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JP2003073144A - 多成分を有するガラス基板用の微細加工表面処理液 - Google Patents

多成分を有するガラス基板用の微細加工表面処理液

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JP2003073144A
JP2003073144A JP2001265039A JP2001265039A JP2003073144A JP 2003073144 A JP2003073144 A JP 2003073144A JP 2001265039 A JP2001265039 A JP 2001265039A JP 2001265039 A JP2001265039 A JP 2001265039A JP 2003073144 A JP2003073144 A JP 2003073144A
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hydrofluoric acid
dissociation constant
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Masayuki Miyashita
雅之 宮下
Tatsuhiro Yabune
辰弘 藪根
Tadahiro Omi
忠弘 大見
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Stella Chemifa Corp
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Publication date
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    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C15/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by etching
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
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    • C03C15/02Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by etching for making a smooth surface

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 多成分を有する例えば液晶や有機ELなどの
フラットパネルディスプレイ用のガラス基板自体を結晶
の析出及び表面あれを生じさせることなく加工する事が
出来る多成分を有するガラス基板用の均一組成を有する
微細加工表面処理液を提供すること。 【解決手段】フッ化水素酸を含有するとともに、フッ化
水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を少なくとも一種以
上含有することを特徴とする。フッ化水素酸を含有する
とともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を
少なくとも一種以上含有する薬液であり、該フッ化水素
酸よりも酸解離定数が大きい酸の含有量をxとし、ガラ
ス基板をエッチングする液温における該薬液の熱シリコ
ン酸化膜に対するエッチレートをf(x)[A/mi
n]としたとき、該薬液は、x=xおいて極小値f
(x)を有し、x=xにおいてf(x)={f(x
)}/2を有し、(2/5)*x<x<x の範
囲で該フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を含有
することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多成分を有するガ
ラス基板用の微細加工表面処理液に係り、更に詳しくは
半導体素子製造時に、種々のカチオンおよびそれらのカ
チオン酸化物を有するガラス基板を微細加工するため湿
式でエッチング・洗浄する目的、及び微細加工された半
導体素子を有するガラス基板表面をエッチング・洗浄す
る目的に対して、極めて有効である多成分を有するガラ
ス基板用の微細加工表面処理液に関する。
【0002】
【従来の技術】フラットパネルディスプレイ用製造の湿
式プロセスにおいて、種々のカチオンおよびそれらのカ
チオン酸化物を有するガラス基板表面及びその微細加工
済み表面のエッチング・洗浄及びパターニングの清浄化
・精密化は、ディスプレイの高精細化の進展と共に益々
必要性が高まっている。フッ化水素酸(HF)及びフッ
化水素酸(HF)とフッ化アンモニウム(NHF)の
混合溶液(バッファードフッ酸(BHF))は共にこの
プロセスの重要かつ必要不可欠の微細加工表面処理剤と
して、エッチング・洗浄の目的に使用されているが、更
なる高精細化のため、その高性能化と高機能化が必要と
なってきた。
【0003】液晶や有機ELなどのフラットパネルディ
スプレイ用のガラス基板に関しては、ディスプレイの軽
量化・省電力化等の要求により薄型化が進んでいる。と
ころが、製造プロセスにおいて、いわゆるマザーガラス
としては生産効率・コスト低減の面から、大型化してい
る。この大型の基板を薄くして製造を行う場合、どうし
てもプロセス上で必要とされる機械強度等の面から、薄
型化に限界が生じる。そこで、更なる薄型化をおこなう
ためには、基板自体を微細加工処理する必要がある。
【0004】ところが、種々のカチオンおよびそれらの
酸化物を有する基板、特に多成分を有するガラス基板等
を用いる製造プロセスにおいて、それらの基板を従来の
フッ化水素酸およびバッファードフッ酸でエッチング・
洗浄を行うと結晶が析出して基板表面に付着する。処理
後の基板表面が大きくあれる。等により、不均一なエッ
チング及び洗浄が進行する問題が生じている。
【0005】に関しては、付着した結晶の分析から、
基板中に含まれるカチオン由来のフッ化物であることが
分かった。これらのカチオンフッ化物は、水溶性が低
く、フッ化水素酸およびバッファードフッ酸に対する溶
解度も非常に低いため結晶として析出し、基板表面に付
着することがわかった。
【0006】に関しては、析出した結晶の基板表面へ
の付着によりエッチングが阻害されるため、および/ま
たは、基板中に含まれるカチオンおよびそれらの酸化物
のエッチング反応速度がそれぞれ異なり、結果としてエ
ッチレートおよびエッチング量にばらつきが生じるため
である。
【0007】この基板自体を微細加工処理する技術にお
いて最も重要となるのは、基板自体に表面あれを生じさ
せることなく均一に加工処理することである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、多成分を有
する例えば液晶や有機ELなどのフラットパネルディス
プレイ用のガラス基板自体を結晶の析出及び表面あれを
生じさせることなく均一に加工する事が出来る多成分を
有するガラス基板用の微細加工表面処理液を提供するこ
とである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
を解決するべく鋭意検討を重ねた結果、フッ化水素酸を
含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が大
きい酸を少なくとも一種以上含有することを特徴とする
多成分を有するガラス基板用の微細加工表面処理液を提
供することにより、上記の課題が解決することを見いだ
し、本発明を完成するに至った。
【0010】すなわち、本発明は、第1には、Fイオ
ンを含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数
が大きい酸を少なくとも一種以上含有することを特徴と
する多成分を有するガラス基板用の均一組成を有する微
細加工表面処理液である。
【0011】また、本発明は、第2には、フッ化水素酸
を含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が
大きい酸を少なくとも一種以上含有することを特徴とす
る多成分を有するガラス基板用の均一組成を有する微細
加工表面処理液である。
【0012】また、本発明は第3には、フッ化水素酸を
含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が大
きい酸を少なくとも一種以上含有する溶液であり、該フ
ッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸の含有量をx
[mol/kg]、熱シリコン酸化膜に対するエッチレ
ートをf(x)[Å/min]とした場合に、該溶液
は、x=xおいて極小値f(x)を有することを特
徴とする多成分を有するガラス基板用の均一組成を有す
る微細加工表面処理液である。
【0013】また、本発明は、第4には、フッ化水素酸
を含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が
大きい酸を少なくとも一種以上含有する溶液であり、該
フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸の含有量をx
[mol/kg]、熱シリコン酸化膜に対するエッチレ
ートをf(x)[Å/min]とした場合に、該溶液
は、x=xにおいて極小値f(x)を有し、(2/
5)*x<xの範囲で該フッ化水素酸よりも酸解離定
数が大きい酸の含有することを特徴とする多成分を有す
るガラス基板用の均一組成を有する微細加工表面処理液
である。
【0014】また、本発明は、第5には、フッ化水素酸
を含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が
大きい酸を少なくとも一種以上含有する溶液であり、該
フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸の含有量をx
[mol/kg]、熱シリコン酸化膜に対するエッチレ
ートをf(x)[Å/min]とした場合に、該溶液
は、x=xにおいてf(x=0)={f(x)/2}
を有し、x<xの範囲で該フッ化水素酸よりも酸解離
定数が大きい酸を含有することを特徴とする多成分を有
するガラス基板用の均一組成を有する微細加工表面処理
液。
【0015】また、本発明は、第6には、フッ化水素酸
を含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が
大きい酸を少なくとも一種以上含有する溶液であり、該
フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸の含有量をx
[mol/kg]、熱シリコン酸化膜に対するエッチレ
ートをf(x)[Å/min]とした場合に、該溶液
は、x=xにおいて極小値f(x)を有し、x=x
においてf(x=0)={f(x)/2}を有し、
(2/5)*x<x<xの範囲で該フッ化水素酸よ
りも酸解離定数が大きい酸を含有することを特徴とする
多成分を有するガラス基板用の均一組成を有する微細加
工表面処理液。
【0016】また、本発明は、第7には、フッ化水素酸
よりも酸解離定数が大きい酸が無機酸であり、一価ある
いは多価の酸であることを特徴とする前項10ないし1
5のいずれか1項記載の多成分を有するガラス基板用の
均一組成を有する微細加工表面処理液である。
【0017】また、本発明は、第8には、フッ化水素酸
よりも酸解離定数が大きい酸が、HCl、HBr、HN
、HSOのいずれか1種以上であることを特徴
とする前項10ないし16のいずれか1項記載の多成分
を有するガラス基板用の均一組成を有する微細加工表面
処理液である。
【0018】また、本発明は第9には、界面活性剤を重
量%で0.0001〜1%含むことを特徴とする前項1
0ないし17のいずれか1項記載の多成分を有するガラ
ス基板用の均一組成を有する微細加工表面処理液であ
る。
【0019】また、本発明は第10には、多成分を有す
るガラス基板は、珪酸を主成分とし、さらに、Al、B
a、Ca、Mg、Sb、Sr、Zrのいずれか1種以上
を含有することを特徴とする前項10ないし18のいず
れか1項記載の多成分を有するガラス基板用の均一組成
を有する微細加工表面処理液である。
【0020】また、本発明は第11には、前記ガラス基
板は、フラットパネルディスプレイ用のガラス基板であ
ることを特徴とする前項10ないし19のいずれか1項
記載の多成分を有するガラス基板用の均一組成を有する
微細加工表面処理液である。
【0021】また、本発明は第12には、フッ化水素酸
の含有量は、8mol/kg以下であることを特徴とす
る前項10ないし20のいずれか1項記載の多成分を有
するガラス基板用の均一組成を有する微細加工表面処理
液である。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明を詳細に説明す
る。本発明はまず、結晶の析出と、基板表面の荒れの原
因の探求を行ったところ次の知見を得た。
【0023】エッチング反応によりガラス基板中に含ま
れる金属成分が薬液中へ溶解して生じたガラス基板に由
来するカチオンが、薬液中に含有されるアニオン種、例
えばフッ素イオン(Fイオン)と反応して使用薬液に
対して極めて溶解性の低い金属塩(例えばフッ化物塩)
を生じ、これらがガラス基板表面に析出・付着して、エ
ッチングを阻害するために被エッチング面が凹凸となり
その結果ガラス基板が不透明になる。
【0024】また、種々のカチオン及びそれらの酸化物
等の多成分を含有するガラス基板表面をエッチングする
と、それらのエッチレートが大きく異なるため不均一な
エッチチングが進行することにより、被エッチング面が
荒れ、被エッチング面に凹凸が発生する。
【0025】これらを解決するためには、ガラス基板中
に含まれる各成分のエッチレートを均一にすること、お
よびそれらが溶解してイオン化したカチオンから、溶解
性の極めて低いそれらのフッ化物を生成させないことが
必要である。そのためには、カチオンおよびそれらの酸
化物が高い溶解性を有し、薬液中へ溶解後、薬液中でイ
オンとして安定に存在できることが最も望ましい。
【0026】難溶性のフッ化物を生成させないために
は、薬液中のFイオン濃度を下げることが効果的であ
る。
【0027】ところが、ガラス基板自体の主たる成分が
シリコン酸化物であるため、ガラス基板をエッチングす
るためにはフッ化水素酸あるいはバッファードフッ酸の
様に、シリコン酸化物を溶解する能力を有した薬液に限
られてくる。
【0028】また、シリコン酸化物のエッチング反応に
おけるドミナントイオンはHF2−イオンである。
【0029】従って、多成分を有するガラス基板を均一
にエッチングするためには、薬液中のFイオンを減少
させる一方で、HF2−イオンを効率よく生成する必要
がある。このためには、HFよりも酸解離定数が大きい
酸を最適量添加することで、フッ化水素酸(Fイオ
ン)を含有する溶液中のHFの解離(Fイオン濃度)
を制御した微細加工表面処理液が必要である。酸解離定
数がHF以下である酸では、HF2−イオンを効率よく
生成することは困難である。
【0030】薬液中のFイオンの含有に関しては、O
RION社製Fイオンメ−タ−を用いて測定できる。
【0031】そのために、本発明では、フッ化水素酸を
含有するとともに、フッ化水素酸よりも酸解離定数が大
きい酸を少なくとも一種以上含有することが必要であ
る。
【0032】本発明の多成分を有するガラス基板用の微
細加工表面処理液は、フッ化水素酸よりも酸解離定数が
大きい酸の含有量をx[mol/kg]とし、該溶液の
熱シリコン酸化膜に対するエッチレートをf(x)[Å
/min]とした場合に、該溶液は、x=xにおいて
極小値f(x)を有し、ガラス基板由来成分の溶解性
に関しては、(2/5)*x<xの範囲で該フッ化水
素酸よりも酸解離定数が大きい酸を含有することが好ま
しく、x=xにおいてf(x=0)={f(x)/
2}を有し、エッチング後のガラス基板表面マイクロラ
フネスからは、x<xの範囲で該フッ化水素酸よりも
酸解離定数が大きい酸を含有することが好ましい。
【0033】次に上記の通り各成分の組成範囲を限定し
た理由について述べる。
【0034】フッ化水素酸中では、HFがイオンに解離
することにより、Fイオンが存在する。フッ化水素よ
りも酸解離定数の大きな酸を添加すると、HFの酸解離
平衡状態を保つためにHF2−イオンの分解によるHF
およびF−イオンの生成と、この生成したFイオンと
添加されたHイオンとがHFを生成する新たな解離平
衡状態が生じると思われる。その結果、エッチング反応
のドミナントイオンがHF2−イオンである熱シリコン
酸化膜のエッチレートf(x)は、酸の添加量xと共に
減少し、ある点(x=x)で極小値f(x)を示
す。
【0035】また、極小値を示した後更に酸添加量xが
増加すると、再び熱シリコン酸化膜に対するエッチレー
トf(x)が増加し、ある点(x=x)でf(x=0)
=f(x)を示し、その後も酸添加量xが増加する
と、熱シリコン酸化膜に対するエッチレートf(x)は
増加する。
【0036】この様に、フッ化水素よりも酸解離定数の
大きな酸を添加することで、液中の解離状態を制御して
液中のFイオン濃度を低減することが出来る。
【0037】極小値f(x)を示す添加量をxとし
たとき、(2/5)*x<xの範囲でフッ化水素より
も酸解離定数の大きな酸を添加し、Fイオン濃度を制
御することにより、ガラス基板中の各成分が薬液中に溶
解して生じたカチオンが溶解性の極めて低いそれらのフ
ッ化物を生成することを制御できる。
【0038】フッ化水素よりも酸解離定数の大きな酸の
添加量xを(2/5)*x<x<xの範囲内に設定
することが、ガラス面に結晶物の付着や凹凸を生じるこ
となく均一で初期と同等の透明度を維持したエッチング
が可能となる点で好ましく、(1/2)*x<x<x
+(x−x)*(3/5)の範囲内に設定するこ
とがより好ましく、(3/5)*x<x<x+(x
−x)/2の範囲内に設定することが特に好まし
い。
【0039】添加する酸の種類は特に限定されるもので
はなく、塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸等の無機酸でも
蓚酸、酒石酸、ヨウド酢酸、フマル酸、マレイン酸等の
有機酸でも良い。薬液組成が均一になる点で親水性の酸
が好ましい。また、被エッチング面の有機物汚染を抑制
できる点で無機酸が好ましく、その中でも酸解離定数が
大きい点で塩酸、硝酸、硫酸、臭化水素酸がより好まし
い。添加する酸としては、一価の酸あるいは多価の酸を
用いることができる。多価の酸の場合、少ない添加量で
多くのHを得ることができる利点がある。本発明の効
果が最もバランス良い点でHClが特に好ましいが、ガ
ラス基板中のカチオンおよびそれらのカチオン酸化物の
存在率を考慮して添加する酸の種類を選定することが好
ましい。添加する酸は、1種のみでも良く、複数の酸を
併用しても良い。
【0040】また、エッチングの均一性の更なる向上や
レジストなどに対する濡れ性の向上あるいは粒子付着等
の抑制効果のために界面活性剤を含有することも被エッ
チング面の荒れを抑制できる点で好ましく、その含量は
本発明のエッチング剤に対して0.0001〜1重量%
であることが好ましい。
【0041】熱シリコン酸化膜に対するエッチレートを
予め実験的に求めておけば、f(x)が極小値を与える
フッ化水素よりも酸解離定数の大きな酸の添加量x
よびf(x=0)={f(x)/2}を与えるフッ化水
素よりも酸解離定数の大きな酸の添加量xを容易に得
ることができる。
【0042】本発明においては、ガラス基板中の各成分
が薬液中に溶解して生じたカチオンの溶解性は、フッ化
水素よりも酸解離定数の大きな酸の添加量xが(2/
5)*x<xの範囲内であることが好ましく、x
2<xの範囲内であることがより好ましい。
【0043】また、ガラス面に結晶物の付着や凹凸を生
じることなく、初期と同等の透明度を維持した均一エッ
チングを可能とせしめるには、フッ化水素よりも酸解離
定数の大きな酸の添加量xは、(2/5)*x<x<
の範囲内であることが好ましい。
【0044】本発明の多成分を有するガラス基板用のエ
ッチング液は、フッ化水素酸、フッ化水素酸よりも酸解
離定数が大きい酸を必須成分とし、界面活性剤を任意に
含有することができるが、その他の化合物も本発明を阻
害しない範囲内において含有することが可能である。
【0045】また、本発明の多成分を有するガラス基板
用のエッチング液中に含まれる金属成分は、特に限定さ
れるものではないが、ガラス基板由来成分の溶解性の向
上並びに被エッチング面を荒さない等の点において、そ
の濃度が1[ppb]以下であることが好ましく、0.
5[ppb]以下であることがより好ましく、0.01
[ppb]以下であることがさらに好ましい。
【0046】多成分を有するガラス基板は、珪酸を主成
分としていれば含有される金属成分は特に限定されるも
のではないが、Al、Ba、Ca、Mg、Sb、Sr、
Zrのいずれか1種以上を含有するものに対し本発明は
特に効果的である。
【0047】前記ガラス基板は、フラットパネルディス
プレィ用のガラス基板が対象として好適である。
【0048】フッ化水素酸の含有量は、8mol/kg
以下であることが好ましい。また、フッ化水素酸の含有
量の増加に伴い、ガラス基板に対するエッチレートが増
加すると、被エッチング表面近傍での溶解したカチオン
の局所的な溶解性が問題となり、より高い溶解性が求め
られる。従って、フッ化水素酸の含有量は、5mol/
kg以下であることがより好ましい。
【0049】
【実施例】以下、実施例により本発明の方法をさらに具
体的に説明するが、本発明はこれらにより制限されるも
のではない。
【0050】先ず、企画実験として塩酸添加量の異なる
塩酸混酸HFを調整した。調液した塩酸混酸HFの組成
と特徴は下表1の通りである。
【0051】
【表1】
【0052】ガラス基板の例として、今回実験に用いた
LCD(液晶ディスプレイ)用ガラス基板をEDX(エ
ネルギ−分散型X線分析装置)にて成分分析した結果を
表2に示します。
【0053】
【表2】
【0054】表1の示した薬液組成のうち、1[mol
/kg]−HFについて塩酸添加量x[mol/kg]
としたとき(以下、1/x系と記す場合がある。)、薬
液温度が23℃での熱シリコン酸化膜に対するエッチレ
ートf(x)の塩酸添加量x[mol/kg]への依存
性を図1に示す。
【0055】なお、図1中のx、xは、それぞれ熱
シリコン酸化膜に対するエッチレートf(x)が極小値
を示す酸添加量x、およびf(x=0)={f
(x)}/2を示す酸添加濃度xをそれぞれ表して
いる。
【0056】ガラス基板をエッチングして、エッチング
量に対して、薬液量を大過剰とすることで基板中のカチ
オンが薬液中で完全に溶解した均一組成の薬液につい
て、エッチング量とガラス基板由来のカチオンの溶出量
との関係を調べた。薬液中のガラス基板由来のカチオン
の溶出量は、ICP―MS(誘導結合高周波数プラズマ
質量分析装置:横河ヒュウレットパッカード社製HP−
4500)を用いて行った。
【0057】ガラス基板由来のカチオンとして、Al成
分について測定した結果を図2に示す。
【0058】図2から、エッチング量に一次元的に比例
して薬液中のAl成分の量が増加していることからAl
成分がガラス基板中で均一に存在していることが分か
る。また、このガラス基板を種々の組成の薬液でエッチ
ングした場合、エッチング量に対して、薬液中へ溶出し
たAl成分の量がこの一次直線の値より小さくなる場合
は、ガラス基板中からAl成分がエッチングされなかっ
た、あるいはエッチングにより溶出した後、用いた薬液
に対する溶解性が低いAl成分の塩(例えばフッ化物)
の結晶を生成し、析出したことを表している。すなわ
ち、種々の組成の薬液を用いて、ガラス基板中の各カチ
オンについて同様の測定を行うことで、該カチオンの該
薬液に対する溶解性を評価できる。
【0059】そこで、1.0[mol/kg]−HFに
ついて塩酸添加量xに対して、ガラス基板をエッチング
した場合のエッチング量と薬液中に溶出したガラス基板
由来のカチオン成分の量との関係を調べた結果をガラス
基板中に含まれる主なカチオン成分として、図3にB
a、図4にCa、図5にSr、について示す。
【0060】前記の図2、図3、図4、図5から、1.
0[mol/kg]−HFについて塩酸添加量xに対し
て、x>(2/5)*xでガラス基板中に含まれる主
なカチオン成分としてAl、Ba、Ca、Srの該薬液
中への溶解性が増加することがわかる。さらに、1.0
[mol/kg]−HFにおいて、HClの添加量xと
し、熱シリコン酸化膜に対する液温23℃でのエッチレ
ートf(x)が極小値を示すx=x[mol/kg]
はx=0.5[mol/kg]となり、x>(2/
5)*x=(2/5)*0.5=0.2[mol/k
g]の範囲でガラス基板中に含まれる主なカチオン成分
の薬液中への溶解性がより優れることがわかります。な
お、ガラス基板の主成分である珪素(Si)・珪酸(S
iO)の溶解性については、該薬液は極めて良好であ
る。
【0061】ここで、ガラス基板に含有される金属元素
に関して、フッ化物としての水に対する溶解度は塩化物
等の他のハロゲン化塩と比較して溶解度が低いことが知
られている。つまり、F以外のハロゲン種を導入するこ
とによりフッ化塩の―部でも他のハロゲン塩に置換でき
ればガラス基板洗浄液の基板中に存在するカチオンに起
因した難溶性の結晶(フッ化塩)の析出が減少すること
が期待できる。
【0062】HClの添加により薬液中へHイオンと
Clイオンが添加されることになる。このHイオン
の添加により薬液中の解離平衡反応が制御されることに
よる薬液中のFイオン濃度の低下とClイオンの添
加により、ガラス基板に含有されるカチオン成分が溶出
後、F化物よりも溶解性の高いCl化物を生成するため
基板中に存在するカチオンに起因した結晶の析出が減少
する。
【0063】薬液中のHFおよびHClの全酸量が同じ
場合には、HFに対する塩酸の比率(Cl/F比率)が
大きい程、溶解性に優れることが分かった。
【0064】本発明者らは、表1に示した種々の薬液組
成について調べた結果、HClの添加量xとし、薬液の
熱シリコン酸化膜に対する液温23℃でのエッチレート
f(x)が極小値を示すx=x[mol/kg]とし
たとき、x>{(2/5)*x}で、xの増加にとも
ないガラス基板中に含まれるカチオンの溶解性が増加す
ることを明らかとした。
【0065】次に、エッチング後のガラス基板表面のマ
イクロラフネスの評価について開示する。
【0066】1.0[mol/kg]−HFについて塩
酸添加量xに対して、ガラス基板を25μm、50μ
m、100μmエッチングした後の基板表面のマイクロ
ラフネスを、Ra値を測定することで調べた結果を表3
に示す。マイクロラフネス(Ra値)の測定は、接触式
段差計(α−ステップ250;TENCOR社製)を用
いて行った。
【0067】
【表3】
【0068】表3から、1.0[mol/kg]−HF
については、塩酸添加量xが、x<4で基板表面のマイ
クロラフネスの増加が抑制されていることが分かる。つ
まり、1[mol/kg]−HFにおいて、HClの添
加量xとした場合、熱シリコン酸化膜に対する液温23
℃でのエッチレートf(x)が2*{f(x=0)}と等
しくなる添加量x=x(mol/kg)はx=4
(mol/kg)となり、x<4で、ガラス基板表面の
マイクロラフネスの増加を抑制できることがわかる。な
お、1.0[mol/kg]−HF/0.5[mol/
kg]−HCl組成のHClをHNO及びHSO
に変えた薬液について評価した結果は、HClの場合と
同等の性能が確認された。
【0069】本発明者らは、表1に示した種々の薬液組
成について、前項と同様にしてエッチング後のガラス基
板表面の表面マイクロラフネス(Ra値)を調べた結
果、HClの添加量xとし、薬液の熱シリコン酸化膜に
対する液温23℃でのエッチレートf(x)が2*{f
(x=0)}と等しくなる添加量をx=x(mol/k
g)としたとき、x<xで基板表面のマイクロラフネ
スの増加が抑制されることを明らかとした。なお、1.
0[mol/kg]−HF/0.5[mol/kg]−
HCl組成のHClをHNO及びHSOに変えた
薬液について評価した結果は、HClの場合と同等の性
能が確認された。
【0070】上記のフラットパネルディスプレイ用の多
成分を有するガラス基板に含まれるカチオンの溶解性の
向上およびエッチング後のガラス基板表面のマイクロラ
フネス増加の抑制の両点から、HFを含有する溶液にH
Clを添加した薬液については、HClの添加量をxと
し、薬液の熱シリコン酸化膜に対する液温23℃でのエ
ッチレートf(x)が極小値を示すx=x [mol
/kg]とエッチレートf(x)が2*{f(x=0)}
と等しくなる添加量をx=x (mol/kg)とし
たとき、(2/5)*x<x<xの範囲でHCl
を添加することでより均一に加工する事が出来きること
が分かった。
【0071】
【発明の効果】本発明は、多成分を有する例えば液晶や
有機ELなどのフラットパネルディスプレイ用のガラス
基板自体を結晶の析出及び表面あれを生じさせることな
く加工する事が出来る。
【0072】また、本発明の処理液はフィルターの洗浄
液としても用いることができる。すなわち、ガラスのエ
ッチングを行った後の液中にはガラス中のカチオンと反
応したフッ化反応物が含まれている。フッ化反応物を除
去し液をろ過するためにフィルタ等を通過させるが、使
用を重ねるにつれ、やがてフィルタは目詰まりを起こ
す。そこで、フィルタを本発明のエッチング液により洗
浄すれば目詰まりの原因であるフッ化反応物をフィルタ
ーから除去することができ、フィルターの再生が可能と
なる。
【0073】また、本発明における酸添加濃度域におい
ては多成分を有するガラス基板表面が表面荒れを生じる
ことなく均一にエッチングされるので、エッチング後の
表面を観察することにより、凹凸が生じていればガラス
基板中のその箇所に、気泡等も含めた某かの欠陥を生じ
ていたことが分かる。従って、このガラス基板を均一に
エッチングできる薬液にてエッチングを行うことでガラ
ス基板の欠陥検出が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フッ化水素酸よりも解離定数が大きい酸として
HClを添加した際のHCl含有量と熱酸化膜のエッチ
ングレートとの関係およびガラス基板に対するエッチレ
ートの関係を示すグラフである。
【図2】Al成分の結晶析出濃度と酸添加量の関係を示
した図である。
【図3】Ba成分の結晶析出濃度と酸添加量の関係を示
した図である。
【図4】Ca成分の結晶析出濃度と酸添加量の関係を示
した図である。
【図5】Sr成分の結晶析出濃度と酸添加量の関係を示
した図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 藪根 辰弘 大阪府堺市海山町7丁227番地ステラケミ ファ株式会社内 (72)発明者 大見 忠弘 宮城県仙台市青葉区荒巻字青葉05 東北大 学大学院工学研究科電子工学科内 Fターム(参考) 2H090 JA02 JB02 JC03 JC06 JC19 4G059 AA08 AC30 BB04 BB14 BB17

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fイオンを含有するとともに、フッ化
    水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を少なくとも一種以
    上含有することを特徴とする多成分を有するガラス基板
    用の微細加工表面処理液。
  2. 【請求項2】 フッ化水素酸を含有するとともに、「フ
    ッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸」を少なくとも
    一種以上含有することを特徴とする多成分を有するガラ
    ス基板用の微細加工表面処理液。
  3. 【請求項3】 フッ化水素酸を含有するとともに、フッ
    化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を少なくとも一種
    以上含有する溶液であり、該フッ化水素酸よりも酸解離
    定数が大きい酸の含有量をx[mol/kg]、熱シリ
    コン酸化膜に対するエッチレートをf(x) [Å/m
    in]とした場合に、該溶液は、x=xおいて極小値
    f(x)となったときx>xの範囲でフッ化水素酸
    よりも酸解離定数が大きい酸を有することを特徴とする
    多成分を有するガラス基板用の微細加工表面処理液。
  4. 【請求項4】 フッ化水素酸を含有するとともに、フッ
    化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を少なくとも一種
    以上含有する溶液であり、該フッ化水素酸よりも酸解離
    定数が大きい酸の含有量をx[mol/kg]、熱シリ
    コン酸化膜に対するエッチレートをf(x)[Å/mi
    n]とした場合に、該溶液は、x=x において極小値
    f(x)を有し、(2/5)*x<xの範囲で、該
    フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を含有するこ
    とを特徴とする多成分を有するガラス基板用の微細加工
    表面処理液。
  5. 【請求項5】 フッ化水素酸を含有するとともに、フッ
    化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を少なくとも一種
    以上含有する溶液であり、該フッ化水素酸よりも酸解離
    定数が大きい酸の含有量をx[mol/kg]、熱シリ
    コン酸化膜に対するエッチレートをf(x)[Å/mi
    n]とした場合に、該溶液は、x=xにおいてf(x
    =0)={f(x)}/2となるとき、x<xの範囲
    で該フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を含有す
    ることを特徴とする多成分を有するガラス基板用の微細
    加工表面処理液。
  6. 【請求項6】 フッ化水素酸を含有するとともに、フッ
    化水素酸よりも酸解離定数が大きい酸を少なくとも一種
    以上含有する溶液であり、該フッ化水素酸よりも酸解離
    定数が大きい酸の含有量をx[mol/kg]、熱シリ
    コン酸化膜に対するエッチレートをf(x)[Å/mi
    n]とした場合に、該溶液は、x=xにおいて極小値
    f(x)となり、x=xにおいてf(x=0)={f
    (x)}/2(ただし、x<x)となるとき、
    (2/5)*x<x<xの範囲で該フッ化水素酸よ
    りも酸解離定数が大きい酸を含有することを特徴とする
    多成分を有するガラス基板用の微細加工表面処理液。
  7. 【請求項7】 フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい
    酸が無機酸であり、一価あるいは多価の酸であることを
    特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項記載の多成
    分を有するガラス基板用の均一組成を有する微細加工表
    面処理液。
  8. 【請求項8】 フッ化水素酸よりも酸解離定数が大きい
    酸が、HCl、HBr、HNO、HSOのいずれ
    か1種以上であることを特徴とする請求項1ないし6の
    いずれか1項記載の多成分を有するガラス基板用の微細
    加工表面処理液。
  9. 【請求項9】 界面活性剤を重量%で0.0001〜1
    %含むことを特徴とする請求項1ないし8のいずれか1
    項記載の多成分を有するガラス基板用の微細加工表面処
    理液。
  10. 【請求項10】 多成分を有するガラス基板は、珪酸を
    主成分とし、さらに、Al、Ba、Ca、Mg、Sb、
    Sr、Zrのいずれか1種以上を含有することを特徴と
    する請求項1ないし9のいずれか1項記載の多成分を有
    するガラス基板用の微細加工表面処理液。
  11. 【請求項11】 前記ガラス基板は、フラットパネルデ
    ィスプレイ用のガラス基板であることを特徴とする請求
    項1ないし10のいずれか1項記載の多成分を有するガ
    ラス基板用の微細加工表面処理液。
  12. 【請求項12】 フッ化水素酸の含有量は、8mol/
    kg以下であることを特徴とする請求項1〜11のいず
    れか1項記載の多成分を有するガラス基板用の微細加工
    表面処理液。
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