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JP2004059509A - 液相ペプチド合成用アミノ酸試薬 - Google Patents

液相ペプチド合成用アミノ酸試薬 Download PDF

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JP2004059509A
JP2004059509A JP2002220569A JP2002220569A JP2004059509A JP 2004059509 A JP2004059509 A JP 2004059509A JP 2002220569 A JP2002220569 A JP 2002220569A JP 2002220569 A JP2002220569 A JP 2002220569A JP 2004059509 A JP2004059509 A JP 2004059509A
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JP2002220569A
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Kazuhiro Chiba
千葉一裕
Tomotaka Marui
丸井智敬
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Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
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Tokyo University of Agriculture and Technology NUC
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Abstract

【課題】可溶性担体にペプチドC末端アミノ酸を結合する反応を省略し液相合成の効率を向上させる。また多様なペプチドの種類に対応したC末端アミノ酸原料の選択を容易にする。さらにまた、液相合成プロセスの相分離における第二溶媒溶液の排除にて必要な第一・第二溶媒溶液の界面の検知を容易にする。
【解決手段】可溶化担体のアミノ酸官能基に、合成すべきペプチドのC末端アミノ酸が結合した液相ペプチド合成用アミノ酸試薬。物性によって、C末端アミノ酸の種類を弁別できる、または相分離状態の界面を検出容易にする添加物を添加したアミノ酸試薬。
【選択図】
図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、相溶状態と相分離状態とが温度で可逆的に変化する溶媒の組み合わせを好適に利用した液相ペプチド合成装置(特願2002−198242)で用いるアミノ酸試薬である。
【0002】
【従来の技術】
医学、薬学、生物学など広範囲の分野においてペプチドの合成技術の重要性はいうまでもない。アミノ酸を特定の順序でペプチド結合させたペプチドは、抗原−抗体相互作用の研究、臨床診断に利用するペプチド抗原の研究、種々の遺伝子研究などきわめて多くの研究にかかわる。免疫でも感染源でもタンパク質の活性はたかだかアミノ酸5個から10個が結合したペプチドで決まる。したがって、その部分の合成は非常に重要であり研究用として多くの需要がある。
【0003】
もちろんアミノ酸10個以上結合したペプチドも重要である。合成可能とされるペプチドの結合数(残基数)の限界は50程度であり、このアミノ酸結合数の限界を超えたペプチドの合成技術も望まれている。研究の成果として、特定のタンパクやペプチドの薬効が検証されれば、化学合成ワクチン等の医薬品向けペプチドの大量需要が発生する。よって、商用規模の大量の需要に対応できるペプチド量産技術が強く望まれている。
【0004】
固体表面に化学的にアミノ酸を連結していく、固相合成法が現在のペプチド合成の主流となっている。しかし、この固相ペプチド合成法(Solid Phase Peptide Synthesis法)には、以下のような欠点がある。まず第一に、固体表面で化学反応を行わなければならないため、試薬が固体表面に接近しにくく、液相反応に比べると反応が起こりにくい。すなわち、固体担体がアミノ酸に比べてきわめて巨大な分子であり、その巨大分子のごく小さな反応部にアミノ酸を結合させる必要があるが、それが確率的に起こりにくい。そのため高価なアミノ酸反応試薬を大量に供給しなければならない。通常反応量の100倍程度を供給する。その結果として反応に関与できない反応試薬が大量に発生し無駄になる。
【0005】
第二には、n番目のアミノ酸の未反応部には次の結合工程で、n+1番目のアミノ酸がn番目として結合してしまうので所望のペプチドではない不純物となってしまう。こういった未反応が、個々の結合反応で5%しか発生しないとしても、50アミノ酸(残基)のペプチドを合成すると、最終的な収率はたったの7.7%となってしまう(0.95の50乗)。30アミノ酸(残基)でも21.5%である(0.95の30乗)。そのため反応時間を十二分に長く取らざるを得ない、という生産効率上の問題があった。この他にも固相ペプチド合成では、目的の反応が進行したことを簡便に確認することができない、固体担体が微小とはいえ数ミクロンの大きさがあるため反応槽をスケールアップすると、巨大なものになってしまう、固相担体が高価で再利用ができない(使い捨て)といった問題があった。
【0006】
上記のように固相合成法は、固体担体を用いて所望のアミノ酸を確実にひとつずつ結合していくことを可能ならしめる画期的なものではあったが、量産性の面などで欠点が多い。そこで、発明者は固相合成法の長所を確保しながら、液相でペプチド合成する新たな方法を開発した。それは、特願2001−254109「相溶性−多相有機溶媒システム」、特願2001−385493「相溶性−多相有機溶媒システムによりアミノ酸を逐次的に付加する液相ペプチド合成法」、特願2002−198242「液相ペプチド合成装置」、および”A liquid−phase peptide synthesis in cyclohexane−based biphasic thermomorphic systems”,Kazuhiro Chiba, Yusuke Kono, Shokaku Kim, Kohsuke Nishimoto, Yoshikazu Kitano and Masahiro Tada,.Chem. Commun., 2002, (Advance Article),The Royal Society of Chemistry, 1766−1767,2002,.(First published on the web 15th July 2002)に開示された液相合成法および液相合成装置である。
【0007】
固相合成法以前にもペプチドの液相合成がなされていた。しかし、固相合成法の普及後は主流ではなくなった。以下液相合成と記載した場合は、本発明者が上記特許で開示した技術を示すものとする。液相ペプチド合成法を説明する。
【0008】
<液相ペプチド合成法の溶媒セット>
特願2001−254109「相溶性−多相有機溶媒システム」にて、温度により相溶状態と相分離状態とが可逆的に変化する第一の溶媒と第二の溶媒のセット(組み合わせ)が開示されている。ここで第一の溶媒と第二の溶媒のそれぞれは、複数の溶媒の混合溶媒でもよい。
【0009】
液相ペプチド合成に好適な溶媒セットは、特願2001−385493「相溶性−多相有機溶媒システムによりアミノ酸を逐次的に付加する液相ペプチド合成法」に開示されているように、一方の溶媒または混合溶媒(第一の溶媒)を構成する有機溶媒がシクロアルカン系の化合物からなる。
【0010】
第一の溶媒は、基本的には低極性有機溶媒であり、該溶媒を構成する化合物群としては、アルカン、シクロアルカン、アルケン、アルキン、芳香族化合物などで、中でも好ましいものが、シクロアルカン系の化合物であり、特に好適なものとして「シクロヘキサン」を挙げることができる。シクロヘキサンのイス型−舟形配座異性体の変換が他の溶媒との関連で温度的に比較的穏やかな条件で起こることに関連していると推測できる。シクロヘキサンは融点が6.5℃と比較的高く、反応後の生成物などを固化して分離できるという利点もあり、最終工程である回収工程でもメリットがありこの面からも好ましい。回収工程の説明は略す。
【0011】
一方、第一の溶媒と組み合わせる他方の溶媒または混合溶媒(第二の溶媒)を構成する有機溶媒は、基本的には高極性有機溶媒である。好ましいものとしては、ニトロアルカン、ニトリル、アルコール、ハロゲン化アルキル、アミド化合物およびスルフォキサイドからなる群から選択される少なくとも一種から構成されたものである。
【0012】
第二の溶媒は、さらに具体的には、ニトロアルカンのアルキル基は炭素数が1、2または3であり、ニトリルのアルキル基の炭素数が1、2または3であり、アミド化合物はN−ジアルキルまたはN−モノアルキルアミドのアルキル基およびアシル基またはホルミル基の炭素数の合計は6以下であり、アルコールは炭素数が8以下であり、スルフォキサイドのアルキル基は炭素数が1、2または3であり、またハロゲン化アルキルのアルキル基は炭素数が6以下である。
【0013】
上記の第一の溶媒と第二の溶媒との溶媒セットは、温度により可逆的に均一相溶混合溶媒系の状態(相溶状態)と複数相に分離した分離溶媒系の状態(相分離状態)とを可逆的に取り得る。
【0014】
<可溶性担体(液体担体)>
さて、特願2001−385493(液相ペプチド合成法)において上記の溶媒セットを用いてアミノ酸を逐次的に付加する液相ペプチド合成法を提案しているが、この合成法にて溶媒セットと共に重要なものは、固相ペプチド合成の固体担体に相当する「可溶性担体(液体担体)」である。これは、特願2001−254109(溶媒システム)において、「第一の溶媒あるいは第二の溶媒いずれか一方のみ溶解する反応に関与する化学成分」と記載したものに相当する。
【0015】
すなわち、第一の溶媒に対し可溶性であり、第二の溶媒に対し難溶性である化合物から誘導され、かつ、アミノ酸系物質と結合する液体の担体である。(ここで「アミノ酸系物質」とは、単独のアミノ酸あるいはアミノ酸残基、複数のアミノ酸がペプチド結合したペプチドを含む。)この担体は、反応状態で液体であるが、常温で固体であってもよい。機能について固体担体と等価であり、これと対比するため特願2002−198242「液相ペプチド合成装置」では「液体担体」と呼称していたが、本明細書では「可溶性担体」と記載する。以下に可溶性担体について説明する。
【0016】
従来技術の固相表面反応を液相の反応に置換すれば、従来問題であった反応性の悪さ(固体担体がアミノ酸に比べてきわめて巨大な分子であり反応部位に接近しにくい)を改善できる。さらに、前述の相分離する溶媒セットをうまく使えば、得られた反応生成物の分離が極めて容易に実現できる。このように画期的な利点をもつ液相ペプチド合成法の実現には、固相ペプチド合成の固体担体に相当する可溶性担体が必要で、発明者はこれを見出した。その可溶性担体は以下の機能を必要とする。
【0017】
すなわち可溶性担体は、ペプチドの形成を開始するアミノ酸との結合部を有すること、アミノ酸を順次結合させ伸長させたペプチド鎖を担持できること、さらにアミノ酸と結合した化合物および合成中のペプチド鎖を担持した化合物が、第一の溶媒に溶解されること、という機能である。つまり担体は、第一の溶媒への溶解性を高める部分を具備して可溶性であり、かつ、アミノ酸と結合する官能基を具備していればよい。
【0018】
これら機能を持つ可溶性担体の候補化合物(親シクロアルカン系溶媒部分とアミノ酸と結合する官能基を有するもの)は、下記の一般式A(化4)で表される芳香族炭化水素環からなる基本骨格化合物である。ここで、担体が具備すべき第一の溶媒への溶解性を高める部分は一般式A(化4)の(RX)nで表される炭素数10以上の炭化水素基をもつ親シクロアルカン系溶媒部分である。
【0019】
【化4】
Figure 2004059509
【0020】
(RX)nのRは、O、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基であり、(RX)nのXはO、C、S、またはNを介して芳香族炭化水素環に結合する任意の残基があっても良い結合部、または、エステル基、イミノ基を介して芳香族炭化水素環に結合する結合部であり、(RX)nのnは、1から5の整数である。Rの例を具体的に図7、Xの例を具体的に図8、図9に示す。これらの説明は略す。
【0021】
一般式A(化4)において、L1は、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する単結合、該水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する原子団、または点線とも結合して2環の縮合芳香族環を形成する原子団である。また、一般式A(化4)において、点線はHとの結合または前記L1と結合して前記縮合芳香族環を形成する原子団の結合である。
【0022】
さらにまた、担体が具備すべきアミノ酸と結合する官能基が、前記の炭素数が10以上の炭化水素基の分枝鎖または置換基にあってもよいし、前記の炭素数が10以上の炭化水素基の分枝鎖および置換基にあってもよい。
【0023】
一般式A(化4)は、より具体的には、下記の一般式群B(化5)から選択される。一般式群B(化5)において、X、Rおよびnは一般式A(化4)と同じ。Qは、単結合または炭化水素基であり、Rはアミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基であり、RおよびRは、一般式C(化6)の基である。また、一般式C(化6)のRは、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基である。(ここで、R、R、R、Rは後で記載されるR1、R2、R3とは同一ではないので注意されたい。)
【0024】
【化5】
Figure 2004059509
【0025】
【化6】
Figure 2004059509
【0026】
前に説明した第一の溶媒は、分離状態において、上記可溶性担体および可溶性担体とアミノ酸系物質との結合物質を溶解するが、可溶性担体と結合していないアミノ酸(ペプチド結合させるべきアミノ酸)は溶解しない(難溶である)。ここで、アミノ酸系物質とは、単一のアミノ酸あるいはペプチドである。
【0027】
また逆に、第二の溶媒は、分離状態において、アミノ酸(ペプチド結合させるアミノ酸)を溶解するが、上記可溶性担体および可溶性担体とアミノ酸系物質との結合物質を溶解しない(難溶である)特性を持っている。
【0028】
可溶性担体の好適な具体例を図4の1に示す。1は、前記の一般式群Bにおいて、RがC1837−であり、XがOであり、nが3であり、QがCHであり、RがOHである。名称は、(3,4,5−トリオクタデシルオキシフェニル)メタン−1−オール、〔(3,4,5−trioctadecyloxyphenyl)methan−1−ol 〕である。この可溶性担体1は、第一の溶媒に対し可溶性であり、第二の溶媒に対し難溶性である化合物から誘導され、かつ、アミノ酸系物質と結合する。
【0029】
<液相ペプチド合成法>
可溶性担体は1に限定されることはないが以下、この可溶性担体具体例1を用いて、本発明者の液相ペプチド合成法を説明する。図4から図6は、固相ペプチド合成法の固体担体を可溶性担体1に置換した本案液相ペプチド合成の説明図である。
【0030】
図4は、N末端を保護され、C末端を活性化された(活性化基Xを結合された)R1残基アミノ酸12のC末端を、可溶性担体1に結合する反応(図4中の8)を示す反応フロー図である。ここで、可溶性担体1は、第一の溶媒(A)に1が溶解された第一溶媒溶液(A1)という溶液の状態であり、R1残基アミノ酸12は、あらかじめ第二の溶媒(B)に溶解され、第二溶媒溶液(B12)として準備される。(A、B、A1、B12という表記は図4から図6では略す。)
【0031】
前記第一の溶媒(A)に1が溶解された第一溶媒溶液(A1)と、R1残基アミノ酸12が第二の溶媒(B)に溶解された第二溶媒溶液(B12)とが混合される。第二溶媒溶液(B12)は多少過剰に投入されるのが好ましい。その理由は、相対的に第一溶媒溶液が多いとすべてのペプチド反応が生じても、未反応の末端をもつ担体が残留するからである。これは固相合成法と同様であるが、固相合成法のように必要量の100倍も過剰に投入する必要はない。
【0032】
両溶液混合後、それらが相溶状態となる温度に加熱される。すると、可溶性担体1の末端はアミノ酸と結合する水酸基であるので、R1残基アミノ酸C末端とペプチド結合反応(図4中の8)して1afとなる。この1afも、相溶化状態の両溶媒に溶けている。
【0033】
ペプチド反応後、固相合成では未反応アミノ酸等との分離のために洗浄除去などを行っていたが、本発明では、第一溶媒溶液と第二溶媒溶液とが相分離する温度に冷却すればよい。このことで、1afは分離された第一の溶媒(A)に溶解されたA1afとして、第二溶媒溶液から分離される。その分離状態で第二溶媒溶液を排除する。
【0034】
排除される第二溶媒溶液中には、過剰に投入したため未反応で残留したR1残基アミノ酸、および反応副生物などが溶解している。この分離操作は、従来と比較にならない単純操作であり、かつ不純物の混入もきわめて少ない。したがってクロマトグラフィ等による精製工程も省略が可能である。
【0035】
分離状態にある第一・第二溶媒溶液にて、第二溶媒溶液を排除するのであるが、この排除操作で第一溶媒溶液だけが残留することが重要である。したがって歩留まりは悪くなるが、第二溶媒溶液と共に、多少の第一溶媒溶液も排除してもかまわない。残留した第一溶媒溶液には、1にR1残基アミノ酸C末端が結合した1afが溶解している(A1af)。
【0036】
次の工程である図5では、第一溶媒溶液中の可溶性担体1とR1残基アミノ酸が結合した物質1afのアミノ末端を保護しているFmocを除去して活性化(図5中の10)する。図4同様に、N末端を保護したR2残基アミノ酸12を、あらかじめ第二の溶媒に溶解し、第二溶媒溶液B12として準備し、これら第一溶媒溶液A1aと第二溶媒溶液B12とを混合する。同様に第二溶媒溶液B12は過剰に混合されるのが好ましい。
【0037】
その混合後、再び混合液を相溶化温度に加熱して、相溶状態で溶液中の1aと、R2残基アミノ酸C末端をペプチド結合させる(図5中の11)。その結果、相溶化溶液中に可溶性担体1にR1、R2残基ペプチドが結合した物質1bfができる。
【0038】
上記ペプチド反応後、第一溶媒溶液と第二溶媒溶液とが相分離する温度に冷却し、1bfを分離された第一溶媒溶液に溶解されたA1bfとし、第二溶媒溶液から分離する。その分離状態で第二溶媒溶液を排除する。同様に第二溶媒溶液と共に、多少の第一溶媒溶液も排除してもかまわない。
【0039】
次の工程である図6も同様に、第一溶媒溶液中の可溶性担体1とR1、R2残基ペプチドが結合した物質1bfのアミノ末端を保護しているFmocを除去して活性化(図6中の10)する。同様に、N末端を保護したR3残基アミノ酸12を、あらかじめ第二の溶媒に溶解し、第二溶媒溶液B12として準備し、これら第一溶媒溶液A1bと第二溶媒溶液B12とを混合する。
【0040】
その混合後、再び混合液を相溶化温度に加熱して、相溶状態で溶液中の1bと、R3残基アミノ酸C末端をペプチド結合させる(図6中の11)。その結果、相溶化溶液中に可溶性担体1にR1、R2、R3残基ペプチドが結合した物質1cfができる。以下同様の操作でペプチドを伸長させていく。
【0041】
このように一連のペプチド結合を行い、それが完了したら、ペプチドC末端を可溶性担体から必要に応じて開裂し、同じく必要に応じて保護基を除去したり付加したりする。このクリーベイジ(cleavage)工程は固相合成と同様である。すなわち、可溶性担体に結合したペプチドは、そのまま使用時まで低温保存してもよいし、結合部分を開裂させる公知の化合物ないしは酵素試薬をもちいて結合を切り離し保存してもよい。開裂後のペプチドN末端は、そのまま保存してもよいし公知の保護基を結合してもよい。
【0042】
固相合成との大きな相違は、溶媒に溶解された溶液での反応であるので、ペプチド合成の個々のペプチド結合での未反応がきわめて少ないことである。したがって、多少は過剰に加えるものの、固相合成のように100倍といった大量の反応試薬を過剰に投入しなくともよい。液相反応なので当然反応時間も短縮される。
【0043】
また、溶媒を染料等で着色するなどして、目的の反応の進行を色によって確認することもできる。さらにまた、反応槽などからなる後述の装置のスケールアップも通常の液相プロセス同様に容易に可能となる。
【0044】
R1をバリン(Val)、R2をグリシン(Gly)、R3をフェニルアラニン(Phe)とした図4から図6のペプチド液相合成を実施した結果、収率は95%、97%、99%であった。収率100%とならないのは、可溶性担体または可溶性担体とアミノ酸系物質との結合物質が、第二の溶媒に全く溶解しないと言うのではない(難溶性である)ためである。
【0045】
<液相ペプチド合成装置>
液相ペプチド合成装置の第一例を図1に示す。本案の液相ペプチド合成装置は、液体担体と第一の溶媒を供給する手段(図1では省略)、および結合前処理後のアミノ酸を第二の溶媒に溶解した、第二溶媒溶液を供給する手段(図1の5)に連結され、液体担体または液体担体とアミノ酸系物質との結合物質を第一の溶媒に溶解した、第一溶媒溶液と、供給された第二溶媒溶液とを混合する混合槽(図1の3)と、前記混合槽の温度を、混合された第一溶媒溶液と第二溶媒溶液が相溶状態となる温度、または混合された第一溶媒溶液と第二溶媒溶液が相分離状態となる温度に制御する混合槽の温度制御手段(図1の6)と、前記混合槽の第一溶媒溶液/第二溶媒溶液の界面を検知する界面検知手段(図1の20)と、該手段によって得られる界面位置に基づいて第二溶媒溶液の量を判定し、その判定量に基づいて混合槽から第二溶媒溶液を排除する手段(図1の7)とを有する。
【0046】
ここで、アミノ酸とは、アミノ酸残基に任意化合物が結合したアミノ酸誘導物質を含むものであり、アミノ酸系物質とは、単一のアミノ酸あるいはペプチドであり、結合前処理とは、合成すべきペプチドを構成するアミノ酸のアミノ基側末端を不活性化、カルボキシル基側を活性化する処理である。
【0047】
合成工程の初期にて、液体担体と第一の溶媒を供給する手段(図1では省略)によって、あらかじめ液体担体を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液を混合槽3に供給する。あるいは、液体担体、第一の溶媒をそれぞれ個別に供給して混合槽3で溶解してもよい。説明の簡単のため、液体担体を1とし、第一の溶媒をA、第一の溶媒に液体担体を溶解した第一溶媒溶液をA1と記載する。
【0048】
第二の溶媒をBと記載し、N末端に保護基Fmocなどを結合した結合前処理後のアミノ酸を12と記載し、12をBに溶解した、第二溶媒溶液をB12と記載する。合成工程の初期に、混合槽3に供給されたA1にB12が供給され混合される。
【0049】
混合槽3には、温度制御手段6が配備されている。これは公知の加熱ヒータや湯浴や高温ガスによる加熱装置、ぺルチェ素子や冷浴や低温ガスによる冷却装置を任意に採用すればよい。なお図1にて、A0は任意物質を溶解した第一溶媒溶液を示す。A0には、A1、A1a、A1af、A1b、A1bf、A1c、A1cf が例として含まれる。これらの意味は符号の説明の項を参照のこと。
【0050】
混合槽3へB12を供給する手段5が、3に連結されており、これはB12の準備槽4からB12を移送する流路(配管)5a、流路開閉手段(バルブ等)および移送ポンプ5bなどで構成されている。図1に示すように複数の準備槽を配備し、結合前処理後の異なったアミノ酸を第二の溶媒Bに溶解させ、あらかじめ準備しておくと便利である。(ここで、この準備槽に本案で提案される試薬を準備しておけばさらに便利である。これについては後で説明する。)
【0051】
すなわち、図1のごとく複数のB12の準備槽4から、逐次合成すべき結合前処理後のアミノ酸を選択的に混合槽3へ供給される構成が好適である。
【0052】
混合槽3を加熱して第一・第二溶媒を相溶状態としてペプチド合成反応が行われる。この反応の終了は、たとえば溶媒の着色などによる反応マーカで確認することもできる。もちろん、供給量と反応時間のデータをあらかじめ採取しておき、反応時間で反応終了を判定してもよい。その判定後、相溶化温度より低温である任意の温度に冷却して相分離状態とする。(この溶媒の着色については、本案では「担体の添加物」として提案する。これについては後で説明する。)
【0053】
相分離状態で、第一溶媒溶液/第二溶媒溶液の界面を検知する界面検知手段20で、第一溶媒溶液/第二溶媒溶液の界面を検知する。界面の位置がわかれば、既知である混合槽の形状、容量にて、第二溶媒溶液の量の判定は容易である。よって界面位置に基づいて第二溶媒溶液の量を判定する。
【0054】
前記第二溶媒溶液の判定量に基づいて、混合槽3より第二溶媒溶液を排除手段7で排除する。この排除の量は、第二溶媒溶液が完全に排除されるように、前記判定された第二溶媒溶液量よりも多少多めが好適である。図1の7aは7の一部で、第二溶媒溶液を排除する流路(配管)、流路開閉手段(バルブ等)、ポンプなどである。
【0055】
第一溶媒溶液/第二溶媒溶液の界面を検知する界面検知手段20は、たとえば図2のように混合槽3内に挿入される溶媒物性センサーのプローブ(探触子)20a、20aのセンサーヘッド20bとからなるものであって、センサーヘッド電極間の導電率など溶液の電気特性を検出し、その相違で界面を検出するもの等を採用すればよい。なお、20cは20aの内部電気配線である。
【0056】
図3は、図中に第一溶媒溶液/第二溶媒溶液の界面を検知する界面検知手段20を別の例とした本案装置の第二例(温度制御手段6は省略した)である。図3中の20eは、光(放射エネルギー)発生器であり、20fは、光(放射エネルギー)受信器である。この受信器で溶液の光学特性、エネルギー透過特性を検知し、その相違で界面を検出する。
【0057】
界面検知を容易とするために、一方の溶媒に染料を添加して着色するなどすれば上記の光学的界面検知手段は有効であろう。なお図9中、混合槽3の部分のB0は、反応後の第二溶媒溶液で未反応の12、その他の副産物も第二の溶媒に溶解しているのでB0(任意物質を溶解した第二溶媒溶液)と記載した。
【0058】
【発明が解決しようとする課題】
本案は、以上説明した液相合成プロセスにて好適なアミノ酸試薬を提供し、液相合成のプロセスの効率を向上させることを課題とする。具体的には、開示された液相合成法にて図4に示されるような可溶性担体にR1残基アミノ酸を結合する反応を省略して効率向上させる。また本案は、多様なペプチドの種類に対応したペプチドの多品種少量生産にも対応すべく合成すべきペプチドのC末端アミノ酸原料の選択を容易にする。さらにまた、本案は液相合成プロセスの重要な工程である相分離における第二溶媒溶液の排除にて必要な第一・第二溶媒溶液の界面の検知を容易にする。
【0059】
【課題を解決するための手段】
本案は、温度により相溶状態と相分離状態とが可逆的に変化する第一の溶媒と第二の溶媒の組み合わせを用いて、第一の溶媒に対し可溶性であり、第二の溶媒に対し難溶性である担体に合成すべきペプチドのアミノ酸を逐次ペプチド結合させる液相ペプチド合成において用いられるアミノ酸試薬であって、第一の溶媒への溶解性を高める部分を具備して可溶性であり、かつ、アミノ酸と結合する官能基を具備した前記担体のアミノ酸官能基に、合成すべきペプチドC末端アミノ酸が結合した液相ペプチド合成用アミノ酸試薬である。
【0060】
本案試薬の構成要素である担体(可溶化担体)については、特願2001−385493「相溶性−多相有機溶媒システムによりアミノ酸を逐次的に付加する液相ペプチド合成法」、特願2002−198242「液相ペプチド合成装置」にて開示されたものと同様であり本明細書の従来技術の項の説明と重複するが、下記のようである。
【0061】
すなわち担体は第一の溶媒としてシクロアルカン系の化合物を選定した場合には、一般式A(化1、化4)で表される芳香族炭化水素環からなる基本骨格化合物であり、担体が具備する第一の溶媒への溶解性を高める部分は、一般式A(化1、化4)の(RX)nで表される炭素数10以上の炭化水素基をもつ親シクロアルカン系溶媒部分である。(RX)nのRは、O、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基であり、(RX)nのXはO、C、S、またはNを介して芳香族炭化水素環に結合する任意の残基があっても良い結合部、または、エステル基、イミノ基を介して芳香族炭化水素環に結合する結合部であり、(RX)nのnは、芳香族炭化水素環の結合部位の制約で1から5の整数である。
【0062】
担体が具備するアミノ酸官能基は、一般式A(化1、化4)においてL1で示される、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する単結合などである。また担体が具備するアミノ酸と結合する官能基は、炭素数が10以上の炭化水素基の分枝鎖および/または置換基として、(RX)nの一部にあってもよい。一般式A(化1、化4)で表される化合物が、一般式群B(化2、化5)であって、その一部が一般式C(化3、化5)の基でもよい。
【0063】
本案液相ペプチド合成用アミノ酸試薬は、合成すべきペプチドC末端アミノ酸のN末端に保護基が結合されたものであれば、望ましくない反応からN末端を保護できるので保存に好適である。保護基については、Fmoc (9−flourenylmethloxycarbonyl) またはt−Boc (tert−butyloxycarbonyl)などが好適である。
【0064】
以上の構成により本案試薬は、図5にて「1a」で示される可溶性担体とR1残基アミノ酸の結合物質、あるいは図4にて「1af」で示される1aのR1残基アミノ酸のN末端に保護基Fmocが結合した物質である。これを試薬として用意すれば、液相合成のプロセスの効率向上できる。具体的には、図4に示されるような可溶性担体にR1残基アミノ酸を結合する反応を省略して効率向上できる。本案試薬を用いれば、これを混合槽に入れるだけで図4の8に示されるプロセスが省略される効果が得られる。合成装置においては、図1に示される複数の準備槽のいずれかに本案試薬をあらかじめ準備しておき、合成のイニシャルプロセスでその準備槽から混合槽へ本案試薬を移送するだけでよいことになる。
【0065】
【発明の実施の形態】
本案液相ペプチド合成用アミノ酸試薬を実施するにあたって実用的な2、3の形態を説明する。まずアミノ酸の種類が多いので、本案試薬もその数だけできることになりこれらを取り違えやすい。担体と結合したアミノ酸の種類ごとに色分けされるなどで目視弁別しやすいほうが望ましい。すなわち一般的には、本試薬担体に結合したアミノ酸の種類に応じて物性の異なった添加物を混合し、該添加物の物性によって、アミノ酸の種類を弁別できるようにしたら便利である。たとえば、添加物が色素であれば色で目視弁別できるのでマニュアル作業では便利である。また、蛍光材、光学的透過率、反射率、屈折率の違う光学材料物質を添加して、それらの違いでそういった光学センサーによって弁別しても良い。これはロボット技術を用いた自動合成装置で有効である。さらに同様に導電物質を添加して導電度センサーで自動弁別しても良い。
【0066】
また、本案は液相合成プロセスの重要な工程である相分離における第二溶媒溶液の排除にて必要な第一・第二溶媒溶液の界面の検知に利用することもできる。すなわち、第一の溶媒と第二の溶媒との物性の差にもとづいて両溶媒の相違を強調する添加物を混合しておけば、該添加物の物性によって相分離状態の界面検出をより容易にできる。ここにおいて添加物が相分離状態で第一・第二溶媒のいずれかに滞留することが望ましいが、第一溶媒が低極性溶媒、第二の溶媒が高極性溶媒であることから、いずれかに滞留する特性を得るものを適宜選定すればよい。これは、たとえば担体同様の第一の溶媒への溶解性を高める部分を添加物に導入すれば実現できる。
【0067】
すなわち、添加物が第一の溶媒または第二の溶媒への溶解性を高める部分を具備し、かつその添加物の物性が検知可能であれば、分離状態の第一・第二溶媒溶液の界面の検知が可能である。特に第一の溶媒が、シクロアルカン系の化合物からなる場合には、前に記載したように第一の溶媒への溶解性を高める部分がRXで表される炭素数が10以上の炭化水素基をもつ親シクロアルカン系溶媒部分であり、Rは、O、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基であり、XはO、C、S、またはNを介して該添加物の他の部分に結合する任意の残基があっても良い結合部、または、エステル基、イミノ基を介して該添加物の他の部分に結合する結合部であれがよい。これらR、Xについては図7、図8、図9を参照のこと。
【0068】
上記界面検知のために混合する添加物の例は、色素を含む光学材料物質、または導電物質であり、添加物が色素であれば色で界面を目視弁別できるのでマニュアル作業では便利である。また、蛍光材、光学的透過率、反射率、屈折率の違う光学材料物質を添加して、それらの違いでそういった光学センサーによって界面を検出しても良い。これはロボット技術を用いた自動合成装置で有効である。さらに同様に導電物質を添加して導電度センサーで界面検出しても良い。
【0069】
本試薬に、第一の溶媒と第二の溶媒との物性の差にもとづいて両溶媒の相違を強調する添加物を混合し、該添加物の物性によって、相分離状態の界面を検出する装置としては、図2に図示されるセンサーヘッド、あるいは図3に図示される光・放射線のセンサーで上記の検出をおこなえばよい。
【0070】
相溶状態としてペプチド合成反応が行われるが、この反応の過程や反応の終了は、たとえば溶媒の着色などによる反応マーカで確認することもできる。この反応マーカも本試薬の添加物として添加しても良い。もちろん、色素以外の光学材料物質、または導電物質を反応マーカとして添加しても良い。合成反応の過程や終了でかかる添加物の物性が変化し、それを外部から検知できる種類の反応性物質を反応マーカとして選定し、適宜添加すれば良く、上記で説明したごとく自動装置に配備されたセンサーで添加した反応マーカの物性を検知するなどの装置構成を採用すればよい。その具体例は省略する。
【0071】
【発明の効果】
本案は、以上説明した液相合成プロセスにて好適なアミノ酸試薬を提供し、液相合成のプロセスの効率向上を課題とする。具体的には、開示された液相合成法にて図4に示されるような可溶性担体にR1残基アミノ酸を結合する反応を省略して効率向上させる。また本案は、多様なペプチドの種類に対応したペプチドの多品種少量生産にも対応すべく合成すべきペプチドのC末端アミノ酸原料の選択を容易にする。さらにまた、本案は液相合成プロセスの重要な工程である相分離における第二溶媒溶液の排除にて必要な第一・第二溶媒溶液の界面の検知を容易にする。
【0072】
本案試薬を用いることで、本案試薬を混合槽に入れるだけで図4の8に示されるプロセスが省略される効果が得られる。たとえば図1に示される複数の準備槽のいずれかに本案試薬をあらかじめ準備しておき、合成のイニシャルプロセスでその準備槽から混合槽へ本案試薬を移送するだけでよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】液相ペプチド合成装置の第一例
【図2】液体導電率センサーヘッド
【図3】液相ペプチド合成装置の第二例(温度制御手段6は省略した)
【図4】可溶性担体1にR1残基アミノ酸を結合する反応フロー図
【図5】可溶性担体1とR1残基アミノ酸が結合した物質1afのFmocを除去活性化し、R2残基アミノ酸を結合する反応フロー図
【図6】可溶性担体1とR1、R2残基アミノ酸鎖が結合した物質1bfのFmocを除去活性化し、R3残基アミノ酸を結合する反応フロー図
【図7】一般式A(化1、化4)の(RX)nのRの具体例
【図8】一般式A(化1、化4)の(RX)nのXの具体例であってO、S、またはNを介して芳香族炭化水素環に結合する任意の残基があっても良い結合部、または、エステル基、イミノ基を介して芳香族炭化水素環に結合する例
【図9】一般式A(化1、化4)の(RX)nのXの具体例であって、Cを介して芳香族炭化水素環に結合する任意の残基があっても良い結合部の例
【符号の説明】
1 可溶性担体の例
1a 可溶性担体とR1残基アミノ酸の結合物質(本案の試薬)
1af 1aのR1残基アミノ酸のN末端に保護基Fmocが結合した物質(本案の試薬)
1b 可溶性担体とR1、R2残基アミノ酸の結合物質
1bf 1bのR2残基アミノ酸のN末端に保護基Fmocが結合した物質
1c 可溶性担体とR1、R2、R3残基アミノ酸の結合物質
1cf 1cのR3残基アミノ酸のN末端に保護基Fmocが結合した物質
3 第一溶媒溶液と第二溶媒溶液とを混合する混合槽
4 第二の溶媒に、結合前処理後のアミノ酸を溶解した、第二溶媒溶液B12の準備槽
5 第二溶媒溶液B12を混合槽3に供給する手段
5a 5の一部で、第二溶媒溶液の移送流路(配管)
5b 5の一部で、流路開閉手段(バルブ等)および移送ポンプなど
6 合成槽3の温度制御手段
7 第二溶媒溶液の量を20より得られる界面位置から判定して混合槽3から排除する手段
7a 7の一部で、第二溶媒溶液を排除する流路(配管)、流路開閉手段(バルブ等)、ポンプなど
8 液相担体にR1残基アミノ酸のN末端に保護基Fmocを結合したR1残基アミノ酸を結合
する反応
10 N末端の保護基であるFmoc等を除去して活性化する操作
11 活性化されたN末端部分に12をペプチド結合反応させる操作
12 N末端に保護基Fmocなどを結合した結合前処理後のアミノ酸
20 第一溶媒溶液/第二溶媒溶液の界面を検知する界面検知手段
20a 合成槽3内に挿入される溶媒物性センサーのプローブ(探触子)
20b 20aのセンサーヘッドの例で、20aの先端に配設された電気特性測定電極
20c 20aの内部電気配線
20e 光(放射エネルギー)発生器
20f 光(放射エネルギー)受信器
A 第一の溶媒
A0 任意物質を溶解した第一溶媒溶液
A1 可溶性担体を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
A1a 可溶性担体とR1残基アミノ酸との結合物質(1a)を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
A1af 1aに保護基を結合した物質(1af)を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
A1b 可溶性担体とR1、R2残基アミノ酸との結合物質(1b)を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
A1bf 1bに保護基を結合した物質(1bf)を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
A1c 可溶性担体とR1、R2、R3残基アミノ酸鎖の結合物質(1c)を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
A1cf 1cに保護基を結合した物質(1cf)を第一の溶媒に溶解した第一溶媒溶液
媒溶液
B 第二の溶媒
B0 任意物質を溶解した第二溶媒溶液
B12 12を第二の溶媒に溶解した第二溶媒溶液
R1、R2、R3 合成すべきペプチド鎖を構成するアミノ酸残基

Claims (11)

  1. 温度により相溶状態と相分離状態とが可逆的に変化する第一の溶媒と第二の溶媒の組み合わせを用いて、第一の溶媒に対し可溶性であり、第二の溶媒に対し難溶性である担体に合成すべきペプチドのアミノ酸を逐次ペプチド結合させる液相ペプチド合成において用いられる試薬であって、前記担体が第一の溶媒への溶解性を高める部分を具備することで可溶性であり、かつ、前記担体がアミノ酸と結合する官能基を具備し、該担体のアミノ酸と結合する官能基にアミノ酸が結合した液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  2. 担体のアミノ酸と結合する官能基にアミノ酸のC末端が結合し、該アミノ酸のN末端に保護基が結合した請求項1の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  3. 第一の溶媒が、シクロアルカン系の化合物からなり、担体が、下記の一般式Aで表される芳香族炭化水素環からなる基本骨格化合物であり、担体が具備する第一の溶媒への溶解性を高める部分が、芳香族炭化水素環に結合した下記の一般式Aの(RX)nで表される炭素数が10以上の炭化水素基をもつ親シクロアルカン系溶媒部分であり、Rは、O、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基であり、XはO、C、S、またはNを介して芳香族炭化水素環に結合する任意の残基があっても良い結合部、または、エステル基、イミノ基を介して芳香族炭化水素環に結合する結合部であり、nは、1から5の整数である請求項1の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
    Figure 2004059509
    〔一般式Aにおいて、L1は、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する単結合、該水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基と結合する原子団、または点線とも結合して2環の縮合芳香族環を形成する原子団である。また、一般式Aにおいて、点線はHとの結合または前記L1と結合して前記縮合芳香族環を形成する原子団の結合である。〕
  4. 担体が具備するアミノ酸と結合する官能基が、炭素数が10以上の炭化水素基の分枝鎖および/または置換基にあるものである請求項3の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  5. 一般式Aで表される化合物が、下記の一般式群Bから選択されるものである請求項3の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
    Figure 2004059509
    〔一般式群Bにおいて、X、Rおよびnは一般式Aと同じ。Qは、単結合または炭化水素基であり、Rはアミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基であり、RおよびRは、下記の一般式Cの基である。〕
    Figure 2004059509
    〔Rは、アミノ酸と結合する水酸基、チオール基、アミノ基、またはカルボニル基である。〕
  6. 一般式Aの(RX)nのRの炭素数、および/またはnが、合成すべきペプチドのアミノ酸の数、ペプチドのアミノ酸種、またはペプチド分子量にもとづいて決定される請求項3の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  7. 担体と結合したアミノ酸の種類を弁別するために、該アミノ酸の種類に応じて物性の異なる添加物を混合した請求項1から6に記載された液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  8. 添加物が色素を含む光学材料物質、または導電物質であり、アミノ酸の種類に応じて変える添加物の物性が、色を含む光学物性、または電気導電度である請求項7の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  9. 相分離状態の第一の溶媒と第二の溶媒の界面を検出するために、固有の物性を具備し、かつ、第一の溶媒または第二の溶媒への溶解性を高める部分を具備した添加物を混合した請求項1から6に記載された液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  10. 添加物が色素を含む光学材料物質、または導電物質であり、添加物の固有の物性が、色を含む光学物性、または電気導電度である請求項9の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
  11. 第一の溶媒が、シクロアルカン系の化合物からなり、添加物が具備する第一の溶媒への溶解性を高める部分が、RXで表される炭素数が10以上の炭化水素基をもつ親シクロアルカン系溶媒部分であり、Rは、O、S、またはNを結合原子として含んでいても良い炭素数10以上の炭化水素基であり、XはO、C、S、またはNを介して該添加物の他の部分に結合する任意の残基があっても良い結合部、または、エステル基、イミノ基を介して該添加物の他の部分に結合する結合部である、請求項10の液相ペプチド合成用アミノ酸試薬
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