JP2004039286A - 光半導体電極の作製方法及び光電変換素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】光電変換素子の電極として、微細な連続気孔を持つ構造物あるいは膜を基板上に形成する方法を提供する。
【解決手段】平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成し、これら脆性材料超微粒子同士を一部結合せしめて多孔質微粒子を形成する。次いでこの多孔質微粒子をガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に、多孔質微粒子同士が結合して堆積した多孔質構造物(膜)を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成し、これら脆性材料超微粒子同士を一部結合せしめて多孔質微粒子を形成する。次いでこの多孔質微粒子をガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に、多孔質微粒子同士が結合して堆積した多孔質構造物(膜)を形成する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性基材表面に半導体の脆性材料からなる多孔質の構造物を形成した光半導体電極、更には、前記光半導体電極を用いた太陽電池等の光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、単結晶、多結晶、アモルファスのシリコン半導体を用いた太陽電池が、住宅用等の太陽電池として広く用いられている。しかしながら、このようなシリコン半導体を用いた太陽電池の製造には、プラズマCVD 法や高温結晶成長プロセス等が用いられるため、多大のエネルギーを必要とするとともに、製造コストが高くなっている。
【0003】
そこで低コストで製造可能な太陽電池として、例えば、多孔質の酸化チタンのような酸化物半導体に、ルテニウム金属錯体のような光増感色素を吸着させた材料を用いた色素増感型太陽電池が提案されている(特開平1−220380号公報、特開2001−307786号公報)。
【0004】
上記色素増感型太陽電池は、具体的には、図1(a)に示すように、透明ガラス板のような透明絶縁基材1に透明電極層2を形成し、この電極層2上に上記のような光増感色素を吸着した酸化物半導体層3を形成してなる半導体電極基板と対電極として透明ガラス板のような絶縁基板6に電極層5を形成してなる対電極基板を用い、これらの電極間に電解液4を封入して作製される。
【0005】
上記酸化物半導体層は、多孔質であり、その作製には、従来提案されている被膜形成方法が利用されていた。セラミックスやガラスなど基材の上に多孔質の被膜を形成させる方法としては、微粒子およびバインダーを溶媒に分散させたスラリーやペーストを基材に塗布し、これを乾燥させて、まず百数十℃で脱バインダー処理を行い、次いで融点以下の数百℃の温度で加熱焼成することにより、微粒子同士の接点において物質移動によるネックを形成させて結合させ、微粒子のネットワークによりある程度強度を保有した膜として得る手法やPVDやCVDなどの蒸着法、ゾルゲル法、あるいは溶射法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スラリーやペーストの塗布後の焼成法では焼成温度が数百℃であるためにプラスチック材料や低融点金属などの熱に弱い基材に膜を形成させることが困難であり、数μm以上の厚膜を形成させる場合には、乾燥時や脱バインダー処理時、焼成時に収縮や基材との熱膨張率の差によって膜に大きな亀裂が生じるなどの問題があった。
【0007】
また、PVD、CVD法などは比較的低温で製膜が可能であるが、緻密な組織を作製することが得意であり、多孔質構造物を形成させることは困難である。溶液から作製するゾルゲル法も基本的には緻密質を作製する方法であり、これらの方法は数μm以上の厚膜を形成させることが困難であることが知られている。溶射法は粒径数〜100μmの粒子を使用する場合が多く、形成される被膜はその手法の特徴として内部に独立気泡であり、気泡が連続する多孔質とは言い難いものであった。
【0008】
また、最近では新たな被膜形成方法として、エアロゾルデポジション法があり、特許第3265481号、国際出願特許WO 01/27348 A1に開示されるものが知られている。この方法は、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付け、その衝突エネルギーにより微粒子を破砕・変形させることにより、粒子あるいは破砕断片同士を接合させて、基板上に構造物を形成させる方法で、焼成させることなく焼成体と同等程度の強度を持つ構造物を形成できる手法である。
【0009】
エアロゾルデポジション法は、脆性材料の厚膜を室温付近で形成させるに都合の良い方法であるが、連続気孔を持つような緻密度が低い多孔質の膜を形成させることは困難で、そのまま光半導体電極の作製に利用することはできない。
【0010】
特許第3265481号においては、使用する超微粒子脆性材料の調製方法として、原料超微粒子脆性材料の仮焼き温度を変えて、数十nm程度の粒径に調整された微細な超微粒子脆性材料を加熱し、粒径で50nm〜1μm程度の2次粒子に凝集させる方法が示唆されているが、これは理論密度が95%以上の緻密質の成形体を作製する方法であり、微細な粒子を接合させることにより、衝撃によりこれらの界面から割れることで粉砕が行われやすい凝集微粒子を作製することに着目されていた。すなわちエアロゾルデポジション法は緻密な膜を形成させる方法としてはこのような工夫が提案されているものの、ナノレベルの細孔径の連続気孔を有する膜を形成させる好適な手法は提案されていなかった。
【0011】
以上のように従来技術においては、色素増感電池の光半導体電極として利用可能な微細な連続気孔を持つ構造物または膜を常温環境下で基板上に形成することはきわめて困難であった。
【0012】
本件では、特にエアロゾルデポジション法の新しい手法として、従来では困難であった光半導体電極として利用可能な微細な連続気孔を持つ構造物あるいは膜を常温環境下で基板上に形成すること、およびその微細な連続気孔をもつ構造物または膜を利用した色素増感型太陽電池等の提供を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、脆性材料超微粒子同士が一部結合しかつ連続気孔が存在する平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を、ガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に、多孔質微粒子同士が結合して堆積した多孔質の構造物を形成させることを特徴とする、基材と前記多孔質の構造物からなる光半導体電極の作製方法を提供する。
【0014】
前記多孔質微粒子は、平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成し、これら脆性材料超微粒子同士を一部結合せしめて形成する。
【0015】
平均微粒子径については、超微粒子のSEM観察を行い、像内から任意に最低50ヶ、望ましくは200ヶ以上の微粒子を選び、像面積から円に変換したときの直径を算出し、これらを平均することによって求める。
平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定により測定された値を用いる。本発明においては、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000を用いた。
【0016】
また本発明における光半導体電極の作製方法は常温環境で行われることを特徴とする。ここで常温とは、脆性材料の融点や前述の熱処理の温度より十分低い温度のことを指し、実質的には200℃以下である。
【0017】
また本発明における光半導体電極の作製方法において、基板表面にエアロゾルが衝突する面に、エアロゾルを斜めに吹き付けることを特徴とする。基板に対してエアロゾルの衝突方向が直角の場合には、圧粉体の堆積が起こりやすいため多孔質構造物の形成は困難である。斜めに吹き付けることで、エアロゾル流が衝突後基板表面に沿って逃げやすくなり、たとえ多孔質構造物形成に弊害となる圧粉体が形成されても、エアロゾルの噴射圧力でこれが吹き飛ばされるため、好適に構造物の形成が行われる。
【0018】
本発明においては多孔質微粒子を作製する方法は、脆性材料超微粒子を溶媒に、あるいは溶媒とバインダーとに、混合させて分散させ、乾燥させて脆性材料超微粒子が密に充填された状態とし、これを焼成して後、粒径を調製して多孔質微粒子を得ることを特徴とする。あるいは、脆性材料超微粒子単独で、もしくは脆性材料超微粒子にバインダーを混合させたものを、プレスして圧密させ、これを焼成して後、粒径を調製して多孔質微粒子を得ることを特徴とする。
【0019】
多孔微粒子が基板に衝突後、容易に破砕してもとの脆性材料超微粒子にもどってしまっては、たとえ構造物が形成されたとしても緻密化が進んでしまい、目的とする多孔質の構造物が得られない。脆性材料超微粒子同士がある程度強固な結合をした多孔質微粒子とするには上述のような工程を採ることが好適である。このようにして多孔質微粒子を作製することは、予めその気孔率、細孔径を所望の値に管理してこれを多孔質の構造物の気孔率、細孔径に反映させることができるため、重要な工程である。
【0020】
ここで施す焼成は、脆性材料超微粒子の材質の融点よりも低い温度で加熱することで、脆性材料超微粒子同士の接点にネックと呼ばれる結合部分を形成してお互いが結合して集合した、ある体積を持つ多孔質材料を形成させる熱処理であり、焼成によって形成された多孔質材料の大きさが50μm以上などある場合には、ミルや乳鉢による解砕を行うことや篩分け、分級を行うことで、大きさを調節し、所望の粒径の多孔質微粒子とする。
【0021】
本発明では、上記方法で作製された多孔質複合構造物を光半導体電極として用いることを特徴とする。ここで、前記光半導体電極においては、脆性材料微粒子として金属酸化物半導体であることが好ましく、さらに好適には、金属酸化物半導体に増感色素を付着させたものが用いられる。
【0022】
「酸化物半導体」として、金属のカルコゲニドに代表される、いわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を好適に用いることができる。金属のカルコゲニドとして、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5を好適に用いることができる。 また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。本発明に用いられる酸化物半導体として、より好ましくは、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、Nb2O5、チタン酸ストロンチウム、であり、最も好ましくはTiO2である。
【0023】
また、本発明では、上記色素増感型光半導体電極を用いて、光電変換素子を構築することを特徴とする。光電変換素子の構成としては、色素増感型光半導体電極と対向電極が電解質を挟んで配置された形とする。
【0024】
上記色素増感型光電極を用いた光電変換素子は、具体的には、図1(a)に示すように、透明ガラス板のような透明絶縁基材1に透明電極層2を形成し、この電極層2上に上記のような光増感色素を吸着した酸化物半導体層3を形成してなる半導体電極基板と、対電極として透明ガラス板のような絶縁基板6に対電極層5を形成してなる対電極基板を用い、これらの電極間に電解液4を封入して作製される。
【0025】
感光層、つまり光増感色素を吸着した酸化物半導体層3は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。感光層に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素から酸化物半導体の伝導帯に渡され、さらに拡散によって透明電極層に到達する。この時色素分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては透明電極層に達した電子が外部回路で仕事をしながら対電極および電荷移動層(電解液)を経て色素酸化体に戻り、色素が再生する。酸化物半導体膜はこの電池の負極として働く。
【0026】
【発明の実施の態様】
図2に多孔質微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に多孔質の構造物を形成する工程で使用する、エアロゾルデポジション法を利用した構造物形成装置10の模式図を本発明における実施の一態様として示す。
【0027】
形成装置10は、窒素などのガスボンベ101がガス搬送管102を介して、多孔質微粒子を内蔵するエアロゾル発生器103に接続し、エアロゾル搬送管104を介して形成室105内に設置された、縦0.4mm横10mmの開口を持つノズル106に接続されている。ノズル106の先にはXYステージ107に設置された基板108が配置される。形成室105は真空ポンプ109に接続されている。
【0028】
以上の構成の作製装置10による多孔質の構造物の作製手順を次に述べる。ガスボンベ101を開栓し、ガスを搬送管102を通じてエアロゾル発生器103に導入させ、多孔質微粒子を含むエアロゾルを発生させる。エアロゾルは搬送管104を通じてノズル106へと送られ、ノズル106の開口より高速で噴出される。このとき真空ポンプ109の作動により、形成室105内は数kPaの減圧環境下に置かれている。ノズル106の開口の先に配置された基板108に多孔質微粒子が衝突し、微粒子がお互いに接合し、基板上に微粒子の材料からなる多孔質の構造物が形成される。基板108はXYステージ107により揺動されており、所望の形状・面積に誘電体の構造物が形成される。以上の操作は常温環境下で行われる。
【0029】
次に典型的な色素増感型光電変換素子(グレッツェル型太陽電池)について簡単に説明する。図1(a)はグレッツェルらが考案した色素増感型光電変換素子の構成の一例を示すものである。透明電極付きガラス基板(導電性基材)上に酸化物半導体(酸化チタン)の多孔質膜(酸化物半導体層)を形成させて光半導体電極とし、四塩化チタン水溶液等で酸化チタン多孔質膜を処理し、その表面に増感色素を付着させて色素増感型光半導体電極としたものである。これを一方の電極(光電極)とし、対向電極との間に電解質溶液を置く。太陽電池の周囲は前記電解質溶液が漏れないようにシール材でシールしたものがグレッツェル型太陽電池である。
【0030】
本発明の色素増感型光半導体電極およびそれを利用した光電変換素子について説明する。本発明の色素増感型光電変換素子は上記グレッツェル型太陽電池を改良したものであり、その特徴は、主に本発明の色素増感型光半導体電極にある。色素増感型光半導体電極以外の部分の構成および製造方法は従来のグレッツェル型太陽電池と同じでよく、通常の構成および製造方法をとれば本発明の色素増感型光電変換素子となる。それ故、本発明の色素増感型光半導体電極を中心に本発明の色素増感型光電変換素子の構成、材料、製造方法等について詳細に説明する。
【0031】
[導電性基材] 光半導体電極に用いる導電性基材は、金属のように基材そのものに導電性があるものか、または表面に導電材層を有するガラスもしくは樹脂の基材を使用することができる。後者の場合好ましい導電材としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上記導電材層の厚さは、0.02〜10μm程度であることが好ましい。
【0032】
導電性基材は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。この下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度である。
【0033】
導電性基材は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上が特に好ましい。透明導電性基材としてはガラスもしくはプラスチックに導電性の酸化物半導体を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシブルな光電変換素子には、透明ポリマーフィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、メタクリル樹脂(PMMA)等がある。透明導電性基材を用いる場合、光はその基材側から入射させることが好ましい。この場合、酸化物半導体の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gが好ましい。
【0034】
[酸化物半導体層] 本発明において、半導体はいわゆる感光体であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0035】
本発明に用いる光半導体としては、前述のような金属のカルコゲニドに代表される、いわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を好適に用いることができる。金属のカルコゲニドとして、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5を好適に用いることができる。 また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。本発明に用いられる半導体として、より好ましくは、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、Nb2O5、チタン酸ストロンチウム、であり、最も好ましくはTiO2である。
【0036】
本発明に用いられる酸化物半導体は、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点で多結晶が好ましく、特にナノメートルサイズの微粒子半導体が好ましい。
これらの半導体粒子の平均粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として5〜100nmであることが好ましい。
【0037】
また、一次粒子としては粒子サイズが均一である必要は無く、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる微粒子を混合して用いてもよい。
その場合、一次粒子間の結合を強める目的で、数十nmの粒子と5nm程度の酸化物半導体微粒子を混合したり、上記5〜100nm範囲の粒子に加えて粒子サイズの小さな、5nm以下の酸化物半導体粒子を混合してもよい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記5〜100nm範囲の粒子に加えて粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の酸化物半導体粒子を混合してもよく、その場合、平均微粒子径が100nm未満となるように大部分が100nm以下の酸化物半導体粒子であり、300nm程度の酸化物半導体粒子は5〜10%程度混合すればよい。
【0038】
酸化物半導体、例えばTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5やチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどの半導体が好適に使用される。前記酸化物半導体を薄膜状にしたものが好適である。特にTiO2膜が好ましい光半導体電極となる。
【0039】
[半導体電極の形成] 本発明では、酸化物半導体膜は、平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成して形成させたこの脆性材料超微粒子同士が一部結合しかつ連続気孔が存在する平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を、ガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に、多孔質微粒子同士を結合、堆積させて作製された。
【0040】
ここで、酸化物半導体電極として用いる場合には、多孔質微粒子に導入される細孔径としては、100nm以下が好ましい。より好ましくは、50nm以下であり、特に好ましくは25nm以下である。また、多孔質微粒子径としては、中心粒径50μm以下が好ましい。より好ましくは中心粒径20μm以下である。さらに酸化物半導体粒子を基材に衝突させる際に用いるガスとしては、He、Ne、Ar、Xr、Xe、Rn等の不活性ガスやN2等の活性の低いガスを用いることができる。ガスの流量としては、1リットル/分以上が好ましく、より好ましくは、3リットル/分以上である。
【0041】
一般に、酸化物半導体層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。従って、酸化物半導体層には好ましい厚さが存在するが、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの量は0.5〜400g、さらには5〜100gが好ましい。
【0042】
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため酸化物半導体層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この上限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0043】
[増感色素] また、上記半導体の表面には、増感色素を配置する。増感色素とは、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つ色素であればよい。この増感色素としては、金属錯体や有機色素を用いることができる。金属錯体としては銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィルまたはその誘導体、ヘミン、特開平1 −220380 号公報や特表平5−504023 号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄および亜鉛の錯体(例えばシス−ジシアネート−ビス(2 、2 ’−ビピリジル−4 、4 ’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))が挙げられる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メタロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素等を用いることができる。
【0044】
増感色素は上記半導体の多孔質膜の表面に付着(化学吸着、物理吸着など、または堆積などどのような形態の付着でもよい。)させればよい。付着方法は例えば色素を含む溶液中に前記多孔質膜を浸漬するなどの方法を用いることができる。この際、溶液を加熱し還流させるなどして増感色素の付着を促進することができる。
【0045】
[電解質] 本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)の他、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以下であり、さらに好ましくは0.2M以上10M以下である。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。 電解液に用いる有機溶媒は、沸点が高ければ電解液揮発による劣化を防ぐことができる。また光電変換素子の短絡電流密度、変換効率等の性能上からは、有機溶媒の粘度が低く、誘電率が大きいことが好ましい。すなわち、粘度が低いことによっては、イオン移動度を向上させたりする効果が得られ、誘電率が大きいことによっては、有効キャリアー濃度を向上させる効果が得られる。具体的な有機溶媒としては非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリルなどのニトリル類、炭酸プロピレンや炭酸エチレンなどのカーボネート類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノンや3−メチルオキサゾリジノンなどの複素環化合物、等)が挙げられる。
【0046】
また、本発明では、J.Am.Chem.Soc.,80(12)3157−3171(1997)に記載されているような4−tert−ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
【0047】
本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することもできる。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
【0048】
溶融塩としては例えば沃化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)が挙げられ、これらにポリエチレンオキシド等のポリマーを混合することにより、室温での流動性を高めてもよい。この場合のポリマーの添加量は1〜50wt%である。
【0049】
電解質層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた酸化物半導体層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電解質層を挟み込む方法である。もう1つは酸化物半導体層上に直接電解質層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0050】
[スペーサー] 電解質層の厚さを均一に保つため電解質層中にスペーサーを設置する。スペーサーは製造時の電解質層の厚さを均一に保つためだけでなく、太陽電池に対する外力や自己膨張などによる変形に対しても電解質層の厚さを均一に保つ作用を持つ。このスペーサーの素材としては非導電性で電解質に対し不活性(非反応性、不溶性)でかつある程度の強度のあるものである。
【0051】
[対向電極] 光電気化学電池の対向電極としては金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックを使用でき、また、金属薄膜を5μm以下、好ましくは5nm〜3μmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成して作製することもできる。本発明では白金を蒸着したガラスもしくは蒸着やスパッタリングによって形成した金属薄膜を対極とすることが好ましい。
【0052】
対向電極の塗設については、電解質層の付与で記したように、電解質層の上に付与する場合と先に酸化物半導体層上に付与する場合の2通りある。いずれの場合も、対向電極材の種類や電解質層の種類により、適宜、電解質層上または酸化物半導体層上に対極材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法により形成可能である。例えば、対極を貼り合わせる場合は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法により導電層として設けられた基板を貼り合わせることができる。また、電解質層が固体の場合には、その上に直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CVD等の手法で対極を形成することができる。
【0053】
以上で、本発明の色素増感型光電変換素子およびその製造方法についての説明をした。これにより電池から電流を有効に系外に取り出し、変換効率を改善できる。また、効率よく耐久性の高い光電変換素子が製造することができる。
なお、上記した色素増感型光電変換素子の説明においては、導電性基材が透明であって、この導電性基材を透過した太陽光が酸化物半導体層へ至る例について説明したが、図1(b)に示すように、対向電極を透明とし、この対向電極側を透過した太陽光が酸化物半導体層へと至るように構成することも可能である。以下光半導体電極の作製方法及び光電変換素子として、酸化チタン多孔体を用いた色素増感型光電変換素子につき、実施例として説明する。
【0054】
(実施例1)
・ 多孔質微粒子を準備する工程
酸化チタン粉末(平均微粒子径:25nm)を水、バインダー(PEG:分子量20000)と分散剤(アセチルアセトン)を重量比でTiO2:水:バインダー:分散剤=40:40:8:1で混合し、室温で乾燥固化後、650℃で30分焼成した。その後、乳鉢にて粉砕し、25μmのメッシュを通した。粉砕後の粒子をSEMで観察したところ、平均微粒子径が約25nmの一次粒子からなる多孔質微粒子である事がわかった。また、得られた多孔質微粒子の細孔径をマイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000で調べたところ、細孔径の中心値は約40nmで粉砕後の多孔質微粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定したところ約20μmであった。
【0055】
2.多孔質の構造物を作製する工程
上記多孔質微粒子を150℃で1晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用して多孔質微粒子をエアロゾルとし、流量を5L/minにて酸化インジウム−酸化スズ薄膜の透明導電膜付きガラス基板に向けてノズルより噴射させて衝突させ、透明導電膜上に室温で酸化チタンの多孔質の構造物を形成した。このとき基板とノズルから噴射するエアロゾルの角度を60°とした。構造物の厚みは12μmであった。形成された構造物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、特に構造物の崩壊などの変化は見られず、明らかに圧粉体ではないことがわかった。また、この膜はSEM観察から、表面にクラックが無い事、粒子径が約25nmである一次粒子からなる多孔質体であることがわかった。図3にこの多孔質構造物のSEMによる表面観察像を示す。
【0056】
・ 増感色素の吸着
増感色素(シス−ジシアネート−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))を3×10−4モル/リットル含むエタノール溶液に前記の酸化チタン基板を60℃で3時間浸漬することにより色素を吸着させ増感色素付き多孔質構造物を得た。
【0057】
・ 色素増感太陽電池の作製
次に、作製した増感色素付き多孔質構造物を一方の電極とし、対向電極としてガラス基板に白金をスパッタによりコートしたものを用いた。電極間の4辺の端部にスペーサーとして厚さ20μmのシートを挟み、二つの電極の間に電解液を入れ、電極にリード線を取り付けて、本発明の色素増感太陽電池を作製した。なお、前記の電解液は体積比が7.3:2:0.7のエチレンカーボネートとアセトニトリルと4−tert−ブチルピリジンの混合溶媒にヨウ素0.05Mとテトラプロピルアンモニウムアイオダイド0.5Mを溶解した混合液を用いた。
【0058】
・ 太陽電池の発電性能の測定
作製した色素増感型太陽電池は、ソーラーシミュレーターで照射強度1000W/m2にて光を照射し、発電性能を測定した。Voc(開放電圧)は、0.6V、Joc(短絡電流)は、7.5mA、FF(形状因子)は、0.73、およびη(光電変換効率)は3.3%であった。
発電特性の結果から、良好な電池として機能することがわかった。
【0059】
(実施例2)
・ 多孔質微粒子を準備する工程
酸化チタン粉末(平均1次粒子径:25nm)を水、バインダー(PEG:分子量20000)と分散剤(アセチルアセトン)を重量比でTiO2:水:バインダー:分散剤=40:40:8:1で混合し、室温で乾燥固化後、650℃で30分焼成した。その後、乳鉢にて粉砕し、25μmのメッシュを通した。粉砕後の粒子をSEMで観察したところ、平均微粒子径が約25nmの一次粒子からなる多孔質微粒子であることがわかった。また、得られた多孔質微粒子の細孔径をマイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000で調べたところ、細孔径の中心値は約40nmで粉砕後の多孔質微粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定したところ約20μmであった。
【0060】
2.多孔質の構造物を作製する工程
上記多孔質微粒子を150℃で1晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用して多孔質微粒子をエアロゾルとし、流量を5L/minにてフッ素をドープした酸化スズ薄膜の透明導電膜付きPETフィルムに向けてノズルより噴射させて衝突させ、透明導電膜上に室温で酸化チタンの多孔質の構造物を形成した。このとき基板とエアロゾルの衝突角度を60°とした。形成された構造物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、特に構造物の崩壊などの変化は見られず、明らかに圧粉体ではないことがわかった。また、この膜はSEM観察から、表面にクラックが無いこと、粒子径が約25nmである一次粒子からなる多孔質体であることがわかった。
【0061】
3.実施例1の3から4の手順に従って、色素の吸着、セルの組み立てを行った。
【0062】
4.太陽電池の発電性能の測定
作製した色素増感型太陽電池は、ソーラーシミュレーターで照射強度1000W/m2にて光を照射し、発電性能を測定した。Voc(開放電圧)は、0.6V、Joc(短絡電流)は、7mA、FF(形状因子)は、0.69、およびη(光電変換効率)は3%であった。
【0063】
(実施例3)
・ 多孔質微粒子を準備する工程
酸化チタン粉末(平均1次粒子径:25nm)を水、バインダー(PEG:分子量20000)と分散剤(アセチルアセトン)を重量比でTiO2:水:バインダー:分散剤=40:40:8:1で混合し、室温で乾燥固化後、650℃で30分焼成した。その後、乳鉢にて粉砕し、25μmのメッシュを通した。粉砕後の粒子をSEMで観察したところ、平均微粒子径が約25nmの一次粒子からなる多孔質微粒子であることがわかった。また、得られた多孔質微粒子の細孔径をマイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000で調べたところ、細孔径の中心値は約40nmで粉砕後の多孔質微粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定したところ約20μmであった。
【0064】
2.多孔質の構造物を作製する工程
上記多孔質微粒子を150℃で1晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用して多孔質微粒子をエアロゾルとし、流量を5L/minにて酸化インジウム−酸化スズ薄膜の透明導電膜付きPETフィルムに向けてノズルより噴射させて衝突させ、透明導電膜上に室温で酸化チタンの多孔質の構造物を形成した。このとき基板とエアロゾルの衝突角度を60°とした。形成された構造物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、特に構造物の崩壊などの変化は見られず、明らかに圧粉体ではないことがわかった。また、この膜はSEM観察から、表面にクラックが無いこと、粒子径が約25nmである一次粒子からなる多孔質体であることがわかった。
【0065】
3.実施例1の3から4の手順に従って、色素の吸着、セルの組み立てを行った。
【0066】
4.太陽電池の発電性能の測定
作製した色素増感型太陽電池は、ソーラーシミュレーターで照射強度1000W/m2にて光を照射し、発電性能を測定した。Voc(開放電圧)は、0.63V、Joc(短絡電流)は、4.6mA、FF(形状因子)は、0.67、およびη(光電変換効率)は2%であった。
【0067】
(比較例1)
酸化チタン微粒子(平均1次粒子径:25nm)を150℃で一晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用してこの微粒子をエアロゾルとし、流量を6L/minにてフッ素をドープした酸化スズ薄膜の透明導電膜付きガラス基板に向けて噴射角度を直角、60°としてノズルより噴射させて衝突させたところ、基板上に微粒子からなる圧粉体が厚く堆積するのみであった。得られた堆積物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、基板より剥がれ落ちたため、十分な強度を持つ多孔質構造物が形成されていないことがわかった。
【0068】
また、実施例1と同様にして増感色素の吸着を行ったところ、エタノール溶液中で、堆積物は基板より剥がれ落ちた。
【0069】
(実施例4)
所望の細孔径を持つ多孔質構造物を得る場合には、多孔質微粒子の作製工程が重要である。これは超微粒子同士がある程度強固な結合を持った多孔質微粒子を準備することにより構造物そのものができるか否かに影響を与えること、また多孔質微粒子の細孔径をデザインすることが多孔質構造物の細孔径へ反映されることが考えられるからである。ここでは多孔質微粒子の作製工程による多孔質微粒子の細孔径の変化について説明する。
【0070】
微粒子には前述の酸化チタン微粒子(平均一次粒子径(平均微粒子径):25nm)を用い、以下のA、B、Cの3種類の工程にて多孔質微粒子の作製を試みた。
A:酸化チタン微粒子をそのまま550℃にて加熱する工程。
B:酸化チタン微粒子にイオン交換水および分散剤(アセチルアセトン:和光純薬製)を40:40:1の重量比にて混合して分散させた後、室温で乾燥を行い、550℃にて加熱する工程。
C:酸化チタン微粒子にイオン交換水と分散剤(アセチルアセトン:和光純薬製)およびバインダー(ポリエチレングリコール 分子量20000:和光純薬製)を40:40:1:4の重量比にて混合して分散させた後、室温にて乾燥を行い、その後550℃で加熱する工程。
【0071】
何れも加熱後はある程度強度を持った凝集体あるいは多孔質の構造物となっており、これをある程度解砕してある粒度の多孔質微粒子に調製して、マイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000にて細孔径とその細孔体積について測定を行った。この結果を図4に示す。図中のA、B、Cについては前述の通りであり、Dは酸化チタン微粒子を加熱する前の多孔質ではない超微粒子の粉体を示している。横軸は多孔質微粒子細孔径あるいは粉体の粒子同士の隙間の大きさを示しており、縦軸はその細孔径における細孔体積量を示している。
【0072】
この結果から、単に超微粒子を加熱したのみでは細孔分布はもともとの粉体のそれと同程度であり、超微粒子に分散処理などを施して粒子同士が密に充填した状態にしたのち加熱することにより、細孔径分布をシャープに揃えることが可能になるということがわかる。ここで酸化チタン微粒子の平均微粒子径25nmの値の3倍として多孔質微粒子の細孔径75nmという値に注目し、この多孔質微粒子の全細孔体積に占める、細孔径75nm以上の細孔体積の割合を測定したところ、Aにおいて、7.3%、Dにおいて6.7%であり、B、Cでは観測されず、無いに等しい結果となった。細孔径分布が小さくシャープであるほど多孔質微粒子そのものの強度も大きいと考えられる。B、Cの多孔質粒子が多孔質構造物の作製には好適である。
【0073】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、例えば、焼成にて脆性材料超微粒子同士が一部結合し、連続気孔が存在し且つ平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を調整し、この多孔質微粒子をエアロゾルデポジション法の材料としたので、色素増感電池の光半導体電極として利用可能な微細な連続気孔を持つ構造物または膜を形成することができる。
また、本発明方法は常温環境下で実施することができるので、プラスチック材料や低融点金属材料などの表面に前記構造物を作製することができる。特に熱により変性しやすい材料を用いる場合には、それを考慮しなくてよいので利用範囲が大幅に拡大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は光電変換素子の断面図
【図2】エアロゾルデポジション法を利用した構造物形成装置の模式図
【図3】多孔質構造物のSEM写真
【図4】多孔質微粒子細孔径と細孔体積量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
10…構造物形成装置、101…窒素ガスボンベ、102…ガス搬送管、103…エアロゾル発生器、104…エアロゾル搬送管、105…形成室、106…ノズル、107…XYステージ、108…基板、109…真空ポンプ。
【発明の属する技術分野】
本発明は、導電性基材表面に半導体の脆性材料からなる多孔質の構造物を形成した光半導体電極、更には、前記光半導体電極を用いた太陽電池等の光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、単結晶、多結晶、アモルファスのシリコン半導体を用いた太陽電池が、住宅用等の太陽電池として広く用いられている。しかしながら、このようなシリコン半導体を用いた太陽電池の製造には、プラズマCVD 法や高温結晶成長プロセス等が用いられるため、多大のエネルギーを必要とするとともに、製造コストが高くなっている。
【0003】
そこで低コストで製造可能な太陽電池として、例えば、多孔質の酸化チタンのような酸化物半導体に、ルテニウム金属錯体のような光増感色素を吸着させた材料を用いた色素増感型太陽電池が提案されている(特開平1−220380号公報、特開2001−307786号公報)。
【0004】
上記色素増感型太陽電池は、具体的には、図1(a)に示すように、透明ガラス板のような透明絶縁基材1に透明電極層2を形成し、この電極層2上に上記のような光増感色素を吸着した酸化物半導体層3を形成してなる半導体電極基板と対電極として透明ガラス板のような絶縁基板6に電極層5を形成してなる対電極基板を用い、これらの電極間に電解液4を封入して作製される。
【0005】
上記酸化物半導体層は、多孔質であり、その作製には、従来提案されている被膜形成方法が利用されていた。セラミックスやガラスなど基材の上に多孔質の被膜を形成させる方法としては、微粒子およびバインダーを溶媒に分散させたスラリーやペーストを基材に塗布し、これを乾燥させて、まず百数十℃で脱バインダー処理を行い、次いで融点以下の数百℃の温度で加熱焼成することにより、微粒子同士の接点において物質移動によるネックを形成させて結合させ、微粒子のネットワークによりある程度強度を保有した膜として得る手法やPVDやCVDなどの蒸着法、ゾルゲル法、あるいは溶射法が知られている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、スラリーやペーストの塗布後の焼成法では焼成温度が数百℃であるためにプラスチック材料や低融点金属などの熱に弱い基材に膜を形成させることが困難であり、数μm以上の厚膜を形成させる場合には、乾燥時や脱バインダー処理時、焼成時に収縮や基材との熱膨張率の差によって膜に大きな亀裂が生じるなどの問題があった。
【0007】
また、PVD、CVD法などは比較的低温で製膜が可能であるが、緻密な組織を作製することが得意であり、多孔質構造物を形成させることは困難である。溶液から作製するゾルゲル法も基本的には緻密質を作製する方法であり、これらの方法は数μm以上の厚膜を形成させることが困難であることが知られている。溶射法は粒径数〜100μmの粒子を使用する場合が多く、形成される被膜はその手法の特徴として内部に独立気泡であり、気泡が連続する多孔質とは言い難いものであった。
【0008】
また、最近では新たな被膜形成方法として、エアロゾルデポジション法があり、特許第3265481号、国際出願特許WO 01/27348 A1に開示されるものが知られている。この方法は、脆性材料の微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを基板に向けて吹き付け、その衝突エネルギーにより微粒子を破砕・変形させることにより、粒子あるいは破砕断片同士を接合させて、基板上に構造物を形成させる方法で、焼成させることなく焼成体と同等程度の強度を持つ構造物を形成できる手法である。
【0009】
エアロゾルデポジション法は、脆性材料の厚膜を室温付近で形成させるに都合の良い方法であるが、連続気孔を持つような緻密度が低い多孔質の膜を形成させることは困難で、そのまま光半導体電極の作製に利用することはできない。
【0010】
特許第3265481号においては、使用する超微粒子脆性材料の調製方法として、原料超微粒子脆性材料の仮焼き温度を変えて、数十nm程度の粒径に調整された微細な超微粒子脆性材料を加熱し、粒径で50nm〜1μm程度の2次粒子に凝集させる方法が示唆されているが、これは理論密度が95%以上の緻密質の成形体を作製する方法であり、微細な粒子を接合させることにより、衝撃によりこれらの界面から割れることで粉砕が行われやすい凝集微粒子を作製することに着目されていた。すなわちエアロゾルデポジション法は緻密な膜を形成させる方法としてはこのような工夫が提案されているものの、ナノレベルの細孔径の連続気孔を有する膜を形成させる好適な手法は提案されていなかった。
【0011】
以上のように従来技術においては、色素増感電池の光半導体電極として利用可能な微細な連続気孔を持つ構造物または膜を常温環境下で基板上に形成することはきわめて困難であった。
【0012】
本件では、特にエアロゾルデポジション法の新しい手法として、従来では困難であった光半導体電極として利用可能な微細な連続気孔を持つ構造物あるいは膜を常温環境下で基板上に形成すること、およびその微細な連続気孔をもつ構造物または膜を利用した色素増感型太陽電池等の提供を目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明においては、脆性材料超微粒子同士が一部結合しかつ連続気孔が存在する平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を、ガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に、多孔質微粒子同士が結合して堆積した多孔質の構造物を形成させることを特徴とする、基材と前記多孔質の構造物からなる光半導体電極の作製方法を提供する。
【0014】
前記多孔質微粒子は、平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成し、これら脆性材料超微粒子同士を一部結合せしめて形成する。
【0015】
平均微粒子径については、超微粒子のSEM観察を行い、像内から任意に最低50ヶ、望ましくは200ヶ以上の微粒子を選び、像面積から円に変換したときの直径を算出し、これらを平均することによって求める。
平均粒径は、レーザー回折式粒度分布測定により測定された値を用いる。本発明においては、島津製作所製レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−2000を用いた。
【0016】
また本発明における光半導体電極の作製方法は常温環境で行われることを特徴とする。ここで常温とは、脆性材料の融点や前述の熱処理の温度より十分低い温度のことを指し、実質的には200℃以下である。
【0017】
また本発明における光半導体電極の作製方法において、基板表面にエアロゾルが衝突する面に、エアロゾルを斜めに吹き付けることを特徴とする。基板に対してエアロゾルの衝突方向が直角の場合には、圧粉体の堆積が起こりやすいため多孔質構造物の形成は困難である。斜めに吹き付けることで、エアロゾル流が衝突後基板表面に沿って逃げやすくなり、たとえ多孔質構造物形成に弊害となる圧粉体が形成されても、エアロゾルの噴射圧力でこれが吹き飛ばされるため、好適に構造物の形成が行われる。
【0018】
本発明においては多孔質微粒子を作製する方法は、脆性材料超微粒子を溶媒に、あるいは溶媒とバインダーとに、混合させて分散させ、乾燥させて脆性材料超微粒子が密に充填された状態とし、これを焼成して後、粒径を調製して多孔質微粒子を得ることを特徴とする。あるいは、脆性材料超微粒子単独で、もしくは脆性材料超微粒子にバインダーを混合させたものを、プレスして圧密させ、これを焼成して後、粒径を調製して多孔質微粒子を得ることを特徴とする。
【0019】
多孔微粒子が基板に衝突後、容易に破砕してもとの脆性材料超微粒子にもどってしまっては、たとえ構造物が形成されたとしても緻密化が進んでしまい、目的とする多孔質の構造物が得られない。脆性材料超微粒子同士がある程度強固な結合をした多孔質微粒子とするには上述のような工程を採ることが好適である。このようにして多孔質微粒子を作製することは、予めその気孔率、細孔径を所望の値に管理してこれを多孔質の構造物の気孔率、細孔径に反映させることができるため、重要な工程である。
【0020】
ここで施す焼成は、脆性材料超微粒子の材質の融点よりも低い温度で加熱することで、脆性材料超微粒子同士の接点にネックと呼ばれる結合部分を形成してお互いが結合して集合した、ある体積を持つ多孔質材料を形成させる熱処理であり、焼成によって形成された多孔質材料の大きさが50μm以上などある場合には、ミルや乳鉢による解砕を行うことや篩分け、分級を行うことで、大きさを調節し、所望の粒径の多孔質微粒子とする。
【0021】
本発明では、上記方法で作製された多孔質複合構造物を光半導体電極として用いることを特徴とする。ここで、前記光半導体電極においては、脆性材料微粒子として金属酸化物半導体であることが好ましく、さらに好適には、金属酸化物半導体に増感色素を付着させたものが用いられる。
【0022】
「酸化物半導体」として、金属のカルコゲニドに代表される、いわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を好適に用いることができる。金属のカルコゲニドとして、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5を好適に用いることができる。 また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。本発明に用いられる酸化物半導体として、より好ましくは、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、Nb2O5、チタン酸ストロンチウム、であり、最も好ましくはTiO2である。
【0023】
また、本発明では、上記色素増感型光半導体電極を用いて、光電変換素子を構築することを特徴とする。光電変換素子の構成としては、色素増感型光半導体電極と対向電極が電解質を挟んで配置された形とする。
【0024】
上記色素増感型光電極を用いた光電変換素子は、具体的には、図1(a)に示すように、透明ガラス板のような透明絶縁基材1に透明電極層2を形成し、この電極層2上に上記のような光増感色素を吸着した酸化物半導体層3を形成してなる半導体電極基板と、対電極として透明ガラス板のような絶縁基板6に対電極層5を形成してなる対電極基板を用い、これらの電極間に電解液4を封入して作製される。
【0025】
感光層、つまり光増感色素を吸着した酸化物半導体層3は目的に応じて設計され、単層構成でも多層構成でもよい。感光層に入射した光は色素を励起する。励起色素はエネルギーの高い電子を有しており、この電子が色素から酸化物半導体の伝導帯に渡され、さらに拡散によって透明電極層に到達する。この時色素分子は酸化体となっている。光電気化学電池においては透明電極層に達した電子が外部回路で仕事をしながら対電極および電荷移動層(電解液)を経て色素酸化体に戻り、色素が再生する。酸化物半導体膜はこの電池の負極として働く。
【0026】
【発明の実施の態様】
図2に多孔質微粒子をガス中に分散させたエアロゾルを、基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に多孔質の構造物を形成する工程で使用する、エアロゾルデポジション法を利用した構造物形成装置10の模式図を本発明における実施の一態様として示す。
【0027】
形成装置10は、窒素などのガスボンベ101がガス搬送管102を介して、多孔質微粒子を内蔵するエアロゾル発生器103に接続し、エアロゾル搬送管104を介して形成室105内に設置された、縦0.4mm横10mmの開口を持つノズル106に接続されている。ノズル106の先にはXYステージ107に設置された基板108が配置される。形成室105は真空ポンプ109に接続されている。
【0028】
以上の構成の作製装置10による多孔質の構造物の作製手順を次に述べる。ガスボンベ101を開栓し、ガスを搬送管102を通じてエアロゾル発生器103に導入させ、多孔質微粒子を含むエアロゾルを発生させる。エアロゾルは搬送管104を通じてノズル106へと送られ、ノズル106の開口より高速で噴出される。このとき真空ポンプ109の作動により、形成室105内は数kPaの減圧環境下に置かれている。ノズル106の開口の先に配置された基板108に多孔質微粒子が衝突し、微粒子がお互いに接合し、基板上に微粒子の材料からなる多孔質の構造物が形成される。基板108はXYステージ107により揺動されており、所望の形状・面積に誘電体の構造物が形成される。以上の操作は常温環境下で行われる。
【0029】
次に典型的な色素増感型光電変換素子(グレッツェル型太陽電池)について簡単に説明する。図1(a)はグレッツェルらが考案した色素増感型光電変換素子の構成の一例を示すものである。透明電極付きガラス基板(導電性基材)上に酸化物半導体(酸化チタン)の多孔質膜(酸化物半導体層)を形成させて光半導体電極とし、四塩化チタン水溶液等で酸化チタン多孔質膜を処理し、その表面に増感色素を付着させて色素増感型光半導体電極としたものである。これを一方の電極(光電極)とし、対向電極との間に電解質溶液を置く。太陽電池の周囲は前記電解質溶液が漏れないようにシール材でシールしたものがグレッツェル型太陽電池である。
【0030】
本発明の色素増感型光半導体電極およびそれを利用した光電変換素子について説明する。本発明の色素増感型光電変換素子は上記グレッツェル型太陽電池を改良したものであり、その特徴は、主に本発明の色素増感型光半導体電極にある。色素増感型光半導体電極以外の部分の構成および製造方法は従来のグレッツェル型太陽電池と同じでよく、通常の構成および製造方法をとれば本発明の色素増感型光電変換素子となる。それ故、本発明の色素増感型光半導体電極を中心に本発明の色素増感型光電変換素子の構成、材料、製造方法等について詳細に説明する。
【0031】
[導電性基材] 光半導体電極に用いる導電性基材は、金属のように基材そのものに導電性があるものか、または表面に導電材層を有するガラスもしくは樹脂の基材を使用することができる。後者の場合好ましい導電材としては金属(例えば白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、インジウム等)、炭素、もしくは導電性の金属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの等)が挙げられる。上記導電材層の厚さは、0.02〜10μm程度であることが好ましい。
【0032】
導電性基材は表面抵抗が低い程よい。好ましい表面抵抗の範囲としては100Ω/cm2以下であり、さらに好ましくは40Ω/cm2以下である。この下限には特に制限はないが、通常0.1Ω/cm2程度である。
【0033】
導電性基材は実質的に透明であることが好ましい。実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であることを意味し、50%以上であることが好ましく、70%以上が特に好ましい。透明導電性基材としてはガラスもしくはプラスチックに導電性の酸化物半導体を塗設したものが好ましい。この中でもフッ素をドーピングした二酸化スズからなる導電層を低コストのソーダ石灰フロートガラスでできた透明基板上に堆積した導電性ガラスが特に好ましい。また、低コストでフレキシブルな光電変換素子には、透明ポリマーフィルムに上記導電層を設けたものを用いるのがよい。透明ポリマーフィルムには、テトラアセチルセルロース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET),ポリエチレンナフタレート(PEN)、シンジオクタチックポリステレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアクレート(PAr)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフィン、ブロム化フェノキシ、メタクリル樹脂(PMMA)等がある。透明導電性基材を用いる場合、光はその基材側から入射させることが好ましい。この場合、酸化物半導体の塗布量はガラスもしくはプラスチックの支持体1m2当たり0.01〜100gが好ましい。
【0034】
[酸化物半導体層] 本発明において、半導体はいわゆる感光体であり、光を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる役割を担う。色素増感された半導体では、光吸収およびこれによる電子および正孔の発生は主として色素において起こり、半導体はこの電子を受け取り、伝達する役割を担う。
【0035】
本発明に用いる光半導体としては、前述のような金属のカルコゲニドに代表される、いわゆる化合物半導体またはペロブスカイト構造を有する化合物等を好適に用いることができる。金属のカルコゲニドとして、TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5を好適に用いることができる。 また、ペロブスカイト構造を有する化合物としては、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムが挙げられる。本発明に用いられる半導体として、より好ましくは、TiO2、SnO2、WO3、ZnO、Nb2O5、チタン酸ストロンチウム、であり、最も好ましくはTiO2である。
【0036】
本発明に用いられる酸化物半導体は、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイバックタイム等の点で多結晶が好ましく、特にナノメートルサイズの微粒子半導体が好ましい。
これらの半導体粒子の平均粒径は、投影面積を円に換算したときの直径を用いた平均粒径で1次粒子として5〜100nmであることが好ましい。
【0037】
また、一次粒子としては粒子サイズが均一である必要は無く、2種類以上の粒子サイズ分布の異なる微粒子を混合して用いてもよい。
その場合、一次粒子間の結合を強める目的で、数十nmの粒子と5nm程度の酸化物半導体微粒子を混合したり、上記5〜100nm範囲の粒子に加えて粒子サイズの小さな、5nm以下の酸化物半導体粒子を混合してもよい。また、入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる目的で、上記5〜100nm範囲の粒子に加えて粒子サイズの大きな、例えば300nm程度の酸化物半導体粒子を混合してもよく、その場合、平均微粒子径が100nm未満となるように大部分が100nm以下の酸化物半導体粒子であり、300nm程度の酸化物半導体粒子は5〜10%程度混合すればよい。
【0038】
酸化物半導体、例えばTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、In2O3、ZrO2、Ta2O5やチタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタン酸バリウム、ニオブ酸カリウムなどの半導体が好適に使用される。前記酸化物半導体を薄膜状にしたものが好適である。特にTiO2膜が好ましい光半導体電極となる。
【0039】
[半導体電極の形成] 本発明では、酸化物半導体膜は、平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成して形成させたこの脆性材料超微粒子同士が一部結合しかつ連続気孔が存在する平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を、ガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを基材に向けて吹き付けて多孔質微粒子を衝突させて、基材上に、多孔質微粒子同士を結合、堆積させて作製された。
【0040】
ここで、酸化物半導体電極として用いる場合には、多孔質微粒子に導入される細孔径としては、100nm以下が好ましい。より好ましくは、50nm以下であり、特に好ましくは25nm以下である。また、多孔質微粒子径としては、中心粒径50μm以下が好ましい。より好ましくは中心粒径20μm以下である。さらに酸化物半導体粒子を基材に衝突させる際に用いるガスとしては、He、Ne、Ar、Xr、Xe、Rn等の不活性ガスやN2等の活性の低いガスを用いることができる。ガスの流量としては、1リットル/分以上が好ましく、より好ましくは、3リットル/分以上である。
【0041】
一般に、酸化物半導体層の厚みが増大するほど単位投影面積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くなるが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合によるロスも大きくなる。従って、酸化物半導体層には好ましい厚さが存在するが、典型的には0.1〜100μmである。光電気化学電池として用いる場合は1〜30μmであることが好ましく、2〜25μmであることがより好ましい。半導体微粒子の支持体1m2当たりの量は0.5〜400g、さらには5〜100gが好ましい。
【0042】
半導体微粒子は多くの色素を吸着することができるように表面積の大きいものが好ましい。このため酸化物半導体層を支持体上に塗設した状態での表面積は、投影面積に対して10倍以上であることが好ましく、さらに100倍以上であることが好ましい。この上限には特に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0043】
[増感色素] また、上記半導体の表面には、増感色素を配置する。増感色素とは、可視光領域および/または赤外光領域に吸収を持つ色素であればよい。この増感色素としては、金属錯体や有機色素を用いることができる。金属錯体としては銅フタロシアニン、チタニルフタロシアニン等の金属フタロシアニン、クロロフィルまたはその誘導体、ヘミン、特開平1 −220380 号公報や特表平5−504023 号公報に記載のルテニウム、オスミウム、鉄および亜鉛の錯体(例えばシス−ジシアネート−ビス(2 、2 ’−ビピリジル−4 、4 ’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))が挙げられる。有機色素としては、メタルフリーフタロシアニン、シアニン系色素、メタロシアニン系色素、キサンテン系色素、トリフェニルメタン系色素等を用いることができる。
【0044】
増感色素は上記半導体の多孔質膜の表面に付着(化学吸着、物理吸着など、または堆積などどのような形態の付着でもよい。)させればよい。付着方法は例えば色素を含む溶液中に前記多孔質膜を浸漬するなどの方法を用いることができる。この際、溶液を加熱し還流させるなどして増感色素の付着を促進することができる。
【0045】
[電解質] 本発明で使用する電解液は電解質、溶媒、および添加物から構成されることが好ましい。本発明の電解質はI2とヨウ化物の組み合わせ(ヨウ化物としてはLiI、NaI、KI、CsI、CaI2などの金属ヨウ化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩など)、Br2と臭化物の組み合わせ(臭化物としてはLiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2などの金属臭化物、あるいはテトラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロマイドなど4級アンモニウム化合物の臭素塩など)の他、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセン−フェリシニウムイオンなどの金属錯体、ポリ硫化ナトリウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィドなどのイオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノンなどを用いることができる。この中でもI2とLiIやピリジニウムヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイドなど4級アンモニウム化合物のヨウ素塩を組み合わせた電解質が本発明では好ましい。上述した電解質は混合して用いてもよい。
好ましい電解質濃度は0.1M以上15M以下であり、さらに好ましくは0.2M以上10M以下である。また、電解質にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度は0.01M以上0.5M以下である。 電解液に用いる有機溶媒は、沸点が高ければ電解液揮発による劣化を防ぐことができる。また光電変換素子の短絡電流密度、変換効率等の性能上からは、有機溶媒の粘度が低く、誘電率が大きいことが好ましい。すなわち、粘度が低いことによっては、イオン移動度を向上させたりする効果が得られ、誘電率が大きいことによっては、有効キャリアー濃度を向上させる効果が得られる。具体的な有機溶媒としては非プロトン性の極性溶媒(例えばアセトニトリルなどのニトリル類、炭酸プロピレンや炭酸エチレンなどのカーボネート類、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、1,3−ジメチルイミダゾリノンや3−メチルオキサゾリジノンなどの複素環化合物、等)が挙げられる。
【0046】
また、本発明では、J.Am.Chem.Soc.,80(12)3157−3171(1997)に記載されているような4−tert−ブチルピリジンや、2−ピコリン、2,6−ルチジン等の塩基性化合物を添加することもできる。塩基性化合物を添加する場合の好ましい濃度範囲は0.05M以上2M以下である。
【0047】
本発明では、電解質はポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法によりゲル化(固体化)させて使用することもできる。ゲル電解質のマトリクスに使用されるポリマーとしては例えばポリアクリロニトリル、ポリビニリデンフルオリド等が挙げられる。
【0048】
溶融塩としては例えば沃化リチウムと他の少なくとも1種類のリチウム塩(例えば酢酸リチウム、過塩素酸リチウム等)が挙げられ、これらにポリエチレンオキシド等のポリマーを混合することにより、室温での流動性を高めてもよい。この場合のポリマーの添加量は1〜50wt%である。
【0049】
電解質層の形成方法に関しては2通りの方法が考えられる。1つは増感色素を担持させた酸化物半導体層の上に先に対極を貼り合わせておき、その間隙に液状の電解質層を挟み込む方法である。もう1つは酸化物半導体層上に直接電解質層を付与する方法で、対極はその後付与することになる。
【0050】
[スペーサー] 電解質層の厚さを均一に保つため電解質層中にスペーサーを設置する。スペーサーは製造時の電解質層の厚さを均一に保つためだけでなく、太陽電池に対する外力や自己膨張などによる変形に対しても電解質層の厚さを均一に保つ作用を持つ。このスペーサーの素材としては非導電性で電解質に対し不活性(非反応性、不溶性)でかつある程度の強度のあるものである。
【0051】
[対向電極] 光電気化学電池の対向電極としては金属もしくは導電性の酸化物を蒸着したガラスまたはプラスチックを使用でき、また、金属薄膜を5μm以下、好ましくは5nm〜3μmの範囲の膜厚になるように、蒸着やスパッタリングなどの方法により形成して作製することもできる。本発明では白金を蒸着したガラスもしくは蒸着やスパッタリングによって形成した金属薄膜を対極とすることが好ましい。
【0052】
対向電極の塗設については、電解質層の付与で記したように、電解質層の上に付与する場合と先に酸化物半導体層上に付与する場合の2通りある。いずれの場合も、対向電極材の種類や電解質層の種類により、適宜、電解質層上または酸化物半導体層上に対極材を塗布、ラミネート、蒸着、貼り合わせなどの方法により形成可能である。例えば、対極を貼り合わせる場合は、上記の導電性材料を塗布、蒸着、CVD等の手法により導電層として設けられた基板を貼り合わせることができる。また、電解質層が固体の場合には、その上に直接、前述の導電性材料を塗布、メッキ、PVD、CVD等の手法で対極を形成することができる。
【0053】
以上で、本発明の色素増感型光電変換素子およびその製造方法についての説明をした。これにより電池から電流を有効に系外に取り出し、変換効率を改善できる。また、効率よく耐久性の高い光電変換素子が製造することができる。
なお、上記した色素増感型光電変換素子の説明においては、導電性基材が透明であって、この導電性基材を透過した太陽光が酸化物半導体層へ至る例について説明したが、図1(b)に示すように、対向電極を透明とし、この対向電極側を透過した太陽光が酸化物半導体層へと至るように構成することも可能である。以下光半導体電極の作製方法及び光電変換素子として、酸化チタン多孔体を用いた色素増感型光電変換素子につき、実施例として説明する。
【0054】
(実施例1)
・ 多孔質微粒子を準備する工程
酸化チタン粉末(平均微粒子径:25nm)を水、バインダー(PEG:分子量20000)と分散剤(アセチルアセトン)を重量比でTiO2:水:バインダー:分散剤=40:40:8:1で混合し、室温で乾燥固化後、650℃で30分焼成した。その後、乳鉢にて粉砕し、25μmのメッシュを通した。粉砕後の粒子をSEMで観察したところ、平均微粒子径が約25nmの一次粒子からなる多孔質微粒子である事がわかった。また、得られた多孔質微粒子の細孔径をマイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000で調べたところ、細孔径の中心値は約40nmで粉砕後の多孔質微粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定したところ約20μmであった。
【0055】
2.多孔質の構造物を作製する工程
上記多孔質微粒子を150℃で1晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用して多孔質微粒子をエアロゾルとし、流量を5L/minにて酸化インジウム−酸化スズ薄膜の透明導電膜付きガラス基板に向けてノズルより噴射させて衝突させ、透明導電膜上に室温で酸化チタンの多孔質の構造物を形成した。このとき基板とノズルから噴射するエアロゾルの角度を60°とした。構造物の厚みは12μmであった。形成された構造物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、特に構造物の崩壊などの変化は見られず、明らかに圧粉体ではないことがわかった。また、この膜はSEM観察から、表面にクラックが無い事、粒子径が約25nmである一次粒子からなる多孔質体であることがわかった。図3にこの多孔質構造物のSEMによる表面観察像を示す。
【0056】
・ 増感色素の吸着
増感色素(シス−ジシアネート−ビス(2,2’−ビピリジル−4,4’−ジカルボキシレート)ルテニウム(II))を3×10−4モル/リットル含むエタノール溶液に前記の酸化チタン基板を60℃で3時間浸漬することにより色素を吸着させ増感色素付き多孔質構造物を得た。
【0057】
・ 色素増感太陽電池の作製
次に、作製した増感色素付き多孔質構造物を一方の電極とし、対向電極としてガラス基板に白金をスパッタによりコートしたものを用いた。電極間の4辺の端部にスペーサーとして厚さ20μmのシートを挟み、二つの電極の間に電解液を入れ、電極にリード線を取り付けて、本発明の色素増感太陽電池を作製した。なお、前記の電解液は体積比が7.3:2:0.7のエチレンカーボネートとアセトニトリルと4−tert−ブチルピリジンの混合溶媒にヨウ素0.05Mとテトラプロピルアンモニウムアイオダイド0.5Mを溶解した混合液を用いた。
【0058】
・ 太陽電池の発電性能の測定
作製した色素増感型太陽電池は、ソーラーシミュレーターで照射強度1000W/m2にて光を照射し、発電性能を測定した。Voc(開放電圧)は、0.6V、Joc(短絡電流)は、7.5mA、FF(形状因子)は、0.73、およびη(光電変換効率)は3.3%であった。
発電特性の結果から、良好な電池として機能することがわかった。
【0059】
(実施例2)
・ 多孔質微粒子を準備する工程
酸化チタン粉末(平均1次粒子径:25nm)を水、バインダー(PEG:分子量20000)と分散剤(アセチルアセトン)を重量比でTiO2:水:バインダー:分散剤=40:40:8:1で混合し、室温で乾燥固化後、650℃で30分焼成した。その後、乳鉢にて粉砕し、25μmのメッシュを通した。粉砕後の粒子をSEMで観察したところ、平均微粒子径が約25nmの一次粒子からなる多孔質微粒子であることがわかった。また、得られた多孔質微粒子の細孔径をマイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000で調べたところ、細孔径の中心値は約40nmで粉砕後の多孔質微粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定したところ約20μmであった。
【0060】
2.多孔質の構造物を作製する工程
上記多孔質微粒子を150℃で1晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用して多孔質微粒子をエアロゾルとし、流量を5L/minにてフッ素をドープした酸化スズ薄膜の透明導電膜付きPETフィルムに向けてノズルより噴射させて衝突させ、透明導電膜上に室温で酸化チタンの多孔質の構造物を形成した。このとき基板とエアロゾルの衝突角度を60°とした。形成された構造物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、特に構造物の崩壊などの変化は見られず、明らかに圧粉体ではないことがわかった。また、この膜はSEM観察から、表面にクラックが無いこと、粒子径が約25nmである一次粒子からなる多孔質体であることがわかった。
【0061】
3.実施例1の3から4の手順に従って、色素の吸着、セルの組み立てを行った。
【0062】
4.太陽電池の発電性能の測定
作製した色素増感型太陽電池は、ソーラーシミュレーターで照射強度1000W/m2にて光を照射し、発電性能を測定した。Voc(開放電圧)は、0.6V、Joc(短絡電流)は、7mA、FF(形状因子)は、0.69、およびη(光電変換効率)は3%であった。
【0063】
(実施例3)
・ 多孔質微粒子を準備する工程
酸化チタン粉末(平均1次粒子径:25nm)を水、バインダー(PEG:分子量20000)と分散剤(アセチルアセトン)を重量比でTiO2:水:バインダー:分散剤=40:40:8:1で混合し、室温で乾燥固化後、650℃で30分焼成した。その後、乳鉢にて粉砕し、25μmのメッシュを通した。粉砕後の粒子をSEMで観察したところ、平均微粒子径が約25nmの一次粒子からなる多孔質微粒子であることがわかった。また、得られた多孔質微粒子の細孔径をマイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000で調べたところ、細孔径の中心値は約40nmで粉砕後の多孔質微粒子の平均粒径をレーザー回折式粒度分布測定装置にて測定したところ約20μmであった。
【0064】
2.多孔質の構造物を作製する工程
上記多孔質微粒子を150℃で1晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用して多孔質微粒子をエアロゾルとし、流量を5L/minにて酸化インジウム−酸化スズ薄膜の透明導電膜付きPETフィルムに向けてノズルより噴射させて衝突させ、透明導電膜上に室温で酸化チタンの多孔質の構造物を形成した。このとき基板とエアロゾルの衝突角度を60°とした。形成された構造物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、特に構造物の崩壊などの変化は見られず、明らかに圧粉体ではないことがわかった。また、この膜はSEM観察から、表面にクラックが無いこと、粒子径が約25nmである一次粒子からなる多孔質体であることがわかった。
【0065】
3.実施例1の3から4の手順に従って、色素の吸着、セルの組み立てを行った。
【0066】
4.太陽電池の発電性能の測定
作製した色素増感型太陽電池は、ソーラーシミュレーターで照射強度1000W/m2にて光を照射し、発電性能を測定した。Voc(開放電圧)は、0.63V、Joc(短絡電流)は、4.6mA、FF(形状因子)は、0.67、およびη(光電変換効率)は2%であった。
【0067】
(比較例1)
酸化チタン微粒子(平均1次粒子径:25nm)を150℃で一晩乾燥した後、上述した構造物形成装置10に準ずる構造物形成装置を用い、ガスとしてHeを使用してこの微粒子をエアロゾルとし、流量を6L/minにてフッ素をドープした酸化スズ薄膜の透明導電膜付きガラス基板に向けて噴射角度を直角、60°としてノズルより噴射させて衝突させたところ、基板上に微粒子からなる圧粉体が厚く堆積するのみであった。得られた堆積物を基板と一緒にエタノール溶液につけ、超音波洗浄機(高周波出力80W)で5分間超音波を照射したところ、基板より剥がれ落ちたため、十分な強度を持つ多孔質構造物が形成されていないことがわかった。
【0068】
また、実施例1と同様にして増感色素の吸着を行ったところ、エタノール溶液中で、堆積物は基板より剥がれ落ちた。
【0069】
(実施例4)
所望の細孔径を持つ多孔質構造物を得る場合には、多孔質微粒子の作製工程が重要である。これは超微粒子同士がある程度強固な結合を持った多孔質微粒子を準備することにより構造物そのものができるか否かに影響を与えること、また多孔質微粒子の細孔径をデザインすることが多孔質構造物の細孔径へ反映されることが考えられるからである。ここでは多孔質微粒子の作製工程による多孔質微粒子の細孔径の変化について説明する。
【0070】
微粒子には前述の酸化チタン微粒子(平均一次粒子径(平均微粒子径):25nm)を用い、以下のA、B、Cの3種類の工程にて多孔質微粒子の作製を試みた。
A:酸化チタン微粒子をそのまま550℃にて加熱する工程。
B:酸化チタン微粒子にイオン交換水および分散剤(アセチルアセトン:和光純薬製)を40:40:1の重量比にて混合して分散させた後、室温で乾燥を行い、550℃にて加熱する工程。
C:酸化チタン微粒子にイオン交換水と分散剤(アセチルアセトン:和光純薬製)およびバインダー(ポリエチレングリコール 分子量20000:和光純薬製)を40:40:1:4の重量比にて混合して分散させた後、室温にて乾燥を行い、その後550℃で加熱する工程。
【0071】
何れも加熱後はある程度強度を持った凝集体あるいは多孔質の構造物となっており、これをある程度解砕してある粒度の多孔質微粒子に調製して、マイクロメリティックス高速比表面積/細孔分布測定装置アサップ2000にて細孔径とその細孔体積について測定を行った。この結果を図4に示す。図中のA、B、Cについては前述の通りであり、Dは酸化チタン微粒子を加熱する前の多孔質ではない超微粒子の粉体を示している。横軸は多孔質微粒子細孔径あるいは粉体の粒子同士の隙間の大きさを示しており、縦軸はその細孔径における細孔体積量を示している。
【0072】
この結果から、単に超微粒子を加熱したのみでは細孔分布はもともとの粉体のそれと同程度であり、超微粒子に分散処理などを施して粒子同士が密に充填した状態にしたのち加熱することにより、細孔径分布をシャープに揃えることが可能になるということがわかる。ここで酸化チタン微粒子の平均微粒子径25nmの値の3倍として多孔質微粒子の細孔径75nmという値に注目し、この多孔質微粒子の全細孔体積に占める、細孔径75nm以上の細孔体積の割合を測定したところ、Aにおいて、7.3%、Dにおいて6.7%であり、B、Cでは観測されず、無いに等しい結果となった。細孔径分布が小さくシャープであるほど多孔質微粒子そのものの強度も大きいと考えられる。B、Cの多孔質粒子が多孔質構造物の作製には好適である。
【0073】
【発明の効果】
以上に説明したように本発明によれば、例えば、焼成にて脆性材料超微粒子同士が一部結合し、連続気孔が存在し且つ平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を調整し、この多孔質微粒子をエアロゾルデポジション法の材料としたので、色素増感電池の光半導体電極として利用可能な微細な連続気孔を持つ構造物または膜を形成することができる。
また、本発明方法は常温環境下で実施することができるので、プラスチック材料や低融点金属材料などの表面に前記構造物を作製することができる。特に熱により変性しやすい材料を用いる場合には、それを考慮しなくてよいので利用範囲が大幅に拡大する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)および(b)は光電変換素子の断面図
【図2】エアロゾルデポジション法を利用した構造物形成装置の模式図
【図3】多孔質構造物のSEM写真
【図4】多孔質微粒子細孔径と細孔体積量との関係を示すグラフ
【符号の説明】
10…構造物形成装置、101…窒素ガスボンベ、102…ガス搬送管、103…エアロゾル発生器、104…エアロゾル搬送管、105…形成室、106…ノズル、107…XYステージ、108…基板、109…真空ポンプ。
Claims (9)
- 脆性材料超微粒子同士が一部結合しかつ連続気孔が存在する平均粒径が0.1〜50μmの多孔質微粒子を、ガス中に分散させてエアロゾルとし、このエアロゾルを導電性基材に向けて吹き付けて前記多孔質微粒子を衝突させて、前記基材上に、前記多孔質微粒子同士が結合して堆積した多孔質の構造物を形成させることを特徴とする基材と多孔質構造物からなる光半導体電極の作製方法。
- 請求項1に記載の光半導体電極の作製方法において、前記脆性材料多孔質微粒子は、平均微粒子径が0.1μm未満の脆性材料超微粒子を焼成して形成したことを特徴とする光半導体電極の作製方法。
- 請求項1または2に記載の光半導体電極の作製方法において、前記多孔質複合構造物の作製方法が常温環境で行われることを特徴とする光半導体電極の作製方法。
- 請求項1乃至3に記載の光半導体電極の作製方法において、前記基板表面に対し前記エアロゾルを斜めに吹き付けることを特徴とする光半導体電極の作製方法。
- 請求項1乃至4に記載の光半導体電極の作製方法において、前記脆性材料超微粒子を溶媒に、あるいは溶媒とバインダーとに、混合させて分散させ、乾燥させて前記脆性材料超微粒子が密に充填された状態とし、これを焼成して後、粒径を調製して多孔質微粒子を得ることを特徴とする光半導体電極の作製方法。
- 請求項1乃至4に記載の光半導体電極の作製方法において、前記脆性材料超微粒子を、あるいは前記脆性材料超微粒子にバインダーを混合させたものを、プレスして圧密させ、これを焼成して後、粒径を調製して多孔質微粒子を得ることを特徴とする請求項1乃至3に記載の光半導体電極の作製方法。
- 請求項1乃至6に記載の光半導体電極の作製方法において、前記脆性材料超微粒子が金属酸化物半導体であることを特徴とする光半導体電極の作製方法。
- 請求項1乃至7に記載の方法によって作製された光半導体電極と対向電極とを電解質を挟んで配置したことを特徴とを有する光電変換素子。
- 請求項8記載の光電変換素子において、光半導体電極に堆積されている多孔質構造物には増感色素が付着していることを特徴とする光電変換素子。
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