JP3490137B2 - ポリアリーレンスルフィドの製造方法 - Google Patents
ポリアリーレンスルフィドの製造方法Info
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Description
ィド(PAS)の製造方法に関する。さらに詳しくは電
気、電子分野、高剛性材料分野で特に有用な比較的高分
子量のポリアリーレンスルフィドを製造する方法に関す
る。
樹脂)、中でも特にポリフェニレンスルフィド樹脂(P
PS樹脂)は、機械的強度、耐熱性等に優れると共に、
特に高い剛性を有するエンジニアリング樹脂として知ら
れており、電子・電気機器部品の素材や各種の高剛性材
料として有用である。これらの樹脂の製造には、従来、
N−メチル−2−ピロリドン(以下において、NMPと
略称することがある。)等の非プロトン性有機溶媒中で
p−ジクロロベンゼン等のジハロゲン化芳香族化合物と
硫化ナトリウム等のナトリウム塩とを反応させるという
方法が一般に用いられてきた。しかし、この場合、副生
する塩化ナトリウムがNMP等の溶媒に不溶であるから
樹脂中に取り込まれてしまい、それを洗浄によって取り
除くことは容易でなかった。
塩、たとえば水酸化リチウムを用いて重合を行い、塩化
リチウムを副生させると、塩化リチウムはNMP等の多
くの非プロトン性有機溶媒(重合用溶媒)に可溶である
ので、水洗浄工程および排水処理工程が不要となるとと
もに、高純度PASを製造する方法として有効であるこ
とから、リチウム塩を用いる方法が脚光を浴びてきた。
造方法については、これまで種々の改良がなされてきた
が、本出願人も、非プロトン性有機溶媒中で、N−メチ
ルアミノ酪酸リチウムと硫化水素とジハロゲン化芳香族
化合物とを、ジハロゲン化芳香族化合物の反応率を80
〜99モル%に達するまで予備重合し、次いで本重合を
行うことを特徴とする比較的高分子量のPASを製造す
る方法を提案している(特願平5−32939号)。こ
の方法は、高純度、高分子量のPASを容易に得ること
ができる利点を有している。
比較的高分子量(たとえば、溶液粘度が0.2以上)の
PASが生成した際、重合系でポリマー相が攪拌翼等に
凝集することがあり、冷却後に攪拌翼等にポリマーが付
着したり、製品を抜出す際、抜出しラインの閉塞を招く
ことがあり、また、重合系を連続化した際、ポリマーを
安定して抜出すことが困難な場合があり、必ずしも十分
に満足すべきものとはいえなかった。本発明は、上記問
題に鑑みなされたものであり、ポリマーの攪拌翼等への
付着や製品抜出しラインの閉塞を生ずることなく、比較
的高分子量のPASを容易かつ円滑に製造することがで
きるポリアリーレンスルフィドの製造方法を提供するこ
とを目的とする。
本発明によれば、非プロトン性有機溶媒中にて、水酸化
リチウムと、液状または気体状のイオウ化合物と、ポリ
ハロゲン化芳香族化合物とを重合させて、ポリアリーレ
ンスルフィドを製造する方法において、重合時のリチウ
ム濃度を、前記非プロトン性有機溶媒1リットル当たり
3.6モル以上に制御することを特徴とするポリアリー
レンスルフィドの製造方法が提供される。
ロトン性有機溶媒が、N−メチル−2−ピロリドンであ
ることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方
法が、また、前記液状または気体状のイオウ化合物が、
硫化水素であることを特徴とするポリアリーレンスルフ
ィドの製造方法が、また、前記ポリハロゲン化芳香族化
合物が、パラジクロロベンゼンを50モル%以上含むも
のであることを特徴とするポリアリーレンスルフィドの
製造方法が、さらに、前記重合が、連続重合であること
を特徴とするポリアリーレンスルフィドの製造方法がそ
れぞれ提供される。
は、水酸化リチウムおよび/またはN−メチルアミノ酪
酸リチウムと、液状または気体状のイオウ化合物と、ジ
ハロゲン化芳香族化合物とを、非プロトン性有機溶媒中
にて重合させる。
般に、非プロトン性の極性有機化合物(たとえば、アミ
ド化合物,ラクタム化合物,尿素化合物,有機イオウ化
合物,環式有機リン化合物等)を、単独溶媒として、ま
たは、混合溶媒として、好適に使用することができる。
うち、前記アミド化合物としては、たとえば、N,N−
ジメチルホルムアミド,N,N−ジエチルホルムアミ
ド,N,N−ジメチルアセトアミド,N,N−ジエチル
アセトアミド,N,N−ジプロピルアセトアミド,N,
N−ジメチル安息香酸アミドなとを挙げることができ
る。
えば、カプロラクタム,N−メチルカプロラクタム,N
−エチルカプロラクタム,N−イソプロピルカプロラク
タム,N−イソブチルカプロラクタム,N−ノルマルプ
ロピルカプロラクタム,N−ノルマルブチルカプロラク
タム,N−シクロヘキシルカプロラクタム等のN−アル
キルカプロラクタム類,N−メチル−2−ピロリドン
(NMP),N−エチル−2−ピロリドン,N−イソプ
ロピル−2−ピロリドン,N−イソブチル−2−ピロリ
ドン,N−ノルマルプロピル−2−ピロリドン,N−ノ
ルマルブチル−2−ピロリドン,N−シクロヘキシル−
2−ピロリドン,N−メチル−3−メチル−2−ピロリ
ドン,N−エチル−3−メチル−2−ピロリドン,N−
メチル−3,4,5−トリメチル−2−ピロリドン,N
−メチル−2−ピペリドン,N−エチル−2−ピペリド
ン,N−イソプロピル−2−ピペリドン,N−メチル−
6−メチル−2−ピペリドン,N−メチル−3−エチル
−2−ピペリドンなどを挙げることができる。
ば、テトラメチル尿素,N,N’−ジメチルエチレン尿
素,N,N’−ジメチルプロピレン尿素などを挙げるこ
とができる。
たとえば、ジメチルスルホキシド,ジエチルスルホキシ
ド,ジフェニルスルホン,1−メチル−1−オキソスル
ホラン,1−エチル−1−オキソスルホラン,1−フェ
ニル−1−オキソスルホランなどを、また、前記環式有
機リン化合物としては、たとえば、1−メチル−1−オ
キソホスホラン,1−ノルマルプロピル−1−オキソホ
スホラン,1−フェニル−1−オキソホスホランなどを
挙げることができる。
は、それぞれ一種単独で、または二種以上を混合して、
さらには、本発明の目的に支障のない他の溶媒成分と混
合して、前記非プロトン性有機溶媒として使用すること
ができる。
でも、好ましいのはN−アルキルカプロラクタム及びN
−アルキルピロリドンであり、特に好ましいのはN−メ
チル−2−ピロリドンである。
メチルアミノ酪酸リチウム 本発明で用いられる水酸化リチウムおよび/またはN−
メチルアミノ酪酸リチウムとしては、特に制限はなく、
高純度である限り市販の製品を使用することができる。
このN−メチルアミノ酪酸リチウムとしては、出願人が
先に特願平4−183717号で提案した製造方法によ
って製造されたものが好ましい。すなわち、まず、非プ
ロトン性有機溶媒中で、N−メチル−2−ピロリドン
と、リチウムを除くアルカリ金属の水酸化物とを反応さ
せてN−メチルアミノ酪酸のアルカリ金属塩(すなわ
ち、N−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金
属塩)を合成する。
ム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ
金属塩の合成で得られたN−メチルアミノ酪酸ナトリウ
ム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ
金属塩を含有する反応混合物から水分濃度を低減すべく
水分を除去する。この水分除去工程は、蒸留等の常法に
従って行うことができる。なお、その際、有機溶媒の一
部が除去されても構わない。合成したN−メチルアミノ
酪酸ナトリウム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以
外のアルカリ金属塩を一旦単離して、次の工程の原料と
して使用することもできるが、通常は、この水分を除去
した後の反応混合物をそのまま、あるいは必要に応じ
て、溶媒量を適宜に調節する程度で、次の反応工程に供
する方がプロセス上有利になる。
濃度を低減したN−メチルアミノ酪酸ナトリウム等のN
−メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩の
溶液を塩化リチウムと接触させることにより、このN−
メチルアミノ酪酸のリチウム以外のアルカリ金属塩と塩
化リチウムとを反応させ、所望のN−メチルアミノ酪酸
リチウムを合成する。その際、用いたN−メチルアミノ
酪酸ナトリウム等のN−メチルアミノ酪酸のリチウム以
外のアルカリ金属塩のアルカリ金属成分(すなわち、リ
チウム以外のアルカリ金属成分)の塩化物が副生する
が、これらの副生アルカリ金属塩化物を除去し、リチウ
ム以外のアルカリ金属成分が完全にまたは十分に除去さ
れた所望のN−メチルアミノ酪酸リチウムの溶液を得
る。
N−メチルアミノ酪酸リチウムの両方を用いてもよく、
またそのいずれか一方のみを用いてもよい。
ては、特に制限はないが、硫化水素を好適に用いること
ができる。
は、特に制限はなく、一分子中に二個以上のハロゲン原
子を有する芳香族化合物を挙げることができ、具体的に
はポリアリーレンスルフィドの製造に用いられる公知の
化合物を好適例として挙げることができる。
ジハロゲンベンゼン等のジハロゲンベンゼン類;2,3
−ジハロゲントルエン、2,5−ジハロゲントルエン、
2,6−ジハロゲントルエン、3,4−ジハロゲントル
エン、2,5−ジハロゲンキシレン、1−エチル−2,
5−ジハロゲンベンゼン、1,2,4,5−テトラメチ
ル−3,6−ジハロゲンベンゼン、1−ノルマルヘキシ
ル−2,5−ジハロゲンベンゼン、1−シクロヘキシル
−2,5−ジハロゲンベンゼンなどのアルキル置換ジハ
ロゲンベンゼン類またはシクロアルキル置換ジハロゲン
ベンゼン類;1−フェニル−2,5−ジハロゲンベンゼ
ン、1−ベンジル−2,5−ジハロゲンベンゼン、1−
p−トルイル−2,5−ジハロゲンベンゼン等のアリー
ル置換ジハロゲンベンゼン類;4,4’−ジハロビフェ
ニル等のジハロビフェニル類:1,4−ジハロナフタレ
ン、1,6−ジハロナフタレン、2,6−ジハロナフタ
レン等のジハロナフタレン類などを挙げることができ
る。
る2個のハロゲン元素は、それぞれフッ素、塩素,臭素
またはヨウ素であり、それらは同一であってもよいし、
互いに異なっていてもよい。
ベンゼン類であり、特に好ましいのはp−ジクロロベン
ゼンを50モル%以上含むものである。
は、非プロトン性有機溶媒1リットル当たり3.6モル
以上となるようにリチウム化合物と溶媒の仕込み量を調
整して行う。3.6モル/リットル以上であると安定分
散(液滴状でポリマー相が分散する)を得ることができ
る。3.6モル/リットルより小さいとポリマー相が塊
状となり攪拌翼等に付着することがある。イオウ化合物
として硫化水素を用いた場合、その硫化水素に対する、
水酸化リチウムおよび/またはN−メチルアミノ酪酸リ
チウムの使用割合(モル比:水酸化リチウムおよび/ま
たはN−メチルアミノ酪酸リチウム/硫化水素)は、通
常1.80〜3.00、特に1.95〜3.00であ
る。硫化水素に対する水酸化リチウムおよび/またはN
−メチルアミノ酪酸リチウムの使用割合が前記範囲内に
あると、重合反応が一層円滑に進行する。
する硫化水素の使用割合(モル比:硫化水素/ジハロゲ
ン化芳香族化合物)は、通常0.90〜1.30、特に
0.95〜1.25である。ポリハロゲン化芳香族化合
物に対する硫化水素の使用割合が前記範囲にあると、重
合反応が一層円滑に進行する。
化水素の使用割合(モル比:硫化水素/非プロトン性有
機溶媒)は、通常0.05〜0.30、特に0.05〜
0.25である。なお、この非プロトン性有機溶媒の量
は、N−メチルアミノ酪酸リチウムを用いる場合、仕込
んだ非プロトン性有機溶媒の量と、このN−メチルアミ
ノ酪酸リチウムと硫化水素との反応により生成した非プ
ロトン性有機溶媒の量との合計量である。非プロトン性
有機溶媒に対する硫化水素の使用割合が前記範囲内にあ
ると、重合反応が円滑に進行し、また、連続重合に適し
たものとなる。
素含有ハロゲン化芳香族化合物、一分子中に3個以上の
ハロゲン原子を有するポリハロゲン化芳香族化合物、お
よびハロゲン化芳香族ニトロ化合物などの分岐剤を適当
に選択して反応系に添加し、これを使用することもでき
る。
割合は、前記硫化水素1モルに対し、通常、0.000
5〜0.05モル、好ましくは0.001〜0.02モ
ルである。
水酸化リチウムおよび/またはN−メチルアミノ酪酸リ
チウムと、液状または気体状のイオウ化合物と、ポリハ
ロゲン化芳香族化合物とを、リチウムの非プロトン性有
機溶媒に対する使用割合を制御しながら重縮合してポリ
アリーレンスルフィドを製造する。以下、本発明を各工
程順に説明する。
はN−メチルアミノ酪酸リチウム、ポリハロゲン化芳香
族化合物および非プロトン性有機溶媒を、たとえば重合
反応器内に仕込む。前記各成分の仕込み量は、前述した
使用割合の範囲内のものとする。
序に特に制限があるわけではないが、以下の三方法を仕
込み処方の好適例として挙げることができる。
−メチルアミノ酪酸リチウムとジハロゲン化芳香族化合
物との非プロトン性有機溶媒溶液を調製し、この非プロ
トン性有機溶媒溶液に硫化水素を吹込み、溶解させる。
た非プロトン性溶媒溶液を、水酸化リチウムおよび/ま
たはN−メチルアミノ酪酸リチウムとポリハロゲン化芳
香族化合物とに混合する。
ルアミノ酪酸リチウムの非プロトン性有機溶媒溶液に硫
化水素を吹込み、溶解し、次いでポリハロゲン化芳香族
化合物を添加する。
入する(吹込む)際の系の温度は、通常、常温であるが
170℃未満とすることが好ましい。さらに好ましくは
150℃未満、中でも130℃未満が最も好ましい。1
50℃以上の場合、固体状の硫化物が析出するおそれが
ある。
む際の圧力は、常圧でも加圧してもよい。吹き込み時間
としては、特に制限はなく、通常は10〜180分程度
とすることが好ましい。吹き込み速度も特に制限はな
く、通常は10〜1000cc/分程度とすることが好
ましい。
ルアミノ酪酸リチウムと硫化水素とから錯体を合成す
る。
であり、130〜150℃が好ましい。この温度範囲
で、反応系を10分〜5時間、好ましくは1時間〜2時
間かけて静置もしくは攪拌する。このような合成条件の
下では特に上記錯体が好適に形成される。
中で、水酸化リチウムおよび/またはN−メチルアミノ
酪酸リチウムと硫化水素とポリハロゲン化芳香族化合物
との予備重合を、このポリハロゲン化芳香族化合物の反
応率が80〜99%、好ましくは80〜95%になるよ
うに、予備重合を行うことが好ましい。
記割合になるように予備重合を行ってから後述する重合
を行うことにより、溶液粘度が0.20以上のポリアリ
ーレンスルフィドを効率良く製造することができる。ポ
リハロゲン化芳香族化合物の反応率が80%未満である
と高分子量のポリアリーレンスルフィドを製造すること
ができないことがある。
化芳香族化合物の反応率は、予備重合工程後の脱水工程
中に留出したポリハロゲン化芳香族化合物の量を仕込ん
だポリハロゲン化芳香族化合物の量から引いた値から求
めることができるし、また、脱水を行わない場合には、
予備重合後の反応液中のポリハロゲン化芳香族化合物の
量を仕込んだポリハロゲン化芳香族化合物の量から引い
た値より求めることができる。ポリハロゲン化芳香族化
合物の定量分析は、脱水を行った場合の留出液および脱
水を行わない場合の反応液中のポリハロゲン化芳香族化
合物のガスクロマトグラフィー分析により行うことがで
きる。
ルフィドを製造しようとするときには、必要に応じて脱
水工程を採用するのが好ましい。脱水工程は、前記錯体
合成工程と予備重合工程との間にあっても良く、予備重
合工程と重合工程との間にあっても良く、また、錯体合
成工程と予備重合工程との間および予備重合工程と重合
工程との間の両方にあっても良い。
180℃、好ましくは130〜160℃、圧力としては
減圧であっても加圧であっても良く、通常は1mmHg
〜10kg/cm2 の範囲の中から適宜に選択される。
脱水雰囲気は、通常不活性ガス雰囲気たとえば窒素ガス
雰囲気が採用される。
た場合に生成する水分量に対する水分量として70%以
上、好ましくは1〜2時間をかけて80%以上の水分が
留出するまで脱水を行うのが良い。このように70%以
上の水分が留出するまで脱水を行うと高分子量のポリア
リーレンスルフィドをより確実に製造することができ
る。
ロマトグラフィー分析により定量することにより行うこ
とができる。
られた反応液から脱イオウ操作、たとえば脱硫化水素操
作によって硫黄分を調整することが好ましい。すなわ
ち、後述するポリハロゲン化芳香族化合物の反応を行わ
せるためには、系内に存在する硫黄/リチウム比を1/
2(S原子/Li原子モル比)以下にすることが好まし
く、1/2にコントロールすることがさらに好ましい。
1/2より大きい場合、反応が進行しにくいためPAS
樹脂の生成が困難となる。コントロールする方法として
は特に制限はないが、たとえばアルカリ金属塩化物また
はアルカリ土類金属塩化物を分離するために吹き込んだ
硫黄化合物、たとえば、硫化水素を、アルカリ金属塩化
物またはアルカリ土類金属塩化物の分離後、系内の液体
部分に窒素バブリング等を施し除去することにより、系
内に存在する硫黄の合計量を調節することができる。こ
の場合、加温してもよい。また、水酸化リチウムやN−
メチルアミノ酪酸リチウム(LMAB)等のリチウム塩
を系内に加えることによりコントロールしてもよい。
合工程の終了後等に必要に応じて実施される脱水工程の
後に、重合工程を実施する。
のステンレス製オートクレーブ(攪拌翼として、パドル
翼を備え、回転数300〜700rpm)を挙げること
ができる。重合温度としては、230〜280℃が好ま
しく、重合時間としては0.1〜10時間が好ましい。
ポリハロゲン化芳香族化合物の投入量としては、前述の
ようにポリハロゲン化芳香族化合物/系内に存在する硫
黄=0.9〜1.3(モル比)の範囲から選択すること
が好ましく、0.95〜1.25がさらに好ましい。
ドは、たとえば、濾過または遠心分離等による標準的な
方法により、直接に反応容器から分別したり、または、
たとえば水および/または稀釈した酸等の凝集液を添加
したのちに反応溶液から分別して、単離することができ
る。
るいは副反応物などを除去するために、通常、水、NM
P、メタノール、アセトン、ベンゼン、トルエンなどの
洗浄溶剤を用いて洗浄することが望ましい。
留去して回収し、残渣を前述のように洗浄することによ
って重合体を得ることもできる。なお、回収した溶媒は
再使用に供することもできる。
て、溶液粘度(ηinh )が0.20以上でありメルトイ
ンデックス(MI)が0〜1,000g/10分である
ところの、十分に高分子量であって、ある場合には、ゲ
ル形成性であると共に、粒径が0.5〜5mmであると
ころの、粒径の制御された粒状のポリアリーレンスルフ
ィドを、簡略化された工程で容易にかつ安定に得ること
ができる。なお、この発明による粒状とは、通常顆粒状
であるがビーズ状であってもよい。また、前記溶液粘度
は、粒状のポリアリーレンスルフィドをα−クロルナフ
タレンに0.4g/dlの濃度になるように溶解し、2
06℃の温度でウベローデ粘度計を使用して測定された
値である。
いるLiイオンを回収するため、系内にアルカリ金属の
水酸化物やアルカリ土類金属の水酸化物たとえば水酸化
ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化マグネシウム等を
投入してもよい。中でも水酸化ナトリウムが好ましい。
その投入量は、リチウムイオン1モルに対し、水酸基が
0.90〜1.1モル、好ましくは0.95〜1.05
モルになるようにする。1.1モルを超えても水酸化リ
チウムの生成には支障はないが、アルカリ金属(土類金
属)水酸化物の原単位の増加や後続の操作との関連で生
成PASの純度の低下を招くことがあるので好ましくな
い。また0.90未満の場合リチウムが塩化物として溶
解したままとなり、リチウムのロスになる。この場合の
反応温度は、特に制限はないが、アルカリ金属水酸化物
またはアルカリ土類金属水酸化物を水溶液状で投入する
場合、通常室温〜230℃、好ましくは65〜150℃
であり、固体状で投入する場合には、通常60〜230
℃、好ましくは90〜150℃である。反応温度が低い
場合、溶解度が低く、反応速度が著しく遅くなる。反応
温度が高い場合NMPの沸点以上になり、加圧下で行わ
なければならずプロセス的に不利になる。また、反応時
間は、特に制限はない。
ルフィドは、必要に応じて種々の脱塩処理を行って、重
合体中の塩化リチウムなどの塩含有量をさらに低減して
も良い。
フィドから各種の製品を成形する場合には、ポリアリー
レンスルフィドに必要に応じて他の重合体、顔料、グラ
ファイト、金属粉、ガラス粉、石英粉、タルク、炭酸カ
ルシウム、ガラス繊維、炭素繊維、各種ウィスカーなど
の充填剤、安定剤、離型剤などを適宜配合することがで
きる。
フィドは、各種成形品の材料、たとえばフィルム、繊
維、機械部品、電気部品、電子部品などの材料として好
適に利用することができる。
に説明する。 (1) 水酸化リチウム(LiOH)を用いた場合(i) 水酸化リチウム 関東化学(株)製純度98%のものを用いた。( ii ) 硫化水素−Li錯体の合成 撹拌翼のついた500mlガラス製セパブルフラスコに
N−メチル−2−ピロリドン415.94g(4.2モ
ル)、前記(i)の無水水酸化リチウム36.79g
(1.5モル)及び脱イオン水27.0g(1.5モ
ル)を入れ、130℃に昇温した。昇温後硫化水素を7
00ml/min.の供給速度で35分間液中に吹き込
んだ。硫化水素を吹き込む間の液温は常に130℃を保
つ様に制御した。硫化水素の供給を停止し、液中のS
(硫黄)量を定量した結果、1.182モル吸収されて
おり従ってS/Li比(モル比)=0.79であった。
また、錯体の合成中若干のNMPの流出が見られた。得
られた錯体を分析した結果、錯体1g当たりのS,L
i,NMP量はそれぞれ、S:2.938×10-3(モ
ル/グラム)、Li:3.730×10-3(モル/グラ
ム)、およびNMP:0.8771(グラム/グラム)
であった。
ブに、N−メチル−2−ピロリドン22.06g(0.
222モル)、p−ジクロロベンゼン22.05g
(0.150モル)、前記( ii )で合成した錯体51.
05g(0.15モル)、及び前記(i)の無水水酸化
リチウム2.87g(0.117モル)、トリクロルベ
ンゼン0.408g(0.0022モル)を入れ、密封
系で240℃に加熱しながら30分かけて撹拌し予備重
合を行った。次いで、260℃に昇温し、260℃を保
ちながら3時間かけて重合を行った。この場合、リチウ
ム濃度(Li/NMP)は4.74モル/リットルであ
った。重合中の分散状態を観察したところ、ポリマー相
は液滴状に均一分散していた。重合反応の終了後に、反
応系を冷却し、得られた固形分を水及びアセトンで順次
洗浄し、乾燥を行うことによりポリアリーレンスルフィ
ドを15.32g(収率93.5%)得た。得られたポ
リアリーレンスルフィドをα−クロルナフタレンに0.
4g/dlの濃度になるように溶解し、206℃の温度
でウベローデ粘度計を使用して粘度測定を行った。その
結果、このポリアリーレンスルフィドの溶液粘度ηinh
は、無限大であった。
2g(0.403モル)、p−ジクロロベンゼン:1
7.28g(0.118モル)、前記( ii )で合成した
錯体:40g(0.118モル)、および前記(i)の
無水水酸化リチウム:2.20g(0.090モル)を
用意した。上記原料を用い、実施例1と同様の操作を行
った。この場合のリチウム濃度(Li/NMP)は3.
28モル/リットルであった。その結果、ポリアリーレ
ンスルフィド13.71g(収率89.3%)を得た。
なお、この時の重合中の分散状態は、ポリマー相が塊状
であった。得られたポリアリーレンスルフィドの溶液粘
度ηinhを実施例1と同じ操作で測定したところ、0.
345であった。
レンスルフィドの製造方法によれば、重合系においてリ
チウム濃度(Li/NMP)を制御することでポリマー
相の分散安定化が可能となり、PAS製造プロセスにお
いてポリマーの翼、バッフル等への付着防止反応液
の抜出しの際の閉塞防止が可能となった。
および重合中の分散状態を模式的に示す流れ図である。
Claims (5)
- 【請求項1】 非プロトン性有機溶媒中にて、水酸化リ
チウムと、液状または気体状のイオウ化合物と、ポリハ
ロゲン化芳香族化合物とを重合させてポリアリーレンス
ルフィドを製造する方法において、重合時のリチウム濃
度を、前記非プロトン性有機溶媒1リットル当たり3.
6モル以上に制御することを特徴とするポリアリーレン
スルフィドの製造方法。 - 【請求項2】 前記非プロトン性有機溶媒が、N−メチ
ル−2−ピロリドンであることを特徴とする請求項1記
載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項3】 前記液状または気体状のイオウ化合物
が、硫化水素であることを特徴とする請求項1または2
記載のポリアリーレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項4】 前記ポリハロゲン化芳香族化合物が、パ
ラジクロロベンゼンを50モル%以上含むものであるこ
とを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載のポリ
アリーレンスルフィドの製造方法。 - 【請求項5】 前記重合が、連続重合であることを特徴
とする請求項1〜4のいずれか1項記載のポリアリーレ
ンスルフィドの製造方法。
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JP09818294A JP3490137B2 (ja) | 1994-04-12 | 1994-04-12 | ポリアリーレンスルフィドの製造方法 |
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-
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- 1994-04-12 JP JP09818294A patent/JP3490137B2/ja not_active Expired - Fee Related
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