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JP2003053968A - インクジェット式記録ヘッド - Google Patents

インクジェット式記録ヘッド

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Publication number
JP2003053968A
JP2003053968A JP2001243295A JP2001243295A JP2003053968A JP 2003053968 A JP2003053968 A JP 2003053968A JP 2001243295 A JP2001243295 A JP 2001243295A JP 2001243295 A JP2001243295 A JP 2001243295A JP 2003053968 A JP2003053968 A JP 2003053968A
Authority
JP
Japan
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recording head
case
jet recording
ink jet
ink
Prior art date
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Application number
JP2001243295A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4114333B2 (ja
Inventor
Hironari Owaki
寛成 大脇
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Seiko Epson Corp
Original Assignee
Seiko Epson Corp
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Filing date
Publication date
Application filed by Seiko Epson Corp filed Critical Seiko Epson Corp
Priority to JP2001243295A priority Critical patent/JP4114333B2/ja
Publication of JP2003053968A publication Critical patent/JP2003053968A/ja
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Publication of JP4114333B2 publication Critical patent/JP4114333B2/ja
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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 流路ユニットのケースからの剥離や接着剤に
よる連通溝の閉塞等を防止し、記録ヘッドの信頼性を高
める。 【解決手段】 共通インク室26を複数有し、各共通イ
ンク室26の一部を弾性フィルム35で区画してコンプ
ライアンス部37とした流路ユニット4と、先端面16
を接着面とすると共にこの接着面16から一段後退させ
た逃げ凹部51,52を複数有する合成樹脂製のケース
3とを備え、コンプライアンス部37と逃げ凹部51,
52とを対向させた状態で流路ユニット4とケース3と
を接着したインクジェット式記録ヘッドにおいて、一端
が逃げ凹部51,52に開口し他端が空部19に開口し
て大気開放された大気開放路55を逃げ凹部51,52
毎に形成した。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、プリンタやプロッ
タ等のインクジェット記録装置に用いられるインクジェ
ット式記録ヘッド(以下、記録ヘッドという。)に関す
る。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置に用いられる記
録ヘッドには、ノズル開口毎に複数設けられた圧力室と
各圧力室に連通した共通インク室とを有し、共通インク
室に一旦貯留されたインクを各圧力室に供給するものが
ある。そして、近年の記録ヘッドでは、多色化や高速記
録のため、複数の共通インク室を有するものが主流とな
っている。
【0003】この記録ヘッドでは、共通インク室に貯留
されたインクに過度な圧力変動が生じると、インク滴の
吐出が不安定になってしまうという問題がある。このた
め、共通インク室を弾性フィルムで区画してコンプライ
アンス部とし、共通インク室内のインクの圧力変動を、
コンプライアンス部で吸収できるようにしたものがあ
る。
【0004】例えば、記録ヘッドに用いられる流路ユニ
ットは、圧力室や共通インク室となる空部が形成された
流路形成基板と、弾性フィルムを有する振動板と、ノズ
ル開口が穿設されたノズルプレートとを積層状態で接着
することで作製される。そして、コンプライアンス部
は、振動板を流路形成基板の一方の表面に接着して、共
通インク室の1つの面を弾性フィルムとすることで構成
される。
【0005】そして、この流路ユニットは、コンプライ
アンス部をケース側に向けた状態でケースの先端面に接
着される。ここで、インクの圧力変動をコンプライアン
ス部に効率よく吸収させるため、ケース先端面における
コンプライアンス部に対向する部分を後退させて逃げ凹
部を形成している。即ち、この逃げ凹部によって形成さ
れる空間を、コンプライアンス部が変形するための作動
用空間として用いている。
【0006】なお、ケースの先端面に流路ユニットを接
着してしまうと、逃げ凹部が密閉されてしまい、コンプ
ライアンス部が変形し難くなってしまう。このため、逃
げ凹部を大気開放することが行われている。この大気開
放は、各逃げ凹部同士を連通する連通溝と、一端がこの
連通溝に開口し他端がケースにおける取付面(つまり、
先端面とは反対側の面)に開口した大気開放路とによっ
て行われている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、この
種の記録ヘッドに関しては、小型化やコストダウンの要
請が強い。このため、流路ユニットについても小型化の
要請がある。これは、流路ユニットを構成する各部、即
ち、流路形成基板、ノズルプレート、及び、弾性板は、
一枚の板状素材から複数個を作製するので、小型化する
ことにより取数が増え、コストダウンが図れるからであ
る。
【0008】しかしながら、流路ユニットを小型化する
と、流路ユニットとケースとの間の接着面積が減少して
しまう。そして、逃げ凹部同士を連通する連通溝は接着
面側が開放しているので、この連通溝の近傍部分は他の
部分よりも接着面積が減少してしまい、流路ユニットの
剥離が生じ易いという問題があった。そして、流路ユニ
ットがケースから剥離してしまうと、インク漏れ等の不
良が発生してしまう虞がある。
【0009】なお、接着面積を確保するため、連通溝の
幅を狭めることが考えられる。しかし、連通溝の幅を狭
めると、流路ユニットとケースとを押圧した際に接着面
の接着剤が連通溝側に流入して連通溝を塞いでしまう虞
がある。
【0010】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、その目的は、流路ユニットのケースからの
剥離や接着剤による連通溝の閉塞等を防止し、記録ヘッ
ドの信頼性を高めることにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記目的を達
成するために提案されたものであり、請求項1に記載の
ものは、共通インク室を複数有し、各共通インク室の一
部を弾性フィルムで区画してコンプライアンス部とした
流路ユニットと、先端面を接着面とすると共にこの接着
面から一段後退させた逃げ凹部を複数有する合成樹脂製
のケースとを備え、コンプライアンス部と逃げ凹部とを
対向させた状態で流路ユニットとケースとを接着したイ
ンクジェット式記録ヘッドにおいて、一端が逃げ凹部に
開口し他端が大気開放された大気開放路を逃げ凹部毎に
形成したことを特徴とするインクジェット式記録ヘッド
である。
【0012】請求項2に記載のものは、前記ケースは、
先端面とは反対側の取付面側に開放した空部を有し、大
気開放路の他端を上記空部に開口させたことを特徴とす
る請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッドであ
る。
【0013】請求項3に記載のものは、前記空部は、前
記取付面を部分的に先端面側に後退させることで形成さ
れ、大気開放路の他端を空部の底面に開口させたことを
特徴とする請求項2に記載のインクジェット式記録ヘッ
ドである。
【0014】請求項4に記載のものは、自由端部を縁か
ら突出させた状態で圧電振動子群を固定板上に接合した
振動子ユニットを有し、前記ケースは、振動子ユニット
の振動子側部分を収納可能な先端側部分と、前記取付面
及び空部を有する基端側部分とを備え、基端側部分は、
先端側部分との境界部から側方に延出された床板部と、
該床板部の表面から起立した起立部とを備え、床板部と
起立部とで前記空部を区画形成したことを特徴とする請
求項2又は請求項3に記載のインクジェット式記録ヘッ
ドである。
【0015】請求項5に記載のものは、前記先端側部分
には、振動子ユニットの振動子側部分を収納可能な収納
空部を形成し、圧電振動子群との接合領域に対応する固
定板背面の先端側領域を、上記収納空部の内壁面に接着
したことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット
記録ヘッドである。
【0016】請求項6に記載のものは、前記固定板が金
属板によって作製されていることを特徴とする請求項5
に記載のインクジェット式記録ヘッドである。
【0017】請求項7に記載のものは、前記ケースが熱
硬化性樹脂により作製されていることを特徴とする請求
項1から請求項6の何れかに記載のインクジェット式記
録ヘッドである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。まず、記録ヘッドの全体構成につ
いて説明する。
【0019】図1及び図2に示すように、記録ヘッド1
は、1対の振動子ユニット2,2と、各振動子ユニット
2,2を収納可能な樹脂製のケース3と、ケース3の先
端面に接着される流路ユニット4と、ドライバ基板5
と、カートリッジ接続部6等を備える。
【0020】上記の振動子ユニット2は、図3に示すよ
うに、圧電振動子群10と、この圧電振動子群10が接
合される固定板11と、圧電振動子群10に駆動信号を
供給するためのフレキシブルケーブル12とから構成さ
れる。
【0021】圧電振動子群10は、列状に形成された複
数の圧電振動子13…を備える。各圧電振動子13…
は、列の両端に位置する一対のダミー振動子13a,1
3aと、これらのダミー振動子13a,13aの間に配
置された複数の駆動振動子13b…とから構成されてい
る。そして、各駆動振動子13b…は、例えば、50μ
m〜100μm程度の極めて細い幅の櫛歯状に切り分け
られ、合計180本設けられる。また、ダミー振動子1
3aは、駆動振動子13bよりも十分広い幅であり、駆
動振動子13bを衝撃等から保護する保護機能と、振動
子ユニット2を所定位置に位置付けるためのガイド機能
とを有する。
【0022】そして、各圧電振動子13…は、固定端部
を固定板11上に接合することにより、自由端部を固定
板11の先端面よりも外側に突出させている。即ち、各
圧電振動子13は、所謂片持ち梁の状態で固定板11上
に支持されている。
【0023】フレキシブルケーブル12は、固定板11
とは反対側となる固定端部の側面で圧電振動子13と電
気的に接続されている。また、各圧電振動子13…を支
持する固定板11は、ケース3を構成する樹脂よりも高
い剛性、言い換えれば、圧電振動子13からの反力を受
け止め得る剛性を備えた板状部材であり、金属板が好適
に用いられる。本実施形態では、この固定板11を、厚
さ1mm程度のステンレス鋼によって構成している。
【0024】ケース3は、ケース本体14とフランジ部
15とから概略構成された部材であり、本実施形態で
は、熱硬化性樹脂の一種であるエポキシ樹脂によって作
製している。これは、エポキシ樹脂等の熱硬化性樹脂
は、一般的な樹脂よりも高い機械的強度を有しており、
圧電振動子13の振動を十分に受け止められるからであ
る。また、この種の熱硬化性樹脂は、線膨張係数が一般
的な樹脂よりも小さく、周囲の温度変化による変形が小
さいからである。そして、図4(a)及び図6に示すよ
うに、ケース本体14は、振動子ユニット2の振動子側
部分を収納可能な先端側部分18と、内側に空部19を
有する基端側部分20とから構成されている。
【0025】先端側部分18は、先端面(ユニット接着
面)16に流路ユニット4が接着され、内壁面17に振
動子ユニット2の固定板11が接着される。また、この
先端側部分18は、高さがケース4の略2/3であり、
先端面16が略長方形状の外形をしたブロック状であ
る。一方、基端側部分20は、図6及び図7に示すよう
に、先端側部分18との境界部から側方に延出された床
板部21、及び、この床板部21の表面から起立した起
立部22を有し、床板部21と起立部22とで上記の空
部19を区画形成している。また、フランジ部15は、
起立部22の基端から側方に向けて延出されている。そ
して、先端面16とは反対側の起立部22の表面及びフ
ランジ部15の表面がケース3における取付面として機
能する。なお、このケース3については、後で詳しく説
明する。
【0026】次に、流路ユニット4について説明する。
図4に示すように、流路ユニット4は、ノズルプレート
23、流路形成基板24、及び、弾性板25から構成さ
れ、ノズルプレート23を流路形成基板24の一方の表
面に、弾性板25をノズルプレート23とは反対側とな
る流路形成基板24の他方の表面にそれぞれ配置して積
層し、接着等により一体化することで構成されている。
そして、この流路ユニット4内には、共通インク室2
6、インク供給口27、及び、圧力室28からなる一連
のインク流路が形成されている。
【0027】また、図5に示すように、この流路ユニッ
ト4は、先端面16の外形と略同じ大きさの長方形板材
によって構成され、その隅角部の2カ所には板厚方向を
貫通させて位置合わせ用の位置決め孔29を2つ開設し
ている。
【0028】上記のノズルプレート23は、ドット形成
密度に対応したピッチで複数のノズル開口32…を列状
に開設したステンレス鋼製の薄いプレートである。本実
施形態では、例えば180個のノズル開口32…を列状
に開設し、これらのノズル開口32…によってノズル列
33(図1参照)を構成している。そして、本実施形態
では、このノズル列33を横並びに2列設けている。
【0029】流路形成基板24は、各ノズル開口32…
に対応させて圧力室28…となる空部を隔壁で区画した
状態で複数形成すると共に、インク供給口27…となる
溝部及び共通インク室26となる空部を形成した板状の
部材である。そして、本実施形態の流路形成基板24
は、シリコンウェハーをエッチング処理することで作製
されている。
【0030】上記の圧力室28は、ノズル開口32…の
列設方向(ノズル列方向)に対して直交する方向に細長
い室として形成されている。また、共通インク室26
は、インクカートリッジ(図示せず)に貯留されたイン
クを各圧力室28…に供給するための室であり、インク
供給口27…を通じて対応する各圧力室28…に連通し
ている。
【0031】弾性板25は、ステンレス鋼等の金属製の
支持板34上に弾性フィルム35をラミネート加工した
二重構造の複合板材であり、圧力室28となる空部の一
方の開口面を封止し、ダイヤフラム部36として機能す
る。また、共通インク室26となる空部の一方の開口面
を封止し、コンプライアンス部37としても機能する。
なお、本実施形態における弾性フィルム35は、PPS
(ポリフェニレンサルファイド)製のフィルムを用いて
いる。
【0032】そして、図5に示すように、ダイヤフラム
部36として機能する部分、すなわち圧力室28に対応
した部分の支持板34にエッチング加工を施し、圧電振
動子13の自由端部の先端を接合するための島部38…
を残すように支持板34を除去する。
【0033】また、コンプライアンス部37として機能
する部分、すなわち共通インク室26に対応する部分に
ついては、支持板34の部分をエッチング加工で除去し
て弾性フィルム35だけにしている。本実施形態では、
短辺方向の一側(図5における右側)に、ブラックイン
クが貯留される共通インク室26用の第1コンプライア
ンス部37aを設け、短辺方向の他側(同左側)に、カ
ラーインクが貯留される共通インク室26用のコンプラ
イアンス部37を設けている。ここで、本実施形態の記
録ヘッド1で用いるカラーインクは、シアンインクとマ
ゼンタインクとイエローインクの3種類であるため、コ
ンプライアンス部37も各共通インク室26…に対応し
て第2コンプライアンス部37b、第3コンプライアン
ス部37c、及び、第4コンプライアンス部37dの合
計3つ設けられ、これらのコンプライアンス部37b〜
37dが流路ユニット4の長辺方向に沿って並設されて
いる。
【0034】上記のドライバ基板5は、記録ヘッド1に
供給する各種信号用の電気配線と、信号ケーブルを接続
可能なコネクタとが形成された配線基板である。そし
て、このドライバ基板5は、ケース3のフランジ部15
に重畳され、フレキシブルケーブル12の電気配線が半
田付け等によって接続される。また、側面に開口したコ
ネクタには、制御装置(図示せず)からの信号ケーブル
の先端が挿入される。
【0035】上記のカートリッジ接続部6は、インクカ
ートリッジ(図示せず)が接続される部分であり、イン
クカートリッジ内に挿入されるインク供給針39…が複
数立設している。本実施形態では、上記したように、ブ
ラック、シアン、マゼンタ、及び、イエローからなる4
色のインクが用いられるため、図1(b)に示すよう
に、カートリッジ接続部6には、ブラックインク用の第
1インク供給針39a、シアンインク用の第2インク供
給針39b、マゼンタインク用の第3インク供給針39
c、及び、イエローインク用の第4インク供給針39d
が立設される。そして、このカートリッジ接続部6は、
図2に示すように、パッキン40を挟んでドライバ基板
5に積層状態で配設されている。
【0036】次に、図6〜図8に基づき、ケース3につ
いて詳細に説明する。
【0037】上記したように、ケース3は、ケース本体
14とフランジ部15とから概略構成され、ケース本体
14は、振動子ユニット2の振動子側部分が収納される
先端側部分18と、ケース3における取付面側に開放し
た空部19を有する基端側部分20とから構成されてい
る。
【0038】ケース本体14の基端側部分20は、先端
側部分18との境界部から側方に延出された床板部2
1、及び、この床板部21の表面から起立した起立部2
2を有している。図7に示すように、起立部22は、基
端側部分20の周縁を一周するように設けられ、その内
側に空部19を区画形成する。言い換えれば、この空部
19は、ケース3における取付面を部分的に先端面16
側に後退させることで形成されている。そして、この起
立部22は、回転防止ボス43,43や位置決め鞘管4
4,44を形成するための基台としても機能している。
ここで、回転防止ボス43は、ケース3と他の部材(例
えば、パッキン40)とを固定して回転を防止するもの
である。また、位置決め鞘管44は、ケース3と他の部
材との位置合わせを行うものである。また、この起立部
22上の所定位置には、2色のカラーインクをケース3
内のインク供給管(図示せず)に導入するためのインク
導入口45a,45bが形成されている。
【0039】また、基端側部分20の空部19内には、
ブラックインクをインク供給管に導入するためのインク
導入口45c、残り1色のカラーインクをケース3内の
インク供給管に導入するためのインク導入口45d、及
び、振動子ユニット2の固定板11を先端側部分18の
内壁面17に接着する際に、接着剤を注入するための接
着剤注入部46,46を取付面側に向けて突設してい
る。
【0040】流路ユニット4が接着される先端面16の
内側には、溝部50と、逃げ凹部51,52と、収納空
部53,53と、ピン保持部54,54とが形成されて
いる。本実施形態では、先端面16における短辺側の略
中央に、長辺方向に沿って細幅の溝部50を形成し、こ
の溝部50を挟むようにして矩形状の収納空部53,5
3を一対設けている。また、溝部50とは反対側の収納
空部53,53の側方に各逃げ凹部51,52を設けて
いる。そして、流路ユニット4とケース3とはピン保持
部54に挿入された位置決めピン(図示せず)によって
位置合わせされた状態で接着される。
【0041】上記の溝部50は、先端面16上の接着剤
の逃げ空間を形成する部分である。即ち、例示した記録
ヘッド1では、ケース3と流路ユニット4とを接着する
際に両者を加圧するが、この加圧時に先端面16上の接
着剤もつぶされて面方向に広がってしまう。そして、こ
の広がった接着剤が圧電振動子13に接触してしまう
と、圧電振動子13の動作不良が生じる可能性がある。
このため、本実施形態では、溝部50を設けて加圧によ
り広がった接着剤を収納し、圧電振動子13側に広がる
接着剤の量を減らしている。これにより、圧電振動子1
3に接着剤が付着することを防止している。
【0042】上記の逃げ凹部51,52は先端面16よ
りも一段後退させて設けられ、コンプライアンス部37
の可動空間を形成する。この逃げ凹部51,52の平面
形状は、コンプライアンス部37の平面形状に対応して
いる。即ち、ブラックインクに対応する第1コンプライ
アンス部37aは、平面視略台形状の外形であるので、
この第1コンプライアンス部37aに対応する第1逃げ
凹部51も平面形状が台形状の窪部として設けられてい
る。また、シアン、マゼンタ、イエローの各インクに対
応する第2コンプライアンス部37b〜第4コンプライ
アンス部37dは、何れも略ホームベース状の平面形状
であり、横並びに3つ形成されているので、対応する第
2逃げ凹部52は、これら3つのコンプライアンス部3
7b〜37dの外形を一連に繋いだ平面形状の窪部とし
て設けられている。また、各逃げ凹部51,52の深さ
は、コンプライアンス部37の変形量に応じて設定され
る。本実施形態では、例えば、深さ0.3mmに設定さ
れている。
【0043】そして、これらの逃げ凹部51,52は、
コンプライアンス部37の可動空間を確保するので、大
気開放されていることが好ましい。本実施形態では、一
端が逃げ凹部51,52内に開口し他端が空部19の底
面、つまり、床板部21の表面に開口する大気開放路5
5,55を逃げ凹部51,52毎に設けている。これに
より、逃げ凹部51,52と空部19とが大気開放路5
5によって連通し、逃げ凹部51,52が大気開放され
るので、コンプライアンス部37の変形を円滑に行わせ
ることができる。
【0044】このように、本実施形態では、大気開放路
55を設け、各大気開放路55,55によって各逃げ凹
部51,52を大気開放している。そして、これらの大
気開放路55,55の一端は、先端面16から一段後退
した逃げ凹部51,52内に開口しているので、大気開
放路55によって先端面16の面積が減少することはな
い。このため、流路ユニット4とケース3との間に必要
な接着面積を確保することができ、流路ユニット4の剥
離を防止することができる。また、大気開放路55,5
5の一端が逃げ凹部51,52内に開口しているので、
先端面16から溢れた接着剤は大気開放路55内に浸入
し難い。このため、先端面16に塗布した接着剤によっ
て大気開放路55が塞がれてしまう不具合を防止するこ
ともできる。
【0045】さらに、図8に示すように、この大気開放
路55の他端は空部19の底面で開口している。このた
め、大気開放路55の必要長さは、先端側部分18の高
さ、即ち、逃げ凹部51,52から空部19の底面(床
板部21の表面)までの距離で済む。この高さは、ケー
ス3の高さ(ケース3における先端面16から取付面ま
での距離)の2/3程度である。従って、ケース3を成
型するための成形型(金型)に関し、大気開放路55を
作製するピンの長さを短くできる。即ち、大気開放路5
5をケース3の基端面まで形成する場合に比べて、2/
3の長さで済む。仮に、大気開放路55をケース3の基
端面まで形成したとすると、ピンの長さ(つまり、大気
開放路55の長さ)は15mmであるが、本実施形態の
構成では10mm以下にすることができる。その結果、
ピンをぐらつかせることなく成型できる。
【0046】また、ピンの長さを短くできることから、
大気開放路55の直径を可及的に小さくすることもでき
る。そして、大気開放路55の直径を可及的に小さくで
きると、本実施形態のように、弾性フィルム35として
PPSを用いた構成において都合がよい。即ち、弾性フ
ィルム35の素材であるPPSは、通気性を有する樹脂
製フィルムの一種である。このため、弾性フィルム35
を介して共通インク室26に貯留されたインクは空気に
接しており、長期間に亘って放置されると共通インク室
26内のインクの物性が変ってしまう虞がある。そし
て、大気開放路55の直径を可及的に小さくすると、逃
げ凹部51,52の大気開放状態は維持しつつも、大気
開放路55内の空気とケース3外の空気との交換量を低
減することができる。従って、逃げ凹部51,52内に
新たな空気が入り難くなり、共通インク室26内に貯留
されたインクの物性変化を防止することができる。な
お、本実施形態において、大気開放路55の直径は0.
6mmである。
【0047】上記の収納空部53は、振動子ユニット2
の振動子側部分を収納可能な空部である。図4(a)に
示すように、この収納空部53は、ケース本体14の先
端側部分18内に、高さ方向を貫通するように形成され
ている。そして、振動子接合面とは反対側の固定板背面
が収納空部53の内壁面17に接着されている。この接
着状態で各圧電振動子13…の自由端部は、収納空部5
3の先端開口を通って先端面16がケース3の外側に露
出し、対応する島部38…に接着されている。
【0048】ところで、本実施形態では、圧電振動子群
10と固定板11との接合領域(図4(a)に符号Xで
示す領域)に対応する固定板背面の先端側領域(同じく
符号Yで示す領域)が、収納空部53の内壁面17に接
着されているが、これは、ケース3と固定板11との膨
潤度合いの違いに起因する不具合を解消するためであ
る。
【0049】即ち、ケース3を構成する熱硬化性樹脂
(エポキシ樹脂)は、高湿環境下に長期間に亘って曝さ
れると、空気中の水分を吸収して膨潤する。一方、固定
板11を構成する金属板(ステンレス鋼)は、吸湿性が
ないので高湿環境下に長期間に亘って曝されても膨潤す
ることはない。このため、固定板11の背面全体をケー
ス3側に接着してしまうと、記録ヘッド1を高湿環境下
に長期間曝した場合に、ケース3の膨潤に伴って振動子
ユニット2に機械的なストレスが加わって不具合が生じ
る虞がある。例えば、振動子先端面が島部38から離隔
する方向に移動し、ダイヤフラム部36を引っ張ってし
まったり、振動子先端面と島部38とが剥離してしまっ
たりする。
【0050】そして、本実施形態のように、ケース本体
14の先端側部分18に収納空部53を設け、固定板背
面の先端側領域を収納空部53の内壁面17に接着する
と、固定板11の非接着領域において、固定板11とケ
ース3との機械的な縁を切ることができる。このため、
ケース3が膨潤しても、固定板11がケース3の変形に
よって受ける機械的なストレスを少なくすることができ
る。従って、振動子ユニット2の移動に起因する不具合
を防止することができる。
【0051】また、固定板背面の先端側領域Yは、圧電
振動子13と固定板11との接合領域Xに対応する領域
であるので、圧電振動子13の運動に伴う反力を受ける
のに最低限必要な領域が確保できる。このため、インク
滴の吐出特性を損なわずに、圧電振動子13の接続信頼
性を高めることもできる。
【0052】ところで、本発明は、上記の実施形態に限
定されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づい
て種々の変形が可能である。
【0053】例えば、上記の実施形態では、ケース本体
14を、振動子ユニット2の振動子側部分を収納可能な
先端側部分18と、この先端側部分よりも大きい平面形
状を有する基端側部分20とから構成し、空部19を基
端側部分内に設けた構成を例示したが、本発明はこの構
成に限定されるものではない。
【0054】即ち、図9に示すケース3´にも本発明を
適用することができる。このケース3´は、直方体ブロ
ック形状であり、先端側には流路ユニット4とのユニッ
ト接着面となる先端面16、逃げ凹部51,52等を設
け、ケース3´の高さ方向を貫通するように収納空部5
3´,53´を設けている。また、先端面16とは反対
側となる取付面から後退させることで取付面側に開放し
た空部19´を形成し、大気開放路55の一端を逃げ凹
部52(51)に、他端を空部19´の底面19a´に
それぞれ開口させている。
【0055】この変形例でも、先端面16に必要な面積
を確保できるし、大気開放路55内に先端面16に塗布
された接着剤が流入し難い。また、大気開放路55の他
端が空部19´に開口しているので、大気開放路55の
長さをケース3´の高さよりも短くできる。従って、上
記実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0056】また、空部19,19´の形状は任意であ
り、例示した形状に限定されるものではない。例えば、
空部の底面を傾斜面や湾曲面としてもよい。また、平面
形状(取付面側からみた形状)も任意の形状が選択でき
る。
【0057】また、第2コンプライアンス部37b〜第
4コンプライアンス部37d毎に逃げ凹部を設け、各逃
げ凹部毎に大気開放路55…を形成してもよい。
【0058】また、上記実施形態では、ケース本体14
に空部19,19´を設け、この空部19,19´と逃
げ凹部51,52とを大気開放路55で連通したものを
例示したが、この構成に限定されるものではない。例え
ば、大気開放路55の他端をケース3における取付面で
開口させてもよい。
【0059】また、弾性フィルム35に関し、PPS製
のフィルムに限らず、弾性及びインクに対する耐性を備
えていれば任意の合成樹脂が使用できる。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば以
下の効果を奏する。即ち、一端が逃げ凹部に開口し他端
が大気開放された大気開放路を、接着面から一段後退さ
せた逃げ凹部毎に形成したので、大気開放路が接着面内
に形成されず、接着面の面積は減少しない。このため、
流路ユニットとケースとの間に必要な接着面積を確保す
ることができ、流路ユニットの剥離を防止することがで
きる。また、大気開放路の一端が逃げ凹部内に開口して
いるので、接着面から溢れた接着剤は大気開放路内に浸
入し難い。このため、先端面に塗布した接着剤によって
大気開放路が塞がれてしまう不具合を防止することもで
きる。その結果、記録ヘッドの信頼性を高めることがで
きる。
【0061】また、大気開放路を空部に連通した場合に
は、大気開放路の長さをケースの高さよりも短くでき
る。このため、ケースを成型するための成形型に関し、
大気開放路を作製するピンの長さを短くできる。これに
より、成型が容易になる。
【0062】さらに、大気開放路の長さを短くできるこ
とから、大気開放路の直径を可及的に小さくすることも
できる。そして、大気開放路の直径を可及的に小さくす
ると、弾性フィルムとして通気性を有する樹脂製フィル
ムを用いた構成において、逃げ凹部の大気開放状態は維
持しつつも、大気開放路内の空気とケース外の空気との
交換量を低減することができる。これにより、逃げ凹部
内に新たな空気が入り難くなり、共通インク室内に貯留
されたインクの物性変化を防止することができる。
【0063】また、自由端部を縁から突出させた状態で
圧電振動子群を固定板上に接合した振動子ユニットを、
ケースの先端側部分に形成した収納空部に収納し、圧電
振動子群との接合領域に対応する固定板背面の先端側領
域を収納空部の内壁面に接着した場合には、固定板の非
接着領域において、固定板とケースとの機械的な縁を切
ることができる。このため、この非接着領域において
は、ケースが膨潤しても固定板がケースによって機械的
なストレスを受け難く、振動子ユニットの倒れ込みによ
る不具合を防止することができる。
【0064】さらに、固定板の接着領域は、圧電振動子
と固定板との接合領域に対応する領域であるので、圧電
振動子の運動に伴う反力を受けるのに最低限必要な領域
が確保できる。このため、インク滴の吐出特性を損なわ
ずに、圧電振動子の接続信頼性を高めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】記録ヘッドの外観を示す斜視図であり、(a)
は流路ユニット側から見た状態を、(b)はカートリッ
ジ接続部側から見た状態をそれぞれ示す。
【図2】記録ヘッドの分解斜視図である。
【図3】振動子ユニットの説明図である。
【図4】(a)は振動子ユニットの接着状態を説明する
部分拡大断面図、(b)は流路ユニットを説明する部分
拡大断面図である。
【図5】流路ユニットを振動板側から見た平面図であ
る。
【図6】ケースを先端面側から見た斜視図である。
【図7】(a)はケースをフランジ部側から見た斜視
図、(b)はケースをフランジ部側から見た平面図であ
る。
【図8】大気開放路を説明する断面図である。
【図9】本発明の変形例を説明する断面図である。
【符号の説明】
1 インクジェット式記録ヘッド 2 振動子ユニット 3,3´ ケース 4 流路ユニット 5 ドライバ基板 6 カートリッジ接続部 10 圧電振動子群 11 固定板 12 フレキシブルケーブル 13 圧電振動子 14 ケース本体 15 フランジ部 16 ケースの先端面 17 内壁面 18 先端側部分 19,19´ 空部 20 基端側部分 21 床板部 22 起立部 23 ノズルプレート 24 流路形成基板 25 弾性板 26 共通インク室 27 インク供給口 28 圧力室 29 位置決め孔 32 ノズル開口 33 ノズル列 34 支持板 35 弾性フィルム 36 ダイヤフラム部 37 コンプライアンス部 38 島部 39 インク供給針 40 パッキン 43 回転防止ボス 44 位置決め鞘管 45a〜45d インク導入口 46 接着剤注入部 50 溝部 51 第1逃げ凹部 52 第2逃げ凹部 53,53´ 収納空部 54 ピン保持部 55 大気開放路

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 共通インク室を複数有し、各共通インク
    室の一部を弾性フィルムで区画してコンプライアンス部
    とした流路ユニットと、 先端面を接着面とすると共にこの接着面から一段後退さ
    せた逃げ凹部を複数有する合成樹脂製のケースとを備
    え、 コンプライアンス部と逃げ凹部とを対向させた状態で流
    路ユニットとケースとを接着したインクジェット式記録
    ヘッドにおいて、 一端が逃げ凹部に開口し他端が大気開放された大気開放
    路を逃げ凹部毎に形成したことを特徴とするインクジェ
    ット式記録ヘッド。
  2. 【請求項2】 前記ケースは、先端面とは反対側の取付
    面側に開放した空部を有し、 大気開放路の他端を上記空部に開口させたことを特徴と
    する請求項1に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  3. 【請求項3】 前記空部は、前記取付面を部分的に先端
    面側に後退させることで形成され、 大気開放路の他端を空部の底面に開口させたことを特徴
    とする請求項2に記載のインクジェット式記録ヘッド。
  4. 【請求項4】 自由端部を縁から突出させた状態で圧電
    振動子群を固定板上に接合した振動子ユニットを有し、 前記ケースは、振動子ユニットの振動子側部分を収納可
    能な先端側部分と、前記取付面及び空部を有する基端側
    部分とを備え、 基端側部分は、先端側部分との境界部から側方に延出さ
    れた床板部と、該床板部の表面から起立した起立部とを
    備え、床板部と起立部とで前記空部を区画形成したこと
    を特徴とする請求項2又は請求項3に記載のインクジェ
    ット式記録ヘッド。
  5. 【請求項5】 前記先端側部分には、振動子ユニットの
    振動子側部分を収納可能な収納空部を形成し、 圧電振動子群との接合領域に対応する固定板背面の先端
    側領域を、上記収納空部の内壁面に接着したことを特徴
    とする請求項4に記載のインクジェット記録ヘッド。
  6. 【請求項6】 前記固定板が金属板によって作製されて
    いることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット
    式記録ヘッド。
  7. 【請求項7】 前記ケースが熱硬化性樹脂により作製さ
    れていることを特徴とする請求項1から請求項6の何れ
    かに記載のインクジェット式記録ヘッド。
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