JP2004198776A - プラズマディスプレイ装置の駆動方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】全てのセルを点灯状態となるように初期化して、どこか一つのサブフィールドにおいて消去放電を行い、その消去放電が行われるまでの維持期間のみ維持発光を行う駆動方法において、維持期間23の最後において壁電荷状態が非常に不安定な自己消去放電を用いずに壁電荷調整期間24を設け、走査電極およびデータ電極上の壁電荷を減少させる方向へ印加電圧が徐々に変化する壁電荷調整波形を印加する。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、大画面で、薄型、軽量のディスプレイ装置として知られているプラズマディスプレイ装置の駆動方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプラズマディスプレイ装置の駆動方法に関して、図6〜図10を用いて説明する。
【0003】
従来のAC型プラズマディスプレイパネル(以下、パネルという)の一部斜視図を図9に示す。図9に示すように、ガラス基板からなる透明な前面側の基板1上には、走査電極4と維持電極5とで対をなすストライプ状の表示電極が複数対形成され、この走査電極4および維持電極5は、それぞれ透明電極4a、5aおよびこの透明電極4a、5aに電気的に接続された銀等の母線4b、5bとから構成されている。また、前記前面側の基板1には、前記複数対の電極群を覆うように誘電体層2が形成され、その誘電体層2上には保護膜3が形成されている。
【0004】
一方、ガラス基板からなる背面側の基板6上には絶縁体層7で覆われたデータ電極8が形成され、データ電極8の間の絶縁体層7上にデータ電極8と平行して隔壁9が設けられている。また、絶縁体層7の表面からと隔壁9の側面にかけて蛍光体10が設けられ、走査電極4および維持電極5とデータ電極8とが直交するように基板1と基板6とを放電空間11を挟んで対向させて配置している。放電空間11には、放電ガスとして、ヘリウム、ネオン、アルゴン、キセノンの内少なくとも1種類の希ガスが封入されており、隣接する二つの隔壁9に挟まれ、データ電極8と対向する対をなす走査電極4と維持電極5との交差部の放電空間には放電セル12が構成されている。
【0005】
次に、上記パネル本体の動作について説明すると、このパネル本体の電極配列は、図10に示すように、N行×M列の放電セルからなるマトリックス構成であり、行方向にはN行の走査電極SCN1〜SCNnおよび維持電極SUS1〜SUSnが配列され、列方向にはM列のデータ電極D1〜Dmが配列されている。
【0006】
プラズマディスプレイの発光を考えるにあたり、非常に重要になってくるのが、壁電荷という概念である。プラズマディスプレイの各電極間には、ある一定の電圧(Vf)以上の電圧をかけることはできず、もしこのVf以上の電圧が電極間にかかれば、放電を開始してしまう。この放電によって、各電極に蓄えられるのが壁電荷である。電極間電圧Vcは、外部印加電圧Vaと壁電荷Vwとによって表現され、
Vc=Va+Vw、Vc>Vfで放電開始
となる。この放電には大きく2種類あり、一つは、急激に外部印加電圧Vaが変化して、電極間電圧VcがVfを越えてしまうことによって発生する強放電であり、セルの電位状態を中和するように各電極に壁電荷がたまる。もう一つは、徐々に外部印加電圧Vaが変化することによって、徐々に電極間電圧VcがVfを越えることによって発生する弱放電である。この弱放電では、電極間電圧VcがVfの状態を保ったまま、壁電荷Vwがたまっていく。
【0007】
ここで、このパネル本体を用いたAC型プラズマディスプレイ装置の駆動方法の一例は、例えば特許文献1に示されている。次に、駆動方法の一例について、図6を用いて説明する。
【0008】
初期化期間21では、走査電極4に印加する正の徐々に変化する電圧波形Vset1と、維持電極5に印加される負の徐々に変化する電圧波形Vset2とにより、弱放電が発生し、走査電極に負の壁電荷が蓄積し、維持電極5には正の壁電荷が蓄積される。次に維持電極5に電圧がGNDレベルまで上がった後、走査電極4をGNDへ、維持電極5をVsusへ偏移させる。この時、走査電極4の負の壁電荷と、維持電極5の正の壁電荷によって、強放電を発生させ、走査電極4には正、維持電極5には負の壁電荷が蓄積され、セル内の電界強度が0になった時点で放電が終了する。さらに、維持電極5の印加電圧がGNDへ、走査電極4の電圧が維持電圧Vsusまで上昇すると、すでに蓄えられていた壁電荷とともに強放電を起こし、壁電荷が反転する。つまり、走査電極4に先ほどとは逆の負の壁電荷を、維持電極5に正の壁電荷を蓄積する。
【0009】
ここで、セル内の電圧は強放電が発生すると、これを中和するように壁電荷を蓄積して放電動作を終了するため、データ電極8も放電の影響を受け、VsusとGNDレベルの中間的な電圧の壁電荷が蓄積される。これにより、次に走査電極4をGNDへ落とし、書込み放電が発生しないときには、維持期間において、維持電極5をVsusまで上げることにより、再び壁電荷を反転させることができ、維持動作が可能となる。つまり、初期化期間21により、全セルを点灯状態にすることができる。
【0010】
書込み期間22では、全ての維持電極5をGNDに保持し、第1行目の表示する放電セルに対応する所定のデータ電極D1〜Dmに正の書込みパルス電圧+Vdを、第1行目の走査電極SCN1に負の走査パルス電圧−Vscをそれぞれに印加すると、所定のデータ電極D1〜Dmと第1行目の走査電極SCN1との交点部において、書込み放電が起こる。次に、第2行目の表示する放電セルに対応する所定のデータ電極D1〜Dmに正の書込みパルス電圧+Vdを、第2行目の走査電極SCN2に負の走査パルス電圧−Vscをそれぞれに印加すると、所定のデータ電極D1〜Dmと第2行目の走査電極SCN2との交点部において書込み放電が起こる。
【0011】
上記同様の動作が順次に行われて、最後に第M列目の表示する放電セルに対応する所定のデータ電極D1〜Dmに正の書込みパルス電圧+Vdを、第N行目の走査電極SCNnに負の走査パルス電圧−Vscをそれぞれに印加すると、所定のデータ電極D1〜Dmと第N行目の走査電極SCNnとの交点部において書込み放電が起こる。この放電は、負の壁電荷を持つ走査電極に負の電圧を加え、正の壁電荷を持つデータ電極に正の電圧を加えることで放電を起こし、放電後にはセル内の壁電荷は、ほぼ消滅する。ここで、走査パネル電圧Vscは、GNDレベルよりアドレス電圧Vadだけ嵩上げされている。これは、もし、Vadが0であれば、後に説明する自己消去放電で走査電極4とデータ電極8上の壁電荷が減少するために、書込み放電が発生しづらくなり、逆にVad=Vscnだと書込み動作をしない状態でも走査パネルを印加することにより、書込みを行ってしまうため、書込み放電をスムーズに行うことをできるようにするためである。
【0012】
次の維持期間23では、書込み動作がなかったセルに対しては、走査電極4に負、維持電極5に正の壁電荷がたまっているため、走査電極4をGNDに、維持電極5にVsusを加えることにより放電し、走査電極4に正、維持電極5に負の壁電荷がたまる。次にそれぞれの電圧に逆の電圧を加えることにより、逆の壁電荷がたまり、これを反復して行くことにより、放電が持続する。維持期間の最後は、走査電極4をVsusにして、負の壁電荷を蓄積して終了する。これは、初期化期間と同じことであり、次の維持期間において、書込み放電を発生しない場合には、放電を持続させることができる。一方、書込み放電を行った場合には、壁電荷がほとんどなくなってしまうために、維持動作ができなくなる。
【0013】
例えば、図7に示すような1フィールドを8サブフィールドに分割した場合には、第一サブフィールドは、初期化期間21と書込み期間22と維持期間23でなり、後の2から8のサブフィールドは書込み期間22と維持期間23のみで構成される。はじめの初期化期間で全セルを点灯状態とし、書込み放電が起こるまでは、維持期間での放電を持続させ、書込み期間で書き込まれたセルは以降点灯しない。よって、図7の表に示すとおり、全く維持発光しない場合を含めて全部で9階調を表現することが可能となる。なお、図中の○は、維持発光をするサブフィールド、×は書込み放電をするサブフィールドである。
【0014】
次に初期化期間および維持期間の最後の工程である走査電極4に印加する電圧の立ち下がり部分について説明する。この部分の直前(図6中のA点)の壁電荷状態を図8(a)に示す。図に示すように、走査電極4の立ち上がり放電が発生しているため、走査電極4に負、維持電極5に正の壁電荷が蓄積している。ここで、走査電極4の電圧をGNDに落としても、走査電極4と維持電極5間の電位差は、放電開始電圧Vfには到達しない。
【0015】
一方、データ電極8には、前記したようにVsusの約半分の電圧の壁電荷が蓄積しており、データ電極8と走査電極3との間の放電開始電圧は比較的小さいため、データ電極上の正の壁電荷と走査電極上の負の壁電荷で微弱な放電が発生する。これを以下、自己消去放電と呼ぶ。その結果、それぞれの電極上の壁電荷が微妙に削られ、次の書込み工程をスムーズに行うことが可能となる。つまり、図8(b)(図6中のB点)のように図8(a)と比べると、若干データ電極8の壁電荷と走査電極4の壁電荷が削られている。
【0016】
このときにもし、微弱な自己消去放電が発生しないときには、図8(c)(図6中のC点)のようにデータ電極8に印加する正の書込みパルスがなくても、走査電極4に印加する負の走査パルスで書込み放電が発生してしまい(誤書込み)、以降不灯セルとなってしまう。逆にこのときに比較的大きな自己消去放電を伴ってしまった場合には、図8(d)(図6中のC点)に示すように、データ電極8と走査電極4の壁電荷が必要以上に削られ、書込み放電が発生しなくなる(書込みミス)。このとき、書込み放電は発生しないが、維持電極5と走査電極4との放電には十分な壁電荷が残っているため、維持放電は継続して行われ、輝点セルとなってしまう。
【0017】
【特許文献1】
特開2000−227778号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなプラズマディスプレイ装置の駆動方法においては、自己消去放電は、前記した強放電でも、徐々に変化する電圧波形による弱放電でもなく、中途半端な微弱放電を前提とするため、電圧の制御が難しく、少しのばらつきで輝点を発生したり、不灯を発生したりしていた。そのため、パネル間のばらつきだけでなく、パネル面内においても輝点や不灯を発生させ、動作電圧範囲を著しく減少させており、最終的にはパネルの製造歩留まりを低下させてしまうという課題があった。
【0019】
本発明はこのような課題を解決し、パネルの面内ばらつきを吸収し、製造歩留まりを向上させることを目的とするものである。
【0020】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明のプラズマディスプレイ装置の駆動方法は、一つのフィールドを複数のサブフィールドに分割し、そのうちの複数の連続したサブフィールドをサブフィールド群と定義すると、そのサブフィールド群の先頭部分において、パネル本体の全てのセルを点灯状態にする初期化期間と、そのサブフィールド群中のサブフィールド毎にセルを選択的に消去放電する書込み期間と、消去放電を行っていないセルに対してのみ維持放電を行う維持期間とを有し、前記サブフィールド群の初期化期間の維持発光期間を含むあるサブフィールドの維持期間と次のサブフィールドの書込み期間との間に壁電荷調整期間を設けたものである。これにより、不安定な自己消去放電ではなく、積極的に壁電荷調整を行うことにより、不灯となる誤書込みおよび輝点となる書込みミスを防止することが可能となる。
【0021】
【発明の実施の形態】
すなわち、本発明の請求項1記載の発明は、少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置するとともに前記放電空間を複数に仕切るための隔壁を少なくとも一方の基板に配置し、かつ前記隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に電極群を配置するとともに放電により発光する蛍光体層を設けたパネル本体を有するプラズマディスプレイ装置の駆動方法であって、一つのフィールドを複数のサブフィールドに分割し、そのうちの複数の連続したサブフィールドをサブフィールド群と定義すると、そのサブフィールド群の先頭部分において、パネル本体の全てのセルを点灯状態にする初期化期間と、そのサブフィールド群中のサブフィールド毎にセルを選択的に消去放電する書込み期間と、消去放電を行っていないセルに対してのみ維持放電を行う維持期間とを有し、前記サブフィールド群の初期化期間の維持発光期間を含むあるサブフィールドの維持期間と次のサブフィールドの書込み期間との間に壁電荷調整期間を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の駆動方法である。
【0022】
また、本発明の請求項2記載の発明は、請求項1において、壁電荷調整期間は、走査電極に緩やかに電圧が変化する壁電荷調整波形を、走査電極とデータ電極に蓄えられた壁電荷のうち、互いの壁電荷量を減少させる方向へ印加することを特徴とする。
【0023】
また、本発明の請求項3記載の発明は、請求項2において、壁電荷調整波形の傾きは、10V/μs以上であることを特徴とする。
【0024】
本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法について、図1〜図5を用いて説明する。
【0025】
まず図1において、初期化期間21と書込み期間22、維持期間23は、図6の例と同様な動作を行う期間であり、異なる点は、初期化期間21および維持期間23の後ろに壁電荷調整期間24を設けている点である。書込み工程をスムーズに行うためには、走査電極4を印加した状態でデータ電極8との電位差がVf状態にあることが望ましい。この上で、書込みパルスがデータ電極8に印加された場合には、書込み放電を行い、印加されなかった場合には、何も起こらない。しかしながら、従来の自己消去波形の場合には、セル間のばらつきにより、あるセルは正常なVf状態にあるが、あるセルは走査パルスを印加した時点でVf電圧を超え、放電をしてしまう。つまり不灯セルとなる。また、あるセルは、書込みパルスを印加してもVfを超えずに放電せず、輝点セルとなってしまう。これを解決するためには、書込み期間における各セル内において、走査パルスを印加した状態での走査電極4と書込みパルスを印加していないデータ電極8との電位差がVf状態にばらつきなく設定できていることが望ましい。
【0026】
図1の壁電荷調整期間24において、走査電極にVsus電圧から徐々に電位を落とす電圧波形を印加する。そして、走査パルスの電位(アドレス電圧)Vadと同じ電位まで徐々に落とす。以降では、これを壁電荷調整波形25と呼ぶ。この壁電荷調整波形25を印加することにより、各セルには弱放電が発生し、Vfの値が異なるセル間でも壁電荷の量を調整することにより、常にVf状態に保つことが可能となる。
【0027】
図2は、自己消去放電と壁電荷調整波形25による弱放電との差に対して、複数のセルでの壁電荷状態を模式的に表した図である。図2に示すように自己消去放電の場合は、壁電荷状態が不安定となるため、誤書込み(不灯)セルや書込みミス(輝点)セルが多く発生してしまう。これと比較すると、壁電荷調整波形25の場合は、走査電極4とデータ電極8上の壁電荷が非常に均一に蓄積することが可能となり、走査パルスが印加された状態で常にセル間のばらつきなくVfの状態になるため、予期しない輝点セルや不灯セルが発生しない。
【0028】
ここで、自己消去放電では、維持波形の最終電位はGNDレベルであり、壁電荷調整波形25のVadとは異なる。これは、自己消去放電によって減少してしまった電荷を補うために、維持の最終電位(GND)とアドレス電位Vadを異ならせているのに対し、壁電荷調整波形25は、アドレス電圧Vadまで電圧を落とすことによって、弱放電で壁電荷を削る必要があるためである。つまり、自己消去放電の場合は、書込み時に必要な電圧を外部印加電圧により補償し、壁電荷調整波形25の弱放電による場合は、書込み時に必要な電圧を壁電荷により補償しているということができる。
【0029】
この波形を用いた8サブフィールドの例を図3に示す。各書込み期間22の前には必ず壁電荷調整期間24が挿入されており、初期化期間21+書込み期間22+維持期間23+壁電荷調整期間24+書込み期間22+維持期間23+壁電荷調整期間24+……というシーケンスとなる。この場合も図7の場合と同じ9階調を表現することが可能である。
【0030】
なお、この壁電荷調整波形25は、図1の例では、Vsus電圧から徐々に下げて行ったが、自己消去放電を発生しない範囲であれば、Vsusから急激に電圧を下げ、そこから電圧を落とすようにしてもよい。、この場合、同様な効果を短時間の壁電荷調整期間24で実現することができ、壁電荷調整期間24を設けることによる影響を少なくすることができる。
【0031】
また、壁電荷調整波形の傾きは、急峻すぎると強放電を起こしてしまい、セル内の壁電荷を中和して、そのフィールド内では以降維持放電を起こさなくなってしまい、不灯セルとなってしまう。よって、その傾きは10V/μs以下であることが望ましい。
【0032】
これまで述べてきた例は、フィールドの最初に初期化をし、その後書込みと維持を繰り返すものであったが、以下に述べるような場合もある。欧州で一般的なTVの放送方式であるPALのフィールド周波数は50Hzである。50Hz信号の場合、図3に示すような各サブフィールド毎の維持パルスの数が単純増加する、もしくは単純減少するようなパターンであると、フリッカが目立ってしまう。これを対策するために、維持パルスの数を図4に示すように、二山にしてやり、それぞれの山の発光サブフィールド数を平均化して発光させる。つまり、一つのサブフィールドに、初期化期間21+書込み期間22+維持期間23+壁電荷調整期間24+書込み期間22+維持期間23+壁電荷調整期間24+……というサブフィールド群が二つ含まれることになる。このように一つのフィールドに複数のサブフィールド群がある場合でも、本発明を用いることができる。
【0033】
これまで述べてきた例は、書込みを行ったセルで維持発光させない、いわゆる負論理であったが、書込みを行ったセルのみ維持発光させる正論理の波形を作ることもできる。この正論理で最初のサブフィールドで書込み放電を行い、発光するセルのみを維持発光ができる状態にする。次に負論理で所望の階調を実現するように消去していく。なお、この場合の初期化期間は、図1の例のような全てを点灯状態にするために維持発光を含み、黒の輝度が上がってしまうようなものではなく、全てを非点灯状態にするため、簡単な電荷調整のようなものでよい。このような非点灯状態にする初期化と正論理での書込みを実現することにより、黒の輝度を上げないようにすることが可能である。
【0034】
さらに、図3に示す例であれば、9つの階調しか取ることができないので、実際に映像を映すと、非常に品位の悪いものになってしまう。これを改善するために、図5に示すように、上記の正論理書込みを用いて、一つのフィールドの前半部分は、初期化期間26+書込み期間(正論理)27+維持期間23+消去期間28+書込み期間(正論理)27+維持期間23+消去期間28+……というシーケンスを用い、後半に図3に示すような負論理のシーケンスを採用しても良い。なお、この場合の初期化期間26は、先に述べた非点灯状態に初期化するものである。このとき、前半部分は正論理で書き込んだセルに対してのみ、維持発光させた後に消去することができるため、各サブフィールドを独立に制御することができる。よって、表現する階調数が増え、図5の場合では47階調を表現できるため、映像をより自然に見せることが可能となる。つまり、これらの例では、一つのフィールドのうちの全てではなく、一部分でサブフィールド群を構成することになっているが、こういう例の場合でも、本発明を適用することができる。
【0035】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように本発明によれば、全てのセルを点灯状態となるように初期化して、どこか一つのサブフィールドにおいて消去放電を行い、その消去放電が行われるまでの維持期間のみ維持発光を行う駆動方法において、壁電荷状態が非常に不安定な自己消去放電を用いずに、壁電荷調整波形を用いることで、書込み動作の前の壁電荷状態を安定に保ち、予期しない不灯セルや輝点セルの発生を防止し、映像の品位を高めることができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態によるプラズマディスプレイ装置の駆動方法を説明するための駆動波形図
【図2】本発明の効果を説明するためのセル内壁電荷分布図
【図3】本発明における駆動シーケンスを示す説明図
【図4】本発明の他の実施の形態による駆動シーケンスを示す説明図
【図5】本発明の他の実施の形態による駆動シーケンスを説明するための説明図
【図6】従来の駆動方法における駆動波形図
【図7】従来の駆動シーケンスを説明するための説明図
【図8】従来の課題を説明するためのセル内壁電荷分布図
【図9】プラズマディスプレイ装置のパネル構造を一部を切り欠いて示す斜視図
【図10】同プラズマディスプレイ装置のパネル本体の電極配列を示す説明図
【符号の説明】
21 初期化期間
22 書込み期間
23 維持期間
24 壁電荷調整期間
Claims (3)
- 少なくとも前面側が透明な一対の基板を基板間に放電空間が形成されるように対向配置するとともに前記放電空間を複数に仕切るための隔壁を少なくとも一方の基板に配置し、かつ前記隔壁により仕切られた放電空間で放電が発生するように基板に電極群を配置するとともに放電により発光する蛍光体層を設けたパネル本体を有するプラズマディスプレイ装置の駆動方法であって、
一つのフィールドを複数のサブフィールドに分割し、そのうちの複数の連続したサブフィールドをサブフィールド群と定義すると、そのサブフィールド群の先頭部分において、パネル本体の全てのセルを点灯状態にする初期化期間と、そのサブフィールド群中のサブフィールド毎にセルを選択的に消去放電する書込み期間と、消去放電を行っていないセルに対してのみ維持放電を行う維持期間とを有し、
前記サブフィールド群の初期化期間の維持発光期間を含むあるサブフィールドの維持期間と次のサブフィールドの書込み期間との間に壁電荷調整期間を設けたことを特徴とするプラズマディスプレイ装置の駆動方法。 - 壁電荷調整期間は、走査電極に緩やかに電圧が変化する壁電荷調整波形を、走査電極とデータ電極に蓄えられた壁電荷のうち、互いの壁電荷量を減少させる方向へ印加するものであることを特徴とする請求項1記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
- 壁電荷調整波形の傾きは、10V/μs以上であることを特徴とする請求項2記載のプラズマディスプレイ装置の駆動方法。
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