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JP2001236985A5 - - Google Patents

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【発明の名称】電池の短絡検査方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】正極板と負極板をセパレータを介して積層して構成した極板群を電槽内に挿入して成る電池の短絡検査方法であって、極板群を電槽に挿入する前に極板群を加圧しながら短絡不良を検査することを特徴とする電池の短絡検査方法。
【請求項2】両極板及びセパレータを減圧乾燥した後、極板群を構成することを特徴とする請求項1記載の電池の短絡検査方法。
【請求項3】電池を所定回数サイクル使用した後にセパレータが圧縮される寸法と同等の寸法にセパレータが圧縮されるまで極板群を加圧することを特徴とする請求項1又は2記載の電池の短絡検査方法。
【請求項4】短絡不良検査は、正負極間に所定の電圧を印加し、通電する電流を測定して行うことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の電池の短絡検査方法。
【請求項5】所定電圧は、加圧により圧縮したセパレータの限界電圧の2/3より低い電圧に設定することを特徴とする請求項4記載の電池の短絡検査方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は電池の短絡検査方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、正極板と負極板をセパレータを介して積層して構成した極板群を電槽内に挿入して成る電池における短絡不良の検査方法として、図3に示すように、正極板22と負極板23をセパレータ24を介して積層してなる極板群21を電槽としての電池ケース25内に挿入した状態で、負極板23が接触している電池ケース25と中央の正極板22に接続された正極端子26と間の絶縁抵抗を絶縁抵抗測定器27で測ることによって行う方法が知られている。
【0003】
また、特開平4−138674号公報には、極板群を電槽内に挿入するための2本の押し棒に検査装置を接続して、挿入中又は挿入直後に押し棒間に電圧をかけて短絡検査を行うことが開示されている。
【0004】
また、特開平11−40210号公報には、電池ケース内に極板群を挿入した状態で、電解液を注入前に、正極と負極間に高電圧を印加し、短絡電流による電圧降下によって短絡検査を行うことにより、軽短絡を起こす恐れのある未短絡部分も判別するという検査方法が開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、図3に示したように電池ケース25内に極板群21を挿入した状態で極板群21の絶縁抵抗を測定する方法では次のような問題があった。すなわち、電池を充放電した後には極板に膨潤が発生する一方、極板群21は電池ケース25によって拘束されているため、極板22、23間に介装されているセパレータ24が圧縮された状態となり、その結果充放電後に極板22、23とセパレータ24の間に潜在的に存在していた導電性の異物や極板22、23のバリにより短絡が発生する恐れがあり、そのため電解液の注入前の検査の結果は良品と判断されたものでも、充放電後に短絡不良となる電池が少なくないという問題があった。
【0006】
そのため、電池を完成して充放電を行った後、エージングを入れて、不良品の排出を試みていたが、時間がかかるとともに完成した電池が不良品の場合には全く無駄になり、コスト高の要因となっていた。
【0007】
また、絶縁抵抗を測定する方法では、雰囲気湿度の影響を受け易く、誤判定する恐れがあり、特に高出力設計の電池では判定が難しいという問題があった。
【0008】
また、上記特開平4−138674号公報に開示された検査方法は検査工程を挿入工程と同時に行うことによって生産性は向上しても、上記極板の膨潤により発生する不良品を未然に検出することはできず、また特開平11−40210号公報に開示された検査方法でも、軽短絡を起こす恐れのある未短絡部分を判別できるとは言え、このような問題を高い信頼性をもって的確に検査できるという保証はない。
【0009】
本発明は、上記従来の問題点に鑑み、充放電後の極板の膨潤に起因して短絡不良となる電池も確実に検査できる電池の短絡検査方法を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の電池の短絡検査方法は、正極板と負極板をセパレータを介して積層して構成した極板群を電槽内に挿入して成る電池の短絡検査方法であって、極板群を電槽に挿入する前に極板群を加圧しながら短絡不良を検査するものであり、極板群を加圧することによって充放電後の極板の膨潤によるセパレータの圧縮状態を疑似的に作り出して短絡検査を行うことができ、極板群を電槽に挿入する前の検査で、充放電後の極板の膨潤に起因して短絡不良となる電池を確実に検査でき、極板の膨潤により発生する不良品を未然に検出することができる。
【0011】
また、両極板及びセパレータを減圧乾燥した後、極板群を構成すると、雰囲気湿度の影響を受けず、検査の精度を向上させることができる。
【0012】
また、電池を所定回数サイクル使用した後にセパレータが圧縮される寸法と同等の寸法にセパレータが圧縮されるまで極板群を加圧すると、セパレータは所定回数サイクル使用するとその圧縮状態が安定するため、そに対応した圧縮状態にすることによって極板の膨潤により発生する不良品がかなり後になって発生するという恐れがなく、より信頼性の高い検査を行うことができる。
【0013】
また、短絡不良検査は、正負極間に所定の電圧を印加し、通電する電流を測定して行うと、微細な異物やバリによる潜在的な短絡要因も確実に検査でき、信頼性の高い検査を行うことができる。
【0014】
また、所定電圧を、加圧により圧縮したセパレータの限界電圧の2/3より低い電圧に設定すると、極板群にダメージを与えることなく、厳格な検査を行うことができ、検査の信頼性を向上できる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電池の短絡検査方法の一実施形態について、図1、図2を参照して説明する。
【0016】
図1において、1はニッケル・水素二次電池用の極板群であり、複数枚の正極板2と複数枚の負極板3とを交互に配置するとともに、各正極板2に横方向に開口部を有する袋状のセパレータ4を被せることにより、正極板2と負極板3の間にセパレータ4を介装した状態で積層して構成されている。正極板2及び負極板3は互いに反対側の側縁部が外側に突出されてリード部とされ、両リード部にそれぞれ垂直にニッケル板又はニッケルメッキ鋼板製の正極と負極の集電板5、6が溶接接合されている。
【0017】
正極板2はNiの発泡メタルから成るとともに、そのリード部は発泡メタルを加圧して圧縮しかつその一面にリード板を超音波溶接でシーム溶接して構成されている。また、負極板3はNiのパンチングメタルにリード部を除いて活物質を塗着して構成されている。また、セパレータ4は0.20mm厚さの不織布を袋状に形成して構成されている。なお、これら正極板2、負極板3及びセパレータ4は、極板群1を構成する前に減圧乾燥して後続する短絡検査において雰囲気湿度の影響を受けないようにし、高い検査精度が得られるようにしている。
【0018】
このように構成された極板群1を電槽に挿入する前に加圧治具8とシリンダ装置などの押圧具9とから成る加圧手段7にセットし、集電板5、6を短絡検査装置10のアウトプット端子10a、10bに接続して短絡検査が行われる。
【0019】
短絡検査装置10は、電源11に第1のスイッチ12を介してコンデンサ13を接続し、コンデンサ13と両アウトプット端子10a、10bの間に電流検出器14とスイッチ15を介装して構成されている。
【0020】
短絡検査に際しては、加圧手段7にて極板群1に約4000Nの荷重を負荷することによってセパレータ4の厚さをt1からt2まで圧縮して保持する。この圧縮量は、電池の充放電を繰り返すと、図2に示すように、セパレータ4の厚さが当初のt1から漸次圧縮されるとともに、所定回数サイクル使用した後にはセパレータ4の厚さがt2で安定することに基づいている。通例では、充電放電回数Cが100回程度で安定し、その時には例えば当初の厚さt1=0.20mmであったものが厚さt2=0.13mm程度となる。
【0021】
次に、短絡検査装置10の第2のスイッチ15を開き、第1のスイッチ12を閉じてコンデンサ13に充電し、充電が終わると印加電圧400Vで第1のスイッチ12を開き、第2のスイッチ15を閉じて極板群1に通電し、その際の通電電流を電流検出器14で測定する。通常、良品の場合は短絡電流が流れないため、良否の判定を確実に行うことができる。
【0022】
こうして極板群1の短絡検査を行った後、良品の極板群1のみを上面開口の直方体状の電槽(図示せず)内に電解液とともに収納し、電槽の上面開口を蓋体(図示せず)にて一体的に閉鎖することによって電池が製造される。
【0023】
本実施形態によれば、上記のように極板群1を加圧することによって充放電後の極板2、3の膨潤によるセパレータ4の圧縮状態を疑似的に作り出して短絡検査を行っているので、極板群1を電槽に挿入する前の検査によって、充放電後の極板2、3の膨潤に起因して短絡不良となる電池を確実に検査でき、使用後に発生する不良品を未然に検出することができる。特に、短絡検査時の極板群1の加圧力を、セパレータ4の厚さが電池を所定回数サイクル使用した後に安定する厚さと同等の厚さになるように設定しているので、極板2、3の膨潤により発生する不良品がかなり後になって発生するという恐れがなく、より信頼性の高い検査を行うことができる。
【0024】
また、短絡不良検査は、正負極2、3間にコンデンサ13にて所定の電圧を印加し、その際の通電電流を電流検出器14にて測定して行っているので、微細な異物やバリによる潜在的な短絡要因も確実に検査でき、信頼性の高い検査を行うことができ、特に印加電圧を、圧縮したセパレータ4の限界電圧の2/3より低くかつそれに近い電圧、例えば400V程度の高い電圧に設定しているので、極板群1にダメージを与えることなく、厳格な検査を行うことができ、検査の信頼性を向上できる。
【0025】
また、このように予め短絡検査を行った極板群1を用いて上記のように電池を製造することによって、充放電後の極板2、3の膨潤に起因する短絡不良品を未然に排除でき、信頼性の高い電池を効率的に製造することができる。
【0026】
以上の実施形態の短絡検査方法と、極板群を加圧せずに短絡検査する従来例によって検査した場合について、その短絡検査不良率と1000サイクル使用後の故障率とを次の表1に示す。なお、数値は従来例を100とした指数である。
【0027】
【表1】
Figure 2001236985
【0028】
表1より、本実施形態によって短絡検査時の不良率が高くなるとともに、その分その後の故障率が低下しており、本実施形態によって短絡不良を未然に精度良く検出できることが分かる。
【0029】
【発明の効果】
本発明の電池の短絡検査方法によれば、以上のように極板群を電槽に挿入する前に極板群を加圧しながら短絡不良を検査するので、充放電後の極板の膨潤によるセパレータの圧縮状態を疑似的に作り出して短絡検査を行うことができ、極板群を電槽に挿入する前の検査で、充放電後の極板の膨潤に起因して短絡不良となる電池を未然に確実に検査することができる。
【0030】
また、両極板及びセパレータを減圧乾燥した後、極板群を構成すると、雰囲気湿度の影響を受けず、検査の精度を向上させることができる。
【0031】
また、電池を所定回数サイクル使用した後にセパレータが圧縮される寸法と同等の寸法にセパレータが圧縮されるまで極板群を加圧すると、所定回数サイクル使用してセパレータの圧縮状態が安定した状態に応じた検査を行え、極板の膨潤により発生する不良品がかなり後になって発生するという恐れがなく、より信頼性の高い検査を行うことができる。
【0032】
また、短絡不良検査は、正負極間に所定の電圧を印加し、通電する電流を測定して行うと、微細な異物やバリによる潜在的な短絡要因も確実に検査でき、信頼性の高い検査を行うことができる。
【0033】
また、所定電圧を、加圧により圧縮したセパレータの限界電圧の2/3より低い電圧に設定すると、極板群にダメージを与えることなく、厳格な検査を行うことができ、検査の信頼性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電池の短絡検査方法の一実施形態の概略構成図である。
【図2】電池の充放電回数によるセパレータ厚の変化を示すグラフである。
【図3】従来例の電池の短絡検査方法の説明図である。
【符号の説明】
1 極板群
2 正極板
3 負極板
4 セパレータ
7 加圧手段
10 短絡検査装置
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