JP2004018897A - 高クロム合金鋼及びそれを使用したタービンロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】靱性及び耐応力腐食割れ性を向上させると共に焼戻し脆化のおそれをなくした高クロム合金鋼およびタービンロータを提供する。
【解決手段】いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素の含有量を最適化すると共にTi(チタン)を少量添加し、付随的不純物のうちP(燐)、S(硫黄)、Sn(錫)、As(砒素)、Sb(アンチモン)量を制御した後、調質処理に加えてγ化の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を施す。
【選択図】 なし
【解決手段】いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素の含有量を最適化すると共にTi(チタン)を少量添加し、付随的不純物のうちP(燐)、S(硫黄)、Sn(錫)、As(砒素)、Sb(アンチモン)量を制御した後、調質処理に加えてγ化の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を施す。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高クロム合金鋼及びそれを使用したタービンロータに関する。
【0002】
【従来の技術】
地熱蒸気タービンでは、利用する地熱蒸気の温度が通常約300℃以下であるため、地熱蒸気タービンのタービンロータ(ここでは、タービン翼を除いたシャフト部分をいう)に使用される材料の高温における強度特性はあまり問題とならない。このため、一般的には300℃以下における強度と靱性の優れた3.5%NiCrMoV鋼や、靱性を高めた改良型CrMoV鋼等の合金鋼が使用されている。
【0003】
しかし、これらの合金鋼は強度及び靱性に優れるという特徴を有する一方で、耐食性に劣るという欠点を有し、特に高い腐食性を持つ地熱蒸気を利用する場合には、タービンロータ用の材料として必ずしも十分な特性を具備しているとはいえない。また、低圧蒸気タービン用のタービンロータにも同種の合金鋼である2.5%NiCrMoV鋼や3.5%NiCrMoV鋼等が使用されるが、メタル温度が400℃を越える部位では焼戻し脆化が生じるおそれがある。
【0004】
更に、地熱蒸気を始めとする比較的低温・低圧のエネルギー媒体を対象とする地熱蒸気タービン用または低圧蒸気タービン用のタービンロータは、エネルギー効率の向上を目的として大型化されることが多い。しかしながら大型のタービンロータを作製する場合、焼き入れ工程において、冷却速度が遅いタービンロータの中心部にはフェライトと呼ばれる低強度の組織が生成するため、タービンロータの強度及び靱性不足を招いたり、組織の不均一さを生じたりする。更に大型化に伴い設計上必要とされる強度や靱性が上昇する一方、材料自体の強度や靱性は本質的には変化しないため、従来の合金鋼では対応が難しい。
【0005】
一方、地熱タービンロータの場合は、作製工程における焼戻し温度を下げることにより強度を向上させることができる。しかしながら、強度の向上とは逆に耐応力腐食割れの感受性が大きくなってしまうため、この方法によっても従来の合金鋼では対応することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、強度及び靱性の向上、耐応力腐食割れ性の向上及び焼戻し脆化のおそれをなくした高クロム合金鋼およびそれを使用したタービンロータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明は、過酷な腐食環境下における使用にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素の含有量を最適化すると共にTi(チタン)を少量添加することにより、耐応力腐食割れ性を向上させた高クロム合金鋼である。
【0008】
すなわち、第1の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼において、更に、重量%でTi:0.03〜0.1%を含有したことを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0009】
前述した課題を解決する第2及び第3の発明は、メタル温度が400℃を越える環境下での長期間の使用にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素の含有量を最適化すると共に付随的不純物のうち一定の不純物元素の量を制御することにより、耐焼戻し脆化特性を向上させた高クロム合金鋼である。
【0010】
すなわち、第2の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼において、また、第3の発明に係る高クロム合金鋼は、第1の発明に係る高クロム合金鋼において、更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、P:0.01%以下、S:0.004%以下、Sn:0.015%以下、As:0.015%以下、Sb:0.002%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0011】
前述した課題を解決する第4及び第5の発明は、前記付随的不純物のうち特定の不純物元素の量を制御することにより、耐焼戻し脆化特性を更に向上させた高クロム合金鋼である。
【0012】
すなわち、第4の発明に係る高クロム合金鋼は、第2の発明に係る高クロム合金鋼において、また、第5の発明に係る高クロム合金鋼は、第3の発明に係る高クロム合金鋼において、更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、SnおよびAsを共に0.005%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0013】
前述した課題を解決する第6の発明は、タービンロータの大型化にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素及び付随的不純物の含有量を最適化すると共に一定の熱処理を施すことにより、大型のタービンロータの作製に十分な強度及び靱性を付与した高クロム合金鋼である。
【0014】
すなわち、第6の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼および第2又は第4のいずれかの発明に係る高クロム合金鋼のうち、いずれかの高クロム合金鋼において、溶体化処理とその後の時効析出処理とからなる調質処理後、更に、γ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を経て作製されることを特徴とする高クロム合金鋼である。ここで、「γ化」とは高クロム合金鋼の相変態の一つであり、一般に鉄系金属が温度上昇と共に起こす体心立方格子状の結晶構造(α相)から面心立方構造(γ相)を経て体心立方構造(δ相)に至る相変態における、体心立方構造(α相)から面心立方構造(γ相)への相変態をいう。
【0015】
前述した課題を解決する第7の発明は、タービンロータの大型化にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素(少量のTi元素を含む)及び付随的不純物の含有量を最適化すると共に一定の熱処理を施すことにより、大型のタービンロータを作製するのに十分な強度及び靱性を付与した高クロム合金鋼である。
【0016】
すなわち、第7の発明に係る高クロム合金鋼は、第1又は第3又は第5のいずれかの発明に係る高クロム合金鋼において、溶体化処理とその後の840℃〜900℃における安定化処理と更にその後の時効析出処理とからなる調質処理後、更に、γ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を経て作製されることを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0017】
また、前述した課題を解決する第8の発明は、ロータ材料として、前述する強度及び靱性の向上、耐応力腐食割れ性の向上及び焼戻し脆化のおそれをなくした高クロム合金鋼を利用することにより、大型化されることが多い地熱蒸気タービン用または低圧蒸気タービン用のタービンロータとしても、また高い腐食性を持つ地熱蒸気を利用するタービンロータとしても使用が可能となったタービンロータである。
【0018】
すなわち、第8の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼および第1ないし第7のいずれかの発明に係る高クロム合金鋼のうち、いずれかの高クロム合金鋼を用いて作製したことを特徴とするタービンロータである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
【0020】
表1には、本発明に係る実施例1〜4の高クロム合金鋼および比較例であるCrMoV鋼、3.5%NiCrMoV鋼に含有される各合金成分の割合を重量%で示してある。なお、実施例1は、いわゆる15−5PH鋼相当の高クロム合金鋼である。
【0021】
【表1】
【0022】
前記各種合金鋼の作製方法を説明する。まず、真空溶解炉を用いて溶製しながら各種合金鋼を所定の組成となるように調製した後、得られた鋼塊を1000〜1200℃に加熱して熱間鍛造を行い、十分な鍛練を素材に加えると共に、タービンロータの形状に成形した。次に、1040℃、4時間の加熱による溶体化処理を施し、引き続き600℃、4時間の時効析出処理を行った。また、Tiを少量添加する実施例2及び実施例4に係る合金鋼については、前記溶体化処理と時効析出処理との間に、840〜900℃における10〜20時間の安定化処理を行った。なお、前述した作製上の条件は一例に過ぎず、前記溶体化処理は1000〜1080℃、好ましくは1040±(20〜30)℃、時効析出処理は600±20℃で行えばよい。以下、同表中に挙げた各合金成分の材料物性に与える効果及び添加量の限定理由について説明する。
【0023】
(1)C(炭素):Cは材料強度や低温での靱性を著しく変動させ、また耐食性や耐応力腐食割れ性にも大きな影響を及ぼす。C量が0.07%より多くなると耐食性、耐応力腐食割れ性および靱性の低下が大きいため、上限値を0.07%とした。好ましくは、0.04%以下である。一方、0.01%より少なくなると強度の確保が困難になるため、下限値を0.01%とした。
【0024】
(2)Si(ケイ素):Siは脱酸剤として有用な元素であるが、δ−フェライトの生成を助長し、凝固時の柱状結晶の成長を促進する元素であり、多量の添加は強度および靱性を低下させる。このため、上限値を0.5%とした。一方、Si量を極端に少なくすることは脱酸が不十分となることや製造コストの増大を招くため、下限値を0.01%とした。
【0025】
(3)Mn(マンガン):Mnは脱酸剤として添加され、焼入れ性の向上にも有用な元素である。また、鋼中の有害なSと結合してMnS(硫化マンガン)となり無害化する効果もある。このような効果を期待できる最低量として、下限値を0.1%とした。一方、多量の添加は強度および靱性を低下させため、上限値を1%とした。
【0026】
(4)Cu(銅):CuはNiとともに金属間化合物であるε相を形成して機械的強度の向上に効果がある。本材料の機械的強度はこの金属間化合物によるものであり、その添加が重要なポイントとなる。その添加量が2.5%未満では十分でなく5%よりも多く添加してもその効果は小さい。そこで、下限値として2.5%、上限値として5%とした。
【0027】
(5)Ni(ニッケル):NiもCuとともにε相を形成し、機械的強度の向上に寄与する。また、Niは母相中に溶け込んでδ−フェライトの生成を抑制する。特にNi量が多くなると逆変態オーステナイト相が多くなり、靱性、耐食性、耐応力腐食割れ性を向上させる効果がある。優れた機械的強度と良好な靱性を確保するためには3.5%以上が好ましいが、5.5%より多くなると、母相のオーステナイト相が増加し、機械的強度が低下するので下限値として3.5%、上限値として5.5%とした。
【0028】
(6)Cr(クロム):Crは機械的性質、耐食性、耐応力腐食割れ性を向上させるために最も重要な元素である。Cr量が12.5%より少ないと耐食性や耐応力腐食割れ性が不十分であるため、下限値を12.5%とした。一方、16%より多くなるとδ−フェライトが生成しやすくなり、その結果として延性、靱性の低下をもたらすので、上限値を16%とした。
【0029】
(7)Mo(モリブデン):Moは強度や耐食性を向上させ、焼戻し脆化を防止するために添加している。しかしながら多量の添加により靱性の低下を招くため、上限値として1%とした。一方、最低限の効果を得るために0.3%を下限値とした。
【0030】
(8)Nb(ニオブ):Nbは結晶粒の微細化作用があり、結晶粒粗大化温度を高める働きをする。また、焼戻し脆化を防止する効果もある。この効果を得るために、0.01%を下限値とした。一方、多量に添加すると溶体化処理の際に完全に溶解せず、かえって悪影響があるため、上限値として0.4%とした。
【0031】
高クロム合金鋼は主として、Fe(鉄)および前述した各種の金属元素により構成されるが、更に少量の付随的不純物がほとんどの場合において含まれる。鋼材の機械的特性、腐食特性にとって、前記付随的不純物の量は少ない方が好ましいことは言うまでもないが、一般に鋼材中の不純物として含有許容量が規格されているのはP(燐)及びS(硫黄)のみにすぎない。P及びSは鋼材を脆くする作用があることから、おおかたの鋼種で許容量が定められているが、材料特性を重視してこれらの量を必要以上に少なくしようとすると、精錬工程が煩雑になり素材のコストアップを招いてしまう。
【0032】
本発明者らは、特に地熱蒸気タービン用または低圧蒸気タービン用のタービンロータに使用する高クロム合金鋼の耐応力腐食割れ性及び耐焼戻し脆化特性に着目して鋭意研究した結果、微量不純物がこれらの特性に大きな影響を及ぼしていることを見出した。すなわち、不純物としては、P及びSのみでなく、Sn(錫)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等も悪影響を及ぼすことが判明した。これまでは、微量不純物は漠然と低い方が良いと認識されていたに過ぎず、具体的な許容量は明らかにされていなかった。そこで、本発明者らは、前述した不純物について詳細に検討し、応力腐食割れ試験における亀裂発生の有無および脆化試験における衝撃吸収エネルギー変化に基づき許容可能な不純物量を具体的に示すこととした。
【0033】
(9)P(燐):Pは製鋼原料から混入する不純物であり、鋼材の靱性を低下させる。更に、粒界偏析傾向が高く粒界の結合力を弱めることから、耐応力腐食割れ性を劣化させる。一方、このような弊害を防止しようとP量を必要以上に低下させようとすると、精錬工程が煩雑になり素材のコストアップを招いてしまう。そこで、大幅なコストアップを招くことなく、かつ耐応力腐食割れ性を損なわないP量として、0.04%を上限値とした。好ましくは0.01%以下であり、実施例3及び4においてこの効果を検証した。
【0034】
(10)S(硫黄):Sは不純物であり、粒界に偏析すると時間割れを引き起こす元素である。これを防止するために、前述するようにMnの添加によりMnSとして固定しているが、多量にMnSが存在すると、応力腐食割れの起点や亀裂の進展経路になるため、耐応力腐食割れ性が低下する。一方、S量を必要以上に低下させようとすると、精錬工程が煩雑になり素材のコストアップを招いてしまう。そこで、大幅なコストアップを招くことなく、かつ耐応力腐食割れ性を損なわないS量として、0.02%を上限値とした。好ましくは0.004%以下であり、実施例3及び4においてこの効果を検証した。
【0035】
(11)Sn(錫)、As(砒素)、Sb(アンチモン):Sn、As、Sbは製鋼原料から混入する不純物であり、結晶粒界に偏析して粒界強度を低下させる。その結果、靱性および耐応力腐食割れ性が低下する。これらの知見を踏まえ、本発明者らは、以下詳細に説明する応力腐食割れ試験および脆化試験の結果に基づき、Sn量として0.015%以下、As量として0.015%以下、Sb量として0.002%以下に制御することとした。なお、Sn量及びAs量については、好ましくは0.005%以下である。
【0036】
(12)Ti(チタン):TiはCと結合し炭化物を生成しやすい。そこで、本発明者らは、合金鋼に含まれる固溶炭素分が耐応力腐食割れ性低下の原因の一つであることに鑑み、Tiを合金鋼に添加することで固溶炭素分の弊害を防止することを試みた。添加量は以下詳細に説明する応力腐食割れ試験の結果に基づき決定し、0.03〜0.1%とした。
【0037】
表2は、実施例1と比較例のCrMoV鋼との機械的性質の比較表である。また、表3は、同サンプルの5%NaOH溶液中におけるSCC(応力腐食割れ)試験の結果を示した比較表である。SCC試験は、試験片に0.2%耐力の70%に相当する応力を負荷しテストした。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
表2に示すように、CrMoV鋼に比べて実施例1の高クロム合金鋼は、0.2%耐力、引張り強さ、伸びおよび絞りの特性について優れているだけでなく、靱性を示す衝撃吸収エネルギーの値も高いことが分かる。また、表3に示すように、CrMoV鋼は応力負荷後100時間でピットが発生し、300時間で亀裂が発生するのに対し、実施例1の高クロム合金鋼は、1000時間経過時においても変化がないことから、実施例1の高クロム合金鋼は優れた耐食性を有していることが分かる。以上より、従来の低クロム合金鋼のCrMoV鋼に代えて、実施例1の高クロム合金鋼をタービンロータの材料として使用することにより、高い腐食性を有する地熱蒸気の利用にも適切なタービンロータとすることができる。
【0041】
表4は、実施例1及び実施例2に係る高クロム合金鋼の5%NaOH溶液中におけるSCC(応力腐食割れ)試験の結果を示した比較表である。SCC試験は、試験片に0.2%耐力に相当する応力を負荷しテストした。実施例2の高クロム合金鋼は、実施例1とほぼ同組成の合金鋼にTiを少量(0.04%)添加した合金鋼である。
【0042】
【表4】
【0043】
表4に示すように、実施例1では応力負荷後1000時間でピットが発生するのに対し、実施例2では同時間の経過においても変化がないことから、実施例2の高クロム合金鋼は実施例1に比べて優れた応力腐食割れ性を有していることが分かる。これは、少量添加したTiによる効果と考えられ、合金鋼中の固溶炭素がTiと化合物を形成し消費されることにより、耐応力腐食割れ性を改善することができたと考えられる。
【0044】
表5は、実施例1〜4に係る高クロム合金鋼の脆化試験の結果を示した比較表であり、比較例として低圧タービンロータの材料として一般的に使用されている3.5%NiCrMoV鋼の結果を載せてある。実施例3及び4に係る高クロム合金鋼は、実施例1及び2に係る高クロム合金鋼とほぼ同組成の合金鋼に含まれる付随的不純物の量を低減した合金鋼である。低圧タービンロータは、合金鋼中の不純物が粒界へ偏析しやすい約450℃の環境下で使用するため、不純物の偏析による脆化現象が問題となっている。そこで、本脆化試験は、450℃における合金鋼の衝撃吸収エネルギーの経時変化を調べることにより、脆化の度合いを検証した。
【0045】
【表5】
【0046】
表5に示すように、従来の材料である3.5%NiCrMoV鋼は、10000時間の脆化試験の結果、試験前の43%にまで衝撃吸収エネルギーが低下し、著しく脆化した。これに対し実施例1及び2に係る高クロム合金鋼では、共に試験前の約70%までの低下にとどまり、3.5%NiCrMoV鋼に比べて脆化が抑制されていることが分かる。更に、実施例1及び2を低不純物化した実施例3及び4に係る高クロム合金鋼では、10000時間の脆化試験後でも衝撃吸収エネルギーはほとんど変化せず、実施例3は試験前の約90%、実施例4は試験前の約100%の衝撃吸収エネルギーを維持した。これは、実施例3及び4に係る高クロム合金鋼では不純物の粒界への偏析を極めて効果的に抑制できた結果であると考えられる。これにより、450℃の高温の蒸気下において長年使用しても脆化が起こらず、極めて信頼性が高いタービンロータを作製することが可能となる。
【0047】
次に、前述した実施例1〜4に係る高クロム合金鋼に更なる熱処理を施した実施例5〜8に係る合金鋼について説明する。前述したように実施例1〜4に係る合金鋼は、溶体化処理及び時効析出処理からなる調質処理を行い、またTiを含有する実施例2及び実施例4に係る合金鋼については更に安定化処理を追加し、試料を作製した。これに対し実施例5〜8の合金鋼は、前述する調質処理後に更にγ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、及びその後の時効析出処理を経て作製した。なお、実施例5の合金鋼は実施例1の合金鋼を更に熱処理したものであり、同様に実施例6は実施例2、実施例7は実施例3、実施例8は実施例4に対応する。ここで、γ化が終了する温度とは約740〜750℃であり、その直上の温度とは約760℃をいう。すなわち、実施例5〜8の合金鋼は前述する調質処理の後に、760℃、3時間の加熱による溶体化処理を施し、引き続き570℃、4時間の時効析出処理を行った。なお、この条件は一例に過ぎず、γ化が終了する直上の温度における溶体化処理は750〜800℃、その後の時効析出処理は550〜580℃で行えばよい。
【0048】
表6には、上記実施例5〜8に係る高クロム合金鋼の靱性を検証するため、実施例1〜4に係る合金鋼の比較例と共に、各合金鋼の衝撃吸収エネルギーを示してある。
【0049】
【表6】
【0050】
表6に示すように、調質処理のみであった実施例1〜4に係る合金鋼の衝撃吸収エネルギーは約90Jであるのに対し、更に熱処理を加えた実施例5〜8に係る合金鋼では約230〜250Jであり、大幅に靱性が向上していることが分かる。すなわち、本発明に係る高クロム合金鋼をタービンロータ用の材料として用いれば、タービンロータの大型化が可能となる。
【0051】
表7は、実施例5〜8に係る高クロム合金鋼の脆化試験の結果を示した比較表であり、比較例として3.5%NiCrMoV鋼の結果を載せてある。実施例5〜8に係る高クロム合金鋼の低圧タービンロータ用材料としての使用の可能性を検証するため、前述する約450℃の環境下での使用を想定し脆化試験を行った。
【0052】
【表7】
【0053】
表7に示すように、従来の材料である3.5%NiCrMoV鋼は、10000時間の脆化試験の結果、著しく脆化したのに対し、実施例5〜8に係る高クロム合金鋼はいずれも高い衝撃吸収エネルギーを維持した。また、実施例5〜8に係る高クロム合金鋼は3.5%NiCrMoV鋼に比べ、試験前後の衝撃吸収エネルギーの変化率が低いだけでなくエネルギーの絶対値自体も大きく、優れた脆化特性と靱性とを有する高クロム合金鋼であることが分かる。すなわち、本発明に係る高クロム合金鋼は、約450℃の蒸気下における優れた耐焼き戻し脆化特性を要求される低圧タービンロータ及び大型化が要求される地熱タービンロータの両方に使用することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明に高クロム合金鋼は、従来のタービンロータに用いられてきた低クロム合金鋼に比べ、高強度、高い耐応力腐食割れ性を有するため地熱蒸気タービン用のタービンロータの材料として、また優れた耐焼き戻し脆化特性を有しているため低圧蒸気タービンロータ用のタービンロータの材料として使用することができる。更に高い靱性をも兼ね備えているため、タービンロータの大型化が可能であり、これにより、発電プラント等の観点からエネルギー効率の向上が可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、高クロム合金鋼及びそれを使用したタービンロータに関する。
【0002】
【従来の技術】
地熱蒸気タービンでは、利用する地熱蒸気の温度が通常約300℃以下であるため、地熱蒸気タービンのタービンロータ(ここでは、タービン翼を除いたシャフト部分をいう)に使用される材料の高温における強度特性はあまり問題とならない。このため、一般的には300℃以下における強度と靱性の優れた3.5%NiCrMoV鋼や、靱性を高めた改良型CrMoV鋼等の合金鋼が使用されている。
【0003】
しかし、これらの合金鋼は強度及び靱性に優れるという特徴を有する一方で、耐食性に劣るという欠点を有し、特に高い腐食性を持つ地熱蒸気を利用する場合には、タービンロータ用の材料として必ずしも十分な特性を具備しているとはいえない。また、低圧蒸気タービン用のタービンロータにも同種の合金鋼である2.5%NiCrMoV鋼や3.5%NiCrMoV鋼等が使用されるが、メタル温度が400℃を越える部位では焼戻し脆化が生じるおそれがある。
【0004】
更に、地熱蒸気を始めとする比較的低温・低圧のエネルギー媒体を対象とする地熱蒸気タービン用または低圧蒸気タービン用のタービンロータは、エネルギー効率の向上を目的として大型化されることが多い。しかしながら大型のタービンロータを作製する場合、焼き入れ工程において、冷却速度が遅いタービンロータの中心部にはフェライトと呼ばれる低強度の組織が生成するため、タービンロータの強度及び靱性不足を招いたり、組織の不均一さを生じたりする。更に大型化に伴い設計上必要とされる強度や靱性が上昇する一方、材料自体の強度や靱性は本質的には変化しないため、従来の合金鋼では対応が難しい。
【0005】
一方、地熱タービンロータの場合は、作製工程における焼戻し温度を下げることにより強度を向上させることができる。しかしながら、強度の向上とは逆に耐応力腐食割れの感受性が大きくなってしまうため、この方法によっても従来の合金鋼では対応することができない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、強度及び靱性の向上、耐応力腐食割れ性の向上及び焼戻し脆化のおそれをなくした高クロム合金鋼およびそれを使用したタービンロータを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決する第1の発明は、過酷な腐食環境下における使用にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素の含有量を最適化すると共にTi(チタン)を少量添加することにより、耐応力腐食割れ性を向上させた高クロム合金鋼である。
【0008】
すなわち、第1の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼において、更に、重量%でTi:0.03〜0.1%を含有したことを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0009】
前述した課題を解決する第2及び第3の発明は、メタル温度が400℃を越える環境下での長期間の使用にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素の含有量を最適化すると共に付随的不純物のうち一定の不純物元素の量を制御することにより、耐焼戻し脆化特性を向上させた高クロム合金鋼である。
【0010】
すなわち、第2の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼において、また、第3の発明に係る高クロム合金鋼は、第1の発明に係る高クロム合金鋼において、更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、P:0.01%以下、S:0.004%以下、Sn:0.015%以下、As:0.015%以下、Sb:0.002%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0011】
前述した課題を解決する第4及び第5の発明は、前記付随的不純物のうち特定の不純物元素の量を制御することにより、耐焼戻し脆化特性を更に向上させた高クロム合金鋼である。
【0012】
すなわち、第4の発明に係る高クロム合金鋼は、第2の発明に係る高クロム合金鋼において、また、第5の発明に係る高クロム合金鋼は、第3の発明に係る高クロム合金鋼において、更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、SnおよびAsを共に0.005%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0013】
前述した課題を解決する第6の発明は、タービンロータの大型化にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素及び付随的不純物の含有量を最適化すると共に一定の熱処理を施すことにより、大型のタービンロータの作製に十分な強度及び靱性を付与した高クロム合金鋼である。
【0014】
すなわち、第6の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼および第2又は第4のいずれかの発明に係る高クロム合金鋼のうち、いずれかの高クロム合金鋼において、溶体化処理とその後の時効析出処理とからなる調質処理後、更に、γ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を経て作製されることを特徴とする高クロム合金鋼である。ここで、「γ化」とは高クロム合金鋼の相変態の一つであり、一般に鉄系金属が温度上昇と共に起こす体心立方格子状の結晶構造(α相)から面心立方構造(γ相)を経て体心立方構造(δ相)に至る相変態における、体心立方構造(α相)から面心立方構造(γ相)への相変態をいう。
【0015】
前述した課題を解決する第7の発明は、タービンロータの大型化にも耐え得るように、いわゆる15−5PH鋼をベース成分にして、各種合金元素(少量のTi元素を含む)及び付随的不純物の含有量を最適化すると共に一定の熱処理を施すことにより、大型のタービンロータを作製するのに十分な強度及び靱性を付与した高クロム合金鋼である。
【0016】
すなわち、第7の発明に係る高クロム合金鋼は、第1又は第3又は第5のいずれかの発明に係る高クロム合金鋼において、溶体化処理とその後の840℃〜900℃における安定化処理と更にその後の時効析出処理とからなる調質処理後、更に、γ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を経て作製されることを特徴とする高クロム合金鋼である。
【0017】
また、前述した課題を解決する第8の発明は、ロータ材料として、前述する強度及び靱性の向上、耐応力腐食割れ性の向上及び焼戻し脆化のおそれをなくした高クロム合金鋼を利用することにより、大型化されることが多い地熱蒸気タービン用または低圧蒸気タービン用のタービンロータとしても、また高い腐食性を持つ地熱蒸気を利用するタービンロータとしても使用が可能となったタービンロータである。
【0018】
すなわち、第8の発明に係る高クロム合金鋼は、重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼および第1ないし第7のいずれかの発明に係る高クロム合金鋼のうち、いずれかの高クロム合金鋼を用いて作製したことを特徴とするタービンロータである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下に、実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、以下の実施例は本発明を限定するものではない。
【0020】
表1には、本発明に係る実施例1〜4の高クロム合金鋼および比較例であるCrMoV鋼、3.5%NiCrMoV鋼に含有される各合金成分の割合を重量%で示してある。なお、実施例1は、いわゆる15−5PH鋼相当の高クロム合金鋼である。
【0021】
【表1】
【0022】
前記各種合金鋼の作製方法を説明する。まず、真空溶解炉を用いて溶製しながら各種合金鋼を所定の組成となるように調製した後、得られた鋼塊を1000〜1200℃に加熱して熱間鍛造を行い、十分な鍛練を素材に加えると共に、タービンロータの形状に成形した。次に、1040℃、4時間の加熱による溶体化処理を施し、引き続き600℃、4時間の時効析出処理を行った。また、Tiを少量添加する実施例2及び実施例4に係る合金鋼については、前記溶体化処理と時効析出処理との間に、840〜900℃における10〜20時間の安定化処理を行った。なお、前述した作製上の条件は一例に過ぎず、前記溶体化処理は1000〜1080℃、好ましくは1040±(20〜30)℃、時効析出処理は600±20℃で行えばよい。以下、同表中に挙げた各合金成分の材料物性に与える効果及び添加量の限定理由について説明する。
【0023】
(1)C(炭素):Cは材料強度や低温での靱性を著しく変動させ、また耐食性や耐応力腐食割れ性にも大きな影響を及ぼす。C量が0.07%より多くなると耐食性、耐応力腐食割れ性および靱性の低下が大きいため、上限値を0.07%とした。好ましくは、0.04%以下である。一方、0.01%より少なくなると強度の確保が困難になるため、下限値を0.01%とした。
【0024】
(2)Si(ケイ素):Siは脱酸剤として有用な元素であるが、δ−フェライトの生成を助長し、凝固時の柱状結晶の成長を促進する元素であり、多量の添加は強度および靱性を低下させる。このため、上限値を0.5%とした。一方、Si量を極端に少なくすることは脱酸が不十分となることや製造コストの増大を招くため、下限値を0.01%とした。
【0025】
(3)Mn(マンガン):Mnは脱酸剤として添加され、焼入れ性の向上にも有用な元素である。また、鋼中の有害なSと結合してMnS(硫化マンガン)となり無害化する効果もある。このような効果を期待できる最低量として、下限値を0.1%とした。一方、多量の添加は強度および靱性を低下させため、上限値を1%とした。
【0026】
(4)Cu(銅):CuはNiとともに金属間化合物であるε相を形成して機械的強度の向上に効果がある。本材料の機械的強度はこの金属間化合物によるものであり、その添加が重要なポイントとなる。その添加量が2.5%未満では十分でなく5%よりも多く添加してもその効果は小さい。そこで、下限値として2.5%、上限値として5%とした。
【0027】
(5)Ni(ニッケル):NiもCuとともにε相を形成し、機械的強度の向上に寄与する。また、Niは母相中に溶け込んでδ−フェライトの生成を抑制する。特にNi量が多くなると逆変態オーステナイト相が多くなり、靱性、耐食性、耐応力腐食割れ性を向上させる効果がある。優れた機械的強度と良好な靱性を確保するためには3.5%以上が好ましいが、5.5%より多くなると、母相のオーステナイト相が増加し、機械的強度が低下するので下限値として3.5%、上限値として5.5%とした。
【0028】
(6)Cr(クロム):Crは機械的性質、耐食性、耐応力腐食割れ性を向上させるために最も重要な元素である。Cr量が12.5%より少ないと耐食性や耐応力腐食割れ性が不十分であるため、下限値を12.5%とした。一方、16%より多くなるとδ−フェライトが生成しやすくなり、その結果として延性、靱性の低下をもたらすので、上限値を16%とした。
【0029】
(7)Mo(モリブデン):Moは強度や耐食性を向上させ、焼戻し脆化を防止するために添加している。しかしながら多量の添加により靱性の低下を招くため、上限値として1%とした。一方、最低限の効果を得るために0.3%を下限値とした。
【0030】
(8)Nb(ニオブ):Nbは結晶粒の微細化作用があり、結晶粒粗大化温度を高める働きをする。また、焼戻し脆化を防止する効果もある。この効果を得るために、0.01%を下限値とした。一方、多量に添加すると溶体化処理の際に完全に溶解せず、かえって悪影響があるため、上限値として0.4%とした。
【0031】
高クロム合金鋼は主として、Fe(鉄)および前述した各種の金属元素により構成されるが、更に少量の付随的不純物がほとんどの場合において含まれる。鋼材の機械的特性、腐食特性にとって、前記付随的不純物の量は少ない方が好ましいことは言うまでもないが、一般に鋼材中の不純物として含有許容量が規格されているのはP(燐)及びS(硫黄)のみにすぎない。P及びSは鋼材を脆くする作用があることから、おおかたの鋼種で許容量が定められているが、材料特性を重視してこれらの量を必要以上に少なくしようとすると、精錬工程が煩雑になり素材のコストアップを招いてしまう。
【0032】
本発明者らは、特に地熱蒸気タービン用または低圧蒸気タービン用のタービンロータに使用する高クロム合金鋼の耐応力腐食割れ性及び耐焼戻し脆化特性に着目して鋭意研究した結果、微量不純物がこれらの特性に大きな影響を及ぼしていることを見出した。すなわち、不純物としては、P及びSのみでなく、Sn(錫)、As(砒素)、Sb(アンチモン)等も悪影響を及ぼすことが判明した。これまでは、微量不純物は漠然と低い方が良いと認識されていたに過ぎず、具体的な許容量は明らかにされていなかった。そこで、本発明者らは、前述した不純物について詳細に検討し、応力腐食割れ試験における亀裂発生の有無および脆化試験における衝撃吸収エネルギー変化に基づき許容可能な不純物量を具体的に示すこととした。
【0033】
(9)P(燐):Pは製鋼原料から混入する不純物であり、鋼材の靱性を低下させる。更に、粒界偏析傾向が高く粒界の結合力を弱めることから、耐応力腐食割れ性を劣化させる。一方、このような弊害を防止しようとP量を必要以上に低下させようとすると、精錬工程が煩雑になり素材のコストアップを招いてしまう。そこで、大幅なコストアップを招くことなく、かつ耐応力腐食割れ性を損なわないP量として、0.04%を上限値とした。好ましくは0.01%以下であり、実施例3及び4においてこの効果を検証した。
【0034】
(10)S(硫黄):Sは不純物であり、粒界に偏析すると時間割れを引き起こす元素である。これを防止するために、前述するようにMnの添加によりMnSとして固定しているが、多量にMnSが存在すると、応力腐食割れの起点や亀裂の進展経路になるため、耐応力腐食割れ性が低下する。一方、S量を必要以上に低下させようとすると、精錬工程が煩雑になり素材のコストアップを招いてしまう。そこで、大幅なコストアップを招くことなく、かつ耐応力腐食割れ性を損なわないS量として、0.02%を上限値とした。好ましくは0.004%以下であり、実施例3及び4においてこの効果を検証した。
【0035】
(11)Sn(錫)、As(砒素)、Sb(アンチモン):Sn、As、Sbは製鋼原料から混入する不純物であり、結晶粒界に偏析して粒界強度を低下させる。その結果、靱性および耐応力腐食割れ性が低下する。これらの知見を踏まえ、本発明者らは、以下詳細に説明する応力腐食割れ試験および脆化試験の結果に基づき、Sn量として0.015%以下、As量として0.015%以下、Sb量として0.002%以下に制御することとした。なお、Sn量及びAs量については、好ましくは0.005%以下である。
【0036】
(12)Ti(チタン):TiはCと結合し炭化物を生成しやすい。そこで、本発明者らは、合金鋼に含まれる固溶炭素分が耐応力腐食割れ性低下の原因の一つであることに鑑み、Tiを合金鋼に添加することで固溶炭素分の弊害を防止することを試みた。添加量は以下詳細に説明する応力腐食割れ試験の結果に基づき決定し、0.03〜0.1%とした。
【0037】
表2は、実施例1と比較例のCrMoV鋼との機械的性質の比較表である。また、表3は、同サンプルの5%NaOH溶液中におけるSCC(応力腐食割れ)試験の結果を示した比較表である。SCC試験は、試験片に0.2%耐力の70%に相当する応力を負荷しテストした。
【0038】
【表2】
【0039】
【表3】
【0040】
表2に示すように、CrMoV鋼に比べて実施例1の高クロム合金鋼は、0.2%耐力、引張り強さ、伸びおよび絞りの特性について優れているだけでなく、靱性を示す衝撃吸収エネルギーの値も高いことが分かる。また、表3に示すように、CrMoV鋼は応力負荷後100時間でピットが発生し、300時間で亀裂が発生するのに対し、実施例1の高クロム合金鋼は、1000時間経過時においても変化がないことから、実施例1の高クロム合金鋼は優れた耐食性を有していることが分かる。以上より、従来の低クロム合金鋼のCrMoV鋼に代えて、実施例1の高クロム合金鋼をタービンロータの材料として使用することにより、高い腐食性を有する地熱蒸気の利用にも適切なタービンロータとすることができる。
【0041】
表4は、実施例1及び実施例2に係る高クロム合金鋼の5%NaOH溶液中におけるSCC(応力腐食割れ)試験の結果を示した比較表である。SCC試験は、試験片に0.2%耐力に相当する応力を負荷しテストした。実施例2の高クロム合金鋼は、実施例1とほぼ同組成の合金鋼にTiを少量(0.04%)添加した合金鋼である。
【0042】
【表4】
【0043】
表4に示すように、実施例1では応力負荷後1000時間でピットが発生するのに対し、実施例2では同時間の経過においても変化がないことから、実施例2の高クロム合金鋼は実施例1に比べて優れた応力腐食割れ性を有していることが分かる。これは、少量添加したTiによる効果と考えられ、合金鋼中の固溶炭素がTiと化合物を形成し消費されることにより、耐応力腐食割れ性を改善することができたと考えられる。
【0044】
表5は、実施例1〜4に係る高クロム合金鋼の脆化試験の結果を示した比較表であり、比較例として低圧タービンロータの材料として一般的に使用されている3.5%NiCrMoV鋼の結果を載せてある。実施例3及び4に係る高クロム合金鋼は、実施例1及び2に係る高クロム合金鋼とほぼ同組成の合金鋼に含まれる付随的不純物の量を低減した合金鋼である。低圧タービンロータは、合金鋼中の不純物が粒界へ偏析しやすい約450℃の環境下で使用するため、不純物の偏析による脆化現象が問題となっている。そこで、本脆化試験は、450℃における合金鋼の衝撃吸収エネルギーの経時変化を調べることにより、脆化の度合いを検証した。
【0045】
【表5】
【0046】
表5に示すように、従来の材料である3.5%NiCrMoV鋼は、10000時間の脆化試験の結果、試験前の43%にまで衝撃吸収エネルギーが低下し、著しく脆化した。これに対し実施例1及び2に係る高クロム合金鋼では、共に試験前の約70%までの低下にとどまり、3.5%NiCrMoV鋼に比べて脆化が抑制されていることが分かる。更に、実施例1及び2を低不純物化した実施例3及び4に係る高クロム合金鋼では、10000時間の脆化試験後でも衝撃吸収エネルギーはほとんど変化せず、実施例3は試験前の約90%、実施例4は試験前の約100%の衝撃吸収エネルギーを維持した。これは、実施例3及び4に係る高クロム合金鋼では不純物の粒界への偏析を極めて効果的に抑制できた結果であると考えられる。これにより、450℃の高温の蒸気下において長年使用しても脆化が起こらず、極めて信頼性が高いタービンロータを作製することが可能となる。
【0047】
次に、前述した実施例1〜4に係る高クロム合金鋼に更なる熱処理を施した実施例5〜8に係る合金鋼について説明する。前述したように実施例1〜4に係る合金鋼は、溶体化処理及び時効析出処理からなる調質処理を行い、またTiを含有する実施例2及び実施例4に係る合金鋼については更に安定化処理を追加し、試料を作製した。これに対し実施例5〜8の合金鋼は、前述する調質処理後に更にγ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、及びその後の時効析出処理を経て作製した。なお、実施例5の合金鋼は実施例1の合金鋼を更に熱処理したものであり、同様に実施例6は実施例2、実施例7は実施例3、実施例8は実施例4に対応する。ここで、γ化が終了する温度とは約740〜750℃であり、その直上の温度とは約760℃をいう。すなわち、実施例5〜8の合金鋼は前述する調質処理の後に、760℃、3時間の加熱による溶体化処理を施し、引き続き570℃、4時間の時効析出処理を行った。なお、この条件は一例に過ぎず、γ化が終了する直上の温度における溶体化処理は750〜800℃、その後の時効析出処理は550〜580℃で行えばよい。
【0048】
表6には、上記実施例5〜8に係る高クロム合金鋼の靱性を検証するため、実施例1〜4に係る合金鋼の比較例と共に、各合金鋼の衝撃吸収エネルギーを示してある。
【0049】
【表6】
【0050】
表6に示すように、調質処理のみであった実施例1〜4に係る合金鋼の衝撃吸収エネルギーは約90Jであるのに対し、更に熱処理を加えた実施例5〜8に係る合金鋼では約230〜250Jであり、大幅に靱性が向上していることが分かる。すなわち、本発明に係る高クロム合金鋼をタービンロータ用の材料として用いれば、タービンロータの大型化が可能となる。
【0051】
表7は、実施例5〜8に係る高クロム合金鋼の脆化試験の結果を示した比較表であり、比較例として3.5%NiCrMoV鋼の結果を載せてある。実施例5〜8に係る高クロム合金鋼の低圧タービンロータ用材料としての使用の可能性を検証するため、前述する約450℃の環境下での使用を想定し脆化試験を行った。
【0052】
【表7】
【0053】
表7に示すように、従来の材料である3.5%NiCrMoV鋼は、10000時間の脆化試験の結果、著しく脆化したのに対し、実施例5〜8に係る高クロム合金鋼はいずれも高い衝撃吸収エネルギーを維持した。また、実施例5〜8に係る高クロム合金鋼は3.5%NiCrMoV鋼に比べ、試験前後の衝撃吸収エネルギーの変化率が低いだけでなくエネルギーの絶対値自体も大きく、優れた脆化特性と靱性とを有する高クロム合金鋼であることが分かる。すなわち、本発明に係る高クロム合金鋼は、約450℃の蒸気下における優れた耐焼き戻し脆化特性を要求される低圧タービンロータ及び大型化が要求される地熱タービンロータの両方に使用することが可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明に高クロム合金鋼は、従来のタービンロータに用いられてきた低クロム合金鋼に比べ、高強度、高い耐応力腐食割れ性を有するため地熱蒸気タービン用のタービンロータの材料として、また優れた耐焼き戻し脆化特性を有しているため低圧蒸気タービンロータ用のタービンロータの材料として使用することができる。更に高い靱性をも兼ね備えているため、タービンロータの大型化が可能であり、これにより、発電プラント等の観点からエネルギー効率の向上が可能となる。
Claims (8)
- 重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼において、
更に、重量%でTi:0.03〜0.1%を含有したことを特徴とする高クロム合金鋼。 - 重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼において、
更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、P:0.01%以下、S:0.004%以下、Sn:0.015%以下、As:0.015%以下、Sb:0.002%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼。 - 請求項1に記載の高クロム合金鋼において、
更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、P:0.01%以下、S:0.004%以下、Sn:0.015%以下、As:0.015%以下、Sb:0.002%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼。 - 請求項2に記載の高クロム合金鋼において、
更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、SnおよびAsを共に0.005%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼。 - 請求項3に記載の高クロム合金鋼において、
更に、前記付随的不純物のうち、不純物元素の量を重量%で、SnおよびAsを共に0.005%以下に制御したことを特徴とする高クロム合金鋼。 - 重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼および請求項2又は4のいずれかに記載の高クロム合金鋼のうち、いずれかの高クロム合金鋼において、
溶体化処理とその後の時効析出処理とからなる調質処理後、更に、γ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を経て作製されることを特徴とする高クロム合金鋼。 - 請求項1又は3又は5のいずれかに記載の高クロム合金鋼において、
溶体化処理とその後の840℃〜900℃における安定化処理と更にその後の時効析出処理とからなる調質処理後、更に、γ化が終了する温度の直上の温度における溶体化処理、その後の時効析出処理を経て作製されることを特徴とする高クロム合金鋼。 - 重量%でC:0.01〜0.07%、Si:0.01〜0.5%、Mn:0.1%〜1%、Cr:12.5〜16%、Ni:3.5〜5.5%、Mo:0.3%〜1%、Cu:2.5〜5%、Nb:0.01〜0.4%を含有し、残部Feおよび付随的不純物からなる高クロム合金鋼および請求項1ないし7のいずれかに記載の高クロム合金鋼のうち、いずれかの高クロム合金鋼を用いて作製したことを特徴とするタービンロータ。
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