JP2004193163A - 車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下面Bに電磁波発振部品11を、上面Aにコネクタ15を各々備えた制御基板2が、電磁波シールド性を有するケース4に、該ケース4の開口部4aを閉塞するように上面Aを外側にした状態で取り付けられることを特徴とする。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、エアバック制御装置等、車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造に関する。詳細には、車両用電子制御ユニットの外部から制御回路に作用するノイズ(ラジオノイズ・無線機試験ノイズ等)に対して、該ノイズを受けないように制御回路を遮蔽すると共に、制御回路から発振して周囲環境に影響を及ぼすノイズを抑制する構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エアバック制御装置等、車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造としては、CPU等、ノイズと成り得る特定の周波数の電磁波を発振する電子部品(電磁波発振部品)を金属性の電磁波シールド板を用いて覆ったり(例えば、特許文献1参照。)、該制御ユニット内のコネクタのリードピンにノイズが侵入しないよう、コネクタ近傍のユニットケースにコネクタ配置部位と制御回路形成部位との隔壁を形成したり(例えば、特許文献2,3参照。)したものがある。
【0003】
【特許文献1】
特開2002−9478号公報
【特許文献2】
特開平11−330738号公報
【特許文献3】
特許第2999261号明細書
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の技術において、発振子を覆う電磁波シールド板を設けることは車両用電子制御ユニットの部品点数を増加させることとなる。また、ユニットケースに隔壁を形成する場合でも、ノイズのコネクタへの侵入を効果的に防止するためには制御基板の両面に別途導体層を設ける等の必要があり、車両用電子制御ユニットの構成が複雑化してコストアップにつながるという問題がある。
そこで、この発明は、簡易な構成で基板のEMC(Electromagnetic Compatibility)対策を実施できると共に、車両用電子制御ユニットの小型軽量化を図ることができる車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造を提供する。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決手段として、請求項1に記載した発明は、一方の面に電磁波発振部品を、他方の面にコネクタを各々備えた制御基板が、電磁波シールド性を有するユニットケースに、該ユニットケースの開口部を閉塞するように前記他方の面を外側にした状態で取り付けられることを特徴とする車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造を提供する。
【0006】
この構成によれば、制御基板をユニットケースに取り付けると共にユニットケースの開口部を閉塞し、電磁波発振部品をユニットケース及び制御基板の基板本体とで遮蔽することができるため、電磁波発振部品から発振されたノイズがコネクタ及び外部の電子部品に侵入することを防止できると共に、外部の電子部品等からのノイズを遮断することができる。また、電磁波発振部品とコネクタとの間に制御基板の基板本体が設けられることで、電磁波発振部品からのノイズを基板本体の導体層により遮断することができる。
【0007】
請求項2に記載した発明は、前記制御基板が多層基板からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造を提供する。
【0008】
この構成によれば、制御回路を形成するための導体層の他に、電磁波遮蔽用の導体層を予め設定することができる。
【0009】
請求項3に記載した発明は、前記ユニットケースの前記制御基板と対向する部位に、前記電磁波発振部品の周囲を取り囲む遮蔽壁を突出形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造を提供する。
【0010】
この構成によれば、電磁波発振部品の周囲が、ユニットケース、遮蔽壁、及び前記基板本体により閉塞されることとなり、電磁波発振部品から発振されたノイズがコネクタ及び外部の電子部品に侵入することを防止できると共に、外部の電子部品等からのノイズを遮断することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1において、1は車両のエアバック制御装置等の制御ユニット(車両用電子制御ユニット)であり、制御回路が形成された制御基板2を扁平状の箱型に形成されるユニットボックス3内に収容してなるものである。
ユニットボックス3は、上方に開口する開口部4aを有するケース4(ユニットケース)と、該ケース4の上方から装着されるカバー5とに分割構成されることで、ユニットボックス3内に制御基板2を収容可能となっている。
【0012】
ケース4は、電磁波シールド性を有する例えばアルミダイキャストにより構成されている。ケース4の各隅部には台座6が各々設けられ、これら各台座6により制御基板2がケース4の底壁7と対向するように固定される。また、ケース4の底壁7には、上方に向かって、つまり制御基板2に向かって突出するリブ(遮蔽壁)8が形成され、このリブ8が台座6に固定された制御基板2の基板本体10の下面Bに当接するようになっている。なお、ケース4の外周部にはカバー5を固定するための係止爪9が複数設けられている。
【0013】
制御基板2は、略正方形の基板本体10に各種電子部品等が実装されたものである。基板本体10は、多層基板(例えば二層基板)であって、上面A、下面Bが共にリフローのSMD基板として構成されている。そして、基板本体10の下面B、つまりケース4側の面には、デジタル素子(CPU、メインセンサ、電源IC)、発振回路(水晶振動子、クロック)、大電流駆動半導体素子、及び高速スイッチング半導体素子等、ノイズと成り得る電磁波の発振源となる電磁波発振部品11が実装されると共に、上面Aには、電解コンデンサ、コネクタ、セーフィングセンサ、ダイオード、及びその他の抵抗やコンデンサ等、下面Bに実装された電磁波発振部品11と比べてノイズと成り得る可能性が低く、かつ実装面からの突出高さが高い突出部品12が実装されている。
【0014】
この制御基板2が、コネクタ等の突出部品12が実装された上面Aをケース4の外側にした状態で、つまり各電磁波発振部品11が実装された下面Bをケース4内に向けた状態でケース4に取り付けられてケース4の開口部4aを閉塞することで、電磁波発振部品11がケース4の内部に遮蔽された状態で収容される。基板本体10の各コーナ部には、ケース4の各台座6に対応するビス孔13が設けられており、ケースの台座に締め込まれるビス等により基板本体10の各コーナ部が共締めされることで、制御基板2がケース4に固定されるようになっている。
【0015】
カバー5は樹脂製とされ、下方に開口する扁平状の箱型に形成されている。このカバー5が、制御基板2が固定されたケース4にその上方から装着され、カバー5の外周部に設けられた係合孔14がケース4の係止爪9に係合することで、ケース4にカバー5が係止されるようになっている。
ここで、前記突出部品12の内のコネクタ15は、そのリードピン16が基板本体10の上面Aから略垂直に立設されるように配設されており、カバー5の上壁17には、コネクタ15に対応する位置に開口部18が設けられてコネクタ15のリードピン16をユニットボックス3の外部に露出可能とされている。なお、カバー5の外周部には、制御ユニット1を車体等に固定するための一対のマウント部19が設けられている。
【0016】
図2に示すように、基板本体10の下面Bに実装される電磁波発振部品11は、上面Aに実装された突出部品12と比較して実装面からの突出高さが低い部品のみとされているため、基板本体10の下面Bとケース4の底壁7との間隔は比較的狭くされている。そして、ケース4の開口部4aを閉塞する制御基板2の上面Aにコネクタ15が、下面Bに電磁波発振部品11が各々実装されることで、コネクタ15と電磁波発振部品11との間に多層基板である基板本体10が設けられることとなる。
【0017】
ここで、ケース4の底壁7に突出形成されるリブ8は、図3に示すように、基板本体10の下面Bの導体層に実装された電磁波発振部品11の周囲を四方から取り囲むように形成され、かつ、リブ8が台座6と同一高さとされることで、リブ8の先端が基板本体10の下面Bに当接するようになっている。これにより、ケース4の底壁7、リブ8、及び基板本体10により電磁波発振部品11の周囲が閉塞されることとなる。また、コネクタ15はリブ8で囲まれた範囲の外側に配設されており、基板本体10に実装されるコネクタ15のリードピン16もリブ8で囲まれた範囲の外側に位置している。
【0018】
上記実施の形態によれば、上面Aにコネクタ15を、下面Bに電磁波発振部品11を各々実装された制御基板2が、ケース4内に、ケース4の開口部4aを閉塞するように上面Aを外側にした状態で取り付けられることで、コネクタ15と電磁波発振部品11との間に多層基板である基板本体10が設けられることとなり、基板本体10の下面Bに実装された電磁波発振部品11であるデジタル素子や発振回路等からレベルの高いノイズ信号が発振されたり、これらの出力信号に応じて動作する大電流駆動半導体素子や高速スイッチング半導体素子からパルス性の強いノイズ信号が発振されたりしても、基板本体10の導体層により各ノイズがグランドに落とされて基板本体10の上面A側には至らず、コネクタ15のリードピン16にノイズが侵入することを抑制できる。
【0019】
また、ケース4の底壁7に突出形成されるリブ8が、ケース4の内部に収容された電磁波発振部品11の周囲を取り囲むと共にリブ8の先端部が基板本体10の下面Bの導体層に当接することで、電磁波発振部品11をケース4、リブ8、及び基板本体10で遮蔽することができ、電磁波発振部品11から発振されたノイズがコネクタ15及び外部の電子部品に侵入することを防止できると共に、外部の電子部品等からのノイズを遮断することができる。ここで、コネクタ15のリードピン16がリブ8で囲まれた範囲の外側に位置しているため、リードピン16の実装部分からの電磁波の侵入も防止することができる。
【0020】
さらに、基板本体10の上面A側は電磁波をシールドする必要が無くなるため、ユニットボックス3の上部を構成するカバー5を樹脂製とすることができ、カバー5を電磁波シールド性を有する例えばアルミダイキャスト等とした場合と比べて制御ユニット1の軽量化を図れると共に、樹脂化によってカバー5の金型寿命が延び、制御ユニット1の製造コスト低減を図ることができる。
【0021】
なお、この発明は上記実施の形態に限られるものではなく、例えば、基板本体10を四層基板とし、IVH(インターナルバイアホール)等により何れかの導体層を切り欠きや孔のない平坦なグランド層とすることで、より一層電磁波シールド性を高めることができる。
また、制御ユニット1が、人の目や手に触れることのない例えばエアバック制御装置等であれば、カバー5を廃止し、厚めのスプレーコーティング又は熱収縮チューブのポッティング材を注入するのみとして、制御ユニット1の小型化及び軽量化をさらに図ることもできる。このとき、基板本体10の下面Bに実装された電磁波発振部品11の実装面からの突出高さは比較的低くされているため、ケース4が浅く形成されており、制御ユニット1のより一層の小型軽量化を図ることができる。
【0022】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1に記載した発明によれば、制御基板がコネクタを備えた面を外側にしてユニットケースに取り付けられると共にユニットケースの開口部を閉塞することで、基板本体を有効利用して電磁波発振部品を遮蔽することができ、車両用電子制御ユニットの小型軽量化を図ることができる。また、電磁波発振部品とコネクタとの間に制御基板の基板本体が設けられることで、電磁波発振部品からのノイズを基板本体の導体層により遮断することができ、コネクタのリードピンにノイズが侵入することを抑制できる。
【0023】
請求項2に記載した発明によれば、制御回路を形成するための導体層の他に、電磁波遮蔽用の導体層を予め設定することで、切り欠きや孔のない平坦な導体層を容易に設けることができ、確実にノイズを遮蔽することができる。
【0024】
請求項3に記載した発明によれば、電磁波発振部品の周囲がユニットケース、遮蔽壁、及び基板本体により閉塞されることで、電磁波発振部品が確実に遮蔽されるため、簡易な構成で電磁波発振部品のノイズ遮蔽性を確実に高め、車両用電子制御ユニットの小型軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態における制御ユニットの分解斜視図である。
【図2】図1におけるC−C線に沿う断面説明図である。
【図3】図2におけるD−D線に沿う断面説明図である。
【符号の説明】
1 制御ユニット(車両用電子制御ユニット)
2 制御基板
4 ケース(ユニットケース)
4a 開口部
8 リブ(遮蔽壁)
11 電磁波発振部品
15 コネクタ
Claims (3)
- 一方の面に電磁波発振部品を、他方の面にコネクタを各々備えた制御基板が、電磁波シールド性を有するユニットケースに、該ユニットケースの開口部を閉塞するように前記他方の面を外側にした状態で取り付けられることを特徴とする車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造。
- 前記制御基板が多層基板からなることを特徴とする請求項1に記載の車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造。
- 前記ユニットケースの前記制御基板と対向する部位に、前記電磁波発振部品の周囲を取り囲む遮蔽壁を突出形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2に項記載の車両用電子制御ユニットのノイズ遮蔽構造。
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