JP2004100264A - Alcパネル及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】例えば建物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネル及びその製造方法に係り、パネル表面の加工の自由度が高く、かつ経済的で自然調の表面テクスチャを有するALCパネル及びその表面加工方法を提供する。
【解決手段】本発明によるALCパネルは、パネル1の表面に切削加工による凹凸部2aを有し、その凹凸部2aの少なくとも一部を含めてパネル表面に粗面3を形成したことを特徴とする。また本発明によるALCパネルの表面加工方法は、パネル1の表面に切削加工による凹凸部2aを形成した後、その凹凸部2aの少なくとも一部を含むようにしてパネル表面に粗面加工を施したことを特徴とする。
【選択図】 図1
【解決手段】本発明によるALCパネルは、パネル1の表面に切削加工による凹凸部2aを有し、その凹凸部2aの少なくとも一部を含めてパネル表面に粗面3を形成したことを特徴とする。また本発明によるALCパネルの表面加工方法は、パネル1の表面に切削加工による凹凸部2aを形成した後、その凹凸部2aの少なくとも一部を含むようにしてパネル表面に粗面加工を施したことを特徴とする。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れており、特に建築物の外壁材、間仕切材として広く使用されている。しかしながら、ALCパネルは、一般に原料スラリーを型枠内で半硬化させたのち脱型し、ピアノ線などでパネル状に切断する製法が用いられているため、得られるパネル表面は平滑で、意匠性に乏しいという問題があった。また、近年意匠性に優れるパネルの要求が高まっており、パネル表面に模様を付けるさまざまな方法が提案されている。
【0003】
すなわち、ALCパネル表面に模様を付ける方法として従来たとえば以下のようなものが提案されている。
(1)型枠内に軽量気泡モルタルを打設し、該モルタルの上面に模様付きゴム型、シートを被せ、この上面をローラで転圧し模様を形成する方法(特許文献1参照)。
(2)模様付きの型枠内に軽量気泡モルタルを打設し、模様を形成する方法(特許文献2参照)。
(3)半硬化状の気泡性モルタルブロックをパネル状に切断後、凹凸模様を有する型をパネル面に押し当てて模様を形成する方法(特許文献3参照)。
(4)オートクレーブ養生済みのALCパネルの表面を回転する刃物で切削し、凹凸模様をつける方法(特許文献4参照)。
(5)エンペラーユニットを使用して小鋼球のような投射材をパネル表面に衝突させて凹部を形成する方法(特許文献5参照)。
(6)ALCの表面に加工された凹溝条の縁部に剥離用工具で衝撃を与え、剥離帯を形成する方法(特許文献6参照)。
【0004】
ところが、上記(1)の方法は、色々な模様を形成するために、その模様に合わせた型が必要であり、模様ごとに型を作成するのは不経済である。また(2)の方法は上記と同様の理由とともに原料が型枠に付着し、その清掃に手間が掛かる。(3)の方法も(1)と(2)と同様の不具合がある。さらに上記(4)の方法はALCパネルの加工において通常用いられる方法であるが、得られる意匠が機械的に画一的なものに限定される。(5)の方法は、使用する小鋼球等の投射材の回収、およびALCパネルの気泡内に残った小鋼球の除去作業が面倒である等の問題がある。また(6)の方法においては、凹溝条から剥離帯を形成することから、凹溝条周辺に加工が限定され、広い面積での加工が難しい上に、パネルの一部を割る方法であるため、加工形状が一定とならず、外観上部分的にムラが生じてしまう等の問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−27368号公報
【特許文献2】
特開平8−174525号公報
【特許文献3】
特公平5−34121号公報
【特許文献4】
特開昭58−160106号公報
【特許文献5】
特開昭63−25284号公報
【特許文献6】
特開平11−148198号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、パネル表面の加工の自由度が高く、かつ経済的で自然調の表面テクスチャを有するALCパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALCパネルおよびその製造方法は、以下の構成としたものである。すなわち、本発明によるALCパネルは、パネル表面に切削加工による凹凸部を有し、その凹凸部の少なくとも一部を含めてパネル表面に粗面を形成したことを特徴とする。
【0008】
また本発明によるALCパネルの製造方法は、パネル表面に切削加工による凹凸部を形成した後、その凹凸部の少なくとも一部を含むようにしてパネル表面に粗面加工を施したことを特徴とする。
【0009】
なお、本発明で言うALCパネルとは、例えば次のような製造方法によって得られるものをいう。すなわち、石灰質原料、珪酸質原料に水、発泡剤を加えられたモルタルスラリーを、補強用の鉄筋が多数組み込み配置された型枠内に注入して成形し、その成形された気泡を含む大きなブロック状の硬化途中の半可塑性体をピアノ線等を用いて切断し、オートクレープ養生したものである。このALCパネルは、上記のような方法で得られ気泡を含むものであればどのような形状のものもでもよく、建築物の外壁、床、屋根、間仕切材として使用されるフラットパネルや、外壁などの隅部に使用されるL字型などのコーナーパネル等その他適宜である。
【0010】
本発明によるALCパネルの製造方法は、回転刃を用いた切削加工と、その切削面を荒らす加工方法を組み合わせて行うことを特徴とする。その回転刃を用いた切削加工は、特にその方法を限定しないが、ルーター軸、ギャング軸などの形状のものに、超硬ないしダイヤモンドのチップを取り付けた刃物を回転させ加工を行う方法が一般的に使用可能である。その刃物を含む部分を3次元方向の移動をさせることにより、ALCパネル表面を溝や穴状、ないし層状に加工を行う。その際、加工する深さは求める加工形状により変化させ、同一パネル表面において数種類の深さを持たせるようにするのが望ましい。
【0011】
また加工を行う際は、目的とする表面形状を考慮し、加工刃物の種類や加工深さを適宜決定する。一般にALC表面を大柄に見せたい場合には、ルーター軸に小径の刃物を取りつけ、加工深さを数段確保しながら層状に加工を行う。また細かい柄に見せたい場合は、ルーター軸等に刃物を取付け、上下移動させながらパネル表面を移動させ、パネル表面に様々な大きさや深さの穴加工等を行う。この場合、穴加工を行うだけでなく、パネル表面を波状に切削加工を行うようにしてもよい。
【0012】
次に、上記のような切削加工を行ったALCパネル表面を、引掻く、叩く等の方法で荒らす加工(粗面加工)を施すことによって、刃物による鋭利な切削面をなだらかにし、かつ自然調の表面テクスチャを得ることができる。なお引掻く方法としては、引掻き刃物を用い、それをパネル表面に例えば90〜60度程度の角度であてがい、刃物ないしパネルを移動させることによりパネル表面に引掻き模様を得る。叩く方法としては、例えば打撃式粗面加工具を用いるもので、具体的には例えば針状の複数本の線材を束ねた加工用具を上下動させてパネル表面を打撃するか、あるいは回転体の周囲に複数個のループ状のベルトを取付け、その各ベルトの先端に取付けたボタン状の金属小片を、上記回転体の回転に伴ってパネル表面に叩き付けることにより、打滅面を形成する方法などがある。また効率は必ずしもよくないが、前記従来例のようにエンペラーユニットにより小鋼球などの粒体をパネル表面に吹き付けるショットブラスト等を用いてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるALCパネル及びその製造方法を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0014】
図1は本発明によるALCパネルの一実施形態を示すもので、本例はパネル1の表面に、切削加工による凹凸部として高さの異なる層状の凹凸面2aを形成すると共に、それらの凹凸面2aを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成したものである。図中、4aはパネル表面の周縁部に形成した面取り部、4bはパネル表面に縦横に形成した切削溝である。
【0015】
上記の凹凸面2aは、ルータービット等の切削加工具で形成するもので、そのパネル厚さ方向の高さは図2に示すようにパネルの厚さ方向に3種以上すなわち3段階以上に形成するとよく、各段の高さ寸法は1〜4mm程度に形成すればよい。また打滅面よりなる粗面3の形成手段や打滅面の性状等は適宜であるが、例えば1〜数mm程度の微細な凹凸がパネル表面の略全面に形成されるようにすればよい。
【0016】
上記のようにパネル1の表面に切削加工によって形成した凹凸面2aと、その凹凸面2aを含むパネル表面に形成した打滅面よりなる粗面3とによって、自然石を模した砂岩調の表面テクスチャを呈するALCパネルが得られるもので、特に人工的な切削面である凹凸面2aが粗面3によって荒らされることによって自然調の風合いを簡便に醸し出すことができる。
【0017】
上記のようなALCパネルを製造するには、予め所定の大きさ形状に形成したパネル1の表面に、先ず図3(a)に示すようにルータービット5等の切削加工具のにより高さの異なる層状の凹凸面2aを形成した後、同図(b)のように粗面加工用の加工具6等により凹凸面2aの表面に粗面3を形成すればよい。
【0018】
上記のルータービット5は、図の場合は、回転軸5aの下端に、表面に超硬またはダイヤモンド等のチップを有するビット5bを設けた構成であり、そのビット5bを図3(a)のように回転させた状態でルータービット5またはパネル1を水平方向すなわちパネル表面と平行な方向に相対移動させると共に、ビット5bのパネル1に対する高さを異ならせることによって図のような凹凸面2aを容易に形成することができる。なお図の場合は回転軸5aの下端に円柱状のビット5bを有するルータービット5を用いたが、図4(a)および(b)のように逆円錐台形のビット5bを有するルータービット5を用いることもできる。
【0019】
また粗面加工用の加工具6は、図の場合は、筒状の支持体6a内に、複数本の針状の線材6bを所定の間隔をおいて束ねた状態で取付け支持させてなる打撃式の粗面加工具を用いたもので、その加工具6を図3(b)のように上下動させ、線材6bでパネル表面を打撃することによってパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成する構成である。上記線材6bの間隔や先端形状を適宜変更すれば所望の粗さの粗面を形成することができる。
【0020】
上記のようにパネル表面に切削加工によって凹凸面2aを形成した後、その凹凸面2aを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成することによって、人工的な切削面である凹凸面2aが、打滅面よりなる粗面3で荒らされて自然石を模した砂岩調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易・安価にに製造することが可能となるものである。
【0021】
図5は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示すもので、本例はパネル1の表面に、切削加工による凹凸部として深さの異なる小凹部2bを形成すると共に、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成したものである。
【0022】
上記小凹部2bは、本実施形態においては、図6に示すように正面円形のものと、長径方向の長さの異なる複数種類の正面楕円形のものとを、パネル表面の略全面にランダムに配設した構成であり、また粗面3は図の場合は断面V字形の細い線状の引っ掻き痕3aをパネルの幅方向(図5(a)において左右方向)に所定の間隔をおいて形成したものである。
【0023】
上記のようにパネル1の表面に切削加工によって小凹部2bを形成し、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成することによって、人工的な切削面である小凹部2bが粗面3によって荒らされて自然石を模した積石調の表面テクスチャを有するALCパネルが得られる。
【0024】
上記のようなALCパネルを製造するには、予め所定の大きさ形状に形成したパネル1の表面に、先ず図7に示すように切削加工により小凹部2bをパネルの表面ほぼ全面に形成した後、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成すればよい。
【0025】
上記小凹部2bを形成するには、例えば前記図4(a)および(b)に示すようなルータービットを用いればよく、特に前記の正面円形状の小凹部2bを形成する場合には、図8の左側に示すように図4(a)に示すルータービット5を用いてそれを上下動させて形成し、また前記の正面楕円形の小凹部2bを形成する場合には、図8の右側に示すように図4(b)に示すルータービット5を用いてそれを水平方向に移動させると同時に上下動させて形成すればよい。なお上記各小凹部2bは正面楕円形のもののみでもよく、また上記のようなルータービットを用いる代わりに、他の切削加工具で小凹部2bを形成するようにしてもよい。
【0026】
さらに前記の細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成するには、例えば図9に示すように支持体7aの下端部に正面V字形の加工刃7bを有する引っ掻き加工具7を用い、その加工具7を図9(b)のようにパネル1の表面に対して90°〜60°の所定の角度θで当てがい、加工具7またはパネル1を水平方向に相対移動させて形成すればよい。その際の加工深さ、即ちそれによって形成される引っ掻き痕3aのパネル厚さ方向の深さは、より深くするほど後述する積み石調の形状が強調されるが、あまり深いと、後工程でパネル表面の防水処理もしくは保護や意匠向上のために施される塗装等を行う際に塗料が溝部に入り込まないおそれがあるので3mm程度が望ましい。また上記V字形加工刃7bの先端部の角度や先端形状および隣り合う加工刃7bの間隔(ピッチ)等は適宜変更可能であり、また図示例に限らず他の引っ掻き加工具を用いることもできる。
【0027】
上記のようにして前記図5に示すようなALCパネルが得られるもので、上記のように切削加工によって形成した小凹部2bと、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成することによって、自然石を模した積石調の表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができる。
【0028】
さらに図10は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示すもので、本例はパネル1の表面に、切削加工による凹凸部として所定の幅を有する複数条の波状面2cを形成すると共に、その波状面2cを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成したものである。
【0029】
上記複数条の波状面2cは、本実施形態においてはパネル1の長手方向すなわち図10および図11において上下方向に一定の振幅で波の高さ(パネルの厚さ)が繰り返し変化し、波の位相が漸次異なる4種類の波状面2cを、パネル1の幅方向すなわち図10(a)および図11(a)において左右方向に順に並べて形成した例を示す。なお上記複数条の波状面2cの振幅すなわち波の高さ(パネルの厚さ)も、それぞれ異なるようにしてもよい。
【0030】
また打滅面よりなる粗面3の形成手段や打滅面の性状等は適宜であるが、例えば打撃式粗面加工具等によって1〜数mm程度の微細な凹凸がパネル表面の略全面に形成されるようにすればよい。
【0031】
本例においても、パネル1の表面に切削加工によって形成した人工的な切削面である波状面2cが、打滅面よりなる粗面3によって荒らされることによって自然調の風合いを簡便に醸し出すことができる。
【0032】
上記のようなALCパネルを製造するには、予め所定の大きさ形状に形成したパネル1の表面に、ルータービット5等の切削加工具により複数条の波状面2cを形成した後、その波状面2cを含むパネル表面に打撃式粗面加工具等によって打滅面よりなる粗面3を形成すればよい。
【0033】
上記の切削加工具としては、例えば前記図3(a)に示すようなルータービット5を用い、そのビット5bを回転させた状態で所定の周期で上下動させると共に、ルータービット5またはパネル1を水平方向すなわちパネル表面と平行な方向に相対移動させて波状面2cを形成すればよい。この場合、複数個の波状面のうち例えば同一位相のものを同時に形成したり、また場合によっては全ての波状面を同時に形成することも可能である。
【0034】
また打滅面よりなる粗面を形成するための加工具としては、例えば図12に示すような打撃式の粗面加工具8を用いることができる。その加工具8は、回転体8aの周囲に複数個のループ状のベルト8bを取付け、その各ベルト8bの先端に取付けたボタン状の金属小片8cを、上記回転体8aの回転に伴ってパネル表面に叩き付けることにより打滅面を形成する構成である。なお上記のような加工具8を用いる代わりに前記図3(b)に示すような加工具6やその他の加工具を用いてもよい。
【0035】
上記のようにしてパネル表面に切削加工によって複数個の波状面2cを形成した後、その波状面2cを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成することによって、人工的な切削面である凹凸面2aが、打滅面よりなる粗面3で荒らされて自然調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易・安価にに製造することが可能となるものである。
【0036】
【実施例】
〔実施例1〕
前記図1に示すようなACLパネルを製造するに当たり、前記図3(a)に示すようなルータービット5を用いてパネル表面に層状の凹凸面2aを形成した後、その凹凸面2aを有するパネル表面全面に前記図3(b)に示すような打撃式の粗面加工具6を用いて、打滅面よりなる粗面3を形成した。なお層状の凹凸面2aを形成する際のパネル厚さ方向の切削深さは、lmmから4mmまでのlmm刻みで形成し、粗面加工具6の線材6bの太さは直径約2mmの断面円形のものを用いた。その結果、パネル表面が表面が自然石の砂岩のようななだらかな波紋状の凹凸面を有し、その凹凸面の表面が微細な凹凸粗面を有する砂岩調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易に製造することができた。
【0037】
〔実施例2〕
前記図5に示すようなACLパネルを製造するに当たり、前記図8に示すようなルータービット5を用いてパネル表面の略全面に前記図7に示すような正面円形および楕円形の小凹部2bを形成した後、その小凹部2bを有するパネル表面の略全面に、前記図9に示すような引っ掻き加工具7を用いて細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成した。なお上記小凹部2bのパネル厚さ方向の深さはlmmから4mmの範囲内でランダムに変化させ、かつ配置位置もパネル表面に無作為に並べた状態で形成した。また引っ掻き加工具7のV字形加工刃7bの先端部の角度は60°とし、隣り合う加工刃7bの間隔(ピッチ)は10mmで全て等間隔に配置したものを用いることによって前記図5のようにパネルの表面ほぼ全面に深さ約3mmの断面V字形の引っ掻き痕3aを形状した。その結果、各V字形引っ掻き痕3aのパネル表面側の角部は適度に欠けて丸みをおび、自然石をパネル幅方向に多数積み重ねたような積石調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易に製造することができた。
【0038】
〔実施例3〕
前記図10に示すようなACLパネルを製造するに当たり、前記図3(a)に示すようなルータービット5を用いてパネル表面の略全面に前記図10および図11に示すような複数条の波状面2cを形成した後、その波状面2cを有するパネル表面に前記図12に示すような打撃式粗面加工具8を用いて打滅面よりなる粗面3を形成した。なお上記各波状面2cの図11(a)で左右方向の幅は、それぞれ約10mmとし、各波の振幅(高さ)は、約4mmとした。また打撃式粗面加工具8のボタン状の金属小片8cとしては、直径約10mmの円板状のものを用いて、パネル表面の略全面に微細な凹凸を有する打滅面よりなる粗面を形成した。その結果、パネル表面に複数個の波状面2cを有し、その表面が微細な打滅面で荒らされた自然調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易に製造することができた。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によるALCパネル及びその製造方法は上記の構成であるから、人工的でない自然調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易・安価に量産することが可能となるもので、このパネルを例えば建築物の外壁等に使用すれば、外観の優れた壁面を構成することができる。又それによって、AlCパネルの表面加工の加工方法や表面形状の選択の自由度を大幅に増大させることができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明によるALCパネルの一実施形態を示す正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図2】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
【図3】(a)および(b)は上記ALCパネルの表面加工状態を示す説明図。
【図4】(a)および(b)はルーターの変更例を示す説明図。
【図5】(a)は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示す正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図6】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
(c)は一部の拡大底面図。
【図7】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
(c)は一部の拡大底面図。
【図8】ALCパネルの表面に穴加工を行っている状態の断面図。
【図9】(a)はパネル表面に線状の粗面加工を行っている状態の正面図。
(b)はその側面図。
【図10】(a)は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示す正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図11】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図12】上記パネルの表面加工に用いた打撃式粗面加工具の斜視図。
【符号の説明】
1 ALCパネル
2 凹凸部
3 粗面
4a 面取り部
4b 溝条
5 ルータービット
6、8 粗面加工具
7 引っ掻き加工具
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば建築物の外壁材等として用いられるALC(軽量気泡コンクリート)パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ALCパネルは、経済性、軽量性、耐火断熱性、加工性に優れており、特に建築物の外壁材、間仕切材として広く使用されている。しかしながら、ALCパネルは、一般に原料スラリーを型枠内で半硬化させたのち脱型し、ピアノ線などでパネル状に切断する製法が用いられているため、得られるパネル表面は平滑で、意匠性に乏しいという問題があった。また、近年意匠性に優れるパネルの要求が高まっており、パネル表面に模様を付けるさまざまな方法が提案されている。
【0003】
すなわち、ALCパネル表面に模様を付ける方法として従来たとえば以下のようなものが提案されている。
(1)型枠内に軽量気泡モルタルを打設し、該モルタルの上面に模様付きゴム型、シートを被せ、この上面をローラで転圧し模様を形成する方法(特許文献1参照)。
(2)模様付きの型枠内に軽量気泡モルタルを打設し、模様を形成する方法(特許文献2参照)。
(3)半硬化状の気泡性モルタルブロックをパネル状に切断後、凹凸模様を有する型をパネル面に押し当てて模様を形成する方法(特許文献3参照)。
(4)オートクレーブ養生済みのALCパネルの表面を回転する刃物で切削し、凹凸模様をつける方法(特許文献4参照)。
(5)エンペラーユニットを使用して小鋼球のような投射材をパネル表面に衝突させて凹部を形成する方法(特許文献5参照)。
(6)ALCの表面に加工された凹溝条の縁部に剥離用工具で衝撃を与え、剥離帯を形成する方法(特許文献6参照)。
【0004】
ところが、上記(1)の方法は、色々な模様を形成するために、その模様に合わせた型が必要であり、模様ごとに型を作成するのは不経済である。また(2)の方法は上記と同様の理由とともに原料が型枠に付着し、その清掃に手間が掛かる。(3)の方法も(1)と(2)と同様の不具合がある。さらに上記(4)の方法はALCパネルの加工において通常用いられる方法であるが、得られる意匠が機械的に画一的なものに限定される。(5)の方法は、使用する小鋼球等の投射材の回収、およびALCパネルの気泡内に残った小鋼球の除去作業が面倒である等の問題がある。また(6)の方法においては、凹溝条から剥離帯を形成することから、凹溝条周辺に加工が限定され、広い面積での加工が難しい上に、パネルの一部を割る方法であるため、加工形状が一定とならず、外観上部分的にムラが生じてしまう等の問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特公平3−27368号公報
【特許文献2】
特開平8−174525号公報
【特許文献3】
特公平5−34121号公報
【特許文献4】
特開昭58−160106号公報
【特許文献5】
特開昭63−25284号公報
【特許文献6】
特開平11−148198号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の問題点に鑑みて提案されたもので、パネル表面の加工の自由度が高く、かつ経済的で自然調の表面テクスチャを有するALCパネル及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明によるALCパネルおよびその製造方法は、以下の構成としたものである。すなわち、本発明によるALCパネルは、パネル表面に切削加工による凹凸部を有し、その凹凸部の少なくとも一部を含めてパネル表面に粗面を形成したことを特徴とする。
【0008】
また本発明によるALCパネルの製造方法は、パネル表面に切削加工による凹凸部を形成した後、その凹凸部の少なくとも一部を含むようにしてパネル表面に粗面加工を施したことを特徴とする。
【0009】
なお、本発明で言うALCパネルとは、例えば次のような製造方法によって得られるものをいう。すなわち、石灰質原料、珪酸質原料に水、発泡剤を加えられたモルタルスラリーを、補強用の鉄筋が多数組み込み配置された型枠内に注入して成形し、その成形された気泡を含む大きなブロック状の硬化途中の半可塑性体をピアノ線等を用いて切断し、オートクレープ養生したものである。このALCパネルは、上記のような方法で得られ気泡を含むものであればどのような形状のものもでもよく、建築物の外壁、床、屋根、間仕切材として使用されるフラットパネルや、外壁などの隅部に使用されるL字型などのコーナーパネル等その他適宜である。
【0010】
本発明によるALCパネルの製造方法は、回転刃を用いた切削加工と、その切削面を荒らす加工方法を組み合わせて行うことを特徴とする。その回転刃を用いた切削加工は、特にその方法を限定しないが、ルーター軸、ギャング軸などの形状のものに、超硬ないしダイヤモンドのチップを取り付けた刃物を回転させ加工を行う方法が一般的に使用可能である。その刃物を含む部分を3次元方向の移動をさせることにより、ALCパネル表面を溝や穴状、ないし層状に加工を行う。その際、加工する深さは求める加工形状により変化させ、同一パネル表面において数種類の深さを持たせるようにするのが望ましい。
【0011】
また加工を行う際は、目的とする表面形状を考慮し、加工刃物の種類や加工深さを適宜決定する。一般にALC表面を大柄に見せたい場合には、ルーター軸に小径の刃物を取りつけ、加工深さを数段確保しながら層状に加工を行う。また細かい柄に見せたい場合は、ルーター軸等に刃物を取付け、上下移動させながらパネル表面を移動させ、パネル表面に様々な大きさや深さの穴加工等を行う。この場合、穴加工を行うだけでなく、パネル表面を波状に切削加工を行うようにしてもよい。
【0012】
次に、上記のような切削加工を行ったALCパネル表面を、引掻く、叩く等の方法で荒らす加工(粗面加工)を施すことによって、刃物による鋭利な切削面をなだらかにし、かつ自然調の表面テクスチャを得ることができる。なお引掻く方法としては、引掻き刃物を用い、それをパネル表面に例えば90〜60度程度の角度であてがい、刃物ないしパネルを移動させることによりパネル表面に引掻き模様を得る。叩く方法としては、例えば打撃式粗面加工具を用いるもので、具体的には例えば針状の複数本の線材を束ねた加工用具を上下動させてパネル表面を打撃するか、あるいは回転体の周囲に複数個のループ状のベルトを取付け、その各ベルトの先端に取付けたボタン状の金属小片を、上記回転体の回転に伴ってパネル表面に叩き付けることにより、打滅面を形成する方法などがある。また効率は必ずしもよくないが、前記従来例のようにエンペラーユニットにより小鋼球などの粒体をパネル表面に吹き付けるショットブラスト等を用いてもよい。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、本発明によるALCパネル及びその製造方法を図に示す実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0014】
図1は本発明によるALCパネルの一実施形態を示すもので、本例はパネル1の表面に、切削加工による凹凸部として高さの異なる層状の凹凸面2aを形成すると共に、それらの凹凸面2aを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成したものである。図中、4aはパネル表面の周縁部に形成した面取り部、4bはパネル表面に縦横に形成した切削溝である。
【0015】
上記の凹凸面2aは、ルータービット等の切削加工具で形成するもので、そのパネル厚さ方向の高さは図2に示すようにパネルの厚さ方向に3種以上すなわち3段階以上に形成するとよく、各段の高さ寸法は1〜4mm程度に形成すればよい。また打滅面よりなる粗面3の形成手段や打滅面の性状等は適宜であるが、例えば1〜数mm程度の微細な凹凸がパネル表面の略全面に形成されるようにすればよい。
【0016】
上記のようにパネル1の表面に切削加工によって形成した凹凸面2aと、その凹凸面2aを含むパネル表面に形成した打滅面よりなる粗面3とによって、自然石を模した砂岩調の表面テクスチャを呈するALCパネルが得られるもので、特に人工的な切削面である凹凸面2aが粗面3によって荒らされることによって自然調の風合いを簡便に醸し出すことができる。
【0017】
上記のようなALCパネルを製造するには、予め所定の大きさ形状に形成したパネル1の表面に、先ず図3(a)に示すようにルータービット5等の切削加工具のにより高さの異なる層状の凹凸面2aを形成した後、同図(b)のように粗面加工用の加工具6等により凹凸面2aの表面に粗面3を形成すればよい。
【0018】
上記のルータービット5は、図の場合は、回転軸5aの下端に、表面に超硬またはダイヤモンド等のチップを有するビット5bを設けた構成であり、そのビット5bを図3(a)のように回転させた状態でルータービット5またはパネル1を水平方向すなわちパネル表面と平行な方向に相対移動させると共に、ビット5bのパネル1に対する高さを異ならせることによって図のような凹凸面2aを容易に形成することができる。なお図の場合は回転軸5aの下端に円柱状のビット5bを有するルータービット5を用いたが、図4(a)および(b)のように逆円錐台形のビット5bを有するルータービット5を用いることもできる。
【0019】
また粗面加工用の加工具6は、図の場合は、筒状の支持体6a内に、複数本の針状の線材6bを所定の間隔をおいて束ねた状態で取付け支持させてなる打撃式の粗面加工具を用いたもので、その加工具6を図3(b)のように上下動させ、線材6bでパネル表面を打撃することによってパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成する構成である。上記線材6bの間隔や先端形状を適宜変更すれば所望の粗さの粗面を形成することができる。
【0020】
上記のようにパネル表面に切削加工によって凹凸面2aを形成した後、その凹凸面2aを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成することによって、人工的な切削面である凹凸面2aが、打滅面よりなる粗面3で荒らされて自然石を模した砂岩調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易・安価にに製造することが可能となるものである。
【0021】
図5は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示すもので、本例はパネル1の表面に、切削加工による凹凸部として深さの異なる小凹部2bを形成すると共に、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成したものである。
【0022】
上記小凹部2bは、本実施形態においては、図6に示すように正面円形のものと、長径方向の長さの異なる複数種類の正面楕円形のものとを、パネル表面の略全面にランダムに配設した構成であり、また粗面3は図の場合は断面V字形の細い線状の引っ掻き痕3aをパネルの幅方向(図5(a)において左右方向)に所定の間隔をおいて形成したものである。
【0023】
上記のようにパネル1の表面に切削加工によって小凹部2bを形成し、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成することによって、人工的な切削面である小凹部2bが粗面3によって荒らされて自然石を模した積石調の表面テクスチャを有するALCパネルが得られる。
【0024】
上記のようなALCパネルを製造するには、予め所定の大きさ形状に形成したパネル1の表面に、先ず図7に示すように切削加工により小凹部2bをパネルの表面ほぼ全面に形成した後、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成すればよい。
【0025】
上記小凹部2bを形成するには、例えば前記図4(a)および(b)に示すようなルータービットを用いればよく、特に前記の正面円形状の小凹部2bを形成する場合には、図8の左側に示すように図4(a)に示すルータービット5を用いてそれを上下動させて形成し、また前記の正面楕円形の小凹部2bを形成する場合には、図8の右側に示すように図4(b)に示すルータービット5を用いてそれを水平方向に移動させると同時に上下動させて形成すればよい。なお上記各小凹部2bは正面楕円形のもののみでもよく、また上記のようなルータービットを用いる代わりに、他の切削加工具で小凹部2bを形成するようにしてもよい。
【0026】
さらに前記の細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成するには、例えば図9に示すように支持体7aの下端部に正面V字形の加工刃7bを有する引っ掻き加工具7を用い、その加工具7を図9(b)のようにパネル1の表面に対して90°〜60°の所定の角度θで当てがい、加工具7またはパネル1を水平方向に相対移動させて形成すればよい。その際の加工深さ、即ちそれによって形成される引っ掻き痕3aのパネル厚さ方向の深さは、より深くするほど後述する積み石調の形状が強調されるが、あまり深いと、後工程でパネル表面の防水処理もしくは保護や意匠向上のために施される塗装等を行う際に塗料が溝部に入り込まないおそれがあるので3mm程度が望ましい。また上記V字形加工刃7bの先端部の角度や先端形状および隣り合う加工刃7bの間隔(ピッチ)等は適宜変更可能であり、また図示例に限らず他の引っ掻き加工具を用いることもできる。
【0027】
上記のようにして前記図5に示すようなALCパネルが得られるもので、上記のように切削加工によって形成した小凹部2bと、その小凹部2bを含むパネル表面に細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成することによって、自然石を模した積石調の表面テクスチャを有するALCパネルを容易・安価に製造することができる。
【0028】
さらに図10は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示すもので、本例はパネル1の表面に、切削加工による凹凸部として所定の幅を有する複数条の波状面2cを形成すると共に、その波状面2cを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成したものである。
【0029】
上記複数条の波状面2cは、本実施形態においてはパネル1の長手方向すなわち図10および図11において上下方向に一定の振幅で波の高さ(パネルの厚さ)が繰り返し変化し、波の位相が漸次異なる4種類の波状面2cを、パネル1の幅方向すなわち図10(a)および図11(a)において左右方向に順に並べて形成した例を示す。なお上記複数条の波状面2cの振幅すなわち波の高さ(パネルの厚さ)も、それぞれ異なるようにしてもよい。
【0030】
また打滅面よりなる粗面3の形成手段や打滅面の性状等は適宜であるが、例えば打撃式粗面加工具等によって1〜数mm程度の微細な凹凸がパネル表面の略全面に形成されるようにすればよい。
【0031】
本例においても、パネル1の表面に切削加工によって形成した人工的な切削面である波状面2cが、打滅面よりなる粗面3によって荒らされることによって自然調の風合いを簡便に醸し出すことができる。
【0032】
上記のようなALCパネルを製造するには、予め所定の大きさ形状に形成したパネル1の表面に、ルータービット5等の切削加工具により複数条の波状面2cを形成した後、その波状面2cを含むパネル表面に打撃式粗面加工具等によって打滅面よりなる粗面3を形成すればよい。
【0033】
上記の切削加工具としては、例えば前記図3(a)に示すようなルータービット5を用い、そのビット5bを回転させた状態で所定の周期で上下動させると共に、ルータービット5またはパネル1を水平方向すなわちパネル表面と平行な方向に相対移動させて波状面2cを形成すればよい。この場合、複数個の波状面のうち例えば同一位相のものを同時に形成したり、また場合によっては全ての波状面を同時に形成することも可能である。
【0034】
また打滅面よりなる粗面を形成するための加工具としては、例えば図12に示すような打撃式の粗面加工具8を用いることができる。その加工具8は、回転体8aの周囲に複数個のループ状のベルト8bを取付け、その各ベルト8bの先端に取付けたボタン状の金属小片8cを、上記回転体8aの回転に伴ってパネル表面に叩き付けることにより打滅面を形成する構成である。なお上記のような加工具8を用いる代わりに前記図3(b)に示すような加工具6やその他の加工具を用いてもよい。
【0035】
上記のようにしてパネル表面に切削加工によって複数個の波状面2cを形成した後、その波状面2cを含むパネル表面に打滅面よりなる粗面3を形成することによって、人工的な切削面である凹凸面2aが、打滅面よりなる粗面3で荒らされて自然調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易・安価にに製造することが可能となるものである。
【0036】
【実施例】
〔実施例1〕
前記図1に示すようなACLパネルを製造するに当たり、前記図3(a)に示すようなルータービット5を用いてパネル表面に層状の凹凸面2aを形成した後、その凹凸面2aを有するパネル表面全面に前記図3(b)に示すような打撃式の粗面加工具6を用いて、打滅面よりなる粗面3を形成した。なお層状の凹凸面2aを形成する際のパネル厚さ方向の切削深さは、lmmから4mmまでのlmm刻みで形成し、粗面加工具6の線材6bの太さは直径約2mmの断面円形のものを用いた。その結果、パネル表面が表面が自然石の砂岩のようななだらかな波紋状の凹凸面を有し、その凹凸面の表面が微細な凹凸粗面を有する砂岩調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易に製造することができた。
【0037】
〔実施例2〕
前記図5に示すようなACLパネルを製造するに当たり、前記図8に示すようなルータービット5を用いてパネル表面の略全面に前記図7に示すような正面円形および楕円形の小凹部2bを形成した後、その小凹部2bを有するパネル表面の略全面に、前記図9に示すような引っ掻き加工具7を用いて細い線状の引っ掻き痕3aよりなる粗面3を形成した。なお上記小凹部2bのパネル厚さ方向の深さはlmmから4mmの範囲内でランダムに変化させ、かつ配置位置もパネル表面に無作為に並べた状態で形成した。また引っ掻き加工具7のV字形加工刃7bの先端部の角度は60°とし、隣り合う加工刃7bの間隔(ピッチ)は10mmで全て等間隔に配置したものを用いることによって前記図5のようにパネルの表面ほぼ全面に深さ約3mmの断面V字形の引っ掻き痕3aを形状した。その結果、各V字形引っ掻き痕3aのパネル表面側の角部は適度に欠けて丸みをおび、自然石をパネル幅方向に多数積み重ねたような積石調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易に製造することができた。
【0038】
〔実施例3〕
前記図10に示すようなACLパネルを製造するに当たり、前記図3(a)に示すようなルータービット5を用いてパネル表面の略全面に前記図10および図11に示すような複数条の波状面2cを形成した後、その波状面2cを有するパネル表面に前記図12に示すような打撃式粗面加工具8を用いて打滅面よりなる粗面3を形成した。なお上記各波状面2cの図11(a)で左右方向の幅は、それぞれ約10mmとし、各波の振幅(高さ)は、約4mmとした。また打撃式粗面加工具8のボタン状の金属小片8cとしては、直径約10mmの円板状のものを用いて、パネル表面の略全面に微細な凹凸を有する打滅面よりなる粗面を形成した。その結果、パネル表面に複数個の波状面2cを有し、その表面が微細な打滅面で荒らされた自然調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易に製造することができた。
【0039】
【発明の効果】
以上のように本発明によるALCパネル及びその製造方法は上記の構成であるから、人工的でない自然調の表面テクスチャを呈するALCパネルを容易・安価に量産することが可能となるもので、このパネルを例えば建築物の外壁等に使用すれば、外観の優れた壁面を構成することができる。又それによって、AlCパネルの表面加工の加工方法や表面形状の選択の自由度を大幅に増大させることができる等の効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は本発明によるALCパネルの一実施形態を示す正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図2】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
【図3】(a)および(b)は上記ALCパネルの表面加工状態を示す説明図。
【図4】(a)および(b)はルーターの変更例を示す説明図。
【図5】(a)は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示す正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図6】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
(c)は一部の拡大底面図。
【図7】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)は(a)におけるb−b線断面図。
(c)は一部の拡大底面図。
【図8】ALCパネルの表面に穴加工を行っている状態の断面図。
【図9】(a)はパネル表面に線状の粗面加工を行っている状態の正面図。
(b)はその側面図。
【図10】(a)は本発明によるALCパネルの他の実施形態を示す正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図11】(a)は上記ALCパネルの一部の拡大正面図。
(b)はその側面図。
(c)は底面図。
【図12】上記パネルの表面加工に用いた打撃式粗面加工具の斜視図。
【符号の説明】
1 ALCパネル
2 凹凸部
3 粗面
4a 面取り部
4b 溝条
5 ルータービット
6、8 粗面加工具
7 引っ掻き加工具
Claims (5)
- パネル表面に切削加工による凹凸部を有し、その凹凸部の少なくとも一部を含めてパネル表面に粗面を形成したことを特徴とするALCパネル。
- 前記の切削加工による凹凸部としてパネル表面に高さの異なる層状の凹凸面を有し、その凹凸面を含むパネル表面に打滅面よりなる粗面を形成して、砂岩調の表面テクスチャを呈するようにしたことを特徴とする請求項1記載のALCパネル。
- 前記の切削加工による凹凸部としてパネル表面に無作為に並べて形成した小凹部を有し、その小凹部を含めてパネル表面に多数の線状の引掻き痕よりなる粗面を形成することによって、積石調の表面テクスチャを呈するようにしたことを特徴とする請求項1記載のALCパネル。
- 前記の切削加工による凹凸部としてパネル表面に複数条の波形状を有し、その波形状を含むパネル表面に打滅面よりなる粗面を形成したことを特徴とする請求項1記載のALCパネル。
- パネル表面に切削加工による凹凸部を形成した後、その凹凸部の少なくとも一部を含むようにしてパネル表面に粗面加工を施したことを特徴とするALCパネルの製造方法。
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