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JP2004086203A - 微細パターン形成材料および電子デバイスの製造方法 - Google Patents

微細パターン形成材料および電子デバイスの製造方法 Download PDF

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JP2004086203A
JP2004086203A JP2003275405A JP2003275405A JP2004086203A JP 2004086203 A JP2004086203 A JP 2004086203A JP 2003275405 A JP2003275405 A JP 2003275405A JP 2003275405 A JP2003275405 A JP 2003275405A JP 2004086203 A JP2004086203 A JP 2004086203A
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Takeo Ishibashi
石橋 健夫
Shinji Taruya
樽谷 晋司
Toshiyuki Toyoshima
豊島 利之
Mamoru Terai
寺井 護
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Renesas Technology Corp
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Abstract

【課題】 フォトリソグラフィ技術における露光波長の限界を超えて微細パターンの形成を可能とする微細パターン形成材料およびこれを用いた電子デバイスの製造方法を提供する。
【解決手段】 水またはアルカリに可溶な樹脂と、ピナコールと、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなり、酸を供給し得るレジストパターンの上に形成され、このレジストパターンからの酸によりレジストパターンに接する部分で極性変化を起こして水またはアルカリに不溶な膜を形成することを特徴とする微細パターン形成材料を用いる。
【選択図】 図1

Description

 本発明は、微細パターン形成材料および電子デバイスの製造方法に関する。
 近年、半導体装置の集積度の増加に伴い個々の素子の寸法は微小化が進み、各素子を構成する配線やゲート等の幅も微細化されている。一般に、微細パターンの形成は、フォトリソグラフィ技術を用いて所望のレジストパターンを形成した後、このレジストパターンをマスクとして下地の各種薄膜をエッチングすることにより行われる。そのため、微細パターンの形成においては、フォトリソグラフィ技術が非常に重要である。
 フォトリソグラフィ技術は、レジストの塗布、マスクの位置合せ、露光および現像の各工程からなる。しかしながら、近年の先端デバイスではそのパターン寸法が光露光の限界解像度に近づきつつあることから、より高解像度の露光技術の開発が急務となっている。
 また、従来のフォトリソグラフィ技術では、レジスト材料の感度を短波長側にシフトしようとすると、レジストの耐エッチング性が低下するという問題があった。例えば、分子内に芳香環を有するレジストの場合、耐エッチング性は良好であるが、300nm以上の長波長に感度を有するようになる。一方、分子内に芳香環を有しないレジストであればより低波長に感度を有するようになるが、耐エッチング性が低下する。レジストの耐エッチング性が低下するとレジスト膜がエッチングされるようになるため、最終的に形成される薄膜のパターン精度が低下するという問題があった。
 また、本発明者は、酸触媒と反応して架橋する性質を有する水溶性樹脂を用い、レジスト表面にいわゆる有機枠を形成することによって微細なレジストパターンを形成する方法について開示している(特許文献1参照。)。しかしながら、この方法は、架橋反応の際の樹脂の体積収縮によって発生する内部応力によりレジストパターンが変形するという問題があった。
特許第3071401号公報
 本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものである。即ち、本発明の目的は、フォトリソグラフィ技術における露光波長の限界を超えて微細パターンの形成を可能とする微細パターン形成材料およびこれを用いた電子デバイスの製造方法を提供することにある。
 また、本発明は耐エッチング性が良好な微細パターン形成材料およびこれを用いた電子デバイスの製造方法を提供することにある。
 さらに、本発明は、内部応力によるレジストパターンの変形を生じることのない微細パターン形成材料およびこれを用いた電子デバイスの製造方法を提供することにある。
 本発明の他の目的および利点は以下の記載から明らかとなるであろう。
 本発明は、酸を発生するレジストパターンの上に形成される極性変化材料と、水または水および水溶性有機溶媒の混合溶媒とを含有する微細パターン形成材料であって、極性変化材料は水またはアルカリに可溶であり、極性変化材料のレジストパターンに接する部分でレジストパターンからの酸による極性変化を受けて水およびアルカリの少なくとも一方に不溶な不溶化膜を形成することを特徴とする。
 また、本発明は、支持体上に酸を発生するレジストパターンを形成する工程と、このレジストパターンの上に水またはアルカリに可溶な微細パターン形成材料を塗布して微細パターン形成膜を形成する工程と、この微細パターン形成膜のレジストパターンに接する部分で、レジストパターンからの酸により微細パターン形成膜が極性変化を受けて、水およびアルカリの少なくとも一方に不溶な不溶化膜を形成する工程と、微細パターン形成膜の水またはアルカリに可溶な部分を除去する工程とを有する電子デバイスの製造方法であって、微細パターン形成材料は、(1)酸により極性変化を受ける、水またはアルカリに可溶な極性変化材料と、(2)水または水および水溶性有機溶媒の混合溶媒とを含有することを特徴とする。
 本発明によれば、レジストパターンと微細パターン形成膜との界面で微細パターン形成膜を不溶化させた後、不溶化していない微細パターン形成膜を除去するので、露光波長の限界を超えて微細なパターンを形成することができる。
 また、本発明によれば、微細パターン形成膜の不溶化にはピナコール転位による極性変化を利用するので、レジスト内に発生する内部応力を低減させてレジストパターンの変形を防ぐことができる。
 また、本発明によれば、レジストパターンの上に、このレジストパターンを被覆するようにして芳香環を含む微細パターン形成膜を形成するので、レジストパターンがエッチング剤に侵されるのを防いで、下地の薄膜に高精彩のパターンを形成することができる。
 また、本発明によれば、MB処理前に露光を行うことによって微細パターン形成膜の不溶化反応をより進行させ、不溶化層をより厚く形成することができるので、より微細なパターンの形成が可能となる。
 さらに、本発明によれば、支持体上の選択された領域のみを露光し、または、支持体上の選択された領域のみに電子線を照射することによって、同一支持体上において、異なる寸法の微細パターンを形成することができる。
 以下、本発明の実施の形態を図面を参照して詳細に説明する。
実施の形態1.
 図1は、本発明にかかる微細パターン形成材料を用いて半導体装置を製造する方法を示す工程図である。
 まず、図1(a)に示すように、半導体基板1の上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜2を形成する。例えば、スピンコート法などを用いて半導体基板上にレジスト組成物を膜厚0.7μm〜1.0μmに塗布する。
 本実施の形態においては、レジスト組成物として、加熱によりレジスト内部に酸成分が発生するものを用いる。レジスト組成物としては、例えば、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系の感光剤から構成されるポジ型レジストが挙げられる。但し、レジスト組成物は、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのいずれであってもよい。
 次に、プリベーク処理を行うことによりレジスト膜2に含まれる溶剤を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて70℃〜110℃で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。その後、図1(b)に示すように、マスク3を介してレジスト膜2を露光する。露光に用いる光源はレジスト膜2の感度波長に対応したものであればよく、これを用いて、例えば、g線、i線、深紫外光、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、EB(電子線)またはX線などをレジスト膜2に照射する。
 レジスト膜の露光を行った後、必要に応じてPEB処理(露光後加熱処理)を行う。これにより、レジスト膜の解像度を向上させることができる。PEB処理は、例えば、50℃〜120℃の熱処理を施すことにより行う。
 次に、適当な現像液を用いて現像処理を行い、レジスト膜のパターニングを行う。レジスト組成物として、ポジ型のレジスト組成物を用いた場合には、図1(c)に示すようなレジストパターン4が得られる。現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド)などの0.05重量%〜3.0重量%程度のアルカリ水溶液を用いることができる。
 現像処理を行った後、必要に応じて、ポストデベロッピングベークを行ってもよい。ポストデベロッピングベークは後のミキシング反応に影響することから、使用するレジスト組成物および微細パターン形成材料に応じて適切な温度条件に設定することが望ましい。例えば、ホットプレートを用いて60℃〜120℃で60秒間程度加熱する。
 次に、図1(d)に示すように、レジストパターン4の上に、本発明にかかる微細パターン形成材料を塗布して、微細パターン形成膜5を形成する。微細パターン形成材料の塗布方法は、レジストパターン4上に均一に塗布できるものであれば特に限定されない。例えば、スプレー法、スピンコート法またはディップ法などを用いて塗布することができる。
 本発明における微細パターン形成材料は、酸の存在により極性変化を起こして現像液に不溶化する特徴を有する。具体的には、不溶化は、酸によるピナコール転位を利用することにより実現される。以下に、微細パターン形成材料の組成について詳細に述べる。
 本発明にかかる微細パターン形成材料は、水またはアルカリに可溶な樹脂と、ピナコールと、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなる。
 樹脂としては、例えば、その構造に芳香環を有する樹脂を用いることができる。樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の樹脂による混合物であってもよい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、オキサゾリン基含有水溶性樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、アルキッド樹脂またはスルホンアミドなどを用いることができる。
 ピナコールは式1で表わされ、例えば、式2に示すような1,1,2,2−テトラメチルエチレングリコール、ヒドロベンゾイン、ベンゾピナコール、DL−α,β−ジ−(4−ピリジル)グリコールまたは2,3−ジ−2−ピリジル−2,3−ブタンジオールなどを用いることができる。
Figure 2004086203
(ここで、R,R,R,Rは、水素,アルキル基、フェニル基またはピリジン基などを表わす)
Figure 2004086203
 樹脂およびピナコールは水に溶解していてもよいし、水と有機溶媒との混合溶媒に溶解していてもよい。水に混合する有機溶媒は水溶性であれば特に限定されるものではなく、微細パターン形成材料に用いる樹脂の溶解性に合わせるとともに、レジストパターンを溶解しない範囲で混合すればよい。例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール類、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンまたはアセトンなどを用いることができる。
 また、微細パターン形成材料は、ピナコール成分を含む水またはアルカリに可溶な共重合体と、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなっていてもよい。ピナコール成分を含む水またはアルカリに可溶な共重合体としては、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと親水基を有するスチレン誘導体との共重合体を用いることができる。
 例えば、式3に示すようなp−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートの共重合体またはp−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンの共重合体を主成分とすることができる。酸化エチレンオリゴマーは、n=10〜30であることが好ましい。また、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレン、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンの3成分からなる共重合体を主成分としていてもよい。
Figure 2004086203
 アンモニウムスルホネートまたは酸化エチレンオリゴマーがスチレンのオルト位またはメタ位に結合したスチレン誘導体を、親水基を有するスチレン誘導体として用いてもよい。
 この場合、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンがピナコール成分である。また、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンは、共重合体に親水性を付与するとともに、レジストへの密着性を付与する役割も果たしている。
 親水性成分としてテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンを用いて、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと共重合させる場合、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネート成分の方がパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレン成分よりも多くてもよいし、その逆であってもよい。また、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネート成分とパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレン成分とが同量であってもよい。使用するレジストの性質によってこれらの比を変えることが望ましい。
 さらに、本発明における微細パターン形成材料は、前記成分の他に添加剤として他の成分を含んでいてもよい。例えば、塗布性を向上させるなどの目的で界面活性剤を含んでいてもよい。
 次に、プリベーク処理を行うことによって、微細パターン形成膜5に含まれる溶剤を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて85℃程度で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。
 プリベーク処理の後、半導体基板1上に形成されたレジストパターン4と、この上に形成された微細パターン形成膜5に加熱処理(ミキシングベーク処理;以下、MB処理という)を行う。例えば、ホットプレートを用いて70℃〜150℃で60秒間〜120秒間のMB処理を行うことができる。
 MB処理によってレジストパターン中に酸を発生させるとともに酸の拡散を促進して、レジストパターンから微細パターン形成膜へ酸を供給する。微細パターン形成膜へ酸が供給されると、レジストパターンと微細パターン形成膜との界面付近において、微細パターン形成膜に含まれるピナコール成分が酸の存在によりピナコール転位による極性変化を起こす。これによって微細パターン形成膜の極性が変わるために、微細パターン形成膜は水やアルカリ水溶性の現像液などに対して不溶化する。一方、レジストパターンとの界面付近以外の領域における微細パターン形成膜ではピナコール転位による極性変化が起こらず、水やアルカリ水溶性の現像液などに対して可溶のままである。
 本発明は、このようにピナコール転位による極性変化を利用して、微細パターン形成膜内に現像液に対して不溶化する部分(以下、不溶化層という)を形成することを特徴とする。図1(e)に示すように、不溶化層6は、レジストパターン4を被覆するようにして微細パターン形成膜5の中に形成される。
 不溶化層の厚さは、MB処理の条件を変えることによって制御することができる他、レジストパターンと微細パターン形成膜との反応量を変えることによっても制御することができる。例えば、微細パターン形成材料としてピナコールを含む水溶性樹脂が水に溶解したものを用いる場合には、樹脂とピナコールとの混合量を調整することによって、不溶化層の膜厚を制御することができる。また、微細パターン形成材料として2種類以上の水溶性樹脂による共重合体が水に溶解したものを用いる場合には、共重合体を構成するピナコール成分と他の成分との共重合比を調整することにより不溶化層の膜厚を制御することができる。例えば、微細パターン形成材料として、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートの共重合体を主成分として用いた場合には、これらの共重合比を調整することによって、レジストパターンと微細パターン形成膜との反応量を制御することができる。この場合、コポリマー中のピナコール成分は、55モル%〜75モル%の範囲内にあることが好ましい。
 次に、水またはアルカリ現像液を用いて現像処理を行うことにより、不溶化していない微細パターン形成膜5を剥離する。アルカリ現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド)などのアルカリ水溶液を用いることができる。現像後、適当な条件でポストベーク処理を行うことによって微細パターン7を形成し、図1(f)の構造とする。ここで、微細パターン7は、レジストパターン4と不溶化層6とからなるパターンである。尚、ポストベーク処理は、例えば、90℃〜110℃で70秒間〜90秒間の加熱を施すことにより行うことができる。
 以上の工程により形成された微細パターン7をマスクとして、下地の半導体基板または半導体基板の上に形成された絶縁膜などの各種薄膜をエッチングすることにより、種々の微細構造を有する半導体装置を製造することができる。
 本実施の形態によれば、レジストパターンと微細パターン形成膜との界面で微細パターン形成膜を不溶化させた後、不溶化していない微細パターン形成膜を除去するので、露光波長の限界を超えて微細なパターンを形成することができる。また、微細パターン形成膜の不溶化は、レジストパターンとの架橋反応により起こるのではなく、ピナコール転位による極性変化を利用したものである。したがって、レジスト内に発生する内部応力を低減させ、レジストパターンの変形を防ぐことができる。
 また、本実施の形態によれば、レジストパターンの上に、このレジストパターンを被覆するようにして芳香環を含む微細パターン形成膜が形成される。したがって、この微細パターンをマスクとして下地の薄膜をエッチングすることにより、レジストパターンがエッチング剤に侵されるのを防ぐことができる。すなわち、短波長に感度を有するレジスト膜を用いた場合であっても、レジスト膜がエッチング剤に侵されるおそれがなく、下地の薄膜に高精彩のパターンを形成することができる。
実施の形態2.
 本実施の形態においては、実施の形態1で述べたMB処理の前に露光を行うことを特徴とする。
 図2は、本発明にかかる微細パターン形成材料を用いて半導体装置を製造する方法を示す工程図である。
 まず、図2(a)に示すように、半導体基板8の上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜9を形成する。例えば、スピンコート法などを用いて半導体基板上にレジスト組成物を膜厚0.7μm〜1.0μmに塗布する。
 本実施の形態においては、レジスト組成物として、加熱によりレジスト内部に酸成分が発生するものを用いる。レジスト組成物としては、例えば、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系の感光剤から構成されるポジ型レジストが挙げられる。また、紫外線等の照射により酸を発生する化学増幅型レジストを用いてもよい。尚、レジスト組成物は、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのいずれであってもよい。
 次に、プリベーク処理を行うことによりレジスト膜9に含まれる溶剤を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて70℃〜110℃で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。その後、図2(b)に示すように、マスク10を介してレジスト膜9を露光する。露光に用いる光源はレジスト膜9が感度を有する波長に対応する光を発するものであればよく、これを用いて、例えば、g線、i線、深紫外光、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、EB(電子線)またはX線などをレジスト膜9に照射する。
 レジスト膜の露光を行った後、必要に応じてPEB処理(露光後加熱処理)を行う。これにより、レジスト膜の解像度を向上させることができる。PEB処理は、例えば、50℃〜120℃の熱処理を施すことにより行う。
 次に、適当な現像液を用いて現像処理を行い、レジスト膜のパターニングを行う。レジスト組成物として、ポジ型のレジスト組成物を用いた場合には、図2(c)に示すようなレジストパターン11が得られる。現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド)などの0.05重量%〜3.0重量%程度のアルカリ水溶液を用いることができる。
 現像処理を行った後、必要に応じて、ポストデベロッピングベークを行ってもよい。ポストデベロッピングベークは後のミキシング反応に影響することから、使用するレジスト組成物および微細パターン形成材料に応じて適切な温度条件に設定することが望ましい。例えば、ホットプレートを用いて60℃〜120℃で60秒間程度加熱する。
 次に、図2(d)に示すように、レジストパターン11の上に微細パターン形成材料を塗布して、微細パターン形成膜12を形成する。微細パターン形成材料の塗布方法は、レジストパターン11上に均一に塗布できるものであれば特に限定されない。例えば、スプレー法、スピンコート法またはディップ法などを用いて塗布することができる。
 本発明における微細パターン形成材料は、酸の存在により極性変化を起こして現像液に不溶化する特徴を有する。具体的には、不溶化は、酸によるピナコール転位を利用することにより実現される。以下に、微細パターン形成材料の組成について詳細に述べる。
 本発明にかかる微細パターン形成材料は、実施の形態1と同様に、水またはアルカリに可溶な樹脂と、ピナコールと、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなる。
 樹脂としては、例えば、その構造に芳香環を有する樹脂を用いることができる。樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の樹脂による混合物であってもよい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、オキサゾリン基含有水溶性樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、アルキッド樹脂またはスルホンアミドなどを用いることができる。
 ピナコールとしては、例えば、1,1,2,2−テトラメチルエチレングリコール、ヒドロベンゾイン、ベンゾピナコール、DL−α,β−ジ−(4−ピリジル)グリコールまたは2,3−ジ−2−ピリジル−2,3−ブタンジオールなどを用いることができる。
 樹脂およびピナコールは水に溶解していてもよいし、水と有機溶媒との混合溶媒に溶解していてもよい。水に混合する有機溶媒は水溶性であれば特に限定されるものではなく、微細パターン形成材料に用いる樹脂の溶解性に合わせるとともに、レジストパターンを溶解しない範囲で混合すればよい。例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール類、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンまたはアセトンなどを用いることができる。
 また、微細パターン形成材料は、ピナコール成分を含む水またはアルカリに可溶な共重合体と、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなっていてもよい。ピナコール成分を含む水またはアルカリに可溶な共重合体としては、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと親水基を有するスチレン誘導体との共重合体を用いることができる。
 例えば、上述の式3に示すようなp−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートの共重合体またはp−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンの共重合体を主成分とすることができる。酸化エチレンオリゴマーは、n=10〜30であるものが好ましい。また、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレン、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンの3成分からなる共重合体を主成分としていてもよい。
 この場合、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンがピナコール成分である。また、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンは、共重合体に親水性を付与するとともに、レジストへの密着性を付与する役割も果たしている。
 親水性成分としてテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンを用いて、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと共重合させる場合、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネート成分の方がパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレン成分よりも多くてもよいし、その逆であってもよい。また、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネート成分とパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレン成分とが同量であってもよい。使用するレジストの性質によってこれらの比を変えることが望ましい。
 尚、アンモニウムスルホネートまたは酸化エチレンオリゴマーがスチレンのオルト位またはメタ位に結合したスチレン誘導体を親水基を有するスチレン誘導体として用いてもよい。
 さらに、本発明における微細パターン形成材料は、前記成分の他に添加剤として他の成分を含んでいてもよい。例えば、塗布性を向上させるなどの目的で界面活性剤を含んでいてもよい。
 次に、プリベーク処理を行うことにより微細パターン形成膜12に含まれる溶剤を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて85℃程度で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。
 本実施の形態においては、図2(e)に示すように、プリベーク処理の後に、半導体基板8を全面露光することを特徴としている。これにより、MB処理に先立って、レジストパターン中に酸を発生させることができる。露光に用いる光源は、レジストパターン中に酸を発生させることができるものであれば特に限定されるものではなく、レジストパターンの感光波長に応じて適宜選択すればよい。例えば、Hgランプ、KrFエキシマレーザ、ArFエキシマレーザなどを用いて露光することができる。
 次に、半導体基板8上に形成されたレジストパターン11と、この上に形成された微細パターン形成膜12とに対してMB処理を行う。MB処理によってレジストパターン中の酸の拡散を促進することにより、レジストパターンから微細パターン形成膜へ酸を供給する。これによって、レジストパターンと微細パターン形成膜との界面で極性変化を起こして微細パターン形成膜を不溶化する。MB処理は、用いるレジスト組成物の種類や必要とする不溶化層の厚みなどによって最適な条件に設定する。例えば、ホットプレートを用いて70℃〜150℃で60秒間〜120秒間のMB処理条件とすることができる。MB処理を行うことによって、図2(f)に示すように、極性変化により不溶化した不溶化層13が、レジストパターン11を被覆するようにして微細パターン形成膜12の中に形成される。
 また、不溶化層の厚さは、レジストパターンと微細パターン形成膜との反応量を制御することによっても変えることができ、その具体的方法は実施の形態1と同様である。
 次に、水またはアルカリ現像液を用いて現像処理を行うことにより、不溶化していない微細パターン形成膜12を剥離する。アルカリ現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド)などのアルカリ水溶液を用いることができる。現像後、適当な条件でポストベーク処理を行うことによって微細パターン14を形成し、図2(g)の構造とする。ここで、微細パターン14は、レジストパターン11と不溶化層13とからなる。尚、ポストベーク処理は、例えば、90℃〜110℃で70秒間〜90秒間の加熱を施すことにより行うことができる。
 以上の工程により形成された微細パターン14をマスクとして、下地の半導体基板または半導体基板の上に形成された絶縁膜などの各種薄膜をエッチングすることにより、種々の微細構造を有する半導体装置を製造することができる。
 本実施の形態によれば、実施の形態1で得られる効果に加えて、MB処理前に露光を行うことによって微細パターン形成膜の不溶化反応を一層進行させることができる。すなわち、不溶化層をより厚く形成することができるので、さらに微細なパターンの形成が可能となる。
実施の形態3.
 本実施の形態においては、レジストパターン形成後、半導体基板の所望領域にのみ電子線照射を行うことを特徴とする。
 図3は、本発明にかかる微細パターン形成材料を用いて半導体装置を製造する方法を示す工程図である。
 まず、図3(a)に示すように、半導体基板15の上にレジスト組成物を塗布してレジスト膜16を形成する。例えば、スピンコート法などを用いて半導体基板上にレジスト組成物を膜厚0.7μm〜1.0μmに塗布する。
 本実施の形態においては、レジスト組成物として、加熱によりレジスト内部に酸成分が発生するものを用いる。レジスト組成物としては、例えば、ノボラック樹脂とナフトキノンジアジド系の感光剤から構成されるポジ型レジストが挙げられる。但し、レジスト組成物は、ポジ型レジスト、ネガ型レジストのいずれであってもよい。
 次に、プリベーク処理を行うことによりレジスト膜16に含まれる溶剤を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて70℃〜110℃で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。その後、図3(b)に示すように、マスク17を介してレジスト膜16を露光する。露光に用いる光源はレジスト膜16の感度波長に対応したものであればよく、これを用いて、例えば、g線、i線、深紫外光、KrFエキシマレーザ光(248nm)、ArFエキシマレーザ光(193nm)、EB(電子線)またはX線などをレジスト膜に照射する。
 レジスト膜の露光を行った後、必要に応じてPEB処理(露光後加熱処理)を行う。これにより、レジスト膜の解像度を向上させることができる。PEB処理は、例えば、50℃〜120℃の熱処理を施すことにより行う。
 次に、適当な現像液を用いて現像処理を行い、レジスト膜のパターニングを行う。レジスト組成物として、ポジ型のレジスト組成物を用いた場合には、図3(c)に示すようなレジストパターン18が得られる。現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド)などの0.05重量%〜3.0重量%程度のアルカリ水溶液を用いることができる。
 現像処理を行った後、必要に応じて、ポストデベロッピングベークを行ってもよい。ポストデベロッピングベークは後のミキシング反応に影響することから、使用するレジスト組成物および微細パターン形成材料に応じて適切な温度条件に設定することが望ましい。例えば、ホットプレートを用いて60℃〜120℃で60秒間程度加熱する。
 本実施の形態では、レジストパターンを形成した後に、図3(d)に示すように、選択的に半導体基板15に電子線を照射することを特徴としている。具体的には、半導体基板15上の選択された領域を電子線遮蔽板(マスク)19で覆い、その他の領域に電子線を照射する。
 次に、図3(e)に示すように、レジストパターン18の上に微細パターン形成材料を塗布して、微細パターン形成膜20を形成する。微細パターン形成材料の塗布方法は、レジストパターン18上に均一に塗布できるものであれば特に限定されない。例えば、スプレー法、スピンコート法またはディップ法などを用いて塗布することができる。
 本発明における微細パターン形成材料は、酸の存在により極性変化を起こして現像液に不溶化する特徴を有する。具体的には、不溶化は、酸によるピナコール転位を利用することにより実現される。以下に、微細パターン形成材料の組成について詳細に述べる。
 本発明にかかる微細パターン形成材料は、実施の形態1と同様に、水またはアルカリに可溶な樹脂と、ピナコールと、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなる。
 樹脂としては、例えば、その構造に芳香環を有する樹脂を用いることができる。樹脂は1種類であってもよいし、2種類以上の樹脂の混合物であってもよい。例えば、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、オキサゾリン基含有水溶性樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、アルキッド樹脂またはスルホンアミドなどを用いることができる。
 ピナコールとしては、例えば、1,1,2,2−テトラメチルエチレングリコール、ヒドロベンゾイン、ベンゾピナコール、DL−α,β−ジ−(4−ピリジル)グリコールまたは2,3−ジ−2−ピリジル−2,3−ブタンジオールなどを用いることができる。
 樹脂およびピナコールは水に溶解していてもよいし、水と有機溶媒との混合溶媒に溶解していてもよい。水に混合する有機溶媒は水溶性であれば特に限定されるものではなく、微細パターン形成材料に用いる樹脂の溶解性に合わせるとともに、レジストパターンを溶解しない範囲で混合すればよい。例えば、エタノール、メタノール、イソプロピルアルコールおよびシクロヘキサノールなどのアルコール類、γ−ブチロラクトン、N−メチルピロリドンまたはアセトンなどを用いることができる。
 また、微細パターン形成材料は、ピナコール成分を含む水またはアルカリに可溶な共重合体と、水または水と水溶性有機溶媒との混合溶媒を含有してなっていてもよい。ピナコール成分を含む水またはアルカリに可溶な共重合体としては、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと親水基を有するスチレン誘導体との共重合体を用いることができる。
 例えば、上述の式3に示すようなp−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートの共重合体またはp−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンとパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンの共重合体を主成分とすることができる。酸化エチレンオリゴマーは、n=10〜30であるのが好ましい。また、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレン、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンの3成分からなる共重合体を主成分としていてもよい。
 この場合、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンがピナコール成分である。また、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンは、共重合体に親水性を付与するとともに、レジストへの密着性を付与する役割も果たしている。
 親水性成分としてテトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよびパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンを用いて、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと共重合させる場合、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネート成分の方がパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレン成分よりも多くてもよいし、その逆であってもよい。また、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネート成分とパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレン成分とが同量であってもよい。使用するレジストの性質によってこれらの比を変えることが望ましい。
 尚、アンモニウムスルホネートまたは酸化エチレンオリゴマーがスチレンのオルト位またはメタ位に結合したスチレン誘導体を、親水基を有するスチレン誘導体として用いてもよい。
 さらに、本発明における微細パターン形成材料は、前記成分の他に添加剤として他の成分を含んでいてもよい。例えば、塗布性を向上させるなどの目的で界面活性剤を含んでいてもよい。
 次に、プリベーク処理を行うことにより微細パターン形成膜20に含まれる溶剤を蒸発させる。プリベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて85℃程度で1分間程度の熱処理を施すことにより行う。
 プリベーク処理の後、半導体基板15上に形成されたレジストパターン18と、この上に形成された微細パターン形成膜20とに対してMB処理を行う。この際、図3(f)に示すように、選択的に電子線を照射した部分については不溶化反応が起こらず、電子線を照射しなかった部分についてのみ不溶化層21が形成される。すなわち、電子線遮蔽板により電子線が遮蔽された部分の微細パターン形成膜20中にのみ、不溶化層21がレジストパターン18を被覆するようにして形成される。
 MB処理は、用いるレジスト組成物の種類や必要とする不溶化層の厚みなどによって最適な条件に設定する。例えば、ホットプレートを用いて70℃〜150℃で60秒間〜120秒間のMB処理条件とすることができる。
 不溶化層の厚さは、レジストパターンと微細パターン形成膜との反応量を制御することによっても変えることができ、その具体的方法は実施の形態1と同様である。
 次に、水またはアルカリ現像液を用いて現像処理を行うことにより、不溶化していない微細パターン形成膜20を剥離する。アルカリ現像液としては、例えば、TMAH(テトラメチルアンモニウムヒドロオキシド)などのアルカリ水溶液を用いることができる。現像後、適当な条件でポストベーク処理を行うことによって微細パターン22を形成し、図3(g)の構造とする。ここで、微細パターン22は、レジストパターン18と不溶化層21とからなる。尚、ポストベーク処理は、例えば、ホットプレートを用いて90℃〜110℃で70秒間〜90秒間の加熱を施すことにより行うことができる。
 以上の工程により形成された微細パターン22をマスクとして、下地の半導体基板または半導体基板の上に形成された絶縁膜などの各種薄膜をエッチングすることにより、種々の微細構造を有する半導体装置を製造することができる。
 本実施の形態によれば、半導体基板の選択された領域にのみ電子線を照射することによって、この選択された領域にのみ不溶化層を形成しないようにすることができる。したがって、同一半導体基板上において、異なる寸法の微細パターンを形成することができる。
 本実施の形態においては、所定の領域にのみ電子線を照射する例について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、露光により酸を発生するレジストパターンでは、微細パターン形成膜を形成した後に半導体基板の一部を遮光板(マスク)で遮光することにより選択された領域のみを露光してもよい。このようにすることにより、露光された部分にのみ不溶化層を形成することができる。
 実施の形態1〜3においては、レジスト組成物の例として、加熱により酸を発生するレジストおよび紫外線等の照射により酸を発生する化学増幅型レジストを挙げたが、本発明はこれらに限られるものではない。例えば、カルボン酸などの酸性物質を含有し、加熱によりこの酸性物質が拡散するように構成されたレジスト組成物であってもよい。
 また、酸性の液体または酸性の気体によって、レジストパターンの表面処理を行ってもよい。この方法によれば、酸がレジストパターンに染み込むことにより、レジストパターンの表面に酸を含む薄い層を形成することができるので、同様の効果を得ることができる。
 実施の形態1〜3においては、半導体基板上に微細パターンを形成する例について述べたが、本発明はこれに限られるものではない。微細パターンを形成する用途に用いるものであれば、他の支持体上に形成してもよい。
 さらに、実施の形態1〜3においては、本発明の微細パターン形成材料を用いて半導体装置を製造する方法について説明したが、本発明はこれに限られるものではない。本発明は、半導体装置以外の電子デバイス一般に適用することができる。例えば、本発明の微細パターン形成材料を用い、実施の形態1〜3に示す方法にしたがって、液晶表示デバイスおよび薄膜磁気ヘッドなどの電子デバイスを製造することが可能である。
レジストパターンの形成
実施例1.
 ノボラック樹脂およびナフトキノンジアジドを、乳酸エチルとプロピレングルコールモノエチルアセテートからなる溶媒に溶かしてi線レジストを調製し、これをレジスト組成物とした。次に、レジスト組成物をシリコンウェハ上に滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、85℃で70秒間プリベークを行って、第1のレジスト膜中の溶媒を蒸発させた。プリベーク後のレジスト膜の膜厚は約1.0μmであった。
 次に、i線縮小投影型露光装置を用いてレジスト膜の露光を行った。その後、120℃で70秒間PEB処理を行ってから、アルカリ現像液(東京応化工業社製、NMD3)を用いて現像を行うことによりレジストパターンを得た。
実施例2.
 ノボラック樹脂およびナフトキノンジアジドを、溶媒である2−へプタノンに溶かしてi線レジストを調製し、これをレジスト組成物とした。次に、レジスト組成物をシリコンウェハ上に滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、85℃で70秒間プリベークを行って、レジスト膜中の溶媒を蒸発させた。プリベーク後のレジスト膜の膜厚は約0.8μmであった。
 次に、i線縮小投影型露光装置を用いてレジスト膜の露光を行った。その後、120℃で70秒間PEB処理を行ってから、アルカリ現像液(東京応化工業社製、NMD3)を用いて現像を行うことによりレジストパターンを得た。
実施例3.
 ノボラック樹脂およびナフトキノンジアジドを、乳酸エチルと酢酸ブチルからなる溶媒に溶かしてi線レジストを調製し、これをレジスト組成物とした。次に、レジスト組成物をシリコンウェハ上に滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、100℃で90秒間プリベークを行って、レジスト膜中の溶媒を蒸発させた。プリベーク後のレジスト膜の膜厚は約1.0μmであった。
 次に、ニコン社製ステッパーを用いてレジスト膜の露光を行った。その後、110℃で60秒間PEB処理を行ってから、アルカリ現像液(東京応化工業社製、NMD3)を用いて現像を行うことによりレジストパターンを得た。
実施例4.
 レジスト組成物として、東京応化工業社製の化学増幅型エキシマレジストを用いた。次に、レジスト組成物をシリコンウェハ上に滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、90℃で90秒間プリベークを行って、レジスト膜中の溶媒を蒸発させた。プリベーク後のレジスト膜の膜厚は約0.8μmであった。
 次に、KrFエキシマ縮小投影型露光装置を用いてレジスト膜の露光を行った。その後、100℃で90秒間PEB処理を行ってから、TMAHアルカリ現像液(東京応化工業社製、NMD−W)を用いて現像を行うことによりレジストパターンを得た。
実施例5.
 レジスト組成物として、t−Boc化ポリヒドロキシスチレンと酸発生剤を含む菱電化成社製の化学増幅型レジスト(MELKER、J.Vac.Sci.Technol.,Bll(6)2773,1993)を用いた。次に、レジスト組成物をシリコンウェハ上に滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、120℃で180秒間プリベークを行って、レジスト膜中の溶媒を蒸発させた。プリベーク後のレジスト膜の膜厚は約0.52μmであった。
 次に、レジスト膜の上に、帯電防止膜として、昭和電工社製のエスペイサー(登録商標)ESP−100を滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、80℃で120秒間プリベークを行った。
 次に、EB描画装置を用いて17.4μC/cmのドーズ量で描画を行った。その後、80℃で120秒間PEB処理を行ってから、純水を用いて帯電防止膜を剥離した後、TMAHアルカリ現像液(東京応化工業社製、NMD−W)を用いて現像を行うことにより、レジストパターンを得た。形成されたレジストパターンの膜厚は約0.2μmであった。
微細パターン形成材料の調製
実施例6.
 p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートとの共重合体の20重量%水溶液に純水400gを加えて室温で6時間撹拌して混合することにより、水溶性樹脂の5重量%水溶液を得た。これに界面活性剤を100ppm添加して、微細パターン形成材料とした。
実施例7.
 ポリビニルアルコールの20重量%水溶液に、ヒドロベンゾイン20%を含む水溶液400gを加え、室温で6時間撹拌して混合することにより、ポリビニルアルコールとヒドロベンゾインの5重量%混合溶液を得た。これに、界面活性剤100ppmを添加して、微細パターン形成材料とした。
微細パターンの形成
実施例8.
 実施例3で得られたレジストパターンが形成されたシリコンウェハ上に、実施例6で得られた微細パターン形成材料を滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、ホットプレートを用いて85℃で70秒間プリベークを行って、微細パターン形成膜を形成した。
 次に、ホットプレートを用いて120℃で90秒間のMB処理を行うことにより、微細パターン形成膜の不溶化反応を進行させた。その後、純水を用いて現像処理を行うことにより、微細パターン形成膜の非不溶化層を除去した。続いて、ホットプレートを用いて90℃で90秒間ポストベークを行って、レジストパターン上に微細パターンを形成した。
実施例9.
 実施例2で得られたレジストパターンが形成されたシリコンウェハ上に、実施例6で得られた微細パターン形成材料を滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、ホットプレートを用いて85℃で70秒間プリベークを行って、微細パターン形成膜を形成した。
 次に、i線露光装置を用いて、ウェハの全面を露光した。その後、ホットプレートを用いて150℃で90秒間MB処理を行うことにより、微細パターン形成膜の不溶化反応を進行させた。
 次に、純水を用いて現像処理を行うことにより、微細パターン形成膜の非不溶化層を除去した。続いて、ホットプレートを用いて110℃で90秒間ポストベークを行って、レジストパターン上に微細パターンを形成した。
 本実施例により形成したパターンを図4を用いて説明する。図4はホール状のパターンが形成された微細パターン23の平面図であり、図の斜線部分は微細パターン23が形成されている部分を表わす。図4において、ホール径Lを測定したところ約0.26μmであり、不溶化層を形成する前のホール径Lに対して約0.14μm縮小していた。一方、露光を行わずにMB処理をした場合のホール径Lは約0.29μmであり、不溶化層を形成する前のホール径Lに対して約0.11μmの縮小であった。
実施例10.
 実施例2で得られたレジストパターンが形成されたシリコンウェハ上に、電子線遮蔽板を用いて選択的に電子線を照射した。ドーズ量は、50μC/cmとした。次に、実施例6で得られた微細パターン形成材料をこの上に滴下し、スピンナーを用いて回転塗布した。その後、ホットプレートを用いて85℃で70秒間プリベークを行って、微細パターン形成膜を形成した。
 次に、ホットプレートを用いて120℃で90秒間MB処理を行うことにより、微細パターン形成膜の不溶化反応を進行させた。
 次に、純水を用いて現像処理を行うことにより、微細パターン形成膜の非不溶化層を除去した。続いて、ホットプレートを用いて110℃で70秒間ポストベークを行って、レジストパターン上に選択的に微細パターンを形成した。
 本実施例により形成したパターンを図4を用いて説明する。図4において、斜線部分は微細パターン23が形成されている部分を表わす。電子線を照射した部分と電子線を照射しなかった部分について図のホール径Lを測定したところ、電子線を照射した部分のホール径Lは、不溶化層を形成する前のホール径Lと同じであった。一方、電子線を照射しなかった部分のホール径Lは、不溶化層を形成する前のホール径Lよりも縮小していた。
(a)〜(f)は、実施の形態1における半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。 (a)〜(g)は、実施の形態2における半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。 (a)〜(g)は、実施の形態3における半導体装置の製造方法を説明するための工程図である。 実施例9または実施例10における微細パターンの平面図である。
符号の説明
 1,8,15 半導体基板、 2,9,16 レジスト膜、 3,10,17 マスク、 4,11,18 レジストパターン、 5,12,20 微細パターン形成膜、 6,13,21 不溶化層、 7,14,22,23 微細パターン、 19 電子線遮蔽板。

Claims (24)

  1. 酸を発生するレジストパターンの上に形成される極性変化材料と、
     水または水および水溶性有機溶媒の混合溶媒とを含有する微細パターン形成材料であって、
     前記極性変化材料は水またはアルカリに可溶であり、前記極性変化材料の前記レジストパターンに接する部分で前記レジストパターンからの酸による極性変化を受けて水およびアルカリの少なくとも一方に不溶な不溶化膜を形成することを特徴とする微細パターン形成材料。
  2. 前記極性変化材料は、水またはアルカリに可溶な樹脂と、
     ピナコールとを含有する請求項1に記載の微細パターン形成材料。
  3. 前記樹脂が分子内に芳香環を含む構造を有する請求項2に記載の微細パターン形成材料。
  4. 前記樹脂は、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレンイミン、ポリエチレンオキシド、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアミン、ポリアリルアミン、オキサゾリン基含有水溶性樹脂、水溶性メラミン樹脂、水溶性尿素樹脂、アルキッド樹脂およびスルホンアミドよりなる群から選ばれる少なくとも1種である請求項2に記載の微細パターン形成材料。
  5. 前記ピナコールは、1,1,2,2−テトラメチルエチレングリコール、ヒドロベンゾイン、ベンゾピナコール、DL−α,β−ジ−(4−ピリジル)グリコールおよび2,3−ジ−2−ピリジル−2,3−ブタンジオールよりなる群から選ばれる請求項2に記載の微細パターン形成材料。
  6. 前記極性変化材料は、ピナコール成分を含む共重合体を含有する請求項1に記載の微細パターン形成材料。
  7. 前記共重合体は、p−(1,2−ジヒドロキシ−1,2−ジメチルプロピル)スチレンと親水基を有するスチレン誘導体との共重合体である請求項6に記載の微細パターン形成材料。
  8. 前記親水基を有するスチレン誘導体は、テトラメチルアンモニウム−p−スチレンスルホネートおよび/またはパラ位に酸化エチレンオリゴマーを有するスチレンである請求項7に記載の微細パターン形成材料。
  9. 前記レジストパターンは、ノボラック樹脂およびナフトキノンジアジド系の感光剤を含むレジストからなる請求項1〜8のいずれか1に記載の微細パターン形成材料。
  10. 前記レジストパターンは化学増幅型レジストからなる請求項1〜8のいずれか1に記載の微細パターン形成材料。
  11. 界面活性剤をさらに含む請求項1〜10のいずれか1に記載の微細パターン形成材料。
  12. 支持体上に酸を発生するレジストパターンを形成する工程と、
     前記レジストパターンの上に水またはアルカリに可溶な微細パターン形成材料を塗布して微細パターン形成膜を形成する工程と、
     前記微細パターン形成膜の前記レジストパターンに接する部分で、前記レジストパターンからの酸により前記微細パターン形成膜が極性変化を受けて、水およびアルカリの少なくとも一方に不溶な不溶化膜を形成する工程と、
     前記微細パターン形成膜の水またはアルカリに可溶な部分を除去する工程とを有する電子デバイスの製造方法であって、
     前記微細パターン形成材料は、(1)酸により極性変化を受ける、水またはアルカリに可溶な極性変化材料と、(2)水または水および水溶性有機溶媒の混合溶媒とを含有することを特徴とする電子デバイスの製造方法。
  13. 前記極性変化材料は、水またはアルカリに可溶な樹脂と、
     ピナコールとを含有する請求項12に記載の電子デバイスの製造方法。
  14. 前記樹脂と前記ピナコールとの混合比を変えることにより前記不溶化膜の膜厚を制御する請求項13に記載の電子デバイスの製造方法。
  15. 前記極性変化材料は、ピナコール成分を含む共重合体を含有する請求項12に記載の電子デバイスの製造方法。
  16. 前記共重合体を構成する前記ピナコール成分と他の成分との共重合比を変えることにより前記不溶化膜の膜厚を制御する請求項15に記載の電子デバイスの製造方法。
  17. 前記不溶化膜を形成する工程は熱処理工程である請求項12〜16のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
  18. 前記不溶化膜を形成する工程はさらに露光工程を有する請求項17に記載の電子デバイスの製造方法。
  19. 前記不溶化膜を形成する工程は、マスクを介して前記レジストパターンの所定領域に露光光を照射し該露光光によって前記レジストパターンに酸を発生させる工程である請求項12〜16のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
  20. 前記微細パターン形成材料を塗布する工程は、マスクを介して前記レジストパターンに電子線を選択的に照射した後に行われる請求項12〜16のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
  21. 前記レジストパターンに酸性液体または酸性気体で表面処理を行った後に前記微細パターン形成材料を塗布する工程を行う請求項12〜16のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
  22. 前記レジストパターンは、ノボラック樹脂およびナフトキノンジアジド系の感光剤を含むレジストからなる請求項12〜21のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
  23. 前記レジストパターンは化学増幅型レジストからなる請求項12〜21のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
  24. 前記支持体は半導体基材である請求項12〜23のいずれか1に記載の電子デバイスの製造方法。
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