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JP2001100000A - X線発生用ターゲット及びx線発生装置 - Google Patents

X線発生用ターゲット及びx線発生装置

Info

Publication number
JP2001100000A
JP2001100000A JP27430199A JP27430199A JP2001100000A JP 2001100000 A JP2001100000 A JP 2001100000A JP 27430199 A JP27430199 A JP 27430199A JP 27430199 A JP27430199 A JP 27430199A JP 2001100000 A JP2001100000 A JP 2001100000A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
target
ray
particles
polymer film
laser
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP27430199A
Other languages
English (en)
Inventor
Yasuhiko Nishimura
靖彦 西村
Akira Mase
晃 間瀬
Kyoji Matsubara
享治 松原
Hirozumi Azuma
博純 東
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Toyota Macs Inc
Original Assignee
Toyota Motor Corp
Toyota Central R&D Labs Inc
Toyota Macs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Motor Corp, Toyota Central R&D Labs Inc, Toyota Macs Inc filed Critical Toyota Motor Corp
Priority to JP27430199A priority Critical patent/JP2001100000A/ja
Publication of JP2001100000A publication Critical patent/JP2001100000A/ja
Pending legal-status Critical Current

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Abstract

(57)【要約】 【課題】ターゲットからの飛散粒子及び浮遊粒子の発生
を抑制する。 【解決手段】高分子フィルムと、高分子フィルムに分散
保持された微粒子状の金属粒子とからターゲット4を構
成した。高分子フィルムに励起用エネルギービームを照
射しても、照射位置の周囲はガス化するだけで飛散粒子
は発生しない。また金属粒子の一粒一粒は全体が容易に
プラズマ化してX線を発生し、一粒の一部がプラズマ化
して残部が飛散粒子となるような場合はほとんど生じな
い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、レーザープラズマ
軟X線、X線レーザーなどを発生させるX線発生装置
と、そのX線発生装置に用いられるターゲットに関す
る。本発明のX線発生装置から取り出されるX線は、X
線光電子分光、X線回折分光、ナノ構造解析、X線顕微
鏡などに利用できる。
【0002】
【従来の技術】近年、真空容器内に配置された所定のタ
ーゲットにレーザービームを照射してX線を発生させる
X線発生装置が知られている。例えばターゲットとして
平板状あるいは円柱状の固体金属を用い、このターゲッ
トの表面にレーザービームを集光させることによって高
密度レーザープラズマを生成し、この自由膨張したプラ
ズマ中から発生するX線をX線光学系を介して外部へ導
く構造のものが知られている。
【0003】また近年、10〜100MW/cm2 以上
の強度をもつ高エネルギーのレーザー光が開発され、こ
のレーザー光を励起用に用いてレーザープラズマ軟X線
を発生させる装置が提案され(特開平7-128500号公報な
ど)、X線リソグラフィやX線顕微鏡などへの応用が期
待されている。
【0004】しかしこのようなX線発生装置では、過熱
による不具合を回避するために数10分以上の間隔をあ
けて間欠的に励起用レーザー光の照射を行っているのが
現状である。これでは連続的に軟X線を取り出すことが
困難であるが、近年、特開平7-94296号公報に開示され
ているように、波形制御されたパルス列の固体レーザー
を用いることにより、1Hz又は10Hzの繰り返しで
レーザープラズマ軟X線を発生させることができるよう
になっている。
【0005】そして米国特許4,700,371 号などには、波
形制御されたパルス列の固体レーザーとテープ形状のタ
ーゲットを用いることにより、真空容器を常圧に戻すこ
となく高頻度で繰り返してレーザープラズマ軟X線を発
生させることが提案されている。
【0006】ところが励起用レーザー光を用いたX線発
生装置では、ターゲットから燃焼分解物や破砕物からな
る飛散粒子がX線と同時に放出され、広範囲の領域に飛
散する。また10MW/cm2 以上の高エネルギーの励
起用レーザー光の場合は、飛散粒子の速度が特に大きく
なり、一層広範囲に飛散する。そしてこの飛散粒子がX
線光学系に付着すると、装置から取り出されるX線量が
減少したり、X線光学系の要素を劣化させる場合があ
る。またレーザー光学系に飛散粒子が付着すると、励起
用レーザー光の利用効率が低減する。さらにテープ形状
のターゲットを用いるなどして、長時間繰り返してレー
ザープラズマ軟X線を発生させる場合には、短時間の間
に多量の飛散粒子が爆発的に発生してX線光学系やレー
ザー光学系に付着するという問題がある。
【0007】そのため従来のX線発生装置では、数十か
ら数千回の励起用レーザー照射毎に真空容器を常圧に戻
し、X線光学系やレーザー光学系に付着した飛散粒子を
除去している。したがって長時間連続してX線を取り出
すことが困難であり、作業性及び生産性が低いという問
題があった。
【0008】そこで特開平4-112498号公報、特開平8-19
4100号公報には、ターゲットとX線光学系との間に高分
子フィルムを介在させ、高分子フィルムを通してX線を
X線光学系へ照射する構成の装置が開示されている。ま
た特開平10-26699号公報には、励起用レーザー入射窓へ
の飛散粒子の付着を阻止するために高分子フィルムを用
いることが提案されている。このようにすれば、飛散粒
子は高分子フィルムに付着して捕捉されるので、飛散粒
子がX線光学系やレーザー光学系に付着するのが防止さ
れ、上記不具合を解決することができる。
【0009】また特開平10-55899号公報には、微粒子状
の金属を励起用レーザー照射位置へ噴射・回収すること
で連続的に軟X線を発生する方法が開示され、特開平10
−221499号公報には微粒子状の金属を含むガスを噴射・
回収する装置を用いて軟X線を発生させる方法が開示さ
れている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】ところが高分子フィル
ムによって飛散粒子をシールドする方法では、真空容器
内を漂う浮遊粒子を完全にシールドすることは困難であ
り、X線リソグラフィやX線光電子分光などに用いられ
るX線光学素子やX線集光光学系に浮遊粒子が侵入する
場合がある。
【0011】また微粒子状の金属を噴射してターゲット
とする方法では、飛散粒子の発生は軽減できるものの、
高輝度軟X線を発生させることが困難であったり、噴射
と励起用レーザーとを同期させることが困難であるなど
の問題がある。
【0012】本発明はこのような事情に鑑みてなされた
ものであり、飛散粒子及び浮遊粒子の発生を抑制するこ
とを主たる目的とする。また本発明のもう一つの目的
は、飛散粒子及び浮遊粒子の発生を抑制しつつ連続的に
X線を発生させることができ、かつ励起用レーザーと同
期してターゲットを容易に供給できるX線発生装置を提
供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決する本発
明のX線発生用ターゲットの特徴は、X線発生装置内に
配置されエネルギービームの照射によりX線を発生する
ターゲットであって、高分子フィルムと、高分子フィル
ムに分散保持された微粒子状の金属粒子とを備えたこと
にある。
【0014】本発明のX線発生用ターゲットにおいて、
高分子フィルムは炭素、水素、酸素及び窒素から選ばれ
る少なくとも一種の元素から構成されていることが望ま
しく、厚さは10μm以上であることが望ましい。
【0015】また本発明のX線発生用ターゲットにおい
て、金属粒子の粒子径は0.1〜80μmであり、高分
子フィルムの厚さ方向に5〜10μmの厚さとなるよう
に保持されていることが望ましい。
【0016】そして本発明のX線発生装置の特徴は、真
空容器と、真空容器内に配置されたターゲットと、ター
ゲットにエネルギービームを照射するビーム照射手段
と、真空容器に連通して設けられターゲットから発生し
たX線を導くX線光学系と、よりなるX線発生装置にお
いて、ターゲットは上記したX線発生用ターゲットであ
り、ターゲットをエネルギービームの照射位置に連続的
又は間欠的に供給するターゲット駆動装置をもつことに
ある。
【0017】
【発明の実施の形態】特開平10-55899号公報などに記載
されている方法によれば、金属微粒子をエネルギービー
ムの照射位置へ噴射することにより、飛散粒子や浮遊粒
子の発生を抑制することができる。しかしこの方法で
は、ビームが照射されなかった金属微粒子の回収手段が
必要となる。そこで本発明者らは、金属微粒子を基板テ
ープ材に保持した状態で供給することを想起し、さらに
ビームが照射されても飛散粒子や浮遊粒子を発生しない
気体化しやすい軽元素からなる基板テープを用いること
を想起した。そして鋭意研究の結果、本発明を完成した
ものである。
【0018】すなわち本発明のX線発生用ターゲット
は、高分子フィルムと、高分子フィルムに分散保持され
た微粒子状の金属粒子とから構成されている。高分子フ
ィルムにエネルギービームが照射されると、そのエネル
ギーによってプラズマ化されるだけでなく、ある種類の
高分子フィルムでは、照射位置の周囲はガス化するだけ
で飛散粒子は発生しないことが明らかとなった。
【0019】一方、微粒子状の金属粒子にエネルギービ
ームが照射されると、レーザー光の集光サイズ以下であ
る金属粒子の一粒一粒は全体が容易にプラズマ化してX
線を発生する。すなわち金属粒子は微粒子であるため、
一粒の一部がプラズマ化して残部が飛散粒子となるよう
な場合はほとんど生じない。したがって金属粒子からの
飛散粒子や浮遊粒子の発生も抑制されている。したがっ
て本発明のX線発生用ターゲットを用いることにより、
飛散粒子及び浮遊粒子の発生を大幅に抑制することがで
きる。
【0020】そしてエネルギービームが照射されなかっ
た部分に存在していた金属粒子は、高分子フィルムに保
持された状態で残るため、真空容器内を汚染することな
く、交換・回収がきわめて容易である。
【0021】高分子フィルムの材質としては、エネルギ
ービームが照射されたときに容易にガス化するものが望
ましく、炭素、水素、酸素及び窒素から選ばれる元素か
ら構成されたものが望ましい。このような高分子フィル
ムを用いれば、エネルギービームが照射されたときにC
O、CO2 、H2 O、N2 などとなって容易にガス化
し、飛散粒子及び浮遊粒子が生じない。このような高分
子フィルムとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、
ポリイミド、パリレンなどが例示される。
【0022】この高分子フィルムの厚さは、10μm以
上であることが望ましい。厚さが10μm未満である
と、エネルギービームの照射位置の周囲が広範囲にわた
って破断するため、後述のターゲット駆動装置を用いて
連続的又は間欠的にターゲットを供給することが困難と
なる。10μm以上の厚さであれば、エネルギービーム
の照射位置が溶融するだけで、その周囲の破断を防止す
ることができる。なお厚さの上限は制限されないが、タ
ーゲット駆動装置による供給のし易さ、製造のし易さな
どを考慮すると、数百μm以下とするのが好ましい。
【0023】微粒子状の金属粒子の材質としては種々の
金属を用いることができ、金属の種類によって発生する
X線のスペクトルが異なる。したがって目的とするX線
のスペクトルに応じて、アルミニウム、マグネシウム、
銅、シリコン、チタンなど種々の金属を用いることがで
きる。
【0024】微粒子状の金属粒子の粒子径は0.1〜8
0μmであり、高分子フィルムの厚さ方向に5〜10μ
mの厚さとなるように保持されていることが望ましい。
粒子径が0.1μm未満であると発生するX線の強度が
小さくなり、80μmを超えるとプラズマ化しなかった
部分がエネルギービームのエネルギーによって溶融し金
属粒子どうしが融合して部分的に粒子径が100μm以
上の粗大粒子が生成するため、飛散粒子や浮遊粒子が発
生するようになる。
【0025】また金属粒子が高分子フィルムの厚さ方向
に5μm未満となるように保持されていると、金属量が
少なすぎて発生するX線の強度が小さく、10μmを超
える厚さとなるように保持されていると、金属量が過剰
となって飛散粒子や浮遊粒子が発生するようになる。
【0026】また金属粒子の形状は、箔状、球状、不定
形など特に制限されない。そして金属粒子は高分子フィ
ルム全体に分散保持してもよいし、表面のみに保持する
こともできる。高分子フィルム表面に保持するのであれ
ば金属粒子は箔状とするのが望ましく、高分子フィルム
中に保持するのであれば球状とするのが特に望ましい。
【0027】微粒子状の金属粒子を製造するには、アト
マイズ法、粉砕法、爆砕法などが例示される。アトマイ
ズ法にはガスアトマイズ法、水アトマイズ法、遠心アト
マイズ法があり、溶融金属を真空中や溶液中に吹出した
り、遠心力により飛散させて微粒子状の金属粒子を製造
することができる。粉砕法は目的とする金属とそれより
硬い金属とを容器中に入れて容器ごと回転あるいは振動
させて粉砕する方法であり、また爆砕法は金属片と爆薬
を容器中に入れて爆発させることで微粒子を製造する方
法である。このうちアトマイズ法によれば比較的整った
球状の微粒子を製造することができ、爆砕法によれば比
較的硬質の金属から微粒子状の金属粒子を製造すること
ができる。
【0028】微粒子状の金属粒子を高分子フィルムに保
持するには、高分子フィルム内に埋設してもよいし、高
分子フィルム表面に付着させることもできる。いずれの
場合も、均一に分散して保持されていることが望まし
い。埋設する場合には、高分子溶液中に金属粒子を混合
してスピンコート法などで成膜する方法、溶融高分子中
に金属粒子を混合してフィルム成形する方法、ラミネー
ト法により2枚の高分子フィルムの間に金属粒子を挟持
する方法などを採用することができる。また高分子フィ
ルムの表面に金属粒子を保持するには、溶融した高分子
フィルムの表面に金属粒子を供給して溶着させる方法、
あるいは接着剤を用いる方法などを採用することができ
る。
【0029】本発明のX線発生装置では、上記した高分
子フィルムと微粒子状の金属粒子とからなるターゲット
を、エネルギービームの照射位置に連続的又は間欠的に
供給するターゲット駆動装置をもつ。このようにすれ
ば、真空容器の真空を解除することなく、長時間連続し
てX線を発生させることが可能となる。
【0030】このターゲット駆動装置は、例えば一対の
リールを用意し、テープ状のターゲットが巻回された一
方のリールから他方のリールに巻き取る構成のものが例
示される。リールの回転駆動を連続的にすれば、ターゲ
ットを照射位置に連続的に供給でき、回転駆動を間欠的
にすれば間欠的に供給することができる。
【0031】またターゲットを比較的面積の大きなシー
ト状とし、それを回転駆動あるいは平行移動させること
で連続的又は間欠的に供給することもできる。あるいは
円柱状の部材表面にシート状のターゲットを巻き付け、
その部材を回転させてもよい。
【0032】ビーム照射手段としては、強度が10MW
/cm2 以上のレーザー光を照射する装置を利用するこ
とができ、レーザー光の種類としては100MW/cm
2 以上のものが特に好ましく、YAGレーザー、ガラス
レーザー、エキシマレーザー、CO2 ガスレーザー、チ
タンサファイアレーザー、色素レーザーなどのレーザー
光を利用できる。100MW/cm2 以上の強度のレー
ザー光を用いれば、2〜40nmの波長の軟X線を効率
よく発生させることができる。
【0033】また真空容器の真空度は、10-10 〜10
-3Paの範囲が一般的に用いられ、X線光学系として
は、X線集光ミラー、X線分光器、波長選択用フィルタ
などが例示される。
【0034】
【実施例】以下、試験例及び実施例により本発明をさら
に具体的に説明する。
【0035】(試験例1:高分子フィルム厚さの検討)
ポリエチレンを有機溶媒に溶解した溶液を用意し、スピ
ンコート法にて成膜して、1μm、5μm、10μm、
25μm、50μm、75μm、100μm及び150
μmの8種類の厚さのポリエチレンフィルムを調製し
た。そしてそれぞれのポリエチレンフィルムに、10H
zの繰り返し周波数で数100MW/cm 2 の高エネル
ギーの励起用レーザー光を照射し、その状態を観察し
た。
【0036】その結果、1μm及び5μmの厚さのポリ
エチレンフィルムは、照射箇所の周囲が広範囲に破断し
ていたが、10μm以上のものでは照射箇所が溶融した
だけでその周囲の破断はほとんど認められなかった。し
たがってポリエチレンフィルムの厚さは10μm以上と
することが望ましいことがわかる。
【0037】(試験例2:金属粒子の量の検討)厚さ1
mmのアルミニウム金属板をターゲットとしてX線発生
装置に配置し、繰り返し周波数10Hz、エネルギーE
=1J、パルス幅t=7nsの励起用レーザー光を点状
に集光照射して高密度レーザープラズマを生成し、軟X
線を発生させた。このときターゲット上での集光強度は
約480MW/cm2 であった。また照射痕を調査して
1回の照射によってターゲットが剥ぎ取られた量を調べ
た結果、直径約500μm、深さ約100μm相当の量
が剥ぎ取られていた。なお剥ぎ取られた量には、レーザ
ープラズマ軟X線を発生するに必要な量だけでなく、励
起用レーザー光の熱とプラズマによって溶融した量も含
まれている。
【0038】そこで厚さ50μmのポリエチレンフィル
ム表面に、1μm〜50μmの間で厚さの異なる種々の
アルミニウム箔を接合してターゲットを調製した。接合
は、ポリエチレンフィルム表面に有機溶剤を滴下して表
面を溶解しその上にアルミニウム箔を重ねて接着するこ
とにより行った。それぞれのターゲットを用い、上記と
同様にして軟X線を発生させた。その結果、アルミニウ
ム箔の厚さが5μm未満では発生する軟X線の強度が小
さくなったが、5μm以上の厚さであればアルミニウム
金属板と同等の強度で軟X線が発生した。一方、厚さが
厚くなるほど飛散粒子の発生量が多くなる現象も認めら
れ、10μm以下であれば飛散粒子はほとんど発生しな
いことがわかった。
【0039】したがって1回の励起用レーザー光の照射
でレーザープラズマ軟X線を発生させるのに必要な量と
して、5〜10μmの厚さで金属粒子が含まれていれ
ば、飛散粒子の発生がほとんどなく金属板と同等の軟X
線を発生できることがわかった。
【0040】例えば100cm×100cm×50μm
の大きさのターゲットを形成する場合、金属粒子は全体
として100cm×100cm×5〜10μmの体積を
占めるように高分子フィルムに保持する必要があり、1
0μmの厚さとなるように保持した場合の金属粒子の量
は、アルミニウム粒子であれば26.9g、マグネシウ
ム粒子であれば17.4g、銅粒子であれば89.6
g、シリコン粒子であれば23.3gとすればよい。
【0041】(試験例3:金属粒子の粒子径の検討)励
起用レーザー光の集光サイズは、回折限界を考慮すると
約100μmオーダーまで集光可能である。一方、高分
子フィルムに保持された金属粒子は、飛散粒子を発生さ
せないようにするには励起用レーザー光の照射によって
完全にプラズマ化することが必要となる。したがって金
属粒子の粒子径は100μm以下とすることが必須であ
る。
【0042】そこで100μm以下の種々の粒子径のア
ルミニウム粒子を用い、ポリエチレンを有機溶媒に溶解
した溶液中に試験例2で得られた比率となるようにそれ
ぞれ混合して、ドクターブレーズ法にて膜厚50μmと
なるように成膜し、電気炉にて80gで2時間保持し成
形した。そしてこれらをそれぞれターゲットとし、試験
例2と同様にして励起用レーザー光を集光照射したとこ
ろ、アルミニウム粒子の粒子径が0.1μm未満では発
生する軟X線の強度が小さく、90μm以上となると金
属粒子にプラズマ化しない部分が生じ、その部分が溶融
して隣接する金属粒子と融合する現象が認められた。こ
のようになると部分的に100μmを超える金属粒子が
生成し、飛散粒子の発生の原因となる。
【0043】したがって金属粒子の粒子径は、0.1μ
m〜80μmとすることが望ましいことが明らかとなっ
た。
【0044】(実施例1)ガスアトマイズ法を用い、平
均粒子径10μmの球状のアルミニウム粒子を製造し
た。次に、ポリエチレン100gをルイス酸とプロトン
酸と水とアルコールを1:1:2:2の比率で混合した
溶媒120gに溶解した溶液を調製し、それにこのアル
ミニウム粒子約80gを混合した。そしてドクターブレ
ーズ法にて膜厚50μmとなるように成膜し、10cm
×10cmの大きさに裁断してターゲットを調製した。
このターゲット中にはアルミニウム粒子が0.269g
含まれ、その厚さは10μmに相当する。
【0045】このターゲットを用い、試験例2と同様に
して励起用レーザー光を集光照射してレーザープラズマ
軟X線を発生させた。このとき飛散粒子及び浮遊粒子の
発生はほとんど認められなかった。得られたX線のスペ
クトルを図1に示す。なおスペクトル観察にあたって、
平面結像型分光器に膜厚0.2μmの窒化ケイ素を波長
選択フィルタとして用いた。
【0046】(比較例)膜厚50μmのポリエチレンフ
ィルムに蒸着により厚さ10μmのアルミニウム膜を形
成したターゲットを用い、実施例1と同様にしてレーザ
ープラズマ軟X線を発生させた。このときターゲットか
ら飛散粒子が発生したことが認められた。また得られた
X線のスペクトルを図2に示す。
【0047】<評価>図1及び図2より、実施例1のタ
ーゲットを用いて比較例と同等の強度の軟X線を発生さ
せることができることが明らかである。すなわち実施例
1のターゲットを用いれば、金属アルミニウムをターゲ
ットとした場合と同等にX線を発生させることができ、
しかも飛散粒子及び浮遊粒子の発生を抑制することがで
きる。
【0048】(実施例2)ところで実施例1で用いたタ
ーゲットでは、使用済みのターゲットを新品のターゲッ
トに交換する場合には、X線発生装置の真空を常圧に戻
してから交換する必要がある。したがって交換の間はX
線発生装置の駆動を停止しなければならず、長時間連続
してX線を発生させることはできない。
【0049】そこで本実施例のX線発生装置は、ターゲ
ットをエネルギービームの照射位置に連続的又は間欠的
に供給するターゲット駆動装置を備えている。
【0050】図3に本実施例のX線発生装置を示す。こ
のX線発生装置は、一側壁にレーザー入射窓10を備
え、その側壁と90度に交差する側壁に分光器接続ポー
ト11をもつ真空容器1と、真空容器1外部に配置され
た集光レンズ2と、真空容器1内に配置されたターゲッ
ト駆動装置3と、ターゲット駆動装置3に配置されたテ
ープ状のターゲット4と、分光器接続ポート11に連結
された平面結像型斜入射分光器5と、から構成されてい
る。
【0051】真空容器1には図示しない排気装置が接続
され、真空容器1内を10-4Paまで減圧可能とされて
いる。またレーザー入射窓10は石英ガラスから形成さ
れ、真空容器1の側壁に真円形状に形成されている。
【0052】集光レンズ2は、真空容器1外部でレーザ
ー光入射窓10と同軸的に配置されている。そしてター
ゲット4のターゲット法線と、レーザー入射窓10の中
心及び集光レンズ2の中心が同一直線(レーザー光軸)
上に位置し、その延長線上に図示しないレーザー光源が
配置されている。このレーザー光源は、10Hzの繰り
返し周波数で数100MW/cm2 の高エネルギーの励
起用レーザー光を照射するものである。
【0053】ターゲット駆動装置3は、図4に拡大して
示すように、基台30に起動自在に保持された一対のリ
ール31,32と、一対のリール31,32間に介装さ
れたターゲット4と、図示しないモータとから構成され
ている。ターゲット4は実施例1と同様の構成であり、
ポリエチレンフィルムとアルミニウム粒子からテープ状
に形成されている。そしてターゲット4は一方のリール
31に巻回され、モータの連続駆動によって一方のリー
ル31から他方のリール32に巻き取られるように構成
されている。したがって励起用レーザー光が照射された
部分はリール32に巻き取られるので、ターゲット4は
常に新しい部分がレーザー光の集光位置33に位置する
ようになっている。
【0054】なおターゲット4の送り速度は、前述した
ように1回のレーザー光の照射でターゲットは移動方向
に約500μm剥ぎ取られるのであるから、10Hzの
繰り返し周波数でレーザー光が照射される場合は5mm
/秒程度の速度であれば十分である。
【0055】平面結像型斜入射分光器5は、X線集光ミ
ラー50と、スリット51と、回折格子52とをもち、
X線集光ミラー50で集光されたX線がスリット51を
通過し、回折格子52を通過することにより得られたス
ペクトルがX線CCDカメラ53で観察できるように構
成されている。また平面結像型斜入射分光器5内のX線
集光ミラー50はトロイダル反射面を有しており、面に
垂直方向に対してはスリット51で集光し、面に平行方
向に対してはX線CCDカメラ53の位置で集光するよ
うに設計されている。
【0056】このX線発生装置によれば、リール30,
31の回転駆動を連続的にすれば、ターゲット4を励起
用レーザー光の集光位置に連続的に供給でき、回転駆動
を間欠的にすれば間欠的に供給することができる。した
がって長時間の連続駆動が可能となる。
【0057】また実施例1と同様のポリエチレンとアル
ミニウム微粒子とからなるフィルム状のターゲット4を
用いているので、金属アルミニウムをターゲットとした
場合と同等にX線を発生させることができ、しかも飛散
粒子及び浮遊粒子の発生を抑制することができる。これ
によりレーザー入射窓10や平面結像型斜入射分光器5
に飛散粒子や浮遊粒子が付着するのが抑制され、長時間
安定してX線を発生・利用することができる。
【0058】なお、この実施例ではターゲット駆動装置
3を横置き型としたが、図5に示すように縦置き型とし
ても同様の作用効果が奏される。
【0059】(実施例3)実施例2ではターゲット4を
テープ状としたが、本実施例のX線発生装置では図6に
示すようにプレート状のターゲット4を用い、ターゲッ
ト駆動装置3の構成が異なること以外は実施例2と同様
の構成である。
【0060】本実施例のX線発生装置におけるターゲッ
ト駆動装置3は、Xステージ34とYステージ35とよ
りなるX−Yステージと、X−Yステージに保持された
プレート状のターゲット4とから構成されている。この
ターゲット4は実施例1と同様のポリエチレンとアルミ
ニウム粒子とからなるフィルム40が から
形成された平板41に貼着されて構成されている。そし
てフィルム40が励起用レーザー光の光軸に垂直となる
ように配置されている。またXステージ34とYステー
ジ35はそれぞれX方向及びY方向に移動可能であり、
それぞれX方向及びY方向に手動で駆動可能となってい
る。そしてターゲット4がX−Yステージの移動ととも
に移動することで、フィルム40の各部位がレーザー光
集光部33に位置するように構成されている。
【0061】したがって本実施例のX線発生装置によれ
ば、レーザー光の照射毎にXステージ34とYステージ
35を駆動することで、フィルム40の新しい部位をレ
ーザー光集光部33に位置させることができる。したが
って真空容器1の真空を解除することなくターゲットの
交換が可能となっているので、繰り返してレーザー光を
照射することができ、高頻度で繰り返してX線を発生さ
せることができる。
【0062】なお本実施例ではフィルム40を四角形の
平板41に貼着しているが、図7に示すように円板42
に貼着してもよい。この場合にはXステージ34のみを
用い、円板42を回転駆動することによりフィルム40
の新しい部位をレーザー光集光部33に位置させること
ができる。
【0063】(実施例4)本実施例のX線発生装置も、
ターゲット及びターゲット駆動装置の構成が異なること
以外は実施例2と同様の構成である。
【0064】すなわち図8に示すように、ターゲット駆
動装置3は駆動装置36と、駆動装置36に固定された
円柱部材37とからなる。駆動装置36の駆動により、
円柱部材37は中心軸を中心に回転するとともに中心軸
方向(Y方向)に進退可能に構成されている。そして円
柱部材37の外周表面には、実施例3と同様の構成のフ
ィルム40が貼着されている。
【0065】このターゲット駆動装置6によれば、駆動
装置36の駆動によりターゲット4の任意の部位をレー
ザー光集光部33に位置させることができる。したがっ
て真空容器1の真空を解除することなくターゲットの交
換が可能となっているので、繰り返してレーザー光を照
射することができ、高頻度で繰り返してX線を発生させ
ることができる。
【0066】
【発明の効果】すなわち本発明のターゲット及びX線発
生装置によれば、飛散粒子や浮遊粒子の発生がほとんど
無いので、シールド対策が不要となるとともに、X線光
学系やレーザー光学系への粒子の付着が生じない。そし
てターゲットをエネルギービームの照射位置に順に供給
するターゲット駆動装置をもつようにすれば、高頻度で
繰り返してレーザープラズマ軟X線やX線レーザーを発
生させることができ、長時間の連続運転が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で発生したX線のスペクトル図であ
る。
【図2】比較例で発生したX線のスペクトル図である。
【図3】本発明の一実施例のX線発生装置の模式的断面
図である。
【図4】本発明の一実施例のX線発生装置に用いたター
ゲット駆動装置の斜視図である。
【図5】本発明の一実施例のX線発生装置に用いたター
ゲット駆動装置の他の態様を示す斜視図である。
【図6】本発明の第3の実施例のX線発生装置に用いた
ターゲット駆動装置の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施例のX線発生装置に用いた
ターゲット駆動装置の他の態様を示す斜視図である。
【図8】本発明の第4の実施例のX線発生装置に用いた
ターゲット駆動装置の斜視図である。
【符号の説明】
1:真空容器 2:集光レンズ 3:
ターゲット駆動装置 4:ターゲット 5:平面結像型斜入射分光器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西村 靖彦 愛知県豊田市トヨタ町2番地 株式会社ト ヨタマックス内 (72)発明者 間瀬 晃 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 松原 享治 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 東 博純 愛知県愛知郡長久手町大字長湫字横道41番 地の1株式会社豊田中央研究所内 Fターム(参考) 4C092 AA06 AA20 AB19 AB30 BD05 BD19

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 X線発生装置内に配置されエネルギービ
    ームの照射によりX線を発生するターゲットであって、
    高分子フィルムと、該高分子フィルムに分散保持された
    微粒子状の金属粒子とを備えたことを特徴とするX線発
    生用ターゲット。
  2. 【請求項2】 前記高分子フィルムは炭素、水素、酸素
    及び窒素から選ばれる少なくとも一種の元素から構成さ
    れていることを特徴とする請求項1に記載のX線発生用
    ターゲット。
  3. 【請求項3】 前記高分子フィルムの厚さは10μm以
    上であることを特徴とする請求項1に記載のX線発生用
    ターゲット。
  4. 【請求項4】 前記金属粒子の粒子径は0.1〜80μ
    mであり、前記高分子フィルムの厚さ方向に5〜10μ
    mの厚さとなるように保持されていることを特徴とする
    請求項1に記載のX線発生用ターゲット。
  5. 【請求項5】 真空容器と、該真空容器内に配置された
    ターゲットと、該ターゲットにエネルギービームを照射
    するビーム照射手段と、該真空容器に連通して設けられ
    該ターゲットから発生したX線を導くX線光学系と、よ
    りなるX線発生装置において、該ターゲットは請求項1
    〜4に記載のX線発生用ターゲットであり、該ターゲッ
    トを該エネルギービームの照射位置に連続的又は間欠的
    に供給するターゲット駆動装置をもつことを特徴とする
    X線発生装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008098081A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Komatsu Ltd 極端紫外光源装置

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JP2008098081A (ja) * 2006-10-16 2008-04-24 Komatsu Ltd 極端紫外光源装置

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