JP2004005796A - 磁気記録テープ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】支持体上に強磁性粉末及び結合剤を主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録テープであって、磁性層と支持体との間に非磁性層があり、その反対面にバック層を有する磁気記録テープにおいて、磁性層の表面潤滑剤指数が1.3〜3.5であり、バック層は、酸化チタン、α−酸化鉄またはその混合物である無機酸化物粉体とカーボンブラックとを含有し、さらに無機酸化物粉体とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜30質量部の結合剤を含有し、かつバック層の表面潤滑剤指数が1.10〜3.0である。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁変換特性および走行耐久性に優れた高密度磁気記録テープに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電磁誘導を動作原理とする磁気ヘッド(誘導型磁気ヘッド)が用いられ普及していたが、更に高密度記録再生領域で使用するには限界が見え始め、MR(磁気抵抗)を動作原理とする再生ヘッドが提案され、ハードデイスク等で使用されている。MRヘッドは誘導型磁気ヘッドに比較して数倍の再生出力が得られ、かつ誘導コイルを用いないため、インピーダンスノイズ゛等の機器ノイズが大幅に低下し、磁気記録媒体のノイズを下げることで大きなSN比を得ることが可能になってきた。従来から使用されている生産性に優れ、低価格で提供できる塗布型磁気記録媒体においても、MRヘッドに適した磁気記録層の検討がなされている。非磁性支持体上に実質的に非磁性である下層と強磁性微粉末を結合剤中に分散してなる磁性層をこの順に設けた磁気記録媒体は表面の平滑性を維持しつつ磁性層の薄層化を実現できる方法として、今日の高密度塗布型磁気記録媒体に多数適用されている(特公平4−71244号公報)。
高密度記録を実現するためには、磁性体粉末の粒子サイズをより小さくすることが、重要である。しかしながら、例えば、面記録密度0.3Gbit/inch2を越える塗布型磁気記録媒体を開発する中で特に磁性体粒子の粒子サイズが小さくなるとノイズが大きくなるという問題が生じてきた。磁性体粉末の粒子サイズを小さくすると、磁性層塗料の調製時に結合剤中での分散が困難になり、磁性層表面の平滑性を維持できなくなり、結果として目的とする低ノイズ媒体を得ることが困難になる。このノイズを抑えるために▲1▼磁性体同士の凝集を解消すること、▲2▼磁性層表面を平滑にすることが必要である。
優れた電磁変換特性に加えて、磁気記録テープには良好な走行耐久性も要求される。このために、バック層が設けられ、ベース表面に突起を設けたり、バック層に、粒子径0.1μm以上の粗粒子カーボンを添加して表面を粗くすることによって走行耐久性を改善する試みがなされている。このような方法によってバック層の表面を粗くすると、磁気記録テープをハブに巻き上げて保存や処理を行うときにバック層と磁性層が圧接してバック層の凹凸が磁性層に写ってしまう所謂「裏写り」が生じ、その結果、電磁変換特性が低下してしまうという欠点があった。このような「裏写り」の問題を解消するために、バック層の表面を平滑化する試みがなされている。
例えば、特開平10−116414号には、金属磁性粉末の長軸径よりも大きい径を有する一次粒子もしくは凝集体のカーボンブラツクを含み、かつ中心線平均粗さで0.01μm以下の表面平滑性を有するバック層を用いることが提案されている。この場合、巻き取り保存によるノイズの上昇を抑制することが可能であるが、テープが作成された時点ですでに裏写りしていることについては効果を発揮できない。また、バック層の耐久性については全く記載がない。バック層表面を平滑にするとVTR等の再生機のガイドに対する摩擦係数が大きくなり、走行安定性が低下してしまう。
走行耐久性には媒体表面の潤滑剤存在状態が大きく関与している。例えば、特開2001−222811号や同2001−229521号、同2001−325716号には磁性層側の表面潤滑剤量と表面硬度等を特定範囲にすることにより、走行性を改善することが提案されている。しかし、これらはディスク状の媒体あるいは、テープ媒体であっても磁性層に限定されており、バック層の耐久性については全く触れられていない。
特開平11−259851号には酸化チタン、α−酸化鉄またはその混合物からなる粒状酸化物と、カーボンブラックとを含有し、さらに粒状酸化物とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜40質量部の結合剤を含有する、接着強度の高いバック層を用いることが提案されている。この場合、出力の改善とバック層の走行耐久性の維持が可能と示されてはいるが、システム全体がノイズには比較的鈍感な誘導型磁気ヘッドの系であり、磁性層側へのノイズへの影響については記載されておらず、面記録密度0.3Gbit/inch2を越える塗布型磁気記録媒体としては改善が必要と考えざるを得ない。
【0003】
一方、薄層化の要求は、磁性層のみならず磁気記録テープを構成する層全体に求められている。近年のコンピューターストレージ用媒体は高容量化が求められ、テープ全体の厚さを薄くすることが必要とされている。磁気記録テープの厚さを薄くするために、従来は可撓性支持体を薄くしたり、塗布型磁気記録テープの可撓性支持体と磁性層の間に設ける非磁性層を薄くすることが行われていた。しかしながら、ある範囲以下に可撓性支持体を薄くすると走行耐久性が低下し、非磁性層を薄くすると出力低下やエラーレートの上昇、ドロップアウトの増加を招いていた。バック層は、良好な走行性を維持するために省略することはできない。また、バック層を薄くすると、非磁性層と支持体の間の接着強度が低下するために繰り返し走行時にバック層が剥れてしまったり、バック層表面の突起が磁性層に裏写りして出力が低下してしまう。
このように、従来技術では電磁変換特性と走行耐久性がともに十分に良好な磁気記録テープを提供するには至っていなかった。特に、磁気記録テープ全体の厚さを薄くすることが要求されている今日では、バック層が薄いうえに電磁変換特性と走行耐久性が良好である磁気記録テープが求められているにもかかわらず、満足の行く磁気記録テープは提供されていない。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術の課題を解決し、低ノイズ、高容量で、バック層が薄いうえに走行耐久性が良好なMRヘッドに好適な磁気記録テープを提供することを目的とした。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、支持体上に強磁性粉末及び結合剤を主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録テープであって、前記磁性層と支持体との間に非磁性層があり、その反対面にバック層を有する磁気記録テープにおいて、該磁性層の表面潤滑剤指数が1.3〜3.5であり、該バック層は、酸化チタン、α−酸化鉄またはその混合物である無機酸化物粉体とカーボンブラックとを含有し、さらに該無機酸化物粉体とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜30質量部の結合剤を含有し、かつ該バック層の表面潤滑剤指数が1.10〜3.0であることを特徴とする磁気記録テープを得たことで目標を達成した。また、該バック層の厚さが、0.2〜0.8μmとすることが好ましい。
【0006】
本発明において、磁性層及びバック層の各々の表面を実施例に記載の方法にて求められる値であり、該表面近傍に存在する潤滑剤量の指標となる値であり、上記範囲とすると共にバック層組成を特定化することにより、電磁変換特性と走行耐久性の両立が図られる。
本発明の磁性層の表面潤滑剤指数は、1.3〜3.5であり、好ましくは、1.35〜2.0である。この表面潤滑剤指数は、磁性層の結合剤成分、粉体成分、潤滑剤成分を選定すると共にそれらの配合量を選定することにより、調整することができる。これら成分は従来公知のものから選定することができるが、具体的には、後述のバック層組成について記載されるものから適宜選定して用いることもできる。
磁性層に含有させる潤滑剤としては、強磁性粉末100質量部当たり、通常、1〜8質量部、好ましくは、2〜5質量部用いられる。
【0007】
本発明の磁気記録テープは、可撓性支持体の一方の面に磁性層を有し、その反対面にバック層を有するものを広く含む。したがって、本発明の磁気記録テープには、磁性層やバック層以外の層を有するものも含まれる。例えば、非磁性粉末を含む非磁性層、軟磁性粉末を含む軟磁性層、第2の磁性層、クッション層、オーバーコート層、接着層、保護層を有していてもよい。これらの層は、その機能を有効に発揮することができるように適切な位置に設けることができる。本発明の磁気記録テープとして好ましいのは、可撓性支持体と磁性層の間に、非磁性無機粉体と結合剤を含む非磁性層を有する磁気記録テープである。層の厚さは、磁性層を例えば0.03〜1μm、非磁性層を0.5〜3μmにすることができる。非磁性層の厚さは、磁性層よりも厚いのが好ましい。また、可撓性支持体と磁性層の間に軟磁性層を有する場合は、例えば磁性層を0.03〜1μm、好ましくは0.05〜0.5μmにし、軟磁性層を0.8〜3μmにすることができる。
【0008】
本発明の磁気記録テープのバック層は、酸化チタン、α−酸化鉄またはその混合物である無機酸化物粉体とカーボンブラックとを使用する。無機酸化物粉体としては、酸化チタン、α−酸化鉄又はこれらの混合物のいずれかを用いるのが好ましい。酸化チタンとα−酸化鉄は、通常使用されるものを用いることができる。また、粒子の形状は特に制限されない。球状の酸化チタン又はα−酸化鉄を用いる場合は、粒子径が0.01〜0.1μmであるものがバック層自体の膜強度を確保するうえで好ましい。また、針状の酸化チタン又はα−酸化鉄を用いる場合は、針状比(長軸長/短軸長)が2〜20であるものが適当であり、3〜10であるものがより好ましい。また、長軸長が0.05〜0.3μmであり、短軸長が0.01〜0.05μmであるものが好ましい。無機酸化物粉体の表面の少なくとも一部は、別の化合物に変性され、又は別の化合物で被覆されていても良い。特に、無機酸化物粉体の表面の少なくとも一部がAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3およびZnO2から選ばれた少なくとも一つの化合物、中でもAl2O3、SiO2およびZrO2から選ばれた少なくとも一つの化合物で被覆されているものが、結合剤中への分散性が優れている点で好ましい。このような無機酸化物粉体は酸化チタンまたはα−酸化鉄の粒子を合成してから、その表面に上記の様な別の化合物が沈着または被覆されるべく処理するか、または酸化チタンまたはα−酸化鉄とAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3およびZnO2から選ばれた少なくとも一つの化合物を共沈させる方法によって得ることができる。
【0009】
また、このような無機酸化物粉体は市販品から入手することもできる。例えば、戸田工業(株)製のDPN−245、DPN−250、DPN−250BX、DPN−270BX、DPN−550BX、DPN−550RX、TF−100、TF−120、石原産業(株)製のTTO−51A、TTO−51B、TTO−51C、TTO−53B、TTO−55A、TTO−55B、TTO−55C、TTO−55D、TTO−55N、TTO−55S、TTO−S−1、TTO−S−2、TTO−M−1、TTO−M−2、TTO−D−1、TTO−D−2、SN−100、E270、E271、チタン工業(株)製のSTT−4D、STT−30D、STT−30、STT−65C、テイカ(株)製のMT−100F、MT−100S、MT−100T、MT−150W、MT−500B、MT−500HD、MT−600B、日本アエロジル(株)製のTiO2P25、昭和電工(株)製のスーパータイタニア等を挙げることができる。
【0010】
バック層には、帯電防止のためにカーボンブラックを使用するのが好ましい。バック層に使用するカーボンブラックは、磁気記録テープに通常使用されているものを広く用いることができる。例えば、ゴム用ファーネスブラック、ゴム用サーマルブラック、カラー用カーボンブラック、アセチレンブラック等を用いることができる。バック層の凹凸が磁性層に写らないようにするために、カーボンブラックの粒子径は0.3μm以下にするのが好ましい。ここで、粒子径とは、凝集のない単独の粒子の粒子径である。特に好ましい粒子径は、0.01〜0.1μmである。カ−ボンブラックのpHは2〜10、含水率は0.1〜10%、タップ密度は0.1〜1g/mlであるのが好ましい。比表面積は通常、100〜500m2/g、好ましくは150〜400m2/g、DBP吸油量は20〜400ml/100g、好ましくは30〜200ml/100gである。具体例として、キャボット社製BLACK PEARL S2000、同1300、同1000、同900、同800、同880、同700、VULCAN XC−72;三菱化学(株)製#3050B、#3150B、#3250B、#3750B、#3950B、#950、#650B、#970B、#850B、MA−600;コロンビアンカ−ボン社製CONDUCTEX SC、RAVEN8800、同8000、同7000、同5750、同5250、同3500、同2100、同2000、同1800、同1500、同1255、同1250;アクゾー社製ケッチェンブラックEC、旭カーボン社製の#55、#50、#30;コロンビアカーボン社製のRAVEN450、同430;カーンカルブ社製のサーマックスMT等を挙げることができる。
【0011】
無機酸化物粉体とカーボンブラックの質量比は好ましくは、60/40〜90/10、より好ましくは70/30〜80/20にする。このように、無機酸化物粉体をカーボンブラックよりも多量に含有させることによって、粉体の分散性が良好で面が平滑なバック層を形成することができる。また、バック層表面からの突起高さは30nm以下にするのがバック写りを低減するために好ましく、上記配合比、種類、サイズなどが選定される。このような突起は主としてカーボンブラックによって形成されることが好ましい。このような組成を有するバック層形成用塗料は、従来のカーボンブラックを主体とするバック層形成用塗料に比べて、チキソトロピー性が高い。このため、高濃度でエクストルージョン方式やグラビア方式などの塗布を行うことが可能である。このような高濃度塗料を塗布することによって、その膜厚が薄いにもかかわらず支持体との接着強度が大きくて、力学強度が高いバック層を形成することができる。また、高濃度のバック層形成用塗料を使用すれば、バック層と支持体の間に低分子ポリエステルを主体とする下塗層を形成しても、該低分子ポリエステルがバック層表面へ浸出してくるのを抑制することができる。このため、従来から下塗層を形成した場合の問題点とされてきた浸出による粘着や走行不良を有効に回避することができる。したがって、接着性下塗層を形成することによって、バック層と支持体の間の接着強度を所望の範囲に調節することが容易となる。ただし、下塗層は必ずしも形成する必要はない。バック層形成用塗料の結合剤として塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂を使用してその比率を調整したり、溶剤としてシクロヘキサノンを主体として使用することによって、可撓支持体表面との界面エネルギー差を縮小し、接着強度を上げることもできる。本発明における支持体とバック層との間の接着強度はこれらの手段を適宜選択したり、組み合わせたりすることによって所望の範囲に調節することができる。上記のような無機酸化物粉体をカーボンブラックよりも多量に含むバック層形成用塗料を用いれば、結合剤に対する無機酸化物粉体の吸着性が良好であることから、結合剤の使用量を減らすこともできる。結合剤の使用量は、無機酸化物粉体とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜30質量部の範囲から選ばれ、より好ましくは20〜28質量部にする。このようにして形成されるバック層の膜強度は高く、表面電気抵抗は低くなる。このような優れた機能を有するバック層を有するために、本発明の磁気記録テープは従来品に比べて走行耐久性が良好で磁気変換特性が優れている。
【0012】
本発明のバック層用結合剤には、従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹脂等を用いることができる。好ましい結合剤は、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ニトロセルロース等の繊維素系樹脂、フェノキシ樹脂、ポリウレタン樹脂である。その中でも、塩化ビニル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂を用いるのが、バック層の硬度を磁性層の硬度に近くなりバック写りを低減することができるため、より好ましい。
【0013】
ポリウレタン樹脂は、分子中に−SO3M、−OSO3M、−COOM、−PO3MM′、−OPO3MM′、−NRR′、−N+RR′R″COO−(ここで、M及びM′は、各々独立に水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属又はアンモニウムであり、R及びRは各々独立に炭素数1〜12のアルキル基、R″は炭素数1〜12のN結合アルキレン基を示す)から選ばれた少なくとも1種の極性基を含むことが好ましく、とくに好ましくは、−SO3M、−OSO3Mである。これらの極性基の量は好ましくは、1×10−5〜2×10−4eq/gであり、特に好ましくは5×10−5〜1×10−4eq/gである。1×10−5eq/gより少ないと粉体への吸着が不充分となるために分散性が低下する傾向があり、2×10−4eq/gより多くなると溶剤への溶解性が低下する傾向があるので分散性が低下する傾向がある。
【0014】
ポリウレタン樹脂の数平均分子量(Mn)は5000〜100,000が好ましく、さらに好ましくは10,000〜50,000であり、特に好ましくは20,000〜40,000である。5000未満では、塗膜の強度や耐久性が低い。また、100,000より多いと溶剤への溶解性や分散性が低い。ポリウレタン樹脂の環状構造は剛直性に寄与し、エーテル基は柔軟性に寄与する。
【0015】
本発明の磁気記録テープのバック層には、無機酸化物粉体、カーボンブラック、結合剤以外の成分を適宜含有させることができる。バック層には、潤滑剤を含有させることが好ましい。潤滑剤としては、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪酸アミドなどが例示される。特に、脂肪酸を含有させることは、強度を維持したまま、繰り返し走行時の摩擦係数上昇を抑制するために必須となる。また、脂肪酸エステルやモース硬度8以上の研磨剤を含有させることによっても、繰り返し走行時の摩擦係数上昇を抑制し、摺動耐久性を向上させることができる。さらに、芳香族有機酸化合物やチタンカップリング剤を含有させて分散性を向上させ強度を上げることによって、摩擦係数上昇を抑制することもできる。また、有機質粉末を含有させて摩擦係数上昇を抑制し、写りを低減することもできる。添加することができる脂肪酸の例として、炭素数8〜24の一塩基性脂肪酸を挙げることができる。中でも炭素数8〜18の一塩基性脂肪酸が好ましい。これらの具体例としてはラウリン酸、カプリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、エライジン酸等が挙げられる。また、これら脂肪酸のアミドも用いられる。
【0016】
脂肪酸エステルの例として、炭素数10〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれか一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪酸エステルまたはトリ脂肪酸エステルなどを挙げることができる。これらの具体例としてはステアリン酸ブチル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸アミル、ステアリン酸イソオクチル、ミリスチン酸オクチル、ステアリン酸ブトキシエチル、アンヒドロソルビタンモノステアレート、アンヒドロソルビタンジステアレート、アンヒドロソルビタントリステアレートが挙げられる。
潤滑剤の添加量は、無機酸化物粉体とカーボンブラックの総量を100質量部としたとき、好ましくは、0.1〜5質量部、更に好ましくは0.1〜3質量部であり、表面潤滑剤指数が1.10〜3.0、好ましくは、1.10〜2.0となるように添加されることが好ましい。
【0017】
モース硬度8以上の研磨剤としては、α−アルミナ、酸化クロム、人工ダイヤモンド、カーボン変性窒化硼素(CBN)等を挙げることができる。中でも、平均粒子径が0.2μm以下であり、粒子径がバック層の厚み以下であるものを使用するのが好ましい。本発明では、バック層を薄くすることができるため、少量の研磨剤を添加するだけで十分な摺動耐久性を確保することができる。芳香族有機酸化合物としては、フェニルフォスホン酸が好ましい。その使用量は、無機酸化物粉体とカーボンブラックの総量を100質量部としたとき、0.03〜10質量部、好ましくは0.5〜5質量部である。
【0018】
有機質粉末としては、アクリル−スチレン共重合体系樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉末、フタロシアニン系顔料等を挙げることができる。
【0019】
バック層のガラス転移温度は60〜120℃であるのが好ましく、乾燥厚みは通常、0.05〜1.0μm程度にする。
【0020】
本発明の磁気記録テープは、高テンションで巻き取って保存してもバック層が磁性層に写りにくいため、テープの厚さを4〜9μmにすることが可能である。
【0021】
本発明の磁気記録テープの磁性層に用いられる強磁性粉末は、強磁性金属粉末、又はバリウムフェライト粉末等である。強磁性粉末はSBET(BET比表面積)が通常、40〜80m2/g、好ましくは50〜70m2/gである。結晶子サイズは通常、10〜25nm、好ましくは11〜22nmである。長軸長は通常、0.03〜0.25μmであり、好ましくは0.04〜0.08μmである。強磁性粉末のpHは7以上が好ましい。強磁性金属粉末としてはFe、Ni、Fe−Co、Fe−Ni、Co−Ni、Co−Ni−Fe等の単体又は合金が挙げられ、金属成分の20質量%以下の範囲内で、アルミニウム、ケイ素、硫黄、スカンジウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、銅、亜鉛、イットリウム、モリブデン、ロジウム、パラジウム、金、錫、アンチモン、ホウ素、バリウム、タンタル、タングステン、レニウム、銀、鉛、リン、ランタン、セリウム、プラセオジム、ネオジム、テルル、ビスマス等を含ませることができる。また、強磁性金属粉末が少量の水、水酸化物又は酸化物を含むものであってもよい。これらの強磁性粉末の製法は既に公知であり、本発明で用いる強磁性粉末についても公知の方法に従って製造することができる。強磁性粉末の形状に特に制限はないが、通常は針状、粒状、サイコロ状、米粒状及び板状のものなどが使用される。とくに針状の強磁性粉末を使用することが好ましい。
【0022】
本発明においては、結合剤、硬化剤及び強磁性粉末を、通常、磁性塗料の調製の際に使用されているメチルエチルケトン、ジオキサン、シクロヘキサノン、酢酸エチル等の溶剤と共に混練分散して磁性層形成用塗料とする。混練分散は通常の方法に従って行うことができる。磁性層形成用塗料は、上記成分以外に、α−Al2O3、Cr2O3等の研磨剤、カーボンブラック等の帯電防止剤、脂肪酸、脂肪酸エステル、シリコーンオイル等の潤滑剤、分散剤など通常使用されている添加剤あるいは充填剤を含んでいてもよい。
【0023】
次に本発明が多層構成を有する場合に存在する下層非磁性層又は下層磁性層(以下、下層非磁性層又は下層磁性層を下層ともいう)について説明する。本発明の下層に用いられる無機粉末は、磁性粉末、非磁性粉末を問わない。例えば非磁性粉末の場合、金属酸化物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化物、金属硫化物等の無機化合物や非磁性金属から選択することができる。無機化合物としては、例えば酸化チタン(TiO2、TiO)、α化率90〜100%のα−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、α−酸化鉄、酸化クロム、酸化亜鉛、酸化すず、酸化タングステン、酸化バナジウム、炭化ケイ素、酸化セリウム、コランダム、窒化珪素、チタンカーバイト、二酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデン、ゲーサイト、水酸化アルミニウムなどを単独又は組合せで使用することができる。特に好ましいのは二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更に好ましいのは特開平5−182177号公報に記載の二酸化チタン、および特開平6−60362号公報、特開平9−170003号公報に記載のα−酸化鉄である。非磁性金属としては、Cu、Ti、Zn、Al等が挙げられる。これら非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmであるのが好ましいが、必要に応じて平均粒子径の異なる非磁性粉末を組み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒子径分布を広くして同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好ましいのは、平均粒子径が0.01μm〜0.2μmの非磁性粉末である。非磁性粉末のpHは6〜9であるのが特に好ましい。非磁性粉末の比表面積は1〜100m2/g、好ましくは5〜50m2/g、更に好ましくは7〜40m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.01μm〜2μmであるのが好ましい。DBPを用いた吸油量は5〜100ml/100g、好ましくは10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100gである。比重は1〜12、好ましくは3〜6である。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれであっても良い。
【0024】
軟磁性粉末としては、粒状Fe、Ni、粒状マグネタイト、Fe−Si、Fe−Al、Fe−Ni、Fe−Co、Fe−Co−Ni、Fe−Al−Co(センダスト)合金、Mn−Znフェライト、Ni−Znフェライト、Mg−Znフェライト、Mg−Mnフェライト、その他、近角聡信著(「強磁性体の物理(下)磁気特性と応用」(裳華房、1984年)、368〜376頁)に記載されているもの等が挙げられる。これらの非磁性粉末や軟磁性粉末の表面はその少なくとも一部がAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3、ZnOで被覆されるように表面処理しておくのが好ましい。このうち、特に良好な分散性を与えるのはAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2であり、さらに好ましいのはAl2O3、SiO2、ZrO2である。これらは組み合わせて使用してもよいし、単独で用いてもよい。また、目的に応じて共沈させた表面処理層を用いてもよいし、先ずアルミナで被覆されるべく処理した後にその表層をシリカで被覆されるべく処理する方法、又はその逆の方法を採ってもよい。また、表面処理層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、一般に均質で密である方が好ましい。
【0025】
下層にカ−ボンブラックを混合させることによって、表面電気抵抗Rsを下げ、しかも所望のマイクロビッカース硬度を得ることができる。カ−ボンブラックの平均粒子径(粒子径の算術平均)は通常、5nm〜80nm、好ましく10〜50nm、さらに好ましくは10〜40nmである。具体的には、上述のバック層に用いることができるカーボンブラックと同じものを用いることができる。本発明の下層にはまた、無機粉末として磁性粉末を用いることもできる。磁性粉末としては、γ−Fe2O3、Co変性γ−Fe2O3、α−Feを主成分とする合金、CrO2等が用いられる。下層の磁性体は、目的に応じて選定することができ、本発明の効果は磁性体の種類には依存しない。ただし、目的に応じて、上下層で性能を変化させることは公知の通りである。例えば、長波長記録特性を向上させるためには、下層磁性層のHcを上層磁性層のHcより低く設定するのが望ましく、また、下層磁性層のBrを上層磁性層のBrより高くするのが有効である。それ以外にも、公知の重層構成を採ることによる利点を付与させることができる。下層磁性層又は下層非磁性層の結合剤、潤滑剤、分散剤、添加剤、溶剤、分散方法その他は、上記の磁性層のものを適用できる。特に、結合剤量、種類、添加剤、分散剤の添加量、種類に関しては磁性層に関する公知技術が適用できる。
【0026】
本発明に用いることのできる可撓性支持体として、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等を挙げることができる。これらの非磁性支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ったものであってもよい。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は、中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて通常、0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲にあって、表面が優れた平滑性を有しているのが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。非磁性支持体の厚さは4〜15μm、好ましくは4〜9μmである。薄い場合は、バック層の凹凸がハンドリングテンションで写りやすくなるため、上述のポリウレタン樹脂を最上層に使用することによってこれを効果的に抑制することができる。厚が7μm以下の場合は、PENもしくはアラミド等の芳香族ポリアミドを使用するのが好ましい。最も好ましいのはアラミドである。
【0027】
本発明に用いることのできる可撓性支持体として、二軸延伸を行ったポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアミド、ポリイミド、ポリアミドイミド、芳香族ポリアミド、ポリベンズオキシダゾール等を挙げることができる。これらの非磁性支持体は、あらかじめコロナ放電、プラズマ処理、易接着処理、熱処理などを行ったものであってもよい。また本発明に用いることのできる非磁性支持体は、中心線平均表面粗さがカットオフ値0.25mmにおいて0.1〜20nm、好ましくは1〜10nmの範囲にあって、表面が優れた平滑性を有しているのが好ましい。また、これらの非磁性支持体は中心線平均表面粗さが小さいだけでなく1μ以上の粗大突起がないことが好ましい。非磁性支持体の厚さは4〜15μm、好ましくは4〜9μmである。薄い場合は、バック層の凹凸がハンドリングテンションで写りやすくなるため、上述のポリウレタン樹脂を最上層に使用することによってこれを効果的に抑制することができる。厚が7μm以下の場合は、PENもしくはアラミド等の芳香族ポリアミドを使用するのが好ましい。最も好ましいのはアラミドである。
【0028】
本発明の磁気記録テープの製造は、例えば、乾燥後の層厚が上述の所定の範囲内になるように、走行下にある非磁性支持体の表面に塗料を蒸着または塗布してゆくことによって行うことができる。複数の磁性塗料もしくは非磁性塗料を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。磁性塗料を塗布するための塗布機としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコート等が利用できる。これらについては例えば(株)総合技術センター発行の「最新コーティング技術」(昭和58年5月31日)を参考にできる。片面に2以上の層を有する磁気記録テープを製造するときには、例えば以下の方法を用いることができる。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置によってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
【0029】
バック層は、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤を有機溶剤に分散したバック層形成用塗料を、磁性層とは反対の面に塗布することによって調製することができる。上記の好ましい態様のように、カーボンブラックよりも無機酸化物粉体の使用量を多くすれば十分な分散性を確保することができるため、従来必要とされていたロール混練を行わずにバック層形成用塗料を調製することができる。また、カーボンブラック含有比率が低ければ、シクロヘキサノンを溶剤として使用しても乾燥後の残留シクロヘキサン量を低減することができる。塗布した磁性層は、磁性層中に含まれる強磁性粉末を磁場配向処理した後に乾燥する。磁場配向処理は、当業者に周知の方法によって適宜行うことができる。磁性層は、乾燥後にスーパーカレンダーロールなどを用いて表面平滑化処理する。表面平滑化処理を行うことにより、乾燥時の溶剤の除去によって生じた空孔が消滅し磁性層中の強磁性粉末の充填率が向上する。このため、電磁変換特性の高い磁気記録テープを得ることができる。カレンダー処理ロールとしてはエポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリアミドイミド等の耐熱性プラスチックロールを使用する。また金属ロールで処理することもできる。
【0030】
本発明の磁気記録媒体は、平滑性が良好な表面を有しているのが好ましい。平滑性を良好にするためには、例えば上述したように特定の結合剤を選んで形成した磁性層に上記カレンダー処理を施すのが有効である。カレンダー処理は、カレンダーロールの温度を60〜100℃、好ましくは70〜100℃、特に好ましくは80〜100℃にし、圧力を通常、100〜500kg/cm(98〜490kA/m)、好ましくは200〜450kg/cm(196〜441kA/m)、特に好ましくは300〜400kg/cm(294〜392kA/m)にして行う。得られた磁気記録テープは、裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。カレンダー処理を経た磁気記録テープは、熱処理するのが一般的である。最近では、高密度磁気記録テープの直線性(オフトラックマージン確保)のために、熱収縮率を下げることが重視されている。特に、狭トラック化に伴い、使用環境下でのMD方向(長手方向)の収縮率を0.07%以下に抑えることが求められている。熱収縮率低減手段として、低テンションでハンドリングしながらウエッブ状で熱処理する方法と、バルク又はカセットに組み込んだ場合のようにテープが積層した形態で熱処理する方法(サーモ処理)がある。前者を用いた場合は、バック面の凹凸が写る危険性は少ないが、熱収縮率を大きく下げることはできない。アニール温度、滞在時間及びテープ厚、ハンドリングテンションによって多少変わるが、70℃、48時間後の熱収縮率で0.1〜0.12%が限界である。後者のサーモ処理は熱収縮率を大幅に改善できるが、バック面の凹凸がかなり写ってしまうため、磁性層が面粗れして出力低下とノイズ増加を引き起こす場合がある。
【0031】
本発明の磁気記録テープの構成を採用すれば、高弾性で塑性変形の残りにくい層形成を行うことができるため、特に、サーモ処理を伴う磁気記録テープで、高出力、低ノイズの磁気記録テープを供給することができる。本発明の磁気記録テープにおいては、バック層の表面を平滑にすることができるため、バック層の摩擦係数を程よい大きさに設定することができる。これによってバック層と磁性層との間の層間摩擦係数が高くなるので、磁気記録テープ作製時に高速ハンドリングしてもロール、スリットパンケーキ、組込リールに巻き上げられたテープの巻姿が良好である。同様にして、ビデオカセットレコーダーを高速で早送りしたり、巻戻したりした後のリール上のテープの巻姿も良好である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例により、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお実施例中の「部」の表示は特に断らない限り「質量部」を示す。
磁性塗料1(強磁性金属粉末)
強磁性針状金属粉末 100部
Hc:2300Oe(184kA/m),
結晶子サイズ:120Å,平均長軸長(長軸長の算術平均):0.06μm,
SBET:70m2/g
ポリウレタン樹脂 18部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
フェニルホスホン酸 5部
α−Al2O3(平均粒子径:0.2μm) 10部
カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 1部
シクロヘキサノン 110部
メチルエチルケトン 100部
トルエン 100部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
【0033】
磁性塗料2(六方晶系フェライト粉末)
バリウムフェライト磁性粉 100部
Hc,板径:2500Oe,0.03μm
ポリウレタン樹脂 12部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
α−Al2O3(平均粒子径:0.2μm) 7部
カーボンブラック(平均粒子径:20nm) 1部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 125部
シクロヘキサノン 125部
【0034】
下層用塗料
非磁性無機質粉末:α−酸化鉄 85部
平均長軸長:0.15μm,平均針状比(平均長軸長/平均短軸長):7
SBET:52m2/g
カーボンブラック 15部
平均粒子径:20nm
塩化ビニル共重合体 13部
(MR110日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 6部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
フェニルホスホン酸 3部
α−Al2O3(平均粒子径:0.2μm) 1部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ブチルステアレート 2部
ステアリン酸 1部
【0035】
バック層用塗料1
非磁性無機質粉末:α−酸化鉄 80部
平均長軸長:0.15μm,平均針状比:7,SBET:52m2/g
カーボンブラック 20部
平均粒子径:20nm
カ−ボンブラック 3部
平均粒子径:100nm
塩化ビニル共重合体 13部
(MR110日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 6部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
フェニルホスホン酸 3部
α−Al2O3(平均粒子径0.2μm) 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ステアリン酸 3部
【0036】
バック層用塗料2
非磁性無機質粉末:酸化チタン 結晶系ルチル 80部
平均粒子径:0.035μm,SBET:40m2/g
カーボンブラック 20部
平均粒子径:20nm
カ−ボンブラック 3部
平均粒子径:100nm
塩化ビニル共重合体 13部
(MR110日本ゼオン社製)
ポリウレタン樹脂 6部
(UR8200:東洋紡績製、スルホン酸基含有ポリウレタン樹脂)
フェニルホスホン酸 3部
α−Al2O3(平均粒子径:0.2μm) 3部
シクロヘキサノン 140部
メチルエチルケトン 170部
ステアリン酸 3部
【0037】
上記磁性層塗料,下層用塗料及びバック層用塗料のそれぞれについて、各成分をオープンニーダーで60分間混練した後、サンドミルで240分間分散した。得られた分散液に3官能性低分子量ポリイソシアネート化合物を磁性層塗料には1部を、下層塗料,バック用塗料にはそれぞれ5部、加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン40部を加え、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層,下層、及びバック層の塗布液を調製した。
得られた非磁性層塗布液を、乾燥後の下層の厚さが1.2μmになるようにさらにその直後にその上に磁性層の厚さが0.1μmになるように、厚さ3.6μmで中心面平均表面粗さが2nmのアラミド支持体上に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.3Tの磁力を持つ磁石で配向させた。乾燥後、金属ロ−ルのみから構成される7段のカレンダ−で速度100m/min、線圧300kg/cm(294kN/m)、温度90℃で表面平滑化処理を行なった。その後、厚み0.5μmのバック層を塗布した。次に、1/4インチ幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレ−ドが磁性面に押し当たるように取り付けたテ−プクリ−ニング装置で磁性層の表面のクリ−ニングを行い、テープ試料を得た。
【0038】
[実施例1,2,3,4]
磁性層塗料、及びバック層塗料と厚みを表1の様に変更して磁気テープを作成した。尚、表中、左欄の「実」は実施例を「比」は比較例を示す。
[実施例5]
実施例1において、バック層の厚みを0.7μmとした以外は実施例1と同様の方法で実施例5の磁気テープを作成した。
[実施例6]
実施例1において、下層のブチルステアレートの添加量を4部に変更し、カレンダー処理温度を80℃に変更した以外は同様の方法で実施例6の磁気テープを作成した。
[実施例7]
実施例1において、バック層塗料1にブチルステアレートを2部添加し、カレンダー処理温度を80℃に変更した以外は同様の方法で実施例7の磁気テープを作成した。
[実施例8]
実施例3において、バック層塗料2にブチルステアレートを1部添加し、厚みを0.8μmに変更した以外は同様の方法で実施例8の磁気テープを作成した。[実施例9,10,比較例6,7]
実施例1において、バック層塗料1の塩化ビニル共重合体、ウレタン樹脂、ポリイソシアネート化合物の添加比率を一定にしながら添加量を表1に示した様に変更し、実施例1と同様の方法で実施例9,10,比較例6,7の磁気テープを作成した。
【0039】
[比較例1]
実施例7において、下層のブチルステアレートの添加量を3部に変更した以外は同様の方法で比較例1の磁気テープを作成した。
[比較例2]
実施例8において、バック層の厚みを1.0μmに変更した以外は同様の方法で比較例2の磁気テープを作成した。
[比較例3]
実施例1において、下層のステアリン酸添加量を0.5部に、バック層用塗料1のステアリン酸添加量を1部にした以外は実施例1と同様の方法で比較例3の磁気テープを作成した。
[比較例4]
実施例1において、下層用塗料中のブチルステアレートをイソアミルステアレートに変更した以外は実施例1と同様の方法で比較例4の磁気テープを作成した。
[比較例5]
実施例4において、磁性塗料2中のブチルステアレートを添加しない様に変更した以外は実施例4と同様の方法で比較例5の磁気テープを作成した。
[比較例8]
実施例1において、バック層塗料を下記のものに変更した以外は実施例1と同様の方法で比較例8の磁気テープを作成した。
【0040】
バック層用塗料3
(分散)下記組成物をボールミルに投入し、24時間分散を行った。
カーボンブラック 1 80部
(コロンビアカーボン社製:Conductex SC、平均粒子径=20nm、SBET=220m2/g)
カーボンブラック 2 5部
(コロンビアカーボン社製:Sevacarb MT、平均粒子径=350nm、SBET=8m2/g)
α−Fe2O3(戸田工業社製:TF100、平均粒子径=0.1μm) 1部
ニトロセルロ−ス樹脂 65部
ポリエステルポリウレタン樹脂(東洋紡績社製:UR−8300 ) 35部
MEK 260部
トルエン 260部
シクロヘキサノン 260部
【0041】
下記組成物を分散後のスラリーに混合,撹拌した後、再度ボールミルにて分散処理を3時間行った。
ステアリン酸 1部
ステアリン酸ブチル 2部
MEK 210部
トルエン 210部
シクロヘキサノン 210部
濾過後の塗料100部にイソシアネート化合物(日本ポリウレタン社製、コロネート−L)1部を加え、撹拌・混合し、バック層塗料とした。
【0042】
上記得られた磁気テープ試料の性能を以下により評価し、表1に示した。
〔測定方法〕
1.電磁変換特性
電磁変換特性の測定はドラムテスタを用いて行った。1.5TのMIGヘッドを用い記録波長0.4μmの信号を書き込み、MRヘッドで再生しスペクトラムアナライザで得られた出力と出力から±0.5MHz離れた位置での電圧をノイズとして測定し近傍C/N値を求めた。テープとヘッドの相対速度は5.1m/s、実施例9のC/Nを0dBとし、0dB以上を良好と見なしている。
【0043】
2.テープの摩擦係数
摩擦係数の測定は6mmφ(粗さ0.6s)のSUS420J棒にテープを180°ラップさせ、20gの荷重で、23℃70%RH環境で目的のパス回数を走行させた。テープを引っ張る時のテンションを測定し、オイラーの式を用いて摩擦係数を算出した。
磁性層側(Mag面)の摩擦係数は1パス目と100パス目を、バック層側の摩擦係数は1パス目と400パス目の値を走行耐久性の指標としてそれぞれについて求め、それぞれについて0.35以下を良好と見なしている。
【0044】
3.表面潤滑剤指数の測定法
サンプルを2分割したものを2組(磁性層用とバック層用)を用意し、一方(a)はそのままの状態で、もう一方(b)は以下にのべる方法で潤滑剤成分を除去した状態にして、米国Φ社製オージェ電子分光解析装置(PHI−660型)に導入し、1次電子線加速電圧3kV、試料電流130nA、倍率250倍、傾斜角度30゜の条件で、Kinetic Energy130から730eVの範囲を3回積算し、炭素(C)ピークの強度と鉄(Fe)ピークの強度またはチタン(Ti)の強度を微分形で求め、C/FeまたはC/Tiの比をとり、(a)と(b)の強度比(例えばC/Fe(a)/C/Fe(b))を算出し、表面潤滑剤指数とした。
潤滑剤成分の除去法
サンプル(10mm×30mm)をn−ヘキサンに常温で30分間浸漬し、未吸着の脂肪酸および脂肪酸エステルを抽出・除去し、次いで、試料瓶に入れ、n−ヘキサン10ml、誘導体化試薬としてシリル化剤であるTMSI−H(HMDS(ヘキサメチルジシラザラン)(2):TMCS(トリメチルクロロシラン)(1):ピリジン(10)の容量比の混合物、ジーエルサイエンス社製)0.3mlを加え、60℃、1時間加熱誘導体化反応を行い、試料を取り出しエタノールで洗浄した後乾燥させて潤滑剤成分を除去した。
【0045】
【表1】
【0046】
上表より、本発明の実施例は、比較例に比べて磁性層への裏写りの抑制によるC/N低下の抑制及び磁気テープの貼り付きがなく、走行による摩擦係数の増大も抑制される走行耐久性の両立に優れていることが分かる。
【0047】
【発明の効果】
本発明はバック層に特定の粉体組成と特定量の結合剤を用いると共にバック層及び磁性層の表面潤滑剤指数を特定したことにより、バック面の磁性層への裏写りが防止され、かつ潤滑剤の機能を有効に発揮させることができるために電磁変換特性及び走行耐久性に優れる磁気記録媒体を提供することができる。
Claims (1)
- 支持体上に強磁性粉末及び結合剤を主体とする磁性層が形成されてなる磁気記録テープであって、前記磁性層と支持体との間に非磁性層があり、その反対面にバック層を有する磁気記録テープにおいて、該磁性層の表面潤滑剤指数が1.3〜3.5であり、該バック層は、酸化チタン、α−酸化鉄またはその混合物である無機酸化物粉体とカーボンブラックとを含有し、さらに該無機酸化物粉体とカーボンブラックの合計質量を100質量部として10〜30質量部の結合剤を含有し、かつ該バック層の表面潤滑剤指数が1.10〜3.0であることを特徴とする磁気記録テープ。
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