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JP2001222811A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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Publication number
JP2001222811A
JP2001222811A JP2000186411A JP2000186411A JP2001222811A JP 2001222811 A JP2001222811 A JP 2001222811A JP 2000186411 A JP2000186411 A JP 2000186411A JP 2000186411 A JP2000186411 A JP 2000186411A JP 2001222811 A JP2001222811 A JP 2001222811A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
magnetic
recording medium
powder
magnetic recording
less
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Abandoned
Application number
JP2000186411A
Other languages
English (en)
Inventor
Kazuo Kato
和男 加藤
Hiroaki Doshita
廣昭 堂下
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Fuji Photo Film Co Ltd filed Critical Fuji Photo Film Co Ltd
Priority to JP2000186411A priority Critical patent/JP2001222811A/ja
Publication of JP2001222811A publication Critical patent/JP2001222811A/ja
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 出力、S/Nに優れ、高速摺動耐久性に優れ
た高密度記録用磁気記録媒体を提供すること。 【解決手段】 支持体上に非磁性粉末と結合剤を含む下
層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む磁性層を
設けた磁気記録媒体において、磁気記録媒体表面の引っ
掻き深さが65nm以下で、磁気記録媒体表面の表面潤
滑剤指数が2〜8であることを特徴とする磁気記録媒
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は塗布型の高記録密度
の磁気記録媒体に関する。特に非磁性粉末と結合剤を含
む下層を設け、その上に強磁性金属粉末を含む磁性層を
設けた高密度記録用の磁気記録媒体に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】磁気ディスクの分野において、Co変性
酸化鉄を用いた2MBのMF−2HDフロッピー(登録
商標)ディスクシステムがパーソナルコンピュータに内
蔵標準搭載されているが、取り扱うデータ容量の増加に
伴い、2MBでは容量に不足をきたし、一層の大容量化
が望まれていた。これに対し、高密度記録特性に優れる
強磁性金属微粉末や六方晶フェライトを用いた大容量デ
ィスクとして、10MBのMF−2TD、21MBのM
F−2SD、4MBのMF−2ED、21MBフロプテ
ィカルなどが開発されたが、容量、性能的に十分とは言
えなかった。このような状況に対し、最近になり薄層磁
性層と機能性非磁性層からなるディスク状磁気記録媒体
が開発され、100MBクラスのフロッピーディスクZ
IP100が登場している。この磁気記録媒体の特徴を
示すものとして、特開平5−109061、特開平5−
197946、特開平5−290354、特開平6−6
8453等が開示されている。その後、パーソナルコン
ピュータがますます高性能化し、またインターネットの
浸透により、文字情報に加えて、静止画や動画といった
画像情報が日常的に取り扱われるようになり、情報処理
量が大幅に増大してきている。それに対応して、一層の
高記録密度化による記録の大容量化が強く要求されてき
ている。大容量化とともに転送レートの向上が重要で、
線記録密度およびトラック密度の向上により面記録密度
を高めること、およびディスクの回転速度を速めること
が必要になる。このような高面記録密度、高転送レート
を実現するためには、磁気記録媒体として、S/Nに優
れ、高速摺動耐久性に優れた磁気記録媒体が要請され
る。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は出力、S/N
に優れ、高速摺動耐久性に優れた高密度記録用磁気記録
媒体を提供することを目的としている。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は、支持体上に非
磁性粉末と結合剤を含む下層を設け、その上に強磁性粉
末と結合剤を含む磁性層を設けた磁気記録媒体におい
て、磁気記録媒体表面の引っ掻き深さが65nm以下
で、磁気記録媒体表面の表面潤滑剤指数が2〜8である
ことを特徴とする磁気記録媒体によって達成される。
【0005】本発明の主目的の一つである高速摺動耐久
性を向上させるためには、磁気記録媒体表面の引っ掻き
深さを65nm以下に、磁気記録媒体の表面潤滑剤指数
を2〜8にする必要がある。
【0006】磁気記録媒体表面の引っ掻き深さは、HE
IDON式引っ掻き試験機にて磁気記録媒体表面に引っ
掻き条痕をつけ、その深さを光干渉式表面粗さ計(例え
ば、米国WYKO社製の光干渉式表面粗さ計「TOPO
−3D」)で測定することにより得られる。尚、本願明
細書において、磁気記録媒体表面とは、支持体に下層及
び磁性層が担持されている側の表面を意味し、支持体の
表裏両面の各々に下層及び磁性層を有する場合には、少
なくとも一方の表面をいう。
【0007】磁気記録媒体表面の引っ掻き深さは、65
nm以下に調整されるが、好ましくは20nm〜65n
mに調整される。65nmを超えると、塗膜が軟らかく
なり磁気ヘッドを搭載したスライダーとの摺動でデブリ
(粉落ち)が発生しエラーが増加し易くなる。下限につ
いては、特に制限はないが、20nmより小さくなるに
つれて塗膜が脆くなることが多く、その場合にはスライ
ダーとの接触により塗膜が破壊されエラーが増加し易く
なる。従って、好ましくは20nm以上に範囲に調整さ
れる。
【0008】引っ掻き深さをコントロールする方法とし
ては、磁性層および下層の内の少なくとも一つの層にお
ける結合剤樹脂組成物の混合比(例えば、塩化ビニル樹
脂−ウレタン樹脂−硬化剤の比)を変える、P/B比
(磁性体等の無機粉体と結合剤樹脂の比率)を最適化す
る、結合剤として極性官能基を導入した樹脂を用いて、
磁性分の分散性を高める、結合剤樹脂の弾性率やガラス
転移点(Tg)を高める、等の方法がいずれも可能であ
る。また潤滑剤の種類、処方量の選定によってカレンダ
ー成形性を変化させ引っ掻き深さをコントロールするこ
とも可能である。また上層用磁性塗布液や下層用塗布液
を調製するときの混練溶剤を変えて混練の度合いを最適
化する方法、カレンダー条件で温度、圧力、カレンダー
ロールの硬度を変化させたり、金属製カレンダーロール
の導入等によって磁気記録媒体表面の引っ掻き深さをコ
ントロールすることができる。
【0009】磁気記録媒体表面の表面潤滑剤指数は、磁
気記録媒体表面の潤滑剤量を示す指数であり、以下の方
法で測定できる。表面に存在する物質の測定方法とし
て、オージェ電子分光法がある。オージェ電子分光法で
は表面から数10Åの深さの元素を分析することがで
き、極表層に存在する物質とその量論的関係を知ること
が可能である。磁気記録媒体の場合、表面に存在する潤
滑剤および結合剤樹脂の量を、それらに由来するC元素
量と磁性体に由来するFe元素量の比(C/Fe=A)
で表すことができる。表面潤滑剤指数は、潤滑剤を媒体
から除去して測定したC元素量(表面の結合剤成分)と
Fe元素量との(C/Fe=B)比を求め、A/Bで表
わされる。媒体からの潤滑剤の除去は、媒体をn−ヘキ
サンに浸漬することにより、磁性体に吸着されていない
潤滑剤を抽出、除去し、その後、磁性体に吸着されてい
る潤滑剤をシリル化剤と反応させ誘導体化し抽出除去す
ることにより可能である。本発明の磁気記録媒体表面の
表面潤滑剤指数は2〜8が好ましく、更には2.5〜
7.5が好ましい。表面潤滑剤指数が2より小さくなる
と、長時間走行の場合、潤滑剤が枯渇し磁性層がダメー
ジを受け出力が低下する。表面潤滑剤指数が8より大き
な場合は、磁性層表面を可塑化する程度が大きく、長時
間走行で磁性層表面が塑性流動を起こし平滑化するため
に、摩擦力が上昇し磁性層がダメージを受け出力が低下
する。
【0010】この表面潤滑剤指数は、表面に存在する潤
滑剤の量を示すもので、潤滑剤の処方量を最適化するこ
とによってコントロールすることができる。潤滑剤の種
類としては、脂肪酸、脂肪酸エステルが好ましい。表面
に存在する潤滑剤の量は、潤滑剤と結合剤の相溶性から
コントロールすることができる。相溶性が高い場合に
は、磁性層内部の潤滑剤が増加し、表面量を小さくする
ことができる。相溶性が低い場合には、表面量を高める
ことができる。従って、この相溶性の観点から、潤滑剤
の種類や結合剤の種類、結合剤樹脂組成物の混合比(例
えば、塩化ビニル樹脂−ウレタン樹脂−硬化剤の比)、
P/B比(磁性体等の無機粉体と結合剤樹脂の比率)等
を最適化することによって、表面潤滑剤指数をコントロ
ールすることができる。また潤滑剤が磁性体に吸着しや
すい場合は、磁性体に吸着した成分が磁性層内部に存在
するため、表面の潤滑剤量は少なくなることを利用し
て、潤滑剤の種類や磁性体の種類(表面積、pH、酸化
膜中のAl、Si量など)を最適化することによっても
表面潤滑剤指数をコントロールすることができる。工程
条件としては、塗布後の乾燥条件によってコントロール
することができる。一般的には塗膜の乾燥速度を速める
ことによって、蒸発しようとする有機溶剤の塗膜中の移
動速度が高まり、これに溶解している潤滑剤が溶剤と共
に塗膜表面に移動することにより、表面の潤滑剤量を増
すことができる。蒸散し易い潤滑剤を使用している場合
は、潤滑剤も溶剤と共に蒸発するために、この場合には
表面潤滑剤量を少なくすることができる。また、カレン
ダー条件で温度、圧力、カレンダーロールの硬度によっ
てもコントロールが可能で、いずれも高める方向が、表
面潤滑剤量を増す方向である。
【0011】本発明の磁気記録媒体の磁性層の抗磁力
(Hc)は好ましくは159,200A/m(2000
エルステッド)以上であり、更に好ましくは175,1
20〜278,600A/m(2200〜3500エル
ステッド)である。上限は明確ではないが、本発明によ
る記録ヘッド(Bs:1.8T(テスラ))での検討で
は3500エルステッド程度と思われる。2000エル
ステッド未満では本発明が指向する高記録密度は達成さ
れ難い。
【0012】本発明の磁性層の中心面平均表面粗さ(R
a)は、光干渉式表面粗さ計(例えば、米国WYKO社
製の光干渉式表面粗さ計「TOPO−3D」)で測定さ
れる値であり、本発明では通常、0.5〜5.0nm、
好ましくは4nm以下、更に好ましくは3nm以下であ
る。5.0nmを越えると磁気記録媒体とヘッドのスペ
ーシングロスが大きくなり、出力が低く、ノイズが高く
なり、本発明の磁気記録媒体が有する媒体性能を発揮さ
せることは困難である。0.5nmに満たないと磁性層
が磁気ヘッドにより損傷を受けやすくなるので好ましく
ない。
【0013】
【発明の実施の形態】[磁性層]本発明では下層と、磁
性層(以下、「上層」、「上層磁性層」ともいう)を支
持体の両面ないし片面に設けることができる。上下層は
下層を塗布後、下層が湿潤状態の内(Wet on Wet)で
も、乾燥した後(Wet on Dry)でも上層磁性層を設ける
ことができる。
【0014】[強磁性金属粉末]本発明の強磁性粉末と
しては、強磁性金属粉末(単体及び合金を包含する)が
好ましく、α−Feを主成分とする強磁性合金粉末が好
ましい。これらの強磁性粉末には所定の原子以外にA
l、Si、S、Sc、Ca、Ti、V、Cr、Cu、
Y、Mo、Rh、Pd、Ag、Sn、Sb、Te、B
a、Ta、W、Re、Au、Hg、Pb、Bi、La、
Ce、Pr、Nd、Sm、P、Co、Mn、Zn、N
i、Sr、Bなどの原子を含んでもかまわない。特に、
Al、Si、Ca、Y、Ba、La、Nd、Sm、C
o、Ni、Bの少なくとも1つをα−Fe以外に含むこ
とが好ましく、Co、Y、Al、Nd、Smの少なくと
も一つを含むことがさらに好ましい。Coの含有量はF
eに対して0原子%以上40原子%以下が好ましく、さ
らに好ましくは5原子%以上35原子%以下、より好ま
しくは10原子%以上35原子%以下である。Yの含有
量は1.5原子%以上12原子%以下が好ましく、さら
に好ましくは3原子%以上10原子%以下、より好まし
くは3原子%以上9原子%以下である。Alは1.5原
子%以上13原子%以下が好ましく、さらに好ましくは
3原子%以上11原子%以下、より好ましくは4原子%
以上10原子%以下である。これらの強磁性粉末にはあ
とで述べる分散剤、潤滑剤、界面活性剤、帯電防止剤な
どで分散前にあらかじめ処理を行ってもかまわない。具
体的には、特公昭44−14090号、特公昭45−1
8372号、特公昭47−22062号、特公昭47−
22513号、特公昭46−28466号、特公昭46
−38755号、特公昭47−4286号、特公昭47
−12422号、特公昭47−17284号、特公昭4
7−18509号、特公昭47−18573号、特公昭
39−10307号、特公昭46−39639号、米国
特許第3026215号、同3031341号、同31
00194号、同3242005号、同3389014
号などに記載されている。
【0015】強磁性金属粉末には少量の水酸化物、また
は酸化物が含まれてもよい。強磁性金属粉末の公知の製
造方法により得られたものを用いることができ、下記の
方法を挙げることができる。複合有機酸塩(主としてシ
ュウ酸塩)と水素などの還元性気体で還元する方法、酸
化鉄を水素などの還元性気体で還元してFeあるいはF
e−Co粒子などを得る方法、金属カルボニル化合物を
熱分解する方法、強磁性金属の水溶液に水素化ホウ素ナ
トリウム、次亜リン酸塩あるいはヒドラジンなどの還元
剤を添加して還元する方法、金属を低圧の不活性気体中
で蒸発させて微粉末を得る方法などである。このように
して得られた強磁性金属粉末は公知の徐酸化処理、すな
わち有機溶剤に浸漬したのち乾燥させる方法、有機溶剤
に浸漬したのち酸素含有ガスを送り込んで表面に酸化膜
を形成したのち乾燥させる方法、有機溶剤を用いず酸素
ガスと不活性ガスの分圧を調整して表面に酸化皮膜を形
成する方法のいずれを施したものでも用いることができ
る。
【0016】本発明の磁性層の強磁性金属粉末をBET
法による比表面積(以下、「SBET」と記す)で表せば通
常、45〜80m2/gであり、好ましくは50〜70
2/gである。45m2/g未満ではノイズが高くなる
傾向にあり、80m2/g以上では表面性が得にくく好
ましくない。本発 明の磁性層の強磁性金属粉末の結晶
子サイズは80〜180Åであり、好ましくは100〜
180Å、更に好ましくは110〜175Åである。強
磁性金属粉末の平均長軸長は、好ましくは30〜150
nmであり、さらに好ましくは30〜120nmであ
る。強磁性金属粉末の針状比は3以上15以下が好まし
く、さらには5以上12以下が好ましい。強磁性金属粉
末の飽和磁化(σs)は100〜200A・m2/kgで
あり、好ましくは120〜180A・m2/kgであ
る。
【0017】強磁性金属粉末の含水率は0.01〜2重
量%とするのが好ましい。結合剤の種類によって強磁性
金属粉末の含水率は最適化するのが好ましい。強磁性金
属粉末のpHは、用いる結合剤との組合せにより最適化
することが好ましい。その範囲は通常、4〜12である
が、好ましくは6〜10である。強磁性金属粉末は必要
に応じ、Al、Si、Pまたはこれらの酸化物などで表
面処理を施してもかまわない。その量は強磁性金属粉末
に対し通常、0.1〜10重量%であり表面処理を施す
と脂肪酸などの潤滑剤の吸着が100mg/m2以下に
なり好ましい。強磁性金属粉末には可溶性のNa、C
a、Fe、Ni、Srなどの無機イオンを含む場合があ
る。これらは、本質的に無い方が好ましいが、200pp
m以下であれば特に特性に影響を与えることは少ない。
また、本発明に用いられる強磁性金属粉末は空孔が少な
いほうが好ましくその値は通常、20容量%以下、さら
に好ましくは5容量%以下である。また形状については
先に示した粒子サイズについての特性を満足すれば針
状、米粒状、紡錘状のいずれでもかまわない。強磁性金
属粉末自体のSFD(switching field distribution)
は小さい方が好ましく、0.8以下が好ましい。強磁性
金属粉末のHcの分布を小さくすることが好ましい。
尚、SFDが0.8以下であると、電磁変換特性が良好
で、出力が高く、また、磁化反転がシャープでピークシ
フトも少なくなり、高密度デジタル磁気記録に好適であ
る。Hcの分布を小さくするためには、強磁性金属粉末
においてはゲータイトの粒度分布を良くする、焼結を防
止するなどの方法がある。
【0018】[下層]次に下層に関する詳細な内容につ
いて説明する。本発明の下層は少なくとも結合剤と非磁
性粉末、例えば、無機粉末あるいは有機粉末を含む。下
層は、磁性粉末を電磁変換特性に実質的に影響しない範
囲で混合して使用してもよい。
【0019】該非磁性粉末としては、例えば、金属酸化
物、金属炭酸塩、金属硫酸塩、金属窒化物、金属炭化
物、金属硫化物等の無機化合物から選択することができ
る。無機化合物としては例えば、α化率90%以上のα
−アルミナ、β−アルミナ、γ−アルミナ、θ−アルミ
ナ、炭化ケイ素、酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化
鉄、ヘマタイト、ゲータイト、コランダム、窒化珪素、
チタンカーバイト、酸化チタン、二酸化珪素、酸化ス
ズ、酸化マグネシウム、酸化タングステン、酸化ジルコ
ニウム、窒化ホウ素、酸化亜鉛、炭酸カルシウム、硫酸
カルシウム、硫酸バリウム、二硫化モリブデンなどが単
独または組合せで使用される。特に好ましいのは、粒度
分布の小ささ、機能付与の手段が多いこと等から、二酸
化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、硫酸バリウムであり、更
に好ましいのは二酸化チタン、α酸化鉄である。これら
非磁性粉末の平均粒子径は0.005〜2μmが好まし
いが、必要に応じて粒子サイズの異なる非磁性粉末を組
み合わせたり、単独の非磁性粉末でも粒径分布を広くし
て同様の効果をもたせることもできる。とりわけ好まし
いのは非磁性粉末の平均粒子径は0.01μm〜0.2
μmである。特に、非磁性粉末が粒状金属酸化物である
場合は、平均粒子径0.08μm以下が好ましく、針状
金属酸化物である場合は、平均長軸長が0.3μm以下
が好ましく、0.2 μm以下がさらに好ましい。タッ
プ密度は通常、0.05〜2g/ml、好ましくは0.2〜
1.5g/mlである。非磁性粉末の含水率は通常、0.1
〜5重量%、好ましくは0.2〜3重量%、更に好まし
くは0.3〜1.5重量%である。非磁性粉末のpHは
通常、2〜11であるが、pHは3〜10の間が特に好
ましい。非磁性粉末の比表面積は通常、1〜100m2
/g、好ましくは5〜80m2/g、更に好ましくは10〜
70m2/gである。非磁性粉末の結晶子サイズは0.0
04μm〜1μmが好ま しく、0.04μm〜0.1
μmが更に好ましい。DBP(ジブチルフタレート)を
用いた吸油量は通常、5〜100ml/100g、好ましくは
10〜80ml/100g、更に好ましくは20〜60ml/100g
である。比重は通常、1〜12、好ましくは3〜6であ
る。形状は針状、球状、多面体状、板状のいずれでも良
い。モース硬度は4以上、10以下のものが好ましい。
非磁性粉末のSA(ステアリン酸)吸着量は通常、1〜
20μmol/m2 、好ましくは2〜15μmol/m2 、さ
らに好ましくは3〜8μmol/m2 である。これらの非磁
性粉末の表面は表面処理が施されAl23 、SiO
2 、TiO2 、ZrO2 、SnO2 、Sb23 、Zn
O、Y23 が存在することが好ましい。特に分散性に
好ましいのはAl23 、SiO2 、TiO2 、ZrO2
であるが、更に好ましいのはAl23 、SiO2 、Z
rO2 である。これらは組み合わせて使用しても良い
し、単独で用いることもできる。また、目的に応じて共
沈させた表面処理層を用いても良いし、先ずアルミナを
存在させた後にその表層にシリカを存在させる方法、ま
たはその逆の方法を採ることもできる。また、表面処理
層は目的に応じて多孔質層にしても構わないが、均質で
密である方が一般には好ましい。
【0020】本発明の下層に用いられる非磁性粉末の具
体的な例としては、昭和電工製ナノタイト、住友化学製
HIT−100,ZA−G1、戸田工業社製αヘマタイ
トDPN−250,DPN−250BX,DPN−24
5,DPN−270BX,DPN−500BX,DBN
−SA1,DBN−SA3、石原産業製酸化チタンTT
O−51B,TTO−55A,TTO−55B,TTO
−55C,TTO−55S,TTO−55D,SN−1
00、αヘマタイトE270,E271,E300,E
303、チタン工業製酸化チタンSTT−4D,STT
−30D,STT−30,STT−65C、αヘマタイ
トα−40、テイカ製MT−100S,MT−100
T,MT−150W,MT−500B,MT−600
B,MT−100F,MT−500HD、堺化学製FI
NEX−25,BF−1,BF−10,BF−20,S
T−M、同和鉱業製DEFIC−Y,DEFIC−R、
日本アエロジル製AS2BM,TiO2P25、宇部興
産製100A,500A、及びそれを焼成したものが挙
げられる。特に好ましい非磁性粉末は二酸化チタンとα
−酸化鉄である。
【0021】下層にカーボンブラックを混合させて公知
の効果である表面電気抵抗Rsを下げること、光透過率
を小さくすることができる。カーボンブラックの種類は
ゴム用ファーネス、ゴム用サーマル、カラー用ブラッ
ク、アセチレンブラック、等を用いることができる。下
層のカーボンブラックは所望する効果によって、以下の
ような特性を最適化すべきであり、併用することでより
効果が得られることがある。
【0022】下層のカーボンブラックの比表面積は通
常、100〜500m2/g、好ましくは150〜40
0m2/g、DBP吸油量は通常、20〜400ml/100
g、好ましくは30〜4 00ml/100gである。カーボン
ブラックの平均粒子径は通常、5nm〜80nm、好ま
しくは10〜50nm、さらに好ましくは10〜40
nmである。カーボンブラックのpHは2〜10、含水
率は0.1〜10重量%、タップ密度は0.1〜1g/
mlが好ましい。本発明に用いられるカーボンブラックの
具体的な例としてはキャボット社製 BLACKPEA
RLS 2000,1300,1000,900,80
0,880,700、VULCAN XC−72、三菱
化成工業社製 #3050B,#3150B,#325
0B,#3750B,#3950B,#950,#65
0B,#970B,#850B,MA−600,MA−
230,#4000,#4010、コロンビアンカーボ
ン社製CONDUCTEX SC、RAVEN 880
0,8000,7000,5750,5250,350
0,2100,2000,1800,1500,125
5,1250、アクゾー社製ケッチェンブラックECな
どがあげられる。カーボンブラックを分散剤などで表面
処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、表面の
一部をグラファイト化したものを使用してもかまわな
い。また、カーボンブラックを塗料に添加する前にあら
かじめ結合剤で分散してもかまわない。これらのカーボ
ンブラックは上記無機質粉末に対して通常、50重量%
を越えない範囲、非磁性層総重量の40重量%を越えな
い範囲で使用できる。これらのカーボンブラックは単
独、または組合せで使用することができる。本発明で使
用できるカーボンブラックは、例えば「カーボンブラッ
ク便覧」(カーボンブラック協会編)を参考にすること
ができる。
【0023】また下層には有機質粉末を目的に応じて、
添加することもできる。例えば、アクリルスチレン系樹
脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、メラミン系樹脂粉
末、フタロシアニン系顔料が挙げられるが、ポリオレフ
ィン系樹脂粉末、ポリエステル系樹脂粉末、ポリアミド
系樹脂粉末、ポリイミド系樹脂粉末、ポリフッ化エチレ
ン樹脂も使用することができる。その製法は特開昭62
−18564号、特開昭60−255827号に記され
ているようなものが使用できる。
【0024】下層の結合剤樹脂(種類と量)、潤滑剤・
分散剤・添加剤の種類、量、溶剤、分散方法に関して
は、磁性層に関する公知の技術が適用できる。
【0025】[結合剤]本発明に使用される結合剤とし
ては従来公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、反応型樹
脂やこれらの混合物が使用される。熱可塑性樹脂として
は、ガラス転移温度が−100〜150℃、数平均分子
量が1,000〜200,000、好ましくは10,00
0〜100,000、重合度が約50〜1000程度の
ものである。このような例としては、塩化ビニル、酢酸
ビニル、ビニルアルコール、マレイン酸、アクリル酸、
アクリル酸エステル、塩化ビニリデン、アクリロニトリ
ル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、スチレン、
ブタジエン、エチレン、ビニルブチラール、ビニルアセ
タール、ビニルエーテル、等を構成単位として含む重合
体または共重合体、ポリウレタン樹脂、各種ゴム系樹脂
がある。
【0026】また、熱硬化性樹脂または反応型樹脂とし
てはフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン硬化
型樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、アク
リル系反応樹脂、ホルムアルデヒド樹脂、シリコーン樹
脂、エポキシ−ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂とイ
ソシアネートプレポリマーの混合物、ポリエステルポリ
オールとポリイソシアネートの混合物、ポリウレタンと
ポリイソシアネートの混合物等があげられる。これらの
樹脂については朝倉書店発行の「プラスチックハンドブ
ック」に詳細に記載されている。また、公知の電子線硬
化型樹脂を各層に使用することも可能である。これらの
例とその製造方法については特開昭62−256219
に詳細に記載されている。以上の樹脂は単独または組合
せて使用できるが、好ましいものとして塩化ビニル樹
脂、塩化ビニル酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル酢酸ビ
ニルビニルアルコール共重合体、塩化ビニル酢酸ビニル
無水マレイン酸共重合体から選ばれる少なくとも1種と
ポリウレタン樹脂との組合せ、またはこれらにポリイソ
シアネートを組み合わせたものがあげられる。
【0027】ポリウレタン樹脂の構造はポリエステルポ
リウレタン、ポリエーテルポリウレタン、ポリエーテル
ポリエステルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレ
タン、ポリエステルポリカーボネートポリウレタン、ポ
リカプロラクトンポリウレタンなど公知のものが使用で
きる。ここに示したすべての結合剤について、より優れ
た分散性と耐久性を得るためには必要に応じ、−COO
M,−SO3M、−OSO3M、−P=O(OM)2 、−
O−P=O(OM)2 、(以上につきMは水素原子、ま
たはアルカリ金属塩基)、−OH、−NR2 、−N+3
(Rは炭化水素基)、エポキシ基、−SH、−CN、
などから選ばれる少なくともひとつ以上の極性基を共重
合または付加反応で導入したものを用いることが好まし
い。このような極性基の量は通常、10-1〜10-8モル/
gであり、好ましくは10-2〜10-6モル/gである。
【0028】本発明に用いられるこれらの結合剤の具体
的な例としてはユニオンカ−バイト社製VAGH、VY
HH、VMCH、VAGF、VAGD,VROH,VY
ES,VYNC,VMCC,XYHL,XYSG,PK
HH,PKHJ,PKHC,PKFE,日信化学工業社
製、MPR−TA、MPR−TA5,MPR−TAL,
MPR−TSN,MPR−TMF,MPR−TS、MP
R−TM、MPR−TAO、電気化学社製1000W、
DX80,DX81,DX82,DX83、100F
D、日本ゼオン社製MR−104、MR−105、MR
110、MR100、MR555、400X−110
A、日本ポリウレタン社製ニッポランN2301、N2
302、N2304、大日本インキ社製パンデックスT
−5105、T−R3080、T−5201、バ−ノッ
クD−400、D−210−80、クリスボン610
9,7209,東洋紡社製バイロンUR8200,UR
8300、UR−8700、RV530,RV280、
大日精化社製、ダイフェラミン4020,5020,5
100,5300,9020,9022、7020,三
菱化成社製、MX5004,三洋化成社製サンプレンS
P−150、旭化成社製サランF310,F210など
が挙げられる。
【0029】本発明の下層、磁性層に用いられる結合剤
は下層にあっては非磁性粉末または磁性層にあっては磁
性粉末に対し、通常、5〜50重量%の範囲、好ましく
は10〜30重量%の範囲で用いられる。塩化ビニル系
樹脂を用いる場合は通常、5〜30重量%、ポリウレタ
ン樹脂を用いる場合は2〜20重量%、ポリイソシアネ
ートは2〜20重量%の範囲でこれらを組み合わせて用
いることが好ましいが、例えば、微量の脱塩素によりヘ
ッド腐食が起こる場合は、ポリウレタンのみまたはポリ
ウレタンとイソシアネートのみを使用することも可能で
ある。本発明において、ポリウレタンを用いる場合はガ
ラス転移温度が通常、−50〜150℃、好ましくは0
℃〜100℃、破断伸びが100〜2000%、破断応
力は0.05〜10Kg/mm2(0.49〜98MPa)、
降伏点は0.05〜10Kg/mm2(0.49〜98MP
a)が好ましい。
【0030】本発明の磁気記録媒体は磁性層と下層の二
層以上から構成されている。従って、結合剤量、結合剤
中に占める塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ
イソシアネート、あるいはそれ以外の樹脂の量、磁性層
を形成する各樹脂の分子量、極性基量、あるいは先に述
べた樹脂の物理特性などを必要に応じ下層、磁性層とで
変えることはもちろん可能であり、むしろ各層で最適化
すべきであり、多層磁性層に関する公知技術を適用でき
る。例えば、各層でバインダー量を変更する場合、磁性
層表面の擦傷を減らすためには磁性層のバインダー量を
増量することが有効であり、ヘッドに対するヘッドタッ
チを良好にするためには、下層のバインダー量を多くし
て柔軟性を持たせることができる。
【0031】本発明に用いるポリイソシアネートとして
は、トリレンジイソシアネート、4,4’−ジフェニル
メタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、キシリレンジイソシアネート、ナフチレン−1,
5−ジイソシアネート、oートルイジンジイソシアネー
ト、イソホロンジイソシアネート、トリフェニルメタン
トリイソシアネート等のイソシアネート類、また、これ
らのイソシアネート類とポリアルコールとの生成物、ま
た、イソシアネート類の縮合によって生成したポリイソ
シアネート等を使用することができる。これらのイソシ
アネート類の市販されている商品名としては、日本ポリ
ウレタン社製、コロネートL、コロネートHL、コロネ
ート2030、コロネート2031、ミリオネートM
R,ミリオネートMTL、武田薬品社製、タケネートD
−102,タケネートD−110N、タケネートD−2
00、タケネートD−202、住友バイエル社製、デス
モジュールL,デスモジュールIL、デスモジュール
N、デスモジュールHL、等がありこれらを単独または
硬化反応性の差を利用して二つもしくはそれ以上の組合
せで各層とも用いることができる。
【0032】[カーボンブラック、研磨剤]本発明の磁
性層に使用されるカーボンブラックはゴム用ファーネ
ス、ゴム用サーマル、カラー用ブラック、アセチレンブ
ラック、等を用いることができる。比表面積は5〜50
0m2/g、DBP吸油量は10〜400ml/100
g、平均粒子径は5nm〜300nm、pHは2〜1
0、含水率は0.1〜10重量%、タップ密度は0.1
〜1g/cc、が好ましい。本発明に用いられるカーボン
ブラックの具体的な例としてはキャボット社製、BLA
CKPEARLS 2000、1300、1000、9
00、905、800,700、VULCAN XC−
72、旭カーボン社製、#80、#60,#55、#5
0、#35、三菱化成工業社製、#2400B、#23
00、#900,#1000,#30,#40、#10
B、コロンビアンカーボン社製、CONDUCTEX
SC、RAVEN 150、50,40,15、RAV
EN−MT−P、日本EC社製、ケッチェンブラックE
C、などがあげられる。カーボンブラックを分散剤など
で表面処理したり、樹脂でグラフト化して使用しても、
表面の一部をグラファイト化したものを使用してもかま
わない。また、カーボンブラックを磁性塗料に添加する
前にあらかじめ結合剤で分散してもかまわない。これら
のカーボンブラックは単独、または組合せで使用するこ
とができる。カーボンブラックを使用する場合は磁性体
に対する量の0.1〜30重量%で用いることが好まし
い。カーボンブラックは磁性層の帯電防止、摩擦係数低
減、遮光性付与、膜強度向上などの働きがあり、これら
は用いるカーボンブラックにより異なる。従って本発明
に使用されるこれらのカーボンブラックは上層磁性層、
下層でその種類、量、組合せを変え、粒子サイズ、吸油
量、電導度、pHなどの先に示した諸特性をもとに目的
に応じて使い分けることはもちろん可能であり、むしろ
各層で最適化すべきものである。本発明の磁性層で使用
できるカーボンブラックは,例えば(「カーボンブラッ
ク便覧」カーボンブラック協会編)を参考にすることが
できる。
【0033】本発明において、研磨剤としてはα化率9
0%以上のα−アルミナ、β−アルミナ、炭化ケイ素、
酸化クロム、酸化セリウム、α−酸化鉄、コランダム、
窒化珪素、炭化珪素、チタンカーバイト、酸化チタン、
二酸化珪素、窒化ホウ素、ダイヤモンドなど主としてモ
ース硬度6以上の公知の材料が単独または組合せで使用
される。また、これらの研磨剤同士の複合体(研磨剤を
他の研磨剤で表面処理したもの)を使用してもよい。こ
れらの研磨剤には主成分以外の化合物または元素が含ま
れる場合もあるが主成分が90重量%以上であれば効果
にかわりはない。これら研磨剤の平均粒径は0.01〜
2μmが好ましく、特に電磁変換特性を高めるために
は、その粒度分布が狭い方が好ましい。また耐久性を向
上させるには必要に応じて粒子サイズの異なる研磨剤を
組み合わせたり、単独の研磨剤でも粒径分布を広くして
同様の効果をもたせることも可能である。タップ密度は
0.3〜2g/cc、含水率は0.1〜5重量%、pHは2
〜11、比表面積は1〜30m2/gが好ましい。本発明
に用いられる研磨剤の形状は針状、球状、サイコロ状、
のいずれでも良いが、形状の一部に角を有するものが研
磨性が高く好ましい。具体的には住友化学社製AKP−
12、AKP−15、AKP−20、AKP−30、A
KP−50、HIT−20、HIT−30、HIT−5
5、HIT−60A、HIT−70、HIT−80、H
IT−100、レイノルズ社製、ERC−DBM、HP
−DBM、HPS−DBM、不二見研磨剤社製、WA1
0000、上村工業社製、UB20、日本化学工業社
製、G−5、クロメックスU2、クロメックスU1、戸
田工業社製、TF100、TF140、イビデン社製、
ベータランダムウルトラファイン、昭和鉱業社製、B−
3などが挙げられる。これらの研磨剤は必要に応じ下層
に添加することもできる。下層に添加することで表面形
状を制御したり、研磨剤の突出状態を制御したりするこ
とができる。これら磁性層、下層の添加する研磨剤の粒
径、量はむろん最適値に設定すべきものである。
【0034】ダイアモンド微粒子としては、天然ダイア
モンドまたは人工ダイアモンドが使用される。人工ダイ
アモンドの製法としては、黒鉛と鉄、Co、Ni等を介
して高温高圧下で生成する方法、黒鉛またはフラン樹脂
炭素を高温高圧下で反応させる静的合成法と呼ばれるも
のの他、動的合成法、気相合成法がある。本発明はダイ
アモンドの製法を選ばない。
【0035】工業的には切削、研磨として使用したダイ
アモンドを不純物を弁別洗浄したものを用い、2次使用
することも可能である。本発明はダイアモンド粒子の分
布を規定する。ダイアモンド粒子を分級する方法として
は、分散液から遠心力を用いる方法、特殊なメッシュフ
ィルターを用いる方法等がある。
【0036】[添加剤]本発明の磁性層と下層に使用さ
れる、添加剤としては潤滑効果、帯電防止効果、分散効
果、可塑効果、などを持つものが使用される。二硫化モ
リブデン、二硫化タングステン、グラファイト、窒化ホ
ウ素、フッ化黒鉛、シリコーンオイル、極性基をもつシ
リコーン、脂肪酸変性シリコーン、フッ素含有シリコー
ン、フッ素含有アルコール、フッ素含有エステル、ポリ
オレフィン、ポリグリコール、アルキル燐酸エステルお
よびそのアルカリ金属塩、アルキル硫酸エステルおよび
そのアルカリ金属塩、ポリフェニルエーテル、フェニル
ホスホン酸、αナフチル燐酸、フェニル燐酸、ジフェニ
ル燐酸、p−エチルベンゼンホスホン酸、フェニルホス
フィン酸、アミノキノン類、各種シランカップリング
剤、チタンカップリング剤、フッ素含有アルキル硫酸エ
ステルおよびそのアルカリ金属塩、炭素数10〜24の
一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、また分岐して
いてもかまわない)、および、これらの金属塩(Li、
Na、K、Cuなど)または、炭素数12〜22の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコール(不飽和
結合を含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭
素数12〜22のアルコキシアルコール(不飽和結合を
含んでも、また分岐していてもかまわない)、炭素数1
0〜24の一塩基性脂肪酸(不飽和結合を含んでも、ま
た分岐していてもかまわない)と炭素数2〜12の一
価、二価、三価、四価、五価、六価アルコールのいずれ
か一つ(不飽和結合を含んでも、また分岐していてもか
まわない)とからなるモノ脂肪酸エステルまたはジ脂肪
酸エステルまたはトリ脂肪酸エステル、アルキレンオキ
シド重合物のモノアルキルエーテルの脂肪酸エステル、
炭素数8〜22の脂肪酸アミド、炭素数8〜22の脂肪
族アミン、などが使用できる。
【0037】これらの具体例としては脂肪酸では、カプ
リン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パル
ミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、エラ
イジン酸、リノール酸、リノレン酸、イソステアリン酸
などが挙げられる。エステル類ではブチルステアレー
ト、オクチルステアレート、アミルステアレート、イソ
オクチルステアレート、ブチルミリステート、オクチル
ミリステート、ブトキシエチルステアレート、ブトキシ
ジエチルステアレート、2−エチルヘキシルステアレー
ト、2−オクチルドデシルパルミテート、2−ヘキシル
ドデシルパルミテート、イソヘキサデシルステアレー
ト、オレイルオレエート、ドデシルステアレート、トリ
デシルステアレート、エルカ酸オレイル、ネオペンチル
グリコールジデカノエート、エチレングリコールジオレ
イル、アルコール類ではオレイルアルコール、ステアリ
ルアルコール、ラウリルアルコールなどがあげられる。
また、アルキレンオキサイド系、グリセリン系、グリシ
ドール系、アルキルフェノールエチレンオキサイド付加
体、等のノニオン界面活性剤、環状アミン、エステルア
ミド、第四級アンモニウム塩類、ヒダントイン誘導体、
複素環類、ホスホニウムまたはスルホニウム類等のカチ
オン系界面活性剤、カルボン酸、スルフォン酸、燐酸、
硫酸エステル基、燐酸エステル基、などの酸性基を含む
アニオン界面活性剤、アミノ酸類、アミノスルホン酸
類、アミノアルコールの硫酸または燐酸エステル類、ア
ルキルベダイン型、等の両性界面活性剤等も使用でき
る。これらの界面活性剤については、「界面活性剤便
覧」(産業図書株式会社発行)に詳細に記載されてい
る。これらの潤滑剤、帯電防止剤等は必ずしも100%
純粋ではなく、主成分以外に異性体、未反応物、副反応
物、分解物、酸化物等の不純分が含まれてもかまわな
い。これらの不純分は30重量%以下が好ましく、さら
に好ましくは10重量%以下である。
【0038】本発明で使用されるこれらの潤滑剤、界面
活性剤は個々に異なる物理的作用を有するものであり、
その種類、量、および相乗的効果を生み出す潤滑剤の併
用比率は、前記引っ掻き深さや表面潤滑剤指数の調整の
ため、あるいはその他の目的に応じ最適に定められるべ
きものである。具体的には、下層、磁性層で融点の異な
る脂肪酸を用い表面への滲み出しを制御する、沸点、融
点や極性の異なるエステル類を用い表面への滲み出しを
制御する、界面活性剤量を調節することで塗布の安定性
を向上させる、潤滑剤の添加量を下層で多くして潤滑効
果を向上させるなどが考えられ、無論ここに示した例の
みに限られるものではない。一般には潤滑剤の総量とし
て磁性層の強磁性粉末または下層の非磁性粉末に対し、
通常、0.1重量%〜50重量%、好ましくは2重量%
〜25重量%の範囲で選択される。
【0039】また本発明で用いられる添加剤のすべてま
たはその一部は、磁性および非磁性塗料製造のどの工程
で添加してもかまわない、例えば、混練工程前に磁性体
と混合する場合、磁性体と結合剤と溶剤による混練工程
で添加する場合、分散工程で添加する場合、分散後に添
加する場合、塗布直前に添加する場合などがある。ま
た、目的に応じて磁性層を塗布した後、同時または逐次
塗布で、添加剤の一部または全部を塗布することにより
目的が達成される場合がある。また、目的によってはカ
レンダー処理(カレンダーロールによる加熱加圧処理)
した後、またはスリット終了後、磁性層表面に潤滑剤を
塗布することもできる。本発明で用いられる有機溶剤は
公知のものが使用でき、例えば特開平6−68453に
記載の溶剤を用いることができる。
【0040】[層構成]本発明の磁気記録媒体の厚み構
成は支持体が20〜100μm、好ましくは25〜 80
μmである。
【0041】支持体と下層との間に密着性向上のための
下塗り層を設けてもかまわない。発明の下塗層厚みは
0.005〜0.5μm、好ましくは0.01〜0.5
μmである。本発明は通常、支持体両面に下層と磁性層
を設けてなる両面磁性層ディスク状媒体であっても、片
面のみにそれらを設けたディスク状媒体あるいはテープ
媒体であってもよい。後者の場合、帯電防止やカール補
正などの効果を出すために磁性層側と反対側にバックコ
ート層を設けてもかまわない。この厚みは0.1〜4μ
m、好ましくは0.3〜2.0μmである。これらの下塗
層、バックコート層は公知のものが使用できる。
【0042】本発明の媒体の磁性層の厚みは用いるヘッ
ドの飽和磁化量やヘッドギャップ長、記録信号の帯域に
より最適化されるものであるが、好ましくは0.03〜
0.5μm、更に好ましくは0.05〜0.3μmであ
る。磁性層を異なる磁気特性を有する2層以上に分離し
てもかまわず、公知の重層磁性層に関する構成が適用で
きる。この磁性層が複層の場合、前記磁性層厚みは、最
上層のものを言う。
【0043】本発明になる媒体の下層の厚みは通常、
0.2μm以上5.0μm以下、好ましくは0.3μm
以上3.0μm以下、さらに好ましくは0.5μm以上
2.5μm以下である。
【0044】[支持体]本発明に用いられる支持体は非
磁性であることが好ましい。非磁性支持体としてはポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−スト
リアセテート、ポリカーボネート、ポリアミド(脂肪族
ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、
ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリ
ベンゾオキサゾールなどの公知のフィルムが使用でき
る。ポリエチレンナフタレート、ポリアミドなどの高強
度支持体を用いることが好ましい。また必要に応じ、磁
性面とベース面の表面粗さを変えるため特開平3−22
4127に示されるような積層タイプの支持体を用いる
こともできる。これらの支持体にはあらかじめコロナ放
電処理、プラズマ処理、易接着処理、熱処理、除塵処
理、などをおこなっても良い。また本発明の支持体とし
てアルミまたはガラス基板を適用することも可能であ
る。
【0045】本発明の目的を達成するには、支持体とし
てWYKO社製の表面粗さ計TOPO−3DのMIRA
U法で測定した中心面平均表面粗さ(Ra)は通常、
8.0nm以下、好ましくは4.0nm以下、さらに好まし
くは2.0nm以下のものを使用することが好ましい。支
持体は単に中心面平均表面粗さが小さいだけではなく、
0.3μm以上の粗大突起がないことが好ましい。また
表面の粗さ形状は必要に応じて 支持体に添加されるフ
ィラーの大きさと量により自由にコントロールされるも
のである。これらのフィラーとしては一例としてはC
a、Si、Tiなどの酸化物や炭酸塩の他、アクリル系
などの有機微粉末があげられる。支持体の最大高さSR
maxは1μm以下、十点平均粗さSRzは0.5μm以下、
中心面山高さはSRp は0.5μm以下、中心面谷深さ
SRvは0.5μm以下、中心面面積率SSr は 10%
以上、90%以下、平均波長Sλaは5μm以上、300
μm以下が好まし い。所望の電磁変換特性と耐久性を得
るため、これら支持体の表面突起分布をフィラーにより
任意にコントロールできるものであり、0.01μmか
ら1μmの大きさのもの各々を0.1mm2 あたり0個
から2000個の範囲でコントロールすることができ
る。
【0046】本発明に用いられる非磁性支持体のF−5
値は好ましくは5〜50Kg/mm2(49〜490MP
a)、また、支持体の100℃30分での熱収縮率は好
ましくは3%以下、さらに好ましくは1.5%以下、8
0℃30分での熱収縮率は好ましくは0.5%以下、さ
らに好ましくは0.1%以下である。破断強度は5〜1
00Kg/mm2(49〜980MPa)、弾性率は100〜
2000Kg/mm2(0.98〜19.6GPa)が好まし
い。温度膨張係数は10-4〜10-8/℃であり、好まし
くは10-5〜10-6/℃である。湿度膨張係数は10-4
/RH%以下であり、好ましくは10-5/RH%以下である。
これらの熱特性、寸法特性、機械強度特性は支持体の面
内各方向に対し10%以内の差でほぼ等しいことが好ま
しい。
【0047】[製法]本発明の磁気記録媒体の磁性塗料
又は下層塗料を製造する工程は、少なくとも混練工程、
分散工程、およびこれらの工程の前後に必要に応じて設
けた混合工程からなる。個々の工程はそれぞれ2段階以
上にわかれていてもかまわない。本発明に使用する強磁
性粉末、非磁性粉末、結合剤、カーボンブラック、研磨
剤、帯電防止剤、潤滑剤、溶剤などすべての原料はどの
工程の最初または途中で添加してもかまわない。また、
個々の原料を2つ以上の工程で分割して添加してもかま
わない。例えば、ポリウレタンを混練工程、分散工程、
分散後の粘度調整のための混合工程で分割して投入して
もよい。本発明の目的を達成するためには、従来の公知
の製造技術を一部の工程として用いることができる。混
練工程ではオープンニーダ、連続ニーダ、加圧ニーダ、
エクストルーダなど強い混練力をもつものを使用するこ
とが好ましい。ニーダを用いる場合は磁性粉末または非
磁性粉末と結合剤のすべてまたはその一部(ただし全結
合剤の30重量%以上が好ましい)および磁性粉末10
0重量部に対し15〜500重量部の範囲で混練処理さ
れる。これらの混練処理の詳細については特開平1−1
06338、特開平1−79274に記載されている。
また、磁性層液および下層液を分散させるにはガラスビ
ーズを用ることができるが、高比重の分散メディアであ
るジルコニアビーズ、チタニアビーズ、スチールビーズ
が好適である。これら分散メディアの粒径と充填率は最
適化して用いられる。分散機は公知のものを使用するこ
とができる。本発明で重層構成の磁気記録媒体を塗布す
る場合、以下のような方式を用いることが好ましい。第
一に磁性塗料の塗布で一般的に用いられるグラビア塗
布、ロール塗布、ブレード塗布、エクストルージョン塗
布装置等により、まず下層を塗布し、下層がウェット状
態のうちに特公平1−46186や特開昭60−238
179,特開平2−265672に開示されている支持
体加圧型エクストルージョン塗布装置により上層を塗布
する方法、第二に特開昭63−88080、特開平2−
17971,特開平2−265672に開示されている
ような塗布液通液スリットを二つ内蔵する一つの塗布ヘ
ッドにより上下層をほぼ同時に塗布する方法、第三に特
開平2−174965に開示されているバックアップロ
ール付きエクストルージョン塗布装置により上下層をほ
ぼ同時に塗布する方法である。なお、磁性粒子の凝集に
よる磁気記録媒体の電磁変換特性等の低下を防止するた
め、特開昭62−95174や特開平1−236968
に開示されているような方法により塗布ヘッド内部の塗
布液にせん断を付与することが望ましい。さらに、塗布
液の粘度については、特開平3−8471に開示されて
いる数値範囲を満足することが好ましい。本発明の構成
を実現するには下層を塗布し乾燥させたのち、その上に
磁性層を設ける逐次重層塗布を用いてもむろんかまわ
ず、本発明の効果が失われるものではない。ただし、塗
布欠陥を少なくし、ドロップアウトなどの品質を向上さ
せるためには、前述の同時重層塗布を用いることが好ま
しい。
【0048】本発明では、配向装置を用いず無配向でも
十分に等方的な配向性が得られることもあるが、コバル
ト磁石を斜めに交互に配置すること、ソレノイドで交流
磁場を印加するなど公知のランダム配向装置を用いるこ
とが好ましい。等方的な配向とは強磁性金属粉末の場
合、一般的には面内2次元ランダムが好ましいが、垂直
成分をもたせて3次元ランダムとすることもできる。
【0049】カレンダー処理ロールとしてエポキシ、ポ
リイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等の耐熱性の
あるプラスチックロールまたは金属ロールで処理するこ
とが好ましい。処理温度は、好ましくは80℃以上、さ
らに好ましくは85℃以上である。線圧力は好ましくは
200Kg/cm(196kN/m)以上、さらに好ましく
は300Kg/cm(294kN/m)以上である。
【0050】[物理特性]本発明になる磁気記録媒体の
磁性層の飽和磁束密度は強磁性金属粉末を用いた場合、
通常、200mT[2000G(ガウス)]以上、60
0mT(6000G)以下である。抗磁力の分布は狭い
方が好ましく、SFDおよびSFDrは0.6以下が好
ましい。角形比は、ランダム配向で0.45〜0.5
5、2次元ランダムの場合は0.6以上0.67以下で
ある。
【0051】本発明の磁気記録媒体のヘッドに対する摩
擦係数は温度−10℃から40℃、湿度0%から95%
の範囲において通常、0.5以下、好ましくは0.3以
下、表面固有抵抗は好ましくは磁性面104〜1012
ーム/sq、帯電位は−500Vから+500V以内が好ま
しい。磁性層の0.5%伸びでの弾性率は面内各方向で
好ましくは100〜2000Kg/mm2(0.98〜19.
6GPa)、破断強度は好ましくは10〜70Kg/mm
2(98〜686MPa) 、磁気記録媒体の弾性率は面
内各方向で好ましくは100〜1500Kg/mm2(0.9
8〜14.7GPa) 、残留のびは好ましくは0.5
%以下、100℃以下のあらゆる温度での熱収縮率は好
ましくは1%以下、さらに好ましくは0.5%以下、も
っとも好ましくは0.1%以下である。磁性層のガラス
転移温度(110Hzで測定した動的粘弾性測定の 損失弾
性率の極大点)は50℃以上120℃以下が好ましく、
下層のそれは0℃ 〜100℃が好ましい。損失弾性率
は1×108 〜8×109 dyne/cm2(1×107 〜8×
108N/m2)の範囲にあることが好ましく、損失正接
は0.2以下であることが好ましい。損失正接が大きす
ぎると粘着故障が発生しやすい。これらの熱特性や機械
特性は媒体の面内各方向で10%以内でほぼ等しいこと
が好ましい。磁性層中に含まれる残留溶媒は好ましくは
100mg/m2 以下、さらに好ましくは10mg/m2 以下
である。塗布層が有する空隙率は下層、磁性層とも好ま
しくは30容量%以下、さらに好ましくは20容量%以
下である。空隙率は高出力を果たすためには小さい方が
好ましいが、目的によってはある値を確保した方が良い
場合がある。例えば、繰り返し用途が重視されるディス
ク媒体では空隙率が大きい方が走行耐久性は好ましいこ
とが多い。
【0052】磁性層のRaは前記した通りであり、磁性
層の最大高さSRmaxは0.5μm以下、十点平均粗さS
Rzは0.3μm以下、中心面山高さSRpは0.3μm以
下、中心面谷深さSRvは0.3μm以下、中心面面積率
SSrは20%以上、80%以下、平均波長Sλaは5μ
m以上、300μm以下が好ましい。磁性層の表面突起は
0.01μmから1μmの大きさのものを0個から200
0個の範囲で任意に設定することが可能であり、これに
より電磁変換特性、摩擦係数を最適化することが好まし
い。これらは支持体のフィラーによる表面性のコントロ
ールや磁性層に添加する粉体の粒径と量、カレンダー処
理のロール表面形状などで容易にコントロールすること
ができる。カールは±3mm以内とすることが好ましい。
【0053】本発明の磁気記録媒体において、目的に応
じ下層と磁性層でこれらの物理特性を変えることができ
るのは容易に推定されることである。例えば、磁性層の
弾性率を高くし走行耐久性を向上させると同時に下層の
弾性率を磁性層より低くして磁気記録媒体のヘッドへの
当りを良くするなどである。
【0054】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を説明するが、
本発明はこれに限定されるべきものではない。なお、以
下の「部」とは「重量部」のことである。実施例に使用
した磁性体の特性を以下に示す。
【0055】 磁性体A:組成 Fe/Co=70/30(原子比) Al/Fe=11原子%、Y/Fe=7原子% Hc=190,244A/m(2390エルステッ
ド)、平均長軸長=0.1μm、σs=145A・m2
kg 結晶子サイズ=15nm、SBET=48m2/g 磁性体B:組成 Fe/Co=100/0(原子比) Al/Fe=0原子%、Y/Fe=0原子% Hc=133,728A/m(1680エルステッ
ド)、平均長軸長=0.2μm、σs=133A・m2
kg 結晶子サイズ=22.4nm、SBET=38m2/g
【0056】 試料No.8(実施例)の製造 <塗料の作成> 上層用塗料 強磁性金属粉末:磁性体A(表1に記載) 100部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 10部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 3部 カーボンブラック #50(旭カーボン社製) 3部 フェニルホスホン酸 3部 ブチルステアレート(BS) 2部 ブトキシエチルステアレート(BES) 3部 ネオペンチルグリコール(NPG) 3部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 180部 シクロヘキサノン 110部
【0057】 下層用塗料 非磁性粉末 TiO2結晶系ルチル 100部 平均粒径=0.035μm、SBET=40m2/g、 PH=7、TiO2含有量90%以上、 DBP給油量=27〜38ml/100g 表面にAl23が粒子全体に対して8重量%存在 カーボンブラック(日本EC(株)製ケッチェンブラックEC) 13部 塩化ビニル共重合体 MR110(日本ゼオン社製) 17部 ポリウレタン樹脂 UR8200(東洋紡社製) 6部 フェニルホスホン酸 3部 ブチルステアレート(BS) 3部 ブトキシエチルステアレート(BES) 4部 ネオペンチルグリコール(NPG) 4部 オレイン酸 1部 ステアリン酸 1部 メチルエチルケトン 200部 シクロヘキサノン 50部
【0058】上記の塗料のそれぞれについて、各成分を
ニーダで混練したのち、ダイアモンド微粒子1部を添加
し、サンドミルを用いて分散させた。得られた上層用お
よび下層用分散液それぞれに、αアルミナ(住友化学社
製HIT55)を塩化ビニル共重合体(日本ゼオン社製
MR110)に分散したペースト(住友化学社製SLH
55)をαアルミナの量として5部を加え、更にポリイ
ソシアネートを上層用分散液には5部、下層用分散液に
は13部を加え、さらにそれぞれにシクロヘキサノン4
0部を加え,1μm の平均孔径を有するフィルターを用
いて濾過し、上層形成用および下層形成用の塗布液を調
製した。
【0059】得られた下層塗布液を、乾燥後の厚さが
2.0μm になるようにさらにその直後にその上に磁性
層の厚さが0.2μm になるように、厚さ62μm で中
心面平均表面粗さが3nmのポリエチレンテレフタレー
ト支持体上に同時重層塗布をおこない、両層がまだ湿潤
状態にあるうちに周波数50Hz、磁場強度250ガウス
また周波数50Hz、120ガウスの2つの磁場強度交流
磁場発生装置の中を通過させランダム配向処理を行い乾
燥させた。次いでもう片方の支持体面にも同様に塗布、
配向し、乾燥させ、その後7段のカレンダーを用い、線
圧300Kg/cm(294kN/m)で弾性ロールの種類
と温度が表1に示すカレンダー条件で処理を行い、直径
9.4cmの円板に打ち抜き、表面研磨処理した後、所
定の機構部品を付加し米Iomega社製Zip−di
skカートリッジに入れ、3.7吋フロッピーディスク
カートリッジを得た。
【0060】試料No.1〜7、9〜12の製造 試料No.8において、下層用塗料の潤滑剤量、カレン
ダー条件及び磁性体を表1に記載のように変更した以外
は、試料No.8と同様にして作成した。上層及び下層
用塗料の潤滑剤量については、BS/BES/NPGの比は、試料
8と同じであるが、3者の総量の倍率を変更した。試料
No.8における上層のBS/BES/NPGの総量と下層のBS/B
ES/NPGの総量をそれぞれ1とした時の各試料の倍率を表
1に示した。上記作成した磁性体、磁気ディスクの各々
の特性を下記の測定法により評価し、その結果を表1に
示す。
【0061】測定法 (1)引っ掻き深さ:新東科学製表面性測定機TYPE
−HEIDON−14を用い、磁気記録媒体表面にダイ
アモンド針で引っ掻いて条痕をつけ、その深さを米WY
KO社製TOPO−3Dにて測定した。HEIDONで
の引っ掻き条件は、触針半径100μmR、触針荷重1
0g一定、引っ掻き速度10cm/min、引っ掻き長
さ3cm、環境23℃50%である。(2)に記す表面潤
滑剤指数が大きい側の表面を測定した。深さの測定条件
はTOPO-3Dに40倍レンズを装着し、引っ掻き傷
中央付近で、測定面積250μm×250μmを256
×256画素のCCDで測定し、8本の測定ラインのPe
ak-Valleyの平均値を深さとした。
【0062】(2)表面潤滑剤指数:サンプルを2分割
し、一方(a)はそのままの状態で、もう一方(b)は以下に
のべる方法で潤滑剤成分を除去した状態にして、米国Φ
社製オージェ電子分光解析装置(PHI-660型)に導入
し、1次電子線加速電圧3kV、試料電流130nA、
倍率250倍、傾斜角度30゜の条件で、Kinetic Ener
gy130から730eVの範囲を3回積算し、炭素
(C)のKLLピークの強度と鉄(Fe)のLMMピークの強
度を微分形で求め、C/Feの比をとり、(a)と(b)の強
度比(C/Fe(a)/C/Fe(b))をディスクの両面に
ついて算出し、そのうち大きい方の値を表面潤滑剤指数
とした。 潤滑剤成分の除去法;サンプル(10mm×30mm)
をn−ヘキサンに常温で30分間浸漬し、未吸着の脂肪
酸および脂肪酸エステルを抽出・除去し、次いで、試料
瓶に入れ、n−ヘキサン10ml、誘導体化試薬として
シリル化剤であるTMSI−H(HMDS(ヘキサメチ
ルジシラザラン)(2):TMCS(トリメチルクロロ
シラン)(1):ピリジン(10)の容量比の混合物
ジーエルサイエンス社製)0.3mlを加え、60℃、
1時間加熱誘導体化反応を行い、試料を取り出しエタノ
ールで洗浄した後乾燥させて潤滑剤成分を除去した。
【0063】(3)S/N:米GUZIK社製のRWA
1001型ディスク評価装置および協同電子システム
(株)製スピンスタンドLS−90にて、ギャップ長
0.3μmのメタルインギャップヘッドを用い、半径2
4.6mmの位置において線記録密度90kfci時で
の再生出力(TAA)とDCイレーズ後のノイズレベル
を測定し、No.12のサンプルを0dBとしてS/N値を
求めた。
【0064】(4)耐久性:フロッピーディスクドライ
ブ(米Iomega社製ZIP100:回転数2968
rpm)を用い、半径38mm位置にヘッドを固定し、
記録密度34kfciで記録を行った後、その信号を再
生し100%とした。その後、50℃20%の環境化で
走行させ、走行開始からその出力が初期値の70%以下
になるまでの時間を耐久性とした。表中「↑」は、「以
上」を意味する。
【0065】
【表1】
【0066】磁気記録媒体表面の引っ掻き深さを65n
m以下、磁気記録媒体の表面潤滑剤指数を2〜8とした
実施例の試料は、それらのどちらかを満足しない比較例
の試料に比べて、耐久性が優れ、かつS/Nも良好で、
両者が両立している。
【0067】
【発明の効果】本発明は支持体上に非磁性粉末と結合剤
を含む下層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む
上層を設けた磁気記録媒体において、好ましくは磁性層
の抗磁力(Hc)を159,200A/m以上とし、さ
らに強磁性粉末として平均長軸長30〜150nmの強
磁性金属粉末を用い、磁気記録媒体表面の引っ掻き深さ
を65nm以下、磁気記録媒体の表面潤滑剤指数を2〜
8とすることにより、出力と耐久性を向上させた高記録
密度、高耐久性のフロッピーディスク等の磁気記録媒体
を得るものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J038 CB002 DF022 DL032 EA011 HA036 HA076 HA216 HA266 HA316 HA356 HA376 HA476 JA17 JA20 JA23 JA28 JA44 JA53 JA55 JA59 JB02 JB08 JB12 JC09 JC23 JC24 JC30 KA07 KA20 NA22 PB11 5D006 BA04 BA05 BA08 BA19 FA02 5E040 AA11 AA19 BB03 CA06 NN06 NN12 NN17

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 支持体上に非磁性粉末と結合剤を含む下
    層を設け、その上に強磁性粉末と結合剤を含む磁性層を
    設けた磁気記録媒体において、磁気記録媒体表面の引っ
    掻き深さが65nm以下で、磁気記録媒体表面の表面潤
    滑剤指数が2〜8であることを特徴とする磁気記録媒
    体。
  2. 【請求項2】 前記磁性層の抗磁力(Hc)が159,
    200A/m(2000エルステッド)以上であること
    を特徴とする請求項1に記載の磁気記録媒体。
  3. 【請求項3】 前記強磁性粉末が平均長軸長30〜15
    0nmの強磁性金属粉末であることを特徴とする請求項
    1に記載の磁気記録媒体。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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