JP2000510071A - 鉄道車両の車体 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 鉄道車両の車体であって，大体において水平の壁部（１）と鉛直の壁部（２）とから成っており，水平の壁部（１）は床並びに屋根を形成するのに役立ち，鉛直の，特に側壁を形成する壁部（２）は少なくとも１つの窓及び少なくとも１つの乗降ドアを取り付けることのできる切り欠き（２ａ）を有している。水平の壁部（１）及び鉛直の壁部（２）は，車両縦軸線に対して横方向の断面で半分ずつに分けられていて繊維で補強されたプラスチックから成っているモジュール（３）によって形成されている。これらの相補的に配置され，車両横中心（４）において互いに突き合わされるそれらの水平の壁部（１）で力が伝達されるように結合されている半分ずつに分けられているモジュール（３）のその都度２つは，車体の１つの縦区分を構成している。車体の長さは，いくつかの縦区分をその車両横方向で循環している突き合わせ箇所（５）で力が伝達されるように結合することによって，相応して決められるようになっている。

Description

【発明の詳細な説明】 鉄道車両の車体 本発明は鉄道車両の車体であって，大体において水平の壁部と鉛直の壁部とか ら成っており，水平の壁部は床並びに屋根を形成するのに役立ち，鉛直の，特に 側壁を形成する壁部は少なくとも１つの窓及び少なくとも１つの乗降ドアを取り 付けることのできる切り欠きを有している形式のものに関する。 鉄道車両においては一般に，車体の水平及び鉛直の壁部を，圧延成形部材，旋 削成形部材及び中空成形部材を溶接した鋼骨組み上に直接に金属薄板を溶接して 構成することが公知である。このような車体は，例えば窓及び乗降ドアの数及び 配置に関する構造が，通常，単に特定の用途に限られたものになっている。車体 の構造を変化させること，例えば乗降ドアの位置を変えることは，新しい静力学 上の設計及びしばしば複雑な構造上の手直しを必要とする。更に前述のように車 体を鋼構造とすることは，制作費が高価であり，車両の質量が大きくなるので， 不利である。 本発明の課題は，前述の形式の車体を，可及的に簡単にかつ安価に製作し得る ようにかつ車両の質量が減少するように，構成し，鉄道車両の構成に大きな可変 性をもたせ得るようにすることである。 この課題は本発明によれば，次のようにして解決される。すなわち，水平の壁 部及び鉛直の壁部が，車両縦軸線に対して横方向の断面で半分ずつに分けられて いて繊維で補強されたプラスチックから成っているモジュールによって形成され ており，その際，これらの相補的に配置され，車両横中心において互いに突き合 わされるそれらの水平の壁部で力が伝達されるように結合されている半分ずつに 分けられているモジュールのその都度２つが，車体の１つの縦区分を構成してお り，車体の長さが，いくつかの縦区分をその車両横方向で循環している突き合わ せ箇所で力が伝達されるように結合することによって，相応して決められるよう にするのである。 本発明の有利な実施の形態は従属請求項に記載されている。 本発明によって達成される利点は特に次のとおりである： 半分ずつに分けられたモジュールは車両構成の際の大きな可変性を可能にし， 車体の縦方向及び横方向において所望の車体構成を実現することができる。繊維 で補強されたプラスチックから成り，半分ずつに分けられている比較的に短いモ ジュールは簡単かつ安価に製作することができ，その際製作のためにコンパクト で扱いやすい装置を使用することができる。車体の制作費を節減するために，モ ジュールの内張り及び下塗 り層を大きな面にわたって塗布することによる外面の処理を省略し得ることが寄 与する。更に有利には，車両質量が減少せしめられ，これによって，走行運転の 際のエネルギ費も節減される。繊維で補強されたプラスチックから成るモジュー ルは腐食することがなく，したがって保守費用なしに使用することができる。 本発明は以下において，図面に原理的に示した実施例に基づいて詳細に説明す る。 図１は本発明による車体を有する鉄道車両の側面図を示し， 図２は本発明による車体の一部を斜視図で示し， 図３は図２のＡ−Ａ線に沿った断面図を示し， 図４は図２のＢ−Ｂ線に沿った断面図を示し， 図５は図３に類似した断面図で別の構成を示す。 図１及び２において，駆動されるかあるいは駆動されない台車１０上に支えら れている車体は，半分ずつに分けられている比較的に短いモジュール３から組み 立てられており，これらのモジュールはそれぞれ繊維で補強されたプラスチック から成っている。車体の床並びに屋根はこれらのモジュール３の水平の壁部１に よって，また側壁は鉛直の壁部２によって形成されている。これらの半分ずつに 分けられ相補的に配置されているモジュール３のその都度２つは，車両横中心４ においてそれらの互いに突き合わされる水平の壁部１を力が伝達されるように互 いに結合されているが，車 体の１つの縦区分を形成している。車体の長さは，相応する数の縦区分を車両横 方向で循環しているそれらの突き合わせ箇所５で力が伝達されるように結合する ことによって，決められる。 鉛直の壁部２は切り欠き２ａを有しており，これらの切り欠きには窓−例えば 図４において使用されているガラス板８の形の窓−あるいは乗降ドアを取り付け ることができる。乗降ドアを取り付けるための鉛直の壁部２の切り欠き２ａは水 平の壁部１の切り欠き（図示せず）によって補足して，そこに階段構成体を取り 付けることができる。上記の窓モジュール３．２及びドアモジュール３．３のほ かに，選択的に全閉のモジュール３．１及び列車の車両継ぎ手への移行部として のモジュール３．４を使用することができる。更に，図１に示したやはり繊維で 補強したプラスチックから形成することのできるヘッド部分９の代わりに第２の 継ぎ手モジュール３．４を，あるいは逆に継ぎ手モジュール３．４の代わりに第 ２のヘッドモジュール９を使用することができる。これらのモジュール３．１〜 ３．４によって，縦方向及び横方向の車体の所望の構成を実現することができ， 例えば車体の一方の縦側面が窓モジュール３．２だけを有し，他方の縦側面が２ つのドアモジュール３．３と窓モジュール３．２を有しているようにすることが できる。 図示の実施例では，モジュール３は屋根側の水平の 壁部１の範囲に長方形の中空室３ｄを有している。床側の水平の壁部１の範囲に おいては，モジュール３は相応する溝３ｅを備えている。中空室３ｄ及び溝３ｅ はそれぞれ１つの，車体の縦方向に一貫して延びているビーム７を収容しており ，これらのビームは引き力及び押し力並びに曲げ力で負荷可能である。ビーム７ は金属成形材あるいは有利には縦方向に整列した長尺繊維で補強したプラスチッ ク例えば引抜成形で製作したプラスチック成形材から成ることができる。車体の 静力学的な構造に関しては，一貫したビーム７によって伝達される引き荷重及び 押し荷重と，モジュール３によって伝達されるスラスト荷重との間には区別があ る。 図３〜５が示すように，モジュール３は，繊維で補強したプラスチックから成 る内層３ａと，同じような外層３ｂと，これらの層の間に配置されている断熱性 能及び消音性能のよい中核層３ｃとから形成されている。中核層３ｃとしては， バルサ材，発泡材，はち巣状材料のような種々の軽量建造材が適している。繊維 で補強したプラスチックはマトリックス材料として選択的にエポキシド樹脂，不 飽和ポリエステル樹脂，ビニルエステル樹脂あるいはフェノール樹脂を有してい る。補強材料として，ガラス繊維，炭素繊維，アラミド繊維及び又は他の補強繊 維を使用することができ，その際繊維材料はモジュール３のその都度の局部的な 負荷に応じて選択することができる。繊維で補強したプラスチックがその都度の 防火規定に適合していなければならないことは，自明のことである。モジュール の製作のためには，射出技術が推奨される。それは，これによって滑らかな完成 した内表面及び外表面が得られるからである。つまり，金属の車体の場合に普通 の内張り及びラック塗りの前の外面の大きな面にわたる下塗りは省略することが できる。 半分ずつに分けられた各モジュール３は，他のモジュールと力が伝達されるよ うに結合される範囲を，ねじ，リベット及び又は接着による継ぎ合わせ技術に応 じて構成されている。このために図３〜５によれば，内層３ａ及び外層３ｂが継 ぎ合わされているが，図３及び４においてはねじ，リベット及び接着による結合 に利用される折り曲げ部３ｆが形成されている。図５によれば，結合は補強条片 ３ｇを使用して接着だけによって行われる。 ２つの縦区分の車両横方向に循環している突き合わせ箇所５は図２〜４に示し た条片６によって内張りしておくことができ，図２には条片の一部だけが示され ている。車両横方向に循環している突き合わせ箇所５はその安定性に基づいて， 同時に，車両装備品，例えば仕切壁，乗客座席あるいは手すりの固定のために利 用可能である。突き合わせ箇所５の範囲の条片６によって覆われている中空室は ，ケーブル及び管のような 供給ラインを収容するのに適している。更に半分ずつに分けられたモジュール３ はこのような供給ラインのための図示していない導孔を有することができる。 符号表 １ 水平の壁部 ２ 鉛直の壁部 ２ａ 窓又は乗降ドアのための切り欠き ３ 繊維で補強したプラスチックから成る半分ずつに分けられたモジュ ール ３．１ 全閉のモジュール ３．２ 窓切り欠きを有するモジュール（窓モジュール） ３．３ ドア切り欠きを有するモジュール（ドアモジュール） ３．４ 列車の車両継ぎ手への移行部としてのモジュール（継ぎ手モジュー ル） ３ａ 内層 ３ｂ 外層 ３ｃ 中核層 ３ｄ 長方形の中空室 ３ｅ 長方形の溝 ３ｆ 折り曲げ部 ３ｇ 補強条片 ４ 車両横中心 ５ 車両横方向に循環している突き合わせ箇所 ６ 条片 ７ ビーム ８ ガラス板 ９ ヘッド部分 １０ 台車

【手続補正書】特許法第１８４条の８第１項 【提出日】平成１０年６月２６日（１９９８．６．２６） 【補正内容】 更に，ＤＥ−Ｂ−１ １５８ ５４１によって，大体において水平の壁部と鉛 直の壁部とから成っている鉄道車両の車体が公知になっている。この場合水平の 壁部は床並びに屋根を形成するのに役立つ。特に側壁を形成する鉛直の壁部は， 窓及び乗降ドアを取り付けることのできる切り欠きを有している。水平及び鉛直 の壁部は，車両縦軸線に対して横方向の断面で半分ずつに分けられていて繊維で 補強されたプラスチックから成っているモジュールによっって形成されっており ，その際これらのモジュールは，それぞれ車体の長さと等しい構造長さを有して いる。これによって製作のために極めて大きな装置が必要である（ＤＥ−Ｂ−１ １５８ ５４１の図１３を見よ）。 （請求の範囲） 10. 半分ずつに分けられたモジュール（３）が屋根側及び又は床側の水平の 壁部（１）の範囲に，長方形の中空室（３ｄ）又は溝（３ｅ）を有しており，こ れらの中空室又は溝は車体の縦方向に一貫して延びている引き力，押し力及び曲 げ力で負荷可能なビーム（７）を収容していることを特徴とする，請求項１から ９までのいずれか１項記載の車体。 11. ビーム（７）が縦方向に整列した長尺繊維で補強されたプラスチックか ら成っていることを特徴とする，請求項１０記載の車体。 12. 半分ずつに分けられたモジュール（３）が供給ライン，特にケーブルを 収容する導孔を備えていることを特徴とする，請求項１から１１までのいずれか １項記載の車体。

Claims (1)

1. 【特許請求の範囲】 1. 鉄道車両の車体であって，大体において水平の壁部（１）と鉛直の壁部（ ２）とから成っており，水平の壁部（１）は床並びに屋根を形成するのに役立ち ，鉛直の，特に側壁を形成する壁部（２）は少なくとも１つの窓及び少なくとも １つの乗降ドアを取り付けることのできる切り欠き（２ａ）を有している形式の ものにおいて，水平の壁部（１）及び鉛直の壁部（２）が，車両縦軸線に対して 横方向の断面で半分ずつに分けられていて繊維で補強されたプラスチックから成 っているモジュール（３）によって形成されており，その際，これらの相補的に 配置され，車両横中心（４）において互いに突き合わされるそれらの水平の壁部 （１）で力が伝達されるように結合されている半分ずつに分けられているモジュ ール（３）のその都度２つが，車体の１つの縦区分を構成しており，車体の長さ が，いくつかの縦区分をその車両横方向で循環している突き合わせ箇所（５）で 力が伝達されるように結合することによって，相応して決められるようにするこ とを特徴とする，鉄道車両の車体。 2. 選択的に単に４つの型の半分ずつに分けられているモジュール（３），す なわち全閉のモジュール（３．１）と，窓切り欠きを有するモジュール（３．２ ）と，ドア切り欠きを有するモジュール（３．３）と ，列車例えば市内連結車両の車両継ぎ手への移行部としてのモジュール（３．４ ）だけが使用されることを特徴とする，請求項１記載の車体。 3. 半分ずつに分けられているモジュール（３）が，内層（３ａ）と，外層（ ３ｂ）と，これらの層（３ａ，３ｂ）の間に配置されている断熱性能及び消音性 能のよい中核層（３ｃ）とから形成されており，その際内層（３ａ）及び外層（ ３ｂ）が繊維で補強したプラスチックから成っていることを特徴とする，請求項 １又は２記載の車体。 4. 繊維で補強したプラスチックがマトリックス材料として選択的にエポキシ ド樹脂，不飽和ポリエステル樹脂，ビニルエステル樹脂又はフェノール樹脂を含 有していることを特徴とする，請求項１から３までのいずれか１項記載の車体。 5. 繊維で補強したプラスチックがガラス繊維，炭素繊維，アラミド繊維及び 又は天然繊維を有していることを特徴とする，請求項１から４までのいずれか１ 項記載の車体。 6. 半分ずつに分けられたモジュール（３）が射出技術で製作されていること を特徴とする，請求項１から５までのいずれか１項記載の車体。 7. 半分ずつに分けられた各モジュール（３）がほかのモジュール（３）と力 が伝達されるように結合される範囲を，ねじ，リベット及び又は接着による継ぎ 合わせ技術に応じて形成されていることを特徴とする，請求項１から６までのい ずれか１項記載の車体。 8. ２つの縦区分の車両横方向に循環している突き合わせ箇所（５）が条片（ ６）によって内張りされていることを特徴とする，請求項１から７までのいずれ か１項記載の車体。 9. ２つの縦区分の車両横方向に循環している突き合わせ箇所（５）が同時に ，車両の設備品，例えば仕切壁，乗客座席あるいは手すりの固定のために利用さ れることを特徴とする，請求項１から８までのいずれか１項記載の車体。 10. 半分ずつに分けられたモジュール（３）が屋根側及び又は床側の水平の 壁部（１）の範囲に，長方形の中空室（３ｄ）又は溝（３ｅ）を有しており，こ れらの中空室又は溝は車体の縦方向に一貫して延びている引き力，押し力及び曲 げ力で負荷可能なビーム（７）を収容していることを特徴とする，請求項１から ９までのいずれか１項記載の車体。 11. ビーム（７）が縦方向に整列した長尺繊維で補強されたプラスチックか ら成っていることを特徴とする，請求項１０記載の車体。 12. 半分ずつに分けられたモジュール（３）が供給ライン，特にケーブルを 収容する導孔を備えていることを特徴とする，請求項１から１１までのいずれか １項記載の車体。 13. 反応樹脂−特にエポキシド樹脂及び不飽和ポリエステル樹脂−から射出 原理で製作されている，鉄道車両の車体。