JP2003225330A - ガット保護体及び、該ガット保護体を装着したラケットフレーム - Google Patents
ガット保護体及び、該ガット保護体を装着したラケットフレームInfo
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Abstract
夫を施し、ラケットフレームに良好な操作性を確保させ
ながら、優れた反発性とコントロール性を発現させるこ
とのできるガット保護体と、該ガット保護体が挿着され
てなるラケットフレームを提供する。 【解決手段】ガット保護体8aの筒部14の通孔13a
を大径とすると共に、前記筒部14の通孔13aが帯部
18の外面に開口する縁部21のうちガット2が引き通
される部分に、前記縁部21から前記通孔13aの内部
に向けて延在するガット2の受承部22を設け、且つ該
受承部22の延在端部23の形状が、前記通孔13aに
挿通されるガット2を打球方向に摺動案内するように、
前記通孔13aを打球方向に横切る直線形状或いは、直
線に近い曲線形状を有する。
Description
び、該ガット保護体が挿着されてなるラケットフレーム
に関するものであり、特に、ラケットフレームの打球部
に張設されるガットの張設支持構造に工夫を施したもの
である。
どの材料を用いて形成されていたが、現在では、ラケッ
トフレームに要求される強靭性、剛性及び、反発力等の
諸特性を満足させ、しかも、必要な形状を得易いといっ
た設計上の自由度が大きいことから繊維強化樹脂製のラ
ケットフレームが主流を占めるようになった。
例にとって説明すれば、この種のラケットフレームの打
球部の面積は、0.058m2〜0.084m2のもの
が一般的であり、又、ガット張設前の質量は、230g
〜350g程度のものが殆どである。又、その構成とし
ては、図12乃至図13に示すように、打球部31と、
シャフト部32と、グリップ部33とが繊維強化樹脂製
の外殻層34から構成される管状構造を有する構成とな
っており、前記ラケットフレーム30の打球部31に
は、その外周面35と、内周面36とを貫通する多数の
ガット挿通孔37が穿設されているとともに、前記打球
部31の外周面35には、ガット保護溝38が凹設され
ている。前記したガット挿通孔37は、図13に示すよ
うに、中空管状構造を成す打球部31の外周面35側を
構成する外殻層34に穿設した外側ガット挿通孔37a
と、内周面36側を構成する外殻層34に穿設した内側
ガット挿通孔37bとを連通するように構成されてお
り、しかも、前記外側ガット挿通孔37aと内側ガット
挿通孔37bとは同径で、且つガット保護体41の筒部
40を密嵌する大きさに設定されている。
各々のガット挿通孔37には、前記ガット保護溝38及
び、ガット挿通孔37に嵌合する帯部39と筒部40と
を有するガット保護体41が挿着され、該ガット保護体
41の筒部40に形成される通孔42内に、ナイロン、
シープ、鯨筋等の材料からなるガット43が挿通されて
打球面44が形成される構成となっている。
「ダブル穴」と称されるガット挿通孔(ガット43を張
設する際に、1つの穴に2本のガット43が挿通される
ガット挿通孔)を除き、3.4mm〜3.6mmの範囲
内にあるものが殆どであり、又、前記ガット保護体41
の筒部40の外径は、前記ガット挿通孔37の径と略同
等か、それよりも僅かに小さい3.2mm〜3.4mm
の範囲内にある場合が多い。そして、前記ガット保護体
41の筒部40に形成される通孔42の径は、該通孔4
2に挿通されるガット43の径(1.1mm〜1.4m
m)と略同等或いは、それよりも僅かに大きい1.7m
m〜2.0mmの範囲内にあるものが殆どである。
では、ガット保護体41の筒部40が、ガット挿通孔3
7に密着して不動状態に保持され、しかも、通孔42の
径が、ガット43の径と略同等に構成されていることか
ら、前記通孔42を挿通するガット43は、打球部31
の内周面36側に開口する内側ガット挿通孔37bの開
口端領域Pで固定された状態を呈する。
は、打球部31の内外周面を貫通するように穿設された
ガット挿通孔37内にガット43を挿通させて打球面4
4を構成している構造上、ボールを打撃する際、打球部
31の一対の対抗するフレーム間に略直線状態に張られ
たガット43は、ボール打撃時に打球部31の内周面3
6側に開口する内側ガット挿通孔37bの開口端領域P
を起点として撓み、続いて反発するといった動作を呈す
るものである。
みを考察すると、図14に示すように、通常、スイート
エリアと称される打球部31の略中央部領域でボール4
9を打撃すると、打撃点Dからガット挿通孔37の開口
端までの距離L1が、対抗する一方のガット挿通孔37
の開口端までの距離L2と略等しくなることから、前記
開口端を起点として撓むガット43の撓み角θ1、θ2
は双方で等しくなり、打撃時にガット43はボール49
からの押圧力Fを受けて大きく撓んだ後に、ボール49
に良好な反発力を与えながら押圧方向と同方向の返球方
向、即ち、打球面44に対して垂直方向にボール49を
正確に弾き返すことができる。一方、このような中央領
域を外れたところ(打撃点Dn)でボール49を打撃し
た場合においては、打撃点Dnからガット挿通孔37の
開口端までの距離L1と、これと対抗する一方の開口端
までの距離L2の相違によって、前記開口端を起点とし
て撓むガット43の双方の撓み角θ1、θ2は大きく相
違することになる。これにより打撃時のボール49の押
圧方向に対して返球方向が、双方の相違する撓み角θ
1、θ2によって決まる傾斜角θn分だけ偏り、プレー
ヤーの意図する方向にボール49を返球することが難し
くなり、又、それと同調してガット43の撓み量も減少
し、反発性や打球感が低下するといった問題を呈するこ
とは知られている。
違して生じるガット43の撓み角θ1、θ2及び、返球
方向の偏りは、打球部31に張設されるガット43の張
設長さによって大きく左右されるものである。つまり、
ガット43は、打球部31に穿設されたガット挿通孔3
7の開口端を起点として撓む動作を呈することから、こ
のようなガット43の撓みの起点となるガット挿通孔3
7の開口端間の距離Lが大きくなる程、幾何学的にガッ
ト43の撓み角θ1、θ2の相違は小さくなり、返球方
向の偏りは少なくなる。即ち、打球部のスイートエリア
は大きくなるものである。
ートエリアの拡大化を図るために、打球部に張設される
ガットの張設長さを長く設計するための種々の試みがな
されている。
称されるラケットフレームのように、打球部の面積を従
来のものより20%〜30%程度も拡大させることによ
って、ガットの張設長さを長く設計するようにしたもの
が知られている。
に示すように、中空構造のラケットヘッド45に備えら
れるスリーブ46の孔47の断面を、フレームの内側に
向かってらっぱ形又は円錐形に大きく構成することによ
って、フレームの内側において弦48の面BEに垂直な
軸線方向Aへの弦48の移動を可能とさせ、これにより
有効な作用面を増大せしめるようにした提案がなされ公
知となっている。
うに従来より知られるラケットフレームにおいては、以
下のような欠点を有するものであった。
ットフレームにあっては、打球部の面積の拡大化に伴っ
て、必然的にラケットフレーム自体の質量及び、スイン
グ時における風圧面積を増大させてしまうことから振り
抜き性が悪くなってしまい、スピードのあるプレーに対
応し難いといった欠点があった。
ように、スリーブ46の孔47の断面を、フレームの内
側に向かってらっぱ形又は円錐形に大きく構成するよう
にしたものにあっては、打球部の面積を拡大しなくても
打撃時における弦48の撓みの起点となる弦48の変位
支点Qを外周面側に移行させ、前記変位支点Qの移行分
だけ弦48の張設長さを長く設定することができること
から、その分スイートエリアの拡大を図ることができ
る。しかしながら、この種のスリーブ46にあっては、
孔47の孔径をフレームの内周面側で弦48を移動可能
に拡開させる一方で、フレームの外周面側では弦48と
密接するような孔径に構成し、該部で弦48を不動状態
に保持していることから、前記変位支点Qの移行量は、
スリーブ46の孔47の長さw内の僅かな量に限られ
る。又、前記スリーブ46自体の外径が小さいことか
ら、らっぱ形又は円錐形に拡開させた孔47内で弦48
が移動できる範囲(弦の可動領域)は僅かなもので、ス
イートエリアの面積を大幅に拡大することは難しいもの
と予測される。
に提案されるラケットフレームにあっては、依然として
打球部の中央領域を除いた広範囲に亘る領域で打撃時に
おけるボールの返球方向に大きな偏りが生じる他、ガッ
トの撓み量が大幅に減少することによって、反発性や打
球感が著しく低下するといった問題を有する。従って、
このようなラケットフレームにおいても十分なスイート
エリアを確保するためには、打球部の面積を拡大しなけ
ればならないが、この場合、上述したようにラケットフ
レーム自体の質量及び、風圧面積が増大して、振り抜き
性が悪化してしまうなどの問題が生じるものであった。
のスイートエリアを拡大して安定したコントロール性
と、良好な反発性及び、打球感を得ることと、良好な操
作性(振り抜き性)を確保する要求特性は、互いに相反
する設計構成となり、これら双方の要求を十分に満足さ
せることのできるラケットフレームを得ることは現在で
は難しいものとなっている。
に鑑み、打球部に張設されるガットの張設支持構造に工
夫を施し、ラケットフレームに良好な操作性を確保させ
ながら、優れた反発性とコントロール性を発現させるこ
とのできるガット保護体と、該ガット保護体が挿着され
てなるラケットフレームを提供することを目的とする。
に、本発明は以下のような構成とした。即ち、本発明の
請求項1は、打球部に穿設されたガット挿通孔に嵌挿さ
れ、且つガットを遊挿する通孔が備えられた複数の筒部
と、該複数の筒部同士を繋ぐ帯部とから構成されるガッ
ト保護体であって、前記通孔が前記帯部の外面に開口す
る縁部のうちガットが引き通される部分に、前記縁部か
ら前記通孔の内部に向けて延在するガットの受承部が設
けられていると共に、該受承部の延在端部が、前記通孔
に挿通されるガットを打球方向に摺動案内するように、
前記通孔を打球方向に横切る直線形状或いは、直線に近
い曲線形状に構成されていることを特徴とするものであ
る。
護体であって、前記隣接する筒部間の帯部の外面に、ガ
ットの折り返し部を支持する膨出部が形成されていると
共に、該膨出部の頂面部が、該膨出部の打球方向幅の中
央部で最も窪む湾曲形状を呈していることを特徴とする
ものである。
及び、前記打球部とグリップ部とを繋ぐシャフト部とか
ら構成されるラケットフレームにおいて、前記打球部に
穿設されるガット挿通孔の少なくとも一部に、前記請求
項1又は、2記載のガット保護体が挿着されてなること
を特徴とするラケットフレームである。
な実施例により本発明を説明する。図1は、本実施例の
ラケットフレーム1の正面と、側面とを表す外観図、図
2(a)は、図1のA−A線部拡大端面図、図2(b)
は、図1のB−B線部拡大端面図、図3は、図1のC部
領域の拡大説明図を示す。
図1乃至図3に示すように、ガット2が張設されて打球
面3が形成される打球部4と、該打球部4とグリップ部
5とを連結する左右2本のシャフト部6とが繊維強化樹
脂によって一体的に形成される管状構造を有している。
そして、前記打球部4には、その内外周面を貫通するよ
うに多数のガット挿通孔7が周方向に適宜の間隔を隔て
て穿設されていると共に、前記各々のガット挿通孔7内
にガット保護体8が挿着される構成となっている。前記
ラケットフレーム1のガット張設前の質量は、250g
〜270gの範囲内にあり、又、打球部4の大きさは、
従来の一般的なラケットフレームと略同様の0.068
m2〜0.077m2の範囲内に構成されている。
前記した打球部4の内、縦方向のガット2が最も長く張
設される領域、即ち、打球部4のトップ部9とヨーク部
10(打球部4を正面から投影した時に、打球部4のト
ップ部9を12時とした場合、12時と6時に相当する
近傍領域)にそれぞれ穿設される6本〜8本分のガット
挿通孔7(例えば、トップ部9における8個のガット挿
通孔7と、ヨーク部10における6個のガット挿通孔
7)及び、横方向のガット2が最も長く張設される領
域、即ち、打球部4の最大幅部を形成している左右両サ
イド部11a、11b(9時と3時に相当する近傍領
域)に設ける8本〜10本分のガット挿通孔7(例え
ば、右サイド部11aにおける8個のガット挿通孔7
と、左サイド部11bにおける8個のガット挿通孔7)
とを除いた各々のコーナー部12a、12b、12c、
12dに穿設されるガット挿通孔7は、図2(a)に示
すように、従来の一般的なラケットフレームに穿設され
るガット挿通孔と同様、3.4mm〜3.6mmの孔径
を有するように構成されていると共に、前記ガット挿通
孔7にガット2と同径或いは、それよりも僅かに大きい
径の通孔13bを有したガット保護体8bが挿着されて
いる。
ーク部10及び、左右両サイド部11a、11bにおけ
るガット挿通孔7は、図2(b)に示すように、前記し
た各コーナー部12a、12b、12c、12dに穿設
されるガット挿通孔7よりも一段と大きい孔径を有する
ように構成されており、該ガット挿通孔7に、以下に説
明する本実施例のガット保護体8aが挿着されている。
4乃至図6に示すように、前述した打球部4のトップ部
9と、ヨーク部10及び、左右両サイド部11a、11
bに穿設された大径のガット挿通孔7に嵌挿される比較
的大きな外径を成した複数の筒部14と、該複数の筒部
14同士を連結し、且つ前記打球部4の外周面15に形
成されるガット保護溝16の底壁17に沿って添設され
る帯部18とを備えている。前記筒部14には、ガット
2を遊挿するための比較的大きな孔径を有した通孔13
aが形成されており、該通孔13aは、前記帯部18の
外面まで貫通している。尚、図4中(a)は、本実施例
のガット保護体8aを筒部14とは反対側の上面より投
影した状態を表し、(b)は側面、(c)は底面側より
投影した状態を表している。
折り返し張設される箇所となる隣接する筒部14間の帯
部18の外面には、ガット2の折り返し部を支持する膨
出部19が一体的に設けられている。前記膨出部19
は、隣接する筒部14間に跨って張設されるガット2の
折れ曲がりを緩やかな状態とするように前記隣接する筒
部14間をアーチ状に跨ぐような円弧形状を呈するよう
に構成されており、その高さは、前記筒部14間の中央
部領域で最も高くなるように構成されている。又、前記
膨出部19のガット2を支持する頂面部20は、図6に
示すように、該膨出部19の打球方向幅の中央部で最も
窪む湾曲した形状を成すように構成されている。
は、図5(a)に示すように、前記筒部14の通孔13
aが前記帯部18の外面に開口する縁部21のうちガッ
ト2が引き通される部分に、前記縁部21から前記通孔
13aの内部に向けて延在するガット2の受承部22が
設けられている。前記受承部22は、前記帯部18の外
面に設けられる膨出部19に一体的に連なる外形状を成
すと共に、前記膨出部19に跨り、且つ前記受承部22
に受承されて筒部14の通孔13a内に挿通されるガッ
ト2が、前記通孔13aの中央軸線Z上の領域に案内さ
れるように、前記縁部21から前記通孔13aの内部に
向けて適宜の延在長さNを有した形状に構成されてい
る。
22の内、該受承部22の延在端部23が、前記通孔1
3aを打球方向に横切って横断する直線或いは、直線に
近い曲線形状を有するように構成されており、前記受承
部22に受承されたガット2が、打撃時に加わる応力に
より、前記通孔13a内において打球方向に摺動するよ
うに構成されている。
に示すように、ボール打撃時にガット2にボールからの
押圧力Fが加わると、前記通孔13aに遊挿されたガッ
ト2が押圧方向に摺動して、ガット2の変位支点が前記
ガット2の摺動分だけ押圧方向にずれを生ずる。これに
よりガット2は、打球部より外側の仮想点Qnで示した
点を支点として撓む場合と同様な撓みを呈するようにな
ることから、ガット2の張設長さによって特定されるス
イートエリア以上の大きなスイートエリアが得られるも
のである。
ら外れたところでボールを打撃した場合にあっては、打
撃点に近い側の前記通孔13aに遊挿されるガット2
が、対抗する一方の通孔13aに遊挿されるガット2よ
りも大きな摺動を呈し、ガット2の変位支点がその分押
圧方向に大きなずれを生ずるようになる。これによりガ
ットの撓みの仮想点Qnaは、対抗する一方のガット2
の撓みの仮想点Qnbよりも大きく外側に移行するよう
になることから、これに伴い双方のガット2の撓み角は
略等しくなって表れ、ボールの返球方向の偏りは少なく
なると共に、中央領域でボールを打撃した場合と略同様
な撓み量が得られるものである。
5(a)に示すように、各々隣接する筒部14間にアー
チ状の膨出部19が設けられているため、前記隣接する
筒部14間に跨って張設されるガット2が、通孔13a
の縁部21に設けられた受承部22と、前記膨出部19
の頂面部20に当接支持されるようになる。従って、ガ
ット2から加わる応力は、前記受承部22だけでなく前
記膨出部19の頂面部20によっても受承されて分散す
るようになることから、前記ガット保護体8aに加わる
応力は極めて小さいものとなり、長期に亘り耐久性を維
持させることができる。又、前記膨出部19の頂面部2
0が、図6に示すように、該膨出部19の打球方向幅の
中央部で最も窪む湾曲した形状を成すように構成されて
いることから、ボール打撃時に打球方向に摺動したガッ
ト2を、ボールからの押圧力Fが解けた後に、前記した
頂面部20の湾曲した面に沿わせて打撃前のもとの中央
位置に摺動して戻らせることができ、打撃前のガット2
を常に同じ位置に保つことができるものである。
3aの径は、前記筒部14の外径や、ガット保護体8a
自体の材質の相違によっても種々異なるものであるが、
前記筒部14の保形性や耐久性等を考慮しつつ、ガット
2の摺動域を十分に確保させることを前提として多くの
実験を行った結果、4mm〜6mm、とりわけ4mm〜
5mmの孔径に形成されることが好ましい。前記孔径
が、4mmよりも小さい場合では、ガット2の摺動域を
十分に確保することができないといった不具合が生じ、
又、前記孔径が、6mmよりも大きい場合では、前記筒
部14の肉厚が極めて薄く形成されてしまい、筒部14
の耐久性を保持することが難しい。又、前記筒部14の
外径としては、4.8mm〜7.8mmに形成されるこ
とが望ましい。
トップ部9と、ヨーク部10及び、左右両サイド部11
a、11bのガット挿通孔7の孔径としては、ラケット
フレーム1自体の断面形状や設計強度及び、剛性等の相
違によっても種々異なるものであるが、ラケットフレー
ム1として実用上十分な強度や剛性を発現できながら、
前述したガット2の摺動域を十分に確保させることを前
提として多くの実験を行った結果、5mm〜8mm、と
りわけ6mm〜7mmの孔径に形成されることが好まし
い。前記孔径が、5mmよりも小さい場合では、ガット
2の摺動域を十分に確保することができないといった不
具合が生じ、又、前記孔径が、8mmよりも大きい場合
では、該部におけるフレームの強度や剛性が不足して打
球面が安定しないといった問題を生ずる恐れがある。
けられる受承部22の延在端部23が、前記通孔13a
を打球方向に横切って横断する直線或いは、直線に近い
曲線形状を呈するように構成するものであるが、特に、
前記延在端部23の形状を、図9に示すように、前記受
承部22の延在方向とは反対側に凹んだ曲線形状を有す
るように構成した場合、前記した膨出部19の頂面部2
0において奏する作用と同様に、ボール打撃時に前記延
在端部23に沿って打球方向に摺動したガット2を、ボ
ールからの押圧力が解けた後に、前記曲線に沿わせて打
撃前のもとの中央位置に摺動して戻らせることができる
ことから、打撃前のガット2を常に同じ位置に保つこと
ができ、より望ましい構成となる。尚、前記した延在端
部23を大きく湾曲した曲線形状に形成する(曲率半径
を小さくし過ぎる)と却ってガット2が打球方向に摺動
し難くなってしまうことから、前記延在端部23は、前
記ガット2が打球方向へ容易に摺動できる比較的大きな
曲率を持った曲線形状に形成する必要があるが、種々の
実験結果から、前記曲線は、半径Rが10mm、とりわ
け15mmの円弧よりも直線に近い曲線により構成され
ることが望ましい。
フレーム1を構成する主たる補強繊維としては、炭素繊
維、ガラス繊維、ボロン繊維、芳香族ポリアミド繊維等
種々のものが使用できるが、強度や剛性、質量、コスト
の面からも炭素繊維が好適である。又、マトリックス樹
脂としては、エポキシ樹脂、ナイロン樹脂等が使用でき
るが、強度、耐久性の点でエポキシ樹脂が好適である。
料としては、成形性に優れ、しかも、高張力で張設され
るガット2を支持するのに十分な保形性が保たれる比較
的剛性を有した材料が望ましい。例えばその一例して
は、ナイロン樹脂、ABS樹脂、ポリプロピレン樹脂、
塩化ビニル樹脂等の材料からなる射出成形品等が挙げら
れる。なかでも、前記材料の曲げ弾性率が、1100M
Pa以上、1500MPa以下の特性を有するものが特
に好ましい。前記材料の曲げ弾性率が1100MPaよ
りも小さいと、ガット張設時にガット2がガット保護体
8aにくい込んでしまい、打撃時にガット2が摺動し難
くなってしまう恐れが有り、又、前記曲げ弾性率が15
00MPaよりも大きいと、柔軟性に欠けてしまいガッ
ト保護体8aを打球部の外周面の形状に沿わせて装着さ
せることが困難となる恐れがある。又、本発明では、前
記材料の他、ガット2の摺動特性を良好なものとするた
めに、前記ガット保護体8aの全体或いは、ガット2と
接触する一部をガット2との摩擦抵抗の少ない軽金属材
料で形成する構成としても良い。前記軽金属材料として
は、例えば、アルミニウム、マグネシウム、チタン或い
は、それらの合金等が挙げられる。
ーム1では、前記打球部4のトップ部9と、ヨーク部1
0及び、左右両サイド部11a、11bに本実施例のガ
ット保護体8aを挿着させる例を説明したが、本発明は
これに限定されず、前記ガット保護体8aを挿着する部
位及び、範囲は任意に選定することができるものであ
る。
に示すような実施例1と、比較例1〜4のラケットフレ
ームを用意した。
レーム1は、上述した実施の形態と同様、打球部4のト
ップ部9と、ヨーク部10及び、左右両サイド部11
a、11bに上述した構成のガット保護体8aを装着さ
せたものを用意した。前記ガット保護体8aは、ポリア
ミド樹脂より形成されてなるもので、筒部14に設けら
れる通孔13aの孔径は4mmとし、且つ受承部22の
延在端部23の形状が、前記通孔13aを打球方向に横
切って横断する半径Rが20mmの曲線形状を呈したも
のを用いた。尚、前記した打球部4のトップ部9と、ヨ
ーク部10及び、左右両サイド部11a、11bを除い
た各コーナー部12a、12b、12c、12dには、
3.4mmの孔径を有するガット挿通孔7が穿設されて
おり、該ガット挿通孔7に、ガット2と略同径の通孔を
備えたガット保護体8bが挿着されている。
に、前記した打球部4のトップ部9と、ヨーク部10及
び、左右両サイド部11a、11bに装着されるガット
保護体において、前記した受承部22を備えない構成の
ガット保護体とした他は、実施例1のラケットフレーム
1と略同様とした。
ように、前記した実施例1のガット保護体8aに備えら
れる前記受承部22の延在端部23の形状を、半径Rが
5mmとなるように構成した他は、実施例1のラケット
フレーム1と略同様としたものを用意した。
のガット保護体8aを備えない構成のラケットフレーム
であって、打球部4の全周に亘って3.4mmの孔径を
有したガット挿通孔7を穿設し、該ガット挿通孔7にガ
ット2と略同径の通孔13bを備えたガット保護体8b
を挿着させた構成のラケットフレームを用意した。
同様に、打球部4の全周に亘って3.4mmの孔径を有
したガット挿通孔7を穿設した構成のラケットフレーム
であって、打球部4の面積を大きく構成したものを用意
した。
ットフレームについて実打試験を行った。この実打試験
では、主として中上級者を対象にして、実際に、実施例
1と、比較例1〜4のラケットフレームでボールを打撃
し、その際、プレーヤーが体感したラケットフレームの
操作性(振り抜き易さ)、打撃時の反発性、コントロー
ル性、更に、プレー時における違和感等の評価を行っ
た。この時の試験結果を以下の表2に示す。
ケットフレーム1では、比較例1〜4のラケットフレー
ムに比し、優れた反発性、コントロール性が得られると
共に、操作性に優れながらも、プレー時に違和感を与え
ないラケットフレームであることが確認できた。
の通孔13aを大径としている分、比較例3に比して反
発性及び、コントロール性に優れた評価が得られたが、
本実施例1のラケットフレーム1ほど良好な評価を得る
ものではなかった。これは、打撃時にガット2が打球方
向に摺動し難い構成を成していることに起因する。又特
に、比較例1にあっては、通孔13a内に向けた受承部
22を備えない分、図10(a)に示すように、前記通
孔13a内に引き通し挿通されるガット2の変位支点Q
が、筒部の下方側に位置するようになることから、比較
例2に比して、反発性及び、コントロール性の評価は低
く表れた。
設されたガット挿通孔に嵌挿して挿着されるガット保護
体の筒部の通孔を大径とし、且つ前記筒部の通孔が前記
帯部の外面に開口する縁部のうちガットが引き通される
部分に、前記縁部から前記通孔の内部に向けて延在する
ガットの受承部を設けると共に、該受承部の延在端部
が、前記通孔に挿通されるガットを打球方向に摺動案内
するように、前記通孔を打球方向に横切る直線形状或い
は、直線に近い曲線形状に構成しているため、打球部の
面積を拡大せずともスイートエリアを大幅に拡大するこ
とができる。従って、打撃時には、良好な操作性が得ら
れながらも優れた反発性、コントロール性及び、打球感
が得られるものである。
す説明図。
た状態を表す説明図。
た状態を表す説明図。
図。
状態を表す説明図。
Claims (3)
- 【請求項1】 打球部に穿設されたガット挿通孔に嵌挿
され、且つガットを遊挿する通孔が備えられた複数の筒
部と、該複数の筒部同士を繋ぐ帯部とから構成されるガ
ット保護体であって、前記通孔が前記帯部の外面に開口
する縁部のうちガットが引き通される部分に、前記縁部
から前記通孔の内部に向けて延在するガットの受承部が
設けられていると共に、該受承部の延在端部が、前記通
孔に挿通されるガットを打球方向に摺動案内するよう
に、前記通孔を打球方向に横切る直線形状或いは、直線
に近い曲線形状に構成されていることを特徴とするガッ
ト保護体。 - 【請求項2】前記隣接する筒部間の帯部の外面に、ガッ
トの折り返し部を支持する膨出部が形成されていると共
に、該膨出部の頂面部が、該膨出部の打球方向幅の中央
部で最も窪む湾曲形状を呈していることを特徴とする請
求項1記載のガット保護体。 - 【請求項3】 打球部とグリップ部及び、前記打球部と
グリップ部とを繋ぐシャフト部とから構成されるラケッ
トフレームにおいて、前記打球部に穿設されるガット挿
通孔の少なくとも一部に、前記請求項1又は、2記載の
ガット保護体が挿着されてなることを特徴とするラケッ
トフレーム。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002024860A JP3981276B2 (ja) | 2002-01-31 | 2002-01-31 | ガット保護体及び、該ガット保護体を装着したラケットフレーム |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002024860A JP3981276B2 (ja) | 2002-01-31 | 2002-01-31 | ガット保護体及び、該ガット保護体を装着したラケットフレーム |
Publications (2)
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ID=27747181
Family Applications (1)
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JP2002024860A Expired - Lifetime JP3981276B2 (ja) | 2002-01-31 | 2002-01-31 | ガット保護体及び、該ガット保護体を装着したラケットフレーム |
Country Status (1)
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8206248B2 (en) * | 2009-06-30 | 2012-06-26 | Yonex Kabushiki Kaisha | Racket |
WO2015177937A1 (ja) | 2014-05-20 | 2015-11-26 | ヨネックス株式会社 | ラケット、および、グロメット |
JP2016182512A (ja) * | 2016-07-28 | 2016-10-20 | ヨネックス株式会社 | ラケット、および、グロメット |
FR3120542A1 (fr) * | 2021-03-09 | 2022-09-16 | Babolat Vs | Ensemble d’œillets de guidage et raquette de sport équipée d’un tel ensemble |
-
2002
- 2002-01-31 JP JP2002024860A patent/JP3981276B2/ja not_active Expired - Lifetime
Cited By (6)
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FR3120542A1 (fr) * | 2021-03-09 | 2022-09-16 | Babolat Vs | Ensemble d’œillets de guidage et raquette de sport équipée d’un tel ensemble |
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