JP2002338601A - セルロースアセテート - Google Patents
セルロースアセテートInfo
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- JP2002338601A JP2002338601A JP2001195843A JP2001195843A JP2002338601A JP 2002338601 A JP2002338601 A JP 2002338601A JP 2001195843 A JP2001195843 A JP 2001195843A JP 2001195843 A JP2001195843 A JP 2001195843A JP 2002338601 A JP2002338601 A JP 2002338601A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 セルロースアセテートの2位、3位およ
び6位のアセチル置換度を適切に調節する。 【解決手段】 アセチル基供与体および触媒の存在でセ
ルロースアセテートを熟成する際に、水またはアルコー
ルの存在量をアセチル基供与体の10モル%未満に制限
する。
び6位のアセチル置換度を適切に調節する。 【解決手段】 アセチル基供与体および触媒の存在でセ
ルロースアセテートを熟成する際に、水またはアルコー
ルの存在量をアセチル基供与体の10モル%未満に制限
する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、セルロースアセテ
ート、セルロースアセテート溶液およびセルロースアセ
テートフイルムに関する。
ート、セルロースアセテート溶液およびセルロースアセ
テートフイルムに関する。
【0002】
【従来の技術】セルロースアセテート、特に2位、3位
および6位のアセチル置換度の合計が2.60以上であ
るセルロースアセテート(一般にセルローストリアセテ
ートに分類されるもの)は、その強靭性と難燃性から様
々な分野で使用されている。セルロースアセテートフイ
ルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、
セルロースアセテートフイルムは、その光学的等方性か
ら、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられ
ている。液晶表示装置における具体的な用途しては、偏
光板保護膜、位相差フイルムおよびカラーフィルターが
代表的である。セルロースアセテートフイルムは、一般
にソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキ
ャスト法では、セルロースアセテートを溶媒中に溶解し
た溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させ
てフイルムを形成する。最近では、セルロースアセテー
トと有機溶媒の混合物を冷却し、さらに加温することに
よって、有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解して
セルロースアセテート溶液を調製する方法が提案されて
いる(特開平9−95544号、同9−95557号お
よび同9−95538号の各公報記載)。この冷却工程
と加温工程を有する方法(以下、冷却溶解法と称する)
によると、従来の方法では溶解することができなかっ
た、セルロースアセテートと有機溶媒の組み合わせであ
っても、溶液を調製することができる。冷却溶解法は、
溶解性が低いセルローストリアセテート(2位、3位お
よび6位のアセチル置換度の合計が2.60以上)から
フイルムを製造する場合に特に有効である。
および6位のアセチル置換度の合計が2.60以上であ
るセルロースアセテート(一般にセルローストリアセテ
ートに分類されるもの)は、その強靭性と難燃性から様
々な分野で使用されている。セルロースアセテートフイ
ルムは、代表的な写真感光材料の支持体である。また、
セルロースアセテートフイルムは、その光学的等方性か
ら、近年市場の拡大している液晶表示装置にも用いられ
ている。液晶表示装置における具体的な用途しては、偏
光板保護膜、位相差フイルムおよびカラーフィルターが
代表的である。セルロースアセテートフイルムは、一般
にソルベントキャスト法により製造する。ソルベントキ
ャスト法では、セルロースアセテートを溶媒中に溶解し
た溶液(ドープ)を支持体上に流延し、溶媒を蒸発させ
てフイルムを形成する。最近では、セルロースアセテー
トと有機溶媒の混合物を冷却し、さらに加温することに
よって、有機溶媒中にセルロースアセテートを溶解して
セルロースアセテート溶液を調製する方法が提案されて
いる(特開平9−95544号、同9−95557号お
よび同9−95538号の各公報記載)。この冷却工程
と加温工程を有する方法(以下、冷却溶解法と称する)
によると、従来の方法では溶解することができなかっ
た、セルロースアセテートと有機溶媒の組み合わせであ
っても、溶液を調製することができる。冷却溶解法は、
溶解性が低いセルローストリアセテート(2位、3位お
よび6位のアセチル置換度の合計が2.60以上)から
フイルムを製造する場合に特に有効である。
【0003】ソルベントキャスト法によるセルロースア
セテートフイルムの製造では、セルロースアセテート溶
液の安定性が特に重要である。溶液の移送時に、配管中
で未溶解物が発生したり、製造装置の保守管理のための
停止期間中に凝固が起きることは避けなければならな
い。また、セルロースアセテートフイルムを光学材料に
使用する場合、厚み方向のレターデーション値を低い値
とする必要がある。冷却溶解法により得られたセルロー
スアセテート溶液には、安定性が低いとの問題がある。
また、冷却溶解法で製造したセルロースアセテートフイ
ルムには、厚み方向のレターデーション値が高いとの問
題もある。特開平11−5851号公報には、2位、3
位および6位のアセチル置換度の合計が2.67以上で
あり、かつ2位および3位のアセチル置換度の合計が
1.97以下であるセルロースアセテートを含むことを
特徴とするセルロースアセテートフイルムが開示されて
いる。2位、3位および6位のアセチル置換度を、同公
報に記載されているように調節することで、厚み方向の
レターデーション値を低いセルロースアセテートフイル
ムを、安定なセルロースアセテート溶液から製造するこ
とができる。
セテートフイルムの製造では、セルロースアセテート溶
液の安定性が特に重要である。溶液の移送時に、配管中
で未溶解物が発生したり、製造装置の保守管理のための
停止期間中に凝固が起きることは避けなければならな
い。また、セルロースアセテートフイルムを光学材料に
使用する場合、厚み方向のレターデーション値を低い値
とする必要がある。冷却溶解法により得られたセルロー
スアセテート溶液には、安定性が低いとの問題がある。
また、冷却溶解法で製造したセルロースアセテートフイ
ルムには、厚み方向のレターデーション値が高いとの問
題もある。特開平11−5851号公報には、2位、3
位および6位のアセチル置換度の合計が2.67以上で
あり、かつ2位および3位のアセチル置換度の合計が
1.97以下であるセルロースアセテートを含むことを
特徴とするセルロースアセテートフイルムが開示されて
いる。2位、3位および6位のアセチル置換度を、同公
報に記載されているように調節することで、厚み方向の
レターデーション値を低いセルロースアセテートフイル
ムを、安定なセルロースアセテート溶液から製造するこ
とができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】特開平11−5851
号公報に記載されているように、2位、3位および6位
のアセチル置換度を調節することによって、セルロース
アセテート、セルロースアセテート溶液あるいはセルロ
ースアセテートフイルムの物性や光学的性質を調整する
ことができる。しかし、特開平11−5851号公報に
開示されているセルロースアセテートの製造方法では、
2位および3位のアセチル置換度の合計と6位のアセチ
ル置換度との関係を適切に調節することは難しい。ま
た、同公報には、2位のアセチル置換度と3位のアセチ
ル置換度との関係を調節する方法が開示されていない。
号公報に記載されているように、2位、3位および6位
のアセチル置換度を調節することによって、セルロース
アセテート、セルロースアセテート溶液あるいはセルロ
ースアセテートフイルムの物性や光学的性質を調整する
ことができる。しかし、特開平11−5851号公報に
開示されているセルロースアセテートの製造方法では、
2位および3位のアセチル置換度の合計と6位のアセチ
ル置換度との関係を適切に調節することは難しい。ま
た、同公報には、2位のアセチル置換度と3位のアセチ
ル置換度との関係を調節する方法が開示されていない。
【0005】本発明の目的は、2位および3位のアセチ
ル置換度の合計と6位のアセチル置換度との関係が適切
に調節されたセルロースアセテートを提供することであ
る。本発明の別の目的は、2位のアセチル置換度と3位
のアセチル置換度との関係が適切に調節されたセルロー
スアセテートを提供することである。本発明のさらに別
の目的は、溶解性と粘度との調節が容易なセルロースア
セテート溶液を提供することである。本発明のさらにま
た別の目的は、適切な物性および光学的性質を有するセ
ルロースアセテートフイルムを提供することである。
ル置換度の合計と6位のアセチル置換度との関係が適切
に調節されたセルロースアセテートを提供することであ
る。本発明の別の目的は、2位のアセチル置換度と3位
のアセチル置換度との関係が適切に調節されたセルロー
スアセテートを提供することである。本発明のさらに別
の目的は、溶解性と粘度との調節が容易なセルロースア
セテート溶液を提供することである。本発明のさらにま
た別の目的は、適切な物性および光学的性質を有するセ
ルロースアセテートフイルムを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、下記
(1)のセルロースアセテートの製造方法、下記(2)
のセルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法、
下記(3)〜(5)のセルロースアセテート、下記
(6)、(7)のセルロースアセテート溶液、下記
(8)のセルロースアセテートフイルムの製造方法、お
よび下記(9)、(10)のセルロースアセテートフイ
ルムにより達成された。
(1)のセルロースアセテートの製造方法、下記(2)
のセルロースアセテートのアセチル置換度の調整方法、
下記(3)〜(5)のセルロースアセテート、下記
(6)、(7)のセルロースアセテート溶液、下記
(8)のセルロースアセテートフイルムの製造方法、お
よび下記(9)、(10)のセルロースアセテートフイ
ルムにより達成された。
【0007】(1)セルロースを溶媒中で触媒の存在
下、酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテ
ートを合成する工程、そして、セルロースアセテート
を、アセチル基供与体、アセチル基供与体の0.1乃至
10モル%の水および触媒の存在下で熟成する工程から
なるセルロースアセテートの製造方法。 (2)セルロースアセテートを、アセチル基供与体およ
び触媒の存在下、かつ水またはアルコールの存在量がア
セチル基供与体の10モル%未満の条件で熟成すること
によって、2位、3位および6位のアセチル置換度を変
化させることを特徴とするセルロースアセテートのアセ
チル置換度の調整方法。 (3)3450乃至3550cm-1の波数に赤外線吸収
スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値幅が
135cm-1以下であることを特徴とするセルロースア
セテート。
下、酢酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテ
ートを合成する工程、そして、セルロースアセテート
を、アセチル基供与体、アセチル基供与体の0.1乃至
10モル%の水および触媒の存在下で熟成する工程から
なるセルロースアセテートの製造方法。 (2)セルロースアセテートを、アセチル基供与体およ
び触媒の存在下、かつ水またはアルコールの存在量がア
セチル基供与体の10モル%未満の条件で熟成すること
によって、2位、3位および6位のアセチル置換度を変
化させることを特徴とするセルロースアセテートのアセ
チル置換度の調整方法。 (3)3450乃至3550cm-1の波数に赤外線吸収
スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値幅が
135cm-1以下であることを特徴とするセルロースア
セテート。
【0008】(4)2位、3位および6位のアセチル置
換度が、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴と
するセルロースアセテート: (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。
換度が、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴と
するセルロースアセテート: (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。
【0009】(5)2位、3位および6位のアセチル置
換度が、下記式(III)〜(V)を満足することを特徴と
するセルロースアセテート: (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。
換度が、下記式(III)〜(V)を満足することを特徴と
するセルロースアセテート: (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。
【0010】(6)上記(3)、(4)または(5)に
記載のセルロースアセテートが有機溶媒中に溶解してい
るセルロースアセテート溶液。 (7)有機溶媒が、実質的にハロゲン化炭化水素を含ま
ない(6)に記載のセルロースアセテート溶液。 (8)上記(3)、(4)または(5)に記載のセルロ
ースアセテートを有機溶媒で膨潤させる工程;得られた
膨潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却する工程;
冷却した混合物を0至200℃に加温して、セルロース
アセテートの有機溶媒溶液を得る工程;そして、得られ
た有機溶媒溶液を支持体上に塗布して、セルロースアセ
テートフイルムを形成する工程からなるセルロースアセ
テートフイルムの製造方法。
記載のセルロースアセテートが有機溶媒中に溶解してい
るセルロースアセテート溶液。 (7)有機溶媒が、実質的にハロゲン化炭化水素を含ま
ない(6)に記載のセルロースアセテート溶液。 (8)上記(3)、(4)または(5)に記載のセルロ
ースアセテートを有機溶媒で膨潤させる工程;得られた
膨潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却する工程;
冷却した混合物を0至200℃に加温して、セルロース
アセテートの有機溶媒溶液を得る工程;そして、得られ
た有機溶媒溶液を支持体上に塗布して、セルロースアセ
テートフイルムを形成する工程からなるセルロースアセ
テートフイルムの製造方法。
【0011】(9)上記(3)、(4)または(5)に
記載のセルロースアセテートからなるセルロースアセテ
ートフイルム。 (10)3450乃至3550cm-1の波数にセルロー
スアセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収
極大を有し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下
であることを特徴とするセルロースアセテートフイル
ム。
記載のセルロースアセテートからなるセルロースアセテ
ートフイルム。 (10)3450乃至3550cm-1の波数にセルロー
スアセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収
極大を有し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下
であることを特徴とするセルロースアセテートフイル
ム。
【0012】
【発明の効果】本発明者の研究の結果、アセチル基供与
体および触媒の存在でセルロースアセテートを熟成する
際に、水またはアルコールの存在量をアセチル基供与体
の10モル%未満に制限すると、2位、3位および6位
のアセチル置換度を容易かつ適切に調整できることが判
明した。2位、3位および6位のアセチル置換度につい
て、有効な調節手段が得られたため、前記式(I)〜
(III)を満足するような2位と3位のアセチル置換度の
合計と6位のアセチル置換度との関係が適切なセルロー
スアセテートや、前記式(III)〜(V)を満足するよう
な2位、3位および6位のアセチル置換度の関係が適切
なセルロースアセテートを得ることが可能になった。こ
のように2位、3位および6位のアセチル置換度が適切
に調整されたセルロースアセテートを用いると、溶解性
と粘度との調節が容易なセルロースアセテート溶液を容
易に調製することができる。また、本発明により、適切
な物性および光学的性質を有するセルロースアセテート
フイルムも、容易に製造することが可能になった。
体および触媒の存在でセルロースアセテートを熟成する
際に、水またはアルコールの存在量をアセチル基供与体
の10モル%未満に制限すると、2位、3位および6位
のアセチル置換度を容易かつ適切に調整できることが判
明した。2位、3位および6位のアセチル置換度につい
て、有効な調節手段が得られたため、前記式(I)〜
(III)を満足するような2位と3位のアセチル置換度の
合計と6位のアセチル置換度との関係が適切なセルロー
スアセテートや、前記式(III)〜(V)を満足するよう
な2位、3位および6位のアセチル置換度の関係が適切
なセルロースアセテートを得ることが可能になった。こ
のように2位、3位および6位のアセチル置換度が適切
に調整されたセルロースアセテートを用いると、溶解性
と粘度との調節が容易なセルロースアセテート溶液を容
易に調製することができる。また、本発明により、適切
な物性および光学的性質を有するセルロースアセテート
フイルムも、容易に製造することが可能になった。
【0013】さらに本発明者の研究を進めた結果、良好
な溶解性を有するセルロースアセテートは、特有の赤外
線吸収スペクトルを示すことが判明した。すなわち、3
450乃至3550cm-1の波数にセルロースアセテー
トを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収極大を有
し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下であるセ
ルロースアセテートを使用すると、セルロースアセテー
トが良好に溶解している溶液が得られる。そのセルロー
スアセテート溶液を使用することで、適切な物性および
光学的性質を有するセルロースアセテートフイルムを製
造することができる。
な溶解性を有するセルロースアセテートは、特有の赤外
線吸収スペクトルを示すことが判明した。すなわち、3
450乃至3550cm-1の波数にセルロースアセテー
トを起源とする赤外線吸収スペクトルの吸収極大を有
し、その極大吸収の半値幅が135cm-1以下であるセ
ルロースアセテートを使用すると、セルロースアセテー
トが良好に溶解している溶液が得られる。そのセルロー
スアセテート溶液を使用することで、適切な物性および
光学的性質を有するセルロースアセテートフイルムを製
造することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】[セルロースアセテートの製造]
セルロースアセテート原料のセルロースとしては、綿花
リンターや木材パルプを用いることができる。原料セル
ロースを混合して使用してもよい。セルロースアセテー
トセルロースを溶媒中で触媒の存在下、酢酸または無水
酢酸と反応させてを合成する。溶媒として酢酸、触媒と
して硫酸、そして、アセチル基供与体として無水酢酸を
使用することが普通である。
セルロースアセテート原料のセルロースとしては、綿花
リンターや木材パルプを用いることができる。原料セル
ロースを混合して使用してもよい。セルロースアセテー
トセルロースを溶媒中で触媒の存在下、酢酸または無水
酢酸と反応させてを合成する。溶媒として酢酸、触媒と
して硫酸、そして、アセチル基供与体として無水酢酸を
使用することが普通である。
【0015】セルロースアセテートの合成方法の基本的
な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出
版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法
は、無水酢酸(アセチル基供与体)−酢酸(溶媒)−硫
酸(触媒)による液相酢化法である。具体的には、木材
パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した
後、予め冷却した酢化混液に投入して酢酸エステル化
し、セルロースアセテートを合成する。上記酢化混液
は、一般に、溶媒としての酢酸、アセチル基供与体(エ
ステル化剤)としての無水酢酸および触媒としての硫酸
を含む。無水酢酸は、これと反応するセルロースおよび
系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量
で使用することが普通である。酢化反応終了後に、系内
に残存している過剰の無水酢酸の加水分解およびエステ
ル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ア
ルミニウム、亜鉛またはアンモニウムの炭酸塩、酢酸塩
または酸化物)の水溶液を添加する。
な原理は、右田他、木材化学180〜190頁(共立出
版、1968年)に記載されている。代表的な合成方法
は、無水酢酸(アセチル基供与体)−酢酸(溶媒)−硫
酸(触媒)による液相酢化法である。具体的には、木材
パルプ等のセルロース原料を適当量の酢酸で前処理した
後、予め冷却した酢化混液に投入して酢酸エステル化
し、セルロースアセテートを合成する。上記酢化混液
は、一般に、溶媒としての酢酸、アセチル基供与体(エ
ステル化剤)としての無水酢酸および触媒としての硫酸
を含む。無水酢酸は、これと反応するセルロースおよび
系内に存在する水分の合計よりも、化学量論的に過剰量
で使用することが普通である。酢化反応終了後に、系内
に残存している過剰の無水酢酸の加水分解およびエステ
ル化触媒の一部の中和のために、中和剤(例えば、ナト
リウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、ア
ルミニウム、亜鉛またはアンモニウムの炭酸塩、酢酸塩
または酸化物)の水溶液を添加する。
【0016】従来の方法では、得られたセルロースアセ
テートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫
酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン
化熟成し、所望のアセチル置換度および重合度を有する
セルロースアセテートまで変化させている。そして、所
望のセルロースアセテートが得られた時点で、系内に残
存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中
和するか、あるいは、中和することなく、水または希酢
酸中にセルロースアセテート溶液を投入(あるいは、セ
ルロースアセテート溶液中に、水または希酢酸を投入)
してセルロースアセテートを分離し、洗浄および安定化
処理によりセルロースアセテートを得ていた。前述した
特開平11−5851号公報には、アセチル化反応にお
いて少ない硫酸量を選択することにより6位置換度が比
較的高いセルロースアセテートが得られる旨が開示され
ている。しかし、そのような低硫酸条件において製造し
たセルロースアセテートは、溶液において白濁を生じた
り、溶解性が良好ではないとの問題が生じる場合があ
る。アセチル化の反応は、固相であるセルロース原料が
アセチル化を受けて少しずつ溶解しながら進行する。低
硫酸条件下での反応では、先に溶解した部分と後で溶解
した部分とに質的な違いが生じ、その結果、不均質なセ
ルロースアセテートが製造されたと考えることができ
る。
テートを少量の酢化反応触媒(一般には、残存する硫
酸)の存在下で、50〜90℃に保つことにより、ケン
化熟成し、所望のアセチル置換度および重合度を有する
セルロースアセテートまで変化させている。そして、所
望のセルロースアセテートが得られた時点で、系内に残
存している触媒を前記のような中和剤を用いて完全に中
和するか、あるいは、中和することなく、水または希酢
酸中にセルロースアセテート溶液を投入(あるいは、セ
ルロースアセテート溶液中に、水または希酢酸を投入)
してセルロースアセテートを分離し、洗浄および安定化
処理によりセルロースアセテートを得ていた。前述した
特開平11−5851号公報には、アセチル化反応にお
いて少ない硫酸量を選択することにより6位置換度が比
較的高いセルロースアセテートが得られる旨が開示され
ている。しかし、そのような低硫酸条件において製造し
たセルロースアセテートは、溶液において白濁を生じた
り、溶解性が良好ではないとの問題が生じる場合があ
る。アセチル化の反応は、固相であるセルロース原料が
アセチル化を受けて少しずつ溶解しながら進行する。低
硫酸条件下での反応では、先に溶解した部分と後で溶解
した部分とに質的な違いが生じ、その結果、不均質なセ
ルロースアセテートが製造されたと考えることができ
る。
【0017】本発明者の研究の結果、セルロースアセテ
ートを、アセチル基供与体、アセチル基供与体の0.1
乃至10モル%(0.1モル%以上、10モル%未満)
の水またはアルコールおよび触媒の存在下で熟成する
と、2位、3位および6位のアセチル置換度を容易かつ
適切に調整できることが判明した。なお、セルロースア
セテートの合成反応と連続してアセチル置換度を調整す
る場合は、0.1モル%以上の水またはアルコールが硫
酸エステルの分解のために必要であるが、既に製造済み
のセルロースアセテートのアセチル置換度を調整する場
合は、水またはアルコールは存在しなくてもよい。アセ
チル基供与体は、分子内にアセチル基(−COCH3 )
を有し、触媒存在下のエステル交換反応またはエステル
形成反応によって、セルロースアセテートの未反応の水
酸基(−OH)にアセチル基を供与できる化合物であ
る。本発明者の研究によれば、水またはアルコールの存
在量がアセチル基供与体の10モル%以上である場合、
置換度が高い(2位、3位および6位のアセチル置換度
の合計が2.70以上の)セルロースアセテートでは、
アセチル基が離脱しやすい。逆に、水またはアルコール
の存在量を、アセチル基供与体の10モル%未満(好ま
しくは7モル%未満)まで低下させると、遊離水酸基
(特に6位の水酸基)のアセチル化反応が、離脱反応に
対して優越する。従って、水またはアルコールの存在量
がアセチル基供与体の10モル%未満に調整すること
で、アセチル基供与体とセルロースアセテートとの反応
を可逆的にすることができる。すなわち、下記式に示す
ように、2位、3位または6位に未反応の水酸基を有す
るグルコース単位と、アセチル基供与体(R−COCH
3 :Rは、HO、アルコキシ基、アリールオキシ基)と
の平衡条件を調節することにより、2位、3位および6
位のアセチル置換度を効果的に調整することができる。
ートを、アセチル基供与体、アセチル基供与体の0.1
乃至10モル%(0.1モル%以上、10モル%未満)
の水またはアルコールおよび触媒の存在下で熟成する
と、2位、3位および6位のアセチル置換度を容易かつ
適切に調整できることが判明した。なお、セルロースア
セテートの合成反応と連続してアセチル置換度を調整す
る場合は、0.1モル%以上の水またはアルコールが硫
酸エステルの分解のために必要であるが、既に製造済み
のセルロースアセテートのアセチル置換度を調整する場
合は、水またはアルコールは存在しなくてもよい。アセ
チル基供与体は、分子内にアセチル基(−COCH3 )
を有し、触媒存在下のエステル交換反応またはエステル
形成反応によって、セルロースアセテートの未反応の水
酸基(−OH)にアセチル基を供与できる化合物であ
る。本発明者の研究によれば、水またはアルコールの存
在量がアセチル基供与体の10モル%以上である場合、
置換度が高い(2位、3位および6位のアセチル置換度
の合計が2.70以上の)セルロースアセテートでは、
アセチル基が離脱しやすい。逆に、水またはアルコール
の存在量を、アセチル基供与体の10モル%未満(好ま
しくは7モル%未満)まで低下させると、遊離水酸基
(特に6位の水酸基)のアセチル化反応が、離脱反応に
対して優越する。従って、水またはアルコールの存在量
がアセチル基供与体の10モル%未満に調整すること
で、アセチル基供与体とセルロースアセテートとの反応
を可逆的にすることができる。すなわち、下記式に示す
ように、2位、3位または6位に未反応の水酸基を有す
るグルコース単位と、アセチル基供与体(R−COCH
3 :Rは、HO、アルコキシ基、アリールオキシ基)と
の平衡条件を調節することにより、2位、3位および6
位のアセチル置換度を効果的に調整することができる。
【0018】
【化1】
【0019】熟成工程における触媒としては、酸または
金属(例、チタン、スズ)イオンが好ましい。酸として
は、通常のプロトン酸のみではなく、ルイス酸も有効で
ある。熟成反応を、酢酸エステル(アセチル基供与体)
−アルコール(溶媒)系で実施する場合は、金属アルコ
キシドや有機塩基(例、ジアルキルアミノピリジン、N
−メチルイミダゾール)も、触媒として用いることがで
きる。最も好ましい触媒は、酸である。酸触媒は、強酸
(例、スルホン酸、過塩素酸、硫酸、三フッ化ホウ素、
四フッ化ホウ素酸)が好ましい。入手の容易さ、安定
性、毒性、腐食性のような諸性質を考慮すると、硫酸が
最も好ましい。なお、100℃以上の反応条件では、ア
セチル基供与体である酢酸を、酸触媒として使用するこ
ともできる。酢酸が、アセチル基供与体と触媒との機能
を兼ねる態様も本発明に含まれる。触媒の使用量は、触
媒機能(酸触媒の場合は酸性度)と反応温度とを考慮し
て決定する。
金属(例、チタン、スズ)イオンが好ましい。酸として
は、通常のプロトン酸のみではなく、ルイス酸も有効で
ある。熟成反応を、酢酸エステル(アセチル基供与体)
−アルコール(溶媒)系で実施する場合は、金属アルコ
キシドや有機塩基(例、ジアルキルアミノピリジン、N
−メチルイミダゾール)も、触媒として用いることがで
きる。最も好ましい触媒は、酸である。酸触媒は、強酸
(例、スルホン酸、過塩素酸、硫酸、三フッ化ホウ素、
四フッ化ホウ素酸)が好ましい。入手の容易さ、安定
性、毒性、腐食性のような諸性質を考慮すると、硫酸が
最も好ましい。なお、100℃以上の反応条件では、ア
セチル基供与体である酢酸を、酸触媒として使用するこ
ともできる。酢酸が、アセチル基供与体と触媒との機能
を兼ねる態様も本発明に含まれる。触媒の使用量は、触
媒機能(酸触媒の場合は酸性度)と反応温度とを考慮し
て決定する。
【0020】熟成反応は、従来から酢酸(アセチル基供
与体)−水(溶媒)系で実施することが普通であった。
ただし、従来の熟成反応では、水が酢酸に対して10モ
ル%以上存在する条件下で実施していた。このような条
件下では、セルロースアセテートのエステル結合の分解
反応のみが進行して、置換度が低下する。よって、その
ような熟成反応では、2位、3位および6位のアセチル
置換度を調整することはできなかった。本発明の熟成反
応では、水またはアルコールの存在量をアセチル基供与
体の10モル%未満(好ましくは7モル%未満)に制限
することによって、2位、3位および6位のアセチル置
換度を調整する。なお、セルロースアセテートを合成す
る工程では、一般に過剰量の無水酢酸を使用するが、熟
成工程の前に、過剰の無水酢酸を酢酸まで加水分解して
おく(熟成工程では無水酢酸が存在しない)ことが好ま
しい。
与体)−水(溶媒)系で実施することが普通であった。
ただし、従来の熟成反応では、水が酢酸に対して10モ
ル%以上存在する条件下で実施していた。このような条
件下では、セルロースアセテートのエステル結合の分解
反応のみが進行して、置換度が低下する。よって、その
ような熟成反応では、2位、3位および6位のアセチル
置換度を調整することはできなかった。本発明の熟成反
応では、水またはアルコールの存在量をアセチル基供与
体の10モル%未満(好ましくは7モル%未満)に制限
することによって、2位、3位および6位のアセチル置
換度を調整する。なお、セルロースアセテートを合成す
る工程では、一般に過剰量の無水酢酸を使用するが、熟
成工程の前に、過剰の無水酢酸を酢酸まで加水分解して
おく(熟成工程では無水酢酸が存在しない)ことが好ま
しい。
【0021】前述したアセチル基供与体とセルロースア
セテートとの平衡反応を適切に調整するためには、熟成
工程における反応条件を、下記式で定義される反応履歴
パラメータ(R)が20を越える値となるように調節す
ることが好ましい。Rは、30を越える値であることが
さらに好ましく、40を越える値であることが最も好ま
しい。 R=∫YZ/Xdt 式中、Xは、反応系中の水またはアルコールのアセチル
基供与体に対するモル比であり;Yは、反応系中の触媒
のアセチル基供与体に対するモル比であり;Zは、温度
換算係数(3(T-30)/20 :Tは反応温度(℃))であ
り;そして、tは、反応時間である。なお、Xが0.1
モル%未満の場合は、0.1として計算する。
セテートとの平衡反応を適切に調整するためには、熟成
工程における反応条件を、下記式で定義される反応履歴
パラメータ(R)が20を越える値となるように調節す
ることが好ましい。Rは、30を越える値であることが
さらに好ましく、40を越える値であることが最も好ま
しい。 R=∫YZ/Xdt 式中、Xは、反応系中の水またはアルコールのアセチル
基供与体に対するモル比であり;Yは、反応系中の触媒
のアセチル基供与体に対するモル比であり;Zは、温度
換算係数(3(T-30)/20 :Tは反応温度(℃))であ
り;そして、tは、反応時間である。なお、Xが0.1
モル%未満の場合は、0.1として計算する。
【0022】[セルロースアセテート]以上のような製
造方法を採用することにより、2位、3位および6位の
アセチル置換度が適切に調節されたセルロースアセテー
トを合成することができる。
造方法を採用することにより、2位、3位および6位の
アセチル置換度が適切に調節されたセルロースアセテー
トを合成することができる。
【0023】2位、3位および6位のアセチル置換度
が、下記式(I)〜(III)を満足するセルロースアセテ
ートを用いると、適切な物性および光学的性質を有する
セルロースアセテートフイルムを製造することができ
る。 (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 式(I)〜(III)において、2DSは、2位のアセチル
置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であ
り、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
が、下記式(I)〜(III)を満足するセルロースアセテ
ートを用いると、適切な物性および光学的性質を有する
セルロースアセテートフイルムを製造することができ
る。 (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 式(I)〜(III)において、2DSは、2位のアセチル
置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であ
り、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0024】図1は、式(I)〜(III)のアセチル置換
度の規定および実施例と比較例のセルロースアセテート
のアセチル置換度を説明するためのグラフである。グラ
フの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)および3位
のアセチル置換度(2DS)の合計(2DS+3DS)
であり、グラフの縦軸は6位のアセチル置換度(6D
S)である。式(I)〜(III)の規定は、グラフ中に斜
線でハッチングした二等辺三角形の領域に相当する。な
お、黒丸1〜5、7〜10は、実施例1〜5、7〜10
のセルロースアセテートであり、白丸C1は、比較例1
のセルロースアセテートである(比較例2は、グラフの
圏外)。
度の規定および実施例と比較例のセルロースアセテート
のアセチル置換度を説明するためのグラフである。グラ
フの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)および3位
のアセチル置換度(2DS)の合計(2DS+3DS)
であり、グラフの縦軸は6位のアセチル置換度(6D
S)である。式(I)〜(III)の規定は、グラフ中に斜
線でハッチングした二等辺三角形の領域に相当する。な
お、黒丸1〜5、7〜10は、実施例1〜5、7〜10
のセルロースアセテートであり、白丸C1は、比較例1
のセルロースアセテートである(比較例2は、グラフの
圏外)。
【0025】また、2位、3位および6位のアセチル置
換度が、下記式(III)〜(V)を満足するセルロースア
セテートを用いると、適切な粘度および溶解性を有する
セルロースアセテート溶液を調製することができる。 (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 式(III)〜(V)において、2DSは、2位のアセチル
置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であ
り、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
換度が、下記式(III)〜(V)を満足するセルロースア
セテートを用いると、適切な粘度および溶解性を有する
セルロースアセテート溶液を調製することができる。 (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 式(III)〜(V)において、2DSは、2位のアセチル
置換度であり、3DSは、3位のアセチル置換度であ
り、そして、6DSは、6位のアセチル置換度である。
【0026】図2は、式(III)および(IV)のアセチル
置換度の規定および実施例と比較例のセルロースアセテ
ートのアセチル置換度を説明するためのグラフである。
グラフの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)であ
り、グラフの縦軸は3位のアセチル置換度(3DS)で
ある。式(III)および(IV)の規定は、グラフ中に斜線
でハッチングした二等辺三角形の領域に相当する。な
お、黒丸1〜5、7〜10は、実施例1〜5、7〜10
のセルロースアセテートであり、白丸C1、C2は、比
較例1、2のセルロースアセテートである。
置換度の規定および実施例と比較例のセルロースアセテ
ートのアセチル置換度を説明するためのグラフである。
グラフの横軸は2位のアセチル置換度(2DS)であ
り、グラフの縦軸は3位のアセチル置換度(3DS)で
ある。式(III)および(IV)の規定は、グラフ中に斜線
でハッチングした二等辺三角形の領域に相当する。な
お、黒丸1〜5、7〜10は、実施例1〜5、7〜10
のセルロースアセテートであり、白丸C1、C2は、比
較例1、2のセルロースアセテートである。
【0027】式(I)〜(V)を全て満足するセルロー
スアセテートが最も好ましい。セルロースアセテートの
2位、3位および6位のアセチル置換度は、セルロース
アセテートをプロピオニル化処理した後、13C−NMR
の測定により求めることができる。測定方法の詳細につ
いては、手塚他(Carbohydr. Res. 273(1995)83-91)に
記載がある。
スアセテートが最も好ましい。セルロースアセテートの
2位、3位および6位のアセチル置換度は、セルロース
アセテートをプロピオニル化処理した後、13C−NMR
の測定により求めることができる。測定方法の詳細につ
いては、手塚他(Carbohydr. Res. 273(1995)83-91)に
記載がある。
【0028】さらに、2位、3位および6位のアセチル
置換度は、下記式(VI)を満足することも好ましい。 (VI) 2DS+3DS−6DS<1 式(VI)において、2DSは、2位のアセチル置換度で
あり、3DSは、3位のアセチル置換度であり、そし
て、6DSは、6位のアセチル置換度である。式(VI)
を満足するセルロースアセテートは、図1に(VI)とし
て示した実線(2DS+3DS−6DS=1)よりも左
側の領域である。
置換度は、下記式(VI)を満足することも好ましい。 (VI) 2DS+3DS−6DS<1 式(VI)において、2DSは、2位のアセチル置換度で
あり、3DSは、3位のアセチル置換度であり、そし
て、6DSは、6位のアセチル置換度である。式(VI)
を満足するセルロースアセテートは、図1に(VI)とし
て示した実線(2DS+3DS−6DS=1)よりも左
側の領域である。
【0029】[赤外線吸収スペクトル]セルロースアセ
テートは、3450乃至3550cm-1の波数に赤外線
吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値
幅が135cm-1以下であることが好ましい。吸収極大
は、3455乃至3540cm-1の波数に存在すること
がさらに好ましく、3460乃至3530cm-1の波数
に存在することが最も好ましい。吸収極大の半値幅は、
130cm-1以下であることがさらに好ましく、125
cm-1以下であることが最も好ましい。セルロースアセ
テートの赤外線吸収スペクトルは、ソルベントキャスト
法でセルロースアセテートフイルムを作製してから測定
する。具体的な測定手順は、実施例7について後述す
る。
テートは、3450乃至3550cm-1の波数に赤外線
吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の半値
幅が135cm-1以下であることが好ましい。吸収極大
は、3455乃至3540cm-1の波数に存在すること
がさらに好ましく、3460乃至3530cm-1の波数
に存在することが最も好ましい。吸収極大の半値幅は、
130cm-1以下であることがさらに好ましく、125
cm-1以下であることが最も好ましい。セルロースアセ
テートの赤外線吸収スペクトルは、ソルベントキャスト
法でセルロースアセテートフイルムを作製してから測定
する。具体的な測定手順は、実施例7について後述す
る。
【0030】測定により得られる赤外線吸収スペクトル
から、吸収極大と半値幅を求める。赤外線吸収スペクト
ルの吸収バンドの解析については、田所宏行著、高分子
の構造(化学同人、1976年)の219〜221頁に
記載がある。図3は、赤外線吸収スペクトルの半値幅を
説明するためのチャートである。図3に示すスペクトル
では、波長が3500cm-1付近に、水酸基の吸収バン
ドが認められる。吸収バンドの高波数側(3700cm
-1付近)の基部(A)と、低波数側(3250cm-1付
近)の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引
く。吸収バンドのピーク(E)から横軸に垂線をおろ
す。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決
定し、ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求
める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)
と平行な直線を引き、スペクトルとの二つの交点
(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)か
ら横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点の幅
を、バンドの半値幅(Δν1/2)とする。なお、吸収バン
ド(3450乃至3550cm-1の波数)に複数の吸収
ピークが存在する場合は、最大の吸収ピークを測定基準
(図3におけるE)に採用すればよい。
から、吸収極大と半値幅を求める。赤外線吸収スペクト
ルの吸収バンドの解析については、田所宏行著、高分子
の構造(化学同人、1976年)の219〜221頁に
記載がある。図3は、赤外線吸収スペクトルの半値幅を
説明するためのチャートである。図3に示すスペクトル
では、波長が3500cm-1付近に、水酸基の吸収バン
ドが認められる。吸収バンドの高波数側(3700cm
-1付近)の基部(A)と、低波数側(3250cm-1付
近)の基部(B)に接するベースライン(A−B)を引
く。吸収バンドのピーク(E)から横軸に垂線をおろ
す。垂線とベースライン(A−B)との交点(C)を決
定し、ピーク(E)と交点(C)との中間点(D)を求
める。中間点(D)を通って、ベースライン(A−B)
と平行な直線を引き、スペクトルとの二つの交点
(A’、B’)を求める。二つの交点(A’、B’)か
ら横軸まで垂線をおろして、横軸上の二つの交点の幅
を、バンドの半値幅(Δν1/2)とする。なお、吸収バン
ド(3450乃至3550cm-1の波数)に複数の吸収
ピークが存在する場合は、最大の吸収ピークを測定基準
(図3におけるE)に採用すればよい。
【0031】メチルセルロースの赤外線吸収スペクトル
については、近藤の報告(Kondo, Cellulose, 4, 281(1
997))がある。製造済みのセルロースアセテートフイル
ムにおいても、同様に測定した赤外線吸収スペクトルに
おいて、3450乃至3550cm-1の波数に吸収極大
を有し、その吸収極大の半値幅が135cm-1以下であ
ることが好ましい。ただし、製造済みのセルロースアセ
テートフイルムでは、添加剤(例えば、赤外線吸収剤)
が吸収スペクトルに影響する場合がある。従って、製造
済みのセルロースアセテートフイルムでは、セルロース
アセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルを測定す
る。
については、近藤の報告(Kondo, Cellulose, 4, 281(1
997))がある。製造済みのセルロースアセテートフイル
ムにおいても、同様に測定した赤外線吸収スペクトルに
おいて、3450乃至3550cm-1の波数に吸収極大
を有し、その吸収極大の半値幅が135cm-1以下であ
ることが好ましい。ただし、製造済みのセルロースアセ
テートフイルムでは、添加剤(例えば、赤外線吸収剤)
が吸収スペクトルに影響する場合がある。従って、製造
済みのセルロースアセテートフイルムでは、セルロース
アセテートを起源とする赤外線吸収スペクトルを測定す
る。
【0032】[有機溶媒]セルロースアセテートは有機
溶媒に溶解して、セルロースアセテート溶液を調製して
各種用途(例えば、フイルムの製造)に使用することが
普通である。有機溶媒の例には、ケトン、エステル、エ
ーテル、炭化水素およびアルコールが含まれる。なお、
技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化
水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観
点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含ま
ないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機
溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好
ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、
製造したセルロースアセテートフイルムから、メチレン
クロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されな
いことが好ましい。
溶媒に溶解して、セルロースアセテート溶液を調製して
各種用途(例えば、フイルムの製造)に使用することが
普通である。有機溶媒の例には、ケトン、エステル、エ
ーテル、炭化水素およびアルコールが含まれる。なお、
技術的には、メチレンクロリドのようなハロゲン化炭化
水素は問題なく使用できるが、地球環境や作業環境の観
点では、有機溶媒はハロゲン化炭化水素を実質的に含ま
ないことが好ましい。「実質的に含まない」とは、有機
溶媒中のハロゲン化炭化水素の割合が5質量%未満(好
ましくは2質量%未満)であることを意味する。また、
製造したセルロースアセテートフイルムから、メチレン
クロリドのようなハロゲン化炭化水素が全く検出されな
いことが好ましい。
【0033】有機溶媒は、炭素原子数が2乃至12のエ
ーテル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原
子数が2乃至12のエステルから選ばれる溶媒を含むこ
とが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環
状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエ
ステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−
COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機
溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコー
ル性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二
種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原
子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内
であればよい。
ーテル、炭素原子数が3乃至12のケトンおよび炭素原
子数が2乃至12のエステルから選ばれる溶媒を含むこ
とが好ましい。エーテル、ケトンおよびエステルは、環
状構造を有していてもよい。エーテル、ケトンおよびエ
ステルの官能基(すなわち、−O−、−CO−および−
COO−)のいずれかを二つ以上有する化合物も、有機
溶媒として用いることができる。有機溶媒は、アルコー
ル性水酸基のような他の官能基を有していてもよい。二
種類以上の官能基を有する有機溶媒の場合、その炭素原
子数は、いずれかの官能基を有する化合物の規定範囲内
であればよい。
【0034】炭素原子数が2乃至12のエーテルの例に
は、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタ
ン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テト
ラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含ま
れる。炭素原子数が3乃至12のケトンの例には、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ンおよびアセチルアセトンが含まれる。炭素原子数が2
乃至12のエステルの例には、メチルホルメート、エチ
ルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメー
ト、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチ
ルアセテートが含まれる。メチルアセテート(酢酸メチ
ル)を50質量%以上含む酢酸メチル系有機溶媒が特に
好ましく用いられる。二種類以上の官能基を有する有機
溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メ
トキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含ま
れる。
は、ジメチルエーテル、メチルエチルエーテル、ジイソ
プロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタ
ン、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テト
ラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが含ま
れる。炭素原子数が3乃至12のケトンの例には、アセ
トン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブ
チルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノ
ンおよびアセチルアセトンが含まれる。炭素原子数が2
乃至12のエステルの例には、メチルホルメート、エチ
ルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメー
ト、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチ
ルアセテートが含まれる。メチルアセテート(酢酸メチ
ル)を50質量%以上含む酢酸メチル系有機溶媒が特に
好ましく用いられる。二種類以上の官能基を有する有機
溶媒の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メ
トキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが含ま
れる。
【0035】特に好ましい有機溶媒は、互いに異なる三
種類の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子
数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が2乃至12
のエステルから選ばれ、第2の溶媒が炭素原子数が1乃
至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そして第3の
溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点
が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。第1の溶
媒のケトンおよびエステルについては、前述した通りで
ある。なお、第1の溶媒を二種類併用してもよい。例え
ば、ケトン(例、アセトン)とエステル(例、酢酸メチ
ル)との混合溶媒を、第1の溶媒として使用してもよ
い。第2の溶媒は、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価
アルコールから選ばれる。アルコールの水酸基は、炭化
水素直鎖の末端に結合してもよいし(第一級アルコー
ル)、中間に結合してもよい(第二級アルコール)。第
2の溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール
および3−ペンタノールから選ばれる。直鎖状一価アル
コールの炭素原子数は、1乃至4であることが好まし
く、1乃至3であることがさらに好ましく、1または2
であることが最も好ましい。エタノールが特に好ましく
用いられる。
種類の溶媒の混合溶媒であって、第1の溶媒が炭素原子
数が3乃至12のケトンおよび炭素原子数が2乃至12
のエステルから選ばれ、第2の溶媒が炭素原子数が1乃
至5の直鎖状一価アルコールから選ばれ、そして第3の
溶媒が沸点が30乃至170℃のアルコールおよび沸点
が30乃至170℃の炭化水素から選ばれる。第1の溶
媒のケトンおよびエステルについては、前述した通りで
ある。なお、第1の溶媒を二種類併用してもよい。例え
ば、ケトン(例、アセトン)とエステル(例、酢酸メチ
ル)との混合溶媒を、第1の溶媒として使用してもよ
い。第2の溶媒は、炭素原子数が1乃至5の直鎖状一価
アルコールから選ばれる。アルコールの水酸基は、炭化
水素直鎖の末端に結合してもよいし(第一級アルコー
ル)、中間に結合してもよい(第二級アルコール)。第
2の溶媒は、具体的には、メタノール、エタノール、1
−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、
2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール
および3−ペンタノールから選ばれる。直鎖状一価アル
コールの炭素原子数は、1乃至4であることが好まし
く、1乃至3であることがさらに好ましく、1または2
であることが最も好ましい。エタノールが特に好ましく
用いられる。
【0036】第3の溶媒は、沸点が30乃至170℃の
アルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素か
ら選ばれる。アルコールは一価であることが好ましい。
アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を
有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、
飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコール
の水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65
℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノー
ル(97.15℃)、2−プロパノール(82.4
℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノー
ル(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、
1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−
ブタノール(101.9℃)、シクロヘキサノール(1
61℃)、2−フルオロエタノール(103℃)、2,
2,2−トリフルオロエタノール(80℃)、2,2,
3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(109
℃)、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール(55
℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサ−2−メチル−
2−プロパノール(62℃)、1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(59℃)、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール
(80℃)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ
−1−ブタノール(114℃)、2,2,3,3,4,
4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール(97℃)、
パーフルオロ−tert−ブタノール(45℃)、2,2,
3,3,4,4,5,5−オクトフルオロ−1−ペンタ
ノール(142℃)、2,2,3,3,4,4−ヘキサ
フルオロ−1,5−ペンタンジオール(111.5
℃)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(95
℃)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,8−ペンタデカフルオロ−1−オクタノー
ル(165℃)、1−(ペンタフルオロフェニル)エタ
ノール(82℃)および2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンジルアルコール(115℃)が含まれる。
アルコールおよび沸点が30乃至170℃の炭化水素か
ら選ばれる。アルコールは一価であることが好ましい。
アルコールの炭化水素部分は、直鎖であっても、分岐を
有していても、環状であってもよい。炭化水素部分は、
飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコール
の水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。
アルコールの例には、メタノール(沸点:64.65
℃)、エタノール(78.325℃)、1−プロパノー
ル(97.15℃)、2−プロパノール(82.4
℃)、1−ブタノール(117.9℃)、2−ブタノー
ル(99.5℃)、t−ブタノール(82.45℃)、
1−ペンタノール(137.5℃)、2−メチル−2−
ブタノール(101.9℃)、シクロヘキサノール(1
61℃)、2−フルオロエタノール(103℃)、2,
2,2−トリフルオロエタノール(80℃)、2,2,
3,3−テトラフルオロ−1−プロパノール(109
℃)、1,3−ジフルオロ−2−プロパノール(55
℃)、1,1,1,3,3,3−ヘキサ−2−メチル−
2−プロパノール(62℃)、1,1,1,3,3,3
−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(59℃)、2,
2,3,3,3−ペンタフルオロ−1−プロパノール
(80℃)、2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロ
−1−ブタノール(114℃)、2,2,3,3,4,
4,4−ヘプタフルオロ−1−ブタノール(97℃)、
パーフルオロ−tert−ブタノール(45℃)、2,2,
3,3,4,4,5,5−オクトフルオロ−1−ペンタ
ノール(142℃)、2,2,3,3,4,4−ヘキサ
フルオロ−1,5−ペンタンジオール(111.5
℃)、3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,
8,8−トリデカフルオロ−1−オクタノール(95
℃)、2,2,3,3,4,4,5,5,6,6,7,
7,8,8,8−ペンタデカフルオロ−1−オクタノー
ル(165℃)、1−(ペンタフルオロフェニル)エタ
ノール(82℃)および2,3,4,5,6−ペンタフ
ルオロベンジルアルコール(115℃)が含まれる。
【0037】アルコールについては、前記第2の溶媒の
定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコー
ルとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒と
して使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノー
ルを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他の
アルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペン
タノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)
を第3の溶媒として使用していもよい。炭化水素は、直
鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよ
い。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いる
ことができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽
和であってもよい。であることがさらに好ましい。炭化
水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、
ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエ
ン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜14
4.4℃)が含まれる。
定義と重複するが、第2の溶媒として使用するアルコー
ルとは異なる種類のアルコールであれば、第3の溶媒と
して使用できる。例えば、第2の溶媒として、エタノー
ルを使用する場合は、第2の溶媒の定義に含まれる他の
アルコール(メタノール、1−プロパノール、2−プロ
パノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペン
タノール、2−ペンタノールまたは3−ペンタノール)
を第3の溶媒として使用していもよい。炭化水素は、直
鎖であっても、分岐を有していても、環状であってもよ
い。芳香族炭化水素と脂肪族炭化水素のいずれも用いる
ことができる。脂肪族炭化水素は、飽和であっても不飽
和であってもよい。であることがさらに好ましい。炭化
水素の例には、シクロヘキサン(沸点:80.7℃)、
ヘキサン(69℃)、ベンゼン(80.1℃)、トルエ
ン(110.6℃)およびキシレン(138.4〜14
4.4℃)が含まれる。
【0038】三種混合溶媒中には、第1の溶媒が50乃
至95質量%含まれることが好ましく、60乃至92質
量%含まれることがより好ましく、65乃至90質量%
含まれることが更に好ましく、70乃至88質量%含ま
れることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30質
量%含まれることが好ましく、2乃至27質量%含まれ
ることがより好ましく、3乃至24質量%含まれること
がさらに好ましく、4乃至22質量%含まれることが最
も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30質量%含まれる
ことが好ましく、2乃至27質量%含まれることがより
好ましく、3乃至24質量%含まれることがさらに好ま
しく、4乃至22質量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒と
してもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目
以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択すること
が好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭
素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピ
ルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒ
ドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタ
ンを併用してもよい。
至95質量%含まれることが好ましく、60乃至92質
量%含まれることがより好ましく、65乃至90質量%
含まれることが更に好ましく、70乃至88質量%含ま
れることが最も好ましい。第2の溶媒は、1乃至30質
量%含まれることが好ましく、2乃至27質量%含まれ
ることがより好ましく、3乃至24質量%含まれること
がさらに好ましく、4乃至22質量%含まれることが最
も好ましい。第3の溶媒は、1乃至30質量%含まれる
ことが好ましく、2乃至27質量%含まれることがより
好ましく、3乃至24質量%含まれることがさらに好ま
しく、4乃至22質量%含まれることが最も好ましい。
さらに他の有機溶媒を併用して、四種以上の混合溶媒と
してもよい。四種以上の混合溶媒を用いる場合の4番目
以降の溶媒も、前述した三種類の溶媒から選択すること
が好ましい。前述した三種類の溶媒以外の溶媒して、炭
素原子数が3乃至12のエーテル類(例、ジイソプロピ
ルエーテル、ジメトキシエタン、ジエトキシエタン、
1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、テトラヒ
ドロフラン、アニソール、フェネトール)やニトロメタ
ンを併用してもよい。
【0039】有機溶媒の沸点は、20乃至300℃であ
ることが好ましく、30乃至200℃であることがより
好ましく、40乃至100℃であることがさらに好まし
く、50乃至80℃であることが最も好ましい。本発明
では、冷却溶解法により、以上のような有機溶媒中にセ
ルロースアセテートを溶解して、溶液を形成することが
好ましい。冷却溶解法は、膨潤工程、冷却工程および加
温工程からなる。なお、室温でセルロースアセテートを
溶解できる有機溶媒であっても、冷却溶解法によると迅
速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
ることが好ましく、30乃至200℃であることがより
好ましく、40乃至100℃であることがさらに好まし
く、50乃至80℃であることが最も好ましい。本発明
では、冷却溶解法により、以上のような有機溶媒中にセ
ルロースアセテートを溶解して、溶液を形成することが
好ましい。冷却溶解法は、膨潤工程、冷却工程および加
温工程からなる。なお、室温でセルロースアセテートを
溶解できる有機溶媒であっても、冷却溶解法によると迅
速に均一な溶液が得られるとの効果がある。
【0040】[膨潤工程]膨潤工程においては、セルロ
ースアセテートと有機溶媒とを混合し、セルロースアセ
テートを溶媒により膨潤させる。膨潤工程の温度は、−
10乃至55℃であることが好ましい。通常は室温で実
施する。セルロースアセテートと有機溶媒との比率は、
最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一般
に、混合物中のセルロースアセテートの量は、5乃至3
0質量%であることが好ましく、8乃至20質量%であ
ることがさらに好ましく、10乃至15質量%であるこ
とが最も好ましい。溶媒とセルロースアセテートとの混
合物は、セルロースアセテートが充分に膨潤するまで攪
拌することが好ましい。攪拌時間は、10乃至150分
であることが好ましく、20乃至120分であることが
さらに好ましい。膨潤工程において、溶媒とセルロース
アセテート以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、
染料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
ースアセテートと有機溶媒とを混合し、セルロースアセ
テートを溶媒により膨潤させる。膨潤工程の温度は、−
10乃至55℃であることが好ましい。通常は室温で実
施する。セルロースアセテートと有機溶媒との比率は、
最終的に得られる溶液の濃度に応じて決定する。一般
に、混合物中のセルロースアセテートの量は、5乃至3
0質量%であることが好ましく、8乃至20質量%であ
ることがさらに好ましく、10乃至15質量%であるこ
とが最も好ましい。溶媒とセルロースアセテートとの混
合物は、セルロースアセテートが充分に膨潤するまで攪
拌することが好ましい。攪拌時間は、10乃至150分
であることが好ましく、20乃至120分であることが
さらに好ましい。膨潤工程において、溶媒とセルロース
アセテート以外の成分、例えば、可塑剤、劣化防止剤、
染料や紫外線吸収剤を添加してもよい。
【0041】[冷却工程]冷却工程においては、膨潤混
合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、
膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。冷却
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用
的な上限である。冷却速度は、冷却を開始する時の温度
と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終
的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。な
お、特開平9−95544号、同9−95557号およ
び同9−95538号の各公報に記載の実施例は、3℃
/分程度の冷却速度である。冷却工程においては、冷却
時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用い
ることが望ましい。また、冷却時に減圧すると、冷却時
間を短縮することができる。減圧を実施するためには、
耐圧性容器を用いることが望ましい。具体的な冷却手段
としては、様々な方法または装置が採用できる。
合物を−100乃至−10℃に冷却する。冷却温度は、
膨潤混合物が固化する温度であることが好ましい。冷却
速度は、4℃/分以上であることが好ましく、8℃/分
以上であることがさらに好ましく、12℃/分以上であ
ることが最も好ましい。冷却速度は、速いほど好ましい
が、10000℃/秒が理論的な上限であり、1000
℃秒が技術的な上限であり、そして100℃/秒が実用
的な上限である。冷却速度は、冷却を開始する時の温度
と最終的な冷却温度との差を、冷却を開始してから最終
的な冷却温度に達するまでの時間で割った値である。な
お、特開平9−95544号、同9−95557号およ
び同9−95538号の各公報に記載の実施例は、3℃
/分程度の冷却速度である。冷却工程においては、冷却
時の結露による水分混入を避けるため、密閉容器を用い
ることが望ましい。また、冷却時に減圧すると、冷却時
間を短縮することができる。減圧を実施するためには、
耐圧性容器を用いることが望ましい。具体的な冷却手段
としては、様々な方法または装置が採用できる。
【0042】例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構から
なる冷却装置が好ましく用いられる。また、−105乃
至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、よ
り迅速に冷却することもできる。
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を冷却
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を冷却することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
冷却するため容器の周囲に設けられている冷却機構から
なる冷却装置が好ましく用いられる。また、−105乃
至−15℃に冷却した溶媒を膨潤混合物に添加して、よ
り迅速に冷却することもできる。
【0043】さらに、−100乃至−10℃に冷却され
た液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0m
mの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、
さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。
冷却に使用する液体については、特に制限はない。冷却
された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより
膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加
温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分
離する工程を行なうことが好ましい。冷却工程におい
て、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合
物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例え
ば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出す
ことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の
開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液
体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板
状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造する
ことができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大
きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないよ
うに調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から
加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と
搬送を同時に実施することもできる。
た液体中へ、膨潤混合物を直径が0.1乃至20.0m
mの糸状に押し出すことにより膨潤混合物することで、
さらに迅速に膨潤混合物を冷却することも可能である。
冷却に使用する液体については、特に制限はない。冷却
された液体中へ膨潤混合物を糸状に押し出すことにより
膨潤混合物を冷却する方法を用いる場合、冷却工程と加
温工程の間で、糸状の膨潤混合物と冷却用の液体とを分
離する工程を行なうことが好ましい。冷却工程におい
て、膨潤混合物が糸状にゲル化しているため、膨潤混合
物と冷却用の液体とを分離は簡単に実施できる。例え
ば、網を用いて、糸状の膨潤混合物を液体から取り出す
ことが可能である。網の代わりに、スリットまたは穴の
開いた板状物を用いてもよい。網や板状物の材料は、液
体に溶解しない材質であれば、特に制限はない。網や板
状物は、各種金属や各種プラスチック材料から製造する
ことができる。網の目の大きさ、スリットの巾や穴の大
きさは、糸状物の直径に応じて、糸状物が通過しないよ
うに調整する。また、糸状の膨潤混合物を冷却装置から
加温装置へ搬送するためのベルトを網状にして、分離と
搬送を同時に実施することもできる。
【0044】[加温工程]加温工程においては、冷却し
た膨潤混合物を0至200℃に加温する。加温工程の最
終温度は、通常は室温である。加温速度は、4℃/分以
上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさ
らに好ましく、12℃/分以上であることが最も好まし
い。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/
秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な上限
であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。加
温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度
との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達す
るまでの時間で割った値である。なお、特開平9−95
544号、同9−95557号および同9−95538
号の各公報に記載の実施例は、3℃/分程度の加温速度
である。加圧しながら加温すると、加温時間を短縮する
ことができる。加圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、溶解が不充分である場合
は、冷却工程から加温工程までを繰り返して実施しても
よい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の
外観を観察するだけで判断することができる。具体的な
加温手段としては、様々な方法または装置が採用でき
る。
た膨潤混合物を0至200℃に加温する。加温工程の最
終温度は、通常は室温である。加温速度は、4℃/分以
上であることが好ましく、8℃/分以上であることがさ
らに好ましく、12℃/分以上であることが最も好まし
い。加温速度は、速いほど好ましいが、10000℃/
秒が理論的な上限であり、1000℃秒が技術的な上限
であり、そして100℃/秒が実用的な上限である。加
温速度は、加温を開始する時の温度と最終的な加温温度
との差を、加温を開始してから最終的な加温温度に達す
るまでの時間で割った値である。なお、特開平9−95
544号、同9−95557号および同9−95538
号の各公報に記載の実施例は、3℃/分程度の加温速度
である。加圧しながら加温すると、加温時間を短縮する
ことができる。加圧を実施するためには、耐圧性容器を
用いることが望ましい。なお、溶解が不充分である場合
は、冷却工程から加温工程までを繰り返して実施しても
よい。溶解が充分であるかどうかは、目視により溶液の
外観を観察するだけで判断することができる。具体的な
加温手段としては、様々な方法または装置が採用でき
る。
【0045】例えば、膨潤混合物を攪拌しながら筒状の
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を加温
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を加温することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
加温するため容器の周囲に設けられている加温機構から
なる加温装置が好ましく用いられる。
容器内を搬送し、その容器の周囲から膨潤混合物を加温
すると、迅速に且つ均一に膨潤混合物を加温することが
できる。そのためには、筒状の容器、膨潤混合物を攪拌
しながら筒状の容器内を搬送するため容器内に設けられ
ている螺旋状の搬送機構、および容器内の膨潤混合物を
加温するため容器の周囲に設けられている加温機構から
なる加温装置が好ましく用いられる。
【0046】また、加温された液体中へ、直径が0.1
乃至20.0mmの糸状の膨潤混合物を入れることによ
り膨潤混合物を加温することで、さらに迅速に膨潤混合
物を加温することも可能である。冷却工程において、膨
潤混合物を糸状に押し出す方法を採用した場合は、その
糸状の膨潤混合物を加温用の液体に投入すればよい。冷
却工程を糸状押し出し以外の方法で実施した場合は、加
温工程において冷却した膨潤混合物を加温用液体中へ糸
状に押し出す。なお、糸状押し出しを連続して実施する
場合は、製造したセルロースアセテート溶液を次の膨潤
混合物の加温用の液体として順次利用することができ
る。すなわち、製造し加温された状態のセルロースアセ
テート溶液中に、糸状の膨潤混合物を投入し、混合物を
迅速に加温してセルロースアセテート溶液を得る。
乃至20.0mmの糸状の膨潤混合物を入れることによ
り膨潤混合物を加温することで、さらに迅速に膨潤混合
物を加温することも可能である。冷却工程において、膨
潤混合物を糸状に押し出す方法を採用した場合は、その
糸状の膨潤混合物を加温用の液体に投入すればよい。冷
却工程を糸状押し出し以外の方法で実施した場合は、加
温工程において冷却した膨潤混合物を加温用液体中へ糸
状に押し出す。なお、糸状押し出しを連続して実施する
場合は、製造したセルロースアセテート溶液を次の膨潤
混合物の加温用の液体として順次利用することができ
る。すなわち、製造し加温された状態のセルロースアセ
テート溶液中に、糸状の膨潤混合物を投入し、混合物を
迅速に加温してセルロースアセテート溶液を得る。
【0047】さらに、冷却した膨潤混合物を筒状の容器
内に導入し、容器内で膨潤混合物の流れを複数に分割
し、分割された混合物の流れの向きを容器内で回転さ
せ、この分割と回転とを繰り返しながら、容器の周囲か
ら膨潤混合物を加温することもできる。上記のように、
物質の流れを分割および回転させる仕切りが設けられた
容器は、一般に静止型の混合器として知られている。代
表的な静止型混合器であるスタチックミキサーTM(ケニ
ックス社)では、物質の流れを二つに分割して右回りに
180度回転させる右回りエレメントと、物質の流れを
二つに分割して左回りに180度回転させる左回りエレ
メントとが、容器内で交互に90度ずらして配列されて
いる。さらにまた、溶媒が沸騰しないように調整された
圧力下で、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温
してもよい。温度は、溶媒の種類に応じて決定するが一
般に60乃至200℃である。圧力は、温度と溶媒の沸
点との関係で決定するが、一般に1.2乃至20kgw
/cm2 である。
内に導入し、容器内で膨潤混合物の流れを複数に分割
し、分割された混合物の流れの向きを容器内で回転さ
せ、この分割と回転とを繰り返しながら、容器の周囲か
ら膨潤混合物を加温することもできる。上記のように、
物質の流れを分割および回転させる仕切りが設けられた
容器は、一般に静止型の混合器として知られている。代
表的な静止型混合器であるスタチックミキサーTM(ケニ
ックス社)では、物質の流れを二つに分割して右回りに
180度回転させる右回りエレメントと、物質の流れを
二つに分割して左回りに180度回転させる左回りエレ
メントとが、容器内で交互に90度ずらして配列されて
いる。さらにまた、溶媒が沸騰しないように調整された
圧力下で、溶媒の沸点以上の温度まで膨潤混合物を加温
してもよい。温度は、溶媒の種類に応じて決定するが一
般に60乃至200℃である。圧力は、温度と溶媒の沸
点との関係で決定するが、一般に1.2乃至20kgw
/cm2 である。
【0048】[溶液製造後の処理]製造した溶液は、必
要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度
調整、成分添加などの処理を実施することができる。添
加する成分は、セルロースアセテート溶液の用途に応じ
て決定する。セルロースアセテートフイルムの場合、代
表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤(例、過酸化物分
解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)、
染料および紫外線吸収剤である。さらに、この段階で微
粒子(好ましくは、微粒子を分散したセルロースアセテ
ートの希釈溶液)を添加することが好ましい。
要に応じて濃度の調整(濃縮または希釈)、濾過、温度
調整、成分添加などの処理を実施することができる。添
加する成分は、セルロースアセテート溶液の用途に応じ
て決定する。セルロースアセテートフイルムの場合、代
表的な添加剤は、可塑剤、劣化防止剤(例、過酸化物分
解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤、酸捕獲剤)、
染料および紫外線吸収剤である。さらに、この段階で微
粒子(好ましくは、微粒子を分散したセルロースアセテ
ートの希釈溶液)を添加することが好ましい。
【0049】[微粒子]セルロースアセテートフイルム
は、1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含む
ことができる。微粒子は滑り剤として機能して、フイル
ムの動摩擦係数を改善する。微粒子としては、無機化合
物を用いることが好ましい。無機化合物の例には、二酸
化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジル
コニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、
クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケ
イ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシ
ウムおよびリン酸カルシウムが含まれる。二酸化ケイ
素、二酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが好ましく、
二酸化ケイ素が特に好ましい。無機化合物の微粒子は、
表面処理により粒子表面にメチル基を導入することがで
きる。例えば、酸化ケイ素の微粒子をジクロロジメチル
シランやビス(トリメチルシリル)アミンで処理すれば
よい。
は、1.0μm以下の平均粒子径を有する微粒子を含む
ことができる。微粒子は滑り剤として機能して、フイル
ムの動摩擦係数を改善する。微粒子としては、無機化合
物を用いることが好ましい。無機化合物の例には、二酸
化ケイ素、二酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジル
コニウム、炭酸カルシウム、炭酸カルシウム、タルク、
クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケ
イ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシ
ウムおよびリン酸カルシウムが含まれる。二酸化ケイ
素、二酸化チタンおよび酸化ジルコニウムが好ましく、
二酸化ケイ素が特に好ましい。無機化合物の微粒子は、
表面処理により粒子表面にメチル基を導入することがで
きる。例えば、酸化ケイ素の微粒子をジクロロジメチル
シランやビス(トリメチルシリル)アミンで処理すれば
よい。
【0050】二酸化ケイ素の微粒子は、既に市販されて
いる(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R9
74TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。ま
た、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、
アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル
(株)製)。微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であ
ることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmで
あることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであ
ることが最も好ましい。微粒子は、セルロースアセテー
トに対して、0.005乃至0.3質量%の量で使用す
ることが好ましく、0.01乃至0.1質量%の量で使
用することがさらに好ましい。微粒子は、後述するフイ
ルムの製造工程のいずれの段階で添加してもよい。好ま
しくは、セルロースアセテートの有機溶剤溶液と類似の
組成の希釈溶液を作成し、希釈溶液中に微粒子を分散さ
せる。そして、有機溶剤溶液と微粒子を含む希釈溶液を
混合して、その混合液からフイルムを形成すると、微粒
子が均一に分散しているフイルムを製造することができ
る。
いる(例、アエロジルR972TM、R972DTM、R9
74TM、R812TM、日本アエロジル(株)製)。ま
た、酸化ジルコニウムの微粒子にも市販品がある(例、
アエロジルR976TM、R811TM、日本アエロジル
(株)製)。微粒子の平均粒径は、1.0μm以下であ
ることが好ましい。平均粒径は0.1乃至1.0μmで
あることがさらに好ましく、0.1乃至0.5μmであ
ることが最も好ましい。微粒子は、セルロースアセテー
トに対して、0.005乃至0.3質量%の量で使用す
ることが好ましく、0.01乃至0.1質量%の量で使
用することがさらに好ましい。微粒子は、後述するフイ
ルムの製造工程のいずれの段階で添加してもよい。好ま
しくは、セルロースアセテートの有機溶剤溶液と類似の
組成の希釈溶液を作成し、希釈溶液中に微粒子を分散さ
せる。そして、有機溶剤溶液と微粒子を含む希釈溶液を
混合して、その混合液からフイルムを形成すると、微粒
子が均一に分散しているフイルムを製造することができ
る。
【0051】[可塑剤]セルロースアセテートフイルム
には、一般に可塑剤を添加する。可塑剤としては、リン
酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リ
ン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート、
トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホス
フェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フ
タル酸エステル、クエン酸エステル、オレイン酸エステ
ルおよびリノール酸エステルが代表的である。フタル酸
エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレ
ート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフ
タレートが含まれる。クエン酸エステルの例には、クエ
ン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブ
チルが含まれる。オレイン酸エステルの例には、オレイ
ン酸ブチルが含まれる。その他のカルボン酸エステルの
例には、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、トリアセチン、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチルおよび種々のト
リメリット酸エステルが含まれる。可塑剤の添加量は、
一般にセルロースアセテートの量の0.1乃至40質量
%の範囲であり、1乃至20質量%の範囲であることが
さらに好ましい。
には、一般に可塑剤を添加する。可塑剤としては、リン
酸エステルまたはカルボン酸エステルが用いられる。リ
ン酸エステルの例には、トリフェニルフォスフェート、
トリクレジルホスフェート、オクチルジフェニルホスフ
ェート、トリエチルホスフェートおよびトリブチルホス
フェートが含まれる。カルボン酸エステルとしては、フ
タル酸エステル、クエン酸エステル、オレイン酸エステ
ルおよびリノール酸エステルが代表的である。フタル酸
エステルの例には、ジメチルフタレート、ジエチルフタ
レート、ジブチルフタレート、ジメトキシエチルフタレ
ート、ジオクチルフタレートおよびジエチルヘキシルフ
タレートが含まれる。クエン酸エステルの例には、クエ
ン酸アセチルトリエチルおよびクエン酸アセチルトリブ
チルが含まれる。オレイン酸エステルの例には、オレイ
ン酸ブチルが含まれる。その他のカルボン酸エステルの
例には、エチルフタリルエチルグリコレート、ブチルフ
タリルブチルグリコレート、トリアセチン、リシノール
酸メチルアセチル、セバシン酸ジブチルおよび種々のト
リメリット酸エステルが含まれる。可塑剤の添加量は、
一般にセルロースアセテートの量の0.1乃至40質量
%の範囲であり、1乃至20質量%の範囲であることが
さらに好ましい。
【0052】[劣化防止剤]劣化防止剤をセルロースア
セテートフイルムに添加してもよい。劣化防止剤の例に
は、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤
および酸捕獲剤が含まれる。劣化防止剤については、特
開平3−199201号、同5−1907073号、同
5−194789号、同5−271471号、同6−1
07854号の各公報に記載がある。特に好ましい劣化
防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(B
HT)を挙げることができる。劣化防止剤の添加量は、
セルロースアセテートフイルムの0.01乃至0.5質
量%であることが好ましく、0.05乃至0.2質量%
であることがさらに好ましい。
セテートフイルムに添加してもよい。劣化防止剤の例に
は、過酸化物分解剤、ラジカル禁止剤、金属不活性化剤
および酸捕獲剤が含まれる。劣化防止剤については、特
開平3−199201号、同5−1907073号、同
5−194789号、同5−271471号、同6−1
07854号の各公報に記載がある。特に好ましい劣化
防止剤の例としては、ブチル化ヒドロキシトルエン(B
HT)を挙げることができる。劣化防止剤の添加量は、
セルロースアセテートフイルムの0.01乃至0.5質
量%であることが好ましく、0.05乃至0.2質量%
であることがさらに好ましい。
【0053】[紫外線吸収剤]セルロースアセテートフ
イルム中に、紫外線吸収剤を練り込んでもよい。紫外線
吸収剤は、セルロースアセテートフイルムの経時安定性
を向上させる。紫外線吸収剤は、可視領域に吸収を持た
ないことが望ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフ
ェノン系化合物(例、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン)、ベントトリアゾール系化合物(例、2
−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−
t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−
ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチル−5’−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール)およびサリチル酸系化合物
(例、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル)が用い
られる。紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアセテー
トフイルムに対して0.5乃至20質量%の範囲である
ことが好ましく、1乃至10質量%の範囲であることが
さらに好ましい。
イルム中に、紫外線吸収剤を練り込んでもよい。紫外線
吸収剤は、セルロースアセテートフイルムの経時安定性
を向上させる。紫外線吸収剤は、可視領域に吸収を持た
ないことが望ましい。紫外線吸収剤としては、ベンゾフ
ェノン系化合物(例、2,4−ジヒドロキシベンゾフェ
ノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、
2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、
4−ドデシルオキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、
2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノ
ン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベ
ンゾフェノン)、ベントトリアゾール系化合物(例、2
−(2’−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)ベンゾト
リアゾール、2−(2’−ヒドロキシ3’,5’−ジ−
t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2(2’−
ヒドロキシ−3’−ジ−t−ブチル−5’−メチルフェ
ニル)ベンゾトリアゾール)およびサリチル酸系化合物
(例、サリチル酸フェニル、サリチル酸メチル)が用い
られる。紫外線吸収剤の添加量は、セルロースアセテー
トフイルムに対して0.5乃至20質量%の範囲である
ことが好ましく、1乃至10質量%の範囲であることが
さらに好ましい。
【0054】[染料]セルロースアセテートフイルムに
染料を添加して、ライトパイピング現象を防止してもよ
い。染色の色相はグレーが好ましい。セルロースアセテ
ートフイルムの製造温度域での耐熱性に優れ、かつセル
ロースアセテートとの相溶性に優れた化合物を、染料と
して用いることが好ましい。二種類以上の染料を混合し
て用いてもよい。
染料を添加して、ライトパイピング現象を防止してもよ
い。染色の色相はグレーが好ましい。セルロースアセテ
ートフイルムの製造温度域での耐熱性に優れ、かつセル
ロースアセテートとの相溶性に優れた化合物を、染料と
して用いることが好ましい。二種類以上の染料を混合し
て用いてもよい。
【0055】[フイルム製膜]以上の冷却溶解法による
セルロースアセテートの有機溶媒溶液(ドープ)の調製
は、通常のソルベントキャスト法における溶液調製(常
温または高温での攪拌)と全く異なるが、得られた溶液
からフイルムを製膜する工程は、通常のソルベントキャ
スト法と同様に実施できる。セルロースアセテート溶液
は、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形
成する。流延前の溶液は、固形分量が18乃至35%と
なるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面
は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体と
しては、ドラムまたはバンドが用いられる。通常のソル
ベントキャスト法における流延および乾燥方法について
は、米国特許2336310号、同2367603号、
同2492078号、同2492977号、同2492
978号、同2607704号、同2739069号、
同2739070号、英国特許640731号、同73
6892号の各明細書、特公昭45−4554号、同4
9−5614号、特開昭60−176834号、同60
−203430号、同62−115035号の各公報に
記載がある。
セルロースアセテートの有機溶媒溶液(ドープ)の調製
は、通常のソルベントキャスト法における溶液調製(常
温または高温での攪拌)と全く異なるが、得られた溶液
からフイルムを製膜する工程は、通常のソルベントキャ
スト法と同様に実施できる。セルロースアセテート溶液
は、支持体上に流延し、溶媒を蒸発させてフイルムを形
成する。流延前の溶液は、固形分量が18乃至35%と
なるように濃度を調整することが好ましい。支持体表面
は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。支持体と
しては、ドラムまたはバンドが用いられる。通常のソル
ベントキャスト法における流延および乾燥方法について
は、米国特許2336310号、同2367603号、
同2492078号、同2492977号、同2492
978号、同2607704号、同2739069号、
同2739070号、英国特許640731号、同73
6892号の各明細書、特公昭45−4554号、同4
9−5614号、特開昭60−176834号、同60
−203430号、同62−115035号の各公報に
記載がある。
【0056】支持体上に形成したセルロースアセテート
フイルムは、乾燥が終了する前(有機溶媒がフイルムの
30質量%以上)に支持体から剥離して、さらに乾燥す
ることが好ましい。そのためには、支持体上での溶液の
ゲル化が迅速に進行する必要がある。溶液のゲル化を促
進するためには、アルコール(前述した第3の溶媒)の
ような貧溶媒の使用が有効である。また、流延方法の改
良によりゲル化を促進することもできる。10℃以下に
冷却した支持体に溶液を流延すると、溶液のゲル化が促
進される(特公平5−17844号公報記載)。支持体
の冷却は、冷媒または冷風の使用により実施できる。支
持体を冷却する方法では、2秒以上乾燥風を用いて支持
体上のフイルムを乾燥してもよい。得られたフイルムを
支持体から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐
次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させる
こともできる。30℃以上に加熱した支持体に溶液を流
延してから、支持体を20℃以下に冷却しても、溶液の
ゲル化が促進される(特開昭61−148013号、同
61−158413号の各公報記載)。支持体の加熱
は、支持体表面へのヒーター取り付け、熱風吹きつけや
ドラムへの温水通水ににより実施できる。溶液の流延直
後に速やかに温度を上昇させることが好ましい。そし
て、加熱の初期段階においては、溶媒の蒸発による多量
の潜熱を必要とする。そのため、加熱の初期段階では、
上記のような加熱手段に加えて、裏面からの熱風やヒー
ター(蒸気ヒーター、赤外線ヒーター)のような補助加
熱手段を併用することが好ましい。支持体の冷却は、放
冷の他、冷風吹きつけやドラムへの冷水通水のような強
制冷却により実施できる。
フイルムは、乾燥が終了する前(有機溶媒がフイルムの
30質量%以上)に支持体から剥離して、さらに乾燥す
ることが好ましい。そのためには、支持体上での溶液の
ゲル化が迅速に進行する必要がある。溶液のゲル化を促
進するためには、アルコール(前述した第3の溶媒)の
ような貧溶媒の使用が有効である。また、流延方法の改
良によりゲル化を促進することもできる。10℃以下に
冷却した支持体に溶液を流延すると、溶液のゲル化が促
進される(特公平5−17844号公報記載)。支持体
の冷却は、冷媒または冷風の使用により実施できる。支
持体を冷却する方法では、2秒以上乾燥風を用いて支持
体上のフイルムを乾燥してもよい。得られたフイルムを
支持体から剥ぎ取り、さらに100から160℃まで逐
次温度を変えた高温風で乾燥して残留溶剤を蒸発させる
こともできる。30℃以上に加熱した支持体に溶液を流
延してから、支持体を20℃以下に冷却しても、溶液の
ゲル化が促進される(特開昭61−148013号、同
61−158413号の各公報記載)。支持体の加熱
は、支持体表面へのヒーター取り付け、熱風吹きつけや
ドラムへの温水通水ににより実施できる。溶液の流延直
後に速やかに温度を上昇させることが好ましい。そし
て、加熱の初期段階においては、溶媒の蒸発による多量
の潜熱を必要とする。そのため、加熱の初期段階では、
上記のような加熱手段に加えて、裏面からの熱風やヒー
ター(蒸気ヒーター、赤外線ヒーター)のような補助加
熱手段を併用することが好ましい。支持体の冷却は、放
冷の他、冷風吹きつけやドラムへの冷水通水のような強
制冷却により実施できる。
【0057】以上のように製造したセルロースアセテー
トフイルムは、その優れた光学的性質および物性を利用
して、様々な用途に使用できる。特に、液晶表示装置の
光学的用途において、特に本発明のフイルムが有効であ
る。光学的な用途においては、セルロースアセテートフ
イルムにAG(アンチグレアー)処理またはAR(反射
防止処理)を実施してもよい。特にAR処理を用いる
と、フイルムの光透過率を3%程度改善することができ
る。AR処理では、具体的にはフイルム上に反射防止膜
(単層、2層膜、あるいは3層以上の多層膜)を設け
て、反射損失を減少させる。反射防止膜の具体的な素材
については、薄膜ハンドブック(オーム社、昭和58年
12月10日)の818〜821頁に記載がある。
トフイルムは、その優れた光学的性質および物性を利用
して、様々な用途に使用できる。特に、液晶表示装置の
光学的用途において、特に本発明のフイルムが有効であ
る。光学的な用途においては、セルロースアセテートフ
イルムにAG(アンチグレアー)処理またはAR(反射
防止処理)を実施してもよい。特にAR処理を用いる
と、フイルムの光透過率を3%程度改善することができ
る。AR処理では、具体的にはフイルム上に反射防止膜
(単層、2層膜、あるいは3層以上の多層膜)を設け
て、反射損失を減少させる。反射防止膜の具体的な素材
については、薄膜ハンドブック(オーム社、昭和58年
12月10日)の818〜821頁に記載がある。
【0058】[偏光板保護膜および液晶表示装置]セル
ロースアセテートフイルムの光学的用途としては、液晶
表示装置の偏光板保護膜または位相差板が特に好まし
い。液晶表示装置は、一般に液晶表示素子と偏光板とを
有する。液晶表示素子は、液晶層、それを保持するため
の基板および液晶に電圧を加えるための電極層からな
る。基板および電極層は、いずれも表示のために透明な
材料を用いて製造される。透明基板としては、ガラス薄
板または樹脂フイルムが使用される。多少の屈曲性が要
求される液晶表示装置の場合は、樹脂フイルムを使用す
る必要がある。液晶基板には、高い透明性に加えて、低
複屈折率および耐熱性が要求される。液晶表示装置に位
相差板を設ける場合もある。位相差板は、液晶画面の着
色を取り除き、白黒化を実現するための複屈折フイルム
である。位相差板も、樹脂フイルムを用いて製造する。
位相差板には、高い複屈折率が要求される。偏光板は、
保護膜と偏光膜とからなる。偏光膜は、ヨウ素または二
色性染料を偏向素子として用いた樹脂フイルムである。
保護膜は、偏光膜を保護する目的で、偏光膜の片面また
は両面に設けられる。なお、偏光膜の片面のみに保護膜
を設ける場合は、一般に上記の液晶基板が他の面の保護
膜として機能する。偏光板保護膜には、透明性と低複屈
折率(低レターデーション値)が要求されるため、本発
明のセルロースアセテートフイルムが特に有利に用いら
れる。
ロースアセテートフイルムの光学的用途としては、液晶
表示装置の偏光板保護膜または位相差板が特に好まし
い。液晶表示装置は、一般に液晶表示素子と偏光板とを
有する。液晶表示素子は、液晶層、それを保持するため
の基板および液晶に電圧を加えるための電極層からな
る。基板および電極層は、いずれも表示のために透明な
材料を用いて製造される。透明基板としては、ガラス薄
板または樹脂フイルムが使用される。多少の屈曲性が要
求される液晶表示装置の場合は、樹脂フイルムを使用す
る必要がある。液晶基板には、高い透明性に加えて、低
複屈折率および耐熱性が要求される。液晶表示装置に位
相差板を設ける場合もある。位相差板は、液晶画面の着
色を取り除き、白黒化を実現するための複屈折フイルム
である。位相差板も、樹脂フイルムを用いて製造する。
位相差板には、高い複屈折率が要求される。偏光板は、
保護膜と偏光膜とからなる。偏光膜は、ヨウ素または二
色性染料を偏向素子として用いた樹脂フイルムである。
保護膜は、偏光膜を保護する目的で、偏光膜の片面また
は両面に設けられる。なお、偏光膜の片面のみに保護膜
を設ける場合は、一般に上記の液晶基板が他の面の保護
膜として機能する。偏光板保護膜には、透明性と低複屈
折率(低レターデーション値)が要求されるため、本発
明のセルロースアセテートフイルムが特に有利に用いら
れる。
【0059】偏光板の偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二
色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があ
る。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系
フイルムを用いて製造する。偏光板保護膜は、25乃至
350μmの厚さを有することが好ましく、50乃至2
00μmの厚さを有することがさらに好ましい。保護膜
には、紫外線吸収剤、滑り剤、劣化防止剤あるいは可塑
剤を添加してもよい。偏光板保護膜上にさらに表面処理
膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコー
ト、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれ
る。偏光板およびその保護膜については、特開平4−2
19703号、同5−212828号および同6−51
117号各公報に記載がある。
色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜があ
る。いずれの偏光膜も、一般にポリビニルアルコール系
フイルムを用いて製造する。偏光板保護膜は、25乃至
350μmの厚さを有することが好ましく、50乃至2
00μmの厚さを有することがさらに好ましい。保護膜
には、紫外線吸収剤、滑り剤、劣化防止剤あるいは可塑
剤を添加してもよい。偏光板保護膜上にさらに表面処理
膜を設けてもよい。表面処理膜の機能には、ハードコー
ト、防曇処理、防眩処理および反射防止処理が含まれ
る。偏光板およびその保護膜については、特開平4−2
19703号、同5−212828号および同6−51
117号各公報に記載がある。
【0060】
【実施例】[実施例1] (セルロースアセテートの合成工程)α−セルロース含
量が約97質量%の木材パルプ(水分含量:7.31質
量%)を解砕した。パルプ302.1gに対して、14
0gの氷酢酸を均一に散布し攪拌した後、室温で90分
間放置した。予め冷却した無水酢酸769.7g、酢酸
1170.3gおよび98%硫酸23.08gの混合液
中に、パルプを投入し、混合した。反応温度を、外部冷
却/加温によって、反応開始時の0℃から60分後に3
7℃に直線的に昇温し、さらに90分間37℃に保持し
た。このようにしてセルロースアセテートを合成した。
量が約97質量%の木材パルプ(水分含量:7.31質
量%)を解砕した。パルプ302.1gに対して、14
0gの氷酢酸を均一に散布し攪拌した後、室温で90分
間放置した。予め冷却した無水酢酸769.7g、酢酸
1170.3gおよび98%硫酸23.08gの混合液
中に、パルプを投入し、混合した。反応温度を、外部冷
却/加温によって、反応開始時の0℃から60分後に3
7℃に直線的に昇温し、さらに90分間37℃に保持し
た。このようにしてセルロースアセテートを合成した。
【0061】(セルロースアセテートの熟成工程)合成
したセルロースアセテートの溶液に62.05gの酢酸
水溶液を加え、温度を47℃に上げて、90分間保持し
てセルロースアセテートを熟成した。混合比は、セルロ
ースアセテート499質量部に対して、酢酸(アセチル
基供与体)1658質量部、水23.3質量部、硫酸
(触媒)22.6質量部であった。よって、酢酸(アセ
チル基供与体)に対する水の量は、4.68モル%であ
った。得られた溶液を30℃で3時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、32であった。
したセルロースアセテートの溶液に62.05gの酢酸
水溶液を加え、温度を47℃に上げて、90分間保持し
てセルロースアセテートを熟成した。混合比は、セルロ
ースアセテート499質量部に対して、酢酸(アセチル
基供与体)1658質量部、水23.3質量部、硫酸
(触媒)22.6質量部であった。よって、酢酸(アセ
チル基供与体)に対する水の量は、4.68モル%であ
った。得られた溶液を30℃で3時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、32であった。
【0062】(後処理)熟成終了後、24質量%酢酸マ
グネシウム水溶液188gを加えて攪拌した。得られた
溶液を激しく攪拌しながら約6リットルの10質量%酢
酸水溶液中に加え、得られた沈澱を濾別、流水洗浄、そ
して熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行っ
て、50℃で乾燥した。
グネシウム水溶液188gを加えて攪拌した。得られた
溶液を激しく攪拌しながら約6リットルの10質量%酢
酸水溶液中に加え、得られた沈澱を濾別、流水洗浄、そ
して熱湯洗浄の後、さらに流水洗浄し、遠心脱液を行っ
て、50℃で乾燥した。
【0063】(セルロースアセテートの分析)製造した
セルロースアセテートについて、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)、6位の置換度(6D
S)および重合度を測定した。測定結果は、第1表に示
す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3
DS)および6位の置換度(6DS)については、図1
および図2のグラフに、1の黒丸としてプロットした。
置換度の測定は、手塚(Tezuka, Carbohydr. Res. 273,
83(1995) )の方法に従い実施した。すなわち、試料セ
ルロースアセテートの遊離水酸基をピリジン中で無水プ
ロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を
重クロロホルムに溶解し、炭素13のスペクトルを測定
する。アセチル基のカルボニル炭素のシグナルは169
ppmから171ppmの領域に、高磁場から2位、3
位、6位の順、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグ
ナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順
序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチルとプロ
ピオニルの存在比から、もとのセルロースアセテートに
おけるアセチル基の分布を求めることができる。
セルロースアセテートについて、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)、6位の置換度(6D
S)および重合度を測定した。測定結果は、第1表に示
す。また、2位の置換度(2DS)、3位の置換度(3
DS)および6位の置換度(6DS)については、図1
および図2のグラフに、1の黒丸としてプロットした。
置換度の測定は、手塚(Tezuka, Carbohydr. Res. 273,
83(1995) )の方法に従い実施した。すなわち、試料セ
ルロースアセテートの遊離水酸基をピリジン中で無水プ
ロピオン酸によりプロピオニル化する。得られた試料を
重クロロホルムに溶解し、炭素13のスペクトルを測定
する。アセチル基のカルボニル炭素のシグナルは169
ppmから171ppmの領域に、高磁場から2位、3
位、6位の順、プロピオニル基のカルボニル炭素のシグ
ナルは、172ppmから174ppmの領域に同じ順
序で現れる。それぞれ対応する位置でのアセチルとプロ
ピオニルの存在比から、もとのセルロースアセテートに
おけるアセチル基の分布を求めることができる。
【0064】[実施例2] (セルロースアセテートの熟成工程)市販の(コットン
リンターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度
360、NMR測定による置換度2.84の)セルロー
スアセテート200gを、ジクロロメタン1167ml
と酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバ
ポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去し
た。酢酸2050g、水2.65gおよび過塩素酸の7
0質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセ
テートを溶解した。酢酸(アセチル基供与体)に対する
水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる
水の量の合計)は、1.63モル%であった。得られた
溶液を30℃で3時間保持して、セルロースアセテート
を熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R
=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、55であっ
た。
リンターを通常の条件でアセチル化して得られた重合度
360、NMR測定による置換度2.84の)セルロー
スアセテート200gを、ジクロロメタン1167ml
と酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータリーエバ
ポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ留去し
た。酢酸2050g、水2.65gおよび過塩素酸の7
0質量%水溶液24.4gを追加して、セルロースアセ
テートを溶解した。酢酸(アセチル基供与体)に対する
水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に含まれる
水の量の合計)は、1.63モル%であった。得られた
溶液を30℃で3時間保持して、セルロースアセテート
を熟成した。熟成工程における反応履歴パラメータ(R
=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、55であっ
た。
【0065】(後処理)熟成終了後、過塩素酸に対して
2等量に相当する酢酸ナトリウム(過塩素酸の70質量
%水溶液1質量部に対して、1.75質量部)を加え、
よく攪拌した後、激しく攪拌しながら7.5リットルの
水を徐々に加えて沈澱を形成した。沈澱は、酢酸臭が消
えるまで流水洗浄し、遠心脱液し、さらに3時間の流水
洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
2等量に相当する酢酸ナトリウム(過塩素酸の70質量
%水溶液1質量部に対して、1.75質量部)を加え、
よく攪拌した後、激しく攪拌しながら7.5リットルの
水を徐々に加えて沈澱を形成した。沈澱は、酢酸臭が消
えるまで流水洗浄し、遠心脱液し、さらに3時間の流水
洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥した。
【0066】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
2の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
2の黒丸としてプロットした。
【0067】[実施例3] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例2で用いた
市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン
1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロ
ータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸
発させ留去した。酢酸2050g、水2.65gおよび
過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セ
ルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供与
体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶
液に含まれる水の量の合計)は、1.63モル%であっ
た。以上の溶液を30℃で5時間保持して、セルロース
アセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラ
メータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、
92であった。
市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン
1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロ
ータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸
発させ留去した。酢酸2050g、水2.65gおよび
過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セ
ルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供与
体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶
液に含まれる水の量の合計)は、1.63モル%であっ
た。以上の溶液を30℃で5時間保持して、セルロース
アセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パラ
メータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したところ、
92であった。
【0068】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
3の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
3の黒丸としてプロットした。
【0069】[実施例4] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例2で用いた
市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン
1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロ
ータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸
発させ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよ
び過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、
セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供
与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水
溶液に含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であ
った。以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、72であった。
市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン
1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロ
ータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸
発させ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよ
び過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、
セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供
与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水
溶液に含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であ
った。以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、72であった。
【0070】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
4の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
4の黒丸としてプロットした。
【0071】[実施例5] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例2で用いた
市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン
1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロ
ータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸
発させ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよ
び過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、
セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供
与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水
溶液に含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であ
った。以上の溶液を30℃で15時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、107であった。
市販のセルロースアセテート200gをジクロロメタン
1167mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロ
ータリーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸
発させ留去した。酢酸2050g、水18.35gおよ
び過塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、
セルロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供
与体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水
溶液に含まれる水の量の合計)は、4.18モル%であ
った。以上の溶液を30℃で15時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、107であった。
【0072】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
5の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
5の黒丸としてプロットした。
【0073】[比較例1] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例1で合成し
たセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータ
リーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発さ
せ留去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過
塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セル
ロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供与
体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶
液に含まれる水の量の合計)は、10.00モル%であ
った。以上の溶液を30℃で20時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、60であった。
たセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlとの混合液に溶解し、ロータ
リーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発さ
せ留去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過
塩素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セル
ロースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供与
体)に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶
液に含まれる水の量の合計)は、10.00モル%であ
った。以上の溶液を30℃で20時間保持して、セルロ
ースアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴
パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、60であった。
【0074】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
C1の白丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
C1の白丸としてプロットした。
【0075】[比較例2] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例1で合成し
たセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlの混合液に溶解し、ロータリ
ーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ
留去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過塩
素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロ
ースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供与体)
に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に
含まれる水の量の合計)は、10.00モル%であっ
た。以上の溶液を30℃で30時間保持して、セルロー
スアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パ
ラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、90であった。
たセルロースアセテート200gをジクロロメタン11
67mlと酢酸834mlの混合液に溶解し、ロータリ
ーエバポレーターによって、ジクロロメタンを蒸発させ
留去した。酢酸2050g、水54.13gおよび過塩
素酸の70質量%水溶液24.4gを追加して、セルロ
ースアセテートを溶解した。酢酸(アセチル基供与体)
に対する水の量(水としての添加量と過塩素酸水溶液に
含まれる水の量の合計)は、10.00モル%であっ
た。以上の溶液を30℃で30時間保持して、セルロー
スアセテートを熟成した。熟成工程における反応履歴パ
ラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、90であった。
【0076】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)および3位の置換度(3DS)については、
図2のグラフに、C2の白丸としてプロットした(図1
では、圏外)。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第1表に示す。また、2位の置換度
(2DS)および3位の置換度(3DS)については、
図2のグラフに、C2の白丸としてプロットした(図1
では、圏外)。
【0077】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── セルロース 水の量 パラメ セルロースアセテート置換度 アセテート (モル%) ータR 2DS 3DS 6DS 重合度 ──────────────────────────────────── 実施例1 4.68 32 0.959 0.955 0.940 284 実施例2 1.63 55 0.962 0.960 0.932 302 実施例3 1.63 92 0.960 0.953 0.943 284 実施例4 4.18 72 0.937 0.917 0.932 305 実施例5 4.18 107 0.929 0.896 0.940 291 比較例1 10.00 60 0.917 0.869 0.898 350 比較例2 10.00 90 0.882 0.826 0.907 339 ────────────────────────────────────
【0078】[実施例6] (セルロースアセテートフイルムの製造)室温におい
て、実施例1で得られたセルロースアセテート17質量
部、酢酸メチル/メタノール/n−ブタノール混合溶媒
(混合比=80/15/5質量%)80.28質量部お
よびトリフェニルホスフェート(可塑剤)2.72質量
部を混合した。室温では、セルロースアセテートは溶解
せずに混合溶媒中で膨潤した。得られた膨潤混合物は、
溶解せずにスラリーを形成していた。次に、膨潤混合物
を二重構造の容器に入れた。混合物をゆっくり撹拌しな
がら外側のジャケットに冷媒として水/エチレングリコ
ール混合物を流し込んだ。これにより内側容器内の混合
物を−30℃まで冷却した(冷却速度:8℃/分)。混
合物が均一に冷却されて固化するまで(30分間)、冷
媒による冷却を継続した。
て、実施例1で得られたセルロースアセテート17質量
部、酢酸メチル/メタノール/n−ブタノール混合溶媒
(混合比=80/15/5質量%)80.28質量部お
よびトリフェニルホスフェート(可塑剤)2.72質量
部を混合した。室温では、セルロースアセテートは溶解
せずに混合溶媒中で膨潤した。得られた膨潤混合物は、
溶解せずにスラリーを形成していた。次に、膨潤混合物
を二重構造の容器に入れた。混合物をゆっくり撹拌しな
がら外側のジャケットに冷媒として水/エチレングリコ
ール混合物を流し込んだ。これにより内側容器内の混合
物を−30℃まで冷却した(冷却速度:8℃/分)。混
合物が均一に冷却されて固化するまで(30分間)、冷
媒による冷却を継続した。
【0079】容器の外側のジャケット内の冷媒を除去
し、代わりに温水をジャケットに流し込んだ。内容物の
ゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始し
た。このようにして、室温まで加温した(加温速度:8
℃/分)。さらに、以上の冷却および加温の操作を、も
う一回繰り返した。冷却溶解法により得られた溶液(ま
たはスラリー)の状態を、常温(23℃)で静置保存し
たまま観察したところ、20日間経時しても、透明性と
均一性を保持し、良好な溶解性と溶液安定性を示した。
し、代わりに温水をジャケットに流し込んだ。内容物の
ゾル化がある程度進んだ段階で、内容物の撹拌を開始し
た。このようにして、室温まで加温した(加温速度:8
℃/分)。さらに、以上の冷却および加温の操作を、も
う一回繰り返した。冷却溶解法により得られた溶液(ま
たはスラリー)の状態を、常温(23℃)で静置保存し
たまま観察したところ、20日間経時しても、透明性と
均一性を保持し、良好な溶解性と溶液安定性を示した。
【0080】得られた溶液を、有効長6mのバンド流延
機を用いて、乾燥膜厚が100μmになるように流延し
た。バンド温度は0℃とした。乾燥のため、2秒風に当
てた後、フイルムをバンドから剥ぎ取り、さらに100
℃で3分、130℃で5分、そして160℃で5分、フ
イルムの端部を固定しながら段階的に乾燥して、残りの
溶剤を蒸発させた。このようにして、セルロースアセテ
ートフイルムを製造した。得られたフイルムは、さらに
120℃で3時間乾燥した。セルロースアセテートフイ
ルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明
性)を示した。
機を用いて、乾燥膜厚が100μmになるように流延し
た。バンド温度は0℃とした。乾燥のため、2秒風に当
てた後、フイルムをバンドから剥ぎ取り、さらに100
℃で3分、130℃で5分、そして160℃で5分、フ
イルムの端部を固定しながら段階的に乾燥して、残りの
溶剤を蒸発させた。このようにして、セルロースアセテ
ートフイルムを製造した。得られたフイルムは、さらに
120℃で3時間乾燥した。セルロースアセテートフイ
ルムは、良好な光学的性質(高い光学的等方性と透明
性)を示した。
【0081】[実施例7] (セルロースアセテートの合成工程)コットンリンター
を原料とするセルロース100質量部に、硫酸9.2質
量部、無水酢酸276質量部および酢酸551質量部を
加えて、常法によりセルロースをエステル化した。酢酸
マグネシウムを用いて中和して得られたセルロースアセ
テートを、62℃で40分間保持した。このようにして
セルロースアセテートを合成した。
を原料とするセルロース100質量部に、硫酸9.2質
量部、無水酢酸276質量部および酢酸551質量部を
加えて、常法によりセルロースをエステル化した。酢酸
マグネシウムを用いて中和して得られたセルロースアセ
テートを、62℃で40分間保持した。このようにして
セルロースアセテートを合成した。
【0082】(セルロースアセテートの熟成工程)合成
したセルロースアセテートを用い、酢酸(アセチル基供
与体)に対する水の量を1.63モル%、酢酸(アセチ
ル基供与体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.49
8モル%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/X
dt)を55に変更した以外は、実施例1と同様にし
て、熟成工程を行った。
したセルロースアセテートを用い、酢酸(アセチル基供
与体)に対する水の量を1.63モル%、酢酸(アセチ
ル基供与体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.49
8モル%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/X
dt)を55に変更した以外は、実施例1と同様にし
て、熟成工程を行った。
【0083】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第2表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
7の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第2表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
7の黒丸としてプロットした。
【0084】(赤外線吸収スペクトルの測定)絶乾した
セルロースアセテート200mgを、メチレンクロリド
/メタノール(9/1:質量比)5gに溶解した。得ら
れた溶液をガラス板上に流延し、バーコータを用いて厚
さを均一にした。これを風乾して、セルロースアセテー
トフイルム試料を得た。フイルムの厚さは、(セルロー
スアセテートの未置換水酸基由来の吸収バンドのピーク
における)透過率が約40%となるように調節した。作
製したフイルムは、105℃で30分以上、真空乾燥し
た。そして、赤外線発生装置の窓枠に対して、充分な大
きさ(24mm×27mm)となるようにフイルムを裁
断した。これにより、赤外線が試料ホルダーにより遮蔽
されないようにした。フイルム試料は、窒素雰囲気下、
3650cm-1付近に認められる吸着水に由来すると思
われる吸収ピークが消失するまで保持した。測定は、パ
ーキンエルマー社製FT−IR1650型機を用いた。
測定した赤外線吸収スペクトルは、前述したように解析
して、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第2表に示
す。
セルロースアセテート200mgを、メチレンクロリド
/メタノール(9/1:質量比)5gに溶解した。得ら
れた溶液をガラス板上に流延し、バーコータを用いて厚
さを均一にした。これを風乾して、セルロースアセテー
トフイルム試料を得た。フイルムの厚さは、(セルロー
スアセテートの未置換水酸基由来の吸収バンドのピーク
における)透過率が約40%となるように調節した。作
製したフイルムは、105℃で30分以上、真空乾燥し
た。そして、赤外線発生装置の窓枠に対して、充分な大
きさ(24mm×27mm)となるようにフイルムを裁
断した。これにより、赤外線が試料ホルダーにより遮蔽
されないようにした。フイルム試料は、窒素雰囲気下、
3650cm-1付近に認められる吸着水に由来すると思
われる吸収ピークが消失するまで保持した。測定は、パ
ーキンエルマー社製FT−IR1650型機を用いた。
測定した赤外線吸収スペクトルは、前述したように解析
して、半値幅(Δν1/2)を求めた。結果を第2表に示
す。
【0085】[実施例8] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例7で合成し
たセルロースアセテート1150質量部をジクロロメタ
ン8220質量部と酢酸4800質量部との混合液に溶
解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメ
タンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテー
トの酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート
1150質量部に対して、酢酸11788質量部、水7
8質量部および過塩素酸98質量部を添加した。酢酸
(アセチル基供与体)に対する水の量は、2.2モル%
であった。以上の溶液を30℃で5時間保持して、セル
ロースアセテートを熟成した。
たセルロースアセテート1150質量部をジクロロメタ
ン8220質量部と酢酸4800質量部との混合液に溶
解し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメ
タンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテー
トの酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート
1150質量部に対して、酢酸11788質量部、水7
8質量部および過塩素酸98質量部を添加した。酢酸
(アセチル基供与体)に対する水の量は、2.2モル%
であった。以上の溶液を30℃で5時間保持して、セル
ロースアセテートを熟成した。
【0086】(後処理)熟成終了後、過塩素酸に対して
1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の
酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止し
た。このようにして、粘度平均重合度が288、置換度
が2.84のセルロースアセテートを得た。
1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の
酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止し
た。このようにして、粘度平均重合度が288、置換度
が2.84のセルロースアセテートを得た。
【0087】(セルロースアセテートの分析)得られた
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第2表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図1および図2のグラフに、8の黒
丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第2表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図1および図2のグラフに、8の黒
丸としてプロットした。
【0088】(赤外線吸収スペクトルの測定)得られた
セルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第2表に示す。
セルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第2表に示す。
【0089】(セルロースアセテート溶液の調製)得ら
れたセルロースアセテート15質量部を、室温(25
℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン
17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを
調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的
に不透明な、ままこ状物が認められた。このスラリー
を、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール
浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10
分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分
間保持した。これにより得られたセルロースアセテート
溶液は、透明で、流動性も良好であった。
れたセルロースアセテート15質量部を、室温(25
℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン
17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを
調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的
に不透明な、ままこ状物が認められた。このスラリー
を、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール
浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10
分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分
間保持した。これにより得られたセルロースアセテート
溶液は、透明で、流動性も良好であった。
【0090】[実施例9] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例7で合成し
たセルロースアセテート200質量部をジクロロメタン
1600質量部と酢酸867質量部との混合液に溶解
し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタ
ンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテート
の酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート2
00質量部に対して、酢酸2050質量部、水26質量
部および過塩素酸17質量部を添加した。酢酸(アセチ
ル基供与体)に対する水の量は、4.2モル%であっ
た。以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロー
スアセテートを熟成した。
たセルロースアセテート200質量部をジクロロメタン
1600質量部と酢酸867質量部との混合液に溶解
し、ロータリーエバポレーターによって、ジクロロメタ
ンを蒸発させ留去した。得られたセルロースアセテート
の酢酸ドープを反応槽に移し、セルロースアセテート2
00質量部に対して、酢酸2050質量部、水26質量
部および過塩素酸17質量部を添加した。酢酸(アセチ
ル基供与体)に対する水の量は、4.2モル%であっ
た。以上の溶液を30℃で10時間保持して、セルロー
スアセテートを熟成した。
【0091】(後処理)熟成終了後、過塩素酸に対して
1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の
酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止し
た。このようにして、粘度平均重合度が318、置換度
が2.81のセルロースアセテートを得た。
1.75等量に相当する酢酸ナトリウムを10質量%の
酢酸溶液にして加え、10分間攪拌して反応を停止し
た。このようにして、粘度平均重合度が318、置換度
が2.81のセルロースアセテートを得た。
【0092】(セルロースアセテートの分析)得られた
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第2表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図1および図2のグラフに、9の黒
丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に分析した。
結果を、第2表に示す。また、2位の置換度(2D
S)、3位の置換度(3DS)および6位の置換度(6
DS)については、図1および図2のグラフに、9の黒
丸としてプロットした。
【0093】(赤外線吸収スペクトルの測定)得られた
セルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第2表に示す。
セルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第2表に示す。
【0094】(セルロースアセテート溶液の調製)得ら
れたセルロースアセテート15質量部を、室温(25
℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン
17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを
調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的
に不透明な、ままこ状物が認められた。このスラリー
を、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール
浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10
分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分
間保持した。これにより得られたセルロースアセテート
溶液は、透明で、流動性も良好であった。
れたセルロースアセテート15質量部を、室温(25
℃)において、メチルアセテート68質量部とアセトン
17質量部とに混合し、綿濃度15質量%のスラリーを
調製した。得られたスラリーは、透明ゲル状で、部分的
に不透明な、ままこ状物が認められた。このスラリー
を、ドライアイスで−40℃に温度調節したメタノール
浴中で2時間冷却した。取り出したスラリーには、溶媒
の浸透に伴う気泡が多数生じていた。これを室温で10
分間放置した後、40℃に温度設定した湯浴中で10分
間保持した。これにより得られたセルロースアセテート
溶液は、透明で、流動性も良好であった。
【0095】[実施例10] (セルロースアセテートの熟成工程)実施例7で合成し
たセルロースアセテートを用い、セルロースアセテート
の熟成に要した時間を15時間、酢酸(アセチル基供与
体)に対する水の量を4.18モル%、酢酸(アセチル
基供与体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.498
モル%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xd
t)を107に変更した以外は、実施例1と同様にし
て、熟成工程を行った。
たセルロースアセテートを用い、セルロースアセテート
の熟成に要した時間を15時間、酢酸(アセチル基供与
体)に対する水の量を4.18モル%、酢酸(アセチル
基供与体)に対する過塩素酸(触媒)の量を0.498
モル%、そして反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xd
t)を107に変更した以外は、実施例1と同様にし
て、熟成工程を行った。
【0096】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第2表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
10の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第2表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
10の黒丸としてプロットした。
【0097】(赤外線吸収スペクトルの測定)得られた
セルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第2表に示す。
セルロースアセテートについて、実施例7と同様に赤外
線吸収スペクトルを測定し、半値幅(Δν1/2)を求め
た。結果を第2表に示す。
【0098】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 実施 水 反応 半値 セルロースアセテート置換度 例 (モル%) R 時間 幅 2DS 3DS 6DS 重合度 ──────────────────────────────────── 7 1.63 55 3 128 0.965 0.963 0.933 300 8 2.20 68 5 123 0.959 0.943 0.937 288 9 4.18 71 10 121 0.945 0.926 0.935 318 10 4.18 107 15 119 0.925 0.896 0.941 301 ──────────────────────────────────── (註) R: 反応履歴パラメータ 反応時間:セルロースアセテートの熟成に要した時間(hour) 半値幅: 波数3450〜3550cm-1における吸収極大の半値幅(cm-1)
【0099】[実施例11] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.896、2DS+3DS−6DS
の値が0.896のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、90であっ
た。
DS+6DS)が2.896、2DS+3DS−6DS
の値が0.896のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、90であっ
た。
【0100】[実施例12] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.877、2DS+3DS−6DS
の値が0.967のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、118であっ
た。
DS+6DS)が2.877、2DS+3DS−6DS
の値が0.967のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、118であっ
た。
【0101】[比較例3] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.845、2DS+3DS−6DS
の値が1.069のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であっ
た。
DS+6DS)が2.845、2DS+3DS−6DS
の値が1.069のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であっ
た。
【0102】[比較例4] (赤外線吸収スペクトルの測定)総置換度(2DS+3
DS+6DS)が2.925、2DS+3DS−6DS
の値が1.075のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であっ
た。
DS+6DS)が2.925、2DS+3DS−6DS
の値が1.075のセルロースアセテートについて、実
施例7と同様に赤外線吸収スペクトルを測定した。結果
を図4に示す。半値幅(Δν1/2 )は、137であっ
た。
【0103】[実施例13] (セルロースアセテートの熟成工程)乾燥した市販の
(木材パルプを通常の条件でアセチル化して得られた重
合度311、NMR測定による置換度2.85の)セル
ロースアセテート500gを、ジクロロメタン1333
gと酢酸1033gとの混合液に溶解した。水13.3
1gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、均一とな
った後、40℃に保った。トルエンスルホン酸一水和物
36.92gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、
熟成反応を開始した。酢酸(アセチル基供与体)に対す
る水の量は、4.2モル%であった。7時間後、無水酢
酸ナトリウム29gを溶かした260gの酢酸を滴下
し、熟成反応を終了した。熟成工程における反応履歴パ
ラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、151であった。
(木材パルプを通常の条件でアセチル化して得られた重
合度311、NMR測定による置換度2.85の)セル
ロースアセテート500gを、ジクロロメタン1333
gと酢酸1033gとの混合液に溶解した。水13.3
1gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、均一とな
った後、40℃に保った。トルエンスルホン酸一水和物
36.92gを含む酢酸150gを攪拌しながら加え、
熟成反応を開始した。酢酸(アセチル基供与体)に対す
る水の量は、4.2モル%であった。7時間後、無水酢
酸ナトリウム29gを溶かした260gの酢酸を滴下
し、熟成反応を終了した。熟成工程における反応履歴パ
ラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算したとこ
ろ、151であった。
【0104】(後処理)反応後の酢酸溶液からロータリ
ーエバポレータでジクロロメタンを留去した後、実施例
2と同様に激しく攪拌しながら約4.5リットルの水を
加えて沈澱を形成した。沈澱は、分離し、洗浄し、遠心
脱液し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で
乾燥した。
ーエバポレータでジクロロメタンを留去した後、実施例
2と同様に激しく攪拌しながら約4.5リットルの水を
加えて沈澱を形成した。沈澱は、分離し、洗浄し、遠心
脱液し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で
乾燥した。
【0105】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
13の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
13の黒丸としてプロットした。
【0106】[実施例14] (セルロースアセテートの熟成工程)添加する水の量を
2.91gに変更(酢酸(アセチル基供与体)に対する
水の量は、1.6モル%)し、反応時間を2時間20分
に変更した以外は、実施例13と同様にセルロースアセ
テートを熟成し、後処理を実施した。熟成工程における
反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算
したところ、132であった。
2.91gに変更(酢酸(アセチル基供与体)に対する
水の量は、1.6モル%)し、反応時間を2時間20分
に変更した以外は、実施例13と同様にセルロースアセ
テートを熟成し、後処理を実施した。熟成工程における
反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)の値を計算
したところ、132であった。
【0107】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
14の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
14の黒丸としてプロットした。
【0108】[実施例15] (セルロースアセテートの合成工程)水分8.2質量%
を含む解砕されたパルプ1520gに、698gの酢酸
を均一に散布し、攪拌の後、90分間室温で放置した。
約−10℃に冷却した無水酢酸3930.6g、酢酸5
755gおよび98%硫酸115.4gの混合液中に上
記の酢酸含浸パルプを投入し、混合した。外部冷却と外
部加温とによって、反応温度を反応開始時点の0℃から
70分後に37℃まで直線的に昇温し、さらに80分
間、37℃を維持してセルロースアセテートを合成し
た。
を含む解砕されたパルプ1520gに、698gの酢酸
を均一に散布し、攪拌の後、90分間室温で放置した。
約−10℃に冷却した無水酢酸3930.6g、酢酸5
755gおよび98%硫酸115.4gの混合液中に上
記の酢酸含浸パルプを投入し、混合した。外部冷却と外
部加温とによって、反応温度を反応開始時点の0℃から
70分後に37℃まで直線的に昇温し、さらに80分
間、37℃を維持してセルロースアセテートを合成し
た。
【0109】(セルロースアセテートの熟成工程)合成
したセルロースアセテートの溶液に、30%酢酸水溶液
383.7gを添加し、反応温度47℃で130分間保
持した。酢酸(アセチル基供与体)に対する水の量は、
6.0モル%であった。その後、酢酸マグネシウム4水
和物の水溶液297gを加え、反応を停止した。熟成工
程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)
の値を計算したところ、43であった。
したセルロースアセテートの溶液に、30%酢酸水溶液
383.7gを添加し、反応温度47℃で130分間保
持した。酢酸(アセチル基供与体)に対する水の量は、
6.0モル%であった。その後、酢酸マグネシウム4水
和物の水溶液297gを加え、反応を停止した。熟成工
程における反応履歴パラメータ(R=∫YZ/Xdt)
の値を計算したところ、43であった。
【0110】(後処理)得られた溶液を激しく攪拌しな
がら、約30リットルの10%酢酸水溶液に投入し、沈
澱を形成した。沈澱は、濾別し、流水洗浄し、熱水洗浄
し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥
した。
がら、約30リットルの10%酢酸水溶液に投入し、沈
澱を形成した。沈澱は、濾別し、流水洗浄し、熱水洗浄
し、さらに流水洗浄と遠心脱液を行って、50℃で乾燥
した。
【0111】(セルロースアセテートの分析)熟成した
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
15の黒丸としてプロットした。
セルロースアセテートは、実施例1と同様に処理して、
分析した。結果を、第3表に示す。また、2位の置換度
(2DS)、3位の置換度(3DS)および6位の置換
度(6DS)については、図1および図2のグラフに、
15の黒丸としてプロットした。
【0112】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── セルロース 水の量 パラメ セルロースアセテート置換度 アセテート (モル%) ータR 2DS 3DS 6DS 重合度 ──────────────────────────────────── 実施例13 4.20 151 0.953 0.936 0.925 288 実施例14 1.60 132 0.972 0.967 0.916 298 実施例15 6.00 43 0.973 0.967 0.923 303 ────────────────────────────────────
【図1】式(I)〜(III)のアセチル置換度の規定、お
よび実施例1〜5、7〜10、13〜15と比較例1と
のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明するた
めのグラフである。
よび実施例1〜5、7〜10、13〜15と比較例1と
のセルロースアセテートのアセチル置換度を説明するた
めのグラフである。
【図2】式(III)および(IV)のアセチル置換度の規
定、および実施例1〜5、7〜10、13〜15と比較
例1、2とのセルロースアセテートのアセチル置換度を
説明するためのグラフである。
定、および実施例1〜5、7〜10、13〜15と比較
例1、2とのセルロースアセテートのアセチル置換度を
説明するためのグラフである。
【図3】赤外線吸収スペクトルの半値幅を説明するため
のチャートである。
のチャートである。
【図4】実施例11、12と比較例3、4との赤外線吸
収スペクトルを示すチャートである。
収スペクトルを示すチャートである。
2DS 2位のアセチル置換度 3DS 3位のアセチル置換度 6DS 6位のアセチル置換度 2DS+3DS 2位のアセチル置換度および3位のア
セチル置換度の合計 1の黒丸 実施例1のセルロースアセテート 2の黒丸 実施例2のセルロースアセテート 3の黒丸 実施例3のセルロースアセテート 4の黒丸 実施例4のセルロースアセテート 5の黒丸 実施例5のセルロースアセテート 7の黒丸 実施例7のセルロースアセテート 8の黒丸 実施例8のセルロースアセテート 9の黒丸 実施例9のセルロースアセテート 10の黒丸 実施例10のセルロースアセテート 13の黒丸 実施例13のセルロースアセテート 14の黒丸 実施例14のセルロースアセテート 15の黒丸 実施例15のセルロースアセテート C1の白丸 比較例1のセルロースアセテート C2の白丸 比較例2のセルロースアセテート (VI) 2DS+3DS=6DS+1に相当する実線 A 吸収バンドの高波数側基部 B 吸収バンドの低波数側基部 C ピーク(E)から横軸への垂線とベースライン(A
−B)との交点 D ピーク(E)と交点(C)との中間点 E 吸収バンドのピーク A’、B’ 中間点(D)を通ってベースライン(A−
B)と平行な直線と、スペクトルとの二つの交点 Δν1/2 半値幅 11 実施例11の赤外線吸収スペクトル 12 実施例12の赤外線吸収スペクトル C3 比較例3の赤外線吸収スペクトル C4 比較例4の赤外線吸収スペクトル
セチル置換度の合計 1の黒丸 実施例1のセルロースアセテート 2の黒丸 実施例2のセルロースアセテート 3の黒丸 実施例3のセルロースアセテート 4の黒丸 実施例4のセルロースアセテート 5の黒丸 実施例5のセルロースアセテート 7の黒丸 実施例7のセルロースアセテート 8の黒丸 実施例8のセルロースアセテート 9の黒丸 実施例9のセルロースアセテート 10の黒丸 実施例10のセルロースアセテート 13の黒丸 実施例13のセルロースアセテート 14の黒丸 実施例14のセルロースアセテート 15の黒丸 実施例15のセルロースアセテート C1の白丸 比較例1のセルロースアセテート C2の白丸 比較例2のセルロースアセテート (VI) 2DS+3DS=6DS+1に相当する実線 A 吸収バンドの高波数側基部 B 吸収バンドの低波数側基部 C ピーク(E)から横軸への垂線とベースライン(A
−B)との交点 D ピーク(E)と交点(C)との中間点 E 吸収バンドのピーク A’、B’ 中間点(D)を通ってベースライン(A−
B)と平行な直線と、スペクトルとの二つの交点 Δν1/2 半値幅 11 実施例11の赤外線吸収スペクトル 12 実施例12の赤外線吸収スペクトル C3 比較例3の赤外線吸収スペクトル C4 比較例4の赤外線吸収スペクトル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 首藤 勇一郎 兵庫県姫路市網干区新在家1365−2 (72)発明者 伊藤 雅章 兵庫県姫路市網干区新在家1365−2 Fターム(参考) 4C090 AA05 AA10 BA26 BB12 BB36 BB52 BB97 DA32 4F071 AA09 AF35 AH12 AH19 BB02 BC01
Claims (10)
- 【請求項1】 セルロースを溶媒中で触媒の存在下、酢
酸または無水酢酸と反応させてセルロースアセテートを
合成する工程、そして、セルロースアセテートを、アセ
チル基供与体、アセチル基供与体の0.1乃至10モル
%の水またはアルコールおよび触媒の存在下で熟成する
工程からなるセルロースアセテートの製造方法。 - 【請求項2】 セルロースアセテートを、アセチル基供
与体および触媒の存在下、かつ水またはアルコールの存
在量がアセチル基供与体の10モル%未満の条件で熟成
することによって、2位、3位および6位のアセチル置
換度を変化させることを特徴とするセルロースアセテー
トのアセチル置換度の調整方法。 - 【請求項3】 3450乃至3550cm-1の波数に赤
外線吸収スペクトルの吸収極大を有し、その吸収極大の
半値幅が135cm-1以下であることを特徴とするセル
ロースアセテート。 - 【請求項4】 2位、3位および6位のアセチル置換度
が、下記式(I)〜(III)を満足することを特徴とする
セルロースアセテート: (I) 2DS+3DS<6DS×4−1.70 (II) 2DS+3DS<−6DS×4+5.70 (III) 2DS+3DS>1.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。 - 【請求項5】 2位、3位および6位のアセチル置換度
が、下記式(III)〜(V)を満足することを特徴とする
セルロースアセテート: (III) 2DS+3DS>1.80 (IV) 3DS<2DS (V) 6DS>0.80 [式中、2DSは、2位のアセチル置換度であり;3D
Sは、3位のアセチル置換度であり;そして、6DS
は、6位のアセチル置換度である]。 - 【請求項6】 請求項3、4または5に記載のセルロー
スアセテートが有機溶媒中に溶解しているセルロースア
セテート溶液。 - 【請求項7】 有機溶媒が、実質的にハロゲン化炭化水
素を含まない請求項6に記載のセルロースアセテート溶
液。 - 【請求項8】 請求項3、4または5に記載のセルロー
スアセテートを有機溶媒で膨潤させる工程;得られた膨
潤混合物を、−100乃至−10℃に冷却する工程;冷
却した混合物を0至200℃に加温して、セルロースア
セテートの有機溶媒溶液を得る工程;そして、得られた
有機溶媒溶液を支持体上に塗布して、セルロースアセテ
ートフイルムを形成する工程からなるセルロースアセテ
ートフイルムの製造方法。 - 【請求項9】 請求項3、4または5に記載のセルロー
スアセテートからなるセルロースアセテートフイルム。 - 【請求項10】 3450乃至3550cm-1の波数に
セルロースアセテートを起源とする赤外線吸収スペクト
ルの吸収極大を有し、その極大吸収の半値幅が135c
m-1以下であることを特徴とするセルロースアセテート
フイルム。
Priority Applications (7)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001195843A JP2002338601A (ja) | 2001-03-14 | 2001-06-28 | セルロースアセテート |
EP02705177.0A EP1285931B1 (en) | 2001-03-14 | 2002-03-14 | Method for adjusting the degree of substitution with acetyl group of cellulose acetate |
CNB02801538XA CN1285614C (zh) | 2001-03-14 | 2002-03-14 | 乙酸纤维素的乙酰基取代度的调整方法 |
US10/257,645 US7671193B2 (en) | 2001-03-14 | 2002-03-14 | Method for adjusting the degree of substitution with acetyl group of cellulose acetate |
PCT/JP2002/002410 WO2002072638A1 (fr) | 2001-03-14 | 2002-03-14 | Procede d'ajustement du degre de substitution de l'acetate de cellulose par un groupe acetyle |
US12/259,286 US20090062525A1 (en) | 2001-03-14 | 2008-10-27 | Method of adjusting the degree of substitution with acetyl group of cellulose acetate |
US13/049,409 US8455637B2 (en) | 2001-03-14 | 2011-03-16 | Process for adjusting degree of acetyl substitution of cellulose acetate |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001-73076 | 2001-03-14 | ||
JP2001073076 | 2001-03-14 | ||
JP2001195843A JP2002338601A (ja) | 2001-03-14 | 2001-06-28 | セルロースアセテート |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002338601A true JP2002338601A (ja) | 2002-11-27 |
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001195843A Withdrawn JP2002338601A (ja) | 2001-03-14 | 2001-06-28 | セルロースアセテート |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
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Cited By (10)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2008056768A (ja) * | 2006-08-30 | 2008-03-13 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースアセテート及びその製造方法 |
JP2009019123A (ja) * | 2007-07-12 | 2009-01-29 | Daicel Chem Ind Ltd | 6位高アセチル化セルロースアセテート及びその製造方法 |
EP2075261A1 (en) | 2007-12-27 | 2009-07-01 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | 6-Position highly acetylated cellulose diacetate and process for producing the same |
JP2009161701A (ja) * | 2008-01-10 | 2009-07-23 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースアセテート及びその製造方法 |
US7745615B2 (en) | 2004-09-22 | 2010-06-29 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Cellulose ester and production method thereof |
JP2012233205A (ja) * | 2003-11-28 | 2012-11-29 | Eastman Chemical Co | セルロースインターポリマー及び酸化方法 |
JP5821849B2 (ja) * | 2010-07-30 | 2015-11-24 | コニカミノルタ株式会社 | セルロースアセテートフィルムの製造方法 |
JP2015224256A (ja) * | 2014-05-26 | 2015-12-14 | コニカミノルタ株式会社 | セルロース誘導体の製造方法、置換セルロース誘導体の製造方法、光学フィルム、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
WO2018101156A1 (ja) | 2016-11-29 | 2018-06-07 | 富士フイルム株式会社 | 血液成分選択吸着濾材および血液フィルター |
JP2020515689A (ja) * | 2017-03-29 | 2020-05-28 | イーストマン ケミカル カンパニー | 位置選択的に置換されたセルロースエステル |
-
2001
- 2001-06-28 JP JP2001195843A patent/JP2002338601A/ja not_active Withdrawn
Cited By (13)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012233205A (ja) * | 2003-11-28 | 2012-11-29 | Eastman Chemical Co | セルロースインターポリマー及び酸化方法 |
US7745615B2 (en) | 2004-09-22 | 2010-06-29 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | Cellulose ester and production method thereof |
JP2008056768A (ja) * | 2006-08-30 | 2008-03-13 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースアセテート及びその製造方法 |
JP2009019123A (ja) * | 2007-07-12 | 2009-01-29 | Daicel Chem Ind Ltd | 6位高アセチル化セルロースアセテート及びその製造方法 |
KR101357516B1 (ko) | 2007-12-27 | 2014-02-03 | 가부시끼가이샤 다이셀 | 6위치 고아세틸화 셀룰로오스 디아세테이트 및 그의 제조 방법 |
EP2075261A1 (en) | 2007-12-27 | 2009-07-01 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | 6-Position highly acetylated cellulose diacetate and process for producing the same |
US8133990B2 (en) | 2007-12-27 | 2012-03-13 | Daicel Chemical Industries, Ltd. | 6-position highly acetylated cellulose diacetate and process for producing the same |
JP2009161701A (ja) * | 2008-01-10 | 2009-07-23 | Daicel Chem Ind Ltd | セルロースアセテート及びその製造方法 |
JP5821849B2 (ja) * | 2010-07-30 | 2015-11-24 | コニカミノルタ株式会社 | セルロースアセテートフィルムの製造方法 |
JP2015224256A (ja) * | 2014-05-26 | 2015-12-14 | コニカミノルタ株式会社 | セルロース誘導体の製造方法、置換セルロース誘導体の製造方法、光学フィルム、円偏光板及び有機エレクトロルミネッセンス表示装置 |
WO2018101156A1 (ja) | 2016-11-29 | 2018-06-07 | 富士フイルム株式会社 | 血液成分選択吸着濾材および血液フィルター |
JP2020515689A (ja) * | 2017-03-29 | 2020-05-28 | イーストマン ケミカル カンパニー | 位置選択的に置換されたセルロースエステル |
JP2020518681A (ja) * | 2017-03-29 | 2020-06-25 | イーストマン ケミカル カンパニー | 位置選択的に置換されたセルロースエステル |
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