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JP2002162549A - 光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置並びにマイクロデバイスの製造方法 - Google Patents

光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置並びにマイクロデバイスの製造方法

Info

Publication number
JP2002162549A
JP2002162549A JP2001248321A JP2001248321A JP2002162549A JP 2002162549 A JP2002162549 A JP 2002162549A JP 2001248321 A JP2001248321 A JP 2001248321A JP 2001248321 A JP2001248321 A JP 2001248321A JP 2002162549 A JP2002162549 A JP 2002162549A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optical element
seat block
seat
optical
holding device
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001248321A
Other languages
English (en)
Other versions
JP4770090B2 (ja
Inventor
Yuichi Shibazaki
祐一 柴崎
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nikon Corp
Original Assignee
Nikon Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nikon Corp filed Critical Nikon Corp
Priority to JP2001248321A priority Critical patent/JP4770090B2/ja
Publication of JP2002162549A publication Critical patent/JP2002162549A/ja
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Publication of JP4770090B2 publication Critical patent/JP4770090B2/ja
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  • Mounting And Adjusting Of Optical Elements (AREA)
  • Lens Barrels (AREA)
  • Exposure And Positioning Against Photoresist Photosensitive Materials (AREA)
  • Exposure Of Semiconductors, Excluding Electron Or Ion Beam Exposure (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学素子における良好な結像性能を維持可能
な光学素子保持装置、鏡筒及び露光装置を提供する。 【解決手段】 光学素子保持装置39は、光学素子38
のフランジ部38aを保持する保持部43と、外部の装
置をなす鏡筒に連結される枠体42とを備える。保持部
43は、前記フランジ部38aに係合する座面49を有
する座面ブロック50aと、その座面ブロック50aを
光学素子38の光軸方向、接線方向及び径方向に移動可
能かつ、それら各方向を軸線として回転可能に支持する
座面ブロック支持機構51とから構成する。これによ
り、光学素子38を光学素子保持装置39によりキネマ
ティックに保持する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば半導体素
子、液晶表示素子、撮像素子、薄膜磁気ヘッド等のマイ
クロデバイス、あるいはレチクル、フォトマスク等のマ
スクなどの製造プロセスにおけるフォトリソグラフィ工
程で使用される露光装置において、投影光学系等の光学
素子を保持するための光学素子保持装置に関するもので
ある。また、その光学素子保持装置を備えた鏡筒、及び
その鏡筒を備えた露光装置に関するものである。さら
に、その露光装置を用いたマイクロデバイスの製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】この種の光学素子保持装置としては、例
えば図23及び図24に示すような構成のものが知られ
ている。すなわち、図23及び図24に示す従来構成に
おいては、レンズ等の光学素子201を収容するための
枠体202が円環状に形成されている。その枠体202
の内周面には、光学素子201を支持する3つの座面2
04が等角度間隔おきに形成されている。それらの座面
204と対応するように、枠体202の上面にはネジ孔
205が形成されている。また、枠体202の上面に
は、3つのクランプ部材206が各ネジ孔205に対す
るボルト207の螺合により等角度間隔おきに取り付け
られている。
【0003】そして、これらのボルト207の締め付け
により、光学素子201の外周フランジ部201aが各
クランプ部材206と座面204との間で挟み込まれ
る。これにより、光学素子201が枠体202内で所定
位置に保持されるようになっている。そして、光学素子
201の光軸と交差する方向への力が加わった場合で
も、光学素子201がこのクランプ状態で位置ずれを生
じることなく安定して保持されるように、各クランプ部
に所定のクランプ力が付与されるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、例えば半導
体素子製造用の露光装置においては、近年の半導体素子
の著しい高度集積化に伴ってパターンがますます微細化
しているため、投影光学系のさらなる高解像度化が要求
されている。これに伴って、その投影光学系等に使用さ
れる光学素子201を、如何に光学性能を保って保持す
るかが大きな問題となってきている。このように、各光
学素子201の光学性能を良好に保つためには、それら
光学素子201を露光装置の鏡筒内に支持する際に、そ
の光学素子201の光学面における面精度変化を極力小
さく抑える必要がある。
【0005】前記従来構成では、光学素子201が、枠
体202の所定位置に形成された3つの座面204上に
載置した状態でクランプ部材206によりクランプ保持
される。ここで、このクランプ保持に関わる部分、つま
り座面204、クランプ部材206及び光学素子201
の外周フランジ部201aの加工精度(座面204にお
いては各座面204の位置関係も含めて)は、クランプ
保持された光学素子201の光学素子の面形状に大きな
影響を与える。言い換えると、このような影響を無視で
きる程度に、各座面204を、それぞれの形状を一致さ
せるとともに、理想位置に近づけて配置させるために
は、極めて厳密な加工を行う必要がある。また、この座
面204のみならず、クランプ部材206、そして光学
素子201の外周フランジ部201aをも、極めて厳密
に加工する必要がある。従って、各部材の加工に非常に
手間がかかって、製造コストが大きく増大するという問
題があった。
【0006】また、前記各座面204、クランプ部材2
06及び光学素子201の外周フランジ部201aを極
めて厳密に加工したとしても、光学素子201をクラン
プ保持した枠体202を鏡筒内に装着する際に、その枠
体202にわずかな歪みを生じるおそれがある。このよ
うな歪みが生じると、前記各座面204の位置関係が微
妙に変化して、枠体202に組み付けられた光学素子2
01の光学面に歪みが発生し、その光学素子の201の
光学性能が低下するおそれがあるという問題があった。
【0007】本発明は、このような従来の技術に存在す
る問題点に着目してなされたものである。その目的とし
ては、光学素子における良好な結像性能を維持可能な光
学素子保持装置を提供することにある。
【0008】また、本発明のその他の目的としては、こ
のような光学素子保持装置を有する鏡筒、及びその鏡筒
を備えた露光装置を提供することにある。さらに、本発
明のその上の目的は、このような露光装置を用いて、マ
イクロデバイスを製造するマイクロデバイスの製造方法
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本願請求項1に記載の発明は、光学素子の周縁部を
保持する保持部を備える光学素子保持装置において、前
記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面が形
成された座面ブロックと、前記座面ブロックを前記光学
素子の接線方向周りに回転可能に支持する座面ブロック
支持機構とを備えたことを特徴とするものである。
【0010】この本願請求項1に記載の発明では、係合
する光学素子の周縁部の形状に合わせて、座面の姿勢を
変化させることが可能となる。また、本願請求項2に記
載の発明は、前記請求項1に記載の発明において、前記
座面ブロック支持機構は、前記光学素子の径方向周りに
前記座面ブロックを回転可能に支持することを特徴とす
るものである。
【0011】この本願請求項2に記載の発明では、前記
請求項1に記載の発明の作用に加えて、座面の姿勢を係
合する光学素子の周縁部の形状に合わせてさらに細かく
変化させることが可能となる。
【0012】また、本願請求項3に記載の発明は、前記
請求項1または請求項2に記載の発明において、前記座
面ブロック支持機構は、前記光学素子の径方向に前記座
面ブロックを移動可能に支持することを特徴とするもの
である。
【0013】また、本願請求項4に記載の発明は、光学
素子の周縁部を保持する保持部と、前記保持部が固定さ
れる固定部とを備える光学素子保持装置において、前記
保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面が形成
された座面ブロックと、前記固定部に固定される基台部
と、前記基台部に対し前記座面ブロックを互いに異なる
方向に沿って拘束し、かつ前記互いに異なる方向のそれ
ぞれの周りに回転可能に前記基台部及び前記座面ブロッ
クを連結する一対のリンク機構とを備えたことを特徴と
するものである。
【0014】この本願請求項4に記載の発明では、一対
のリンク機構の各リンクにおいて、基台部に対する回転
が許容される。ここで、各リンクは、相互に回転可能に
連結されているため、その連結点における複数の方向の
変位、あるいはそれら方向周りの回転が許容される。こ
れにより、座面ブロックに複数の方向への移動あるいは
それらの方向周りにおける回転の自由度が確保される。
【0015】また、本願請求項5に記載の発明は、前記
請求項4に記載の発明において、前記一対のリンク機構
は、前記基台部に対し前記座面ブロックを前記光学素子
の接線方向に沿って拘束し、かつ接線方向のまわりに回
転可能に前記基台部及び前記座面ブロックを連結する接
線方向拘束リンクと、前記基台部に対し前記座面ブロッ
クを前記光学素子の光軸方向に沿って拘束しつつ光軸方
向のまわりに回転可能に前記基台部及び前記座面ブロッ
クを連結する光軸方向拘束リンクとからなることを特徴
とするものである。
【0016】また、本願請求項6に記載の発明は、前記
請求項4または請求項5に記載の発明において、前記基
台部と前記座面ブロックと前記リンク機構とを回転ピボ
ットで連結したことを特徴とするものである。
【0017】この本願請求項6に記載の発明では、前記
請求項4または請求項5に記載の発明の作用に加えて、
回転ピボットを採用することで、基台部と座面ブロック
とリンク機構とを一体の部材で形成することが可能とな
る。
【0018】また、本願請求項7に記載の発明は、前記
請求項6に記載の発明において、前記回転ピボットを、
前記座面に垂直な垂線に平行でその座面の中間位置を通
る線上またはその近傍に配置したことを特徴とするもの
である。
【0019】また、本願請求項8に記載の発明は、前記
請求項6または請求項7に記載の発明において、前記座
面ブロックは、その座面が前記リンク機構、前記回転ピ
ボット及び前記基台部と一体物で形成されたことを特徴
とするものである。
【0020】また、本願請求項9に記載の発明は、前記
請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明に
おいて、前記座面ブロックを、前記光学素子の接線方向
に所定の長さをもって延びるように形成し、その光学素
子との対向面上に所定の間隔をおいて複数の座面を形成
したことを特徴とするものである。
【0021】また、本願請求項10に記載の発明は、前
記請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明
において、前記座面ブロックを、前記光学素子の接線方
向に所定の長さをもって延びるように形成し、その光学
素子との対向面の長手方向のほぼ全面にわたって座面を
形成したことを特徴とするものである。
【0022】この本願請求項10に記載の発明では、前
記請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載の発明
の作用に加えて、例えば蛍石等のような所定以下の破壊
強度を有する脆い硝材からなる光学素子を保持する際
に、その保持による応力が一部に集中することなく分散
される。
【0023】また、本願請求項11に記載の発明は、前
記請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記載の発
明において、前記座面上には、前記光学素子に対する摩
擦係数を高める摩擦係数向上機構を設けたことを特徴と
するものである。
【0024】また、本願請求項12に記載の発明は、内
部に複数の光学素子を保持する鏡筒において、前記光学
素子の少なくとも1つを、請求項1〜請求項11のうち
いずれか一項に記載の光学素子保持装置を介して保持し
たことを特徴とするものである。
【0025】また、本願請求項13に記載の発明は、1
つ以上の光学素子を収容する少なくとも1つの鏡筒モジ
ュールを有する鏡筒において、前記少なくとも1つの鏡
筒モジュールは、前記光学素子の少なくとも1つ保持す
る請求項1〜請求項11のうちいずれか一項に記載の光
学素子保持装置を備えたことを特徴とするものである。
【0026】これら本願請求項12または請求項13に
記載の発明では、光学素子をその結像性能の低下のおそ
れを低減しつつ安定に保持することができる。また、本
願請求項14に記載の発明は、マスク上に形成されたパ
ターンの像を投影光学系を介して基板上に転写する露光
装置において、前記投影光学系は、前記請求項12また
は請求項13に記載の鏡筒を有することを特徴とするも
のである。
【0027】この本願請求項14に記載の発明では、鏡
筒内に光学素子をその結像性能の低下のおそれを低減し
つつ安定に保持することができて、露光精度の向上を図
ることができる。
【0028】また、本願請求項15に記載の発明は、請
求項14に記載の露光装置を用いてマイクロデバイスを
製造することを特徴とするものである。この本願請求項
15に記載の発明では、露光精度を向上することができ
て、高集積度のデバイスを歩留まりよく生産することが
できる。
【0029】次に、前記各請求項の発明の下で有用性の
認められる技術的思想について、それらの作用とともに
以下に記載する。 (1) 前記基台部は直角状に屈曲された屈曲剛体から
なり、その屈曲剛体の両直線状剛体部に前記接線方向拘
束リンクと前記光軸方向拘束リンクとをそれぞれ連結し
たことを特徴とする前記請求項5に記載の光学素子保持
装置。
【0030】従って、この(1)のようにすれば、一層
簡単な構成で前記請求項5の作用・効果を実現すること
ができる。 (2) 前記回転ピボットは、その両側に連結される部
分に対して断面積の小さな首部からなることを特徴とす
る請求項6または前記(1)に記載の光学素子保持装
置。
【0031】従って、この(2)のようにすれば、基台
部と座面ブロックとリンク機構とを、簡単な構成で、し
かも一体の部材でもって互いに回転可能に形成すること
が可能となる。
【0032】(3) 前記保持部は、前記座面ブロック
と前記光学素子を介して反対側に配置され、前記座面と
ともに前記光学素子の周縁部を挟持する押さえ面を有す
る押さえ面ブロックを備え、前記回転ピボットを前記押
さえ面における前記光学素子に対する押圧力の作用線の
ほぼ延長線上に配置したことを特徴とする請求項6また
は請求項7に記載の光学素子保持装置。
【0033】従って、この(3)のようにすれば、押さ
え面から光学素子の周縁部に作用する押圧力の方向が、
座面ブロックの基端の回転ピボットを指向するように構
成することができる。このため、その回転ピボットにお
いて、前記押圧力に基づくモーメントが生じるのを抑制
することができて、光学素子を安定して保持することが
できる。
【0034】
【発明の実施の形態】(第1実施形態)以下に、本発明
の露光装置及び光学素子保持装置を、半導体素子製造用
の露光装置とその内部のレンズ等の光学素子を保持する
光学素子保持装置とに具体化した第1実施形態について
図1〜図17に基づいて説明する。
【0035】図1に示すように、この実施形態の露光装
置31は、光源32と、照明光学系33と、マスクとし
てのレチクルRtを保持するレチクルステージ34と、
投影光学系35と、基板としてのウエハWを保持するウ
エハステージ36とから構成されている。
【0036】前記光源32は、例えば波長193nmの
ArFエキシマレーザを発振する。照明光学系33は、
図示しないフライアイレンズやロッドレンズ等のオプテ
ィカルインテグレータ、リレーレンズ、コンデンサレン
ズ等の各種レンズ系及び開口絞り等を含んで構成されて
いる。そして、光源32から出射される露光光ELが、
この照明光学系33を通過することにより、レチクルR
t上のパターンを均一に照明するように調整される。
【0037】前記レチクルステージ34は、照明光学系
33の射出側、すなわち、後述する投影光学系35の物
体面側(露光光ELの入射側)において、そのレチクル
Rtの載置面が投影光学系35の光軸方向とほぼ直交す
るように配置されている。投影光学系35は、複数の鏡
筒モジュール37aからなる鏡筒37内に複数のレンズ
等の光学素子38を、光学素子保持装置39を介してほ
ぼ水平(いわゆる横置きタイプ)に収容保持するように
構成されている。ウエハステージ36は、投影光学系3
5の像面側(露光光ELの射出側)において、ウエハW
の載置面が投影光学系35の光軸方向と交差するように
配置されている。そして、前記露光光ELにて照明され
たレチクルRt上のパターンの像が、投影光学系35を
通して所定の縮小倍率に縮小された状態で、ウエハステ
ージ36上のウエハWに投影転写されるようになってい
る。
【0038】次に、第1実施形態の前記光学素子保持装
置39の詳細構成について、説明する。図2は、第1実
施形態の光学素子保持装置を示す一部破断分解斜視図で
あり、図3は、図2の光学素子保持装置を下方から見た
図であり、図4は、図2の保持部を拡大した図である。
前記光学素子38は合成石英等の所定以上の破壊強度を
有する硝材からなり、その周縁部にはフランジ部38a
が形成されている。光学素子保持装置39は、固定部と
しての鏡筒モジュール37aの役割を有する枠体42
と、その枠体42上に等角度間隔をおいて配設され、光
学素子38のフランジ部38aを保持する3つの保持部
43とから構成されている。保持部43は、大きく分け
て基台部材45と、クランプ部材46とを備える。そし
て、枠体42は、円環状をなすアルミニウム等の金属材
料からなり、その一方の表面にはクランプ部材46が取
り付けられる取付溝44が等角度間隔おきに形成されて
いる。さらに、枠体42の内周面には、後述する基台部
材45の座面ブロック50aを収容するための収容凹部
60が取付溝44と対応する位置に形成されている。こ
の収容凹部60によって、枠体42の大口径化を防止し
ている。
【0039】このように、枠体42の一方の表面に取付
溝44を形成することにより、クランプ部材46が一対
のボルト68で枠体42に取り付けられた際に、一対の
ボルト68の頭が枠体42の一方の表面から突出しな
い。従って、一方の面を、他の枠体42に対して重ねた
際に、他の枠体42に対するボルト68の干渉を防ぐこ
とができる。なお、1つの枠体42の表面と、他の枠体
42の裏面との間には、各枠体42が保持する光学素子
38の光軸方向における位置を決定するために、枠体4
2間の間隔を調整するスペーサが配置される。従って、
枠体42表面から光学素子38が若干突出したとして
も、スペーサの厚さ以内であれば、光学素子38は他の
枠体42の裏面と接触しない。そして、基台部材45
は、枠体42に形成された取付溝44とは反対側の表
面、すなわち枠体42の他方の面に対して、一対のボル
ト48により固定されている。
【0040】次に、保持部43の具体的構成を説明す
る。まず、保持部43が備える基台部材45について、
図5、図6、図7に基づいて説明する。図5は、先の図
4の基台部材45を拡大して示す斜視図、図6は、図4
の基台部材45の正面図、図7は図6の7−7線断面図
である。基台部材45には、上述したように、一対のボ
ルト48が挿入する貫通孔52が形成されている。この
基台部材45には、前記光学素子38のフランジ部38
aの一方のフランジ面に係合する座面49を有する座面
ブロック50aと、その座面ブロック50aの姿勢を調
整可能に支持する座面ブロック支持機構51が形成され
る支持ブロック50bとを備えている。
【0041】前記座面ブロック50aは、その長手方向
が前記光学素子38の接線方向に沿って配置され、前記
座面49はその座面ブロック50aの長手方向の両端部
に形成されている。すなわち、座面49は、座面ブロッ
ク50aの表面から突出するように形成されている。こ
の座面49は、所定の面積を有する平面状をなすととも
に、その周縁が所定の曲率をもった曲面状に形成されて
いる。これは、その座面49が、光学素子38のフラン
ジ部38aに対する角当たりによる損傷を回避するため
である。また、この座面49の表面には摩擦係数向上機
構としての金の層がメッキ、蒸着等により設けられてお
り、その座面49の表面の光学素子38のフランジ部3
8aに対する摩擦係数が高められている。
【0042】なお、座面49と、光学素子38のフラン
ジ部38aとの摩擦係数を高めるために、フランジ部3
8aの表面には、光学素子38の表面に形成される膜、
例えば、反射防止膜と同様の金属膜を形成する。例え
ば、フランジ部38aに対し、金属膜として、MgF2
(フッ化マグネシウム)、AlF3(フッ化アルミニウ
ム)、ZrO2(ジルコニア)、Al23(アルミナ)
等を用いて、単層もしくは複数の層(2層、4層もしく
はそれ以上の層)を真空蒸着法等で形成すればよい。ま
た、座面49とフランジ部38aとの摩擦係数を向上す
るために、フランジ部38aの表面積を、座面ブロック
50aの長手方向に沿って増加させてもよい。
【0043】座面ブロック50aと支持ブロック50b
との間、及び支持ブロック50bには、光学素子38の
径方向(図4のX軸方向)に貫通する複数のスリット5
3が形成されている。この複数のスリット53を形成す
る際、全部のスリット53が互いに連続しないように、
スリット53の間に加工を施さない部分を残す。そし
て、この加工を施さない部分に対して、彫り込み部54
が、X方向の+方向から彫り込む加工と、X方向の−方
向からの彫り込む加工とにより形成されている。このX
方向の+方向からの加工と−方向からの加工とによっ
て、座面ブロック50aと支持ブロック50bとの間、
及び支持ブロック50bには、複数の首部55a〜55
d(屈曲部)が形成される。ここで、−X方向の彫り込
み部54では、首部55a〜55dまでの加工距離が長
いため、一旦、大きな穴が加工される。
【0044】この首部55a〜55dに予測不能な歪み
が残存するのを回避するために、各掘り込み部54の深
さ方向における首部55a〜55dの近傍は、その首部
55a〜55dの両側が同じ加工方法により切削加工が
施されている。この加工方法としては、例えば型彫放電
加工、機械的切削加工等が有効である。
【0045】ここで、支持ブロック50bは、前記複数
のスリット53により、図5に示すように、大きく3つ
の部分に分割されている。すなわち、支持ブロック50
bは、前記枠体42に固着される基台部56と、第1ブ
ロック57a、第2ブロック58aとに分割されてい
る。さらに、基台部56と第1ブロック57aと連結す
る第1首部55aと、基台部56と第2ブロック58a
とを連結する第2首部55bと、第1ブロック57aと
第2ブロック58aとを連結する第3首部55cと、第
2ブロック58aと座面ブロック50aとを連結する第
4首部55dとが形成される。これらの複数の首部55
a〜55dは、断面正方形をなし、第1ブロック57
a、第2ブロック58a、基台部56、座面ブロック5
0aの断面積に比べて著しく小さな正方形の断面積を有
する。
【0046】そして、第1ブロック57aは、第1首部
55a及び第3首部55cによって、第2ブロック58
aと基台部56とに固定される。第1ブロック57a
は、第1首部55a及び第3首部55cにより、Y方向
(光学素子の接線方向)周りに回転可能に保持される
が、Y方向への変位は拘束される。従って、第1ブロッ
ク57a、第1首部55a及び第3首部55cにより、
光学素子の接線方向への変位を拘束する接線方向拘束リ
ンク57が形成される。
【0047】また、第2ブロック58aは、第2首部5
5b及び第4首部55dによって、座面ブロック50a
と基台部56とに固定される。第2ブロック58aは、
第2首部55b及び第4首部55dにより、Z方向(光
学素子の光軸と平行な方向)周りに回転可能に保持され
るが、Z方向への変位は拘束される。従って、第2ブロ
ック58a、第2首部55b及び第4首部55dによ
り、光学素子38の光軸と平行な方向への変位を拘束す
る光軸方向拘束リンク58が形成される。
【0048】この接線方向拘束リンク57の拘束方向
と、光軸方向拘束リンク58の拘束方向とは、互いにほ
ぼ直交する。言い換えれば、接線方向拘束リンク57の
回転軸と、光軸方向拘束リンク58の回転軸とが、互い
にほぼ直交する。
【0049】そして、座面ブロック50aは、第4首部
55dによって、支持ブロック50bに連結されてい
る。すなわち、座面ブロック50aは、基台部56に対
して、接線方向拘束リンク57と光軸方向拘束リンク5
8とを備える一対のリンク機構により支持される。
【0050】また、図6に示すように、これらの首部5
5a〜55dのうち、第2及び第4首部55b,55d
は、前記座面ブロック50aの両座面49の中間位置を
通る線上に配置されている。その線は、前記一対の座面
49を結ぶ線と直交するとともに前記Z軸に平行であ
る。一方、第1及び第3首部55a,55cは、一対の
座面49を結ぶ線と平行な線上に配置されている。さら
に、第3首部55cは、第4首部55dの近傍に配置さ
れている。
【0051】このように構成された基台部材45におい
て、座面ブロック50aは、接線方向拘束リンク57及
び光軸方向拘束リンク58により、基台部56に対し
て、X方向、Y方向、Z方向周りに回転可能に、かつY
方向、Z方向への変位が抑制されるように支持されてい
る。さらに、座面ブロック50aは、第4首部55dに
より、X方向に変位可能に支持されている。すなわち、
座面ブロック支持機構51は、接線方向拘束リンク57
と、光軸方向拘束リンク58と、X方向に変位可能な第
4首部55dとを含む構成である。
【0052】なお、前記基台部材45には、その座面ブ
ロック50aに、座面49に対してZ方向(すなわち、
光学素子38のフランジ部38aの厚さ方向)に延びて
形成される座面側取付部59を備える。言い換えると、
座面側取付部59は、前記座面49より高い位置に設け
られている。
【0053】図4に示すように、前記クランプ部材46
は、前記座面ブロック50aの上方に対応して配置さ
れ、クランプ本体62とパッド部材47とからなってい
る。このクランプ部材46のうち、クランプ本体62を
図8、図9、図10を参照して説明する。図8はクラン
プ本体62の拡大斜視図であり、図9はそのクランプ本
体62を下方から見た拡大斜視図であり、図10は図8
の図10−10線断面図である。
【0054】クランプ本体62は、押さえ面ブロック6
3と、その押さえ面ブロック63と一体に形成され、押
さえ面ブロック63を支持するための押さえ面ブロック
支持機構64とが装備されている。押さえ面ブロック6
3の下面の両端には、前記座面ブロック50aの座面4
9に対向するように押さえ面65が形成されている。こ
の押さえ面65は、光学素子38の接線方向にほぼ沿っ
た稜線65aを有する断面三角形状に形成されている。
この両押さえ面65の稜線65aは、その2つの稜線6
5aを結ぶ直線の中点が、前記座面ブロック50aと光
軸方向拘束リンク58とを連結する第4首部55dの上
方に位置するように形成されている。
【0055】前記押さえ面ブロック支持機構64は、腕
部66と押さえ面側取付部67とからなっており、その
押さえ面側取付部67と前記押さえ面ブロック63とは
所定の間隔をおいて離間されている。そして、この押さ
え面側取付部67と前記座面側取付部59とを前記パッ
ド部材47を介して接合させた状態でボルト68により
締結することにより、クランプ部材46が前記座面ブロ
ック50aに対して固定されるようになっている。ま
た、前記腕部66は、前記押さえ面ブロック63と押さ
え面側取付部67との両端を接続するように一対設けら
れている。各腕部66は、平面コ字状になし、押さえ面
側取付部67と前記座面側取付部59とを前記パッド部
材47を介して接合させた状態で弾性変形可能なだけの
長さをもって形成されている。さらに、この腕部66
は、枠体42に装着した状態で、その枠体42の取付溝
44内にその内周面とは離間した状態で収容されるよう
になっている。
【0056】図4に示すパッド部材47の構成を、図1
1及び図12に基づいて説明する。図11は、そのパッ
ド部材47を拡大して示す底面図であり、図12は、図
11の12−12線断面図である。前記パッド部材47
は、前記両取付部59,67の間に挟持される挟持部7
1と、前記押さえ面65と光学素子38のフランジ部3
8aとの間に介装される作用部72と、それら挟持部7
1と作用部72とを連結するとともに弾性変形可能な薄
板状の薄板部73とからなっている。前記作用部72の
下面には、光学素子38にフランジ部38aに係合する
作用面74が、前記座面49に対応するように平面状に
形成されている。この作用面74の周縁は、そのフラン
ジ部38aに対する角当たりによる損傷を回避するた
め、所定の曲率をもった曲面状に形成されている。ま
た、この作用面74の表面には、前記座面49と同様に
金の層がメッキ、蒸着等により設けられており、その作
用面74の表面における光学素子38のフランジ部38
aに対する摩擦係数が高められている。
【0057】そして、このように構成されたクランプ部
材46は、図13及び図14に示すように、前記ボルト
68を締め込むことにより、前記腕部66が弾性変形さ
れて、押さえ面ブロック63の押さえ面65に座面ブロ
ック50a側への押圧力を付与する。この押圧力は、パ
ッド部材47の作用面74を介して、光学素子38のフ
ランジ部38aに作用する。これにより、光学素子38
のフランジ部38aが、座面ブロック50aの座面49
と、押さえ面ブロック63の押さえ面65との間に挟持
される。
【0058】図2〜図4に示すように、隣り合う保持部
43間において、枠体42には複数の重量支持機構77
が配設されている。重量支持機構77の具体的構成を図
16に示す。この重量支持機構77の数は、光学素子3
8の重量、厚さ、直径、形状、材質及び保持部43の数
の少なくとも1つに応じて設定されている。ちなみに、
この実施形態では、隣り合う保持部43間に、それぞれ
3つの重量支持機構77が配設されている。
【0059】前記各重量支持機構77は板バネ78から
構成され、その板バネ78には、光学素子38のフラン
ジ部38aの下面に当接する当接部78aと、一対のボ
ルト79により枠体42に取り付け支持される一対の支
持部78bと、その当接部78a及び支持部78b間を
接続する一対の屈曲部78cとが設けられている。そし
て、この板バネ78の弾性作用により、光学素子38の
重量の一部が支持されるようになっている。
【0060】次に、前記のように構成された光学素子保
持装置39を用いて、光学素子38を保持する場合の手
順について説明する。図2及び図13〜図15に示すよ
うに、枠体42に対し3つの取付溝44に対応するよう
にその下方側から基台部材45を一対のボルト48によ
り取り付けると、座面ブロック50aが各収容凹部60
の内周面内にその内周面から離間した状態で配置され
る。次いで、座面ブロック50aが基台部に対して不用
意に変形することを防止するために、座面ブロック50
aの両側面の一部を、一対の平板状をなすサンドイッチ
部材で挟み込んだ状態で、この基台部材45に仮固定す
る。この仮固定は、座面ブロック支持機構の各首部55
a〜55dに不用意に荷重がかかるのを防止するために
行われる。
【0061】次に、枠体42内に光学素子38を挿入し
て、その光学素子38の周縁のフランジ部38aを各座
面ブロック50a上の座面49に載置する。そして、前
記サンドイッチ部材を、座面ブロック50aの両側面か
ら取り外す。すると、座面ブロック50aが、座面ブロ
ック支持機構51の作用により、光学素子38のフラン
ジ部38aの下面に沿って、その光学素子38の接線方
向(Y方向)及び径方向(X方向)を軸線として回転さ
れる。これにより、座面ブロック50aの姿勢が光学素
子38のフランジ部38aの下面の状態、つまり傾き、
うねり等に応じて調整され、光学素子38とフランジ部
38aとの接触面積が最大限に確保される。
【0062】その後、光学素子38のフランジ部38a
の上面と座面ブロック50aの座面側取付部59の上面
とにわたって、パッド部材47を配置するとともにクラ
ンプ本体62を接合させると、各パッド部材47の作用
面74が光学素子38のフランジ部38aの上面に係合
される。この状態で、各パッド部材47及びクランプ本
体62を、一対のボルト68にて締め付け固定する。こ
れに伴って、押さえ面ブロック63の押さえ面65がパ
ッド部材47の上端面に当接するとともに、腕部66が
弾性変形され、パッド部材47の作用面74が光学素子
38を押圧付勢する。
【0063】これにより、光学素子38のフランジ部3
8aが、座面ブロック50aの座面49と押さえ面ブロ
ック63の押さえ面65との間で、光学素子38のフラ
ンジ部38aとそれに対向する座面49及び作用面74
との接触面積を最大限に確保した状態でクランプ保持さ
れる。従って、光学素子38を、安定に保持することが
できる。
【0064】このように、光学素子38が光学素子保持
装置39の枠体42に保持された状態で、図1に示すよ
うに積層される。この構成において、光学素子38と枠
体42とは、それぞれ異なる材質で形成されており、光
学素子38と枠体42との間では線膨張係数に差を生じ
ることがある。このため、光源32からの露光光ELの
照射により光学素子38等が発熱したような場合には、
光学素子38と枠体42との間で光学素子38の径方向
へ伸縮長さの違いが生じることがある。
【0065】このような伸縮長さの違いが生じた場合に
は、各座面ブロック支持機構51の各拘束リンク57,
58及び各首部55a〜55dの協働作用により、光学
素子38を挟持する座面ブロック50aと押さえ面ブロ
ック63とが、枠体42に対し光学素子38の径方向へ
相対移動される。これにより、前記伸縮長さの違いが吸
収され、光学素子38に大きな伸縮荷重が直接加わるお
それはない。
【0066】また、枠体42を積層する際に、その枠体
42にわずかな歪みを生じるおそれがある。このように
枠体42に歪みが生じたとしても、各座面ブロック支持
機構51の各拘束リンク57,58及び各首部55a〜
55dの協働作用により、光学素子38が枠体42に対
してキネマティックに保持されるため、その歪みの影響
が光学素子38に及ぶのが抑制される。
【0067】次に、この光学素子保持装置39におい
て、光学素子38がキネマティックに保持するための機
構について説明する。本実施形態における光学素子38
の保持部43を模式的に示すと、図17に示すようにな
る。図17は、3つの保持部43のうち、1つの保持部
43を模式的に描いたものである。図17において、光
学素子38の周縁にある矩形は座面ブロック50a及び
押さえ面ブロック63を、L字形は基台部材45の基台
部56を示している。また、同図において、両者をつな
ぐ2本の直線は、接線方向拘束リンク57及び光軸方向
拘束リンク58を、その直線上の点は各首部55a〜5
5dを示している。
【0068】基台部56は、2つの直線状剛体56a,
56bが直角状に一体化された屈曲剛体をなし、一方の
直線状剛体部56aには接線方向拘束リンク57の基端
が第1首部55aを介して連結されている。他方の直線
状剛体部56bは、光軸方向拘束リンク58の基端が第
2首部55bを介して連結されている。接線方向拘束リ
ンク57の他端は、光軸方向拘束リンク58に第3首部
55cを介して連結されている。そして、光軸方向拘束
リンク58の他端は、座面ブロック50aに第4首部5
5dを介して連結されている。
【0069】ここで、各拘束リンク57,58は、前記
基台部56の各直線状剛体部56a,56bと同様に、
その長手方向には剛体として作用し同方向に沿った伸縮
は生じない。この一方で、各直線状剛体部56a,56
b及び各拘束リンク57,58は、回転ピボットをなす
各首部55a〜55dにより連結されている。この各首
部55a〜55dは、その両側に接続される剛体に比べ
て非常に小さな断面積を有するものであり、その首部5
5a〜55dが塑性変形しない微小な範囲内において、
両側の剛体の相対変位に基づいて容易に全ての方向に曲
げあるいはねじれ変形させることができる。このよう
に、座面ブロック支持機構51には、基台部56を固定
リンクとして、各拘束リンク57,58が協働して作動
するリンク機構80が構成されている。
【0070】ここで、光学素子38の中心を原点とし、
その光学素子38の径方向をR軸、周方向をθ軸、光軸
をZ軸とする極座標系R−θ−Zを考える。このリンク
機構80によれば、光学素子38とリンク機構80との
連結点をなす第4首部55dは、所定の範囲において、
R方向にのみ変位可能となる。すなわち、光学素子38
に対して固定された3つの点(第4首部55d)のそれ
ぞれにおいて光学素子38の自由度がそれぞれ2つずつ
拘束され、光学素子38の姿勢(6自由度)は機構学に
基づいて拘束される。すなわち、光学素子38は、キネ
マティックに保持される。
【0071】次に、このリンク機構80により、光学素
子38に生じた熱変形の吸収作用について、説明する。
すなわち、光学素子38に熱変形が生じたとすると、そ
の光学素子38は径方向に膨張または収縮する。このよ
うな膨張または収縮が生じたときには、前記第4首部5
5dを光学素子38の径方向に変位させる方向に力が働
く。この力に対して、各拘束リンク57,58はその枠
体42との連結点をなす第1首部55a及び第2首部5
5bを結ぶ線を軸線として回転され、その回転運動によ
り光学素子38の熱変形に伴う光学素子38の周縁の変
位が吸収される。これにより、光学素子38にひずみが
生じるのが抑制される。
【0072】従って、本実施形態によれば、以下のよう
な効果を得ることができる。 (イ) この光学素子保持装置39では、光学素子38
を保持する保持部43の座面ブロック50aに、光学素
子38のフランジ部38aに係合する座面49が形成さ
れている。そして、その座面ブロック50aを、光学素
子38の接線方向周り、その光軸方向周り及びその径方
向周りに回転可能に支持する座面ブロック支持機構51
が設けられている。
【0073】このため、係合する光学素子38のフラン
ジ部38aの形状に合わせて、座面49の姿勢を変化さ
せることができ、その光学素子38に座面49との係合
により予期しない応力が発生するのが抑制される。これ
により、光学素子38を、その光学面の精度を良好に保
ちつつ安定に保持することができる。従って、光学素子
38を安定に保持できるとともに、保持部43に極めて
厳密な加工を施すことなく、光学素子38における良好
な結像性能を維持することができる。
【0074】(ロ) この光学素子保持装置39では、
座面ブロック支持機構51が座面ブロック50aを光学
素子38の径方向に移動可能に支持するようになってい
る。このため、光学素子38の熱変形が吸収され、その
光学面を良好に保つことができて、光学素子38の熱変
形時における結像性能の変化を低減することができる。
【0075】(ハ) この光学素子保持装置39では、
光学素子38のフランジ部38aを保持する保持部43
に、そのフランジ部38aに係合する座面49が形成さ
れた座面ブロック50aが形成されている。そして、同
保持部43には、枠体42に固定される基台部56と座
面ブロック50aとを、光学素子38の接線方向に沿っ
て拘束するとともにその接線方向周りに回転可能に連結
する接線方向拘束リンク57が設けられている。さら
に、基台部56と座面ブロック50aとを、光学素子3
8の光軸方向に沿って拘束するとともにその光軸方向周
りに回転可能に連結する光軸方向拘束リンク58が設け
られている。そして、両リンク57,58は、相互に回
転可能に連結されている。
【0076】このため、両リンク57,58の連結点に
おける複数の方向の変位、あるいはそれら方向周りの回
転が許容される。これにより、座面ブロック50aに複
数の方向への移動あるいはそれらの方向周りにおける回
転の自由度が確保される。そして、例えば枠体42側に
歪みが生じたような場合にも、前記連結点がその歪みを
打ち消すように移動または回転され、3つの座面ブロッ
ク50aをそれぞれ所定の位置関係に保持することがで
きる。そして、保持部43に極めて厳密な加工を施すこ
となく、光学素子38における良好な結像性能を維持す
ることができる。
【0077】また、座面ブロック支持機構51における
一対のリンク機構80の各リンク57,58を、光学素
子38の接線方向と光軸方向とにそれぞれ沿って設ける
ことで、リンク機構80の構成が複雑化することがな
く、その設計を容易に行うことができる。
【0078】(ニ) この光学素子保持装置39では、
基台部56と座面ブロック50aと接線方向拘束リンク
57と光軸方向拘束リンク58とが、回転ピボットをな
す首部55a〜55dを介して連結されている。この首
部55a〜55dは、その両側に連結される基台部5
6、座面ブロック50a、接線方向拘束リンク57及び
光軸方向拘束リンク58に対して小さな断面積を有して
いる。
【0079】このため、回転ピボットとして首部55a
〜55dを採用することで、基台部56と座面ブロック
50aと接線方向拘束リンク57と光軸方向拘束リンク
58を一体の部材で形成することが可能となる。従っ
て、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構成で、し
かも一体の部材でもって前記(ハ)に記載の効果を実現
することができる。
【0080】(ホ) この光学素子保持装置39では、
座面ブロック50aに連結される第4首部55dが、各
座面の中間位置を通り光学素子38の光軸に平行な線上
に配置されている。このため、座面49の姿勢の変化を
安定に行うことができる。
【0081】(ヘ) この光学素子保持装置39では、
座面ブロック50aが光学素子38の接線方向に所定の
長さをもって延びるように形成されている。そして、そ
の座面ブロック50aにおける光学素子38のフランジ
部38aとの対向面上に、所定の間隔をおいて2つの座
面49が形成されている。このため、例えば合成石英等
のような所定以上の破壊強度を有する硝材からなる光学
素子38を、より確実かつ安定に保持することができ
る。
【0082】(ト) この光学素子保持装置39では、
座面ブロック50aの座面49の表面とパッド部材47
の作用面74の表面とには、光学素子38に対する摩擦
係数を高める金のメッキまたは蒸着層が設けられてい
る。このため、座面49及び作用面74と光学素子38
のフランジ部38aとの間で滑りを生じるのが抑制され
て、光学素子38をより安定に保持することができる。
【0083】(チ) この光学素子保持装置39では、
クランプ部材46の押さえ面ブロック63の押さえ面6
5が下方に膨出するとともに、その稜線65aが光学素
子38の接線方向に延びるように形成されている。そし
て、この押さえ面65が、平板状をなすパッド部材47
の作用部72を介して、光学素子38のフランジ部38
aを押圧するようになっている。これにより、光学素子
38のフランジ部38aが、座面ブロック50aとの間
で挟持されるようになっている。このとき、一対の押さ
え面65の稜線65aを結んだ直線の下方に、座面ブロ
ック50a基端の第4首部55dが配置されるようにな
っている。
【0084】このため、第4首部55dが、押さえ面6
5からの押圧力の作用線のほぼ延長線上に配置されるこ
とになる。従って、第4首部55dにおいて、前記押圧
力に基づくモーメントが生じるのを抑制することができ
て、光学素子38を安定して保持することができる。
【0085】(リ) この光学素子保持装置39におい
ては、座面ブロック50aは、その座面49が各拘束リ
ンク57,58、各首部55a〜55d及び基台部56
と一体物で形成されている。
【0086】このため、座面ブロック50aと座面ブロ
ック支持機構51が形成された支持ブロック50bとが
同一材質の一体物で形成されることになる。これによ
り、座面ブロック50aと支持ブロック50bとに接合
部が形成されることがないとともに、複数材質で構成す
る場合に比べて歪みが生じにくいものとすることができ
る。また、座面ブロック50aと支持ブロック50bを
一体化することができて、それらを小型化することがで
きる。
【0087】(ヌ) この鏡筒37では、複数の光学素
子38が上記の光学素子保持装置39を介して保持され
ている。このため、光学素子38をその結像性能の低下
のおそれを低減しつつ安定に保持することができ、鏡筒
37全体の結像性能を良好に維持することができる。
【0088】(ル) この露光装置31では、投影光学
系35がその内部に光学素子38を光学素子保持装置3
9により保持した鏡筒37で構成されている。このた
め、光学素子38が、鏡筒37内にその結像性能の低下
のおそれを低減しつつ安定に保持されて、露光精度の向
上を図ることができる。
【0089】(第2実施形態)つぎに、本発明の第2実
施形態について、前記第1実施形態と異なる部分を中心
に説明する。
【0090】この第2実施形態においては、図18〜図
20に示すように、座面ブロック50aの座面91及び
パッド部材47の作用面92が光学素子38の接線方向
に所定の長さをもって延びるように形成されている。
【0091】また、その座面91及び作用面92の中央
には、硬化段階で体積がわずかに収縮する収縮性接着剤
を収容するための収容孔93が形成されている。そし
て、この収容孔93に接着剤を充填して、この接着剤に
よりランジ部38aを座面91及び作用面92に係合さ
せるようになっている。なお、図19に破線で示すよう
に、この収容孔93の底面にその収容孔93に通じる接
着剤の注入孔94を設けてもよい。
【0092】従って、本実施形態によれば、前記第1実
施形態における(イ)〜(ホ)及び(ト)〜(ル)に記
載の効果に加えて、以下のような効果を得ることができ
る。 (ヲ) この光学素子保持装置39では、光学素子38
のフランジ部38aに対向する座面91及び作用面92
が、光学素子38の接線方向に所定の長さをもって延び
るように形成されている。
【0093】このため、例えば蛍石等のような所定以下
の破壊強度を有する脆い硝材からなる光学素子38を保
持する際に、その保持による応力が一部に集中すること
なく分散される。これにより、応力集中により光学素子
38が破壊されたりするのを抑制することができる。
【0094】(ワ) この光学素子保持装置39では、
光学素子38のフランジ部38aに対向する座面91及
び作用面92の中央に接着剤を収容する収容孔93が形
成されている。
【0095】このため、この収容孔93にそれぞれ収縮
性の接着剤を充填した状態で、光学素子38のフランジ
部38aを係合させ、接着剤を硬化させることで、フラ
ンジ部38aと座面91及び作用面92との係合がより
確実なものとなる。このとき、収縮性の接着剤を使用す
ることで、硬化した接着剤が光学素子38のフランジ部
38aが圧迫して、光学素子38の保持が不安定になっ
たりすることがない。
【0096】また、前記注入孔94を設けないように構
成した場合、硬化した接着剤は、光学素子38のフラン
ジ部38aにより密封された状態で収容孔93内に収容
される。このため、硬化した接着剤からの脱ガスが鏡筒
37内に漏出することがなく、その鏡筒37内の光学素
子38に曇り等を生じさせたりすることがない。
【0097】(変形例)なお、本発明の実施形態は、以
下のように変形してもよい。 ・ 前記各実施形態では、押さえ面ブロック63がパッ
ド部材47を介して、光学素子38のフランジ部38a
を押圧するように構成した。これに対して、パッド部材
47を省略して、押さえ面ブロック63が直接フランジ
部38aを押圧するようにしてもよい。この場合、押さ
え面ブロック63の押さえ面65は、座面49と同様に
平面状に形成することが望ましい。
【0098】・ 前記第1実施形態では、座面49を座
面ブロック50aにおける光学素子38との対向面の両
端に2つ設けたが、第2実施形態のように、その対向面
のほぼ全面に座面を形成してもよいし、3つ以上の座面
を形成してもよい。押さえ面ブロック63の押さえ面6
5も、同様に、その対向面のほぼ全面に形成してもよい
し、3つ以上を形成してもよい。
【0099】・ 前記各実施形態のクランプ本体62で
は、長く延長された腕部66が、押さえ面ブロック63
を付勢するようになっている。これに対して、この腕部
66に代えて、例えば板状の板バネ、コイルバネ等を採
用して押さえ面ブロック63を付勢するようにしてもよ
い。
【0100】・ 前記各実施形態では、重量支持機構7
7が、当接部78aと支持部78bと屈曲部78cとを
備えた板バネ78で構成されているが、この重量支持機
構77を、当接部78a及び支持部78bのみを備えた
単純形状の板バネで構成してもよい。
【0101】・ 前記各実施形態では、摩擦係数向上機
構として、座面49及び作用面74に金をめっきまたは
蒸着して、光学素子38のフランジ部38aに対する摩
擦係数を高めるようにした。これに対して、この摩擦係
数向上機構は、例えば錫、インジウム、アルミニウム、
真鍮等の金属蒸着、めっき、溶射等、また、座面49及
び作用面74の表面をエッチング、研削等で荒らすこと
等をも含むものである。
【0102】・ 前記実施形態では、光学素子38とし
てレンズが例示されているが、この光学素子38は平行
平板、ミラー、ハーフミラー等の他の光学素子であって
もよい。
【0103】・ この発明の光学素子保持装置39は、
前記実施形態の露光装置31の投影光学系35における
横置きタイプの光学素子38の保持構成に限定されるこ
となく、例えば露光装置31の照明光学系33における
光学素子の保持構成、縦置きタイプの光学素子38の保
持構成に具体化してもよい。さらに、他の光学機械、例
えば顕微鏡、干渉計等の光学系における光学素子の保持
構成に具体化してもよい。
【0104】・ この発明の光学素子保持装置39で
は、1つの枠体42の表面と、他の枠体42の裏面との
間には、枠体42間の間隔を調整するスペーサが配置す
る構成としたが、各枠体42を直接積層する構成として
もよい。ただし、この場合、各枠体42を、その表面が
他の枠体42の基台部材45と干渉しないように構成す
る必要がある。
【0105】以上のようにした場合でも、前記実施形態
における効果とほぼ同様の効果が得られる。 ・ また、露光装置として、投影光学系を用いることな
く、マスクと基板とを密接させてマスクのパターンを露
光するコンタクト露光装置、マスクと基板とを近接させ
てマスクのパターンを露光するプロキシミティ露光装置
の光学系にも適用することができる。また、投影光学系
としては、全屈折タイプに限らず、反射屈折タイプであ
ってもよい。
【0106】さらに、本発明の露光装置は、縮小露光型
の露光装置に限定されるものではなく、例えば等倍露光
型、拡大露光型の露光装置であってもよい。また、半導
体素子などのマイクロデバイスだけでなく、光露光装
置、EUV露光装置、X線露光装置、及び電子線露光装
置などで使用されるレチクルまたはマスクを製造するた
めに、マザーレチクルからガラス基板やシリコンウエハ
などへ回路パターンを転写する露光装置にも本発明を適
用できる。ここで、DUV(深紫外)やVUV(真空紫
外)光などを用いる露光装置では一般に透過型レチクル
が用いられ、レチクル基板としては、石英ガラス、フッ
素がドープされた石英ガラス、蛍石、フッ化マグネシウ
ム、または水晶などが用いられる。また、プロキシミテ
ィ方式のX線露光装置や電子線露光装置などでは、透過
型マスク(ステンシルマスク、メンバレンマスク)が用
いられ、マスク基板としてはシリコンウエハなどが用い
られる。
【0107】もちろん、半導体素子の製造に用いられる
露光装置だけでなく、液晶表示素子(LCD)などを含
むディスプレイの製造に用いられてデバイスパターンを
ガラスプレート上へ転写する露光装置、薄膜磁気ヘッド
等の製造に用いられて、デバイスパターンをセラミック
ウエハ等へ転写する露光装置、及びCCD等の撮像素子
の製造に用いられる露光装置などにも本発明を適用する
ことができる。
【0108】さらに、本発明は、マスクと基板とが相対
移動した状態でマスクのパターンを基板へ転写し、基板
を順次ステップ移動させるスキャニング・ステッパ、マ
スクと基板とが静止した状態でマスクのパターンを基板
へ転写し、基板を順次ステップ移動させるステップ・ア
ンド・リピート方式のステッパとを問わず適用すること
ができる。
【0109】・ また、露光装置の光源としては、例え
ばg線(436nm)、i線(365nm)、KrFエ
キシマレーザ(248nm)、F2レーザ(157n
m)、Kr2レーザ(146nm)、Ar2レーザ(12
6nm)等を用いてもよい。また、DFB半導体レーザ
またはファイバレーザから発振される赤外域、または可
視域の単一波長レーザ光を、例えばエルビウム(または
エルビウムとイッテルビウムの双方)がドープされたフ
ァイバアンプで増幅し、非線形光学結晶を用いて紫外光
に波長変換した高調波を用いてもよい。
【0110】なお、前記実施形態の露光装置31は、例
えば次のように製造される。すなわち、まず、照明光学
系33、投影光学系35を構成する複数のレンズまたは
ミラー等の光学素子38の少なくとも一部を本実施形態
の光学素子保持装置39で保持し、この照明光学系33
及び投影光学系35を露光装置31の本体に組み込み、
光学調整を行う。次いで、多数の機械部品からなるウエ
ハステージ36(スキャンタイプの露光装置の場合は、
レチクルステージ34も含む)を露光装置31の本体に
取り付けて配線を接続する。そして、露光光ELの光路
内にガスを供給するガス供給配管を接続した上で、さら
に総合調整(電気調整、動作確認など)を行う。
【0111】ここで、光学素子保持装置39を構成する
各部品は、超音波洗浄などにより、加工油や、金属物質
などの不純物を落としたうえで、組み上げられる。な
お、露光装置31の製造は、温度、湿度や気圧が制御さ
れ、かつクリーン度が調整されたクリーンルーム内で行
うことが望ましい。
【0112】前記実施形態における硝材として、蛍石、
石英などを例に説明したが、フッ化リチウム、フッ化マ
グネシウム、フッ化ストロンチウム、リチウム−カルシ
ウム−アルミニウム−フロオライド、及びリチウム−ス
トロンチウム−アルミニウム−フロオライド等の結晶
や、ジルコニウム−バリウム−ランタン−アルミニウム
からなるフッ化ガラスや、フッ素をドープした石英ガラ
ス、フッ素に加えて水素もドープされた石英ガラス、O
H基を含有させた石英ガラス、フッ素に加えてOH基を
含有した石英ガラス等の改良石英を用いた場合にも、前
記実施形態の光学素子保持装置39を適用することがで
きる。
【0113】次に、上述した露光装置31をリソグラフ
ィ工程で使用したデバイスの製造方法の実施形態につい
て説明する。図21は、デバイス(ICやLSI等の半
導体素子、液晶表示素子、撮像素子(CCD等)、薄膜
磁気ヘッド、マイクロマシン等)の製造例のフローチャ
ートを示す図である。図22に示すように、まず、ステ
ップS101(設計ステップ)において、デバイス(マ
イクロデバイス)の機能・性能設計(例えば、半導体デ
バイスの回路設計等)を行い、その機能を実現するため
のパターン設計を行う。引き続き、ステップS102
(マスク製作ステップ)において、設計した回路パター
ンを形成したマスク(レクチルRt等)を製作する。一
方、ステップS103(基板製造ステップ)において、
シリコン、ガラスプレート等の材料を用いて基板(シリ
コン材料を用いた場合にはウエハWとなる。)を製造す
る。
【0114】次に、ステップS104(基板処理ステッ
プ)において、ステップS101〜S103で用意した
マスクと基板を使用して、後述するように、リソグラフ
ィ技術等によって基板上に実際の回路等を形成する。次
いで、ステップS105(デバイス組立ステップ)にお
いて、ステップS104で処理された基板を用いてデバ
イス組立を行う。このステップS105には、ダイシン
グ工程、ボンディング工程、及びパッケージング工程
(チップ封入等)等の工程が必要に応じて含まれる。
【0115】最後に、ステップS106(検査ステッ
プ)において、ステップS105で作製されたデバイス
の動作確認テスト、耐久性テスト等の検査を行う。こう
した工程を経た後にデバイスが完成し、これが出荷され
る。
【0116】図22は、半導体デバイスの場合におけ
る、図21のステップS104の詳細なフローの一例を
示す図である。図22において、ステップS111(酸
化ステップ)では、ウエハWの表面を酸化させる。ステ
ップS112(CVDステップ)では、ウエハW表面に
絶縁膜を形成する。ステップS113(電極形成ステッ
プ)では、ウエハW上に電極を蒸着によって形成する。
ステップS114(イオン打込みステップ)では、ウエ
ハWにイオンを打ち込む。以上のステップS111〜S
114のそれぞれは、ウエハ処理の各段階の前処理工程
を構成しており、各段階において必要な処理に応じて選
択されて実行される。
【0117】ウエハプロセスの各段階において、上述の
前処理工程が終了すると、以下のようにして後処理工程
が実行される。この後処理工程では、まず、ステップS
115(レジスト形成ステップ)において、ウエハWに
感光剤を塗布する。引き続き、ステップS116(露光
ステップ)において、先に説明したリソグラフィシステ
ム(露光装置31)によってマスク(レチクルRt)の
回路パターンをウエハW上に転写する。次に、ステップ
S117(現像ステップ)では露光されたウエハWを現
像し、ステップS118(エッチングステップ)におい
て、レジストが残存している部分以外の部分の露出部材
をエッチングにより取り去る。そして、ステップS11
9(レジスト除去ステップ)において、エッチングが済
んで不要となったレジストを取り除く。
【0118】これらの前処理工程と後処理工程とを繰り
返し行うことによって、ウエハW上に多重に回路パター
ンが形成される。以上説明した本実施形態のデバイス製
造方法を用いれば、露光工程(ステップS116)にお
いて上記の露光装置31が用いられ、真空紫外域の露光
光ELにより解像力の向上が可能となり、しかも露光量
制御を高精度に行うことができる。従って、結果的に最
小線幅が0.1μm程度の高集積度のデバイスを歩留ま
りよく生産することができる。
【0119】
【発明の効果】以上詳述したように、本願請求項1に記
載の発明によれば、光学素子に座面との係合による予期
しない応力の発生が抑制され、光学素子の光学面の精度
が良好に保たれる。このため、光学素子を保持する部分
に極めて厳密な加工を施すことなく、光学素子における
良好な結像性能を維持することができる。
【0120】また、本願請求項2に記載の発明によれ
ば、前記請求項1に記載の発明の効果に加えて、光学素
子の結像性能を一層良好に維持することができる。ま
た、本願請求項3に記載の発明によれば、前記請求項1
または請求項2に記載の発明の効果に加えて、光学素子
の熱変形時における結像性能の変化を低減することがで
きる。
【0121】また、本願請求項4に記載の発明によれ
ば、例えば基台部あるいは固定部側に歪みが生じたよう
な場合にも、各リンクの連結点がそのひずみを打ち消す
ように移動または回転される。これにより、複数の座面
ブロックがそれぞれ所定の位置関係に保持され、光学素
子を保持する部分に極めて厳密な加工を施すことなく、
光学素子における良好な結像性能を維持することができ
る。
【0122】また、本願請求項5に記載の発明によれ
ば、前記請求項4に記載の発明の効果に加えて、一対の
リンク機構の各リンクを光学素子の接線方向と光軸方向
とにそれぞれ沿って設けることにより、構成の簡素化を
図ることができる。
【0123】また、本願請求項6に記載の発明によれ
ば、部品点数の増大を招くことなく、簡単な構成で前記
請求項4または請求項5に記載の発明の効果を実現する
ことができる。
【0124】また、本願請求項7に記載の発明によれ
ば、前記請求項6に記載の発明の効果に加えて、座面の
姿勢の変化を安定に行うことができる。また、本願請求
項8に記載の発明では、前記請求項6または請求項7に
記載の発明の効果に加えて、座面ブロックと座面ブロッ
ク支持機構とが同一材質の一体物で形成されることにな
る。このため、座面ブロックと座面ブロック支持機構と
に接合部が形成されることがないとともに、複数材質で
構成する場合に比べて歪みが生じにくいものとすること
ができる。また、座面ブロックと座面ブロック支持機構
を一体化することができて、それらを小型化することが
できる。
【0125】また、本願請求項9に記載の発明によれ
ば、前記請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載
の発明の効果に加えて、例えば合成石英等のような所定
以上の破壊強度を有する硝材からなる光学素子を、より
確実かつ安定に保持することができる。
【0126】また、本願請求項10に記載の発明によれ
ば、前記請求項1〜請求項8のうちいずれか一項に記載
の発明の効果に加えて、例えば蛍石等のような所定以下
の破壊強度を有する脆い硝材からなる光学素子を保持す
る際に、応力集中により光学素子が破壊されたりするの
を抑制することができる。
【0127】また、本願請求項11に記載の発明によれ
ば、前記請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記
載の発明の効果に加えて、座面と光学素子の周縁部との
間で滑りを生じるのが抑制されて、光学素子をより安定
に保持することができる。
【0128】また、本願請求項12及び請求項13に記
載の発明によれば、結像性能の低下のおそれを低減しつ
つ、光学素子を安定に保持可能な鏡筒を提供することが
できる。
【0129】また、本願請求項14に記載の発明によれ
ば、鏡筒内に光学素子をその結像性能低下のおそれを低
減しつつ安定に保持することができて、露光精度の向上
を図ることができる露光装置を提供することができる。
【0130】また、本願請求項15に記載の発明によれ
ば、露光精度を向上することができて、高集積度のデバ
イスを歩留まりよく生産することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 露光装置の概要を示す構成図。
【図2】 第1実施形態の光学素子保持装置を示す一部
破断分解斜視図。
【図3】 図2を下方から見た一部破断分解斜視図。
【図4】 図2の保持部を拡大して示す分解斜視図。
【図5】 図4の基台部材を拡大して示す斜視図。
【図6】 図4の基台部材を拡大して示す正面図。
【図7】 図6の7−7線断面図。
【図8】 図2のクランプ部材のクランプ本体を拡大し
て示す斜視図。
【図9】 図9を下方から見た斜視図。
【図10】 図8の10−10線断面図。
【図11】 図2のパッド部材を拡大して示す底面図。
【図12】 図11の12−12線断面図。
【図13】 図4の保持部を拡大して示す平面図。
【図14】 図13の14−14線断面図。
【図15】 図13の15−15線断面図。
【図16】 図2の素子重量支持機構を拡大して示す平
面図。
【図17】 図2の保持部を模式的に示す説明図。
【図18】 第2実施形態の光学素子保持装置における
パッド部材を拡大して示す底面図。
【図19】 図18の19−19線断面図。
【図20】 第2実施形態の光学素子保持装置における
基台部材を拡大して示す斜視図。
【図21】 デバイスの製造例のフローチャート。
【図22】 半導体デバイスの場合における図21の基
板処理に関する詳細なフローチャート。
【図23】 従来構成の光学素子保持装置を示す断面
図。
【図24】 図23の光学素子保持装置の分解斜視図。
【符号の説明】
31…露光装置、33…投影光学系、37…鏡筒、37
a…鏡筒モジュール、38…光学素子、38a…周縁部
としてのフランジ部、39…光学素子保持装置、42…
固定部としての枠体、43…保持部、49,91…座
面、50a…座面ブロック、51…座面ブロック支持機
構、56…基台部、57…接線方向拘束リンク、58…
光軸方向拘束リンク、55a…回転ピボットをなす第1
首部、55b…回転ピボットをなす第2首部、55c…
回転ピボットをなす第3首部、55d…回転ピボットを
なす第4首部、Rt…マスクとしてレチクル、W…基板
としてのウエハ。

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学素子の周縁部を保持する保持部を備
    える光学素子保持装置において、 前記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面が
    形成された座面ブロックと、前記座面ブロックを前記光
    学素子の接線方向周りに回転可能に支持する座面ブロッ
    ク支持機構とを備えたことを特徴とする光学素子保持装
    置。
  2. 【請求項2】 前記座面ブロック支持機構は、前記光学
    素子の径方向周りに前記座面ブロックを回転可能に支持
    することを特徴とする請求項1に記載の光学素子保持装
    置。
  3. 【請求項3】 前記座面ブロック支持機構は、前記光学
    素子の径方向に前記座面ブロックを移動可能に支持する
    ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の光学
    素子保持装置。
  4. 【請求項4】 光学素子の周縁部を保持する保持部と、
    前記保持部が固定される固定部とを備える光学素子保持
    装置において、 前記保持部は、前記光学素子の周縁部に係合する座面が
    形成された座面ブロックと、前記固定部に固定される基
    台部と、前記基台部に対し前記座面ブロックを互いに異
    なる方向に沿って拘束し、かつ前記互いに異なる方向の
    それぞれの周りに回転可能に前記基台部及び前記座面ブ
    ロックを連結する一対のリンク機構とを備えたことを特
    徴とする光学素子保持装置。
  5. 【請求項5】 前記一対のリンク機構は、前記基台部に
    対し前記座面ブロックを前記光学素子の接線方向に沿っ
    て拘束し、かつ接線方向のまわりに回転可能に前記基台
    部及び前記座面ブロックを連結する接線方向拘束リンク
    と、前記基台部に対し前記座面ブロックを前記光学素子
    の光軸方向に沿って拘束しつつ光軸方向のまわりに回転
    可能に前記基台部及び前記座面ブロックを連結する光軸
    方向拘束リンクとからなることを特徴とする請求項4に
    記載の光学素子保持装置。
  6. 【請求項6】 前記基台部と前記座面ブロックと前記リ
    ンク機構とを回転ピボットで連結したことを特徴とする
    請求項4または請求項5に記載の光学素子保持装置。
  7. 【請求項7】 前記回転ピボットを、前記座面に垂直な
    垂線に平行でその座面の中間位置を通る線上またはその
    近傍に配置したことを特徴とする請求項6に記載の光学
    素子保持装置。
  8. 【請求項8】 前記座面ブロックは、その座面が前記リ
    ンク機構、前記回転ピボット及び前記基台部と一体物で
    形成されたことを特徴とする請求項6または請求項7に
    記載の光学素子保持装置。
  9. 【請求項9】 前記座面ブロックを、前記光学素子の接
    線方向に所定の長さをもって延びるように形成し、その
    光学素子との対向面上に所定の間隔をおいて複数の座面
    を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項8のうち
    いずれか一項に記載の光学素子保持装置。
  10. 【請求項10】 前記座面ブロックを、前記光学素子の
    接線方向に所定の長さをもって延びるように形成し、そ
    の光学素子との対向面の長手方向のほぼ全面にわたって
    座面を形成したことを特徴とする請求項1〜請求項8の
    うちいずれか一項に記載の光学素子保持装置。
  11. 【請求項11】 前記座面上には、前記光学素子に対す
    る摩擦係数を高める摩擦係数向上機構を設けたことを特
    徴とする請求項1〜請求項10のうちいずれか一項に記
    載の光学素子保持装置。
  12. 【請求項12】 内部に複数の光学素子を保持する鏡筒
    において、 前記光学素子の少なくとも1つを、請求項1〜請求項1
    1のうちいずれか一項に記載の光学素子保持装置を介し
    て保持したことを特徴とする鏡筒。
  13. 【請求項13】 1つ以上の光学素子を収容する少なく
    とも1つの鏡筒モジュールを有する鏡筒において、 前記少なくとも1つの鏡筒モジュールは、前記光学素子
    の少なくとも1つ保持する請求項1〜請求項11のうち
    いずれか一項に記載の光学素子保持装置を備えたことを
    特徴とする鏡筒。
  14. 【請求項14】 マスク上に形成されたパターンの像を
    投影光学系を介して基板上に転写する露光装置におい
    て、 前記投影光学系は、前記請求項12または請求項13に
    記載の鏡筒を有することを特徴とする露光装置。
  15. 【請求項15】 請求項14に記載の露光装置を用いて
    マイクロデバイスを製造することを特徴とするマイクロ
    デバイスの製造方法。
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