JP2003105428A - 羽口の先端に付着した地金の除去方法及び溶融金属の測温方法 - Google Patents
羽口の先端に付着した地金の除去方法及び溶融金属の測温方法Info
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Abstract
パージガスを吹き込むのに用いる2重管又は3重管構造
の羽口の先端に付着した地金を溶流、除去する方法を提
供する。 【解決手段】 精錬炉内の溶湯に浸漬する2重管または
3重管構造の羽口の先端に付着した地金を除去する方法
において、稼働中の精錬炉を空炉状態にして、2重管構
造の羽口の場合、外管と内管の空隙の流路には、炭化水
素系の気体、液体燃料、または可燃性ガスを単独で、又
は2種以上を混合して流し、該羽口の内管には、酸素ガ
スを燃焼可能な濃度範囲に調整した含酸素ガスを流し、
3重管構造の羽口の場合、最外管と中管の空隙の流路に
は、炭化水素系の気体、液体燃料、または可燃性ガスを
単独で、又は2種以上を混合して流し、該羽口の最内管
と中管の空隙の流路には、酸素ガスを燃焼可能な濃度範
囲に調整した含酸素ガスを流すことにより、羽口の先端
に付着した地金を溶流、除去する。
Description
解炉、溶融還元炉、RH炉、AOD炉、DH炉、RED
A炉等の溶銑・溶鋼を製造又は精錬する炉において、溶
湯中にガスを吹き込むために用いる2重管又は3重管構
造の羽口の操業及び溶湯の測温に関するものである。
精錬効率を高めるため、溶湯面の下からガスを横底吹き
する羽口を設け、溶湯における攪拌力の増大を図ってい
るが、羽口の型式及び羽口から吹き込むガスは種々あ
り、通常、その目的に応じて使い分けられている。
は、2重管構造の羽口又は3重管構造の羽口が使用され
ている。また、酸素ガスを使用しないガスを吹き込む羽
口においても、羽口を通過するときのガスの安定性を維
持する点から、2重管構造の羽口を使用する場合があ
る。更に近年、精錬炉の溶湯中に浸漬した羽口から溶融
金属が発する熱放射光を種々の光学系機器及びデータ処
理処置を用いて溶湯の温度を測定することが提示されて
いる。本出願人は、特開平11−142246号公報
で、溶融金属が発する熱放射光をイメージファイバーで
撮像装置(例えばCCDカメラ)に取り込み、撮像画面
上の最高輝度値から溶融金属の温度を測定する装置を開
示したが、さらに、この装置を羽口に取付けることを、
特開平2001−83013号公報で提案した。ここで
も2重管羽口を用いており、その内外管にパージ用のガ
スを流し、羽口の溶損・閉塞を防止しつつ温度測定が行
われている。
すると、羽口先端に地金が付着・成長し、羽口の溶損を
防止することができるが、羽口の内・外管を流れるガス
間の冷却バランスが冷却不足の方向に崩れると、羽口先
端に一旦付着・成長した地金が小さくなって、羽口の溶
損が進行し、一方、上記冷却バランスが冷却過剰の方向
に崩れると、羽口先端の地金が成長し過大な大きさにな
ると同時に、内管側へも成長して、内管のガス流路を閉
塞気味にすることとなる。
却を防止するため、従来は、羽口の内・外管に流すガス
流量及び圧力を制御して、適正な冷却バランスを確保し
ている。
ンスは精錬条件により影響を受けるので、冷却バランス
を適正に維持すること、または、精錬条件の変化に即応
して冷却バランスを適正に確保することは難しい。操業
中、一旦、冷却バランスが崩れて羽口が溶損したり、閉
塞したりした場合には、羽口を抜いて羽口孔を盲レンガ
で閉鎖したり、可能な場合は、新しい羽口に差し替える
が、その作業は、精錬炉を休止して行なうことになるの
で、操業能率、生産効率は著しく低下する。更に溶湯に
浸漬した羽口を通して温度を測定する測温装置において
も、溶湯からの熱放射光が測温装置に入らないため測温
を継続することが困難となる。羽口が閉塞傾向の状態と
なった時、ガスの元圧を大きくして、羽口を流れるガス
の流量を所要の値に維持する方法があるが、この方法
は、該方法を適確に実施する装置を構成する点で限界が
ある。したがって、羽口の内・外管を流れるガス間の冷
却バランスが崩れたとき、これに、適確、有効に対処で
きる対応策は、現状では見当たらない。
製造又は精錬する炉において、溶湯中にガスを吹き込む
2重管又は3重管構造の羽口の先端に付着した地金を溶
流、除去する方法、及び引き続き精錬中に溶湯の温度を
測定する方法を提供することを目的とする。本発明の要
旨は、以下のとおりである。
造の羽口の先端に付着した地金を除去する方法におい
て、稼働中の精錬炉を空炉状態にして、2重管構造の羽
口の外管と内管の空隙の流路には、炭化水素系の気体、
液体燃料、または可燃性ガスを単独で、又は2種以上を
混合して流し、該羽口の内管には、酸素ガスを燃焼可能
な濃度範囲に調整した含酸素ガスを流すことにより、羽
口の先端に付着した地金を溶流し、除去することを特徴
とする羽口の先端に付着した地金の除去方法。
造の羽口の先端に付着した地金を除去する方法におい
て、稼働中の精錬炉を空炉状態にして、3重管構造の羽
口の最外管と中管の空隙の流路には、炭化水素系の気
体、液体燃料、または可燃性ガスを単独で、又は2種以
上を混合して流し、該羽口の最内管と中管の空隙の流路
には、酸素ガスを燃焼可能な濃度範囲に調整した含酸素
ガスを流すことにより、羽口の先端に付着した地金を溶
流し、除去することを特徴とする羽口の先端に付着した
地金の除去方法。
に先立ち、少なくとも羽口長さ方向の中心軸側の地金を
予熱することを特徴とする羽口の先端に付着した地金の
除去方法。
口の含酸素ガスの流路に酸素ガスを予熱可能な濃度範囲
に調整した含酸素ガスを流し、羽口の最外管の流路に
は、炭化水素系の気体、液体燃料、または可燃性ガスを
単独で、又は2種以上を混合して流すことにより予熱す
ることを特徴とする羽口の先端に付着した地金の除去方
法。
において、稼働中の精錬炉が空炉状態で羽口先端に付着
した地金を溶流・除去した後、精錬炉に溶融金属を投入
し該溶融金属を測温するに際し、精錬炉内の溶融金属に
浸漬した前記羽口へ溶融金属の浸入防止用の不活性ガス
を圧入しながら、該羽口の先端部に面する溶融金属の熱
放射光をイメージファイバーを介して撮像装置に取り込
み、撮像装置が出力する画像信号をデジタル画像データ
に変換し、該デジタル画像データに基づいて演算処理し
て、撮影画面上の溶融金属温度を測定することを特徴と
する溶融金属の測温方法。
ため、羽口の内・外管を流れるガス間の冷却バランス
と、羽口先端に付着した地金の消長との関係を、鋭意調
査した。その結果、次のことを見出した。 (a)通常、溶湯下では、2重管または3重管羽口の外
管の流路から流すLPG等は高温に曝されるので、急激
なクラッキングを起こして吸熱反応をし、その結果、羽
口を保護することとなるが、溶湯を排出して空炉状態に
なって、羽口を大気開放とした場合には、温度が低くな
るため、羽口外管の流路に流れるLPGのクラッキング
は緩やかに起きる。 (b)ここで、2重管の場合は羽口内管の流路に、3重
管の場合は最内管と中管の空隙の流路に空気を流すと、
羽口先端でLPGは燃焼する。これは、流した空気が助
燃剤とし、高温炉内の耐火物からの輻射熱及び伝導熱が
着火源とし、そして、LPGが燃料として、即ち、これ
らが燃焼の3要素として作用するからである。 (c)したがって、羽口先端におけるLPGの燃焼反応
を急激なものとすれば、羽口の先端に付着した地金を溶
流して除去することが可能となる。 (d)LPGの燃焼を急激に起こすため、内管に流す助
燃剤としてのガス中の酸素の比率を上げていけば、LP
Gの燃焼反応は早くなる。
ている状況を示す。上底吹転炉1内の溶鋼2には、炉底
に設けた底吹羽口3から精錬用のガスが吹き込まれ(図
中、底吹ガス5)、溶鋼が攪拌される。また、溶鋼2に
は、上吹きランス4から、酸素ガスが溶鋼に吹き付けら
れて脱炭反応が進行する。
の羽口、又は、図5に示す3重管構造の羽口を通常用い
る。
1から攪拌用(或いは精錬用)の酸素ガス、不活性ガ
ス、或いはこれらの混合ガスを吹き込み、内管11と外
管12の間隙から羽口冷却用のガス(例えば、LPG,
LPG+Ar,N2)を吹き込む。3重管構造の羽口を
用いる場合は、最内管11から攪拌用の不活性ガスを、
必要に応じ、石灰、石炭粉等の粉体とともに吹き込み、
最内管11と中管13の間隙から酸素ガス或いは酸素ガ
スと不活性ガスとの混合ガスを吹き込み、中管13と最
外管12の間隙から羽口冷却用のガス(例えば、LP
G,LPG+Ar,N2)を吹き込む。
変化の影響を受け、羽口先における冷却バランスが冷却
過剰の方向に崩れると、羽口先端の地金が成長し過大な
大きさになる。図3に、地金7が大きく成長し、外管と
内管の間隙を閉塞するとともに、内管のガス流路を閉塞
気味にした態様を示す。このような態様の地金7が形成
されると、底吹羽口の内管を流れるガス8(攪拌用の不
活性ガス)の流量が減少し、溶鋼の攪拌が充分に行きわ
たらず、さらに、底吹羽口の外管を流れるガス9との冷
却バランスが大きく崩れることになる。
ガスの流量を制御することにより、ある程度制御できる
が、図3のように大きく成長し、炉底耐火物10にも張
り付き、内管のガス流路を閉塞気味にした地金は、精錬
操業を阻害する要因となるので除去しなければならな
い。
る地金が除去しなければならない程に成長した場合、稼
働中の精錬炉を、図2に示すように空炉状態にして、羽
口の先端に付着した地金を燃焼により溶流して、除去で
きることを見出した。具体的には、底吹羽口3として2
重管構造の羽口を用いている場合には、羽口の外管と内
管の空隙の流路には、炭化水素系の気体、液体燃料、ま
たは可燃性ガスを単独で、又は2種以上を混合して流
し、該羽口の内管には、酸素ガスを燃焼可能な濃度範囲
に調整した含酸素ガス(図中、底吹ガス6)を流す。ま
た、底吹羽口3として3重管構造の羽口を用いている場
合には、羽口の最外管と中管の空隙の流路には、炭化水
素系の気体、液体燃料、または可燃性ガスを単独で、又
は2種以上を混合して流し、該羽口の最内管と中管の空
隙の流路には、酸素ガスを燃焼可能な濃度範囲に調整し
た含酸素ガスを流す。上記燃焼が起こると、付着してい
る地金の量が減少し、除去できる。また、燃焼可能な濃
度範囲の酸素ガス濃度は、実験や操業実績等から適宜設
定すれば良く、特に規定するものではないが、50容量
%以上であれば燃焼効果が大きいため好ましい。また、
酸素ガスと混合するガスは、助燃剤として使用する目的
から、不活性ガス(N2、Ar等)を通常用いることが
好ましい。
に限定されるものではないが、LPG,LNG等が、燃
焼性やコストの点で好ましい。液体燃料も、特に限定さ
れるものではないが、燃焼性やコストの点を考慮して、
灯油等の適切なものを選択することが好ましい。また、
可燃性ガスも、特に限定されるものではないが、燃焼性
やコストの点でCO含有ガスが好ましい。ここで、これ
らの炭化水素系気体、液体燃料、可燃性ガス等は単独に
流しても良いが、窒素・Ar・CO2等の不活性ガスと混合
して流しても良い。
に、例えば2重管の例として、いきなり内管に酸素ガ
ス、外管にLPGガスを流してもLPGガスに着火しない場合
がある。そこで地金溶流に先立ち、少なくとも羽口先端
地金の内面(羽口長さ方向の中心軸側)を暫く継続して
予熱しておくことにより、引き続いて実施される地金溶
流を容易にすることが可能となることを見出した。
軸側)の部分の地金が内側に肥大化すると、羽口内管か
らのガス流路を直接閉塞させ易くなるが、羽口内管には
通常、精錬上の工程ガスを流す場合が多く、その流量が
大幅に減少して攪拌不足に伴う冶金効果を損なう。ま
た、羽口内管のその他の形態として、溶湯に浸漬した羽
口から熱放射光を取り込んで温度計測を行うこともでき
るが、その場合には熱放射光が測温装置に入らなくなり
測温ができなくなるといった問題が生じる。よって少な
くとも羽口先端地金の内面部分を予熱することは、上記
問題を防止できるため、好ましい。
流は、羽口先端地金そのものを酸素により着火燃焼させ
つつガスジェットにより除去するため、少なくとも羽口
先端地金の内面(羽口長さ方向の中心軸側)を予熱して
おくことで、酸素による地金の着火燃焼を容易に起こす
ことが可能となる。
がほとんど減少することなく、地金に熱を加えることに
なる。また予熱方法は、特に規定するものではなく、熱
を加える機能を有するものを適宜使用するものとする。
さらに予熱時間についても、特に規定するものではな
く、実験や操業実績等から適宜設定すれば良い。本出願
人らの実験から、予熱時間を約5分程度以上確保するこ
とが好ましい。
て、地金溶流に先立ち、羽口の含酸素ガスの流路に酸素
ガスを予熱可能な濃度範囲に調整した含酸素ガスを流
し、羽口の最外管の流路には、炭化水素系の気体、液体
燃料、または可燃性ガスを単独で、又は2種以上を混合
して流し、炉内の高温となっている耐火物を着火源とし
て着火させる。
に規定するものではなく、目的とする予熱条件に応じ
て、実験や操業実績等から適宜設定するものである。例
えば、空気を用いても良いし、酸素ガスと不活性ガス
(N2、Ar等)を混合して調整することもできる。羽
口の最外管の流路に流す燃焼ガスは、地金溶流時と同様
に、特に限定されるものではないが、LPG,LNG等
の炭化水素系の気体が燃焼性やコストの点で好ましい。
液体燃料も、特に限定されるものではないが、燃焼性や
コストの点を考慮して、灯油等の適切なものを選択する
必要がある。また、可燃性ガスも、特に限定されるもの
ではないが、燃焼性やコストという点でCOが好まし
い。
除去した後、精錬炉に溶融金属を投入し精錬を行う際
に、羽口を利用して該溶融金属を精度良く測温すること
ができる。具体的には羽口を通して観測される溶融金属
が発する熱放射光を、イメージファイバーで撮像装置
(例えばCCDカメラ)に取り込み、撮像画面上の最高
輝度値から溶融金属の温度を測定するものである。
転炉において精錬中に底吹羽口から溶湯温度を測定する
測温装置のシステム構成概要図を示す。溶鋼2の容器で
ある精錬炉1の炉底部に、壁を貫通して設置された測温
用羽口15は、その背面にイメージファイバー16が接
続されている。該羽口内には羽口パージガス配管18を
通して不活性ガス(アルゴンガス、窒素ガス、CO2ガ
ス等)が圧入され、溶鋼と接する該羽口開口先端部から
不活性ガス14を溶鋼2に吹き出すことで、羽口への溶
融金属の浸入を防止でき、吹き出した不活性ガス14は
気泡となって溶鋼中を浮上して行く。したがって、イメ
ージファイバー16の受光端には、該羽口から溶鋼に吹
き出す不活性ガスと溶鋼2との界面の溶鋼が発する熱放
射光が当る。
00本以上の光ファイバー(素線)を細密に結合して直
径4mm程度に束ねたものを用いることができ、その先端
(受光端)には、焦点距離が無限大近くの集光レンズが
装着されており、イメージファイバー16の受光端に、
その前方の像が投影される。イメージファイバー16の
出光端には、投射像がそのまま伝達される。
を用いることができ、このCCDカメラ17はイメージ
ファイバー16の出光端の画像を撮影し、アナログ画像
信号(輝度を表すビデオ信号)を出力する。CCDカメ
ラ17のシャッター速度及び読み取り(ビデオ信号出力
レベル)は、コントローラ23を介して制御される。次
に、上記アナログ画像信号(ビデオ信号)は画像入力装
置24でデジタル画像データに変換される。画像入力装
置24は、保持されたデジタル画像データをパソコン2
5に転送し、パソコン25はこのデジタル画像データを
内部メモリ(以下画像メモリと称す)に書き込む。
データを下記に示す温度計測処理を1秒間に約5回の周
期で行い、その結果を外部の出力装置26であるCRT
ディスプレイに表示する。尚、出力装置26には、この
他にプリンター及び外部記憶装置が含まれている。
は、例えばパソコンに取込まれた各画素データ(輝度を
示すもの)から溶鋼像を抽出するために、溶鋼像と羽口
内面像のそれぞれの輝度を2値化して識別することがで
きる。この様にして抽出された溶鋼像の輝度から、温度
に換算することにより、溶鋼の温度が測定できる。溶鋼
像の輝度は、溶鋼像内の画素を平均化することが好まし
い。輝度から温度への換算としては、例えば1画素単位
で予めオフラインの黒体炉で校正された輝度−温度換算
の光電変換特性に基づいて換算できる。
の温度との誤差データと溶鋼像の面積との相関関係を整
理することにより、精度の良い測温データが得られる。
さらに、溶鋼像に羽口内面反射光がある場合は、輝度の
違いにより認識できるため、この羽口内面反射光を除い
た測温エリアを指定し、このエリアの輝度から温度に換
算することもできる。この様な温度推定を行うに際し、
測温羽口先端外周部に地金が殆ど無い状態であれば、溶
鋼の熱放射光が充分に撮像装置に取り込まれ、溶鋼の測
温は安定して精度良く実施可能である。
閉塞すると測温のための熱放射光が撮像装置に入らない
ため測温が困難になる。よって、測温を継続するために
は、本発明の手段を用いて羽口先端の地金を溶流除去す
ることが必要となる。従って、事前に羽口の先端に付着
した地金を除去した後、精錬炉に投入された溶融金属を
測温することで、高い精度で測温できるため好ましい。
吹転炉における精錬後の空炉の状況を図8に示す。精錬
中の測温時には羽口パージガスとして不活性ガスを使用
するが、空炉時において羽口先端地金の溶流のために、
前述したように羽口の含酸素ガスの流路に酸素ガスを燃
焼可能な濃度範囲に調整した含酸素ガスを流し、羽口の
最外管の流路には、炭化水素系の気体、液体燃料、また
は可燃性ガスを単独で、又は2種以上を混合して流すこ
とで、羽口に付着した地金の除去が達成できる。また、
必要に応じて予熱を行うこともでき、より効果的に上記
地金を除去できる。本発明において、地金の態様は、羽
口内管におけるガス流量及び/又は内圧の変化で検知す
ることができる。羽口先端地金が成長し、内管のガス流
路が閉塞気味になると、ガス流量は減少し、ガス圧が高
まるので、その変化から地金の成長具合を検知すること
ができる。
を用いる場合は、このイメージファイバーを介して溶鋼
の熱放射光を撮像した測温装置の画面上の有効画素数の
増減から、地金の成長具合を検知することもできる。
著しい閉塞傾向に陥ると、熱放射光による撮像視野が狭
くなり、撮像画面上の有効画素数が減少する。この有効
画素数の変化を知ることにより、羽口先端における地金
の成長の具合を知ることができる。なお、地金の態様を
検知する方法は、上記方法に限定されるものではない。
本発明は、実施例で用いた条件に限定されるものではな
い。
錬炉において溶鋼を吹錬した。吹錬中、地金の成長の具
合を、内管におけるガス流量及び内圧の変化で観察し、
適時に本発明を実施した。その結果を、表1に示す。内
管酸素流量2000Nm3/h、内管圧力0.7MPa で吹
錬を開始したが、16分後、内管酸素流量が1200Nm
3/hに減少し、内管圧力が0.9MPa に上昇したの
で、地金が内管側に成長し始めたと判断し、本発明を実
施した。転炉の炉内を空炉の状態にした後、羽口先端の
地金溶流実施に先立って、外管に流すLPGを着火さ
せ、羽口先端の地金を予熱するため、内管に空気を10
00Nm3/h、外管にLPGを30Nm3/h流した。6分
間の予熱後の内管の圧力は、予熱開始時と同じ0.8MP
a のままであった。ここで羽口先端の予熱が完了したと
判断して、次のステップの地金溶流に移った。
1000Nm3/h、外管にLPGを60Nm3/h流した。内
管の圧力は、0.8Mpaから徐々に低下し、6分後、
0.4MPa に達したので、地金を除去できたと判断し、
次の精錬を実施した。
ても、内管酸素流量2000Nm3/h、内管圧力0.7M
Pa が維持されている。
先端に大きく成長した地金を、適確に溶流、除去できた
ことを示している。
造の羽口を備える精錬炉において溶鋼を吹錬した。吹錬
中、前述の炉底に設置された羽口から熱放射光を測定し
て溶湯温度を推定する測温装置により、連続的に溶湯温
度を測定した。羽口先端地金の成長の具合をより適確に
把握するため、内管におけるガス流量の変化、羽口に取
付けたイメージファイバーで溶鋼を撮像した画面上の有
効画素数の増減、及び測温装置の温度と同時に行ったサ
ブランスによる測定温度との比較観察から、適時に本発
明を実施した。その結果を表2に示す。
視野が狭くなり、撮像画面上の有効画素数が大きく減少
することが分かる。また、測温装置により測定された温
度もサブランスによる測定温度に対して誤差が大きくな
り、撮像画面上の有効画素数の著しい減少が測定精度の
悪化をもたらす。転炉の炉内を空炉の状態にした後、羽
口先端の地金溶流実施に先立って、外管に流すLPGを
着火させ、羽口先端の地金を予熱するため、内管に空気
を800Nm3/h、外管にLPGを20Nm3/h流した。
6分間の予熱後の内管の圧力は、予熱開始時と同じ1.
5MPa のままであった。ここで羽口先端の予熱が完了し
たと判断して、次のステップの地金溶流に移った。
口における内管先端部の開孔部が大きくなり、撮像画像
上の有効画素数が回復した。また測温装置の温度と同時
に行ったサブランスによる測定温度と比較においても良
い一致を示し、撮像画面上の有効画素数の回復が温度の
測定精度の改善をもたらすことが分かる。
錬炉において溶鋼を吹錬した。吹錬中、地金の成長の具
合を、内管及び中管におけるガス流量及び内圧の変化で
観察し、適時に本発明を実施した。その結果を表3に示
す。
0Nm3 /h、内管圧力0.9MPa 及び中管に酸素流量2
000Nm3 /h、中管圧力0.7MPaで吹錬を開始した
が、16分後、内管窒素流量が1000Nm3 /hに減少
し、内管圧力が1.4MPa に上昇し、また中管酸素流量
が1300Nm3 /hに減少し、中管圧力が0.9MPaに
上昇したので、地金が中内管側に大きく成長したと判断
し、本発明を実施した。
端の地金溶流実施に先立って、外管に流すLPGを着火
させ、羽口先端の地金を予熱するため、内管に窒素を8
00Nm3 /h、中管に空気を1200Nm3 /h、外管に
LPGを20Nm3 /h流した。6分間の予熱後の内管及
び中管の圧力は、各々予熱開始時と同じ1.2MPa と
0.8MPa のままであった。ここで羽口先端の予熱が完
了したと判断して、次のステップの地金溶流に移った。
800Nm3 /h、中管に酸素を1200Nm3 /h、外管
にLPGを40Nm3 /h流した。内管の圧力は、1.2
MPaから徐々に低下し、6分後、0.4MPa に、また中
管の圧力は、0.8MPa から徐々に低下し、6分後、
0.4MPa に達したので、地金を除去できたと判断し、
次の精錬を実施した。
ても、内管窒素流量1500Nm3 /h、内管圧力0.9
Mpa、及び中管酸素流量2000Nm3 /h、中管圧力
0.7MPaが維持されている。このことは、本発明の実
施により、羽口の先端に大きく成長した地金を、適確に
溶流、除去できたことを示している。
口の先端に成長する地金の成長具合を適確に把握し、適
時に、地金を溶流、除去することができるので、精錬操
業を能率よく行なうことができ、その結果、鋼の生産性
を高めることができる。また、精錬炉の溶湯中に浸漬し
た羽口から溶融金属が発する熱放射光を種々の光学系機
器及びデータ処理処置を用いて溶湯の温度を測定する装
置においても、常に熱放射光を適切な容量だけ測温装置
に取り入れることができ、温度測定の連続性が保たれる
と同時に、温度の測定精度も高く維持可能とできる。こ
のため、精錬精度が改善され、溶湯の歩留、溶湯中のC
r等有価元素の酸化ロスの減少、副材原単位の削減、精
錬炉の耐火物寿命の向上等計り知れないメリットを享受
することができる。
図である。
す図である。
状態で羽口先端の地金溶流するに先立ち、内管に空気を
流して先端地金を予熱している状況を示す図である。図
6bは、上底吹転炉において精錬後の空炉の状態で羽口
先端の地金溶流している状況を示す図である。
温度を測定する測温装置の概要を示す図である。
おける精錬後の空炉の状況を示す図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 精錬炉内の溶湯に浸漬する2重管構造の
羽口の先端に付着した地金を除去する方法において、稼
働中の精錬炉を空炉状態にして、2重管構造の羽口の外
管と内管の空隙の流路には、炭化水素系の気体、液体燃
料、または可燃性ガスを単独で、又は2種以上を混合し
て流し、該羽口の内管には、酸素ガスを燃焼可能な濃度
範囲に調整した含酸素ガスを流すことにより、羽口の先
端に付着した地金を溶流し、除去することを特徴とする
羽口の先端に付着した地金の除去方法。 - 【請求項2】 精錬炉内の溶湯に浸漬する3重管構造の
羽口の先端に付着した地金を除去する方法において、稼
働中の精錬炉を空炉状態にして、3重管構造の羽口の最
外管と中管の空隙の流路には、炭化水素系の気体、液体
燃料、または可燃性ガスを単独で、又は2種以上を混合
して流し、該羽口の最内管と中管の空隙の流路には、酸
素ガスを燃焼可能な濃度範囲に調整した含酸素ガスを流
すことにより、羽口の先端に付着した地金を溶流し、除
去することを特徴とする羽口の先端に付着した地金の除
去方法。 - 【請求項3】 前記請求項1或いは2記載の方法に先立
ち、少なくとも羽口長さ方向の中心軸側の地金を予熱す
ることを特徴とする羽口の先端に付着した地金の除去方
法。 - 【請求項4】 前記請求項3記載の方法において、羽口
の含酸素ガスの流路に酸素ガスを予熱可能な濃度範囲に
調整した含酸素ガスを流し、羽口の最外管の流路には、
炭化水素系の気体、液体燃料、または可燃性ガスを単独
で、又は2種以上を混合して流すことにより予熱するこ
とを特徴とする羽口の先端に付着した地金の除去方法。 - 【請求項5】 前記請求項1〜4いずれかの方法におい
て、稼働中の精錬炉が空炉状態で羽口先端に付着した地
金を溶流・除去した後、精錬炉に溶融金属を投入し該溶
融金属を測温するに際し、精錬炉内の溶融金属に浸漬し
た前記羽口へ溶融金属の浸入防止用の不活性ガスを圧入
しながら、該羽口の先端部に面する溶融金属の熱放射光
をイメージファイバーを介して撮像装置に取り込み、撮
像装置が出力する画像信号をデジタル画像データに変換
し、該デジタル画像データに基づいて演算処理して、撮
影画面上の溶融金属温度を測定することを特徴とする溶
融金属の測温方法。
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