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JP2003303628A - 高分子固体電解質及び光電変換素子 - Google Patents

高分子固体電解質及び光電変換素子

Info

Publication number
JP2003303628A
JP2003303628A JP2002105664A JP2002105664A JP2003303628A JP 2003303628 A JP2003303628 A JP 2003303628A JP 2002105664 A JP2002105664 A JP 2002105664A JP 2002105664 A JP2002105664 A JP 2002105664A JP 2003303628 A JP2003303628 A JP 2003303628A
Authority
JP
Japan
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electrolyte
photoelectric conversion
dye
hexafluoropropylene
polymer
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Application number
JP2002105664A
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Yusuke Suzuki
祐輔 鈴木
Masahiro Morooka
正浩 諸岡
Kazuhiro Noda
和宏 野田
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Sony Corp
Original Assignee
Sony Corp
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Publication date
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    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01GCAPACITORS; CAPACITORS, RECTIFIERS, DETECTORS, SWITCHING DEVICES, LIGHT-SENSITIVE OR TEMPERATURE-SENSITIVE DEVICES OF THE ELECTROLYTIC TYPE
    • H01G9/00Electrolytic capacitors, rectifiers, detectors, switching devices, light-sensitive or temperature-sensitive devices; Processes of their manufacture
    • H01G9/20Light-sensitive devices
    • H01G9/2004Light-sensitive devices characterised by the electrolyte, e.g. comprising an organic electrolyte
    • H01G9/2009Solid electrolytes
    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高イオン伝導性を有するとともに長期安定性
に優れた高分子固体電解質を提供する。また、これを用
いて光電変換素子を形成することにより、長期間に亘っ
て高い光電変換特性を有する電変換素子を提供する。 【解決手段】 本発明に係る高分子固体電解質は、酸化
還元対を含有する電解液とマトリクスポリマーとを有す
る高分子固体電解質であって、上記マトリクスポリマー
が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン)共重合体あるいはこれらの
誘導体であることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電変換素子用の
高分子固体電解質及び光電変換素子に関し、特に高イオ
ン伝導性を有する高分子固体電解質およびこれを用いた
光電変換素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来太陽電池としては様々な材質のもの
が検討されているが、シリコンを用いたものが多数市販
されており、これらは大別して単結晶シリコンまたは多
結晶シリコンを用いた結晶シリコン系太陽電池と、非晶
質(アモルファス)シリコン系太陽電池とに分けられ
る。従来、太陽電池は単結晶または多結晶のシリコンが
多く用いられてきた。しかし、これらの結晶シリコン系
太陽電池では、光(太陽)エネルギーを電気エネルギー
に変換する性能を表す光電変換効率がアモルファスシリ
コン系太陽電池と比べて高いが、結晶の成長に多くのエ
ネルギーと時間を要するため生産性が低く、コスト面で
不利であった。
【0003】また、アモルファスシリコン系太陽電池
は、光電変換効率が結晶シリコン系太陽電池より低い
が、結晶シリコン系太陽電池と比べて光吸収性が高く、
基板の選択範囲が広い、大面積化が容易である等の特徴
がある。
【0004】一方、上記のような問題を解決する方法と
して有機材料を用いた太陽電池も長く検討されてきた
が、その多くは光電変換効率が1%程度と低く、実用化
には至らなかった。その中で、Nature 353,
737,(1991)で発表された色素増感型太陽電池
は、現在までに10%という高い光電変換効率が実現可
能であることが示されており、また色素増感型太陽電池
は従来のSi系の太陽電池と異なり製造の際に大掛かり
な装置を必要としないことなどから安価な光電変換素子
として注目されている。
【0005】色素増感型太陽電池の一般的構造は、特開
平1−220380などに記載されているように金属酸
化物の粒子を透明電極上に焼結させた半導体電極と対抗
電極とキャリア移動層である電解質層とからなり、半導
体電極上には光増感色素を担持するものである。半導体
電極として用いる金属酸化物としては、TiO,Mg
O,ZnO,SnO,Nbなどが主に検討され
ているがこれらに限定されるものではなく、また、2種
以上の金属酸化物を混合して使用することも可能であ
る。このような色素増感型太陽電池は以下の様に動作す
る。すなわち、透明電極側より入射した光が半導体電極
表面に担時された色素を励起し、色素は半導体電極へ電
子を速やかに渡す。一方、電子を失った色素はキャリア
移動層のイオンから電子を受け取る。電子を渡した分子
は、再び対向電極で電子を受け取る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、色素増感太
陽電池は1991年にスイスのグレッツェル等が8〜1
0%の光電変換効率を実現したと発表して以来注目さ
れ、多くの研究が行われてきたが現在まで実用化には至
っていない。この原因の一つとして上げられるのが電解
質層の固体化の問題である。
【0007】上記のような色素増感型太陽電池において
は、キャリア移動層として低分子の溶媒を用いる。そし
て、太陽電池には例えば10年といった長期間にわたっ
て安定した光電変換特性を示すことが求められる。しか
しながら、アセトニトリル等の高い蒸気圧を有する有機
溶媒を電解液に用いた場合には、該溶媒がその封止層へ
侵入し、時間の経過とともに揮発するなどして失われて
しまい、本来の性能を発現できなくなる事が知られてい
る。そして、これらの電解液を用いた場合、長期にわた
って溶媒の揮発による電解液の減少を防ぐような封止を
行うことは困難である。
【0008】このため、キャリア移動層としての電解質
層を固体化するための検討が行われてきた。例えば特開
2001−160427号公報では室温溶融塩を用いた
ゲル電解質によって比較的高い効率を実現できるとされ
ている。また、特開2000−150006号公報にお
いては、グリシジル化合物とエチレンオキサイドの共重
合体からなる高分子固体電解質がヨウ素とヨウ素化合物
または臭素と臭素化合物からなる酸化還元対を含むこと
によって光電変換素子の電解質として機能することが示
されている。
【0009】しかしながら、電解質層を固体化した場合
には上記のような問題は解決されるものの、微小な金属
酸化物粒子から形成される半導体電極と電解質層との接
触が不十分となることにより光電変換効率が低下すると
いう問題が避けられなかった。
【0010】また、色素増感太陽電池は、常に光が当た
る環境で用いられるため、長期間にわたって安定した光
電変換特性を維持するためには電解質層にも耐久性、耐
光性が求められる。しかしながら、このような条件を満
足する固体電解質は未だ実現されていないのが現状であ
る。
【0011】そこで、本発明は、上述した従来の実情に
鑑みて創案されたものであり、高イオン伝導性を有する
とともに長期安定性に優れた高分子固体電解質を提供す
ることを目的とする。
【0012】また、これを用いて光電変換素子を形成す
ることにより、長期間に亘って高い光電変換特性を有す
る光電変換素子を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決すべく鋭意研究を行った結果、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン)共重合体、あるいはそれらの誘導体をマトリクスポ
リマーとして用いることを着想した。そして、マトリク
スポリマーとしてポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体ある
いはそれらの誘導体を用い、ヨウ素とヨウ素化合物ある
いは臭素と臭素化合物との組み合わせに代表される酸化
還元対と可塑剤を添加することによって高いイオン伝導
性と機械的強度を有する高分子固体電解質が得られるこ
とを見いだした。また、これを用いることによって長期
間に亘って高い光電変換性能を有する光電変換素子を実
現可能であることを見出した。
【0014】すなわち、上述した目的を達成する本発明
に係る高分子固体電解質は、酸化還元対を含有する電解
液とマトリクスポリマーとを有する高分子固体電解質で
あって、マトリクスポリマーがポリフッ化ビニリデン、
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)
共重合体あるいはこれらの誘導体であることを特徴とす
るものである。
【0015】また、これを用いた本発明に係る光電変換
素子は、透明基板の表面に形成された電極と対向電極と
の間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導体層と
電解質層とを備えてなる光電変換素子であって、電解質
層が、酸化還元対を含有する電解液と、ポリフッ化ビニ
リデン、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロ
ピレン)共重合体あるいはこれらの誘導体からなるマト
リクスポリマーとを有してなる高分子固体電解質である
ことを特徴とするものである。
【0016】以上のように構成された本発明に係る高分
子固体電解質は、酸化還元対を含有する電解液とマトリ
クスポリマーとを有してなるゲル状の高分子固体電解質
である。したがって、本発明に係る光電変換素子におい
ては、電解質層にこのゲル状電解質を用いることによ
り、電解液を用いた場合に生じる液漏れや揮発による電
解質層の減少が防止され、耐久性、信頼性に優れた光電
変換素子を実現できる。
【0017】また、本発明に係る高分子固体電解質は、
マトリクスポリマーとして、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共
重合体あるいはこれらの誘導体を用いている。
【0018】ポリフッ化ビニリデンは、高いイオン伝導
性を有し、また良好な機械的強度を有する。また、ポリ
フッ化ビニリデンは、フッ素化されているため化学的、
電気化学的に非常に安定であり、耐久性、耐光性に優れ
ているため、長期間に亘っての安定性が求められる太陽
電池用電解質材料として好適である。
【0019】本発明に係る高分子固体電解質は、このよ
うなポリフッ化ビニリデンをゲル状電解質のマトリクス
ポリマーとして用いることにより、良好なイオン伝導率
と機械的特性を備え、且つ長期安定性に優れたゲル状電
解質を実現することができる。
【0020】また、本発明に係る高分子固体電解質にお
いては、マトリクスポリマーとしてポリフッ化ビニリデ
ンを単独で用いる他にも、ポリフッ化ビニリデンにヘキ
サフルオロプロピレンを共重合させたポリ(フッ化ビニ
リデン−ポリヘキサフルオロプロピレン)共重合体や、
これらの誘導体を用いることができる。ヘキサフルオロ
プロピレンを共重合させることにより、電解液の保持性
が向上するため、より高いイオン伝導率を実現すること
ができる。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高分子固体電
解質及び光電変換素子について図面を参照しながら詳細
に説明する。なお、本発明は、以下の記述に限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において
適宜変更可能である。
【0022】本発明に係る高分子固体電解質は、酸化還
元対を含有する電解液とマトリクスポリマーとを有する
高分子固体電解質であって、上記マトリクスポリマー
が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン)共重合体あるいはこれらの
誘導体であることを特徴とするものである。
【0023】また、本発明に係る光電変換素子は、透明
基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素
を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを
備えてなる光電変換素子であって、電解質層が、酸化還
元対を含有する電解液と、ポリフッ化ビニリデン、ポリ
(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重
合体あるいはこれらの誘導体からなるマトリクスポリマ
ーとを有してなる高分子固体電解質であることを特徴と
するものである。
【0024】図1は、本発明を適用して構成した光電変
換素子である色素増感太陽電池の構成を示す断面図であ
る。図1において色素増感太陽電池1は、透明基板2
と、透明電極3と、半導体層4と、ゲル状電解質層5
と、塩化白金処理した白金層6と、透明電極7と、透明
基板8とを備えて構成される。
【0025】透明基板2及び透明基板8としては、透明
性を有しているものであれば特に限定されるものではな
く、例えばガラス基板を用いることができる。
【0026】透明電極3及び透明電極7は、透明基板2
及び透明基板8の下面に透明な材料により形成された電
極である。電極の材料としては、導電性及び透明性を有
しているものであればどのようなものでも採用すること
ができるが、導電性、透明性、さらに耐熱性を高いレベ
ルで併せ持つ点から、スズ系酸化物などが好適であり、
またコストの面ではITOが好ましい。なお、透明電極
7は、必ずしも設ける必要はなく、必要に応じて形成す
ればよい。
【0027】半導体層4は、色素を担持した半導体粒子
が透明電極3上に焼結されてなるものであり、色素が透
明基板2及び透明電極3を透過して半導体層4に入射し
た光を吸収する。ここで、半導体粒子は色素を吸着した
半導体微粒子であり、半導体微粒子としてはシリコンに
代表される単体半導体の他に、化合物半導体またはペロ
ブスカイト構造を有する化合物等を使用することができ
る。これらの半導体は、光励起下で伝導帯電子がキャリ
アとなりアノード電流を与えるn型半導体であることが
好ましい。具体的に例示するとTiO(チタニア)、
SnO、ZnO、WO、Nb、TiSrO
などが挙げられ、特に好ましくはアナターゼ型のTiO
である。また、半導体の種類はこれらに限定されるも
のではなく、また、これらを単独もしくは2種類以上混
合して用いることができる。
【0028】半導体微粒子に吸着させる色素としては、
例えばルテニウム色素が好適である。しかしながら、半
導体微粒子に吸着させる色素は、電荷分離機能を有し増
感作用を示すものであれば特に限定されるものではな
く、ルテニウム色素の他にも、例えばローダミンB、ロ
ーズベンガル、エオシン、エリスロシン等のキサンテン
系色素、キノシアニン、クリプトシアニン等のシアニン
系色素、フェノサフラニン、カブリブルー、チオシン、
メチレンブルー等の塩基性染料、クロロフィル、亜鉛ポ
ルフィリン、マグネシウムポルフィリン等のポルフィリ
ン系化合物、その他アゾ色素、フタロシアニン化合物、
Ruトリスビピリジル等の錯化合物、アントラキノン系
色素、多環キノン系色素等が挙げられ、これらを単独も
しくは2種類以上混合して用いることができる。
【0029】ゲル状電解質層5は、キャリア移動層とな
るものであり、酸化還元対を含有する電解液とマトリク
スポリマーとを有してなる高分子固体電解質層である。
したがって、この色素増感太陽電池においては、電解質
層に高分子固体電解質であるゲル状電解質5を用いるこ
とにより、電解液を用いた場合に生じる液漏れや揮発に
よる電解質層の減少が防止され、耐久性、信頼性に優れ
た色素増感太陽電池が実現されている。
【0030】そして、ゲル状電解質5は、マトリクスポ
リマーとしてポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニ
リデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体、あるい
はそれらの誘導体を用い、ヨウ素とヨウ素化合物あるい
は臭素と臭素化合物との組み合わせに代表される酸化還
元対と可塑剤を添加することによって形成されている。
【0031】ポリフッ化ビニリデンは、高いイオン伝導
率及び良好な機械的強度を備える高分子材料である。さ
らにポリフッ化ビニリデンは、フッ素化されているため
化学的、電気化学的に安定であり、耐久性、耐光性に優
れている。長期間に亘って常に光が当たる環境で使用す
る場合、通常の炭化水素系材料では耐久性、耐光性が低
いため、早い段階で劣化が進み、特性が低下してしま
う。したがって、通常の炭化水素系材料は、このような
環境下で例えば10年といった長期間に亘って使用する
ことはできない。
【0032】しかしながら、ポリフッ化ビニリデンは化
学的、電気化学的に安定であり、耐久性、耐光性に優れ
ているため、長期間に亘っての安定性が求められる太陽
電池用電解質材料として好適である。そこで、本発明に
おいては、マトリクスポリマーとして、このような特性
を有するポリフッ化ビニリデンを用いてゲル状電解質5
を構成する。ポリフッ化ビニリデンをゲル状電解質のマ
トリクスポリマーとして用いることにより、良好なイオ
ン伝導率と機械的特性を備え、且つ長期安定性に優れた
ゲル状電解質5を実現することができる。
【0033】また、上記のようにマトリクスポリマーと
してポリフッ化ビニリデンを単独で用いてゲル状電解質
を構成することができ、色素増感太陽電池に好適なゲル
状電解質5を得ることができるが、ヘキサフルオロプロ
ピレンを共重合させることにより、すなわち、ポリ(フ
ッ化ビニリデン−ポリヘキサフルオロプロピレン)共重
合体を用いることにより、より高いイオン伝導性を有す
るゲル状電解質が実現可能である。ヘキサフルオロプロ
ピレンを共重合させることにより、電解液の保持性が向
上するため、より高いイオン伝導率を実現することがで
きる。
【0034】マトリクスポリマーとしてポリ(フッ化ビ
ニリデン−ポリヘキサフルオロプロピレン)共重合体を
用いる場合には、フッ化ビニリデンとポリヘキサフルオ
ロプロピレンとの共重合比は、フッ化ビニリデン:ヘキ
サフルオロプロピレンが100:0〜70:30の範囲
であることが好ましく、特に好ましい範囲は96:4〜
80:20である。
【0035】一般に共重合体におけるヘキサフルオロプ
ロピレンの割合が25%を超えると有機溶媒には溶解し
づらく、ステアリン酸マグネシウムなどの活剤を用いた
場合でも、その割合が30%を超えると溶解させること
は困難となる。したがって、フッ化ビニリデンとポリヘ
キサフルオロプロピレンとの共重合比を、100:0〜
70:30の範囲とすることにより、より高いイオン伝
導率を備えたゲル状電解質を得ることができる。
【0036】また、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ
化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体以
外にも、これらの誘導体を用いることにより、上記と同
様のイオン伝導率及び長期安定性に優れたゲル状電解質
を実現することが可能である。
【0037】ゲル状電解質5においては、マトリクスポ
リマーと電解液との重量比は1:3〜1:12の範囲で
あることが好ましく、特に好ましい範囲は1:5〜1:
10である。マトリクスポリマーと電解液との重量比が
1:3を下回る場合、すなわち電解液の含有量が少な過
ぎる場合にはゲル状電解質5のイオン伝導率が急激に低
下してしまう。一方、電解液の増加に伴いゲル状電解質
5のイオン伝導率は向上するが、マトリクスポリマーと
電解液との重量比が1:10を超えるとゲル状電解質の
機械的強度が著しく低下し、1:12を超えるとゲル状
態を維持することが困難となる。したがって、マトリク
スポリマーと電解液との重量比を1:3〜1:12の範
囲とすることにより、イオン伝導率に優れ、且つ機械的
強度も良好なゲル状電解質を構成することができる。
【0038】電解液は、ヨウ素とヨウ素化合物あるいは
臭素と臭素化合物との組み合わせに代表される酸化還元
対と溶媒とにより構成される。電解液を構成する溶媒と
してエーテル類、エステル類、炭酸エステル類、ラクト
ン類、複素環化合物類、ニトリル類、ケトン類、アミド
類、ハロゲン化炭化水素、ジメチルスルホキシド、N−
メチルピロリドン等が挙げられるが、これらに限定され
るものではなく、単独もしくは2種類以上混合して用い
ることができる。
【0039】また、このようなゲル状電解質5は、流動
性を有した状態で半導体層4上にキャストし、その後に
固体化する方法で形成される。具体的には、色素を吸着
させた半導体層4上に、ポリフッ化ビニリデン、ポリヘ
キサフルオロプロピレンあるいはその共重合体や誘導
体、あるいはポリフッ化ビニリデンと他のポリマーとの
混合物をプロピレンカーボネートなど電解液として用い
る電解質を含有した有機溶媒中に溶解させ、さらにジエ
チルカーボネートやジメチルカーボネートなどの、電解
液と比較して低い沸点を有する溶媒で希釈する。そし
て、高い流動性を有する状態で半導体層4上に塗布し、
希釈溶媒を取り除くことによりキャリア移動層としての
ゲル状電解質を得ることができる。
【0040】このように、高い流動性を有する状態で半
導体層4上に塗布することで、半導体層4の半導体微粒
子とゲル状電解質5との密着性を高くすることができ
る。
【0041】色素増感太陽電池においてゲル状電解質を
用いる場合、予めゲル状電解質を形成し、該ゲル状電解
質を半導体層に密着させて色素増感太陽電池を構成する
と、半導体層及びゲル状電解質はすでに形状、すなわち
表面形状が固化したもの同士が当接されることとなるた
め、半導体層とゲル状電解質との密着性は良くなく、し
たがって、半導体層とゲル状電解質との接触が不十分と
なるため光電変換効率が低下するという問題が生じる。
【0042】しかしながら、この色素増感太陽電池にお
いては、ゲル状電解質5を上述のように高い流動性を有
する状態で半導体層4上に塗布し、その後、希釈溶媒を
取り除くことによりゲル状電解質を得るものである。こ
れにより、この色素増感太陽電池においては、ゲル状電
解質5は、半導体層4の半導体微粒子の形状になじみ、
密着した状態で希釈溶媒が取り除かれ、ゲル状電解質5
として成形される。したがって、半導体層4の半導体微
粒子とゲル状電解質5との密着性が非常に良好なものと
され、半導体層4とゲル状電解質5との接触を十分に確
保することが可能となるため、液体電解質に匹敵する良
好な光電変換効率を得ることが可能となる。
【0043】白金層6は対向電極であり、導電性物質で
あれば任意のものを用いることができるが、絶縁性の物
質でも半導体電極に面している側に導電層が設置されて
いれば、これも使用可能である。ただし、電気化学的に
安定である材料を電極として用いることが好ましく、具
体的には、白金、金、およびカーボン等を用いることが
好ましい。また、酸化還元の触媒効果を向上させる目的
で、半導体電極に面している側は微細構造で表面積が増
大していることが好ましく、例えば、白金であれば白金
黒状態に、カーボンであれば多孔質状態になっているこ
とが好ましい。白金黒状態は白金の陽極酸化法、塩化白
金酸処理などによって、また多孔質状態のカーボンは、
カーボン微粒子の焼結や有機ポリマーの焼成などの方法
により形成することができる。
【0044】以上のように構成された色素増感太陽電池
1は次のように動作する。透明電極3側の透明電極2よ
り入射した光が半導体層4表面に担時された色素を励起
し、色素は半導体層4の半導体微粒子へ電子を速やかに
渡す。一方、電子を失った色素はゲル状電解質5のイオ
ンから電子を受け取る。電子を渡した分子は、再び対向
電極である白金層6で電子を受け取る。
【0045】そして、上述したようにゲル状電解質5は
酸化還元対を含有する電解液と、ポリフッ化ビニリデ
ン、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレ
ン)共重合体あるいはこれらの誘導体からなるマトリク
スポリマーとを有してなるため、高イオン伝導性を有す
るとともに優れた長期安定性を備えている。
【0046】そして、色素増感太陽電池1においては、
このようなゲル状電解質5を備えることにより、長期間
に亘って高い光電変換特性を有する電変換素子が実現さ
れている。
【0047】
【実施例】以下においては、具体的な実験結果に基づい
て本発明をさらに詳細に説明する。
【0048】[実施例1]実施例1では、以下のように
して本発明を適用した光電変換素子を作製した。まず、
TiOペーストを作製した。TiOペーストの作製
は「色素増感太陽電池の最新技術」(シーエムシー)を
参考に行った。まず、125mlのチタンイソプロポキ
シドを、750mlの0.1M硝酸水溶液に室温で撹拌
しながらゆっくり滴下した。滴下が終了した後、80℃
の恒温槽に移し、8時間撹拌することにより白濁した半
透明のゾル溶液を得た。
【0049】次に、このゾル溶液を室温まで放冷し、ガ
ラスフィルターでろ過した後、700mlにメスアップ
した。得られたゾル溶液をオートクレーブへ移し、22
0℃で12間水熱処理を行った後、1時間超音波処理に
よる分散処理を施した。
【0050】次いで、この溶液をエバポレーターにより
40℃で濃縮し、TiOの含有量が11wt%になる
ように調製した。そして、この濃縮ゾル溶液に分子量が
50万のポリエチレンオキサイド(PEO)を添加し、
遊星ボールミルで均一に混合することにより、増粘した
TiOペーストを得た。
【0051】次に、得られたTiOペーストを、透明
電極としてのシート抵抗が30Ω/□であるフッ素ドー
プ導電性ガラス基板に、1cm×1cmの大きさでスク
リーン印刷法により塗布した後、450℃に30分間保
持してTiOを導電性ガラス上に焼結して半導体層を
形成した。
【0052】次いで、0.5mMのシス−ビス(イソチ
オシアナート)−N,N−ビス(2,2'−ジピリジル
−4,4'−ジカルボン酸)−ルテニウム(II)二水
和物および20mMのデオキシコール酸を溶解した脱水
エタノール溶液に12時間浸漬させ、半導体層に色素を
吸着させた。そして4−tert−ブチルピリジンのエ
タノール溶液、脱水エタノールの順で洗浄し、暗所で乾
燥させることにより半導体電極を得た。
【0053】次に、予め1mmの注液口が開けられたシ
ート抵抗が30Ω/□のフッ素ドープ導電性ガラス基板
に白金を100nmスパッタし、その上に塩化白金酸の
エタノール溶液を数滴垂らし、450℃に加熱して対向
電極を作製した。
【0054】次いで、ガンマブチロラクトン30.5g
にヨウ化リチウム(LiI)2g、1−プロピル−2.
3−ジメチルイミダゾリウムヨーダイド5g、ヨウ素
(I2)0.5g、4−tert−ブチルピリジン2g
を溶解させて電解液を調製した。この電解液に希釈剤と
してジメチルカーボネートを150g加え、70℃に加
熱した後、分子量30万のポリ(フッ化ビニリデン−ヘ
キサフルオロプロピレン)共重合体を8g溶解させるこ
とにより、ゾル状のゲル状電解質前駆体を得た。
【0055】ここで、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン)共重合体は、フッ化ビニリデンと
ヘキサフルオロプロピレンとを96:4の比率で共重合
させたものを用いた。
【0056】そして、このゾル状のゲル状電解質前駆体
をブレードコーティング法により色素を吸着した半導体
層上に塗布し、50℃で5分間乾燥することによってジ
メチルカーボネートを除き、ゲル状電解質付き半導体電
極を得た。
【0057】最後に、このゲル状電解質付き半導体電極
を対向電極と組み合わせることにより実施例1の色素増
感型太陽電池を得た。
【0058】[実施例2]電解液中に溶解させるポリ
(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重
合体の量を13.3g,10g, 6g,5g, 4g,3.
3g(マトリックスポリマーと電解液との比で1:3,
1:4, 1:6.7, 1:8, 1:10,
1:12)とし、ゲル状電解質中のマトリクスポリマー
と電解液との比を1:3〜1:12と変化させたこと以
外は実施例1と同様にして実施例2の色素増感太陽電池
を作製した。
【0059】[比較例]電解液中に溶解させるポリ(フ
ッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体
の量を20g(マトリックスポリマーと電解液との比で
1:2)とした以外は実施例1と同様にして比較例の色
素増感太陽電池を作製した。
【0060】以上のようにして作製した実施例1、実施
例2及び比較例の電解質及び色素増感太陽電池について
イオン伝導率と光電変換効率の評価を行った。イオン伝
導率及び光電変換効率は、以下のようにして測定した。
【0061】イオン伝導率の評価 イオン伝導率の評価は、ゲル状電解質のイオン伝導率を
測定することにより行った。まず、実施例において作製
したゾル状のゲル状電解質前駆体をガラス板上にキャス
トし、50℃の温度で5分間乾燥させることにより厚み
0.3mmのゲル状電解質を得た。そして、この電解質
を直径10mmの円形に打ち抜き、ステンレス電極間に
挟んで複素インピーダンス測定を行うことによりイオン
伝導率を測定した。その結果を図2に示す。
【0062】また、電解液について、溶液導電率測定用
セル「TOA CG−511B」を用いて複素インピー
ダンス法によりイオン伝導率を測定した。この場合、ポ
リマー電解液比が無限大になってしまい図2に示せない
ため、結果を表1に示す。
【0063】
【表1】
【0064】光電変換効率の評価 光電変換効率の測定は、各色素増感太陽電池における透
明電極側のフッ素ドープ導電性ガラス基板と対向電極側
のフッ素ドープ導電性ガラス基板とにそれぞれワニ口ク
リップを接続し、色素増感太陽電池に光を照射して発生
した電流を電流電圧測定装置にて測定した。なお、光の
照射は、光源としてキセノンランプを用い、色素増感太
陽電池上での光強度を100mW/cmとした。その
結果を図3に示す。
【0065】図2より、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキ
サフルオロプロピレン)をマトリクスポリマーとして用
いて構成した実施例1及び実施例2のゲル状電解質は、
表1に示す電解液のイオン伝導率よりはやや劣るものの
良好なイオン伝導率が得られていることが判る。また、
図2より、マトリクスポリマーと電解液との重量比を
1:3〜1:12の範囲とした場合に特に良好なイオン
伝導率を得られていることが判る。したがって、ポリ
(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)と電
解液とによりゲル状電解質を構成することにより、イオ
ン伝導率が良好な電解質が得られ、特にマトリクスポリ
マーと電解液との重量比を1:3〜1:12の範囲とす
ることにより、より良好なイオン伝導率が実現可能であ
るといえる。
【0066】また、図3より、ポリ(フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン)をマトリクスポリマーと
して用いて構成した実施例1及び実施例2のゲル状電解
質は、表1に示す電解液の光電変換効率よりはやや劣る
ものの良好な光電変換効率が得られていることが判る。
また、マトリクスポリマーと電解液との重量比を1:3
〜1:12の範囲とした場合に特に良好な光電変換効率
を得られていることが判る。したがって、ポリ(フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)と電解液とに
より構成したゲル状電解質を用いることにより、光電変
換効率が良好な色素増感太陽電池が得られ、特にマトリ
クスポリマーと電解液との重量比を1:3〜1:12の
範囲とすることにより、より光電変換効率に優れた色素
増感太陽電池を実現することができるといえる。
【0067】[実施例3]電解液を調製する際に、ガン
マブチロラクトン(GBL)の代わりにプロピレンカー
ボネート(PC)、エチレンカーボネート(EC)とプ
ロピレンカーボネート(PC)との混合溶液(混合比率
は、EC:PC=7:3)、エチレンカーボネート(E
C)とガンマブチロラクトン(GBL)との混合溶液
(混合比率は、EC:GBL=7:3)を用いたこと以
外は実施例1と同様にしてゲル状電解質及び色素増感太
陽電池を作製した。
【0068】以上のようにして作製したゲル状電解質及
び色素増感太陽電池について、上記と同様にしてイオン
伝導度及び光電変換効率を測定した。その結果を表2に
示す。
【0069】
【表2】
【0070】表2より、電解液の溶媒としてガンマブチ
ロラクトンの代わりにプロピレンカーボネート、混合比
率が7:3であるエチレンカーボネートとプロピレンカ
ーボネートとの混合溶液、混合比率が7:3であるエチ
レンカーボネートとガンマブチロラクトンとの混合溶液
を用いて作製したゲル状電解質のイオン伝導率は、電解
液の光電変換効率よりはやや劣るものの良好なイオン伝
導率が実現されていることが判る。
【0071】そして、表2より、これらのゲル状電解質
を用いて色素増感太陽電池を構成した場合の光電変換効
率は、電解液を用いて構成した色素増感太陽電池の光電
変換効率よりはやや劣るものの良好な光電変換効率が実
現されていることが判る。
【0072】したがって、電解液の溶媒としてガンマブ
チロラクトン以外でも上述した溶液を用いた場合におい
ても本発明の効果を十分に得ることができ、良好なイオ
ン伝導率及び光電変換効率に優れた色素増感太陽電池を
実現可能であるといえる。
【0073】[実施例4]ポリマーと電解液との比が
1:10となるようにポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサ
フルオロプロピレン)共重合体を溶解させてゾル状のゲ
ル状電解質前駆体を調製したこと以外は実施例1と同様
にしてゲル状電解質及び色素増感太陽電池を作製した。
なお、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピ
レン)共重合体としては、フッ化ビニリデンとヘキサフ
ルオロプロピレンとを100:0(ポリフッ化ビニリデ
ン),98:2,96:4,94:6,90:10,8
0:20,70:30の各比率で構成したものを用い
た。その結果を図4及び図5に示す。
【0074】図4より、ゲル状電解質のマトリクスポリ
マーとしてポリフッ化ビニリデン(フッ化ビニリデンと
ヘキサフルオロプロピレンとの共重合比が100:0)
のみを用いた場合においても、電解液よりは劣るものの
良好なイオン伝導率が実現されていることが判る。ま
た、マトリクスポリマーとしてポリ(フッ化ビニリデン
−ヘキサフルオロプロピレン)共重合体を用いることに
より、ポリフッ化ビニリデンを用いた場合よりもさらに
良好なイオン伝導率を得られることが判る。そして、ポ
リ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共
重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの比率を増や
すことにより、イオン伝導率の向上効果を得られ、特
に、ヘキサフルオロプロピレンの比率を4%(98:
2)以上とすることで、特に顕著な効果が得られること
が判る。これは、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフル
オロプロピレン)共重合体におけるヘキサフルオロプロ
ピレンの比率が増えることでマトリクスポリマーの電解
液保持特性が良くなるためと考えられる。
【0075】また、図5よりゲル状電解質のマトリクス
ポリマーとしてポリフッ化ビニリデン(フッ化ビニリデ
ンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合比が100:
0)のみを用いた場合、及びマトリクスポリマーとして
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)
共重合体を用いた場合ともに良好な光電変換効率が得ら
れるが、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロ
ピレン)共重合体を用いることにより、より高い光電変
換効率を得られることが判る。そして、マトリクスポリ
マーとしてポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン)共重合体を用いた場合においても、ヘキサフ
ルオロプロピレンの比率を4%(98:2)以上20%
(80:20)以下とすることで、特に良好な光電変換
効率を得られることが判る。
【0076】したがって、これらのことよりマトリクス
ポリマーとしてポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオ
ロプロピレン)共重合体を用いる場合、ヘキサフルオロ
プロピレンの比率を4%(98:2)以上20%(8
0:20)以下とすることで、イオン伝導率及び光電変
換効率がより優れた色素増感太陽電池が実現可能である
といえる。
【0077】
【発明の効果】本発明に係る高分子固体電解質は、酸化
還元対を含有する電解液とマトリクスポリマーとを有す
る高分子固体電解質であって、上記マトリクスポリマー
が、ポリフッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン−
ヘキサフルオロプロピレン)共重合体あるいはこれらの
誘導体からなるものである。
【0078】また、本発明に係る光電変換素子は、透明
基板の表面に形成された電極と対向電極との間に、色素
を担持した半導体粒子からなる半導体層と電解質層とを
備えてなる光電変換素子であって、上記電解質層が、酸
化還元対を含有する電解液と、ポリフッ化ビニリデン、
ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)
共重合体あるいはこれらの誘導体からなるマトリクスポ
リマーとを有してなる高分子固体電解質からなるもので
ある。
【0079】以上のように構成された本発明に係る高分
子固体電解質は、マトリクスポリマーが、ポリフッ化ビ
ニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプ
ロピレン)共重合体あるいはこれらの誘導体からなるた
め、高イオン伝導性と長期安定性とに優れた高分子固体
電解質の実現が可能である。そして、このような本発明
に係る高分子固体電解質を用いることにより長期間に亘
って液体電解質に匹敵する高い光電変換特性を有する光
電変換素子を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る高分子固体電解質を用い光電変換
素子の一構成例を示す要部断面図である。
【図2】ゲル状電解質中における電解液とマトリクスポ
リマーの比と、イオン伝導率との関係を示す特性図であ
る。
【図3】ゲル状電解質中における電解液とマトリクスポ
リマーの比と、光電変換効率との関係を示す特性図であ
る。
【図4】ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロ
ピレン)共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの
比率とイオン伝導率との関係を示す特性図である。
【図5】ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロ
ピレン)共重合体におけるヘキサフルオロプロピレンの
比率と光電変換効率との関係を示す特性図である。
【符号の説明】
1 光電変換素子 2 透明基板 3 透明電極 4 色素を吸着した半導体層 5 ゲル状電解質層 6 塩化白金処理した白金層
フロントページの続き (72)発明者 野田 和宏 東京都品川区北品川6丁目7番35号 ソニ ー株式会社内 Fターム(参考) 5F051 AA07 AA14 BA18 CB13 FA03 FA06 GA03 5G301 CA30 CD01 5H032 AA06 AS16 CC17

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 酸化還元対を含有する電解液とマトリク
    スポリマーとを有する高分子固体電解質であって、 上記マトリクスポリマーが、ポリフッ化ビニリデン、ポ
    リ(フッ化ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン)共
    重合体あるいはこれらの誘導体であることを特徴とする
    高分子固体電解質。
  2. 【請求項2】 上記マトリクスポリマーと上記電解液と
    の重量比が1:3〜1:12の範囲であることを特徴と
    する請求項1記載の高分子固体電解質。
  3. 【請求項3】 光電変換素子に用いられることを特徴と
    する請求項1記載の高分子固体電解質。
  4. 【請求項4】 透明基板の表面に形成された電極と対向
    電極との間に、色素を担持した半導体粒子からなる半導
    体層と電解質層とを備えてなる光電変換素子であって、 上記電解質層が、酸化還元対を含有する電解液と、ポリ
    フッ化ビニリデン、ポリ(フッ化ビニリデン−ヘキサフ
    ルオロプロピレン)共重合体あるいはこれらの誘導体か
    らなるマトリクスポリマーとを有してなる高分子固体電
    解質であることを特徴とする光電変換素子。
  5. 【請求項5】 上記マトリクスポリマーと上記電解液と
    の重量比が1:3〜1:12の範囲であることを特徴と
    する請求項4記載の光電変換素子。
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