JP2004148770A - インクジェット記録装置 - Google Patents
インクジェット記録装置 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004148770A JP2004148770A JP2002319381A JP2002319381A JP2004148770A JP 2004148770 A JP2004148770 A JP 2004148770A JP 2002319381 A JP2002319381 A JP 2002319381A JP 2002319381 A JP2002319381 A JP 2002319381A JP 2004148770 A JP2004148770 A JP 2004148770A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- carriage
- recording
- wiper
- ink
- wiping
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Granted
Links
Images
Landscapes
- Ink Jet (AREA)
Abstract
【構成】キャリッジ64の移動を利用して記録ヘッド300のインク吐出部に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパー84a、84bを設けるとともに、各ワイパーによるインク吐出部の拭き取り開始のタイミングをワイパーごとに異ならせる。
【選択図】 図11
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、キャリッジに搭載された複数のインク吐出部から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
シリアルタンプのインクジェット記録装置は、一般に、被記録材上の記録領域を往復移動可能に支持されたキャリッジ上に搭載されたインク吐出部としての記録ヘッドから、被記録材上に液体のインクを吐出して画像を形成していくように構成されている。このようなインクジェット記録装置においては、記録中にはインク吐出部の吐出方向へ真っ直ぐインク滴が飛翔することが理想的であるが、連続してインク吐出を行っていると、インク吐出部(記録ヘッド)の吐出口近傍で発生するインクミスト(インクの飛び散り)や紙粉等の塵埃などが吐出口面(吐出口が形成された面)に付着することにより、該吐出口面が濡れてしまい、これが原因となってインク滴が真っ直ぐに飛ばないようになり、被記録材上に形成される画像に悪影響を及ぼすという解決すべき技術的課題がある。また、インクが記録ヘッド(インク吐出部)の吐出口面に残留したまま乾燥すると、乾燥したインクが吐出口近傍に固着することにより同様の不都合が発生する可能性がある。
【0003】
インクジェット記録装置においては、このようなインクの吐出不良を解消して良好な記録動作を維持回復するための回復手段としての回復機構部が設けられ、個々のインクジェット記録装置に適用した回復方法が実施されている。
前記回復機構部には、通常、弾性部材から成るキャップでインク吐出部を覆うキャッピング手段、インク吐出部を覆った状態(キャッピング状態)でキャップ内部を負圧にして吐出口からインクを吸引する吸引手段、並びに、インク吐出部に付着したインクや塵埃等を拭き取り除去するためのワイピング手段が設けられている。
前記ワイピング手段は、通常、ゴム状弾性体から成るブレードによって記録ヘッドの吐出口面を拭き取り清掃するように構成されている。このワイピング手段として、記録装置本体側に前記ブレードを配設し、記録ヘッドを搭載したキャリッジの移動を利用して該ブレードを吐出口面に対して所定の管理されたオーバーラップ量(侵入量)をもって摺擦させるように構成されたものが使用されている。
【0004】
一方、近年では、インクジェット記録装置によるカラー記録の高画質化が進み、従来のブラックK、シアンC、マゼンタM、イエローYによる4色の記録に加えて、例えば淡色のインク(淡シアンc、淡マゼンタm)を加えた6色の記録を行うために、複数個のインク吐出部としての記録ヘッドをキャリッジに搭載するインクジェット記録装置が提供されている。
すなわち、濃色のインクと淡色のインクを吐出する2箇の記録ヘッドを設け、画像の明部分から中間部分は淡色のインクで記録ドットを形成し、中間階調から暗部分までは濃色のインクで記録ドットを形成することにより、ドットによる粒状性を目立たなくすることで、高画質を実現する方法が提供されている。
【0005】
また、他の高画質化の方法として、インクに従来の化学染料を混ぜて発色を行うものの他に、鉱物系の物質を混ぜた顔料系のインクを用いることにより、高発色性を実現する方法も提供されている。
さらに、より高画質の出力を得る方法として、一方のインクにアニオン化インクを採用し、他方にカチオン化インクを採用するなど、反応性のインクを用いる方法もある。実際には、例えば、シアンインクをアニオン化インクとし、ブラック、マゼンタ、イエローをカチオン化インクとするなどの方法が採られている。このような反応性のインクを用いる方法によれば、被記録材上に吐出されたアニオン化インクとカチオン化インクが、被記録材上の各インク画像形成領域の境界あるいは画像形成パターン内で混じり合い、ブリードの発生を抑えるとともに、耐水性の向上を実現できるなどの効果が得られる。
【0006】
以上のような高画質化を実現するためにキャリッジに搭載された複数のインク吐出部(記録ヘッド)を用いるインクジェット記録装置においては、回復機構部のワイピング手段として、キャリッジに搭載されるインク吐出部の数と同じ数のワイパーを設けることも行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、複数の記録ヘッド(インク吐出部)をキャリッジに搭載するとともに、これらの記録ヘッドの吐出口面を拭き取り清掃するために記録ヘッドの数と同じ数のワイパーを備えた従来のインクジェット記録装置においては、複数個のワイパーで複数個の記録ヘッドを同時に拭き始める場合、ワイパーに作用する摺擦抵抗に起因するキャリッジ駆動モータの負荷が大きくなってしまうため、高いトルクを発生するより大型でより高価なモータが必要となってしまう。
【0008】
また、上記のようなキャリッジ駆動モータの負荷増大を避ける方法として、例えば特開2001−8004号公報のように、複数個の記録ヘッドに対して1枚のワイパーブレードを設け、1枚のワイパーブレードにより拭き動作を行うことでキャリッジ駆動モータの負荷を軽減する方法が提案されている。しかし、このような方法では、高画質化のためにアニオン化インクやカチオン化インクのような反応性インクを用いる記録ヘッドを装着した場合、1枚のワイパーを両方の記録ヘッドの吐出口面に摺擦させることになるため、該吐出口面上あるいはワイパー先端部で反応性インクによる反応が発生し、粘度を増した増粘インクが吐出口近傍に付着したり、該増粘インクが吐出口を塞いだりすることで、インク固着やインク不吐出の原因となることがある。
【0009】
本発明はこのような技術的課題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、キャリッジの移動を利用して複数のワイパーにより複数のインク吐出部を拭き取り清掃する場合でも、簡単な機構でキャリッジ駆動モータの負荷増大を抑制することができ、キャリッジ駆動モータの必要駆動力を減少させることにより該モータの小型化及び価格低減を図ることができるインクジェット記録装置及び該記録装置の回復方法を提供することである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的を達成するため、キャリッジに搭載された複数のインク吐出部から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、キャリッジの移動を利用して前記インク吐出部に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパーを設けるとともに、各ワイパーによる前記インク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を具体的に説明する。なお、各図面を通して同一符号は同一又は対応する部分を示す。
図1は本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例を前方から見て示す模式的斜視図であり、図2は図1のインクジェット記録装置のを後方から見て示す模式的斜視図である。また、図1及び図2のインクジェット記録装置30は、本実施例では、マルチヘッド・シリアル・プリンタ(複数の記録ヘッドを有するシリアル記録方式の記録装置)で構成されている。
図1及び図2に示すインクジェット記録装置30において、31は記録装置本体を収納するためのハウジングを、32はアクセスドアを、34は自動フィーダ(自動給紙装置)を、36は自動フィーダ34の自動送り用アジャスタを、37は手動フィーダ(手動給紙装置)を、39は手動送り用アジャスタを、それぞれ示す。
【0012】
さらに、40は被記録材排出ポートを、41は排出トレイを、42はトレイ・リセプタクル(トレイ受容部)を、それぞれ示す。前記アクセスドア32には、インジケータ・ライト43、電源ボタン44及び再開ボタン46が設けられている。図2及び図3において、47は電源を、49は電源コードを、50はインタフェースを、55は前記自動フィーダ34のトレイを、それぞれ示す。
前記ハウジング31内には、被記録材上に画像を記録するプリンタエンジン(記録作動部)を含む記録装置の内部機構が収容されており、該ハウジング31上には前記アクセスドア32が開閉可能に取り付けられている。このアクセスドア32は、ユーザーが記録装置30の内部機構にアクセスするためのものであり、特に、装置本体内部に装着されたインクカートリッジ等にアクセスできるように手動で開閉できるように構成されている。
【0013】
図3は図1及び図2のインクジェット記録装置の内部構造を前方から見て模式的に示す破断斜視図である。図1〜図3に示す本実施例に係るインクジェット記録装置においては、前記アクセスドア32が開閉されたときにそれを検知するセンサ(図示せず)が設けられており、アクセスドア32が開放されたことが検知されると、記録ヘッド(図示の例ではインクカートリッジ)300a、300bを搭載したキャリッジ64a、64bが開放されたアクセスドア32に対応する位置へ移動するように構成されている。図示の例では、各記録ヘッド300a、300bのそれぞれに対応して2個のキャリッジ64a、64bが使用されているが、これは、1個のキャリッジ64に複数の記録ヘッド300a、300bを搭載するように構成しても良く、本発明はいずれの場合にも同様に適用でき、同様の作用効果を奏するものである。
【0014】
図1〜図3において、記録装置30のハウジング31上に装着された自動フィーダ(自動給紙装置)34は、記録装置30における記録用紙等の被記録材の供給部を構成している。すなわち、自動フィーダ34には、記録装置30の記録手段によって画像を記録される被記録材が格納されている。
図3において、本実施例に係るインクジェット記録装置30は、2個の記録ヘッド(記録手段)300a、300bを使用して画像を記録するものである。これらの記録ヘッド300a、300bを構成する2個のカートリッジは、互いに横方向に所定間隔をおいて並んだ状態で、それぞれのキャリッジ64a、64b上に搭載(保持)されている。これらのキャリッジ64は、装置本体に設置されたガイドシャフト69に沿って移動可能に案内支持されており、キャリッジ駆動モータ(単にキャリッジモータとも呼ぶ)66によりタイミングベルト67を介して往復移動するように駆動される。このようなキャリッジ64(64a、64b)の移動に同期して、各記録ヘッド300a、300bを画像情報に基づいて駆動することにより、被記録材上に左右方向の双方向に画像を記録することができる。通常、前記キャリッジ駆動モータ66はパルスモータで構成されるが、DCサーボモータで構成しても良い。
【0015】
図示のインクジェット記録装置30には、複数のワイパー84a、84bを有するワイピング手段と、複数のキャップ88a、88b及びこれらのキャップに接続された吸引ポンプ等の負圧発生手段(不図示)から成る吸引手段と、を備えた回復機構部86が装着されている。なお、前記キャップ88a、88bは、非記録時に記録ヘッド300a、300bの吐出口面に密着されることで、インク吐出部を保護するとともに、吐出口からのインク蒸発を抑制する機能を備えている。また、これらのキャップ88a、88bは、記録ヘッド300a、300b(キャリッジ64a、64b)のホームポジション(HP)87に配設されている。
記録装置30の電源をオフした時、あるいは電源オンの状態で待機している時などの非記録時には、前記キャップ88は、前記キャリッジ64に搭載された記録ヘッド300の吐出口面に密着され、該吐出口面を覆うキャッピング状態にされる。そして、このようなキャッピング状態において、例えば前記ラインフィードモータ61を併用した回復用モータで前記回復機構部86の負圧発生手段(吸引ポンプ)を駆動することにより、接続チューブ等を介してキャップ88内に負圧を導入し、記録ヘッド300の吐出口からインクを吸引することで、該記録ヘッド300のインク吐出性能の維持回復を図ることができる。
【0016】
前記ワイパー84は、記録ヘッド300の吐出口面に付着したインクやほこり等の異物を拭き取り除去するためのものである。前記各ワイパー84a、84bは、所定の条件が確立されたときに、キャリッジ64a、64bの移動を利用して各記録ヘッド300a、300bの吐出口面に接触して摺擦するように動作させられる。例えば、記録ヘッド300a、300bによって記録(印刷)されたドット数が所定数に達したときに、キャリッジ64a、64bを記録領域から外れた回復領域に移動させ、ワイパー84a、84bを該記録ヘッドの吐出口面とオーバーラップする位置まで接近(上昇)させるとともに該キャリッジを回復領域から記録領域へ向けて移動させることで、該吐出口面の拭き取り清掃を実施するように動作させられる。
【0017】
図4は本発明を適用したインクジェット記録装置30の一実施例に装着されるブラック等の単色記録ヘッドを前方から見て示す模式的斜視図であり、図5は本発明を適用したインクジェット記録装置30の一実施例に装着されるシアン、マゼンタ、イエロー等の複数色記録ヘッドを前方から見て示す模式的斜視図であり、図6は図4及び図5に示す記録ヘッドを背面側から見て示す模式的斜視図である。
図4及び図5において、記録ヘッド300a及び300bは、それぞれ、インクを吐出する複数の吐出口から成る吐出口列が形成された吐出口面(拭き面)301a及び301bを有している。図4の記録ヘッド300aは単色(例えば黒のみ)のインクを吐出する記録ヘッドであり、図5の記録ヘッド300bは複数色(例えばシアン、マゼンタ、イエロー)のインクを吐出することができる記録ヘッドである。
【0018】
なお、本明細書では、前記ワイパー84a、84bや前記記録ヘッド300a、300bのように同一名称の部材が複数個存在する場合は、個々の部材を区別して示す他に、同一名称の部材の全体もしくは任意の一つを指す場合には、単にワイパー84、記録ヘッド300のように個々の部材を区別することなく示すことにする。他の複数個の部材から成る構成部分についても同様である。
記録手段又はインク吐出部としての前記記録ヘッド300は、熱エネルギーを利用してインクを吐出するインクジェット記録手段であって、熱エネルギーを発生するための電気熱変換体を備えたものである。また、前記記録ヘッド300は、前記電気熱変換体により印加される熱エネルギーによってインク内に膜沸騰を生じさせ、その時に生じる気泡の成長、収縮による圧力変化を利用して吐出口よりインクを吐出させ、記録(プリント)を行うものである。
【0019】
図29は、記録ヘッド300のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。図29において、記録用紙等の被記録材(記録媒体)と所定の隙間(例えば、約0.2〜約2.0ミリ程度) をおいて対面する吐出口面301には、所定のピッチで複数の吐出口182から成る吐出口列が形成され、共通液室183と各吐出口182とを連通する各液路184の壁面に沿ってインク吐出用のエネルギーを発生するための電気熱変換体(発熱抵抗体など)185が配設されている。記録ヘッド300は、前記複数の吐出口182が主走査方向(記録ヘッド300の移動方向)と交叉する方向に並ぶような位置関係で、キャリッジ64に搭載されている。こうして、画像信号または吐出信号に基づいて対応する電気熱変換体185を駆動(通電)して、液路184内のインクを膜沸騰させ、その時に発生する圧力によって吐出口182からインクを吐出させる記録手段又はインク吐出部としての記録ヘッド300が構成されている。
【0020】
図6において、各記録ヘッド300の背面には、キャリッジ64(64a、64b)と電気的なコンタクトを介して吐出信号を伝達するコンタクト部302が設けられている。図4〜図6に示す記録ヘッド300はインクタンクを一体に内蔵したカートリッジタイプであるが、本発明は、独立したインクタンクが装着され、該インクタンクのみを交換する形態の記録手段(記録ヘッド)など、他の形態の記録ヘッドを使用する場合でも、同様に適用でき、同様の作用効果を奏するものである。
【0021】
図7〜図12は本発明を適用したインクジェット記録装置の第1実施例の要部構成及び動作を示す模式的正面図であり、図7は記録手段を搭載したキャリッジが記録領域から回復領域へ移動してくるときの状態を示し、図8は記録領域から回復領域へ移動してきたキャリッジが回復スライダと係合して該回復スライダをキャッピング位置へ保持している状態を示し、図9は図8のキャッピング位置からキャリッジが記録領域へ向けて移動することで回復スライダはワイピング可能位置へ上昇したがワイパーは未だ吐出口面に摺接していないときの状態を示し、図10は図9の状態から回復スライダが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーのうちの1個のみが記録ヘッドの吐出口面の摺擦を開始したときの状態を示し、図11は図10の状態から回復スライダが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーとも記録ヘッドの吐出口面に摺擦しているときの状態を示し、図12は図11の状態から回復スライダが記録領域へ向けて更に移動することで1個のワイパーは未だ吐出口面に接触しているが他方のワイパーは既に吐出口面を通過してしまったときの状態を示す。
【0022】
図7〜図12において、インクジェット記録装置30は、ガイドシャフト69に沿って往復移動可能に案内支持されたキャリッジ64上に搭載された複数(図示の例では2個)のインク吐出部(記録ヘッド)300a、300bから被記録材へインクを吐出して記録を行うように構成されており、装置本体側に装着された回復スライダ81上には前記複数のインク吐出部300a、300bに対応して複数(図示の例では2個)のワイパー84a、84bが取り付けられている。前記複数のワイパー84a、84bを有する回復機構部86は、キャリッジ64の移動を利用して該ワイパーによって各記録ヘッド300のインク吐出部(吐出口面)を拭き取り清掃するように構成されている。
【0023】
前記キャリッジ64には後述するトリガー部65(図19、図20)が設けられ、後述するように、該トリガー部65は、ワイパー84で記録ヘッド300の吐出口面301を拭き取り清掃(ワイピング)した後に、該ワイパー84を待機位置(記録ヘッド300から離隔した位置)へ移動させるためのものである。
前記複数のワイパー84a、84bは前記回復スライダ81上にワイパーストッパ83a、83bにより所定の距離Bの間隔で配置されており、該回復スライダ81は回復機構部86内に配置されている。本実施例では、複数(2個)のワイパー84a、84bがそれぞれ複数(2個、両方)の記録ヘッド300a、300bの吐出口面と摺擦するように構成されている。
【0024】
前記回復スライダ81には2組の摺動ポスト(係合突起)81a及び81bが設けられており、該回復スライダ81は、この2組の摺動ポスト81a、81bを介して、装置本体側に設けられたカム面86a、86bに案内されながら図示の上下左右方向に摺接移動可能に案内保持されている。また、前記回復スライダ81は、スライダばね82により常に一方向(図示左向き方向)にばね付勢されている。
また、前記回復スライダ81には、記録領域から回復領域へ移動してくるキャリッジ64が当接することで該回復スライダ81を図示右方向へ移動させるための回復スライダ突起部(係合部)81cが設けられている。
【0025】
図7〜図12において、前記回復スライダ81上には、キャリッジ64上の記録ヘッド300a、300bの吐出口面を覆うためのキャップ88a、88bが設けられている。これらのキャップ88a、88bは、ゴムなどのゴム状弾性部材から成り、非記録時に記録ヘッド300のインク吐出部(吐出口面301)に密着されて吐出口を密封することで、該吐出口からのインクの蒸発を防ぐ機能を有する。各キャップ88a、88bはキャップホルダ89a、89b上に保持されている。また、これらのキャップホルダ89a、89bは、キャップ88a、88bが対応する記録ヘッド300a、300bの吐出口面301a、301bの姿勢に追従して全面で均等な圧接力で密着するようなイコライズ(又はイコーライズ)可能な機構によって回復スライダ81上に支持されており、所定のキャップ圧接力が発生するようにキャップばね85により常にばね付勢されている。
【0026】
図10〜図12は複数のワイパー84a、84bによって記録ヘッド300a、300bの吐出口面をワイピング(拭き取り清掃)する動作を示すものであり、前記回復スライダ81は、後述するワイパーロック機構(図13〜図20)により指定されたワイパー拭き位置で待機した状態で、記録ヘッド300a、300bを搭載したキャリッジ64が回復領域から記録領域へ所定の速度にてキャリッジ駆動モータ66によりタイミングベルト67(図3参照)を介して移動させられる。
つまり、本実施例では、前記回復スライダ81は、ワイパー84が記録ヘッド300の吐出口面に摺擦する間(ワイピングする間)、図9〜図12に示すような所定のワイパー拭き位置(ワイピング位置)にワイパーロック機構(図13〜図20参照)により固定(ロック)されている。
【0027】
ワイピング時には、各ワイパー84は、各記録ヘッド300に当接する際、先端部が屈曲するように弾性変形し、そのままの姿勢で記録ヘッド300が通り過ぎるまで該記録ヘッドの吐出口面301を摺擦し、該吐出口面301上に堆積(付着)したゴミやインク増粘物等を拭き取り除去する。記録ヘッド300がワイパー84を通り過ぎた後に、図19又は図20に示すようにキャリッジ64上に設けられたトリガー部65がワイパーロック90とあるタイミングで当接することにより、各ワイパー84(84a、84b)が固定された回復スライダ81は該ワイパーが記録ヘッド(インク吐出部)から退避(離間)する方向へカム面86(86a、86b)に沿って移動させられる。
【0028】
本実施例のように複数(2個)の記録ヘッド300に対して複数(2個)のワイパー84を設ける構成は、前述したようなアニオン・カチオンインクなどの反応性インクをそれぞれの記録ヘッドから吐出するように構成した記録装置の場合に同じワイパーで記録ヘッドをワイピングすると、該記録ヘッドの吐出口の内部もしくはその近傍でインクの増粘やごみの堆積が加速され、記録動作や記録品位に不具合が発生してしまうという不都合を解決するためのものである。
図7〜図12において、複数(2個)の記録ヘッド300a、300bはキャリッジ64上でキャリッジ移動方向に所定距離Aの間隔をおいて配置されている。この距離Aは、記録装置によって所望の値に決定されるものであり、複数の記録ヘッドのそれぞれの吐出口解像度、インクタンクの容量及び形状などにより決定される値である。このような間隔Aで配置された記録ヘッド300a、300bに対応する回復機構部86においては、前記キャップ88a、88bは、該記録ヘッドの吐出口面を大気から密閉する(大気との間に隙間が生じない)ように覆うために、前記間隔Aと実質上同じ間隔で配置されている。
【0029】
そこで、本実施例においては、前記キャリッジ64に搭載された複数(2個)の記録ヘッド300a、300bのキャリッジ移動方向の間隔Aは、前記回復スライダ81に装着された複数(2個)のワイパー84a、84bのキャリッジ移動方向の間隔Bと異なる値に選定されている。図示の例では、記録ヘッドの間隔Aがワイパーの間隔Bより小さい値になるように構成されている。本発明の実施に際しては、逆に記録ヘッドの間隔Aがワイパーの間隔Bより大きい値になるように構成しても良い。
以上のような構成において、記録動作中など、キャリッジ64が回復領域にない場合は、後述するワイパーロック機構(図13〜図20)はアンロック状態(解放状態)にあり、前記回復スライダ81は、スライダぱね82によって記録領域寄り(図示左側)に付勢され、その摺動ポスト81a、81bが装置本体側のカム面86a、86bの図示左側の低位置部位に係合している。そのため、回復スライダ81上のワイパー84a、84bは記録ヘッド300a、300bから退避した位置にあり、該記録ヘッドが通過しても接触しない位置に保持されている。また、当然のことながら、この状態ではキャップ88a、88bも該記録ヘッドから十分に離間している。
【0030】
記録動作終了時や待機時などの非記録時に図7に示すようにキャリッジ64を記録領域から回復領域へ移動させると、該キャリッジ64が回復スライダ81の係合部(回復スライダ突起部)81cに当接し、該キャリッジ64とともに該回復スライダ81がスライダばね82に抗して図示右方向へ移動させられ、図8に示すようなキャッピング位置(通常、ホームポジション又は回復位置)まで移動する。このキャッピング位置では、摺動ポスト81a、81bが装置本体側のカム面86a、86bの図示右側の高位置部位に係合することになるため、回復スライダ81が上昇し、該回復スライダ上のキャップ88a、88bが記録ヘッド300a、300bのインク吐出部(吐出口面301a、301b)に密着され、キャッピング状態が完成される。このときには、キャリッジ64と回復スライダ81がいっしょに移動することから、ワイパー84と記録ヘッド300との相対位置は一定に保たれ、従って、記録ヘッド300の吐出口面がワイパー84によってワイピング(摺擦)されることはない。
【0031】
前述のようにキャリッジ64が図9の位置から図8のキャッピング位置へ図示右向きに移動する間に前記回復スライダ81を該キャリッジ64と共に移動させることにより、後述するワイパーロック機構は、図15から図18に示すように、回復スライダ81をワイピング動作可能なワイピング準備位置に固定させ得る状態を実現させる。
そこで、ワイパー84a、84bから成るワイピング手段によって記録ヘッド300a、300bを拭き取り清掃する場合は、図8のキャッピング状態から、キャリッジ駆動モータを作動させることにより、タイミングベルト67を介して、キャリッジ64を回復領域から記録領域へ向けて(図示左向き方向に)所定速度で移動させる。
このとき、回復スライダ81は、キャリッジ64の図示左向き移動に伴って若干左向きに移動した後、後述するワイパーロック機構によって図9のワイピング位置(固定位置)に保持される。
【0032】
このようにキャリッジ64を回復領域から記録領域へ向けて移動させるとともに、回復スライダ81をワイパーロック機構によってワイピング位置(図9〜図12)に保持している間に、複数のワイパー84a、84bによる複数の記録ヘッド300a、300bのワイピング動作(吐出口面を拭き取り清掃する動作)が実行される。
そして、本発明を適用したインクジェット記録装置においては、キャリッジ64に搭載された複数(2個)のインク吐出部(記録ヘッド)300a、300bから被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置30において、前記キャリッジ64の移動を利用して前記インク吐出部(その吐出口面301a、301b)に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数(2個)のワイパー84a、84bを設けるとともに、各ワイパー84a、84bによる前記インク吐出部300a、300bの拭き取り開始のタイミングを異ならせ、それによって、キャリッジ駆動モータ86の負荷を低減するように構成されている。
【0033】
本実施例では、上記インク吐出部300a、300bの拭き取り開始のタイミングを異ならせる手段として、前記回復スライダー81上に配置される複数のワイパー84a、84bの配置間隔Bを前記キャリッジ64上に配置される複数のインク吐出部300a、300bの配置間隔Aと異ならせる構成が採られている。なお、図示の構成では、記録ヘッドの間隔Aがワイパーの間隔Bより小さくなるように配置されている。
ワイピング動作(拭き取り清掃)を行うべく、キャリッジ64が図9の位置から記録領域へ向かって(図示左向き方向に)移動すると、回復スライダ81上に配置されたワイパー84a、84bの間の距離Bが記録ヘッド300a、300bの間の距離Aよりも大きいため、先ず、キャリッジ動作開始点に近い図示右側の記録ヘッド300bが図示右側のワイパー84bに接触し(図9)、該記録ヘッド300bのワイピングが開始される(図10)。
【0034】
一般に、ワイピング動作に際しては、吐出口面に対してワイパー84の所定の侵入量を確保するようなオーバーラップ量に設定されるので、ワイパー84は記録ヘッド300と当接し屈曲していく。そのため、ワイパー84の最初の侵入領域である突入点と呼ばれる領域における負荷(キャリッジ64を移動させるに必要な駆動力)が大きくなる。
次に、ワイパー84bが図10に示すような突入点を過ぎてワイピング動作中の定常的な屈曲姿勢となった後に、図11に示すように、他方のワイパー84aが他方の記録ヘッド300aと当接し屈曲を開始する。
次いで、キャリッジ64は継続して移動させられ、両ワイパー84a、84bによる両記録ヘッド300a、300bのワイピング動作(拭き動作)が実行される。そして、図12に示すように、先に拭き動作(ワイピング動作)を開始したワイパー84bが先に記録ヘッド300bから解放され、続いて、遅れて拭き動作を開始したワイパー84aが所定の時間差をおいて記録ヘッド300aから解放される。
【0035】
なお、本発明の実施に際しては、上記複数のワイパー84a、84bのワイピング動作終了(記録ヘッド300からの解放)のタイミングは、先に拭き動作を開始した方を必ずしも先に解放させる必要はなく、遅れて解放させても良く、必要に応じて適宜選定できるものである。
そして、遅れてワイピングされた記録ヘッド300aがワイパー84aを通り過ぎた後、図19及び図20に示すように、キャリッジ64に設けられたトリガー部65がワイパーロック機構のロック解除部90dと所定のタイミングで当接し、ロック部材(ロックレバー)90を回動させてその爪部90cを装置本体側のカム面86cから離脱させることにより、回復スライダ81はワイパーロック機構によるロック状態(ワイピング位置に固定された状態)から解放され、スライダばね82のばね力によって元の状態、すなわち、図7に示すように摺動ポスト81a、81bが装置本体側のカム面86a、86bの最も右寄りの最下位の部位に係合し、回復スライダ81が最下位に位置することでワイパー84及びキャップ88が記録ヘッド300から退避(離間)した状態に復帰させられる。
【0036】
図13〜図20は前記回復スライダ81を所定のタイミングでワイピング位置に保持するためのワイパーロック機構の構成及び動作を示す図であり、図13はワイパーロック機構の模式的正面図であり、図14は図13中のロック部材90の軸支部の構造を示す模式的部分斜視図であり、図15はキャリッジ64が記録領域などの回復領域以外の領域にあるときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図であり、図16はキャリッジ64が記録領域から回復領域へ移動するときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図であり、図17は回復領域へ移動してきたキャリッジによって回復スライダが図示右方向へ若干移動してロック状態になったときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図である。
【0037】
図18はキャリッジとともに回復スライダが図17の位置からさらに図示右方向へ移動することでキャッピング状態になったときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図であり、図19は図18のキャッピング位置から記録領域へ向けて移動する間にワイパーロック機構がワイピング位置に保持されている状態(ワイピング終了時の状態)を示す模式的正面図であり、図20は図19の状態からキャリッジがさらに記録領域へ向けて移動することで回復スライダ81のワイピング位置へのロックが解除されるときの状態を示す模式的正面図である。
【0038】
図13〜図20において、ロック部材としてのロックレバー90を有するワイパーロック機構は、キャリッジ64の移動に同期して所定のタイミングで回復スライダ81をワイピング位置に固定するとともに、ワイピング動作の終了後に回復スライダ81を待機位置に復帰させる働きをする。
前記ロックレバー90は、回復スライダ81上の回転軸81hに揺動自在に軸支されており、ねじりコイルばねから成るワイパーロックばね91により回復スライダ81をワイピング位置にロック可能な位置に常に付勢されている。このロックレバー90の先端には、装置本体側のカム部86cに対して掛止可能な爪部90cが設けられている。つまり、回復スライダ81は、図17及び図19に示すように、前記爪部90cが前記カム部86cに掛止するとともに、前記スライダばね82によって図示左向きにばね付勢されることにより、ワイピング位置にロック(固定)される。
【0039】
前記ロック部材(ロックレバー)90の他端部(左側端部、記録領域側の部位)には、キャリッジ64のトリガー部65と係合可能なロック解除部90dが設けられている。このロック解除部90dは、ワイパー84a、84bによる記録ヘッド300a、300bのワイピング(拭き取り清掃)が終了した後の所定のタイミングで、キャリッジ64上のトリガー部65によって押圧されることにより、前記ロック部材90を釈放方向に回動させるように動作する。つまり、キャリッジ64の移動を利用して前記ロック解除部90dを介して前記ロック部材90を解放(アンロック)することにより、スライダばね82のばね力によって回復スライダ81を前記カム面86a、86bに沿って待機位置(キャップ88及びワイパー84とも記録ヘッド300から離間する位置)へ移動させるように動作する。
【0040】
次に、図15〜図20を参照して、前記ワイパーロック機構の動作を説明する。前記回復スライダ81に対して回転軸81hを介して回動可能に軸支されたロック部材(ロックレバー)90は、図13に示すように、ワイパーロックばね91によって常に所定方向(本実施例では図13中の矢印P方向)に付勢されている。図15はキャリッジ64が記録領域等にあり、回復領域にない状態を示している。このとき、回復スライダ81(その摺動ポスト81a、81b)は、スライダばね82によって、回復機構部(装置本体側)86に設けられたカム面86a及び86bの図示左端部の最下部に付勢されて位置している。図16はキャリッジ64が記録領域から回復領域へ移動し、回復スライダ81上の係合部81cに当接し、回復スライダ81がキャリッジ64とともに若干図示右方向へ移動したときの状態を示す。
【0041】
この図16の状態では、摺動ポスト81a、81bがカム面86a及び86bに沿って上方向へ移動することで回復スライダ81はキャリッジ64上の記録ヘッド300a、300bへ若干近づいた位置にある。このとき、ロック部材(ロックレバー)90は、その爪部90cが回復機構部86(装置本体側)のカム部86cに接触摺動することで、前記ワイパーロックばね91に抗して、回転軸81hを中心にして図示反時計回りに回動する。
図17はキャリッジ64が図16の位置よりも図示右方向へ移動した状態を示す。この状態では、ロック部材90の爪部90cが装置本体側(回復機構部86)のカム面86cを乗り越えている。
【0042】
図18はキャリッジ64が図17の位置よりもさらに図示右方向へ移動したときの状態を示す。この図18の状態では、摺動ポスト81a、81bが装置本体側(回復機構部86)のカム面86a、86bに沿ってさらに上昇し、回復スライダ81はキャリッジ64上の記録ヘッド300a、300bに最も接近した位置にあり、該記録ヘッド300a、300bの吐出口面301a、301bにキャップ88a、88bが密着し、吐出口がキャップ88a、88bによって覆われた(密閉された)キャッピング状態になる。
図19はキャリッジ64が図18のキャッピング位置から記録領域へ向けて移動し、ワイパー84a、84bにより記録ヘッド300a、300bの吐出口面301a、301bをワイピング(拭き取り清掃)した直後の状態を示す。
【0043】
図9〜図12に示すワイピング動作時には、図19に示すように、回復スライダ81は、ロック部材90の爪部90cが装置本体側のカム面86cに掛止するとともにスライダばね82によって図示左向きに付勢されることにより、ワイピング位置に保持されている。
ワイピング動作が終了した図19の状態では、キャリッジ64上に設けられたトリガー部65がロック部材(ロックレバー)90のロック解除部90dに当接することになる。
図20は図19の位置からキャリッジ64がさらに記録領域へ向けて移動し、該キャリッジ64のトリガー部65が前記ロック解除部90dを押すことにより、ロック部材90が回復スライダ81上で回転軸81hを中心に反時計回りに回動する状態を示す。そして、キャリッジ64が図20の位置からさらに記録領域に向けて移動すると、ロック部材90がさらに反時計回りに回動し、その爪部90cがカム部86cから離脱することにより、回復スライダ81のロック(ワイピング位置への固定)が解除され、該回復スライダ81はスライダばね82によって図7及び図15に示すような待機位置に戻される。
【0044】
図21はワイパー84がキャリッジ64上の記録ヘッド300に当接して吐出口面のワイピング(拭き取り清掃)を開始する瞬間を模式的に示す部分正面図であり、これは前記ワイパー84が屈曲するタイミングでもある。この瞬間はキャリッジ64の駆動に要する力(トルク)が最大になる時でもある。
図21において、キャリッジ64を駆動する力Fは、キャリッジ64上のベルト係合部102を介してタイミングベルト67に伝達され、キャリッジ駆動モータ66の駆動トルクとモータプーリ101の半径rにより決まる。そして、前記キャリッジ駆動モータ66としては、キャリッジ64の駆動に必要な駆動トルクTrq=F×rに対して十分なマージンをもったモータが必要であり、そのようなモータが選定される。
【0045】
以上説明した実施例(第1実施例)に係るインクジェット記録装置は、キャリッジ64の移動を利用してインク吐出部300a、300bに摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパー84a、84bを装着するに際し、前記キャリッジ64の動きにより位置制御される回復スライダー81上に前記複数のワイパー84a、84bを配置し、該ワイパー84a、84bの配置間隔Bを前記複数のインク吐出部300a、300bの配置間隔Aと異ならせることにより、各ワイパー84a、84bによる前記インク吐出部300a、300bの拭き取り開始のタイミングを異ならせるように構成されている。図示の実施例では、ワイパー84の間隔Bがインク吐出部(記録ヘッド)300の間隔Aよりも大きい値になるように設定されているが、これは逆にワイパー84の間隔Bがインク吐出部(記録ヘッド)300の間隔Aよりも小さい値になるように設定しても良い。
【0046】
このような本発明を適用したインクジェット記録装置(その回復方法も含む)の第1実施例によれば、複数のワイパー84を用いてワイピング動作を実行するに際し、各ワイパー84のそれぞれが記録ヘッド300のワイピング(摺擦による拭掃)を開始する時点(ワイパーが記録ヘッドに当接し屈曲を開始する突入点)、すなわちキャリッジ駆動モータ66でキャリッジ64を移動させてワイピングするときの1個のワイパー84当たりに必要な力F(図21)が最も大きくなるワイピング開始時点を各ワイパー84ごとにタイミングをずらして分散させる(集中を排除する)ことができる。そのため、キャリッジ64の移動を利用して複数のワイパー84a、84bにより複数のインク吐出部300a、300bを拭き取り清掃する場合でも、簡単な機構でキャリッジ駆動モータ66の負荷増大を抑制することができ、キャリッジ駆動モータ66の必要駆動力を減少させることにより該モータの小型化及び価格低減を図ることができるインクジェット記録装置及び該記録装置の回復方法が提供されている。なお、本実施例では、ワイパー84及び記録ヘッド(インク吐出部)300の数が2個である場合を例に挙げて説明したが、本発明は、ワイパー84及び記録ヘッド300の数が3個以上の場合にも同様に適用できるものであり、同様の作用効果を達成できるものである。
【0047】
図22はキャリッジ駆動モータ66の必要駆動トルク(キャリッジ64の必要駆動力)Fの特性を例示する図表であり、図22の(a)は、複数個の記録ヘッドと複数個のワイパーの配置間隔が同じであり、各ワイパーのワイピング開始時点が同時である場合にキャリッジ駆動モータ66に必要な駆動トルク(出力トルク)の特性(実線)を示すものであり、図22の(b)は、本実施例のように、複数個の記録ヘッド300と複数個のワイパー84の配置間隔をずらす(異ならせる)ことにより、各ワイパー84のワイピング開始時点を異ならせた場合にキャリッジ駆動モータ66に必要な駆動トルク(出力トルク)の特性(実線)を示すものである。
図22の(a)ように各ワイパーのワイピング開始時点が同時である場合は、各ワイパーに要する駆動トルクが最大になる時点(突入点)が重なってしまうので、キャリッジ駆動モータ66に必要な駆動トルクF1はほぼ複数倍(ワイパーが2個の場合はほぼ2倍)まで増大し、大きな出力を要することになる。ただし、必要最大トルクF1は単純な1枚のワイパー時の駆動トルクF0の2倍よりは若干小さな値となる。
【0048】
図22の(b)のように各ワイパー84のワイピング開始時点を異ならせた場合は、各ワイパー84の必要駆動トルクが最大になる突入点をずらしたことにより、キャリッジ駆動モータ66の必要駆動トルクF2は図22の(a)の同時突入時のF1より小さい値になる。なお、図22中のF3は各ワイパーが前記突入点を通過して各記録ヘッドを定常的にワイピングしているときの必要駆動トルク(キャリッジ64の必要駆動力)を示すものである。
なお、図22中のF0、F1、F2、F3の各値は、記録ヘッド300に対するワイパー84の侵入量、並びにワイパー84の幅寸法、材質、厚み寸法、自由長等の条件により異なる値となるが、これらF0、F1、F2、F3の大小の関係は変化することはない。
【0049】
また、図7〜図12においては、記録ヘッド(インク吐出部)300の間隔Aがワイパー84の間隔Bより小さい場合について説明したが、これは、距離Aを距離Bよりも大きく設定しても良い。距離Aが距離Bよりも大きい場合は、本実施例のように記録ヘッド300bが先にワイピング(拭き動作)を開始するのに対し、記録ヘッド300aが先にワイピングを開始するだけの違いであり、本実施例の場合と同様に各ワイパー84の突入点をずらすことによりキャリッジ駆動モータ66の負荷を低減することができる。
【0050】
図23〜図28は本発明を適用したインクジェット記録装置の第2実施例の要部構成及び動作を示す模式的正面図であり、図23は記録領域から回復領域へ移動してきたキャリッジが回復スライダと係合して該回復スライダをキャッピング位置へ保持している状態を示し、図24は図23のキャッピング位置からキャリッジが記録領域へ向けて移動することで回復スライダはワイピング可能位置へ上昇したがワイパーは未だ吐出口面に摺接していないときの状態を示し、図25は図24の状態からキャリッジが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーのうちの1個のみが記録ヘッドの吐出口面の摺擦を開始したときの状態を示し、図26は図25の状態からキャリッジが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーとも記録ヘッドの吐出口面(インク吐出部)に摺擦しているときの状態を示す。
【0051】
図23〜図28においても、図1〜図22で説明した第1実施例の場合と同じ符号は同一又は対応部分を示している。図23において、回復スライダ81上に配設される複数(2個)のワイパー84a、84bのうち、一方のワイパー84aは該回復スライダ81に対してワイパーストッパ83aにより固定されており、他方のワイパー84bはワイパーホルダ121上に固定されている。そして、前記ワイパーホルダ121は、回復スライダ81に設けられたガイド122により上下方向に移動可能に案内支持されており、また、ワイパーばね123により上向き方向に付勢されている。前記ワイパーホルダ121の上部にはカム部(カム面)120が形成されており、該カム部120はキャリッジ64に設けられたカム部(カム面)110と摺接可能に配置されている。
また、本実施例では、キャリッジ64上の複数個の記録ヘッド300a、300bの間隔Aと回復スライダ81上の複数枚のワイパー84a、84bの間隔Aは共に同じ距離に選定されている。
【0052】
図23は、記録領域から回復領域へ移動してきたキャリッジ64が回復スライダ81の係合部81cに当接し、該キャリッジ64が該回復スライダ81と共に更に図示右方向へ移動して上昇することにより、キャップ88a、88bが記録ヘッド300a、300bの吐出口面に密着したキャッピング状態を示す。図23のキャッピング状態からキャリッジ64が図示左向き方向(回復領域から記録領域へ向かう方向)へ移動することにより、ワイパー84a、84b及びキャップ88a、88bを搭載した回復スライダ81は、図13〜図20で説明したワイパーロック機構によってワイピング位置に固定(ロック、保持)される。このワイピング位置では、図24にも示すように、各キャップ88は記録ヘッド300から所定距離退避(離間)しており、各ワイパー84はキャリッジ64の動きに伴ってインク吐出部(記録ヘッド)300をワイピング(拭き取り清掃)することが可能な高さ位置になっている。
【0053】
回復スライダ81がワイピング位置に固定された後にキャリッジ64がさらに図示左向きに(記録領域に向かって)移動することにより、図24〜図26に示すような各ワイパー84による記録ヘッド300のワイピング動作(拭き動作)が開始される。
ワイピング動作が開始されると、図24及び図25に示すように、初めに、回復スライダ81に固定されたワイパー84aによる拭き動作が開始される。図24及び図25に示すように、固定ワイパー84aによる拭き動作が開始された時点(突入点)及びその近傍の時点では、可動ワイパー84bを搭載しているワイパーホルダ121のカム部120がキャリッジ64側のカム部110の下向き突出部と摺動するため、ワイパーホルダ121はワイパーばね123に抗してガイド122に沿って押し下げられており、従って、可動ワイパー84bの方は記録ヘッド300bから離間している。
【0054】
図25の状態からキャリッジ64がさらに記録領域へ向けて移動し、ワイパー84aが拭き動作を開始して屈曲することでキャリッジ駆動モータ66への負荷が極大値に達する突入点を過ぎたところで(突入点を過ぎて負荷が低減したところで)、図26に示すように、キャリッジ64側のカム部110の下向き突出部がワイパーホルダ121のカム部120を通過し、該ワイパーホルダ121はワイパーばね123によって上方へ移動させられる。これによって、可動ワイパー84bが記録ヘッド300bに摺擦可能な高さ位置(ワイピング高さ)まで上昇し、該ワイパー84bによる記録ヘッド(インク吐出部)300bのワイピング動作(拭き動作)が開始される。つまり、可動ワイパー84bによるインク吐出部300bの拭き取り清掃は、固定ワイパー84aによるインク吐出部300aの拭き取り清掃が開始されて定常拭き状態に入ったところで(突入点よりも後)に開始される。
【0055】
なお、本実施例では、キャリッジ移動方向後側のワイパー84bとキャリッジ64の該ワイパー84bに対向する部位にカム部(カム面)120、110を設けたが、これはキャリッジ移動方向前側のワイパー84aとキャリッジ64の該ワイパー84aに対向する部位にカム部(カム面)を設けるとともに、後側のワイパー84bを回復スライダ81に固定するように構成しても良く、あるいは、両方のワイパー84a、84bを可動ワイパーとし、それぞれのワイパーの拭き動作開始のタイミングが異なるようにカム部によって駆動するように構成しても良い。
なお、本実施例でも、ワイパー84及び記録ヘッド(インク吐出部)300の数が2個である場合を例に挙げて説明したが、本実施例の構成は、ワイパー84及び記録ヘッド300の数が3個以上の場合にも同様に適用できるものであり、同様の作用効果を達成できるものである。
【0056】
図27はキャリッジ側のカム部110がワイパーホルダ121のカム部120を押圧することによりワイパー84が記録ヘッド300から離間した状態を示す縦断面図であり、図28はキャリッジ側のカム部110がワイパーホルダ121のカム部120から離間することでワイパー84が記録ヘッド300と摺擦可能な高さ位置に上昇した状態を示す縦断面図である。
図27に示すように、ワイパーホルダ121のカム部120(120a、120b)とキャリッジ64側のカム部110(110a、110b)が摺接しているときは、ワイパーホルダ121は、カム部120、110間の圧接力によって、ワイパーばね123の付勢力に抗して記録ヘッド300から離間する方向に移動させられ、記録ヘッド300とワイパー84とが接触しないように離間されたままキャリッジ64の移動が可能である。
【0057】
また、図28に示すように、キャリッジ64側のカム部110(110a、110b)がワイパーホルダ121のカム部120(120a、120b)から離間している領域においては、ワイパーホルダ121はワイパばね123により記録ヘッド300と摺擦可能なワイピング高さ位置まで上昇させられ、キャリッジ64の移動に伴ってワイパー84により記録ヘッド300の吐出口面301を拭き取り清掃することができる。
図23〜図28の第2実施例によれば、ワイパー84を支持するワイパーホルダ121を回復スライダ81において記録ヘッド300に対して侵入離間可能なように装着し、ワイパーホルダ側121に設けたカム部120とキャリッジ64側に設けたカム部110とにより、複数個のワイパーのそれぞれのワイピング開始時期(拭き動作開始時期、突入点)のタイミングを異ならせることにより、前述の第1実施例の場合と同様に、キャリッジ駆動モータ66への負荷が極大値になる突入点をずらすことで、該キャリッジ駆動モータ66の必要最大トルク(必要駆動力)を低減することができ、結果として小さな駆動トルクのキャリッジ駆動モータを採用することで装置の小型化及びコストダウンを図ることが可能となる。
【0058】
すなわち、図23〜図28で説明した第2実施例に係るインクジェット記録装置は、キャリッジ64の移動を利用して複数のインク吐出部300に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパー84を配置し、該複数のワイパーの少なくとも1つを保持するワイパーホルダ121はキャリッジ64の動きにより位置制御される回復スライダー81上においてインク吐出部300に対して接近離間可能に取り付けられ、該ワイパーを、前記ワイパーホルダ及び前記キャリッジに設けられたカム部110、120により、他のワイパーと異なるタイミングで拭き取りを開始するようにインク吐出部に接近させることで、各ワイパーによるインク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせるように構成されている。
【0059】
このように構成された第2実施例によっても、前述の第1実施例の場合と同様、複数のワイパー84を用いてワイピング動作を実行するに際し、各ワイパー84のそれぞれが記録ヘッド300のワイピング(摺擦による拭掃)を開始する時点(ワイパーが記録ヘッドに当接し屈曲を開始する突入点)、すなわちキャリッジ駆動モータ66でキャリッジ64を移動させてワイピングするときの1個のワイパー84当たりに必要な力F(図21)が最も大きくなるワイピング開始時点を各ワイパー84ごとにタイミングをずらして分散させる(集中を排除する)ことができる。そのため、キャリッジ64の移動を利用して複数のワイパー84a、84bにより複数のインク吐出部300a、300bを拭き取り清掃する場合でも、簡単な機構でキャリッジ駆動モータ66の負荷増大を抑制することができ、キャリッジ駆動モータ66の必要駆動力を減少させることにより該モータの小型化及び価格低減を図ることができるインクジェット記録装置及び該記録装置の回復方法が提供されている。なお、本実施例でも、ワイパー84及び記録ヘッド(インク吐出部)300の数が2個である場合を例に挙げて説明したが、これは、ワイパー84及び記録ヘッド300の数が3個以上の場合にも同様に適用することができ、同様の作用効果を達成できるものである。
【0060】
以上説明した各実施例においては、以下に列挙するような本発明の実施態様が記載されている。
実施態様1:キャリッジに搭載された複数のインク吐出部から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、キャリッジの移動を利用して前記インク吐出部に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパーを設けるとともに、各ワイパーによる前記インク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせることを特徴とするインクジェット記録装置。
【0061】
実施態様2:前記キャリッジの動きにより位置制御される回復スライダー上に前記複数のワイパーを配置し、該ワイパーの配置間隔を前記複数のインク吐出部の配置間隔と異ならせることを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
実施態様3:前記複数のワイパーの少なくとも1つを保持するワイパーホルダは前記キャリッジの動きにより位置制御される回復スライダー上において前記インク吐出部に対して接近離間可能に取り付けられ、該ワイパーは、前記ワイパーホルダ及び前記キャリッジに設けられたカム部により、他のワイパーと異なるタイミングで拭き取りを開始するようにインク吐出部に接近することを特徴とする実施態様1に記載のインクジェット記録装置。
実施態様4:前記回復スライダは、キャリッジの動きに伴う所定のタイミングでワイピング位置に保持されることを特徴とする実施態様2又は3に記載のインクジェット記録装置。
実施態様5:前記ワイパーの数は、前記キャリッジ上に配置されるインク吐出部の数と同じであり、2以上であることを特徴とする実施態様1〜4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【0062】
実施態様6:キャリッジに搭載された複数のインク吐出部から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置の回復方法において、キャリッジの移動を利用して前記インク吐出部に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパーを設けるとともに、各ワイパーによる前記インク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせることを特徴とするインクジェット記録装置の回復方法。
この実施態様6に係る回復方法によれば、キャリッジの移動を利用して複数のワイパーにより複数のインク吐出部を拭き取り清掃する場合でも、簡単な機構でキャリッジ駆動モータの負荷増大を抑制することができ、キャリッジ駆動モータの必要駆動力を減少させることにより該モータの小型化及び価格低減を図ることができる。
実施態様7:前記キャリッジの動きにより位置制御される回復スライダー上に前記複数のワイパーを配置し、該ワイパーの配置間隔を前記複数のインク吐出部の配置間隔と異ならせることにより前記インク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせることを特徴とする実施態様6に記載のインクジェット記録装置の回復方法。
【0063】
実施態様8:前記複数のワイパーの少なくとも1つを保持するワイパーホルダを、前記キャリッジの動きにより位置制御される回復スライダー上において前記インク吐出部に対して接近離間可能に取り付け、該ワイパーを、前記ワイパーホルダ及び前記キャリッジに設けられたカム部により、他のワイパーと異なるタイミングで拭き取りを開始するようにインク吐出部に接近させることを特徴とする実施態様6に記載のインクジェット記録装置の回復方法。
実施態様9:前記回復スライダを、キャリッジの動きに伴う所定のタイミングでワイピング位置に保持することを特徴とする実施態様7又は8に記載のインクジェット記録装置の回復方法。
実施態様10:前記ワイパーの数を、前記キャリッジ上に配置されるインク吐出部の数と同じであって、2以上にすることを特徴とする実施態様6〜9のいずれかに記載のインクジェット記録装置の回復方法。
【0064】
なお、本発明は、複数の異なる色で記録するカラーインクジェット記録装置、同一色彩で異なる濃度の複数濃度で記録する階調記録用のインクジェット記録装置、あるいは、これらを組み合わせたインクジェット記録装置など使用するインクの種類や数に限定されることなく実施できるものであり、これらの全ての構成をその範囲内に含むものである。
また、本発明は、記録ヘッドとインクタンクを一体化した交換可能なインクジェットカートリッジを用いる構成、記録ヘッドにインクタンクを着脱可能に装着する記録手段を用いる構成、あるいは、記録ヘッドととインクタンクを別体にし、その間をインク供給路等で接続する構成など、記録ヘッドとインクタンクの配置構成がどのような場合にも同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
【0065】
さらに、本発明は、例えば、ピエゾ素子等の電気機械変換体等を用いる記録ヘッドなど、他の作動方式で駆動される記録ヘッドを用いるインクジェット記録装置に対しても同様に適用することができ、同様の効果が得られるものである。
中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式の記録ヘッドを使用するインクジェット記録装置において優れた効果をもたらすものである。かかる方式によれば、記録の高密度化、高精細化が達成できるからである。
【0066】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなごとく、請求項1の発明によれば、キャリッジに搭載された複数のインク吐出部から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、キャリッジの移動を利用して前記インク吐出部に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパーを設けるとともに、各ワイパーによる前記インク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせる構成としたので、
キャリッジの移動を利用して複数のワイパーにより複数のインク吐出部を拭き取り清掃する場合でも、簡単な機構でキャリッジ駆動モータの負荷増大を抑制することができ、キャリッジ駆動モータの必要駆動力を減少させることにより該モータの小型化及び価格低減を図ることができるインクジェット記録装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例を前方から見て示す模式的斜視図である。
【図2】図1のインクジェット記録装置のを後方から見て示す模式的斜視図である。
【図3】図1及び図2のインクジェット記録装置の内部構造を前方から見て模式的に示す破断斜視図である。
【図4】本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例に装着されるブラック等の単色記録ヘッドを前方から見て示す模式的斜視図である。
【図5】本発明を適用したインクジェット記録装置の一実施例に装着されるシアン、マゼンタ、イエロー等の複数色記録ヘッドを前方から見て示す模式的斜視図である。
【図6】図4及び図5に示す記録ヘッドを背面側から見て示す模式的斜視図である。
【図7】本発明を適用したインクジェット記録装置の第1実施例において記録手段を搭載したキャリッジが記録領域から回復領域へ移動してくるときの状態を示す模式的正面図である。
【図8】図7のインクジェット記録装置において、記録領域から回復領域へ移動してきたキャリッジが回復スライダと係合して該回復スライダをキャッピング位置へ保持している状態を示す模式的正面図である。
【図9】図8のキャッピング位置からキャリッジが記録領域へ向けて移動することで回復スライダはワイピング可能位置へ上昇したがワイパーは未だ吐出口面に摺接していないときの状態を示す模式的正面図である。
【図10】図9の状態から回復スライダが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーのうちの1個のみが記録ヘッドの吐出口面の摺擦を開始したときの状態を示す模式的正面図である。
【図11】図10の状態から回復スライダが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーとも記録ヘッドの吐出口面に摺擦しているときの状態を示す模式的正面図である。
【図12】図11の状態から回復スライダが記録領域へ向けて更に移動することで1個のワイパーは未だ吐出口面に接触しているが他方のワイパーは既に吐出口面を通過してしまったときの状態を示す模式的正面図である。
【図13】回復スライダを所定のタイミングでワイピング位置に保持するためのワイパーロック機構を示す模式的正面図である。
【図14】図13のワイパーロック機構のロック部材の軸支部の構造を示す模式的部分斜視図である。
【図15】キャリッジが記録領域などの回復領域以外の領域にあるときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図である。
【図16】キャリッジが記録領域から回復領域へ移動するときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図である。
【図17】回復領域へ移動してきたキャリッジによって回復スライダが図示右方向へ若干移動してロック状態になったときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図である。
【図18】キャリッジとともに回復スライダが図17の位置からさらに図示右方向へ移動することでキャッピング状態になったときのワイパーロック機構の状態を回復スライダとともに示す模式的正面図である。
【図19】図18のキャッピング位置から記録領域へ向けて移動する間にワイパーロック機構がワイピング位置に保持されている状態(ワイピング終了時の状態)を示す模式的正面図である。
【図20】図19の状態からキャリッジがさらに記録領域へ向けて移動することで回復スライダのワイピング位置へのロックが解除されるときの状態を示す模式的正面図である。
【図21】ワイパーがキャリッジ上の記録ヘッドに当接して拭き取りを開始する瞬間を模式的に示す部分正面図である。
【図22】キャリッジ駆動モータの必要駆動力Fの特性を例示する図表であり、(a)は複数個のワイパーが同時に拭き動作を開始する場合を示し、(b)は複数個のワイパーの拭き動作開始のタイミングが異なる場合を示す。
【図23】本発明を適用したインクジェット記録装置の第2実施例において記録領域から回復領域へ移動してきたキャリッジが回復スライダと係合して該回復スライダをキャッピング位置へ保持している状態を示す模式的正面図である。
【図24】図23のキャッピング位置からキャリッジが記録領域へ向けて移動することで回復スライダはワイピング可能位置へ上昇したがワイパーは未だ吐出口面に摺接していないときの状態を示す模式的正面図である。
【図25】図24の状態からキャリッジが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーのうちの1個のみが記録ヘッドの吐出口面の摺擦を開始したときの状態を示す模式的正面図である。
【図26】図25の状態からキャリッジが記録領域へ向けて更に移動することで2個のワイパーとも記録ヘッドの吐出口面に摺擦しているときの状態を示す模式的正面図である。
【図27】本発明を適用したインクジェット記録装置の第2実施例においてキャリッジ側のカム部がワイパーホルダのカム部を押圧することによりワイパーが記録ヘッドから離間した状態を示す縦断面図である。
【図28】図27の第2実施例においてキャリッジ側のカム部がワイパーホルダのカム部から離間することでワイパーが記録ヘッドと摺擦可能な高さ位置に上昇した状態を示す縦断面図である。
【図29】図3中の記録手段のインク吐出部の構造を模式的に示す部分斜視図である。
【符号の説明】
30 インクジェット記録装置
34 自動フィーダ
40 被記録材排出ポート
60 搬送ローラ
61 ラインフィードモータ(搬送モータ)
64 キャリッジ
65 トリガー部
67 タイミングベルト
69 ガイドシャフト
81 回復スライダ
81a、81b 摺動ポスト
81c 係合部
81h 回転軸
82 スライダばね
83a、83b ワイパーストッパ
84 ワイパー
85 キャップばね
86 回復機構部
86a、86b カム面
87 ホームポジション(HP)
88 キャップ
89 キャップホルダ
90 ロック部材(ロックレバー)
90c 爪部
90d ロック解除部
91 ワイパーロックばね
110 カム部(カム面)
120 カム部(カム面)
121 ワイパーホルダ
122 ガイド
123 ワイパーばね
182 吐出口
183 共通液室
184 液路
185 電気熱変換体
300 記録手段(記録ヘッド、インク吐出部)
301 吐出口面
Claims (1)
- キャリッジに搭載された複数のインク吐出部から被記録材へインクを吐出して記録を行うインクジェット記録装置において、
キャリッジの移動を利用して前記インク吐出部に摺擦することにより該インク吐出部を拭き取り清掃する複数のワイパーを設けるとともに、各ワイパーによる前記インク吐出部の拭き取り開始のタイミングを異ならせることを特徴とするインクジェット記録装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319381A JP4612785B2 (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | インクジェット記録装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002319381A JP4612785B2 (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | インクジェット記録装置 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004148770A true JP2004148770A (ja) | 2004-05-27 |
JP4612785B2 JP4612785B2 (ja) | 2011-01-12 |
Family
ID=32462249
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002319381A Expired - Fee Related JP4612785B2 (ja) | 2002-11-01 | 2002-11-01 | インクジェット記録装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4612785B2 (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008284718A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Olympus Corp | 画像記録装置 |
JP2009514702A (ja) * | 2005-11-02 | 2009-04-09 | ゴス インターナショナル アメリカス インコーポレイテッド | 非常停止中のエネルギ移転の保存 |
JP2011168016A (ja) * | 2010-02-22 | 2011-09-01 | Kyocera Mita Corp | インクジェット記録装置 |
JP2011224881A (ja) * | 2010-04-20 | 2011-11-10 | Seiko Epson Corp | 流体噴射装置及び流体噴射装置のメンテナンス方法 |
CN103777347A (zh) * | 2012-10-24 | 2014-05-07 | 京瓷办公信息系统株式会社 | 光扫描装置和图像形成装置 |
EP3392021A1 (en) * | 2017-04-21 | 2018-10-24 | XYZprinting, Inc. | Nozzle cleaning module |
EP3392022A1 (en) * | 2017-04-21 | 2018-10-24 | XYZprinting, Inc. | Nozzle head cleaning module |
TWI690430B (zh) * | 2017-08-17 | 2020-04-11 | 三緯國際立體列印科技股份有限公司 | 噴頭清潔模組 |
JP2021006388A (ja) * | 2019-06-28 | 2021-01-21 | 株式会社ミマキエンジニアリング | インクジェットプリンター |
Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04355154A (ja) * | 1991-05-31 | 1992-12-09 | Ricoh Co Ltd | インクジェット記録装置 |
JPH07309014A (ja) * | 1992-12-21 | 1995-11-28 | Hewlett Packard Co <Hp> | 印字ヘッド整備装置 |
JP2001322289A (ja) * | 2000-05-17 | 2001-11-20 | Fuji Xerox Co Ltd | インクジェット式記録装置 |
-
2002
- 2002-11-01 JP JP2002319381A patent/JP4612785B2/ja not_active Expired - Fee Related
Patent Citations (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH04355154A (ja) * | 1991-05-31 | 1992-12-09 | Ricoh Co Ltd | インクジェット記録装置 |
JPH07309014A (ja) * | 1992-12-21 | 1995-11-28 | Hewlett Packard Co <Hp> | 印字ヘッド整備装置 |
JP2001322289A (ja) * | 2000-05-17 | 2001-11-20 | Fuji Xerox Co Ltd | インクジェット式記録装置 |
Cited By (12)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009514702A (ja) * | 2005-11-02 | 2009-04-09 | ゴス インターナショナル アメリカス インコーポレイテッド | 非常停止中のエネルギ移転の保存 |
JP2008284718A (ja) * | 2007-05-15 | 2008-11-27 | Olympus Corp | 画像記録装置 |
JP2011168016A (ja) * | 2010-02-22 | 2011-09-01 | Kyocera Mita Corp | インクジェット記録装置 |
US8506043B2 (en) | 2010-02-22 | 2013-08-13 | Kyocera Document Solutions Inc | Inkjet recording apparatus |
JP2011224881A (ja) * | 2010-04-20 | 2011-11-10 | Seiko Epson Corp | 流体噴射装置及び流体噴射装置のメンテナンス方法 |
CN103777347A (zh) * | 2012-10-24 | 2014-05-07 | 京瓷办公信息系统株式会社 | 光扫描装置和图像形成装置 |
JP2014083775A (ja) * | 2012-10-24 | 2014-05-12 | Kyocera Document Solutions Inc | 自動清掃機構とこれを用いた光走査装置及び画像形成装置 |
EP2725429A3 (en) * | 2012-10-24 | 2015-06-17 | KYOCERA Document Solutions Inc. | Optical scanner |
EP3392021A1 (en) * | 2017-04-21 | 2018-10-24 | XYZprinting, Inc. | Nozzle cleaning module |
EP3392022A1 (en) * | 2017-04-21 | 2018-10-24 | XYZprinting, Inc. | Nozzle head cleaning module |
TWI690430B (zh) * | 2017-08-17 | 2020-04-11 | 三緯國際立體列印科技股份有限公司 | 噴頭清潔模組 |
JP2021006388A (ja) * | 2019-06-28 | 2021-01-21 | 株式会社ミマキエンジニアリング | インクジェットプリンター |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP4612785B2 (ja) | 2011-01-12 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
US5266974A (en) | Ink jet recording apparatus including means for controlling speed of wiper member | |
US5495271A (en) | Ink jet recording apparatus that individually controls ink ejection from plural recording heads during a non-recording operation | |
US6916080B2 (en) | Cleaning device for cleaning printhead of ink-jet printer | |
EP0574268B1 (en) | Recovery device, ink jet apparatus having recovery device and recovery method | |
EP0674996B1 (en) | Capping method for ink jet recording apparatus | |
JP2004009576A (ja) | インクジェット記録装置及び該記録装置のクリーニング機構部 | |
JPH11320915A (ja) | インクジェット記録装置 | |
US20090289992A1 (en) | Image forming apparatus | |
JP2004042363A (ja) | 画像形成装置及びその制御方法 | |
US20110085005A1 (en) | Inkjet recording apparatus | |
JP3819223B2 (ja) | インクジェットプリントヘッドのクリーニング用溝付きチップ形ワイパー | |
JP4217435B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP4612785B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
US6000778A (en) | Recording apparatus recovery method using variable pressure | |
JP2004050567A (ja) | 画像形成装置及びその制御方法 | |
JPH11221928A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JPH09239995A (ja) | インクジェット記録ヘッド用キャッピング装置 | |
JPH10202904A (ja) | インクジェット記録装置 | |
JP7135890B2 (ja) | 液体吐出装置 | |
JP4174273B2 (ja) | インクジェット記録装置 | |
US6669326B2 (en) | Ink-jet recording apparatus | |
JPH1110910A (ja) | 記録装置 | |
JP4794780B2 (ja) | インクジェット記録装置及び該装置の回復方法 | |
JP7135889B2 (ja) | 液体吐出装置 | |
JP3259502B2 (ja) | インクジェット記録装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20051020 |
|
RD04 | Notification of resignation of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424 Effective date: 20060629 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20070723 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080603 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080804 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20080901 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20080924 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20081121 |
|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20090210 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090413 |
|
A911 | Transfer of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911 Effective date: 20090421 |
|
A912 | Removal of reconsideration by examiner before appeal (zenchi) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912 Effective date: 20090605 |
|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20100216 |
|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7421 Effective date: 20100630 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100913 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20101016 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20131022 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4612785 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |