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JP2004070033A - 反射防止膜を成膜した光ファイバーと、その製造方法 - Google Patents

反射防止膜を成膜した光ファイバーと、その製造方法 Download PDF

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JP2004070033A JP2002229627A JP2002229627A JP2004070033A JP 2004070033 A JP2004070033 A JP 2004070033A JP 2002229627 A JP2002229627 A JP 2002229627A JP 2002229627 A JP2002229627 A JP 2002229627A JP 2004070033 A JP2004070033 A JP 2004070033A
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antireflection film
forming
face
film
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高橋 崇
Masakazu Komine
小峰 正和
Kazumi Kokubo
小久保 一美
Hiroshi Umeda
梅田 洋
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Abstract

【課題】低コストで比較的簡単に、光ファイバー等の光学部材の端面に反射防止膜を成膜することができるようにする。
【解決手段】成膜物質を溶解させたコート液中に光学部材(たとえば光ファイバー)を浸漬させて、光学部材の端面に反射防止膜を成膜する。コート液から光学部材を引き上げる際に、コート液の液面と光学部材の端面との成す角度や、引き上げ速度を可変にして、光学部材の端面に成膜される反射防止膜の膜厚や反射率を調整する。成膜物質は含フッ素化合物である。反射防止膜が浸漬により成膜されたものである。反射防止膜の膜厚が不均一になっている。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、光ファイバーの端面に反射防止膜(ARコートともいう)を成膜する反射防止膜成膜方法と、その方法により製造された光ファイバーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、例えば、特開昭60−68319号公報、特開昭63−38905号公報、特開平1−312501号公報、特開平2−19801号公報、特開平7−294706号公報、特公平7−119842号公報、特開2001−305302号公報、特開2002−107502号公報に示すように、浸漬法(浸漬コート法あるいはディップコート法ともいう)により光学レンズや眼鏡レンズ、ディスプレイ機器等のパネル等に反射防止膜を成膜する方法が広く知られている。
【0003】
特に、特開平7−294706号公報に示されているように、反射防止膜を形成するフッ素樹脂薄膜の材料としては、溶剤に可溶性の透明フッ素樹脂が開発されており(例えば旭硝子株式会社製「サイトップ」)、フッ素系溶媒に溶解し、ディップコート等により薄膜形成が可能で、ディップコートの場合、フッ素樹脂溶液濃度と引き上げ速度を制御することで希望の膜厚が得られる。
【0004】
一方、例えば特開昭58−223639号公報、特開平7−157338号公報、特公平6−85011号公報等に示すように、従来から、光ファイバーの端面をスパッタ処理や真空蒸着すること等により、反射防止膜を施す技術は広く知られていた。
【0005】
【本発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した浸漬法により光ファイバー端面に反射防止膜を成膜する技術は知られておらず、また特開平7−294706号公報に示す浸漬法では、フッ素樹脂溶液濃度と引き上げ速度との具体的な相関関係が記載されておらず、熟練した作業者の勘と経験に頼らざるを得なかった。
【0006】
また、スパッタ処理や真空蒸着などには、大型な成膜装置が必要であり、製造コストが非常に掛かり、長い間、低コストで成膜できる方法およびその方法を用いた光ファイバーが望まれていた。
【0007】
そこで、本発明は、低コストで初心者にも容易に成膜することができる光ファイバー端面の反射防止膜成膜方法と、その方法により製造された光ファイバーを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための方法】
本発明の解決手段を例示すると、次のとおりである。
【0009】
(1)成膜物質を溶解させたコート液中に光ファイバーを浸漬させて、光ファイバーの端面に反射防止膜を成膜することを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
【0010】
(2)コート液から光ファイバーを引き上げる際に、引き上げ速度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射防止する波長域を調整することを特徴とする、前述の光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
【0011】
(3)コート液から光ファイバーを引き上げる際に、引き上げ速度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射率を調整することを特徴とする、前述の光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
【0012】
(4)成膜物質は含フッ素化合物であることを特徴とする、前述の光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
【0013】
(5)コート液から光ファイバーを引き上げる際に、コート液の液面に対する光ファイバーの端面の角度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射防止する波長域を調整することを特徴とする、前述の光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
【0014】
(6)コート液から光ファイバーを引き上げる際に、コート液の液面に対する光ファイバーの端面の角度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射率を調整することを特徴とする、前述の光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
【0015】
(7)端面に反射防止膜を成膜した光ファイバーにおいて、反射防止膜が浸漬により成膜されたものであることを特徴とする光ファイバー。
【0016】
(8)成膜物質は含フッ素化合物であることを特徴とする、前述の光ファイバー。
【0017】
(9)反射防止膜の膜厚が不均一になっていることを特徴とする、前述の光ファイバー。
【0018】
(10)反射防止膜の膜厚が均一になっていることを特徴とする、前述の光ファイバー。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明は、低コストで初心者にも容易に成膜することができる光ファイバー端面の反射防止膜成膜方法と、その方法により製造された光ファイバーを提供するものである。
【0020】
本発明は、端面に反射防止膜を成膜した光ファイバーと、光ファイバーに対する反射防止膜の成膜方法を改良したものである。
【0021】
光ファイバーの端面が、成膜物質を溶解させたコート液中に浸漬され、しかるのち、コート液から光ファイバーが引き上げられる。その引き上げの際の引き上げ速度を変化させて、膜厚や表面形状を所望のものにコントロールして、反射防止膜を成膜する。とくに、反射防止する波長域や反射率を所望のものに調整する。
【0022】
成膜物質は、含フッ素化合物であることが好ましい。
【0023】
また、光ファイバーの引き上げの際に、コート液の液面に対して、光ファイバーの端面を所定角度傾斜させて、所望の反射防止する波長域(あるいは所望の膜厚)と反射率を正確に確保するように、反射防止膜を成膜することが好ましい。
【0024】
光ファイバーの端面に反射防止膜を浸漬法により成膜するのが最善である。とくに、成膜物質を溶解させた溶媒中に少なくとも光ファイバーの端面付近を浸漬させて、コート液から引き上げる。そのときの引き上げ速度を所定の値に変化させて、所望の反射防止する波長域(あるいは所望の膜厚)と反射率を正確に確保するように、反射防止膜を成膜することが好ましい。。
【0025】
また、コート液の液面と光ファイバーの端面との角度傾斜について述べると、例えば、0度より大きい角度から90度の角度が好ましい。
【0026】
【実施例】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施例を説明する。
【0027】
本発明による光ファイバーの典型例は、石英製やアクリル製等の光ファイバー1である。これらの光ファイバーは、例えば、レーザ治療装置、測量機、その他のファイバーアレイ、光導波路等に使用される。
【0028】
図1の(A)(B)(C)に示すように、光ファイバー1の端面2は、引き上げ装置(図示せず)により、容器5内のコート液3に所定時間浸漬された後、コート液3の液面4に対して、例えば、90度(図1のA)、45度(図1のB)、10度(図1のC)の所定角度傾斜させた状態を維持しつつ、徐々に引き上げられる。
【0029】
傾斜角度は、このような10度、45度あるいは90度の角度に限定されず、0度より大きい角度から90度の間の角度であってもよいし、その他の角度であってもよい。例えば、30度であってもよい。
【0030】
これによって、図2に示すように、光ファイバー端面において成膜する反射防止膜の膜厚を薄い厚み部分から厚い厚み部分へグラデーションのように成膜させることもできる。
【0031】
コート液3は、好ましくは、旭硝子株式会社製の可溶性フッ素樹脂等のフッ素系化合物の原液1〜10%に対して、沸点100℃lの有機性の溶剤90〜99%の混合した溶媒である(希釈剤も含む)。
【0032】
なお、コート液の濃度、組成等は上述した実施例に限定されず、いかなる濃度、組成等であってもよい。
【0033】
コート液の原液は、含フッ素化合物のうちの加熱硬化型のフッ素系化合物であるサイトップ(商品名、旭硝子製)以外に、アウジモント製やデュポンフロロケミカル製のフッ素樹脂等も用いることができる。
【0034】
また、紫外線硬化型のフッ素アクリル樹脂、紫外線硬化型のフッ素エポキシ樹脂、加熱硬化型でゾルゲル型のフッ化珪素化合物、ゾルゲル材料である含フッ素化合物も用いることができる。
【0035】
さらに、含フッ素化合物のうちでシリコン系化合物の具体的な代表例として、
CFCHCHSi(OMe)
CF(CFCHCHSi(OMe)
CF(CFCHCHSi(OMe)
CF(CFCHCHSiMe(OMe)
CFCHCHSiCl
CFCHCHSi(OMe)
CF(CFCHCHSiCl
CF(CFCHCHSi(OMe)
CF(CFCHCHSiCl
CF(CFCHCHSi(OMe)
CF(CFCHCHSiMeCl
CF(CFCHCHSiMe(OMe)
などのフルオロアルキルシランも用いこることができる。
【0036】
コート液3からの光ファイバー1の端面2を引き上げるときの好適な引き上げ速度は、数mm/分〜200mm/分程度である。特に、20.0mm/分の引き上げ速度で、光ファイバー1の端面2に形成される反射防止膜(ARコート)が0.1μmの膜厚を有するようにするのが好ましい。また、4.0mm/分の引き上げ速度で、反射防止膜が0.1μm以下の厚さを有するようにするのが好ましい。
【0037】
図3は、引き上げ速度を変化させたときに、形成された反射防止膜の、400nmから800nmまでの光の波長域に対する反射率の変化を詳細に示す。なお、この実験では、石英の光ファイバーと同質の、屈折率1.50のモニターガラス基板を用いた。
【0038】
図3からも明らかなように、引き上げ速度が20.0mm/分から10.0mm/分に変化すると、反射防止する波長域が760nm近辺で最小の反射率(最大の透過率)を示す関係から、530nm近辺で最小の反射率(最大の透過率)を示す関係で推移する。
【0039】
引き上げ速度をよりゆっくりした遅い速度にすると、反射率を変化させ、反射防止可能な波長域を短波長帯域に変化させることができる。
【0040】
たとえば、石英のバンドルファイバーの場合、反射防止膜(ARコート)を成膜していない場合の反射率は、両面反射で7%であるが、反射防止膜(ARコート)を成膜すると、両面反射でかつ最小反射率に抑えることができる。
【0041】
コート液と膜厚との関係について述べると、図4に示すように、引き上げ速度が20.0mm/分、60.0mm/分の場合、コート液の濃度が大きいほど、膜厚が大きくなり、ほぼ比例関係にある。
【0042】
また、コート液の濃度を変えることによっても、反射防止する波長帯域を変化させることができる。
【0043】
なお、上記実施例では、フッ素系無機珪素化合物の単層反射防止膜の成膜方法の場合について記載したが、高屈折率物質を併せて積層した多層反射防止膜の成膜方法であれば、反射率を最小で0にすることもできる。
【0044】
以上のように、浸漬法による物理的吸着により、1本の光ファイバーの端面に反射防止膜(ARコート)を成膜する実施例を説明したが、本発明は、この方法に限定されず、多数の光ファイバーを多量処理する方法を採用してもよい。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、コート液の液面に対して、光ファイバーの端面を所定の角度傾斜させて所定の速度で引き上げることができるので、簡易かつ低コストで、光ファイバーの端面に所望の膜厚と反射率を有する反射防止膜を形成することができる。しかも、本発明は、膜厚や反射率等を正確に制御することができる効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)(B)(C)は、本発明方法を実施するときの、光ファイバー端面とコート液面との種々の角度関係を示す説明図。
【図2】本発明方法により光ファイバー端面に成膜された反射防止膜を示す。
【図3】引き上げ速度を変化させたときの、反射防止膜の反射率の変化を示す。
【図4】コート液と膜厚の関係を示す。
【符号の説明】
1 光ファイバー
2 光ファイバー端面
3 コート液
4 液面
5 容器

Claims (10)

  1. 成膜物質を溶解させたコート液中に光ファイバーを浸漬させて、
    光ファイバーの端面に反射防止膜を成膜することを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
  2. 請求項1に記載の光ファイバーの反射防止膜成膜方法において、
    コート液から光ファイバーを引き上げる際に、引き上げ速度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射防止する波長域を調整することを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
  3. 請求項1に記載の光ファイバーの反射防止膜成膜方法において、
    コート液から光ファイバーを引き上げる際に、引き上げ速度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射率を調整することを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
  4. 請求項1乃至3に記載の光ファイバーの反射防止膜成膜方法において、成膜物質は含フッ素化合物であることを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバーの反射防止膜成膜方法において、
    コート液から光ファイバーを引き上げる際に、コート液の液面に対する光ファイバーの端面の角度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射防止する波長域を調整することを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
  6. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の光ファイバーの反射防止膜成膜方法において、
    コート液から光ファイバーを引き上げる際に、コート液の液面に対する光ファイバーの端面の角度を変化させて、光ファイバーの端面に成膜される反射防止膜の反射率を調整することを特徴とする光ファイバーの反射防止膜成膜方法。
  7. 端面に反射防止膜を成膜した光ファイバーにおいて、反射防止膜が浸漬により成膜されたものであることを特徴とする光ファイバー。
  8. 請求項7に記載の光ファイバーにおいて、
    成膜物質は、含フッ素化合物であることを特徴とする光ファイバー。
  9. 請求項7に記載の光ファイバーにおいて、
    反射防止膜の膜厚が不均一になっていることを特徴とする光ファイバー。
  10. 請求項7に記載の光ファイバーにおいて、
    反射防止膜の膜厚が均一になっていることを特徴とする光ファイバー。
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