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JP2009237342A - 光拡散フィルム及び光拡散フィルムの製造方法 - Google Patents

光拡散フィルム及び光拡散フィルムの製造方法 Download PDF

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JP2009237342A
JP2009237342A JP2008084474A JP2008084474A JP2009237342A JP 2009237342 A JP2009237342 A JP 2009237342A JP 2008084474 A JP2008084474 A JP 2008084474A JP 2008084474 A JP2008084474 A JP 2008084474A JP 2009237342 A JP2009237342 A JP 2009237342A
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Miki Inaoka
美希 稲岡
Takahiro Omura
貴宏 大村
Kenichi Matsumura
健一 松村
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Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

【課題】 全光線透過率を低下させることなく、優れた光拡散性を実現することが可能な光拡散フィルム、及び、中空微粒子に変形が生じにくく、所望の光拡散性能を有する光拡散フィルムを得ることが可能な光拡散フィルムの製造方法を提供する。
【解決手段】 透明基材層上に、単孔構造を有する中空微粒子及びバインダー樹脂を含有する光拡散層が積層された光拡散フィルムであって、上記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、上記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる光拡散フィルム。
【選択図】 なし

Description

本発明は、全光線透過率を低下させることなく、優れた光拡散性を実現することが可能な光拡散フィルム、及び、中空微粒子に膨潤、変形等が生じにくく、所望の光拡散性能を有する光拡散フィルムを得ることが可能な光拡散フィルムの製造方法に関する。
光拡散フィルムは、例えば、携帯電話、デジタルカメラ等に装備されている液晶ディスプレイ、液晶テレビ等のバックライトユニットに広く使用されている。光拡散フィルムは、点状光源や線状光源の光を拡散したり、出射光の角度を調整したりすることで、均一で、正面輝度が高い面照明を得るために用いられている。
現在、このような光拡散シートには、高い光拡散性が求められている。従来は、光拡散シートの光拡散性を向上させる方法として、光拡散シートの表面に凹凸を形成する方法が用いられていた。
しかしながら、表面に凹凸を形成させただけでは光拡散性を向上させようとしても限界があり、近年の液晶表示装置等に求められるような高い光拡散性を発揮させることが困難であるという問題があった。
これに対して、特許文献1には、中空部を有する略球状の透明微粒子を分散させた光拡散層と、透明な基材層とからなる光拡散シートが開示されている。
このような光拡散シートでは、1つの透明微粒子を光線が透過する間に、透明微粒子の粒子表面での入射点と出射点における屈折に加え、透明微粒子の骨格と中空部との境界部分でも屈折が起こる。このため、透明微粒子内での光線の屈折回数が増加するので、高い光拡散性を発揮するとされている。
また、特許文献1には、表面に多数の凹陥部を有する透明微粒子を分散させた光拡散層と、透明な基材層とからなる光拡散シートについても開示されている。
このような光拡散シートでは、表面に多数の凹陥部を有する透明微粒子内を透過する間における光線の屈折回数が増加し、同様に高い光拡散性を発揮するとされている。
しかしながら、このような光拡散シートであっても、光拡散性は充分ではなく、液晶表示装置等で求められるレベルの高い光拡散性を発揮させるには、依然として不充分であるという問題があった。
また、特許文献1の光拡散シートでは、光拡散性を向上させるために多量の透明微粒子を添加する必要があるが、多量の透明微粒子を添加することによって光拡散シートの光透過性が低下してしまうという問題があった。
更に、このような光拡散シートを特許文献1の実施例の方法で製造した場合、使用するバインダー樹脂や有機溶剤によって透明微粒子が膨潤したり、光拡散層を形成する過程において、透明微粒子につぶれやへたりが生じたりして、所望の光拡散性能が得られないという問題が生じていた。
特許第3384983号公報
本発明は、上記の現状に鑑み、全光線透過率を低下させることなく、優れた光拡散性を実現することが可能な光拡散フィルム、及び、中空微粒子に膨潤、変形等が生じにくく、所望の光拡散性能を有する光拡散フィルムを得ることが可能な光拡散フィルムの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、透明基材層上に、単孔構造を有する中空微粒子及びバインダー樹脂を含有する光拡散層が積層された光拡散フィルムであって、前記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる光拡散フィルムである。
以下に本発明を詳述する。
本発明の光拡散フィルムは、単孔構造を有する中空微粒子及びバインダー樹脂を含有する光拡散層を有する。
上記中空微粒子を構成するシェルは、単孔構造を有する。
上記単孔構造を有することにより、上記シェルの内部に形成された空隙は密閉性に優れたものとなり、空隙内にバインダー成分や他の成分が侵入して、光拡散性が低下するといった不具合を防止することができる。
なお、本明細書において、「単孔構造」とは、多孔質状等のように複数の空隙を有する場合は含まず、ただ1つの閉じた空隙を有する構造のことをいう。
上記シェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる。
このような樹脂からなることで、上記シェルがバインダー樹脂のモノマー成分や有機溶剤によって軟化変形することがなく、光拡散フィルムの光拡散性能が低下することを防止することができる。また、バインダー樹脂のモノマー成分や有機溶剤によって膨潤したり、白化したりすることもないため、全光線透過率が低下することを防止することができる。
上記架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート等のジ(メタ)アクリレート;トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等のトリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、ジアリルマレート、ジアリルフマレート、ジアリルサクシネート、トリアリルイソシアヌレート等のジアリル化合物又はトリアリル化合物;ジビニルベンゼン、ブタジエン等のジビニル化合物等が挙げられる。これら架橋性モノマーは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記シェルを構成する樹脂は、上記架橋性モノマーに由来する成分の含有量の下限が30重量%である。30重量%未満であると、バインダー樹脂のモノマー成分や有機溶剤による軟化変形や、膨潤、白化が起こり、光拡散性や全光線透過率が低下する。好ましい下限は30重量%、好ましい上限は95重量%である。
上記シェルを構成する樹脂としては、上記架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上有するものであれば特に限定されず、架橋性モノマーに由来する成分と重合性モノマーに由来する成分とを有する共重合体等を用いることができる。
上記重合性モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、クミル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、パルミチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等の極性基含有(メタ)アクリル系モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−クロロスチレン等の芳香族ビニルモノマー;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル;塩化ビニル、塩化ビニリデン等のハロゲン含有モノマー;ビニルピリジン、エチレン、プロピレン、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー、ポリオキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、ポリオキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン等が挙げられる。なかでも、アルキル(メタ)アクリレートモノマー、ポリジメチルシロキサンマクロモノマー等は比較的屈折率が低いことから好適である。これらの重合性モノマーは、単独で用いてもよく、2種以上を併用しても良い。
上記中空微粒子の中空部には、上記中空微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体が内包されていてもよい。これによって、上記中空微粒子の中空部の割合を大きくしても、機械的性質等の低下を防止することができる。
なお、上記中空微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体は、上記中空微粒子の中空部の一部に内包されていてもよく、中空部の全部に内包されていてもよい。
上記中空微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体としては、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、水、ジクロロメタン、クロロホルム、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、オクタノール、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリル、アニリン、2−ピロリドン、ワックス等の有機溶剤、水、ゼラチン等のポリマーや種々のオリゴマー等が溶剤に膨潤したもの等が挙げられる。
上記中空微粒子の平均粒子径の下限は0.5μm、上限は30μmである。0.5μm未満であると、光の拡散強度が不充分となり、30μmを超えると、表面のザラツキが目立ち実用に適さない。好ましい下限は0.8μm、好ましい上限は20μmであり、より好ましい下限は1μm、より好ましい上限は10μmである。また、更に好ましい下限は1.5μm、更に好ましい上限は5μmである。
上記中空微粒子は、空隙率の好ましい下限が30体積%、好ましい上限が95体積%である。上記空隙率が30体積%未満であると、光拡散性等を充分に付与できないことがある。95体積%を超えると、中空微粒子の形状が維持できなかったり、強度を確保できなかったりすることがある。より好ましい下限は50体積%である。
なお、本明細書において、空隙率とは、中空微粒子の全体積に占める、コア剤を除いた空隙部分の体積比のことをいい、例えば、透過型電子顕微鏡で撮影した写真をもとに、平均粒子径(外径)及び平均内孔径を測定し、空隙部分の体積と中空微粒子の体積との比を算出することにより測定することができる。
上記光拡散層において、上記中空微粒子の含有量の好ましい下限は5重量%、好ましい上限は90重量%である。5重量%未満であると、得られる光拡散層の光拡散性が極めて低くなることがあり、90重量%を超えると、光拡散層の耐久性が低下することがある。
上記中空微粒子の製造方法としては、特に限定されないが、例えば、架橋性モノマーを30重量%以上含有する反応性モノマー、及び、反応性モノマーと反応しない液体を含有する反応性溶液を調製する工程、上記反応性溶液からなる油滴を極性溶媒に懸濁する工程、上記反応性モノマーを重合させて上記液体と相分離させ、上記液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を作製する工程を有する方法により製造することができる。
上記反応性モノマーにおける架橋性モノマーの含有量の好ましい下限は30重量%である。30重量%未満であると、得られる中空微粒子のシェルの架橋が不充分となり、強度、耐熱性及び耐溶剤性が不充分となる。上記架橋性モノマーの含有量のより好ましい下限は50重量%であり、更に好ましい下限は70重量%である。
上記反応性モノマーにおける上記架橋性モノマー以外のモノマーとしては、例えば、上述した重合性モノマー、親水性モノマー等が挙げられる。
上記液体としては、上記反応性モノマーと反応せず、かつ、反応性モノマーの重合温度において液状であるものであれば特に限定されず、例えば、n−ペンタン、n−ヘキサン、シクロヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、水、塩化メチレン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−ペンタノール、イソペンチルアルコール、ネオペンチルアルコール、オクタノール、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、ニトロメタン、ニトロエタン、アセトニトリル、アニリン、2−ピロリドン、ワックス等の有機溶剤、水、ゼラチン等のポリマーや種々のオリゴマー等が溶剤に膨潤したもの等が挙げられる。
上記反応性溶液からなる油滴を極性溶媒に懸濁する工程において用いられる極性溶媒としては特に限定されず、例えば、水やエタノール、メタノール、イソプロピルアルコール等の通常の懸濁重合法等に用いられるものを用いることができる。
また、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム等の乳化剤や、セチルアルコール等の分散助剤を併用してもよい。
上記反応性モノマーを重合させて上記液体と相分離させ、上記液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を作製する工程では、例えば、上記反応性溶液に重合開始剤を添加した場合、上記極性溶媒に油滴状に分散させた反応性溶液を加熱して上記重合開始剤の反応開始温度にすることにより、上記反応性溶液における反応性モノマーが反応してシェルを生じる。その結果、生成したシェルに、上記液体が内包されたマイクロカプセル型ポリマー粒子が作製される。
その後、必要に応じて、得られたマイクロカプセル型ポリマー粒子に内包された液体を除去してもよく、上記液体を除去せずにそのまま用いてもよい。
上記液体を除去する方法としては特に限定されず、例えば、得られたマイクロカプセル型ポリマー粒子の分散液に窒素、空気等の気体を吹き込む方法;減圧雰囲気とする方法等が挙げられる。
本発明の製造方法を用いて得られる中空微粒子は、溶媒中に分散させた分散液として使用してもよく、また、乾燥後の粒子状のものを使用してもよい。
上記光拡散層を構成するバインダー樹脂としては、特に透明性の高いものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル系樹脂、ポリウレタン、ポリエステル、フッ素系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリアミドイミド、エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記光拡散層におけるバインダー樹脂の含有量の好ましい下限は0.1重量%、好ましい上限は50重量%である。0.1重量%未満であると、光拡散層の耐久性が低下することがあり、50重量%を超えると、光拡散層の光拡散性が低くなることがある。
また、上記光拡散層の厚みの好ましい下限は1μm、好ましい上限は300μmである。1μm未満であると、光拡散性が不足することがあり、300μmを超えると、フィルムの全光線透過率が低下することがある。
上記透明基材層としては、透明であり、適度な強度を有するものであれば特に限定されないが、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、セルロースアセテート等からなるフィルムが挙げられる。なお、本発明において、透明とは、400〜800nmの波長領域における全光線透過率が60%以上であることを意味する。
また、上記透明基材層の厚みの好ましい下限は70μm、好ましい上限は200μmである。70μm未満であると、強度が不足して変形等が生じることがあり、200μmを超えると、フィルムの全光線透過率が低下することがある。
本発明の光拡散フィルムを製造する方法としては特に限定されないが、単孔構造を有する中空微粒子、バインダー樹脂及び溶媒を含有する光拡散層形成用樹脂組成物を調製する工程、上記光拡散層形成用樹脂組成物を透明基材フィルムに塗工する工程、塗工した光拡散層形成用樹脂組成物を乾燥後、所定の硬化処理を行うことで、光拡散層を形成する工程を有する方法であって、上記単孔構造を有する中空微粒子として、平均粒子径が0.5〜30μmのものを用い、かつ、上記単孔構造を有する中空微粒子のシェルに、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂を用いる方法が好ましい。このような光拡散フィルムの製造方法もまた本発明の1つである。
本発明の光拡散フィルムの製造方法では、まず、中空微粒子、バインダー樹脂及び溶媒を含有する光拡散層形成用樹脂組成物を調製する工程を行う。
本発明の光拡散フィルムの製造方法では、上記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、上記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる。
これにより、バインダー樹脂のモノマー成分や溶媒によって、中空微粒子が膨潤、白化したり、軟化変形したりすることがなく、低屈折率化が可能となり、光拡散フィルムの全光線透過率の向上を実現することができる。
なお、上記中空微粒子の材料としては、上述したものと同様のものを用いることができる。
上記中空微粒子は、有機溶剤に24時間浸漬した後の体積変化率が100〜110体積%であることが好ましい。
このような中空微粒子を使用することで、全光線透過率の低下を防止することができる。
なお、上記有機溶剤としては、メタノール、エタノール、n−ブタノール、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、N,N−ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、トルエンを用いる。また、上記有機溶剤に24時間浸漬した後の体積変化率は、乾燥させた中空微粒子と上記有機溶剤を混合し、メスシリンダー中に入れて沈降した直後の体積をV1、上記有機溶剤中に24時間浸漬した後のメスシリンダー中での中空微粒子の体積をV2とし、(V2/V1)×100を算出することにより求める。
上記バインダー樹脂の材料としても、上述したものと同様のものを用いることができるが、特に、電離放射線硬化型樹脂が好ましい。上記電離放射線硬化型樹脂を用いることで、中空微粒子との結合をより強固にすることができる。特に、上記中空微粒子のシェルが、架橋性モノマーに由来するセグメントを有する共重合体からなる場合、硬化の際にシェルの残留重合性基と電離放射線硬化型樹脂とが共重合することで、より強固な光拡散層を形成することが可能となる。
次いで、上記光拡散層形成用樹脂組成物を透明基材フィルムに塗工する工程を行う。
上記光拡散層形成用樹脂組成物を透明基材フィルムに塗工する工程における塗工方法としては、特に限定されず、例えば、スピンコート、スリット&スピン、スリットコート、スプレーコート、ディップコート、バーコート等の従来公知の塗工法を用いることができる。
その後、塗工した光拡散層形成用樹脂組成物を乾燥後、所定の硬化処理を行うことで、光拡散層を形成する工程を行う。
上記塗工した光拡散層形成用樹脂組成物を乾燥させる工程では、例えば、加熱を行うことにより、溶媒を除去する。
上記所定の硬化処理としては、特に限定されず、バインダー樹脂として硬化性樹脂を用いる場合には、熱、光、電子線、電離放射線等を用いてバインダー樹脂を硬化させる。
本発明によれば、全光線透過率を低下させることなく、優れた光拡散性を実現することが可能な光拡散フィルム、及び、中空微粒子に膨潤、変形等が生じにくく、所望の光拡散性能を有する光拡散フィルムを得ることが可能な光拡散フィルムの製造方法を提供できる。
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
(実施例1)
(1)中空微粒子の調製
アクリロニトリル25重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリオキシエチレンジメタクリレート25重量部(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)、トリメチロールプロパントリアクリレート50重量部と、中空化剤としてノルマルヘキサン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)と0.02重量%亜硝酸ナトリウムとの水溶液に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子の分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た。
(2)光拡散層形成樹脂組成物の調製
得られた中空微粒子20重量部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レーヨン株式会社製:メタクリル酸とアクリルモノマーの共重合体)を15重量部、溶媒としてトルエン20重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
(3)光拡散フィルムの作製
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ150μmのポリエステル樹脂シート上に塗布し、120℃、3分間乾燥して、厚さ80μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(実施例2)
(1)中空微粒子の調製
メタクリル酸メチル20重量部、メタクリロニトリル40重量部と、架橋性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート40重量部と、非重合性物質としてシクロヘキサン150重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、シクロヘキサン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液370重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にシクロヘキサンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合させた後、重合器を室温まで冷却して、液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を含有する分散液を得た。得られた分散液の溶媒を、遠心分離機を用いてイソプロパノールに置換し、シクロヘキサンを内包する中空微粒子のイソプロパノール分散液を得た。
(2)光拡散層形成樹脂組成物の調製
得られたシクロヘキサン内包中空微粒子のイソプロパノール分散液250重量部(乾燥粉体に換算すると22重量部)、バインダー樹脂として紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリル系モノマー)を30重量部、ベンゾフェノン系光重合開始剤5重量部、溶媒としてトルエン10重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
(3)光拡散フィルムの作製
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ80μmのトリアセチルセルロースシート上に塗布し、80℃、5分間乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、厚さ40μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(比較例1)
(1)中空微粒子の作製
モノマー成分として、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)50重量部、メタクリル酸メチル30重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、非重合性物質としてヘプタン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ヘプタン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液400重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にヘプタンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。8時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包多孔質微粒子を含有する分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、多孔質微粒子を得た。
(2)光拡散層形成樹脂組成物の調製
得られた多孔質微粒子20重量部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レーヨン株式会社製:メタクリル酸とアクリルモノマーの共重合体)を15重量部、溶媒としてトルエン20重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
(3)光拡散フィルムの作製
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ150μmのポリエステル樹脂シート上に塗布し、120℃、3分間乾燥して、厚さ70μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(比較例2)
(1)中空微粒子の調製
メタクリル酸メチル45重量部、メタクリロニトリル50重量部と、架橋性モノマーとしてトリメチロールプロパントリアクリレート5重量部と、非重合性物質としてヘプタン140重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、ヘプタン分散型の一次乳化液を調製した。
その後、得られた一次乳化液を、分散剤としてのポリビニルアルコール(PVA)1重量%、水溶性重合禁止剤としての亜硝酸ナトリウムを0.02重量%含有するイオン交換水溶液370重量部に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌することにより、水媒体中にヘプタンを内包する油滴が分散された複合エマルジョンからなる二次乳化液を得た。
攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20L容の重合器を用い、重合器内を減圧して容器内の脱酸素を行った後、窒素置換して重合器内部を窒素雰囲気とした。その後、二次乳化液を一括投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始させた。4時間重合させた後、重合器を室温まで冷却して、液体を内包するマイクロカプセル型ポリマー粒子を含有する分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た。
(2)光拡散層形成樹脂組成物の調製
得られた中空微粒子45重量部、バインダー樹脂として紫外線硬化型樹脂(ウレタンアクリル系モノマー)を30重量部、ベンゾフェノン系光重合開始剤5重量部、溶媒としてトルエン50重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
(3)光拡散フィルムの作製
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ80μmのトリアセチルセルロースシート上に塗布し、120℃、5分間乾燥した後、紫外線照射により硬化処理して、厚さ30μmの光拡散層を形成し、光拡散フィルムとした。
(比較例3)
(1)中空微粒子の調製
アクリロニトリル10重量部と、多官能アクリル系モノマーとして、ポリプロピレングリコールジメタクリレート(ポリオキシプロピレンユニット数=約7;日本油脂社製、ブレンマーPDP−400)10重量部、ポリオキシエチレンジメタクリレート(ポリオキシエチレンユニット数=1;日本油脂社製、ブレンマーPDE−50R)10重量部、トリメチロールプロパントリアクリレート70重量部と、中空化剤としてノルマルヘキサン100重量部及び重合開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.3重量部を混合、攪拌し、モノマー溶液を調製した。
得られたモノマー溶液の全量を、1重量%ポリビニルアルコール(PVA)と0.02重量%亜硝酸ナトリウムとの水溶液に加え、攪拌分散装置を用いて攪拌し、乳化懸濁液を得た。
次に、攪拌機、ジャケット、還流冷却機及び温度計を備えた20リットルの重合器を用い、重合器内を減圧し、容器内の脱酸素を行った後、窒素ガスにより圧力を大気圧まで戻し、重合器内部を窒素雰囲気とした。この重合器内に、上記で得られた乳化懸濁液の全量を一括して投入し、重合器を60℃まで昇温して重合を開始した。4時間重合した後、重合器を室温まで冷却して、溶剤内包マイクロカプセル分散液を得た。得られた分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た。
(2)光拡散層形成樹脂組成物の調製
得られた中空微粒子18重量部、バインダー樹脂としてアクリル系樹脂(三菱レーヨン株式会社製:メタクリル酸とアクリルモノマーの共重合体)を15重量部、溶媒としてトルエン25重量部を混合・攪拌して光拡散層形成用樹脂組成物を調製した。
(3)光拡散フィルムの作製
得られた光拡散層形成樹脂組成物を、スピンコーターを用いて、厚さ150μmのポリエステル樹脂シート上に塗布し、120℃、3分間乾燥して、厚さ100μmの反射防止フィルムを形成した。
(評価)
(1)平均粒子径
各実施例及び比較例で得られた中空微粒子、及び、同サンプルを内温200℃のオーブンで10分間加熱した後の中空微粒子を投下型電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から350個分の写真を無作為に抽出し、長径及び短径を計測した。
そして、長径を粒子径とし、その数平均を平均粒子径とした。
(2)空隙率
各実施例及び比較例で作製した中空微粒子を透過型電子顕微鏡で写真撮影し、得られた写真から350個分の写真を無作為に抽出し、粒子内孔径を測定し、その数平均を求めた。
そして、得られた中空微粒子を真球と仮定して、平均粒子径(外径)及び平均内孔径からそれぞれ体積を求めた後、{(空孔の体積/中空微粒子の体積)×100}を算出することにより、空隙率を求めた。
(3)有機溶剤浸漬後の体積変化率(膨潤率)
実施例及び比較例で得られた中空微粒子10重量部とトルエン100重量部とを混合し、メスシリンダー中に入れて沈降した直後の体積をV1、トルエン中に24時間浸漬した後のメスシリンダー中での中空微粒子の体積をV2とし、(V2/V1)×100を算出することにより求めた。
なお、実施例2で得られたシクロヘキサンを内包する中空微粒子のイソプロパノール分散液については、分散液を、噴霧乾燥機を用いて乾燥し、液体を内包しない中空微粒子を得た後、上記方法にて膨潤率を求めた。
(4)光拡散層の内部状態
実施例及び比較例で得られた光拡散フィルムの光拡散層の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、光拡散層の中空微粒子の状態を評価した。
(5)光拡散シートの全光線透過率とヘイズ値測定
ヘイズメーター(日本電色工業株式会社製、NDH−2000)を用いて光拡散フィルムの全光線透過率とヘイズ値を測定した。
Figure 2009237342
本発明によれば、全光線透過率を低下させることなく、優れた光拡散性を実現することが可能な光拡散フィルム、及び、中空微粒子に膨潤、変形等が生じにくく、所望の光拡散性能を有する光拡散フィルムを得ることが可能な光拡散フィルムの製造方法を提供することができる。

Claims (6)

  1. 透明基材層上に、単孔構造を有する中空微粒子及びバインダー樹脂を含有する光拡散層が積層された光拡散フィルムであって、
    前記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、
    前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる
    ことを特徴とする光拡散フィルム。
  2. 単孔構造を有する中空微粒子は、空隙率が30〜95体積%であることを特徴とする請求項1記載の光拡散フィルム。
  3. 単孔構造を有する中空微粒子の中空部に、前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルと屈折率が異なる透明な液体が内包されていることを特徴とする請求項1又は2記載の光拡散フィルム。
  4. 単孔構造を有する中空微粒子、バインダー樹脂及び溶媒を含有する光拡散層形成用樹脂組成物を調製する工程、
    前記光拡散層形成用樹脂組成物を透明基材フィルムに塗工する工程、
    塗工した光拡散層形成用樹脂組成物を乾燥後、所定の硬化処理を行うことで、光拡散層を形成する工程を有する光拡散フィルムの製造方法であって、
    前記単孔構造を有する中空微粒子は、平均粒子径が0.5〜30μmであり、かつ、
    前記単孔構造を有する中空微粒子のシェルは、架橋性モノマーに由来する成分を30重量%以上含有する樹脂からなる
    ことを特徴とする光拡散フィルムの製造方法。
  5. 単孔構造を有する中空微粒子は、有機溶剤による膨張率が100〜110体積%であることを特徴とする請求項4記載の光拡散フィルムの製造方法。
  6. バインダー樹脂は、電離放射線硬化型樹脂を含有することを特徴とする請求項4又は5記載の光拡散フィルムの製造方法。
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