JP2004175092A - 被記録材搬送量制御装置、記録装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】プリンタの制御部は補正値A、B,Cを用いて用紙搬送量を補正する。補正値Aはプリンタの製造誤差に起因する搬送誤差を補正する為に装置毎に設定される値であり、これによって搬送ローラの製造誤差による搬送誤差を補正する。補正値Bは紙種毎に異なる搬送誤差を補正する為に紙種毎に設定される値であり、補正値Cは印刷解像度毎に異なる搬送誤差を補正する為に印刷解像度毎に設定される値である。補正値A、B、Cは全て1inchあたりの搬送誤差として記憶され、相互に加算することにより、高い搬送精度を実現する。
【選択図】 図8
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置に関する。また、本発明は、該被記録材搬送量制御装置を備えた記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
FAX、プリンタ等に代表される記録装置には、印刷用紙に印刷(記録)を行う記録部の上流側に、印刷用紙を搬送する搬送ローラを備えるものがある。搬送ローラは駆動モータによって回動駆動され、該駆動モータの回動量が制御されることにより、所望する搬送量(紙送り量)だけ印刷用紙が記録部へと搬送される様になっている。また、この様な記録装置には、搬送ローラの回動軸にエンコーダが取り付けられ、且つ、該エンコーダからの出力信号が制御部へと送信され、これにより、搬送ローラの回動量、即ち、搬送量を制御する様に構成されたものもある。
【0003】
ところで、印刷用紙に掛かる搬送負荷等の要因により、搬送ローラと印刷用紙との間でスリップ等が生じると、搬送ローラを所定量回動駆動しても、目的とする搬送量だけ印刷用紙が搬送されず、これによって印刷品質が低下するといった不具合が生じる場合がある。特に、近年画質向上が著しい写真画質を実現するインクジェットプリンタにおいては、数μmオーダーの紙送り精度が要求され、これを満たさないと、印刷された写真に筋状が現れ、従って紙送り精度の低下が印刷結果に顕著に現れることになる。
【0004】
そこで、この様な問題を解決する為の従来技術として、特許文献1或いは特許文献2に記載されたラスタ式記録装置がある。これらのラスタ式記録装置は、いずれも所定の印字長R(目標値)に対する実際の印字長R’(印刷結果)を測定する。そして、前記RおよびR’から補正係数なる値を求め、該補正係数を用いて実際の印字動作における搬送量を補正する様構成されている。
【0005】
【特許文献1】
特開平5−305747号公報
【特許文献2】
特開平8−72341号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述の従来技術に係るラスタ式記録装置においては、所定の印字長R(目標値)に対する実際の印字長R’(印字結果)を測定する手段として、エンコーダ(センサ手段)を用いている。即ち、第1のエンコーダを、印刷用紙を搬送するモータに係接させ、第2のエンコーダを、印刷用紙に接触して印刷用紙の進行と共に従動回動するローラ対に設けて、前記第1のエンコーダの出力パルスと前記第2のエンコーダの出力パルスとから、前述した印字長Rと、印字長R’と、補正係数とを求める。
【0007】
しかし、前記第2のエンコーダは、印刷用紙に接触して印刷用紙の進行とともに従動回動するローラ対に設けられていることから、当該ローラ対に対して印刷用紙がスリップすると、実際の印刷動作において用いる補正値(前記ラスタ式記録装置の場合は、補正係数)を正しく得られないことになる。加えて、印刷用紙を搬送するローラ対(搬送ローラ)の部品寸法には製造誤差がある為、ラスタ式記録装置毎にローラ対の部品寸法が異なり、これによって一定の回動量に対する印刷用紙の搬送量が装置毎に異なることととなるが、上述した従来技術に係る補正方法では、この様な装置間ばらつきに対応することができない。
【0008】
そこで本発明はこの様な問題に鑑みなされたものであり、その目的は、より一層正確に印刷用紙の搬送量を補正することにより、印刷品質の低下をより一層確実に防止することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、前記搬送ローラの外径によって異なる前記記録装置固有の搬送量補正情報をデータ記憶手段に備え、前記搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されていることを特徴とする。
【0010】
上記第1の態様によれば、前記搬送ローラの外径によって異なる前記記録装置固有の搬送量補正情報をデータ記憶手段に備え、前記搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されているので、これによって前記搬送ローラの製造誤差によって生じる、記録装置毎に異なる被記録材搬送量の誤差を適切に補正することができ、以て記録品質の低下を確実に防止することができる。尚、前記搬送量補正情報とは、前記搬送ローラを所定量回動させた際の理論上の前記被記録材の搬送量と、実際の前記被記録材の搬送量との誤差を補正する為の補正情報であり、被記録材を適切に搬送する際に記録実行時に加える補正値そのものであっても良いし、或いは理論上の搬送量と実際の搬送量との誤差値であっても良い。
【0011】
本発明の第2の態様は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、前記被記録材に2つのブロックパターンを形成し、且つ、前記ブロックパターンを形成する際に、前記搬送ローラの回転量に所定の補正値を加えるブロックパターン印刷モードを、前記補正値を変化させながら複数回実行するテストパターン印刷手段と、前記テストパターン印刷手段の実行によって得られたテストパターンから得られる、前記搬送ローラの外径によって異なる前記記録装置固有の搬送量補正情報が記憶されたデータ記憶手段と、を備え、前記搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されていることを特徴とする。
【0012】
上記第2の態様によれば、前記被記録材に2つのブロックパターンを形成し、且つ、前記ブロックパターンを形成する際に、前記搬送ローラの回転量に所定の補正値を加えるブロックパターン印刷モードを、前記補正値を変化させながら複数回実行するテストパターン印刷手段を備えているので、該テストパターン印刷手段により、前記搬送量補正情報を容易に得ることが可能となる。そして、当該被記録材搬送量制御装置は、前記搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されているので、これによって前記搬送ローラの製造誤差によって生じる、記録装置毎に異なる被記録材搬送量の誤差を適切に補正することができ、以て記録品質の低下を確実に防止することができる。
【0013】
本発明の第3の態様は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、前記被記録材の搬送速度毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されていることを特徴とする。
【0014】
上記第3の態様によれば、前記被記録材の搬送速度毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されているので、搬送速度が変化することによって被記録材搬送量の誤差が変化する様な場合、換言すれば、搬送速度が変化することによって被記録材の搬送量に加えるべき補正値が変化する様な場合にも、適切に被記録材搬送量の誤差を低減することができ、以て記録品質の低下を確実に防止することができる。
【0015】
本発明の第4の態様は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、前記被記録材の1回の搬送量毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されていることを特徴とする。
【0016】
上記第4の態様によれば、前記被記録材の1回の搬送量毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されているので、被記録材を間欠的に搬送する際の1回の搬送量が変化することによって被記録材搬送量の誤差が変化する場合、換言すれば、1回の搬送量が変化することによって被記録材の搬送量に加えるべき補正値が変化する様な場合にも、適切に被記録材搬送量の誤差を低減することができ、以て記録品質の低下を確実に防止することができる。
【0017】
本発明の第5の態様は、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、印刷解像度毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されていることを特徴とする。
【0018】
上記第5の態様によれば、印刷解像度毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されているので、印刷解像度、つまり、印刷解像度毎に被記録材の1回の搬送量と搬送速度とが変化することによって、被記録材搬送量の誤差が変化する場合、換言すれば、印刷解像度が変化することによって被記録材の搬送量に加えるべき補正値が変化する様な場合にも、適切に被記録材搬送量の誤差を低減することができ、以て記録品質の低下を確実に防止することができる。
【0019】
本発明の第6の態様は、上記第3から第5の態様のいずれかにおいて、前記搬送量補正情報を、前記被記録材搬送量制御装置に印刷情報を送信するホストコンピュータから取得する様構成されていることを特徴とする。
上記第6の態様によれば、前記搬送量補正情報を、前記被記録材搬送量制御装置に印刷情報を送信するホストコンピュータから取得する様構成されているので、例えばホストコンピュータ側のプリンタドライバによって補正値を指定することにより、補正値の変更が容易となり、被記録材の種類、被記録材の搬送速度、被記録材の1回の紙送り量、被記録材の印刷解像度の変更に容易に対応することができる。
【0020】
本発明の第7の態様は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、前記記録装置の機体差によって生じる、前記記録装置固有の単位搬送量あたりの搬送量補正情報をデータ記憶手段に備え、所定の搬送量に対応する第1の搬送量補正情報を前記単位搬送量あたりの搬送量補正情報から求め、該第1の搬送量補正情報に、前記被記録材の搬送速度毎に設定される第2の搬送量補正情報を加えることによって得られた第3の搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されていることを特徴とする。
【0021】
記録装置によっては、被記録材の1回の搬送量に応じて被記録材の搬送速度を変化させる様に構成されたものがある。これは、1回の搬送量が多い場合には、スループット向上の為に搬送速度を向上させるが、1回の搬送量が少ない場合には、駆動モータの制御上加速領域を確保することができず、従って搬送速度を低下させる必要があるからである。一方、搬送速度が異なれば搬送開始時の加速度も異なることとなるが、搬送開始時の加速度が異なれば、被記録材を搬送する搬送ローラと、被記録材との間のスリップの程度が変化し、これによって被記録材搬送量の誤差も変化する。つまり、被記録材搬送量の誤差が、被記録材の搬送速度に依存する場合がある。換言すれば、被記録材の搬送速度が同じであれば、1回の被記録材の搬送量が異なっても、被記録材搬送量の誤差は同じである場合がある。
【0022】
一方、記録装置の機体差によって生じる被記録材搬送量の誤差は、例えば、前記搬送ローラの外径誤差によって生じるものであり、従ってこの点を考慮すると、記録装置の機体差によって生じる被記録材搬送量の誤差は、1回の被記録材搬送量に応じて増減することが望ましい。そこで、上記第7の態様においては、記録装置の機体差によって生じる搬送誤差を補正する為の、被記録材搬送量に応じた第1の搬送量補正情報を、単位搬送量あたりの搬送量補正情報から求め、これに、被記録材搬送量に依存しない、被記録材の搬送速度毎に設定される第2の搬送量補正情報を加えることによって第3の搬送量補正情報を求め、これを基に被記録材の搬送量を補正するので、より一層正確に、被記録材搬送量の誤差を補正することができる。
【0023】
本発明の第8の態様は、上記第1から第7の態様のいずれかにおいて、前記記録装置において前記搬送ローラの下流側に前記被記録材を排紙する排紙ローラが設けられ、前記被記録材が前記搬送ローラによって搬送される際の前記被記録材の実際の搬送量と、前記被記録材が前記排紙ローラによって搬送される際の前記被記録材の実際の搬送量との誤差を補正する搬送手段別搬送量補正情報を基に、前記被記録材後端が前記搬送ローラから外れる前後で前記被記録材の搬送量に加える補正値を変更する様構成されていることを特徴とする。
【0024】
被記録材の後端に余白なく印刷を行う場合には、被記録材後端が前記搬送ローラから外れると、前記搬送ローラの下流に配置された排紙ローラによって被記録材を搬送することになる。この場合、前記搬送ローラと前記排紙ローラとでは構成が異なるのが一般的であり、従って前記搬送ローラによって被記録材を搬送する際の搬送量の誤差と、前記排紙ローラによって被記録材を搬送する際の搬送量の誤差とは異なることになる。そこで、上記第8の態様は、前記被記録材後端が前記搬送ローラから外れる前後で前記被記録材の搬送量に加える補正値を変更する様構成されているので、上述の様に被記録材搬送量に加えるべき補正値が異なる様な場合であっても、適切に被記録材搬送量を補正することができ、以て記録品質の低下を確実に防止することが可能となる。
【0025】
本発明の第9の態様は、被記録材に記録を行う記録ヘッドと、該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置であって、上記第1から第8の態様のいずれかに記載された前記被記録材搬送量制御装置を備えていることを特徴とする。
上記第9の態様によれば、被記録材に記録を行う記録装置は、上記第1から第8の態様のうちいずれか1つに記載された前記被記録材搬送量制御装置を備えているので、記録装置において前述した第1から第8の態様のいずれかと同様な作用効果を得ることが可能となる。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下では先ず、本発明の一実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下「プリンタ」と言う)100の概略構成について図1を参照しつつ説明する。ここで、図1はプリンタ100の側断面概略図である。尚、以下では、図1の右側(プリンタ100の後方側)を「上流側」(用紙搬送経路の上流側)と言い、図1の左側(プリンタ100の前方側)を「下流側」(用紙搬送経路の下流側)と言うこととする。
【0027】
プリンタ100は、上流側に給紙装置90を備え、該給紙装置90から用紙P(単票紙)を装置前方側へと1枚ずつ給送する。ここで、図1に示す様に給紙装置90は、給紙ローラ22と、ホッパ20と、分離パッド27とを備えている。
【0028】
図示しない駆動モータによって回動駆動される給紙ローラ22は側面視略D形の形状をなし、ローラ本体22aと、該ローラ本体22aの外周部に巻回されるゴム材22bとから構成されている。給紙ローラ22は、その円弧部分によって用紙Pを給送する一方、平坦部分によって用紙Pを通過させて、下流側の搬送ローラ18による搬送動作時に搬送負荷を与えない様になっている。
【0029】
ホッパ20は板状体からなり、図示する様に傾斜姿勢に設けられ、且つ、上部に設けられた回動軸20aを中心に図1の時計方向及び反時計方向に揺動可能に設けられている。そして、図示しないカム機構によって揺動駆動されることにより、下端部が給紙ローラ22に対して圧接及び離間動作する様になっている。従って、ホッパ20が給紙ローラ22に対して圧接方向に揺動すると、ホッパ20上に堆積された用紙Pの束は給紙ローラ22に圧接し、そして当該圧接状態で給紙ローラ22が回動することにより、堆積された用紙Pの最上位のものが下流側へと給送される。
【0030】
分離パッド27は、高摩擦部材からなり、給紙ローラ22と対向する位置に設けられている。給紙ローラ22が回動すると、給紙ローラ22の円弧部分と分離パッド27とが圧接し、圧接部が形成される。給紙ローラ22の円弧部分によって繰り出された最上位の用紙Pは、前記圧接部を通過して下流側へと進むが、最上位の用紙Pにつられて下流側へと進もうとする次位以降の用紙Pは、前記圧接部により、下流側への進行が阻止され、これによって用紙Pの重送が防止される。
【0031】
次に、給紙装置90の下流には板状体からなる紙案内29が略水平に設けられ、給紙ローラ22によって繰り出された用紙Pの先端が該紙案内229に斜めに当接し、滑らかに下流側に案内される。紙案内29から下流には回動駆動される搬送駆動ローラ3と、該搬送駆動ローラ3に圧接する搬送従動ローラ4とからなる搬送ローラ18が設けられ、用紙Pは、当該搬送駆動ローラ3と搬送従動ローラ4とにニップされて、一定ピッチで下流側に搬送される。ここで、搬送従動ローラ4は搬送従動ローラホルダ32の下流側に軸支されていて、当該搬送従動ローラホルダ32は、回動軸32aを中心に図1の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられ、且つ、図示しないねじりコイルばねによって搬送従動ローラ4が常に搬送駆動ローラ3に圧接する方向(図1の反時計方向)に回動付勢されている。
【0032】
ここで、搬送駆動ローラ3は、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に長い軸体からなり、搬送従動ローラ4と搬送従動ローラホルダ32とは、共に搬送駆動ローラ3の軸方向に複数配設されている。より詳しくは、搬送駆動ローラ3は、高剛性ローラ基体(例えば、金属軸)の表面に高摩擦層が一体に被着されて成る。前記高摩擦層は、耐摩耗性粒子と、該耐摩耗性粒子を均一に分散し且つ該粒子の前記高剛性ローラの径方向における先端側の一部が表面に露出する状態で強固に保持する被着層とを備えている。つまり、前記耐摩耗性粒子として比較的鋭く尖っている形状のものが用いられ、当該耐摩耗性粒子が前記高剛性ローラ基体の表面に均一に分散し、且つ被着層によって強固に保持された状態となることにより、搬送駆動ローラ3の表面に凹凸が形成され、高摩擦な表面状態が形成されている。
【0033】
一方、搬送従動ローラ4は、搬送駆動ローラ3と接触する表面は低摩擦部材(図示せず)から成り、該低摩擦部材は、金属、硬質プラスチック等の材料から成るローラ基体の外周面上に被設されている。そして、この低摩擦部材は、熱可塑性エラストマーとフッ素樹脂を主成分とする組成物から成る含フッ素熱可塑性エラストマーから成る弾性部を基部として、その表面にフッ素樹脂コート層が形成されて成る。
【0034】
次に、最も0桁側(図1の紙面表側)に位置する搬送従動ローラホルダ32近傍には、用紙Pの通過を検出する、センサ本体部30bと検出レバー30aとからなる紙検出器30が配設されている。検出レバー30aは側面視略「く」の字の形状をなし、その中央付近の回動軸30cを中心に図1の時計方向及び反時計方向に回動可能に設けられている。検出レバー30aの上方に位置するセンサ本体部30bは発光部(図示せず)及び該発光部からの光を受ける受光部(図示せず)を備え、検出レバー30aの回動軸30cから上側が、その回動動作により、前記発光部から前記受光部に向かう光の遮断及び通過を行う様になっている。
【0035】
従って、図1に示す様に用紙Pの通過に伴って検出レバー30aが上方に押し上げられるように回動すると、検出レバー30aの上側がセンサ本体部30bから外れ、これによって前記受光部が受光状態となって、用紙P先端の通過を検出する様になっている。また、用紙Pの後端が検出レバー30aを通過すると、検出レバー30aが下方に戻る方向に回動し、これによって前記受光部が非受光状態となって、用紙P後端の通過を検出する様になっている。
【0036】
続いて、搬送駆動ローラ3の下流には、プラテン50及びインクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と言う)1が上下に対向する様に配設され、搬送ローラ18によって記録ヘッド1の下へ搬送される用紙Pは、プラテン50によって下から支持される。記録ヘッド1はインクカートリッジ31を搭載するキャリッジ34の底部に設けられ、該キャリッジ34は、主走査方向(図1の紙面表裏方向)に延びるキャリッジガイド軸33によって主走査方向にガイドされる。
【0037】
ここで、キャリッジ34は、CR(キャリッジ)モータ80(図2参照)によって回動駆動される駆動プーリ(図示せず)と、自由回動可能な従動プーリ(図示せず)とに掛架された無端ベルト(図示せず)の一部に固着され、これにより、キャリッジ34は、CRモータ80の回動によって主走査方向に往復動する様になっている。
【0038】
次に、記録ヘッド1から下流は排紙部となっていて、回動駆動される排紙駆動ローラ5と、自由回動可能な排紙従動ローラ6とからなる排紙ローラ19が設けられている。従ってインクジェット記録ヘッド1によって印刷の行われた用紙Pは、排紙駆動ローラ5と排紙従動ローラ6とによってニップされた状態で排紙駆動ローラ5が回動することにより、矢印方向に排出される。尚、排紙駆動ローラ5は、用紙Pの幅方向に延びる軸体に、ゴムローラが幅方向に局在する様に設けられて成る。
【0039】
ところで、搬送ローラ18と排紙ローラ19とは、協働して以下の様な作用効果を奏している。即ち、図1に示す様に、搬送ローラ18において搬送駆動ローラ3と搬送従動ローラ4とのニップ点がやや下流側に設定されていて、また、排紙ローラ19においては、排紙駆動ローラ5と排紙従動ローラ6とのニップ点がやや上流側に設定されている。従ってこれにより、搬送ローラ18と排紙ローラ19との間においては、用紙Pは図示する様に下に凸となる様な緩やかな湾曲状態となり、これにより、用紙Pがプラテン50に押し付けられる様になっている。その結果、用紙Pのプラテン50からの浮き上がりが防止され、印刷面と記録ヘッド25との距離が一定に保たれるので、印刷品質の低下を防止できる様になっている。
【0040】
以上がプリンタ100の用紙搬送経路の構成であり、以下、図2を参照しつつ、プリンタ100の制御部及び「被記録材搬送量制御装置」としての制御部60の構成について説明する。ここで、図2は、制御部60のブロック図である。制御部60は、プリンタ100に印刷情報を送信するホスト・コンピュータ200との間でデータの送受信が可能に構成され、ホスト・コンピュータ200とのインタフェース部(以下「IF」と言う)61と、ASIC62、RAM63、PROM64、EEPROM65、CPU66、発振回路67、DCユニット68、紙送りモータドライバ69、CRモータドライバ71、ヘッドドライバ70を備えている。
【0041】
CPU66はプリンタ100の制御プログラムを実行する為の演算処理やその他必要な演算処理を行い、発信回路67は、CPU66に対して各種処理に必要な周期的な割り込み信号を発生させる。ASIC62は、ホスト・コンピュータ200からIF61を介して送信される印刷データに基づいて印刷解像度や記録ヘッド1の駆動波形等を制御するものである。RAM63は、ASIC62およびCPU66の作業領域や他のデータの1次格納領域として用いられ、PROM64およびEEPROM65には、プリンタ100を制御する為に必要な制御プログラム(ファームウェア)および処理に必要なデータが格納されている。
【0042】
紙送りモータドライバ69は、DCユニット68の制御の下、紙送りモータ72を駆動制御して、複数の駆動対象、即ち、前述した給紙ローラ22、搬送駆動ローラ3、排紙駆動ローラ5を回動させる。CRモータドライバ71は、DCユニット68の制御の下、CRモータ80を駆動制御することによりキャリッジ34を主走査方向に往復動させ、または停止・保持させる。ヘッドドライバ70は、CPU66の制御の下、ホスト・コンピュータ200から送信された印刷データに従って記録ヘッド1を駆動制御する。
【0043】
CPU66およびDCユニット68には、搬送される用紙Pの始端および終端を検出する、前述した紙検出器30からの検出信号と、搬送駆動ローラ3の回動量を検出するロータリエンコーダ74からの出力信号と、キャリッジ34の主走査方向における絶対位置を検出するリニアエンコーダ73からの出力信号とが与えられる。
【0044】
ロータリエンコーダ74は、紙送りモータ72によって回動駆動され、且つ、図示しない歯車を介して搬送駆動ローラ3へと動力を伝達する歯車76に取り付けられる、外周部に多数のスリット79を有する円盤状スケール74bと、スリット79に対して発光する発光部(図示せず)および前記スリットを通過した光を受光する受光部(図示せず)から構成された検出部74aとから構成されている。円盤状スケール74bが回動すると、検出部74aはスリット79を通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、制御部60は、この様なロータリエンコーダ74からの出力信号を受信することによって、搬送駆動ローラ3の回動量および回動速度を算出し、これにより、目的とする紙送り制御を実行することができる様になっている。ここで、本実施形態では、ロータリエンコーダ74の分解能は用紙Pの搬送量に換算して1/5760inchであり、従って用紙Pの搬送量は1/5760inchを最小単位として制御される様になっている。
【0045】
尚、搬送駆動ローラ3の軸端には図示しない歯車が取り付けられ、該歯車が、図2に示す歯車76によって回動駆動される様構成されている。そして、歯車76と、紙送りモータ72の回動軸に取り付けられたピニオン歯車との間には無端ベルト75が係回され、従って以上により、搬送駆動ローラ3が紙送りモータ72によって回動駆動される。また、紙送りモータ72の回動軸に取り付けられたピニオン歯車には、歯車77、78が噛合し、歯車78は、排紙駆動ローラ5の軸端に取り付けられた歯車81が噛合している。従って、ロータリエンコーダ74により、搬送駆動ローラ3のみならず、排紙駆動ローラ5の回動量および回動速度も算出することができる様になっている。
【0046】
続いて、リニアエンコーダ73は、主走査方向に長い符号板(図示せず)と、該符号板において主走査方向に複数形成されたスリット(図示せず)に対して発光する発光部(図示せず)および前記スリットを通過した光を受光する受光部(図示せず)から構成され、前記スリットを通過する光によって形成される立ち上がり信号と立ち下がり信号とを出力し、キャリッジ34の主走査方向における絶対位置を検出する。
【0047】
以上が制御部60の構成であり、続いて、図3乃至図6を参照しつつ、用紙Pへの余白無し印刷(四辺縁無し印刷)について説明する。ここで、図3及び図5は記録部の要部平面図であり、図4及び図6は記録部の要部断面図である。尚、図3及び図5においては、図面の左右方向が主走査方向であり、また、図の上側が搬送方向上流側、図の下側が搬送方向下流側となっていて、用紙Pは、図の上から下に向かって(矢印の方向)搬送される様になっている。
【0048】
図3及び図4において、プラテン50は主走査方向(図3の左右方向)に長い形状をなしていて、プラテン面(プラテン50の上面:記録ヘッド1と対向する面)には、リブ7、8、9がそれぞれ搬送方向上流から下流に向かって連なる様に、且つ、それぞれが主走査方向に所定の間隔をおいて形成されている。プラテン50のプラテン面には、主走査方向にそれぞれ延びる2つの溝穴10、11が形成され、また、用紙Pの側端に位置すべき部分に方形の溝穴13、17が形成されている。溝穴10、11は、断面視においては図4に示す様に記録ヘッド1から所定の深さを有する様に形成されていて、また、溝穴13、17についても、溝穴10、11と同じ深さに形成されている。
【0049】
溝穴10、11及び13、17は、用紙Pの四辺を余白無く印刷する為のインク打ち捨て用の溝穴であり、記録ヘッド1に設けられたノズルアレイ2から吐出されたインク滴を該溝穴に打ち捨てる様になっている。即ち、用紙P始端の余白無し印刷においては、図3及び図4に示す様に、用紙Pの始端が搬送方向下流側に位置する溝穴11の上部にさしかかったとき、ノズルアレイ2の一部2bのみを駆動して、用紙Pにインク滴を吐出する。これにより、用紙P始端から外れたインク滴が溝穴11内に打ち捨てられ、従ってプラテン面がインク滴で汚損されることが無い様になっている。
【0050】
一方、用紙P終端の余白無し印刷においては、図5及び図6に示す様に、用紙P終端が搬送方向上流側に位置する溝穴10の上部にさしかかったとき、ノズルアレイ2の一部2aのみを駆動して、用紙Pにインクを吐出する。これにより、用紙P終端から外れたインク滴が溝穴10内に打ち捨てられ、従ってプラテン面がインクで汚損されることが無い様になっている。尚、用紙Pの両側端の余白無し印刷においては、溝穴13、17が同様な機能を果たす。即ち、図3及び図5において仮想線で示した用紙Pにあっては、溝穴13及び溝穴17に用紙Pの両側端から外れたインク滴が打ち捨てられる様になっている。
【0051】
次に、図7乃至図16を参照しながら、用紙Pの搬送量の補正方法について説明する。
先ず、図7は用紙Pの搬送量を補正する補正値の種類とその内容
(目的)を示すものである。図7に示す様に、「被記録材搬送量制御装置」としての制御部60は、「搬送量補正情報」としての3つの補正値A、B、Cを用いて用紙Pの搬送量を補正する。これら補正値は、用紙Pの理論上の搬送量(紙送り量)と、実際の搬送量との誤差(以下これを「搬送誤差」と言う)を補正する為のものである。尚、用紙Pの理論上の搬送量とは、用紙Pの搬送量の目標値であり、当該理論上の搬送量を搬送する為に必要な搬送駆動ローラ3の回転量は、搬送駆動ローラ3の外径(設計値)を用いて計算上求めることができる。
【0052】
補正値Aは、メカばらつき(プリンタ100の製造誤差:機体差)によって生じる搬送誤差を補正する為のものである。ここでのメカばらつきとは、主として搬送駆動ローラ3の製造誤差である。この製造誤差は、外径の誤差と、表面粗さの誤差とを含んでいる。例えば、搬送駆動ローラ3の外径が設計値よりも大きいと搬送誤差がプラスになり(多めに搬送される)、小さいとマイナスになる(少なめに搬送される)。そして、この搬送誤差は、装置(プリンタ)毎に異なる値をとる。
【0053】
本実施形態では、このようなメカばらつきに起因する搬送誤差を、出荷前に各プリンタ毎に求め、更に得られた搬送誤差から補正値Aを求め、各プリンタ毎の固有の値として、「データ記憶手段」としてのPROM64(図2)に書き込む。ここで、補正値Aを書き込むデータ記憶手段はPROM64に限られず、EEPROM65や、その他のデータ記憶手段であっても構わない。尚、補正値Aを求める方法については後に詳述する。
【0054】
従って補正値Aを用いて搬送量を補正すれば、搬送駆動ローラ3の許容誤差をやや大きく設定しても、実際の印刷時における搬送誤差をほとんどゼロにすることが可能である。また、搬送駆動ローラ3の製造誤差に対する許容値を緩和するのに伴って搬送駆動ローラ3の歩留まりが高くなるので、プリンタ100の低コスト化を図ることができるという利点もある。
【0055】
尚、メカばらつきとしては、その他にも、組立誤差によって生じる、プラテン50のプラテン面とノズルアレイ2(図4参照)との距離のばらつき等が挙げられる。補正値Aは、プリンタ100の組立後に、装置全体としてのメカばらつきを含んだ状態における搬送誤差を求めた上で決定されることから、補正値Aを用いることにより、上述した搬送駆動ローラ3の製造誤差のみならず、その他構成要素の製造誤差、組立誤差によって生じる搬送誤差をも補正することが可能となる。
【0056】
次に、補正値Bは、紙種毎に異なる搬送誤差を補正する為のものである。ここでの搬送誤差とは、主として搬送ローラ18において用紙Pがスリップすることによって生じる搬送誤差であり、用紙Pと搬送ローラ18との間の摩擦係数、用紙Pの厚み、用紙Pの剛性、用紙Pのサイズ等の違いにより、紙種毎に異なる値をとる(但し、結果として同じ値をとる場合もある)。本実施形態では、この搬送誤差を紙種毎に予め求めておき、更に得られた搬送誤差から紙種毎に補正値Bを求め、紙種毎の固有の値として、ホストコンピュータ200(図2参照)上で動作するプリンタドライバに登録する。尚、補正値Bを補正値Aと同様にPROM64(図2)等のデータ記憶手段に記憶し、受信した印刷データによって指定された紙種から、当該紙種に適した補正値Bを選択する様にしても良い。
【0057】
そして、実際の印刷時に、ユーザによって選択された紙種に適した補正値Bが選択され、ホストコンピュータ200から制御部60へ送信される印刷データと共に制御部60へと送信され、制御部60は、当該補正値Bを用いて用紙Pの搬送量を補正する。尚、補正値Bを求める方法については後に詳述する。
【0058】
次に、補正値Cは、印刷解像度毎に異なる搬送誤差を補正する為のものである。ここでの搬送誤差とは、主として搬送ローラ18において用紙Pがスリップすることによって生じる搬送誤差であり、印刷解像度毎に異なる値をとる。より詳しくは、本実施形態に係るプリンタ100では印刷解像度毎に用紙Pの1回の搬送量と搬送速度(搬送駆動ローラ3の回動速度)が異なるものとなっていて、これにより、印刷解像度、即ち用紙Pの搬送条件毎に搬送誤差が異なるものとなる。
【0059】
本実施形態では、この様な搬送誤差を印刷解像度毎に予め求めておき、更に得られた搬送誤差から補正値Cを求め、印刷解像度毎の固有の値として、上記補正値Bと同様にホストコンピュータ200(図2参照)上で動作するプリンタドライバに登録する。尚、補正値Cを補正値Aと同様にPROM64(図2)に記憶し、受信した印刷データによって指定された印刷解像度から、当該紙種に適した補正値Cを選択する様にしても良い。
【0060】
そして、実際の印刷時に、ユーザによって選択された印刷解像度に適した補正値Cが選択され、ホストコンピュータ200から制御部60へ送信される印刷データと共に制御部60へと送信され、制御部60は、当該補正値Cを用いて用紙Pの搬送量を補正する。尚、補正値Cを求める方法については後に詳述する。
【0061】
図8は、実際に搬送量(1inchあたり)の補正値γを求める流れ(概念)を示すフローチャートである。先ず、ステップS301においてPROM64(図2)から補正値A(製造誤差によって生じる搬送誤差を補正する為の補正値)を取得し、ステップS302において印刷データから補正値B(紙種毎に異なる搬送誤差を補正する為の補正値)を取得し、ステップS303において印刷データから補正値C(印刷解像度毎に異なる搬送誤差を補正する為の補正値)を取得する。
【0062】
次に、ステップS304において、用紙Pの後端が搬送ローラ18を通過したか否かを判断し、通過していない場合(否定枝)には、補正値A、B、Cを全て加え、補正値γを得る(ステップS305)。ここで、補正値A、B、Cは全て搬送量1inch(目標値)に加えるべき補正値となる様に基準が揃えられ、従って補正値A、B、Cを相互に加算することができる様になっている。
【0063】
一方、用紙Pの後端が搬送ローラ18を通過した場合(ステップS305の肯定枝)には、補正値γ=0とする(ステップS306)。
これは、以下の様な理由による。即ち、図3乃至図6を参照しながら説明した四辺縁無し印刷においては、用紙Pの後端が搬送ローラ18から外れる迄は、用紙Pは搬送ローラ18から受ける搬送力によって搬送される。尚、このとき用紙Pは排紙ローラ19からも一定の搬送力を受けるが、搬送ローラ18のニップ力は排紙ローラ19のニップ力に比して極めて大きいことから、排紙ローラ19から受ける搬送力には殆ど影響されない。
【0064】
一方、用紙Pの後端が搬送ローラ18から外れると、用紙Pは排紙ローラ19から受ける搬送力のみによって搬送される。ここで、搬送ローラ18を構成する搬送駆動ローラ3は上述の通り金属からなるローラ基体の表面に高摩擦層を有して成り、一方で排紙ローラ19を構成する排紙駆動ローラ5はゴムローラから成る。従って、用紙Pと搬送駆動ローラ3との間の摩擦係数と、用紙Pと排紙駆動ローラ5との間の摩擦係数が異なることとなり、従って、搬送ローラ18で用紙Pを搬送する際の搬送誤差と、排紙ローラ19で用紙Pを搬送する際の搬送誤差とが、異なるものとなる。
【0065】
より具体的には、本実施形態においては、搬送駆動ローラ3における用紙Pのスリップ量が、ゴムローラから成る排紙駆動ローラ5における用紙Pのスリップ量に比して多く、また、排紙駆動ローラ5における用紙Pのスリップ量は、本実施形態におけるプリンタ100ではほぼ無視できることが判っているので、本実施形態においては、用紙Pの後端が搬送ローラ18から外れた後は、補正値γ=0とし、搬送量の補正を行わない様にしている。
【0066】
即ち、換言すれば、制御部60は、用紙Pが搬送ローラ18によって搬送される際の実際の搬送量と、用紙Pが排紙ローラ19によって搬送される際の実際の搬送量との誤差を補正する「搬送手段別搬送量補正情報」として、補正値γ=補正値A+補正値B+補正値C(搬送ローラ搬送量補正情報)と、補正値γ=0(排紙ローラ搬送量補正情報)との2つの補正値(補正情報)を有している。そして、用紙Pに搬送力を付与するローラ対の組み合わせの変化に対応して用紙Pの搬送量に加えるべき補正値γを変更する様に構成しているので、用紙Pに搬送力を付与するローラ対の組み合わせが変化しても、当該変化後のローラ対の組み合わせに適した補正値を採用することにより、用紙Pの搬送量を常に適切に補正することができ、以て高い印刷品質を得ることができる様になっている。
【0067】
尚、本実施形態では、用紙Pに搬送力を付与するローラ対は搬送ローラ18と排紙ローラ19の2つのみであり、用紙Pの搬送力を付与するローラ対の組み合わせとしては、搬送ローラ18と、排紙ローラ19との2つのみである。しかし、用紙Pに搬送力を付与するローラ対を3以上備え、更に多くのローラ対の組み合わせが考え得る様な構成においても、同様にローラ対の組み合わせが変化した際に、当該変化後の組み合わせに適した補正値を採用する様に構成することにより、用紙Pの搬送量を常に適切に補正することができる。
【0068】
より具体的には、例えば図7に示す補正値種類に、用紙Pに搬送量を付与するローラ対の組み合わせ毎に設定される”補正値D”なる補正値を追加し、図8のステップS305において当該補正値Dを加えることにより、用紙Pに搬送量を付与するローラ対の組み合わせに応じた適切な補正値γを得ることができる。
【0069】
次に、図9及び図10を参照しながら、補正値Aの求め方について詳説する。ここで、図9は所定の搬送量(本実施形態では、1inch)の補正値Aを求める流れを示すフローチャートであり、図10は補正値Aを求めるテストパターンを示すものである。
【0070】
被記録材搬送量制御装置としての制御部60は、図10に示す様なテストパターンを印刷するテストパターン印刷手段を備えている。テストパターン印刷手段は、図10に示す様に副走査方向(図10の上下方向)に2つのブロックパターンを形成するブロックパターン印刷モードを有し、更に、補正値αn(後述する図9のステップS403)を変化させながら、本実施形態においては前記ブロックパターン印刷モードを5回実行することにより、n=1〜5の5組のブロックパターンを形成する。尚、図10では5組のブロックパターンを並列状態で示しているが、実際には、副走査方向に直列に形成される。また、それぞれのブロックパターンの上部に記した番号はパターン番号を示すものであり、実際に用紙Pに印刷されるものである。
【0071】
図9を参照しつつ詳説すると、先ず、ブロックパターン印刷モードの実行回数を1にセットし(ステップS401)、続いて1つ目のブロックパターン(本実施形態では、副走査方向寸法1inch)を印刷する(ステップS402)。次に、補正値αn=(n−3)×βとし(ステップS403)、用紙Pを1+αn(inch)搬送した状態で(ステップS404)、2つ目のブロックパターン(本実施形態では、副走査方向寸法1inch)を印刷する(ステップS405)。以降、n=5となるまで、当該ブロックパターン印刷モードを繰り返し実行する(ステップS407、S406)。尚、ステップS403における値βは補正値αnの1回の増分値であり、図10に示すn=1〜5のブロックパターンは、増分値βずつ補正値が増分されて形成されたものである。
【0072】
この様なテストパターン印刷手段によって印刷されたテストパターンは、一例として図10に示す様に、n=1、2において白スジが発生し、n=3、4、5において黒スジが発生している。そこで、白スジから黒スジに変化する境界の番号n1及びn2として、図10の例ではn=2と3をそれぞれ入力する(ステップS408、409)。パターン番号n1における補正値αn(ステップS403における補正値αn)をα(n1)とし、同様にパターン番号n2における補正値αnをα(n2)とすると、補正値Aを、
補正値A=(α(n1)+α(n2))/2
として求める。
【0073】
この様にして白スジと黒スジが発生する境界における2つの補正値αnを用いて平均値を求め、これを補正値Aとすることにより、テストパターンを目視で判定する判定者間のばらつきを防止して、より正確な補正値Aを求めることが可能となる。
尚、上述した補正値Aの求め方は一例であり、その他の方法、例えば、搬送量を印刷結果から実際に測定することによって補正値Aを求める等、種々の方法が利用可能である。
【0074】
続いて、図11乃至図14を参照しながら、補正値Bの求め方について詳説する。ここで、図11は一定の搬送量(本実施形態では、1inch)の補正値Bを求める流れ(概念)を示すフローチャートであり、図12は補正値Bを求める為に用紙Pに形成(印刷)するテストパターンを示すものである。また、図13及び図14は紙種及び用紙サイズ毎の補正値の一例を示すものである。
【0075】
被記録材搬送量制御装置としての制御部60は、図12に示す様なテストパターンを印刷するテストパターン印刷モードを備えている。このテストパターン印刷モードは、図12に示す様に副走査方向に所定の間隔を空けて主走査方向に真っ直ぐに延びるラインを順次印刷する(本実施形態では、17本)。以下、図11に基づいて詳説すると、先ず、ライン番号jを0にセットし(ステップS501)、以下、1/16inch毎の搬送動作を繰り返しながら、計17本のラインを印刷する(ステップS502〜S505)。尚、図12において括弧示す数字はライン番号(j)であり、この番号は、実際には印刷されない。
【0076】
次に、各ラインの間隔(計16個)を実測し(ステップS507〜S509)、得られた間隔を全て合計し、これを1(inch)から引いた値を、補正値Bとする(ステップS510)。つまり、1/16inchの搬送動作を16回繰り返し行っている為、1/16inchの搬送動作が正確に行われているとすれば、各ラインの間隔を合計すると、1inchとなる筈である。しかし、実際には搬送誤差を生じる為、各ラインの間隔の合計値と、目標値としての1inchとの差をとって補正値Bとするのである。そして、プリンタ100において使用が予定されている紙種及び用紙サイズ毎に、個別に同様な手順を繰り返すことによって、紙種及び用紙サイズ毎に個別に設定されるべき補正値Bが得られることになる。
尚、上述した補正値Bの求め方は一例であり、その他種々の方法が利用可能であることは言うまでも無い。
【0077】
図13は、上述の方法によって得られた、紙種毎に個別に設定される補正値Bの一例を示したものである。尚、図13及び図14では、「紙種」として用紙の材質毎に分け、これとは別に「用紙サイズ」として用紙のサイズ毎に分けているが、両者を含めて「紙種」と定義しても構わない。
【0078】
図13において、補正値Bは、ロータリエンコーダ74(図2参照)の最小分解能である1/5760(inch)を単位として紙種毎に設定されている。図13では、一例としてセイコーエプソン(株)製のPMマット紙、PM写真用紙、光沢紙(いずれも製品名)の3種類を挙げている。図13に示した用紙サイズはいずれもA4判サイズであり、表から、用紙サイズが同一であっても、紙種(材質)毎に異なる固有の値となることが判る。これは、前述した様に、紙毎に搬送ローラ18との間の摩擦係数が異なり、また、紙の剛性、厚さが異なることによって、搬送ローラ18によるスリップの程度が紙種毎に異なるからである。
【0079】
一方、図14は同一の紙種(材質)において用紙サイズが異なる場合の補正値Bを比較するものである。図14に示す様に、同一の紙種(材質)であっても、用紙サイズが異なることによって補正値Bがそれぞれ異なった固有の値をとることが判る。これは、用紙サイズが異なると、用紙Pを搬送する為に必要な力、つまり、搬送負荷が異なるものとなる為である。
【0080】
続いて、図15及び図16を参照しながら、補正値Cの求め方について詳説する。ここで、図15は印刷解像度と1インチ当たりの搬送誤差との関係を示すグラフであり、図16は印刷解像度毎の補正値Cの一例を示すものである。
図15に示す様に、本実施形態に係るプリンタ100において印刷解像度と1inchあたりの搬送誤差との関係を調査したところ、印刷解像度が高くなるほど搬送誤差がプラス側(目標値より多めに搬送される)となり、印刷解像度が低くなるほど搬送誤差がマイナス側(目標値より少なめに搬送される)となる傾向があった。尚、図15の実線で示す曲線は、印刷解像度毎の搬送誤差を多数採取した上でこれをグラフにプロットした際に得られる対数近似曲線を示し、従って任意の印刷解像度に対する搬送誤差は、一定の近似式によって得ることができる。また、図15の黒丸は、図16に示す6種類の印刷解像度に対応する搬送誤差をプロットしたものである。
【0081】
図16に示す様に、本実施形態に係るプリンタ100においては、印刷解像度毎に1回の用紙Pの搬送量(1〜1/32(inch/回))と搬送速度(V1〜V6(inch/sec))とが異なる様に設定されている。そして、図15に示した印刷解像度と1inchあたりの搬送誤差との関係に対応して、印刷解像度が高い場合には補正値Cはマイナス側(少なめに搬送する)に設定され、印刷解像度が低い場合には補正値Cはプラス側(多めに搬送する)に設定されている。
【0082】
尚、上述した補正値Cの求め方、即ち、印刷解像度を数種類変化させてそれぞれの印刷解像度において1inchあたりの搬送誤差を測定し、測定結果から近似式(近似曲線或いは近似直線)を求め、当該近似式から得られる搬送誤差を打ち消す様な値を補正値Cとして得る方法は一例であり、その他種々の方法が利用可能であることは言うまでも無い。
【0083】
加えて、本実施形態では印刷解像度毎に1inchあたりの搬送誤差を測定しているが、1回の搬送量のみに着目し、1回の搬送量を数種類変化させてそれぞれの搬送量における1inchあたりの搬送誤差を測定することにより、補正値Cを1回の搬送量毎に得る様にしても良い。また、搬送速度のみに着目し、1回の搬送速度を数種類変化させてそれぞれの搬送速度における1inchあたりの搬送誤差を測定することにより、補正値Cを搬送速度毎に得る様にしても良い。
【0084】
この場合、一般には1回の搬送量が少ない程、1回の搬送動作を多数回繰り返した際(例えば、1inch搬送する為に少量の搬送動作を多数回行った場合)の搬送誤差はプラス側(目標より多めに搬送される)ので、1回の搬送量が少ない程、補正値Cはマイナス側(目標とする搬送量より少なめに搬送する)に設定するのが望ましい。また、一般には搬送速度が遅い程、搬送誤差がプラス側(目標より多めに搬送される)ので、搬送速度が遅い程、補正値Cはマイナス側(目標とする搬送量より少なめに搬送する)に設定するのが望ましい。
【0085】
次に、図17乃至図19を参照しながら、補正値γの他の求め方について説明する。ここで、図17は1回の搬送量Lと、搬送速度との関係を示す図であり、図18(A)は補正値Eの内容を示す図、図18(B)は補正値γ’の一例を示す図である。また、図19は補正値γ’を求めるフローチャートである。
【0086】
図17に示す様に、プリンタ1の制御部60は、用紙の1回の搬送量Lに応じて搬送速度を変化させる様にしている。これは、図16に示した表を参照しながら説明した通りであり、図17は、図16に示した表の、より具体的な一例である。この理由は、1回の搬送量が多い場合には、スループット向上の為に搬送速度を向上させるが、1回の搬送量が少ない場合には、紙送りモータ72(図2)の制御上加速領域を確保することができず、従って搬送速度を低下させる必要があるからである。
【0087】
ここで、図8を参照しながら説明した例では、1inchあたりの補正値γを求めている。従って、実際の搬送時には、実際の搬送量L(1回の搬送量)に応じた補正値γ’を、前記補正値γから求めてこれを用いることになる。しかしこの場合、補正値γには補正値C、即ち印刷解像度毎に異なる補正値Cが含まれ、従って1回の搬送量Lが変化すると、これに応じて補正値γ’に含まれる補正値C分も変化することになる。
【0088】
しかし、例えば、1回の搬送量Lが異なる場合でも、搬送速度が同じであれば、搬送誤差が同じとなる場合がある。即ち、図17のグラフ上におけるa位置とb位置とにおいては、1回の搬送量がb位置の方が多いものの、搬送速度が同じであることから、結果として搬送誤差が同じとなる場合がある。これは、1回の搬送時における紙送りモータ72(図2)の加速度の大小の差異に基づくものであり、つまり加速度が異なることにより、搬送駆動ローラ3(図1)と用紙Pとの間のスリップの程度が変化するからである。従って、搬送速度が同じであれば、1回の搬送量の多少に関わらず、搬送誤差が同じとなる場合も生じる。
【0089】
一方、メカばらつきに起因する搬送誤差を補正する為の補正値Aは、主として搬送駆動ローラ3(図1)の外径の誤差に起因するものであるから、補正値Aは、1回の搬送量Lに比例して増減させることが望ましい。そこで、補正値γ’(第3の搬送量補正情報)を求める際には、搬送速度毎に設定される補正値を補正値E(第2の搬送量補正情報)とすると、1回の搬送量Lに関係なく搬送速度に応じた一定の補正値Eを用い、メカばらつきに係る補正値Aは、1回の搬送量Lに応じて増減した補正値A’(第1の搬送量補正情報)を用いることが望ましい。
【0090】
以下、図19を参照しながら具体的な補正値γ’の求め方の一例について説明する。先ず、印刷データから次回搬送速度、紙種、次回搬送量Lを取得する(ステップS601)。続いて、PROM64(図2)から1inchあたりの補正値Aを取得し(ステップS602)、同様にPROM64から搬送速度と紙種に応じた補正値Eを取得する(ステップS603)。
【0091】
ここで、図18(A)は、補正値Eの一例を示すものである。補正値Eは搬送速度毎に設定され、また、紙種毎に設定されていて、PROM64(図2)にストアされている。搬送速度が大なる程補正値Eが大なるのは、上述の通り搬送速度が大なる程、加速時に搬送駆動ローラ3(図1)における用紙Pのスリップが顕著となる(目標より少なめに搬送される)からである。また、補正値Eは、紙種毎に設定される。図18(A)の例では、普通紙よりも光沢紙が大なる値となっているが、これは、光沢紙は表面にコート層を有する為スリップし易いとともに、厚手であり剛性が高いので、搬送負荷(バックテンション)が大なるものとなり、これによって搬送駆動ローラ3におけるスリップがより一層顕著となる(目標より少なめに搬送される)からである。尚、補正値Eは、プリンタ1の制御部60が保持せず、ホスト・コンピュータ200(図2)上で動作するプリンタ・ドライバからプリンタ1へデータとして送信する様にしても構わない。
【0092】
続いて、搬送量L(×1/5760inch)あたりの補正値A’(×1/5760inch)を求める(ステップS604)。補正値Aは1inchあたりの補正値(×1/5760inch)だからである。ここで、補正値A’は、[補正値A×(搬送量L/5760)+前回余りδ]の整数部となる(ステップS604)。小数部を用いないのは、上述した通り本実施形態に係るプリンタ1の最小搬送単位が1/5760inchだからであり、従ってこれより小さい値は搬送量補正値として加えることができないからである。また、前回余りδは、初期値がゼロとなっている。
【0093】
一方、整数で割り切れない余り即ち小数部は、今回余りδとなり(ステップS605)、この値δが、次回の搬送時にステップS604で用いられる前回余りδとなる。尚、δは、RAM63(図2)等の記憶媒体に一時的に保持されることになる。
【0094】
以上から、搬送量Lあたりの補正値γ’(1/5760inch)は、補正値A’+補正値Eとなる(ステップS606)。以下、図18(B)に基づいてより詳しく説明する。図18(B)は、1回の搬送量L、補正値A’、補正値E、補正値γ’の一例を示す表である。この例においては補正値A=9(×1/5760inch)を用いる様になっていて、1回目の搬送時には搬送量Lが2880(×1/5760inch)であるので、補正値A’は[9×(2880/5760)+δ]の整数部をとり4なる(δは初期値ゼロ)。一方、補正値Eは、この例においては補正値E=4(図18(A)の表において搬送速度=4.5inch/sec、普通紙)となっていて、従って補正値γ’=4+4=8(×1/5760inch)となる。
【0095】
次に、2回目の搬送時には、前回余りδ=0.5であるので、補正値A’は[9×(2880/5760)+δ]の商である”5”そのままの値となる。従って、補正値γ’=5+4=9(×1/5760inch)となる。この様に、メカばらつきに係る補正値Aの、補正できなかった端数分を次回搬送時に回してこれを補正することにより、前記端数分が累積されて搬送誤差が大きくなることを防止することができる。尚、図18(B)の例では、7回目の搬送量Lが5760/5760(inch)であるので、この場合は補正値A’=[9×(5760/5760)+δ]の商である”9”そのままの値となり(前回余りδはゼロ)、加えて、補正値E=5(図18(A)の表において搬送速度=8inch/sec、普通紙)となるので、補正値γ’=9+5=14(×1/5760inch)となる。
【0096】
以上により、所定の搬送量Lに応じて、プリンタ1のメカばらつきを補正する補正値A’(第1の搬送量補正情報)を求め、これに、1回の搬送量Lに依存しない、搬送速度毎に設定される補正値E(第2の搬送量補正情報)を加えることによって、搬送量Lを補正する補正値γ’(第3の搬送量補正情報)を得るので、より一層正確に、用紙Pの搬送誤差を補正することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの側断面概略図である。
【図2】本発明に係る制御部のブロック図である。
【図3】記録部の要部平面図である。
【図4】記録部の要部断面図である。
【図5】記録部の要部平面図である。
【図6】記録部の要部断面図である。
【図7】補正値の種類とその内容を示す表である。
【図8】補正値Aを求めるフローチャートである。
【図9】補正値Aを求めるフローチャートである。
【図10】補正値Aを求めるテストパターンである。
【図11】補正値Bを求めるフローチャートである。
【図12】補正値Bを求めるテストパターンである。
【図13】紙種毎の補正値Bの一例を示す表である。
【図14】用紙サイズ毎の補正値の一例を示す表である。
【図15】印刷解像度と補正値Cとの関係を示すグラフである。
【図16】印刷解像度毎の補正値Cの一例を示す表である。
【図17】1回の搬送量Lと搬送速度との関係を示す図である。
【図18】各種補正値の一例を示す図である。
【図19】補正値γ’を求めるフローチャートである。
【符号の説明】
1 インクジェット記録ヘッド、2 ノズルアレイ、3 搬送駆動ローラ、4搬送従動ローラ、5 排紙駆動ローラ、6 排紙従動ローラ、7、8、9 リブ、10、11、13、17 溝穴、18 搬送ローラ、19 排紙ローラ、30 紙検出器、50 プラテン、60 制御部(被記録材搬送量制御装置)、64 PROM、72 紙送りモータ、74 ロータリエンコーダ、90 給紙装置、100 インクジェットプリンタ(記録装置)、200 ホストコンピュータ、P 印刷用紙
Claims (9)
- 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、
前記搬送ローラの外径によって異なる前記記録装置固有の搬送量補正情報をデータ記憶手段に備え、
前記搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、
前記被記録材に2つのブロックパターンを形成し、且つ、前記ブロックパターンを形成する際に、前記搬送ローラの回転量に所定の補正値を加えるブロックパターン印刷モードを、前記補正値を変化させながら複数回実行するテストパターン印刷手段と、
前記テストパターン印刷手段の実行によって得られたテストパターンから得られる、前記搬送ローラの外径によって異なる前記記録装置固有の搬送量補正情報が記憶されたデータ記憶手段と、を備え、
前記搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、
前記被記録材の搬送速度毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、
前記被記録材の1回の搬送量毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、
印刷解像度毎に設定される搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 請求項3から5のいずれか1項において、前記搬送量補正情報を、前記被記録材搬送量制御装置に印刷情報を送信するホストコンピュータから取得する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置において、前記搬送ローラの回動量を制御することにより、前記被記録材の搬送量を制御する被記録材搬送量制御装置であって、
前記記録装置の機体差によって生じる、前記記録装置固有の単位搬送量あたりの搬送量補正情報をデータ記憶手段に備え、
所定の搬送量に対応する第1の搬送量補正情報を前記単位搬送量あたりの搬送量補正情報から求め、該第1の搬送量補正情報に、前記被記録材の搬送速度毎に設定される第2の搬送量補正情報を加えることによって得られた第3の搬送量補正情報を基に、前記被記録材の搬送量を補正する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 請求項1から7のいずれか1項において、前記記録装置において前記搬送ローラの下流側に前記被記録材を排紙する排紙ローラが設けられ、前記被記録材が前記搬送ローラによって搬送される際の前記被記録材の実際の搬送量と、前記被記録材が前記排紙ローラによって搬送される際の前記被記録材の実際の搬送量との誤差を補正する搬送手段別搬送量補正情報を基に、前記被記録材後端が前記搬送ローラから外れる前後で前記被記録材の搬送量に加える補正値を変更する様構成されている、
ことを特徴とする被記録材搬送量制御装置。 - 被記録材に記録を行う記録ヘッドと、
該記録ヘッドへ前記被記録材を搬送する、回動駆動される搬送ローラと、を備えた記録装置であって、
請求項1から8のいずれか1項に記載された前記被記録材搬送量制御装置を備えている、
ことを特徴とする記録装置。
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