JP2002305274A - 回路基板及びモジュール - Google Patents
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Abstract
の発生を著しく少なくすることができる高信頼性の回路
基板及びモジュールを提供する。 【解決手段】窒化アルミニウム基板又は窒化ケイ素基板
1の一方の面に回路2、他方の面に放熱板3が接合され
てなるものであって、回路及び放熱板がAl製又はAl
合金製であり、回路硬度が250MPa以下、放熱板硬
度が300〜460MPa、260℃加熱時における回
路基板の反り量が±100μm以下である回路基板。こ
の回路基板がベース銅板4に半田付けされてなるベース
銅板付き回路基板。これらの回路基板を用いて組み立て
られたモジュール。
Description
等に使用される回路基板及びそれを用いて組み立てられ
たモジュールに関する。
は、アルミナ、ベリリア、窒化ケイ素、窒化アルミニウ
ム等のセラミックス基板の表面に回路、裏面に放熱板が
形成された回路基板が用いられている。このような回路
基板は、樹脂基板又は樹脂基板と金属基板との複合基板
よりも高絶縁性であることが特長である。
金よりもAl又はAl合金とすることの利点は、Cu又
はCu合金では、セラミックス基板や半田との熱膨張差
に起因する熱応力の発生が避けられないので、長期的な
信頼性が不十分であるのに対し、Al又はAl合金は、
熱伝導性や電気伝導性ではCu又はCu合金よりもやや
劣るが、熱応力を受けても容易に塑性変形するので、応
力が緩和され、信頼性が飛躍的に向上するからである。
はAl合金(以下、両者を「Al等」ともいう。) の上
記塑性変形は、熱応力の大きさや、熱応力を受けるAl
等の部分によって著しく左右される。塑性変形が回路又
は放熱板の一部に集中して発生すると半田の塑性変形量
をこえてしまい、半田クラックが生じることになる。こ
れを避けるため、高硬度のAl等を用いることが考えら
れるが、応力緩和効果が低下してしまう。
への応力緩和効果を十分に確保しながら、半田クラック
も抑制するという二律背反を達成する極めて高度な技術
の出現である。その一例として、Al/SiCに代表さ
れるような、セラミックス基板と同程度の熱膨張係数を
有するベース板を使用することが提案されている。しか
しながら、このベース板は、一般的なベース銅板と比較
して高価であるため、特殊な用途に限定して使用される
場合が多く、別の技術開発が待たれていた。
価なベース板を使用しないで、セラミックス基板への応
力緩和効果と半田クラック抑制効果の両方を高度に発現
する高信頼性回路基板及びそれを用いたモジュールを提
供することである。
から回路及び放熱板に適したAl特性を追求し、回路と
放熱板とに適度な硬度差と厚み差を設けた回路基板を作
製するとともに、好ましくはそれをベース銅板に半田が
放熱板の側面まで盛り上げて半田付けすることによって
達成することができる。
下のとおりである。 (請求項1)窒化アルミニウム基板又は窒化ケイ素基板
の一方の面に回路、他方の面に放熱板が接合されてなる
ものであって、回路及び放熱板がAl製又はAl合金製
であり、回路硬度が250MPa以下、放熱板硬度が3
00〜460MPa、260℃加熱時における回路基板
の反り量が±100μm以下であることを特徴とする回
路基板。 (請求項2)請求項1記載の回路基板が、その放熱板と
ベース銅板とを接面させてベース銅板に半田付けされて
なり、該半田が放熱板の側面までに盛り上げられてなる
ことを特徴とするベース銅板付き回路基板。 (請求項3)請求項1記載の回路基板、又は請求項2記
載のベース銅板付き回路基板を用いて組み立てられたモ
ジュール。
説明する。
板とに適度な硬度差と厚み差を設けて、熱履歴を受けた
際のAl等の塑性変形を調節するとともに、放熱板とベ
ース銅板を接面させて半田付けする際に、半田を放熱板
の側面まで盛り上げたことであり、これによって半田ク
ラックとセラミックス基板へのクラックの両者を抑制で
きたことである。
回路基板の信頼性を高めるため、メッキ組成(特開平8
−260187号公報)、Al等の表面改質(特開平8−
260186号公報)、Al等の粒径規定(特開平8−1
56330号公報)等による提案があるが、十分な解決
法ではなかった。
ッカース硬度の規定である。半田付け面積が広く半田ク
ラックの発生が不良の支配因子である放熱板には硬度の
やや高い、ビッカース硬度300〜460MPaのAl
等を選び、回路パターンの影響を受けてセラミックス基
板のクラック発生が支配的である回路には硬度の低い、
ビッカース硬度260MPa以下のAl等を選んだこと
である。
は、塑性変形が容易であることから、回路基板が熱履歴
を受けた際に発生する熱応力が緩和され、セラミックス
基板にはクラックが発生し難くなるが、塑性変形量が半
田のそれをこえると半田が破壊するため、半田クラック
が発生しやすくなる。逆に、硬いAl等は、セラミック
ス基板にはクラックが発生しやすいが、半田クラックは
抑制される。
は、半田付け面であり、ベース板へ固定するため全面に
半田付けされるので半田への熱応力も大きく、半田クラ
ックの発生、進行が放熱性を支配する。一方、回路面
は、ICチップやダイオードをつけるだけなので半田付
け面積は比較的小さく、通常は回路面積の1/10〜1
/3程度である。セラミックス基板への熱応力は回路パ
ターン端部に集中して発生するため、パターン形状を無
視できない。パターンのないいわゆる「ベタパターン」
の放熱面ではあまり問題にならないが、回路面では、パ
ターンに沿って端部で発生しパターン内部へと進行する
「水平クラック」が放熱性を支配することが多い。
回路のビッカース硬度を250MPa以下にして、セラ
ミックス基板に発生するクラックを抑制し、放熱板のビ
ッカース硬度を300〜460MPaとして半田クラッ
クの発生を抑制する。
えると、熱応力による塑性変形が不均一となり、部分的
な変形が大きくなって、メッキやボンディングワイヤの
剥離が生じる恐れがある。硬度は、小さい程好ましい
が、あまり軟らかいと傷つきやすいので、好ましくは1
80〜220MPaである。一方、放熱板のビッカース
硬度が460MPa超であると塑性変形が困難になっ
て、セラミックス基板、半田共にクラックが発生しやす
くなる。また、300MPa未満では塑性変形が容易と
なるので、繰り返しの熱履歴を受けると大きな変形が生
じ、これまた半田クラックが発生しやすくなる。特に好
ましい放熱板のビッカース硬度は350〜430MPa
である。
子を打ち込んで硬度を読み取る方法であり、金属やセラ
ミックスの硬度の測定方法として広範に採用されてい
る。本発明においては、加重9.8N、保持時間15秒
の条件で測定される。
硬度であり、接合前のAl等の硬度とは異なる。Al等
は、通常、接合材を用い、500〜640℃で加熱して
セラミックス基板と接合されるため、熱処理を受けて微
構造が変化し、また接合材が拡散してAl等純度も低下
する。さらには、接合後に熱処理をすることも行われて
おり、それによってAl等特性が変化する。これらの理
由から、接合前のAl等の硬度を厳格に規定してもあま
り意味がない。
る方法と熱処理条件で調節する方法がある。材料につい
ては、接合後のAl等は高純度ほど軟らかくなるため、
純度を選択すればよい。通常、純Alとして市販されて
いるものは、通常99.0〜99.999%でかなり幅
があり、硬度に大きな差がある。すなわち、99.5%
以下のAlでは接合後のビッカース硬度を250MPa
以下とするのは困難であり、99.9%以上のAlでは
接合後に300MPa以上とするのは難しい。したがっ
て、本発明においては、回路にはAl合金でも可能であ
るが、高純度のAl材を、また放熱板には比較的低純度
のAl等を使用することが好ましい。Al合金の一例を
挙げれば、AA記号で3003を始めとするAl−Mn
系合金や、5052を始めとするAl−Mg系合金など
である。
板とに厚み差を設け、260℃に加熱した際の回路基板
の反り量を±100μm以下としたことである。反りの
「+」は回路面が凹に、反りの「−」は回路面が凸にな
る反りである。好ましくは、0〜+50μmの反りであ
る。
するものではないが、一般的に用いられる厚さは0.3
〜0.5mmである。本発明においては、通常、回路板
の厚みやパターン率に応じて、放熱板の厚みを調整して
反り量が調整される。
な厚み差があると、発生する熱応力に偏りが生じて反り
やうねりが発生し、半田ボイドの発生、半田クラック等
の損傷や、ボンディングワイヤやメッキの剥離を十分に
防止することができなくなる。放熱板の硬度が回路板の
硬度に対して大きい場合には、放熱板を薄くし、回路板
の硬度に対して放熱板の硬度が小さい場合には、放熱板
を厚くする。
質については、パワーモジュール用回路基板としての使
用を考えれば、熱伝導率70W/mK以上の窒化ケイ素
基板又は窒化アルミニウム基板が選ばれる。とくに、窒
化アルミニウム基板が望ましい。
する。
させるには、それらのパターンを接合するか、Al等の
板を接合してからエッチングするか、又はその両方を併
用する方法がある。いずれにしてもセラミックス基板と
回路及び放熱板とを接合する必要がある。接合方法に
は、溶湯法のように接合材を使用しない方法もあるが、
本発明ではAl−Cu−Mg系合金箔を用いて接合する
ことが好ましい。接合材は、これに限るものではなく、
Al−Si系、Al−Ge系、あるいはこれらにMgを
加えた系も使用することができる。
0μmが一般的である。厚みが10μm未満では、接合
が困難となり、50μm超であると、合金成分がAl等
に拡散し硬い部分が多くなるので、熱履歴を受けた際に
信頼性が低下する原因となる。好ましい接合材の厚み
は、15〜35μmである。接合材は、セラミックス基
板側、Al等側のどちらに配置しても良い。
に上記合金箔を介してAl等の板、パターン又はその両
方を配置し、それをセラミックス基板と垂直方向に1〜
10MPa、特に4〜8MPaの圧力をかけることが好
ましい。加圧は、積層体に重しを載せる、治具等を用い
て機械的に挟み込む等によって行うことができる。
温度は、580〜645℃にて行い、窒素の雰囲気下も
しくは真空中で行われる。
される。回路又は放熱板のパターンを接合したときに
は、エッチングは特に必要でない。エッチングは、通常
のレジスト、エッチング工程によって行うことができ
る。また、メッキ等の表面処理も必要に応じて行われ
る。
に、ベース銅板4に半田5付けされて使用されることが
好ましい。この場合、ベース銅板4と放熱板3間の半田
クラックを抑制することが重要なことである。半田クラ
ックを抑制するためには、半田にかかる応力(歪み)を
小さくする必要がある。この半田にかかる応力は、放熱
板と半田の界面で大きくなり、特に放熱板の角部におい
て最大となる。
さくするために、前述のように放熱板の硬度や厚みを適
正化するとともに、最大応力が発生する放熱板角部にお
ける半田の厚みを大きくとる。すなわち、回路基板の放
熱板とベース銅板とを接面させて、ベース銅板と半田付
けする際に、放熱板の側面まで半田を盛り上げる。
は、ベース銅板と回路基板を半田付けする前に、予め放
熱板側面に半田を薄く濡れさせておくか、半田付けの際
に回路基板の上に重しを載せる等の工夫が必要である。
しかも、半田クラックを抑制するためには、半田の厚み
や盛り上げる高さ、位置などが重要になる。
あることが好ましい。半田の厚みが100μm未満の場
合には、半田に応力がかかった際に、塑性変形を十分に
行うことができないため、応力を緩和することができ
ず、半田クラックが発生しやすくなる。逆に、半田の厚
みが300μm超であると、塑性変形は十分に行える
が、半田は熱伝導率が小さいため、厚くすると熱抵抗が
増加し、モジュールとしての機能が損なわれる。より好
ましくは、150〜250μmである。
図2に示される説明図において、半田の裾長さ(W)と
半田の盛り上げ高さ(H)により規定できる。
mとするのが好ましい。200μm未満の場合には、放
熱板角部で半田に発生する応力を低減するのに十分な効
果が得られない。逆に、2mmを超えた場合には、隣り
合った回路基板同士で干渉することがあるため、モジュ
ール組み立て時に不具合が生じる可能性がある。
上であることが好ましい。50μm未満の場合には、放
熱板角部で半田に発生する応力を低減するのに十分な効
果が得られない。より好ましくは、100μm以上であ
り、さらに好ましくは放熱板厚みまで(セラミックス基
板に接するまで)である。
本発明を説明する。
品で、いずれも大きさ2インチ角で、レーザーフラッシ
ュ法による熱伝導率が窒化アルミニウム175W/m
K、窒化ケイ素72W/mK、3点曲げ強度は窒化アル
ミニウムが420MPa、窒化ケイ素が780MPaで
ある。Al板は、回路形成用及び放熱板用のそれぞれに
ついて、表1に示す各厚みのものを用いた。
Al板と接合材を重ね、カーボン板をねじ込んで基板に
押しつけできる治具を用い、セラミックス基板に対して
垂直方向に均等に加圧した。接合は、真空又は窒素雰囲
気下、温度550〜635℃で加圧をしながら行った。
印刷してFeCl3液でエッチングした。回路面、放熱面
のパターンは、正方形(コーナーRは2mm)で、セラミ
ックス基板中央部に形成(沿面距離1mm)させた。次
いで、レジストを剥離した後、無電解Ni−Pメッキを
5μm施して回路基板とし、以下の物性を測定した。
0℃加熱時の反り量は、260℃に加熱したホットプレ
ートの上に、回路基板の回路面を上にして載せ、5分間
放置し、レーザー変位計にて測定した。また、そり量測
定の際は、回路面が凹となる場合を(+側)、逆に回路
面が凸となる場合を(−側)として、表1に記載した。
路基板の断面を切り出して、回路、放熱板のそれぞれ厚
み方向の中心においてビッカース硬度を測定した。
のSiチップを半田付けした。半田は、Sn−Pb系
(Sn/Pb=10/90)の厚み100μmのものを
用いた。
260℃のホットプレートの上で加熱し、放熱板の側面
に半田(Sn/Pb=50/50)を押し当て、半田が
濡れたことを確認後、一度半田をふき取った。上記のチ
ップ付けした回路基板をベース銅板に半田付けする際に
は、半田の裾長さ(W)を1mmとするため、予めベー
ス銅板に耐熱テープによりセラミックス基板と同じ大き
さのマスキングを施したものを用いた。半田はSn−P
b系(Sn/Pb=50/50)を用い、半田の厚み
(T)を100〜300μmにするために、厚み300
μmのものを使用した。また、半田の裾長さ(W)を均
一にするために、回路基板の位置決め用のカーボン製治
具を使用した。さらに、半田の厚み(T)を均一化し、
半田の盛り上げ高さ(H)を50μm以上とするため、
回路基板の中央部に重しを載せた。
裾長さ(W)及び半田の盛り上げ高さ(H)の測定にお
いては、ベース銅板に半田付けした回路基板の4つのコ
ーナー部について断面観察(SEM観察)を行い、測定
した。
トサイクル試験を行った。ヒートサイクル試験は、−4
0℃×30分→室温×10分→125℃×30分→室温
×10分を1サイクルとして1000サイクル実施し
た。ヒートサイクル試験後、半田クラックやパターンの
剥離等の基板への損傷の有無を外観チェックし、更に超
音波探傷像(SAT)で図3に示される半田クラック
(L)の進行を調べた。チップ下半田クラックについて
は、1mmを超える半田クラックが検出できたものを
「不良」とした。また、ベース銅板上の半田クラックに
ついては、3mmを超える半田クラックが検出できたも
のを「不良」とした。その後、回路及び放熱板を塩酸で
溶解し、セラミックス基板に発生したクラックの有無を
観察した。それらの結果を表1に示す。
は、いずれもヒートサイクル試験1000サイクル後に
おいても半田クラックやセラミックス基板へのクラック
発生も著しく少なかった。これに対して、比較例では、
ビッカース硬度が、本発明の範囲外にあったので、ヒー
トサイクル後にクラックが多く発生し、高信頼性回路基
板としては、不十分なものであった。
ックス基板へのクラックの発生を著しく少なくすること
ができる、高信頼性の回路基板及びそれを用いたモジュ
ールを提供することができる。
図。
田の盛り上げ高さ(H)を測定するための説明図。
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 窒化アルミニウム基板又は窒化ケイ素基
板の一方の面に回路、他方の面に放熱板が接合されてな
るものであって、回路及び放熱板がAl製又はAl合金
製であり、回路硬度が250MPa以下、放熱板硬度が
300〜460MPa、260℃加熱時における回路基
板の反り量が±100μm以下であることを特徴とする
回路基板。 - 【請求項2】 請求項1記載の回路基板が、その放熱板
とベース銅板とを接面させてベース銅板に半田付けされ
てなり、該半田が放熱板の側面までに盛り上げられてな
ることを特徴とするベース銅板付き回路基板。 - 【請求項3】 請求項1記載の回路基板、又は請求項2
記載のベース銅板付き回路基板を用いて組み立てられた
モジュール。
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JP2001106854A JP4554105B2 (ja) | 2001-04-05 | 2001-04-05 | 回路基板及びモジュール |
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