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JP2003282637A - 回路接続用接着剤組成物及びそれを用いた回路接続構造体 - Google Patents

回路接続用接着剤組成物及びそれを用いた回路接続構造体

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Publication number
JP2003282637A
JP2003282637A JP2002088773A JP2002088773A JP2003282637A JP 2003282637 A JP2003282637 A JP 2003282637A JP 2002088773 A JP2002088773 A JP 2002088773A JP 2002088773 A JP2002088773 A JP 2002088773A JP 2003282637 A JP2003282637 A JP 2003282637A
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circuit
circuit connection
adhesive composition
group
meth
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JP2002088773A
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Yuko Mochida
祐子 持田
Minoru Sugiura
実 杉浦
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Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 無機材質を含む複合基材への低温短時間接続
が可能で、信頼性試験後も良好な性能を示す回路接続用
接着剤組成物及びそれを用いた回路接続構造体(半導体
装置)を提供する。 【解決手段】 (a)ラジカル重合性化合物、(b)光照
射または加熱によりラジカルを発生する硬化剤、(c)一
般式(I)で表されるシランカップリング剤を含有する
回路接続用接着剤組成物。 【化1】 (式中、Xは窒素原子を含有する有機基、R,R
はアルキル基、n、m、lはそれぞれ1〜3の整数
である)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、回路接続用接着剤
組成物及びそれを用いた回路接続構造体(半導体装置)
に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体素子及び液晶表示素子において、
素子中の種々の部材を結合させる目的で従来から種々の
接着剤が使用されている。接着剤に対する要求は、接着
性をはじめとして、耐熱性、高温高湿状態における信頼
性等多岐に渡る特性が要求されている。また、接着に使
用される被着体は、プリント配線板やポリイミド等の有
機基材をはじめ、銅、アルミニウム等の金属やITO、
SiNx、SiO等の多種多様な表面状態を有する基
材が用いられ、各被着体にあわせた分子設計が必要であ
る。従来から、前記半導体素子や液晶表示素子用の接着
剤としては、高接着性でかつ高信頼性を示すエポキシ樹
脂を用いた熱硬化性樹脂が用いられてきた。樹脂の構成
成分としては、エポキシ樹脂、エポキシ樹脂と反応性を
有するフェノール樹脂等の硬化剤、エポキシ樹脂と硬化
剤の反応を促進する熱潜在性触媒が一般に用いられてい
る。熱潜在性触媒は硬化温度及び硬化速度を決定する重
要な因子となっており、室温での貯蔵安定性と加熱時の
硬化速度の観点から種々の化合物が用いられてきた。実
際の工程での硬化条件は、170〜250℃の温度で1
〜3時間硬化することにより、所望の接着を得ていた。
しかしながら、最近の半導体素子の高集積化、液晶素子
の高精細化に伴い、素子間及び配線間ピッチが狭小化
し、硬化時の加熱によって、周辺部材に悪影響を及ぼす
恐れが出てきた。さらに低コスト化のためには、スルー
プットを向上させる必要性があり、低温(100〜17
0℃)、短時間(1時間以内、好ましくは10秒以内)、
換言すれば低温速硬化での接着が要求されている。この
低温速硬化を達成するためには、活性化エネルギーの低
い熱潜在性触媒を使用する必要があるが、室温付近での
貯蔵安定性を兼備することが非常に難しいことが知られ
ている。最近、(メタ)アクリレート誘導体とラジカル開
始剤である過酸化物を併用した、ラジカル硬化型接着剤
が注目されている。ラジカル硬化は、反応活性種である
ラジカルが非常に反応性に富むため、短時間硬化が可能
であり、かつラジカル開始剤の分解温度以下では、安定
に存在することから、低温速硬化と室温付近での貯蔵安
定性を両立した硬化系である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ラジカ
ル硬化系の接着剤は、硬化時の硬化収縮が大きいため
に、エポキシ樹脂を用いた場合と比較して、接着強度に
劣り、特に無機材質や金属材質の基材に対する接着強度
が低下することが分かっている。
【0004】本発明は、ラジカル硬化系でありながら、
分子内に窒素原子を含有する有機基を有するシランカッ
プリング剤により、特に無機材質で構成される基材への
高い接着強度を示す回路接続用接着剤組成物及びそれを
用いた回路接続構造体(半導体装置)を提供するもので
ある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、〔1〕(a)ラ
ジカル重合性化合物、(b)光照射または加熱によりラ
ジカルを発生する硬化剤、(c)一般式(I)で表される
シランカップリング剤を含有することを特徴とする回路
接続用接着剤組成物である。
【化2】 (式中、Xは窒素原子を含有する有機基、R,R
はアルキル基、n、m、lは、それぞれ1〜3の整
数である) また、本発明は、〔2〕接着剤組成物100体積部に対
して、導電粒子0.1〜30体積%を含有してなる上記
〔1〕に記載の回路接続用接着剤組成物である。また、
本発明は、〔3〕相対向する回路電極を有する基板間に
上記〔1〕または〔2〕に記載の回路接続用接着剤組成
物を介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧
して加圧方向の電極間を電気的に接続した回路接続構造
体である。さらに、本発明は、〔4〕相対向する半導体
素子の回路電極と半導体搭載用基板の回路電極間に上記
〔1〕または〔2〕のいずれかに記載の回路接続用接着
剤組成物を介在させ、相対向する回路電極を加圧して加
圧方向の電極間を電気的に接続した回路接続構造体(半
導体装置)である。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において用いる(a)ラジ
カル重合性化合物としては、活性ラジカルによって重合
する官能基を有する化合物であれば、特に制限無く公知
のものを使用することができる。このような官能基とし
ては例えば、分子内にアクリロイル基、メタクリロイル
基、アリル基、マレイミド基、ビニル基等が挙げられる
が、選択の容易さからアクリロイル基およびメタクリロ
イル基(以下、両者を総称して(メタ)アクリロイルと呼
ぶ)を分子内に一つ以上有する樹脂が好ましく、さら
に、分子内に(メタ)アクリロイル基を二つ以上有する
樹脂が、硬化によって高硬化密度が得られるため、より
好ましい。
【0007】具体的には、エポキシ(メタ)アクリレー
トオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマ
ー、ポリエーテル(メタ)アクリレートオリゴマー、ポ
リエステル(メタ)アクリレートオリゴマー等のオリゴ
マー、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレー
ト、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、
ポリアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペ
ンタエリスリトール(メタ)アクリレート、2−シアノ
エチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)
アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレー
ト、ジシクロペンテニロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、2−(2−エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリ
レート、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート、2−
エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル
(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)
アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、イソボルニル(メタ)アクリレート、イソデシル
(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレ
ート、n−ラウリル(メタ)アクリレート、2−メトキシ
エチル(メタ)アクリレート、2−フェノキシエチル
(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリール(メ
タ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)
アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)
アクリレート、イソシアヌル酸変性2官能(メタ)アク
リレート、イソシアヌル酸変性3官能(メタ)アクリレ
ート、2−(メタ)アクリロイロキシエチルホスフェー
ト、2,2'−ジ(メタ)アクリロイロキシジエチルホス
フェート等の単官能および多官能(メタ)アクリレート
化合物が挙げられる。これらの化合物は、必要に応じて
単独あるいは混合して用いてもよい。
【0008】本発明において用いる(b)光照射または
加熱によってラジカルを発生する硬化剤としては、α−
アセトアミノフェノン誘導体や過酸化物、アゾ化合物
等、特に制限無く公知のものを使用することができる。
これらの化合物としては、特に硬化温度の設計の容易さ
等の点から、過酸化物がより好ましい。使用可能な過酸
化物としては、過酸化物の分解の尺度を示す1分間半減
期温度の参照が簡便であり、1分間半減期温度が、40
℃以上かつ200℃以下が好ましく、その中でも1分間
の半減期温度が60℃以上かつ170℃以下がより好ま
しい。具体的には、ジアシルパーオキサイド誘導体、パ
ーオキシジカーボネート誘導体、パーオキシエステル誘
導体、パーオキシケタール誘導体、ジアルキルパーオキ
サイド誘導体、ハイドロパーオキサイド誘導体が挙げら
れる。
【0009】ジアシルパーオキサイド誘導体としては、
2,4−ジクロロベンゾイルパーオキサイド、3,5,5−トリ
メチルヘキサノイルパーオキサイド、オクタノイルパー
オキサイド、ラウロイルパーオキサイド、ステアロイル
パーオキサイド、スクシニックパーオキサイド、ベンゾ
イルパーオキシトルエン、ベンゾイルパーオキサイド等
が挙げられる。
【0010】パーオキシジカーボネート誘導体として
は、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジイ
ソプロピルパーオキシジカーボネート、ビス(4−t−
ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジ
−2−エトキシメトキシパーオキシジカーボネート、ジ
(2−エチルヘキシルパーオキシ)ジカーボネート、ジ
メトキシブチルパーオキシジカーボネート、ジ(3−メ
チル−3−メトキシブチルパーオキシ)ジカーボネート
等が挙げられる。
【0011】パーオキシエステル誘導体としては、1,1,
3,3−テトラメチルブチルパーオキシネオデカノエー
ト、1−シクロヘキシル−1−メチルエチルパーオキシ
ノエデカノエート、t−ヘキシルパーオキシネオデカノ
エート、t−ブチルパーオキシピバレート、1,1,3,3−
テトラメチルブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノネ
ート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(2−エチルヘキサノ
イルパーオキシ)ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス
(2−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、1−シクロヘキ
シル−1−メチルエチルパーオキシ−2−エチルヘキサ
ノネート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノ
ネート、t−ブチルパーオキシイソブチレート、1,1−ビ
ス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、t−ヘキシ
ルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチ
ルパーオキシ−3,5,5−トリメチルヘキサノネート、t−
ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ジ
(m−トルオイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパー
オキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパー
オキシ−2−エチルヘキシルモノカーボネート、t−ヘキ
シルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシア
セテート等が挙げられる。
【0012】パーオキシケタール誘導体としては、1,1
−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチル
シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)
−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−(t−ブチ
ルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(4,4−ジ−
t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−
ビス(t−ブチルパーオキシ)デカン等が挙げられる。
【0013】ジアルキルパーオキサイド誘導体として
は、α,α'ビス(t−ブチルパーオキシ)ジイソプロピ
ルベンゼン、ジクミルパーオキサイド、2,5−ジメチル
−2,5−ジ(t−ブチルオキシ)ヘキサン、t−ブチルク
ミルパーオキサイド等が挙げられる。
【0014】ハイドロパーオキサイド類としては、ジイ
ソプロピルベンゼンハイドロパーオキサイド、クメンハ
イドロパーオキサイド等が挙げられる。これらの化合物
は、単独で用いる他に、2種以上の化合物を混合して用
いても良い。
【0015】(b)光照射または加熱によりラジカルを
発生する硬化剤の添加量は、(a)ラジカル重合性化合
物100重量部に対して、0.1〜30重量部であり、
好ましくは0.5〜20重量、さらに好ましくは1〜1
5重量部である。添加量が0.1重量部未満の場合、硬
化不足が懸念され、また、30重量部を超える場合に
は、放置安定性が低下する恐れがある。
【0016】本発明に用いる(c)一般式(I)で表さ
れるシランカップリング剤のアルキル基として、炭素数
1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチ
ル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル
基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、
ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシ
ル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、
ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシ
ル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル
基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、これ
らの構造異性体等が挙げられる。(c)一般式(I)で
表される分子内に窒素原子を含有する有機基を有するシ
ランカップリング剤としては、γ−イソシアネートプロ
ピルトリメトキシシラン、γ−イソシアネートプロピル
トリエトキシシラン、1,3,5−N−トリス(3−トリメト
キシシリルプロピル)イソシアヌレート、3−トリエト
キシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリデン)、γ−フ
ェニルアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(β―
アミノエチル)―γ―アミノプロピルトリメトキシシラ
ン、γ―アミノプロピルトリメトキシシラン、γ―アミ
ノプロピルトリエトキシシラン、ウレイドプロピルトリ
エトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)
アミン、3−アミノプロピルジメチルエトキシシラン、3
−アミノプロピルジエトキシメチルシラン、3−(2−ア
ミノエチルアミノプロピル)ジメトキシメチルシラン、
3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシ
ラン、3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリエト
キシシラン、3−モルフォリノプロピルトリメトキシシ
ラン、ジメトキシメチル−3−ピペラジンプロピルシラ
ン、3−ピペラジノプロピルトリメトキシシラン、3−ピ
ペラジノプロピルトリメトキシシラン、ジメトキシメチ
ル−3−ピペリジノプロピルシラン、3−ピペラジノプ
ロピルトリメトキシシラン、3−シクロヘキシルアミノ
プロピルトリメトキシシラン、イミダゾール基を有機基
とするシランカップリング剤から選ばれるシランカップ
リング剤が挙げられる。これらの化合物は単独で用いる
他に、2種以上の化合物を混合して用いても良い。
【0017】また、本発明では、(c)分子内に窒素原
子を含有する有機基を有するシランカップリング剤と、
分子内に窒素原子を含有しないシランカップリング剤を
混合して用いることもできる。分子内に窒素原子を含有
しないシランカップリング剤としては、エポキシ系シラ
ンカップリング剤、ビニル系シランカップリング剤、ア
クリル系シランカップリング剤、メタクリル系シランカ
ップリング剤、メルカプト系シランカップリング剤、ス
チリル系シランカップリング剤、スルフィド系シランカ
ップリング剤が挙げられる。
【0018】シランカップリング剤の添加量は、(a)
ラジカル重合性化合物を含有する接着剤組成物100重
量部に対して、0.1〜30重量部であり、好ましくは
0.5〜25重量部、さらに好ましくは1〜15重量部
である。添加量が0.1重量部未満の場合、高接着強度
が得られにくく、また、30重量部を超える場合には、
接着剤組成物の安定性が低下する。
【0019】本発明に用いる導電粒子としては、Au、
Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が
挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プ
ラスチック等を核とし、この核に前記金属、金属粒子や
カーボンを被覆したものでもよい。導電粒子が、プラス
チックを核とし、この核に前記金属、金属粒子やカーボ
ンを被覆したものや熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧に
より変形性を有するので接続時に回路電極の高さばらつ
きを解消し、電極との接触面積が増加し信頼性が向上す
るので好ましい。またこれらの導電粒子の表面を、さら
に高分子樹脂などで被覆した微粒子は、導電性粒子の配
合量を増加した場合の粒子同士の接触による短絡を抑制
し、電極回路間の絶縁性が向上できることから、適宜こ
れを単独あるいは導電粒子と混合して用いてもよい。
【0020】この導電粒子の平均粒径は、分散性、導電
性の点から1〜18μmであることが好ましい。導電粒
子の使用量は、特に制限は受けないが、接着剤組成物ト
ータル100体積に対して0.1〜30体積%とするこ
とが好ましく、0.1〜10体積%とすることがより好
ましい。この値が、0.1体積%未満であると導電性が
劣る傾向があり、30体積%を超えると回路の短絡が起
こる傾向がある。なお、体積%は23℃の硬化前の各成
分の体積をもとに決定されるが、各成分の体積は、比重
を利用して重量から体積に換算することができる。ま
た、メスシリンダー等にその成分を溶解したり膨潤させ
たりせず、その成分をよくぬらす適当な溶媒(水、アル
コール等)を入れたものに、その成分を投入し増加した
体積をその体積として求めることもできる。
【0021】本発明の接着剤組成物には、カップリング
剤以外の密着性向上剤、増粘剤やレベリング剤、着色
剤、耐候性向上剤、などの添加剤を適宜添加してもよ
い。
【0022】本発明の接着剤組成物は、増粘化やフィル
ム化を目的として、種々のポリマを適宜添加してもよ
い。使用するポリマは特に制限を受けないが、(a)ラ
ジカル重合性化合物、(b)光照射または加熱によりラ
ジカルを発生する硬化剤、(c)分子内に窒素原子を含
有する有機基を有するシランカップリング剤及び導電粒
子に悪影響を及ぼさないことが必須である。このような
ポリマとしては、ポリイミド、ポリアミド、フェノキシ
樹脂類、ポリメタクリレート類、ポリアクリレート類、
ポリイミド類、ポリウレタン類、ポリエステル類、ポリ
ビニルブチラール類、SBS及びそのエポキシ変性体、
SEBS及びその変性体などを用いることができる。こ
れらは単独あるいは2種類以上を混合して用いることが
できる。さらに、これらポリマ中にはシロキサン結合や
フッ素置換基が含まれていても良い。これらは、混合す
る樹脂同士が完全に相溶するか、もしくはミクロ相分離
が生じて白濁する状態であれば接着剤組成物としては好
適に用いることができる。上記ポリマの分子量は大きい
ほどフィルム形成性が容易に得られ、また接着剤として
の流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。分
子量は特に制限を受けるものではないが、一般的な重量
平均分子量としては5,000〜150,000が好ま
しく、10,000〜80,000が特に好ましい。こ
の値が、5,000未満ではフィルム形成性が劣る傾向
があり、また150,000を超えると他の成分との相
溶性が悪くなる傾向がある。使用量としては(a)ラジ
カル重合性化合物100重量部に対して20〜320重
量部とすることが好ましい。この使用量が、20重量部
未満又は320重量部を超える場合は、流動性や接着性
が低下する傾向がある。
【0023】本発明の接着剤組成物は、室温(15〜2
5℃)で液状である場合にはペースト状で使用すること
ができる。室温で固体の場合には、加熱して使用する
他、溶剤を使用してペースト化してもよい。使用できる
溶剤としては、接着剤組成物及び添加剤と反応性がな
く、かつ十分な溶解性を示すものであれば、特に制限は
受けないが、常圧での沸点が50〜150℃であるもの
が好ましい。沸点が50℃未満の場合、室温で放置する
と揮発する恐れがあり、開放系での使用が制限される。
また、沸点が150℃を超えると、溶剤を揮発させるこ
とが難しく、接着後の信頼性に悪影響を及ぼす恐れがあ
る。
【0024】本発明の接着剤組成物はフィルム状にして
用いることもできる。接着剤組成物に必要により溶剤等
を加えるなどした溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエ
チレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材
上に塗布し、あるいは不織布等の基材に前記溶液を含浸
させて剥離性基材上に載置し、溶剤等を除去してフィル
ムとして使用することができる。フィルムの形状で使用
すると取扱性等の点から一層便利である。
【0025】本発明の接着剤組成物は光照射、加熱、ま
たは光照射と同時に加熱及び加圧を併用して接着させる
ことができる。これらを併用することにより、より低温
短時間での接着が可能となる。光照射は、150〜75
0nmの波長域の照射光が好ましく、低圧水銀灯、中圧水
銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ、メ
タルハライドランプを使用して0.1〜10J/cm2の照
射量で硬化することができる。加熱温度は、特に制限は
受けないが、50〜170℃の温度が好ましい。圧力
は、被着体に損傷を与えない範囲であれば、特に制限は
受けないが、一般的には0.1〜10MPaが好まし
い。これらの加熱及び加圧は、0.5秒〜3時間の範囲
で行うことが好ましい。
【0026】本発明の接着剤組成物は、熱膨張係数の異
なる異種の被着体の接着剤として使用することができ
る。具体的には、異方導電接着剤、銀ペースト、銀フィ
ルム等に代表される回路接続材料、CSP用エラストマ
ー、CSP用アンダーフィル材、LOCテープ等に代表
される半導体素子接着材料として使用することができ
る。
【0027】以下に、本発明の接着剤組成物及び導電粒
子を使用して作製した異方導電フィルムと電極の接続の
一例について説明する。異方導電フィルムを、基板上の
相対時する電極間に存在させ、加熱加圧することにより
両電極の接触と基板間の接着を得、電極との接続を行え
る。電極を形成する基板としては、半導体、ガラス、セ
ラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等
の有機物、ガラス/エポキシ等の複合物の各組み合わせ
が適用できる。また、本発明の回路接続用接着剤組成物
は、ICチップと半導体搭載用基板との接着や電気回路
相互の接着用のフィルム状接着剤として使用することも
できる。すなわち、第一の回路電極を有する第一の回路
部材と、第二の回路電極を有する第二の回路部材とを第
一の回路電極と第二の回路電極を対向して配置し、前記
対向配置した第一の回路電極と第二の回路電極の間に本
発明の回路接続用接着剤組成物(フィルム状接着剤)を
介在させ、加熱加圧して前記対向配置した第一の回路電
極と第二の回路電極を電気的に接続させることができ
る。このような回路部材としては半導体チップ、抵抗体
チップ、コンデンサチップ等のチップ部品、プリント基
板等の基板等が用いられる。これらの回路部材には接続
端子が通常は多数(場合によっては単数でもよい)設け
られており、前記回路部材の少なくとも1組をそれらの
回路部材に設けられた回路電極の少なくとも一部を対向
配置し、対向配置した回路電極間に接着剤を介在させ、
加熱加圧して対向配置した接続端子同士を電気的に接続
して回路接続構造体とする。回路電極の少なくとも1組
を加熱加圧することにより、対向配置した回路電極同士
は、直接接触により又は回路接続用接着剤中の導電粒子
を介して電気的に接続することができる。
【0028】
【実施例】以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に
説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0029】(実施例1〜3、比較例1〜2)フェノキ
シ樹脂(PKHC、ユニオンカーバイド社製商品名、平
均分子量45,000)40gを、メチルエチルケトン
60gに溶解して、固形分40重量%の溶液とした。ラ
ジカル重合性化合物として、イソシアヌル酸EO(エチ
レンオキサイド)変性(M-315、東亜合成株式会社
製商品名)、硬化剤として、1,1−ビス(t−ヘキシ
ルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサ
ン(パーヘキサTMH、日本油脂株式会社製商品名)、
有機基に窒素原子を含有するシランカップリング剤とし
て3−エトキシシリル−N−(1,3−ジメチルブチリ
デン)(X12−817H、信越化学工業株式会社製商
品名)、イソシアヌレートシラン(Y11597、日本
ユニカー株式会社商品名)及びイソシアネートシラン
(Y5187、日本ユニカー株式会社商品名)、有機基
に窒素原子を含有しないシランカップリング剤としてγ
−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(SZ6
030,東レダウコーニング株式会社商品名)を用い
た。またポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み
0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側
に、厚み0.02μmの金層を設け、平均粒径5μm、
比重2.5の導電粒子を作製した。固形重量比で表1に
示すように配合し、さらに導電粒子を1.5体積%配合
分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装
置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によって
接着剤層の厚みが20μmのフィルム状接着剤を得た。
【0030】
【表1】
【0031】〔接着強度の測定〕上記製法によって得た
フィルム状接着剤を用いて、ライン幅50μm、ピッチ
100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフ
レキシブル回路板(FPC)と、0.2μmの酸化イン
ジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(厚み1.1
mm、表面抵抗20Ω/□)とを、熱圧着装置(加熱方
式:コンスタントヒート型、東レエンジニアリング株式
会社製)を用いて170℃、3MPaで20秒間の加熱
加圧を行って幅2mmにわたり接続し、回路接続構造体
を作製した。この接続体の接着直後と、85℃、85%
RH高温高湿槽に100h放置した後の接着強度を、J
IS−Z0237に準じて90度剥離法で測定し、評価
した。ここで、接着強度の測定装置は東洋ボールドウィ
ン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm
/min、25℃)を使用した。
【0032】また、同様にして、上記製法によって得た
フィルム状接着剤を用いて、ライン幅50μm、ピッチ
100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフ
レキシブル回路板(FPC)と、0.5μmの窒化シリ
コン(SiNx)の薄層を形成したガラス(厚み0.7
mm)とを、熱圧着装置(加熱方式:コンスタントヒー
ト型、東レエンジニアリング株式会社製)を用いて17
0℃、3MPaで20秒間の加熱加圧を行って幅2mm
にわたり接続し、接続体を作製した。この接続体の接着
直後と、85℃、85%RH高温高湿槽に100h放置
した後の接着強度を、JIS−Z0237に準じて90
度剥離法で測定し、評価した。以上のようにして行った
測定の結果を表2に示した。
【0033】
【表2】
【0034】実施例1〜3で得られた接着剤組成物は、
接着直後の接着強度がすぐれていることが分かる。実施
例3では特に、接着直後及び85℃、85%RHの高温
高湿槽中に100時間保持した後で、良好な接着強度を
示し、高い耐久性を合わせ持つことが分かる。これらに
対して、本発明の分子内に窒素原子を含有しないシラン
カップリング剤を使用した比較例1では、SiNxに対
する接着直後の接着強度が低いため、満足な接続体は得
られなかった。またシランカップリング剤を使用しなか
った比較例2では、SiNxに対する接着強度がかなり
低いため、十分な接続体は得られなかった。本発明の回
路接続用接着剤組成物は、特に被着体が窒化シリコンで
有る場合に対しての接着力に優れる。
【0035】(実施例4、比較例3)パンプ面積50μ
m×50μm、ピッチ100μm、高さ20μmの金バ
ンプを配置したICチップと厚み1.1mmのガラス上
にインジュウム−錫酸化物(ITO)を蒸着により形成
したITO基板(表面低抗<20Ω/□)とを、上記接
着剤組成物(実施例1のフィルム状接着剤を用いたもの
を実施例4、比較例2のフィルム状接着剤を用いたもの
を比較例3とした)を用い、石英ガラスと加圧ヘッドで
挟み、180℃、100MPa(金バンプ面積換算)で
5秒間加熱、加圧して接続し回路接続構造体を得た。こ
のとき、フィルム状接着剤組成物はあらかじめITO基
板上に、接着剤組成物の接着面を70℃、0.5MPa
で5秒間加熱加圧して貼り付け、その後、フッ素樹脂フ
ィルムを剥離してICチップと接続した。この接続体の
接着直後と、85℃、85%RH高温高湿槽に100h
放置した後のせん断接着強度をボンドテスタ(Dyge社
製)を用いて測定し、その結果を表3に示した。
【表3】 実施例4は、接続直後や85℃、85%RHの高温高湿
槽に100h放置した後のせん断接着強度が高く、接続
信頼性に優れる。また、接続抵抗を測定したところ1Ω
以下と小さく良好であった。これに対しカップリング剤
を使用しない比較例3は接着強度が著しく劣る。
【0036】
【発明の効果】本発明によれば、SiNxのような無機
材質を含む複合基材への低温短時間接続が可能で、かつ
高温高湿条件での信頼性試験後も良好な性能を示す回路
接続用接着剤組成物を提供することができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01B 1/20 H01B 1/20 D H01R 4/04 H01R 4/04 12/06 9/09 C Fターム(参考) 4J040 EC231 ED111 EE001 EE051 EF181 EK072 FA141 FA151 FA211 HA026 HA066 HB41 HC07 HC14 HD36 KA03 KA12 KA13 KA32 LA06 LA09 MA01 NA19 NA20 5E077 BB28 BB31 BB37 BB38 CC01 DD04 JJ10 5E085 BB08 BB17 BB28 CC08 CC09 DD05 EE34 FF19 GG33 JJ36 5F044 KK02 LL09 5G301 DA05 DA10 DA28 DA29 DD03

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (a)ラジカル重合性化合物、(b)光照
    射または加熱によりラジカルを発生する硬化剤、(c)一
    般式(I)で表されるシランカップリング剤を含有する
    ことを特徴とする回路接続用接着剤組成物。 【化1】 (式中、Xは窒素原子を含有する有機基、R,R
    はアルキル基、n、m、lはそれぞれ1〜3の整数
    である)
  2. 【請求項2】 接着剤組成物100体積部に対して、さ
    らに導電粒子0.1〜30体積%を含有してなる請求項
    1に記載の回路接続用接着剤組成物。
  3. 【請求項3】 相対向する回路電極を有する基板間に、
    請求項1または請求項2に記載の回路接続用接着剤組成
    物を介在させ、相対向する回路電極を有する基板を加圧
    して加圧方向の電極間を電気的に接続した回路接続構造
    体。
  4. 【請求項4】 相対向する半導体素子の回路電極と半導
    体搭載用基板の回路電極間に請求項1または請求項2に
    記載の回路接続用接着剤組成物を介在させ、相対向する
    回路電極を加圧して加圧方向の電極間を電気的に接続し
    た回路接続構造体。
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