JP2009514702A - 非常停止中のエネルギ移転の保存 - Google Patents

Abstract

本発明の典型的な実施形態によれば、複数の個々のモータを有する複数ユニット印刷装置を運転する方法が提供される。この方法は、複数ユニット印刷装置を運転し、停止操作において複数のモータを制動することによって複数ユニット印刷運転を停止させ、個々のユニットのための胴逃がし操作を、それぞれの胴逃がし操作の開始の間で予め選択された時間遅れだけずらし、連続的な胴逃がし操作の開始の間の時間遅れが、複数のモータにおいて生ぜしめられる大きなトルク妨害が重なり合わないように、十分である。

Description

発明の背景
多くの印刷運転において、印刷機は処理ラインにおいて連続して配置された複数の印刷ユニットを有する。各印刷ユニットは、よく知られた印刷技術において新聞用紙等の基板がローラの間を通過しながらこの基板に印像を印刷するように配置及び構成されたローラを有する。ローラは、例えばオフセット印刷機において、ブランケット胴と、対抗した版胴とを含む。印刷ユニットはそれぞれ、異なる色のインキ、例えば三原色及び黒を提供する。

通常、各印刷ユニットの各胴にはモータが接続されている。例えば複数の印刷ユニットの非常停止時のように、必要な場合に各モータを迅速に停止させるために、慣用の電気的制動方法がしばしば行われている。制動方法はダイナミック制動を含む。ダイナミック制動方法においては、同時に電動機界磁を維持しながら、モータの電機子における電流の流れが反転される。この作用は、モータ電機子の回転エネルギを電流に有効に変換し、これにより、モータが発電機として働き、駆動電流の流れとは反転方向で逆起電力電流、すなわち回生力を生じる。

次いで、この回生された電流を消滅させるために高ワット数の制動抵抗器が電機子を横切って切り替えられ、モータを停止させる。有効停止速度は、抵抗の関数である。すなわち、抵抗値がより低いほど（したがって、電機子を流れる反転された電流が大きいほど）、モータはより迅速に停止させられることができる。多くの複数印刷ユニット配列において、様々な印刷ユニットの全てのモータは、駆動電流のために共通のバスを使用し、１つの制動抵抗器を共有している。制動抵抗器は、１つの抵抗器、又は互いに並行に接続された複数の抵抗の共通の配列等の複数の抵抗器、を含むことができる。

印刷ユニット制動動作において、圧胴胴逃がしが生じる。圧胴胴逃がし時に、過渡トルクピークが生じる場合がある。ピーク条件は、過渡的イベント時に、増大する回生力によって生ぜしめられる増大した電流を処理するために、制動抵抗装置のあるサイズの要求を生じる。

非常停止条件において、複数ユニット運転全体が停止させられなければならない場合、実質的に同時に、全てのモータが停止させられ、全ての圧胴が胴逃がしされる。このことは、累積した過渡的なトルクピークイベントを生じる。つまり、制動抵抗装置は、複数のモータの過渡的なイベント特性を同時に処理するのに十分な寸法でなければならない。比較的大きな制動抵抗器及びその他の対応する制動コンポーネントの要求は、印刷ユニットの全体的コストを著しく増大させ、ユニットの据付けのための物理的空間要求をも増大させる。

発明の概要
本発明は、非常停止時のエネルギ移転の大きさを保存し、これにより制動抵抗器及びその他の対応する制動コンポーネントのためのサイズ要求を低減する方法を提供する。本発明は、電気的制動方法において共通の制動抵抗装置を使用する印刷運転において特に有利である。

本発明の典型的な実施形態によれば、複数の個々のモータを含む複数ユニット印刷装置を運転するための方法が提供される。この方法は、複数ユニット印刷装置を運転するステップと、停止操作において複数のモータを制動することによって複数ユニット印刷運転を停止させるステップと、複数のモータにおいて生じる大きなトルク妨害の重なり合いが生じないように、胴逃がし停止操作を、それぞれの胴逃がし操作の開始の予め選択された時間遅れだけずらすステップとを含み、連続する胴逃がし操作の開始の時間遅れが、複数のモータにおいて生じる大きなトルク妨害が重なり合わないように十分である。

別の典型的な実施形態において、本発明は、複数ユニット印刷運転を行うための複数ユニットと、複数ユニットを駆動するための複数の個々のモータと、複数の個々のモータの運転を制御するための制御装置とを含む印刷装置を提供する。本発明の特徴によれば、制御装置は、停止操作において複数のモータを制動することによって複数ユニット印刷運転を停止させるように配置及び構成されており、さらに、胴逃がし運転を、個々のユニットのために、それぞれの胴逃がし運転の開始の間の予め選択された遅れだけずらすように働く。連続的な胴逃がし運転の開始の時間遅れが、複数のモータにおいて生じる大きなトルク妨害の重なり合いが生じないように十分であるように選択されている。

図面の簡単な説明
図１は、複数印刷ユニット装置の概略的なブロック図である。

図２は、非常停止中の１ユニットモータトルク曲線のグラフである。

図３ａは、典型的な非常停止中の一緒に停止する複数ユニットモータのためのトルク曲線のグラフである。

図３ｂは、全モータ停止イベントが同じ瞬間に生じた場合の非常停止中に一緒に停止する複数ユニットモータのためのトルク曲線のグラフである。

図４は、本発明の特徴による、非常停止中に一緒に停止する複数ユニットモータのためのトルク曲線のグラフである。

好適な実施形態の詳細な説明
ここで図面、最初に図１を参照すると、公知の複数印刷ユニット装置の概略的なブロック図が示されている。印刷機１０は、例えば新聞用紙１６のロール等の製品のロール１４を取り付けたスプライサ１２を有する。新聞用紙１６は取り付けられたロール１４から１対の駆動ローラ１８によって一連の印刷ユニット２０，２２，２４，２６に供給される。

各印刷ユニット２０，２２，２４，２６は、よく知られた印刷技術において、新聞用紙１６がローラの間を通過しながらこの新聞用紙に印像を印刷するように配置及び構成されている。印刷ユニット２０，２２，２４，２６はそれぞれ異なる色のインキ、例えば三原色及び黒、を提供する。

印刷ユニット２０，２２，２４，２６の下流にはドライヤ３０が配置されている。ドライヤ３０は、印刷ユニット２０，２２，２４，２６によって印刷された印像のインキを乾燥させるために、通過する印刷用紙１６に熱を提供するために使用される。次いで、印刷用紙１６は、折り機３６に進入する前に、水冷式ローラ３４の間を通過するために、冷却ユニット３２へ送られる。折り機３６は、技術上よく知られているように、新聞用紙１６のロールを切断して折り畳み、デリバリ機構４０に進入するための個々の折丁３８を形成する。

対応するユニットの運転を制御するために、印刷機には複数の制御ユニット４２が、それぞれのユニットに１つずつ配置されている。コンピュータを有する中央の制御装置４４は、技術上よく知られているように、全体的な印刷機の運転の集中させられた自動化された制御のためにそれぞれの制御ユニット４２に接続されている。例えば、それぞれの制御ユニット４２は、対応する１つのローラ２８を回転させるための駆動モータ４６にも接続されている。

それぞれのモータ４６を駆動するために共通の電源４８が設けられている。上述のように、中央制御装置４４が、慣用の電気的制動方法において対応する制御ユニット４２への停止命令を介してモータ４６を停止させるように作動する場合、停止させられるべきモータ４６のモータ電機子における電流の流れが、同時に電動機界磁が維持されながら反転させられる。この作用はモータ４６の回転エネルギを電流に有効に変換し、これにより、モータが発電機として作用し、駆動電流の流れと逆方向での逆起電力電流、すなわち回生力を生ぜしめる。この回生電流を消滅させるために、停止させられるべきモータ４６のための共通の電源４８における制御されたスイッチングのために、共通の、高ワット数の制動抵抗器５０が設けられており、モータ４６を停止させる。図１に示された複数印刷ユニット配列において、全てのモータ４６は、停止運転中に共通の制動抵抗器５０を使用する。

ここで図２を参照すると、非常停止中の１ユニットモータトルク曲線のグラフが示されている。非常停止中に、モータトルクは徐々に−２０％トルクまで増大する。対応する印刷ユニット２０，２２，２４，２６の圧胴が、慣用のように胴逃がしされる場合、約２０ミリ秒に亘ってトルク妨害が生ぜしめられ、モータ４６の完全トルク値の−８０％の振幅を生じる。その後、制動運転の線形部分の間、モータ４６が完全に停止するまでトルクは−３６％トルクまで減少する。−８０％トルクピークは、フィードバックされ、共通の制動抵抗器５０において吸収される。このことは、過剰電圧条件を生じることなくトルクサージを吸収するのに十分に大きな制動抵抗器５０を必要とする。

図３ａは、４つの印刷装置２０，２２，２４，２６が一緒に停止する場合の、非常停止中のモータトルク曲線のグラフを示している。個々の曲線の交差個所が、印刷装置２０，２２，２４，２６のモータ４６の間でのトルク妨害の重なり合いを示すためにマークされている。−８０％トルクサージ重なり合いは、いずれかの時点で、制動抵抗器５０において逃がされる合計制動エネルギに関して付加的である。モータ４６の間におけるトルクピークの広がりは、公知の印刷運転において、通常は多くとも１６ミリ秒である。

しばしば、複数モータ４６のピーク−８０％トルクは、同じ瞬間に生じ、これにより、共通の制動抵抗器において逃がされる制動エネルギの値を２倍、３倍又は４倍にする。例えば、−３２０％トルクスパイクを生じる同じ瞬間に生じる４つのイベントを示している。つまり、共通の制動抵抗器５０は、非常停止中のこのような大きなトルクスパイクを取り扱うのに十分に大きくなければならない。このことは、印刷システム全体のコスト及び寸法を増大させる。

本発明の特徴によれば、中央制御装置４４は、複数ユニット印刷機１０のための非常停止を行うために作動し、この場合、個々のモータ４６のための停止運転に関連して、複数ユニットのための胴逃がし操作が、それぞれの胴逃がし操作の間の予め選択された遅れによってずらされて、連続して開始される。連続操作の開始の間のずれ時間の長さは、大きなトルク妨害が重なり合わないように十分な長さに選択されている。すなわち、いかなる瞬間にも、１つのモータ４６だけがトルク妨害を生じている。したがって、あらゆる時点において共通の制動抵抗器５０において消滅される必要がある制動エネルギが減じられ、制動抵抗器は、公知の共通のバス配列において要求されていたものの分数として、例えば５０％小さく形成されることができる。このことはコスト及びスペースを著しく節約する。

本発明の好適な実施形態において、ずれ時間は５０ミリ秒である。

前記説明において、発明は、特定の典型的な実施形態及び実施例に関して説明されている。しかしながら、請求項に示された発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなく、前記実施形態及び実施例に様々な改良及び変更がなされることができることは明らかである。したがって、明細書及び図面は制限的な意味ではなく例示形式で見なされるべきである。

複数印刷ユニット装置の概略的なブロック図である。 非常停止中の１ユニットモータトルク曲線のグラフである。 典型的な非常停止中の一緒に停止する複数ユニットモータのためのトルク曲線のグラフである。 全モータ停止イベントが同じ瞬間に生じた場合の非常停止中に一緒に停止する複数ユニットモータのためのトルク曲線のグラフである。 本発明の特徴による、非常停止中に一緒に停止する複数ユニットモータのためのトルク曲線のグラフである。

符号の説明

１０ 印刷機、 １２ スプライサ、 １４ ロール、 １６ 新聞用紙、 ２０，２２，２４，２６ 印刷装置、 ３０ ドライヤ、 ３２ 冷却ユニット、 ３４ 水冷式ローラ、 ３６ 折り機、 ３８ 折丁、 ４０ デリバリ機構、 ４２ 制御ユニット、 ４４ 制御装置、 ４６ 駆動モータ、 ４８ 電源、 ５０ 制動抵抗器

Claims (7)

1. 複数の個々のモータを有する複数ユニット印刷装置を運転する方法において、
   複数ユニット印刷装置を運転し、
   停止操作において複数のモータを制動することによって複数ユニット印刷運転を停止させ、
   個々のユニットのための胴逃がし操作を、それぞれの胴逃がし操作の開始の間の予め選択された時間遅れだけずらし、連続的な胴逃がし操作の開始の時間遅れが、複数のモータにおいて生じる大きなトルク妨害が重なり合わないように十分であるように選択されていることを特徴とする、複数の個々のモータを有する複数ユニット印刷装置を運転する方法。
2. 前記時間遅れが５０ミリ秒である、請求項１記載の方法。
3. それぞれの停止操作が電気的な制動方法を含む、請求項１記載の方法。
4. 電気的な制動方法において個々のモータの間で使用するための共通の制動抵抗器を提供する別のステップを含む、請求項３記載の方法。
5. 印刷装置において、
   複数ユニット印刷運転を行うための複数のユニットが設けられており、
   複数のユニットを駆動するための、複数の個々のモータが設けられており、
   複数の個々のモータの運転を制御するための制御装置が設けられており、
   該制御装置が、停止操作において複数のモータを制動し、胴逃がし操作が、個々のユニットのために、それぞれの胴逃がし操作の開始の予め選択された時間遅れだけずらされるように制御することによって、複数ユニット印刷運転を停止させるように配置及び構成されており、連続的な胴逃がし操作の開始の時間遅れが、複数のモータにおいて生ぜしめられる大きなトルク妨害が重なり合わないように十分であることを特徴とする、印刷装置。
6. それぞれの停止操作が電気的な制動方法を含む、請求項５記載の印刷装置。
7. 電気的な制動方法において個々のモータの間で使用するための共通の制動抵抗器を含む、請求項６記載の印刷装置。

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