の特性インピーダンスは低くなり、線路幅の狭い第2の線幅16の存在する領域の特性インピーダンスは高くなる。このように放射板1とグランド板2の間の特性インピーダンスをその途中において変更することによりSIR構造(Stepped Impedance Resonator)とすることができ、共振器長を短くすることが可能となるため、結果として、アンテナ装置の小型化を図ることが可能となる。
【0047】
本実施の形態1においては、放射板1の周辺部から1/8波長の点で線路幅が変更される構成となっているが、これは、共振器の特性インピーダンスをその端部より1/8波長の点で変更した場合が最も共振器を小型化できるためである。
【0048】
(実施の形態2)
図2(a)および図2(b)は本発明の第2の実施の形態によるアンテナ装置であり、図2(a)および(b)のアンテナ装置は、実施の形態1の第1の直線A9の長さを第2の直線A10の長さと異ならせたものである。併せて、第1の直線A9、第2の直線A10上において放射板1の周辺部から各電気長(λ1およびλ2)で1/8波長の点で直交する各直線Aにより形成される境界線18において、放射板1とグランド板2の間の基体が第1の基体5から第2の基体17へ変更される。ここで、第1の基体5の比透磁率を比誘電率で割った値が第2の基体17の比透磁率を比誘電率で割った値よりも小さくなるように、各基体5,17が選択されている。
【0049】
放射板1の形状を楕円形とすることにより第1の給電ポート3と第2の給電ポート4の共振周波数を異ならせることが可能となる。このアンテナ装置の使用例としては、第1の給電ポート3をGSMシステムの送信用として、また第2の給電ポート4を受信用として用いることができ、両給電ポート3,4間のアイソレーションがアンテナ装置自体で確保されているため、アンテナ装置の直下に共用器を配置する必要が無くなる。また、2つのシステムに対応したアンテナ装置としても使用できるため、例えば、第1の給電ポート3をW−LAN用として、また第2の給電ポート4をBluetooth用として用いることが可能となる。
【0050】
(実施の形態3)
図3(a)、(b)は本発明の第3の実施の形態によるアンテナ装置であり、放射板1の形状を示したものである。図3(a)、(b)は放射板1の形状を円形状から正方形状へ変更したものであり、図3(a)は放射板1の角に第1の給電ポート3および第2の給電ポート4を設けた場合の放射板1の形状を示しており、図3(b)は放射板1の各端辺の中点に各給電ポート3,4を設けた場合の放射板1の形状を示している。
【0051】
(実施の形態4)
図4(a)、(b)は本発明の第4の実施の形態によるアンテナ装置であり、放射板1の形状を示したものである。図4(a)、(b)は放射板1の形状を楕円形状から長方形状へ変更したものであり、図4(a)は放射板1の角に第1の給電ポート3および第2の給電ポート4を設けた場合の放射板1の形状を示しており、図4(b)は放射板1の各端辺の中点に各給電ポート3,4を設けた場合の放射板形状を示している。
【0052】
(実施の形態5)
図5(a)、図5(b)は本発明の第5の実施の形態によるアンテナ装置であり、図5(a)の放射板1の斜視図において、グランド板2に対向して配設された放射板1の周辺部に第1の給電ポート3と第2の給電ポート4と第3の給電ポート19を設けた複数の給電ポートを有するアンテナ装置となっている。放射板1とグランド板2の間には、第1の基体5、第2の基体17、第3の基体20が充填されており、第1の基体5と第2の基体17の境界は放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の位置に存在し、第2の基体17と第3の基体20の境界は放射板1の周辺部から電気長で3/8波長の位置に存在している。
【0053】
ここで、第1の基体5の比透磁率を比誘電率で割った値は第2の基体17の比透磁率を比誘電率で割った値よりも小さく、第2の基体17の比透磁率を比誘電率で割った値は第3の基体20の比透磁率を比誘電率で割った値よりも大きくなるように各基体5,17,20の材料は選定されている。図5(a)に示した3つの給電ポート3,4,19を有したアンテナ装置の放射板1のサイズと各給電ポート3,4,19の配設位置を図5(b)に示す。放射板1の形状は直径が所望の周波数の1波長(電気長)となる円状であり、各給電ポート3,4,19と放射板1の中点を結ぶ直線Aが放射板1の中点において互いに60度の角度を持って交差するような位置に各給電ポート3,4,19が配置されたアンテナ構成となっている。
【0054】
放射板1にはその中点に対して点対称となるように6つのスリット6が設けられている。このスリット6の周辺部のうち2辺は各給電ポート3,4,19と放射板1の中点を結ぶ直線A上において放射板1の周辺部より電気長で1/8波長の点で直交する各直線に接し、スリット6の1つの頂点は各給電ポート3,4,19と放射板1の中点を結ぶ直線A上において放射板1の周辺部より電気長で3/8波長の点で直交する各直線に接するように形成されている。
【0055】
第1の給電ポート3のみに所望の周波数の信号を入力した場合、放射板1とグランド板2が第1の給電ポート3と放射板1の中点を結んだ直線A上における周辺部の開放の1波長の共振器として動作し、第1の共振電流7が放射板1上を流れることとなる。周辺部の開放の1波長の共振器の動作は、周辺部の開放の1/2波長の共振器を2つ接続したものとして考えればよいため、第1の給電ポート3と放射板1の中点を結ぶ直線Aに対して、放射板1の周辺部から1/4波長の位置において直交する第7の直線21(太点線)上において電位が常にほぼ零となる。同様の原理で、第2の給電ポート4のみに所望の周波数の信号を入力した場合、第3の給電ポート19のみに所望の周波数の信号を入力した場合においても第7の直線21上において電位が常にほぼ零となる。それぞれの各給電ポート3,4,19の位置が電位零となる第7の直線21の交点上にあるため、他の給電ポートの入力信号が漏れ込むことはない。
【0056】
第1の給電ポート3に所望の周波数の信号を入力した場合、放射板1上の第1の給電ポート3と放射板1の中点を結ぶ直線A方向に第1の共振電流7が流れる。この直線Aの線路幅は各スリット6により第1の給電ポート3の位置から電気長で1/8波長の位置と3/8波長の位置の間で狭くなる。これにより、この領域の特性インピーダンスを他領域の特性インピーダンスよりも大きくすることが可能となる。また、放射板1とグランド板2の間の基体5の比透磁率を比誘電率で割った値についても、放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の位置と3/8の位置の間の領域の値が他の領域の値よりも大きくなるように構成されていることより、当該領域の特性インピーダンスを他領域の特性インピーダンスよりも大きくすることができる。同様に第2の給電ポート4、第3の給電ポート19に所望の周波数の信号を入力した場合も各給電ポートと放射板1の中点を結ぶ直線方向に第2の共振電流8、第3の共振電流22が流れる。これにより、最も小型化することが可能である先端より1/8波長の点で特性インピーダンスが変化されたSIR構造の1/4共振器を連結した構成となるため、結果として、アンテナ装置を小型化することが可能となる。
【0057】
本発明のアンテナ装置の使用例としては、3つの給電ポートをすべてW−LANの偏波ダイバーシティアンテナとして用いることもできるし、第1の給電ポート3をW−LAN用のアンテナとし、第2の給電ポート4と第3の給電ポート19をBluetooth用の偏波ダイバーシティアンテナとして使用することができ、3本必要であったアンテナ装置を1本にて具現化することができることより、アンテナ装置に関わるコストの低減を図ることができるとともに通信機器の小型化を図ることが可能となる。
【0058】
(実施の形態6)
図6は本発明の第6の実施の形態によるアンテナ装置であり、実施の形態5のアンテナ装置における放射板1の形状を円状から正六角形状へ変更した場合を示しているが、円状および正六角形状の放射板ともに、放射板1の中点に対して点対称であるため、どちらのアンテナ装置も同様の動作をする。
【0059】
尚、第1と第2の基体の境界線18および第2と第3の基体の境界線23は、本実施の形態6では正六角形状であるが、各給電ポートと放射板1の中点を結ぶ各直線A上において放射板1の周辺部より電気長で1/8波長の点と接し、放射板1の中点に対して点対称の形状であれば如何なるものでもよいことは言うまでもない。また、本実施の形態6においては円状、正六角形状の放射板1にて説明を行ったが、放射板1の中点に対して点対称となる形状を有する放射板1であれば、本発明と同様な効果が得られることは言うまでもない。
【0060】
(実施の形態7)
図7(a)および図7(b)は本発明の第7の実施の形態によるアンテナ装置であり、実施の形態1のアンテナ装置における各給電ポート3,4と放射板1の接続部分の形状を変更し、放射板1の中央部に第4の給電ポート26を付加したものである。第1の給電ポート3と放射板1の間にギャップ24を設け、当該ギャップ24の間隔、幅を調整することにより第1の給電ポート3と放射板1のインピーダンス整合を取ることが可能となる。また、第2の給電ポート4と放射板1の間をインターディジタル構造25とすることにより、第2の給電ポート4と放射板1の間の容量値を大きく設定することが可能となり、第2の給電ポート4のインピーダンス調整の範囲を広げることができる。
【0061】
第4の給電ポート26は放射板1の中点に配設される。これは、放射板1の中点が、第1の給電ポート3および第2の給電ポート4に給電したときにおいても常に電位が零となるためである。なぜなら、第1の給電ポート3のみに所望の周波数の信号を供給したときに放射板1上に発生する電位が常に零となる第1の直線A9と、第2の給電ポート4のみに所望の周波数の信号を供給したときに放射板1上に発生する電位が常に零となる第2の直線A10が交差する点が放射板1の中点となるためである。
【0062】
通常、第4の給電ポート26の直下には放射板1との整合を取るための整合回路が必要となるため、放射板1とグランド板2の間に充填されている基体5を積層構造とし、この整合回路を基体5により具現化しても良い。
【0063】
また、第4の給電ポート26で使用する周波数は第1の給電ポート3および第2の給電ポート4で使用する周波数と異ならせた方が、それらの給電ポートとの間のアイソレーション値を大きくすることが可能となる。
【0064】
このような本アンテナ装置の特性を考慮した上で、本アンテナ装置の使用例としては、第1の給電ポート3と第2の給電ポート4をW−LANの偏波ダイバーシティアンテナとして、第4の給電ポート26をテレビ、GPS、PDC等の2.4GHz帯以外の周波数を用いるシステム用のアンテナとして使用する場合が考えられる。
【0065】
(実施の形態8)
図8(a)および図8(b)は本発明の第8の実施の形態によるアンテナ装置であり、図8(a)において、対角線の電気長が概ね1/2波長である正四角形状の放射板1がグランド板2に対向して存在し、放射板1とグランド板2の間には第1の基体5と第2の基体17が充填されている。第1の基体5と第2の基体17の境界線18は放射板1の周辺部から放射板1の中点へ向けて電気長で1/8波長内側へ入った所に存在し、第1の基体5の比透磁率を比誘電率で割った値は第2の基体17の比透磁率を比誘電率で割った値よりも小さくなるように基材の選択がされている。
【0066】
放射板1にはその中点に対して点対称となる4つのスリット6が形成されており、当該スリット6の外周の2辺は各給電ポートと放射板1の中点を結ぶ直線A上における放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の位置で直交する各直線に接している。第1の給電ポート3および第2の給電ポート4は放射板1の周辺部ではなく放射板1の内側に存在し、各給電ポート3,4と放射板1の中点を結ぶ第1の直線A9および第2の直線A10が放射板1の中点において直交するように配置される。このように、各給電ポート3,4を第1の直線A9または第2の直線A10上の任意位置に配設することにより、整合回路を用いることなく各給電ポート3,4のインピーダンス整合をとることができる。
【0067】
また、第1の直線A9および第2の直線A10に対して放射板1の形状が線対称となるように、放射板1の周辺部に切り欠き27を設けることにより、アンテナ装置の共振周波数を下げることができ、結果としてアンテナ装置を小型化することが可能となる。
【0068】
本実施の形態8においては、四角形状の放射板1の周辺部に切り欠き27を設けた場合を示したが、円状、正多角形状、方形状の放射板の場合にも同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0069】
(実施の形態9)
図9(a)、図9(b)は本発明の第9の実施の形態によるアンテナ装置であり、同図9において、誘電体または磁性体または誘電体と磁性体の混合材料からなる円筒状の第2の基体17(直径が電気長で1/4波長)の周囲に第2の基体17と成分の異なるドーナツ状(直径が電気長で1/2波長)の第1の基体5が配置され、第1の基体5の上面部分および第1の基体5の上面より上方の第2の基体17の表面部分に放射板1を形成し、第1の給電ポート3と第2の給電ポート4が放射板1の周辺部に接続されるとともに、各給電ポート3,4と放射板1の中点を結ぶ直線Aが直交するような位置に各給電ポート3,4が接続されている。
【0070】
放射板1にはその中点に対して点対称となる4つのスリット6が形成されており、当該スリット6の外周の2辺は各給電ポート3,4と放射板1の中点を結ぶ直線A上における放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の位置で直交する各直線Bに接している。また、第1の基体5の比透磁率を比誘電率で割った値は第2の基体17の比透磁率を比誘電率で割った値よりも小さくなるように基材が選択されている。
【0071】
これにより第2の基体17が充填されている領域の放射板1とグランド板2の間の特性インピーダンスは第1の基体5が充填されている領域よりも大きな特性インピーダンスを実現できる。更に、第2の基体17が存在する領域における放射板1とグランド板2の間隔は第1の基体5が存在する領域における放射板1とグランド板2の間隔よりも広いため、構造的にも第2の基体17が充填されている領域の特性インピーダンスを大きく設計することができる。
【0072】
また、放射板1にスリット6を形成することにより、実施の形態1の場合と同様の効果が得られるため、各給電ポート3,4と放射板1の中点を結ぶ直線A上において放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の位置までの領域の特性インピーダンスを他領域の特性インピーダンスより小さくすることができる。
【0073】
このようなアンテナ構造を有することにより、放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の点において材料、構造、放射板形状により特性インピーダンスを大きく変化させることができるため、SIR構造を具現化でき、アンテナ装置を小型化することができる。
【0074】
(実施の形態10)
図10(a)、図10(b)は本発明の第10の実施の形態によるアンテナ装置であり、実施の形態9における放射板1の外形の形状を円状から正四角形状へ変更したものである。これに従い、第2の基体17の形状についても1辺が電気長で1/4波長の底面を有する正四角柱となっている。また、スリット6の形状は各給電ポート3,4と放射板1の中点を結ぶ直線A上において、放射板1の周辺部から電気長で1/8波長の位置で直交する各直線に概ね接するように構成されているが、特性上、実施の形態9の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。放射板1の外形の形状が円状、正四角形状ともに各給電ポート3,4と第2の基体17の上面の中心点を結ぶ直線Aに対して線対称であるため、どちらも同様の特性を有する。
【0075】
(実施の形態11)
図11は本発明の第11の実施の形態によるアンテナ装置であり、実施の形態9のアンテナ装置における第1の給電ポート3と第2の基体17の上面の中点を結ぶ直線Aと第2の給電ポート4と第2の基体17の上面の中点を結ぶ直線Aの長さを異ならせたアンテナ装置である。このような構成により、第1の給電ポート3と第2の給電ポート4の共振周波数が異なる小型なアンテナ装置を実現することが可能となる。
【0076】
(実施の形態12)
図12(a)、図12(b)は本発明の第12の実施の形態によるアンテナ装置であり、図12(a)は図5(a)のアンテナ装置について、実施の形態9と同様に第2の基体17が充填されている領域における放射板1とグランド板2の間隔を広げたものである。このような構成によって、特性インピーダンスの変化をより大きくすることが可能となるため、小型なアンテナ装置を実現することができる。
【0077】
また、図12(b)は図12(a)のアンテナ装置における各給電ポート3,4をグランド板2に対して直角に立ち上げず、任意の角度をもって形成したものである。このような構成を取ることにより、給電ポート3,4間の電磁結合を弱くすることが可能となり、給電ポート3,4間のアイソレーション値を高く設計することが可能となる。
【0078】
(実施の形態13)
図13(a)、図13(b)は本発明の第13の実施の形態によるアンテナ装置であり、実施の形態1に示したアンテナ装置において、第1の給電ポート3の位置の放射板1の中点に対して点対称となる放射板1の周辺部に第1のリアクタンス素子28の一方の先端を電気的に接続し、第2の給電ポート4の位置の放射板1の中点に対して点対称となる放射板1の周辺部に第2のリアクタンス素子29を電気的に接続したものである。
【0079】
これらのリアクタンス素子28,29により各給電ポート3,4に給電した場合の電気長を長くできることより、アンテナ装置の小型化を図ることが可能であり、また各リアクタンス素子28,29の形状を研摩して調整することにより、アンテナ装置のインピーダンスの調整を行うこともできる。また、リアクタンス素子28,29の放射板1に接続されていない他方の先端をグランド板2に接続しても同様の効果が得られることは言うまでもない。
【0080】
(実施の形態14)
図14(a)と図14(b)は本発明の第14の実施の形態によるアンテナ装置であり、実施の形態9においては放射板1を凸形状の断面とすることにより放射板1とグランド板2の間の距離を広げたのに対して、本実施の形態14ではグランド板2を凹形状の断面とすることにより放射板1とグランド板2の間の距離を広げたものである。どちらの構成を用いたとしても、SIR構造を実現することが可能であるため、実施の形態8と同様にアンテナ装置を小型化できる効果を有する。
【0081】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、1つのアンテナにアイソレーションの確保された2つ以上の給電ポートを設けることが可能となるとともに、このようなアンテナ装置の小型化を実現することも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
(a)本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第1の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図2】
(a)本発明の第2の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第2の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図3】
(a)本発明の第3の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
(b)本発明の第3の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図4】
(a)本発明の第4の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
(b)本発明の第4の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図5】
(a)本発明の第5の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第5の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図6】
本発明の第6の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図7】
(a)本発明の第7の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第7の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図8】
(a)本発明の第8の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第8の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図9】
(a)本発明の第9の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第9の実施の形態によるアンテナ装置の側面図
【図10】
(a)本発明の第10の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第10の実施の形態によるアンテナ装置の側面図
【図11】本発明の第11の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
【図12】(a)本発明の第12の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第12の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
【図13】(a)本発明の第13の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第13の実施の形態によるアンテナ装置の上面図
【図14】(a)本発明の第14の実施の形態によるアンテナ装置の斜視図
(b)本発明の第14の実施の形態によるアンテナ装置の側面図
【図15】従来のアンテナ装置の概要図
【符号の説明】
1 放射板
2 グランド板
3 第1の給電ポート
4 第2の給電ポート
5 第1の基体
6 スリット
7 第1の共振電流
8 第2の共振電流
9 第1の直線A
10 第2の直線A
11 第3の直線B
12 第4の直線B
13 第5の直線B
14 第6の直線B
15 第1の線幅
16 第2の線幅
17 第2の基体
18 第1の基体と第2の基体の境界線
19 第3の給電ポート
20 第3の基体
21 第7の直線
22 第3の共振電流
23 第2の基体と第3の基体の境界線
24 ギャップ
25 インターディジタル構造
26 第4の給電ポート
27 切り欠き
28 第1のリアクタンス素子
29 第2のリアクタンス素子

Claims (34)

  1. グランド板と、このグランド板に対向して配置した放射板と、放射板上の電位零の領域に複数の給電ポートを設け、この各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線Aに対して線対称となる4つのスリットを放射板に設け、放射板の端部から放射板の中点までの任意点で直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接するアンテナ装置。
  2. グランド板と、このグランド板に対向して配置した放射板と、放射板上の電位零の領域に複数の給電ポートを設け、この各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線Aに対して線対称となる4つのスリットを放射板に設け、放射板の端部から放射板の中点までの任意点で直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接するとともに、放射板の中点に対して放射板の形状が点対称となるアンテナ装置。
  3. 長軸および短軸のそれぞれの電気長が概ね所望の周波数の1/2波長となる楕円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね1/2波長の正多角形以外の方形状の放射板により構成された請求項1に記載のアンテナ装置。
  4. 直径が電気長で概ね1/2波長の円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね1/2波長の正多角形状の放射板により構成された請求項2に記載のアンテナ装置。
  5. 各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の周辺部より電気長で概ね1/8波長の点でこの直線Aと直交する直線Bと前記各スリットの2辺が概ね接する請求項3または請求項4に記載のアンテナ装置。
  6. 長軸および短軸のそれぞれの電気長が概ね所望周波数の{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長となる楕円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長の正多角形以外の方形状の放射板により構成された請求項1に記載のアンテナ装置。
  7. 直径が電気長で概ね{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長の円形状の放射板または各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上における一方の放射板の周辺部から他方の放射板の周辺部までの電気長が概ね{1+0.5×n(nは0以上の整数)}波長の正多角形状の放射板により構成された請求項2に記載のアンテナ装置。
  8. 各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の周辺部から電気長で概ね−1/8+2×n/4(nは0以上の整数)波長の点においてこの直線Aと直交する直線Bと、放射板の周辺部から1/8+2×n/4(nは0以上の整数)の点においてこの直線Aと直交する直線Cの間の領域にスリットが存在する請求項6または請求項7に記載のアンテナ装置。
  9. 放射板に第1の給電ポートおよび第2の給電ポートが設けられ、それぞれの給電ポート位置と放射板の中点とを結ぶ直線Aが相互に直交した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  10. 放射板に第1の給電ポートおよび第2の給電ポートおよび第3の給電ポートが設けられ、それぞれの給電ポート位置と放射板の中点とを結ぶ直線Aが相互に60度の角度をもって交差する請求項7に記載のアンテナ装置。
  11. 給電ポートを放射板の端部に設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  12. 放射板の端部の任意点と放射板の中点を結ぶ直線A上に給電ポートを設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  13. 給電ポートがギャップを介して放射板と接続された請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  14. ギャップに面した部分の給電ポートと放射板の形状をインターディジタル構造とした請求項13に記載のアンテナ装置。
  15. 放射板の中点に給電ポートを設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  16. 放射板の中点に設けられた給電ポートにおける放射板の共振周波数がその他の給電ポートにおける共振周波数と異なるように構成した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  17. 給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の端部から放射板の中点までの間で放射板とグランド板の間隔が変化し、放射板の周辺部に比べ放射板の中点の放射板とグランド板の間隔が広い請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  18. 給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の周辺部から電気長で概ね1/8波長の点において放射板とグランド板の間隔を広くした請求項17に記載のアンテナ装置。
  19. 給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の断面が凸部形状のつながりで構成され、放射板の周辺部を凸部形状の谷部とした請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  20. 放射板の断面形状が電気長で概ね1/2波長の凸部形状のつながりで構成された請求項18に記載のアンテナ装置。
  21. 給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、グランド板の断面が凹部形状のつながりで構成され、放射板の周辺部に対向するグランド板部分が凹部形状の山部となる請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  22. 放射板の断面形状が電気長で概ね1/2波長の凹部形状のつながりで構成された請求項21に記載のアンテナ装置。
  23. 放射板とグランド板の間に誘電体または磁性体または誘電体と磁性体の混合体から構成される基体が充填され、各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において放射板の端部と放射板の中点の間の任意点において前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値が変化し、前記直線A上における放射板の端部に近い領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値に比べて放射板の中点に近い領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値が大きい請求項3、請求項4、請求項17、請求項19、請求項21のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  24. 各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の端部より電気長で概ね1/8波長の位置でグランド板と放射板の間の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値を大きくした請求項3、請求項4、請求項17、請求項19、請求項21のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  25. 各給電ポートと放射板の中点を結ぶ直線A上において、放射板の端部から電気長で概ね−1/8+2×n/4(nは0以上の整数)波長の位置から1/8+2×n/4(nは0以上の整数)までの領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値がそれ以外の領域の前記基体の比透磁率を比誘電率で割った値よりも小さくした請求項6、請求項7、請求項17、請求項19、請求項21のいずれか1つに記載のアンテナ装置。
  26. 給電ポートと放射板の中点を結んだ直線Aに対して線対称となる放射板の周辺部の任意位置に任意の数のスリットを設けた請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  27. 給電ポートを導電線路にて構成するとともに、導電線路をグランド板に対して任意の角度をもって形成した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  28. 略円状の放射板の中点または略正多角形の放射板の対角線の交点を基準としたときの給電ポートの位置に対して対称となる位置に先端が開放状態のリアクタンス素子を付加した請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  29. 先端が開放状態のリアクタンス素子の先端の周辺部を切断することにより、ポート間のアイソレーションを調整した請求項28に記載のアンテナ装置。
  30. リアクタンス素子の開放端をグランド板へ接続した請求項28に記載のアンテナ装置。
  31. 各給電ポートをダイバーシティ方式の通信に使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  32. 各給電ポートを異なるシステムの通信に使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  33. 第1の給電ポートを第1のシステムの通信に使用し、第2の給電ポートと第3の給電ポートを第2のシステムのダイバーシティ方式の通信に使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
  34. 第1の給電ポートを第1のシステムの通信に使用し、第2の給電ポートと第3の給電ポートを第2のシステムの送信用、受信用として使用する請求項1または請求項2に記載のアンテナ装置。
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