JP2004099796A - 活性光線硬化型インクジェット用インク組成物およびインクジェット記録方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】硬化定着させるためのエネルギーが少なく、耐薬品性、機械的強度、密着性に優れる硬化画像を披記録媒体上に形成でき、インクの保存安定性、安全性も良好であるインクジェット用インク組成物および記録方法を提供することである。
【解決手段】塩基性原子団を有するデンドリマー、塩基性原子団を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【選択図】 なし
【解決手段】塩基性原子団を有するデンドリマー、塩基性原子団を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は活性光線硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性光線硬化型インクジェット用インク組成物に関しては、低分子量のラジカル重合性化合物(例えば特許文献1参照)や、低分子量のカチオン重合性化合物(例えば特許文献2参照)を用いた組成物が開示されている。これら低分子量の重合性化合物はインクの低粘度化には寄与しているが、活性光線照射による硬化度は十分ではなく、また人体に対する安全性に問題がある材料でもある。
【0003】
一方、上記課題を改良すべく、高分子量の樹脂微粒子をインク中に含有させた活性光線硬化型インクジェット用インク組成物も提案されている(例えば特許文献3や特許文献4参照)。しかし、十分な効果を得るためには樹脂微粒子の添加量はある程度増大させる必要があり、おのずとインクは高粘度化してしまい、インクの射出性が大幅に低下してしまう問題を有する。また、樹脂粒子の融着によるインクの保存安定性にも問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特表2000−504778号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−188025号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2001−294604号公報
【0007】
【特許文献4】
特開2001−81114号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、硬化定着させるためのエネルギーが少なく、耐薬品性、機械的強度、密着性に優れる硬化画像を披記録媒体上に形成でき、インクの保存安定性、安全性も良好であるインクジェット用インク組成物および記録方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の構成は下記のとおりである。
【0010】
1.塩基性原子団を有するデンドリマー、塩基性原子団を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0011】
2.塩基性原子団が酸素または窒素を含むものである前記1に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0012】
3.重合性基を有するデンドリマー、重合性基を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0013】
4.重合性基がラジカル重合性、カチオン重合性の少なくとも一方である前記3に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0014】
5.ラジカル重合性基がアクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれる少なくともひとつの基である前記4記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0015】
6.カチオン重合性基がビニルエーテル、プロペニルエーテル、オキシラン環、チイラン環、オキセタン環、チエタン環基から選ばれる少なくともひとつの基である前記4記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0016】
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体に着弾した後、活性光線を照射して、被記録媒体上にインクを硬化定着させるインクジェット記録方法。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、デンドリマーとしては、デンドリマー構造を有するポリマーおよび超分岐ポリマーが使用される。室温で固体であって、数平均分子量が1000から100000の範囲のものが望ましく、特に2000〜50000の範囲のものが好ましく使用される。室温で固体でない場合は、形成される画像の維持性が悪くなる。また、分子量が上記の範囲より低い場合には定着画像がもろくなり、また、分子量が上記の範囲より高い場合には、添加量を下げてもインクの粘度が高くなりすぎて射出特性の点で実用的ではなくなる。
【0018】
デンドリマー構造を有するポリマーの例としては、アミドアミン系デンドリマー(米国特許第4,507,466号、同4,558,120号、同4,568,737号、同4,587,329号、同4,631,337号、同4,694,064号明細書)、フェニルエーテル系デンドリマー(米国特許第5,041,516号明細書、Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜7647頁))等があげられる。アミドアミン系デンドリマーについては、末端アミノ基とカルボン酸メチルエステル基を持つデンドリマーが、Aldrich社より「StarburstTM(AMAM)」として市販されている。また、そのアミドアミン系デンドリマーの末端アミノ基を、種々のアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体と反応させ、対応する末端をもったアミドアミン系デンドリマーを合成して、それらを使用することもできる。利用できるアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体としては、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、パルミチル、ステアリル等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アミド、イソプロピルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルアミド類があげられるが、これに限られるものではない。
【0019】
また、フェニルエーテル系デンドリマーについては、例えば、上記Journal of American Chemistryには種々のものが記載され、例えば、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールを用い、3,5−ジフェノキシベンジルブロミドと反応させて第2世代のベンジルアルコールを合成し、そのOH基をCBr4およびトリフェニルホスフィンを用いてBrに変換した後、同様に3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールと反応させて次世代のベンジルアルコールを合成し、以下、上記反応を繰り返して所望のデンドリマーを合成することが記載されている。フェニルエーテル系デンドリマーについても、末端ベンジルエーテル結合の代わりに、末端を種々の化学構造をもつもので置換することができる。例えば、上記Journal of American Chemistryに記載のデンドリマーの合成に際して、上記ベンジルブロミドの代わりに種々のアルキルハライドを用いれば、相当するアルキル基を有する末端構造を有するフェニルエーテル系デンドリマーが得られる。その他ポリアミン系デンドリマー(Macromol.Symp.77、21(1994))およびその末端基を変性した誘導体を使用することができる。
【0020】
超分岐ポリマーとしては、例えば、超分岐ポリエチレングリコール等が使用できる。超分岐ポリマーは、1分子内に分岐部分に相当する2つ以上の一種の反応点とつなぎ部分に相当する別種のただ1つの反応点とをもち合わせたモノマーを用い、標的ポリマーを1段階で合成することにより得られるものである(Macromolecules、29巻(1996)、3831−3838頁)。例えば、超分岐ポリマー用モノマーの一例として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体があげられる。超分岐ポリマーの製造例をあげると、1−ブロモ−8−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3,6−ジオキサオクタンと3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルとから得られた3,5−ビス((8′−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルの加水分解物である3,5−ビス((8′−ヒドロキシ−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルをジブチル錫ジアセテートと窒素雰囲気下で加熱して、超分岐ポリマーであるポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。3,5−ジヒドロキシ安息香酸を用いた場合、超分岐ポリマー末端基は水酸基となるため、この水酸基に対して、適当なアルキルハライドを用いることにより、種々の末端基を有する超分岐ポリマーを合成することができる。
【0021】
デンドリマー構造を有するポリマーまたは超分岐ポリマー等は、主鎖の化学構造とその末端基の化学構造によりその特性が支配されるが、特に末端基や化学構造中の置換基の相違によりその特性が大きく異なるものとなる。特に末端にアミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシル基等の塩基性原子団、また、前記デンドリマー構造中の、イミノ基や置換イミノ基或いはニトリロ基等の塩基性原子団、エーテル基等、またチオエーテル等の酸素、硫黄等を含有する塩基性原子団を有するものは、光反応後のゲル化効果が大きく有用である。塩基性原子団とは、プロトン受容性を有する原子団であり、本発明においてはプロトン受容性を有するかぎりいかなるものでもよいが、特に、前記のうち、窒素、酸素を含有する塩基性原子団が好ましく、特に、前記末端にアミノ基、置換アミノ基或いはヒドロキシル基等を有するもの、また分子中にイミノ基や置換イミノ基或いはニトリロ基、エーテル基等を塩基性原子団として有するものが好ましい。前記置換アミノ基として、好ましくは低級アルキル、低級ジアルキルアミノ基等の基があげられ、置換イミノ基の置換基として好ましいものとして低級アルキル基があげられる。
【0022】
一方、末端に重合性基を有するものも、その反応性ゆえに、光反応後のゲル化効果が、やはり大きく有用である。
【0023】
重合性基を有するデンドリマーは、上記デンドリマーの末端基を重合性基を有する化合物で化学修飾して得られる。
【0024】
例えば、アミノ系デンドリマーに活性水素含有(メタ)アクリレート系化合物をマイケル付加させてなる多官能化合物に、例えば、イソシアネート基含有ビニル化合物を付加させて合成する。また、アミノ系デンドリマーに例えば、(メタ)アクリル酸クロライド等を反応させることで末端に重合性基を有するデンドリマーが得られる。このような重合性基を与えるビニル化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられ、その例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩等、後述する種々のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられる。
【0025】
重合性基としては、カチオン重合性基を有する末端基もあげられ、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合により高分子化の起こる重合性基を有する、例えば、オキシラン、オキセタン類等の環状エーテル化合物類、また、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等の化合物を前記アミノ系デンドリマーと反応させることで導入することができる。例えば、クロロメチルオキシランをアミノ系デンドリマーと反応させ、末端にエポキシタイプのカチオン重合性基を導入できる。そのほか、末端基としては、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、ビニルエーテル類及びN−ビニル化合物類等から選ばれるカチオン重合性基がある。
【0026】
本発明において、上記のデンドリマーは1種のみを単独で用いてもよいし、他の種類のデンドリマーと併用してもよい。
【0027】
本発明において、上記のデンドリマーは、インク成分の10質量%以下の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
【0028】
包接化合物(包接化合物のホスト化合物のことをここにおいては便宜上こう呼ぶ)としては、例えば、環状D−グルカン類、シクロファン類、中性ポリリガンド、環状ポリアニオン、環状ポリカチオン、環状ペプチド、スフェランド(SPHERANDS)、キャビタンド(CAVITANDS)およびそれらの非環状類縁体が挙げられる。これらの中でも、環状D−グルカン類およびその非環状類縁体、シクロファン類、中性ポリリガンドが更に好ましい。
【0029】
環状D−グルカン類およびその非環状類縁体としては、例えば、α−D−グルコピラノースがグリコキシド結合によって連なった化合物として挙げられる。
【0030】
該化合物としては、デンプン、アミロース、アミロペクトン等のD−グルコピラノース基により構成される糖質類、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、D−グルコピラノース基の重合度が9以上のシクロデキストリン等のシクロデキストリンおよび−SO3C6H4CH2C6H4SO3−、−NHCH2CH2NH−、−NHCH2CH2NHCH2CH2NH−等の2価の基からなる単位が含まれている前記環状D−グルカン類およびその非環状類縁体化合物、或いは、これらの2価の基により前記環状D−グルカン類およびその非環状類縁体が互いに結ばれた構造を有する化合物、また、−SC6H5基、−N3基、−NH2基、−NEt2基、−SC(=NH2 +)NH2基、−SH基、−SCH2CH2NH2基、イミダゾリル基等の置換基を導入した下記式で表されるD−グルカン類およびその非環状類縁体の修飾物等が挙げられる。
【0031】
【化1】
【0032】
ここで、XはC6H5、N3、NH2、N(C2H5)2、SC(=NH2 +)NH2、SH、または
【0033】
【化2】
【0034】
また、ここで
【0035】
【化3】
【0036】
はシクロデキストリンを表す。
また、下記の2つの一般式で表されるシクロデキストリン誘導体および分岐シクロデキストリン、シクロデキストリンポリマー等も挙げられる。
【0037】
【化4】
【0038】
上記一般式において、R1〜R3は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表す。特にR1〜R3が水素原子あるいはヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基であるものが好ましく、1分子中の置換アルキル基の含有率が15%〜50%であるものが更に好ましい。n2は4〜10の正の整数を表す。
【0039】
【化5】
【0040】
上記一般式において、Rは、水素原子、−R12−CO2H、−R12−SO3H、−R12−NH2または−N(R13)2を表す。ここにおいて、R12は、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を表し、R13は、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
【0041】
なお、シクロデキストリンの製造例は「Jounal of the American Chemical Society」第71巻 第354頁 1949年、「Cheimish Berichte」第90巻 第2561頁 1949年、第90巻 第2561頁 1957年に記載されているが、勿論これらに限定されるものではない。
【0042】
本発明に用いられる分岐シクロデキストリンとは、公知のシクロデキストリンにグルコース、マルトース、セロビオーズ、ラクトース、ショ糖、ガラクトース、グルコサミン等の単糖類や2糖類等の水溶性物質を分岐付加ないし結合させたものであり、好ましくは、シクロデキストリンにマルトースを結合させたマルトシルシクロデキストリン(マルトースの結合分子数は1分子、2分子、3分子等いずれでもよい)やシクロデキストリンにグルコースを結合させたグルコシルシクロデキストリン(グルコースの結合分子数は1分子、2分子、3分子等いずれもでもよい)が挙げられる。
【0043】
これら分岐シクロデキストリンの具体的な合成方法は、例えば、澱粉化学、第33巻、第2号、119〜126頁(1986)、同127〜132頁(1986)、澱粉化学、第30巻、第2号、231〜239頁(1983)等に記載されており、これら公知の方法を参照して合成可能であり、例えば、マルトシルシクロデキストリンは、シクロデキストリンとマルトースを原料とし、イソアミラーゼやプルラナーゼ等の酵素を利用してシクロデキストリンにマルトースを結合させる方法で製造できる。グルコシルシクロデキストリンも同様の方法で製造できる。
【0044】
本発明において、好ましく用いられる分岐シクロデキストリンとしては、マルトースが1分子結合したα−シクロデキストリン、マルトースが1分子結合したβ−シクロデキストリン、マルトースが1分子結合したγ−シクロデキストリン、マルトースが2分子結合したα−シクロデキストリン、マルトースが2分子結合したβ−シクロデキストリン、マルトースが2分子結合したγ−シクロデキストリン、マルトースが3分子結合したα−シクロデキストリン、マルトースが3分子結合したβ−シクロデキストリン、マルトースが3分子結合したγ−シクロデキストリン、グルコースが1分子結合したα−シクロデキストリン、グルコースが1分子結合したβ−シクロデキストリン、グルコースが1分子結合したγ−シクロデキストリン、グルコースが2分子結合したα−シクロデキストリン、グルコースが2分子結合したβ−シクロデキストリン、グルコースが2分子結合したγ−シクロデキストリン、グルコースが3分子結合したα−シクロデキストリン、グルコースが3分子結合したβ−シクロデキストリン、グルコースが3分子結合したγ−シクロデキストリン等が挙げられる。
【0045】
次に、本発明に用いられるシクロデキストリンポリマーについて説明する。
本発明に用いられるシクロデキストリンポリマーとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。n2は2〜50の整数である。
【0046】
【化6】
【0047】
本発明に用いられるシクロデキストリンポリマーは、シクロデキストリンを、例えば、エピクロルヒドリンにより架橋高分子化して製造できる。
【0048】
これらシクロデキストリンは、例えば、特開昭61−97025号公報やドイツ特許第3,544,842号明細書等に記載された一般的な方法で合成できる。該シクロデキストリンポリマーについても、前記の如く本発明に関わる包接化合物(ホスト化合物)として使用してもよい。
【0049】
また、包接化合物(ホスト化合物)として、シクロファン類をもちいることができ、シクロファン類とは、芳香環が種々の結合によりつながった構造を有する環状化合物であって、多くの化合物が知られており、シクロファン類としては、これら公知の化合物を挙げることができる。
【0050】
芳香環を結ぶ結合しては、例えば、単なる結合手、−(CR1R2)m−、−O(CR1R2)mO−、−NH(CR1R2)mNH−、−(CR1R2)pNR3(CR4R5)q−、−(CR1R2)pN+R3(R4)−(CR5R6)q−、−(CR1R2)pS+R3−(CR4R5)q−、−CO2−、−CONR−(ここで、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、m、pおよびqは、同一でも異なっていてもよく、1〜4の整数を示す。)等の結合が挙げられる。該化合物としては、例えば、下記式で表されるパラシクロファン類、
【0051】
【化7】
【0052】
トリ−o−テイモタイド、シクロトリヴェラトリレンに代表される下記式で表されるオルトシクロファン類、
【0053】
【化8】
【0054】
メタシクロファン、カリックスアレン、レゾルシノール−アルデヒド環状オリゴマー等に代表される下記式で表されるメタシクロファン類、
【0055】
【化9】
【0056】
あるいは下記式で表されるパラ置換フェノール類非環状オリゴマーが挙げられる。
【0057】
【化10】
【0058】
ここにおいて、Xは−CH2−、−S−或いは単なる結合手であり、RはCH3またはt−C4H9であり、nは1〜10の整数である。
【0059】
その他に、中性ポリリガンドとして、クラウン化合物、クリプタンド、環状ポリアミンおよびそれらの非環状類縁体が挙げられる。
【0060】
これらの包接化合物(ホスト化合物)は、単体として添加してもよいが、包接化合物自身あるいは分子を取り込んだ包接化合物の溶剤への溶解性、その他の添加剤との相溶性を良好にするために、包接能を有する置換基をポリマーにペンダント置換基として懸垂させた別のポリマーを一緒に添加してもよい。
【0061】
該ポリマーは、例えば、特開平3−221501号公報、特開平3−221502号公報、特開平3−221503号公報、特開平3−221504号公報、特開平3−221505号公報に開示されているような方法を用いて容易に得ることができる。
【0062】
包接化合物についても、その末端基の化学構造によりその特性がかなり支配され、前記同様、特に末端にアミノ基、置換アミノ基、或いはヒドロキシル基等のプロトン受容性の基で代表される塩基性原子団を有するものは、また、分子中に前記同様にイミノ基、置換イミノ基等、さらにエーテル基等を有するものは光反応後のゲル化効果が大きく有用である。塩基性原子団としては、アミノ基、置換アミノ基、或いはヒドロキシル基等のほか、前記と同様プロトン受容性の、窒素原子または酸素原子を有する塩基性原子団が好ましい。
【0063】
また、重合性基を有する包接化合物は上記包接化合物の官能基を前記ラジカル重合性或いはカチオン重合性基を有する化合物でそれぞれ化学修飾してえられる。
【0064】
例えば、水酸基やアミノ基を有する包接化合物を(メタ)アクリレート系化合物や環状エーテル化合物でエステル化させて合成する。
【0065】
本発明において、上記の包接化合物についても1種のみを単独で用いてもよいし、他の種類の包接化合物と併用してもよい。
【0066】
本発明において、上記の包接化合物は、前記デンドリマーと同様、インク成分の10質量%以下の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
【0067】
(光重合開始剤)
本発明においては、活性光線による硬化性を有効にするために光重合開始剤を用いることが好ましい。
【0068】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p,−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等を挙げることができる。これらの重合開始剤を1種で、又は複数種を組合せて用いることができる。
【0069】
本発明には、さらに増感剤を使用することもできる。増感剤としては、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、若しくはピペリジン等の環状アミン系化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムジエチルチオホスフェート若しくは芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン若しくはナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等を挙げることができる。これらの増感剤を1種で、又は複数種を組合せて用いることができる。
【0070】
光カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、鉄アレーン錯体及び有機ポリハロゲン化合物を好ましく使用することができる。
【0071】
ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩としては、特公昭54−14277号、特公昭54−14278号、特開昭51−56885号、米国特許第3,708,296号、同第3,853,002号等に記載された化合物が挙げられる。
【0072】
本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −,PF6 −,AsF6 −,SbF6 −,CF3SO3 −塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物をもつものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
【0073】
【化11】
【0074】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
【0075】
【化12】
【0076】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
【0077】
【化13】
【0078】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0079】
【化14】
【0080】
光カチオン重合開始剤については、その他に津田譲著「超LSLレジストの分子設計」共立出版、1990、pp.55〜78に記載の光酸発生剤化合物を使用することができる。本発明において、重合開始剤のインク組成物中に占める割合は、0.01〜20%が好ましく、更に好ましくは0.1〜10%である。
本発明においては、その他の重合性化合物を用いることが好ましい。
【0081】
本発明に用いることのできるインク組成物中のその他の重合性化合物について説明する。
【0082】
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物、例えば特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料と、カチオン重合系の光硬化性樹脂、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137等の公報に公開されている。
【0083】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、又目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
【0084】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0085】
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0086】
ラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0087】
カチオン重合光硬化樹脂としては、カチオン重合により高分子化の起こるタイプ(主にエポキシタイプ)のエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマー、モノマーは、1分子内にエポキシ基を2個以上含有するプレポリマーを挙げることができる。このようなプレポリマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類及びエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらのプレポリマーは、その一種を単独で使用することもできるし、又その二種以上を混合して使用することもできる。
【0088】
カチオン重合系光硬化樹脂中に含有されるカチオン重合性化合物としては、他に例えば下記の(1)スチレン誘導体、(2)ビニルナフタレン誘導体、(3)ビニルエーテル類及び(4)N−ビニル化合物類を挙げることができる。
(1)スチレン誘導体
例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等
(2)ビニルナフタレン誘導体
例えば、2−ビニルナフタレン、α−メチル−2−ビニルナフタレン、β−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メトキシ−2−ビニルナフタレン等
(3)ビニルエーテル類
例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等
(4)N−ビニル化合物類
例えばN−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等
上記カチオン重合系光硬化樹脂のカチオン重合性組成物中の含有量は1〜97質量%が好ましく、より好ましくは30〜95質量%である。
【0089】
本発明の組成物には、さらに性能改良のため、本来の特性をかえない範囲で、着色剤、シランカツプリング剤、重合禁止剤、レベリング剤等の材料を添加することもできる。
【0090】
着色剤としては、例えばフタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ジケトピロロピロール系等の各種の有彩色有機顔料、カーボンブラック、チタンホワイト、シリカ、マイカ、酸化亜鉛等の無機顔料等が挙げられる。
【0091】
シランカツプリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。重合禁止剤としては、メトキノン、メチル・ハイドロキノン、ベンゾキノン等が挙げられる。又、レベリング剤としては、モダフロー(モンサント社製;登録商標)、FC−430(3M社製)等が挙げられる。
【0092】
これらの各種添加剤の使用量としては、それぞれ、組成物の0を越えて20質量%の範囲が好ましい。
【0093】
本発明の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物を得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。
【0094】
このように混合されたインクの物理的特性として、50℃における粘度が5〜30mPa・sである活性光線硬化性インクジェットインク組成物が好ましく用いられる。
【0095】
本発明のインクジェット記録方法は、上記のように調整した活性光線硬化性インクジェット用インク組成物を用いて非記録媒体に印字を行うもので、良好な画質、良好な印字を得ることができる。
【0096】
インクジェット記録法はインクの微小液滴をノズルから噴射させて、それを紙などの被記録媒体(印字媒体)面に付着させ印字または画像の記録を行うものである。いろいろなインクジェット記録法が提案されており、コンティニアス法と呼ばれる方法は例えば米国特許第3,298,030号および同第3,596,275号等に開示されている。またドロップオンデマンド法では、ピエゾ素子の変形をインク噴射の駆動力に応用したものが、例えば米国特許第3,946,398号に開示されている。また熱エネルギーを利用してインク滴を噴射するインクジェット記録法は例えぱ米国特許第4,251,824号に開示されている。
【0097】
本発明によるインクジェット記録方法にあっては、インク組成物を被記録媒体に付着させた後に、光照射を行う。照射された光によってインク組成物は重合反応を開始してインク組成物が被記録媒体(印字媒体)に固着する。
【0098】
本発明の光照射に用いられる光源としては、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を発生する光源が有効である。例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
【0099】
本発明の好ましい態様によれば、紫外線照射を行う場合、インクの吸収波長におけるピーク照度が1〜500mW/cm2である光源が用いられる。かかる光源で十分な硬化反応を行うことができるため、比較的安価で、小型の紫外線照射装置を用いることができ、コスト的にも有利である。
【0100】
本発明に用いられる被記録媒体はアルミニウム、鉄、銅の如き金属、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック、ガラスの如きセラミックス、木材、紙、印刷紙、繊維などである。
【0101】
本発明の好ましい被記録媒体としては、インクが吸収されない非吸収性記録媒体である。
【0102】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【0103】
合成例1
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにエチレンジアミン;20g、4−ヒドロキシブチルアクリレート;192g、酢酸エチル;70g、メタノール;20gを配合し、75℃に設定した湯浴にて3時間還流させた。そこで、反応器とコンデンサーの間に分流管をセットし、80℃の湯浴にて常圧で加温・撹拌を続けながら溶媒を留去した、さらにコンデンサー上部から真空ラインを接続し、70℃に下げた湯浴で5.33×10−3MPa以下まで減圧することにより酢酸エチルおよびメタノールを完全に留去したところ、粘稠な液状物を得た(収率99%)。そこで、湯浴温度を60℃に下げ、酢酸エチル;400g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート;195gを添加し、更に10分後、2−エチルヘキサン酸錫;1gを添加した。3時間加熱撹拌を続けた。更に、反応溶媒として用いた酢酸エチルをエバポレータで脱溶剤することにより目的とするデンドリマーを得た。
【0104】
合成例2
N,N,N′,N′−tetrakis(3−aminopropyl)−1,4−butanediamineに、アセトン/水中でアクリル酸クロライドを反応させ、末端にアクリレート基を有するデンドリマー構造を有する化合物を得た。
【0105】
合成例3
脱水ピリジン中にβ−シクロデキストリンを溶解し、室温でクロロメチルオキシランを滴下した。滴下終了後100−110℃で24時間攪拌する。反応終了後、未反応物を濾別後、繰り返し水・メタノールで洗浄し80−90℃で減圧下乾燥させて目的の化合物を得た。
【0106】
合成例4
500mlのフラスコにトルエン360mlを仕込み、還流下、m−キシリレンジオール;138mg(1.0mmol)およびイミダゾール;136mg(2.0mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解した溶液と、m−キシリレンジイソシアネート;188mg(1.0mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解した溶液とを、攪拌しながら9時間かけて前記トルエン中に滴下した。滴下終了後、さらに2時間還流を続け反応を継続した。次に、トルエンを減圧留去し、残留物を酢酸エチル/ヘキサン(容量比1/1)溶液を展開溶媒としてシリカゲルクロマトにて分離精製し、目的の白色固体259mgを得た。収率77%、融点209〜213℃。この白色固体をIRスペクトル、NMRスペクトル、質量スペクトル(FAB法)および元素分析により分析したところ、下記式で示されるシクロファン化合物であることが確認された。
【0107】
【化15】
【0108】
実施例1、2
下記の組成物を混合攪拌した後、得られた液体をフィルターでろ過しインク組成物を得た。25℃でのインクの粘度はそれぞれ32、40mPa・sであった。
【0109】
着色材
CI pigment Blue 15:3 5質量部
(平均分散粒径:100nm)
重合性化合物
合成例1または2で得られた化合物 3質量部
フェノキシエチルアクリレート(POA、共栄社化学製) 95質量部
光重合開始剤
イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバスペシャリティーケミカルズ社製) 2.5質量部
ルシリンTPO(モノアシルフォスフィンオキシド、BASF社製) 2.5質量部
得られたインクをインクジェットプリンタPSASER860(PHASERPRINTING JAPAN社製)を部分的に改造して、インクジェットヘッドから非記録媒体であるPET(ポリエチレンテレフタレート)上に射出して画像形成した。インク射出直後に365nmの強度が10mW/cm2の紫外線ランプを用いて照射し、媒体上にインクの定着画像を作成した。また、作製したインクを55℃の環境下に一週間放置した後、25℃での粘度変化を測定した。
【0110】
また、PET上に形成された定着画像の化学的、物理的強度を評価した。結果は表1にまとめて示す。
【0111】
実施例3
下記の組成物を混合攪拌した後、得られた液体をフィルターでろ過しインク組成物を得た。25℃でのインクの粘度は35mPa・sであった。
【0112】
着色材
CI pigment Blue 15:3 5質量部
(平均分散粒径:100nm)
重合性化合物
合成例3で得られた化合物 3質量部
脂環式エポキシ化合物(CEL2021P、ダイセル化学製)10質量部
オキセタン(OXT221、東亞合成製) 90質量部
光重合開始剤
ヨードニウム塩(IBPF、三和ケミカル製) 2.5質量部
チオキサントン(DETX、日本化薬製) 1.0質量部
得られたインクを実施例1,2と同様に評価し、表1の結果を得た。
【0113】
実施例4
実施例3において、合成例3で得られた化合物に代えて、
−〔CH2N(CH2CH2CONHCH2CH2NH2)2〕2(Starburst(PAMAM)Dendrimer;Aldrich社製)をもちいた以外は実施例3と同様にインク作製、また評価を行って表1に示す結果を得た。なお実施例4のインクの25℃での粘度は30mPa・sであった。
【0114】
実施例5
実施例3において、合成例3で得られた化合物に代えて合成例4で得られた化合物を用いた以外は実施例3と同様に行い、表1に示す結果を得た。なお、実施例5のインクの25℃での粘度は35mPa・sであった。
【0115】
比較例1、2
実施例1〜5において、本発明の化合物を使用せず、本発明の化合物の分をその他の重合性化合物で補った組成を用いて、前記実施例と同様に行い、表1の結果をえた。実施例1、2に相当する比較例は1、実施例3、4、5に相当する比較例は2である。インク粘度はそれぞれ27、30mPa・sであった。
【0116】
【表1】
【0117】
尚、評価は以下のような項目について行った。
〈硬化性〉
非記録媒体に着弾させた一定量(20μl)のインクに紫外線照射を行い、組成物の未硬化被膜が硬化してタックフリーとなる最低の紫外線照射エネルギー(mJ/cm2)より求めた。数値が小さいほど硬化性に優れる。
【0118】
〈保存安定性〉
55℃で一週間保存した場合のインクの粘度を25℃で測定(振動式粘度計VISCOMATE VM−1G−MH、YAMAICHI.CO.LTD製)。
【0119】
〈耐薬品性〉
非記録媒体上に定着固化させたインクを40℃の温水に1時間浸漬した後、画像の定着度合の変化を調べた。
【0120】
○ 変化無し
△ 一部欠落
× 全部欠落
〈密着性〉
披記録媒体上の硬化皮膜に碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、その碁盤目を粘着テープにより剥離した際の基材上に密着残存した碁盤目の残存度で評価した。
【0121】
○ 変化無し
△ 一部欠落
× 全部欠落
〈機械的強度〉
披記録媒体上の硬化皮膜を一定荷重(50g/cm2)のブラシで往復10回擦って、皮膜の残存度で評価した。
【0122】
○ 変化無し
△ 一部欠落
× 全部欠落
表1により、硬化性が良好で機械的強度が高く、密着性、耐薬品製に優れ、しかも保存安定性のよい活性光線硬化型インクジェット用インク組成物が得られることがわかる。
【0123】
【発明の効果】
少ないエネルギーで硬化でき、耐薬品性、機械的強度、密着性に優れた画像を被記録媒体上に形成でき、保存安定性、安全性も良好なインクジェット用インク組成物及び該インク組成物を用いたインクジェット記録方法が得られた。
【発明の属する技術分野】
本発明は活性光線硬化型インクジェット用インク組成物及びインクジェット記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
活性光線硬化型インクジェット用インク組成物に関しては、低分子量のラジカル重合性化合物(例えば特許文献1参照)や、低分子量のカチオン重合性化合物(例えば特許文献2参照)を用いた組成物が開示されている。これら低分子量の重合性化合物はインクの低粘度化には寄与しているが、活性光線照射による硬化度は十分ではなく、また人体に対する安全性に問題がある材料でもある。
【0003】
一方、上記課題を改良すべく、高分子量の樹脂微粒子をインク中に含有させた活性光線硬化型インクジェット用インク組成物も提案されている(例えば特許文献3や特許文献4参照)。しかし、十分な効果を得るためには樹脂微粒子の添加量はある程度増大させる必要があり、おのずとインクは高粘度化してしまい、インクの射出性が大幅に低下してしまう問題を有する。また、樹脂粒子の融着によるインクの保存安定性にも問題がある。
【0004】
【特許文献1】
特表2000−504778号公報
【0005】
【特許文献2】
特開2002−188025号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2001−294604号公報
【0007】
【特許文献4】
特開2001−81114号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明の目的は、硬化定着させるためのエネルギーが少なく、耐薬品性、機械的強度、密着性に優れる硬化画像を披記録媒体上に形成でき、インクの保存安定性、安全性も良好であるインクジェット用インク組成物および記録方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する本発明の構成は下記のとおりである。
【0010】
1.塩基性原子団を有するデンドリマー、塩基性原子団を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0011】
2.塩基性原子団が酸素または窒素を含むものである前記1に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0012】
3.重合性基を有するデンドリマー、重合性基を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0013】
4.重合性基がラジカル重合性、カチオン重合性の少なくとも一方である前記3に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0014】
5.ラジカル重合性基がアクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれる少なくともひとつの基である前記4記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0015】
6.カチオン重合性基がビニルエーテル、プロペニルエーテル、オキシラン環、チイラン環、オキセタン環、チエタン環基から選ばれる少なくともひとつの基である前記4記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
【0016】
7.前記1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体に着弾した後、活性光線を照射して、被記録媒体上にインクを硬化定着させるインクジェット記録方法。
【0017】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明において、デンドリマーとしては、デンドリマー構造を有するポリマーおよび超分岐ポリマーが使用される。室温で固体であって、数平均分子量が1000から100000の範囲のものが望ましく、特に2000〜50000の範囲のものが好ましく使用される。室温で固体でない場合は、形成される画像の維持性が悪くなる。また、分子量が上記の範囲より低い場合には定着画像がもろくなり、また、分子量が上記の範囲より高い場合には、添加量を下げてもインクの粘度が高くなりすぎて射出特性の点で実用的ではなくなる。
【0018】
デンドリマー構造を有するポリマーの例としては、アミドアミン系デンドリマー(米国特許第4,507,466号、同4,558,120号、同4,568,737号、同4,587,329号、同4,631,337号、同4,694,064号明細書)、フェニルエーテル系デンドリマー(米国特許第5,041,516号明細書、Journal of American Chemistry 112巻(1990年、7638〜7647頁))等があげられる。アミドアミン系デンドリマーについては、末端アミノ基とカルボン酸メチルエステル基を持つデンドリマーが、Aldrich社より「StarburstTM(AMAM)」として市販されている。また、そのアミドアミン系デンドリマーの末端アミノ基を、種々のアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体と反応させ、対応する末端をもったアミドアミン系デンドリマーを合成して、それらを使用することもできる。利用できるアクリル酸誘導体およびメタクリル酸誘導体としては、メチル、エチル、n−ブチル、t−ブチル、シクロヘキシル、パルミチル、ステアリル等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルエステル類、アクリル酸アミド、イソプロピルアミド等のアクリル酸或いはメタクリル酸アルキルアミド類があげられるが、これに限られるものではない。
【0019】
また、フェニルエーテル系デンドリマーについては、例えば、上記Journal of American Chemistryには種々のものが記載され、例えば、3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールを用い、3,5−ジフェノキシベンジルブロミドと反応させて第2世代のベンジルアルコールを合成し、そのOH基をCBr4およびトリフェニルホスフィンを用いてBrに変換した後、同様に3,5−ジヒドロキシベンジルアルコールと反応させて次世代のベンジルアルコールを合成し、以下、上記反応を繰り返して所望のデンドリマーを合成することが記載されている。フェニルエーテル系デンドリマーについても、末端ベンジルエーテル結合の代わりに、末端を種々の化学構造をもつもので置換することができる。例えば、上記Journal of American Chemistryに記載のデンドリマーの合成に際して、上記ベンジルブロミドの代わりに種々のアルキルハライドを用いれば、相当するアルキル基を有する末端構造を有するフェニルエーテル系デンドリマーが得られる。その他ポリアミン系デンドリマー(Macromol.Symp.77、21(1994))およびその末端基を変性した誘導体を使用することができる。
【0020】
超分岐ポリマーとしては、例えば、超分岐ポリエチレングリコール等が使用できる。超分岐ポリマーは、1分子内に分岐部分に相当する2つ以上の一種の反応点とつなぎ部分に相当する別種のただ1つの反応点とをもち合わせたモノマーを用い、標的ポリマーを1段階で合成することにより得られるものである(Macromolecules、29巻(1996)、3831−3838頁)。例えば、超分岐ポリマー用モノマーの一例として、3,5−ジヒドロキシ安息香酸誘導体があげられる。超分岐ポリマーの製造例をあげると、1−ブロモ−8−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3,6−ジオキサオクタンと3,5−ジヒドロキシ安息香酸メチルとから得られた3,5−ビス((8′−(t−ブチルジフェニルシロキシ)−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルの加水分解物である3,5−ビス((8′−ヒドロキシ−3′,6′−ジオキサオクチル)オキシ)安息香酸メチルをジブチル錫ジアセテートと窒素雰囲気下で加熱して、超分岐ポリマーであるポリ[ビス(トリエチレングリコール)ベンゾエート]を合成することができる。3,5−ジヒドロキシ安息香酸を用いた場合、超分岐ポリマー末端基は水酸基となるため、この水酸基に対して、適当なアルキルハライドを用いることにより、種々の末端基を有する超分岐ポリマーを合成することができる。
【0021】
デンドリマー構造を有するポリマーまたは超分岐ポリマー等は、主鎖の化学構造とその末端基の化学構造によりその特性が支配されるが、特に末端基や化学構造中の置換基の相違によりその特性が大きく異なるものとなる。特に末端にアミノ基、置換アミノ基、ヒドロキシル基等の塩基性原子団、また、前記デンドリマー構造中の、イミノ基や置換イミノ基或いはニトリロ基等の塩基性原子団、エーテル基等、またチオエーテル等の酸素、硫黄等を含有する塩基性原子団を有するものは、光反応後のゲル化効果が大きく有用である。塩基性原子団とは、プロトン受容性を有する原子団であり、本発明においてはプロトン受容性を有するかぎりいかなるものでもよいが、特に、前記のうち、窒素、酸素を含有する塩基性原子団が好ましく、特に、前記末端にアミノ基、置換アミノ基或いはヒドロキシル基等を有するもの、また分子中にイミノ基や置換イミノ基或いはニトリロ基、エーテル基等を塩基性原子団として有するものが好ましい。前記置換アミノ基として、好ましくは低級アルキル、低級ジアルキルアミノ基等の基があげられ、置換イミノ基の置換基として好ましいものとして低級アルキル基があげられる。
【0022】
一方、末端に重合性基を有するものも、その反応性ゆえに、光反応後のゲル化効果が、やはり大きく有用である。
【0023】
重合性基を有するデンドリマーは、上記デンドリマーの末端基を重合性基を有する化合物で化学修飾して得られる。
【0024】
例えば、アミノ系デンドリマーに活性水素含有(メタ)アクリレート系化合物をマイケル付加させてなる多官能化合物に、例えば、イソシアネート基含有ビニル化合物を付加させて合成する。また、アミノ系デンドリマーに例えば、(メタ)アクリル酸クロライド等を反応させることで末端に重合性基を有するデンドリマーが得られる。このような重合性基を与えるビニル化合物としては、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられ、その例としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩等、後述する種々のラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物があげられる。
【0025】
重合性基としては、カチオン重合性基を有する末端基もあげられ、エポキシ基、オキセタニル基等のカチオン重合により高分子化の起こる重合性基を有する、例えば、オキシラン、オキセタン類等の環状エーテル化合物類、また、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類等の化合物を前記アミノ系デンドリマーと反応させることで導入することができる。例えば、クロロメチルオキシランをアミノ系デンドリマーと反応させ、末端にエポキシタイプのカチオン重合性基を導入できる。そのほか、末端基としては、スチレン誘導体、ビニルナフタレン誘導体、ビニルエーテル類及びN−ビニル化合物類等から選ばれるカチオン重合性基がある。
【0026】
本発明において、上記のデンドリマーは1種のみを単独で用いてもよいし、他の種類のデンドリマーと併用してもよい。
【0027】
本発明において、上記のデンドリマーは、インク成分の10質量%以下の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
【0028】
包接化合物(包接化合物のホスト化合物のことをここにおいては便宜上こう呼ぶ)としては、例えば、環状D−グルカン類、シクロファン類、中性ポリリガンド、環状ポリアニオン、環状ポリカチオン、環状ペプチド、スフェランド(SPHERANDS)、キャビタンド(CAVITANDS)およびそれらの非環状類縁体が挙げられる。これらの中でも、環状D−グルカン類およびその非環状類縁体、シクロファン類、中性ポリリガンドが更に好ましい。
【0029】
環状D−グルカン類およびその非環状類縁体としては、例えば、α−D−グルコピラノースがグリコキシド結合によって連なった化合物として挙げられる。
【0030】
該化合物としては、デンプン、アミロース、アミロペクトン等のD−グルコピラノース基により構成される糖質類、α−シクロデキストリン、β−シクロデキストリン、γ−シクロデキストリン、D−グルコピラノース基の重合度が9以上のシクロデキストリン等のシクロデキストリンおよび−SO3C6H4CH2C6H4SO3−、−NHCH2CH2NH−、−NHCH2CH2NHCH2CH2NH−等の2価の基からなる単位が含まれている前記環状D−グルカン類およびその非環状類縁体化合物、或いは、これらの2価の基により前記環状D−グルカン類およびその非環状類縁体が互いに結ばれた構造を有する化合物、また、−SC6H5基、−N3基、−NH2基、−NEt2基、−SC(=NH2 +)NH2基、−SH基、−SCH2CH2NH2基、イミダゾリル基等の置換基を導入した下記式で表されるD−グルカン類およびその非環状類縁体の修飾物等が挙げられる。
【0031】
【化1】
【0032】
ここで、XはC6H5、N3、NH2、N(C2H5)2、SC(=NH2 +)NH2、SH、または
【0033】
【化2】
【0034】
また、ここで
【0035】
【化3】
【0036】
はシクロデキストリンを表す。
また、下記の2つの一般式で表されるシクロデキストリン誘導体および分岐シクロデキストリン、シクロデキストリンポリマー等も挙げられる。
【0037】
【化4】
【0038】
上記一般式において、R1〜R3は、それぞれ同じでも異なっていてもよく、水素原子、アルキル基または置換アルキル基を表す。特にR1〜R3が水素原子あるいはヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基であるものが好ましく、1分子中の置換アルキル基の含有率が15%〜50%であるものが更に好ましい。n2は4〜10の正の整数を表す。
【0039】
【化5】
【0040】
上記一般式において、Rは、水素原子、−R12−CO2H、−R12−SO3H、−R12−NH2または−N(R13)2を表す。ここにおいて、R12は、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキレン基を表し、R13は、炭素数1〜5の直鎖または分岐鎖のアルキル基を表す。
【0041】
なお、シクロデキストリンの製造例は「Jounal of the American Chemical Society」第71巻 第354頁 1949年、「Cheimish Berichte」第90巻 第2561頁 1949年、第90巻 第2561頁 1957年に記載されているが、勿論これらに限定されるものではない。
【0042】
本発明に用いられる分岐シクロデキストリンとは、公知のシクロデキストリンにグルコース、マルトース、セロビオーズ、ラクトース、ショ糖、ガラクトース、グルコサミン等の単糖類や2糖類等の水溶性物質を分岐付加ないし結合させたものであり、好ましくは、シクロデキストリンにマルトースを結合させたマルトシルシクロデキストリン(マルトースの結合分子数は1分子、2分子、3分子等いずれでもよい)やシクロデキストリンにグルコースを結合させたグルコシルシクロデキストリン(グルコースの結合分子数は1分子、2分子、3分子等いずれもでもよい)が挙げられる。
【0043】
これら分岐シクロデキストリンの具体的な合成方法は、例えば、澱粉化学、第33巻、第2号、119〜126頁(1986)、同127〜132頁(1986)、澱粉化学、第30巻、第2号、231〜239頁(1983)等に記載されており、これら公知の方法を参照して合成可能であり、例えば、マルトシルシクロデキストリンは、シクロデキストリンとマルトースを原料とし、イソアミラーゼやプルラナーゼ等の酵素を利用してシクロデキストリンにマルトースを結合させる方法で製造できる。グルコシルシクロデキストリンも同様の方法で製造できる。
【0044】
本発明において、好ましく用いられる分岐シクロデキストリンとしては、マルトースが1分子結合したα−シクロデキストリン、マルトースが1分子結合したβ−シクロデキストリン、マルトースが1分子結合したγ−シクロデキストリン、マルトースが2分子結合したα−シクロデキストリン、マルトースが2分子結合したβ−シクロデキストリン、マルトースが2分子結合したγ−シクロデキストリン、マルトースが3分子結合したα−シクロデキストリン、マルトースが3分子結合したβ−シクロデキストリン、マルトースが3分子結合したγ−シクロデキストリン、グルコースが1分子結合したα−シクロデキストリン、グルコースが1分子結合したβ−シクロデキストリン、グルコースが1分子結合したγ−シクロデキストリン、グルコースが2分子結合したα−シクロデキストリン、グルコースが2分子結合したβ−シクロデキストリン、グルコースが2分子結合したγ−シクロデキストリン、グルコースが3分子結合したα−シクロデキストリン、グルコースが3分子結合したβ−シクロデキストリン、グルコースが3分子結合したγ−シクロデキストリン等が挙げられる。
【0045】
次に、本発明に用いられるシクロデキストリンポリマーについて説明する。
本発明に用いられるシクロデキストリンポリマーとしては、下記一般式で表されるものが好ましい。n2は2〜50の整数である。
【0046】
【化6】
【0047】
本発明に用いられるシクロデキストリンポリマーは、シクロデキストリンを、例えば、エピクロルヒドリンにより架橋高分子化して製造できる。
【0048】
これらシクロデキストリンは、例えば、特開昭61−97025号公報やドイツ特許第3,544,842号明細書等に記載された一般的な方法で合成できる。該シクロデキストリンポリマーについても、前記の如く本発明に関わる包接化合物(ホスト化合物)として使用してもよい。
【0049】
また、包接化合物(ホスト化合物)として、シクロファン類をもちいることができ、シクロファン類とは、芳香環が種々の結合によりつながった構造を有する環状化合物であって、多くの化合物が知られており、シクロファン類としては、これら公知の化合物を挙げることができる。
【0050】
芳香環を結ぶ結合しては、例えば、単なる結合手、−(CR1R2)m−、−O(CR1R2)mO−、−NH(CR1R2)mNH−、−(CR1R2)pNR3(CR4R5)q−、−(CR1R2)pN+R3(R4)−(CR5R6)q−、−(CR1R2)pS+R3−(CR4R5)q−、−CO2−、−CONR−(ここで、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は、同一でも異なっていてもよく、水素原子または炭素数1〜3のアルキル基を示し、m、pおよびqは、同一でも異なっていてもよく、1〜4の整数を示す。)等の結合が挙げられる。該化合物としては、例えば、下記式で表されるパラシクロファン類、
【0051】
【化7】
【0052】
トリ−o−テイモタイド、シクロトリヴェラトリレンに代表される下記式で表されるオルトシクロファン類、
【0053】
【化8】
【0054】
メタシクロファン、カリックスアレン、レゾルシノール−アルデヒド環状オリゴマー等に代表される下記式で表されるメタシクロファン類、
【0055】
【化9】
【0056】
あるいは下記式で表されるパラ置換フェノール類非環状オリゴマーが挙げられる。
【0057】
【化10】
【0058】
ここにおいて、Xは−CH2−、−S−或いは単なる結合手であり、RはCH3またはt−C4H9であり、nは1〜10の整数である。
【0059】
その他に、中性ポリリガンドとして、クラウン化合物、クリプタンド、環状ポリアミンおよびそれらの非環状類縁体が挙げられる。
【0060】
これらの包接化合物(ホスト化合物)は、単体として添加してもよいが、包接化合物自身あるいは分子を取り込んだ包接化合物の溶剤への溶解性、その他の添加剤との相溶性を良好にするために、包接能を有する置換基をポリマーにペンダント置換基として懸垂させた別のポリマーを一緒に添加してもよい。
【0061】
該ポリマーは、例えば、特開平3−221501号公報、特開平3−221502号公報、特開平3−221503号公報、特開平3−221504号公報、特開平3−221505号公報に開示されているような方法を用いて容易に得ることができる。
【0062】
包接化合物についても、その末端基の化学構造によりその特性がかなり支配され、前記同様、特に末端にアミノ基、置換アミノ基、或いはヒドロキシル基等のプロトン受容性の基で代表される塩基性原子団を有するものは、また、分子中に前記同様にイミノ基、置換イミノ基等、さらにエーテル基等を有するものは光反応後のゲル化効果が大きく有用である。塩基性原子団としては、アミノ基、置換アミノ基、或いはヒドロキシル基等のほか、前記と同様プロトン受容性の、窒素原子または酸素原子を有する塩基性原子団が好ましい。
【0063】
また、重合性基を有する包接化合物は上記包接化合物の官能基を前記ラジカル重合性或いはカチオン重合性基を有する化合物でそれぞれ化学修飾してえられる。
【0064】
例えば、水酸基やアミノ基を有する包接化合物を(メタ)アクリレート系化合物や環状エーテル化合物でエステル化させて合成する。
【0065】
本発明において、上記の包接化合物についても1種のみを単独で用いてもよいし、他の種類の包接化合物と併用してもよい。
【0066】
本発明において、上記の包接化合物は、前記デンドリマーと同様、インク成分の10質量%以下の範囲で使用するのが好ましく、さらに好ましくは5質量%以下の範囲で使用するのが好ましい。
【0067】
(光重合開始剤)
本発明においては、活性光線による硬化性を有効にするために光重合開始剤を用いることが好ましい。
【0068】
光ラジカル重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、p,p′−ジクロロベンゾフェノン、p,p,−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾイン−n−プロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾイン−n−ブチルエーテル、ベンジルメチルケタール、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−1−オン、1−(4−イソプロピルフェニル)2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、メチルベンゾイルフォーメート、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾイルペルオキシド、ジ−tert−ブチルペルオキシド等を挙げることができる。これらの重合開始剤を1種で、又は複数種を組合せて用いることができる。
【0069】
本発明には、さらに増感剤を使用することもできる。増感剤としては、脂肪族アミン、芳香族基を有するアミン、若しくはピペリジン等の環状アミン系化合物、o−トリルチオ尿素等の尿素系化合物、ナトリウムジエチルチオホスフェート若しくは芳香族スルフィン酸の可溶性塩等のイオウ化合物、N,N′−ジ置換−p−アミノベンゾニトリル等のニトリル化合物、トリ−n−ブチルホスフィン若しくはナトリウムジエチルジチオホスフィード等のリン化合物、ミヒラーケトン、N−ニトロソヒドロキシルアミン誘導体、オキサゾリジン化合物、テトラヒドロ−1,3−オキサジン化合物、ホルムアルデヒド又はアセトアルデヒドとジアミンとの縮合物等の窒素化合物等を挙げることができる。これらの増感剤を1種で、又は複数種を組合せて用いることができる。
【0070】
光カチオン重合開始剤としては、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、鉄アレーン錯体及び有機ポリハロゲン化合物を好ましく使用することができる。
【0071】
ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩としては、特公昭54−14277号、特公昭54−14278号、特開昭51−56885号、米国特許第3,708,296号、同第3,853,002号等に記載された化合物が挙げられる。
【0072】
本発明に好適な化合物の例を以下に挙げる。第1に、ジアゾニウム、アンモニウム、ヨ−ドニウム、スルホニウム、ホスホニウムなどの芳香族オニウム化合物のB(C6F5)4 −,PF6 −,AsF6 −,SbF6 −,CF3SO3 −塩を挙げることができる。対アニオンとしてボレート化合物をもつものが酸発生能力が高く好ましい。オニウム化合物の具体的な例を以下に示す。
【0073】
【化11】
【0074】
第2に、スルホン酸を発生するスルホン化物を挙げることができる。具体的な化合物を以下に例示する。
【0075】
【化12】
【0076】
第3に、ハロゲン化水素を光発生するハロゲン化物も用いることができる。以下に具体的な化合物を例示する。
【0077】
【化13】
【0078】
第4に、鉄アレン錯体を挙げることができる。
【0079】
【化14】
【0080】
光カチオン重合開始剤については、その他に津田譲著「超LSLレジストの分子設計」共立出版、1990、pp.55〜78に記載の光酸発生剤化合物を使用することができる。本発明において、重合開始剤のインク組成物中に占める割合は、0.01〜20%が好ましく、更に好ましくは0.1〜10%である。
本発明においては、その他の重合性化合物を用いることが好ましい。
【0081】
本発明に用いることのできるインク組成物中のその他の重合性化合物について説明する。
【0082】
重合性化合物としては、ラジカル重合性化合物、例えば特開平7−159983号、特公平7−31399号、特開平8−224982号、特開平10−863号、特開平9−134011号等の各公報に記載されている光重合性組成物を用いた光硬化型材料と、カチオン重合系の光硬化性樹脂、最近では可視光以上の長波長域に増感された光カチオン重合系の光硬化性樹脂も例えば、特開平6−43633号、特開平8−324137等の公報に公開されている。
【0083】
ラジカル重合性化合物は、ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物であり、分子中にラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を少なくとも1つ有する化合物であればどの様なものでもよく、モノマー、オリゴマー、ポリマー等の化学形態をもつものが含まれる。ラジカル重合性化合物は1種のみ用いてもよく、又目的とする特性を向上するために任意の比率で2種以上を併用してもよい。
【0084】
ラジカル重合可能なエチレン性不飽和結合を有する化合物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸及びそれらの塩、エステル、ウレタン、アミドや無水物、アクリロニトリル、スチレン、更に種々の不飽和ポリエステル、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ウレタン等のラジカル重合性化合物が挙げられる。
【0085】
具体的には、2−エチルヘキシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、カルビトールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、オリゴエステルアクリレート、N−メチロールアクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、エポキシアクリレート等のアクリル酸誘導体、メチルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、アリルメタクリレート、グリシジルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリプロピレングリコールジメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン等のメタクリル誘導体、その他、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート等のアリル化合物の誘導体が挙げられ、更に具体的には、山下晋三編、「架橋剤ハンドブック」、(1981年大成社);加藤清視編、「UV・EB硬化ハンドブック(原料編)」(1985年、高分子刊行会);ラドテック研究会編、「UV・EB硬化技術の応用と市場」、79頁、(1989年、シーエムシー);滝山栄一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」、(1988年、日刊工業新聞社)等に記載の市販品もしくは業界で公知のラジカル重合性ないし架橋性のモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることができる。
【0086】
ラジカル重合性化合物の添加量は好ましくは1〜97質量%であり、より好ましくは30〜95質量%である。
【0087】
カチオン重合光硬化樹脂としては、カチオン重合により高分子化の起こるタイプ(主にエポキシタイプ)のエポキシタイプの紫外線硬化性プレポリマー、モノマーは、1分子内にエポキシ基を2個以上含有するプレポリマーを挙げることができる。このようなプレポリマーとしては、例えば、脂環式ポリエポキシド類、多塩基酸のポリグリシジルエステル類、多価アルコールのポリグリシジルエーテル類、ポリオキシアルキレングリコールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類、芳香族ポリオールのポリグリシジルエーテル類の水素添加化合物類、ウレタンポリエポキシ化合物類及びエポキシ化ポリブタジエン類等を挙げることができる。これらのプレポリマーは、その一種を単独で使用することもできるし、又その二種以上を混合して使用することもできる。
【0088】
カチオン重合系光硬化樹脂中に含有されるカチオン重合性化合物としては、他に例えば下記の(1)スチレン誘導体、(2)ビニルナフタレン誘導体、(3)ビニルエーテル類及び(4)N−ビニル化合物類を挙げることができる。
(1)スチレン誘導体
例えば、スチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、β−メチルスチレン、p−メチル−β−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシ−β−メチルスチレン等
(2)ビニルナフタレン誘導体
例えば、2−ビニルナフタレン、α−メチル−2−ビニルナフタレン、β−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メチル−2−ビニルナフタレン、4−メトキシ−2−ビニルナフタレン等
(3)ビニルエーテル類
例えば、イソブチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、フェニルビニルエーテル、p−メチルフェニルビニルエーテル、p−メトキシフェニルビニルエーテル、α−メチルフェニルビニルエーテル、β−メチルイソブチルビニルエーテル、β−クロロイソブチルビニルエーテル等
(4)N−ビニル化合物類
例えばN−ビニルカルバゾール、N−ビニルピロリドン、N−ビニルインドール、N−ビニルピロール、N−ビニルフェノチアジン、N−ビニルアセトアニリド、N−ビニルエチルアセトアミド、N−ビニルスクシンイミド、N−ビニルフタルイミド、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルイミダゾール等
上記カチオン重合系光硬化樹脂のカチオン重合性組成物中の含有量は1〜97質量%が好ましく、より好ましくは30〜95質量%である。
【0089】
本発明の組成物には、さらに性能改良のため、本来の特性をかえない範囲で、着色剤、シランカツプリング剤、重合禁止剤、レベリング剤等の材料を添加することもできる。
【0090】
着色剤としては、例えばフタロシアニン系、アゾ系、キナクリドン系、ジオキサンジン系、ジケトピロロピロール系等の各種の有彩色有機顔料、カーボンブラック、チタンホワイト、シリカ、マイカ、酸化亜鉛等の無機顔料等が挙げられる。
【0091】
シランカツプリング剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。重合禁止剤としては、メトキノン、メチル・ハイドロキノン、ベンゾキノン等が挙げられる。又、レベリング剤としては、モダフロー(モンサント社製;登録商標)、FC−430(3M社製)等が挙げられる。
【0092】
これらの各種添加剤の使用量としては、それぞれ、組成物の0を越えて20質量%の範囲が好ましい。
【0093】
本発明の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物を得るには、上記した各成分を混合すればよく、混合の順序や方法は特に限定されない。
【0094】
このように混合されたインクの物理的特性として、50℃における粘度が5〜30mPa・sである活性光線硬化性インクジェットインク組成物が好ましく用いられる。
【0095】
本発明のインクジェット記録方法は、上記のように調整した活性光線硬化性インクジェット用インク組成物を用いて非記録媒体に印字を行うもので、良好な画質、良好な印字を得ることができる。
【0096】
インクジェット記録法はインクの微小液滴をノズルから噴射させて、それを紙などの被記録媒体(印字媒体)面に付着させ印字または画像の記録を行うものである。いろいろなインクジェット記録法が提案されており、コンティニアス法と呼ばれる方法は例えば米国特許第3,298,030号および同第3,596,275号等に開示されている。またドロップオンデマンド法では、ピエゾ素子の変形をインク噴射の駆動力に応用したものが、例えば米国特許第3,946,398号に開示されている。また熱エネルギーを利用してインク滴を噴射するインクジェット記録法は例えぱ米国特許第4,251,824号に開示されている。
【0097】
本発明によるインクジェット記録方法にあっては、インク組成物を被記録媒体に付着させた後に、光照射を行う。照射された光によってインク組成物は重合反応を開始してインク組成物が被記録媒体(印字媒体)に固着する。
【0098】
本発明の光照射に用いられる光源としては、波長180〜500nmの紫外線又は可視光線を発生する光源が有効である。例えば、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、水銀−キセノンランプ、エキシマーランプ、ショートアーク灯、ヘリウム・カドミニウムレーザー、アルゴンレーザー、エキシマーレーザー、太陽光が挙げられる。
【0099】
本発明の好ましい態様によれば、紫外線照射を行う場合、インクの吸収波長におけるピーク照度が1〜500mW/cm2である光源が用いられる。かかる光源で十分な硬化反応を行うことができるため、比較的安価で、小型の紫外線照射装置を用いることができ、コスト的にも有利である。
【0100】
本発明に用いられる被記録媒体はアルミニウム、鉄、銅の如き金属、塩化ビニル、アクリル、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのプラスチック、ガラスの如きセラミックス、木材、紙、印刷紙、繊維などである。
【0101】
本発明の好ましい被記録媒体としては、インクが吸収されない非吸収性記録媒体である。
【0102】
【実施例】
次に、本発明を実施例により更に具体的に説明する。
【0103】
合成例1
撹拌装置、窒素導入管、温度センサー、及びコンデンサーを備えた500ミリリットル四つ口丸底フラスコにエチレンジアミン;20g、4−ヒドロキシブチルアクリレート;192g、酢酸エチル;70g、メタノール;20gを配合し、75℃に設定した湯浴にて3時間還流させた。そこで、反応器とコンデンサーの間に分流管をセットし、80℃の湯浴にて常圧で加温・撹拌を続けながら溶媒を留去した、さらにコンデンサー上部から真空ラインを接続し、70℃に下げた湯浴で5.33×10−3MPa以下まで減圧することにより酢酸エチルおよびメタノールを完全に留去したところ、粘稠な液状物を得た(収率99%)。そこで、湯浴温度を60℃に下げ、酢酸エチル;400g、メタクリロイルオキシエチルイソシアネート;195gを添加し、更に10分後、2−エチルヘキサン酸錫;1gを添加した。3時間加熱撹拌を続けた。更に、反応溶媒として用いた酢酸エチルをエバポレータで脱溶剤することにより目的とするデンドリマーを得た。
【0104】
合成例2
N,N,N′,N′−tetrakis(3−aminopropyl)−1,4−butanediamineに、アセトン/水中でアクリル酸クロライドを反応させ、末端にアクリレート基を有するデンドリマー構造を有する化合物を得た。
【0105】
合成例3
脱水ピリジン中にβ−シクロデキストリンを溶解し、室温でクロロメチルオキシランを滴下した。滴下終了後100−110℃で24時間攪拌する。反応終了後、未反応物を濾別後、繰り返し水・メタノールで洗浄し80−90℃で減圧下乾燥させて目的の化合物を得た。
【0106】
合成例4
500mlのフラスコにトルエン360mlを仕込み、還流下、m−キシリレンジオール;138mg(1.0mmol)およびイミダゾール;136mg(2.0mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解した溶液と、m−キシリレンジイソシアネート;188mg(1.0mmol)をテトラヒドロフラン30mlに溶解した溶液とを、攪拌しながら9時間かけて前記トルエン中に滴下した。滴下終了後、さらに2時間還流を続け反応を継続した。次に、トルエンを減圧留去し、残留物を酢酸エチル/ヘキサン(容量比1/1)溶液を展開溶媒としてシリカゲルクロマトにて分離精製し、目的の白色固体259mgを得た。収率77%、融点209〜213℃。この白色固体をIRスペクトル、NMRスペクトル、質量スペクトル(FAB法)および元素分析により分析したところ、下記式で示されるシクロファン化合物であることが確認された。
【0107】
【化15】
【0108】
実施例1、2
下記の組成物を混合攪拌した後、得られた液体をフィルターでろ過しインク組成物を得た。25℃でのインクの粘度はそれぞれ32、40mPa・sであった。
【0109】
着色材
CI pigment Blue 15:3 5質量部
(平均分散粒径:100nm)
重合性化合物
合成例1または2で得られた化合物 3質量部
フェノキシエチルアクリレート(POA、共栄社化学製) 95質量部
光重合開始剤
イルガキュア184(1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、チバスペシャリティーケミカルズ社製) 2.5質量部
ルシリンTPO(モノアシルフォスフィンオキシド、BASF社製) 2.5質量部
得られたインクをインクジェットプリンタPSASER860(PHASERPRINTING JAPAN社製)を部分的に改造して、インクジェットヘッドから非記録媒体であるPET(ポリエチレンテレフタレート)上に射出して画像形成した。インク射出直後に365nmの強度が10mW/cm2の紫外線ランプを用いて照射し、媒体上にインクの定着画像を作成した。また、作製したインクを55℃の環境下に一週間放置した後、25℃での粘度変化を測定した。
【0110】
また、PET上に形成された定着画像の化学的、物理的強度を評価した。結果は表1にまとめて示す。
【0111】
実施例3
下記の組成物を混合攪拌した後、得られた液体をフィルターでろ過しインク組成物を得た。25℃でのインクの粘度は35mPa・sであった。
【0112】
着色材
CI pigment Blue 15:3 5質量部
(平均分散粒径:100nm)
重合性化合物
合成例3で得られた化合物 3質量部
脂環式エポキシ化合物(CEL2021P、ダイセル化学製)10質量部
オキセタン(OXT221、東亞合成製) 90質量部
光重合開始剤
ヨードニウム塩(IBPF、三和ケミカル製) 2.5質量部
チオキサントン(DETX、日本化薬製) 1.0質量部
得られたインクを実施例1,2と同様に評価し、表1の結果を得た。
【0113】
実施例4
実施例3において、合成例3で得られた化合物に代えて、
−〔CH2N(CH2CH2CONHCH2CH2NH2)2〕2(Starburst(PAMAM)Dendrimer;Aldrich社製)をもちいた以外は実施例3と同様にインク作製、また評価を行って表1に示す結果を得た。なお実施例4のインクの25℃での粘度は30mPa・sであった。
【0114】
実施例5
実施例3において、合成例3で得られた化合物に代えて合成例4で得られた化合物を用いた以外は実施例3と同様に行い、表1に示す結果を得た。なお、実施例5のインクの25℃での粘度は35mPa・sであった。
【0115】
比較例1、2
実施例1〜5において、本発明の化合物を使用せず、本発明の化合物の分をその他の重合性化合物で補った組成を用いて、前記実施例と同様に行い、表1の結果をえた。実施例1、2に相当する比較例は1、実施例3、4、5に相当する比較例は2である。インク粘度はそれぞれ27、30mPa・sであった。
【0116】
【表1】
【0117】
尚、評価は以下のような項目について行った。
〈硬化性〉
非記録媒体に着弾させた一定量(20μl)のインクに紫外線照射を行い、組成物の未硬化被膜が硬化してタックフリーとなる最低の紫外線照射エネルギー(mJ/cm2)より求めた。数値が小さいほど硬化性に優れる。
【0118】
〈保存安定性〉
55℃で一週間保存した場合のインクの粘度を25℃で測定(振動式粘度計VISCOMATE VM−1G−MH、YAMAICHI.CO.LTD製)。
【0119】
〈耐薬品性〉
非記録媒体上に定着固化させたインクを40℃の温水に1時間浸漬した後、画像の定着度合の変化を調べた。
【0120】
○ 変化無し
△ 一部欠落
× 全部欠落
〈密着性〉
披記録媒体上の硬化皮膜に碁盤目状にカッターで切れ目を入れ、その碁盤目を粘着テープにより剥離した際の基材上に密着残存した碁盤目の残存度で評価した。
【0121】
○ 変化無し
△ 一部欠落
× 全部欠落
〈機械的強度〉
披記録媒体上の硬化皮膜を一定荷重(50g/cm2)のブラシで往復10回擦って、皮膜の残存度で評価した。
【0122】
○ 変化無し
△ 一部欠落
× 全部欠落
表1により、硬化性が良好で機械的強度が高く、密着性、耐薬品製に優れ、しかも保存安定性のよい活性光線硬化型インクジェット用インク組成物が得られることがわかる。
【0123】
【発明の効果】
少ないエネルギーで硬化でき、耐薬品性、機械的強度、密着性に優れた画像を被記録媒体上に形成でき、保存安定性、安全性も良好なインクジェット用インク組成物及び該インク組成物を用いたインクジェット記録方法が得られた。
Claims (7)
- 塩基性原子団を有するデンドリマー、塩基性原子団を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 塩基性原子団が酸素または窒素を含むものである請求項1に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 重合性基を有するデンドリマー、重合性基を有する包接化合物の少なくともひとつを含有する活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 重合性基がラジカル重合性、カチオン重合性の少なくとも一方である請求項3に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
- ラジカル重合性基がアクリロイル基、メタクリロイル基から選ばれる少なくともひとつの基である請求項4記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
- カチオン重合性基がビニルエーテル、プロペニルエーテル、オキシラン環、チイラン環、オキセタン環、チエタン環基から選ばれる少なくともひとつの基である請求項4記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載の活性光線硬化型インクジェット用インク組成物を被記録媒体に着弾した後、活性光線を照射して、被記録媒体上にインクを硬化定着させるインクジェット記録方法。
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