JP2003299743A - インスリン投与装置 - Google Patents
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Abstract
可能にするインスリン投与装置を提供する。 【解決手段】 本装置は、下記構造式 【化1】 で示されるインスリンリスプロまたはその薬学的に許容
され得る塩を、イオントフォレーシスとエレクトロポレ
ーションを用いて経皮または経粘膜投与するものであ
る。
Description
てインスリンリスプロ類を皮膚または粘膜投与するイン
スリン投与装置に関するものである。
のように経口糖尿病で治療できる2型糖尿病患者と、全
くインスリンの分泌が見られない1型糖尿病患者とに大
別できる。1型糖尿病患者は、インスリンが分泌されな
いためにインスリンを投与することが必要である。ま
た、2型糖尿病患者でも、血糖コントロールが困難な場
合は、1型と同様に、インスリンを投与する治療方法が
とられる。しかし、インスリンは、血糖コントロール効
果は高いものの吸収性や安定性が悪く経口での投与が出
来ず、また、持続性も低いために苦痛を伴う注射による
1日1回から数回の頻回投与に頼るしかないのが現状で
ある。例えば、WO02/02179A1には、マイク
ロニードルを用いて、経皮的にインスリンやインスリン
リスプロを投与した例が示されている。しかしマイクロ
ニードルは、痛みは少ないものの皮膚に物理的に極小の
孔を空け、そこから経皮的に薬物を吸収させるために、
投与後に皮膚に孔が残る。そのため感染症などの問題が
無視できない。
促進する方法としてイオントフォレーシス(Journ
al of Pharmaceutical Scie
nces,76巻,341ページ,1987年)やエレ
クトロポレーション(特表平3−502416、Pro
c.Natl.Acad.Sci.USA,90巻,1
0504−10508ページ,1993年)等の様に電
気的なエネルギーを用いた投与方法が開発されている。
イオントフォレーシスは、皮膚の経毛嚢器官から薬物を
送達させるために皮膚に孔などを生じることがなく、さ
らに負荷する電圧も低く、安全性に富んでいる。またエ
レクトロポレーションは、高い電圧を負荷するものの、
適用時間が数マイクロ秒から数ミリ秒と極短く、エレク
トロポレーションによりに皮膚に生じた孔は可逆的で、
薬物投与終了後まで残ることはない。イオントフォレー
シスおよびエレクトロポレーションはともに経皮または
経粘膜により薬物の吸収を促進する安全な投与方法であ
る。
の技術を用いてもインスリンを投与することは難しい。
例えば、イオントフォレーシスを単独で利用してインス
リンの送達を行った報告があるが(Journal o
f Pharmaceutical Science
s,76巻,341ページ,1987年)、ほとんど効
果が見られないか、または血糖値の下降が見られてもわ
ずか十数分程度の効果でしかなかった。また、エレクト
ロポレーションを用いてもインスリンの効果を示す程十
分量が送達されたという報告はない。またエレクトロポ
レーションとイオントフォレーシスの併用の研究もされ
ているが、インスリンの効果を示す程十分量が送達され
た報告はない。インスリン以外の薬物をイオントフォレ
ーシスとエレクトロポレーションの併用により経皮吸収
を試みた例としては、分子量3000のカルシトニンで
あれば、ラットにおいて数百ng/mLの血中濃度を示
すほど送達できたが、分子量4000のPTHでは10
0ng/mLにも満たない量しか送達出来ていないとい
う報告がある(Journal of Control
led Release,66巻,127ページ,20
00年)。すなわち、イオントフォレーシスとエレクト
ロポレーションを併用しても、分子量3000以上の化
合物を送達することは難しく、分子量6000のインス
リンを皮膚や粘膜から十分量を送達することはさらに難
しいというのが現状である。
な経皮または経粘膜投与を可能にするインスリン投与装
置を提供することにある。
達成するために、低い電場を長時間負荷することができ
るイオントフォレーシスと高い電場を短時間負荷するこ
とができるエレクトロポレーションを単独または組み合
わせて用い、種々のインスリン(ヒトインスリン、プタ
インスリン、ウシインスリン、アルギニン−インスリ
ン、インスリンリスプロ)の投与を試みた。その結果、
下記構造式
薬学的に許容され得る塩(以下、「インスリンリスプロ
類」という)を用いる場合に、電場適用手段として、エ
レクトロポレーションとイオントフォレーシスとを組み
合わせることにより、経皮または経粘膜吸収性が優れ、
前記薬物が十分な薬効を発現し持続できることを見いだ
し、本発明に至った。
は、上記インスリンリスプロ類を少なくとも2つの異な
る電場適用手段を用いて経皮または経粘膜より投与する
ものである。ここで、2つの異なる電場適用手段は好適
にはイオントフォレーシスとエレクトロポレーションで
ある。この場合、イオントフォレーシスの適用電流は
0.01〜1.0mA/cm2であることが好ましく、
またエレクトロポレーションの適用電圧は電極間の単位
距離あたり1V/cm〜10kV/cmであることが好
ましい。
トリックスに溶解、懸濁または分散されていることが好
ましい。親水性マトリックスは、例えば、寒天、ローカ
ストギンガム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール
類およびその誘導体並びにポリアクリル酸およびその塩
類からなる群から選択される1またはそれ以上を含むこ
とができる。さらに、本発明のインスリン投与装置は、
インスリンリスプロ類の放出制御膜を備えることができ
る。放出制御膜上にエレクトロポレーション用の少なく
とも1対の電極を有する。放出制御膜は好適には多孔質
膜により形成される。インスリンリスプロ類が膜上に保
持されるようにすることができる。この場合、インスリ
ンリスプロ類は乾燥状態で保持され、使用時その一部ま
たは全てを溶解させて使用することが好ましい。エレク
トロポレーション用電極の少なくとも1つの電極は、皮
膚または粘膜に直接またはその近傍(例えば、約100
μm以下)に設置されるようにすることが好ましい。
は、上記インスリンリスプロ類を含むエレクトロポレー
ション−イオントフォレーシス製剤と、イオントフォレ
ーシスの対電極となるリファレンス製剤と、両製剤にそ
れぞれ接続された電源装置とを備える。ここで、電源装
置は、イオントフォレーシス用の接続口とエレクトロポ
レーション用の接続口とを有することができる。さら
に、本発明に係るエレクトロポレーション−イオントフ
ォレーシス製剤は、バッキングと、バッキングに配置さ
れたイオントフォレーシス電極と、イオントフォレーシ
ス電極上に配置され上記インスリンリスプロ類を含むイ
ンスリンリスプロ含有層と、インスリンリスプロ含有層
上に配置され異なる極の電極を有するエレクトロポレー
ション電極とを備える。ここで、インスリンリスプロ含
有層とエレクトロポレーション電極との間にインスリン
リスプロ類の放出を制御する放出制御膜を備えることが
できる。この放出制御膜は孔径として0.01〜10μ
mを有する多孔質膜とすることができる。
ン−イオントフォレーシス製剤は、バッキングと、バッ
キングに配置されたイオントフォレーシス電極と、イオ
ントフォレーシス電極上に配置された親水性マトリック
ス基剤と、親水性マトリックス基剤上に配置されたライ
ナーと、ライナー上に配置され上記インスリンリスプロ
類を保持する保持膜と、保持膜上に配置され異なる極の
電極を有するエレクトロポレーション電極とを備える。
ここで、インスリンリスプロ類は保持膜に乾燥状態で保
持されることが好ましい。エレクトロポレーション電極
は多点接触型に形成することができる。このように構成
することにより、インスリンの有効な経皮または経粘膜
投与を可能にするインスリン投与装置を得ることができ
る。以下、本発明について詳細に述べる。
投与装置の実施形態の一例を示す図である。本装置は、
2つの異なる電場適用手段として、イオントフォレーシ
スおよびエレクトロポレーションを有するものであり、
図1に示されるように、インスリンリスプロを含むエレ
クトロポレーション−イオントフォレーシス製剤115
と、イオントフォレーシスの対電極となるリファレンス
製剤114と、両製剤114、115にそれぞれ接続さ
れたエレクトロポレーション−イオントフォレーシス電
源装置111とを備える。この電源装置111は、イオ
ントフォレーシス接続口112とエレクトロポレーショ
ン接続口113とを有する。本例では、両製剤114、
115は皮膚116に貼付されている。
場のエレクトロポレーションを負荷させ、かつ低電場の
イオントフォレーシスを負荷させる。この場合、エレク
トロポレーションの適用電圧は1V/cm〜10kV/
cmが望ましい。また、イオントフォレーシスの適用電
流は0.01〜1.0mA/cm2がインスリンの送達
量、電気刺激の点から望ましい。イオントフォレーシス
の電流波形としては直流、パルス、パルス脱分極等が上
げられるが、これらに限定されない。また電流値を一定
にする定電流通電では上記のように0.01〜1.0m
A/cm2に、また電圧値を一定にする定電圧通電では
1V〜20Vの間で適用にすることが望ましい。インス
リンリスプロは、その等電点(約5.5付近)より低い
pH環境下で存在するときは、イオントフォレーシス用
電極の陽極側に含有させ、等電点より高いpH環境下に
存在するときはその陰極側に含有させる。陽陰極の両方
に含有させ、両方から同時に投与してもよい。この場
合、エレクトロポレーション電極もイオントフォレーシ
スの陰陽両方の製剤に設置する必要がある。
ョン−イオントフォレーシス製剤の一例を示す図であ
り、(a)は断面図、(b)は平面図である。本製剤
は、図のように、凹部を有するバッキング16と、バッ
キング16の凹部底面部に配置されたイオントフォレー
シス電極11と、イオントフォレーシス電極11を外部
の電源装置に接続するためのイオントフォレーシス電極
接続端子12と、バッキング16の内側に配置されたイ
ンスリンリスプロ含有層15と、インスリンリスプロ含
有層15上に配置された同一平面用に隣り合うそれぞれ
異なる極の電極からなるエレクトロポレーション電極1
4と、エレクトロポレーション電極14を外部の電源装
置に接続するためのエレクトロポレーション電極接続端
子13と、エレクトロポレーション電極14とエレクト
ロポレーション電極接続端子13とを接続する導電線1
8と、皮膚へ貼付し及び導電部18やエレクトロポレー
ション電極14が不必要に皮膚と直接接しないように絶
縁する粘着絶縁層17とを備える。
は、有効成分として、上記インスリンリスプロ類を1種
またはそれ以上含むものであり、インスリンリスプロの
薬学的に許容され得る塩としては、特に限定されず、一
般的に考えられる塩を用いることができる。なお、イン
スリンリスプロ含有層15は、マトリックスに溶解また
は懸濁、分散させることのできる親水性基剤を用いるこ
とが望ましい。これらの基剤としては、例えば、寒天、
ゼラチン、ポリアクリル酸およびその塩、ポリビニルピ
ロリドンおよびポリビニルピロリドンとビニルアセテー
トとの共重合体、メチルセルロースおよびこの誘導体、
ペクチン、ポリエチレンオキサイド、メチルビニルエー
テル無水マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコールお
よびその誘導体またはこれらのケン化物などが挙げられ
るが、これらに限定されない。
側が銀や銅、陰極側が銀/塩化銀、銅/塩化銅のような
非分極性の電極が望ましいが、例えばカーボン、チタ
ン、金、白金などの分極性電極や、分極性、非分極性の
両方を組み合わせて用いてもよい。エレクトロポレーシ
ョン電極の材料は、電流を流すことができればどのよう
な材料でもよく、例えばカーボン、白金、金、銀、チタ
ン、アルミ、クロム、亜鉛、及びこれらの合金などが上
げられるが、これらに限定されない。エレクトロポレー
ション電極は、イオントフォレーシス電極と異なり、陽
陰の両極間の距離が重要である。この距離により負荷さ
せる電場が違ってくるからである。この距離は0.01
mm〜10cmの範囲に有ることが、望ましく、負荷さ
れる電圧を考慮して決定すべきである。例えば、10c
mの電極間距離で10Vを負荷すれば1V/cmの電場
であり、0.01mmの電極間距離に1Vを負荷すれば
1000V/cmとなる。望ましいエレクトロポレーシ
ョン負荷電場は1V/cm〜10kV/cmである。エ
レクトロポレーション電極とイオントフォレーシス電極
は共有してもよく、また別々に設置してもよい。
製剤は、図示はしないが通常のイオントフォレーシス装
置に用いられる構成のものでよい。例えば、本製剤は、
図1において、エレクトロポレーション電極14、エレ
クトロポレーション電極接続端子13及び導電線18を
除いた構成とすることができる。この場合、インスリン
リスプロ含有層15は、インスリンリスプロを含まない
単なる導電層に代えることができる。
ョン−イオントフォレーシス製剤の他の例を示す図であ
り、(a)は断面図、(b)は平面図である。本製剤
は、インスリンリスプロ放出制御膜を有する点で図2の
製剤の例と異なる。すなわち本製剤は、図のように、凹
部を有するバッキング26と、バッキング26の凹部底
面部に配置されたイオントフォレーシス電極21と、イ
オントフォレーシス電極21を外部の電源装置に接続す
るためのイオントフォレーシス電極接続端子22と、バ
ッキング26の内側に配置されたインスリンリスプロ含
有層25と、インスリンリスプロ含有層25上に配置さ
れたインスリンリスプロ放出制御膜29と、インスリン
リスプロ放出制御膜29上に固定、もしくは印刷されて
おり同一平面用に隣り合うそれぞれ異なる極の電極から
なるエレクトロポレーション電極24と、エレクトロポ
レーション電極24を外部の電源装置に接続するための
エレクトロポレーション電極接続端子23と、エレクト
ロポレーション電極24とエレクトロポレーション電極
接続端子23とを接続する導電線28と、皮膚へ貼付し
及び導電部28やエレクトロポレーション電極24が不
必要に皮膚と直接接しないように絶縁する粘着絶縁層2
7とを備える。
リンリスプロ溶液中に増粘剤が分散されたものである。
インスリンリスプロ放出制御膜29は、特に限定されな
いが、インスリンリスプロの透過を妨げないことが好ま
しく、これには細孔を持つような多孔質膜を用いること
が望ましい。多孔質膜の孔径としては好ましくは0.0
1〜10μm、さらに好ましくは0.1〜5μmが、薬
物の保持性、透過性に適当である。インスリンリスプロ
放出制御膜の材料としては、例えば、ナイロン膜、ポリ
フッ化ビニリデン、セルロース、ニトロセルロース、ポ
リカーボネイト、ポリスルフォン、ポリエチレン、不織
布、ガーゼ、織布、紙、脱脂綿、連続発砲を有するポリ
エチレン、ポリプロピレン、酢酸ビニル、ポリオレフィ
ンフォーム、ポリアミドフォーム、ポリウレタン等の多
孔質膜および発砲体などやこれら材料に化学的修飾、処
理を加えたもの等が挙げられるが、これらに限定されな
い。インスリンリスプロは後述のように膜上に乾燥状態
で保持させてもよい。なお、インスリンリスプロ含有層
25には、インスリンリスプロの他に電解質、吸収促進
剤、安定化剤、pH調製剤、増粘剤、粘着剤、界面活性
剤、乳化剤、不織布等を含んでいてもよい。
性、柔軟性かつ適度な保形成に優れた材料であればよ
く、例えば、不織布、塩化ビニリデン、塩化ビニル等の
重合体である塩素含有樹脂、オレフィン系、エステル
系、スチレン系、アクリル系、アミド系、オキシメチレ
ン系、フェニレンスルフィド系、アミドイミド系、アク
リロニトリル系、エーテルケトン、エーテルスルホン、
スルホン.エーテルイミド、ブタジエン、イソプレン等
の高分子重合体やこれらの共重合体が挙げられるがこれ
に限定されない。上記材料をフィルム状にしたものや加
工したもの、あるいは成型品が用いられる。バッキング
の厚さは特に限定されないが、5〜250μmの厚さに
すると保形性、柔軟性に優れるので好ましい。
ョン−イオントフォレーシス製剤の他の例を示す図であ
り、(a)は断面図、(b)は平面図である。本製剤
は、インスリンリスプロを乾燥状態で保持する保持膜を
有する点で図2、図3の製剤の例と異なる。すなわち本
製剤は、図のように、ライナー1012でイオントフォ
レーシス電極や親水性マトリックスを有する部分101
0と乾燥状態のインスリンリスプロやエレクトロポレー
ション電極などを有する部分1020に分けられ、10
10は、凹部を有するバッキング106と、バッキング
106の凹部底面部に配置されたイオントフォレーシス
電極101と、イオントフォレーシス電極101を外部
の電源装置に接続するためのイオントフォレーシス電極
接続端子102と、バッキング106の内側に配置され
た親水性マトリックス基剤105とからなる。また、1
020は、保持膜109上に乾燥状態のインスリンリス
プロ1011と固定もしくは印刷されたエレクトロポレ
ーション電極104と、この保持膜周辺部を覆った絶縁
粘着層107と絶縁粘着層107で保護されたエレクト
ロポレーション電極の導線108と、この導線108と
つながるエレクトロポレーション電極端子103とから
なる。
プロ1011は保持膜109上に粉末で乾燥状態にあ
る。使用時、バッキング106、イオントフォレーシス
電極101、親水性マトリックス基剤105からなる部
分1010からライナー1012を引き抜き剥離後、イ
ンスリンリスプロ保持膜109を部分1010と合わせ
る。これにより保持膜109上のインスリンリスプロは
溶解し、部分1010とインスリンリスプロ保持膜10
9が一体になった製剤は投与できる形態となる。インス
リンリスプロはpHによっては溶解しにくいこともある
ので、溶解部に溶解補助剤を加えることができ、また乾
燥時のインスリンリスプロの結晶状態を変える等の対策
を講じてもよい。
ョン−イオントフォレーシス製剤の他の例を示す図であ
り、(a)は適用面の平面図、(b)は導電層の平面
図、(c)は多孔質膜部分断面図、(d)は全体断面図
である。本製剤は、多点接触型のエレクトロポレーショ
ン電極を有する点で図2〜図4の製剤の例と異なる。す
なわち本製剤では、多点接触型のエレクトロポレーショ
ン電極1202、1203が多孔質膜1201上に設置
され、点状に皮膚と接触する。電極は皮膚を介して通電
されるようにするために電極の周囲は誘電層1206で
覆われている。エレクトロポレーションの電圧を負荷す
るための電流は端子1204、1205を介して流れ
る。これら端子1204、1205も電極周囲と同様に
誘電体で覆われ漏電を防ぐ構造である。この多点接触型
のエレクトロポレーション電極を組み込んだ製剤124
0はエレクトロポレーション電極の他にイオントフォレ
ーシス電極1209を有する。イオントフォレーシス電
極1209はイオントフォレーシス電極端子1207を
介して外部の電源装置に接続される。本製剤では、イン
スリンリスプロは導電層1208に含有させることがで
きるが、多孔質膜1201に含有させてもよい。
に説明する。実施例1、比較例1、2では、インスリン
リスプロ約500ユニット/mLの溶液を用いた。この
調製方法を以下に示す。市販のヒューマログ(イーライ
リリー社製)を用い、遠心濾過、凍結乾燥により、イオ
ンを含む低分子の除去、濃縮を行いその後、0.2N水
酸化ナトリウム水溶液を用いて溶解、0.2N塩酸で中
和し、pH約7、濃度約500ユニット/mLのインス
リンリスプロ溶液を得た。比較例3で用いたヒトインス
リンの投与液は市販のヒューマリン(塩野義社製)を用
い、インスリンリスプロと同様の操作を行い、pH約
7、濃度約500ユニット/mLのヒトインスリン溶液
を得、これを用いた。実施例2、比較例4のインスリン
投与液はそれぞれ市販の100ユニット/mLのヒュー
マログ、100ユニット/mLのヒューマリンをそのま
ま用いた。また、比較例5〜7では各種インスリンを1
00ユニット/mLに調製し用いた。
レクトロポレーション−イオントフォレーシス製剤を示
す図であり、(a)は斜視図、(b)は断面図、(c)
は平面図である。本製剤は、図示のように、凹部を有す
るバッキング37と、バッキング37の凹部底面部に配
置されたイオントフォレーシス電極31と、イオントフ
ォレーシス電極31を外部の電源装置に接続するための
イオントフォレーシス電極接続端子34と、バッキング
37の内側に配置されたインスリンリスプロ水溶液層3
5と、インスリンリスプロ水溶液35上に配置された一
対のエレクトロポレーション電極32と、皮膚へ貼付し
及び不必要に皮膚と直接接しないように絶縁する粘着絶
縁層36と、インスリンリスプロ溶液の供給用のポート
33とを備える。
mmの円形断面を有する。高電圧負荷用のエレクトロポ
レーション電極32は銀箔を用いて作成し、電極間距離
10mmで設置した。インスリンリスプロを含む側の低
電圧を負荷するイオントフォレーシス電極31は銀箔を
電気分解して作成した銀/塩化銀電極を用いた。イオン
トフォレーシス電極31は、イオントフォレーシス電極
接続端子34を介してイオントフォレーシス電源装置と
接続される。本製剤を有するインスリン投与装置をSD
ラット腹部へ貼付し、その後ポート33からインスリン
リスプロ溶液(約500U/mL)を適用してインスリ
ンリスプロ水溶液層35とした。この時、イオントフォ
レーシス電極は溶液中にある。エレクトロポレーション
32を用いてパルス幅10ミリ秒で150ボルトを10
回負荷した後、イオントフォレーシス電極接続端子34
を介してイオントフォレーシス電極31をイオントフォ
レーシス電源装置と接続し、直流電流で0.31mAを
1時間負荷した。経時的に頸静脈より採血し、インスリ
ンリスプロ測定キット(インスリンリスプロリアキッ
ト:Lincoresearch社製)、グルコース測
定キット(グルコースCIIテストワコー:和光純薬社
製)を用いて、血中インスリンリスプロ濃度及びグルコ
ース濃度を測定した。
単位を100ユニット/mLとしたこと以外は、実施例
1と同様の実験を行った。
用いる例)図6に示した装置からエレクトロポレーショ
ン電極32を取り除いた装置を用い、インスリンリスプ
ロ溶液を投与し、イオントフォレーシス電極接続端子3
4を介してイオントフォレーシス電極31をイオントフ
ォレーシス電源装置と接続し、直流電流で0.31mA
を1時間負荷した。実施例1と同様に血中インスリンリ
スプロ濃度及びグルコース濃度を測定した。
を用いる例)図6に示した装置からイオントフォレーシ
ス電極31を取り除いた装置を用い、インスリンリスプ
ロ溶液を投与し、エレクトロポレーション電極32を用
いてパルス幅10ミリ秒で150ボルトを10回負荷し
た。実施例1と同様に血中インスリンリスプロ濃度及び
グルコース濃度を測定した。
インスリンリスプロの代わりに、ヒトインスリン投与液
(500ユニット/mL)を用いたこと以外は、実施例
1と同様の実験を行った。測定は、血中インスリン測定
用キット(IMXインスリン・ダイナパック:ダイナボ
ット社製)を用いて行った。また、グルコース濃度は実
施例1と同様グルコースCIIテストワコーを用いた。
例))インスリンリスプロの代わりに、ヒトインスリン
として、ヒューマリン(100ユニット/mL:塩野義
製薬社製)を用いたこと以外は、実施例1と同様の実験
を行った。測定は、血中インスリン測定用キット(IM
Xインスリン・ダイナパック:ダイナボット社製)を用
いて行った。また、グルコース濃度は実施例1と同様グ
ルコースCIIテストワコーを用いた。
インスリンリスプロの代わりに、ブタインスリン(10
0U/mL:シグマ社製)を用いたこと以外は、実施例
1と同様の実験を行った。血中のブタインスリン濃度の
測定は行わず、血中グルコース濃度のみを測定した。
インスリンリスプロの代わりに、ウシインスリン(10
0U/mL:シグマ社製)を用いたこと以外は、実施例
1と同様の実験を行った。血中のウシインスリン濃度の
測定は行わず、血中グルコース濃度のみを測定した。
いる例)インスリンリスプロの代わりに、アルギニン−
インスリン(100U/mL:シグマ社製)を用いたこ
と以外は、実施例1と同様の実験を行った。血中のイン
スリン濃度の測定は行わず、血中グルコース濃度のみを
測定した。
リンリスプロ濃度の比較を、図7のグラフに示す。実施
例1は本発明のイオントフォレーシスとエレクトロポレ
ーションを適用し、比較例1はイオントフォレーシスの
みを適用し、比較例2はエレクトロポレーションのみを
適用して、それぞれインスリンリスプロを投与したもの
である。図7から明らかなように、実施例1では最大で
1200マイクロユニット/mLのインスリンリスプロ
の血中濃度を示したが、比較例1、2ではいずれもイン
スリンリスプロはほとんど検出されなかった。
ースレベルの推移を、初期(投与前)の血糖値に対する
投与後の血糖値の割合として、図8のグラフに示す。実
施例1では、投与後120分で既に初期の9%迄低下
し、その後、低血糖のために死亡するラットが現れる
程、高いインスリンリスプロの吸収が見られた。これに
対し、比較例1、2では120分後で約80%までの低
下に過ぎなかった。すなわち、エレクトロポレーション
とイオントフォレーシスの組み合わせのみがインスリン
リスプロの高い吸収を得ることができることが示され
た。
を、図9のグラフに示す。図9は、エレクトロポレーシ
ョンとイオントフォレーシスを利用した場合における他
のインスリンの吸収を比較したものであり、実施例1
(インスリンリスプロをエレクトロポレーションとイオ
ントフォレーシスを用いて投与)と比較例3(ヒトイン
スリンをエレクトロポレーションとイオントフォレーシ
スを用いて投与)の血中インスリン濃度を示す。両者
は、インスリンの種類は違うが、投与量はいずれも約5
00ユニット/mLで同じである。先に示した結果と同
様に、実施例1では最大で1200μユニット/mLの
血中インスリン濃度を示したが、比較例3では100μ
ユニット/mL程度の血中インスリン濃度しか得られな
かった。
ルの推移を、初期(投与前)の血糖値に対する投与後の
血糖値の割合として示す図10のグラフに示す。図10
に示すように、薬効においても、インスリンリスプロで
は投与後120分で対初期値9%まで低下したのに対し
て、ヒトインスリンでは40%程度の低下に過ぎなかっ
た。すなわち、実施例1と比較例3の比較により、エレ
クトロポレーションとイオントフォレーシスを用いたと
しても、インスリンリスプロを用いなければ十分な吸収
が得られないことがわかる。
を、図11のグラフに示す。すなわち、図11は、イン
スリンリスプロ、ヒトインスリンとも投与液の濃度を1
00ユニット/mLとし、エレクトロポレーションとイ
オントフォレーシスを用いてインスリンを投与した場合
の血中濃度を示すものである。実施例2では、実施例1
に比べて投与濃度を1/5としても、最大血中濃度が約
700マイクロユニット/mLを示し、比較例4に比べ
て極めて高い吸収を得ることができた。
ルコースレベルの推移を、初期(投与前)の血糖値に対
する投与後の血糖値の割合として、図12のグラフに示
す。すなわち、図12は、他のインスリン(アルギニン
−インスリン、ブタインスリン、ウシインスリン)をエ
レクトロポレーションとイオントフォレーシスを用い
て、実施例2や比較例4と同様100ユニット/mLで
投与したときの血中グルコースの経時的変化を示すもの
である。図11から明らかなようにインスリンリスプロ
を用いた時だけがグルコース濃度が対初期値に対し20
%まで降下し、他のインスリンを用いた時はいずれも6
5%までの降下に過ぎなかった。
時間負荷するエレクトロポレーションと低電場を長時間
負荷するイオントフォレーシスを併用して、インスリン
リスプロを投与したときのみが非常に高い吸収を得るこ
とができ、高い薬効も確認された。イオントフォレーシ
スまたはエレクトロポレーションのどちらか一方では効
果が無く、また両方を併用してもインスリンリスプロ以
外のインスリンでは吸収が十分でなかった。すなわち、
本発明は、エレクトロポレーションおよびイオントフォ
レーシスとインスリンリスプロの組み合わせが、インス
リンの経皮または経粘膜投与において著しく高い吸収性
を得られることができることを見いだしてなされたもの
である。
フォレーシス製剤に用いられるの処方例を次の実施例3
〜実施例7に示す。これらの処方により調製した組成物
を、上述のエレクトロポレーション−イオントフォレー
シス製剤に添加し、投与製剤として用いることができ
る。
皮または経粘膜投与を可能にするインスリン投与装置を
得ることができる。
一例を示す図である。
トフォレーシス製剤の一例を示す図であり、(a)は断
面図、(b)は平面図である。
トフォレーシス製剤の他の例を示す図であり、(a)は
断面図、(b)は平面図である。
トフォレーシス製剤の他の例を示す図であり、(a)は
断面図、(b)は平面図である。
トフォレーシス製剤の他の例を示す図であり、(a)は
適用面の平面図、(b)は導電層の平面図、(c)は多
孔質膜部分断面図、(d)は全体断面図である。
オントフォレーシス製剤を示す図であり、(a)は斜視
図、(b)は断面図、(c)は平面図である。
プロ濃度を示すグラフである。
ルの推移を初期(投与前)の血糖値に対する投与後の血
糖値の割合として示すグラフである。
すグラフである。
の推移を初期(投与前)の血糖値に対する投与後の血糖
値の割合として示すグラフである。
示すグラフである。
コースレベルの推移を初期(投与前)の血糖値に対する
投与後の血糖値の割合として示すグラフである。
ス電源装置 112 イオントフォレーシス接続口 113 エレクトロポレーション接続口 114 イオントフォレーシスリファレンス製剤 115 エレクトロポレーション−イオントフォレーシ
ス製剤 116 皮膚
Claims (20)
- 【請求項1】 下記構造式 【化1】 で示されるインスリンリスプロまたはその薬学的に許容
され得る塩(以下、「インスリンリスプロ類」という)
を、少なくとも2つの異なる電場適用手段を用いて、経
皮または経粘膜投与することを特徴とするインスリン投
与装置。 - 【請求項2】 2つの異なる電場適用手段が、イオント
フォレーシスとエレクトロポレーションであることを特
徴とする請求項1記載のインスリン投与装置。 - 【請求項3】 イオントフォレーシスの適用電流が、
0.01〜1.0mA/cm2であることを特徴とする
請求項2記載のインスリン投与装置。 - 【請求項4】 エレクトロポレーションの適用電圧が、
1V/cm〜10kV/cmであることを特徴とする請
求項2または3記載のインスリン投与装置。 - 【請求項5】 インスリンリスプロ類が、親水性マトリ
ックスに溶解、懸濁または分散されていることを特徴と
する請求項1〜4のいずれかに記載のインスリン投与装
置。 - 【請求項6】 親水性マトリックスが、寒天、ローカス
トギンガム、キサンタンガム、ポリビニルアルコール類
およびその誘導体並びにポリアクリル酸およびその塩類
からなる群から選択される1またはそれ以上を含むこと
を特徴とする請求項5の記載のインスリン投与装置。 - 【請求項7】 インスリンリスプロ類の放出制御膜を備
えたことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の
インスリン投与装置。 - 【請求項8】 放出制御膜上にエレクトロポレーション
用の少なくとも1対の電極を有することを特徴とする請
求項7記載のインスリン投与装置。 - 【請求項9】 放出制御膜が、多孔質膜により形成され
ていることを特徴とする請求項7または8記載のインス
リン投与装置。 - 【請求項10】 インスリンリスプロ類が膜上に保持さ
れていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記
載のインスリン投与装置。 - 【請求項11】 インスリンリスプロ類が、膜上に乾燥
状態で保持され、使用時その一部または全てを溶解させ
て使用することを特徴とする請求項10記載のインスリ
ン投与装置。 - 【請求項12】 エレクトロポレーション用電極の少な
くとも1つの電極が、皮膚または粘膜に直接またはその
近傍に設置されることを特徴とする請求項2〜11のい
ずれかに記載のインスリン投与装置。 - 【請求項13】 インスリンリスプロ類含むエレクトロ
ポレーション−イオントフォレーシス製剤と、イオント
フォレーシスの対電極となるリファレンス製剤と、両製
剤にそれぞれ接続された電源装置とを備えたことを特徴
とするインスリン投与装置。 - 【請求項14】 電源装置がイオントフォレーシス用の
接続口とエレクトロポレーション用の接続口とを有する
ことを特徴とする請求項13記載のインスリン投与装
置。 - 【請求項15】 バッキングと、バッキングに配置され
たイオントフォレーシス電極と、イオントフォレーシス
電極上に配置され、インスリンリスプロ類を含むインス
リンリスプロ含有層と、インスリンリスプロ含有層上に
配置され異なる極の電極を有するエレクトロポレーショ
ン電極とを備えたことを特徴とするエレクトロポレーシ
ョン−イオントフォレーシス製剤。 - 【請求項16】 インスリンリスプロ含有層とエレクト
ロポレーション電極との間に、インスリンリスプロ類の
放出を制御する放出制御膜を備えたことを特徴とする請
求項15記載のエレクトロポレーション−イオントフォ
レーシス製剤。 - 【請求項17】 放出制御膜が、孔径として0.01〜
10μmを有する多孔質膜であることを特徴とする請求
項16記載のエレクトロポレーション−イオントフォレ
ーシス製剤。 - 【請求項18】 バッキングと、バッキングに配置され
たイオントフォレーシス電極と、イオントフォレーシス
電極上に配置された親水性マトリックス基剤と、親水性
マトリックス基剤上に配置されたライナーと、ライナー
上に配置され、インスリンリスプロ類を保持する保持膜
と、保持膜上に配置され異なる極の電極を有するエレク
トロポレーション電極とを備えたことを特徴とするエレ
クトロポレーション−イオントフォレーシス製剤。 - 【請求項19】 インスリンリスプロ類が、保持膜に乾
燥状態で保持されることを特徴とする請求項18記載の
エレクトロポレーション−イオントフォレーシス製剤。 - 【請求項20】 エレクトロポレーション電極が、多点
接触型に形成されていることを特徴とする請求項15〜
19のいずれかに記載のエレクトロポレーション−イオ
ントフォレーシス製剤。
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