JP2002103467A - 歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法 - Google Patents
歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法Info
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- JP2002103467A JP2002103467A JP2000299344A JP2000299344A JP2002103467A JP 2002103467 A JP2002103467 A JP 2002103467A JP 2000299344 A JP2000299344 A JP 2000299344A JP 2000299344 A JP2000299344 A JP 2000299344A JP 2002103467 A JP2002103467 A JP 2002103467A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 歯部や歯溝の表面に対する歯布の接着性を低
下させることなく、またゴムの老化を進行させることな
く、しかもエネルギー効率や生産効率を高く得ながら、
プーリに対する接触面の摩擦係数を小さくすることがで
きる歯付ベルトの製造方法を提供する。 【解決手段】 心線2を埋設したベルト背部1にベルト
長手方向に所定間隔で複数の歯部3を設けると共に歯部
3の表面及び歯部3間の歯溝4の表面に沿って歯布5を
被覆して形成される歯付ベルトBを製造する方法に関す
る。ゴム糊を浸漬した歯布5の一方の片面に接着ゴム層
を積層すると共に歯布5の他方の片面にフッ素系塗料を
塗布する。そして歯部成形用溝を設けた成形用型の外周
にこの歯布5をフッ素系塗料の塗布面を内面側にして巻
き付け、歯布5の上から成形用型の外周に心線2をスパ
イラル状に巻き付けた後にさらにその上からゴムシート
を被せて巻き付ける。この後、加熱して加硫を行う。
下させることなく、またゴムの老化を進行させることな
く、しかもエネルギー効率や生産効率を高く得ながら、
プーリに対する接触面の摩擦係数を小さくすることがで
きる歯付ベルトの製造方法を提供する。 【解決手段】 心線2を埋設したベルト背部1にベルト
長手方向に所定間隔で複数の歯部3を設けると共に歯部
3の表面及び歯部3間の歯溝4の表面に沿って歯布5を
被覆して形成される歯付ベルトBを製造する方法に関す
る。ゴム糊を浸漬した歯布5の一方の片面に接着ゴム層
を積層すると共に歯布5の他方の片面にフッ素系塗料を
塗布する。そして歯部成形用溝を設けた成形用型の外周
にこの歯布5をフッ素系塗料の塗布面を内面側にして巻
き付け、歯布5の上から成形用型の外周に心線2をスパ
イラル状に巻き付けた後にさらにその上からゴムシート
を被せて巻き付ける。この後、加熱して加硫を行う。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、動力伝動用あるい
は搬送用のベルトとして使用される歯付ベルト及び歯付
ベルトの製造方法に関するものである。
は搬送用のベルトとして使用される歯付ベルト及び歯付
ベルトの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】歯付ベルトBは図1に示すように、ゴム
で形成されるベルト背部1にベルト長手方向に沿って複
数本の心線2を埋設すると共に、このベルト背部1の内
面側にベルト長手方向に沿って所定間隔で多数の歯部3
を突設し、この歯部3及び歯部3間の歯溝4の表面に補
強用の歯布5を積層して被覆することによって、形成さ
れている。そしてこのような歯付ベルトBの製造は、ま
ず歯布5にゴム糊を浸漬し、そして複数の歯部成形用溝
を設けた成形用型の外周にこの歯布5を巻き付け、歯布
5の上から成形用型の外周に心線2をスパイラル状に巻
き付けた後に、さらにその上からゴムシートを被せて巻
き付け、この後、加硫を行うことによって行なわれてい
る。このように作製される歯付ベルトBは、歯付プーリ
に懸架して動力伝動用あるいは搬送用に用いられる。
で形成されるベルト背部1にベルト長手方向に沿って複
数本の心線2を埋設すると共に、このベルト背部1の内
面側にベルト長手方向に沿って所定間隔で多数の歯部3
を突設し、この歯部3及び歯部3間の歯溝4の表面に補
強用の歯布5を積層して被覆することによって、形成さ
れている。そしてこのような歯付ベルトBの製造は、ま
ず歯布5にゴム糊を浸漬し、そして複数の歯部成形用溝
を設けた成形用型の外周にこの歯布5を巻き付け、歯布
5の上から成形用型の外周に心線2をスパイラル状に巻
き付けた後に、さらにその上からゴムシートを被せて巻
き付け、この後、加硫を行うことによって行なわれてい
る。このように作製される歯付ベルトBは、歯付プーリ
に懸架して動力伝動用あるいは搬送用に用いられる。
【0003】この歯付ベルトBにあって、走行駆動時の
歯付ベルトBと歯付プーリとの噛み合わせに伴う摩擦が
大きいと、粘着音の発生、歯布5の摩耗、歯欠けの原因
となる。このために、摩擦係数を低減する効果のあるP
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂
で処理して、歯布5の表面の摩擦を小さくすることが行
なわれている。
歯付ベルトBと歯付プーリとの噛み合わせに伴う摩擦が
大きいと、粘着音の発生、歯布5の摩耗、歯欠けの原因
となる。このために、摩擦係数を低減する効果のあるP
TFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂
で処理して、歯布5の表面の摩擦を小さくすることが行
なわれている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】フッ素樹脂による処理
は、ゴム糊にフッ素樹脂を混合しておき、このフッ素樹
脂入りのゴム糊を歯布5に含浸することによって、行な
われるのが一般的であり、ゴム糊と共にフッ素樹脂を歯
布5に含浸させて歯布5の摩擦係数を低減するようにし
ている。しかしながらこの方法では、歯布5に含有され
るフッ素樹脂によって、歯部3や歯溝4を形成するゴム
と歯布5との接着性が低下し、歯布5が剥離するおそれ
があるという重大な問題がある。
は、ゴム糊にフッ素樹脂を混合しておき、このフッ素樹
脂入りのゴム糊を歯布5に含浸することによって、行な
われるのが一般的であり、ゴム糊と共にフッ素樹脂を歯
布5に含浸させて歯布5の摩擦係数を低減するようにし
ている。しかしながらこの方法では、歯布5に含有され
るフッ素樹脂によって、歯部3や歯溝4を形成するゴム
と歯布5との接着性が低下し、歯布5が剥離するおそれ
があるという重大な問題がある。
【0005】一方、特公平5−62250号公報には、
加硫成形された歯付ベルトBの表面にフッ素樹脂粉末と
合成樹脂溶液の混合液を塗布し、乾燥した後に焼き付け
ることによって、歯付ベルトBの表面に表面摩擦係数を
低く調整した被覆層を形成するようにした技術が開示さ
れている。この方法では、歯部3や歯溝4と歯布5との
接着性を低下させることはないが、歯付ベルトBの表面
にフッ素樹脂粉末と合成樹脂溶液の混合液を均一に塗布
することは難しく、特に歯部3と歯溝4は凹凸になって
いるので、歯部3の表面から歯溝4の表面に均一に塗布
することは不可能に近く、均一な厚みで表面摩擦係数を
低くした被覆層を形成することはできない。従ってこの
ものでは、歯部3や歯溝4の表面の摩擦係数が不均一に
なって、摩擦係数の高い部分において局所的な摩耗や歯
欠けが却って発生し易くなるという問題がある。またこ
のものでは、歯付ベルトBにフッ素樹脂粉末と合成樹脂
溶液の混合液を塗布した後に焼き付けを行なうようにし
ており、歯付ベルトBには加硫成形の際の加熱に加えて
焼き付けの際の熱が作用することになり、ゴムの熱老化
が進むおそれがあるという問題や、エネルギー効率や生
産効率が悪くなるという問題もある。
加硫成形された歯付ベルトBの表面にフッ素樹脂粉末と
合成樹脂溶液の混合液を塗布し、乾燥した後に焼き付け
ることによって、歯付ベルトBの表面に表面摩擦係数を
低く調整した被覆層を形成するようにした技術が開示さ
れている。この方法では、歯部3や歯溝4と歯布5との
接着性を低下させることはないが、歯付ベルトBの表面
にフッ素樹脂粉末と合成樹脂溶液の混合液を均一に塗布
することは難しく、特に歯部3と歯溝4は凹凸になって
いるので、歯部3の表面から歯溝4の表面に均一に塗布
することは不可能に近く、均一な厚みで表面摩擦係数を
低くした被覆層を形成することはできない。従ってこの
ものでは、歯部3や歯溝4の表面の摩擦係数が不均一に
なって、摩擦係数の高い部分において局所的な摩耗や歯
欠けが却って発生し易くなるという問題がある。またこ
のものでは、歯付ベルトBにフッ素樹脂粉末と合成樹脂
溶液の混合液を塗布した後に焼き付けを行なうようにし
ており、歯付ベルトBには加硫成形の際の加熱に加えて
焼き付けの際の熱が作用することになり、ゴムの熱老化
が進むおそれがあるという問題や、エネルギー効率や生
産効率が悪くなるという問題もある。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、歯部や歯溝の表面に対する歯布の接着性を低下さ
せることなく、またゴムの老化を進行させることなく、
しかもエネルギー効率や生産効率を高く得ながら、プー
リに対する接触面の摩擦係数を小さくすることができる
歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法を提供することを
目的とするものである。
あり、歯部や歯溝の表面に対する歯布の接着性を低下さ
せることなく、またゴムの老化を進行させることなく、
しかもエネルギー効率や生産効率を高く得ながら、プー
リに対する接触面の摩擦係数を小さくすることができる
歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法を提供することを
目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
歯付ベルトの製造方法は、心線2を埋設したベルト背部
1にベルト長手方向に所定間隔で複数の歯部3を設ける
と共に歯部3の表面及び歯部3間の歯溝4の表面に沿っ
て歯布5を被覆して形成されるゴム製の歯付ベルトBを
製造するにあたって、ゴム糊を浸漬した歯布5の一方の
片面に接着ゴム層6を積層すると共に歯布5の他方の片
面にフッ素系塗料7を塗布し、外周に複数の歯部成形用
溝8を設けた成形用型9の外周にこの歯布5をフッ素系
塗料7の塗布面を内面側にして巻き付け、歯布5の上か
ら成形用型9の外周に心線2をスパイラル状に巻き付け
た後にさらにその上からゴムシート10を被せて巻き付
け、この後、加熱して加硫を行うことを特徴とするもの
である。
歯付ベルトの製造方法は、心線2を埋設したベルト背部
1にベルト長手方向に所定間隔で複数の歯部3を設ける
と共に歯部3の表面及び歯部3間の歯溝4の表面に沿っ
て歯布5を被覆して形成されるゴム製の歯付ベルトBを
製造するにあたって、ゴム糊を浸漬した歯布5の一方の
片面に接着ゴム層6を積層すると共に歯布5の他方の片
面にフッ素系塗料7を塗布し、外周に複数の歯部成形用
溝8を設けた成形用型9の外周にこの歯布5をフッ素系
塗料7の塗布面を内面側にして巻き付け、歯布5の上か
ら成形用型9の外周に心線2をスパイラル状に巻き付け
た後にさらにその上からゴムシート10を被せて巻き付
け、この後、加熱して加硫を行うことを特徴とするもの
である。
【0008】また請求項2の発明は、フッ素系塗料7と
して、硬化温度が200℃以下のものを用いることを特
徴とするものである。
して、硬化温度が200℃以下のものを用いることを特
徴とするものである。
【0009】また請求項3の発明は、フッ素系塗料7と
して、フッ素ゴムとフッ素樹脂との共重合体を主成分す
る水系塗料を用いることを特徴とするものである。
して、フッ素ゴムとフッ素樹脂との共重合体を主成分す
る水系塗料を用いることを特徴とするものである。
【0010】また請求項4の発明は、歯布5にフッ素系
塗料7をロールコートによって塗布することを特徴とす
るものである。
塗料7をロールコートによって塗布することを特徴とす
るものである。
【0011】また請求項5の発明は、歯布5にフッ素系
塗料7をスプレーによって塗布することを特徴とするも
のである。
塗料7をスプレーによって塗布することを特徴とするも
のである。
【0012】本発明の請求項6に係る歯付ベルトは、心
線2を埋設したベルト背部1にベルト長手方向に所定間
隔で複数の歯部3を設けると共に歯部3の表面及び歯部
3間の歯溝4の表面に沿って歯布5を被覆して形成され
た歯付ベルトであって、歯布5として、ゴム糊が浸漬さ
れ、且つそのベルト背部1側の片面に接着ゴム層6が積
層されていると共に他方の片面にフッ素系塗料7が塗布
されたものを用いて成ることを特徴とするものである。
線2を埋設したベルト背部1にベルト長手方向に所定間
隔で複数の歯部3を設けると共に歯部3の表面及び歯部
3間の歯溝4の表面に沿って歯布5を被覆して形成され
た歯付ベルトであって、歯布5として、ゴム糊が浸漬さ
れ、且つそのベルト背部1側の片面に接着ゴム層6が積
層されていると共に他方の片面にフッ素系塗料7が塗布
されたものを用いて成ることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
する。
【0014】本発明においてフッ素系塗料としては、フ
ッ素ゴムとフッ素樹脂の共重合体を主成分とする水系塗
料を用いることができる。フッ素ゴムとしては、フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフ
ッ化ビニリデン系ゴム、プロピレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体等のプロピレン系ゴムなどを挙げること
ができる。またフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテ
トラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチ
レン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリ
デン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン
共重合体)などを挙げることができる。そしてフッ素ゴ
ム及びフッ素樹脂それぞれ1種類からなる共重合体を、
固形分濃度30〜60質量%の水性ディスパージョンと
して調製されたフッ素系塗料が、例えばダイキン工業社
製の「ダイエルシリーズ」などとして市販されており、
これらの市販品を用いることができる。フッ素系塗料に
は上記の主成分以外に、酸化マグネシウム等の受酸剤、
ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等の界
面活性剤、アミノシラン化合物とアミン化合物との混合
物等からなる硬化剤などを配合することができる。
ッ素ゴムとフッ素樹脂の共重合体を主成分とする水系塗
料を用いることができる。フッ素ゴムとしては、フッ化
ビニリデン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体等のフ
ッ化ビニリデン系ゴム、プロピレン−テトラフルオロエ
チレン共重合体等のプロピレン系ゴムなどを挙げること
ができる。またフッ素樹脂としては、PTFE(ポリテ
トラフルオロエチレン)、PFA(テトラフルオロエチ
レン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合
体)、FEP(テトラフルオロエチレン・ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体)、PVDF(ポリフッ化ビニリ
デン)、ETFE(エチレン−テトラフルオロエチレン
共重合体)などを挙げることができる。そしてフッ素ゴ
ム及びフッ素樹脂それぞれ1種類からなる共重合体を、
固形分濃度30〜60質量%の水性ディスパージョンと
して調製されたフッ素系塗料が、例えばダイキン工業社
製の「ダイエルシリーズ」などとして市販されており、
これらの市販品を用いることができる。フッ素系塗料に
は上記の主成分以外に、酸化マグネシウム等の受酸剤、
ポリオキシエチレンオクチルフェノールエーテル等の界
面活性剤、アミノシラン化合物とアミン化合物との混合
物等からなる硬化剤などを配合することができる。
【0015】また本発明においてフッ素系塗料は、20
0℃以下の比較的低温、例えば150℃前後の温度での
加熱によって硬化するものが特に好ましい。フッ素樹脂
単独では硬化温度は200〜350℃と比較的高いが、
フッ素樹脂にフッ素ゴムを混合することによって、硬化
温度を200℃以下の比較的低い温度にすることができ
るものである。硬化温度の下限は特に設定されないが、
100℃程度が実用上の下限である。
0℃以下の比較的低温、例えば150℃前後の温度での
加熱によって硬化するものが特に好ましい。フッ素樹脂
単独では硬化温度は200〜350℃と比較的高いが、
フッ素樹脂にフッ素ゴムを混合することによって、硬化
温度を200℃以下の比較的低い温度にすることができ
るものである。硬化温度の下限は特に設定されないが、
100℃程度が実用上の下限である。
【0016】歯布3は、綿、ポリエステル繊維、ナイロ
ン繊維等を平織、綾織、朱子織等に製織した帆布などで
形成されるものであり、歯布3にはゴム糊を含浸・乾燥
してある。ゴム糊としては例えば、後述のベルト背部1
や歯部3を形成するゴムシート10を形成するゴムにカ
ーボンブラックやその他の配合剤を配合したものを溶剤
に溶かした組成物を用いることができる。
ン繊維等を平織、綾織、朱子織等に製織した帆布などで
形成されるものであり、歯布3にはゴム糊を含浸・乾燥
してある。ゴム糊としては例えば、後述のベルト背部1
や歯部3を形成するゴムシート10を形成するゴムにカ
ーボンブラックやその他の配合剤を配合したものを溶剤
に溶かした組成物を用いることができる。
【0017】上記のようにゴム糊を含浸処理した歯布3
の一方の片面に接着ゴム層6を積層すると共に歯布3の
他方の片面に上記のフッ素系塗料を塗布する。この接着
ゴム層6は未加硫の状態で歯布3に積層されるものであ
り、例えば未加硫の薄いゴムシート6aを作製し、この
薄いゴムシート6aを歯布3の片面に貼り合わせること
によって、歯布3の一方の片面に接着ゴム層6を積層す
ることができる。この接着ゴム層6は、後述のベルト背
部1や歯部3を形成するゴムシート10と同様な配合の
ゴム組成物から形成することができるものであり、0.
1〜0.5mmの範囲の厚みで形成するのが好ましい。
の一方の片面に接着ゴム層6を積層すると共に歯布3の
他方の片面に上記のフッ素系塗料を塗布する。この接着
ゴム層6は未加硫の状態で歯布3に積層されるものであ
り、例えば未加硫の薄いゴムシート6aを作製し、この
薄いゴムシート6aを歯布3の片面に貼り合わせること
によって、歯布3の一方の片面に接着ゴム層6を積層す
ることができる。この接着ゴム層6は、後述のベルト背
部1や歯部3を形成するゴムシート10と同様な配合の
ゴム組成物から形成することができるものであり、0.
1〜0.5mmの範囲の厚みで形成するのが好ましい。
【0018】また歯布3の他方の片面に上記のフッ素系
塗料を塗布するにあたっては、ロールコーターを用いた
ロールコートや、スプレー塗装機を用いたスプレーによ
って行なうことができる。フッ素系塗料の塗布は、歯布
3の一方の片面に接着ゴム層6を積層した後に行なう
か、あるいは歯布3の一方の片面に接着ゴム層6を積層
するのと同時に行なうようにするのが好ましい。フッ素
系塗料の塗布は、乾燥膜厚が10〜90μmの範囲にな
るように行なうのが好ましい。
塗料を塗布するにあたっては、ロールコーターを用いた
ロールコートや、スプレー塗装機を用いたスプレーによ
って行なうことができる。フッ素系塗料の塗布は、歯布
3の一方の片面に接着ゴム層6を積層した後に行なう
か、あるいは歯布3の一方の片面に接着ゴム層6を積層
するのと同時に行なうようにするのが好ましい。フッ素
系塗料の塗布は、乾燥膜厚が10〜90μmの範囲にな
るように行なうのが好ましい。
【0019】図2は歯布3の一方の片面に接着ゴム層6
を積層すると同時に歯布3の他方の片面にフッ素系塗料
7をロールコートするようにした装置の一例を示すもの
であり、フッ素系塗料7が供給される塗料バット16
と、フッ素系塗料7に下部を浸漬した状態で塗料バット
16に回転駆動自在に配設される塗布ロール17とでロ
ールコーター11が形成されるようにしてある。また塗
布ロール17の上にラミネートロール18が回転駆動自
在に配置してある。そして薄いゴムシート6aを歯布5
の上面に重ねて塗布ロール17とラミネートロール18
の間に通すことによって、塗布ロール17とラミネート
ロール18の間で加圧して歯布5の上面に薄いゴムシー
ト6aを貼り付けて接着ゴム層6を積層すると共に、歯
布5の下面にフッ素塗料7を塗布することができるもの
である。尚、歯布5にフッ素系塗料7をスプレーで塗布
する場合には、薄いゴムシート6aをラミネートロール
で歯布5の片面に貼り付けて接着ゴム層6を積層した後
に、歯布5の他方の片面にフッ素系塗料7をスプレー機
で塗布するようにすればよい。
を積層すると同時に歯布3の他方の片面にフッ素系塗料
7をロールコートするようにした装置の一例を示すもの
であり、フッ素系塗料7が供給される塗料バット16
と、フッ素系塗料7に下部を浸漬した状態で塗料バット
16に回転駆動自在に配設される塗布ロール17とでロ
ールコーター11が形成されるようにしてある。また塗
布ロール17の上にラミネートロール18が回転駆動自
在に配置してある。そして薄いゴムシート6aを歯布5
の上面に重ねて塗布ロール17とラミネートロール18
の間に通すことによって、塗布ロール17とラミネート
ロール18の間で加圧して歯布5の上面に薄いゴムシー
ト6aを貼り付けて接着ゴム層6を積層すると共に、歯
布5の下面にフッ素塗料7を塗布することができるもの
である。尚、歯布5にフッ素系塗料7をスプレーで塗布
する場合には、薄いゴムシート6aをラミネートロール
で歯布5の片面に貼り付けて接着ゴム層6を積層した後
に、歯布5の他方の片面にフッ素系塗料7をスプレー機
で塗布するようにすればよい。
【0020】上記のようにして片面に接着ゴム層6を積
層すると共に他方の片面にフッ素系塗料を塗布した歯布
5を用いて、歯付ベルトBを製造することができる。製
造にあたっては、外周に歯部成形用溝8を設けた円筒状
の成形用型9を用いる。歯部成形用溝8は成形用型9の
外周にその母線方向に形成されるものであり、周方向に
所定の一定間隔で多数本設けるようにしてある。そして
まず、歯布5をそのフッ素系塗料を塗布した側の面が内
側面となるように(すなわち成形用型9の側を向くよう
に)、成形用型9の外周に被せて巻き付ける。次に歯布
5の上から、成形用型9の外周に心線2をスパイラル状
に巻き付ける。心線2としては、例えばガラス繊維のフ
ィラメント原糸を収束したマルチフィラメントからなる
コードを用いることができる。
層すると共に他方の片面にフッ素系塗料を塗布した歯布
5を用いて、歯付ベルトBを製造することができる。製
造にあたっては、外周に歯部成形用溝8を設けた円筒状
の成形用型9を用いる。歯部成形用溝8は成形用型9の
外周にその母線方向に形成されるものであり、周方向に
所定の一定間隔で多数本設けるようにしてある。そして
まず、歯布5をそのフッ素系塗料を塗布した側の面が内
側面となるように(すなわち成形用型9の側を向くよう
に)、成形用型9の外周に被せて巻き付ける。次に歯布
5の上から、成形用型9の外周に心線2をスパイラル状
に巻き付ける。心線2としては、例えばガラス繊維のフ
ィラメント原糸を収束したマルチフィラメントからなる
コードを用いることができる。
【0021】この後、さらに図3(a)のように、心線
2の上から未加硫のゴムシート10を成形用型9の外周
に被せて巻き付ける。このゴムシート10はゴム組成物
をカレンダーロールなどで圧延することによって作製さ
れるものであり、ゴム組成物の原料ゴムとしては、水素
化ニトリルゴム(HNBR)を始めとして、クロロスル
ホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスル
ホン化ポリエチレン(ACSM)、クロロプレンゴム
(CR)などの耐熱老化性の改善されたゴムが好まし
い。尚、HNBRは水素添加率80%以上が好ましく、
さらに耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮させるために
は90%以上が好ましい。水素添加率80%未満のHN
BRは耐熱性や耐オゾン性が極度に低下する。また配合
剤としてカーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、可
塑剤、老化防止剤等を、加硫剤として硫黄あるいは有機
過酸化物を含有させることができる。各成分を混合する
方法に特に制限はないが、バンバリーミキサー、ニーダ
ー等を用いて混練することによって行なうことができ
る。
2の上から未加硫のゴムシート10を成形用型9の外周
に被せて巻き付ける。このゴムシート10はゴム組成物
をカレンダーロールなどで圧延することによって作製さ
れるものであり、ゴム組成物の原料ゴムとしては、水素
化ニトリルゴム(HNBR)を始めとして、クロロスル
ホン化ポリエチレン(CSM)、アルキル化クロロスル
ホン化ポリエチレン(ACSM)、クロロプレンゴム
(CR)などの耐熱老化性の改善されたゴムが好まし
い。尚、HNBRは水素添加率80%以上が好ましく、
さらに耐熱性及び耐オゾン性の特性を発揮させるために
は90%以上が好ましい。水素添加率80%未満のHN
BRは耐熱性や耐オゾン性が極度に低下する。また配合
剤としてカーボンブラック、亜鉛華、ステアリン酸、可
塑剤、老化防止剤等を、加硫剤として硫黄あるいは有機
過酸化物を含有させることができる。各成分を混合する
方法に特に制限はないが、バンバリーミキサー、ニーダ
ー等を用いて混練することによって行なうことができ
る。
【0022】上記のようにゴムシート10を巻き付けた
後に、成形用型9を加硫缶などにセットし、加熱・加圧
し、未加硫のゴムシート10及び接着ゴム層6の加硫を
行なう。このように加硫をする際に、ゴムシート10の
ゴムの一部が成形用型9の歯部成形用溝8に充填され、
図3(b)に示すように、ゴムシート10でベルト背部
1が成形されると共にゴムシート10のゴムの一部で歯
部3が成形されるものである。このとき、接着ゴム層6
のゴムはゴムシート10のゴムに一体化され、接着ゴム
層6のゴムを介してゴムシート10のゴムに歯布5は接
着されるものであり、そして上記のように成形される歯
部3の表面と歯部3間の歯溝4の表面に沿って、歯布5
が積層接着されて被覆されている。ここで、歯布5の表
面にはフッ素系塗料が塗布されているが、歯布5のゴム
シート10の側には接着ゴム層6が積層されているの
で、フッ素系塗料がゴムシート10へ浸透して作用する
ことを接着ゴム層6で防ぐことができ、ゴムシート10
のゴムで形成される歯部3や歯溝4の表面に対する歯布
5の接着性がフッ素系塗料で阻害されるようなことはな
いものである。
後に、成形用型9を加硫缶などにセットし、加熱・加圧
し、未加硫のゴムシート10及び接着ゴム層6の加硫を
行なう。このように加硫をする際に、ゴムシート10の
ゴムの一部が成形用型9の歯部成形用溝8に充填され、
図3(b)に示すように、ゴムシート10でベルト背部
1が成形されると共にゴムシート10のゴムの一部で歯
部3が成形されるものである。このとき、接着ゴム層6
のゴムはゴムシート10のゴムに一体化され、接着ゴム
層6のゴムを介してゴムシート10のゴムに歯布5は接
着されるものであり、そして上記のように成形される歯
部3の表面と歯部3間の歯溝4の表面に沿って、歯布5
が積層接着されて被覆されている。ここで、歯布5の表
面にはフッ素系塗料が塗布されているが、歯布5のゴム
シート10の側には接着ゴム層6が積層されているの
で、フッ素系塗料がゴムシート10へ浸透して作用する
ことを接着ゴム層6で防ぐことができ、ゴムシート10
のゴムで形成される歯部3や歯溝4の表面に対する歯布
5の接着性がフッ素系塗料で阻害されるようなことはな
いものである。
【0023】ここで、ゴムの標準の加硫条件は、例えば
クロロプレンゴムで153℃×20分、ウレタンゴムで
160℃×20分であり、製造ラインでの温度は170
℃以上に達する。従って、上記の加硫する際の加熱で、
フッ素系塗料の乾燥・硬化も同時に行なうことができる
ものであり、つまり、ゴムの加硫工程とフッ素系塗料の
乾燥・硬化工程を同時に行うことができ、フッ素系塗料
の硬化を十分に行いつつ工程を簡略化することができる
と共にエネルギー消費を低減することが可能になるもの
である。そしてこのようにゴムの加硫とフッ素系塗料の
乾燥・硬化を同時に行なうことができる結果、ゴムが予
め加硫されている場合のような、フッ素系塗料の乾燥・
硬化の際の加熱が無用にゴムに作用するということがな
くなり、ゴムが熱老化されることがなくなるものであ
る。特に、フッ素系塗料としてフッ素樹脂とフッ素ゴム
の混合物を用いることによって、フッ素系塗料の硬化温
度を200℃以下の比較的低温にすることができるの
で、ゴムの加硫とフッ素系塗料の硬化のための加熱の温
度を200℃以下に設定することができ、高温で加熱を
行なうことによるゴムの熱劣化を防止することができる
ものである。
クロロプレンゴムで153℃×20分、ウレタンゴムで
160℃×20分であり、製造ラインでの温度は170
℃以上に達する。従って、上記の加硫する際の加熱で、
フッ素系塗料の乾燥・硬化も同時に行なうことができる
ものであり、つまり、ゴムの加硫工程とフッ素系塗料の
乾燥・硬化工程を同時に行うことができ、フッ素系塗料
の硬化を十分に行いつつ工程を簡略化することができる
と共にエネルギー消費を低減することが可能になるもの
である。そしてこのようにゴムの加硫とフッ素系塗料の
乾燥・硬化を同時に行なうことができる結果、ゴムが予
め加硫されている場合のような、フッ素系塗料の乾燥・
硬化の際の加熱が無用にゴムに作用するということがな
くなり、ゴムが熱老化されることがなくなるものであ
る。特に、フッ素系塗料としてフッ素樹脂とフッ素ゴム
の混合物を用いることによって、フッ素系塗料の硬化温
度を200℃以下の比較的低温にすることができるの
で、ゴムの加硫とフッ素系塗料の硬化のための加熱の温
度を200℃以下に設定することができ、高温で加熱を
行なうことによるゴムの熱劣化を防止することができる
ものである。
【0024】上記のように加硫を行なうことによって、
成形用型9の外周にスリーブ状の成形物19を得ること
ができるものであり、このスリーブ状成形物19を成形
用型9から脱型したのち、スリーブ状成形物19を輪切
りに切断することによって、図1のような歯付ベルトB
を得ることができるものである。この歯付ベルトBにあ
って、歯付プーリと噛み合う歯部3や歯溝4の表面を被
覆する歯布5は、フッ素系塗料によって摩擦係数が小さ
くなっており、粘着音が発生したり、歯布5が摩耗した
り、歯欠けが生じたりすることを防ぐことができるもの
である。
成形用型9の外周にスリーブ状の成形物19を得ること
ができるものであり、このスリーブ状成形物19を成形
用型9から脱型したのち、スリーブ状成形物19を輪切
りに切断することによって、図1のような歯付ベルトB
を得ることができるものである。この歯付ベルトBにあ
って、歯付プーリと噛み合う歯部3や歯溝4の表面を被
覆する歯布5は、フッ素系塗料によって摩擦係数が小さ
くなっており、粘着音が発生したり、歯布5が摩耗した
り、歯欠けが生じたりすることを防ぐことができるもの
である。
【0025】
【実施例】次に、本発明を実施例によって具体的に説明
する。
する。
【0026】(実施例1)140dの6,6ナイロンを
1本撚りした糸と140dの6,6ナイロンを3本撚り
した糸を撚り合わせた糸と、110dの糸を1本撚りし
た糸をそれぞれ経糸として用い、110dの6,6ナイ
ロンとスパンデックスの混紡糸を1本撚りした糸を緯糸
として用い、経糸の打ち込み本数140本、緯糸の打ち
込み本数80本で2/2の綾織した帆布を歯布5として
使用した。
1本撚りした糸と140dの6,6ナイロンを3本撚り
した糸を撚り合わせた糸と、110dの糸を1本撚りし
た糸をそれぞれ経糸として用い、110dの6,6ナイ
ロンとスパンデックスの混紡糸を1本撚りした糸を緯糸
として用い、経糸の打ち込み本数140本、緯糸の打ち
込み本数80本で2/2の綾織した帆布を歯布5として
使用した。
【0027】そしてまずこの歯布5を表1の配合のゴム
糊にディップし、80℃で2分間乾燥することによっ
て、歯布5にゴム糊を含浸した。
糊にディップし、80℃で2分間乾燥することによっ
て、歯布5にゴム糊を含浸した。
【0028】
【表1】
【0029】次に、表2のゴム組成からなる厚み0.4
mmのゴムシート6aを用い、図2の装置で歯布5の一
方の片面にこのゴムシート6aを貼り合わせて接着ゴム
層6を積層すると共に、歯布5の他方の片面にフッ素系
塗料(ダイキン工業社製「ダイエルラテックスGLS−
213」)を乾燥塗膜が約20μmになるようにロール
コートで塗布した。
mmのゴムシート6aを用い、図2の装置で歯布5の一
方の片面にこのゴムシート6aを貼り合わせて接着ゴム
層6を積層すると共に、歯布5の他方の片面にフッ素系
塗料(ダイキン工業社製「ダイエルラテックスGLS−
213」)を乾燥塗膜が約20μmになるようにロール
コートで塗布した。
【0030】
【表2】
【0031】次に、図3(a)のように、歯部成形用溝
8を設けた成形用型9の外周に上記の歯布5を巻き、こ
の上からガラス繊維コードからなる心線2をスパイラル
状に巻き付け、さらにこの上から表3のゴム組成からな
る厚み2mmのゴムシート10を巻いた。
8を設けた成形用型9の外周に上記の歯布5を巻き、こ
の上からガラス繊維コードからなる心線2をスパイラル
状に巻き付け、さらにこの上から表3のゴム組成からな
る厚み2mmのゴムシート10を巻いた。
【0032】
【表3】
【0033】そして150℃、30分の条件で加硫を行
なうことによって、図3(b)のようにスリーブ状成形
物19を作製し、このスリーブ状成形物19を輪切り状
に切断することによって、図1のような歯付ベルトBを
得た。
なうことによって、図3(b)のようにスリーブ状成形
物19を作製し、このスリーブ状成形物19を輪切り状
に切断することによって、図1のような歯付ベルトBを
得た。
【0034】(実施例2)歯布5の一方の片面にゴムシ
ート6aを貼り合わせて接着ゴム層6を積層した後、歯
布5の他方の片面にフッ素系塗料(ダイキン工業社製
「ダイエルラテックスGLS−213」)を乾燥塗膜が
約20μmになるようにスプレーで塗布するようにし
た。その他は実施例1と同様にして歯付ベルトBを得
た。
ート6aを貼り合わせて接着ゴム層6を積層した後、歯
布5の他方の片面にフッ素系塗料(ダイキン工業社製
「ダイエルラテックスGLS−213」)を乾燥塗膜が
約20μmになるようにスプレーで塗布するようにし
た。その他は実施例1と同様にして歯付ベルトBを得
た。
【0035】(比較例1)歯布5として実施例1と同じ
ものを用い、実施例1と同様にしてゴム糊をディップ処
理した。そしてこの歯布5にフッ素系塗料を塗布せずに
使用して、実施例1と同様にして加硫成形を行ない、歯
付ベルトBを得た。
ものを用い、実施例1と同様にしてゴム糊をディップ処
理した。そしてこの歯布5にフッ素系塗料を塗布せずに
使用して、実施例1と同様にして加硫成形を行ない、歯
付ベルトBを得た。
【0036】(比較例2)比較例1で得た歯付ベルトB
の歯部3の表面にフッ素系塗料(ダイキン工業社製「ダ
イエルラテックスGLS−213」)を乾燥塗膜が約2
0μmになるようにスプレーで塗布し、150℃で30
分間加熱した。
の歯部3の表面にフッ素系塗料(ダイキン工業社製「ダ
イエルラテックスGLS−213」)を乾燥塗膜が約2
0μmになるようにスプレーで塗布し、150℃で30
分間加熱した。
【0037】上記の実施例1,2及び比較例1,2の歯
付ベルトBについて、歯布5と歯部3のゴムとの間の接
着性を評価するために、剥離試験を行なった。またこれ
らの歯付ベルトBを用い、ステンレス製圧子の荷重50
0g、移動速度40mm/secの条件で、歯部3の歯
布5の表面の摩擦係数を測定した。これらの結果を表4
に示す。
付ベルトBについて、歯布5と歯部3のゴムとの間の接
着性を評価するために、剥離試験を行なった。またこれ
らの歯付ベルトBを用い、ステンレス製圧子の荷重50
0g、移動速度40mm/secの条件で、歯部3の歯
布5の表面の摩擦係数を測定した。これらの結果を表4
に示す。
【0038】
【表4】
【0039】表4にみられるように、実施例1,2の歯
布5の接着力は比較例1,2と同等に高いものであり、
また実施例1,2の歯部3の歯布5の摩擦係数は比較例
2と同等に低いものであった。
布5の接着力は比較例1,2と同等に高いものであり、
また実施例1,2の歯部3の歯布5の摩擦係数は比較例
2と同等に低いものであった。
【0040】
【発明の効果】上記のように本発明の請求項1に係る歯
付ベルトの製造方法は、心線を埋設したベルト背部にベ
ルト長手方向に所定間隔で複数の歯部を設けると共に歯
部の表面及び歯部間の歯溝の表面に沿って歯布を被覆し
て形成される歯付ベルトを製造するにあたって、ゴム糊
を浸漬した歯布の一方の片面に接着ゴム層を積層すると
共に歯布の他方の片面にフッ素系塗料を塗布し、外周に
複数の歯部成形用溝を設けた成形用型の外周にこの歯布
をフッ素系塗料の塗布面を内面側にして巻き付け、歯布
の上から成形用型の外周に心線をスパイラル状に巻き付
けた後にさらにその上からゴムシートを被せて巻き付
け、この後、加熱して加硫を行うようにしたので、歯布
の表面側に塗布されたフッ素系塗料がゴムシートへ浸透
して作用することを接着ゴム層で防ぐことができ、ゴム
シートのゴムで形成される歯部や歯溝の表面に対する歯
布の接着性を低下させることなく、フッ素系塗料によっ
てプーリに対する接触面の摩擦係数を小さくすることが
できるものである。しかもゴムの加硫の加熱で同時にフ
ッ素系塗料の硬化も行なうことができ、フッ素系塗料を
硬化させるために別途加熱を行なう必要がなくなるもの
であって、ゴムの老化を進行させることがなくなると共
に、エネルギー効率や生産効率を向上させることができ
るものである。
付ベルトの製造方法は、心線を埋設したベルト背部にベ
ルト長手方向に所定間隔で複数の歯部を設けると共に歯
部の表面及び歯部間の歯溝の表面に沿って歯布を被覆し
て形成される歯付ベルトを製造するにあたって、ゴム糊
を浸漬した歯布の一方の片面に接着ゴム層を積層すると
共に歯布の他方の片面にフッ素系塗料を塗布し、外周に
複数の歯部成形用溝を設けた成形用型の外周にこの歯布
をフッ素系塗料の塗布面を内面側にして巻き付け、歯布
の上から成形用型の外周に心線をスパイラル状に巻き付
けた後にさらにその上からゴムシートを被せて巻き付
け、この後、加熱して加硫を行うようにしたので、歯布
の表面側に塗布されたフッ素系塗料がゴムシートへ浸透
して作用することを接着ゴム層で防ぐことができ、ゴム
シートのゴムで形成される歯部や歯溝の表面に対する歯
布の接着性を低下させることなく、フッ素系塗料によっ
てプーリに対する接触面の摩擦係数を小さくすることが
できるものである。しかもゴムの加硫の加熱で同時にフ
ッ素系塗料の硬化も行なうことができ、フッ素系塗料を
硬化させるために別途加熱を行なう必要がなくなるもの
であって、ゴムの老化を進行させることがなくなると共
に、エネルギー効率や生産効率を向上させることができ
るものである。
【0041】また請求項2の発明は、フッ素系塗料とし
て、硬化温度が200℃以下のものを用いるようにした
ので、加硫の温度を200℃以下に設定することが可能
になり、高温加熱の加硫によってゴムが劣化することを
未然に防ぐことができるものである。
て、硬化温度が200℃以下のものを用いるようにした
ので、加硫の温度を200℃以下に設定することが可能
になり、高温加熱の加硫によってゴムが劣化することを
未然に防ぐことができるものである。
【0042】また請求項3の発明は、フッ素系塗料とし
て、フッ素ゴムとフッ素樹脂との共重合体を主成分する
水系塗料を用いるようにしたので、フッ素系塗料の硬化
温度を低くすることができると共に、有機溶剤の使用を
不要にして環境問題を未然に防ぐことができるものであ
る。
て、フッ素ゴムとフッ素樹脂との共重合体を主成分する
水系塗料を用いるようにしたので、フッ素系塗料の硬化
温度を低くすることができると共に、有機溶剤の使用を
不要にして環境問題を未然に防ぐことができるものであ
る。
【0043】また請求項4の発明は、歯布にフッ素系塗
料をロールコートによって塗布するようにしたので、歯
布にフッ素系塗料を効率良く塗布することができるもの
である。
料をロールコートによって塗布するようにしたので、歯
布にフッ素系塗料を効率良く塗布することができるもの
である。
【0044】また請求項5の発明は、歯布にフッ素系塗
料をスプレーによって塗布するようにしたので、歯布に
フッ素系塗料を効率良く塗布することができるものであ
る。
料をスプレーによって塗布するようにしたので、歯布に
フッ素系塗料を効率良く塗布することができるものであ
る。
【図1】歯付ベルトの一例を示す一部の斜視図である。
【図2】歯付ベルトの製造の一工程の一例を示す正面図
である。
である。
【図3】歯付ベルトの製造の他の工程の一例を示すもの
であり、(a),(b)はそれぞれ正面断面図である。
であり、(a),(b)はそれぞれ正面断面図である。
1 ベルト背部 2 心線 3 歯部 4 歯溝 5 歯布 6 接着ゴム層 7 フッ素系塗料 8 歯部成形用溝 9 成形用型 10 ゴムシート 11 ロールコーター
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 野口 徹 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ星ベルト株式会社内 Fターム(参考) 4F213 AA16 AA45 AD16 AG17 WA41 WA52 WA58 WA83 WA87 WB01
Claims (6)
- 【請求項1】 心線を埋設したベルト背部にベルト長手
方向に所定間隔で複数の歯部を設けると共に歯部の表面
及び歯部間の歯溝の表面に沿って歯布を被覆して形成さ
れる歯付ベルトを製造するにあたって、ゴム糊を浸漬し
た歯布の一方の片面に接着ゴム層を積層すると共に歯布
の他方の片面にフッ素系塗料を塗布し、外周に複数の歯
部成形用溝を設けた成形用型の外周にこの歯布をフッ素
系塗料の塗布面を内面側にして巻き付け、歯布の上から
成形用型の外周に心線をスパイラル状に巻き付けた後に
さらにその上からゴムシートを被せて巻き付け、この
後、加熱して加硫を行うことを特徴とする歯付ベルトの
製造方法。 - 【請求項2】 フッ素系塗料として、硬化温度が200
℃以下のものを用いることを特徴とする請求項1に記載
の歯付ベルトの製造方法。 - 【請求項3】 フッ素系塗料として、フッ素ゴムとフッ
素樹脂との共重合体を主成分する水系塗料を用いること
を特徴とする請求項1又は2に記載の歯付ベルトの製造
方法。 - 【請求項4】 歯布にフッ素系塗料をロールコートによ
って塗布することを特徴とする請求項1乃至3のいずれ
かに記載の歯付ベルトの製造方法。 - 【請求項5】 歯布にフッ素系塗料をスプレーによって
塗布することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに
記載の歯付ベルトの製造方法。 - 【請求項6】 心線を埋設したベルト背部にベルト長手
方向に所定間隔で複数の歯部を設けると共に歯部の表面
及び歯部間の歯溝の表面に沿って歯布を被覆して形成さ
れた歯付ベルトであって、歯布として、ゴム糊が浸漬さ
れ、且つそのベルト背部側の片面に接着ゴム層が積層さ
れていると共に他方の片面にフッ素系塗料が塗布された
ものを用い、請求項1乃至5のいずれかの方法で製造さ
れて成ることを特徴とする歯付ベルト。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000299344A JP2002103467A (ja) | 2000-09-29 | 2000-09-29 | 歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000299344A JP2002103467A (ja) | 2000-09-29 | 2000-09-29 | 歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002103467A true JP2002103467A (ja) | 2002-04-09 |
Family
ID=18781163
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000299344A Withdrawn JP2002103467A (ja) | 2000-09-29 | 2000-09-29 | 歯付ベルト及び歯付ベルトの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002103467A (ja) |
Cited By (7)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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WO2010047121A1 (ja) * | 2008-10-23 | 2010-04-29 | バンドー化学株式会社 | 伝動ベルト |
KR100981795B1 (ko) | 2008-07-24 | 2010-09-13 | 이기형 | 풀리 표면 피복용 내마모 고무시트의 제조방법과 이를 풀리표면에 접착하는 방법 |
JP2010539408A (ja) * | 2007-09-12 | 2010-12-16 | ダイコ ヨーロッパ エス. アール. エル. | 歯布をコーティング処理した伝動ベルトおよびそのコーティング処理 |
WO2011054836A1 (de) * | 2009-11-05 | 2011-05-12 | Contitech Antriebssysteme Gmbh | Kraftübertragungsriemen, insbesondere zahnriemen und flachriemen, und verfahren zu dessen herstellung |
CN105800253A (zh) * | 2016-05-18 | 2016-07-27 | 艾艾精密工业输送系统(上海)股份有限公司 | 一种堆积型同步带 |
CN109505923A (zh) * | 2018-12-04 | 2019-03-22 | 盖茨优霓塔传动系统(苏州)有限公司 | V形传动带及其制造方法 |
-
2000
- 2000-09-29 JP JP2000299344A patent/JP2002103467A/ja not_active Withdrawn
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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Legal Events
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---|---|---|---|
A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
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