JP5124892B2 - コーティング用低屈折率組成物およびその組成物からなる光学多層膜 - Google Patents
コーティング用低屈折率組成物およびその組成物からなる光学多層膜 Download PDFInfo
- Publication number
- JP5124892B2 JP5124892B2 JP2000257092A JP2000257092A JP5124892B2 JP 5124892 B2 JP5124892 B2 JP 5124892B2 JP 2000257092 A JP2000257092 A JP 2000257092A JP 2000257092 A JP2000257092 A JP 2000257092A JP 5124892 B2 JP5124892 B2 JP 5124892B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- refractive index
- composition
- low refractive
- coating
- group
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)
- Coating Of Shaped Articles Made Of Macromolecular Substances (AREA)
- Laminated Bodies (AREA)
- Surface Treatment Of Glass (AREA)
- Paints Or Removers (AREA)
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低屈折率組成物およびガラスやプラスチックなどの透明基材などにその低屈折率組成物を塗工して得られる光学多層膜に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ガラスやプラスチックなどの基材に、酸化チタンや酸化ケイ素などの無機酸化物を蒸着法あるいはスパッタ法などのドライコーティングによって薄膜を形成して反射防止膜などの光干渉による光学多層膜を形成する方法が知られている。しかし、このようなドライコーティングプロセスでは、装置が高価である上に、成膜速度が遅く、生産性効率に問題があった。
特に、ディスプレイの反射防止膜など最外層に使用される形態においては、表面の汚れ防止、表面の拭き取りが容易ないわゆる防汚性能が要求されるが、これらの機能を付与するために、従来、光学多層膜を形成する工程とは別工程のウェットあるいはドライプロセスにて、フッ素含有のケイ素化合物などからなる防汚性の膜を設けていたために、工程が煩雑で、経済性の点から課題となっていた。
【0003】
これに対して、金属アルコキシドなどを出発組成物とし、例えば特開平9ー208898号公報などに示されるように、基材に塗工して光学多層膜を形成する方法が知られており、高屈折率材料としてはTiやZrなどのアルコキシドを用いる方法が、低屈折率材料としてはSi系アルコキシドあるいはSiアルコキシドの一部をエポキシ基やアルキル基など他の有機置換基に置き換えた有機ケイ素化合物、いわゆるシランカップリング剤などを用い、防汚成分としてフッ素含有のケイ素化合物を添加されてなる光学多層膜を形成する方法が提案されている。しかし、上記の提案で得られる塗膜は、重合工程で長時間の高温加熱を必要とし、生産性効率に問題があった。また、塗膜の性能面でも、ある程度の低屈折率と防汚性を得ることはできるが、硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度が不十分であり、通常、最外層に使用される光学多層膜としては実用に耐えることができない欠点を有していた。
【0004】
上記のような問題点を改善するために、特開平9ー220791号公報などに示されているように、ケイ素アルコキシドを出発物質としたシリカゾルと反応性有機ケイ素化合物(シランカップリング剤や末端に反応基を有するジメチルシリコーンなど)との複合材料などが提案されている。
しかしながら、これらのSiO2系複合膜組成物も十分な物性を得ようとすると加熱に長時間を要するので、アクリロイル基などの重合性不飽和基を含有する有機ケイ素化合物も記載されているが、いずれもアクリロイル基が1個乃至は2個の単官能あるいは2官能性の化合物であり、光重合後でも高い架橋密度が得られていない。硬度や耐擦傷性などの物理的強度を向上させようとすると、上記複合膜成分中にシリカ成分以外の成分、例えはアクリル系化合物を複合し、アクリル成分比率を高くする必要がある。その結果、光学特性を決定するケイ素(Si)系などのアルコキシドを出発組成物とするシリカ成分の体積比が減少し、低屈折率化をはかることができないという欠点を有していた。
以上説明したように、現在のところ、低屈折率化および硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度特性が優れ、かつ指紋などの汚れ成分を簡単に拭き取ることができる防汚性を有する光学多層膜を形成可能な組成物は見出されていない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたもので、低屈折率を有し、かつ硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度や防汚性に優れた光学多層膜を形成可能な低屈折率組成物およびその組成物からなる、安価で、生産性に優れた光学多層膜を提供することを目的とする。
【0006】
上述の課題を達成すべく検討した結果、請求項1記載の発明は、一般式(A) Si(OR)4
(但し、式中Rはアルキル基を示す)で表されるケイ素(Si)アルコキシド、およびその加水分解物と、
一般式(B) R’X Si(OR)4−X
(但し、式中Rはアルキル基、R’は末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基を示し、xは0<x<4の範囲を満たす置換数である)で表される有機ケイ素化合物およびその加水分解物と、
一般式(D) CH3−(CH2)m−CH2−Si(OR)3 (但し、式中mは4≦m≦16の範囲を満たす整数、Rはアルキル基を示す)で表される長鎖アルキル基含有ケイ素化合物、およびその加水分解物とを含み、
前記一般式(A)で表される化合物と前記一般式(B)で表される化合物の比率が、モル比で、一般式(A)で表される化合物/一般式(B)で表される化合物=1.0/0.1〜1.0/1.0であることを特徴とするコーティング用低屈折率組成物である。
【0007】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコーティング用低屈折率組成物に、さらに、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物が含まれてなることを特徴とするコーティング用低屈折率組成物である。
【0008】
請求項3記載の発明は、前記一般式(B)で表される有機ケイ素化合物が
一般式(C) CH2=CHCOO−(CH2)n−Si(OR)3
(但し、式中Rはアルキル基、nはn<5の範囲を満たす整数を示す)で表されるアクリロイル基含有ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のコーティング用低屈折率組成物である。
【0011】
請求項4記載の発明は、アクリル系化合物が、3官能以上のアクリルモノマーおよびその変性体で、平均分子量が200〜1000であることを特徴とする請求項2記載のコーティング用低屈折率組成物である。
【0012】
請求項5記載の発明は、請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコーティング用低屈折率組成物を塗工して得られることを特徴とする光学多層膜である。
【0013】
〈作用〉
本発明によれば、テトラエトキシシラン(TEOS)などのSiアルコキシドと(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシランなどに代表される末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有するケイ素化合物とを主成分とすることで、一般式(A)および(B)のSiアルコキシドの加水分解生成物の加熱重合によるシロキサンネットワークの形成(同時に低屈折率ユニットの形成)とUVあるいはEB照射による被膜中のアクルロイル基などの重合可能な不飽和結合基の光重合による複合架橋により硬化するものであり、さらに、ジペンタエリストリールヘキサアクリレート(DPHA)などに代表される多官能アクリル化合物を加えることで、被膜の架橋密度がより高くできるものである。
なかでも、アクリル化合物として分子量が大きなプレポリマーではなく、DPHAなどの3官能以上の多官能アクリルモノマー用いることで、より均質で架橋密度の高いハイブリッド膜を形成することができる。
【0014】
物理的強さは、通常アクリル基などの導入量によって決定されるものであり、これらのアクリル基成分は、通常シリカ成分などに比べると屈折率はやや高いので、アクリル成分が増加すると物理的強度は向上するが、屈折率を低くできない。
本発明の組成物は、特定の多官能アクリル化合物を用いることで、少ない多官能アクリル化合物からなるバインダー量でも物理的強度を発現させるものある。
【0015】
さらに、これら組成物中に
一般式(D) CH3−(CH2)m−CH2−Si(OR)3
(但し、式中mは4≦z≦16の整数、Rはアルキル基を示す)で表される長鎖アルキル基含有ケイ素化合物、およびその加水分解物、または
一般式(E) CF3−(CF2)p−(CH2)n−Si(OR)3
(但し、式中pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、Rはアルキル基を示す)で表されるフッ素含有ケイ素化合物、およびその加水分解物などを加えることで、適度に防汚ユニットを組み込むことができる。
これらのハイブリッド組成物は、組成物自身が低屈折率成分として機能するものではあるが、長鎖アルキル基あるいはRf基( CF3−(CF2)p−(CH)n−)の導入により、膜内部のシロキサンネットワークならびにアクリル成分の光架橋を寸断することで膜内部に分子レベルの隙間を形成し、膜密度を低下させる。材料自身の単純平均屈折率(シリカの屈折率は1.45程度、アクリル成分の屈折率は1.50程度、F系化合物は1.35程度)では到達できないほどの低屈折率化(1.40以下)をはかることができるものである。架橋構造をある程度寸断しても、分子レベルで均一なハイブリッド構造を呈し、膜の密度は低下して、充分な架橋構造を有しているので、充分な強度を発揮できる。硬度が高く、耐擦傷性も優れ、従来の低屈折率組成物の欠点を大幅に改善することができ、低屈折率化と高強度化の両立が可能で、なおかつ防汚機能も有する組成物を提供するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態について詳細に説明する。
【0017】
本発明の低屈折率組成物は、
一般式(A) Si(OR)4
(但し、式中Rはアルキル基を示す)で表されるケイ素(Si)アルコキシド、およびその加水分解物と、
一般式(B) R’X Si(OR)4-X
(但し、式中Rはアルキル基、R’は末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基を示し、xは0<x<4の置換数である)で表される有機ケイ素化合物、およびその加水分解物とを主成分とするものである。
【0018】
本発明の低屈折率組成物は、TEOSなどのSiアルコキシドとアクリロイル基を有する有機ケイ素化合物およびその加水分解物を主成分として、さらに多官能アクリル化合物とが含まれる組成物からなるものてあり、これを基材に塗工し、加熱乾燥し、被膜を形成した後、UVなどの光照射を施すことでハイブリッド構造の低屈折率組成物被膜を形成可能とするものである。該組成物中にさらに長鎖アルキル基あるいあRf基など導入し、膜密度を制御することで、見掛け屈折率を低下させるものである。
【0019】
本発明の低屈折率組成物に含まれる各成分について以下に詳細に説明する。
本発明において用いられる、Siアルコキシドは、
一般式(A) Si(OR)4
(Rはアルキル基 )で表されるものであり、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシランなどが例示される。
【0020】
アクリロイル基などを有する有機ケイ素化合物は、
一般式(B) R’ X Si(OR) 4−X
(但し、式中Rはアルキル基、R’は末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基を示し、xは0<x<4の範囲を満たす置換数である)で表されるもので、ビニルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシランなどが例示される。
なかでも、(3−アクリロキシプロピル)トリメトキシシランなどに代表される
一般式(C) CH2=CHCOO−(CH 2 )n−Si(OR) 3
(但し、式中Rはアルキル基、nはn<5の範囲を満たす整数を示す)で表されるアクリロイル基含有ケイ素化合物が好適である。
【0021】
前記一般式(A)のSiアルコキシドと、前記一般式(C)のアクリロイル基含有ケイ素化合物との比率が、モル比で(A)/(C)=1.0/0.1〜1.0/1.0とすることで、低屈折率化と強度を両立することができる。さらに、好適には1.0/0.2〜1/0.8の範囲がより好ましい。アクリロイル基含有ケイ素化合物が0.1以下では、光重合に必要なアクリル成分比が充分でなく、架橋による強度の向上を目的とする効果が発現できず、逆にアクリル成分が1.0より過剰になると強度は発現できるが、アクリル成分量が増加することや、ならび架橋による緻密化のために屈折率が上昇してしまい不適当である。
【0022】
長鎖アルキル基含有ケイ素化合物は、
一般式(D) CH3−(CH2)m−CH2−Si(OR)3
(mは4≦z≦16の整数、R:アルキル基)で表されるものでヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシランなどが例示され、mが4より小さいと分子隙間が小さく、添加効果が少ない。
mが、16以上では分子隙間が大き過ぎ、また他の材料との相溶性が低下して、塗工成膜時に分離し、均質な膜が得られないといった不具合が生じるため好ましくない。
その添加量としては、アルキル基の長さにもよるが、主剤となるSiアルコキシドおよびアクリロイル含有ケイ素化合物の合計1モルに対して0.05〜0.4モルが適当な範囲である。
【0023】
フッ素含有ケイ素化合物は、
一般式(E) CF3−(CF2)p−(CH2)n−Si(OR)3
(pは0≦p≦8の整数、nはn<5の整数、R:アルキル基、)で表されるもので、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリデカフルオロオクチルトリメトキシシランなどが例示され、mが8より大ききなると均質な膜が形成できなくなるため不適当である。
これらのフッ素含有ケイ素化合物の添加量は、分子量によって異なるが、概ね0.05モル程度で防汚機能を発現することができる。しかし、0.5モル程度で膜強度が著しく低下するので適宜選択することができる。
これらの有機ケイ素化合物は、特に限定されるものでなく、2種以上組み合わせても何ら差し支えなく、Siアルコキシドとアクリロイル基含有有機ケイ素化合物を併用するのが好ましい。
これらの有機ケイ素化合物は、コーティング組成物中にp−トルエンスルホン酸などの有機酸触媒を含有させることで、塗工後に大気中の水分でもって加水分解反応させて被膜形成しても良いし、またあらかじめ水(塩酸などの触媒を含む)を添加し、加水分解反応させたものを用いることもできる。
また、各成分を別々に加水分解反応させた後、混合させても良いが、反応させる前に混合して、同時に共加水分解させた方が均質な重合体ができるため望ましい。
【0024】
また、アクリル化合物は、その分子中にビニル基、アクリロイル基やメタクルロイル基など重合可能なの不飽和結合を少なくとも3個以上有するものであって、例えばDPHAなどのモノマー類と、これらのモノマーの変性体、および誘導体、などが使用できる。
なかでも、DPHAなど多官能アクリルモノマー類およびその変性体など平均分子量200〜1000のものであれば、有機金属化合物の加水分解物と相溶性が良く、被膜形成時に相分離することなく、架橋密度の高い、均質で透明なハイブリッド被膜が形成できる。
多官能アクリルモノマーの混合比は、被膜中における固形分比で10〜40wt%が好適で、10%以下でも効果が少なく、40%以上では屈折率の増加をきたすため好ましくない。
UV照射による硬化を行う際には、ラジカル重合開始剤を添加すると好適であり、ベンゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系開始剤、アセトフェノン、2、1- ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのアセトフェノン系開始剤、ベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系開始剤など用いられるが、特に限定されるものではない。
【0025】
上述した各成分をいくつか組み合わせて組成物に加えることができ、さらに、物性を損なわない範囲で、分散剤、安定化剤、粘度調整剤、着色剤など公知の添加剤を加えることができる。
【0026】
コーティング組成物の塗布方法には、通常用いられるディッピング法、ロールコティング法、スクリーン印刷法、スプレー法など従来公知の手段が用いられる。
被膜の厚さは、目的の光学設計にあわせて、液の濃度や塗工量によって適宜選択調整することができる。
【0027】
本発明の低屈折率組成物を塗布形成する基材は、ガラスやプラスチックフィルムなどの基材が用いられるが、特に限定されるものではなく、さらに必要に応じて各種ハードコート層、高屈折率材料からなる層、低屈折率材料からなる層、セラミック蒸着膜層などに塗布して、積層することが可能で、また本発明の組成比を変えて積層することも可能である。
【0028】
【実施例】
本発明のコーティング低屈折率組成物を具体的な実施例をあげて説明する。なお、実施例1、実施例2、実施例3は参考例である。
表面にUV硬化樹脂ハードコート(HC)層(5μm)を設けた80μm厚のトリアセチルセルロース(TAC)フィルムを基材として、下記コーティング組成物の作製に示したA1〜A4の材料を調液してコーティング組成物を作成、UV硬化の開始剤としてアセトフェノン系開始剤を重合成分に対して2%添加した。
バーコーターにより塗布し、乾燥機で100℃−1min乾燥し、高圧水銀灯により1000mJ/cm2の紫外線を照射して硬化させ、光学膜厚(nd=屈折率n*膜厚d(nm))がnd=550/4nmになるよう適宜濃度調整をしてに低屈折率被膜を形成し、各種試験用の試験体を得た。
本発明の実施例として下記<コーティング組成物の作製>に示したA1〜A4の組成物を塗工したものを実施例1〜4とし、比較例としてSiアルコキシドのみでアクリロイル含有ケイ素化合物を含まない系(下記<コーティング組成物の作製>に示したB1組成物を塗工したものを比較例1)とSiアルコキシドとフッ素含有ケイ素2成分系(下記<コーティング組成物の作製>に示したB2組成物を塗工したものを比較例2)の試験体を合わせて作成し、下記に示した評価方法に基づいてその評価結果を表1にした。
【0029】
<コーティング組成物の作製>
(A1): テトラメトキシシラン1molに(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシラン0.4molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.1Nの塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させたて基本組成A1を得た。
【0030】
(A2):テトラメトキシシラン/(3ーアクリロキシプロピル)トリメトキシシラン/トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン=1.0/0.4/0.14molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.1Nの塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間拌反応させ、基本組成にフッ素含有ケイ素化合物を導入した組成物A2を得た。
【0031】
(A3):(A2)の反応生成物にDPHAが固形分比で20%になるように添加、30min室温にて攪拌混合し、多官能アクリルモノマーを添加した組成物A3を得た。
【0032】
(A4):(A2)の処方でトリデカフルオロオクチルトリメトキシシランをオクタデシルトリメトキシシランに全置換して同様に反応させ、基本組成に長鎖アルキル基含有ケイ素化合物を導入した組成物A4を得た。
【0033】
(B1):テトラメトキシシラン1molに対して0.1Nの塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させたて比較例組成物B1を得た。
【0034】
(B2):テトラメトキシシラン/トリデカフルオロオクチルトリメトキシシラン=1.0/0.1molになるように所定量混合し、混合物1molに対して0.1Nの塩酸3molと固形分換算で10%になるようにイソプロピルアルコールを混合し、室温で2時間攪拌反応させ、比較例組成物B2を得た。
【0035】
<評価方法>
(1)光学特性(屈折率)
分光光度計により入射角5で550nmにおける反射率を測定し、反射率値か被膜の屈折率を見積もった。
(2)密着性
塗料一般試験法JIS−K5400のクロスカット密着試験方法に準じて 塗膜の残存数にて評価した。
(3)鉛筆硬度
塗料一般試験法JIS−K5400の鉛筆引っかき試験方法に準じて塗膜の擦り傷にて評価した。
(4)耐擦傷試験
スチールウール#0000により、250g/cm2の荷重で往復5回 擦傷試験を実施、目視による傷の外観を検査した。評価は、傷なし(記号◎で表す)、かるく傷あり(記号○で表す)、かなり傷つく(記号△で表す)、著しく傷つく(記号×で表す)の4段階とした。
(5)水接触角
被膜表面に水滴をのせ、水滴と表面の接触角を測定した。測定には協和界面 科学(株)製の接触角計を用いた。
(6)指紋拭き取り性(防汚性)
被膜表面に指紋を付着させ、ティッシュペーパーにて拭き取り性を目視で 検査した。評価は、容易に拭き取れる(記号○で表す)、拭き取れる(記号△で表す)、拭き取れない(記号×で表す)の3段階とした。
【0036】
【表1】
【0037】
表1に示すように、実施例、比較例いずれも屈折率の小さい低屈折率層を得ることができたが、実施例の組成物を用いた被膜は、密着性、硬度、耐擦傷性、防汚性にも優れるが、比較例は強度面で著しく特性が劣っていることがわかる。
これは、比較例においてはアルコキシドのみの反応のため、実施例における低温で短い乾燥条件下では硬化が不十分であるためと考えられる。
【0038】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の低屈折率組成物は、Si−O−Siのシロキサン結合とアクリル基の架橋を有し、金属酸化物と有機化合物の分子レベルのハイブリッド構造を呈した被膜を形成できるものであり、低屈折率という光学特性と、硬度や耐擦傷性、基材との密着性などの物理的強度や防汚性に優れた光学多層膜形成可能な低屈折率組成物及びその組成物を塗工して得られる光学多層膜を提供することが可能となった。
ディスプレイ等の反射防止膜などとして基材の最外層に形成され、過酷な環境や取り扱いにも充分に耐えられる被膜を形成することができ、蒸着などと比較して装置コストも比較的安価で、成膜(塗工)速度も10倍以上で生産性も高く、製造も容易である。
また、本発明の低屈折率組成物の被膜は、光照射などで硬化するため、低温での塗工が可能なので、フィルムなどの巻き取り塗工で作成することが可能で安価に、大量生産できるといった効果を奏するものである。
Claims (5)
- 一般式(A) Si(OR)4
(但し、式中Rはアルキル基を示す)で表されるケイ素(Si)アルコキシド、およびその加水分解物と、
一般式(B) R’X Si(OR)4−X
(但し、式中Rはアルキル基、R’は末端にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を有する官能基を示し、xは0<x<4の範囲を満たす置換数である)で表される有機ケイ素化合物およびその加水分解物と、
一般式(D) CH3−(CH2)m−CH2−Si(OR)3
(但し、式中mは4≦m≦16の範囲を満たす整数、Rはアルキル基を示す)で表される長鎖アルキル基含有ケイ素化合物、およびその加水分解物とを含み、
前記一般式(A)で表される化合物と前記一般式(B)で表される化合物の比率が、モル比で、一般式(A)で表される化合物/一般式(B)で表される化合物=1.0/0.1〜1.0/1.0である
ことを特徴とするコーティング用低屈折率組成物。 - 請求項1記載のコーティング用低屈折率組成物に、さらに、分子中にビニル基、アクリロイル基、メタクリロイル基などの重合可能な不飽和結合を少なくとも3個以上を有するアクリル系化合物が含まれてなることを特徴とするコーティング用低屈折率組成物。
- 前記一般式(B)で表される有機ケイ素化合物が
一般式(C) CH2=CHCOO−(CH2)n−Si(OR)3
(但し、式中Rはアルキル基、nはn<5の範囲を満たす整数を示す)で表されるアクリロイル基含有ケイ素化合物であることを特徴とする請求項1または2記載のコーティング用低屈折率組成物。 - アクリル系化合物が、3官能以上のアクリルモノマーおよびその変性体で、平均分子量が200〜1000であることを特徴とする請求項2記載のコーティング用低屈折率組成物。
- 請求項1ないし4のいずれか1項に記載のコーティング用低屈折率組成物を塗工して得られることを特徴とする光学多層膜。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000257092A JP5124892B2 (ja) | 2000-08-28 | 2000-08-28 | コーティング用低屈折率組成物およびその組成物からなる光学多層膜 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000257092A JP5124892B2 (ja) | 2000-08-28 | 2000-08-28 | コーティング用低屈折率組成物およびその組成物からなる光学多層膜 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002069426A JP2002069426A (ja) | 2002-03-08 |
JP5124892B2 true JP5124892B2 (ja) | 2013-01-23 |
Family
ID=18745613
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000257092A Expired - Fee Related JP5124892B2 (ja) | 2000-08-28 | 2000-08-28 | コーティング用低屈折率組成物およびその組成物からなる光学多層膜 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP5124892B2 (ja) |
Families Citing this family (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP4918743B2 (ja) * | 2001-02-16 | 2012-04-18 | 凸版印刷株式会社 | 反射防止フィルム |
JP4069369B2 (ja) | 2002-09-25 | 2008-04-02 | 信越化学工業株式会社 | 反射防止膜及び反射防止膜の製造方法 |
JP2012097267A (ja) * | 2003-09-17 | 2012-05-24 | Kazufumi Ogawa | 撥水撥油性複合膜形成溶液とそれを用いた撥水撥油性複合膜の製造方法とその方法を用いて製造した撥水撥油性複合膜 |
US20080199618A1 (en) * | 2005-07-07 | 2008-08-21 | Arkema Inc. | Method of Strengthening a Brittle Oxide Substrate with a Weatherable Coating |
JP4868150B2 (ja) * | 2006-12-22 | 2012-02-01 | 信越化学工業株式会社 | 光及び熱硬化性コーティング剤組成物、その硬化皮膜を有する物品 |
JP2008201922A (ja) * | 2007-02-21 | 2008-09-04 | Ube Nitto Kasei Co Ltd | コーティング剤、硬化コート層および構造体 |
WO2010098436A1 (ja) * | 2009-02-27 | 2010-09-02 | 東レ株式会社 | 熱可塑性樹脂製器材用のコーティング剤 |
Family Cites Families (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP3862413B2 (ja) * | 1998-05-12 | 2006-12-27 | 富士フイルムホールディングス株式会社 | 反射防止膜およびそれを用いた画像表示装置 |
JP2000066004A (ja) * | 1998-08-14 | 2000-03-03 | Fuji Photo Film Co Ltd | 反射防止膜およびそれを配置した表示装置 |
JP2000275403A (ja) * | 1999-03-19 | 2000-10-06 | Fuji Photo Film Co Ltd | 反射防止膜およびそれを配置した表示装置 |
JP4062392B2 (ja) * | 2000-08-04 | 2008-03-19 | 信越化学工業株式会社 | コーティング組成物用シリコーン樹脂、その製造方法、コーティング組成物及びこの硬化被膜を有する物品 |
-
2000
- 2000-08-28 JP JP2000257092A patent/JP5124892B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2002069426A (ja) | 2002-03-08 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4590705B2 (ja) | 反射防止積層体 | |
KR100352677B1 (ko) | 발수성및저굴절률의코팅필름 | |
JP4292634B2 (ja) | 反射防止積層体の製造方法 | |
JP4032185B2 (ja) | 低屈折率及び撥水性を有する被膜 | |
US20060240268A1 (en) | Protective coat-forming coating composition, coated article, and multilayer laminate | |
JP3351666B2 (ja) | 防曇性反射防止膜、光学部品、及び防曇性反射防止膜の製造方法 | |
TW200300157A (en) | Composition comprising a cationic polymerization compound and coating obtained from the same | |
CN107995907A (zh) | 耐刮擦易清洁的涂层、其制备方法及其用途 | |
WO2005059050A1 (ja) | 低屈折率及び撥水性を有する被膜 | |
KR20060132459A (ko) | 막 형성용 코팅액, 및 이의 막 및 막 형성 방법 | |
KR20140119025A (ko) | 지문 부착 방지제 및 그 제조 방법, 하드 코트용 조성물, 하드 코트층을 갖는 기재 그리고 터치 패널 | |
JP4736234B2 (ja) | 反射防止積層体の製造方法 | |
JP5124892B2 (ja) | コーティング用低屈折率組成物およびその組成物からなる光学多層膜 | |
JP4866811B2 (ja) | 反射防止フィルム | |
JP4759780B2 (ja) | 低屈折率組成物、低屈折率膜、光学多層膜および反射防止膜 | |
JP4747421B2 (ja) | 反射防止積層体 | |
JP5293180B2 (ja) | リン酸エステル化合物を含有する被膜形成用塗布液及び反射防止膜 | |
JP2001164117A (ja) | 高屈折率組成物および反射防止積層体 | |
JP2000356705A (ja) | 高屈折率組成物及び該組成物からなる光学膜 | |
JP4590665B2 (ja) | 高屈折率組成物および高屈折率膜および反射防止膜 | |
JPH09111185A (ja) | 指紋汚れ防止ディスプレ−及びディスプレー塗布用コーティング液 | |
US6924039B2 (en) | Composition comprising a hydrolyzable organosilicon compound and coating obtained from the same | |
JP2000336313A (ja) | 高屈折率コーティング組成物 | |
JP2005023257A (ja) | ポリオルガノシロキサン及びそれを含む硬化性組成物並びに反射防止膜 | |
JP4748132B2 (ja) | 反射防止積層体の製造方法 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070726 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20100909 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100921 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20101116 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110803 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20110929 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20120508 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20120531 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20121002 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20121015 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20151109 Year of fee payment: 3 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |