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JP2002150927A - 電界放射型電子源およびその製造方法 - Google Patents

電界放射型電子源およびその製造方法

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Publication number
JP2002150927A
JP2002150927A JP2000344301A JP2000344301A JP2002150927A JP 2002150927 A JP2002150927 A JP 2002150927A JP 2000344301 A JP2000344301 A JP 2000344301A JP 2000344301 A JP2000344301 A JP 2000344301A JP 2002150927 A JP2002150927 A JP 2002150927A
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JP
Japan
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layer
lower electrode
electron source
field emission
electrode
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Application number
JP2000344301A
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Yoshiaki Honda
由明 本多
Koichi Aizawa
浩一 相澤
Takuya Komoda
卓哉 菰田
Tsutomu Kunugibara
勉 櫟原
Yoshifumi Watabe
祥文 渡部
Takashi Hatai
崇 幡井
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Panasonic Electric Works Co Ltd
Original Assignee
Matsushita Electric Works Ltd
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Publication date
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Priority to TW090126440A priority patent/TWI286773B/zh
Priority to PCT/JP2001/009423 priority patent/WO2002035572A1/ja
Priority to EP01976835A priority patent/EP1329926A4/en
Priority to CNB018018580A priority patent/CN1254839C/zh
Priority to US10/048,478 priority patent/US6707061B2/en
Priority to CN2006100048881A priority patent/CN1825521B/zh
Priority to KR10-2002-7002766A priority patent/KR100486951B1/ko
Priority to CN2006100048862A priority patent/CN1825519B/zh
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Abstract

(57)【要約】 【課題】従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を
小さくすることなしに低消費電力化を図ることが可能な
電界放射型電子源およびその製造方法を提供する。 【解決手段】基板としての絶縁性基板11の一表面上に
複数の下部電極8が列設され、下部電極8上に半導体層
20が形成され、半導体層20上にノンドープの多結晶
シリコン層3が形成され、多結晶シリコン層3上にドリ
フト部6aが形成されている。半導体層20は、下部電
極8から表面電極7へリーク電流が流れるのを阻止する
pn接合を有しており、半導体層20が、下部電極8か
ら表面電極7へリーク電流が流れるのを阻止する逆阻止
手段を構成している。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電界放射により電
子線を放射するようにした電界放射型電子源およびその
製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、電界放射型電子源として、例
えば米国特許3665241号などに開示されているい
わゆるスピント(Spindt)型電極と呼ばれるものがあ
る。このスピント型電極は、微小な三角錐状のエミッタ
チップを多数配置した基板と、エミッタチップの先端部
を露出させる放射孔を有するとともにエミッタチップに
対して絶縁された形で配置されたゲート層とを備え、真
空中にてエミッタチップをゲート層に対して負極として
高電圧を印加することにより、エミッタチップの先端か
ら放射孔を通して電子線を放射するものである。
【0003】しかしながら、スピント型電極は、製造プ
ロセスが複雑であるとともに、多数の三角錐状のエミッ
タチップを精度良く構成することが難しく、例えば平面
発光装置やディスプレイなどへ応用する場合に大面積化
が難しいという問題があった。また、スピント型電極
は、電界がエミッタチップの先端に集中するので、エミ
ッタチップの先端の周りの真空度が低くて残留ガスが存
在するような場合、放射された電子によって残留ガスが
プラスイオンにイオン化され、プラスイオンがエミッタ
チップの先端に衝突するから、エミッタチップの先端が
ダメージ(例えば、イオン衝撃による損傷)を受け、放
射される電子の電流密度や効率などが不安定になった
り、エミッタチップの寿命が短くなってしまうという問
題が生じる。したがって、スピント型電極では、この種
の問題の発生を防ぐために、高真空(約10-5Pa〜約
10-6Pa)で使用する必要があり、コストが高くなる
とともに、取扱いが面倒になるという不具合があった。
【0004】この種の不具合を改善するために、MIM
(Metal Insulator Metal)方式やMOS(Metal Oxid
e Semiconductor)型の電界放射型電子源が提案されて
いる。前者は金属−絶縁膜−金属、後者は金属−酸化膜
−半導体の積層構造を有する平面型の電界放射型電子源
である。しかしながら、このタイプの電界放射型電子源
において電子の放射効率を高めるためには(多くの電子
を放射させるためには)、上記絶縁膜や上記酸化膜の膜
厚を薄くする必要があるが、上記絶縁膜や上記酸化膜の
膜厚を薄くしすぎると、上記積層構造の上下の電極間に
電圧を印加した時に絶縁破壊を起こす恐れがあり、この
ような絶縁破壊を防止するためには上記絶縁膜や上記酸
化膜の膜厚の薄膜化に制約があるので、電子の放出効率
(引き出し効率)をあまり高くできないという不具合が
あった。
【0005】また、近年では、特開平8−250766
号公報に開示されているように、シリコン基板などの単
結晶の半導体基板を用い、その半導体基板の一表面を陽
極酸化することにより多孔質半導体層(ポーラスシリコ
ン層)を形成して、その多孔質半導体層上に金属薄膜を
形成し、半導体基板と金属薄膜との間に電圧を印加して
電子を放射させるように構成した電界放射型電子源(半
導体冷電子放出素子)が提案されている。
【0006】しかしながら、上述の特開平8−2507
66号公報に記載の電界放射型電子源では、基板が半導
体基板に限られるので、大面積化やコストダウン化が難
しいという不具合がある。また、特開平8−25076
6号公報に記載の電界放射型電子源では電子放出時にい
わゆるポッピング現象が生じやすく、電子放出量にむら
が起こりやすいので、平面発光装置やディスプレイなど
に応用すると、発光むらができてしまうという不具合が
ある。
【0007】そこで、本願発明者らは、特願平10−2
72340号、特願平10−272342号において、
多孔質多結晶半導体層(例えば、多孔質化された多結晶
シリコン層)を急速熱酸化(RTO)技術によって急速
熱酸化することによって、導電性基板と金属薄膜(表面
電極)との間に介在し導電性基板から注入された電子が
ドリフトする強電界ドリフト層を形成した電界放射型電
子源を提案した。この電界放射型電子源10’は、例え
ば、図9に示すように、導電性基板たるn形シリコン基
板1の主表面(一表面)側に酸化した多孔質多結晶シリ
コン層よりなる強電界ドリフト層6が形成され、強電界
ドリフト層6上に金属薄膜よりなる表面電極7が形成さ
れ、n形シリコン基板1の裏面にオーミック電極2が形
成されている。なお、強電界ドリフト層6の厚さは例え
ば1.5μmに設定されている。
【0008】図9に示す構成の電界放射型電子源10’
では、表面電極7を真空中に配置するとともに図10に
示すように表面電極7に対向してコレクタ電極12を配
置し、表面電極7をn形シリコン基板1(オーミック電
極2)に対して正極として直流電圧Vpsを印加するとと
もに、コレクタ電極12を表面電極7に対して正極とし
て直流電圧Vcを印加することにより、n形シリコン基
板1から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリフ
トし表面電極7を通して放出される(なお、図10中の
一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e-の流
れを示す)。したがって、表面電極7としては、仕事関
数の小さな材料を用いることが望ましい。ここにおい
て、表面電極7とオーミック電極2との間に流れる電流
をダイオード電流Ipsと称し、コレクタ電極12と表面
電極7との間に流れる電流を放出電子電流Ieと称し、
ダイオード電流Ipsに対する放出電子電流Ieが大きい
(Ie/Ipsが大きい)ほど電子放出効率が高くなる。
なお、この電界放射型電子源10’では、表面電極7と
オーミック電極2との間に印加する直流電圧Vpsを10
〜20V程度の低電圧としても電子を放出させることが
できる。
【0009】この電界放射型電子源10’では、電子放
出特性の真空度依存性が小さく且つ電子放出時にポッピ
ング現象が発生せず安定して電子を高い電子放出効率で
放出することができる。ここにおいて、強電界ドリフト
層6は、図11に示すように、少なくとも、導電性基板
たるn形シリコン基板1の主表面側に列設された柱状の
多結晶シリコンのグレイン(半導体結晶)51と、グレ
イン51の表面に形成された薄いシリコン酸化膜52
と、グレイン51間に介在するナノメータオーダのシリ
コン微結晶63と、シリコン微結晶63の表面に形成さ
れ当該シリコン微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚
の絶縁膜であるシリコン酸化膜64とから構成されると
考えられる。すなわち、強電界ドリフト層6は、各グレ
インの表面が多孔質化し各グレインの中心部分では結晶
状態が維持されていると考えられる。したがって、強電
界ドリフト層6に印加された電界はほとんどシリコン酸
化膜64にかかるから、注入された電子はシリコン酸化
膜64にかかっている強電界により加速され多結晶シリ
コンのグレイン51間を表面に向かって図11中の矢印
Aの向きへ(図11中の上方向へ向かって)ドリフトす
るので、電子放出効率を向上させることができる。ここ
に、強電界ドリフト層6の表面に到達した電子はホット
エレクトロンであると考えられ、表面電極7を容易にト
ンネルし真空中に放出される。なお、表面電極7の膜厚
は10nmないし15nm程度に設定されている。
【0010】ところで、上記導電性基板としてn形シリ
コン基板1などの半導体基板の代わりに、ガラス基板な
どの絶縁性基板上に導電性層(例えば、金属薄膜)より
なる下部電極を形成したものを使用すれば、電子源の大
面積化および低コスト化が可能になる。
【0011】図12に、ガラス基板よりなる絶縁性基板
11と該絶縁性基板11の一表面上に形成した下部電極
8とで構成した導電性基板を用いた電界放射型電子源1
0”を示す。すなわち、この電界放射型電子源10”
は、図12に示すように、絶縁性基板11の一表面上に
導電性層よりなる下部電極8が形成され、下部電極8上
に強電界ドリフト層6が形成され、強電界ドリフト層6
上に金属薄膜よりなる表面電極7が形成されている。こ
こに、強電界ドリフト層6は、下部電極8上にノンドー
プの多結晶シリコン層を堆積させた後に、該多結晶シリ
コン層を陽極酸化処理にて多孔質化し、さらに急速加熱
法によって酸化若しくは窒化することにより形成されて
いる。
【0012】この電界放射型電子源10”では、表面電
極7を真空中に配置するとともに図13に示すように表
面電極7に対向してコレクタ電極12を配置し、表面電
極7を下部電極8に対して正極として直流電圧Vpsを印
加するとともに、コレクタ電極12を表面電極7に対し
て正極として直流電圧Vcを印加することにより、下部
電極8から注入された電子が強電界ドリフト層6をドリ
フトし表面電極7を通して放出される(なお、図13中
の一点鎖線は表面電極7を通して放出された電子e-
流れを示す)。ここにおいて、表面電極7と下部電極8
との間に流れる電流をダイオード電流Ipsと称し、コレ
クタ電極12と表面電極7との間に流れる電流を放出電
子電流Ieと称し、ダイオード電流Ipsに対する放出電
子電流Ieが大きい(Ie/Ipsが大きい)ほど電子放出
効率が高くなる。なお、この電界放射型電子源10”で
は、表面電極7と下部電極8との間に印加する直流電圧
Vpsを10〜20V程度の低電圧としても電子を放出さ
せることができる。
【0013】また、図12に示した電界放射型電子源1
0”をディスプレイの電子源とし応用する場合には、例
えば図14に示す構成を採用すればよい。
【0014】図14に示すディスプレイは、電界放射型
電子源10に対向してガラス基板14を配設し、ガラス
基板14における電界放射型電子源10との対向面にコ
レクタ電極12および蛍光体層15を設けてある。ここ
に、蛍光体層15はコレクタ電極12の表面に塗布され
ており、電界放射型電子源10から放射される電子によ
り可視光を発光する。また、ガラス基板14は図示しな
いスペーサによって電界放射型電子源10と離間させて
あり、ガラス基板14と電界放射型電子源10との間に
形成される気密空間を真空にしてある。
【0015】図14に示した電界放射型電子源10は、
ガラス基板よりなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11
の一表面上に列設された複数の下部電極8と、下部電極
8にそれぞれ重なる形で形成された複数の酸化した多孔
質多結晶シリコン層よりなるドリフト部6aおよびドリ
フト部6aの間を埋める多結晶シリコン層よりなる分離
部6bを有する強電界ドリフト層6と、強電界ドリフト
層6の上でドリフト部6aおよび分離部6bに跨って下
部電極8に交差する方向に列設された複数の表面電極7
とを備えている。
【0016】この電界放射型電子源10では、絶縁性基
板11の一表面上に列設された複数の下部電極8と、強
電界ドリフト層6上に列設された複数の表面電極7との
間に強電界ドリフト層6のドリフト部6aが挟まれてい
るから、表面電極7と下部電極8との組を適宜選択して
選択した組間に電圧を印加することにより、選択された
表面電極7と下部電極8との交点に相当する部位のドリ
フト部6aに強電界が作用して電子が放出される。つま
り、表面電極7と下部電極8とからなる格子の格子点に
電子源を配置したことに相当し、電圧を印加する表面電
極7と下部電極8との組を選択することによって所望の
格子点から電子を放出させることが可能になる。なお、
表面電極7と下部電極8との間に印加する電圧は10〜
20V程度になっている。
【0017】なお、図14に示した電界放射型電子源1
0では、ノンドープの多結晶シリコン層を下部電極8に
達する深さまで多孔質化しているが、下部電極8に到達
しない深さまで多孔質化するようにしてもよく、後者の
場合には、図15に示すように、下部電極8とドリフト
部6aとの間にノンドープの多結晶シリコン層3が介在
することになる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述の図1
4に示した電界放射型電子源10では強電界ドリフト層
6を挟んで表面電極7と下部電極8とをマトリクス型に
対向させたいわゆる単純マトリクス構造を採用している
が、ドリフト部6aを図16に示すように抵抗Rと仮定
した場合、複数の表面電極7のうち選択したものをHレ
ベル、非選択のものをLレベルとし、複数の下部電極8
のうち選択したものをLレベル、非選択のものをHレベ
ルとすると、同図中に一点鎖線で示すようにHレベルの
表面電極7−抵抗R−Lレベルの下部電極8の経路で電
流I1が流れる。
【0019】しかしながら、仮にドリフト部6aが図1
6に示すように抵抗Rにより構成された電子源では、H
レベルの下部電極8からLレベルの表面電極7へ向かう
逆方向へリーク電流が流れる経路が多数存在し、選択し
ていない格子点にも電流が流れるから、消費電力が大き
くなってしまう。これに対し、上述の図14に示した単
純マトリクス構造の電界放射型電子源10におけるドリ
フト部6aは抵抗とは異なり、表面電極7とドリフト部
6aと下部電極8との重なった部分を個々の電子源と
し、個々の電子源において表面電極7から下部電極8へ
電流が流れる方向を順方向とした場合、個々の電子源の
表面電極7と下部電極8との間の電流・電圧特性は非線
形となり、上述のようにドリフト部6aを抵抗Rと仮定
したときよりもリーク電流は小さくなるが、電界放射型
電子源10の大面積化を図った際にリーク電流のトータ
ルの電流量が無視できなくなり、低消費電力化の妨げに
なるとともに、電子放出効率の高効率化の妨げになると
いう不具合があった。すなわち、図17に示すように、
表面電極7と下部電極8との間に表面電極7側をアノー
ドとし、下部電極8側をカソードとするダイオードDが
形成されていれば、上述のリーク電流が流れるのを防止
することができるが、図14に示した電界放射型電子源
10における個々の電子源の表面電極7と下部電極8と
の間にはダイオードDは形成されていないので、図17
中に二点鎖線で示すように、Hレベルの下部電極8から
Lレベルの表面電極7へリーク電流が流れてしまい、結
果的に低消費電力化および電子放出効率の高効率化の妨
げになるという不具合があった。
【0020】この種の不具合を解決するために、図18
に示すように、ノンドープの多結晶シリコン層3の表面
側にドリフト部6aと離間してn形多結晶シリコン領域
31を形成するとともに、n形多結晶シリコン領域31
内の表面側にp形多結晶シリコン領域32を形成し、表
面電極7をドリフト部6aとn形多結晶シリコン領域3
1の一部とに跨って設け、さらにp形多結晶シリコン領
域32上に擬似表面電極17を設けて擬似表面電極17
と下部電極8との間の電流・電圧特性に整流特性を持た
せることが考えられる。
【0021】しかしながら、図18に示した構成では、
n形多結晶シリコン領域31およびp形多結晶シリコン
領域32をドリフト部6aと離間して設けるとともに、
表面電極7と離間して擬似表面電極17を設ける必要が
あるので、上述のような単純マトリクス構造を採用する
際に、単位面積当たりの電子放出面積が小さくなってし
まうという不具合があった。
【0022】本発明は上記事由に鑑みて為されたもので
あり、その目的は、従来に比べて単位面積当たりの電子
放出面積を小さくすることなしに低消費電力化を図るこ
とが可能な電界放射型電子源およびその製造方法を提供
することにある。
【0023】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、上記
目的を達成するために、基板と、基板の一表面側に列設
された複数の下部電極と、下部電極の表面側に各下部電
極にそれぞれ重なる形で形成された酸化若しくは窒化し
た多孔質半導体層よりなるドリフト部およびドリフト部
の間を埋める分離部を有する強電界ドリフト層と、強電
界ドリフト層上において下部電極に交差する方向に列設
された複数の表面電極とを備え、表面電極を下部電極に
対して正極として電圧を印加することにより下部電極か
ら注入された電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面
電極を通して放出されるようにし、表面電極と下部電極
との間に強電界ドリフト層に加えて下部電極から表面電
極へリーク電流が流れるのを阻止する逆阻止手段を設け
てなることを特徴とするものであり、表面電極と下部電
極との間に強電界ドリフト層に加えて下部電極から表面
電極へリーク電流が流れるのを阻止する逆阻止手段が設
けられていることにより、従来に比べて単位面積当たり
の電子放出面積を小さくすることなしにリーク電流が流
れるのを阻止することができて低消費電力化を図ること
ができる。
【0024】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前記下部電極
との間に設けられpn接合を有する半導体層からなるの
で、前記ドリフト部と前記下部電極との間にpn接合を
有する半導体層を介在させるだけでpn接合の整流特性
を利用してリーク電流が流れるのを阻止することができ
る。
【0025】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前記下部電極
との間に設けられ前記下部電極側のn層と前記ドリフト
部側のp層とを有する半導体層からなり、前記p層と前
記ドリフト部との間には、低濃度の半導体層が形成され
ているので、前記ドリフト部と前記下部電極との間に設
けられ前記下部電極側のn層と前記ドリフト部側のp層
とを有する半導体層を設けることでpn接合の整流特性
を利用してリーク電流が流れるのを阻止することが可能
となり、また、前記p層と前記ドリフト部との間には低
濃度の半導体層が形成されていることにより、前記n層
および前記p層を有する半導体層と前記ドリフト部とを
空間的に分離することができ、前記n層および前記p層
を有する半導体層の影響を受けずに前記ドリフト部を形
成することが可能になる。
【0026】請求項4の発明は、請求項1の発明におい
て、前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前記下部電極
との間に設けられ前記下部電極側のn層と前記ドリフト
部側のp層とを有する半導体層からなるので、前記ドリ
フト部と前記下部電極との間に設けられ前記下部電極側
のn層と前記ドリフト部側のp層とを有する半導体層を
設けることでpn接合の整流特性を利用してリーク電流
が流れるのを阻止することが可能となり、また、請求項
3の発明に比べて構造が簡単になる。
【0027】請求項5の発明は、請求項1の発明におい
て、前記基板が半導体基板よりなり、前記下部電極が前
記基板側のn層と前記表面電極側のp層とを有し、前記
逆阻止手段が前記下部電極からなるので、前記下部電極
を一般的なシリコンプロセスを利用して形成することが
でき、前記下部電極のパターン精度を容易に高めること
ができるから、ディスプレイの高精細化が容易になる。
【0028】請求項6の発明は、請求項2ないし請求項
5の発明において、前記逆阻止手段は、前記p層と前記
n層との間にi層が介在しているので、前記逆阻止手段
においてpn接合の整流特性を利用してリーク電流が流
れるのを阻止する場合に比べて高耐圧化を図ることがで
きる。
【0029】請求項7の発明は、請求項1の発明におい
て、前記表面電極の材料として前記ドリフト部とショッ
トキ接合を形成する材料を用い、前記逆阻止手段が、前
記表面電極と前記ドリフト部とからなるので、ショット
キ接合の整流特性を利用してリーク電流が流れるのを阻
止することができ、pn接合やpin接合を別途に設け
る必要がないから、請求項2ないし請求項6の発明に比
べて構造が簡単になる。
【0030】請求項8の発明は、請求項1の発明におい
て、前記下部電極と前記ドリフト部との間に低濃度の半
導体層を介在させ、前記下部電極の材料として前記半導
体層とショットキ接合を形成する材料を用い、前記逆阻
止手段が、前記下部電極と前記ドリフト部からなるの
で、ショットキ接合の整流特性を利用してリーク電流が
流れるのを阻止することができ、pn接合やpin接合
を別途に設ける必要がないから、請求項2ないし請求項
6の発明に比べて構造が簡単になる。
【0031】請求項9の発明は、請求項2ないし請求項
4の発明において、前記半導体層は、多結晶半導体から
なるので、前記半導体層を前記基板の材質に依存せずに
形成することができ、前記基板として安価なガラス基板
などを用いることができるから、大面積化および低コス
ト化が容易になり、また、単結晶半導体を多孔質化した
後に酸化することで多孔質半導体層を形成した従来の電
界放射型電子源に比べて電子放出時のノイズの低減を図
ることができる。
【0032】請求項10の発明は、請求項2ないし請求
項4の発明において、前記半導体層は、シリコンからな
るので、一般的なシリコンプロセスや液晶ディスプレイ
の製造プロセスを利用することが可能になる。
【0033】請求項11の発明は、請求項1ないし請求
項10の発明において、前記ドリフト部は、前記基板の
前記一表面側に列設された柱状の半導体結晶と、半導体
結晶間に介在するナノメータオーダの半導体微結晶と、
半導体微結晶の表面に形成され当該半導体微結晶の結晶
粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなるので、強電界
ドリフト層では下部電極から注入された電子が半導体微
結晶に衝突せずに前記絶縁膜に印加されている電界で加
速されてドリフトし、強電界ドリフト層で発生した熱が
柱状の半導体結晶を通して放熱されるから、電子放出時
にポッピング現象が発生せず高効率で電子を放出するこ
とができる。
【0034】請求項12の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、成膜時に不純物をドーピングして形成するこ
とを特徴とし、前記p層および前記n層を容易に形成す
ることができるので、従来に比べて単位面積当たりの電
子放出面積を小さくすることなしにリーク電流が流れる
のを阻止することができて低消費電力化を図れる電界放
射型電子源を容易に提供することができる。
【0035】請求項13の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、ノンドープの半導体層を成膜した後にイオン
注入法により不純物をドーピングして形成することを特
徴とし、成膜装置に依存せずに前記n層および前記p層
それぞれの不純物濃度を制御性良く制御することができ
るので、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を
小さくすることなしにリーク電流が流れるのを阻止する
ことができて低消費電力化を図れる電界放射型電子源を
容易に提供することができる。
【0036】請求項14の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、ノンドープの半導体層を成膜した後に不純物
拡散法により不純物をドーピングして形成することを特
徴とし、成膜装置に依存せずに前記n層および前記p層
それぞれの不純物濃度を制御性良く制御することがで
き、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を小さ
くすることなしにリーク電流が流れるのを阻止すること
ができて低消費電力化を図れる電界放射型電子源を容易
に提供することができる。
【0037】請求項15の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層の形成にあたっては、n形アモルフ
ァス半導体層を形成した後に加熱処理にて結晶化するこ
とにより形成し、前記p層の形成にあたっては、p形ア
モルファス半導体層を形成した後に加熱処理にて結晶化
することにより形成することを特徴とし、前記n形アモ
ルファス半導体層および前記p形アモルファス半導体層
をプラズマCVD装置などの成膜装置を使用して比較的
低温で形成することができるので、前記基板として安価
なガラス基板などを用いることができ、従来に比べて単
位面積当たりの電子放出面積を小さくすることなしにリ
ーク電流が流れるのを阻止することができて低消費電力
化を図れ且つ大面積化で低コストの電界放射型電子源を
提供することができる。
【0038】請求項16の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、ノンドープのアモルファス半導体層を成膜し
た後にイオン注入法により不純物をドーピングし、その
後、加熱処理にて結晶化することにより形成することを
特徴とし、前記ノンドープのアモルファス半導体層をプ
ラズマCVD装置などの成膜装置を使用して形成するこ
とができ、しかも、前記n層および前記p層それぞれの
不純物濃度を制御性良く制御することができ、従来に比
べて単位面積当たりの電子放出面積を小さくすることな
しにリーク電流が流れるのを阻止することができて低消
費電力化を図れ且つ大面積化で低コストの電界放射型電
子源を提供することができる。
【0039】請求項17の発明は、請求項5記載の電界
放射型電子源の製造方法であって、前記n層および前記
p層それぞれの形成にあたっては、前記半導体基板の一
表面側に不純物をドーピングして形成することを特徴と
し、一般的なシリコンプロセスを利用して前記下部電極
を形成することができるので、前記下部電極のパターン
精度を容易に高めることができるから、従来に比べて単
位面積当たりの電子放出面積を小さくすることなしにリ
ーク電流が流れるのを阻止することができて低消費電力
化を図れ且つ高精細なディスプレイに用いることが可能
な電界放射型電子源を提供することができる。
【0040】
【発明の実施の形態】(実施形態1)本実施形態の電界
放射型電子源10は、図1に示すように、ガラス基板よ
りなる絶縁性基板11と、絶縁性基板11の一表面上に
列設された複数の下部電極8と、下部電極8にそれぞれ
重なる形で形成された半導体層20と、下部電極8にそ
れぞれ重なる形で半導体層20上に形成されたノンドー
プの多結晶シリコン層3(図2参照)と、下部電極8に
それぞれ重なる形で多結晶シリコン層3上に形成された
複数の酸化した多孔質多結晶シリコン層よりなるドリフ
ト部6aおよびドリフト部6aの間を埋める多結晶シリ
コン層よりなる分離部6bを有する強電界ドリフト層6
と、強電界ドリフト層6の上でドリフト部6aおよび分
離部6bに跨って下部電極8に交差(直交)する方向に
列設された複数の表面電極7とを備えている。ここにお
いて、下部電極8はアルミニウム薄膜からなる導電性層
により構成し、表面電極7は金属薄膜(例えば、金薄
膜)からなる導電性薄膜により構成している。なお、表
面電極7の膜厚は15nmに設定されているが、この膜
厚は特に限定するものではない。また、強電界ドリフト
層6の厚さは1.5μmに設定してあるが、強電界ドリ
フト層6の厚さも特に限定するものではない。また、本
実施形態では、絶縁性基板11が基板を構成している。
【0041】本実施形態の電界放射型電子源は、図14
に示した従来構成と同様、単純マトリクス構造を採用し
ているが、上述の半導体層20が、下部電極8から表面
電極7へリーク電流が流れるのを阻止するpn接合を有
している点に特徴がある。すなわち、上述の半導体層2
0は、図2に示すように、下部電極8上に形成されたn
層21と該n層21上に形成されたp層22とを備えて
おり、上記pn接合が形成されている。なお、半導体層
20は、表面電極7と下部電極8との間に強電界ドリフ
ト層6に加えて設けられており、半導体層20が、下部
電極8から表面電極7へリーク電流が流れるのを阻止す
る逆阻止手段を構成している。また、半導体層20とド
リフト部6aとの間に設けられたノンドープの多結晶シ
リコン層3が低濃度の半導体層を構成している。また、
本実施形態では、p層22とドリフト部6aとの間に低
濃度の半導体層たるノンドープの多結晶シリコン層3が
形成されているので、半導体層20とドリフト部6aと
を空間的に分離することができ、半導体層20の影響を
受けずにドリフト部6aを形成することが可能になる。
【0042】本実施形態の電界放射型電子源10では、
図14に示した従来構成と同様、絶縁性基板11の一表
面上に列設された複数の下部電極8と、強電界ドリフト
層6上に列設された複数の表面電極7との間に強電界ド
リフト層6のドリフト部6aが挟まれているから、表面
電極7と下部電極8との組を適宜選択して選択した組間
に電圧を印加することにより、選択された表面電極7と
下部電極8との交点に相当する部位のドリフト部6aに
強電界が作用して電子が放出される。つまり、表面電極
7と下部電極8とからなる格子の格子点に電子源を配置
したことに相当し、電圧を印加する表面電極7と下部電
極8との組を選択することによって所望の格子点から電
子を放出させることが可能になる。なお、表面電極7と
下部電極8との間に印加する電圧は10〜20V程度に
なっている。ここにおいて、各表面電極7は、短冊状に
形成され、長手方向の両端部上にそれぞれパッド27が
形成されている。また、各下部電極8も、短冊状に形成
され、長手方向の両端部上にそれぞれパッド28が形成
されている。
【0043】本実施形態の電界放射型電子源10におけ
るドリフト部6aは、上述の図11に示した強電界ドリ
フト層6と同様に、少なくとも、絶縁性基板11の一表
面側に列設された柱状の多結晶シリコンのグレイン(半
導体結晶)51と、グレイン51の表面に形成された薄
いシリコン酸化膜52と、グレイン51間に介在するナ
ノメータオーダの半導体微結晶たるシリコン微結晶63
と、シリコン微結晶63の表面に形成され当該シリコン
微結晶63の結晶粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜である
シリコン酸化膜64とから構成されると考えられる。
【0044】しかして、本実施形態の電界放射型電子源
10では、表面電極7と下部電極8との間に強電界ドリ
フト層6に加えて下部電極8から表面電極7へリーク電
流が流れるのを阻止する逆阻止手段が設けられているこ
とにより、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積
を小さくすることなしにリーク電流が流れるのを阻止す
ることができて低消費電力化を図ることができる。ここ
において、逆阻止手段が、ドリフト部6aと下部電極8
との間に設けられpn接合を有する半導体層20からな
るので、ドリフト部6aと下部電極8との間にpn接合
を有する半導体層20を介在させるだけでpn接合の整
流特性を利用してリーク電流が流れるのを阻止すること
ができる。また、本実施形態の電界放射型電子源10に
おいても、強電界ドリフト層6では下部電極8から注入
された電子がシリコン微結晶63に衝突せずにシリコン
酸化膜64に印加されている電界で加速されてドリフト
し、強電界ドリフト層6で発生した熱が柱状のグレイン
51を通して放熱されるものと考えられ、電子放出時に
ポッピング現象が発生せず高効率で電子を放出すること
ができる。
【0045】なお、本実施形態では、強電界ドリフト層
6のドリフト部6aを酸化した多孔質多結晶シリコン層
により形成しているが、強電界ドリフト層6のドリフト
部6aを窒化した多孔質多結晶シリコン層により形成し
てもよく、多孔質多結晶シリコン層以外の多孔質半導体
層を酸化若しくは窒化したものでもよい。なお、強電界
ドリフト層6のドリフト部6aを窒化した多孔質多結晶
シリコン層とした場合には図11にて説明した各シリコ
ン酸化膜52,64がいずれもシリコン窒化膜となる。
【0046】本実施形態においては、表面電極7を構成
する導電性薄膜として金薄膜を用いているが、表面電極
7の材料は金に限定されるものではなく、例えば、アル
ミニウム、クロム、タングステン、ニッケル、白金など
の仕事関数が小さな材料を用いてもよい。ここに、金の
仕事関数は5.10eV、アルミニウムの仕事関数は
4.28eV、クロムの仕事関数は4.50eV、タン
グステンの仕事関数は4.55eV、ニッケルの仕事関
数は5.15eV、白金の仕事関数は5.65eVであ
る。また、表面電極7を厚み方向に積層された複数層の
薄膜電極層からなる導電性薄膜により構成してもよい。
この場合、最上層の薄膜電極層としては、耐酸化性に優
れ仕事関数が小さな性質を有する材料を採用し、最下層
の薄膜電極層としては、仕事関数が小さく且つ強電界ド
リフト層6との密着性が良い性質の材料を採用すればよ
い。ここに、最下層の薄膜電極層の材料は、最上層の薄
膜電極層の材料に比べて強電界ドリフト層6中へ拡散し
にくい(つまり、強電界ドリフト層6の材料中での拡散
係数が小さい)性質を有していることが望ましい。
【0047】上述のような仕事関数が小さくかつ強電界
ドリフト層6との密着性が良い性質を有する表面電極7
を採用することにより、表面電極7が強電界ドリフト層
6から剥離するのを防止することができ、表面電極7の
断線を防止できるとともに経時安定性が向上し、また、
製造時の歩留まりが高くなって低コスト化を図ることが
できる。
【0048】また、最上層の薄膜電極層としては例えば
金を用い、最下層の薄膜電極層としては、クロムを用い
ればよいが、最下層の薄膜電極層としてはクロムの代わ
りに、ニッケル、白金、チタン、ジルコニウム、ロジウ
ム、ハフニウム、イリジウムのいずれかあるいはそれら
の酸化物を用いてもよい。最下層の薄膜電極層として、
クロム、ニッケル、白金、チタン、ジルコニウム、ロジ
ウム、ハフニウム、イリジウムのいずれかあるいはそれ
らの酸化物を用いることにより、最下層の薄膜電極層の
材料コストを比較的安価にすることができる。
【0049】また、本実施形態では、下部電極8を構成
する導電性層としてアルミニウム薄膜を用いているが、
下部電極8の材料はアルミニウムに限定されるものでは
なく、アルミニウム以外の導電性材料を用いてもよい。
【0050】以下、本実施形態の電界放射型電子源10
の製造方法について図3を参照しながら説明する。な
お、図3では要部についてのみの断面を示してある。
【0051】まず、絶縁性基板11の一表面(図3
(a)における上面)の全面上に所定膜厚のアルミニウ
ム薄膜よりなる導電性層をスパッタ法により成膜(堆
積)した後、導電性層上に下部電極8のパターンに対応
してパターニングされたレジスト層を形成し、その後、
レジスト層をマスクとして導電性層の不要部分をエッチ
ングすることにより、絶縁性基板11の上記一表面上に
パターニングされた導電性層よりなる下部電極8が形成
され、その後、レジスト層を除去することにより、図3
(a)に示す構造が得られる。
【0052】次に、絶縁性基板11の上記一表面側の全
面に、n形不純物としてリンが添加されたn形多結晶シ
リコン層よりなるn層21を例えばプラズマCVD法に
よって成膜することにより、図3(b)に示す構造が得
られる。なお、n層21は、プラズマCVD法により堆
積しているので、600℃以下(100℃〜600℃)
の低温プロセスで成膜することができる。また、プラズ
マCVD法による成膜時にn形不純物をドーピングして
いるので、容易にn層21を形成することができる。
【0053】その後、絶縁性基板11の上記一表面側の
全面に、p形不純物としてボロンが添加されたp形多結
晶シリコン層よりなるp層22を例えばプラズマCVD
法によって成膜することにより、図3(c)に示す構造
が得られる。なお、p層22は、プラズマCVD法によ
り堆積しているので、600℃以下(100℃〜600
℃)の低温プロセスで成膜することができる。また、プ
ラズマCVD法による成膜時にp形不純物をドーピング
しているので、容易にp層21を形成することができ
る。
【0054】続いて、n層21およびp層22それぞれ
において下部電極8に重ならない部位を下部電極8に重
なる部位と絶縁するために酸素イオンのイオン注入を行
った後、絶縁性基板11の上記一表面側の全面に所定膜
厚(例えば、1.5μm)のノンドープの多結晶シリコ
ン層3を例えばプラズマCVD法によって形成すること
により、図3(d)に示すような構造が得られる。な
お、ノンドープの多結晶シリコン層3は、プラズマCV
D法により堆積しているので、600℃以下(100℃
〜600℃)の低温プロセスで成膜することができる。
ここに、ノンドープの多結晶シリコン層3の形成方法
は、プラズマCVD法に限らず、触媒CVD法により形
成してもよく、触媒CVD法でも600℃以下の低温プ
ロセスで成膜することができる。
【0055】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを
略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極
酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、下
部電極8を正極として、多結晶シリコン層3に光照射を
行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行うことによっ
て、多結晶シリコン層3のうち下部電極8に重なる部位
に多孔質多結晶シリコン層を形成し、その後、陽極酸化
処理槽から電解液を除去し、該陽極酸化処理槽に新たに
酸(例えば、略10%の希硝酸、略10%の希硫酸、王
水など)を投入し、その後、この酸の入った陽極酸化処
理槽を利用して、白金電極(図示せず)を負極、下部電
極8を正極として、定電流を流し多孔質多結晶シリコン
層を酸化することにより下部電極8に重なる部位に酸化
した多孔質多結晶シリコン層よりなるドリフト部6aを
形成し、続いて、強電界ドリフト層6上に所定膜厚(例
えば、15nm)の金薄膜からなる表面電極7を例えば
メタルマスクを用いて蒸着法によって形成し、次に、図
1に示したパッド27,28を形成することによって図
3(e)に示す構成の電界放射型電子源10が得られ
る。ここにおいて、ドリフト部6aの間に介在している
多結晶シリコン層3と上述の酸素イオンが注入された部
位とで上述の分離部6bを構成している。
【0056】なお、本実施形態では、陽極酸化処理の条
件として、陽極酸化処理の期間、多結晶シリコン層3の
表面に照射する光パワーを一定、電流密度を一定とした
が、この条件は適宜変更してもよい(例えば、電流密度
を変化させてもよい)。また、表面電極7となる導電性
薄膜を蒸着により形成しているが、導電性薄膜の形成方
法は蒸着に限定されるものではなく、例えばスパッタ法
を用いてもよい。
【0057】しかして、上述の製造方法によれば、n層
21およびp層22それぞれの形成にあたって、成膜時
に不純物をドーピングして形成しているので、p層22
およびn層21を容易に形成することができるとともに
n層21とp層22とを同じ成膜装置(例えば、プラズ
マCVD装置)により連続して成膜することができるの
で、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を小さ
くすることなしにリーク電流が流れるのを阻止すること
ができて低消費電力化を図れる電界放射型電子源10を
容易に提供することができる。また、上述の半導体層2
0や低濃度の半導体層が多結晶シリコンからなるので、
一般的なシリコンプロセスや液晶ディスプレイ装置の製
造プロセスを利用することが可能になり、低コスト化を
図ることが可能になる。
【0058】(実施形態2)本実施形態の電界放射型電
子源は、実施形態1で説明した図1と同じ構成であっ
て、実施形態1とは製造方法が異なるだけなので、以
下、製造方法について図4を参照しながら説明する。な
お、図4では要部についてのみの断面を示してある。
【0059】まず、絶縁性基板11の一表面(図4
(a)における上面)の全面上に所定膜厚のアルミニウ
ム薄膜よりなる導電性層をスパッタ法により成膜(堆
積)した後、導電性層上に下部電極8のパターンに対応
してパターニングされたレジスト層を形成し、その後、
レジスト層をマスクとして導電性層の不要部分をエッチ
ングすることにより、絶縁性基板11の上記一表面上に
パターニングされた導電性層よりなる下部電極8が形成
され、その後、レジスト層を除去することにより、図4
(a)に示す構造が得られる。
【0060】次に、絶縁性基板11の上記一表面側の全
面にノンドープの多結晶シリコン層24を例えばプラズ
マCVD法によって成膜することにより、図4(b)に
示す構造が得られる。なお、ノンドープの多結晶シリコ
ン層24は、プラズマCVD法により堆積しているの
で、600℃以下(100℃〜600℃)の低温プロセ
スで成膜することができる。
【0061】その後、ノンドープの多結晶シリコン層2
4のうち下部電極8に重なる部位へイオン注入法または
不純物拡散法によってn形不純物(例えば、リン)をド
ーピングしてn層21を形成することにより、図4
(c)に示す構造が得られる。
【0062】続いて、絶縁性基板11の上記一表面側の
全面にノンドープの多結晶シリコン層25を例えばプラ
ズマCVD法によって成膜することにより、図4(d)
に示す構造が得られる。なお、ノンドープの多結晶シリ
コン層25は、プラズマCVD法により堆積しているの
で、600℃以下(100℃〜600℃)の低温プロセ
スで成膜することができる。
【0063】その後、ノンドープの多結晶シリコン層2
5のうち下部電極8に重なる部位へイオン注入法または
不純物拡散法によってp形不純物(例えば、ボロン)を
ドーピングしてp層22を形成することにより、図4
(e)に示す構造が得られる。
【0064】続いて、絶縁性基板11の上記一表面側の
全面に所定膜厚(例えば、1.5μm)のノンドープの
多結晶シリコン層3を例えばプラズマCVD法によって
形成することにより、図4(f)に示すような構造が得
られる。なお、ノンドープの多結晶シリコン層3は、プ
ラズマCVD法により堆積しているので、600℃以下
(100℃〜600℃)の低温プロセスで成膜すること
ができる。ここに、ノンドープの多結晶シリコン層3の
形成方法は、プラズマCVD法に限らず、触媒CVD法
により形成してもよく、触媒CVD法でも600℃以下
の低温プロセスで成膜することができる。
【0065】ノンドープの多結晶シリコン層3を形成し
た後、55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを
略1:1で混合した混合液よりなる電解液の入った陽極
酸化処理槽を利用し、白金電極(図示せず)を負極、下
部電極8を正極として、多結晶シリコン層3に光照射を
行いながら所定の条件で陽極酸化処理を行うことによっ
て、多結晶シリコン層3のうち下部電極8に重なる部位
に多孔質多結晶シリコン層を形成し、その後、陽極酸化
処理槽から電解液を除去し、該陽極酸化処理槽に新たに
酸(例えば、略10%の希硝酸、略10%の希硫酸、王
水など)を投入し、その後、この酸の入った陽極酸化処
理槽を利用して、白金電極(図示せず)を負極、下部電
極8を正極として、定電流を流し多孔質多結晶シリコン
層を酸化することにより下部電極8に重なる部位に酸化
した多孔質多結晶シリコン層よりなるドリフト部6aを
形成し、続いて、強電界ドリフト層6上に所定膜厚(例
えば、15nm)の金薄膜からなる表面電極7を例えば
メタルマスクを用いて蒸着法によって形成し、次に、図
1に示したパッド27,28を形成することによって図
4(g)に示す構成の電界放射型電子源が得られる。こ
こにおいて、ドリフト部6aの間に介在している多結晶
シリコン層3とn層21の間に介在しているノンドープ
の多結晶シリコン層24とp層22の間に介在している
ノンドープの多結晶シリコン層25とで分離部6bを構
成している。
【0066】しかして、本実施形態では、n層21およ
びp層22をそれぞれ形成するにあたって、それぞれノ
ンドープの半導体層たる多結晶シリコン層24,25を
成膜した後にイオン注入法または不純物拡散法により不
純物をドーピングして形成しているので、成膜装置に依
存せずにn層21およびp層22それぞれの不純物濃度
を制御性良く制御することができる。
【0067】(実施形態3)本実施形態の電界放射型電
子源の基本構成は図1に示した実施形態1と略同じであ
って、図5に示すように、p層22上にドリフト部6a
が形成されている点に特徴がある。なお、実施形態1と
同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略す
る。
【0068】本実施形態では、p層22とn層21とか
らなる半導体層が、下部電極8から表面電極7へリーク
電流が流れるのを阻止する逆阻止手段を構成している。
【0069】しかして、本実施形態では、実施形態1と
同様、表面電極7と下部電極8との間に強電界ドリフト
層6に加えて下部電極8から表面電極7へリーク電流が
流れるのを阻止する逆阻止手段が設けられていることに
より、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を小
さくすることなしにリーク電流が流れるのを阻止するこ
とができて低消費電力化を図ることができる。しかも、
本実施形態では、逆阻止手段を構成する半導体層とドリ
フト部6aとの間に実施形態1で説明したようなノンド
ープの多結晶シリコン層3が設けられていないので、実
施形態1に比べて構造が簡単になる。
【0070】なお、本実施形態の電界放射型電子源の製
造方法は、実施形態1または実施形態2で説明した製造
方法において、多結晶シリコン層3のうち下部電極8に
重なる部位の全部を陽極酸化処理によって多孔質化する
点が相違するだけである。
【0071】(実施形態4)本実施形態の電界放射型電
子源の基本構成は実施形態1と略同じであって、図6に
示すように、基板として半導体基板たるシリコン基板1
を用い、実施形態1で説明した図1における下部電極8
を比較的高濃度のn形シリコン領域からなるn層21と
比較的高濃度のp形シリコン領域からなるp層22とで
構成している点に特徴がある。なお、実施形態1と同様
の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0072】本実施形態では、p層22とn層21とか
らなる下部電極が、下部電極から表面電極7へリーク電
流が流れるのを阻止する逆阻止手段を構成している。
【0073】しかして、本実施形態では、実施形態1と
同様、表面電極7と下部電極との間に強電界ドリフト層
6に加えて下部電極から表面電極7へリーク電流が流れ
るのを阻止する逆阻止手段が設けられていることによ
り、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を小さ
くすることなしにリーク電流が流れるのを阻止すること
ができて低消費電力化を図ることができる。
【0074】なお、本実施形態の電界放射型電子源は、
基板としてシリコン基板1を用いているので、下部電極
となるn層21およびp層22をイオン注入法や不純物
拡散法などの一般的なシリコンプロセスを利用して形成
することができるから、下部電極のパターン精度を高め
ることができ、しかも下部電極の形成に伴って基板の一
表面側に段差が形成されることもないから、表面電極7
の断線を防止することができるとともに、ディスプレイ
の高精細化が容易になる。
【0075】(実施形態5)本実施形態の電界放射型電
子源の基本構成は図1に示した実施形態1と略同じであ
って、図7に示すように、p層22とn層21との間に
低濃度の多結晶シリコン層よりなるi層23を介在させ
ている点に特徴がある。すなわち、本実施形態では、p
層22とi層23とn層21とからなる半導体層が、下
部電極8から表面電極7へリーク電流が流れるのを阻止
する逆阻止手段を構成している。なお、実施形態1と同
様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0076】しかして、本実施形態では、実施形態1と
同様、表面電極7と下部電極8との間に強電界ドリフト
層6に加えて下部電極8から表面電極7へリーク電流が
流れるのを阻止する逆阻止手段が設けられていることに
より、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を小
さくすることなしにリーク電流が流れるのを阻止するこ
とができて低消費電力化を図ることができる。しかも、
本実施形態では、逆阻止手段を構成する半導体層がpi
n接合を有するので、pn接合を有する実施形態1に比
べて逆阻止手段の耐圧を高めることができる。なお、他
の実施形態においてp層22とn層21との間にi層2
3を設けてもよい。
【0077】なお、本実施形態の電界放射型電子源の製
造方法は実施形態1または実施形態2と略同じであっ
て、i層23を形成する工程が追加されるだけなので、
説明を省略する。
【0078】(実施形態6)本実施形態の電界放射型電
子源の基本構成は図1に示した実施形態1と略同じであ
って、図8に示すような構成を有し、実施形態1で説明
した半導体層20を設ける代わりに、表面電極7の材料
としてドリフト部6aとの間にショットキ接合を形成す
る材料を用い、下部電極8から表面電極7へリーク電流
が流れるのを阻止する逆阻止手段が、表面電極7とドリ
フト部6aとで構成されている点に特徴がある。ここに
おいて、表面電極7の材料としては、Cu、Pd、A
g、Al、Ti、Mn、Pb、Bi、Ni、Cr、F
e、Mg、Pt、Be、Sn、Ba、In、Co、S
b、IrSi、PtSi、Pt2Si、MnSi、Pb2
Si、Co2Si、NiSi、Ni2Si、WSiなどを
用いればよい。なお、実施形態1と同様の構成要素には
同一の符号を付して説明を省略する。
【0079】しかして、本実施形態では、表面電極7と
下部電極8との間に強電界ドリフト層6に加えて下部電
極8から表面電極7へリーク電流が流れるのを阻止する
逆阻止手段が設けられていることにより、従来に比べて
単位面積当たりの電子放出面積を小さくすることなしに
リーク電流が流れるのを阻止することができて低消費電
力化を図ることができる。しかも、本実施形態では、表
面電極7とドリフト部6aとのショットキ接合の整流特
性を利用してリーク電流が流れるのを阻止することがで
きるから、pn接合やpin接合を別途に設ける必要が
なく、上記各実施形態1〜5に比べて構造が簡単にな
る。
【0080】(実施形態7)本実施形態の電界放射型電
子源10の基本構成は図8に示した実施形態6と略同じ
であって、下部電極8の材料として低濃度の半導体層た
るノンドープの多結晶シリコン層3との間にショットキ
接合を形成する材料を用い、下部電極8から表面電極7
へリーク電流が流れるのを阻止する逆阻止手段が、下部
電極8とノンドープの多結晶シリコン層3とで構成され
ている点に特徴がある。ここにおいて、下部電極8の材
料としては、Cu、Pd、Ag、Al、Ti、Mn、P
b、Bi、Ni、Cr、Fe、Mg、Pt、Be、S
n、Ba、In、Co、Sb、IrSi、PtSi、P
2Si、MnSi、Pb2Si、Co2Si、NiS
i、Ni2Si、WSiなどを用いればよい。なお、実
施形態6と同様の構成要素には同一の符号を付して説明
を省略する。
【0081】しかして、本実施形態では、表面電極7と
下部電極8との間に強電界ドリフト層6に加えて下部電
極8から表面電極7へリーク電流が流れるのを阻止する
逆阻止手段が設けられていることにより、従来に比べて
単位面積当たりの電子放出面積を小さくすることなしに
リーク電流が流れるのを阻止することができて低消費電
力化を図ることができる。しかも、本実施形態では、下
部電極8とノンドープの多結晶シリコン層3とのショッ
トキ接合の整流特性を利用してリーク電流が流れるのを
阻止することができるから、pn接合やpin接合を別
途に設ける必要がなく、上記各実施形態1〜5に比べて
構造が簡単になる。
【0082】
【発明の効果】請求項1の発明は、基板と、基板の一表
面側に列設された複数の下部電極と、下部電極の表面側
に各下部電極にそれぞれ重なる形で形成された酸化若し
くは窒化した多孔質半導体層よりなるドリフト部および
ドリフト部の間を埋める分離部を有する強電界ドリフト
層と、強電界ドリフト層上において下部電極に交差する
方向に列設された複数の表面電極とを備え、表面電極を
下部電極に対して正極として電圧を印加することにより
下部電極から注入された電子が強電界ドリフト層をドリ
フトし表面電極を通して放出されるようにし、表面電極
と下部電極との間に強電界ドリフト層に加えて下部電極
から表面電極へリーク電流が流れるのを阻止する逆阻止
手段を設けてなるものであり、表面電極と下部電極との
間に強電界ドリフト層に加えて下部電極から表面電極へ
リーク電流が流れるのを阻止する逆阻止手段が設けられ
ていることにより、従来に比べて単位面積当たりの電子
放出面積を小さくすることなしにリーク電流が流れるの
を阻止することができて低消費電力化を図ることができ
るという効果がある。
【0083】請求項2の発明は、請求項1の発明におい
て、前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前記下部電極
との間に設けられpn接合を有する半導体層からなるの
で、前記ドリフト部と前記下部電極との間にpn接合を
有する半導体層を介在させるだけでpn接合の整流特性
を利用してリーク電流が流れるのを阻止することができ
るという効果がある。
【0084】請求項3の発明は、請求項1の発明におい
て、前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前記下部電極
との間に設けられ前記下部電極側のn層と前記ドリフト
部側のp層とを有する半導体層からなり、前記p層と前
記ドリフト部との間には、低濃度の半導体層が形成され
ているので、前記ドリフト部と前記下部電極との間に設
けられ前記下部電極側のn層と前記ドリフト部側のp層
とを有する半導体層を設けることでpn接合の整流特性
を利用してリーク電流が流れるのを阻止することが可能
となるという効果があり、また、前記p層と前記ドリフ
ト部との間には低濃度の半導体層が形成されていること
により、前記n層および前記p層を有する半導体層と前
記ドリフト部とを空間的に分離することができ、前記n
層および前記p層を有する半導体層の影響を受けずに前
記ドリフト部を形成することが可能になるという効果が
ある。
【0085】請求項4の発明は、請求項1の発明におい
て、前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前記下部電極
との間に設けられ前記下部電極側のn層と前記ドリフト
部側のp層とを有する半導体層からなるので、前記ドリ
フト部と前記下部電極との間に設けられ前記下部電極側
のn層と前記ドリフト部側のp層とを有する半導体層を
設けることでpn接合の整流特性を利用してリーク電流
が流れるのを阻止することが可能となるという効果があ
り、また、請求項3の発明に比べて構造が簡単になると
いう効果がある。
【0086】請求項5の発明は、請求項1の発明におい
て、前記基板が半導体基板よりなり、前記下部電極が前
記基板側のn層と前記表面電極側のp層とを有し、前記
逆阻止手段が前記下部電極からなるので、前記下部電極
を一般的なシリコンプロセスを利用して形成することが
でき、前記下部電極のパターン精度を容易に高めること
ができるから、ディスプレイの高精細化が容易になると
いう効果がある。
【0087】請求項6の発明は、請求項2ないし請求項
5の発明において、前記逆阻止手段は、前記p層と前記
n層との間にi層が介在しているので、前記逆阻止手段
においてpn接合の整流特性を利用してリーク電流が流
れるのを阻止する場合に比べて高耐圧化を図ることがで
きるという効果がある。
【0088】請求項7の発明は、請求項1の発明におい
て、前記表面電極の材料として前記ドリフト部とショッ
トキ接合を形成する材料を用い、前記逆阻止手段が、前
記表面電極と前記ドリフト部とからなるので、ショット
キ接合の整流特性を利用してリーク電流が流れるのを阻
止することができ、pn接合やpin接合を別途に設け
る必要がないから、請求項2ないし請求項6の発明に比
べて構造が簡単になるという効果がある。
【0089】請求項8の発明は、請求項1の発明におい
て、前記下部電極と前記ドリフト部との間に低濃度の半
導体層を介在させ、前記下部電極の材料として前記半導
体層とショットキ接合を形成する材料を用い、前記逆阻
止手段が、前記下部電極と前記ドリフト部からなるの
で、ショットキ接合の整流特性を利用してリーク電流が
流れるのを阻止することができ、pn接合やpin接合
を別途に設ける必要がないから、請求項2ないし請求項
6の発明に比べて構造が簡単になるという効果がある。
【0090】請求項9の発明は、請求項2ないし請求項
4の発明において、前記半導体層は、多結晶半導体から
なるので、前記半導体層を前記基板の材質に依存せずに
形成することができ、前記基板として安価なガラス基板
などを用いることができるから、大面積化および低コス
ト化が容易になり、また、単結晶半導体を多孔質化した
後に酸化することで多孔質半導体層を形成した従来の電
界放射型電子源に比べて電子放出時のノイズの低減を図
ることができるという効果がある。
【0091】請求項10の発明は、請求項2ないし請求
項4の発明において、前記半導体層は、シリコンからな
るので、一般的なシリコンプロセスや液晶ディスプレイ
の製造プロセスを利用することが可能になるという効果
がある。
【0092】請求項11の発明は、請求項1ないし請求
項10の発明において、前記ドリフト部は、前記基板の
前記一表面側に列設された柱状の半導体結晶と、半導体
結晶間に介在するナノメータオーダの半導体微結晶と、
半導体微結晶の表面に形成され当該半導体微結晶の結晶
粒径よりも小さな膜厚の絶縁膜とからなるので、強電界
ドリフト層では下部電極から注入された電子が半導体微
結晶に衝突せずに前記絶縁膜に印加されている電界で加
速されてドリフトし、強電界ドリフト層で発生した熱が
柱状の半導体結晶を通して放熱されるから、電子放出時
にポッピング現象が発生せず高効率で電子を放出するこ
とができるという効果がある。
【0093】請求項12の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、成膜時に不純物をドーピングして形成するこ
とを特徴とし、前記p層および前記n層を容易に形成す
ることができるので、従来に比べて単位面積当たりの電
子放出面積を小さくすることなしにリーク電流が流れる
のを阻止することができて低消費電力化を図れる電界放
射型電子源を容易に提供することができるという効果が
ある。
【0094】請求項13の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、ノンドープの半導体層を成膜した後にイオン
注入法により不純物をドーピングして形成することを特
徴とし、成膜装置に依存せずに前記n層および前記p層
それぞれの不純物濃度を制御性良く制御することができ
るので、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を
小さくすることなしにリーク電流が流れるのを阻止する
ことができて低消費電力化を図れる電界放射型電子源を
容易に提供することができるという効果がある。
【0095】請求項14の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、ノンドープの半導体層を成膜した後に不純物
拡散法により不純物をドーピングして形成することを特
徴とし、成膜装置に依存せずに前記n層および前記p層
それぞれの不純物濃度を制御性良く制御することがで
き、従来に比べて単位面積当たりの電子放出面積を小さ
くすることなしにリーク電流が流れるのを阻止すること
ができて低消費電力化を図れる電界放射型電子源を容易
に提供することができるという効果がある。
【0096】請求項15の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層の形成にあたっては、n形アモルフ
ァス半導体層を形成した後に加熱処理にて結晶化するこ
とにより形成し、前記p層の形成にあたっては、p形ア
モルファス半導体層を形成した後に加熱処理にて結晶化
することにより形成することを特徴とし、前記n形アモ
ルファス半導体層および前記p形アモルファス半導体層
をプラズマCVD装置などの成膜装置を使用して比較的
低温で形成することができるので、前記基板として安価
なガラス基板などを用いることができ、従来に比べて単
位面積当たりの電子放出面積を小さくすることなしにリ
ーク電流が流れるのを阻止することができて低消費電力
化を図れ且つ大面積化で低コストの電界放射型電子源を
提供することができるという効果がある。
【0097】請求項16の発明は、請求項3または請求
項4または請求項6記載の電界放射型電子源の製造方法
であって、前記n層および前記p層それぞれの形成にあ
たっては、ノンドープのアモルファス半導体層を成膜し
た後にイオン注入法により不純物をドーピングし、その
後、加熱処理にて結晶化することにより形成することを
特徴とし、前記ノンドープのアモルファス半導体層をプ
ラズマCVD装置などの成膜装置を使用して形成するこ
とができ、しかも、前記n層および前記p層それぞれの
不純物濃度を制御性良く制御することができ、従来に比
べて単位面積当たりの電子放出面積を小さくすることな
しにリーク電流が流れるのを阻止することができて低消
費電力化を図れ且つ大面積化で低コストの電界放射型電
子源を提供することができるという効果がある。
【0098】請求項17の発明は、請求項5記載の電界
放射型電子源の製造方法であって、前記n層および前記
p層それぞれの形成にあたっては、前記半導体基板の一
表面側に不純物をドーピングして形成することを特徴と
し、一般的なシリコンプロセスを利用して前記下部電極
を形成することができるので、前記下部電極のパターン
精度を容易に高めることができるから、従来に比べて単
位面積当たりの電子放出面積を小さくすることなしにリ
ーク電流が流れるのを阻止することができて低消費電力
化を図れ且つ高精細なディスプレイに用いることが可能
な電界放射型電子源を提供することができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1を示す一部破断した概略斜視図であ
る。
【図2】同上の要部概略断面図である。
【図3】同上の製造方法を説明するための主要工程断面
図である。
【図4】実施形態2の製造方法を説明するための主要工
程断面図である。
【図5】実施形態3を示す要部概略断面図である。
【図6】実施形態4を示す要部概略断面図である。
【図7】実施形態5を示す要部概略断面図である。
【図8】実施形態6を示す要部概略断面図である。
【図9】従来例を示す概略断面図である。
【図10】同上の動作説明図である。
【図11】同上の動作説明図である。
【図12】他の従来例を示す概略断面図である。
【図13】同上の動作説明図である。
【図14】同上を応用したディスプレイ装置の概略構成
を示す斜視図である。
【図15】別の従来例を示す要部概略断面図である。
【図16】単純マトリクス構造を採用したディスプレイ
の動作説明図である。
【図17】単純マトリクス構造を採用したディスプレイ
の動作説明図である。
【図18】さらに別の従来例を示す要部概略断面図であ
る。
【符号の説明】
3 多結晶シリコン層 6 強電界ドリフト層 6a ドリフト部 6b 分離部 7 表面電極 8 下部電極 10 電界放射型電子源 11 絶縁性基板 20 半導体層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 菰田 卓哉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 櫟原 勉 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 渡部 祥文 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内 (72)発明者 幡井 崇 大阪府門真市大字門真1048番地松下電工株 式会社内

Claims (17)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基板と、基板の一表面側に列設された複
    数の下部電極と、下部電極の表面側に各下部電極にそれ
    ぞれ重なる形で形成された酸化若しくは窒化した多孔質
    半導体層よりなるドリフト部およびドリフト部の間を埋
    める分離部を有する強電界ドリフト層と、強電界ドリフ
    ト層上において下部電極に交差する方向に列設された複
    数の表面電極とを備え、表面電極を下部電極に対して正
    極として電圧を印加することにより下部電極から注入さ
    れた電子が強電界ドリフト層をドリフトし表面電極を通
    して放出されるようにし、表面電極と下部電極との間に
    強電界ドリフト層に加えて下部電極から表面電極へリー
    ク電流が流れるのを阻止する逆阻止手段を設けてなるこ
    とを特徴とする電界放射型電子源。
  2. 【請求項2】 前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前
    記下部電極との間に設けられpn接合を有する半導体層
    からなることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電
    子源。
  3. 【請求項3】 前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前
    記下部電極との間に設けられ前記下部電極側のn層と前
    記ドリフト部側のp層とを有する半導体層からなり、前
    記p層と前記ドリフト部との間には、低濃度の半導体層
    が形成されてなることを特徴とする請求項1記載の電界
    放射型電子源。
  4. 【請求項4】 前記逆阻止手段は、前記ドリフト部と前
    記下部電極との間に設けられ前記下部電極側のn層と前
    記ドリフト部側のp層とを有する半導体層からなること
    を特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
  5. 【請求項5】 前記基板が半導体基板よりなり、前記下
    部電極が前記基板側のn層と前記表面電極側のp層とを
    有し、前記逆阻止手段が前記下部電極からなることを特
    徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
  6. 【請求項6】 前記逆阻止手段は、前記p層と前記n層
    との間にi層が介在してなることを特徴とする請求項2
    ないし請求項5のいずれかに記載の電界放射型電子源。
  7. 【請求項7】 前記表面電極の材料として前記ドリフト
    部とショットキ接合を形成する材料を用い、前記逆阻止
    手段が、前記表面電極と前記ドリフト部とからなること
    を特徴とする請求項1記載の電界放射型電子源。
  8. 【請求項8】 前記下部電極と前記ドリフト部との間に
    低濃度の半導体層を介在させ、前記下部電極の材料とし
    て前記半導体層とショットキ接合を形成する材料を用
    い、前記逆阻止手段が、前記下部電極と前記ドリフト部
    からなることを特徴とする請求項1記載の電界放射型電
    子源。
  9. 【請求項9】 前記半導体層は、多結晶半導体からなる
    ことを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに
    記載の電界放射型電子源。
  10. 【請求項10】 前記半導体層は、シリコンからなるこ
    とを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記
    載の電界放射型電子源。
  11. 【請求項11】 前記ドリフト部は、前記基板の前記一
    表面側に列設された柱状の半導体結晶と、半導体結晶間
    に介在するナノメータオーダの半導体微結晶と、半導体
    微結晶の表面に形成され当該半導体微結晶の結晶粒径よ
    りも小さな膜厚の絶縁膜とからなることを特徴とする請
    求項1ないし請求項10のいずれかに記載の電界放射型
    電子源。
  12. 【請求項12】 請求項3または請求項4または請求項
    6記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記n
    層および前記p層それぞれの形成にあたっては、成膜時
    に不純物をドーピングして形成することを特徴とする電
    界放射型電子源の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項3または請求項4または請求項
    6記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記n
    層および前記p層それぞれの形成にあたっては、ノンド
    ープの半導体層を成膜した後にイオン注入法により不純
    物をドーピングして形成することを特徴とする電界放射
    型電子源の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項3または請求項4または請求項
    6記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記n
    層および前記p層それぞれの形成にあたっては、ノンド
    ープの半導体層を成膜した後に不純物拡散法により不純
    物をドーピングして形成することを特徴とする電界放射
    型電子源の製造方法。
  15. 【請求項15】 請求項3または請求項4または請求項
    6記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記n
    層の形成にあたっては、n形アモルファス半導体層を形
    成した後に加熱処理にて結晶化することにより形成し、
    前記p層の形成にあたっては、p形アモルファス半導体
    層を形成した後に加熱処理にて結晶化することにより形
    成することを特徴とする電界放射型電子源の製造方法。
  16. 【請求項16】 請求項3または請求項4または請求項
    6記載の電界放射型電子源の製造方法であって、前記n
    層および前記p層それぞれの形成にあたっては、ノンド
    ープのアモルファス半導体層を成膜した後にイオン注入
    法により不純物をドーピングし、その後、加熱処理にて
    結晶化することにより形成することを特徴とする電界放
    射型電子源の製造方法。
  17. 【請求項17】 請求項5記載の電界放射型電子源の製
    造方法であって、前記n層および前記p層それぞれの形
    成にあたっては、半導体基板の一表面側に不純物をドー
    ピングして形成することを特徴とする電界放射型電子源
    の製造方法。
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