JP2003328155A - アルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法 - Google Patents
アルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法Info
- Publication number
- JP2003328155A JP2003328155A JP2002134341A JP2002134341A JP2003328155A JP 2003328155 A JP2003328155 A JP 2003328155A JP 2002134341 A JP2002134341 A JP 2002134341A JP 2002134341 A JP2002134341 A JP 2002134341A JP 2003328155 A JP2003328155 A JP 2003328155A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- aluminum
- lubricating
- sliding member
- film
- treatment
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C23—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
- C23C—COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
- C23C28/00—Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C25—ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PROCESSES; APPARATUS THEREFOR
- C25D—PROCESSES FOR THE ELECTROLYTIC OR ELECTROPHORETIC PRODUCTION OF COATINGS; ELECTROFORMING; APPARATUS THEREFOR
- C25D11/00—Electrolytic coating by surface reaction, i.e. forming conversion layers
- C25D11/02—Anodisation
- C25D11/04—Anodisation of aluminium or alloys based thereon
- C25D11/18—After-treatment, e.g. pore-sealing
Landscapes
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical Kinetics & Catalysis (AREA)
- Materials Engineering (AREA)
- Metallurgy (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Electrochemistry (AREA)
- Mechanical Engineering (AREA)
- Other Surface Treatments For Metallic Materials (AREA)
- Lubricants (AREA)
- Application Of Or Painting With Fluid Materials (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】 アルミニウム又はその合金製摺動部材の表面
に、高耐摩耗性、低摩擦係数を有する複合潤滑皮膜を低
コスト、低環境汚染負荷において形成する方法の提供。 【解決手段】 清浄化されたAl又はその合金製摺動部
材表面に、厚さ3〜30μmの陽極酸化皮膜を形成し、
その上に、質量比率においてポリエステル樹脂30〜7
0部、ポリテトラフルオロエチレン30〜70部、セラ
ミックス粒子0.5〜5部を含み、厚さ2〜20μmの
潤滑皮膜を形成する。
に、高耐摩耗性、低摩擦係数を有する複合潤滑皮膜を低
コスト、低環境汚染負荷において形成する方法の提供。 【解決手段】 清浄化されたAl又はその合金製摺動部
材表面に、厚さ3〜30μmの陽極酸化皮膜を形成し、
その上に、質量比率においてポリエステル樹脂30〜7
0部、ポリテトラフルオロエチレン30〜70部、セラ
ミックス粒子0.5〜5部を含み、厚さ2〜20μmの
潤滑皮膜を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルミニウム又はア
ルミニウム合金製の摺動部材に対して優れた摺動潤滑性
を付与する潤滑処理方法に関するものである。更に詳し
く述べるならば、本発明は、アルミニウム又はアルミニ
ウム合金製摺動部材の表面上に耐摩耗性に優れた陽極酸
化皮膜層とPTFE、セラミック粒子、ポリエステル樹
脂を含む潤滑皮膜層とからなる複合皮膜を形成させる潤
滑処理方法に関するものである。本発明方法は、例え
ば、エアコンディショナー用のコンプレッサー等に使用
されるピストン及びスクロールなどに有効に用いられ
る。
ルミニウム合金製の摺動部材に対して優れた摺動潤滑性
を付与する潤滑処理方法に関するものである。更に詳し
く述べるならば、本発明は、アルミニウム又はアルミニ
ウム合金製摺動部材の表面上に耐摩耗性に優れた陽極酸
化皮膜層とPTFE、セラミック粒子、ポリエステル樹
脂を含む潤滑皮膜層とからなる複合皮膜を形成させる潤
滑処理方法に関するものである。本発明方法は、例え
ば、エアコンディショナー用のコンプレッサー等に使用
されるピストン及びスクロールなどに有効に用いられ
る。
【0002】
【従来の技術】一般的に、摺動部材に求められるものは
エネルギー伝達をロスしないために低摩擦性であること
である。また、荷重が加わった場合、すなわち、高い面
圧下でも焼付きを生じないような耐荷重性も重要な特性
である。そして、工業的にはこれら特性の高持続性、部
材の高耐久性(高耐摩耗性)、及び、低処理コストが強
く要求されている。アルミニウム又はアルミニウム合金
(以下アルミニウム材料と記す)製の摺動部材用摺動皮
膜形成方法としては、硬質の陽極酸化処理法が古くから
施されてきた。陽極酸化皮膜は、それ自身では摺動部材
表面の摩擦係数を低減することはないが、耐摩耗性が向
上し、また陽極酸化皮膜に形成されている多数の孔が油
保持性を向上させそれによって表面の潤滑性が向上す
る。焼付きは同一の金属接触に起因するものであるか
ら、これを防止するために異種の金属をめっきする方法
も数多く用いられている。スズめっき、鉄めっき、ニッ
ケル系のめっきなどが、例えば、特公昭56−1808
0号公報、特公昭58−9160号公報などに開示さ
れ、実用化されている。スズめっきの場合には、スズ自
体が固体潤滑剤として作用し、摩擦係数を低減する効果
があるが、軟質なために耐久性が低いという問題があ
る。また、一般に、めっきの場合には、複雑な形状、表
面を有する物品に対して、めっき皮膜を均一に形成する
ことが難しいという問題及びコストが一般的に高いとい
う問題点がある。
エネルギー伝達をロスしないために低摩擦性であること
である。また、荷重が加わった場合、すなわち、高い面
圧下でも焼付きを生じないような耐荷重性も重要な特性
である。そして、工業的にはこれら特性の高持続性、部
材の高耐久性(高耐摩耗性)、及び、低処理コストが強
く要求されている。アルミニウム又はアルミニウム合金
(以下アルミニウム材料と記す)製の摺動部材用摺動皮
膜形成方法としては、硬質の陽極酸化処理法が古くから
施されてきた。陽極酸化皮膜は、それ自身では摺動部材
表面の摩擦係数を低減することはないが、耐摩耗性が向
上し、また陽極酸化皮膜に形成されている多数の孔が油
保持性を向上させそれによって表面の潤滑性が向上す
る。焼付きは同一の金属接触に起因するものであるか
ら、これを防止するために異種の金属をめっきする方法
も数多く用いられている。スズめっき、鉄めっき、ニッ
ケル系のめっきなどが、例えば、特公昭56−1808
0号公報、特公昭58−9160号公報などに開示さ
れ、実用化されている。スズめっきの場合には、スズ自
体が固体潤滑剤として作用し、摩擦係数を低減する効果
があるが、軟質なために耐久性が低いという問題があ
る。また、一般に、めっきの場合には、複雑な形状、表
面を有する物品に対して、めっき皮膜を均一に形成する
ことが難しいという問題及びコストが一般的に高いとい
う問題点がある。
【0003】工業的に安価な表面処理としては、化成皮
膜処理がある。アルミニウム材料の摺動部材用潤滑皮膜
の化成処理による形成方法としては、特開平11−19
3478号公報に開示されている方法が挙げられる。こ
の方法において、フッ素化合物およびケイフッ化アンモ
ニウムを含む処理液中に、アルミニウム材料を浸漬し
て、70〜100℃の温度範囲において処理される。こ
の結果、表面にはAl−OH−F化合物もしくはNH4
MgAlF6化合物、またはこれら両方を含む皮膜が形
成されるとされている。しかし、この皮膜単独では材料
表面の摩擦係数は低減しない。また、処理液にフッ素化
合物を多量に使用するために廃水処理負荷が大きく、地
球環境保全の観点において問題がある。
膜処理がある。アルミニウム材料の摺動部材用潤滑皮膜
の化成処理による形成方法としては、特開平11−19
3478号公報に開示されている方法が挙げられる。こ
の方法において、フッ素化合物およびケイフッ化アンモ
ニウムを含む処理液中に、アルミニウム材料を浸漬し
て、70〜100℃の温度範囲において処理される。こ
の結果、表面にはAl−OH−F化合物もしくはNH4
MgAlF6化合物、またはこれら両方を含む皮膜が形
成されるとされている。しかし、この皮膜単独では材料
表面の摩擦係数は低減しない。また、処理液にフッ素化
合物を多量に使用するために廃水処理負荷が大きく、地
球環境保全の観点において問題がある。
【0004】陽極酸化皮膜に潤滑剤をオーバーコートす
る方法としては、例えば特公昭52−39059号公報
に開示されている。この公報に開示の方法においては、
アルミニウム材料上に陽極酸化皮膜を形成し、これをポ
リテトラフルオロエチレンの溶液に浸漬しこれを含浸さ
せる。また、特開平5−51794号公報に開示されて
いる方法では、アルミニウム材料の硬質陽極酸化皮膜の
表面に、ポリテトラフルオロエチレンの微粒子が電気化
学的もしくは化学的に吸着し、これを乾燥した後、相手
材との摺り合わせすることにより潤滑皮膜が形成され
る。これらの方法は、何れも陽極酸化皮膜の細孔にPT
FEを充填し保持させるものである。しかし、PTFE
は基本的にアルミニウム材料の陽極酸化皮膜に対する密
着性が低く、このためこれら開示の方法では、必ずしも
充分な密着性(バインディング性)が得られない。ま
た、オーバーコートされているPTFEは摩擦係数を低
減する働きはあるけれども、それ自体は柔らかく摩耗し
やすく、耐久性が不十分であるという点で問題を有して
いる。
る方法としては、例えば特公昭52−39059号公報
に開示されている。この公報に開示の方法においては、
アルミニウム材料上に陽極酸化皮膜を形成し、これをポ
リテトラフルオロエチレンの溶液に浸漬しこれを含浸さ
せる。また、特開平5−51794号公報に開示されて
いる方法では、アルミニウム材料の硬質陽極酸化皮膜の
表面に、ポリテトラフルオロエチレンの微粒子が電気化
学的もしくは化学的に吸着し、これを乾燥した後、相手
材との摺り合わせすることにより潤滑皮膜が形成され
る。これらの方法は、何れも陽極酸化皮膜の細孔にPT
FEを充填し保持させるものである。しかし、PTFE
は基本的にアルミニウム材料の陽極酸化皮膜に対する密
着性が低く、このためこれら開示の方法では、必ずしも
充分な密着性(バインディング性)が得られない。ま
た、オーバーコートされているPTFEは摩擦係数を低
減する働きはあるけれども、それ自体は柔らかく摩耗し
やすく、耐久性が不十分であるという点で問題を有して
いる。
【0005】一方、摩擦係数を低減する目的には、潤滑
塗料を使用することが多い。潤滑塗料としては、二硫化
モリブンデン、グラファイト、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)などの固体潤滑剤を顔料として含むポ
リアミドイミドベースのものが実用化されている。この
方法はポリアミドイミド樹脂がバインダーとして働くた
めにアルミニウム材料上の陽極酸化皮膜との密着性は良
好である。しかし、この処理には、溶剤で希釈した潤滑
塗料を吹き付け−焼き付ける方法を用いることが一般的
である。この方法では有害な溶剤蒸気が大気中に放散さ
れるという問題を発生する。この問題を回避するため
に、地球環境保全を目的として、溶剤を使用しない潤滑
手段の開発が望まれている。
塗料を使用することが多い。潤滑塗料としては、二硫化
モリブンデン、グラファイト、ポリテトラフルオロエチ
レン(PTFE)などの固体潤滑剤を顔料として含むポ
リアミドイミドベースのものが実用化されている。この
方法はポリアミドイミド樹脂がバインダーとして働くた
めにアルミニウム材料上の陽極酸化皮膜との密着性は良
好である。しかし、この処理には、溶剤で希釈した潤滑
塗料を吹き付け−焼き付ける方法を用いることが一般的
である。この方法では有害な溶剤蒸気が大気中に放散さ
れるという問題を発生する。この問題を回避するため
に、地球環境保全を目的として、溶剤を使用しない潤滑
手段の開発が望まれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は従来技術の上
記問題点を解決するためのものであり、すなわち、アル
ミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の表面に、耐
摩耗性に優れ、摩擦係数を低減して、極めて優れた摺動
特性を有する皮膜を、低コストで、且つ、低環境汚染負
荷で、形成することができる、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法を提供しようとす
るものである。
記問題点を解決するためのものであり、すなわち、アル
ミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の表面に、耐
摩耗性に優れ、摩擦係数を低減して、極めて優れた摺動
特性を有する皮膜を、低コストで、且つ、低環境汚染負
荷で、形成することができる、アルミニウム又はアルミ
ニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法を提供しようとす
るものである。
【0007】本明細書において、「アルミニウム又はア
ルミニウム合金製摺動部材」を「アルミニウム材料」と
略記する。
ルミニウム合金製摺動部材」を「アルミニウム材料」と
略記する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明のアルミニウム又
はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法は、アル
ミニウムおよびアルミニウム合金製の摺動部材の表面を
清浄化し、この表面に陽極酸化処理を施して3〜30μ
mの厚さの陽極酸化皮膜を形成し、この皮膜上に、ポリ
エステル樹脂とポリテトラフルオロエチレンと、セラミ
ックス粒子とを含み、かつ2〜20μmの厚さを有する
潤滑皮膜を形成することを特徴とするものである。本発
明のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤
滑処理方法において、前記陽極酸化処理において、硫酸
浴あるいはしゅう酸浴を用い、処理温度が0〜30℃で
あり、かつ電流密度が0.5〜4A/dm2 であることが
好ましい。本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金
製摺動部材の潤滑処理方法において、前記潤滑皮膜の形
成のために、ポリエステル樹脂と、ポリテトラフルオロ
エチレンと、セラミックス粒子とを含む水系処理液を前
記陽極酸化皮膜上に塗布し、この処理液層に100〜2
50℃の温度において1〜20分間の焼き付けが施され
ることが好ましい。本発明のアルミニウム又はアルミニ
ウム合金製摺動部材の潤滑処理方法において、前記潤滑
皮膜中のポリエステル樹脂(A)、ポリテトラフルオロ
エチレン(B)、及びセラミックス粒子(C)の含有質
量の比率が、(A):30〜70部、(B):30〜7
0部、(C):0.5〜5部の範囲内にあることが好ま
しい。本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺
動部材の潤滑処理方法において、前記セラミックス粒子
が、平均粒径0.01〜0.2μmのアルミナ粒子であ
ることが好ましい。
はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法は、アル
ミニウムおよびアルミニウム合金製の摺動部材の表面を
清浄化し、この表面に陽極酸化処理を施して3〜30μ
mの厚さの陽極酸化皮膜を形成し、この皮膜上に、ポリ
エステル樹脂とポリテトラフルオロエチレンと、セラミ
ックス粒子とを含み、かつ2〜20μmの厚さを有する
潤滑皮膜を形成することを特徴とするものである。本発
明のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤
滑処理方法において、前記陽極酸化処理において、硫酸
浴あるいはしゅう酸浴を用い、処理温度が0〜30℃で
あり、かつ電流密度が0.5〜4A/dm2 であることが
好ましい。本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金
製摺動部材の潤滑処理方法において、前記潤滑皮膜の形
成のために、ポリエステル樹脂と、ポリテトラフルオロ
エチレンと、セラミックス粒子とを含む水系処理液を前
記陽極酸化皮膜上に塗布し、この処理液層に100〜2
50℃の温度において1〜20分間の焼き付けが施され
ることが好ましい。本発明のアルミニウム又はアルミニ
ウム合金製摺動部材の潤滑処理方法において、前記潤滑
皮膜中のポリエステル樹脂(A)、ポリテトラフルオロ
エチレン(B)、及びセラミックス粒子(C)の含有質
量の比率が、(A):30〜70部、(B):30〜7
0部、(C):0.5〜5部の範囲内にあることが好ま
しい。本発明のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺
動部材の潤滑処理方法において、前記セラミックス粒子
が、平均粒径0.01〜0.2μmのアルミナ粒子であ
ることが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に本発明の内容をより詳細に
説明する。本発明方法が適用される金属は、アルミニウ
ムおよびアルミニウム合金であり、本発明方法において
は、先ず、アルミニウム材料の表面を清浄化する。この
清浄化の目的は、摺動部材を形成する際に用いられた油
剤(切削油等)及び汚れ等を除去することにある。清浄
化方法には格別の限定はないが、地球環境保全の観点よ
り溶剤系清浄化剤を用いることは好ましくなく、アルカ
リの水性脱脂剤を用いることが好ましい。清浄化された
アルミニウム材料摺動部材は陽極酸化皮膜形成工程に供
される。
説明する。本発明方法が適用される金属は、アルミニウ
ムおよびアルミニウム合金であり、本発明方法において
は、先ず、アルミニウム材料の表面を清浄化する。この
清浄化の目的は、摺動部材を形成する際に用いられた油
剤(切削油等)及び汚れ等を除去することにある。清浄
化方法には格別の限定はないが、地球環境保全の観点よ
り溶剤系清浄化剤を用いることは好ましくなく、アルカ
リの水性脱脂剤を用いることが好ましい。清浄化された
アルミニウム材料摺動部材は陽極酸化皮膜形成工程に供
される。
【0010】本発明の陽極酸化皮膜の膜厚は3〜30μ
m、好ましくは10〜20μmの範囲にコントロールさ
れる。陽極酸化皮膜は、耐摩耗性、耐焼付性及び潤滑皮
膜を保持する働きとを有している。摺動時には局部的に
かなりの圧力がかかることがあるが、陽極酸化皮膜は、
この加耐体がアルミニウム材料との直接の金属接触を防
止し、焼付き防止の働きもする。陽極酸化皮膜の膜厚が
3μm未満では、耐摩耗性が不充分である。また、それ
が30μmを超えても特に性能は変わらないが、コスト
が高くなるという不利益がある。陽極酸化皮膜を形成す
るには、従来の硫酸浴あるいはしゅう酸浴を用いればよ
く、硫酸浴の場合には、硫酸濃度10〜20%、処理温
度10〜20℃、電流密度0.5〜1.5A/dm2 の処
理条件を用いることが好ましく、しゅう酸浴の場合に
は、しゅう酸濃度2〜5%、処理温度25〜30℃、電
流密度2〜3A/dm2 の処理条件を用いることが好まし
い。
m、好ましくは10〜20μmの範囲にコントロールさ
れる。陽極酸化皮膜は、耐摩耗性、耐焼付性及び潤滑皮
膜を保持する働きとを有している。摺動時には局部的に
かなりの圧力がかかることがあるが、陽極酸化皮膜は、
この加耐体がアルミニウム材料との直接の金属接触を防
止し、焼付き防止の働きもする。陽極酸化皮膜の膜厚が
3μm未満では、耐摩耗性が不充分である。また、それ
が30μmを超えても特に性能は変わらないが、コスト
が高くなるという不利益がある。陽極酸化皮膜を形成す
るには、従来の硫酸浴あるいはしゅう酸浴を用いればよ
く、硫酸浴の場合には、硫酸濃度10〜20%、処理温
度10〜20℃、電流密度0.5〜1.5A/dm2 の処
理条件を用いることが好ましく、しゅう酸浴の場合に
は、しゅう酸濃度2〜5%、処理温度25〜30℃、電
流密度2〜3A/dm2 の処理条件を用いることが好まし
い。
【0011】本発明方法において、潤滑皮膜はアルミニ
ウム材料製摺動部材の表面側に形成される。潤滑皮膜
は、摺動時に接触する相手金属材との摩擦を軽減させる
ことが主目的とするものである。本発明方法において、
潤滑皮膜は、2〜20μm好ましくは6〜14μmの厚
さにコントロールされる膜厚が2μm未満では、滑り性
が不充分で低摩擦の効果が不十分になる。また、それが
20μmを超えても特に性能上問題はないが、コストが
高くなるという不都合を生ずる。
ウム材料製摺動部材の表面側に形成される。潤滑皮膜
は、摺動時に接触する相手金属材との摩擦を軽減させる
ことが主目的とするものである。本発明方法において、
潤滑皮膜は、2〜20μm好ましくは6〜14μmの厚
さにコントロールされる膜厚が2μm未満では、滑り性
が不充分で低摩擦の効果が不十分になる。また、それが
20μmを超えても特に性能上問題はないが、コストが
高くなるという不都合を生ずる。
【0012】潤滑皮膜を形成する材料は、その成分とし
て、ポリエステル樹脂と、ポリテトラフルオロエチレン
と、セラミックス粒子を含むものである。ポリエステル
樹脂は、他の成分を保持し強固な皮膜を形成するバイン
ダーとして作用するものである。摺動時に、潤滑皮膜が
高い機械的強度を示すためには、機械的強度の高いポリ
エステル樹脂を用いることが好ましい。また、潤滑環境
下では潤滑皮膜は潤滑油に接触する。また、エアコンの
コンプレッサーの摺動部材の場合には、前記潤滑油に加
えて更に冷媒(フロン)も存在する。従って、潤滑皮膜
はこれらに対して安定なものでなければならない。そこ
で、潤滑油及び冷媒などに耐性の強いバインダー樹脂を
検討したところ、ポリエステル樹脂が最適であった。ポ
リテトラフルオロエチレンは摩擦を低減させるために配
合されているものである。また、セラミック粒子は潤滑
皮膜の耐焼付き性を向上させるためのものである。本発
明において、焼き付きが生じる場合は、相手金属が、潤
滑皮膜を破壊し、さらに、陽極酸化皮膜を破壊して、ア
ルミニウム材料との直接金属接触が生じた時である。従
って、潤滑皮膜の耐焼付き性を向上させることにより、
摺動部材の全体的な耐焼付き性を向上させることがで
き、摺動部材の耐久性を向上させることになる。
て、ポリエステル樹脂と、ポリテトラフルオロエチレン
と、セラミックス粒子を含むものである。ポリエステル
樹脂は、他の成分を保持し強固な皮膜を形成するバイン
ダーとして作用するものである。摺動時に、潤滑皮膜が
高い機械的強度を示すためには、機械的強度の高いポリ
エステル樹脂を用いることが好ましい。また、潤滑環境
下では潤滑皮膜は潤滑油に接触する。また、エアコンの
コンプレッサーの摺動部材の場合には、前記潤滑油に加
えて更に冷媒(フロン)も存在する。従って、潤滑皮膜
はこれらに対して安定なものでなければならない。そこ
で、潤滑油及び冷媒などに耐性の強いバインダー樹脂を
検討したところ、ポリエステル樹脂が最適であった。ポ
リテトラフルオロエチレンは摩擦を低減させるために配
合されているものである。また、セラミック粒子は潤滑
皮膜の耐焼付き性を向上させるためのものである。本発
明において、焼き付きが生じる場合は、相手金属が、潤
滑皮膜を破壊し、さらに、陽極酸化皮膜を破壊して、ア
ルミニウム材料との直接金属接触が生じた時である。従
って、潤滑皮膜の耐焼付き性を向上させることにより、
摺動部材の全体的な耐焼付き性を向上させることがで
き、摺動部材の耐久性を向上させることになる。
【0013】本発明の潤滑皮膜を形成させる方法として
は、地球環境保全を勘案すれば、水系の処理剤を用いて
潤滑皮膜を形成させる方法が好ましい。具体的には、陽
極酸化皮膜を形成させた後、その上に、水性媒体液中に
ポリエステル樹脂とポリテトラフルオロエチレンとセラ
ミックス粒子とを分散させて得られた水系処理液を塗布
し、この水系処理液層を、100〜250℃、好ましく
は160〜200℃の温度において1〜20分間、好ま
しくは5〜15分間焼き付けることが好ましい。潤滑皮
膜の膜厚は、水系処理液の塗布量をコントロールするこ
とによってコントロールすることができる。焼付け温度
が100℃未満では、焼付完了までに時間がかかりすぎ
て好ましくない。また、それが250℃を超えるとポリ
エステル樹脂が劣化する場合がある。また、焼付け時間
が1分未満では充分に焼き付けることができないことが
あり、またそれが20分を超えても特に問題ないが生産
性が不良になるという不都合を生ずることがある。な
お、乾燥性を高めるために被塗布部材を予め加温(80
〜120℃)にすることも有効である。
は、地球環境保全を勘案すれば、水系の処理剤を用いて
潤滑皮膜を形成させる方法が好ましい。具体的には、陽
極酸化皮膜を形成させた後、その上に、水性媒体液中に
ポリエステル樹脂とポリテトラフルオロエチレンとセラ
ミックス粒子とを分散させて得られた水系処理液を塗布
し、この水系処理液層を、100〜250℃、好ましく
は160〜200℃の温度において1〜20分間、好ま
しくは5〜15分間焼き付けることが好ましい。潤滑皮
膜の膜厚は、水系処理液の塗布量をコントロールするこ
とによってコントロールすることができる。焼付け温度
が100℃未満では、焼付完了までに時間がかかりすぎ
て好ましくない。また、それが250℃を超えるとポリ
エステル樹脂が劣化する場合がある。また、焼付け時間
が1分未満では充分に焼き付けることができないことが
あり、またそれが20分を超えても特に問題ないが生産
性が不良になるという不都合を生ずることがある。な
お、乾燥性を高めるために被塗布部材を予め加温(80
〜120℃)にすることも有効である。
【0014】また、潤滑皮膜中の各成分の含有比率は分
散処理剤中に含まれる各成分の濃度をコントロールする
ことによりコントロールすることができる。本発明方法
においては、潤滑皮膜中のポリエステル樹脂(A)、ポ
リテトラフルオロエチレン(B)、セラミックス粒子
(C)の含有質量の比率が、(A):30〜70部、好
ましくは40〜60部、(B):30〜70部、好まし
くは40〜60部、及び(C):0.5〜5部、好まし
くは1〜3部の範囲内にあることが好ましい。ポリエス
テル樹脂の含有量が30部未満では、バインダー効果が
不十分になり、強固な皮膜を形成することができないこ
とがあり、また、それが70部を超えると相対的にポリ
テトラフルオロエチレンの重量が少なくなり、十分な滑
り性が得られないことがある。ポリテトラフルオロエチ
レンの含有質量比率が30部未満では、前記と同様に十
分な滑り性が得られないことがあり、また、それが70
部を超えると相対的にポリエステル樹脂の含有量が不足
し、バインダー効果が不十分になり強固な皮膜が形成さ
れないことがある。セラミック粒子の含有量が0.5部
未満では、耐焼付き性の向上効果が不十分になることが
あり、また、それが5部を超えると、形成される皮膜の
連続性が阻害され、強固な皮膜が得られないことがあ
る。
散処理剤中に含まれる各成分の濃度をコントロールする
ことによりコントロールすることができる。本発明方法
においては、潤滑皮膜中のポリエステル樹脂(A)、ポ
リテトラフルオロエチレン(B)、セラミックス粒子
(C)の含有質量の比率が、(A):30〜70部、好
ましくは40〜60部、(B):30〜70部、好まし
くは40〜60部、及び(C):0.5〜5部、好まし
くは1〜3部の範囲内にあることが好ましい。ポリエス
テル樹脂の含有量が30部未満では、バインダー効果が
不十分になり、強固な皮膜を形成することができないこ
とがあり、また、それが70部を超えると相対的にポリ
テトラフルオロエチレンの重量が少なくなり、十分な滑
り性が得られないことがある。ポリテトラフルオロエチ
レンの含有質量比率が30部未満では、前記と同様に十
分な滑り性が得られないことがあり、また、それが70
部を超えると相対的にポリエステル樹脂の含有量が不足
し、バインダー効果が不十分になり強固な皮膜が形成さ
れないことがある。セラミック粒子の含有量が0.5部
未満では、耐焼付き性の向上効果が不十分になることが
あり、また、それが5部を超えると、形成される皮膜の
連続性が阻害され、強固な皮膜が得られないことがあ
る。
【0015】セラミックス粒子は、平均粒径0.01〜
0.2μmのアルミナ粒子であることが好ましく、その
平均粒径は0.05〜0.1μmであることがさらに好
ましい。この場合、その平均粒径が0.01μm未満で
は、粒子が細かすぎて充分な耐焼付き性が得られないこ
とがある。また、その平均粒径が0.2μmを超える
と、粒子が凝集しやすくなり、結果として膜の連続性を
阻害したり、局部付着が発生することがある。セラミッ
ク粒子としては、上記アルミナ粉末の他に酸化ケイ素、
酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンなどを用いても
よく、又は、これらをアルミナ粒子と併用してもよい。
0.2μmのアルミナ粒子であることが好ましく、その
平均粒径は0.05〜0.1μmであることがさらに好
ましい。この場合、その平均粒径が0.01μm未満で
は、粒子が細かすぎて充分な耐焼付き性が得られないこ
とがある。また、その平均粒径が0.2μmを超える
と、粒子が凝集しやすくなり、結果として膜の連続性を
阻害したり、局部付着が発生することがある。セラミッ
ク粒子としては、上記アルミナ粉末の他に酸化ケイ素、
酸化ジルコニウム及び/又は酸化チタンなどを用いても
よく、又は、これらをアルミナ粒子と併用してもよい。
【0016】
【実施例】本発明を下記実施例によりさらに説明する。
また本発明方法の効果を対比説明するために比較例を示
す。下記実施例、比較例に用いられたアルミニウム材
料、処理方法、皮膜の厚さ測定、評価方法は下記のとお
りであった。
また本発明方法の効果を対比説明するために比較例を示
す。下記実施例、比較例に用いられたアルミニウム材
料、処理方法、皮膜の厚さ測定、評価方法は下記のとお
りであった。
【0017】(1)アルミニウム材料
次に示すアルミニウム材料に潤滑処理を施した。
アルミニウム・プレート(40×40mm 厚さ:1.5
mm) 材質:ADC10(2)処理方法 洗浄剤(商標ファインクリーナー315:日本パーカラ
イジング株式会社製)の2%水溶液中にアルミニウム材
料を60℃で3分間浸漬し、引き出して、水道水で30
秒間水洗して清浄化にした。この清浄化アルミニウム材
料に実施例及び比較例の各に示す陽極酸化処理を施し、
水道水で30秒間水洗し、100℃で5分間乾燥した。
その後、直ちに陽極酸化皮膜上に実施例及び比較例の各
に示す配合比の水系潤滑液をエアスプレーにてスプレー
塗布し、実施例、比較例の各々に示す条件において焼き
付けを施した。
mm) 材質:ADC10(2)処理方法 洗浄剤(商標ファインクリーナー315:日本パーカラ
イジング株式会社製)の2%水溶液中にアルミニウム材
料を60℃で3分間浸漬し、引き出して、水道水で30
秒間水洗して清浄化にした。この清浄化アルミニウム材
料に実施例及び比較例の各に示す陽極酸化処理を施し、
水道水で30秒間水洗し、100℃で5分間乾燥した。
その後、直ちに陽極酸化皮膜上に実施例及び比較例の各
に示す配合比の水系潤滑液をエアスプレーにてスプレー
塗布し、実施例、比較例の各々に示す条件において焼き
付けを施した。
【0018】(3)皮膜の厚さの測定
作成したサンプルを用い皮膜厚(μm)を測定した。(4)評価方法
(イ)凝着試験
潤滑試験機(商標:トライボギア HEIDON−14
DR、新東科学製)を用いた。潤滑処理された摺動部材
の試験片と無処理の鋼球(SUJ2 直径5mm)とを接
触させ、荷重10N、振動速度0.1m/s、振幅10
mmの条件下に両者を摺動させた。このとき、摺動面に潤
滑油(商標:ND OIL 8、(株)デンソー社
製)。油を塗布する場合と、塗布しない場合の2条件に
ついて評価した。摺動し凝着するまでの摺動距離とその
間の摩擦係数を測定し評価した。摺動距離が長いほど、
潤滑性能に優れ、油がない場合は20m以上、油がある
場合は400m以上を良好と評価した。また、摩擦係数
は低い方が良く、0.15以下を良好と評価した。
DR、新東科学製)を用いた。潤滑処理された摺動部材
の試験片と無処理の鋼球(SUJ2 直径5mm)とを接
触させ、荷重10N、振動速度0.1m/s、振幅10
mmの条件下に両者を摺動させた。このとき、摺動面に潤
滑油(商標:ND OIL 8、(株)デンソー社
製)。油を塗布する場合と、塗布しない場合の2条件に
ついて評価した。摺動し凝着するまでの摺動距離とその
間の摩擦係数を測定し評価した。摺動距離が長いほど、
潤滑性能に優れ、油がない場合は20m以上、油がある
場合は400m以上を良好と評価した。また、摩擦係数
は低い方が良く、0.15以下を良好と評価した。
【0019】(ロ)焼付き試験
摩擦摩耗試験機(MODEL EFM−III−E 、東洋
ボールドウイン製)を用いた。処理した試験片と無処理
のアルミニウム・カラー(ADC10、内径:23mm:
外径25mm)とを接触させ、摺動面に潤滑油を塗布し、
荷重50N、振動速度2m/sの条件下で両者を摺動さ
せた。荷重を2分毎に50Nづつステップ・アップさせ
て焼付きが発生する荷重を測定した。耐荷重は高い方が
良く、800N以上を良好と評価した。上記試験の結果
を表1に示す。
ボールドウイン製)を用いた。処理した試験片と無処理
のアルミニウム・カラー(ADC10、内径:23mm:
外径25mm)とを接触させ、摺動面に潤滑油を塗布し、
荷重50N、振動速度2m/sの条件下で両者を摺動さ
せた。荷重を2分毎に50Nづつステップ・アップさせ
て焼付きが発生する荷重を測定した。耐荷重は高い方が
良く、800N以上を良好と評価した。上記試験の結果
を表1に示す。
【0020】実施例1
下記条件下に摺動部材用潤滑処理アルミニウム材料を製
造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:60分 皮膜厚:20μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:50%(質量) PTFE:48%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.1μm)2%
(質量) 焼き付け温度:180℃ 焼き付け時間:10分 皮膜厚:10μm
造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:60分 皮膜厚:20μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:50%(質量) PTFE:48%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.1μm)2%
(質量) 焼き付け温度:180℃ 焼き付け時間:10分 皮膜厚:10μm
【0021】実施例2
下記条件下に摺動部材用潤滑処理アルミニウム材料を製
造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:75分 皮膜厚:25μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:30%(質量) PTFE:66%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.04μm)4
%(質量) 焼き付け温度:220℃ 焼き付け時間:5分 皮膜厚:6μm
造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:75分 皮膜厚:25μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:30%(質量) PTFE:66%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.04μm)4
%(質量) 焼き付け温度:220℃ 焼き付け時間:5分 皮膜厚:6μm
【0022】実施例3
下記条件下に、摺動部材用潤滑処理アルミニウム材料を
製造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:しゅう酸4% 処理温度:28℃ 電流密度:2.5A/dm2 処理時間:40分 皮膜厚:5μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:68%(質量) PTFE:30%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.05μm)2
%(質量) 焼き付け温度:240℃ 焼き付け時間:3分 皮膜厚:20μm
製造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:しゅう酸4% 処理温度:28℃ 電流密度:2.5A/dm2 処理時間:40分 皮膜厚:5μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:68%(質量) PTFE:30%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.05μm)2
%(質量) 焼き付け温度:240℃ 焼き付け時間:3分 皮膜厚:20μm
【0023】実施例4
下記条件下に、摺動部材用潤滑処理アルミニウム材料を
製造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:しゅう酸4% 処理温度:28℃ 電流密度:2.5A/dm2 処理時間:80分 皮膜厚:10μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:35%(質量) PTFE:63%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.05μm)2
%(質量) 焼き付け温度:150℃ 焼き付け時間:15分 皮膜厚:15μm
製造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:しゅう酸4% 処理温度:28℃ 電流密度:2.5A/dm2 処理時間:80分 皮膜厚:10μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:35%(質量) PTFE:63%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.05μm)2
%(質量) 焼き付け温度:150℃ 焼き付け時間:15分 皮膜厚:15μm
【0024】実施例5
下記条件下に、摺動部材用潤滑処理アルミニウム材料を
製造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:60分 皮膜厚:20μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:40%(質量) PTFE:59%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.15μm)1
%(質量) 焼き付け温度:200℃ 焼き付け時間:5分 皮膜厚:10μm
製造した。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:60分 皮膜厚:20μm・潤滑皮膜形成条件 ポリエステル樹脂:40%(質量) PTFE:59%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.15μm)1
%(質量) 焼き付け温度:200℃ 焼き付け時間:5分 皮膜厚:10μm
【0025】比較例1
清浄化のみを施し、陽極酸化処理及び潤滑皮膜形成処理
を施さなかった。
を施さなかった。
【0026】比較例2
下記条件下に陽極酸化処理のみを施し、潤滑皮膜形成処
理を施さなかった。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:30分 皮膜厚:10μm・潤滑皮膜形成処理 なし
理を施さなかった。・陽極酸化皮膜処理条件 処理浴:硫酸18% 処理温度:15℃ 電流密度:1A/dm2 処理時間:30分 皮膜厚:10μm・潤滑皮膜形成処理 なし
【0027】比較例3
陽極酸化処理を施すことなく下記条件下に潤滑皮膜形成
処理を施した。・陽極酸化皮膜処理 なし・潤滑皮膜形成処理 ポリエステル樹脂:50%(質量) PTFE:48%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.05μm)2
%(質量) 焼き付け温度:180℃ 焼き付け時間:5分 皮膜厚:10μm
処理を施した。・陽極酸化皮膜処理 なし・潤滑皮膜形成処理 ポリエステル樹脂:50%(質量) PTFE:48%(質量) セラミック粒子:アルミナ(平均粒径0.05μm)2
%(質量) 焼き付け温度:180℃ 焼き付け時間:5分 皮膜厚:10μm
【0028】比較例4
摺動部材用アルミニウム材料に下記条件下においてスズ
めっきを施した。・スズめっき条件 処理浴:アルカリ置換スズめっき浴 処理温度:60℃ 処理時間:4分 皮膜厚:1μm
めっきを施した。・スズめっき条件 処理浴:アルカリ置換スズめっき浴 処理温度:60℃ 処理時間:4分 皮膜厚:1μm
【0029】
【表1】
【0030】表1から明らかなように、本発明の処理方
法による実施例1〜5において、簡便な工程により優れ
た耐凝着性、耐焼付性を発揮する潤滑アルミニウム材料
が得られることが確認された。しかし、清浄化処理のみ
の比較例1の製品は極端に性能の悪いものであった。潤
滑皮膜がない比較例2、陽極酸化皮膜がない比較例3で
は、耐凝着性と耐焼付の両方を満足することができなか
った。また、スズめっきをした比較例4においても充分
な性能が得られなかった。
法による実施例1〜5において、簡便な工程により優れ
た耐凝着性、耐焼付性を発揮する潤滑アルミニウム材料
が得られることが確認された。しかし、清浄化処理のみ
の比較例1の製品は極端に性能の悪いものであった。潤
滑皮膜がない比較例2、陽極酸化皮膜がない比較例3で
は、耐凝着性と耐焼付の両方を満足することができなか
った。また、スズめっきをした比較例4においても充分
な性能が得られなかった。
【0031】
【発明の効果】本発明のアルミニウム又はアルミニウム
合金製摺動部材の潤滑処理方法を用いることにより、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材上に、極め
て優れた耐凝着性及び耐焼き付き性を有する複合皮膜
を、短時間の簡易な工程により、かつ低コストで、しか
も低環境汚染負荷をもって形成することができる。
合金製摺動部材の潤滑処理方法を用いることにより、ア
ルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材上に、極め
て優れた耐凝着性及び耐焼き付き性を有する複合皮膜
を、短時間の簡易な工程により、かつ低コストで、しか
も低環境汚染負荷をもって形成することができる。
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
B05D 7/24 303 B05D 7/24 303B
C25D 11/08 C25D 11/08
11/10 11/10
11/18 312 11/18 312
313 313
(72)発明者 吉田 昌之
東京都中央区日本橋1−15−1 日本パー
カライジング株式会社内
(72)発明者 角谷 浩
愛知県刈谷市昭和町1丁目1番地 株式会
社デンソー内
Fターム(参考) 4D075 AE03 BB67X CA02 CA09
CA47 DA06 DB07 DC15 EA10
EA37 EB16 EB35 EB56 EC05
EC53 EC54
4K044 AA06 AB10 BA13 BA21 BB03
BB11 BC01 CA17 CA53 CA62
Claims (5)
- 【請求項1】 アルミニウムおよびアルミニウム合金製
の摺動部材の表面を清浄化し、この表面に陽極酸化処理
を施して3〜30μm厚の陽極酸化皮膜を形成し、この
皮膜上に、ポリエステル樹脂とポリテトラフルオロエチ
レンと、セラミックス粒子とを含み、かつ2〜20μm
の厚さを有する潤滑皮膜を形成することを特徴とするア
ルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理
方法。 - 【請求項2】 前記陽極酸化処理において、硫酸浴ある
いはしゅう酸浴を用い、処理温度が0〜30℃であり、
かつ電流密度が0.5〜4A/dm2 である、請求項1に
記載のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の
潤滑処理方法。 - 【請求項3】 前記潤滑皮膜の形成のために、ポリエス
テル樹脂と、ポリテトラフルオロエチレンと、セラミッ
クス粒子とを含む水系処理液を前記陽極酸化皮膜上に塗
布し、この処理液層に100〜250℃の温度において
1〜20分間の焼き付けが施される、請求項1または2
に記載のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材
の潤滑処理方法。 - 【請求項4】 前記潤滑皮膜中のポリエステル樹脂
(A)、ポリテトラフルオロエチレン(B)、及びセラ
ミックス粒子(C)の含有質量の比率が、(A):30
〜70部、(B):30〜70部、(C):0.5〜5
部の範囲内にある、請求項1〜3のいずれか1項に記載
のアルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑
処理方法。 - 【請求項5】 前記セラミックス粒子が、平均粒径0.
01〜0.2μmのアルミナ粒子である、請求項1〜4
のいずれか1項に記載のアルミニウム又はアルミニウム
合金製摺動部材の潤滑処理方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002134341A JP2003328155A (ja) | 2002-05-09 | 2002-05-09 | アルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法 |
US10/426,788 US20030213698A1 (en) | 2002-05-09 | 2003-05-01 | Process for lubrication-treating aluminum or aluminum alloy material |
DE10320875A DE10320875A1 (de) | 2002-05-09 | 2003-05-09 | Verfahren zur Schmierbehandlung von Elementen aus Aluminium oder Aluminiumlegierung |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002134341A JP2003328155A (ja) | 2002-05-09 | 2002-05-09 | アルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003328155A true JP2003328155A (ja) | 2003-11-19 |
Family
ID=29397453
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002134341A Pending JP2003328155A (ja) | 2002-05-09 | 2002-05-09 | アルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法 |
Country Status (3)
Country | Link |
---|---|
US (1) | US20030213698A1 (ja) |
JP (1) | JP2003328155A (ja) |
DE (1) | DE10320875A1 (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011522912A (ja) * | 2008-05-14 | 2011-08-04 | ダウ・コーニング・コーポレイション | 摩擦を低減させる方法 |
JP2016125082A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | トヨタ自動車株式会社 | 遮熱膜の形成方法および内燃機関 |
CN115012012A (zh) * | 2022-07-13 | 2022-09-06 | 上海锐畅医疗科技有限公司 | 一种医用金属基材用氧化铝掺杂复合涂层及其制备方法 |
Families Citing this family (11)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
SI3346874T1 (sl) * | 2015-09-07 | 2019-12-31 | Ikea Supply Ag | Predal in drsni sistem predala za tak predal |
WO2017042201A1 (en) | 2015-09-07 | 2017-03-16 | Ikea Supply Ag | A sliding screen sliding system |
RU2705802C2 (ru) * | 2015-09-07 | 2019-11-12 | Икея Сапплай Аг | Диван-кровать и система скольжения для такого дивана-кровати |
WO2017044032A1 (en) * | 2015-09-07 | 2017-03-16 | Ikea Supply Ag | Low friction slide member |
ES2769043T3 (es) | 2015-09-07 | 2020-06-24 | Ikea Supply Ag | Mesa extensible |
CN106398527B (zh) * | 2016-08-30 | 2019-02-26 | 江苏同庆车辆配件有限公司 | 一种铁路棚车内衬材料复合板 |
SE540785C2 (en) | 2017-03-03 | 2018-11-13 | Ikea Supply Ag | A furniture rotary system having reduced friction, and a piece of furniture comprising such system |
SE540465C2 (en) * | 2017-03-03 | 2018-09-18 | Ikea Supply Ag | Furniture lubricant comprising a C10 to C28 alkane and a triglyceride |
CN107447244A (zh) * | 2017-08-02 | 2017-12-08 | 山东省科学院新材料研究所 | 一种铝合金缸体及其陶瓷化处理方法 |
US20210220064A1 (en) * | 2018-05-18 | 2021-07-22 | Corindus, Inc. | Remote communications and control system for robotic interventional procedures |
EP4450682A1 (en) | 2023-04-17 | 2024-10-23 | Valstybinis Moksliniu Tyrimu Institutas Fiziniu Ir Technologijos Mokslu Centras | Method for reactive impregnation of anodic alumina coating |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CH645451A5 (de) * | 1980-03-21 | 1984-09-28 | Studer Ag Fritz | Messplatten- oder gleitbahnelement. |
JP3491811B2 (ja) * | 1997-10-31 | 2004-01-26 | スズキ株式会社 | 摺動部材及びピストン |
JP2000257555A (ja) * | 1999-03-08 | 2000-09-19 | Toyota Autom Loom Works Ltd | 圧縮機 |
JP3679312B2 (ja) * | 2000-06-15 | 2005-08-03 | 大同メタル工業株式会社 | 複層摺動材料 |
-
2002
- 2002-05-09 JP JP2002134341A patent/JP2003328155A/ja active Pending
-
2003
- 2003-05-01 US US10/426,788 patent/US20030213698A1/en not_active Abandoned
- 2003-05-09 DE DE10320875A patent/DE10320875A1/de not_active Ceased
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2011522912A (ja) * | 2008-05-14 | 2011-08-04 | ダウ・コーニング・コーポレイション | 摩擦を低減させる方法 |
JP2016125082A (ja) * | 2014-12-26 | 2016-07-11 | トヨタ自動車株式会社 | 遮熱膜の形成方法および内燃機関 |
CN115012012A (zh) * | 2022-07-13 | 2022-09-06 | 上海锐畅医疗科技有限公司 | 一种医用金属基材用氧化铝掺杂复合涂层及其制备方法 |
CN115012012B (zh) * | 2022-07-13 | 2024-02-09 | 上海锐畅医疗科技有限公司 | 一种医用金属基材用氧化铝掺杂复合涂层及其制备方法 |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US20030213698A1 (en) | 2003-11-20 |
DE10320875A1 (de) | 2003-11-27 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
Guo et al. | Preparation and performance of a novel multifunctional plasma electrolytic oxidation composite coating formed on magnesium alloy | |
JP2003328155A (ja) | アルミニウム又はアルミニウム合金製摺動部材の潤滑処理方法 | |
EP1874980B1 (en) | Process for forming a well visible non-chromate conversion coating for magnesium and magnesium alloys | |
US5439712A (en) | Method for making a composite aluminum article | |
JP3733539B2 (ja) | すべり軸受材料 | |
Chen et al. | Morphology and performances of the anodic oxide films on Ti6Al4V alloy formed in alkaline-silicate electrolyte with aminopropyl silane addition under low potential | |
EP0340257A1 (en) | Mechanically plated coatings containing lubricant particles | |
JP4634093B2 (ja) | 摺動部材用組成物 | |
JPH1046366A (ja) | アルミニウム合金用エッチング液およびエッチング方法 | |
US20130177777A1 (en) | Coated article and method for making same | |
JP2004068069A (ja) | 燒結材製品、及びその製造方法 | |
JP2009040802A (ja) | 基材の表面に潤滑性を付与する方法及び潤滑性表面を有する基材 | |
JP4490119B2 (ja) | 乾性潤滑被膜形成用組成物 | |
US6136454A (en) | Cobalt-tin alloy coating on aluminum by chemical conversion | |
JP4977599B2 (ja) | 基材の表面にフッ素樹脂潤滑皮膜を形成する方法 | |
JP7464394B2 (ja) | 金属部材 | |
JP2002012885A (ja) | 水系潤滑剤及び金属材料の表面処理方法 | |
JP5190473B2 (ja) | 複層潤滑被膜用組成物及び内燃機関のピストン | |
JP2002020883A (ja) | 金属表面の処理方法 | |
CN104342697A (zh) | 免抛光的薄膜型磷化方法及其应用 | |
JP3249059B2 (ja) | 金属摺動部材用表面処理液および表面処理方法 | |
WO2022030476A1 (ja) | 金属部材 | |
Shirmohammadi Yazdi et al. | Enhancement of High Temperature Frictional Properties of Nanostructured Hard Anodized Coatings by PTFE Solid Lubricant | |
JP2006137993A (ja) | アルミニウム系部材、その製造方法、およびアルミニウム系部材の表面処理方法 | |
JP2007138232A (ja) | 潤滑皮膜の形成方法。 |