JP2005032367A - 磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 支持体の片面に磁性層を有し、その反対面にバック層を有する磁気記録媒体において、該バック層は導電性物質で表面が被覆された被覆針状酸化物粉体、カーボンブラック及び結合剤を含み、かつ該バック層の空隙率が30〜65%であることを特徴とする磁気記録媒体。
【選択図】 なし
Description
従来、磁気記録媒体には酸化鉄、Co変性酸化鉄、CrO2、強磁性金属粉末、六方晶系フェライト粉末を結合剤中に分散した磁性層を支持体に塗設したものが広く用いられる。この中でも微粒子の強磁性合金粉末や六方晶系フェライト微粉末は高密度記録特性に優れていることが知られているが、従来、フレキシブルメディアを使用したシステムで主流として使われてきたインダクティブヘッドを用いた場合は、これらの強磁性粉末は飽和磁化が小さく、充分な出力が得られなかった。しかしながら、上記の様なフレキシブルメディアを用いたリムーバブル記録においても、ハードディスクで使われている磁気抵抗型ヘッド(MRヘッド)が用いられ始めている。
MRヘッドを用いて高密度記録をする場合、分解能を改善するために、前記微粒子強磁性粉末を使用すること、磁性層表面を平滑にすること、磁性層を薄くすることが提案されてきた。
一方、平滑な磁性層を有する磁気記録媒体の走行性を改善するために、バック層に突起を設け、またバック層の表面粗さを増加させることが知られている。
しかしながら、バック層に突起を設けたことで、前記バック層と磁性面が重なりあうと、突起が磁性面に食い込み磁性面に陥没が生じる。また、バック層の表面粗さが平滑な磁性面に転写され、ノイズとなる。このバック層の突起と表面粗さの写りにより出力の低下を引き起こす。線記録密度が高く、かつ狭トラック化が進むと単なる出力の低下だけではなく、信号の欠落につながる。
表面性以外にも、バック層の硬さはバック写りに影響を与えている。バック層の硬さは主に、空隙率で決定されており、空隙が多いと柔らかくなる。この空隙率を用いた硬さコントロールは、上層磁性層及び/又は下層非磁性層の空隙率を調整して磁性面のヘッド当たり改善の手段として用いられている(特許文献3参照)。
また、バック写りの低減による電磁変換特性の改善と共に表面電気抵抗を低減化することが行われているが、カーボンブラック等の導電性物質を用いて表面電気抵抗を低減化しようとするとガイドなどの走行系が汚れるという問題が生じた。
本発明の好ましい態様は以下の通りである。
・該カーボンブラックは該被覆針状酸化物粉体に対して10〜50質量%である。
・該被覆針状酸化物粉体は針状酸化物粉体に対して導電性物質を2〜15質量%含む。
・バック層の表面電気抵抗は1.0×105〜9.0×106である。
本発明は、上記構成としたことにより、バック層の硬さを柔らかくかつバック層に弾性を与えることができ、ある程度のバック面表面粗さを保持したまま、バック面の写りが低減でき、ひいてはドロップアウトが低減でき、またある程度のバック層表面粗さを保持しているため、工程上の問題も少なく、巻き姿も良好とすることができる。また、上記構成としたことにより、表面電気抵抗を低減できると共にバック層膜強度を確保し、ガイド汚れ等のない走行耐久性に優れた磁気記録媒体を提供することができる。
カレンダー処理有りでは、表面性は良好であるが、空隙率が低下する傾向がある。カレンダー処理なしでは、表面性は悪化するが、空隙率が増加し、バック面写りは、むしろ低減する。
空隙率が30%未満であると、バック層が硬く、バック面写りが増加する。また、空隙率が65%を超えると塗膜の強度が低下する。
本発明の空隙率は、窒素吸着法により求められる全細孔容積の、バック層の厚みと面積から求められるバック層体積に対する割合である。
被覆針状酸化物粉体を用いないで、カーボンブラックのみでは、バック層強度が低下し、耐久性を改善することができない。
被覆針状酸化物粉体は、形状が針状であるのでバック面の表面性の粗面化を抑制することができ、適度な表面粗さとすることに寄与する。また、素材が酸化物であるので、化学的に安定である。また、被覆針状酸化物粉体は、導電性物質を被覆しているのでバック面の表面電気抵抗を低減することに寄与する。
被覆針状酸化物粉体は針状酸化物粉体に対して導電性物質を2〜15質量%含むことが好ましく、3〜12質量%含むことが更に好ましい。この導電性物質の割合が15質量%を超えるとバック層強度が低下し、テープ走行後のガイドの付着物が多くなる等、走行耐久性が悪化する傾向がある。
該導電性物質としては、金属、In2O3などの半導体、カーボン等が挙げられ、カーボンが好ましく、カーボンブラックが更に好ましい。
バック層の表面電気抵抗は9.0×106Ω/sq以下が好ましく、1.0×105〜5.0×106Ω/sqが更に好ましい。本発明の系ではバック層の表面電気抵抗が9.0×106Ω/sqを超えると帯電が起こりやすくなる。
導電性物質を針状酸化物粉体に被覆する前に針状酸化物粉体表面を予め処理しておくことが好ましい。この前処理としては、特に制限はなく従来公知の方法が用いられる。好ましい前処理としては、樹脂による被覆が挙げられ、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などによる処理が挙げられる。これら樹脂は、針状酸化物粉体に対して1〜40質量%被覆されることが好ましく、更には10〜20質量%が好ましい。
被覆針状酸化物粉体の形状は任意であり、通常、針状酸化物粉体と相似形となるが、それに限定されるものではない。被覆針状酸化物粉体の針状比は2〜10が好ましく、3〜8が更に好ましい。また、長軸長は0.01〜0.3μmが好ましく、0.06〜0.2μmが更に好ましい。本発明において、針状比とは、粒子の長軸長を短軸長で除した値である。短軸長は、長軸に対して垂直な面で切断したときの断面の最大長を意味する。
被覆針状酸化物粉体の形状は、上記針状比を有した針状形が好ましい。針状比が小さ過ぎると塗布膜の空隙が減少する傾向がある。針状比が大きすぎると表面粗さが増大して裏写りが劣化する傾向がある。
被覆針状酸化物粉体の原料で、前記樹脂による前処理が施される針状酸化物粉体としては、その表面の少なくとも一部がAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3およびZnO2から選ばれた少なくとも一つの化合物、中でもAl2O3、SiO2およびZrO2から選ばれた少なくとも一つの化合物で被覆されているものが、樹脂の被覆性が優れている点で好ましい。このような粉体は針状酸化物粉体の粒子を合成してから、その表面に上記の様な別の化合物が沈着または被覆されるべく処理するか、または針状酸化物粉体とAl2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、SnO2、Sb2O3およびZnO2から選ばれた少なくとも一つの化合物を共沈させる方法によって得ることができる。
このように、被覆針状酸化物粉体をカーボンブラックよりも多量に含有させることによって、粉体の分散性が良好で面が平滑なバック層を形成することができ、該バック面の中心面平均表面粗さRaを好ましくは、2〜8nm、更に好ましくは、3〜7nmとすることができる。
また、バック面の突起高さは30nm以下にするのがバック写りを低減するために好ましいが、空隙率を30〜65%にすることで、突起の高さが30nm以上でも写りは低減される。この平滑なバック面に、高さ30〜100nmの突起が好ましくは、10〜2000個/90μm角形成されるように上記配合比、種類、サイズなどが選定される。このような突起は主としてカーボンブラック、被覆針状酸化物粉体によって形成されることが好ましい。この突起の高さ及び密度は、原子間力顕微鏡、米国デジタルインスツルメンツ社製NanoscopeIIIを用いて測定される値であり、その装置により3次元表面粗さを測定し、磁性層表面粗さの平均面から上記高さに存在する突起の個数が求まる。ここで、平均面とは測定面内の凹凸の体積が等しくなる面のことである。測定は90μm×90μmの範囲で、コンタクトモード、走査速度2Hzで行う。
このような組成を有するバック層形成用塗料は、従来のカーボンブラックを主体とするバック層形成用塗料に比べて、チキソトロピー性が高い。このため、高濃度でエクストルージョン方式やグラビア方式などの塗布を行うことが可能である。このような高濃度塗料を塗布することによって、その膜厚が薄いにもかかわらず支持体との接着強度が大きくて、力学強度が高いバック層を形成することができる。また、高濃度のバック層形成用塗料を使用すれば、バック層と支持体の間に低分子ポリエステルを主体とする下塗層を形成しても、該低分子ポリエステルがバック層表面へ浸出してくるのを抑制することができる。このため、従来から下塗層を形成した場合の問題点とされてきた浸出による粘着や走行不良を有効に回避することができる。したがって、接着性下塗層を形成することによって、バック層と支持体の間の接着強度を所望の範囲に調節することが容易となる。ただし、下塗層は必ずしも形成する必要はない。バック層形成用塗料の結合剤として塩化ビニル樹脂やウレタン樹脂を使用してその比率を調整したり、溶剤としてシクロヘキサノンを主体として使用することによって、支持体表面との界面エネルギー差を縮小し、接着強度を上げることもできる。本発明における支持体とバック層との間の接着強度はこれらの手段を適宜選択したり、組み合わせたりすることによって所望の範囲に調節することができる。
潤滑剤のバック層への添加量は、被覆針状酸化物粉体を100質量部としたとき、好ましくは、0.1〜5質量部、更に好ましくは0.5〜3質量部である。
(1)磁性塗料の塗布で一般的に適用されるグラビア、ロール、ブレード、エクストルージョン等の塗布装置によってまず下層を塗布し、下層が乾燥する前に特公平1−46186号公報、特開昭60−238179号公報、特開平2−265672号公報等に開示されている支持体加圧型エクストルージョン塗布装置等を用いて、上層を塗布する方法。
(2)特開昭63−88080号公報、特開平2−17971号公報、特開平2−265672号公報に開示されている塗料通液スリットを2個有する一つの塗布ヘッド等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
(3)特開平2−174965号公報に開示されているバックアップロール付きのエクストルージョン塗布装置等を用いて、上下層をほぼ同時に塗布する方法。
以下、本発明の具体的実施例を説明するが、本発明はこれに限定されるべきものではない。
実施例1
<塗料の作成>
磁性層用塗布液
磁性体(表1) 100部
塩化ビニル共重合体
MR110(日本ゼオン社製) 5部
ポリウレタン樹脂
UR8200(東洋紡社製) 3部
ポリイソシアネート 8部
αアルミナ
HIT55(住友化学社製) 5部
カ−ボンブラック
#50(旭カーボン社製) 1部
フェニルホスホン酸 2部
ブチルステアレート 10部
ブトキシエチルステアレート 5部
イソヘキサデシルステアレート 3部
ステアリン酸 2部
メチルエチルケトン 125部
シクロヘキサノン 125部
非磁性粉末(針状ヘマタイト) 80部
(平均長軸長:0.15μm、BET法による比表面積:50m2/g、pH:8.5、表面処理層:Al2O3)
カ−ボンブラック(平均粒子径:20nm) 20部
塩化ビニル共重合体{MR110(日本ゼオン社製)} 12部
ポリウレタン樹脂{UR8200(東洋紡社製)} 5部
ブチルステアレート 1部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤)250部
主粉体 80部
(針状ヘマタイト、平均長軸長:150nm、導電性物質被覆率:表1)
カ−ボンブラック1
#50(旭カーボン社製) 5部
カ−ボンブラック2(平均粒子径:20nm) 20部
塩化ビニル共重合体
MR110(日本ゼオン社製) 12部
ポリウレタン樹脂
UR8200(東洋紡社製) 5部
ポリイソシアネート 8部
ブチルステアレート 10部
ブトキシエチルステアレート 5部
イソヘキサデシルステアレート 3部
ステアリン酸 3部
メチルエチルケトン/シクロヘキサノン(8/2混合溶剤) 250部
得られた磁性層用塗布液を、厚さ7μmで中心線平均表面粗さが3nmのPET支持体上に塗布し、湿潤状態のうちに塗布磁場強度300mTの中を通過させて、長手配向処理を行い、乾燥後、7段のカレンダ−で温度90℃、線圧294kN/mで処理を行い、その後、厚み0.5μmのバック層を塗布した。1/2インチ幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレ−ドが磁性面に押し当たるように取り付け、テ−プクリ−ニング装置で磁性層の表面のクリ−ニングを行い、テープ試料を得た。
実施例1において、磁性体、導電性物質被覆率(質量%):(100×導電性物質質量/被覆前主粉体質量)、全質量に対するカーボンの割合:カーボンブラック1及び2のバック層全質量に対する割合(質量%)、カーボンブラック2の添加量を変更した。尚、比較例1は、被覆針状酸化物粉体を用いず、カーボンブラック2を主粉体として用いた。バック層のカレンダー処理の有無を表1にように変更して実施例1と同様にしてテープ試料を作製した。バック面カレンダー処理有りは、磁性層塗布後、カレンダー処理することなく、バック層を設け、その後、磁性層とバック層を同時にカレンダー処理を行った。バック面カレンダー処理無しは、磁性層を塗布後、カレンダー処理を行い、磁性層のみカレンダー処理をし、その後にバック層を塗布したサンプルである。
得られたテープの各々の物性、性能を下記の測定法により評価した。
測定法
(1)空隙率
QUANTA CHROME社製全自動ガス吸着量測定装置AUTOSORB−1を用い、窒素吸着法により、全細孔容積を測定した。これをサンプルの体積(サンプルの面積×厚みより算出)で割り、割合として計算した。
(2)バック面の中心面平均表面粗さ(Ra):WYKO社製HD2000を用いて、約242.4μm×184.2μmの面積のRaを測定した。測定波長約632nmである。本方式は光干渉にて測定する非接触表面粗さ計である。
(3)バック面の表面電気抵抗(Rs)
IEC式Rsの測定を行った。
(4)バック面の100Pμ値(走行性)
測定は、4mmφのSUS420Jに90度に角度でテープを渡し、荷重を50g、秒速13mmで100パス摺動させて、抵抗値T2を得、オイラーの式に基づいて100パス目の摩擦係数を求めた。測定環境は、23℃、50%であった。
μ=(1/π)In(T2/50)
(5)50nm以上の窪みの個数
原子間力顕微鏡を用いて磁性層表面90μm四方の窪み深さが50nm以上の窪み個数を、コンタクトモードで測定した。窪みの個数を数えるため、Invert機能を用いた。窪み深さは、中心面(平面と粗さ曲面で囲まれた体積が平面に対し上下で等しくかつ最小になる平面)を基準面とした深さと定義した。
(6)巻き姿
テープにおいて、10m/secの速さで609mを組み込んだ。飛び出しの数をカウントし、5個以上を不良、3個以上をやや不良、1個以下を良好とした。
(7)ガイド汚れ
テープをバック面タッチで、テンション130g、速度5m/sでガイドにタッチさせ、走行テストを行った。1時間走行させた後のガイドの汚れについて、汚れ多い、汚れやや多い、汚れ少ない、なしの4段階で評価を行った。
評価結果を表1に示す。
上表より、本発明の実施例は、バック層の空隙率が所定範囲であるため、バック面への写りが少なく、巻き姿が良好で、かつ100Pμ値も小さく走行耐久性も良好であるが、比較例1及び2はバック面写りが多く、磁性面の窪みが多く、走行耐久性も悪い。比較例3は巻き姿が改善されない。
Claims (1)
- 支持体の片面に磁性層を有し、その反対面にバック層を有する磁気記録媒体において、該バック層は導電性物質で表面が被覆された被覆針状酸化物粉体、カーボンブラック及び結合剤を含み、かつ該バック層の空隙率が30〜65%であることを特徴とする磁気記録媒体。
Priority Applications (1)
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JP2003271832A JP2005032367A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 磁気記録媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003271832A JP2005032367A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 磁気記録媒体 |
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JP2005032367A true JP2005032367A (ja) | 2005-02-03 |
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ID=34209570
Family Applications (1)
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JP2003271832A Abandoned JP2005032367A (ja) | 2003-07-08 | 2003-07-08 | 磁気記録媒体 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2005032367A (ja) |
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2003
- 2003-07-08 JP JP2003271832A patent/JP2005032367A/ja not_active Abandoned
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