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JP2001335360A - スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ用絶縁体及びスパークプラグ

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Publication number
JP2001335360A
JP2001335360A JP2000153888A JP2000153888A JP2001335360A JP 2001335360 A JP2001335360 A JP 2001335360A JP 2000153888 A JP2000153888 A JP 2000153888A JP 2000153888 A JP2000153888 A JP 2000153888A JP 2001335360 A JP2001335360 A JP 2001335360A
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JP
Japan
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spark plug
insulator
powder
oxide
component
Prior art date
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JP2000153888A
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Kenji Nunome
健二 布目
Hiroto Ito
博人 伊藤
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Niterra Co Ltd
Original Assignee
NGK Spark Plug Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高耐電圧性及び高耐熱衝撃性を共に備えるス
パークプラグ用絶縁体、更に、この絶縁体を備えるスパ
ークプラグを提供する。 【解決手段】 中心粒径が0.4μmのアルミナ粉末、
希土類元素酸化物粉末、SiO、B、CaO、
BaO、MgO等の各粉末を所定割合で含有するスラリ
ーを得、これを造粒した造粒物を成形し、得られた成形
体を切削加工した後、大気雰囲気で1500〜1650
℃で、1〜8時間焼成してスパークプラグ用絶縁体を得
る。得られた絶縁体は、構成成分全体を100質量%と
した場合に、Alを酸化物換算含有割合で95質量%以
上含有し、希土類元素及びSiを各々の酸化物換算含有
割合の比(RRE/RSi)で0.1〜1.0で含有
し、更に、切断面1mmあたりに存在する最大長さが
10μm以上であり且つアスペクト比が3以上である粒
子は10個未満となる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はスパークプラグ用絶
縁体及びこれを用いたスパークプラグに関する。更に詳
しくは、高い耐電圧性と高い耐熱衝撃性とを併せ持つス
パークプラグ用絶縁体及びこのスパークプラグ用絶縁体
を備え、絶縁破壊及び割れ等を生じることのない高い耐
久性を有するスパークプラグ、更には、小型化(小径
化)した場合にもこの高い耐久性を保持するスパークプ
ラグに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車エンジン等の内燃機関で用いられ
るスパークプラグは、中心電極と主体金具との間を絶縁
するスパークプラグ用絶縁体(以下、単に「絶縁体」と
もいう)を備える。この絶縁体は、内燃機関の燃焼室内
にて生じる火花放電に起因した燃焼ガス温(約2000
〜3000℃)の影響により、500〜700℃程度の
熱間に曝される。そのために、絶縁体にあっては室温か
ら上記高温にわたる範囲内にて十分な耐電圧性と耐熱衝
撃性とを併せ持つ必要がある。とりわけ、近年では内燃
機関の高出力化やエンジンの小型化に伴い吸排気バルブ
の占有面積の大型化や4バルブ化が検討されており、ス
パークプラグの小型化(小径化)が要求されている。そ
のために絶縁体についても肉厚を薄肉化することが要求
されると同時に、これまで以上に優れた耐電圧性と耐熱
衝撃性とを併せ持つことが必要とされている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、絶縁体は、
従来より耐電圧性及び耐熱性に優れるアルミナを主成分
としたアルミナ基焼結体により構成されている。そし
て、絶縁体(アルミナ基焼結体)を形成するにあたり、
焼結性を向上させるためにSiO−MgO−CaOの
三成分系焼結助剤が添加されるのが普通である。しか
し、この三成分系焼結助剤を用いると上記3成分のうち
のとりわけSi成分が、焼結後のアルミナ粒子の粒界に
低融点ガラスとなって残存する。そのために、絶縁体が
700℃程度の熱間に曝されると、この低融点ガラスの
軟化により耐電圧性が低下するという問題がある。
【0004】これに対して、特開昭63−190753
号公報では、Si成分を含有させず、酸化ランタン、酸
化イットリウム及びマグネシアの少なくとも1種を含有
することで耐電圧性を向上させる技術が開示されてい
る。しかし、この技術では高流動性の液相を発生させる
Si成分を含有しないため、焼成時にアルミナ粒子が均
一に且つスムーズに粒成長し難い。このため、絶縁体を
複数個製造した際に得られる絶縁体毎に機械的強度や耐
電圧性においてばらつきが生じるという問題がある。こ
の理由としては焼成時にアルミナ粒子が均一に且つスム
ーズに粒成長し難いがために、液相(粒界相)によるア
ルミナ粒子同士の強固な結合を伴った粒成長が促進され
ないためと思われる。但し、一般に粒成長が促され過ぎ
ると耐熱衝撃性が低下することも知られている。
【0005】本発明は上記事情に鑑みてなされたもので
あり、高い耐電圧性及び高い耐熱衝撃性を併せ持つスパ
ークプラグ用絶縁体を提供することを目的とする。更
に、この絶縁体を備え、絶縁破壊及び割れ等を生じない
高い耐久性を有するスパークプラグ、更には、小型化し
た場合にもこの高い耐久性を保持するスパークプラグを
提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、焼結性を
向上させることができるSi成分を含有しつつも、高濃
度にAlを含有し、高い耐電圧性及び高い耐熱衝
撃性を備える絶縁体を得るべく検討を行った。その結
果、Si成分を含有する場合であっても希土類元素成分
を含有することで耐電圧性と耐熱衝撃性とが両立される
場合があることを見出した。更に、希土類元素成分とS
i成分を含有する場合であっても、粒成長が過度に抑制
され単に小さなアルミナ粒子からなる絶縁体では耐電圧
性と耐熱衝撃性との両立は困難であることが分かった。
そして、希土類元素成分及びSi成分を特定の割合で含
有し、特有の組織構造を呈することで特に高いレベルで
耐電圧性と耐熱衝撃性とを両立できることを見出し、本
発明を完成させた。
【0007】本第1発明のスパークプラグ用絶縁体は、
構成成分全体を100質量%とした場合に、Al成分の
酸化物換算含有割合が95〜99.8質量%であり、且
つ希土類元素成分及びSi成分を、希土類元素成分の酸
化物換算含有割合(RRE)と、Si成分の酸化物換算
含有割合(RSi)との比(RRE/RSi)が0.1
〜1.0となるように含有し、更に、切断面1mm
たりに存在する最大長さが10μm以上であり且つアス
ペクト比が3以上であるアルミナ粒子が10個未満であ
ることを特徴とする。
【0008】上記「Al成分」は、主にAlとし
て絶縁体中に含有される。これにより高い耐電圧性及び
耐熱性を備える。95質量%未満であると十分な耐電圧
性と耐熱衝撃性の両方を兼ね備える難く、99.8%を
超えると焼結が困難となり好ましくない。尚、Al成分
の酸化物換算はAlとして行うものとする。
【0009】上記「希土類元素」(以下、希土類元素す
べてを表す元素記号とし「RE成分」を用いる)とは、
スカンジウム、イットリウム及びランタノイド15種の
合計17種の元素をいう。このRE成分が製造時に含有
されていることにより、アルミナの粒成長が過度に生じ
ないように抑制できる。上記「Si成分」は、製造時に
含有されていることによりアルミナの焼結性を高め、ア
ルミナ粒子の粒成長を促進できる。尚、RE成分のなか
でも、Nd、La、Ce、Y、Pr及びDyのうちの少
なくとも1種が含有されることが好ましく、特にNdが
含有されることが好ましい。Ndを含有する絶縁体は、
高温において(600〜800℃)耐電圧値のばらつき
が小さいため好ましい。
【0010】そして、これらSi成分及びRE成分は、
Si成分の酸化物換算含有割合であるRSiと、希土類
元素の酸化物換算含有割合であるRREとの比(以下、
単に「RRE/RSi」という)が0.1〜1.0であ
るように含有される。このR RE/RSiが0.1未満
となると粒成長を抑制する効果が得られないことがあ
り、一方、1.0を超えると過度に粒成長が生じること
があるために、耐電圧性及び耐熱衝撃性の少なくとも一
方が低下する傾向にある。
【0011】尚、上記Si成分の酸化物換算はSiO
として行う。また、その含有割合は、構成成分全体を1
00質量%とした場合の割合として算出する値である。
更に、RE成分の酸化物換算は、CeはCeOとし
て、PrはPr11として行うが、これら以外の元
素についてはREとして行う。また、その含有割
合は、Si成分と同様な値である。
【0012】また、Si成分は酸化物換算で0.1〜3
質量%含有されることが好ましく、RE成分は酸化物換
算で0.01〜1質量%含有されることが好ましい。つ
まり、Si成分及びRE成分が同時に含有され、且つ特
定の割合で含有されることにより、焼成時にアルミナ粒
子の粒成長を適度に促進し、一方でその粒成長を適度に
抑制できる。このため、後述するようなアスペクト比の
大きなアルミナ粒子がほとんど存在せず、均一なアルミ
ナ粒子による組織構造を呈する絶縁体を得ることができ
る。更に、RE成分とSi成分とは焼成時にお互いに相
俟ってRE−Si系ガラス(希土類ガラス)を形成する
ものと考えられる。このRE−Siガラスは高融点であ
るため粒界相の融点を向上させ、絶縁体が700度程度
の熱間に曝された場合にも、粒界相の軟化を効果的に抑
制できるものと考えられる。従って、絶縁体は高い耐電
圧性及び高い耐熱衝撃性を併せ有するものとなる。
【0013】本発明の絶縁体にはAl成分、Si成分、
RE成分の他にも、B及びTiの少なくとも1種が含有
されてもよい。これらを含有する場合(構成成分全体を
100質量%とする)BはB換算で0〜0.4質
量%、TiはTiO換算で0〜0.1質量%の範囲で
あることが好ましい。これらB及びTiは製造時に配合
されていることで焼結助剤として機能でき、焼結性を高
める役割を果たすこととなる。
【0014】更に、上記B及びTi以外にも、Ca、B
a及びSrのうちの少なくとも1種が含有されていても
よい。これらを含有する場合(構成成分全体を100質
量%とする)CaはCaO換算で0.1〜2.5質量
%、BaはBaO換算で0〜0.2質量%、SrはSr
O換算で0〜2.5質量%の範囲であることが好まし
い。これらCa、Ba、Srの含有により絶縁体の高温
強度を向上させることができる。
【0015】更に加えて、Mg、Mn及びNiのうちの
少なくとも1種が含有されてもよい。これらを含有する
場合(構成成分全体を100質量%とする)MgはMg
O換算で0〜1質量%、MnはMnO換算で0〜1質量
%、NiはNiO換算で0〜1質量%の範囲であること
が好ましい。これらMg、Mn、Niは製造時に配合さ
れていることにより焼成において希土類元素成分と共
に、アルミナ粒子の過度な粒成長を抑制できる。
【0016】一方、本発明の組織構造において、上記
「アスペクト比」は、アルミナ粒子の最大長さと長辺と
が等しくなるように、アルミナ粒子に外接する長方形を
描いた場合に、この長方形の長辺の長さを短辺の長さで
除した値である。最大長さが10μm以上であり且つア
スペクト比が3以上であるアルミナ粒子が、切断面1m
あたりに存在する数は、5個以下であることが好ま
しい。このようなアルミナ粒子が、切断面1mmあた
りに10個以上存在すると、熱衝撃によるクラックの進
展が早いために、耐熱衝撃性が低下する傾向にある。
【0017】また、本第1発明の絶縁体は、切断面1m
あたりに存在する最大長さが80μm以上であるア
ルミナ粒子が5個以下である組織構造を呈することが好
ましい。最大長さが80μm以上であるアルミナ粒子の
数が少ないことにより耐電圧性が低下することなく、高
い耐熱衝撃性を有する絶縁体が得られる。
【0018】更に、切断面1mmあたりに存在する最
大長さが50μm以上であるアルミナ粒子が30個以下
である組織構造を呈することが好ましい。最大長さが5
0μm以上であるアルミナ粒子の数が少ないことにより
耐電圧性が低下することなく、高い耐熱衝撃性を有する
絶縁体が得られる。
【0019】また、第4発明のように、平均粒径は2〜
50μm(より好ましくは3〜30μm)であることが
好ましい。この平均粒径が2μm未満であると焼結が不
十分であるために機械的強度が低下する傾向にあり、5
0μmを超えるとアルミナ粒子の異常粒成長により、絶
縁体に絶縁破壊の起点となる粗大な気孔が生じ易くなる
傾向にあり好ましくない。
【0020】尚、本第1〜4発明の絶縁体の形状は特に
限定されないが、例えば、図1に示すものとするするこ
とができる。即ち、外形状は、後方側(図中上側)から
順番に、滑らかな凹凸状に成形されたコルゲーション部
2aを有し、コルゲーション部2aと絶縁体の中央部に
形成されたフランジ部2cとの間は本体部2bにより形
成され、次いでフランジ部2cを有し、フランジ部2c
よりも前方側には本体部2bよりも細径に成形された第
1軸部2eを有し、この第1軸部2eの更に前方側には
更に細径の第2軸部2gを有する。また、絶縁体の内形
状は、後方側(図中上側)から順番に、、後述する端子
電極7等を嵌め込むため大径部分と、後述する中心電極
3を嵌め込むための細径部分とを備える貫通孔6を有す
る。
【0021】また、その大きさは以下のものとすること
が好ましい(図1参照)。即ち、全長L1は30〜75
mm、第1軸部2eの長さL2は0〜30mm(但し、
フランジ部2cとの接続部2dを含まず、第2軸部2g
との接続部2fを含む)、第2軸部2gの長さL3は2
〜27mm、本体部2bの外径D1は9〜13mm、フ
ランジ部2cの外径D2は11〜16mm、第1軸部2
eの外径D3は5〜11mm、第2軸部2gの基端部外
径D4は3〜8mm、第2軸部2gの先端部外径D5
(但し、先端面外周縁にR乃至面取りが施される場合
は、中心軸を含む断面においてR部ないし面取り部の基
端位置における外径)は2.5〜7mm、本体部2bに
おける貫通孔6の内径D6は2〜5mm、第2軸部2g
における貫通孔6の内径D7は1〜3.5mm、第1軸
部2eの肉厚t1は0.5〜4.5mm、第2軸部2g
の基端部肉厚t2は0.3〜3.5mm、第2軸部2g
の先端部肉厚t3(但し、先端面外周縁にR乃至面取り
が施される場合は、中心軸を含む断面において、R部乃
至面取り部の基端位置における肉厚)は0.2〜3m
m、第2軸部2gの平均肉厚tA{=(t2+t3)/
2}は0.25〜3.25mm。
【0022】また、本第1〜4発明の絶縁体の製造方法
は特に限定されないが、例えば、以下のように製造する
ことができる。即ち、中心粒径が0.1〜2μmのアル
ミナ粉末(Al純度99.8%以上)と、中心粒
径が0.1〜10μmの希土類元素酸化物粉末(希土類
酸化物純度99.8%以上)と、中心粒径が0.1〜2
μmのシリカ粉末(SiO純度99.8%以上)と、
必要であればその他の粉末(酸化ホウ素粉末、酸化チタ
ン粉末、酸化カルシウム粉末、酸化バリウム粉末、酸化
ストロンチウム粉末、酸化マグネシウム粉末、酸化ニッ
ケル粉末等)を所定割合で配合し、次いで、親水性結合
剤(ポリビニルアルコール、水溶性アクリル樹脂、アラ
ビアゴム、デキストリン等を単独又は混合して用いるこ
とができる)と溶媒(水、アルコール等を単独又は混合
して用いることができる)とを添加し、混合してスラリ
ーを調合する。尚、上記中心粒径とはレーザー粒度分布
計(株式会社日機装社製、形式「マイクロトラックFR
A」)により粒度分布を計測し、この粒度分布における
50%分布するアルミナ粒子の粒子径である。
【0023】次いで、得られたスラリーをスプレードラ
イ法等により噴霧乾燥して平均粒径130〜200μm
(好ましくは50〜150μm)に造粒する。この造粒
物を成形して成形体を得る。得られた成形体を必要に応
じて切削、研磨等により所望の形状に加工し、その後、
大気雰囲気で1400〜1800℃(より好ましくは1
500〜1750℃)、1〜8時間(より好ましくは3
〜7時間)焼成して絶縁体得る。
【0024】上記アルミナ粉末の中心粒径が2μmを超
えると十分に緻密化させることが困難であり、得られる
絶縁体の耐電圧性が低下する傾向にある。更に、アルミ
ナ以外の成分の配合においては、上記のように必ずしも
酸化物として添加する必要はなく、複数の添加目的元素
を含有する複合酸化物や、大気下における焼成後に酸化
物となる各元素の水酸化物、炭酸塩、塩化物、硫酸塩、
硝酸塩、リン酸塩等として配合してもよい。また、これ
らアルミナを除く各化合物の配合における各化合物の中
心粒径は1μm以下とすることが好ましい。更に、溶媒
及びバインダーの配合割合は、原料粉末を100質量部
とした場合に、溶媒が水である場合は40〜120質量
部(更には50〜100質量部)、バインダーは0.1
〜5質量部(更には0.5〜3質量部)の各割合とする
ことができる。
【0025】上記焼成温度は、1400℃未満では十分
に緻密化させることができず、1800℃を超えると焼
成中にアルミナ粒子が異常粒成長し易く、得られる絶縁
体の耐電圧性及び機械的強度が共に低下する傾向にあ
る。また、焼成時間が1時間未満であると十分に緻密化
させることができず、8時間を超えると焼成中にアルミ
ナ粒子が異常粒成長し、耐電圧性が低下する傾向にあ
る。更に、上記焼成温度は上記焼成時間中一定であって
も、また、上記範囲内で適宜変化させてもよい。
【0026】第5発明のスパークプラグは、軸状の中心
電極と、該中心電極の側周面に配置された主体金具と、
該主体金具に一端側が連接し、他端側が該中心電極と対
向するように配置された接地電極と、該中心電極及び該
主体金具との間を絶縁するように配置された第1発明乃
至第4発明のうちのいずれかに記載のスパークプラグ用
絶縁体とを備えることを特徴とする。
【0027】スパークプラグの構成及び形状は上記以外
には特に限定されないが、例えば、図2に示すようなス
パークプラグとすることができる。即ち、絶縁体2の貫
通孔6内には、軸状に伸びる中心電極3と、抵抗体8
と、端子電極7とを備える。また、この絶縁体2の外周
には炭素鋼(JIS−G3507)等により形成された
主体金具4を備える。この主体金具4はその一端側が溶
接等により連接され、他端側が中心電極3と僅かな隙間
を介して対向するように配置された略L字状の接地電極
5を備える。
【0028】特に、本第1乃至第4発明のうちのいずれ
か1項に記載の絶縁体を備えるため第6発明のように、
通常、内燃機関にスパークプラグを取り付けるために主
体金具4の一部に螺刻された取り付けネジ部4aの呼び
がM12以下であるスパークプラグにおいても十分な耐
電圧性及び耐熱衝撃性を備えることができる。このよう
な取り付けネジ部4aの呼びがM12以下であるスパー
クプラグは、絶縁体も必然的に小径である。このため絶
縁体はより薄肉な部分を有することとなるが、この様な
場合にも十分な耐電圧性及び耐熱衝撃性を保持できる。
尚、取り付けネジ部4aの呼びとは図2におけるD8で
ある。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明を実施例により更に
詳しく説明する。 [1]スパークプラグ用絶縁体 (1)絶縁体の製造(実施例1〜32、比較例1〜8) 表1〜3に示す配合量で、アルミナ粉末(Al
度99.8%以上)、シリカ粉末(SiO)、酸化ホ
ウ素粉末(B)、酸化チタン粉末(TiO)、
酸化カルシウム粉末(CaO)、酸化バリウム粉末(B
aO)、酸化ストロンチウム粉末(SrO)、酸化マグ
ネシウム粉末(MgO)、酸化ニッケル粉末(Ni
O)、酸化ランタン粉末(La)、酸化セリウム
粉末(CeO )、酸化ネオジウム粉末(Nd
)、酸化イットリウム粉末(Y)を配合し
原料粉末とした。その後、この原料粉末を100質量部
として、ボリピニルアルコール2質量部と水70質量部
とを添加し、アルミナ製ボールを用いたボールミルにて
湿式混合してスラリーを調合した。尚、用いたアルミナ
粉末の中心粒径はいずれにおいても0.4μmである。
また、これらのアルミナ粉末はいずれも純度が99.8
%以上である。
【0030】得られたスラリーをスプレードライ法によ
り噴霧乾燥した後、ふるいにより粒径10〜355μm
に整粒し、次いで、得られた造粒物をラバープレス型内
に充填し、貫通孔6形成用のラバープレスピンを挿入し
ながら約100MPaに加圧するラバープレス成形を行
って成形体を得た。得られた成形体の外周をレジノイド
砥石等により切削加工し、図1に示すような所定の形状
に加工し、その後、大気雰囲気下で表4〜8に示す温度
で6時間焼成した。次いで、釉薬をかけて釉焼して絶縁
体2(実施例1〜32、比較例1〜8の合計40種類)
を得た。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
【表3】
【0034】(2)得られた絶縁体の形状及び寸法 (1)で得られた絶縁体2は貫通孔6を備える。この貫
通孔6は、中心電極3が配置する細径部分と、その後方
側(図中上方側)に位置し、抵抗体8及び端子電極7が
配置する大径部分とからなる。また、細径部分と大径部
分との間には、中心電極3の固定用凸部3aを受けるた
めの受け面2hが曲面状に形成されている。更に、絶縁
体の軸方向中央部にはフランジ部2cが形成されてい
る。
【0035】また、絶縁体の各部の寸法は以下の通りで
ある。全長L1:約60mm、第1軸部2e長さL2:
約10mm、第2軸部2gの長さL3:約14mm、本
体部2bの外径D1:約11mm、フランジ部2cの外
径D2:約13mm、第1軸部2eの外径D3:約7.
3mm、第2軸部2gの基端部外径D4:5.3mm、
第2軸部2gの先端部外径D5:4.3mm、本体部2
bにおける貫通孔6の内径D6:3.9mm、第2軸部
2gにおける貫通孔6の内径D7:2.7mm、第1軸
部2eの肉厚t1:1.7mm、第2軸部2gの基端部
肉厚t2:1.3mm、第2軸部2gの先端部肉厚t
3:0.9mm、第2軸部2gの平均肉厚tA:1.1
mm。
【0036】(3)得られた絶縁体の組織構造 (1)で得られた実施例1〜32及び比較例1〜8の絶
縁体を各々3mm四方の大きさで、厚さ1mmに切り出
し、一面を鏡面研磨した。次いで、電子顕微鏡(株式会
社日本電子社製、型式「JSM5800LV」)により
300倍に拡大して、異なる二次電子像を撮影して実際
の寸法において縦300μm、横400μmが映し出さ
れた電子顕微鏡写真(以下、単に「SEM写真」とい
う)を4枚得た。その後、このSEM写真に映し出され
ているアルミナ粒子について、最大長さが10μm以上
であり、且つアスペクト比が3以上であるアルミナ粒子
の数、最大長さが50μm以上であるアルミナ粒子の
数、最大長さが80μm以上であるアルミナ粒子の数、
の各々を前記の方法で算出した。この結果を表4〜8に
示し、平均を算出した。更に、上記同様にして得られた
異なる4視野のSEM写真上に、実寸法で100μmに
相当する直線を1本づつ引き、各直線下に存在するアル
ミナ粒子の数と、それらアルミナ粒子の各最大長さを測
定し、この最大長さを平均し、更に4視野分の平均値を
平均粒径として算出する。前記の方法により平均粒径を
算出した。この結果を表4〜8に併記した。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
【表6】
【0040】
【表7】
【0041】
【表8】
【0042】[2]スパークプラグ (1)スパークプラグの製造 [1]で得られた絶縁体を用いて、図2に示すようなス
パークプラグ100を製造した。即ち、絶縁体2の貫通
孔6の細径部分に中心電極3を挿入した後、導電性ガラ
ス粉末を充填し、その後、貫通孔6内に押さえ枠を挿入
して充填したガラス粉末を予備圧縮し、導電性ガラス粉
末層(加熱後、導電性ガラス層10)を形成する。次い
で、貫通孔6の大径部分に抵抗体用原料粉末を充填して
同様に予備圧縮し抵抗体8となる層を形成する。更に、
上記と同様にして導電性ガラス粉末層(加熱後、導電性
ガラス層9)を形成する。その後、釉薬層2iとなる釉
薬を塗布し、組立体を得る。
【0043】得られた組立体を炉内に入れてガラス軟化
点以上である800〜950℃の所定温度に加熱し、そ
の後、端子全具7を貫通孔6の大径部分内へ中心電極3
と反対側から軸方向に圧入して導電性ガラス粉末層及び
抵抗体8となる層を軸方向にプレスする。この時の加熱
により、釉焼され釉薬層2iが同時に形成される。その
後、得られた加熱後の組立体に、接地電極5等が固着さ
れた主体金具4を組み付け、主体金具4の後端を加締め
ることにより固定してスパークプラグ100を得る。
【0044】(2)スパークプラグの構成 (1)で得られたスパークプラグ100は、図2に示す
ように、絶縁体2内に設けられた貫通孔6内に、中心電
極3と、中心電極3と電気的に接続された導電性ガラス
層10と、抵抗体8と、端子電極7と、端子電極7と電
気的に接続された導電性ガラス層9とを備える。更に、
絶縁体2の外周面の一部を覆うように主体金具4が配設
されている。この主体金具4は、絶縁体2の第1軸部2
eと第2軸部2gとが交わる部分において接続部2fが
形成され、主体金具4内側の係合部4bと環状板パッキ
ン11を介している。また、絶縁体2の軸方向中央部に
形成されたフランジ部2c後方においては、環状P線パ
ッキン12、粉末滑石13、環状線パッキン14をそれ
ぞれ介している。
【0045】[3]特性評価 (1)耐電圧性試験 [1]で得られた絶縁体を備える[2]で得られた40
種類のスパークプラグから各1種につき4本を、排気量
660cc、4気筒のガソリンエンジンに各々取り付け
た。その後、エンジンのスロットルを全開にし、回転数
6000rpm、放電電圧35kVに保ちながら連続運
転させた。この状態においてエンジン始動時からスパー
クプラグに火花貫通が起こるまでの時間(最大40時
間)を測定し、その結果を表4〜8に示した。表4〜8
において、「△」は10時間以上40時間未満で火花貫
通したことを示し、「○」は40時間以上経過しても火
花貫通を生じなかったことを示す。
【0046】(2)耐熱衝撃性試験 [1]で得られた絶縁体を備える[2]で得られた40
種のスパークプラグを、図3に示すような耐熱衝撃性試
験装置に取り付けた。その後、放射温度計20によりス
パークプラグ100の第2軸部2gの部分の表面温度を
測定しながら、この温度が1000℃に1分間保持され
るようにバーナー21により加熱し、次いで、この温度
が250℃に10秒間保持されるように送風口22より
送風して冷却することを1サイクルとして10サイクル
ずつ繰り返した。各10サイクル毎に蛍光探傷検査を行
いクラックの有無を検査した。その結果を表4〜8に示
す。表4〜8における「×」は19サイクル以下でクラ
ックを生じたことを示し、「△」は20〜39サイクル
でクラックを生じたことを示し、「○」は40〜50サ
イクルでクラックを生じたことを示す。
【0047】表4〜8の結果より、RRE/RSi
0.1〜1.0であり、且つアスペクト比が3以上であ
るアルミナ粒子が1mmあたりに10個以上存在しな
い絶縁体を備える実施例1〜32のスパークプラグは十
分な耐電圧性を有していることがわかる。このようなス
パークプラグでは耐熱衝撃性試験の評価はいずれも△又
は○であり高い耐熱衝撃性を有していることが分かる。
また、このような性能を発揮している絶縁体において
は、その平均粒径がいずれも7〜17μmと比較的大き
いことが分かる。更に、アスペクト比が3以上であるア
ルミナ粒子も多くの絶縁体で存在せず、存在しても多く
て9個である。また、最大長さが50μm以上であるア
ルミナ粒子も多くの絶縁体で存在していない。更に、最
大長さが80μm以上であるアルミナ粒子はいずれの絶
縁体においても全く存在していない。
【0048】これに対して、比較例1〜8では十分な耐
電圧性又は十分な耐熱衝撃性の一方を有しているものは
あるが、これら両方を同時に備えるものは認められな
い。比較例1〜8では、実施例1〜32と比べてアスペ
クト比が大きなアルミナ粒子、最大長さが50μm以上
のアルミナ粒子、最大長さが80μm以上のアルミナ粒
子の各々の数が多いことが分かる。
【0049】尚、本発明においては、上記の具体的実施
例に示すものに限られず、目的、用途に応じて本発明の
範囲内で種々変更した実施例とすることができる。即
ち、スパークプラグ100における抵抗体8は備えなく
てもよい。また、主体金具4に固着される接地電極5は
1つに限らず、複数個備えた多極電極であってもよい。
【0050】
【発明の効果】本第1発明によると、高い耐電圧性と高
い耐熱衝撃性を備える優れたスパークプラグ用絶縁体を
安定して得る。また、本第5発明によると、上記のよう
な優れた絶縁体をそなえる絶縁破壊及び割れ等を生じな
い高い耐久性を備えるスパークプラグを得る。更に、第
7発明によると、スパークプラグ自体が小径であっても
絶縁破壊及び割れ等を生じない高い耐久性を備えるスパ
ークプラグを得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスパークプラグ用絶縁体の一例の断面
図である。
【図2】本発明のスパークプラグの一例の断面図であ
る。
【図3】本実施例における耐熱衝撃試験の説明図であ
る。
【符号の説明】
100;スパークプラグ、2;スパークプラグ用絶縁
体、3;中心電極、4;主体金具、5;接地電極、2
0;放射温度計、21;バーナー、22;送風口。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 3G019 KA01 4G030 AA07 AA08 AA09 AA10 AA11 AA12 AA13 AA14 AA16 AA29 AA35 AA37 BA12 CA04 GA05 GA14 5G059 AA03 AA04 AA05 AA08 FF02 FF14 GG05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 構成成分全体を100質量%とした場合
    に、Al成分の酸化物換算含有割合が95〜99.8質
    量%であり、且つ希土類元素及びSi成分を、希土類元
    素の酸化物換算含有割合(RRE)と、Si成分の酸化
    物換算含有割合(RSi)との比(RRE/RSi)が
    0.1〜1.0となるように含有し、更に、切断面1m
    あたりに存在する最大長さが10μm以上であり且
    つアスペクト比が3以上であるアルミナ粒子が10個未
    満であることを特徴とするスパークプラグ用絶縁体。
  2. 【請求項2】 切断面1mmあたりに存在する最大長
    さが80μm以上であるアルミナ粒子は5個以下である
    請求項1記載のスパークプラグ用絶縁体。
  3. 【請求項3】 切断面1mmあたりに存在する最大長
    さが50μm以上であるアルミナ粒子は30個以下であ
    る請求項1又は2に記載のスパークプラグ用絶縁体。
  4. 【請求項4】 平均粒径が2〜50μmである請求項1
    乃至3のうちのいずれか1項に記載のスパークプラグ用
    絶縁体。
  5. 【請求項5】 軸状の中心電極と、該中心電極の側周面
    に配置された主体金具と、該主体金具に一端側が連接
    し、他端側が該中心電極と対向するように配置された接
    地電極と、該中心電極及び該主体金具との間を絶縁する
    ように配置された請求項1乃至4のうちのいずれか1項
    に記載のスパークプラグ用絶縁体とを備えることを特徴
    とするスパークプラグ。
  6. 【請求項6】 上記主体金具の取り付けネジ部の呼びが
    M12以下である請求項5記載のスパークプラグ。
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