JP2002331615A - 反射防止積層体 - Google Patents
反射防止積層体Info
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Abstract
防汚性に優れ、かつ生産性に優れた安価な反射防止積層
体を提供する。 【解決手段】ハードコート層(HC層)と低屈折率層
(L層)とを積層してなる反射防止積層体において、H
C層が、分子中にビニル基などの重合可能な不飽和結合
を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物を主成
分とする樹脂からなり、L層との界面となるHC層表面
が極微細の粗面構造を呈し、かつL層がSiアルコキシ
ドおよびその加水分解物と、フッ素含有ケイ素化合物お
よびその加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティ
ング剤を塗布形成されてなる反射防止積層体である。
Description
ックなどの透明基材などに塗工して、光学多層膜が形成
された反射防止積層体に関する。
に、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着法
あるいはスパッタ法などのドライコーティングによって
薄膜を形成して反射防止膜などの光干渉による光学多層
膜を形成する方法が知られている。しかし、このような
ドライコーティングプロセスでは装置が高価で、成膜速
度が遅く、生産効率が悪いなどの課題を有している。
外層に使用される形態においては、表面の汚れ防止、容
易拭き取り性などのいわゆる防汚性能が必要であるが、
これらの機能を付与するために別途ウェットあるいはド
ライプロセスにてフッ素含有ケイ素化合物などからなる
層を設ける必要があり、工程が煩雑でより高価なものと
なってしまうなどの課題もある。
発物質とし、基材に塗工して光学多層膜を形成する方法
が知られており、高屈折率材料としてはTiやZrなど
のアルコキシドが用いられる。また、低屈折率材料とし
てはSi系アルコキシド、あるいはSiアルコキシドの
一部をエポキシ基やアルキル基など他の有機置換基に置
き換えた有機ケイ素化合物、いわゆるシランカップリン
グ剤などが用いられる。さらに、防汚成分としてフッ素
含有ケイ素化合物を添加されてなる方法が提案されてい
る(例えば、特開平9−208898号公報など)。し
かし、これらの塗膜では、乾燥・重合に高温、長時間を
必要とするため生産性に問題がある。また、ある程度の
低い屈折率とある程度の防汚性を得ることはできるが、
硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度が不
十分であり、光学多層膜は最外層に使用されるため、強
度が不十分では実用に耐えることができないといった問
題がある。
ルコキシドを出発物質としたシリカゾルと反応性有機ケ
イ素化合物(シランカップリング剤や末端に反応基を有
するジメチルシリコーンなど)との複合材料などが提案
されている(例えば、特開平9ー220791号公報な
ど)。しかしながら、これらのSiO2系複合膜組成物
も十分な物性を得ようとすると加熱に長時間を要するも
ので、アクリロイル基などの重合性不飽和基を含有する
有機ケイ素化合物も記載されているが、いずれもアクリ
ロイル基が1個ないしは2個の単官能あるいは2官能性
の化合物であり光(電子線)重合しても高い架橋密度が
得られない。硬度や耐擦傷性などの物理的強度を向上さ
せようとすると、上記複合膜成分中にシリカ成分以外の
成分として、例えはアクリル系化合物を複合して、アク
リル成分比率を高くする必要がある。そのような場合、
光学特性を決定するSi系などのアルコキシドを出発物
質とするシリカ成分の体積比が抑制され低屈折率化をは
かることができない。また、硬度、耐擦傷性や密着性な
どの物理的強度も十分でなく、かつ指紋などの汚れ成分
を簡単に拭き取ることができない。このように、未だ、
低屈折率化と硬度や耐擦傷性、密着性などの物理的強度
が両立できて、しかも指紋などの汚れ成分を簡単に拭き
取ることのできる反射防止積層体は得られていない。
解決するためになされたものであり、低屈折率を有し、
物理的的強度および防汚性に優れ、かつ生産性に優れた
安価な反射防止積層体を提供することを目的とする。
めに、請求項1に係る発明は、プラスチックやガラスな
どの基材の少なくとも一方に、ハードコート層と低屈折
率層とを順次積層してるなる反射防止膜が形成された積
層体において、該ハードコート層が、分子中にビニル
基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能
な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系
化合物を主成分とする樹脂から形成されてなるものであ
って、低屈折率層との界面となるハードコート層表面が
極微細の粗面構造を呈し、かつ低屈折率層が、一般式
(A) Si(OR)4 ・・・(A) (Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよび
その加水分解物と、一般式(B) CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B) (pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアル
キル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその
加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を
塗布形成されてなることを特徴とする反射防止積層体で
ある。
射防止積層体において、前記極微細粗面構造を呈するハ
ードコート層表面の粗度が、一辺が5μm四方の微小領
域における10点平均粗さ(Rz)が50nm以下で、
かつ算術平均粗さ(Ra)が1〜10nmの範囲である
ことを特徴とする。
記載の反射防止積層体において、前記極微細粗面構造を
有するハードコート層が、平均粒径が5〜100nmの
無機超微粒子を含有することを特徴とする。
射防止積層体において、前記無機超微粒子が、シリカゾ
ル微粒子であって、ハードコート層中に固形分で30〜
70wt%含有することを特徴とする。
なるハードコート層の表面を極微細粗面化し、低屈折率
層を、下記一般式(A) Si(OR)4 ・・・(A) (Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよび
その加水分解物と、下記一般式(B) CF3-(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B) (pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアル
キル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその
加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤で
形成される、いわゆるゾルゲルコート層とすることで、
ハードコート層と低屈折率層との密着性を高めることが
できるものである。元来ゾルゲル系の被膜は、無機コー
ティング剤として外装材などにも使用され、タイルやガ
ラスなどの無機基材にコーティングした場合には高い硬
度、強度を発現する材料として知られている。
等の性能を充分に発揮できていなかったものであるが、
この要因として下地との密着不良であることを見出し
た。そこで、下地として極微細粗面化された構造のハー
ドコート層に、特定量の水(通常加水分解に必要な水の
量の2〜4倍の量)で加水分解されたゾルゲルコート剤
からなる低屈折率層を形成をることで、下地との密着性
に優れた反射防止積層体が得られる。特に、この下地粗
面化度を特定領域の表面ナノ凸凹微細構造とすること
で、散乱による透明性の低下ならびに防汚性能の低下な
どを誘発することなく、密着性のみを向上させることが
でき、ゾルゲル被膜の本来の強度を発現させるものであ
る。
層は、Si系成分が低屈折率成分として機能するもので
はあるが、Rf基の導入により膜内部のシロキサンネッ
トワークを寸断することで膜内部に分子レベルの隙間を
形成し、膜密度を低下させ低屈折率化(1.44以下)
をはかることができるものである。また、上記低屈折率
層は、特定の加水分解方法で調整することで架橋構造を
ある程度寸断しても分子レベルで均一で溶液中で適当な
分子量の重合体を形成し、ハイブリッド構造を呈してい
るものである。膜の密度は、低下しても充分な架橋構造
を有しているので、充分な強度を発揮でき、硬度が高
く、耐擦傷性も良好で、従来の低屈折率組成物の欠点を
大幅に改善することができる。このように、低屈折率化
と高強度化の両立可能で、なおかつ防汚機能も有する反
射防止積層体を提供するものである。
を詳細に説明する。本発明の反射防止積層体は、ナノオ
ーダーの極微細粗面構造を有するハードコート層とゾル
ゲル系低屈折率組成物からなる低屈折率層を基材に順次
塗工し、反射防止積層体を得るものである。
層は、TEOSなどのSiアルコキシドとフッ素含有ケ
イ素化合物およびその加水分解物を主成分とする組成物
からなるものてあり、これを基材に塗工し、加熱乾燥
し、被膜を形成可能とするものであり、該組成物中にさ
らに長鎖Rf基など導入し膜密度を制御することで、膜
の屈折率を低下させるものである。
含まれる各成分についてに詳述する。本発明において用
いられる、Siアルコキシドは、下記一般式(A) Si(OR)4 ・・・(A) (Rはアルキル基)で表されるものであり、テトラメト
キシシラン、テトラエトキシシランなどが例示される。
フッ素含有ケイ素化合物は、下記一般式(B) CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B) (pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアル
キル基)で表されるもので、トリフルオロプロピルトリ
メトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキ
シシランなどが例示され、mが8より大ききなると均質
な膜が形成できなくなるため不適である。
(B)のフッ素含有ケイ素化合物との比率がモル比で
(A)/(B)=1.0/0.01〜1.0/0.2と
することで低屈折率化と強度を両立することができ、し
かも防汚性能も発現でき好適であるが、さらに好ましく
は、1.0/0.03〜1/0.1の範囲が望ましい。
フッ素含有ケイ素化合物の比率が、0.01以下では低
屈折率化が図れず、また防汚機能も充分ではない。逆
に、フッ素含有ケイ素化合物の比率が、0.2より過剰
になると低屈折率化と防汚性は良好であるが、Rf基の
増加によりシロキサン架橋が充分得られず強度が著しく
低下してしまい不適である。
れるものでなく、2種以上組み合わせても何ら差し支え
なく、Siアルコキシドとフッ素含有ケイ素化合物を併
用してあれば好適である。これらの有機ケイ素化合物は
コーティング組成物中にp−トルエンスルホン酸などの
有機酸触媒を含有させることで、塗工後に大気中の水分
でもって加水分解反応させて被膜形成しても良いし、ま
たあらかじめ水(塩酸などの触媒を含む)を添加し、加
水分解反応させたものを用いることもできる。特に、下
地との密着性を重視する場合、塩酸を触媒として通常用
いられる加水分解水よりも多い状態で反応させる。すな
わち、前記一般式(A)のSiアルコキシドと前記一般
式(B)のRf−Siとを合わせた全シラン化合物を塩
酸によって加水分解を行い、加水分解の際の塩酸中の水
と全シラン化合物との比率を選択することで密着良好で
均一な透明被膜が形成することができる。塩酸の規定度
が低い場合、水の比率が高すぎる場合は加水分反応溶液
を基材にコーティングした場合、斑点状のハジキや欠陥
が生じ易く、水の比率が低い場合は、塗膜は均一である
が、下地のハードコート層との密着がやや低下するため
望ましくない。また各成分を別々に加水分解反応させた
後混合させても良いが、反応させる前に混合して同時に
共加水分解させた方が均質な重合体ができるため望まし
い。上記調整は、ケイ素化合物の加水分解率をコントロ
ールして、ケイ素化合物の重合体の分子量を制御した
り、相分離を抑制し均質で分子架橋密度が高く、分子レ
ベルのハイブリッド膜を形成至らしめるものである。
は、一般に公知ではあるが、本発明の積層体は単なる組
み合わせではなく、下地の粗面化されたハードコート層
とマトリックスであるコート組成物の無機のネットワー
クとの相溶性、親和性が高く、単に有機樹脂上に積層す
るより密着性が高い被膜が得られる材料系であり、さら
に上記調整方法のようにコントロールされた加水分解条
件によって密着性はさらに向上する。
ラスチック基材表面の硬度を向上させ、鉛筆等の荷重の
かかる引っ掻きによる傷を防止し、また、透明基材の屈
曲による反射防止層のクッラク発生を抑制することがで
き、反射防止積層体の機械的強度が改善できるものであ
り、通常、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタク
リロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3
個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする樹脂が
用いられる。
アクリレート(DPHA)、ペンタエリスリトールトリ
アクリレート(PETA)、あるいはPETAとヘキサ
メチレンジイソシアネート(HDI)などのジイソシア
ネートとの反応生成であるウレタンアクリレートなど多
官能アクリルモノマー類およびその変性体などで、平均
分子量200〜5000のものであれば、極微細なナノ
凸凹を形成する際に添加される無機超微粒子との相溶性
も良く、被膜形成時に相分離することなく、架橋密度の
高い、均質で透明なハイブリッド被膜が形成でき好適で
ある。
使用しても良いし、二種類以上を併用しても良い。ま
た、必要で有れば単官能モノマーと併用して共重合させ
ることもできる。ハードコート層は透明基材と屈折率が
同等もしくは近似していることがより好ましい。膜厚は
2μm以上あればある程度十分な強度となるが、透明
性、塗工精度、取り扱いから4〜7μmの範囲が好まし
い。
〜3μmの無機あるいは有機物微粒子を混合分散させ
る。または表面形状を凹凸させることで一般的にアンチ
グレアと呼ばれる光拡散性処理を施すことが出来る。こ
れらの微粒子は透明であれば特に限定されるものではな
いが、低屈折率材料が好ましく、酸化珪素が安定性、耐
熱性等で好ましい。紫外線(UV)照射による硬化を行
う際には、ラジカル重合開始剤を添加すると好適であ
り、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテ
ル系開始剤、アセトフェノン、2、1- ヒドロキシシク
ロヘキシルフェニルケトン、などのアセトフェノン系開
始剤、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤な
ど特に限定されるものではない。
成物に加えることができる。さらに、物性を損なわない
範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公
知の添加剤を加えることもできる。
ピング法、ロールコーティング法、スクリーン印刷法、
スプレー法など従来公知の手段が用いられる。被膜の厚
さは、目的の光学設計にあわせて、液の濃度や塗工量に
よって適宜選択調整することができる。
化は、基材上にハードコート層を形成した後、本発明の
コーティング溶液を塗工する前に、表面処理を行うこと
によって形成することができる。その後処理(塗工前処
理)としては、アルカリ処理法、酸処理、コロナ処理
法、大気圧グロー放電プラズマ法等を挙げることができ
るが、なかでも、アルカリ処理が有効である。使用する
アルカリ水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、
水酸化カリウム等の水溶液、それらにアルコール等の各
種有機溶媒を加えたアルカリ水溶液等を挙げることがで
きる。アルカリ処理の条件は、例えば、水酸化ナトリウ
ム水溶液を用いた場合、0.1〜10Nの濃度の水溶液
として使用することが望ましく、さらに、1〜2Nの濃
度が好ましい。また、アルカリ水溶液の温度は、0〜1
00℃、好ましくは、20〜80℃である。アルカリ処
理の時間は、0.01〜10時間、好ましくは、0.1
〜1時間である。これらのアルカリ処理を施すことでハ
ードコート層表面の粗度(凸凹状態)を制御したナノ凸
凹構造を形成することにより、より低屈折率層との密着
を向上させるものである。しかし、これらのアルカリ処
理では工程が煩雑で、使用する基材、樹脂組成によって
は処理に向かない場合がある。
て、あらかじめハードコート層として平均粒径が5〜1
00nmの無機超微粒子を含有する超微粒子含有硬化樹
脂からなるハードコート層形成させることで極微細に表
面を粗面構造とすることができる。これらの粒子含有系
であればアルカリ処理などの後処理を施すことがなく、
粗面化構造を付与でき好適である。特に、無機超微粒子
として、平均粒径5〜100nmのシリカゾル微粒子
を、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%含有
させることで、透明性にも優れ好適である。
は平均粒径が5〜100nmの粒子径のシリカ粒子が溶
媒中に分散されたもので、ケイ酸ナトリムなどのケイ酸
アルカリからイオン交換等でアルカリを除去したり、酸
で中和したりする方法で得られるシリカゾルであって、
水性でも、有機溶剤置換された有機溶媒系シリカゾルで
も特に限定されるものではないが、アクリルモノマーと
の相溶性、プラスティック基材への塗工適性などから有
機溶媒系のものが望ましい。平均粒径が5nm以下は製
造が困難であり、100nm以上では光の散乱のため透
明性が損なわれる。極微細粗面化構造とするためには、
粒子とバインダーとの比率が重要であり、本発明のハー
ドコート層中のシリカ粒子成分が30〜70wt%、さ
らに好適には40〜60wt%含有されていることがが
望ましく、30wt%以下では所望の粗さが得られにく
く、70%以上では十分な強度を発現できない。
リング剤などで表面修飾されたものを用いることもでき
る。表面修飾の方法は、塩酸、有機酸の存在下で両者を
混合し、有機金属のアルコキシド基と粒子表面のOH基
とを反応させることで容易に処理されるものであり、特
別に分離精製することなく、そのまま他の成分を添加し
てコーティング組成物を調整することができる。
0601に定義されている表面粗さに準拠するものでは
あるが、原子間力顕微鏡などによって測定される微小領
域、微小スケールにおける表面粗さのことである。算術
平均粗さ(Ra)、10点平均粗さ(Rz)の計算はJ
IS−B0601に準じた。
の光学干渉を利用した反射防止層であるため、おおよそ
積層される被膜の膜厚が100nm〜200nm程度で
あり、被膜が連続した膜を形成できかつ、光散乱の影響
がでない程度の表面粗さである必要があり、凹凸の差が
大きすぎたり、凹凸の頻度が高すぎると積層体のヘイズ
の増加、強度の低下を引き起こし適当ではない。逆に、
平滑過ぎる表面ではハードコート層と低屈折率層との密
着強度向上が期待できないことから、Rzが50nm以
下で、Raが2〜10nmが好適である。
あげて説明する。80μm厚のTACフィルムを基材と
して、下記に示したHC組成物として、シリカゾル微粒
子含有アクリル系UV硬化樹脂組成物であるHC組成
物を表面に塗工してUV硬化させてハードコート層(以
下、HC層と記す)(5μm)を設けた基材を作製し
た。次に、下記に示した低屈折率コーティング組成物と
して、A1、A2のコーティング組成物を作成し、バー
コーターにより塗布して、乾燥機で120℃−5min
乾燥し、光学膜厚(nd=屈折率n*膜厚d(nm))
がnd=550/4nmになるよう適宜濃度調整をして
低屈折率層(以下L層と記す)を形成し、各種試験用の
試験体を得、本発明の実施例としてA1、A2の組成物
を塗工したものを実施例1、2とした。HC組成物とし
て、HC組成物を用いハードコート層形成した後、ア
ルカリ処理を施したものを基材とし同様に作製したもの
を実施例3とし、アルカリ処理を施していないHC層に
塗工したものを比較例1とした。さらに、比較例とし
て、HC組成物として、HC組成物を用いHC層を形
成したもので、HC層表面にアルカリ処理を施し、低屈
折率コーティング組成物として、A1組成物を塗工した
ものを比較例2として試験体を合わせて作成し、下記に
示した評価方法に基づいて評価した。その結果を表1に
示す。
イソプロピルアルコール分散シリカゾル固形分比で50
/50になるように混合後、MEK溶剤にて希釈したN
V50%溶液。UV硬化の開始剤としてアセトフェノン
系開始剤を重合成分に対して2%添加した。 ・HC組成物:PETAをMEK溶剤にて希釈したN
V50%溶液。 ・HC組成物:HC組成物のPETAとシリカゾル
粒子の比率が80/20であるNV50%溶液。
ルオロオクチルトリメトキシシラン0.3molになる
ように所定量混合し、混合物1molに対して0.3N
の塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソ
プロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応さ
せたて基本組成A1を得た。 (A2):テトラメトキシシラン1molにトリデカフ
ルオロオクチルトリメトキシシラン0.3molになる
ように所定量混合し、混合物1molに対して0.3N
の塩酸7molと固形分換算で10%になるようにイソ
プロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応さ
せたて基本組成A2を得た。
子)を用い走査範囲□5μmにて測定した。 (2)光学特性 ・反射率:分光光度計により入射角5で550nmにお
ける反射率を測定した。 ・ヘイズ:プラスチックの光学的特性試験方法JIS−
K7105のヘイズ試験方法に準じて算出した。 (3)密着性 塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着
試験方法に準じて塗膜の残存数にて評価した。 (4)鉛筆硬度 塗料一般試験法JIS−K5400の鉛筆引っかき値試
験方法に準じて塗膜の擦り傷にて評価した。 (5)耐擦傷試験 スチールウール#0000により、250g/cm2の
荷重で往復5回擦傷試験を実施、目視による傷の外観を
検査した。評価は、傷なし(◎)、かるく傷あり
(○)、かなり傷つく(△)、著しく傷つく(×)の4
段階とした。 (6)水接触角 被膜表面に水滴をのせ、水滴と表面の接触角を測定し
た。測定には協和界面科学(株)製の接触角計を用い
た。 (7)指紋拭き取り性 被膜表面に指紋を付着させ、ティッシュペーパーにて拭
き取り性を目視で検査した。評価は、容易に拭き取れる
(○)、拭き取れる(△)、拭き取れない(×)の3段
階とした。
較例1、2のいずれも反射率が低く、目的の低屈折率層
を得ることができたが、実施例1〜3で得られたものは
密着性、硬度、耐擦傷性、防汚性にも優れるが、それに
対して、比較例1、2のものは耐擦傷性や密着性など強
度面で著しく特性が劣っていることがわかる。また、表
1に示すように、本発明の実施例において、アルカリ処
理を施した実施例3のものに比較して、無機微粒子含有
した系の、加水分解条件において水のモル比が多い低屈
折率コーティング組成物(A2)を用いた実施例2のも
のの方が密着性、耐擦傷性も優れている。
層体は、表面形態が極微細の粗面構造を有するハードコ
ート層と特定組成のゾルゲル系低屈折率コート剤からな
る低屈折率層との組合せによって、ハードコート層と低
屈折率層との高い密着強度維持できるものであり、低屈
折率という光学特性と優れた物理的強度とを兼備した被
膜を形成することができるものである。すなわち、本発
明の反射防止積層体は、ディスプレイなどの最外層に配
置され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられ、か
つ防汚性に優れたものである。また、本発明の反射防止
積層体は、蒸着方などで製造される反射防止積層体と比
較して、装置コストも比較的安価で、成膜(塗工)速度
も10倍以上の早さで、生産性も高く、製造も容易であ
る。さらに、本発明の反射防止積層体は、巻き取り塗工
で製造することが可能で、安価に、大量生産できるとい
った効果を奏するものである。
Claims (4)
- 【請求項1】プラスチックやガラスなどの基材の少なく
とも一方に、ハードコート層と低屈折率層とを順次積層
してなる反射防止膜が形成された積層体において、該ハ
ードコート層が、分子中にビニル基、アクリロイル基、
メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なく
とも3個以上を有するアクリル系化合物を主成分とする
樹脂から形成されてなるものであって、低屈折率層との
界面となるハードコート層表面が極微細の粗面構造を呈
し、かつ低屈折率層が、一般式(A) Si(OR)4 ・・・(A) (Rはアルキル基)で表されるSiアルコキシドおよび
その加水分解物と、一般式(B) CF3−(CF2)p−(CH)n−Si(OR)3 ・・・(B) (pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアル
キル基)で表されるフッ素含有ケイ素化合物およびその
加水分解物とを主成分とする低屈折率コーティング剤を
塗布形成されてなることを特徴とする反射防止積層体。 - 【請求項2】前記極微細粗面構造を呈するハードコート
層表面の粗度が、一辺が5μm四方の微小領域における
10点平均粗さ(Rz)が50nm以下で、かつ算術平
均粗さ(Ra)が 1〜10nmの範囲であることを特
徴とする請求項1記載の反射防止積層体。 - 【請求項3】前記極微細粗面構造を有するハードコート
層が、平均粒径が5〜100nmの無機超微粒子を含有
することを特徴とする請求項1または2記載の反射防止
積層体。 - 【請求項4】前記無機超微粒子が、シリカゾル微粒子で
あって、ハードコート層中に固形分で30〜70wt%
含有することを特徴とする請求項3記載の反射防止積層
体。
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