JP2000340450A - 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 - Google Patents
積層セラミックコンデンサおよびその製造方法Info
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- JP2000340450A JP2000340450A JP11147001A JP14700199A JP2000340450A JP 2000340450 A JP2000340450 A JP 2000340450A JP 11147001 A JP11147001 A JP 11147001A JP 14700199 A JP14700199 A JP 14700199A JP 2000340450 A JP2000340450 A JP 2000340450A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】クラックやデラミネーションの発生を防止する
ことができ、かつ耐湿負荷特性に優れた積層セラミック
コンデンサおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】少なくとも2層以上の耐還元性を有する誘
電体層1,1間にニッケルを含有する内部電極層2を有
し、内部電極層2が0.05〜1重量%のマグネシウム
を含有し、内部電極層2の誘電体層1との界面に0.0
5〜0.2μm厚みのニッケルおよびマグネシウムを含
有する金属酸化物層4を形成する。
ことができ、かつ耐湿負荷特性に優れた積層セラミック
コンデンサおよびその製造方法を提供する。 【解決手段】少なくとも2層以上の耐還元性を有する誘
電体層1,1間にニッケルを含有する内部電極層2を有
し、内部電極層2が0.05〜1重量%のマグネシウム
を含有し、内部電極層2の誘電体層1との界面に0.0
5〜0.2μm厚みのニッケルおよびマグネシウムを含
有する金属酸化物層4を形成する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層セラミックコ
ンデンサおよびその製造方法に関するもので、特に積層
セラミックコンデンサの内部電極層の改良に関するもの
である。
ンデンサおよびその製造方法に関するもので、特に積層
セラミックコンデンサの内部電極層の改良に関するもの
である。
【0002】
【従来技術】一般に、積層セラミックコンデンサは、誘
電体層と内部電極層とが交互に積層され、各内部電極層
が誘電体層によって各々挟持され、さらに該積層体の両
端部に形成される外部電極層と各々の内部電極層とが電
気的に接続された構造からなる。
電体層と内部電極層とが交互に積層され、各内部電極層
が誘電体層によって各々挟持され、さらに該積層体の両
端部に形成される外部電極層と各々の内部電極層とが電
気的に接続された構造からなる。
【0003】近年、各種電子部品に対しては、軽量小型
化の要求がより厳しくなり、コンデンサにあっては、よ
り小型、大容量化を実現するために比誘電率の高い誘電
体材料を用いること、誘電体層および内部電極層の厚み
を薄くしてさらに多層化を進めること等が行われてい
る。
化の要求がより厳しくなり、コンデンサにあっては、よ
り小型、大容量化を実現するために比誘電率の高い誘電
体材料を用いること、誘電体層および内部電極層の厚み
を薄くしてさらに多層化を進めること等が行われてい
る。
【0004】また、内部電極層については、従来から、
抵抗率が低く、かつ誘電体層との同時焼成が可能なA
g、Pd等の貴金属を主成分とする内部電極層が用いら
れているが、積層数の増加にともなって電極形成コスト
が著しく上昇してしまうため、ニッケル等の安価な卑金
属を主成分とする内部電極層を有する積層コンデンサが
実用化されている。
抵抗率が低く、かつ誘電体層との同時焼成が可能なA
g、Pd等の貴金属を主成分とする内部電極層が用いら
れているが、積層数の増加にともなって電極形成コスト
が著しく上昇してしまうため、ニッケル等の安価な卑金
属を主成分とする内部電極層を有する積層コンデンサが
実用化されている。
【0005】ニッケルなどを内部電極層として使用する
場合、ニッケルは一般に低い平衡酸素分圧を有するた
め、大気中、高温にて焼成すると酸化物が形成され、導
電性が低下するという問題がある。したがって焼成は卑
金属が酸化されない非酸化性雰囲気で行わなければなら
ない。
場合、ニッケルは一般に低い平衡酸素分圧を有するた
め、大気中、高温にて焼成すると酸化物が形成され、導
電性が低下するという問題がある。したがって焼成は卑
金属が酸化されない非酸化性雰囲気で行わなければなら
ない。
【0006】一般に、このようなニッケルを内部電極層
とする積層セラミックコンデンサの製造方法は、表面に
内部電極層用の導電性ペーストが塗布された複数の非還
元性の誘電体シートを複数枚交互に積層し、非酸化性雰
囲気で焼結した後、焼結体の両端面に外部電極層を形成
することにより作製されている。このような製造方法に
おいて、用いられる内部電極層ペーストや誘電体材料は
焼成工程に於ける熱収縮挙動の近いものを選択する必要
があり、さもなくばクラックやデラミネーションが発生
するという問題があった。
とする積層セラミックコンデンサの製造方法は、表面に
内部電極層用の導電性ペーストが塗布された複数の非還
元性の誘電体シートを複数枚交互に積層し、非酸化性雰
囲気で焼結した後、焼結体の両端面に外部電極層を形成
することにより作製されている。このような製造方法に
おいて、用いられる内部電極層ペーストや誘電体材料は
焼成工程に於ける熱収縮挙動の近いものを選択する必要
があり、さもなくばクラックやデラミネーションが発生
するという問題があった。
【0007】そこで、例えば、特開平6−290985
号公報では、ニッケル粉末にマグネシウム粉末を添加混
合したペーストを用いることによって、焼結温度を高め
誘電体層と内部電極層との熱収縮差を小さくしクラック
を低減できることが提案されている。また、特開平10
−172860号公報では、内部電極層としてニッケル
粉末にバリウム、マグネシウムおよび珪素の酸化物から
なるガラス粉末を添加したペーストを用いることによっ
て誘電体との熱収縮差を小さくできるとともに、耐湿負
荷特性が向上することが提案されている。
号公報では、ニッケル粉末にマグネシウム粉末を添加混
合したペーストを用いることによって、焼結温度を高め
誘電体層と内部電極層との熱収縮差を小さくしクラック
を低減できることが提案されている。また、特開平10
−172860号公報では、内部電極層としてニッケル
粉末にバリウム、マグネシウムおよび珪素の酸化物から
なるガラス粉末を添加したペーストを用いることによっ
て誘電体との熱収縮差を小さくできるとともに、耐湿負
荷特性が向上することが提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−290985号公報のペーストでは、クラックやデ
ラミネーションの発生は抑制できるものの耐湿負荷特性
を改善するには不十分であり、また、特開平10−17
2860号公報のペーストでは絶縁体であるBa3 Mg
Si2 O8 粉末が内部電極層中に点在してしまい内部電
極層の抵抗値が増大する恐れがあるために、内部電極層
を薄層化することが難しかった。また、内部電極層内に
ガラスを添加すると、コンデンサの誘電特性が劣化する
という問題があった。
6−290985号公報のペーストでは、クラックやデ
ラミネーションの発生は抑制できるものの耐湿負荷特性
を改善するには不十分であり、また、特開平10−17
2860号公報のペーストでは絶縁体であるBa3 Mg
Si2 O8 粉末が内部電極層中に点在してしまい内部電
極層の抵抗値が増大する恐れがあるために、内部電極層
を薄層化することが難しかった。また、内部電極層内に
ガラスを添加すると、コンデンサの誘電特性が劣化する
という問題があった。
【0009】本発明は、上記課題を鑑みてなされたもの
であり、その目的は、クラックやデラミネーションの発
生を防止するとともに耐湿負荷特性を改善でき、かつ内
部電極層を薄層化することができる積層セラミックコン
デンサおよびその製造方法を提供することにある。
であり、その目的は、クラックやデラミネーションの発
生を防止するとともに耐湿負荷特性を改善でき、かつ内
部電極層を薄層化することができる積層セラミックコン
デンサおよびその製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記課題
に対して検討を重ねた結果、内部電極層を形成するため
の導電性ペーストとして表面に酸化マグネシウムを被覆
したニッケル粉末を用いることにより、内部電極層の焼
成開始温度を高めることができ、誘電体層と内部電極層
との熱収縮差を小さくできるとともに、マグネシウムが
容易に拡散でき内部電極層の誘電体層との界面にニッケ
ルおよびマグネシウムを含有する金属酸化物層を形成す
ることによって、コンデンサの耐湿負荷特性を向上させ
ることができ、かつマグネシウムが内部電極層の端部に
拡散、移動することから内部電極層の厚みを薄くできる
ことを知見した。
に対して検討を重ねた結果、内部電極層を形成するため
の導電性ペーストとして表面に酸化マグネシウムを被覆
したニッケル粉末を用いることにより、内部電極層の焼
成開始温度を高めることができ、誘電体層と内部電極層
との熱収縮差を小さくできるとともに、マグネシウムが
容易に拡散でき内部電極層の誘電体層との界面にニッケ
ルおよびマグネシウムを含有する金属酸化物層を形成す
ることによって、コンデンサの耐湿負荷特性を向上させ
ることができ、かつマグネシウムが内部電極層の端部に
拡散、移動することから内部電極層の厚みを薄くできる
ことを知見した。
【0011】すなわち、本発明の積層セラミックコンデ
ンサは、少なくとも2層以上の耐還元性を有する誘電体
層間にニッケルを含有する内部電極層を配設し、該内部
電極層が0.05〜1重量%のマグネシウムを含有する
とともに、該内部電極層の前記誘電体層との界面に0.
05〜0.2μm厚みのニッケルおよびマグネシウムを
含有する金属酸化物層が存在することを特徴とするもの
である。
ンサは、少なくとも2層以上の耐還元性を有する誘電体
層間にニッケルを含有する内部電極層を配設し、該内部
電極層が0.05〜1重量%のマグネシウムを含有する
とともに、該内部電極層の前記誘電体層との界面に0.
05〜0.2μm厚みのニッケルおよびマグネシウムを
含有する金属酸化物層が存在することを特徴とするもの
である。
【0012】なお、前記ニッケルおよびマグネシウムを
含有する金属酸化物がMgNiO2であることが望まし
い。
含有する金属酸化物がMgNiO2であることが望まし
い。
【0013】また、本発明の積層セラミックコンデンサ
の製造方法は、ニッケル粒子表面に金属換算で0.05
〜1重量%の酸化マグネシウムを被覆してなる金属粉末
を含有する導電性ペーストを調製する工程と、耐還元性
を有する誘電体材料からなる誘電体シートの表面に前記
導電性ペーストを塗布する工程と、該誘電体シートを複
数枚積層する工程と、該積層体を還元雰囲気中で焼成す
る工程と、焼結体の両端面に外部電極層を形成する工程
とを具備することを特徴とするものである。
の製造方法は、ニッケル粒子表面に金属換算で0.05
〜1重量%の酸化マグネシウムを被覆してなる金属粉末
を含有する導電性ペーストを調製する工程と、耐還元性
を有する誘電体材料からなる誘電体シートの表面に前記
導電性ペーストを塗布する工程と、該誘電体シートを複
数枚積層する工程と、該積層体を還元雰囲気中で焼成す
る工程と、焼結体の両端面に外部電極層を形成する工程
とを具備することを特徴とするものである。
【0014】なお、前記酸化マグネシウムの被覆厚みは
10〜100nmであることが望ましい。
10〜100nmであることが望ましい。
【0015】
【作用】本発明によれば、内部電極層を形成する導電性
ペーストの主たる金属粉末として、ニッケル粒子表面を
酸化マグネシウムで被覆した金属粉末を用いることによ
り、ニッケル粒子同士が直接接触することがなく、ま
た、ニッケルとマグネシウムとの反応によりニッケル粒
子間の焼結開始温度を高めることができる。
ペーストの主たる金属粉末として、ニッケル粒子表面を
酸化マグネシウムで被覆した金属粉末を用いることによ
り、ニッケル粒子同士が直接接触することがなく、ま
た、ニッケルとマグネシウムとの反応によりニッケル粒
子間の焼結開始温度を高めることができる。
【0016】また、ペースト中のマグネシウムの分散性
が高いことから容易に内部電極層端部に拡散、移動する
ことができ、誘電体層との界面に特定の厚みのニッケル
とマグネシウムとを含有する金属酸化物層を形成するこ
とができる。この複合酸化物層により内部電極層内部へ
の水分の浸入を防止することができ、耐湿負荷特性を改
善できるとともに、焼成後のコンデンサを再酸化するよ
うな場合においても内部電極層が酸化されにくく内部電
極層の抵抗値が増大することがない。
が高いことから容易に内部電極層端部に拡散、移動する
ことができ、誘電体層との界面に特定の厚みのニッケル
とマグネシウムとを含有する金属酸化物層を形成するこ
とができる。この複合酸化物層により内部電極層内部へ
の水分の浸入を防止することができ、耐湿負荷特性を改
善できるとともに、焼成後のコンデンサを再酸化するよ
うな場合においても内部電極層が酸化されにくく内部電
極層の抵抗値が増大することがない。
【0017】さらに、マグネシウムが内部電極層の表面
側に移動することから、内部電極層の実質的な厚みを薄
くすることができ、内部電極層を薄層化することができ
る。なお、前記ニッケルとマグネシウムとを含有する金
属酸化物層は誘電体層の絶縁抵抗を高める働きをなす。
側に移動することから、内部電極層の実質的な厚みを薄
くすることができ、内部電極層を薄層化することができ
る。なお、前記ニッケルとマグネシウムとを含有する金
属酸化物層は誘電体層の絶縁抵抗を高める働きをなす。
【0018】
【発明の実施の形態】図1に、本発明の積層セラミック
コンデンサの概略斜視図を示す。図1によれば、誘電体
層1と内部電極層2が交互に積層され、該積層体の左右
の両端面には外部電極層3が形成されている。そして、
内部電極層2は、各々1層おきに左右の外部電極層3と
電気的に接続された構造になっている。
コンデンサの概略斜視図を示す。図1によれば、誘電体
層1と内部電極層2が交互に積層され、該積層体の左右
の両端面には外部電極層3が形成されている。そして、
内部電極層2は、各々1層おきに左右の外部電極層3と
電気的に接続された構造になっている。
【0019】本発明によれば、図2の要部拡大図に示さ
れるとおり、内部電極層2の誘電体層1との界面に、焼
成により内部電極層を構成するニッケル粒子中の酸化マ
グネシウムが内部電極層の端部側へ拡散、移動すること
により形成されたニッケルとマグネシウムとを含有する
金属酸化物層4が存在することが大きな特徴である。
れるとおり、内部電極層2の誘電体層1との界面に、焼
成により内部電極層を構成するニッケル粒子中の酸化マ
グネシウムが内部電極層の端部側へ拡散、移動すること
により形成されたニッケルとマグネシウムとを含有する
金属酸化物層4が存在することが大きな特徴である。
【0020】この金属酸化物層4としては、具体的に
は、MgNiO2 、Mg0.4 Ni0.6O、Mg4 NiO
(OH)9 等が挙げられるが、化学的安定性の点でMg
NiO2 であることが望ましい。
は、MgNiO2 、Mg0.4 Ni0.6O、Mg4 NiO
(OH)9 等が挙げられるが、化学的安定性の点でMg
NiO2 であることが望ましい。
【0021】この金属酸化物層4の存在により、内部電
極層内部への水分の浸入を防止することができ、耐湿負
荷特性を改善することができるとともに、焼成後の積層
セラミックコンデンサを再酸化処理するような場合にお
いても内部電極層が酸化されにくいために、内部電極層
の抵抗率が増大することがない。
極層内部への水分の浸入を防止することができ、耐湿負
荷特性を改善することができるとともに、焼成後の積層
セラミックコンデンサを再酸化処理するような場合にお
いても内部電極層が酸化されにくいために、内部電極層
の抵抗率が増大することがない。
【0022】また、この複合酸化物層4の厚みは、0.
05〜0.2μmであることが重要である。すなわち、
複合酸化物層4の厚みが0.05μmよりも薄いと水分
の浸入を防止することができず、耐湿負荷特性を改善す
る効果が低く、また内部電極層の酸化を防止する効果が
不十分であり、逆に、酸化層4の厚みが0.2μmより
も厚いと内部電極層の抵抗値が高くなるとともに内部電
極層を薄層化することができない。特に、耐湿負荷特性
および耐酸化性を向上させ、内部電極層を薄層化する観
点から、複合酸化物層4の厚みは0.1〜0.15μm
が望ましい。
05〜0.2μmであることが重要である。すなわち、
複合酸化物層4の厚みが0.05μmよりも薄いと水分
の浸入を防止することができず、耐湿負荷特性を改善す
る効果が低く、また内部電極層の酸化を防止する効果が
不十分であり、逆に、酸化層4の厚みが0.2μmより
も厚いと内部電極層の抵抗値が高くなるとともに内部電
極層を薄層化することができない。特に、耐湿負荷特性
および耐酸化性を向上させ、内部電極層を薄層化する観
点から、複合酸化物層4の厚みは0.1〜0.15μm
が望ましい。
【0023】これらのニッケル粒子の形状には、球状、
フレーク状、突起状あるいは不定形があり、特に限定す
るものでないが、内部電極層の充填性を高める点で球状
であることが望ましい。ニッケル粒子の平均粒径は、内
部電極層の薄層化と厚みバラツキを低減するという理由
から、比表面積径として求めた値(BET値)で0.0
5〜0.8μmであることが望ましい。
フレーク状、突起状あるいは不定形があり、特に限定す
るものでないが、内部電極層の充填性を高める点で球状
であることが望ましい。ニッケル粒子の平均粒径は、内
部電極層の薄層化と厚みバラツキを低減するという理由
から、比表面積径として求めた値(BET値)で0.0
5〜0.8μmであることが望ましい。
【0024】また、内部電極層の内部に微量残存するマ
グネシウムはニッケルと合金化したり、Mgx Ni2-x
O2 (0.1≦x≦1)の複合酸化物またはMgOの形
態で存在する。
グネシウムはニッケルと合金化したり、Mgx Ni2-x
O2 (0.1≦x≦1)の複合酸化物またはMgOの形
態で存在する。
【0025】次に、本発明の積層セラミックコンデンサ
の製造方法について説明する。まず、耐還元性を有する
誘電体材料からなる誘電体粉末を用いて、引き上げ法、
ドクターブレード法、リバースロールコータ法、グラビ
アコータ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷等の周知
の成形法により誘電体シートを作製する。
の製造方法について説明する。まず、耐還元性を有する
誘電体材料からなる誘電体粉末を用いて、引き上げ法、
ドクターブレード法、リバースロールコータ法、グラビ
アコータ法、スクリーン印刷法、グラビア印刷等の周知
の成形法により誘電体シートを作製する。
【0026】耐還元性を有する誘電体材料としては、具
体的には、BaTiO3 −CaZrO3 −MnO−Y2
O3 等が使用可能である。また、この誘電体シートの厚
みは、小型、大容量化という理由から0.5〜50μm
であることが望ましい。
体的には、BaTiO3 −CaZrO3 −MnO−Y2
O3 等が使用可能である。また、この誘電体シートの厚
みは、小型、大容量化という理由から0.5〜50μm
であることが望ましい。
【0027】一方、導電性ペーストの作製方法について
は、まず、ニッケル粒子を非酸化性雰囲気下500〜8
00℃にて熱処理し粒子表面の酸化層を還元させた後、
真空チャンバー内に導入し、酸化マグネシウムを蒸着す
ることにより、卑金属粒子の表面に所望の厚みの酸化マ
グネシウムを被覆した金属粉末を作製することができ
る。また、他の方法として、ニッケル粒子の表面に酢酸
マグネシウムなどのマグネシウム含有有機化合物を塗布
した後、200〜500℃で熱処理して粒子表面に酸化
マグネシウムを形成することもできる。
は、まず、ニッケル粒子を非酸化性雰囲気下500〜8
00℃にて熱処理し粒子表面の酸化層を還元させた後、
真空チャンバー内に導入し、酸化マグネシウムを蒸着す
ることにより、卑金属粒子の表面に所望の厚みの酸化マ
グネシウムを被覆した金属粉末を作製することができ
る。また、他の方法として、ニッケル粒子の表面に酢酸
マグネシウムなどのマグネシウム含有有機化合物を塗布
した後、200〜500℃で熱処理して粒子表面に酸化
マグネシウムを形成することもできる。
【0028】なお、ニッケル金属粒子と酸化マグネシウ
ム層との密着性を高める上で、酸化マグネシウムを被覆
する前に、ニッケル粉末を大気中260〜300℃で熱
処理してニッケル粒子の表面を酸化させ、ニッケルの酸
化物層を形成させておくことが望ましい。
ム層との密着性を高める上で、酸化マグネシウムを被覆
する前に、ニッケル粉末を大気中260〜300℃で熱
処理してニッケル粒子の表面を酸化させ、ニッケルの酸
化物層を形成させておくことが望ましい。
【0029】また、ニッケル粒子の表面を特定厚みの酸
化マグネシウムで被覆するが、酸化マグネシウム被覆層
中には金属マグネシウム、水酸化マグネシウムが含まれ
ていてもよい。
化マグネシウムで被覆するが、酸化マグネシウム被覆層
中には金属マグネシウム、水酸化マグネシウムが含まれ
ていてもよい。
【0030】さらに、前記酸化マグネシウム被覆層の厚
みは10〜100nmであることが望ましい。この被覆
厚みが100nmより厚いと、導電性ペースト中の粒子
同士の凝集が起こり易く、粒子の分散性が低下するため
に、ニッケル粒子を分散に必要な有機バインダの量が多
くなり脱バインダ処理が困難となるとともに、酸化マグ
ネシウムが単独で粒子として多数存在し、ニッケル粒子
間の接続が悪くなるために内部電極層の抵抗率が高くな
る。逆に、被覆厚みが10nmより薄いと、マグネシウ
ムのクラックを低減する効果や耐湿負荷特性を改善する
効果が充分に発揮されず、また、粒子の核であるニッケ
ル粒子が脱バインダ処理時に酸化されてクラックが発生
する恐れがあるとともに、酸化されたニッケルが焼成後
も酸化ニッケルとして残存し、内部電極層の抵抗値が増
大してしまう。
みは10〜100nmであることが望ましい。この被覆
厚みが100nmより厚いと、導電性ペースト中の粒子
同士の凝集が起こり易く、粒子の分散性が低下するため
に、ニッケル粒子を分散に必要な有機バインダの量が多
くなり脱バインダ処理が困難となるとともに、酸化マグ
ネシウムが単独で粒子として多数存在し、ニッケル粒子
間の接続が悪くなるために内部電極層の抵抗率が高くな
る。逆に、被覆厚みが10nmより薄いと、マグネシウ
ムのクラックを低減する効果や耐湿負荷特性を改善する
効果が充分に発揮されず、また、粒子の核であるニッケ
ル粒子が脱バインダ処理時に酸化されてクラックが発生
する恐れがあるとともに、酸化されたニッケルが焼成後
も酸化ニッケルとして残存し、内部電極層の抵抗値が増
大してしまう。
【0031】また、ニッケル粒子の表面を被覆する酸化
マグネシウムの含有率は、ニッケル粒子中、マグネシウ
ム金属換算で0.05〜1重量%であることが重要であ
る。すなわち、酸化マグネシウムの含有量が金属換算で
0.05重量%よりも少ないと、ニッケル粒子を完全に
被覆できなくなり、逆に1重量%よりも多いと内部電極
層の内部に酸化マグネシウムが多く残存し内部電極層の
抵抗値が上昇してしまうためである。
マグネシウムの含有率は、ニッケル粒子中、マグネシウ
ム金属換算で0.05〜1重量%であることが重要であ
る。すなわち、酸化マグネシウムの含有量が金属換算で
0.05重量%よりも少ないと、ニッケル粒子を完全に
被覆できなくなり、逆に1重量%よりも多いと内部電極
層の内部に酸化マグネシウムが多く残存し内部電極層の
抵抗値が上昇してしまうためである。
【0032】なお、導電性ペーストには、セラミックグ
リーンシートの表面に塗布し、同時焼成する場合におい
て、共材としてセラミックグリーンシートと同じ材質等
の原料粉末を所定量添加しても良く、これによりグリー
ンシートとの密着性を向上するとともにセラミックスと
導体との焼成による収縮率および熱膨張係数を近似させ
ることができる結果、内部電極層の界面や端部に発生す
るクラックやデラミネーションを防止することができ
る。
リーンシートの表面に塗布し、同時焼成する場合におい
て、共材としてセラミックグリーンシートと同じ材質等
の原料粉末を所定量添加しても良く、これによりグリー
ンシートとの密着性を向上するとともにセラミックスと
導体との焼成による収縮率および熱膨張係数を近似させ
ることができる結果、内部電極層の界面や端部に発生す
るクラックやデラミネーションを防止することができ
る。
【0033】さらに、導電性ペーストには、ペースト化
するための有機バインダや溶剤あるいは粒子の凝集や分
散不良を防止するための分散剤等が種々含有されてもよ
い。
するための有機バインダや溶剤あるいは粒子の凝集や分
散不良を防止するための分散剤等が種々含有されてもよ
い。
【0034】具体的な有機バインダ樹脂としては、セル
ロース系樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニール系樹脂、ブ
チラール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、アルキッド系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリア
マイド系樹脂、石油系樹脂等があり、該樹脂を単独もし
くは複数で用いることができる。このうち、他の有機樹
脂や溶媒との相溶性がよく、粒子の凝集を抑制し分散を
向上するという観点から、セルロース系樹脂が望まし
い。
ロース系樹脂、ロジン系樹脂、ポリビニール系樹脂、ブ
チラール系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹
脂、エポキシ系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリウレタン
系樹脂、アルキッド系樹脂、マレイン酸系樹脂、ポリア
マイド系樹脂、石油系樹脂等があり、該樹脂を単独もし
くは複数で用いることができる。このうち、他の有機樹
脂や溶媒との相溶性がよく、粒子の凝集を抑制し分散を
向上するという観点から、セルロース系樹脂が望まし
い。
【0035】また、分散剤は、一般にペーストの調合に
用いられる任意の界面活性剤を用いることができるが、
ペーストの安定化から高分子界面活性剤が望ましい。
用いられる任意の界面活性剤を用いることができるが、
ペーストの安定化から高分子界面活性剤が望ましい。
【0036】さらに、溶媒は用いる有機バインダ樹脂と
相溶するものであれば、特に限定するものでなく、例え
ば、エタノール、カルビトール、トルエン、酢酸エステ
ル、キシレン等のアルコール類、炭化水素類、エステル
類、エーテルアルコール類、ケトン類、塩化炭化水素類
等が使用できる。さらに、所望量の有機添加物と溶媒の
均一溶液を調製する際、必要に応じて助剤として界面活
性剤、可塑剤、静電気防止剤、消泡剤、酸化防止剤、滑
剤、硬化剤等を適宜用いることができる。
相溶するものであれば、特に限定するものでなく、例え
ば、エタノール、カルビトール、トルエン、酢酸エステ
ル、キシレン等のアルコール類、炭化水素類、エステル
類、エーテルアルコール類、ケトン類、塩化炭化水素類
等が使用できる。さらに、所望量の有機添加物と溶媒の
均一溶液を調製する際、必要に応じて助剤として界面活
性剤、可塑剤、静電気防止剤、消泡剤、酸化防止剤、滑
剤、硬化剤等を適宜用いることができる。
【0037】上述した金属粉末40〜50重量%と、上
記有機物成分50〜60重量%とを混合し、3本ロール
等により混練することにより、導電性ペーストが得られ
る。
記有機物成分50〜60重量%とを混合し、3本ロール
等により混練することにより、導電性ペーストが得られ
る。
【0038】そして、上述した誘電体シートの表面に、
この導電性ペーストを内部電極層パターン状にスクリー
ン印刷法、グラビア印刷、オフセット印刷法等の周知の
印刷方法により塗布する。その厚みは、コンデンサの小
型、高信頼性化という点から2μm以下、特には1μm
以下であることが望ましい。
この導電性ペーストを内部電極層パターン状にスクリー
ン印刷法、グラビア印刷、オフセット印刷法等の周知の
印刷方法により塗布する。その厚みは、コンデンサの小
型、高信頼性化という点から2μm以下、特には1μm
以下であることが望ましい。
【0039】そして、導電性ペーストが塗布された誘電
体シートを複数枚積層圧着し、この積層成形体を大気中
250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸
素雰囲気中500〜800℃で脱バインダ処理した後、
非酸化性雰囲気で1100〜1200℃で2〜3時間焼
成する。さらに、所望により、酸素分圧が0.1〜10
-4Pa程度の低酸素分圧下、900〜1100℃で3〜
10時間再酸化処理を施すことにより還元された誘電体
層が酸化されることにより、良好な絶縁特性を有する誘
電体層となる。
体シートを複数枚積層圧着し、この積層成形体を大気中
250〜300℃または酸素分圧0.1〜1Paの低酸
素雰囲気中500〜800℃で脱バインダ処理した後、
非酸化性雰囲気で1100〜1200℃で2〜3時間焼
成する。さらに、所望により、酸素分圧が0.1〜10
-4Pa程度の低酸素分圧下、900〜1100℃で3〜
10時間再酸化処理を施すことにより還元された誘電体
層が酸化されることにより、良好な絶縁特性を有する誘
電体層となる。
【0040】最後に、得られた積層焼結体に対し、各端
面に銀やインジウム−ガリウム等のペーストを塗布し、
内部電極層と電気的に接続された外部電極を形成して積
層セラミックコンデンサを作製することができる。
面に銀やインジウム−ガリウム等のペーストを塗布し、
内部電極層と電気的に接続された外部電極を形成して積
層セラミックコンデンサを作製することができる。
【0041】
【実施例】(実施例)比表面積径として求めた値(BE
T値)で平均粒径0.2μmのニッケル粉末を、窒素
中、500℃で30分間熱処理した後、大気中、260
℃で10分間熱処理しニッケル粒子表面を酸化させた。
処理されたニッケル粒子を真空チャンバー内に導入して
マグネシウム有機化合物を用いてNi粒子の表面に噴霧
し、400℃で熱処理することにより酸化マグネシウム
で被覆されたニッケル粒子を得た。透過電子顕微鏡およ
び結晶構造分析により観察した結果、卑金属粒子の表層
部が50〜100nmの酸化マグネシウムで被覆されて
いることを確認した。
T値)で平均粒径0.2μmのニッケル粉末を、窒素
中、500℃で30分間熱処理した後、大気中、260
℃で10分間熱処理しニッケル粒子表面を酸化させた。
処理されたニッケル粒子を真空チャンバー内に導入して
マグネシウム有機化合物を用いてNi粒子の表面に噴霧
し、400℃で熱処理することにより酸化マグネシウム
で被覆されたニッケル粒子を得た。透過電子顕微鏡およ
び結晶構造分析により観察した結果、卑金属粒子の表層
部が50〜100nmの酸化マグネシウムで被覆されて
いることを確認した。
【0042】得られた被覆金属粉末45重量%に対し、
エチルセルロース5.5重量%とα−テルピネオール9
4.5重量%からなる有機ビヒクル55重量%とを3本
ロールで混練して導電性ペーストを作製した。
エチルセルロース5.5重量%とα−テルピネオール9
4.5重量%からなる有機ビヒクル55重量%とを3本
ロールで混練して導電性ペーストを作製した。
【0043】一方、BaTiO3 97.5モル%とCa
ZrO3 2.0モル%とMnO0.5モル%とからなる
組成物100モル%に対して、Y2 O3 を0.5モル%
添加した組成のセラミックスラリーを、ポリエステルま
たはポリプロピレン等の合成樹脂より成る帯状のキャリ
アフィルム上に、ドクターブレード法で成膜し、乾燥さ
せた後、セラミックグリーンシートをキャリアフィルム
から剥離し、厚み10μmの帯状のセラミックグリーン
シートとした後、セラミックグリーンシートを縦200
mm、横200mmのサイズに打ち抜いた。
ZrO3 2.0モル%とMnO0.5モル%とからなる
組成物100モル%に対して、Y2 O3 を0.5モル%
添加した組成のセラミックスラリーを、ポリエステルま
たはポリプロピレン等の合成樹脂より成る帯状のキャリ
アフィルム上に、ドクターブレード法で成膜し、乾燥さ
せた後、セラミックグリーンシートをキャリアフィルム
から剥離し、厚み10μmの帯状のセラミックグリーン
シートとした後、セラミックグリーンシートを縦200
mm、横200mmのサイズに打ち抜いた。
【0044】得られたセラミックグリーンシートの一方
主面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記した導電性
ペーストを内部電極層パターン状に印刷した。このペー
ストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数枚積
層し、積層成形体を得た。
主面に、スクリーン印刷装置を用いて、上記した導電性
ペーストを内部電極層パターン状に印刷した。このペー
ストが塗布されたセラミックグリーンシートを複数枚積
層し、積層成形体を得た。
【0045】次に、得られた積層成形体を大気中300
℃または0.1Paの酸素/窒素雰囲気中500℃に加
熱し、脱バインダ処理処理を行った後、10-7Paの酸
素/窒素雰囲気中、1200℃で2時間焼成し、さら
に、10-2Paの酸素窒素雰囲気中にて900℃で再酸
化処理を行い、セラミック焼結体を得た。焼成後、得ら
れたセラミック焼結体の各端面にインジウム−ガリウム
ペーストを塗布し、内部電極層と電気的に接続された外
部電極を形成した。
℃または0.1Paの酸素/窒素雰囲気中500℃に加
熱し、脱バインダ処理処理を行った後、10-7Paの酸
素/窒素雰囲気中、1200℃で2時間焼成し、さら
に、10-2Paの酸素窒素雰囲気中にて900℃で再酸
化処理を行い、セラミック焼結体を得た。焼成後、得ら
れたセラミック焼結体の各端面にインジウム−ガリウム
ペーストを塗布し、内部電極層と電気的に接続された外
部電極を形成した。
【0046】このようにして得られた積層セラミックコ
ンデンサの外形寸法は、幅1.6mm、長さ3.2m
m、厚さ1.0mmであり、内部電極層間に介在する誘
電体セラミックス層の厚みは8μmであった。また、誘
電体セラミックス層の有効積層数は50層であり、一層
当たりの対向内部電極層の面積は2.1mm2 であっ
た。
ンデンサの外形寸法は、幅1.6mm、長さ3.2m
m、厚さ1.0mmであり、内部電極層間に介在する誘
電体セラミックス層の厚みは8μmであった。また、誘
電体セラミックス層の有効積層数は50層であり、一層
当たりの対向内部電極層の面積は2.1mm2 であっ
た。
【0047】上述のようにして得られた積層セラミック
コンデンサを、各試料100個ずつ樹脂で固めて研磨
し、コンデンサの断面を倍率400倍の金属顕微鏡観察
を行い、クラックの有無を検査した。クラックが生じた
磁器の個数を表1に示した。また、微小部X線回折測定
により誘電体層と内部電極層の界面の金属酸化物層の存
在の有無および種類を確認した。さらに、走査電子顕微
鏡(SEM)観察を行い、内部電極層および内部電極層
界面の厚みを測定した。
コンデンサを、各試料100個ずつ樹脂で固めて研磨
し、コンデンサの断面を倍率400倍の金属顕微鏡観察
を行い、クラックの有無を検査した。クラックが生じた
磁器の個数を表1に示した。また、微小部X線回折測定
により誘電体層と内部電極層の界面の金属酸化物層の存
在の有無および種類を確認した。さらに、走査電子顕微
鏡(SEM)観察を行い、内部電極層および内部電極層
界面の厚みを測定した。
【0048】また、300個についてJISC5102
に基づいて温度40℃、相対湿度90〜95%、定格電
圧10Vで500時間保持した後の実体顕微鏡によるク
ラックの発生個数を表1に示した。
に基づいて温度40℃、相対湿度90〜95%、定格電
圧10Vで500時間保持した後の実体顕微鏡によるク
ラックの発生個数を表1に示した。
【0049】(比較例)比表面積径として求めた値(B
ET値)で平均粒径0.2μmのニッケル粉末および比
表面積径として求めた値(BET値)で平均粒径10μ
mのマグネシウム粉末を混合した粉末を用いて、内部電
極層およびコンデンサを作製し、同様な評価を行った。
ET値)で平均粒径0.2μmのニッケル粉末および比
表面積径として求めた値(BET値)で平均粒径10μ
mのマグネシウム粉末を混合した粉末を用いて、内部電
極層およびコンデンサを作製し、同様な評価を行った。
【0050】
【表1】
【0051】表1の結果から、酸化マグネシウムを被覆
していない試料No.8についてはコンデンサの脱バイ
ンダ処理や焼成によってクラックが多数発生した。ま
た、再酸化処理により内部電極層が酸化され内部電極層
の抵抗値が高く、また湿中負荷特性が悪くなった。ま
た、酸化マグネシウムの被覆量が0.05重量%より少
ない試料No.1、2でも金属酸化物層が形成されない
か厚みが0.05μmより薄く、再酸化処理により内部
電極層が酸化され内部電極層の抵抗値が高く、また湿中
負荷特性が悪くなった。さらに、金属酸化物層の厚みが
0.2μmを超える試料No.7では、内部電極層の抵
抗値が高く、コンデンサの静電容量が低下してしまっ
た。
していない試料No.8についてはコンデンサの脱バイ
ンダ処理や焼成によってクラックが多数発生した。ま
た、再酸化処理により内部電極層が酸化され内部電極層
の抵抗値が高く、また湿中負荷特性が悪くなった。ま
た、酸化マグネシウムの被覆量が0.05重量%より少
ない試料No.1、2でも金属酸化物層が形成されない
か厚みが0.05μmより薄く、再酸化処理により内部
電極層が酸化され内部電極層の抵抗値が高く、また湿中
負荷特性が悪くなった。さらに、金属酸化物層の厚みが
0.2μmを超える試料No.7では、内部電極層の抵
抗値が高く、コンデンサの静電容量が低下してしまっ
た。
【0052】また、MgO粉末を添加した試料No.9
では、MgNiO2 が生成したものの点在し複合酸化物
層を形成できなかった。そのため、湿中負荷特性が悪
く、また内部電極層の抵抗値も増大してしまった。
では、MgNiO2 が生成したものの点在し複合酸化物
層を形成できなかった。そのため、湿中負荷特性が悪
く、また内部電極層の抵抗値も増大してしまった。
【0053】これに対し、本発明の試料では焼成後のク
ラックの発生がなく、容量1.1μF以上、および絶縁
抵抗0.9GΩ以上で、かつ湿中負荷特性の良好なもの
となった。
ラックの発生がなく、容量1.1μF以上、および絶縁
抵抗0.9GΩ以上で、かつ湿中負荷特性の良好なもの
となった。
【0054】
【発明の効果】以上詳述したとおり、本発明によれば、
内部電極層を形成するための導電性ペーストとしてニッ
ケル粒子に特定量の酸化マグネシウムを被覆した粉末を
用いることにより、焼成時のクラックやデラミネーショ
ンが防止できるとともに、内部電極層の誘電体層との界
面にニッケルとマグネシウムとを含有する複合酸化物層
を形成することができ、耐湿負荷特性を向上させること
ができる。また、再酸化処理によっても内部電極層が酸
化されることなく、低抵抗な内部電極層を形成すること
ができる。
内部電極層を形成するための導電性ペーストとしてニッ
ケル粒子に特定量の酸化マグネシウムを被覆した粉末を
用いることにより、焼成時のクラックやデラミネーショ
ンが防止できるとともに、内部電極層の誘電体層との界
面にニッケルとマグネシウムとを含有する複合酸化物層
を形成することができ、耐湿負荷特性を向上させること
ができる。また、再酸化処理によっても内部電極層が酸
化されることなく、低抵抗な内部電極層を形成すること
ができる。
【図1】積層セラミックコンデンサの構造を説明するた
めの概略斜視図である。
めの概略斜視図である。
【図2】本発明の積層セラミックコンデンサの構造を説
明するための要部拡大図である。
明するための要部拡大図である。
1 誘電体層 2 内部電極層 3 外部電極 4 金属酸化物層
Claims (4)
- 【請求項1】少なくとも2層以上の耐還元性を有する誘
電体層間にニッケルを含有する内部電極層を配設してな
る積層セラミックコンデンサであって、前記内部電極層
が0.05〜1重量%のマグネシウムを含有するととも
に、前記内部電極層の前記誘電体層との界面に0.05
〜0.2μm厚みのニッケルおよびマグネシウムを含有
する金属酸化物層が存在することを特徴とする積層セラ
ミックコンデンサ。 - 【請求項2】前記ニッケルおよびマグネシウムを含有す
る金属酸化物がMgNiO2 であることを特徴とする請
求項1記載の積層セラミックコンデンサ。 - 【請求項3】ニッケル粒子表面に金属換算で0.05〜
1重量%の酸化マグネシウムを被覆してなる金属粉末を
含有する導電性ペーストを調製する工程と、耐還元性を
有する誘電体材料からなる誘電体シートの表面に前記導
電性ペーストを塗布する工程と、該誘電体シートを複数
枚積層する工程と、該積層体を還元雰囲気中で焼成する
工程と、焼結体の両端面に外部電極層を形成する工程と
を具備することを特徴とする積層セラミックコンデンサ
の製造方法。 - 【請求項4】前記酸化マグネシウムの被覆厚みが10〜
100nmであることを特徴とする請求項3記載の積層
セラミックコンデンサの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11147001A JP2000340450A (ja) | 1999-05-26 | 1999-05-26 | 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP11147001A JP2000340450A (ja) | 1999-05-26 | 1999-05-26 | 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2000340450A true JP2000340450A (ja) | 2000-12-08 |
Family
ID=15420342
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP11147001A Pending JP2000340450A (ja) | 1999-05-26 | 1999-05-26 | 積層セラミックコンデンサおよびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2000340450A (ja) |
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-
1999
- 1999-05-26 JP JP11147001A patent/JP2000340450A/ja active Pending
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