JP2000319009A - 非水酸化リチウム固体状物の分離法 - Google Patents
非水酸化リチウム固体状物の分離法Info
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Abstract
体状物(非水酸化リチウム固体状物)を含む非プロトン
性有機溶媒中に硫化水素ガスを吹き込み、固液分離する
ことにより非水酸化リチウム固体状物を分離する方法に
おいて、水硫化リチウムの回収ロスを低減する方法を提
供する。 【解決手段】水酸化リチウムと非水酸化リチウム固体状
物を含む非プロトン性有機溶媒中に硫化水素ガスを吹き
込みながら水酸化リチウムを水硫化し、水硫化リチウム
の脱硫化水素反応が抑制された条件下で、かつ分離する
際の液温が50〜150℃で固液分離し、更に分離され
た結晶ケークを非プロトン性有機溶媒で洗浄することに
より、水硫化リチウムを高度に回収する非水酸化リチウ
ム固体状物の分離方法。
Description
チウムと水酸化リチウム以外の固体状物(以下、「非水
酸化リチウム固体状物」という)を含む非プロトン性有
機溶媒中から非水酸化リチウム固体状物を分離する方法
に関する。詳しくは、固体状の水酸化リチウムと非水酸
化リチウム固体状物を含む非プロトン性有機溶媒中に硫
化水素ガスを吹き込み、水酸化リチウムを非プロトン性
有機溶媒に可溶な水硫化リチウムに変換した後、特定の
固液分離方法によつてリチウムの回収ロスを低減する、
非水酸化リチウム固体状物の分離法に関する。
ルフィド樹脂(以下、PASという)の製造方法(本出
願人による特開平07−207027号公報)では、高
価なリチウムをリサイクルする必要がある。リチウム
は、PASの重合反応溶液中に塩化リチウムとして溶解
しており、これにリチウムと当モル以上の水酸化ナトリ
ウムを加えることにより、水酸化リチウムの結晶として
回収される。しかしながら、同時に水酸化リチウムと等
モル量の塩化ナトリウムが結晶として析出するため、こ
のまま水酸化リチウムをPASの重合系にリサイクルす
ると非プロトン性有機溶媒に不溶な塩化ナトリウムがP
AS中に取り込まれてしまう。そこで、非プロトン性有
機溶媒中の水酸化リチウムとその他の固体状物(塩化ナ
トリウム等)を分離する必要がある。
入し、固体状物の水への溶解度の差を利用して分離する
方法、硫化水素ガスを、水酸化リチウムとその他の固
体状物を含む非プロトン性有機溶媒中に吹き込み、硫化
水素と水酸化リチウムを反応させて非プロトン性有機溶
媒(例えば、N−メチル−2−ピロリドン:NMP)に
可溶な錯体を合成し、分離する方法(特開平07−17
2821号公報)が知られている。
塩化ナトリウムの溶解度の差が小さく、極めて分離効率
が悪い。しかも系内に多量の水が残るという問題があ
る。また、の硫化水素ガスを吹き込む方法として具体
的に開示されている実施例においては、硫化水素ガスを
吹き込み後の反応混合物を130℃に保温されたガラス
製フィルターにあけ減圧濾過する固液分離操作、及び1
30℃でNMPを用いてフィルター上の濾過物を洗浄す
る操作が開示されている。しかし、硫化水素ガス吹き込
み後の反応系内のS/Liモル比は0.65とされてい
るため、かなりの量の硫化リチウムが生成していると考
えられる。また、固液分離の際、硫化リチウムが生成す
るおそれのある減圧濾過操作を採用している。硫化リチ
ウムはNMPに不溶なため、上記の固液分離操作、洗浄
操作を実施してもリチウムの回収ロスの問題は完全に解
決したとはいえない。
酸化リチウムと水酸化リチウム以外の固体状物(非水酸
化リチウム固体状物)を含む非プロトン性有機溶媒中に
硫化水素ガスを吹き込み、水酸化リチウムを非プロトン
性有機溶媒に可溶な水硫化リチウムに変換した後、固液
分離することにより非水酸化リチウム固体状物を分離す
る方法において、水硫化リチウムの回収ロスを低減する
方法を提供することを目的とする。
ついて鋭意検討した結果、上記非水酸化リチウム固体状
物の分離方法において、硫化水素ガスを用いて水酸化リ
チウムを非プロトン性有機溶媒に可溶な水硫化リチウム
に変換し、固液分離した後、分離された結晶ケークを非
プロトン性有機溶媒で洗浄することにより結晶ケーク中
に含まれる水硫化リチウムを効果的に回収できることを
見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。本発明
の要旨は以下の通りである。
チウム以外の固体状物(以下、「非水酸化リチウム固体
状物」という)を含む非プロトン性有機溶媒中に硫化水
素ガスを吹き込み、水酸化リチウムを非プロトン性有機
溶媒に可溶な水硫化リチウムに変換した後、水硫化リチ
ウムの脱硫化水素反応が抑制された条件下で、かつ分離
する液温が50〜150℃で固液分離することにより非
水酸化リチウム固体状物を分離する方法であって、分離
された結晶ケークを非プロトン性有機溶媒で洗浄するこ
とにより、結晶ケーク中に含有される水硫化リチウムを
回収することを特徴とする非水酸化リチウム固体状物の
分離方法。 〔2〕硫化水素ガスの吹き込みを50〜150℃で行う
上記〔1〕に記載の非水酸化リチウム固体状物の分離方
法。 〔3〕水硫化リチウムの脱硫化水素反応を抑制するため
に、減圧および不活性ガスの吹き込みのいずれをもする
ことなく固液分離を行う上記〔1〕または〔2〕に記載
の非水酸化リチウム固体状物の分離方法。 〔4〕分離された結晶ケークの洗浄に用いられた洗浄液
(非プロトン性有機溶媒)の少なくとも一部を水酸化リ
チウムの水硫化工程または結晶ケークの洗浄工程にリサ
イクルする上記〔1〕〜〔3〕のいずれかに記載の非水
酸化リチウム固体状物の分離方法。 〔5〕硫化水素ガスに対する水酸化リチウムの使用割合
が0.2〜2.0(モル比)の範囲にある上記〔1〕〜
〔4〕のいずれかに記載の非水酸化リチウム固体状物の
分離方法。
物の分離方法を、水酸化リチウムの水硫化工程から水硫
化リチウムの脱硫化水素による硫化リチウムの製造工程
までの流れを示す図1を参照しながら、以下説明する。 〔水硫化工程〕固体状の水酸化リチウムおよび非水酸化
リチウム固体状物を含む非プロトン性有機溶媒中に硫化
水素ガスを吹き込み、水酸化リチウムを非プロトン性有
機溶媒に可溶な水硫化リチウムに変換する工程である。
すなわち、水硫化工程は次の反応式で示される反応を主
とするものである。 Li0H + H2S → LiSH + H2O
200℃、好ましくは圧力0.lMPa〜0.3MP
a、温度50〜150℃の条件下において行われる。反
応圧力が0.3MPaを超えると、この反応に使用する
圧力容器の仕様が一段と厳しくなるので経済的に不利と
なる。反応温度が0℃より低ければ、水酸化リチウムの
溶解度が低く、また水と共沸する共沸剤を使用する場合
に液相中の共沸剤の濃度が高くなり、水酸化リチウムの
溶解度がさらに低くなるなどにより、水硫化反応が進み
にくくなる。さらに、生成した水硫化リチウム溶液の粘
度が急激に上昇し、水硫化反応が著しく遅くなる。反応
温度が200℃より高くなると、反応系内の圧力も高ま
り好ましくないのみならず、非プロトン性有機溶媒の分
解による悪影響が生ずる恐れがある。また、硫化リチウ
ムの生成量が増大する。硫化リチウムは非プロトン性有
機溶媒に溶解しないため、固形物を形成して、分離・回
収が困難になり、リチウムの回収ロスが大きくなる。
でも水を含むものでもよい。しかし、通常は、PAS重
合反応槽で重合反応に伴い生成する塩化リチウムにNa
OHを添加して得られる水酸化リチウムが用いられる。 (3)非水酸化リチウム固体状物 本発明で分離される非水酸化リチウム固体状物は、ほと
んどが塩化ナトリウムであり、その他僅かにPASポリ
マー及びPASオリゴマー等が含まれる場合がある。通
常、PASの重合工程で使用される硫化リチウムは、ポ
リマー内に硫黄が取り込まれて、自らは塩化リチウムに
転換する。即ち、硫化リチウムは、硫黄キャリヤーとし
て働く。塩化リチウムにNaOHを添加すると水酸化リ
チウムと塩化ナトリウムが生成するが、このいずれもが
非プロトン性有機溶媒に不溶で固体状物を形成する。
般的に、非プロトン性の極性有機化合物(例えば、アミ
ド化合物、ラクタム化合物、尿素化合物、有機イオウ化
合物、環式有機リン化合物等)を単独溶媒、または、混
合溶媒として好適に使用することができる。これらの非
プロトン性の極性有機化合物のうち、前記アミド化合物
としては、例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、
N,N−ジエチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセ
トアミド、N,N一ジエチルアセトアミド、N,N−ジ
プロピルアセトアミド、N,N−ジメチル安息香酸アミ
ドなどを挙げることができる。
ば、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N一
エチルカプロラクタム、N一イソプロピルカプロラクタ
ム、N一イソブチルカプロラクタム、N−ノルマルプロ
ピルカプロラクタム、N一ノルマルブチルカプロラクタ
ム、N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN一アルキ
ルカプロラクタム類、N−メチル−2−ピロリドン(N
MP)、N一エチル−2−ピロリドン、N−イノプロピ
ル−2−ピロリドン、N−イソブチル−2−ピロリド
ン、N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン、N一ノル
マルブチル−2−ピロリドン、N−シクロヘキシル−2
−ピロリドン、N−メチル−3−メチル−2−ピロリド
ン、N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン、N−メ
チル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン、N−
メチル−2−ピペリドン、N−エチル−2−ピペリド
ン、N−イソプロピル−2−ピペリドン、N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
例えば、ジメチルスルホキシド、ジエテルスルホキシ
ド、ジフェニレンスルホン、1−メチル−1−オキソス
ルホラン、1−エチル−1−オキソスルホラン、1−フ
ェニル−1−オキソスルホランなどを挙げることができ
る。これら各種の非プロトン性極性有機化合物は、それ
ぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、さらには
本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混合して、前
記非プロトン性有機溶媒として使用することができる。
前記各種の非プロトン性有機溶媒の中でも、好ましいの
はN一アルキルカプロラクタムおよびN一アルキルピロ
リドンであり、特に好ましいのはN−メチル−2−ピロ
リドンである。
使用割合は、水酸化リチウム/硫化水素のモル比が、通
常0.2〜3.0、好ましくは0.2〜2.0、より好
ましくは0.3〜1.5、特に好ましくは0.3〜1.
1の範囲である。この範囲内にあれば、水硫化反応が一
層円滑に進むからである。 (7)水硫化リチウムの製造 反応装置は、攪拌翼のついた装置であつて、上部にコン
デンサーがあるものが好適である。反応装置(反応槽)
としては、完全混合槽型、懸濁気泡塔型、充填塔型、棚
段塔型等の単独もしくはこれらの組み合わせで、一段な
いし多段のものを用いることができる。
水酸化リチウム固体状物を含む非プロトン性有機溶媒中
に硫化水素ガスを吹き込むことにより、水酸化リチウム
を水硫化する。硫化水素ガスの吹き込み圧力や流速、さ
らに吹き込み方法に特に制限はなく、吹き込み時間は前
記した硫化水素の使用割合から算出される必要量を流速
で割つて得られる時間以上、すなわち、原料水酸化リチ
ウムに対して、過剰量を吹き込む必要がる。
化リチウムは、非プロトン性有機溶媒に可溶であり、そ
の他の固体状物(非水硫化リチウム固体状物)と分離可
能となる。本発明に用いる固液分離装置としては、濾過
器、遠心分離機などを用いることができる。固液分離す
る条件として、好ましくは、水硫化リチウムの脱硫化水
素反応が抑制された条件下で、かつ温度条件として好ま
しくは50〜150℃、特に好ましくは70〜100℃
で行われる。脱硫化水素反応が抑制された条件下で固液
分離するのは、非プロトン性有機溶媒中に溶解している
水硫化リチウムが脱硫化水素して硫化リチウムが生成す
るのを抑制するためである。硫化リチウムが生成すれ
ば、それは非プロトン性有機溶媒に不溶であるため、固
体側に分離され、リチウムの回収ロスにつながる。従つ
て、反応混合物を加温、減圧、不活性ガスの吹き込み等
をすることなく固液分離するのが好ましい。その理由を
以下に説明する。
する脱硫化水素工程でも示すが、次式で表される。 2LiSH → Li2S + H2S 水硫化リチウムの生成反応温度以上に加温すると、硫化
水素の溶媒に対する溶解度が低下し、上記反応が右側に
進みやすくなり、硫化リチウムの生成量が増加する。同
様に、減圧した場合も溶媒に対する硫化水素の溶解度が
低下する。また、不活性ガスの吹き込みは反応器内の硫
化水素ガスの分圧を低下させ、減圧した場合と同様の影
響が生じる。すなわち、水硫化工程終了時に溶媒中に存
在する硫化水素濃度を、固液分離工程でなるべく低下さ
せない操作を行うことが、リチウムの回収ロスを低減さ
せるうえで好ましい。なお、温度条件は、50℃未満の
場合、水硫化リチウムを含む非プロトン性有機溶媒の粘
度が急激に上昇し、濾過や遠心分離が困難になるので好
ましくない。150℃を超える温度では上記のように水
硫化リチウムの脱硫化水素が進行し、硫化リチウムが生
成し、リチウムの回収ロスが増加するので好ましくな
い。
クの含液率は50%以上と高く、付着母液(結晶ケーク
に付着した溶媒)に溶解した水硫化リチウム(結晶ケー
クに付着した溶媒)は、未回収のリチウムとなる。そこ
で、本発明においては、分離された結晶ケークを非プロ
トン性有機溶媒で洗浄することにより、結晶ケーク中に
含有される水硫化リチウムを回収する。より具体的に
は、非プロトン性有機溶媒で洗浄しながら固液分離を行
うか、分離された結晶ケークを再度、非プロトン性有機
溶媒でスラリー状態にして洗浄する。洗浄液量や洗浄回
数は、多くすればリチウム回収率は向上するが、特に制
限はない。具体的には、例えば、以下に記載する方法を
採用することができる。
して、0.5〜5.0倍量(質量)の非プロトン性有機
溶媒を加え、水硫化工程における反応温度と同じ温度以
下で攪拌することによつて洗浄を行い、上記と同様にし
て再度固液分離を行う。この操作を2〜3回繰り返す。
洗浄時の結晶ケークに対する非プロトン性有機溶媒の添
加量は、上記のように0.5〜5.0倍量(質量)とす
ることが好ましく、特に1.0〜3.0倍量(質量)と
することが好ましい。0.5倍量未満では好ましい洗浄
効果が得られない場合があり、5.0倍量を超えると使
用溶媒量が多くなり、その処理に手間やコストがかか
る。
特に70〜100℃が好ましい。50℃未満では洗浄系
内の粘度が高く、洗浄効率が悪化する可能性があり、1
20℃を超える温度で洗浄する場合には、上記したよう
に水硫化リチウムの脱硫化水素が進行し、リチウムの回
収ロスが増加する可能性がある。洗浄溶媒(非プロトン
性有機溶媒)と結晶ケークの混合方法は特に限定されな
いが、結晶ケークが洗浄溶媒中に均一に分散するよう混
合して洗浄するのが好ましい。攪拌速度や洗浄時間は特
に限定されず、適宜設定できる。
素ガス雰囲気下で行うのが好ましい。空気中(酸素存在
下)で洗浄操作を行うと、水硫化リチウムが酸化され、
リチウムの硫黄酸化物が生成し、リチウムの回収ロスが
増加する可能性がある。洗浄後、回収された洗浄液の少
なくとも一部又は全部を水硫化工程や固液分離工程、洗
浄工程にリサイクルすることができる。
液分離工程で回収された水硫化リチウムを硫化リチウム
に変換する工程である。水硫化リチウムを含む非プロト
ン性有機溶媒を加熱して、あるいは加熟しながら不活性
ガスを吹き込むことにより脱硫化水素反応を進行させる
と、硫化リチウムが生成する。
れる反応を主とする。 2LiSH → Li2S + H2S 反応系内に残留する水硫化リチウムの硫化リチウムヘの
転換を一層促進するため、加熱しながら、あるいは加熱
して不活性ガスを吹き込みながら脱硫化水素を進める。
反応温度は、好ましくは150〜250℃、特に好まし
くは170〜220℃である。なお、不活性ガスとして
は、特に制限はなく、通常、窒素ガスを好適に用いるこ
とができる。また、この不活性ガスの吹き込み圧につい
ては、特に制限はなく、常圧でも加圧してもよく、吹き
込み流速も特に制限はない。なお、吹き込み時間あるい
は加熱時間は、未反応の水硫化リチウムの液中濃度を測
定することにより、確認することができるが、通常、反
応時間との関係で把握される。反応終了後、硫化リチウ
ムを含むスラリー溶液が回収され、それは、通常、ポリ
アリーレンスルフィドの重合工程に使用される硫黄キャ
リヤーとして用いられる。
に説明する。 〔実施例1〕攪拌機およびコンデンサーのついた500
ミリリットルガラス製セパラブルフラスコにN−メチル
−2−ピロリドン(NMP)120gと、塩化リチウム
のNMP溶液に水酸化ナトリウムを加えて回収した湿つ
たケーク187.68g(含液率56%で水酸化リチウ
ムおよび塩化ナトリウムがそれぞれ1モルである)を入
れ、550rpmで攪拌しながら、130℃に昇温し
た。湿つたケークを乾燥して得た結晶の粒径分布は10
〜100μmであつた。
ミリリットル/分で180分間供給した。硫化水素を吹
き込む間の温度及び攪拌速度はそれぞれ130℃、55
0rpmにコントロールした。経時的に液相をサンプリ
ングし、リチウム化合物を電位差滴定法で分別定量し
た。また、液中のリチウムおよびナトリウムをイオンク
ロマトグラフィー、水分をガスクロマトグラフィーで分
析した。硫化水素ガスの供給を開始すると液はただちに
濃青色に変色し、リチウム錯体の生成が認められた。1
80分経過後も固形物は系内に残つていた。硫化水素ガ
スの吹き込みを開始してから60分後の水酸化リチウム
の転化率は97.8%、水硫化リチウム選択率は100
%、水分は9.8%であつた。また、90分以上経過後
の水酸化リチウム転化率は100%、水硫化リチウム選
択率は95.3%、水分は8.2%で、僅かに硫化リチ
ウムの生成が認められた。
たガラス製フィルターを用いて濾過した。湿つたケーク
の含液率は54.8%で、リチウム回収率(塩化リチウ
ムの形でセパラブルフラスコに投入されたリチウムのう
ち、固液分離により、ろ液中に回収されたリチウムの割
合)は85%であつた。フィルター上の濾過物をさらに
130℃にて多量のNMPで洗浄した。洗浄によリケー
クから溶出した洗浄液中のリチウム濃度は24質量pp
mで、NMPで洗浄することによつて、固液分離後のケ
ーク中のリチウムは99%が回収された(全体としての
リチウム回収率は95%)。なお、固液分離後の液中の
ナトリウム濃度は0.74質量%で塩化ナトリウム除去
率は96%であった。洗浄液の一部をケークの洗浄用に
リサイクルした。
備えた500ミリリットルのガラス製セパラブルフラス
コ(単蒸留装置)に、NMP120gと塩化リチウムの
NMP溶液を入れ、リチウムに対して当モルの水酸化ナ
トリウム(48質量%水溶液)を加えて反応させ、水酸
化リチウムと塩化ナトリウム(それぞれ1モル)が析出
した反応混合物を得た。次に、系内を減圧(0.2kP
a)し、温度130℃で脱水を行つた。脱水は、130
℃で塔頂からの留出がなくなるまで行つた。
ガスを水酸化リチウムに対して過剰量吹き込んで水硫化
リチウムの合成を行つた。硫化水素ガス吹き込み前は白
色結晶と透明な上澄み液からなるスラリーであつたが、
吹き込みと同時に液は濃青色に変化した。硫化水素ガス
の吹き込みは、固形物が無くなるまで続行した。この
間、攪拌速度は350rpmで、硫化水素ガスの吹き込
み速度は1000ミリリットル/分であった。60分後
の水酸化リチウムの転化率は100%で水硫化リチウム
選択率は100%であつた。また、120分以上経過後
の水硫化リチウム選択率も100%であつた。また、残
留水分は4.1%であつた。
したガラス製フィルターを用いて濾過した。濾過により
得られた湿つたケークの含液率は63.2質量%で、こ
の時点のリチウム回収率は67%であつた。フィルター
上の濾過物をさらに100℃にて多量のNMPで洗浄し
た。NMPで洗浄することによつて、固液分離後のケー
ク中のリチウムは99%が回収された(全体としてのリ
チウム回収率は、99.7%)。なお、固液分離後の液
中のナトリウム濃度は0.59質量%で塩化ナトリウム
除去率は97質量%であつた。本実施例において、洗浄
液の一部をケークの洗浄用にリサイクルした。
た、水硫化リチウムを含む混合物を40℃に保温された
ガラス製フィルターを用いて濾過しようとしたところ、
液粘度が高すぎて濾過できなかつた。透過側を減圧に引
いて濾過を行つたが完全に固液分離はできなかった。吸
引濾過を行つている間、透過側のガラスフイルターの表
面から気泡の発生が見られたため、結晶の一部を取り出
し、電位差滴定法で分析した結果、硫化リチウムの生成
が確認された。硫化リチウムの生成原因としては、前記
のように減圧濾過により、溶媒に対する硫化水素の溶解
度が低下したことが考えられる。
素吹き込み前の混合物を製造した。実施例1においては
130℃に昇温したが、本実験では158℃に昇温し
た。158℃で硫化水素ガスを吹き込んで水硫化リチウ
ムの合成を行つた。その際の攪拌速度は350rpmと
し、硫化水素ガスの吹き込み速度は1000ミリリット
ル/分とした。硫化水素ガスの吹き込みを開始してから
60分後の水酸化リチウムの転化率は68.8%で水硫
化リチウムの選択率は100%であつた。また、120
分以上経過後の水酸化リチウム転化率は100%、水硫
化リチウム選択率は85.5%、硫化リチウム選択率は
14.5%であった。このように、硫化リチウムの生成
量が実施例1に比べて増加した。
ス製フィルターを用いて濾過した。湿つたケークの含液
率は62.3質量%で、この時のリチウム回収率は56
%であった。フィルター上の濾過物をさらに、100℃
にて多量のNMPで洗浄した。NMPで洗浄を行つても
全体としてのリチウムの回収率は85%にまでしか向上
しなかつた。洗浄後の結晶を電位差滴定法で分析した結
果、硫化リチウムの存在が確認された。
含まれる水硫化リチウムの99%程度を回収できるた
め、全体としてのリチウム回収率を、従来の60%台に
較べ、著しく改善することができる。
離方法を利用した、硫化リチウム製造方法の概略図であ
る。
Claims (5)
- 【請求項1】 固体状の水酸化リチウムと水酸化リチウ
ム以外の固体状物(以下、「非水酸化リチウム固体状
物」という)を含む非プロトン性有機溶媒中に硫化水素
ガスを吹き込み、水酸化リチウムを非プロトン性有機溶
媒に可溶な水硫化リチウムに変換した後、水硫化リチウ
ムの脱硫化水素反応が抑制された条件下で、かつ分離す
る液温が50〜150℃で固液分離することにより非水
酸化リチウム固体状物を分離する方法であって、分離さ
れた結晶ケークを非プロトン性有機溶媒で洗浄すること
により、結晶ケーク中に含有される水硫化リチウムを回
収することを特徴とする非水酸化リチウム固体状物の分
離方法。 - 【請求項2】 硫化水素ガスの吹き込みを50〜150
℃で行う請求項1記載の非水酸化リチウム固体状物の分
離方法。 - 【請求項3】 水硫化リチウムの脱硫化水素反応を抑制
するために、減圧および不活性ガスの吹き込みのいずれ
をもすることなく固液分離を行う請求項1または2に記
載の非水酸化リチウム固体状物の分離方法。 - 【請求項4】 分離された結晶ケークの洗浄に用いられ
た洗浄液(非プロトン性有機溶媒)の少なくとも一部を
水酸化リチウムの水硫化工程または結晶ケークの洗浄工
程にリサイクルする請求項1〜3のいずれかに記載の非
水酸化リチウム固体状物の分離方法。 - 【請求項5】 硫化水素ガスに対する水酸化リチウムの
使用割合が0.2〜2.0(モル比)の範囲にある請求
項1〜4のいずれかに記載の非水酸化リチウム固体状物
の分離方法。
Priority Applications (1)
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