JP2009237342A - 光拡散フィルム及び光拡散フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 透明基材層上に、単孔構造を有する中空微粒子及びバインダー樹脂を含有する光拡散層が積層された光拡散フィルムであって、上記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、上記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる光拡散フィルム。
【選択図】 なし
Description
現在、このような光拡散シートには、高い光拡散性が求められている。従来は、光拡散シートの光拡散性を向上させる方法として、光拡散シートの表面に凹凸を形成する方法が用いられていた。
しかしながら、表面に凹凸を形成させただけでは光拡散性を向上させようとしても限界があり、近年の液晶表示装置等に求められるような高い光拡散性を発揮させることが困難であるという問題があった。
このような光拡散シートでは、1つの透明微粒子を光線が透過する間に、透明微粒子の粒子表面での入射点と出射点における屈折に加え、透明微粒子の骨格と中空部との境界部分でも屈折が起こる。このため、透明微粒子内での光線の屈折回数が増加するので、高い光拡散性を発揮するとされている。
また、特許文献1には、表面に多数の凹陥部を有する透明微粒子を分散させた光拡散層と、透明な基材層とからなる光拡散シートについても開示されている。
このような光拡散シートでは、表面に多数の凹陥部を有する透明微粒子内を透過する間における光線の屈折回数が増加し、同様に高い光拡散性を発揮するとされている。
また、特許文献1の光拡散シートでは、光拡散性を向上させるために多量の透明微粒子を添加する必要があるが、多量の透明微粒子を添加することによって光拡散シートの光透過性が低下してしまうという問題があった。
更に、このような光拡散シートを特許文献1の実施例の方法で製造した場合、使用するバインダー樹脂や有機溶剤によって透明微粒子が膨潤したり、光拡散層を形成する過程において、透明微粒子につぶれやへたりが生じたりして、所望の光拡散性能が得られないという問題が生じていた。
以下に本発明を詳述する。
上記単孔構造を有することにより、上記シェルの内部に形成された空隙は密閉性に優れたものとなり、空隙内にバインダー成分や他の成分が侵入して、光拡散性が低下するといった不具合を防止することができる。
なお、本明細書において、「単孔構造」とは、多孔質状等のように複数の空隙を有する場合は含まず、ただ1つの閉じた空隙を有する構造のことをいう。
このような樹脂からなることで、上記シェルがバインダー樹脂のモノマー成分や有機溶剤によって軟化変形することがなく、光拡散フィルムの光拡散性能が低下することを防止することができる。また、バインダー樹脂のモノマー成分や有機溶剤によって膨潤したり、白化したりすることもないため、全光線透過率が低下することを防止することができる。
なお、上記中空微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体は、上記中空微粒子の中空部の一部に内包されていてもよく、中空部の全部に内包されていてもよい。
なお、本明細書において、空隙率とは、中空微粒子の全体積に占める、コア剤を除いた空隙部分の体積比のことをいい、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した写真をもとに、平均粒子径(外径)及び平均内孔径を測定し、空隙部分の体積と中空微粒子の体積との比を算出することにより測定することができる。
また、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の乳化剤や、セチルアルコール等の分散助剤を併用してもよい。
上記液体を除去する方法としては特に限定されず、例えば、得られたマイクロカプセル型ポリマー粒子の分散液に窒素、空気等の気体を吹き込む方法;減圧雰囲気とする方法等が挙げられる。
これにより、バインダー樹脂のモノマー成分や溶媒によって、中空微粒子が膨潤、白化したり、軟化変形したりすることがなく、低屈折率化が可能となり、光拡散フィルムの全光線透過率の向上を実現することができる。
なお、上記中空微粒子の材料としては、上述したものと同様のものを用いることができる。
このような中空微粒子を使用することで、全光線透過率の低下を防止することができる。
なお、上記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエンを用いる。また、上記有機溶剤に24時間浸漬した後の体積変化率は、乾燥させた中空微粒子と上記有機溶剤を混合し、メスシリンダー中に入れて沈降した直後の体積をV1、上記有機溶剤中に24時間浸漬した後のメスシリンダー中での中空微粒子の体積をV2とし、(V2/V1)×100を算出することにより求める。
上記光拡散層形成用樹脂組成物を透明基材フィルムに塗工する工程における塗工方法としては、特に限定されず、例えば、スピンコート、スリット&スピン、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート等の従来公知の塗工法を用いることができる。
上記塗工した光拡散層形成用樹脂組成物を乾燥させる工程では、例えば、加熱を行うことにより、溶媒を除去する。
(1)中空微粒子の調製
アクリロニトリル25重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリオキシエチレンジメタクリレート25重量部(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)、トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部と、中空化剤としてノルマルヘキサン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)と0.02重量%亜硝酸ナトリウムとの水溶液に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子の分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た。
得られた中空微粒子20重量部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レーヨン株式会社製:メタクリル酸とアクリルモノマーの共重合体)を15重量部、溶媒としてトルエン20重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ150μmのポリエステル樹脂シート上に塗布し、120℃、3分間乾燥して、厚さ80μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(1)中空微粒子の調製
メタクリル酸メチル20重量部、メタクリロニトリル40重量部と、架橋性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、非重合性物質としてシクロヘキサン150重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、シクロヘキサン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液370重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にシクロヘキサンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合させた後、重合器を室温まで冷却して、液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を含有する分散液を得た。得られた分散液の溶媒を、遠心分離機を用いてイソプロパノールに置換し、シクロヘキサンを内包する中空微粒子のイソプロパノール分散液を得た。
得られたシクロヘキサン内包中空微粒子のイソプロパノール分散液250重量部(乾燥粉体に換算すると22重量部)、バインダー樹脂として紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリル系モノマー)を30重量部、ベンゾフェノン系光重合開始剤5重量部、溶媒としてトルエン10重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ80μmのトリアセチルセルロースシート上に塗布し、80℃、5分間乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、厚さ40μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(1)中空微粒子の作製
モノマー成分として、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)50重量部、メタクリル酸メチル30重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、非重合性物質としてヘプタン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ヘプタン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液400重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にヘプタンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包多孔質微粒子を含有する分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、多孔質微粒子を得た。
得られた多孔質微粒子20重量部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レーヨン株式会社製:メタクリル酸とアクリルモノマーの共重合体)を15重量部、溶媒としてトルエン20重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ150μmのポリエステル樹脂シート上に塗布し、120℃、3分間乾燥して、厚さ70μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(1)中空微粒子の調製
メタクリル酸メチル45重量部、メタクリロニトリル50重量部と、架橋性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート5重量部と、非重合性物質としてヘプタン140重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ヘプタン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液370重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にヘプタンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合させた後、重合器を室温まで冷却して、液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を含有する分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た。
得られた中空微粒子45重量部、バインダー樹脂として紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリル系モノマー)を30重量部、ベンゾフェノン系光重合開始剤5重量部、溶媒としてトルエン50重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ80μmのトリアセチルセルロースシート上に塗布し、120℃、5分間乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、厚さ30μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(1)中空微粒子の調製
アクリロニトリル10重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)10重量部、ポリオキシエチレンジメタクリレート(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)10重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート70重量部と、中空化剤としてノルマルヘキサン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)と0.02重量%亜硝酸ナトリウムとの水溶液に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセル分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た。
得られた中空微粒子18重量部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レーヨン株式会社製:メタクリル酸とアクリルモノマーの共重合体)を15重量部、溶媒としてトルエン25重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ150μmのポリエステル樹脂シート上に塗布し、120℃、3分間乾燥して、厚さ100μmの反射防止フィルムを形成した。
(1)平均粒子径
各実施例及び比較例で得られた中空微粒子、及び、同サンプルを内温200℃のオーブンで10分間加熱した後の中空微粒子を投下型電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から350個分の写真を無作為に抽出し、長径及び短径を計測した。
そして、長径を粒子径とし、その数平均を平均粒子径とした。
各実施例及び比較例で作製した中空微粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から350個分の写真を無作為に抽出し、粒子内孔径を測定し、その数平均を求めた。
そして、得られた中空微粒子を真球と仮定して、平均粒子径(外径)及び平均内孔径からそれぞれ体積を求めた後、{(空孔の体積/中空微粒子の体積)×100}を算出することにより、空隙率を求めた。
実施例及び比較例で得られた中空微粒子10重量部とトルエン100重量部とを混合し、メスシリンダー中に入れて沈降した直後の体積をV1、トルエン中に24時間浸漬した後のメスシリンダー中での中空微粒子の体積をV2とし、(V2/V1)×100を算出することにより求めた。
なお、実施例2で得られたシクロヘキサンを内包する中空微粒子のイソプロパノール分散液については、分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た後、上記方法にて膨潤率を求めた。
実施例及び比較例で得られた光拡散フィルムの光拡散層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、光拡散層の中空微粒子の状態を評価した。
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−2000)を用いて光拡散フィルムの全光線透過率とヘイズ値を測定した。
Claims (6)
- 透明基材層上に、単孔構造を有する中空微粒子及びバインダー樹脂を含有する光拡散層が積層された光拡散フィルムであって、
前記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、
前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる
ことを特徴とする光拡散フィルム。 - 単孔構造を有する中空微粒子は、空隙率が30〜95体積%であることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
- 単孔構造を有する中空微粒子の中空部に、前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体が内包されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光拡散フィルム。
- 単孔構造を有する中空微粒子、バインダー樹脂及び溶媒を含有する光拡散層形成用樹脂組成物を調製する工程、
前記光拡散層形成用樹脂組成物を透明基材フィルムに塗工する工程、
塗工した光拡散層形成用樹脂組成物を乾燥後、所定の硬化処理を行うことで、光拡散層を形成する工程を有する光拡散フィルムの製造方法であって、
前記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、
前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる
ことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。 - 単孔構造を有する中空微粒子は、有機溶剤による膨張率が100〜110体積%であることを特徴とする請求項4記載の光拡散フィルムの製造方法。
- バインダー樹脂は、電離放射線硬化型樹脂を含有することを特徴とする請求項4又は5記載の光拡散フィルムの製造方法。
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