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JP2001009295A - 光触媒体、ランプおよび照明器具 - Google Patents

光触媒体、ランプおよび照明器具

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Publication number
JP2001009295A
JP2001009295A JP11228605A JP22860599A JP2001009295A JP 2001009295 A JP2001009295 A JP 2001009295A JP 11228605 A JP11228605 A JP 11228605A JP 22860599 A JP22860599 A JP 22860599A JP 2001009295 A JP2001009295 A JP 2001009295A
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photocatalyst
film
underlayer
titanium oxide
particles
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JP11228605A
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Ryotaro Matsuda
良太郎 松田
Akira Kawakatsu
晃 川勝
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Toshiba Lighting and Technology Corp
Original Assignee
Toshiba Lighting and Technology Corp
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、超微粒子分散液コーティング法によ
る光触媒膜形成を改善して、光触媒膜の基体に対する付
着性を向上させるとともに、光透過率が良好な光触媒
体、これを用いたランプおよび照明器具を提供すること
を主な目的とする。 【解決手段】 光触媒体は、基体1と;アルミニウム、
ジルコニウム、ケイ素からなる群から選択された少なく
とも一種の酸化物微粒子2bおよびケイ素化合物を主体
として構成され、酸化物微粒子2bの平均粒径が10〜
40nmであり、かつモル比が40〜90%となるよう
に基体1に形成された下地層2と;酸化物微粒子2bよ
り小さい平均粒径を有する酸化チタン超微粒子を主体と
して前記下地層の表面に形成された光触媒膜3と;を具
備しており、光触媒膜3の成膜性、濡れ性を良好にする
ことができるとともに膜強度を高くすることができ、か
つ下地層2の紫外線の吸収が少ないため光触媒膜3の紫
外線利用効率を高くして光触媒効果を高くすることがで
きる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光触媒体、これを用
いたランプおよび照明器具に関する。
【0002】
【従来の技術】消臭、防汚およびまたは抗菌を行うため
に、光触媒膜を用いることが知られている。
【0003】光触媒膜は、紫外線照射を受けて、その光
エネルギーを吸収すると、光触媒膜を構成して光触媒作
用を呈する半導体に電子とホールが生成する。電子とホ
ールは、膜表面にある酸素や水と反応して活性酸素や他
の活性なラジカルなどを生じ、有機物からなる汚れや臭
いの成分を酸化還元して分解するとされている。
【0004】光触媒作用のある物質のうち、現在最も有
望視されているのは酸化チタンである。酸化チタンは、
光触媒作用が顕著であるとともに、安全で工業的に合理
的な価格で、しかも必要量を入手できる物質であるから
である。
【0005】近時、光触媒膜の有用性に注目して、建
材、照明器具およびランプなど幅広い物品に光触媒膜を
形成しようとする動きが活発である。
【0006】光触媒膜の製造方法には種々あるが、いわ
ゆるディップ法と超微粒子分散液コーティング法とが一
般的に用いられている。
【0007】いわゆるディップ法は、基体に光触媒膜を
構成する金属のアルコキシドたとえば光触媒膜が酸化チ
タンである場合には、チタンのアルコキシドを含む塗布
液を塗布し、400〜500℃の温度で焼成して光触媒
膜を形成する方法である。この製造方法により得られた
光触媒膜は、膜強度に優れるために耐久性がある。
【0008】超微粒子分散液コーティング法は、酸化チ
タンなどの光触媒性の超微粒子を水やアルコールなどか
らなる溶液中に分散させた水溶性分散液を基体に塗布
し、焼成して光触媒膜を得る方法である。この製造方法
により得られた光触媒膜は、結晶性が高く、光触媒性に
優れている。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】いわゆるディップ法に
より得られた光触媒膜は、高温で長時間焼成しないと、
膜表面における結晶性が十分でなく、光触媒性が低いと
いう問題がある。基体がソーダライムガラスなどの軟質
ガラスの場合には、ガラスの軟化温度が比較的低いの
で、所要の高温で焼成できないから、十分な光触媒性を
得ることが困難である。
【0010】また、上記製造方法により光触媒膜を形成
すると、ガラスの屈折率に比べて酸化チタンを主体とす
る光触媒膜の屈折率が大きいために、両者の屈折率差に
よって生じる光干渉作用によって、可視光透過率が低下
するという問題もある。
【0011】そこで、出願人は、ディップ法におけるこ
れらの問題を解決するために、先に光触媒膜中にシリカ
などの金属酸化物を添加して光触媒膜の屈折率を小さく
して基体のガラスとほぼ同等にすることを特願平9−1
40372号として出願した。この出願の発明により、
金属酸化物の添加により光触媒膜の屈折率を低下させ
て、光透過率の低下を防止するとともに、干渉色が生じ
ないようにすることができた。
【0012】一方、超微粒子分散液コーティング法にお
いては、基体との付着性を十分に得にくいとともに、有
機質の結着材を用いている場合に、その結着材にクラッ
クが発生しやすい。結着材にクラックが発生すると、白
濁などにより透過率低下が発生するといった問題があ
る。
【0013】本発明は、超微粒子分散液コーティング法
による光触媒膜形成を改善して、光触媒膜の基体に対す
る付着性を向上させるとともに、光透過率が良好な光触
媒体、これを用いたランプおよび照明器具を提供するこ
とを主な目的とする。
【0014】
【課題を達成するための手段】請求項1の光触媒体は、
基体と;アルミニウム、ジルコニウム、ケイ素からなる
群から選択された少なくとも一種の酸化物微粒子および
ケイ素化合物を主体として構成され、前記酸化物微粒子
の平均粒径が10〜60nmであり、かつモル比が40
〜90%となるように前記基体に形成された下地層と;
前記酸化物微粒子より小さい平均粒径を有する酸化チタ
ン超微粒子を主体として前記下地層の表面に形成された
光触媒膜と;を具備していることを特徴とする。
【0015】請求項2は、請求項1記載の光触媒体にお
いて、光触媒膜の酸化チタン超微粒子の平均粒径が4〜
10nmであることを特徴とする。
【0016】請求項3は、請求項1または2記載の光触
媒体において、下地層および光触媒膜からなる複合層の
可視光線の平均直線透過率が90%以上であることを特
徴とする。
【0017】請求項4は、請求項1ないし3いずれか一
記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタン超微粒
子がアナターゼ結晶を主体としていることを特徴とす
る。
【0018】請求項5は、請求項1ないし3いずれか一
記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタンの超微
粒子がアナターゼ結晶とルチル結晶の混合であることを
特徴とする。
【0019】請求項6は、請求項1ないし5いずれか一
記載の光触媒体において、光触媒膜の酸化チタンの超微
粒子が下地層に染み込んでいることを特徴とする。
【0020】本発明および以下の各発明において、特に
指定しない限り用語の定義および技術的意味は次によ
る。
【0021】(基体について)
【0022】基体は、光触媒膜を担持するもので、専ら
光触媒膜担持を目的とする部材はもちろんのこと、元来
光触媒の担持を目的としない他の機能のために形成され
るもの(以下、「機能材」という。)であることを許容
する。
【0023】機能材としては、たとえばタイル、窓ガラ
ス、天井パネルなどの建築材や、厨房用および衛生用の
器材、家電機器、照明用器材、消臭用または集塵用フィ
ルターなどさまざまな任意所望の部材を基体とすること
ができる。
【0024】基体の材料としては、金属、ガラス、セラ
ミックス(磁器を含む)、陶器、石材、合成樹脂および
木材などであることを許容する。
【0025】基体は、光触媒膜を高温で焼成して形成す
る場合には、その焼成に耐え得る耐熱性を備えている必
要がある。
【0026】(下地層について)
【0027】本発明においては、光触媒膜を直接基体表
面に被着しないで、下地層を介して基体に形成する。下
地層は、下地層に含まれる金属酸化物微粒子がアルミニ
ウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、およびケイ素
(Si)からなる群から選択された少なくとも一種の酸
化物微粒子およびケイ素化合物を主体としている。酸化
物微粒子の平均粒径は10〜60nmの範囲内である。
また、酸化物微粒子の下地層におけるモル比率(mol
%)は40〜90%の範囲内である。なお、酸化物微粒
子の平均粒径は電子顕微鏡などによって観察した下地層
断面中に存在する酸化物微粒子の一次粒径を平均化して
求めることができ、モル比率はSIMS法によって求め
ることができる。
【0028】下地層は特に光触媒膜側の表面が多孔質で
あることが好ましく、例えばその表面に光学的に透過率
低下を及ぼさない凹凸面を備えてもよい。下地層は、酸
化物微粒子を主体として構成されているため、酸化チタ
ンを主成分とする光触媒膜との相性が良好で、また焼成
によって基体に強固に結着させることができる。
【0029】また、好ましくは、下地層に含まれる酸化
物微粒子の平均粒径が10〜40nmでありかつそのモ
ル比率が40〜90%である。この条件であると、可視
光線の直線透過率をさらに高くすることができるととも
に、下地層の紫外線吸収をほとんど無くすことができる
ことが分かった。したがって、このような下地層を備え
た光触媒体は、高い光学特性を有し、高い光触媒効果を
得ることができる。
【0030】下地層の酸化物微粒子がアルミニウム(A
l)、ジルコニウム(Zr)、およびケイ素(Si)か
らなる群以外の材料から選択された酸化物の場合、下地
層の安定性が確保できない、下地層の屈折率が高くな
る、光干渉の発生で可視透過率の低下や下地層が紫外線
を吸収するといった問題がある。
【0031】下地層の酸化物微粒子の平均粒径が10n
m未満だと光触媒膜の濡れ性が悪くなるとともに光触媒
膜の強度が低下して剥がれ易くなって下地層との接着性
が悪くなる。また平均粒径が60nmを超えると可視光
線の全透過率は良好であるが光拡散気味となり、直線透
過率は低下するという問題がある。また、酸化物微粒子
の量が40mol%未満であると光触媒膜の下地層との接
着性の低下が発生し易く、90mol%を超えると下地層
の強度低下と直線透過率低下が発生し易い。また、光触
媒膜を構成する酸化チタン超微粒子の平均粒径は下地層
の酸化物微粒子の平均粒径以下とすると光触媒効果のう
ち有機物分解特性が低下する。
【0032】さらに、下地層を構成する金属酸化物を、
たとえばソーダライムガラスのように屈折率の小さな基
体と屈折率の大きな光触媒膜との間を中間の屈折率を有
する屈折率の傾斜構造などにすることにより光干渉の発
生を抑制や反射防止などの効果の付与することができ
る。
【0033】下地層は、たとえば酸化物微粒子とポリシ
ロキサンなどのケイ素化合物を有機溶剤で希釈した塗布
液を調整して基体に塗布し、焼成して形成することがで
きる。
【0034】下地層の可視平均直線透過率は、90%以
上であることが望ましい。このことは、光触媒膜につい
ても同様である。これにより、基体がガラスなどの可視
光透過率が高いものを用いる場合などは、下地層および
光触媒層を透過する可視光線量がほとんど減少すること
がないので照明器具や光源などの様々な用途においても
本発明を適用できる。
【0035】この可視平均直線透過率は、基体での反射
吸収を除いた二層のみの透過率であり、たとえば基体が
ガラスであれば、リファレンスとして層無しの基体ガラ
スを入れ透過特性を測定すればよく、反射部材であれば
同様にリファレンスとしての層無し反射部材の基体を入
れ反射特性を測定し換算すればよい。
【0036】(光触媒膜について)
【0037】光触媒物質は、酸化チタン(TiO2)を
主成分とする。酸化チタンは、光触媒作用が顕著である
とともに、安全で工業的に合理的な価格で、しかも必要
量を入手できるので、光触媒物質として、現在最も有望
視されている。
【0038】また、酸化チタンには、その結晶構造とし
てルチル結晶とアナターゼ結晶とがある。光触媒作用
は、アナターゼ形の方が優れているといわれている。
【0039】したがって、本発明においては、アナター
ゼ結晶の酸化チタンを用いるのが好適である。しかし、
実際的にはアナターゼ結晶にルチル結晶が混合して形成
される場合も多く、しかも、酸化チタンの超微粒子を用
いる場合にはそれでも実用的な光触媒作用を得ることが
できるから、本発明においては、両者の混合した態様を
許容する。さらに、それらの混合比の如何によって有機
物の分解性が変化する。
【0040】さらに、本発明においては、光触媒膜中に
副成分として、酸化チタン以外の光触媒物質が添加され
ていてもよい。その他の光触媒物質としては、以下のも
のがある。WO3、LaRhP3、FeTiO3、Fe2
3、CdFe24、SrTiO3、CdSe、GaAs、
GaP、RuO2、ZnO、CdS、MoS3、LaRh
3、CdFeO3、Bi23、MoS2、In23、C
dO、SnO2などである。これらの物質を1種または
複数種を混合して用いることができる。
【0041】なお、TiO2、WO3、SrTiO2、F
23、CdS、MoS3、Bi23 、MoS2、In2
3、CdOなどは等価電子帯のレドックス・ポテンシ
ャルの絶対値が伝導帯のレドックス・ポテンシャルの絶
対値よりも大きいため、酸化力の方が還元力よりも大き
く、有機化合物の分解による消臭作用、防汚作用または
抗菌作用に優れている。
【0042】また、上記各物質の中で原料コストの面に
おいては、Fe23およびZnOが優れている。
【0043】さらにまた、本発明において、酸化チタン
は、超微粒子の形で用いる。超微粒子とは、平均粒径が
4〜10nmの極めて細かい微粒子をいい、好ましくは
微粒子の形状がなるべく球形に近く、しかも粒径のばら
つきが少なくて結晶性の良好な微粒子である。
【0044】さらにまた、光触媒膜は、下地層の表面に
凹凸が形成されている場合にはこの凹凸内に一部入り込
み、かつ密着させることが可能である。
【0045】さらにまた、本発明の下地層が多孔質で形
成されている場合には、光触媒膜の酸化チタンの超微粒
子は、下地層の表面だけではなく内部にまで一部染み込
んでいる。「染み込む」とは、酸化チタンの超微粒子が
下地層の微粒子の平均粒径以上の深さで下地層の超微粒
子間に入り込んでいることである。したがって、下地層
内に屈折率の高い酸化チタンが実質混在することにな
り、下地層の屈折率が光触媒膜の屈折率に近づくように
調整される。下地層の基体側から下地層の表面側に向か
うに従い、酸化チタン超微粒子の存在比率が大きくなる
ことによって、下地層の屈折率が連続して変化すること
になり、界面での屈折率差による光干渉が抑制される。
また、酸化チタンの超微粒子が下地層に染み込むことに
より、強固に密着させることが可能となる。
【0046】なお、焼成は、150℃以上たとえば30
0〜600℃の範囲で行うことができる。
【0047】さらにまた、光触媒膜中に二酸化ケイ素や
酸化アルミニウム、酸化ジルコニウムあるいはシリコー
ンなどを微量添加させることができる。これらは、結着
剤として作用する。
【0048】光触媒膜は、酸化チタンの超微粒子を主体
としているので、従来の超微粒子酸化チタンを用いた光
触媒膜と同様に光触媒作用が強い。
【0049】(本発明の作用について)
【0050】本発明の光触媒体は、上記の構成を備えて
いることにより、以下の作用を奏する。
【0051】(1)光触媒作用が良好である。
【0052】結晶性が良好な超微粒子により、高い光触
媒作用が得られる。
【0053】(2)光触媒膜の強度が大きい。
【0054】付着性の良好な酸化物微粒子からなる下地
層表面に酸化チタン超微粒子が付着されており、かつ多
孔質である下地層内部にまで一部酸化チタン超微粒子が
染み込んでいるから、光触媒膜の付着性が良好で、光触
媒膜は高強度になる。
【0055】(3)下地層および光触媒膜が可視光領域
で高透過率である。
【0056】基体の表面に多孔性の酸化チタンよりも見
かけ上低屈折率の下地層を形成しているため、ガラスの
基体と光触媒膜との間に光の反射が低減され、可視光の
透過率が向上し、基体にガラスを用いた場合、生地のガ
ラスと同等またはそれ以上の可視光透過率が得られる。
また、下地層が多孔質である場合には、酸化チタン超微
粒子の一部が下地層に染み込み、界面が不均質であるた
め可視光透過率は一層上昇する。
【0057】(4)下地層の紫外線透過特性が高く、光
触媒膜における紫外線の利用効率が高い。
【0058】下地層に含まれる金属酸化物微粒子がアル
ミニウム(Al)、ジルコニウム(Zr)、およびケイ
素(Si)からなる群から選択された少なくとも一種の
酸化物であり、その平均粒径が10〜60nmでありか
つそのモル比率が40〜90%の範囲内であるので、下
地層の400nm以下の紫外線の吸収がほとんど無く、
紫外線透過特性が高く、光触媒膜の紫外線利用効率が高
い。
【0059】(5)光触媒膜の成膜性、塗布性が良い。
【0060】下地層が多孔質であると、水(HO)を
含みやすくなり、濡れ性が良好になるので、光触媒膜の
付着性が向上する。
【0061】請求項7のランプは、発光部をガラスバル
ブが包囲していて波長400nm以下の光を含む発光を
行うランプ本体と;ガラスバルブを基体としてその少な
くとも外面に被着された請求項1ないし6のいずれか一
記載の光触媒体と;を具備していることを特徴とする。
【0062】本発明のランプは、発光原理は問わない。
たとえば、白熱電球、放電ランプなどであることを許容
する。
【0063】白熱電球の場合、色温度が高いハロゲン電
球の方が一般照明用電球より波長400nm以下の発光
割合が高いが、一般照明用の白熱電球であってもよい。
【0064】放電ランプの場合、低圧放電ランプおよび
高圧放電ランプのいずれでもよい。
【0065】低圧放電ランプとしては、たとえば蛍光ラ
ンプがある。蛍光ランプに用いる蛍光体を選択して40
0nm以下の発光を適当に増加させることができる。こ
のような蛍光ランプは、比較的可視光の低下が少なく
て、しかも光触媒体の活性化作用が一般照明用の蛍光ラ
ンプに比較して良好なので、光触媒体活性化用のランプ
として好適である。しかし、本発明は一般照明用として
従来から多用されている3波長形発光の蛍光体やカルシ
ウムハロリン酸塩蛍光体を用いた蛍光ランプであること
を許容するものである。
【0066】また、主として400nm以下の発光を利
用する目的の殺菌ランプやブラックライト、ケミカルラ
ンプなどをも許容する。
【0067】一方、高圧放電ランプとしては、たとえば
水銀ランプ、メタルハライドランプおよび高圧ナトリウ
ムランプなどであるを許容する。
【0068】なお、ガラスバルブは、放電媒体を包囲し
ている態様であってもよいし、発光部を内包している発
光管をさらに包囲する外管であってもよい。
【0069】本発明においては、ランプのガラスバルブ
を基体として光触媒膜を形成しているので、たとえラン
プが発生する400nm以下の発光量が少なくても光触
媒膜を十分に活性化することができる。
【0070】また、本発明のランプを用いると、光触媒
作用によりガラスバルブに付着するたばこの脂や、ばい
煙などの有機質の汚れ物質が分解されるので、ガラスバ
ルブの汚れによる光束低下が少なくなる。このため、長
期間にわたって良好な照明を行うことができるととも
に、ランプの清掃インターバルを長くすることができ
る。
【0071】さらに、ランプが点灯するのに伴って生じ
る発熱により、ランプの周囲に熱対流が発生じ、室内の
空気が対流する。ランプに接触した空気の消臭、殺菌が
行われる。したがって、本発明のランプを用いることに
より、室内空気を消臭、殺菌することができる。
【0072】請求項8の照明器具は、制光手段を備えた
照明器具本体と;照明器具本体の制光手段の少なくとも
一部を基体として形成された請求項1ないし6いずれか
一記載の光触媒体と;を具備していることを特徴とす
る。
【0073】本発明において、照明器具は、屋外用およ
び屋内用のいずれでもよい。
【0074】制光手段は、反射体、グローブ、セード、
透光性カバーおよびルーバなどの一種類または任意の複
数種類の組み合わせで用いられていることを許容する。
【0075】また、制光手段の全体に光触媒膜を形成し
てもよいが、その一部分に形成してもよい。
【0076】制光手段は、使用によりばい煙やたばこの
脂などの有機物からなる汚れがそこに付着すると、照明
器具としての光学性能が低下するが、光触媒膜を形成し
ておくことにより、汚れが分解されるので、光学性能の
低下を抑制することができる。
【0077】また、制光手段に接触した空気中の臭い物
質を分解したり殺菌することにより、室内の脱臭、殺菌
を行うこともできる。
【0078】さらに、照明器具をたとえば冷蔵庫、エア
コンディショナー、空気清浄装置などに収納できる大き
さおよび構造にして、これらの機器に配設することによ
り、脱臭または殺菌手段とすることもできる。
【0079】以上の説明から理解できるように、制光手
段に光触媒膜を形成するので、光触媒膜は透明性の良好
なものが好適である。
【0080】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
を参照して説明する。
【0081】図1は、本発明の光触媒体の第1の実施形
態における光触媒膜の断面を示す概念的要部拡大断面図
である。
【0082】各図において、1は基体、2は下地層、3
は光触媒膜である。
【0083】基体1は、ソーダライムガラスから構成さ
れている。
【0084】下地層2は、酸化アルミニウム微粒子がモ
ル比で80:20の割合の混合して構成されており、透
明性で多孔性であるとともに、表面が平均深さ約30n
mの凹凸面2aに形成された被膜である。
【0085】この下地層2は、ポリシロキサンをエタノ
ールに溶解させた溶液に平均粒径約15nmの酸化アル
ミニウム微粒子2bを分散させた塗布液を調整して、基
体1の表面に塗布し、乾燥させて、約150℃で焼成し
て形成したものである。
【0086】光触媒膜2は、平均粒径約7nmの酸化チ
タンの超微粒子を下地層2の上に結着させて形成されて
いる。この光触媒膜3は、下地層2の表面に形成された
凹凸面2aに入り込み、かつ微量の超微粒子が下地層2
に染み込んで下地層2に密着している。ここで図示はし
ないが、本実施形態の光触媒体の断面を顕微鏡写真で観
察したところ、酸化チタンの超微粒子が下地層2の基体
1近傍にまで染み込んでいることが確認された。
【0087】図2は、本発明の光触媒体の第1の実施形
態における光触媒膜の分光透過率特性を示すグラフであ
る。
【0088】図において、横軸は波長(nm)を、縦軸
は透過率(%)を、それぞれ示す。
【0089】曲線は、本実施形態による光触媒膜の分光
透過率特性を示す。
【0090】図から明かなように、本実施形態によれ
ば、可視光および紫外域において透過率が向上してい
る。
【0091】図3は、本発明の光触媒体の第1の実施形
態におけるインクの分解性についての測定結果を示すグ
ラフである。
【0092】図において、横軸は経過時間(分)を、縦
軸は分解性の相対値を、それぞれ示す。
【0093】曲線は、本実施形態によるインクの分解性
を示す。
【0094】図から明かなように、本実施形態によれ
ば、光触媒作用が優れていることが分かる。
【0095】図4は、本発明のランプの一実施形態にお
ける蛍光ランプを示す要部断面正面図である。図におい
て、11はガラスバルブ、12は光触媒膜、13は蛍光
体層、14はフィラメント電極、15は口金である。
【0096】ガラスバルブ11は、光触媒膜12に対し
て基体として機能するとともに、内部に蛍光ランプとし
ての機能部分を気密に収納する。すなわち、ガラスバル
ブ11の内部に放電媒体としての水銀およびアルゴンを
主体とする希ガスを数torr封入し、内面に蛍光体層
13を担持し、さらに両端に一対のフィラメント電極1
4を封装している。
【0097】口金15は、アルミニウム製のキャップ状
の口金本体15aおよび口金本体15aに絶縁して取り
付けられた一対の口金ピン15bから構成され、ガラス
バルブ11の両端部に接着されている。フィラメント電
極14の両端はそれぞれ口金ピン15bに接続されてい
る。
【0098】そうして、本実施形態の蛍光ランプを用い
て照明すると、光触媒膜12の光触媒作用により、蛍光
ランプの表面に付着した有機の汚れ物質が分解され、接
触した空気中の臭い物質が分解されて周囲の消臭が行わ
れる。
【0099】図5は、本発明の照明器具の一実施形態に
おけるトンネル用照明器具を示す斜視図である。
【0100】図において、21は照明器具本体、22は
前面枠、23は透光性ガラスカバー、24はランプソケ
ット、25は高圧放電ランプ、26は反射板である。
【0101】照明器具本体21は、ステンレス板を前面
に開口部を備えた箱状に成形してなり、背面に取付金具
21aを備えている。
【0102】前面枠22は、ステンレス板を成形してな
り、中央に投光開口22a、一側にヒンジ22b、他側
にラッチ(図示しない。)を備えている。そして、ヒン
ジ2aにより、照明器具本体21の前面側の一側部に開
閉自在に枢着され、ラッチにより閉止位置に固定される
ように構成されている。
【0103】透光性ガラスカバー23は、前面枠22に
シリコーンゴム製のパッキング2aを介して防水的に装
着されている。この透光性ガラスカバー23は、可視光
を透過するとともに、波長400nm以下の紫外領域の
少なくとも一部に比較的高い透過率特性を有している。
また、透光性ガラスカバー23の前面には図1に示す光
触媒膜が形成されている。
【0104】ランプソケット24は、照明器具本体21
内に配設されている。
【0105】高圧放電ランプ25は、340〜400n
mの波長範囲内において、可視光の光束1000lm当
たり0.05W以上の強度の紫外線を放射する。
【0106】反射板26は、照明器具本体21内に配設
されて、上記高圧放電ランプ25から放射された光が反
射板26で反射されて所要の配光特性を示すように構成
され、かつ配置されている。
【0107】照明器具本体21の反射板26の背面側に
は、安定器、端子台などが配設されている。
【0108】そうして、本実施形態の照明器具は、取付
金具21aを介してトンネル内に設置されて使用に供さ
れ、トンネル内を照明する。
【0109】また、照明と同時に高圧放電ランプ25か
ら放射される主として340〜400nmの波長範囲内
の紫外線も可視光と一緒に透光性ガラスカバー23を通
過して光触媒膜に入射するから、光触媒膜は紫外線によ
り活性化され、付着するばい煙などの有機物の汚れを分
解してセルフクリーニングを行う。
【0110】
【発明の効果】請求項1ないし6の光触媒体によれば、
光触媒膜の成膜性、濡れ性を良好にすることができると
ともに膜強度を高くすることができ、かつ下地層の紫外
線の吸収が少ないため光触媒膜の紫外線利用効率を高く
して光触媒効果を高くすることができる。
【0111】請求項7のランプによれば、請求項1ない
し6の効果を有するランプを提供することができる。
【0112】請求項8の照明器具によれば、請求項1な
いし6の効果を有する照明器具を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の光触媒体の第1の実施形態における光
触媒膜の断面を示す概念的要部拡大断面
【図2】本発明の光触媒体の第1の実施形態における光
触媒膜の分光透過率特性を示すグラフ
【図3】本発明の光触媒体の第1の実施形態におけるイ
ンクの分解性についての測定結果を示すグラフ
【図4】本発明のランプの一実施形態における蛍光ラン
プを示す要部断面正面図
【図5】本発明の照明器具の一実施形態におけるトンネ
ル用照明器具を示す斜視図
【符号の説明】
1…基体、2…下地層、2a…凹凸面、2b…酸化物微
粒子、3…光触媒膜。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4G069 AA01 AA12 BA01A BA01B BA02A BA02B BA04A BA04B BA05A BA05B BA48A CA17 DA05 EA08 EB18X EB18Y EB19 EC22X EC22Y FA03 5C043 AA20 BB09 CC01 CC09 CD01 DD27 DD39 EA11 EA17 EB14 EC01

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基体と;アルミニウム、ジルコニウム、ケ
    イ素からなる群から選択された少なくとも一種の酸化物
    微粒子およびケイ素化合物を主体として構成され、前記
    酸化物微粒子の平均粒径が10〜60nmであり、かつ
    モル比が40〜90%となるように前記基体に形成され
    た下地層と;前記酸化物微粒子より小さい平均粒径を有
    する酸化チタン超微粒子を主体として前記下地層の表面
    に形成された光触媒膜と;を具備していることを特徴と
    する光触媒体。
  2. 【請求項2】光触媒膜の酸化チタン超微粒子の平均粒径
    が4〜10nmであることを特徴とする請求項1記載の
    光触媒体。
  3. 【請求項3】下地層および光触媒膜からなる複合層の可
    視光線の平均直線透過率が90%以上であることを特徴
    とする請求項1または2記載の光触媒体。
  4. 【請求項4】光触媒膜の酸化チタン超微粒子がアナター
    ゼ結晶を主体としていることを特徴とする請求項1ない
    し3いずれか一記載の光触媒体。
  5. 【請求項5】光触媒膜の酸化チタンの超微粒子がアナタ
    ーゼ結晶とルチル結晶の混合であることを特徴とする請
    求項1ないし3いずれか一記載の光触媒体。
  6. 【請求項6】光触媒膜の酸化チタンの超微粒子が下地層
    に染み込んでいることを特徴とする請求項1ないし5い
    ずれか一記載の光触媒体。
  7. 【請求項7】発光部をガラスバルブが包囲していて波長
    400nm以下の光を含む発光を行うランプ本体と;ガ
    ラスバルブを基体としてその少なくとも外面に被着され
    た請求項1ないし6のいずれか一記載の光触媒体と;を
    具備していることを特徴とするランプ。
  8. 【請求項8】制光手段を備えた照明器具本体と;照明器
    具本体の制光手段の少なくとも一部を基体として形成さ
    れた請求項1ないし6いずれか一記載の光触媒体と;を
    具備していることを特徴とする照明器具。
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