JP2004188012A - 医療器械 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を提供し得る医療器械を提供することである。また、本発明の他の目的は、第2把持部のブレードの形状を選択することにより、切開性能と凝固性能を任意に変更し得る医療器械を提供することである。
【解決手段】前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械1は、生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように保持固定する断熱性の保持部材と、凸状の刃部を有する刃状部材と、前記刃部が前記加熱面に当接した状態と非当接の状態に可動操作する操作部とを具備している。
【選択図】 図3
【解決手段】前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械1は、生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように保持固定する断熱性の保持部材と、凸状の刃部を有する刃状部材と、前記刃部が前記加熱面に当接した状態と非当接の状態に可動操作する操作部とを具備している。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉可能な一対のジョーの間で生体組織を把持した状態で生体組織を加熱し、生体組織の凝固および凝固部位の切開などの加熱処置を行う医療器械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に発熱体を発熱させて生体組織の凝固や凝固した生体組織の切開などの加熱処置を行う医療器械が知られている。この医療器械は、生体組織を把持するように開閉する一対の把持部(ジョー)を備え、把持部の一方または両方に発熱体を有している。この医療器械は、生体組織を把持した状態で、通常、生体組織に含まれる血管の止血や生体組織の表層の病変部や出血部の焼灼並びに凝固、避妊を目的とした卵管の閉塞など多様な手術症例に用いられている。なお、この医療器械は、生体組織の凝固、及び凝固した生体組織の切開などの加熱処置を行う。
【0003】
また、生体組織の止血、焼灼、凝固、閉塞あるいは切開などのさまざまな処置を行う場合には、それに先立って予め剥離鉗子などの手術器具により、目的組織および周辺組織を機械的に圧排し、把持し、剥離するなどの各作業を行い、内視鏡の視野や医療器械の作業領域を確保する手術操作が行われる。
【0004】
例えば、特表2001−522622号公報(特許文献1参照)には、血管を密封して止血するための双極型(バイポーラ型)電気外科手術器具が開示されている。この手術器具では、器具先端のジョーにソケットを設け、このソケットに電極板が着脱自在に取付けられる構造が開示されている。この手術器具は、生体組織に直接電流を流して凝固効果を得るものである。
【0005】
この特表2001−522622号公報の手術器具では、手術中でも容易に電極板あるいは導電ワイヤをジョーから取外し、新品に交換して電気絶縁を確実に保てるようになっている。このため、この手術機具は、電極板や導電ワイヤの周囲の電気絶縁が破損した際に、予期せぬ電流経路が生じて、治療目的とする生体組織以外の部位にダメージを与えることを、上記交換により、防止している。
【0006】
また、特開2001−198137号公報(特許文献2参照)には相対的に開閉する一対の把持部の少なくとも一方にセラミックヒーターなどの発熱素子を設けた手術器械が開示されている。
【0007】
この器械において、一方の把持部には、生体組織と接触する刃物形状に突出した発熱板(処置部)が設けられている。発熱体が設けられており、この発熱板には熱源部である発熱素子が固定され、そして発熱素子で発生した熱を発熱板に伝える。この発熱板は、接触し、あるいは圧迫された生体組織の加熱処置が行えるようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特表2001−522622号公報(第8−12頁、 図1)
【0009】
【特許文献2】
特開2001−198137号公報(第3−8頁、 図3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特表2001−522622号公報に開示される手術器具の場合、一対のジョーにそれぞれ設けられている電極板の間に治療目的とする生体組織を挟持し、組織に直接高周波電流などを流して生体組織の凝固や切開を行うものであり、それぞれの電極の表面が汚れなどにより抵抗値が変化してしまう恐れがあり、処置効果が安定しないといった問題がある。
【0011】
また、特開2001−198137号公報に開示される手術器械では、前記刃部全体が露出している。このため、厚い脂肪で覆われた組織や血液などの体液あるいは生理食塩水で覆われた組織を処置しようとした場合、前記刃部全体が、前記体液或いは生理食塩水に浸かってしまう。このため、前記発熱板の熱の多くは、前記体液或いは生理食塩水に逃げてしまい、十分な加熱処理を行えない恐れを有している。
【0012】
また、上記2つの手術器械は、組織の切開能力と凝固能力が固定であるため、手術のスピードを上げるために切開能力を優先させたり、手術の安全性(止血の確実さ)を上げるために凝固能力を優先させるといった選択あるいは切換が出来ない。
【0013】
[発明の目的]
本発明は上記事情に着目してなされたもので、本発明の目的は、生体組織に直接電流を流すことなく安全な処置を行うことができ、且つ、手術野の脂肪や血液などの体液や生理食塩水などの状態に影響されることなく凝固や切開などの処置効果を安定して得ることができる医療器械を提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、切開性能と凝固性能を任意に変えることができる医療器械を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の医療器械は、以下の如く構成される。
【0016】
本発明の一態様の医療器械は、一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械において、
通電によって発熱し、前記生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、
前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように前記収容部により保持固定する断熱性の保持部材と、
凸状の刃部を有する刃状部材と、
を具備し
前記操作部は、前記刃部を前記加熱面に当接した状態と非当接の状態とに前記加熱面に対して相対的に可動操作可能であることを特徴とする。
【0017】
上記構成に示すように、前記保持部材は、断熱性であるとともに、加熱面が自身の外表面に対して内側に窪むように保持固定する。このため、発熱部の熱が、加熱面に集中するとともに、処置中において周囲の体液などにより熱が奪われにくい。従って、本態様の医療器械は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0018】
また、本態様の医療器械は、凸状の刃部を有している刃状部材を具備している。このため、前記刃部と前記加熱面との間に生体組織を挟み込んで閉じた際に、凸状の刃部の先端のみが、前記内側に位置した加熱面まで到達し、当接する。従って、前記刃状部材は、凸状の刃部を有していない場合と比べて、対象組織を脂肪や生理食塩水あるいは体液中から持ち上げやすい。従って、本態様の医療器械は、加熱面が前記体液中に浸ることなく、直接目的の組織に熱を伝えることが可能であり、安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0019】
また、本発明の他の態様の医療器械は、一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械において、
通電によって発熱し、前記生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、
前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように前記収容部により保持固定する断熱性の保持部材と、
凸状の刃部を有する刃状部材と、
を具備し、
前記操作部は、前記刃部を前記加熱面に当接した状態と非当接の状態とに前記加熱面に対して相対的に可動操作可能であり、
上記加熱面と刃部との接触面積は、変更可能であることを特徴とする。
【0020】
上記構成に示すように、本態様の医療器械は、前記耐熱性の保持部材により、前記加熱面の熱を確実に対象の組織に伝え、安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0021】
また、加熱面と刃部との接触面積が変更可能であるため、本態様の医療器械は、切開性能と凝固性能を任意に変えることが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
まず、第一の実施の形態に従った医療器械ついて図1乃至3を用いて説明する。
【0024】
(構成)(作用)
図1は、本実施の形態に従った医療器械のシステム全体を示すものである。この医療器械1は、鋏鉗子型の処置具2と、処置具2に電源を供給する電源装置3と、電源装置3のON−OFFや、処置具2の出力設定の調整などの制御をするためのフットスイッチ12とを有している。処置具2は、電源装置3にケーブル11で連結され、電源装置3にはフットスイッチ12が接続されている。
【0025】
処置具2は、操作部である一対の略直線上の操作アーム(第1操作アーム4及び第2操作アーム5)を有している。これらの第1並びに第2操作アーム4,5は、中間部分で共通の回転軸6を介して連結され、この回転軸6を中心に自由に回転できるようになっている。
【0026】
また、これら第1並びに第2操作アーム4,5の回転軸6よりも先端部側には、それぞれ、開閉可能な一対の把持部(第1把持部7及び第2把持部8)が設けられている。具体的には、第1操作アーム4の先端部側には、第1把持部7、第2操作アーム5の先端部側には第2把持部8が設けられている。
【0027】
また、これら第1並びに第2操作アーム4,5の手元側には、術者が指を入れて処置具を操作するためのリング部9,10が設けられている。このリング部9、10を開閉方向に操作することにより、第1把持部7と第2把持部8とは、相対的に開閉する。
【0028】
以下に、図2(a)、(b)、及び図3を参照して、第1把持部7及び第2把持部8を詳しく説明する。図2(a)は、図1中の処置具2の第1把持部7及び第2把持部8を示す、前記処置具の開閉方向並びに長手方向に沿った概略的な断面図である。図2(b)は、図1中の第1把持部7を示す前記処置具の開閉方向と直交する方向に沿った概略的な断面図である。図3は、前記処置具の開閉方向に沿っているとともに前記長手方向と直交する方向に沿った図1中の処置具2を示す概略的な断面図である。
【0029】
図2(a)に示すように、第1把持部7及び第2把持部8の外側には、滑らかで、先端に向かって緩やかに細くなる形状を有する剥離面7b,8bが形成されている。図2(b)に示すように、第1把持部7及び第2把持部8は開閉運動をする面に対して垂直な平面上で湾曲する湾曲部7a,8aを有している。
【0030】
この処置具2は、第1把持部7及び第2把持部8を閉じた状態で、第1並びに第2剥離面7b,8bにより、術部に接触する手術操作を行う。この手術操作の具体例としては、第1並びに第2剥離面7b,8bにより、生体組織を擦ったり、組織の間に差し込んだりして、組織などの移動や除去、組織間の剥離を行うことや先端により、血管や神経などの索状組織を扱うことなどである。前記第1並びに第2剥離面7b,8bが、先端に向かって緩やかに細くなっているとともに、滑らかに形成されているため、上記手術操作を安全に、確実に行うことができる。
【0031】
図2(a)、図2(b)および図3に示すように、第1把持部7の内側には、略ドーム型の断面形状を有する断熱枠13が設けられている。断熱枠13はフッ素樹脂やシリコーンゴム、セラミックスなど熱を伝えにくい材料からなっている。前記ドーム形状の断熱枠13は、前記生体組織を加熱するための発熱部を収容する収容部を構成している。
【0032】
前記発熱部は、通電により発熱する発熱体15と、発熱体15の熱を受け取って生体組織の加熱処置を行う伝熱部16とを有している。
【0033】
発熱体15としては、シリコーン半導体やモリブデン薄膜抵抗などの熱発生素子や、ニクロム線などのように電気を熱に変換する物が用いられる。
【0034】
伝熱部16は、銅、銅合金、アルミニウム合金、タングステンあるいはモリブデン等、熱を効率良く伝える材料により形成されている。また、伝熱部16は、生体組織を加熱するための加熱面である下面16aを有している。この下面16aは、図2(a)及び図3に示すように、断熱枠13の下面13aより内側に(図2(a)及び図3中において上方に)引っ込むように、収容部中に配置されている。言い換えると、処置具2の開閉方向において、下面13aが、下面16aよりも、第2把持部側に突出している。
【0035】
第1把持部7の下面7cもまた、伝熱部16の下面16aよりも図3中において上方に引っ込む位置に設定されている。なお、伝熱部16の下面16aは、生体組織や血液が付着するのを防ぐためにフッ素樹脂などの薄く非粘着性の皮膜が施されている。なお、本実施の形態の伝熱部16には、発熱素子である発熱体15が3つの取付けられ、これらの熱が伝えられる。なお、発熱体15は、第1把持部7や第2把持部8の長さや太さなどに応じて、また、処置に必要とされる総熱量に応じて、1つ、2つ、あるいは4つ以上でも良い。
【0036】
なお、本実施の形態において、発熱素子である発熱体15には、図2(a)、図2(b)に示すように、各発熱体15には電気を供給するための複数のリード線18が接続されている。各リード線18は、それぞれ後方(先端に対してリング部9,10側)に向けて延出されている。各リード線18は伝熱部16の後端の近傍で1つに束ねられ、更に手元側に伸びて、前述のケーブル11に接続されている。
【0037】
一方、図3に示すように、第2把持部8は、ブレード19と、ブレード保持部19aとを有している。
ブレード19は、刃状部材であり、図3中に示すように、伝熱部16の下面16aと対向するように設けられている。このブレード19の下端部は、ブレード保持部19aにより固定されている。ブレード19は、断面形状が、伝熱部に向かって(上に向かって)細くなるように形成されている。より詳細には、ブレード19は、第2把持部8の幅方向においての中央部に先端が位置するように、伝熱部16に向かう方向において、先端が細くなるような凸形状の刃部を有している。このブレード19の刃部は、先端に幅の狭い稜線部20を有している。
【0038】
前記稜線部20は、第1把持部7と第2把持部8を閉じた際に、全長にわたって伝熱部の下面16aに当接する。また、ブレード19は、シリコーンゴムやフッ素樹脂などその柔らかい材料からなり、伝熱部の下面16aと稜線部20が多少傾いていても、第1把持部7と第2把持部8とを強く閉じることで、稜線部20の全体が下面16aに当接可能である。
【0039】
ブレード保持部19aは、第1把持部7と対面する面である上面8bに設けられた溝である。ブレード保持部19aは、長手方向に沿って、ブレード19の全長に渡って延びている。また、ブレード保持部19aは、自身の長手方向に沿って、剛性のあるリブ21を有している。リブ21は、前記溝中において、ブレード保持部の長手方向と直交する方向の略中央部に配置されている。このリブ21は、ブレード19中に延びており、ブレードの横方向の倒れを防いでいる。
【0040】
(効果)
上記構成に示すように、前記伝熱部16は、断熱枠13中に収容されて、加熱面である下面16aのみが外部に露出するように形成されている。これとともに、下面16aは、断熱枠13の下面13aに対して内側に位置している。このため、伝熱部16は、発熱体15の熱が、下面16aに集中するとともに、処置中において周囲の体液などにより熱が奪われにくい。従って、本実施の形態の医療器械1は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施の形態の第2把持部8は、凸状の刃部を備えているブレード19を有している。これともに、第1把持部と第2把持部の間に治療目的とする組織を挟み込んで閉じた際に、ブレード19の稜線部20のみが、前記内側に位置した下面16aまで到達し、当接する。このため、処理対象の部位のみを下面16aに当接させることが出来、前記発熱部の熱が奪われにくいとともに、より確実に対象部位に対して加熱処理を行い得る。なお、ブレード19は、凸形状であるため、対象組織を脂肪や生理食塩水あるいは体液中から持ち上げやすい。このように、対象組織を持ち上げた場合、下面が、前記体液などに接触することを防止し、下面16aの熱を、直接目的の組織に伝え、安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を図4、図5(a)、図5(b)を用いて説明する。図4は、本実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。図5(a)は、図4中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図5(b)は、ブレード交換後の図5(a)中の処置具を示す断面図である。なお、本実施の形態の医療器械1において、第1の実施の形態と同一な構成部材については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0043】
(構成)(作用)
第1把持部27は、第1の実施の形態の第1把持部7と同様に構成されているが、伝熱部30の構成が、第1の実施の形態の伝熱部16と異なっている。
【0044】
本実施の形態の伝熱部30は、下面30aを有している。この下面30aは、第1の実施の形態と同様に、断熱枠13の下面13aより内側に(図4中上方に)引っ込むように位置決めされている。本実施の形態の伝熱部の下面30aは、少なくとも1本の幅の狭いリブ31と、その両隣に少なくとも2本の溝32と、平面部36とを有している。リブ31並びに溝32は、それぞれ長手軸方向において、伝熱部30の全長に渡って延びている。
【0045】
リブ31は、第1の実施の形態の稜線部20と略同一の幅を有しており、第1把持部27の幅方向の略中央に先端が位置するように形成されている。平面部36は、溝32の両脇に延びており、リブ31と実質的に面一に構成されている。
【0046】
本実施の形態の第2把持部33は、第1の実施の形態と同様に構成されているが、ブレードを交換可能に構成されている。具体的には、本実施の形態の第2把持部33は、ブレード保持部19aに保持されるブレード19を交換可能である。図5(a)中には、第1の実施の形態のブレード19を保持しているブレード保持部19aが示されている。また、図5(b)中には、ブレード19より稜線部が幅広のブレード34に交換後のブレード保持部19aが示されている。なお、ブレード34は、リブ31とその両隣の溝32よりも幅が広い稜線部35を有している。即ち、稜線部35は、幅方向において、溝32を越えて平面部36と対面する位置まで延びている。
【0047】
ブレード19の稜線部20の幅と、リブ31の幅は、実質的に一致している。このため、図5(a)中の処置具2においては、第1把持部27と第2把持部33を閉じた時、稜線部20がこのリブ31とだけに当接する。従って、この処置具2は、第1の実施の形態と同様の効果を有している。
【0048】
また、ブレード34の稜線部35の幅は、平面部36まで延びている。このため、図5(b)中の処置具2においては、第1把持部27と第2把持部33を閉じた時、稜線部35が、リブ31並びに平面部36に当接する。
【0049】
(効果)
本実施の形態の処置具2は、ブレードに交換が可能である。これにより、本実施の形態の処置具2は、交換するブレードの稜線部の幅を変更することにより、下面30aと、ブレードとの接触面積を変更し得る。これにより、処置具2は、生体組織に対する加熱処理幅を任意に変更し得る。具体的には、第2把持部33のブレードの稜線部の幅を狭くした場合は、ブレードと伝熱面の間で目的とする組織を線状に(局所的に)把持して熱を加えられるので、より切断しやすくなる。また、ブレードの稜線部の幅を広くした場合は、ブレードと伝熱面の間で組織を面状に(幅広く)把持して熱を加えられるので、組織を広く均一に焼灼することができる。
【0050】
また、本実施の形態の伝熱部30は、幅方向の中央部にリブ31を有している。本実施の形態の処置具2は、このように生体組織をリブ31のみに接触させ得るため、より確実に、局所的に対象の生体組織のみを加熱処理し得る。
【0051】
また、本実施の形態において、ブレード交換時において、ブレードの幅のみを変更しているが、長手方向の寸法並びに高さを変更することも可能であるし、材質(強度、熱伝導率等)を変更することも可能である。また、ブレードの断面形状も前記交換により任意に変更し得る。例えば、稜線部35が、本実施の形態のように平面のものから、湾曲したものへの変更や、先端部が鋭利なブレートに変更することも可能である。この変更により、本実施の形態の処置具2は、生体組織に対する切断能及び加熱処理能を変更し得る。
【0052】
なお前記ブレードの交換において、同一の第2把持部33に対してブレードのみを交換可能に交換しても良いし、第2把持部とブレードが一体になったまま、第2把持部ごと交換可能であっても良い。
【0053】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を図6、図7(a)、並びに図7(b)を用いて説明する。図6は、本実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。図7(a)は、図6中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図7(b)は、ブレード交換後の図7(a)中の処置具を示す断面図である。なお、本実施の形態の医療器械1において、第1又は第2の実施の形態と同一な構成部材については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0054】
(構成)(作用)
第1把持部37は、第2の実施の形態の第1把持部27と同様に構成されているが、伝熱部40の構成が、第2の実施の形態の伝熱部30と異なっている。
【0055】
本実施の形態の伝熱部40は、下面40aを有している。この下面40aは、第2の実施の形態と同様に、断熱枠13の下面13aより内側に(図6中上方に)引っ込むように位置決めされている。本実施の形態の伝熱部の下面40aは、第2の実施の形態のリブ31と同様なリブ41と、溝32と同一構成の溝42とを複数有している。より具体的には、リブ41は、伝熱部40の幅方向の中央部から当ピッチで、幅方向両側に均等に配列され、各リブ41に隣接するように溝42が形成されている。リブ41並びに溝42は、それぞれ伝熱部30の長手方向において、伝熱部30の全長に渡って延びている。
【0056】
本実施の形態の第2把持部43は、第2の実施の形態の第2把持部33と同様に構成されている。図7(a)中には、第1の実施の形態のブレード19を保持しているブレード保持部19aが示されている。また、図7(b)中には、ブレード19より稜線部が幅広のブレード44に交換後のブレード保持部19aが示されている。なお、ブレード44は、幅方向において、平面部36と対面する位置まで延びている稜線部45を有している。
【0057】
図7(a)中に示すように、第2把持部43にブレード19が装着されている場合、第2の実施の形態と同様に、第1把持部37と第2把持部43を閉じた時、稜線部45が、中央の1つのリブ41とだけに当接する。従って、この処置具2は、第1の実施の形態と同様の効果を有している。
【0058】
図7(b)中に示すように、第2把持部43にブレード44が装着されている場合、第1把持部37と第2把持部43を閉じた時、稜線部45が、全てのリブ41並びに平面部36と当接する。
【0059】
(効果)
本実施の形態の処置具2は、ブレードの交換が可能であるため、第2の実施の形態と同様な効果を得ることが出来る。
【0060】
また、本実施の形態の処置具2は、リブ41が広い範囲に渡って均等に配列されているため、ブレードの稜線部の幅を広くした場合、生体組織をより均一に加熱処理することができる。なお、第1把持部の伝熱面のリブの幅及び溝のピッチを狭くした場合、上記処置具2は、より均一に加熱処理し得るため好ましい。
【0061】
また、本実施の形態の処置具2は、複数のリブ41を有しているため、ブレードの変更により、幅方向の任意に位置のリブ41とブレードが当接するように変更し得る。また、任意の数のリブ41のみにブレードが当接するように、前記ブレードを構成することも可能である。従って、本実施の形態の処置具2は、加熱処理部位をブレードの交換により任意に設定し得る。
【0062】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態を図8、図9(a)、並びに図9(b)を用いて説明する。図8は、本実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。図9(a)は、図8中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図9(b)は、第2把持部交換後の図9(a)中の処置具を示す断面図である。なお、本実施の形態の医療器械1において、第1の実施の形態と同一な構成部材については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0063】
(構成)(作用)
第1把持部47は、第1の実施の形態の第1把持部7と同様に構成されているが、伝熱部50の構成が、第1の実施の形態の伝熱部16と異なっている。
【0064】
本実施の形態の伝熱部50は、図8中に示すように、2つの肩部52と、下面50aとを有している。肩部52は夫々、第2把持部53と対面するとともに、伝熱部50の幅方向においての両端に配置されている。また、肩部52は、断熱枠13の下面13aより内側に(図8中上方に)引っ込むように位置決めされている。
【0065】
下面50aは、両脇の肩部52よりも中央部が奥に引っ込んだ湾曲した略凹形状を有している。従って、下面50aは、前記凹部により形成される傾斜面を有している。なお、下面50aが凹状であるため、この傾斜面は、本明細書中において、凹状の傾斜面と呼ぶ。下面50aは、前記凹状の傾斜面により、前記下面16aが平面である第1の実施の形態よりも表面積が増大している。
【0066】
また、下面50aの中心部には、比較的幅が狭いリブ51が設けられている。また、リブ51の先端は、第2把持部53に向かう方向において、肩部52より低く形成されている。これら肩部52及びリブ51はそれぞれ、長手軸方向に、伝熱部50の全長に渡って延びている。
【0067】
本実施の形態の第2把持部は、ブレードと一体的に形成されており、第1把持部47に対して交換可能になっている。本実施の形態において、処置具2は、互いに異なるブレードを有している第2把持部53aと、第2把持部53bとに交換可能である。具体的には、第2把持部53aは、図9(a)に示されるようにリブ51の幅と実質的に同一な幅の稜線部54aを備えているブレード55aを具備している。第2把持部53bは、図9(b)に示されるように、図9(a)中の稜線部54aより広い稜線部54bを備えているブレード55bを具備している。
【0068】
ブレード55bは、前記下面の傾斜面と略同一角度で傾斜した傾斜面を有している。なお、ブレード55bは、凸状であるため、これの傾斜面は、本明細書中におてい、凸状の傾斜面と呼ぶ。また、第2把持部53bにおいて、ブレード55bは、自身の凸状の傾斜面が、第1把持部47の前記凹状の傾斜面と相対的に噛み合うように、位置決めされている。
【0069】
図9(a)中の処置具2において、第1把持部47と第2把持部53aを閉じた時、稜線部54aは、リブ51のみに当接する。従ってこの処置具2は、第1の実施の形態と同様の効果を有している。
【0070】
図9(b)中の処置具2において、第1把持部47と第2把持部53bを閉じた時、稜線部54bは、両脇の肩部52とに同時に当接する。このとき、前記凹状の傾斜面と、凸状の傾斜面が当接する。
【0071】
なお、第2把持部53aの稜線部54aと第2把持部53bの稜線部54bは、それぞれ、柔らかなゴムなどの弾性の膜状部材である膜部56a,56bで覆われている。
【0072】
(効果)
本実施の形態の処置具2において、凹状並びに凸状の傾斜面を有しているため、下面50a並びにブレード55bが平面で有る場合に対して表面積が増大している。従って、ブレードの稜線部の幅を広くし、これらの傾斜面が当接するように構成した場合、下面50aは、より広範囲に渡って、処理対象の生体組織と当接可能である。従って、本実施の形態の処置具2は、より広範囲の生体組織を均一に焼灼することができる。
【0073】
また、稜線部54a、54bの表面には、弾性の膜部56a,56bで覆われているため、第1把持部47と第2把持部53aを閉じた時、処置対象の前記生体組織の形状に従う。従って、稜線部54a、54bは、生体組織の処置対処の領域に均一に当接する。従って、本実施の形態の処置具2は、より均一な加熱処理を可能にする。
【0074】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0075】
【発明の効果】
本発明の医療器械は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を提供し得る。
【0076】
また、本発明の医療器械は、第2把持部のブレードの形状を選択することにより、切開性能と凝固性能を任意に変更し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施の形態に従った医療器械のシステム全体を示すものである。
【図2】図2(a)は、図1中の処置具2の第1把持部及び第2把持部を示す、前記処置具の開閉方向並びに長手方向に沿った概略的な断面図である。図2(b)は、図1中の第1把持部を示す前記処置具の開閉方向と直交する方向に沿った概略的な断面図である。
【図3】図3は、前記処置具の開閉方向に沿っていると共に長手方向と直交する方向に沿った図1中の処置具を示す概略的な断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、図4中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図5(b)は、ブレード交換後の図5(a)中の処置具を示す断面図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。
【図7】図7(a)は、図6中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図7(b)は、ブレード交換後の図7(a)中の処置具を示す断面図である。
【図8】図8は、第4の実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。
【図9】図9(a)は、図8中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図9(b)は、第2把持部交換後の図9(a)中の処置具を示す断面図である。
【符号の説明】
1 医療器械
2 処置具
3 電源装置
4、5 操作アーム
7、27、37、47 第1把持部
8、33、43、53、53a、53b 第2把持部
13 断熱枠
13a 断熱枠の下面
15 発熱体
16、30、40、50 伝熱部
16a、30a、40a、50a 伝熱部の下面
19、34、44、55a,55b ブレード
20、35、45、54a,54b 稜線部
21、31、41、51、 リブ
32、42 溝
56a,56b 膜部
【発明の属する技術分野】
本発明は、開閉可能な一対のジョーの間で生体組織を把持した状態で生体組織を加熱し、生体組織の凝固および凝固部位の切開などの加熱処置を行う医療器械に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に発熱体を発熱させて生体組織の凝固や凝固した生体組織の切開などの加熱処置を行う医療器械が知られている。この医療器械は、生体組織を把持するように開閉する一対の把持部(ジョー)を備え、把持部の一方または両方に発熱体を有している。この医療器械は、生体組織を把持した状態で、通常、生体組織に含まれる血管の止血や生体組織の表層の病変部や出血部の焼灼並びに凝固、避妊を目的とした卵管の閉塞など多様な手術症例に用いられている。なお、この医療器械は、生体組織の凝固、及び凝固した生体組織の切開などの加熱処置を行う。
【0003】
また、生体組織の止血、焼灼、凝固、閉塞あるいは切開などのさまざまな処置を行う場合には、それに先立って予め剥離鉗子などの手術器具により、目的組織および周辺組織を機械的に圧排し、把持し、剥離するなどの各作業を行い、内視鏡の視野や医療器械の作業領域を確保する手術操作が行われる。
【0004】
例えば、特表2001−522622号公報(特許文献1参照)には、血管を密封して止血するための双極型(バイポーラ型)電気外科手術器具が開示されている。この手術器具では、器具先端のジョーにソケットを設け、このソケットに電極板が着脱自在に取付けられる構造が開示されている。この手術器具は、生体組織に直接電流を流して凝固効果を得るものである。
【0005】
この特表2001−522622号公報の手術器具では、手術中でも容易に電極板あるいは導電ワイヤをジョーから取外し、新品に交換して電気絶縁を確実に保てるようになっている。このため、この手術機具は、電極板や導電ワイヤの周囲の電気絶縁が破損した際に、予期せぬ電流経路が生じて、治療目的とする生体組織以外の部位にダメージを与えることを、上記交換により、防止している。
【0006】
また、特開2001−198137号公報(特許文献2参照)には相対的に開閉する一対の把持部の少なくとも一方にセラミックヒーターなどの発熱素子を設けた手術器械が開示されている。
【0007】
この器械において、一方の把持部には、生体組織と接触する刃物形状に突出した発熱板(処置部)が設けられている。発熱体が設けられており、この発熱板には熱源部である発熱素子が固定され、そして発熱素子で発生した熱を発熱板に伝える。この発熱板は、接触し、あるいは圧迫された生体組織の加熱処置が行えるようになっている。
【0008】
【特許文献1】
特表2001−522622号公報(第8−12頁、 図1)
【0009】
【特許文献2】
特開2001−198137号公報(第3−8頁、 図3)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
特表2001−522622号公報に開示される手術器具の場合、一対のジョーにそれぞれ設けられている電極板の間に治療目的とする生体組織を挟持し、組織に直接高周波電流などを流して生体組織の凝固や切開を行うものであり、それぞれの電極の表面が汚れなどにより抵抗値が変化してしまう恐れがあり、処置効果が安定しないといった問題がある。
【0011】
また、特開2001−198137号公報に開示される手術器械では、前記刃部全体が露出している。このため、厚い脂肪で覆われた組織や血液などの体液あるいは生理食塩水で覆われた組織を処置しようとした場合、前記刃部全体が、前記体液或いは生理食塩水に浸かってしまう。このため、前記発熱板の熱の多くは、前記体液或いは生理食塩水に逃げてしまい、十分な加熱処理を行えない恐れを有している。
【0012】
また、上記2つの手術器械は、組織の切開能力と凝固能力が固定であるため、手術のスピードを上げるために切開能力を優先させたり、手術の安全性(止血の確実さ)を上げるために凝固能力を優先させるといった選択あるいは切換が出来ない。
【0013】
[発明の目的]
本発明は上記事情に着目してなされたもので、本発明の目的は、生体組織に直接電流を流すことなく安全な処置を行うことができ、且つ、手術野の脂肪や血液などの体液や生理食塩水などの状態に影響されることなく凝固や切開などの処置効果を安定して得ることができる医療器械を提供することである。
【0014】
また、本発明の他の目的は、切開性能と凝固性能を任意に変えることができる医療器械を提供することである。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決し、目的を達成するために、本発明の医療器械は、以下の如く構成される。
【0016】
本発明の一態様の医療器械は、一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械において、
通電によって発熱し、前記生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、
前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように前記収容部により保持固定する断熱性の保持部材と、
凸状の刃部を有する刃状部材と、
を具備し
前記操作部は、前記刃部を前記加熱面に当接した状態と非当接の状態とに前記加熱面に対して相対的に可動操作可能であることを特徴とする。
【0017】
上記構成に示すように、前記保持部材は、断熱性であるとともに、加熱面が自身の外表面に対して内側に窪むように保持固定する。このため、発熱部の熱が、加熱面に集中するとともに、処置中において周囲の体液などにより熱が奪われにくい。従って、本態様の医療器械は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0018】
また、本態様の医療器械は、凸状の刃部を有している刃状部材を具備している。このため、前記刃部と前記加熱面との間に生体組織を挟み込んで閉じた際に、凸状の刃部の先端のみが、前記内側に位置した加熱面まで到達し、当接する。従って、前記刃状部材は、凸状の刃部を有していない場合と比べて、対象組織を脂肪や生理食塩水あるいは体液中から持ち上げやすい。従って、本態様の医療器械は、加熱面が前記体液中に浸ることなく、直接目的の組織に熱を伝えることが可能であり、安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0019】
また、本発明の他の態様の医療器械は、一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械において、
通電によって発熱し、前記生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、
前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように前記収容部により保持固定する断熱性の保持部材と、
凸状の刃部を有する刃状部材と、
を具備し、
前記操作部は、前記刃部を前記加熱面に当接した状態と非当接の状態とに前記加熱面に対して相対的に可動操作可能であり、
上記加熱面と刃部との接触面積は、変更可能であることを特徴とする。
【0020】
上記構成に示すように、本態様の医療器械は、前記耐熱性の保持部材により、前記加熱面の熱を確実に対象の組織に伝え、安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0021】
また、加熱面と刃部との接触面積が変更可能であるため、本態様の医療器械は、切開性能と凝固性能を任意に変えることが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【0023】
(第1の実施の形態)
まず、第一の実施の形態に従った医療器械ついて図1乃至3を用いて説明する。
【0024】
(構成)(作用)
図1は、本実施の形態に従った医療器械のシステム全体を示すものである。この医療器械1は、鋏鉗子型の処置具2と、処置具2に電源を供給する電源装置3と、電源装置3のON−OFFや、処置具2の出力設定の調整などの制御をするためのフットスイッチ12とを有している。処置具2は、電源装置3にケーブル11で連結され、電源装置3にはフットスイッチ12が接続されている。
【0025】
処置具2は、操作部である一対の略直線上の操作アーム(第1操作アーム4及び第2操作アーム5)を有している。これらの第1並びに第2操作アーム4,5は、中間部分で共通の回転軸6を介して連結され、この回転軸6を中心に自由に回転できるようになっている。
【0026】
また、これら第1並びに第2操作アーム4,5の回転軸6よりも先端部側には、それぞれ、開閉可能な一対の把持部(第1把持部7及び第2把持部8)が設けられている。具体的には、第1操作アーム4の先端部側には、第1把持部7、第2操作アーム5の先端部側には第2把持部8が設けられている。
【0027】
また、これら第1並びに第2操作アーム4,5の手元側には、術者が指を入れて処置具を操作するためのリング部9,10が設けられている。このリング部9、10を開閉方向に操作することにより、第1把持部7と第2把持部8とは、相対的に開閉する。
【0028】
以下に、図2(a)、(b)、及び図3を参照して、第1把持部7及び第2把持部8を詳しく説明する。図2(a)は、図1中の処置具2の第1把持部7及び第2把持部8を示す、前記処置具の開閉方向並びに長手方向に沿った概略的な断面図である。図2(b)は、図1中の第1把持部7を示す前記処置具の開閉方向と直交する方向に沿った概略的な断面図である。図3は、前記処置具の開閉方向に沿っているとともに前記長手方向と直交する方向に沿った図1中の処置具2を示す概略的な断面図である。
【0029】
図2(a)に示すように、第1把持部7及び第2把持部8の外側には、滑らかで、先端に向かって緩やかに細くなる形状を有する剥離面7b,8bが形成されている。図2(b)に示すように、第1把持部7及び第2把持部8は開閉運動をする面に対して垂直な平面上で湾曲する湾曲部7a,8aを有している。
【0030】
この処置具2は、第1把持部7及び第2把持部8を閉じた状態で、第1並びに第2剥離面7b,8bにより、術部に接触する手術操作を行う。この手術操作の具体例としては、第1並びに第2剥離面7b,8bにより、生体組織を擦ったり、組織の間に差し込んだりして、組織などの移動や除去、組織間の剥離を行うことや先端により、血管や神経などの索状組織を扱うことなどである。前記第1並びに第2剥離面7b,8bが、先端に向かって緩やかに細くなっているとともに、滑らかに形成されているため、上記手術操作を安全に、確実に行うことができる。
【0031】
図2(a)、図2(b)および図3に示すように、第1把持部7の内側には、略ドーム型の断面形状を有する断熱枠13が設けられている。断熱枠13はフッ素樹脂やシリコーンゴム、セラミックスなど熱を伝えにくい材料からなっている。前記ドーム形状の断熱枠13は、前記生体組織を加熱するための発熱部を収容する収容部を構成している。
【0032】
前記発熱部は、通電により発熱する発熱体15と、発熱体15の熱を受け取って生体組織の加熱処置を行う伝熱部16とを有している。
【0033】
発熱体15としては、シリコーン半導体やモリブデン薄膜抵抗などの熱発生素子や、ニクロム線などのように電気を熱に変換する物が用いられる。
【0034】
伝熱部16は、銅、銅合金、アルミニウム合金、タングステンあるいはモリブデン等、熱を効率良く伝える材料により形成されている。また、伝熱部16は、生体組織を加熱するための加熱面である下面16aを有している。この下面16aは、図2(a)及び図3に示すように、断熱枠13の下面13aより内側に(図2(a)及び図3中において上方に)引っ込むように、収容部中に配置されている。言い換えると、処置具2の開閉方向において、下面13aが、下面16aよりも、第2把持部側に突出している。
【0035】
第1把持部7の下面7cもまた、伝熱部16の下面16aよりも図3中において上方に引っ込む位置に設定されている。なお、伝熱部16の下面16aは、生体組織や血液が付着するのを防ぐためにフッ素樹脂などの薄く非粘着性の皮膜が施されている。なお、本実施の形態の伝熱部16には、発熱素子である発熱体15が3つの取付けられ、これらの熱が伝えられる。なお、発熱体15は、第1把持部7や第2把持部8の長さや太さなどに応じて、また、処置に必要とされる総熱量に応じて、1つ、2つ、あるいは4つ以上でも良い。
【0036】
なお、本実施の形態において、発熱素子である発熱体15には、図2(a)、図2(b)に示すように、各発熱体15には電気を供給するための複数のリード線18が接続されている。各リード線18は、それぞれ後方(先端に対してリング部9,10側)に向けて延出されている。各リード線18は伝熱部16の後端の近傍で1つに束ねられ、更に手元側に伸びて、前述のケーブル11に接続されている。
【0037】
一方、図3に示すように、第2把持部8は、ブレード19と、ブレード保持部19aとを有している。
ブレード19は、刃状部材であり、図3中に示すように、伝熱部16の下面16aと対向するように設けられている。このブレード19の下端部は、ブレード保持部19aにより固定されている。ブレード19は、断面形状が、伝熱部に向かって(上に向かって)細くなるように形成されている。より詳細には、ブレード19は、第2把持部8の幅方向においての中央部に先端が位置するように、伝熱部16に向かう方向において、先端が細くなるような凸形状の刃部を有している。このブレード19の刃部は、先端に幅の狭い稜線部20を有している。
【0038】
前記稜線部20は、第1把持部7と第2把持部8を閉じた際に、全長にわたって伝熱部の下面16aに当接する。また、ブレード19は、シリコーンゴムやフッ素樹脂などその柔らかい材料からなり、伝熱部の下面16aと稜線部20が多少傾いていても、第1把持部7と第2把持部8とを強く閉じることで、稜線部20の全体が下面16aに当接可能である。
【0039】
ブレード保持部19aは、第1把持部7と対面する面である上面8bに設けられた溝である。ブレード保持部19aは、長手方向に沿って、ブレード19の全長に渡って延びている。また、ブレード保持部19aは、自身の長手方向に沿って、剛性のあるリブ21を有している。リブ21は、前記溝中において、ブレード保持部の長手方向と直交する方向の略中央部に配置されている。このリブ21は、ブレード19中に延びており、ブレードの横方向の倒れを防いでいる。
【0040】
(効果)
上記構成に示すように、前記伝熱部16は、断熱枠13中に収容されて、加熱面である下面16aのみが外部に露出するように形成されている。これとともに、下面16aは、断熱枠13の下面13aに対して内側に位置している。このため、伝熱部16は、発熱体15の熱が、下面16aに集中するとともに、処置中において周囲の体液などにより熱が奪われにくい。従って、本実施の形態の医療器械1は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0041】
また、本実施の形態の第2把持部8は、凸状の刃部を備えているブレード19を有している。これともに、第1把持部と第2把持部の間に治療目的とする組織を挟み込んで閉じた際に、ブレード19の稜線部20のみが、前記内側に位置した下面16aまで到達し、当接する。このため、処理対象の部位のみを下面16aに当接させることが出来、前記発熱部の熱が奪われにくいとともに、より確実に対象部位に対して加熱処理を行い得る。なお、ブレード19は、凸形状であるため、対象組織を脂肪や生理食塩水あるいは体液中から持ち上げやすい。このように、対象組織を持ち上げた場合、下面が、前記体液などに接触することを防止し、下面16aの熱を、直接目的の組織に伝え、安定した凝固や切開効果を得ることができる。
【0042】
(第2の実施の形態)
第2の実施の形態を図4、図5(a)、図5(b)を用いて説明する。図4は、本実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。図5(a)は、図4中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図5(b)は、ブレード交換後の図5(a)中の処置具を示す断面図である。なお、本実施の形態の医療器械1において、第1の実施の形態と同一な構成部材については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0043】
(構成)(作用)
第1把持部27は、第1の実施の形態の第1把持部7と同様に構成されているが、伝熱部30の構成が、第1の実施の形態の伝熱部16と異なっている。
【0044】
本実施の形態の伝熱部30は、下面30aを有している。この下面30aは、第1の実施の形態と同様に、断熱枠13の下面13aより内側に(図4中上方に)引っ込むように位置決めされている。本実施の形態の伝熱部の下面30aは、少なくとも1本の幅の狭いリブ31と、その両隣に少なくとも2本の溝32と、平面部36とを有している。リブ31並びに溝32は、それぞれ長手軸方向において、伝熱部30の全長に渡って延びている。
【0045】
リブ31は、第1の実施の形態の稜線部20と略同一の幅を有しており、第1把持部27の幅方向の略中央に先端が位置するように形成されている。平面部36は、溝32の両脇に延びており、リブ31と実質的に面一に構成されている。
【0046】
本実施の形態の第2把持部33は、第1の実施の形態と同様に構成されているが、ブレードを交換可能に構成されている。具体的には、本実施の形態の第2把持部33は、ブレード保持部19aに保持されるブレード19を交換可能である。図5(a)中には、第1の実施の形態のブレード19を保持しているブレード保持部19aが示されている。また、図5(b)中には、ブレード19より稜線部が幅広のブレード34に交換後のブレード保持部19aが示されている。なお、ブレード34は、リブ31とその両隣の溝32よりも幅が広い稜線部35を有している。即ち、稜線部35は、幅方向において、溝32を越えて平面部36と対面する位置まで延びている。
【0047】
ブレード19の稜線部20の幅と、リブ31の幅は、実質的に一致している。このため、図5(a)中の処置具2においては、第1把持部27と第2把持部33を閉じた時、稜線部20がこのリブ31とだけに当接する。従って、この処置具2は、第1の実施の形態と同様の効果を有している。
【0048】
また、ブレード34の稜線部35の幅は、平面部36まで延びている。このため、図5(b)中の処置具2においては、第1把持部27と第2把持部33を閉じた時、稜線部35が、リブ31並びに平面部36に当接する。
【0049】
(効果)
本実施の形態の処置具2は、ブレードに交換が可能である。これにより、本実施の形態の処置具2は、交換するブレードの稜線部の幅を変更することにより、下面30aと、ブレードとの接触面積を変更し得る。これにより、処置具2は、生体組織に対する加熱処理幅を任意に変更し得る。具体的には、第2把持部33のブレードの稜線部の幅を狭くした場合は、ブレードと伝熱面の間で目的とする組織を線状に(局所的に)把持して熱を加えられるので、より切断しやすくなる。また、ブレードの稜線部の幅を広くした場合は、ブレードと伝熱面の間で組織を面状に(幅広く)把持して熱を加えられるので、組織を広く均一に焼灼することができる。
【0050】
また、本実施の形態の伝熱部30は、幅方向の中央部にリブ31を有している。本実施の形態の処置具2は、このように生体組織をリブ31のみに接触させ得るため、より確実に、局所的に対象の生体組織のみを加熱処理し得る。
【0051】
また、本実施の形態において、ブレード交換時において、ブレードの幅のみを変更しているが、長手方向の寸法並びに高さを変更することも可能であるし、材質(強度、熱伝導率等)を変更することも可能である。また、ブレードの断面形状も前記交換により任意に変更し得る。例えば、稜線部35が、本実施の形態のように平面のものから、湾曲したものへの変更や、先端部が鋭利なブレートに変更することも可能である。この変更により、本実施の形態の処置具2は、生体組織に対する切断能及び加熱処理能を変更し得る。
【0052】
なお前記ブレードの交換において、同一の第2把持部33に対してブレードのみを交換可能に交換しても良いし、第2把持部とブレードが一体になったまま、第2把持部ごと交換可能であっても良い。
【0053】
(第3の実施の形態)
第3の実施の形態を図6、図7(a)、並びに図7(b)を用いて説明する。図6は、本実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。図7(a)は、図6中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図7(b)は、ブレード交換後の図7(a)中の処置具を示す断面図である。なお、本実施の形態の医療器械1において、第1又は第2の実施の形態と同一な構成部材については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0054】
(構成)(作用)
第1把持部37は、第2の実施の形態の第1把持部27と同様に構成されているが、伝熱部40の構成が、第2の実施の形態の伝熱部30と異なっている。
【0055】
本実施の形態の伝熱部40は、下面40aを有している。この下面40aは、第2の実施の形態と同様に、断熱枠13の下面13aより内側に(図6中上方に)引っ込むように位置決めされている。本実施の形態の伝熱部の下面40aは、第2の実施の形態のリブ31と同様なリブ41と、溝32と同一構成の溝42とを複数有している。より具体的には、リブ41は、伝熱部40の幅方向の中央部から当ピッチで、幅方向両側に均等に配列され、各リブ41に隣接するように溝42が形成されている。リブ41並びに溝42は、それぞれ伝熱部30の長手方向において、伝熱部30の全長に渡って延びている。
【0056】
本実施の形態の第2把持部43は、第2の実施の形態の第2把持部33と同様に構成されている。図7(a)中には、第1の実施の形態のブレード19を保持しているブレード保持部19aが示されている。また、図7(b)中には、ブレード19より稜線部が幅広のブレード44に交換後のブレード保持部19aが示されている。なお、ブレード44は、幅方向において、平面部36と対面する位置まで延びている稜線部45を有している。
【0057】
図7(a)中に示すように、第2把持部43にブレード19が装着されている場合、第2の実施の形態と同様に、第1把持部37と第2把持部43を閉じた時、稜線部45が、中央の1つのリブ41とだけに当接する。従って、この処置具2は、第1の実施の形態と同様の効果を有している。
【0058】
図7(b)中に示すように、第2把持部43にブレード44が装着されている場合、第1把持部37と第2把持部43を閉じた時、稜線部45が、全てのリブ41並びに平面部36と当接する。
【0059】
(効果)
本実施の形態の処置具2は、ブレードの交換が可能であるため、第2の実施の形態と同様な効果を得ることが出来る。
【0060】
また、本実施の形態の処置具2は、リブ41が広い範囲に渡って均等に配列されているため、ブレードの稜線部の幅を広くした場合、生体組織をより均一に加熱処理することができる。なお、第1把持部の伝熱面のリブの幅及び溝のピッチを狭くした場合、上記処置具2は、より均一に加熱処理し得るため好ましい。
【0061】
また、本実施の形態の処置具2は、複数のリブ41を有しているため、ブレードの変更により、幅方向の任意に位置のリブ41とブレードが当接するように変更し得る。また、任意の数のリブ41のみにブレードが当接するように、前記ブレードを構成することも可能である。従って、本実施の形態の処置具2は、加熱処理部位をブレードの交換により任意に設定し得る。
【0062】
(第4の実施の形態)
第4の実施の形態を図8、図9(a)、並びに図9(b)を用いて説明する。図8は、本実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。図9(a)は、図8中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図9(b)は、第2把持部交換後の図9(a)中の処置具を示す断面図である。なお、本実施の形態の医療器械1において、第1の実施の形態と同一な構成部材については、同一の参照符号を付し、説明を省略する。
【0063】
(構成)(作用)
第1把持部47は、第1の実施の形態の第1把持部7と同様に構成されているが、伝熱部50の構成が、第1の実施の形態の伝熱部16と異なっている。
【0064】
本実施の形態の伝熱部50は、図8中に示すように、2つの肩部52と、下面50aとを有している。肩部52は夫々、第2把持部53と対面するとともに、伝熱部50の幅方向においての両端に配置されている。また、肩部52は、断熱枠13の下面13aより内側に(図8中上方に)引っ込むように位置決めされている。
【0065】
下面50aは、両脇の肩部52よりも中央部が奥に引っ込んだ湾曲した略凹形状を有している。従って、下面50aは、前記凹部により形成される傾斜面を有している。なお、下面50aが凹状であるため、この傾斜面は、本明細書中において、凹状の傾斜面と呼ぶ。下面50aは、前記凹状の傾斜面により、前記下面16aが平面である第1の実施の形態よりも表面積が増大している。
【0066】
また、下面50aの中心部には、比較的幅が狭いリブ51が設けられている。また、リブ51の先端は、第2把持部53に向かう方向において、肩部52より低く形成されている。これら肩部52及びリブ51はそれぞれ、長手軸方向に、伝熱部50の全長に渡って延びている。
【0067】
本実施の形態の第2把持部は、ブレードと一体的に形成されており、第1把持部47に対して交換可能になっている。本実施の形態において、処置具2は、互いに異なるブレードを有している第2把持部53aと、第2把持部53bとに交換可能である。具体的には、第2把持部53aは、図9(a)に示されるようにリブ51の幅と実質的に同一な幅の稜線部54aを備えているブレード55aを具備している。第2把持部53bは、図9(b)に示されるように、図9(a)中の稜線部54aより広い稜線部54bを備えているブレード55bを具備している。
【0068】
ブレード55bは、前記下面の傾斜面と略同一角度で傾斜した傾斜面を有している。なお、ブレード55bは、凸状であるため、これの傾斜面は、本明細書中におてい、凸状の傾斜面と呼ぶ。また、第2把持部53bにおいて、ブレード55bは、自身の凸状の傾斜面が、第1把持部47の前記凹状の傾斜面と相対的に噛み合うように、位置決めされている。
【0069】
図9(a)中の処置具2において、第1把持部47と第2把持部53aを閉じた時、稜線部54aは、リブ51のみに当接する。従ってこの処置具2は、第1の実施の形態と同様の効果を有している。
【0070】
図9(b)中の処置具2において、第1把持部47と第2把持部53bを閉じた時、稜線部54bは、両脇の肩部52とに同時に当接する。このとき、前記凹状の傾斜面と、凸状の傾斜面が当接する。
【0071】
なお、第2把持部53aの稜線部54aと第2把持部53bの稜線部54bは、それぞれ、柔らかなゴムなどの弾性の膜状部材である膜部56a,56bで覆われている。
【0072】
(効果)
本実施の形態の処置具2において、凹状並びに凸状の傾斜面を有しているため、下面50a並びにブレード55bが平面で有る場合に対して表面積が増大している。従って、ブレードの稜線部の幅を広くし、これらの傾斜面が当接するように構成した場合、下面50aは、より広範囲に渡って、処理対象の生体組織と当接可能である。従って、本実施の形態の処置具2は、より広範囲の生体組織を均一に焼灼することができる。
【0073】
また、稜線部54a、54bの表面には、弾性の膜部56a,56bで覆われているため、第1把持部47と第2把持部53aを閉じた時、処置対象の前記生体組織の形状に従う。従って、稜線部54a、54bは、生体組織の処置対処の領域に均一に当接する。従って、本実施の形態の処置具2は、より均一な加熱処理を可能にする。
【0074】
これまで、いくつかの実施の形態について図面を参照しながら具体的に説明したが、本発明は、上述した実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で行なわれるすべての実施を含む。
【0075】
【発明の効果】
本発明の医療器械は、手術野の脂肪や生理食塩水あるいは体液などの有無に影響されることなく安定した凝固や切開効果を提供し得る。
【0076】
また、本発明の医療器械は、第2把持部のブレードの形状を選択することにより、切開性能と凝固性能を任意に変更し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、第1の実施の形態に従った医療器械のシステム全体を示すものである。
【図2】図2(a)は、図1中の処置具2の第1把持部及び第2把持部を示す、前記処置具の開閉方向並びに長手方向に沿った概略的な断面図である。図2(b)は、図1中の第1把持部を示す前記処置具の開閉方向と直交する方向に沿った概略的な断面図である。
【図3】図3は、前記処置具の開閉方向に沿っていると共に長手方向と直交する方向に沿った図1中の処置具を示す概略的な断面図である。
【図4】図4は、第2の実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。
【図5】図5(a)は、図4中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図5(b)は、ブレード交換後の図5(a)中の処置具を示す断面図である。
【図6】図6は、第3の実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。
【図7】図7(a)は、図6中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図7(b)は、ブレード交換後の図7(a)中の処置具を示す断面図である。
【図8】図8は、第4の実施の形態に従った処置具の第1把持部を示す断面図である。
【図9】図9(a)は、図8中の第1把持部を有する処置具を示す断面図である。図9(b)は、第2把持部交換後の図9(a)中の処置具を示す断面図である。
【符号の説明】
1 医療器械
2 処置具
3 電源装置
4、5 操作アーム
7、27、37、47 第1把持部
8、33、43、53、53a、53b 第2把持部
13 断熱枠
13a 断熱枠の下面
15 発熱体
16、30、40、50 伝熱部
16a、30a、40a、50a 伝熱部の下面
19、34、44、55a,55b ブレード
20、35、45、54a,54b 稜線部
21、31、41、51、 リブ
32、42 溝
56a,56b 膜部
Claims (5)
- 一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械において、
通電によって発熱し、前記生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、
前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように前記収容部により保持固定する断熱性の保持部材と、
凸状の刃部を有する刃状部材と、
を具備し
前記操作部は、前記刃部を前記加熱面に当接した状態と非当接の状態とに前記加熱面に対して相対的に可動操作可能であることを特徴とする医療器械。 - 一対のジョーを相対的に開閉する操作部を備え、前記一対のジョー間で生体組織を挟持させた状態で前記生体組織の加熱処置を行う処置具を備えた医療器械において、
通電によって発熱し、前記生体組織を加熱するための加熱面を有する発熱部と、
前記加熱面を外部に露出した状態で前記発熱部を収容する収容部が形成され、自身の外表面に対して、前記加熱面を略同一或いは内側に窪むように前記収容部により保持固定する断熱性の保持部材と、
凸状の刃部を有する刃状部材と、
を具備し、
前記操作部は、前記刃部を前記加熱面に当接した状態と非当接の状態とに前記加熱面に対して相対的に可動操作可能である
上記加熱面と刃部との接触面積は、変更可能であることを特徴とする医療器械。 - 幅の異なる凸状の刃部を交換可能としたことを特徴とする請求項2に記載の医療器械。
- 前記刃部は、弾性の膜状部材を有していることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の医療器械。
- 前記発熱部の前記幅方向において、前記発熱部の片脇あるいは両脇に凹状の傾斜面が設けられ、
刃状部材の片脇あるいは両脇に凸状の傾斜面が設けられ、
前記凹状の傾斜面と凸状の傾斜面が相対的に噛み合うように位置決めされていることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の医療器械。
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-
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